「UR」と一致するもの


Jim O’Rourke Simple Songs
Drag City / Pヴァイン

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 サイト・トップをジャックしたあの「ヘンな」告知動画、いかがでしたか。なかなか全貌が明らかにならないジム・オルーク(Jim O'Rourke)13年振りとなるヴォーカル・アルバム『シンプル・ソングズ(Simple Songs)』、本日はジャケ写が公開になった模様。5月15日には日本先行発売となる。また新たなアー写も公開されている。長らくおなじみだったカヒミ・カリィ氏による写真も素敵だったが、廃棄物のようになっているジム・オルークもロマンチックだ。

 また、アルバムと同日発売を予定している『別冊ele-king ジム・オルーク完全読本 ~All About Jim O'Rourke~』の初刷版には、なんと!? 今年、赤塚不二夫・生誕80周年イヤーとしてさまざまな企画を展開するフジオプロとのコラボが実現!! (こっちが本題なのだ!?)

 ジム・オルークが赤塚キャラ化された特別描き下ろしのイラスト・ポストカードが綴じ込みで付いてくるぞ。

 今回はそのシルエット画像のみ特別に公開。以前より赤塚不二夫作品に親しんできたジム・オルークだが、これはファンならずとも大注目のイラストになるだろう。
 初版分のみですので、ぜひぜひご予約ください。


フジオプロ×ジム・オルーク シルエットなのだ!?

新たに公開されたアーティスト写真

■別冊ele-king  ジム・オルーク完全読本 ~All About Jim O'Rourke~

編集:松村正人
判型:菊判 / 160頁 *予定
ISBN:978-4-907276-32-4
価格:本体1,700円+税 *予価
発売:2015年5月15日

本人監修の“世界でもっとも完全に近い”ディスコグラフィも収録! 全キャリアとともに90年代~2000年代の時代精神までもを振り返る

1999年にリリースした『Eureka(ユリイカ)』は先鋭化と細分化きわまった90年代音楽の粋を集めた作品であっただけでなく、その実験とポップの相克のなかにつづく2000~2010年代のヒントを散りばめた、まさに世紀を劃す大傑作だった。
このアルバムでジム・オルークはシーンの中央に躍り出た。多面的なソロワーク、秀逸なプロデュースワークに他バンドへの参加、映画音楽にゆるがない実験性を披露した電子音楽の傑作群、さらに2006年来日して以降の石橋英子や前野健太とのコラボレーション――以降の活躍はだれもが知るとおりだ。
そして2014年5月、ジム・オルークは個人名義の「歌ものアルバム」を発表する。そこには『ユリイカ』以後の年月に磨かれた何かが凝縮しているにちがいない。
それについて訊きたいことは山ほどある、というより、このアルバムを聴き尽くすこと、ジム・オルークを多面的に知ることは音楽の現在地を知ることにほからない、のみならず、おしきせの90年代回顧を覆す問題意識さえあきらかになるはずだ。

■ジム・オルーク、新作『シンプル・ソングス』を語り尽くす~超ロング・インタビュー
気鋭の批評家たちによる新作大合評
■石橋英子、山本達久はじめ、バンドメンバーおよび関係者が語るジム・オルーク
■どこまで行けるか! ジム・オルーク「完全」ディスコグラフィ
■ジム・オルークを多面的に考察する論考集
■ジム・オルークを語った過去記事の再録も

一冊まるごと、ジム・オルークづくし!


interview with QN - ele-king


QN
New Country

SUMMIT

Hip Hop

Tower HMV Amazon iTunes

 以下に掲載するのは、紙版『ele-king Vol.7』(2012年10月20日発行)のQN(現・菊地一谷)のロング・インタヴューの後編、あるいは番外編である。雑誌のほうでは、自身がリーダーを務めていたヒップホップ・ポッセ、シミラボからの脱退の真相やノリキヨとのビーフ、これまでの彼自身の歴史といったディープな話を赤裸々に語ってくれている。

 そういうこともあって、ここに掲載するインタヴュー記事は音楽的な話題に絞ることができた。新しい作品を作るたび、変化と成長を楽しむようにフレッシュなサウンドに挑戦しつづける、ラッパー/プロデューサー、QN/菊地一谷。当時21歳だった若き音楽家が語った言葉は、過去・現在の彼の音楽をより深く聴くための手助けになるのではないだろうか。

 デート・コース・ロイヤル・ペンタゴン・ガーデン(以下、DCPRG)が2012年に発表した『セカンド・リポート・フロム・アイアン・マウンテン・USA』へのゲスト参加や彼らとのライヴ、同年6月に発表したサード・アルバム『New Country』やラウ・デフとのニュー・プロジェクト〈ミュータンテイナーズ〉の興味深いコンセプトについて語ってくれている。最新インタヴューとあわせて楽しんでほしい。

■菊地一谷 / きくちかずや
またの名をQN。2012年までヒップホップ・クルーSIMI LABに在籍。数多くのストリート・ネームを持ち、楽曲も多数手掛けてきた異才にして、理解され難い行動や言動でも記憶されるプロデューサー/ラッパー。前作『DQN忠臣蔵~どっきゅんペチンス海物語~』リリース後、菊地成孔プロデュースによる女優・菊地凛子の「Rinbjö」名義でのデビュー・アルバム『戒厳令』へも参加。2015年、音楽活動を再スタートさせることを宣言し、客演にSEEDA、菊地成孔、NORIKIYO、MARIA、RAU DEF、GIVVN(from LowPass)、田我流、菊丸、高島、北島などを迎えてのアルバム『CONCRETE CLEAN 千秋楽』をリリースした。

きっかけはトロ・イ・モワでしたね。あそこから、アニマル・コレクティヴとかムーとかヤー・ヤー・ヤーズを聴くようになって。あと、ジ・エックス・エックスとか。


DCPRGの『セカンド・リポート・フロム・アイアン・マウンテン・USA』のなかの2曲に、シミラボはゲスト参加してますね。“UNCOMMON UNREMIX”、あれはラップを録り直してますよね?

QN:あれは録り直してますね。

DCPRGは、70年代初期のエレクトリック・マイルスに強く影響を受けているバンドですよね。QNくんやシミラボのラッパーの柔軟なリズム感がDCPRGのポリリズミックなリズムとハマってて、すごいカッコイイですよね。実際やってみて興奮しました?

QN:すげぇ興奮したっすね。〈ageha〉のライヴ(2012年4月12日に行われたDCPRGのアルバムの発売記念ライヴ)も良かったですね。 “UNCOMMON UNREMIX” と“マイクロフォン・タイソン”はもちろんやったんですけど、最後にアンコールで、“Mirror Balls”の生演奏に“The Blues”のラップを乗っけたのがとにかく記憶に残ってますね。あれは、テンション上がったっすね。

それは菊地さんのアイデアだったんですか?

QN:そうっすね。

菊地さんから録音やライヴのときに、「こうやってほしい」みたいなディレクションはありました?

QN:いや、とくに何も指示されてないっす。すげぇ自由にやらせてくれたっすね。「もう好きにやって」みたいな。

オファーのときに、シミラボへの熱いメッセージはなかったんですか?

QN:それはもちろんあったっすね。でも、ちょっと覚えてないっす(笑)。とにかく、シミラボをすごい気に入っていて、応援してるっていうのは言ってくれてましたね。で、オレらもなんとなくイヤな気がしなかったんです(笑)。直感ですね。

菊地さんのことは知ってました?

QN:いや、ぜんぜん知らなくて。

はははは。そうなんだ。シミラボの他のメンバーも?

QN:知らなかったですね。

じゃあ、DCPRGの音楽を聴いて、やろうと決めた感じですか?

QN:そうですね。音を聴いて、これだったらおもしろいものができるなって。ただ、個人的にはもうちょっとできたかなとは思いますね。

なるほど。ところで、『New Country』はこれまでの作品に比べて、ベースとビートが強調されて、よりグルーヴィになった印象を受けました。すごくいいアルバムだなって感じましたし、はっきりと音楽的飛躍がありますよね。

QN:そうですね。まぁ、シリアスなアルバムだとは思いますけど。なんて言うか、ヘイトしているわけじゃないんですけど、ヒップホップがすごい好きだったぶん、それ以外の音楽にもっと触れたくて、去年はずっとロック系の音楽を聴いてました。最近のロックは普通にMPCが使われていたりするから、それは自然な流れでしたね。チルウェイヴとかオルタナティヴ・ロックとかを聴くようになったんです。きっかけはトロ・イ・モワでしたね。あそこから、アニマル・コレクティヴとかムーとかヤー・ヤー・ヤーズを聴くようになって。あと、ベタですけど、ジ・エックス・エックスとか。ヒップホップだと、キッド・カディですね。すごいいいですよね。こういうやり方もあるのかって、影響受けましたね。キッド・カディはヒップホップだけど、なにかちょっと他の音楽も入ってる感覚があって。

キッド・カディはオルタナティヴ・ロックとかサイケデリックの要素もありますもんね。あと、歌詞が内省的ですよね。

QN:そうっすね。かなり内省的ですね。そうやっていろんな音楽を聴いていたのもあって、ネタ掘りが変わってきたんです。有名どころですけど、マイク・オールドフィールドの『チューブラー・ベルズ』にもハマって。『エクソシスト』の主題歌の原曲を弾いてるイカれてる人ですよね。あと、カンとかキャプテン・ビーフハートとか。オカモトズのレイジと彼の友だちの副島ショーゴっていうまじ熱いDJといろいろ情報交換してたんですよね。そのDJはオレの1コ下でとにかくヒップホップが詳しくて、オレはその頃ロックに興味持ってたんで。


結果的に、トーキング・ヘッズにたどりついて。

それは、前作『Deadman Walking 1.9.9.0』を制作しているぐらいの時期ですか?

