「ele-king」と一致するもの

 2010年に『ニュー・スレイヴ』を発表した、いまどき希有な、怒りのこもったハードコアなジャズとミニマルを爆発させるニューヨークのアンダーグラウンドの脅威、ジーズがやって来る! それも年末に......。
 これでもう、年末は帰省している場合ではないことがわかった。以下、詳細です。

UNIT 2010 to 2011 (2010.12.31 FRI)
LIVE
PERFORMANCE
Zs (from NY, The Social Registry)
KIRIHITO (P-Vine Records)
and more
DJ KENJI TAKIMI (LUGER E-GO / CRUE-L)
TEN (STERNE / ERR)
KENTARO IWAKI (DUB ARCHANOID TRIM / BLOWMAN)
VJ SAKOTA HARUKA
SALOON(B3F) "who is rodriguez ? Lr - NYE Special Edition -"
DJ Steve Bicknell (from London, LOST / Spacebase / Cosmic)
Miyabi (PLUS)
UNICE (B1F CAFE) "delight emotion floor"
LIVE
PERFORMANCE
FilFla (WEATHER / HEADZ / PLOP)
DJ L?K?O
タカラダミチノブ (HONCHO SOUND)
Ametsub
Hiyoshi (Global Chillage)
presented byUNIT in association with root & branch
OPEN/START 21:00
CHARGE ADV.4,000yen/W.FLYER 4,500yen/DOOR 5,000yen
※未成年者の入場不可・要顔写真付きID
TICKET

チケットぴあ 0570-02-9999 [P]126-123
ローソン [L]74292
e+

STORE
[渋谷]
● TOWER RECORDS 渋谷店
● diskunion 渋谷 CLUB MUSIC SHOP
● diskunion 渋谷ロック館
● GANBAN
● Lighthouse Records
● TECHNIQUE
[新宿]
● TOWER RECORDS 新宿店
● diskunion 新宿 CLUB MUSIC SHOP
● diskunion 新宿本館6Fインディ/オルタナティヴロックフロア
● LOS APSON?
[お茶の水]
● diskunion お茶の水駅前店
[吉祥寺]
● diskunion 吉祥寺店
[下北沢]
● diskunion 下北沢CLUB MUSIC SHOP
● diskunion 下北沢店
● JET SET
● warszawa
[高円寺]
● small music

HP https://www.unit-tokyo.com/

Zs (ジーズ)
サックス奏者/作曲家のSam Hilmer(サム・ヒルマー)によって2000年に結成されたZsは、その10年に渡る活動の中で、デュオからセクステットまで自在に形態を変化させつつ、Ben Greenberg(ベン・グリーンバーグ)、Tony Lowe(トニー・ロウ)、Ian Antonio(イアン・アントニオ)らの核メンバーと共に、ラディカルな地下活動を続けてきた。

ノー・ウェイヴ、フリージャズ、ノイズ、ポスト・ミニマリズム、電子音楽、即興演奏等の広大な領域を大胆に横断しながら、肉体的な意味でも精神的な意味でも過激に限界へと挑戦するサウンドが非常に高く評価されている。既存の楽器マニピュレートの域を拡張するユニークな演奏テクニックと、ほとんどテレパシーのようなバンドの呼吸によるコミュニケーションに裏付けられたライヴの強烈さによって叩き出されるその音は、たとえばかつてBattlesの音楽を形容する際に用いられた、「数学と暴力の融合」の発展型にして緻密にリズムを微分するフレーズと限界まで緊張感を高める暴虐性の混交であり、また例えばそれは、ライヒの執拗な反復とフリージャズの覚醒をハードコアへと織り交ぜた激烈なアップデートである。

バンドはこれまで、The Social Registry、Torubleman UnlimitedやPlanaria、Three One Gといったレーベルから作品を発表してきており、まずは2007年にPlanariaから発表されたセカンド・アルバム『Arms』によって、ここ日本でも大きく注目された(アルバムは日本ではPlanchaによって日本盤仕様で発売されている)。ジャズとマスロックの融合を完成させたこのアルバムに続き、さらに今年2010年にはGang Gang DanceやGrowingを擁する最新型NYアヴァンの牙城、The Social Registryから、フル・アルバムとしては3枚目となる『New Slaves』(日本ではPower Shovel Audioより12/15に、リミックス盤を加えたスペシャル・パッケージにて発売)をリリース。より肉体的なハードコア性とほとんど怒りにも似た感情の爆発、そして新たに独創的なエレクトロニクスの導入を果たし、"エクスペリメンタル・ミュージックの新たなディケイドの幕開け""ニューヨークでもっとも強力なアヴァン・バンドのひとつ -New York Times-"と絶賛された。スリリングで複雑で精緻で、なおかつ理屈抜きに叩きのめされるサウンドをこの初来日で是非体験してください!

