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![]() Various Artist 14 Tracks from Planet Mu Planet Mu |
昔からのファンに言わせれば、かつてマイケル・パラディナスの〈プラネット・ミュー〉は、エイフェックス・ツインの〈リフレックス〉の後を追って出てきたレーベルだった。が、ゼロ年代のなかばにその形勢は変わった。〈プラネット・ミュー〉はいまや、ダブステップ/グライム/ポスト・ダブステップにおける第一線のレーベルのみならず、シカゴのゲットー・ハウスの最新型、ジュークを発信するレーベルでもあり、まあ早い話、目が離せないレーベルのひとつである。
201O年の暮れにレーベルが発表したシカゴのジュークのコンピレーション・アルバム『バングス・アンド・ワークス』は日本でもずいぶん話題になったものだが、今年に入ってからも新しいコンピレーション・アルバム『14トラックス・フロム・プラネット・ミュー』、あるいはフォルティ・DLのセカンド・アルバム、そしてボックスカッターの新作と〈プラネット・ミュー〉は相変わらず好調なリリースを続けている。あまたあるインディ・レーベルのなかで、正直な話、僕自身もここまで長く〈プラネット・ミュー〉の音源を追うことになるとは思いもよらなかった......といったところである。
『ブラフ・リンボー』をアンディ・ウェザオールがむちゃくちゃ評価していた時代を知るわれらテクノ世代からIDM世代、そして若きダブステップ世代にいたるまで、いまや幅広く支持されているこのレーベルの主宰者、マイケル・パラディナスに話を訊いた。
レーベルのリリースを選ぶにあたって、エレクトロニカ/IDMのデモを聴くだけでなく、他のシーンを見ることは新鮮だったし、そのおかげで前に進めたと思う。それは自分がDJするときにレコードを選ぶ興奮や衝動といった感情に似ている。
■まずはこの10年のレーベルの変遷について。2003年くらいまでは、IDM、ブレイクコア、ノイズやエクスペリメンタルを出していた〈プラネット・ミュー〉が2005年くらいからですかねー、ヴァイルス・シンジケートやマーク・ワン、ヴェクスドあたりをきっかけにグライムやダブステップのリリースをはじめて、2006年にはピンチやボックスカッターの作品も出すようになります。個人的にはあなたがミュージック(μ- Ziq)の名義でデビューした1993年から追ってきたので、2006当時は、あなたがグライムやダブステップに力を入れたことに驚きを覚えたんですよね......。
パラディナス:こんにちは! 自分の感覚ではレーベルの変遷それよりももっと前の91年くらいからはじまっていて、建築を勉強していたキングストン大学の頃だと思う。そのころはデトロイト・テクノ、ベルギー系のテクノ、当時真新しかったUKのブレイクビーツ・ハードコア(エイフェックス・ツインの"ディジリドゥー"のようなトラックも含め)をミックスしたDJセットで、 例えばこのDJセットなんか当時僕がよくかけていたレコードになるね。
www.mixcloud.com/mikep/mike-paradinas-90-92-hardcore-mix/
僕が言おうとしているのは、音楽的なルーツはDJで、とにかくみんなを踊らせることだってことだよね。だから1998年に〈プラネット・ミュー〉をはじめたときは、自分がレーベルから出している音楽とDJしているときにかけている音楽にあまり繋がりはなくて、2000年夏ごろにヘルフィッシュ(Hellfish)やハードコアテクノの12"シリーズ"コンスタント・ミューテイション"(Constant Mutation)という、その当時かけまくっていたレコードのリリースでそういった不一致を修正しようと決めたんだ。レーベルのリリースを選ぶにあたって、エレクトロニカ/IDMのデモを聴くだけでなく、他のシーンを見ることは新鮮だったし、そのおかげで前に進めたと思う。それは自分がDJするときにレコードを選ぶ興奮や衝動といった感情に似ていて、2003年と2004年にリマーク(Remarc)を再発しようと決めたときにも同じような刺激があった。
UKガラージ、2ステップ、130BPMのブレイクビーツは1998年くらいからDJでかけていたから、グライムが出て来た頃はそんなに驚きではなかった。
何人かのアーティストはジャングルやドラムンベースのプロデューサーやMCであったころから追っかけてたんだけど、2003年か2004年くらいになると、よりロウでそぎ落としたホワイト・レーベルがうようよ出てきて、ウィリーキャット(Wiley Kat)のホワイト・レーベル、DJ マースタ(Marsta)、ジョン・イー・キャッシュ(Jon E Cash)とか、本当に面白い時期だった。でもDJするときは違った音楽をかけていたから、〈プラネット・ミュー〉からリリースするとは思わなかった(例えば、2001年のワープのネッシュ・パーティのときなんかは完全にUKガラージ/ブレイクビーツだったね)。2001年のDJセットをちょっと録音したのがこれ。
