ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. MOODYMANN JAPAN TOUR 2025 ——ムーディーマン、久しぶりの来日ツアー、大阪公演はまだチケットあり
  2. Scanner & Nurse with Wound - Contrary Motion | スキャナー、ナース・ウィズ・ウーンド
  3. Ches Smith - Clone Row | チェス・スミス
  4. Mars89 ──主宰レーベル〈Nocturnal Technology〉が初となるパーティーを開催
  5. David Byrne ──久々のニュー・アルバムが9月に登場
  6. Swans - Birthing | スワンズ
  7. interview with caroline いま、これほどロマンティックに聞こえる音楽はほかにない | キャロライン、インタヴュー
  8. Young Gun Silver Fox - Pleasure | ヤング・ガン・シルヴァー・フォックス
  9. OGRE YOU ASSHOLE ──ファースト・アルバム20周年記念ツアーが開催
  10. Columns 5月のジャズ Jazz in May 2025
  11. FESTIVAL FRUEZINHO 2025 ——トータス、石橋英子、ジョン・メデスキ&ビリー・マーティンらが出演する今年のFRUEに注目
  12. Fontaines D.C. - Skinty Fia  | フォンテインズD.C.
  13. 忌野清志郎さん
  14. Columns Stereolab ステレオラブはなぜ偉大だったのか
  15. Columns ♯10:いや、だからそもそも「インディ・ロック」というものは
  16. 別冊ele-king 渡辺信一郎のめくるめく世界
  17. Columns ♯13:声に羽が生えたなら——ジュリー・クルーズとコクトー・ツインズ、ドリーム・ポップの故郷
  18. caroline - caroline | キャロライン
  19. DJ Koze - Music Can Hear Us | DJコッツェ
  20. rural 2025 ──テクノ、ハウス、実験音楽を横断する野外フェスが今年も開催

Home >  Regulars >  Random Access N.Y. > vol.63:チボマットはいつ見ても最高

Random Access N.Y.

Random Access N.Y.

vol.63:チボマットはいつ見ても最高

沢井陽子 May 22,2014 UP

 5月も中旬。この季節になると、電車の中も黒一色から、白や明るい色が主流になり、ショート・スリーブ、ショート・パンツ、サンダルとサングラスが目立つ。著者は、原稿を書く時は、たいてい近所のカフェで作業しているのだが(夜中に地道に作業する事もあるが)、最近はバックヤードもオープンし、ぽかぽかしながら原稿を書いている。かかっている曲や周りの人びとでテンションが変わるが、今日はヴェルヴェット・アンダーグラウンドのカヴァー・バンド、マック・デマルコのニュー・アルバムなどがかかっていて順調だ。

 今年最初のサマー・コンサートのキックオフとして、5/15にセレブレイト・ブルックリンに登場したチボ・マットを紹介。

http://bricartsmedia.org/performing-arts/celebrate-brooklyn

 『ブリック・アーツ・メディア』がオーガナイズする「セレブレイト・ブルックリン」は、NYで伝統的に長く続いているフリー・コンサートのひとつで、去年もベル・アンド・セバスチャン、BECK、ダン・ディーコンなどインディ・ファンには魅力的なメンツが参加した。
 今年も、ジャネル・モネエ、セイント・ヴィンセント、ダムダム・ガールズなど、エキサイティングなアクトが控えている。
 この日は霧模様で、せっかくのブルックリン・ブリッジもぼやけていたが、LE TIGRE/MENのJDサムソン、ジャヴェリン、チボマットが登場したダンス・パーティにはたくさんの人が集まった。