interview with Eskmo - ele-king


Eskmo / Eskmo
Ninja Tune / ビート

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 絶えず拡大するポスト・ダブステップという宇宙のなか、グリッチもいま、新たなフェイズに突入している。フライング・ロータスの『ロスアンジェルス』を契機に、たとえばグラスゴーではウォンキー(グリッチとダブステップとチップチューンとの出会い)が生まれ、そしてサンフランシスコからはエスクモが登場した。自らをエスクモと、実に寒そうな名前を名乗る青年、ブレンダン・アンジェリードは比較的温暖なサンフランシスコを拠点とするトラックメイカー/プロデューサーである。彼はグリッチとアンビエント、IDMをシャッフルする。そして暗く幻想的でミニマルなビートによって、ある種のサイケデリック・ワールドを描いている。それはJ・ディラではなく、フォー・テットやボーズ・オブ・カナダに近い。
 ブレンダン・アンジェリードが音楽活動をはじめたのは、10年前の話だ。アモン・トビンらに影響を受けながらニューヨークでIDMスタイルの音楽を発表していた彼は数年前にサンフランシスコに引っ越している。そして、2009年に自主制作で発表したEP「ハイパーカラー」が〈ワープ〉の運営する配信サイト「ブリープ」で絶賛されると、フライング・ロータスが主催するパーティ〈ブレインフィーダー〉に出演を果たし、その評判を高める。
 そして昨年から今年にかけて〈プラネット・ミュー〉からは〈4AD〉系の霊妙さを孕んだ「レット・ゼム・シング(Let Them Sing)」を発表、さらにまた〈ワープ〉からはスプリットで、スワンが歌う天文学の歌をフィーチャーしたゴシック調のR&B「ランド・アンド・ボーンズ(Lands And Bones )」をリリースしている。この2枚のシングルで評判をさらに高めて、去る10月には〈ニンジャ・チューン〉から「人間と機械の境界線をぼやけさせるような音楽」とBBCに評されたアルバム『エスクモ』を発表している。
 取材に現れたブレンダン・アンジェリードは、実におっとりとした、清楚な佇まいの青年だった。

ロンドンのアントールドやジェームス・ブレイク、スキューバ、あと〈ヘッスル・オーディオ〉(ラマダンマンらが主宰するレーベル)やピンチ、彼らにはシンパシーを感じるよ。アントールドは最近知ったばかりなのだけど、彼は本当に素晴らしい。

ザ・レジデンツのTシャツを着ていますね!

エスクモ:彼らの『エスキモー』(1979年)というアルバムがすごく好きなのだけど、僕の「エスクモ」という名前はそこからインスピレーションを受けているんだよ。

ああ、なるほど!!

エスクモ:アルバムのなかで、シャーマンが氷の下に入るためにおまじないをして、氷の下に入って、まだそこから出てくるっていう曲があるのだけど、そういったシャーマニックな部分であったり、アイデアが面白いと思うんだ。彼らのコンセプトである、ポップなものを捻って何かを作るっていうやり方に、すごく共感しているよ。

彼らの作品はどれもコンセプチュアルなものですが、あなた自身の音楽もそうであると思いますか?  DJカルチャーやクラブ・ミュージックの文脈とは、また違うところにあるものだと思いますが。

エスクモ:今回のアルバムでは、レジデンツにシンパシーを感じたりする自分のパーソナルな部分と、エンタテインメントな部分、それはDJでみんなを喜ばせることであったりするのだけど、それらを上手く同居させることが出来たんじゃないかなと思っているよ。そういったことを僕は意識してやっているから、ある意味ではコンセプチュアルなものなのかもしれないね。でも、レジデンツからクラブ・ミュージックまでまたいで好きなのは、僕にとってはとてもナチュラルなことなんだ。うーん、上手く伝わるといいのだけど。

レジデンツのTシャツを着ているトラックメイカーなんて、なかなかいないと思いますけどね(笑)。

エスクモ:今日のステージを観てもらえば、もっと上手く伝わると思うな!(笑)。

そういえば、エイフェックス・ツインが初めて日本でDJをしたときに最初にかけたのはレジデンツなんですよ。

エスクモ:ワオ、それはナイスだね!

いまはサンフランシスコを拠点に活動しているんですよね。

エスクモ:うん、そうだよ。

〈ロウ・エンド・セオリー〉や〈ダブラブ〉など、あなたの地元であるUS西海岸のローカルなコミュニティから生まれたアンダーグラウンド・ヒップホップからの影響は勿論あると思うのですが、あなたの作るトラックからは、UKのグラスゴウのハドソン・モホークやラスティのような、ダブステップ以降のトリッキーなビートとの共振も感じられました。US西海岸とUKを繋ぐビートが出てきたことに、とても興奮したのですが。

エスクモ:正直に言うと、それがどういった経緯で生まれてきたのかは、僕にも上手く説明ができないんだ。普段は特定のジャンルの音楽を聴いているわけではなくて、フォークも聴くし、ジャズも聴くし、もちろん新しいビート・ミュージックも聴いているし。ただ、君が指摘したように、僕らウエスト・コーストとUKのシーンは通じ合っているところあると思う。具体的にどうというわけではないのだけど、マインドやアティテュードは近い気がするな。それはニューヨークのシーンにはないことだと思うんだ。

UKでシンパシーを感じるアーティストはいますか?