QN:そうすね。で、結果的に、トーキング・ヘッズにたどりついて。

トーキング・ヘッズ! どのアルバムですか?

QN:アルバムはひととおり持ってるんですけど、衝撃だったのは、『ストップ・メイキング・センス』っていうDVDでした。あれを観て、「わおー!」って思って。とくに好きな曲は“ジス・マスト・ビー・ザ・プレイス (ナイーヴ・メロディ)”ですね。わかります?

いや、その曲、わからないです。

QN:あとはトム・トム・クラブとかにやられましたね。『New Country』を作るきっかけは、わりとトーキング・ヘッズにありますね。

それは興味深い話ですね。トーキング・ヘッズのどこに魅力を感じました? ファンクとロックを融合した音とか、いち早くアフリカ音楽にアプローチしているところか、いろんな側面がありますよね。

QN:そうっすね。いろいろありますけど、これはもうヒップホップだなって思ったんです。だから『New Country』は、オレの勝手なイメージですけど、質感的には、トーキング・ヘッズを意識したんです。そういうのもあって、バンド編成みたいなニュアンスでトラックを作ろうって考えたんです。

Talking Heads “This must be the place (Live: Stop Making Sense)”


『Deadman Walking 1.9.9.0』にもコーラスの女性ヴォーカルや、ヴァイオリン奏者、ギタリストが参加していますよね。シンセを弾いてるサドラーズ・ウェルズっていうのは、たぶんQNくん本人じゃないですか?

QN:あれはオレですね。サンプリングで作っている以上は、要はある意味で、他人の音楽をパクッてるのに近いじゃないですか。これまでは、まあ、盗むっていう発想だったんです。『New Country』は、ギター、ドラム、シンセ、ベースがいて、ラッパーのオレが前に出ているっていう大体5人組ぐらいのバンド編成のつもりで作ったんすよ。そこに、フィーチャリングでたまにホーンが入ってきたりするっていう。でも、基本的にはギター、ドラム、シンセ、ベースをイメージしてサンプラーをいじってましたね。あとちょっと、オレのひねくれが出ちゃって、昔のドラム・マシーンみたいな荒れてる音にしたりもしてますね。


ヒップホップから離れようと思ったら、逆にヒップホップでありたいと思ったというか。

トーキング・ヘッズをはじめ、いろんな音楽に耳を傾けたのが大きかったんですね。ジ・XXを聴いてるってことは、UKのベース・ミュージックも聴いてました?

QN:それは大きかったっすね。去年はもうUKに行こうかなぐらいでしたよ。

そこまでだったんだ。UKのベース・ミュージックのどこに魅力を感じました?

QN:「踊れるなー」ってとこがデカかったっすね。

でも、『New Country』はそこまで思いっきりダンサンブルでもないよね。

QN:まぁ、そうっすよね。1、2、3曲めまでは踊れる感じだとは思いますけど。ヒップホップから離れようと思ったら、逆にヒップホップでありたいと思ったというか。いざ離れてみたら、やっぱヒップホップだなっていう感じになって。『New Country』はバンド編成のイメージといっても、すげぇヒップホップに向き合いましたね。向き合ったって言うと堅苦しいんですけど、思い出して作ったっていう感じですかね。1年間、ロックばっか聴いてきたぶん、なんかちょっと振り返るじゃないですけど。

『New Country』は全曲、QNくんがプロデュースしてトラックを作っていますよね。これははじめてのことで、ひとつの変化ですよね。理由はあったんですか?

QN:そうっすね。シンプルに考えて、必要だと思ってる人だけを呼びましたね。いろんなラッパーに参加してもらってますけど、ビートは全部自分で作りたかったんです。コンセプトが自分の中に強くあったのと、自分の等身大のアルバムを作りたかったので。

QNくんはほんとにハイペースで作品を発表しつづけてますけど、『New Country』はいつから作りはじめたんですか?

QN:『Deadman Walking 1.9.9.0』のリリースが去年の12月だから、『New Country』のビートは12月から4月ぐらいまでに作りましたね。マスタリングの日までレコーディングしてて、超やばかったっす(笑)。『Deadman Walking 1.9.9.0』を作ったあと、思った以上にイメージがわいてきて、リリースする予定はなかったんですけど、1月の段階で7曲ぐらいできちゃったんです。なんかすげぇミニマルっていうか、音数が少ないものができてきて。

音数が少ない、ミニマルというので思い出したんですけど、『New Country』のいくつかの曲を聴いて連想したのは、バスタ・ライムスの“プット・ユア・ハンズ・ホウェア・マイ・アイズ・キャン・シー”だったんですよね。

QN:あー、なんとなくわかります。

Busta Rhymes “Put Your Hands Where My Eyes Can See”

あと、古くて新しい音の質感とかちょっとひねくれたサンプリングのセンスとか、RZAのソロ作の『バース・オブ・ア・プリンス』とかRZAの変名のボビー・デジタルに近いものがあるなぁと。

QN:もしかしたら、それは近いっぽいっすね。わりと。そうかもしれないっすね。『ボビー・デジタル・イン・ステレオ』はたまたま聴いてたっすね。フランス語かなんかのスキットがすげぇ好きで。

『New Country』にはこれまでの作品に比べて、ファンクを強く感じたんですよね。個人的に僕はいままでのQNくんのアルバムでいちばん好きです。本人的にはどうですか?

QN:ほんとっすか。うれしいっすね。ただ、ファンクももちろん好きっすけど、でも意外とファンクっていう気持ちはなかったかな。うれしいことなんですけど。


オレは大人にはならないんで。それはもう考えないようにしてる。

ところで、QNくんはこれまで大人なることを拒絶するような態度をラップで表現してきたと思うんですけど、いまはどうですか? “Better”でも「まだ自分はクソガキだ」ってラップしてますけど。

QN:ああ、『Deadman Walking 1.9.9.0』までは、もう大人になんのか、なっちゃうのか、みたいな感じだったんですけど、『New Country』ではもう開き直ってますよね。“DaRaDaRa”でも「誰がオレをこんなにした? 誰がオレをこんなにアホにした?」とか言い出しちゃってますし(笑)。けっこう開き直ってるんすよ。

QNくんにとって大人になるっていうのはどういうことですか?(笑)

QN:いやー、難しいっすねー(笑)。オレは大人にはならないんで。それはもう考えないようにしてる。

大人になるというのは、QNくんにとってネガティヴな意味合いがあります?

QN:いや、ぜんぜんネガティヴだとは思ってないっすけど。

でも、大人に対する反発心みたいのを強く感じますけどね。

QN:それは、自分にウソをつきたくないっていうのがいちばん近い感覚かもしんないっすね。もちろん尊敬できる大人もたくさんいるんですけど。いままでは、普通や常識をいちおう見て知っておかないと自分がいい方向に行かないんじゃないかって思ってたんですよ。でも、シミラボを辞めるタイミングあたりで、「それは違うよな」って思ったんです。ありのままの自分を認めていかないと、どうすることもできないなって。だから、オレはいまヒップホップもすげぇわかりやすいものが好きですね。自分が好きな90年代のヒップホップがあらためてフィードバックしてきてる感じがありますね。


これまでの自分は何かを演じていないと自分を維持できないタイプの人間だったのかなーって思うんです。でも、このアルバムあたりから、普通に自分のいろんなものを認めてやれるようになった気がしますね。

それと、『New Country』のクライマックスの、“Better”“船出~New Country~”“Flava”の3曲がとくにそうかもしれないけれど、リリックも明瞭に聴き取れて、言葉を伝えようという意識を感じました。

QN:自分の言葉でラップするというのを意識して、それができたのかなとは思います。やっと自分の言葉に消化して表現することができはじめてきたかなって。まだまだ煮詰められるとは思いますけど。『New Country』は、ほんとにすっげー勢いで作ったんですよ。朝から夜まで1日で3曲とか作って。ほんと余計なことを考えなかったっていうことっすね。

勢いもあるんでしょうけど、コンセプチュアルなアルバムでもありますよね。

QN:ほんとそうだと思うんす。でも、ぶっちゃけ後付けですけどね。というか、後付けもなにも、2、3ヶ月の間に自分に起きた現象が全部の曲に自然とはまったんです。それはじつは自分でもけっこうびっくりしてるっていうか。それだけ歌詞がたぶんスマートに出てきたってことだと思いますね。

アルバムのタイトルを直訳すると、“新しい国”ですよね。この言葉が意味するところはなんですか? QNくんのなかにイメージとかあったりします?