www.mixcloud.com/mikep/2001-mike-paradinas-dj-set-at-alive-festival/
2004年にマーク・ワン(Mark One)のリリースを決めて、それがレーベルで最初のグライムだった。とてもデストピアでインダストリアルなサウンドだと思う。ヴァイルス・シンジケート(Virus Syndicate)のあとに、もっとグライムを出したかったんだけど、多くのMCはメジャーと契約したがってたから上手くいかなくてね。金銭的に満足させられなかった。それでゴースト・レコード(Ghost Records)、ビークル・レコード(Vehicle Records)、オリス・ジェイ(Oris Jay)、ゼット・バイアス(Zed Bias)とか、その先のシーンであったダブステップに行き着いた。彼らはグライムのプロデューサーほどがっついてないからさ(笑)。いまだにグライムはダブステップより面白かったと思ってて、もっとアンダーグランドで荒っぽくて、妥協のない、それでいてポップでもある。いろんな企画のリリースがもっとあったんだけどダメだったね。
ベクスド(Vex'd)は2004年に契約した最初のダブステップだった。彼らがピンチを紹介してくれたんだよ。ベクスドはグライムに近かったね。よりインダストリアルで、"スマート・ボム(Smart Bomb)"(2006年)なんか正にそれだよね。
www.youtube.com/watch?v=kwkwxyZ_-4k
彼らはグライムが大好きでね。だから僕はベクスドが好きなんだけど。そこからしばらくダブステップ・レーベルになって、有名なプロデューサーだとハッチャ(Hatcha)やベンガ (Benga)みたいな人から連絡がきはじめたりしたよ。そのときのDjセットがこれ。
www.mixcloud.com/mikep/mike-paradinas-2005-breakstepdubstepgrime-mix/
僕はいつだってストリート・ミュージックは好きだし、ただエレクトロニカのアーティストとして知られているわけで、もちろんナードは大好きだよ。グライムはブレイクコアよりガラが悪いと思うかな? 自分が見て来た感じだとグライムはとてもフレンドリーなシーンだった。
■グライムとダブステップのどこがあなたにとって魅力だったのですか? それとも、あなたのなかでブレイクコアとグライムやダブステップとの共通性があったのでしょうか?
パラディナス:正直ブレイクコアと呼ばれるものに入れ込んだことはないね。なんかどれも同じに聴こえるし、そういった音楽をクラブで聴くこともなかったよ。つまらないと思ってた。それよりもラガ/ジャングルに影響された音楽やアーメン(Amen)がチョップしていた"ブレイクビーツ・サイエンス"が好きで、シットマットは最高のプロデューサーだと思う。DJでもよくかけていたし、みんなよく踊ってた。
ヘルフィッシュ(Hellfish)や DJ プロデューサー(DJ Producer)も同じで、最初のダンスフロア・レコードだったね。激しい昔のジャングルやドラムンベースなんかを速くて踊れる音楽に持っていくときなんかは彼らをDJセットに入れてた。ヘルフィッシュ(Hellfish)、プロデューサー(Producer)、テクノイスト(Teknoist)、ドロフィン(Dolphin)、シットマット(Shitmat)なんかはブレイクコアだと思ってなかったね。ジャンスキー・ノイズ(Jansky Noise)、スピードランチ(Speedranch)のアルバムもブレイクコアではない、まあそういう感じはあるけどね。
ベネチアン・スネアズ(Venetian Snares)は唯一自分がかけていたブレイクコアだったかな。彼は唯一無二のヴィジョンがある素晴らしいミュージシャンで、シーンのなかでもずば抜けていたよ。ブレイクコアのルーツであるDJ スカッド(DJ Scud)、パラキス・レコード(Paraxis Records)、アレック・エンパイア(Alec Empire)なんかは好きだよ。とても面白いし、別にブレイクコアを否定しているわけではないから。ただ個人的にはそういう見方ではなかった。グライムとブレイクコアではファン層もサブカルチャーも違うし、そんなに共通点はないじゃないかな。たぶんディジー・ラスカル(Dizzee Rascal)の"I Love You"のキックなんかはガバのキックに聴こえるけど、それは偶然だよね。
■いまでもあなたはベネチアン・スネアズやシーファックス(Ceephax)のようなテクノ系のアーティストの作品をリリースし続けていますが、あなた自身はすべてを大きくエレクトロニック・ミュージックとしてみているのでしょうね。ファルティ・DLなんかは90年代初頭のテクノを思い出すようなサウンドだし、最近のダブステップのシーンからはテクノやハウスに近いサウンドが目立つようになったし、あなたにとっては20年前にテクノに接したのと同じ耳でダブステップにも接しているって感じなんですか?