エスクモ:ロンドンのアントールドやジェームス・ブレイク、スキューバ、あと〈ヘッスル・オーディオ〉(ラマダンマンらが主宰するレーベル)やピンチ、彼らにはシンパシーを感じるよ。アントールドは最近知ったばかりなのだけど、彼は本当に素晴らしい。基本的に、僕が好きになったりマインドが近いなと思うのは、アッパーなものより、土台がちゃんと固められた落ち着いたものなんだ。


photo : Masanori Naruse
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僕がサンフランシスコに引っ越した理由のひとつは、「レッド・ウッド」という木が生えている森があるからなのだけど、そこに入ると多くのインスピレーションをもらうんだ。自分の音楽のアイデアはそこで生まれることもよくあるし、自然から受け取るものはたくさんある。


Eskmo / Eskmo
Ninja Tune / ビート

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あなたの作るトラックは、コズミックな音色のシンセを使いながら、下地にはトライバルなビートを敷いていたりしますよね。そういった相反するものが混ざり合うことで生まれるサイケデリックな世界観が面白いなと思いましたが、それはひとつのコンセプトであったりしますか?

エスクモ:そういったサウンド・テクスチュアに関しては、とくにテーマやコンセプトがあるわけではなくて、あれは自分のなかから自然と出てきた、自分にとってフィットすると思えるカタチなんだ。君が言った、テクノロジックなものとナチュラルなものを組み合わせる手法にしてもそうで、さっきもレジデンツとクラブ・ミュージックの話をしたけど、一見、まったく異なったものを組み合わせることに興奮を覚える人間なのかもしれない。この電話の音のように(と言って、近くに置いてあった電話をガチャガチャといじる)、フィールド・レコーディングもたくさんしているのだけど、デジタルとアナログを組み合わせることも、自分にフィットする手法だと思っているよ。

アルバムのなかにはヴォーカル・トラックも多くありますが、こういったシーンのなかでは珍しいですよね。

エスクモ:昔から自分の声はよく録っていたのだけど、いままでは、あくまでサンプリングのネタというか、曲のなかでチョップアップして使うためのひとつのマテリアルぐらいでしか考えていなかったんだ。でも、今回のアルバムでは「ネクスト・レヴェルに行かなければ」という気持ちが強くあって、こういった挑戦をしてみたんだよ。とは言っても、実際に自分の歌声を録るのは正直怖い部分もあったし、みんなに「ゲゲーッ!」って引かれるんじゃないかって、すごく冷や冷やした。だって、僕のいるシーンには、そんなことをやっている人はいなかったしね。でも、とりあえずそういったことは忘れて、自分のパーソナル部分に向きあって、いま、自分が何をしたいのか、何をしなければいけないのか、自分のなかの意識に正直に従って作っていくことにしたんだ。

なるほど。

エスクモ:仮に自分が音楽を作っていなかったとして、他の何かのアーティストだったとしても、自分がつねにやらなければいけないことは、ネクスト・レヴェルに行くことだと思うんだ。他人がどう思うかで自分に制限をつけてしまうのは絶対によくないことだから、とりあえず、自分がどう見られるかは置いておいて、自分が正しいと思うことに挑戦してみたんだよ。

もしかすると、自分はトラックメイカーというよりも、シンガー・ソングライターだという気持ちが強かったりしますか?

エスクモ:そうだね、ごく最近になってそう思いはじめたところだよ。

先ほどあなたもアントールドやジェームス・ブレイクのようなポスト・ダブステップのアーティストの名前を挙げていたように、いま、エレクトロニック・ミュージックのシーンは大きく変化している真っ直なかだという印象を受けます。そして、どこに向かっていくのかわからないという面白さがありますよね。自分たちがいるシーンについてはどう考えていますか?

エスクモ:いまのエレクトロニック・ミュージックのシーンはとても健康的だよね。健康的だからこそ、ドラスティックに変化し続けているわけだろうし。だからこそ、今後どうなっていくかっていうのは僕にもわからないのだけど、ジェームス・ブレイクもやっているように、ヴォーカルを取り入れたトラックがこれからどんどん増えてくるんじゃないかな。R&Bの要素を取り入れたり。

今年の夏にUKでは、マグネティック・マンの"アイ・ニード・エア"がヒットしました。もしかしたら、次はあなたのいるシーンからこういったアンセムが生まれてくるのでは、と思ったのですが。

エスクモ:正直なところ、マグネティック・マンは名前ぐらいしか知らなくて、そこまで追いかけていないんだ。家でエレクトロニック・ミュージックを聴くときは、静かなものを聴くことが多いね。ススム・ヨコタのような。昔はアッパーなものも多く聴いていたけど、最近は少し疲れてきちゃったみたいで。

音楽以外で影響を受けているものはありますか?

エスクモ:僕がサンフランシスコに引っ越した理由のひとつは、「レッド・ウッド」という木が生えている森があるからなのだけど、そこに入ると多くのインスピレーションをもらうんだ。自分の音楽のアイデアはそこで生まれることもよくあるし、自然から受け取るものはたくさんあるね。あとは家族や彼女、あ、昔の彼女も含むのだけど、そういった人間関係が音楽を作るときのインスピレーションに繋がることも多いね。

「レッド・ウッド」を求めてサンフランシスコに移住したというのは、あなたのロマンティストとしての資質がそうさせたのか、それとも、スピリチュアルなものに対する好奇心が大きかったのか、どちらでしょうか?