QN:そうっすね。どうなんだろ? タイトルどおり、自分の理想郷の話っすね。「ほんとはこうだったらいいのに」みたいな話でもありますね。ただ、『New Country』は、自分で言うのもなんですけど、ほんとにヒップホップのアルバムだと思ってて。ラップもフッド・ミュージックに近づいたっていうか。ラップのフロウの取り方も雑って言えばすごい雑で、細かいって言えば細かいっていう。そういう感じとか、ちゃんとオリジナルのヒップホップに近づいたのかなっていう気はしてますね。いちばん自分らしいアルバムになったんじゃないかなって。これは超イルな発言なんですけど、これまでの自分は何かを演じていないと自分を維持できないタイプの人間だったのかなーって思うんです。でも、このアルバムあたりから、普通に自分のいろんなものを認めてやれるようになった気がしますね。大げさなこともたぶん言ってないし、自分の中にあるもので表現できたかなって。

なるほど。

QN:あと、『New Country』を制作してるあいだ、人との関係とかいろいろシャットアウトしてたっていうか。それぐらいの気持ちになっちゃって。他の音楽とかぜんぜん聴かなくなって。そうじゃないと自分がもたないぐらいの現象が起きてて。とにかくアルバムを作ることしか考えられなかったですね。しかも、自分が作ったものに納得できなかったりもして。まあ、生々しい感じでした。


もう変えてますね(笑)。ヘルメスって名前に。でも、もう変えないっすね。次の名前で終わりっす。それを末永く使おうかと。

ところで、QNって名前を変えるって話を聞いたんですけど、ほんと?

QN:いや、もう変えてますね(笑)。ヘルメスって名前に。でも、もう変えないっすね。次の名前で終わりっす。それを末永く使おうかと。でも、なんかいま、女の子に訊くと、たいがい「QNの方がいいよ」って言われるんですよ。「ヘルメスっていうのヘルペスみたい」って。

はははは。じゃあ、変えないほうがいいよ。名前を変えると、せっかくQNで有名になったのにもったいないよ。

QN:そうですよね。だから次で最後かなって。名前を変えたら、ツイッターのフォロワー200人ぐらい減っちゃって(笑)。

このタイミングで普通はQNって名前は捨てないですよね。

QN:そうっすよね。でも、オレが新しい動きをして、それについて来れなかった人だけがたぶんフォロー外してるんだろうから、それはそれでいいかなって。完全強気っす。

強気だなぁ。

QN:はい。あと、オレら界隈でいま、ミュータントっていう言葉が流行ってるんですよ。シミラボも最初は街に黒いシミができて、その黒い液体が人の形になって、音楽を作りはじめるっていうストーリーがあったんです。要はSFなんすよね。ミュータントって突然変異体って意味ですけど、もともとは差別用語だったと思うんです。奇形児とかをミュータントって呼んだりして。べつにオレはハードな環境で育ったわけじゃないけれど、社会不適合者っていう意味ではミュータントなんじゃないかなって。でも、社会不適合者とかミュータントは特別な能力を持ってる人たちなんじゃないのかなって。

なるほどー。

QN:で、ミュータントとエンターテイナーを掛け合わせて〈ミュータンテイナーズ〉ってレーベルを立ち上げたんです。俺とラウ・デフがまとめたグループ名でもあるんです。いまはその新しいプロジェクトでアルバムを制作中っていう感じですね。


Afrikan Sciences - ele-king

 フラング・ロータス、さもなければシカゴのディープ・ハウスおける最重要プロデューサー、90年代後半のロン・トレント──、アフリカン・サイエンスのアルバム『Circuitous』を聴いたとき、そのように感じました。アフロで、コズミックで、スピっているようです。
 とはいえ、こちらは、ベルリンのもっともクールなレーベル〈PAN〉からのリリースです。アフリカン・サイエンスはよりモダンで、実験的で、フリーキーです。音楽の向こう側には、ブラック・サイエンス・フィクションが広がっているかもしれません。ケオティックです。何かが起きているようです。アクトレスを思い出して下さい。この音楽は、どきどきします。
 まったく……これは注目の初来日です。

AFRIKAN SCIENCES Japan Tour 2015

Afrikan Sciences x DE DE MOUSE
4.24 fri @ 大阪 心斎橋 CONPASS
Live Acts: Afrikan Sciences(PAN, Deepblak - New York), DE DE MOUSE
DJs: T.B.A.
Open/ Start 19:00
¥ 3,000(Advance), ¥ 3,500(Door)plus 1 drink charged @ door
前売りメール予約: https://www.conpass.jp/mail/contact_ticket/
Ticket Outlets: PIA, LAWSON, e+(eplus.jp)
Information: 06-6243-1666(CONPASS)
www.conpass.jp

UBIK
4.25 sat @ 東京 代官山 UNIT
Live Acts: Afrikan Sciences(PAN, Deepblak - New York), N'gaho Ta'quia a.k.a. sauce81(disques corde)
DJs: Shhhhh(SUNHOUSE), MAMAZU(HOLE AND HOLLAND)
Open/ Start 23:30
¥3,000(Advance), ¥3,500(Door)
Ticket Outlets: LAWSON(L: 76745), e+(eplus.jp), disk union CMS(渋谷, 新宿, 下北沢), TECHNIQUE, Clubberia Store, RA Japan and UNIT.
Information: 03-5459-8630(UNIT)
www.unit-tokyo.com


Afrikan Sciences(PAN, Deepblak - New York) https://soundcloud.com/afrikan-sciences
オークランド出身、 NY拠点のエリック・ポーター・ダグラスのソロ・プロジェクト。DJとして80年代のヒップホップをルーツに持ち、90年代後期の電子音楽のプロダクションに自身のサウンドを見い出し、2007年にオークランドの盟友 Aybee主宰の〈Deepblak〉からデビュー、同レーベルからEPとアルバムをリリース、 Gilles Peterson主宰の〈Brownswood〉のコンピレーションにも参加。Afrika Bambaataaの私生児、SF作家Octavia Butler、 Sun Raの孫息子とも言及され、90年代の東海岸のハウス、40年代のジャズ、 西ロンドンのブロークン・ビーツ、土着的なアフリカやラテンのリズムから掻き集め、蓄積されたビートの感性は様々な音楽のフォームとサイファイ・ビジョンと結びつきながら独創的なプロダクションへと発展。AybeeとのMile Davisトリビュート・プロジェクト『Sketches Of Space』ではアシッド・ハウス先駆者Ron Hardyとアフロ・ビートかけあわせたような作品を披露。 長年先人達によって育まれ、更新されて来たアフロ・フューチャリズムの前衛としても異彩を放つ電子音楽家である。

N'gaho Ta'quia a.k.a. sauce81(disques corde) https://soundcloud.com/sauce81
プロデューサーsauce81の変名プロジェクト。sauce81としては、2008年、バルセロナにて開催されたRed Bull Music Academyに招待され、Sonar Sound Tokyoなどの国内フェス、海外でのライヴパフォーマンスも行っている。生々しいマシン・グルーヴとラフで温かみのあるシンセ使い。雑味たっぷりの楽器演奏と時折表すファジーでメローなボーカルワーク。ディープなソウルとファンクネスをマシンに宿すプロダクション・スタイルで、数々のリミックス、コンピへの楽曲提供を重ねてきた。これまでに『Fade Away』EP、『All In Line / I See It』EP、77 Karat Gold(grooveman Spot & sauce81)『Love / Memories In The Rain』7inch、『It's About Time』EP などのオリジナル作に加え、Shing02脚本・監督のショートフィルム『BUSTIN’』のために書き下ろした楽曲が、UKの〈Eglo Records〉から『Natural Thing / Bustin'』7inch レコードとしてリリース。N'gaho Ta'quia(ンガホ・タキーア)では、自身のルーツである 70's ジャズ、ファンク、ソウル・ミュージックをヒップホップ/ビート・ミュージックのフィルターを通してアウトプットすると共に、アルバム制作へと繋がるコンセプチュアルな世界観を表現している。

Shhhhh(SUNHOUSE) https://twitter.com/shhhhhsunhouse https://shhhhhsunhouse.tumblr.com/
DJ/東京出身。オリジナルなワールドミュージック/伝統伝承の発掘活動。フロアでは民族音楽から最新の電子音楽全般を操るフリースタイル・グルーヴを発明。オフィシャルミックスCD、『EL FOLCLORE PARADOX』のほかに『ウニコリスモ』ら2作品のアルゼンチン音楽を中心とした、DJ視点での南米音楽コンピレーションの編集/監修。ライナーノーツ、ディスクレビューなど執筆活動やジャンルを跨いだ海外アーティストとの共演や招聘活動のサポート。 全国各地のカルト野外パーティー/奇祭からフェス。はたまた町の酒場で幅広く活動中。