パラディナス:テクノって何だろう? 前はハウスでないものすべてだった。いまの僕の捉え方だと4つ打ちでミニマルなものになる。僕がグライムや後のダブステップ(2002年から2003年)聴きはじめたころだったら、そう言えると思う。80年代後期のシカゴ・ハウスやデトロイト・テクノと同じくらいの衝撃だった。僕にとってそれは感情の流れで、時間がたてば変わっていくし、ある音楽は自分のなかで古くなって、興味がなくなったり、感情の浮き沈みだよね。コンセプトやジャンルでどうこうってわけではないよ。新しいと言われるポスト・ダブステップなんかは、ハウスのプロダクションとメロディがちょっといままでと違うけど、ただダブスッテプの初期にあった重要な要素であった荒っぽいエナジーはなくなったよね。
■とはいえ、〈プラネット・ミュー〉は、やっぱある時期まではナードなブレイクコア・シーンの中心的なレーベルだったわけだし、ワイルドでガラの悪いグライムのシーンに足を突っ込んだりして、それまでのファンからの反発なんかはありませんでしたか?
パラディナス:さっきも少し話したけど、僕はいつだってストリート・ミュージックは好きだし、ただエレクトロニカのアーティストとして知られているわけで、もちろんナードは大好きだよ。グライムはブレイクコアよりガラが悪いと思うかな? 自分が見て来た感じだとグライムはとてもフレンドリーなシーンで、ちょっと乱暴ではあったけど、ハイプもあったと思う。古くからのファンや新しいファンからも良い反応、悪い反応はいつもある。僕ができることは自分の感情に忠実である、それだけだよ。
■たしかにテラー・デンジャ(Terror Danjah)のアルバムも面白かったんですが、あなた自身はグライムのシーンに足を運ぶことはあるんですか?
パラディナス:2004年と2005年くらいはよくグライムのパーティに行ってたいたよ。サイドワインダー・レイヴとか(Sidewinder Rave)。テラー・デンジャに関しては2003年から2006年の彼のレーベル、〈アフターショック(Aftershock)〉から出ていたレコードを集めていたから、すごいプロデューサーだよね。ただ、いまとなってはもうグライムのパーティは見当たらないな。警察が全部閉め出したからね。まだブターズ(Butterz)、ノーハッツ/ノーフーズ(No hats No Hoods)まわりであるみたいだけど。
[[SplitPage]]ダブステップは、その名前はまだあるけど、過去のものとはまったく変わったよね。クロイドン/ビッグ・アップルがアプローチした現行ダブステップのウォブリー・サウンドから進化を見て来たけど、2007年初頭にはもうその姿は変わっていた。
■いままでミュージックやキッド・スパチュラ(Kid Spatula)、ジェイク・スラゼンガー(Jake Slazenger)などの複数の名義で自分の作品を発表してきたあなたですが、途中からレーベル業に専念しているように思えたのですが、このあたりの裏事情を教えてください。
パラディナス:そのとおりだよ。自分の音楽を作るのにちょっと飽きたし、自分では十分やったと満足している......と言いながらすぐに新しいリリースがあるかもね!
■そういえばニール・ランドストラムのようなテクノのベテランまで、グライムの作品を出しましたよね。それだけ当時のダブステップには、テクノのプロデューサーを魅了するような勢いがあったっていうことなんでしょうね?
パラディナス:そうだね。グライムではなかった思う。シェフィールドのブリープから派生したテクノ系統のグライム/ダブステップとブレイクビート・ハードコアをミックスしたとても面白いミックスであったことに間違いないね。ニールはそういったサウンドにつねに影響を受けていたから、だからそんなに驚くような動きではなかった。多くのプロデューサーがダブステップの影響を受けていたのはたしかで、なにせジャングル以降もっとも大きなムーヴメントだったから。
■スターキー(Starkey)、ヴェクスド、ボックスカッター、フォルティ・DL......ダブステップのアルバムを積極的にリリースしていきますが、もちろんあなたが好きだから契約しているのでしょうけど、とくに気に入っているアルバム名を挙げてもらえますか?