エスクモ:どっちもだね。スピリチュアルな部分にも惹かれたし、僕にはロマンティストな部分もあると思う。あと、これはすごく生活感のある話だけど、ご飯も美味しいし、過ごしやすい気候だしね。

リリックのなかでも、そういったスピリチュアルな部分であったり、ナチュラルな部分が描かれていて、幻想的なものが多いなと思ったのですが、それはあたなの出自であったり、トラックとの相互関係でそういったリリックを書くようになったのでしょうか?

エスクモ:リリックのテーマは大きく分けて、コンセプチュアルなものとごくごくパーソナルなもののふたつだね。"ウィ・ガット・モア"、"カラー・ドロッピング"、"ムーヴィング・グロウストリーム"、"マイ・ギアズ・アー・スターティング・トゥ・トレンブル"の4曲はコンセプチュアルなもので、他の曲はすべてパーソナルなことを歌っている。"ゴールド・アンド・ストーン"はその両方の要素があって、これは錬金術師のことを歌っている。"マイ・ギアズ・アー・スターティング・トゥ・トレンブル"は完全にコンセプチュアルなもので、ロボットを造る科学者がいて、彼が造ったロボットが誕生するときに科学者自身も誕生する、つまり、自分の生を実感するという内容だね。その反対に、パーソナルなことを歌った曲では、家族との関係であったり、コミュニケーションについて歌っているんだよ。

アルケミーなものに興味を持ったきっかけというのは何なのでしょうか?

エスクモ:自分にとって大きかった最初の影響は、15歳のときにハマったマジックかな。マジックと言っても、手品のマジックではなくて、魔法のマジックのほうなのだけど、あの頃はマジックについて書かれた本を沢山読んでいたね。あとは、自分が置かれている環境から常々影響を受けていると思う。悲しい出来事があれば、自分のマインドや身体をはじめ、いろいろなことが変わっていくだろうし。マインドが自分を変えていくのではなくて、環境が自分を変えていくものだと思っているよ。

では、あなた自身の音楽は、リスナーにどういった影響や効果を期待していますか?

エスクモ:具体的なものはないのだけど、それぞれがいろいろなことをそこから感じ取ってもらえればいいな。ミュージック・ヴィデオに関しても、こう受け取ってもらいたいという具体的なものはないのだけど、観て聴いた人がそこでモチヴェーションを感じてくれたり、何かをスタートするきっかけになれば幸いだね。


photo : Masanori Naruse
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Eskmo / Eskmo
Ninja Tune / ビート

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日常生活ではよく音楽を聴く方ですか?

エスクモ:iPodのような携帯プレイヤーで聴くことはほとんどないかな。例えば、いまみたいに日本に来ているときは、見るもの聞くものに驚くことがたくさんあり過ぎるしね。家ではよく聴いているけどね。

最近は何をよく聴いていますか?

エスクモ:ミュー(Mew)やビーチ・ハウスをよく聴いている。ビーチ・ハウスはとくにシンパシーを感じるな。ナイス・ナイスみたいなバンドも好きだよ。

この度〈ニンジャ・チューン〉からアルバムをリリースする運びとなりましたが、その前に今年は〈ワープ〉からのスプリットと、〈プラネット・ミュー〉からシングルをリリースしていますよね。

エスクモ:とても光栄だし、本当にラッキーだと思っている。〈ワープ〉から一緒にスプリットをリリースしたエプロムとは本当に仲が良くて、よく一緒にサイクリングをしているよ。僕はバイクには疎いけど、彼は本当にクレイジーなぐらい詳しいんだ(笑)。サンフランシスコのシーンは、ロサンゼルスより規模が小さいから、大体みんな知り合いなんだ。よくみんなで一緒に遊びに行くしね。

動画サイトであなたのライヴ映像を観たのですが、ラップトップを操作しながらマイクを握って歌っていたのには驚きました。今日のライヴでもあなたの歌は披露されるでしょうか?

エスクモ:もちろんだよ! 最近は自分の歌声以外にも、その場でフィールド・レコーディングしたものをサンプリングしてループさせて使っていたりもするから、その辺も楽しみにしていてもらいたいね。きっと面白いライヴを見せれると思うよ。


photo : Masanori Naruse

 その後のライヴでは、宣言通り自らの歌声を披露したり、フィールド・レコーディングやサンプリング&ループを駆使して、トリッキーなパフォーマンスを見せてくれた。彼のような「フライング・ロータス以降」のサイケデリックと「ハドソン・モホーク以降」のウォンキーの両方の影響下にあるモダンなグリッチ・ホップはいま、冒頭でも書いたように、突然変異を見せながら世界中のあちこちで増殖しつつある。舞台はUSとUKのみならず、フィンランドやスウェーデンの北欧のシーン(何と言ってもスクウィーの本場)、オランダ、あるいはスペインの〈ローファイ・ファンク〉とも共振しながら突き進んでいる。
 以下、この秋以降にリリースされた、シーンを象徴する5枚セレクトした。これらの作品をきっかけ深くディグして頂ければ本望です。