Mamazu(HOLE AND HOLLAND)https://mamazu.tumblr.com/
SUPER X 主催。90年代中期頃からDJとして活動を始める。今は無きclub青山MIXの洗礼を浴び、音と人、空間に触発され多種多様な音を吸収。小箱から大箱、野外まで独自の視点で形成される有機的なプレイを続け、国内外数多くのDJ、アーティストとの共演を果たす。トラック制作ではSkateDVDの『007』や『LIGHT HILL ISM』、雑誌『TRANSWORLDJAPAN』付録DVD、代々木公園にて行われる伝統ダンスパーティー『春風』のPVなどに楽曲を提供。2011年HOLE AND HOLLANDから発売されたV.A『RIDE MUSIC』の収録曲「ANTENA」ではInterFMなどでも放送され、日本が宇宙に誇るALTZもPLAY!、BOREDOMSのEYEもMETAMORPHOSE 2012でPLAYし、REDBULL主宰の RBMA RADIO にて公開され大きな話題となる。2012年5月には『RIDE MUSIC』から待望のアナログ・カット、MAMAZU - ANTENA - YO.AN EP EDITをリリースしこちらもALTZ、INSIDEMAN aka Q(Grassroots)、箭内健一(Slow Motion Replay)、YAZI(Blacksmoker)などなど様々なDJがPLAY中!2013年は自身初となるMIXCD『BREATH』をリリースし、最近ではアパレルブランドSON OF THE CHEESEの2015F/WのイメージMIXを提供。HOLE AND HOLLANDからリリースが予定されている。またCOGEEとのB2Bユニット『COZU』やSUNGAを加えたライヴユニット『DELTA THREE』ではBLACK SHEEPによるコンピレーションLP『ANTHOLOGY』に曲を提供するなど、活動は多義に渡る。

Courtney Barnett - ele-king

 思い出して欲しいんだよな。君がどこから来たのかを。“インディ”と呼ばれるものの意味をさ。
 最初はUKだった。ラフトレードやファクトリー、チェリー・レッドといったレーベル……ジョイ・ディヴィジョン、エコー&ザ・バニーメン、ザ・スミス、それからマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン……。
 インディは、ビートルズよりもヴェルヴェット・アンダーグラウンドを支持したが、マイナー・バンドのTシャツを着ているだけの物好きな連中ではなかった。バンドは自分たちの悲観的な内面を露わにした。自分たちの経済的な貧困さも隠さなかった。ヴィヴィアン・ウェストウッドの洋服をありがたがらずに、フリーマーケットに行けば500円で売っているような服を着たってこと。自分のサイズよりも微妙に違った服。大きめのコート、ごてごてのブーツ、安っぽいチェックのシャツ。ぼさぼさの髪。基本、アンチ・エレガントかつユニセックスだった。彼らは世間並みの夢を裏切り、貧しい者が夢見る夢を見た。
 その流れを汲んでいるのが、たとえばグランジやライオット・ガールだ。考えてみよう。カート・コバーンの外見はセックス・ピストルズに近かったのか、ビート/ヒッピーに近かったのか。そのどちらでもあり、そのどちらでもない。だからレイヴ・カルチャーとも正反対の文化ってわけでもなかった。あからさまなドレスダウンだった。ダボダボのセーター、ルーズフィットなズボンの男女は、90年代初頭の野外フェスにもごろごろいたしな。

彼はちゃんと気づいてる 大豆と亜麻のベジマイトのくずを そこらじゅうにまき散らしてること コンピュータを見て吐き気をもよおし スワントンの通勤の人混みを押しのけ ネクタイをはずし メトロバスの停留所の隅で寝ているホームレスの男に渡す 彼は叫ぶ 「今日は仕事に行かないぞ! どの電車が何分遅れるかチェックしながら 草むらに座ってコーラの缶でピラミッドを作るんだ」 コートニー・バーネット“Elevator Operator”

 もったいぶったイントロはない。いきなり歌とギターが入る。“スウィート・ジェーン”の頃のヴェルヴェット・アンダーグラウンドのようだ。そうとう格好いい。曲も歌詞も。
 声は、ときおり涙を含みながら乾いている。観察力のある言葉もクールな音もリズミックで、颯爽している。グルーヴもある。キャット・パワーの『ムーン・ピックス』を忘れよう。本当に忘れなくてもいいんだけど、この音楽はブルースも歌っているが、泣いて聴くアルバムではないのだ。ユーモアもある。声は大きくはないが、歌の存在感は大きい。躍動的で、同時に艶めかしいギター・サウンド。素晴らしいドラムとベースもある。このアルバムの隣にテレヴィジョンやオンリー・ワンズを並べてやってもいい。
 いまどきこんな音楽をやるのは、いったいどんな女だろう。僕は我慢できなかった。高橋のように、インターネットで画像検索した。セックス・ピストルズのポスターが貼られた彼女のベッドルームの写真を発見した。こうして、1988年生まれのこの女性がいかにわかっているのかを確信した。言っておくが、1980年にインディ・キッズだった人間が長いあいだ冷凍保存されて、現代に解凍されたときに共感できるのは、ノスタルジーってことではない。その音楽に芯があるってことだ。
 彼女の歌に描かれる若者は、陰鬱だが、おおよそ間違っていない。人生に戸惑いを覚えないほうがどうにかしている。木津毅がどうしてこの音楽にひっかからなかったのかが僕にはわからないんだよね。

「飛び降りたいのはあなたのほうでしょう 僕は自殺なんてしない ただボーッとしたいだけ ここに来るのは空想を楽しむため シムシティで遊んでるっていう想像するのが好きなんです ここから見ると みんながアリに見えて 風の音しか聞こえない」と彼は言う。 コートニー・バーネット“Elevator Operator”

 インディ・キッズっていうのはね、いまでは、ときとしてシニカルな言葉なんだよと、実際にUSインディ・シーンに属していた人が僕に教えてくれた。お決まりの服装のおきまりの髪型の、ちょっとナイーヴな子たちへの皮肉も込められているんだと。けど、それを言ったらなんでもそうだからね。クラバーなんて言葉もそれなりに滑稽だろ。インディ・キッズっていうのは、ミュージシャンとお友だちであることを自慢することでも、異性関係を自慢することでも、ele-kingに数えるほどのレヴューを書くことでもない。コートニー・バーネットが歌っているように、平日ひとりで屋上に上がることだ。
 ほんのわずかな期間だったとはいえ、人生でインディ・キッズだったことがある僕は、コートニー・バーネットのデビュー・アルバムをちょっと大きめのヴォリュームで聴いている。ビルの谷間の長く暗い通路を歩きながらこれを聴いたら泣いちゃうかもな。我ながら矛盾している。そもそもイヤフォンもiPodも捨てた頑固ジジイにそれはない。まあ、とにかく、屋上でひとりで過ごしたことがある人は、年齢性別問わずに、必聴。

 スペシャルなニュースと、スペシャルな告知! 
 1999年にリリースされ、まさに世紀を画する大傑作となった『Eureka(ユリイカ)』を代表作として、数々のプロデュース仕事や映画音楽など幅広い活動を通じ、いまや音楽史上の偉人として一層のリスペクトを集めるプロデューサー、ジム・オルーク。2009年の『ザ・ヴィジター』以来、約6年ぶりとなるオリジナル・アルバムのリリースが発表された。これはまた、2001年の『インシグニフィカンス』以来じつに13年半ぶりのヴォーカル・アルバムとなる。日本盤先行で、発売日は5月15日。待ちきれない。

 そしてele-kingでは、この発売にあわせて、ジム・オルークのすべてを解き明かす永久保存版『別冊ele-kingジム・オルーク完全読本』を同時刊行! 膨大なリリース・カタログを総ざらいする、“世界でもっとも完全に近い”ディスコグラフィ(本人監修)も収録。本人監修にもかかわらず「完全に近い」というところがミソである。加えて、超ロング・インタヴューや関係者が語るジム・オルーク評、レヴューに論考、過去記事の収録など、全キャリアとともに90年代~2000年代の時代精神までもを振り返る。1冊まるごとジム・オルークづくしの別冊ele-kingの登場だッ!
 また、あのフジオプロ様のご協力により、フジオプロ描き下ろしのジム・オルーク・ポストカードが綴じ込み付録でついてくる。絵柄がまた……ジム・オルーク氏も喜ぶすばらしい仕上がりなのだ! こちらも発売は5月15日。みなさまよろしくおねがいしますなのだ。

《アルバム情報》
【アーティスト】ジム・オルーク(Jim O’Rourke)
【タイトル】シンプル・ソングズ(Simple Songs)
【フォーマット】CD
【品番】PCD-18787
【価格】定価:¥2,495+税
【発売日】2015年5月15日

【収録曲】
1. Friends With Benefits
2. That Weekend
3. Half Life Crisis
4. Hotel Blue
5. These Hands
6. Last Year
7. End Of The Road
8. All Your Love

これぞまさしく待望。ジム・オルーク、2009年の『ザ・ヴィジター』以来、約6年ぶりのオリジナル・アルバムにして、2001年の『インシグニフィカンス』以来、じつに13年半ぶりとなるヴォーカル・アルバムがついに完成! 毎度のことながら、ジム・オルーク以外の誰にも作り得ない、さらに『ユリイカ』(1999年)、『インシグニフィカンス』を凌駕する、正しく圧倒的な最高傑作!