パラディナス:そう、好きだからだね。スターキーのファースト・アルバム『エファメラル・エキシビッツ(Ephemeral Exhibits)』はとくにお気に入りで、やり過ぎてる感がなくより即効的で踊れると思う。ボックスカッターの新しいアルバム『ディゾルブ(Dissolve)』は彼のベストだね。まわりにどうこう思われるのを気にすることなく、彼の良いとろこが全面に出たんじゃないかな。
■いま現在のエレクトロニック・ミュージックのシーンに関して、あなたはどう見ていますか? ダブステップはもう面白くないという意見の人もいるし、シーンはネクストに入ったという人もいます。
パラディナス:ダブステップは、その名前はまだあるけど、過去のものとはまったく変わったよね。2004年と2005年にのFWDと〈DMZ〉にはじまって、クロイドン/ビッグ・アップルがアプローチした現行ダブステップのウォブリー・サウンドから進化を見て来たけど、2007年初頭にはもうその姿は変わっていた。小さな島であったシーンが世界へ繋がったときからかな。いまだに初期のDMZがやってたピュアなダブステップのヴァイブレーションやサウンドは覚えてるよ。いまでも多くのレコードにそういった初期の雰囲気は残っていて、クロメスター(Kromestar)、スリー(Sully)、ルーカ(Lurka)、スクリーム(Skream)のプロダクションなんかそうだね。スクリームは最高だよ。テクノ、ガラージ/ハウス、フライング・ロータスのヒップホップに〈ランプ(Ramp)〉、〈ヘムロック(Hemlock)〉、〈ヘッスル・オーディオ(Hessle Audio)〉のようなポスト・ダブステップのフィーリングもある。本当に最高だよ。
[[SplitPage]]ジュークはシカゴのゲットー・ハウスから派生していて、ゲットー・ハウスは都市のクラブであったような反復的なサンプリングを多用したゲイ・カルチャーによるハウスとは違って、90年代前半に発展したストリート・ハウスで、〈ダンス・マニア〉がメインのレーベルだった。
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■最新のコンピレーション・アルバム『14 Tracks From Planet Mu』はどんなコンセプトで編集したのですか?
パラディナス:音楽的にはないかな。僕としてはその年にリリースされた作品を集めたコンピレーションを作ることでレーベルのいまの流れを伝えたかった。『Bangs and Works』のコンピレーションがあったからジュークは入れないようにした。
■ちなみにいまのところもっとも売れたのは誰のどのアルバムでしたか?
パラディナス:ベネチアン・スネアズ『ロズ・シラグ・アラット・ズレテット(Rossz Csillag Allat Szulletet)』とミュージック『ビリオアス・パス(Bilious Paths)』だね。
■これだけデジタルの時代になってもあなたは12インチ・シングルを出し続ける理由は何ですか?
パラディナス:まだ売れるからね! ヴァイナルが好きなんだ。本格的に売るのが難しくなったら止めるけどね。12"がお店にあると、それに気づいて家に帰ってダウンロードしようって人もいるから。お金を払ってダウンロードしてくれるかもしれないし。
■DJネイト(Nate)やDJロック(Roc)のようなシカゴのジュークをどうして知って、あの音楽のどんなところに惹かれたのですか?
パラディナス:Youtubeとダットピフ(Dat Piff)のミックス・テープ・サイトで知ったよ。フットワーク(Footwork)は音楽的にもリズム的にも本当に面白い。自分の好きなツボがたくさんあって、昔のシカゴ・ハウス、アシッド・ハウス、ブレイクビート・ハードコア、ジャングルを思いだすんだ。ジャングルはダブル・テンポのドラムとハーフ・テンポのベースだけど、フットワークはハーフ・テンポのドラムとダブル・テンポのベースになっていて、両方とも160BPMくらいかな。
■ジュークがどのように生まれ、発展したのか、ちょっと歴史的なことを教えてください。
パラディナス:ジュークはシカゴのゲットー・ハウスから派生していて、ゲットー・ハウスは都市のクラブであったような反復的なサンプリングを多用したゲイ・カルチャーによるハウスとは違って、90年代前半に発展したストリート・ハウスで、〈ダンス・マニア〉がメインのレーベルだったね。90年代後半にどんどん速くなっていって、ダンスとかパーティといった意味合からジュークで知られるようになったんだ。
80年代なかばからハウス・オー・マティクス(House-O-Matics)のようなダンス・クルーがいつもハウスのダンスを踊ってて、90年代前半にフットワークはダンスバトルに特化した音楽としてジュークとともに進化しはじめて、ダンスが速くなるにつれて音楽も速くなって、最終的にはフットワークはジュークのキックドラムがなくなって今日の160BPM以上のベース・ミュージックになった。フットワークを"発明"したプロデューサーは90年代後期から00年代初頭あたりのPRブー PR Boo)、DJクレント(Klent)、DJチップ (DJ Chip)、トラックスマン(Traxman)、DJ スピン (DJ Spinn)、そしてDJ ラッシュド(DJ Rashed)。色の付いたミックステープで売られていて、シカゴには12インチを出すホワイト・レーベルもちらほらあったよ(シカゴの外には絶対に出さなかったとか)。
■実際に現場に行かれたんですか?
パラディナス:ない(笑)。シカゴには行くつもりだったけど、そのときに各クルーのあいだでもめごとになりそうだから取りやめたんだ。『Bangs and Works』の発売するためにライヴァル・グループのプロデューサー連中とも上手く関係を保つためにもそうする必要があったし。そういった事情が穏やかになったら行こうかなと思ってる。実際にヨーロパ・ツアーに来ていた何人かは会ったし、もちろんフットワークに絡んでもらった人たちとも話をしてるよ。
■実際にいまロンドンではああしたゲットーなダンス・ミュージックは受けているのでしょうか?