Post Glitch & Wonky

Rustie / Sunburst EP Warp

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UKでウォンキーの総本山と言えば、このラスティやハドソン・モホークらが所属するグラスゴウのアート・コレクティヴ〈ラッキー・ミー〉(https://www.thisisluckyme.com )だろう。この集団は、彼らのような新進気鋭のトラックメイカーをはじめ、アメリカン・メンのようなポスト・ロック・バンドから、グラフィック・デザイナーやフォトグラファーなどファイン・アートのクリエイターまで、多数のアーティストよって構成されている。ラスティとハドソン・モホークのふたりがすでに〈ワープ〉からデビューを果たし、〈ラッキー・ミー〉としても今年の6月にバルセロナで開催された〈ソナー〉にてショウケースをおこなっている。
1曲目"Neko"は、猫が膝の上でゴロニャンと狂ったように転がり回る姿が目に浮かぶ、珍妙なロウビット・サウンドを聴かせる。80~90年代のヴォデオ・ゲーム・ミュージック(実際に彼の曲のタイトルには「ピカチュウ」という単語が使われていたりする)と最新鋭のモダンR&Bを掛け合わせ、プレイステーションのコントローラーでチョップアップとスクリューを繰り返したかのような、子供の悪戯じみた彼のエクストリームっぷりは、予想の出来ない無邪気さという点でハドソン・モホークを上回っている。

Machinedrum / Many Faces Lucky Me

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〈ラッキー・ミー〉から1枚ご紹介。彼らは地元グラスゴーのシーンのみならず、ブルックリンのマシンドラムのような、北米の稀代なトラックメイカーまでもフックアップしている。マシーンドラムことトラヴィス・スチュアートは、これまでにもマイアミのエレクトロニック・ミュージック・レーベル〈メルク〉よりアルバムを数枚リリースしている。ヴォーカルのカットアップによってメロディアスなビートを作り上げる独特の手法から、グリッチ・ホップ黎明期の裏の顔として、プレフューズ73らと並べて評価されている。 〈ラッキー・ミー〉からのリリースとなったこのEPでは、心機一転、シルキーで煌びやかなエレクトロ・ファンクから、下世話なベースラインが耳を惹くバウンシーなフィジェット・ハウス、つんのめるほどアッパーなゲットー・ベースまで、新たな挑戦が数多く見られる。このEPの直後には、ニューヨークの〈ノームレックス〉からアルバム『ウォント・トゥ 1 2?』がリリースされている。こちらはヴォーカルを多数フィーチュアしたメロディアスなトラックが多く締めている。

Daedelus/Teebs / Los Angels 6/10 All City

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グリッチ・ホップのイノヴェイター、デイダラスと〈ブレインフィーダー〉のティーブスによるスプリット10インチ。アイルランドのアンダーグラウンド・ヒップホップ・レーベル〈オール・シティ〉(オンラーのアルバム『ロング・ディスタンス』が最高)によるこのスプリット・シリーズでは、これまでにもデイム・ファンクやトキモンスタ、P.U.D.G.E.らが未発表の新曲を提供している。タイトルの通り〈ロウ・エンド・セオリー〉周辺の「いま」を切り取った最新のレポートとなっている。どちらもウエスト・コースト特有の煙っぽいサイケデリアが特徴的だが、よりアトモスフェリックでティーブスなそれは、まるで地下室の煙が天高く浄化されていくかのように、眩しいほどに乱反射を見せている。

James Pants / New Tropical Stones Throw

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ここ数年の〈ストーンズ・スロウ〉は、デイム・ファンクやメイヤ・ホーソンなど、70~80'sのスモーキーなソウル/ファンクをモダンに刷新するホットな新人たちを立て続けに送り続けてきたが、このエレクトロ・ブギーの王子ジェイムス・パンツもそのうちのひとり。このEPでは、エキゾチックな音色のホーンやマーチング・ドラムをサンプリングしたり、ガムランのビートを取り入れることで、無国籍ビートを生み出すことに成功している。他にもフットワークのような細かいハイハットのフレーズがあったり、キャスパやラスコなど〈サブ・ソルジャーズ〉周辺のトラックメイカーが得意とする、ウォブリーなベースラインが強烈なロッキン・バーストな曲があるが、彼はDJも相当狂っているようで、この支離滅裂なビートこそ持ち味と言える。

Slugabed/Ghost Mutt / Donky Stomp EP Donky Pitch

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ブライトンの新興レーベル〈ドンキー・ピッチ〉によるスプリットEP。スラッガベッドはすでに今年の春に〈プラネット・ミュー〉からデビューを果たしている。そのロウビットの電子音でカラフルに彩られたコミカルなエレクトロ・ファンクは、〈ランプ〉周辺のロウビットなダブステップ/スクウィー好きのビート・ジャンキーを中心に評価が高かった。ゴースト・マットはこのEPで初めて知った存在だが、まるでメロウな歌モノR&Bをアイコニカがリエディットしたかのような、セクシャルでメロディアスな輝きがある。