■すべての楽器を自身で演奏した、全一曲の衝撃のインストゥルメンタル・アルバム『ザ・ヴィジター』を2009年にリリースして以降、細野晴臣やカヒミカリィらが参加したバート・バカラックのカヴァー・アルバム、『オール・カインド・オブ・ピープル~ラヴ・バート・バカラック』や、石橋英子や長谷川健一、前野健太といったアーティストのプロデュース、復活したクリスチャン・フェネスとピーター・レーバーグ(ピタ)とのユニット、フェノバーグや、石橋英子と山本達久と結成したバンド、カフカ鼾としての活動、敬愛する故・若松孝二監督の『海燕ホテル・ブルー』をはじめとする映画音楽の制作、多岐にわたるアーティストとのコラボレーションやゲスト参加等、相変わらずのワーカホリックぶりを見せている東京在住の音楽家ジム・オルーク。2013年6月の、東京、六本木のスーパー・デラックスにおける6日間すべて違う演目という驚異のライヴ企画『ジムO六デイズ』も大きな話題となった彼が約6年ぶりにリリースするニュー・アルバム『シンプル・ソングズ』!

■本作の最大のトピックは、ジム・オルークが2001年の『インシグニフィカンス』以来、じつに13年半ぶりに発表するヴォーカル・アルバムだということだろう。まさに待望のアルバムである。しかしジム・オルークは、我々の期待をはるかに上回るものを届けてくれた! ジム・オルークの音楽的ヴォキャブラリーを凝縮したかのような、丹念に練り上げられたメロディを備えた、細部まで緻密にアレンジされた起伏に富んだ楽曲のクオリティの高さはもはやおそろしいほど。アコースティック・ギターの爪弾きからバンドが一体となった演奏まで、静と動を行き来する、計り知れないほど奥行きのある楽曲がじつに感動的だ。より渋みを増した歌声もなんとも味わい深い。

■『シンプル・ソングズ』はまた、ジム・オルークとって初の日本で録音した歌もの楽曲のアルバムである。ここ数年、活動を共にしている石橋英子、須藤俊明、山本達久、波多野敦子の4人に加え、高田漣らがゲストで参加している。ジム・オルークと丁々発止の演奏を繰り広げる日本のミュージシャンたちにも注目してほしい。

■ギタリスト、ジム・オルークがたっぷりと堪能できることもまた、『シンプル・ソングズ』の魅力のひとつである。デレク・ベイリーやジョン・フェイヒィ、ヘンリー・カイザー、レッド・ツェッペリン、ジェネシス……、さまざまなアーティストからの影響、その要素を吸収して独自のスタイルにした唯一無二のギター・プレイがぎっしりと詰まっている。

■サウンド・クオリティについてはもはや言わずもがな。いつもながら、見事な工芸品のような丁寧に作り上げられた音響空間は幻想的ですらある。

■徹頭徹尾ジム・オルーク、なにもかもが破格の傑作がここに誕生した!

《書籍情報》
【書名】別冊ele-king ジム・オルーク完全読本 ~All About Jim O’Rourke~
【ISBN】978-4-907276-32-4
【Release】5月15日(金)
【判型】A5判
【ページ数】160頁(予定)
【著者】監修:松村正人
【価格】本体1,700円+税(予価)

永久保存版。
ジム・オルークを知るならばこの一冊から。

本人監修の“世界でもっとも完全に近い”ディスコグラフィも収録!
全キャリアとともに90年代~2000年代の時代精神までもを振り返る

1999年にリリースした『Eureka(ユリイカ)』は先鋭化と細分化きわまった90年代音楽の粋を集めた作品であっただけでなく、その実験とポップの相克のなかにつづく2000~2010年代のヒントを散りばめた、まさに世紀を劃す大傑作だった。
このアルバムでジム・オルークはシーンの中央に躍り出た。多面的なソロワーク、秀逸なプロデュースワークに他バンドへの参加、映画音楽にゆるがない実験性を披露した電子音楽の傑作群、さらに2006年来日して以降の石橋英子や前野健太とのコラボレーション――以降の活躍はだれもが知るとおりだ。
そして2015年5月、ジム・オルークは個人名義の「歌ものアルバム」を発表する。そこには『ユリイカ』以後の年月に磨かれた何かが凝縮しているにちがいない。
それについて訊きたいことは山ほどある、というより、このアルバムを聴き尽くすこと、ジム・オルークを多面的に知ることは音楽の現在地を知ることにほからない、のみならず、おしきせの90年代回顧を覆す問題意識さえあきらかになるはずだ。

ジム・オルーク、新作『シンプル・ソングス』を語り尽くす~超ロング・インタビュー
気鋭の批評家たちによる新作大合評
石橋英子、山本達久はじめ、バンドメンバーおよび関係者が語るジム・オルーク
どこまで行けるか! ジム・オルーク「完全」ディスコグラフィ
ジム・オルークを多面的に考察する論考集
ジム・オルークを語った過去記事の再録も
一冊まるごと、ジム・オルークづくし!


Black Zone Myth Chant - ele-king

 昨年11月にヒッソリと再来日を果たしていた流浪のフレンチ・サイケ・クラウト・ドローン・ドリフター、ハイウルフ(High Wolf)の公演に行かれた方はおられるだろうか。もはや遥か昔のようだが、初来日ツアーでのサポートにてさんざんタカられたトラウマから僕は彼ことマックスに顔を合わせていない……というのは半分ウソで、多忙にかまけて彼の今回のライヴ・セットをすべて見逃してしまったのを悔やんでいる。オフの日は普通にいっしょに遊んでいたのだが……。

 そもそものハイウルフのコンセプトはアマゾン出身の謎のミュージシャンという設定で、当初は仮面なんか付けちゃって、出来もしないライヴ・パフォーマンスをデッチ上げて強引なツアーを敢行していた完全なベッドルーム・ミュージシャンであった彼は、しかしその圧倒的な量のツアーをこなすことによって次第にリアルなスキルを身につけ、てか仮面とか被ってたら演奏しづらいしってことでコンセプトが有耶無耶になりながらもミュージシャンとしてめざましい成長を遂げたと言っていい。アナプルナ・イリュージョン(Annapurna illusion)と、このブラック・ゾーン・ミス・チャント(Black Zone Myth Chant)は異なるコンセプトの下に活動する彼の変名プロジェクトである。これも本人的に当初は別の誰かがやってるってことにしてほしかったと思うのだけれども、もはや完全にバレバレってのも彼らしい。

 BZMC名義としては2011年にリリースされた『ストレート・カセット(Straight Cassette)』以来、およそ4年ぶりとなる今回の『メーン・セセル・ファーレス(Mane Thecel Phares)』もまた彼が長年に渡ってワールドワイドなアンダーグラウンド・ミュージック・シーンにてドリフトを経た進化を充分に感じさせる内容である。胡散臭いエセ・エキゾ感は彼のその他のプロジェクトと同様だが、BZMCは彼のミュージシャンとしての出発点でもあるヒップホップ的ビートメイキングへの回帰でもある。時にインダストリアルな鉄槌感はあれど暴力的にはけっして展開せず、無意味に極彩色のアシッド・トリップに走ることを抑えてあくまで上品なサイケデリックを聴かせ、レトロなメロディによるリードが洗練されたトライバル・ビートを締めてくれる。同時代の変テコ電子音楽家たちに比しても見事にストイックな差別化を果たしていると言えるだろう。

 ちなみにリリース元である〈エディションズ・グラヴァッツ(Editions Gravats)〉はマックスと同郷で親交を深めるロウ・ジャック(Low Jack)によるレーベルである。噂によると、ていうか飲みながら本人が言っていただけなんだけども現在この二人によるバンド編成による新たなプロジェクトが水面下で進行中とのことでこちらもじつに楽しみだ。そしてマックスのハイウルフの新譜、グローイング・ワイルド(Growing Wild)は間もなくマシュー・デイヴィッドの〈リーヴィング・レコーズ〉より発売される。