パラディナス:ジュークとゲットー・ハウスはいつでもリアクションあるけど、フットワークはちょっと違うかな。もうちょっと時間かかるんじゃないかと思う。ロンドンで3、4回DJしたけどレスポンスは毎回良いよ。アジソン・グルーブはとても上手く取り入れてるけど、フットワークというよりはポスト・ダブステップの続きとして見られてる感じがあるな。
■〈プラネット・ミュー〉以外で、好きなレーベル、共感しているレーベルに何がありますか?
パラディナス:トライ・アングル(Tri Angle)、リフレックス、ハイパーダブ、ヘムロック、ビュターズ(Butterz)、エグロ (Eglo)あたりだね。
■あなた自身の新作はいまどんな状態でしょうか?
パラディナス:いまはヘテロティック(Heterotic)っていうバンドのメンバーとして曲を書いてる。
www.soundcloud.com/heterotic
僕、ララ・リックス-マーティン (Lara Rix-Martin)、シンガーのニック・タルボット(Nick Talbot)がメンバーでもうすぐか、来年にはリリースしたいと思ってる。
■最後にあなたのここ1~2年のトップ5を教えてください。
パラディナス:まずは『Bangs & Works vol. 1』、それからトロ・イ・モアの『Causers of this』、ティーンガール・ファンタジー『7am』、DJネイト『Da Trak Genious』、オリオール『Night
and Day』。
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Wiz - Extra Inches - Hot Tortillas |
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Christian Mantini - Silence - Neorecords |
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James Duncan - FEEL THE SKY - Cortelyou |
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The Junkies - Quatro uno sei(Uglh & Federico Remix) - Noir music |
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Nena - Leuchtturm / Kino - CBS |
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C.V.O. - Mighty Real Groove - slow to speak |
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Axel Boman - Modern Fluids - Studio Barnhus |
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Joe Goddard - Apple Bobbing (Four Tet remix) - Greco-Roman |
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DISKJOKKE & STRANGEFRUIT PRES. SJUKT - GHOST IN THE MACHINE - LUNA FLICKS |
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ZWICKER - Oddity (John Talabot Remix) - COMPOST |
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Daniel Solar - Baby's Tears - Dikso |
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Soft Rocks - Purple Rinse - Soft Rocks Recordings |
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Free Disco - Left Field Boogie - Rong Music |
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Kink - Leko - Burek |
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Rick Wade - Pimp Factor - Harmonie Park |
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Brown Brothers - I've Found Somebody New - Jisco Music |
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Kerri Chandler - 11th Hour - Downtown 161 |
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Tiefschwarz - You(Dub) - Classic |