[Drum & Bass/Dubstep] #8 by Tetsuji Tanaka - ele-king

1. Commix / Re: Call To Mind | Metalheadz

-Drum n Bass, Dub, Techno, Dubstep, House-


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E王この概要を知ったとき、ドラムンベース界隈ではいままでになくまったく新しいコンセプトでリミックス・アルバムが発売される......と、その斬新なアイデア、これに関わっているメンツを見て嬉しく思う反面、ドラムンベースを代表するレーベル〈メタルヘッズ〉から初めてと言っていい、ドラムンベースがほとんど入っていない4つ打ちやダブステップがメインのコンピレーション・アルバムを発表したことで内心複雑な心境に陥った。良い意味でも悪い意味でも。多種多様なエレクトリック・ミュージックのなかにあって90年代、類稀な貪欲性を孕み、全ての音楽性を飲み込んで誕生したUK産のアンダーグラウンド・ミュージック・カルチャー、ドラムンベースが、この20年で下降線を辿り岐路に立たされているのは間違いない事実。とは言え、浮き沈みが激しく、また消えては生まれるクラブ・カルチャーにとって、ある一定のアンダーグラウンドな音楽的価値観を下げずによくここまでシーンを受け継いできたと賞賛すべきだろう。新たな10年代に向けて、共存するのもまたUK特有の雑食性ならではの必然的事変なのだから......。

 さて、コミックスは、ボーズ・オブ・カナダやオウテカなどエレクトロニカなバックボーンを持ち、陶酔性と流麗テクノ・ポップを下地とするディープ・ミニマルなインダストリアル感覚を空間的に落としこんだ、言うなれば新感覚ドラムンベースだ。LTJブケムのコズミック志向をさらにテクノよりのミニマリズムへと変え、ディープ・フロー旋風を巻き起こした功労者だ。
 肝心の内容も、まったく素晴らしく良い! このメンツにリミックスを依頼すれば当然だが、しかしよくもまあ、これだけの多士済々なメンツにリミックス・オファーを出したと脱帽する。ある意味この戦略は、ドラムンベースに触れていないリスナーにも広くアピールできる可能性を多分に擁している。
 その戦略は功を奏し、現在大ヒット中、アナログのEP1では、唯一のドラムンベースを担当したDブリッジのディープ・テックな"Belleview"リミックスからはじまり、ミニマル・ダブステップの雄、2562の別名義、ア・メイド・アップ・サウンドによる"Change"、さらにパンゲアやインストラ:メンタルがポスト・ダブステップ・リミックスを秀逸にリワークしている。
 EP2では、旬なテクノ/ミニマル・プロデューサーのリミックスで固められている。まずはベルリン・ミニマル・シーンを代表するマルセル・デットマン、カセム・モッセや〈ホット・フラッシュ〉のシーガなど、各プロデューサーの個性が十二分に発揮されている。
 先行リリースされた限定片面プレスの「Be True」のブリアル・リミックスはやはり一押しである。崇高なノイズ・スケープをダブステップと同化させ、緊迫感とインダストリアルな荒廃がリズムを主体としたダンス・ミュージックの概念に一石を投じている。分散化するダブステップにあって、一貫した核を変わらず有し、重苦しいサウンドスケープが幾重にも連なって続いていく......。当時革新的であったこの手法は、いまでもまったく色褪せず異彩を放っている。
 ちなみにCD盤にはデトロイトのURがリミックスに参加している。

 ......とにかく、エレクトリックな『Call To Mind』はこのリミックス盤でまったくの変貌を遂げている。もしお気に召したならオリジナル・トラックと聴きくらべることを推奨する。コミックスがいかに優れたプロデューサーなのかがわかるからだ。

2. Hatcha & Lost / Work Out | One Gun Salute - Dark Dubstep -


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 ハッチャと言えばダブステップのオリジネーターであり、ゴッドファザー・オブ・ダブステップ、生みの親的な存在として広く知られている。ドラムンベースで言うゴールディーのような存在で、テクノで言えばジェフ・ミルズのような存在かもしれない。この度、12月18日のカブキ&ジェナGとともに初来日がDBSで決まった。スクリーム、ベンガを見出したというそのレジェンダリーな貫禄のあるプレイは必見だ。
 彼のキャリアは、クロイドンの伝説的レコードショップ、〈ビック・アップル〉でバイヤーを務めたところからはじまる。第一次ジャングル/ドラムンベース・ブームが落ち着いた90年代後半からUKガラージのDJとして海賊ラジオ局で活動、ダブステップのルーツともなったダーク・ガラージをいち早く取り入れている。ホースパワー・プロダクション(野田さんが第一回目のダブステップ会議で紹介したレコード)やエルビーなど、クロイドン・プロデューサーを次々と紹介した。まだ10代のキッズだったスクリームやベンガを見出し、そしてサウンドはダブステップへと変異したのだ。
 2001年にはじまったパーティ〈FWD>>〉でハッチャはレジデントDJを務める。また、プロデューサーとしても活躍し、「ダブ・エクスプレス」など後の後世に多大な影響をおよぼす作品を送り出す。2004年には〈テンパ〉から初のミックスCDシリーズ『ダブステップ・オールスターズ vol.1』をリリース、その後の2006年の同シリーズの『vol.4』などのリリースを重ね、シーンの核として君臨している。2009年には自分のレーベル〈シン・シティ・レコーディングス〉を立ち上げ、目が離せない人物として活動を続けている。
 「ウォーク・アウト」は、新興レーベル〈ワン・ガン・サリュート〉から発表した「ヘンチ」のリリースで名を馳せたロストとの共作。テッキーでダークに仕立てたプロダクションで、オールドスクール・レイブ・サウンドだ。硬質なビートにダークな浮遊的シンセ、ダビーなベースライン、これこそオリジナル・ダブステップの基本姿勢だろう。この辺が彼を「ドン」と呼ばせる所以かもしれない。