 こっちもいっしょにレヴュー書こうかと思ってたけど、まぁ、いろいろお前には貸しもあるし、気分が向いたら書いてやんよバーカ、マックス、愛してるぜ。

ENA - ele-king

 コム デ ギャルソンと音楽。このふたつを考えると真っ先に頭に浮かぶのは、1991年に東京でヨウジヤマモトと合同で開催されたメンズ・コレクションのキャットウォークを、ハーモニカを吹きながら歩くジョン・ルーリーの後ろ姿だ。もちろん写真でしか見たことがないし、写真なので動いてもいないのが、頭のなかでそのジョン・ルーリーは映画『ストレンジャー・ザン・パラダイス』のようによろよろと進み、オーバーサイズのジャケットを揺らしている。

 過去には小野誠彦がショーの音楽を担当し『コム デ ギャルソン オノ・セイゲン』という作品集もリリースされているほど、ブランドを率いる川久保玲は音楽を常に重要な要素として位置付けてきた。2012年にオープンした川久保主導によるセレクトショップ、ドーバー・ストリート・マーケット・ギンザ(以下、DSMG)の音楽をブルックリンを拠点に活動するサウンド・アーティストのカルクス・ヴィーヴ(Calx Vive)に依頼したことから、その姿勢は今日も健在なようだ。ヴィーヴはニューヨーク店の音楽環境も担当し、店内のBGMだけではなくレコード・プレイヤーから構築した芸術作品も同店舗のために創作している。

 「サンプリングもしません。自分のコピーもしません。それは自分のキャリアを殺すことになっちゃうんですよ」とエナは本サイトのインタビューで語ってくれた。ルールを破壊し見るものの想像を超えるような服を常に提示してきた川久保玲の姿勢とエナのことばは共鳴する部分がある。
 ドラムンベースとダブステップを通過し、よりミニマルで音響的なアプローチから生まれたエナのアルバム『バイノーラル』は、今日ますます細分化していくダンス・ミュ—ジックのシーンに点在するどの音にも回収されない2014年の快作だ。そんな彼の作品にコム デ ギャルソンの「音」を担当するカルクス・ヴィーヴは渋谷のレコード店テクニークで出会う。そこからエナの音楽がDSMGの店内BGMに起用され、その一環として店内でライヴを行うことになったのだから偶然とは面白い。
 
 当日はDSMGの3階(コム デ ギャルソンのメンズラインなどのスペース)に特設の会場が設けられ、買い物に訪れたひとびとや、ブランドの関係者、エナのホームである〈バック・トゥ・チル〉やドラムンベースのパーティの常連たちが集まっていた。木製のボディが目を引くドイツのムシークエレクトロニク・カイサイン(musikelectronic geithain)社製のスピーカーME-800Kが2台設置され、その間にセットされたブースにエナの姿がある。
 昨年の〈バック・トゥ・チル〉で行われたライヴでは低音に特化したサウンドシステムを用いて、溢れんばかりのノイズの海を重低音が統制していくようなセットが披露された。クラブではなく音響システムも異なる環境でどのようにライヴを繰り広げるのか、会場の期待は高まっていく。

 定刻になるとエナを起用したカルクス・ヴィーヴ本人が現れ、ライヴの趣旨を説明する。ここで少々意外だったのは、今回の企画にはアーティストの支援も目的にあるということだ。単純に服をよく見せるために音楽が使われてきたことはあったが、アンダーグラウンドのアーティストに活動の場を提供するという形で音楽と服が手を組むことはそうあるものではない。会場にはテクニークによる売り場も設置され、エナの作品がその場で購入できるようになっていた。

 ヴィーヴのスピーチが終わると、とうとうエナのライヴがはじまる。今回のセットではスピーカーの特性を生かしてか、中高域のノイズの部分に焦点を当てているライヴが進行していくように感じた。エナは手元にあるギター用のエフェクターから偶発的に音を作り出しそれを幾重にも重ねていき、雑音になってしまうギリギリのところでミキサーを操り即興で音像を構築していく。
 すでにリリースされた曲のテーマ(のようなもの)が断片的に聴こえてはくるが、自分が目の前にしている音が果たしてそれなのか確信は持てなかった。断言できるのは、音にはドラムンベースのBPM170のグルーヴがしっかりと残っていたということだ。リズムや曲の構造にある程度のルールが敷かれたダンス・ミュ—ジックのフィールドで、エリック・ドルフィの「音楽を聴き終った後、それは空中に消えてしまい、二度と捕まえることはできない」を地でいってしまう約45分間のパフォーマンスだった。

 ファッションと音楽。リック・オーウェンスの2014年のパリ・コレクションではエストニアのバンド、ウィニー・パフが現れ、昨年の11月に東京で開催されたC.Eのプレゼンテーションでは〈ザ・トリロジー・テープス〉のリゼットがライヴを披露し、そこには服のためとも音楽のためともつかないような空間が広がっていた。音楽の聴き方だけが多様化するのではなく、ミュージシャンが立つステージのあり方も変わりつつある。今回のエナのライヴもファッションにおけるその一例に過ぎないが、音楽シーン全体の今後を考えるうえで大きな出来事だったのかもしれない。

ENA - Binaural
Samurai Horo / melting bot

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Tower

HMV

ENA - Bilateral
7even Recordings / Pヴァイン

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Tower

HMV

V.A.
GOTH-TRAD Presents Back To Chill "MUGEN"
Back To Chill / Pヴァイン

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HMV

ele-king限定公開〈4AD〉ミックス! - ele-king

〈4AD〉といえば、最近はバウハウスでもコクトー・ツインズでも『ディス・モータル・コイル』でもない。それはすでにディアハンターであり、アリエル・ピンクであり、セント・ヴィンセントであり、グライムスであり、インクのレーベルである......というのは引用だけれども、そのアップデートはさらに途切れることなくつづいているようだ。レーベルとしてのカラーをまったく色あせさせないまま、しかしそこに加わっていく音とアーティストたちはより多彩により新鮮に変化している。
先日もピュリティ・リングの新譜が発表されたが、これを祝して〈4AD〉のA&R、サミュエル・ストラング(Samuel Strang)氏がレーベルのいまを伝えるミックス音源を届けてくれた。ele-kingのために提供してくれたもので、もちろんピュリティ・リングからはじまるセット。ギャング・ギャング・ダンスやチューンヤーズのエクスペリメンタリズムもくすまないが、グライムスピュリティ・リングドーターなど〈4AD〉らしい幽玄のヴェールをまとうエレクトロニック勢、アリエル・ピンクディアハンターらのアウトサイダー・ロック、ソーンのインディR&B、ホリー・ハーンドンのテクノ、そして昨年大きな話題となったスコット・ウォーカー+サンのコラボレーションまで、未発表はないものの、「そういえば聴いていなかった」作品に気軽に触れて楽しめるいい機会なのではないだろうか。


Purity Ring - push pull
Gang Gang Dance - MindKilla
Ariel Pink - Dayzed Inn Daydreams
Deerhunter - Sleepwalking
Daughter - Youth
Grimes - RealiTi
Tune-Yards - Real Thing
SOHN - Artifice
Scott Walker + Sunn o))) - Brando
Holly Herndon – Interference

Selected by Samuel Strang(4AD)


interview with Lapalux - ele-king


Lapalux
Lustmore

Brainfeeder / ビート

ElectronicSoulDowntempo

Tower HMV Amazon iTunes

 今作制作中、ラパラックスはスタンリー・キューブリックの『シャイニング』に登場するバーのイメージが頭を離れなかったという。「昔のバーとか、ちょっと変わった仲間が集まって遊ぶような場所。あと、意識の中の煉獄というか、地獄の辺土というか……」。バーと煉獄は順接しないけれども、言わんとすることはなんとなく伝わるのではないだろうか。彼の音楽はいつもそうした「意識の煉獄」へと──切り離されずにわだかまる、精神や衝動や欲求のほうを向き、混沌と渦を巻くその中へと浸透していこうとする。けっして感情などを表現しすくいとるものではなく、その下にあるもの、それになる前の肉や生理と、それを統べようとする精神のかたまりへ向かって、しかし感情的にせまっていく。彼の音がただスムースでないのはそういうことだろう。それは、それがしばしば艶めかしいと評されながらもただセクシーでないのと同様である。

 デモ音源がフライング・ロータスの目に留まり、〈ブレインフィーダー〉との契約にいたったというラパラックスことスチュワート・ハワード。同レーベルからのデビュー・アルバムとなった『ノスタルシック』(2013年)には、たとえばジェイムス・ブレイクのように抽象化されたR&Bが、たとえばパテンのようにとらえどころのないビーメイクが、マシューデイヴィッドに通じるアンビエント・マナーが、あるいはテープ録音へのこだわりが、そして前後数年のあらゆるシーンに散見されたベッドルーム・プロデューサーたちのドリーミーで内向的なエクスペリメンタリズムが溶け込み、しかしそれらの一部としてシーンに回収されるには異質な個性として、このレーベルの独特なキャラクターとも相似した評価と称賛をえた。さて今作はというと、以下の回答を読みながらぜひ聴いてみていただきたい。ファースト・アルバム──名刺としての鮮やかさよりも、もっとぐっと踏み込んだラパラックス(lap of luxury=富と快適さの状態)らしさが取りだされている作品ではないかと思う。

 さて、ある意味では問答によって迫った以上の答えを導いているともいえる章末の余興にもご注目いただきたい。急なフリに応じてくれたラパラックス氏、ヴィーナス木津氏に感謝です。

■Lapalux / ラパラックス
UKを拠点に活動するプロデューサー、ラパラックスことスチュワート・ハワード。フライング・ロータスから称賛され、2010年に〈ブレインフィーダー〉とサイン、2013年にデビュー・フル・アルバム『ノスタルシック(Nostalchic)』をリリース。ボノボやアンドレア・トリアーナなど数々のリミックスでも注目を集め、時のプロデューサーとして活躍をつづける。

個人的にはソウルフルで心のこもった音楽を意図していて、それは過剰なセックス・アピールとはまったく別なものだ。

直接的に性愛が表現されているわけではないですが、あなたの音楽には奥深い官能性を感じます。これは意識して出てきているものでしょうか? また官能はあなたの音楽にとって重要なものですか?