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Je Davu feat St. Propre - Disco2Disco (Latin Space Dub Edit) - WHITE |
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S.W. - Alturas - After Midnight |
レーベルのコンピレーション・アルバムには2種類ある。回顧録としてのそれと最新型の提示だ。デヴィッド・ケネディー、ベン・トーマス、ケヴィン・マックオーリーの3人によって、2007年にはじまったロンドンの〈ヘッスル・オーディオ〉にとって最初のコンピレーション・アルバム『116・アンド・ライジング』は、〈ホットフラッシュ・レコーディングス〉のそれと同様に、その両方を見せようとしている。また、〈ホットフラッシュ・レコーディングス〉のそれと同様に、このコンピーションはポスト・ダブステップにおける重要なランドマークでもある。
まずリリース形態が興味深い。12インチ・ヴァイナル3枚組+CD2枚組というパッケージで、そう、お察しのように、3枚のヴァイナルの溝すべてには新曲か未発表が11トラック掘られている。レーベルの主宰者のひとりであるデヴィッド・ケネディーによるピアソン・サウンド(ラマダンマンとしても知られる)をはじめ、もうひとりのレーベルの主宰者、ケヴィン・マックオーリーによるパンジア、それからアントールド、ジェームス・ブレイク、アジソン・グルーヴ、ジョー、ペヴァリスト......いまもっとも旬な連中というか、錚々たるメンツが名を連ねている。そして、ヒットメイカーたちによる新しいトラックは、ピアソン・サウンドがそうであるように、リッチー・ホウティンが2ステップをやったかのような、面白いくらいにミニマリスティックに展開される。
ヴァイナルでもCDでも最初のトラックとして選ばれたエルゲイトの"ミュージック(ボディ・ミックス)"は、まさに象徴的だ。このリズムが2ステップではなく4/4キックドラムによるものだったら、まったくプラスティックマンである。アントールドの"クール・ストーリー・ブロ"は、昨年から顕著な彼のアシッド・ハウスへの接近が聴ける。この曲もまたリズムが2ステップでなはなくファンキーなエレクトロであったら、まったくモデル500の"チェイス"だ。こう書いてしまうと味も素っ気もないかもしれないけれど、"ミュージック"も"クール・ストーリー・ブロ"もUKベース・ミュージックの現在のクラクラするような新鮮さを持っている。後者のスライドするベースの入り方も実に格好よく、最小限の音の構成でありながらそうしたディテールにしっかり凝っているところからも、ポスト・ダブステップがいまノリにノっている感じが見えてくる。
それでも僕が1曲選ぶとしたら、ピアソン・サウンドの"スティフル"にする。このトラックは声ネタのファンキーなエディットと彼の2ステップにおけるミニマリズムの美学との見事なブレンドで、そしてとにかくヒプノティックなのだ。アジソン・グルーヴの"ファック・ザ・101"、ジョーの"トゥワイス"、ペヴァリストの"サン・ダンス"も面白い。"ファック・ザ・101"はチョップド・ヴォイスによるファンキー風のトラックで、"トゥワイス"はジョーらしいパーカッシヴなトラック、"サン・ダンス"はアブストラクトなダブステップで、それぞれ作者の個性がよく出ているし、同時にレーベルの色も共有されている。〈ヘッスル・オーディオ〉はいま上昇気流にいるのだ。
2枚組のCDのうちの1枚は、レーベルの回顧録となっている。その12曲のなかにはアントールドの"テスト・シングナル"や"アイ・キャント・ストップ・ディス・フィーリング"、ジョーの"レヴェル・クロッシング"といったフロア・ヒットも含まれている。デビューしたばかりのジェームス・ブレイクらしいクセのあるアクセントを持った"バザード・アンド・ケストレル"、ラマダンマンのジャングル・トラック"ドント・チェンジ・フォー・ミー"、パンジアによるディープ・ハウス調の"ユー・アンド・アイ"といった聴き応え充分のトラックも収録されている。しかし......アントールドのもっともユニークな"アナコンダ"、それからラマダンマンのファンキーな"アイ・ベグ・ユー"......も収録されていない。だいたいジョーのもっともバカ受けした"クラップトラップ"もない。コンピレーション・アルバムですべてをまかなえると思うなよ、というメッセージだろう。
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DELICIOUS ALLSTARS
GRITWEED
SKYLINE / UK / 2011/5/22
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Q a.k.a. INSIDEMAN
DEDICATED TO THE MOON 3.19 AT GRASSROOTS
POSSE KUT / JPN / 2011/5/20
»COMMENT GET MUSIC
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KUNIYUKI
ALL THESE THINGS-JOE CLAUSSELL REMIX
MULE MUSIQ(JPN)
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TEDDY PENDERGRASS