DRUM&BASS SESSIONS 2010
DRUM&BASS x DUBSTEP WARZ X'mas Special !!!
Feat. DJ HATCHA / KABUKI & JENNA G
2010.12.18(sat) @ UNIT
open/start 23:30 adv.3,500yen door.4,000yen

3. Helixir / Undivided | 7even Recordings - Minimal Dubstep -


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 先月ラマダンマンを迎え、〈モジュール〉で〈Basement LTD〉が開かれた。これは〈セヴン〉レーベルのオーナー、グレッグ・Gが母国フランスではじめた自身のパーティを日本でリスタートさせたもの。筆者はラマダンマンの後に出演させて頂いた。ポスト・ダブステップを十二分に体感できた素晴らしいパーティで、大盛況に幕を閉じた。予想通りラマダンマンは、無機質なミニマル・ビーツをこれでもかと繋ぎ合わせた。次回開催は、12/10(fri))。〈テクトニック〉からネクスト・ダブステップを予感させるジャック・スパロー(以前のサウンド・パトロールでも紹介)を招いて開催される。アルバム『Circadian』が話題だし、必見だ!
 黴€
 これは、Fの『エナジー・ディストーション』に続いて、レーベルとしては2枚目となるアルバムを控えたヘリクサーの先行シングル。ヘリクサーことケビン・マーティン(ザ・バグの同姓同名ケビン・マーティンとは別人なのでお間違いなく)は、フランス出身で2008年、〈セヴン〉からの「ナルコティック・ダブ/スプリングズ&ワイヤーズ」でデビューしている。2009年にはレーベルを代表する作品「XPダブ」や「コンヴァリューション」を発表、Fと同じく硬質なミニマル・ビートで話題を集めている。そして、ダークでヒプノティックな無機質なトラックに傾倒している。
 「アトランティス」は聴けば聴くほど深みにハマッていく。細切れのスペーシーなシンセが揺れている。リズム自体はさほど存在感はない。キックが軽く鳴り響く程度。規則的にリヴァーブをかけたパーカッションがこだまする。
 スキューバやラマダンマン、Fなどのミニマル・ダブステップとは感覚が異なる。どちらかと言えば、この空間処理はブリアルに近い。新しくはないが、シャックルトンが彼の音楽性を賞賛しているように、シンプルなのだが奥深い。

4. V.A. / Tempa Allstars Vol.6 | Tempa- Dubstep, Minimal -


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 「スクリームは、もう過度期なのか?」と、セカンド・アルバムが発表されてそう感じる向きがあったのは、日本でのダブステップ熱がイマイチ乗り切っていないせいもあるだろう。本国UKではいまだ最高級の人気をほこっているし、マグネティック・マンのトラックがかかるや否や大合唱!!! となっている。筆者はドラムンベースの全盛期を知っているが、たしかにその当時の熱気をいまの日本のダブテップ・シーンに当てはめると物足りない感は否めない。インターネットで国際的に蔓延したダブステップだが、日本ではまだまだ感染しきっていない(だから2011年は大いに期待しよう)。
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 さて、「テンパ・オールスターズ6」だが、ダブステップ界では馴染み深いメンツのなかにドラムンベースの気鋭プロデューサーがふたり参加している。ディープ・ファンクを支柱としているアリックス・ペレズとアイシクルだ。ディープ系を極めた彼らが新たなる視点を定めたダブステップ/ベースラインの矛先は、やはり波長が合うのだろう。違和感なくハマっている。アリックスに至っては、いい意味で期待を裏切るベースライン・ハウス的な4つ打ちを発表しているし。
 インストラ:メンタル、Dブリッジ、カリバーなどのドラムンベースのプロデューサーがダブステップのシーンで顔を見せているのは、音楽的な相性が良いからだろう。〈テンパ〉のサウンドは年々進化している......というか、少なからずトレンドを意識した内容に変わりつつあるのは、シーンの活性化が示す良い現われだろう。
 このなかでもやはりスクリームは別格だ。『アウト・サイド・ボックス』のようなポップ・フィールド志向を試みたと思えば、今回ではシンプルなポスト・ダブステップの。テンパは今、古き良きオリジネーター・サウンドの原点に立ち返っているのかもしれない。その証拠に....フォースカミング・リリースが、あのホースパワー・プロダクション久々の復活によるサード・アルバムなのだから。