Lapalux:もちろん重要だね。僕のサウンドは、“艶かしい”、“性愛”といった言葉といっしょに表現されることが多い。だけど、間違った文脈でとらえられてほしくはないな。べつにセクシーをアピールしてるわけじゃないんだ(笑)。自分が作る音楽がそういう響きを持っているだけだ。個人的にはソウルフルで心のこもった音楽を意図していて、それは過剰なセックス・アピールとはまったく別なものだ。官能的で艶かしいヴァイブズという表現がうまくまとまっていると思う。スムース・ジャズみたいな感じだけどジャズじゃない、変わったサウンド。そのサウンドには、僕が使っているさまざまな手法も貢献している。荒々しさが緩和され、デジタルっぽさもあまりなく、ガリガリしていない音。僕が音楽を作るときは、ソフトな面を表現するし、今回のアルバムでも、たとえば“パズル(Puzzle)”では、艶かしい感覚が表現されている。ずっとそれが自分らしい音楽だと思ってきた。僕はデリケートな人間だし、官能的だと思う。そういった雰囲気をアルバムやすべての作品に込めるようにしているよ。

テープ録音によるプロダクションにこだわってこられましたが、新作ではそれが可能なかぎりクリアになるよう工夫されているように感じました。あなたの理想の音像はどのようなものなのでしょう。何を基準にして音作りを行っているのでしょうか?

Lapalux:僕が音楽をつくるとき、つまり作曲して、パソコンに取り込んで、ミックスダウンするとき、すべてをその場の判断でやる。プロダクション、インストゥルメンテーション、ミキシングなどすべて自分でやる。大事なのは、音楽をパレットに見立てて作業するということ。さまざまなサウンドが載ったパレット。すべての要素がどのように交わってブレンドするか──そこを非常に真剣に考える。サウンドプロダクションの際に重点を置くのはその部分だ。それから、音がどのように作用しあうかということも大切だね。
そういうことを若い頃から長年やってきたおかげで、いまではどんなサウンドが、どんなサウンドに合うのかという理解が深まってきたと思う。反響してしまうような、まったくちがったサウンド同士でも、対比させるために並列させたりするかもしれない。理想の音像として答えらるのはそんなところかな。絵描きがたくさんある色を見て、どの色がどの色と合うかって、やっているようなものだよ。オーディオ的な体験であると同時に、ヴィジュアル的な体験でもあるんだ。

アナログ的な音へのこだわりという点ではどうでしょう?

Lapalux:いまでもオープンリールの機材や、不安定なテープデッキなんかを使っているよ。サンプルやサウンドバイトなどはいろいろな元から採っているけど。僕は音楽制作の方法をつねに変えながら音楽を作っていきたいと思っているから、楽器を買って使っては、また売ったりして、そのサウンドは二度と使えないようにする。ちょっと変わったプロセスだけど、個人的にはうまくいっている。当然のことながら、アナログとデジタル両方のサウンドを組み合わせている。僕は、機材をたくさん買い込んで、すべてがアナログであるべきと決めつけるタイプの人間じゃない。すべてアナログでなければ本物じゃない、なんて思っていないし。そうなると、ただの機材中毒だものね。たくさん機材を買っても、それを正しく使っていないかったり、正しく使っていてもあんまりサウンドが良くなかったりする。機材を買い込むのに夢中になる人はたくさんいる。僕はそうじゃない。僕は、機材をたくさん買えば買うほど、機材の技術的なことに気がまぎれてしまって、創造性が低下する方だ。それよりは、最小限のセットアップで自分らしい音楽を作りたい。僕は、エディティングにより重点を置く方だと思う。アナログの音をソースとして使って、パソコンに取り込み、加工して音を変える。音を曲げたり、音にフィルターをかけたり、デジタル化させる。僕は、初めから素晴らしいものを録音してエディットをしないタイプというよりも、悪い音に磨きをかけていくタイプなんだ。ローファイで劣化した音を磨いて良く聴こえるものにしていくのが好きなんだ。その過程に楽しみを感じるね。


ローファイで劣化した音を磨いて良く聴こえるものにしていくのが好きなんだ。その過程に楽しみを感じるね。

ヴォーカル入りの曲も、今作ではよりリッチで艶やかな質感になっていて、とても丁寧にヴォーカルそのものが生かされていますが、一方で“ミッドナイト・ピーラーズ(Midnight Peelers)”のヴォーカル・サンプルなどには著しく変調を加えていますね。声や歌というものに対してとくに神秘的な思いを抱かれているわけではないのですか?

Lapalux:(笑)神秘的な思い! もしも、ポップ・ミュージックで求められるようなクリーンでクリアなヴォーカルを録音しようと思ったら、もちろん可能なことだ。これは以前もインタヴューで話したことがあるけど、僕はヴォーカルもひとつの楽器として扱うようにしている。だから、その音を曲げたり、部分的に変えたりする。曲の中で、ヴォーカルのメッセージがどのように響くかということのほうが、ヴォーカルの音質の明確さや、ラジオでどう映えていっしょに歌えるかということよりも、はるかに大切だと思っている。だからヴォーカルの音も加工するし、さまざまなエフェクトをかけてみて実験する。とにかく新鮮なサウンドを生み出すことが大事なんだ。これはすべて僕の実験だ。でなければ、僕は同じようなサウンドを繰り返し作っているということになってしまう。それは僕をアーティストとして駆り立てない。だが、自分のトラックで、ヴォーカルはとても大切に取り扱っているつもりだ。僕の音楽の中で、ヴォーカルは音楽を引き立て、音楽はヴォーカルを引き立てる。このふたつを僕は平等に扱っている。


もっともラグジュアリーじゃないものか……。絶望、空腹かな(笑)。僕はその経験がある。ラグジュアリーからかけ離れた生活をして育った。

『ラストモア(Lustmore)』とはあなたの音楽についてとてもしっくりくる表現です。求めても求めてもどこか空腹感が残って、さらに欲しくなるような中毒性があると思います。これは、あなたご自身の性質にも当てはまることですか?

Lapalux:たしかにそうだね。プライヴェートでも、つねに変化を望んでいるし、居場所も変えたいと思っている。完璧を求めているという面も大きい。いつも、過去の自分を越えようとしている。そういった意味では競争心が強い。今回のアルバムの多くの曲は、過去の自分よりも上を行こうとして、つねに上を目指していたから、すごく辛かったし、思っていたよりも時間がかかってしまった。結果としてできたアルバムには、音楽を作るたびに上達しなければいけないと思う性格や、プライヴェートでも前進しなければいけないという思いが詰まっている。

音やジャケットのアートワークを通して、あなたの目指す「ラグジュアリー」の観念がだいぶわかってきたように思うのですが、さらに理解を深めるために、あなたが考えるもっともラグジュアリーじゃないものを挙げてみていただけませんか?

Lapalux:もっともラグジュアリーじゃないものか……。絶望、空腹かな(笑)。変な質問だな。完全に切羽詰まった感じや失敗。よくわからないよ。裕福な人生は、誰もが目指すところだと思う。みんな快適な生活を求めている。その逆といえば、不快な状況。選択肢がまったくない、金もない、家もない、何もない状況。そんな状況に陥ったことがある人はあまりいないかもしれないが、僕はその経験がある。ラグジュアリーからかけ離れた生活をして育った。僕たちの背景はさまざまだが、みんな成功しようと頑張っている。自分の人生を有意義なものにしようとしている。僕もそうしているし、昔、自分がいた状況からなるべく遠いところに行こうとしている。

なるほど、ところで前作から約2年の間、制作環境に大きな変化はありましたか?

Lapalux:かなりね。ファースト・アルバムのときはもうすでに何曲か曲ができていたし、あと数曲作ればよかった。EPとしてリリースすることもできたんだけど、デビュー・アルバムとしてリリースしたかったから曲を足したんだ。あれはあれでいいアルバムだったし、いまでも満足はしてる。でも変わったのは、このアルバムはより完璧さが増していること。ファースト・アルバムには、「あ、ここもう少し時間をかけてやればよかった」と思うところが数カ所あるんだ。でも、新作ではそういう部分がないし、やれるだけのことはやったと思う。だから2年もかかったんだよ。1曲に何度も何度も取り組んで、完璧にしようとしたから。自分が心から納得がいくまで作業したくてね。

なるほど。セカンド・アルバムは、やはり作るのが難しかった?