 チボマットは、1998年頃フィラデルフィアの「アップステア」という小さな会場で初めて見たときに、直感的に「良い」と思った。
 それ以降、何度もショーを見ているが、裏切られたと思ったことはいちどとしてない。どちらかと言うと、再結成してさらにパワーアップしたように思う。再結成するバンドは大抵がっかりさせられることが多いが、彼女たちに限っては別だ。再結成(2013)した当時のブルックリン・ボウルで見たショーの印象が強く残っていて、今回も期待をさらに上回るほど成長していた。
 彼女たちは、15年ぶり(!)のニュー・アルバム『ホテル・ヴァレンタイン』をこの2/14にリリースしたばかりで、それ以来、数々のツアーをこなし、この日は南アメリカ・ツアーから帰ってきたばかりだった。
 羽鳥美保と本田ゆかのふたりに加え、元ブラジリアン・ガールのメンバーであるジェシー・マーフィ、ギタリストのネルス・クライン、コーネリアス、ヨーコ・オノ・プラスティックバンドでも活躍するドラマーあらきゆうこをサポートに1時間弱のダンシーでアクティヴなステージを披露した。
 カラフルな色のドレスのゆかさんと黒のジャンプスーツ、サングラス、金髪のみほさんのふたりはいつも朗らかでグルーヴィン。
 ニュー・アルバムは、彼女たちのイマジネーションから生まれた「ホテルの廊下を忍び歩くゴーストとのラヴ・ストーリー」とのことで、サウンドトラック形式に組み立てられた曲はラップあり、ロックあり、ラウンジあり、ファンキー・ダンスあり、クリーミー・ポップありで、オーディエンスはのせらっぱなし。
 アルバムのほうは1曲目から最後まで生と死ないしは「自分を自由にすること」で、ゴーストが物理的な世界を観察しつつ物語っている。という深い内容だが、ショーでは目と耳、体全体で音楽を感じ、みんながいったいになり、自然にグルーヴする。
 観客に「こんな天気のなか集まってくれてありがとう。ホームに戻ってきて嬉しい。ブルックリンはいまはクールなの? じゃあお祝いしよう」などセレブレイト・ブルックリンを意識した、みほさんのMCもフレンドリーさが漂う。メンバーをひとりづつ紹介したうえに物販や映像担当のスタッフまで紹介する気配りも見せた。
 演奏は、1曲目に“シュガー・ウォーター”、ラストに“バースディ・ケーキ”など過去のヒット曲を織り交ぜては、観客を沸かせていた(ファンが『ミホー!』『ユカー!』と、叫ぶ面もあり)。10数年間のブランクはまったく感じさせず、バンドとしてもしっかりまとまったショーだった。

http://www.brooklynvegan.com/archives/2014/05/cibo_matto_play_1.html

 今回のショーは野外で、室内にはない広々としたリラックスした雰囲気が良い。アウトドア・ショーではフード・トラックがたくさん待機しているからそれをチェックするのも楽しみのひとつだ。著者の相棒は、かなり待って(20分ぐらい)グリルド・チーズ・サンドイッチを堪能した。他にも、タコス、サンドイッチなど、小腹を満たしてくれる魅力的なベンダーがたくさん。

 以下、今年のNYCのサマーコンサート……。

サマーステージ 6/3 ~8/2
アンドリュー・バード、ボノボ & チボマット、モブ・ディープ、ミッキ・ブランコetc...
http://www.cityparksfoundation.org/summerstage/

サウス・ストリートシーポート 7/11~
ジョアナ・グルーサム、ブラック・バナナス、キャスケット・ガールズ、ビッグ・アップスetc...
http://www.seaportmusicfestival.com/artists

ノースサイド 6/12-19
シャロン・ヴァン・エティン、コートニー・バーネット、ファック・ボタン、ビーチ・フォシルス、オマー・ソウレイマン etc...
http://northsidefestival.com

4ノッツ 7/12
ゾーズ・ダーリンズ、スピーディ・オーティズ、ヌード・ビーチ、ホワン・ウォーターズ etc...
http://microapp.villagevoice.com/4knots/2014/

ガバナーズボール 6/6,7,8
アウトキャスト、フェニックス、TVオン・ザ・レィデオ、ジャック・ホワイト、ヴァンパイア・ウィークエンドetc...
http://governorsballmusicfestival.com

Random Access N.Y. - Back Number

Profile

沢井陽子沢井陽子/Yoko Sawai
ニューヨーク在住20年の音楽ライター/ コーディネーター。レコード・レーベル〈Contact Records〉経営他、音楽イヴェント等を企画。ブルックリン・ベースのロック・バンド、Hard Nips (hardnipsbrooklyn.com) でも活躍。

COLUMNS