CAN'T WE TRY-TIMMY REGISFORD REMIXES
SHELTER (US)
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ブルース・スプリングスティーンの"ボーン・イン・ザ・USA"が共和党のキャンペーン・ソングに使われた話は有名で、村上春樹も音楽エッセイのなかで彼ほど誤解を受けたロック・ミュージシャンもいないみたいな同情的なことを書いていたが、しかし考えてみれば、"ボーン・イン・ザ・USA"に政治的な曖昧さがあるのも事実で、その曖昧さを作ったのは当たり前の話、スプリングスティーン自身である。
レディー・ガガといえば、周知のように欧米のみならず日本においても断トツのセールスを有するミュージシャンであり、スタジム・ロック/アリーナ・ミュージックの女王の座に堂々と君臨している。そればかりか、あの小山田圭吾までもが彼女プロフェッショナリズムを賛辞するほど、ある層からは確実に、絶大な評価を受けている時代のヒロインである。コーネリアスが小野洋子のバック・バンドとしてアメリカ・ツアーをしているとき、RZAなんかといっしょにやって来て同じステージに上がったそうで、つまり、同じアリーナ・ミュージックの女王クラスと言えるであろうリアーナなんかとはそこが違う。良くも悪くも、リアーナは別の場所にいる。
レディー・ガガにとって3枚目のアルバムとなる本作を聴いていると、僕は"ボーン・イン・ザ・USA"を思い出さずにいられない。知らない人がいないほど大ヒットしているタイトル曲の"ボーン・ディス・ウェイ"はこういう歌い出しからはじまる。「どっちを愛してもいい 彼でも 神でも」、そしてこのモダンなエレクトロ・ポップ・ソングは、歌詞のうえではこのように盛りあがっていく。「ドラッグ・クイーンじゃなくてクイーンになればいい/あなたが貧乏でも 恵まれていても/黒人でも 白人でも ベージュ肌でも インディオ系でも/あなたがレバノンに生まれても 東洋系でも/人生で障害を負って/仲間はずれにされて イジメられて からかわれても/今日いる自分を愛して そしてお祝いして/だってベイビー あなたはこの運命のもとに生まれてきた」
ガガのやろうとしていることは"アメリカ的なるもの"の更新である。本国における彼女への熱狂ぶりには、彼女の成功物語やその活力への憧憬に対するもの以上の何か大きな力を感じるが、それはアメリカ的ファンタジーへの熱狂ではないかと作品を聴いていると思えてくる。"ボーン・ディス・ウェイ"とは"やればできる社会(can do society)"、言うなれば民主主義におけるある種の理想主義的声明なのだ。
"ヘアー"というバラードも興味深い。「クールにお洒落する度に親に怒られる」という歌い出しではじまるこのバブルガム・ポップを気取った叙情詩は、「わたしは髪/髪のように自由/わたしでいたいだけ」と繰り返しながら、自由の美徳を強調している。それは誰の耳にも女性の自由の主張に響くにい違いない。が、しかし、たとえば"ボーン・ディス・ウェイ"にはその民主主義がどうして弱い者いじめの政治になっているのかという疑問が抜け落ちているように、"ヘアー"の自由賛歌においても、それが新しい自由主義とどう違うのかという記述はない。彼女の音楽と同様に、ある一線を越えることはないのだ。
それではアルバム『ボーン・ディス・ウェイ』は大雑把な作品なのかと言えば、違う。曲は単純でも歌詞は複雑で、「アメリカ社会のパノラマを反映している」と評している人がいるように、ガガは現代アメリカの複数の場面を実に手際よくいくつかのトピックにまとめている。
"アメリカーノ"で彼女は移民文化についてのロマンティックな弁証法を試みている。それは英語の話せない不法滞在者のラヴ・ソングであると同時に、反抗のファンタジーとしても展開している。"シャイセ"という曲ではアメリカで暮らしながらドイツ語しか話せないドイツ人女性の苦悩をドイツ語で歌ってみせる。こうした曲から滲み出ているのは、いわば中産階級的なリベラル、ガガのアメリカ的なる寛容さへの強い思いであり、フェミニスト・アートと呼ばれるものへの情熱だ。
すべての曲を通して多様な女性が歌われている。孤独な女性、彼氏を愛せないことに悩み、彼氏の耳にコンドームを要求する女性、嫌な女で負け犬であることを自覚している女、ブラジャーを旗に強くなろうとする女性など、とにかく彼女たちは微妙に逸脱し、苦しみを抱え、伝統主義のなかでもがいている。しかし彼女たちは最終的には道徳的で、結論を言えば前向きに未来を見ようとしている。その前向きさはガガのポップ・ダンスと相まって、すさまじい上昇を描く。「私は勇敢に空しさと戦い、勝者となる」、これはアルバムの最初の曲"マリー・ザ・ナイト"の一節である。彼女がローザ・パークス的ではなく、騎士道的であることがよくわかる。
ほんの数年前までは、民主主義における理想を歌うアリーナ・ミュージックは男性ロック・スターの専売特許だった。そういう意味ではガガはきわめて今日的な存在だと言えるが、彼女への評価を、彼女が啓蒙する民主主義に見ていいのだろうか......というところで僕はひっかかっている。彼女のデモクラシーが世界中で売れているさなかにドレイクは弱々しく内省を歌い、そして20歳のタイラー・ザ・クリエイターは「良心が俺の肩から飛び降りて死んじまった」とゲロを吐きながらラップして、最後には「もう死んでみせるよ」とつぶやいている。レディー・ガガの「人生をあきらめない」という歌とはまったく逆に、男は泣き、絶望し、嘔吐し、首を吊っている(とほほほ......)。そしてガガの表現する寛容さと"ヨンカーズ"がなかば強引に問うているであろうそれとでは著しく違っている。いったいどちらが行き詰まった政党政治に加担しているのだろう......というか、男は本当に弱っているというのに、彼女たちときたらアメリカにはまだ力があるんだと言わんばかりに輝いている。自由の女神がエレクトロで踊っても誰も驚かないだろう。