Lapalux:本当に大変だったよ。セカンド・アルバムがいちばん手こずるっていうのは事実。ずーっと集中しないといけなかった。ファーストよりもベターにもしたいし、でも同時に違うものも作りたいし……、新しいやり方も試したいし、でも自分らしさも残したいし……、そんな中でツアーにも出ないといけないから時間はないし。本当にてんてこ舞いだったんだ。とくにツアーはノンストップだったから、スタジオで過ごす時間がまったく取れなかった。ちょっとパニックになって、どうやって音楽を作ったらいいのか血迷ってしまったこともあったし。でも結果的にはその感覚は戻ってくる。だんだんコツをつかんで、作れるようになっていったんだ。


セカンド・アルバムがいちばん手こずるっていうのは事実。

ヴォーカルで参加したアンドレア・トリアーナ(Andreya Triana)とジャーディーン(Szjerdene)についてはどう思いますか?

Lapalux:ふたりとも素晴らしいと思う。個性的でユニークな声を持っていると思うし、そういうヴォーカルって見つけるのがすごく大変だと思うんだ。アンドレアの声はハスキーでトーンが崩れた感じがいいし、ジャーディーンは音と音の間にクレイジーなイントネーションがある。それが曲におもしろい流れを作るんだ。二人とも、すごくいい声をしていると思うよ。

作業はどんな感じでした?

Lapalux:ふたりとも、同じ空間て作業できたからよかった。メールを何度も送り合わなくてよかったし、いいものが生まれれば、それをそのまま捉えてつづけることができたからね。

ところで、音楽をはじめた当初はラップもやったりアコギの多重録音にも凝ったりしたそうですが、ラパラックス名義で活動をはじめたのは何年で、どのようなきっかけだったのでしょう?

Lapalux:自分でもハッキリとはわからなくて。自然な流れだったんだ。ギターを弾いたりいろいろやってて、たぶん18歳とか19歳くらいのときにコンピューターで音を作りはじめた。あ、もしかしたらそれよりもう少し若かったかもな。音を作ったり、レコーディングしたサウンドを編集したり……それと同時期にプログラムとかも勉強するようになったんだ。とにかく、何かをリリースするためとかじゃなくて、ただ好きで音を作ってた。で、大学になるともっとテープとかビート・ミュージックにフォーカスするようになって、その一年後に「フォレスト(Forest)」のEPを出したんだ。それが自分が初めてリリースした作品だね。そういう流れで進んでいって〈ブレインフィーダー〉と契約して……そんな感じだよ。

〈ブレインフィーダー〉には直接デモを送ったということですが、どんな音源だったのでしょう?

Lapalux:「Many Faces Out Of Focus」をプロデュースしている頃に同時に作っていた作品で、〈ブレインフィーダー〉から最初に出したEP「When You're Gone」の下書きみたいなものを作ってたんだ。あのEPにはすでに取り掛かっていたから、その中からのデモを彼らに送った。あとは、自分がどんなアーティストで、いままで何をやってきたかを軽く説明したんだ。そしたらすぐに返事が来たんだよ。

なるほど、音楽以外の道を考えたこともありますか?

Lapalux:スタジオ・エンジニアとかコンピュータ関係の仕事かな。というのも、小さいころから、たとえばラジカセを直すとか、家のオーディオ関係の配線とかそういうものに興味を持ってて、けっこういじったりしてたんだよね。きっとこの仕事してなかったら一日中電気工事とかしてるかもね(笑)。

ははは。映画のスコアを書いてみたいということでしたが、最近ご覧になった作品で心に残ったものや、音をつけてみたいと思った作品を教えていただけませんか?

Lapalux:最近は『バードマン』を観た。すごく格好よかった。映画のスコアもすごくいいと思った。映画全体に響いていた、ドラムやパーカッションの音がよかった。あるシーンでは、インストゥルメンテーションが素晴らしい部分があって、非常にパワフルだった。あと、けっこう前の映画だけど、ジェニファー・ロペス主演の『ザ・セル』を最近観た。ヴィジュアルがいい映画だったよ。彼女が特殊な能力を持っていて、他人の精神状態に入り込めるんだ。あの映画のスコアはぜひ書いてみたいと思った。


僕はいまでもギターを弾いているし、アコースティック音楽にも興味があるから、その可能性もなきにしもあらずということだ。

ギター・バンドのご経験もあるということでしたが、アコースティックな表現や生音のセッションでラパラックスの音楽をつくりたいと思うことはありますか?

Lapalux:まあね。僕はアルバムを作るとき、いままでとはちがったことをやりたいと毎回思っているし、友人にも今後、アコースティック寄りなものを作るという話はしているから、奇妙でくだらない(=trashy)フォーク音楽みたいのをやるかもしれない。未来はどうなるかわからないもんだ。僕はいまでもギターを弾いているし、アコースティック音楽にも興味があるから、その可能性もなきにしもあらずということだ。

知り合いの音楽ライターに占星術に詳しい人間がいるのですが、あなたの星座(と可能なら血液型)を教えていただけませんか? 今年の運勢や相性のよい星座をたずねてみたいと思います。

Lapalux:(爆笑)オーマイゴッド! まず、僕は自分の血液型を知らない。あと、自分の星座も定かではない。牡羊座だったかな。

誕生日はいつですか?

Lapalux:3月21日。

では魚座か牡羊座ですね。詳しくは調べてもらいましょう。

Lapalux:いや、牡羊座だと思う。血液型はまったくわからない。それって変かな?

日本で血液型占いは人気ですが、べつに知らなくても変じゃないですよ。血液型も4タイプしかないから一般論だと思います。あなたの運勢と相性の良い星座をお伝えしますね。

Lapalux:ドープだ! 待ちきれないよ(笑)。絶対教えてね!


ヴィーナス木津の星にきいて

ご依頼ありがとうございます。
3月21日でございますね。その日はちょうど魚座と牡羊座の境目にあたります(春分の日から牡羊座となります)。
星占いは太陽がその星座の領域に移動したタイミングで決まるのですが、年によって、あるいは生まれた場所によって、わずかに異なってまいります。
生年とその時間までわかると確実でございますが、イギリスでお生まれだということを考慮いたしますと、おそらく牡羊座かと思われます。
ということで、火の星座、牡羊座の占いで進めさせていただきますね。


☆牡羊座のあなた☆

生まれついて正義感が強く、闘いの星・火星の下に生まれた情熱の人です。
やや突っ走ってしまうこともありますが、その勢いでは人に負けることはありません。
開拓精神が旺盛ですので、誰もやったことのないことに果敢に挑むことができるでしょう。

さて、昨年の夏ごろから牡羊座は恋愛運が急上昇しています。
恋愛運と同時に、創作活動にも最高のときです。(星占いでは恋愛と創作を近いものだと考えるのです。)
まず自分が心からエンジョイできること、そんな自己表現に力を注ぐといいでしょう。
この運気は今年の夏まで続きますので、自分のなかで湧き出る創作への情熱を絶やさないことをおすすめします。
アルバムのタイミング、バッチリだったのではないでしょうか。
もちろん、意中の人へのアプローチにもいい時期です!
今年後半は、健康やルーティンワークの改善に適した時期ですので、何か日常的な運動を始めるといいかもしれません。

相性占いなんですが、
わたしとしましては、星が相性の「良い・悪い」を決めるのではなく、
星が生み出すマジックを個人がどのように受け止めるかが大切だと考えています。
そのことを踏まえた上で、
牡羊座と気が合う、感性が近いなと感じられるのは同じ火の星座に属する獅子座と射手座です。「熱い仲間」が結成できるでしょう。
また、機知に富む双子座も、あなたには魅力的に映ることでしょう。

(ヴィーナス木津)

DJ Soybeans - ele-king

最近購入&最高のパーティーでかかった1曲&そろそろ発売される盟友のフルアルバム

Crew of secret trafficking organization.
Also He is offering fabulous DJs at “Isn’t it?” that is small weekday party .
https://soundcloud.com/isnt-it-1

4/10 大阪Club Stomp "White Body"
https://club-stomp.com/
DJ:
oboco
OQ
DJsoybeans
AIWABEATZ
BIOMAN
LIVE:
NEWMANUKE
TECHNOMAN

4/11 大阪Club Circus "FACTORY"
https://circus-osaka.com/
DJ:
ALUCA
Matsuo Akihide
AIDA
Live:
Whan!
Albino Sound
DJ Soybeans

4/14 幡ヶ谷Forest Limit "Isn't it?"
https://forestlimit.com/fl/
DJ:
NODA
Sem Kai
DJ Soybeans

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