「黄金時代を感じるには生まれときが遅すぎた」、このように歌いはじめる"リヴ・ゾーズ・デイズ・トゥナイト"は、セカンド・サマー・オブ・ラヴを知らない世代が初めて1989年の夏について歌った歌である。「トビ(rush)も逃したし、良い時代(better days)も知らない/僕は君の経験した時代を感じることができない/君の貴重な過去に触れることもできない」、とまあ、なんとも実直な憧憬が歌われている。そしてフレンドリー・ファイアーズのエド・マクファーレンはその曲のサビを次のように繰り返すのである。「それでも僕はあなたがたのその日々を今夜生きてみせるよ。僕には手が届かない歴史だと言うけれど、それでも僕はそれらの日々を今夜生きてみせる」
これほど前向きに、レイヴ・カルチャーを知らない世代がそのファンタジーを歌ったことはない。"リヴ・ゾーズ・デイズ・トゥナイト"は過去を調べているが、あくまでも現在についての歌である。「僕をアンダーグラウンドにとどめる亡霊と向き合って/みんなが話している最良のものをいただこう/僕は待っているけど外は寒いから/夜には君をしっかりと抱くんだよ/君の愛を感じるために」
興味深いことに、5月19日付けの『ガーディアン』では、フランキー・ナックルズの"ユア・ラヴ"(注)の記事が組まれている。「永遠にレイヴさせる歌」というわけで、この曲にはいまだ素晴らしい魅力があり、現在もジ・XXのような若いバンドにまで支持されている......などといった事情が記されているが、真実を言えばこの曲は明らかにある時期に飽きられ、忘れられていたのである。しかし......たしかにここ数年で蘇ったのだ。そして、この1987年のシカゴ・ハウスのクラシックのリヴァイヴァルをうながしたのがフレンドリー・ファイアーズなのだ。"ユア・ラヴ"は、このバンドの2006年のデビュー・シングルでカヴァーされている。渋谷のディスクユニオンの2Fのインディ・ロックのコーナーと4Fのクラブのコーナーを往復するリスナーが果たしてどれほどいるのか知らないが、つまりUKではいまそれが起きているのである。
さて、2008年のファースト・アルバム『フレンドリー・ファイアーズ』で80年代のニューウェイヴとイビサの快楽をミックスしたこのバンドは、そしてセカンド・アルバムにあたる本作『パラ』においてより情熱的に、さらに思いを深めながら、ダンス・カルチャーとその"夏"をテーマにしている。音楽的にはUKのエレクトロ・ポップの伝統芸を引き継ぎながら、オーソドックスな構成のキャッチーな歌をダンサブルな演奏をバックに歌っている。「裏庭で一本のテープを見つけた/泥だらけの青いカセットだけど/そのホコリの奥ではリールがまわりはじめて/土のなかに保存されたもうひとつの記憶が再生される」"ブルー・カセット"
『パラ』にひとつ問題があるとしたら、これほどクラブ・カルチャーを扱いながら、ダブステップないしはミニマル・テクノといった現在稼働中である音がまったく関わっていないという点にある。レトロ趣味に終始しているのだ。この音はアンダーワールドでもなければケミカル・ブラザースでもない、ワム!の"クラブ・トロピカーナ"でありアニマル・ナイト・ライフの"ラヴ・イズ・ジャスト・ア・グレート・プリテンダー"なのだ。明らかに彼らは享楽の季節としての80年代をうらやましがっている。
「塵が降ってくる/彼らは行進していった/地下に眠るレコードたちとともに/階段を上がる/クラブから出てライトにキスする/君の愛が欲しい/街に出る/君の面影を心抱いて世界はふたたび回り出す/しかし君は決して僕のものにならない」"チャイム"
こうした若い世代の複雑な感情の吐露に享楽の時代を経験した僕はまだうまく応えることができない。当たり前だが、戸惑いを感じるのである。そして、彼ら自身もそれが素直に喜べることではないことも理解している。「君の愛、それは幻/僕が生きるすべては君の嘘/僕は混乱している/トリップしている/僕は傷つき、参っている/寒いし、負けているというのに、この気持ちは強まるばかりだ」"プル・ミー・バック・トゥ・アース"
な、なんていう告白なのだろう。君の世代にだって面白い音楽がたくさんあるじゃないか、思わずそう言いたくなってくる。ただ......ダンスはあっても、愛と笑顔の夏は手の届かないところに行ってしまったのかもしれない......とは僕も思う。個人的な快楽だけはあっても、集団として理想とするヴィジョンはない。パーティの最後にキング牧師の演説や"パワー・トゥ・ザ・ピープル"をかけるようなDJが、いまさらいるのだろうか。それとも少年たちの愛の歌を聴きながら、潮風に混じったハウスのビートを感じていたあの日々は蘇るのだろうか。「僕はその日々を生きるんだ」と、エド・マクファーレンは何度も何度も繰り返すのだ。「君が持っていた愛を感じる/我慢はしない/僕は今夜、あの日々を生きるんだ」
なおアルバムのタイトルは、メスカリンやLSDの研究でも有名なオルダス・ハクスリーのユートピア小説『島』から取られている。
(注)正確に言えば、この曲のもうひとりの主人公はジェイミー・プリシプルである。多くの人が「フランキー・ナックルズの」を書いているが、これではプリシプルがあまりにも可哀想。蛇足として、使われたドラムマシンはデリック・メイのものだと言われている。