5. SCB / Hard Boiled VIP / 28_5 | SCB- Minimal, Techno -


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 ポール・ローズ(スキューバ)のミニマルが止まらない。リリースを増すごとにベルリン・ミニマル色が増している。しかも、ここのところのリミックスがどれも秀逸とくる。原曲が良いからどう加工してもかっこいい。「ハード・ボイルドVIP」もグルーヴィーな切れがあり、ある展開を施す曲中からのシンセ使いが金属的なスネアと調和してリフレインする。最終的には彼自身の音楽性として上手く纏まっている。とにかくプログラミング・センスが良い。
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最近リリースしたスキューバ・リミックス・シリーズも紹介しておこう。「Scuba Remixes Pt.1」は、"Tracers"をスコット・モンテイスことデッドビートによるミニマル・ダブ・リミックスからはじまり、"On Deck"をファルティーDLがエレクトロ・ポップに仕上げている。「Scuba Remixes Pt.2」では、オウン・ミックスによる続編だ。尺が続いていれば先がこうなっていたという具合。"You Got Me(I Got You)"がよりダンサブルなアップテンポになって、"Before(After)"はスローテンポが"その後"の解釈を表している、美しいエレクトロニカなダウンテンポだ。
「Scuba Remixes Pt.3」は〈アップル・ピップス〉からの「Untitled/Digest」で一躍ポスト・ダブステップの新星として躍り出たジョーによるミニマル・ラインをピアノの旋律で妖しくも刺激的に奏でる"So You Think You're Special"、そして叙情的なオリジナルにエレクトリックなシンセを走らせるデッドボーイの"Before (Deadboy Remix)"が収録されている。これらリミックスをディスク2にした2枚組の『トライアングレーション』がリリースされるので、これも要チェックだ!

6. Prototypes / The - Cascade / Need The Love | Infrared- Drum n Bass -


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 Jマジック率いる〈インフラレッド〉、久しぶりのシングルがスマッシュ・ヒットとなった。プロトタイプス――ブライトン出身のニックとガービーによるユニットで、彼らの作品は軒並みフロアで爆発的ヒットを飛ばしている。エナジーが迸るトランシー・レイヴ、エピック・サウンドを完璧に操るエレクトリックなフロア志向のビッグ・アーティスト久々の誕生! と嬉しく思いながら、筆者もヘビープレイ中だ。とにかく毎回使っているほど、フロアでのレスポンスも良く、突き抜けた爽快感やドライヴ感がある。そしてエクスタシーに辿り着く、マス・ヒプノシス感もある。筆者はこれを「切なく走る」と表現している。
 A面の"カスケイド"はカットラインにリミックスを依頼するなど、ドラムンベースやダブステップ、エレクトロ、ベースラインをまたいで支持されている。〈インフラレッド〉の他に〈ショーグン・オーディオ〉や〈ヴァイパー〉などシーンのトップ・レーベルからもサポートされている。

 彼らの良いところは、何と言っても遠慮なく疾走感があるところ。"カスケイド"は親しみやすく、レイヴ・トランシーな、開放感あるヴォーカル・チューンだ。"ニード・ザ・ラヴ"は切ないヴォーカルとエレピが全面的に導入された幻想的なJマジックのヒット曲"クレイジー・ワールド"のアンサー・バック。
 ディープ・フローな作品がトレンド化しているいまのシーンにとって、メジャー志向のヒット路線に走るプロデューサーを揶揄する風潮があるのも事実だ。今年、2002年に〈グット・ルッキング〉からのファースト・アルバムでフューチャリスティック・ドラムンベースを打ち出し、2006年自身のレーベル〈720ディグリー〉からのアルバムリリース以来、4年ぶりに発表したブレイムの『ザ・ミュージック』がメジャー路線に偏ったために各メディアから酷評されている。メジャーよりでR&B調のダブステップに走ったのがその原因かもしれない。が、フランジャイルな時期だからこそ、レイヴとともに発展したドラムンベースの変化が面白いように変わっていく。2010年はドラムンベースにとってアンステイブルな年......このことはまた年間評論フラッシュバック2010-ドラムンベースで触れるとして......プロトタイプスは、その壁を打ち崩せる新世代のレイヴ継承者だ!

7. Black Sun Empire / Lights And Wires | Black Sun Empire- Drum n Bass -


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 オランダのドラムンベース・シーンをダークでドラッギーで、危険極まりない荒廃サウンドで包み込むトリオ、それがブラック・サン・エンパイア。2000年に「ボルテージ」でデビュー以来、オランダのドラムンベースのシーンを暗黒ノイズスケープへと変革させ、現在エレクトロ・シーンでも活躍しているノイジアと共に代表格として数々の作品を世に送り出している。『アンデンジャード・スピーシーズ・パート2』以来、レーベルとしては3年ぶりとなるアルバムがこの『ライツ&ワイヤー』だ。

 これでもかと言わんばかりの影響力を秘めた暗黒電子音が狂気乱舞するサイバー・サウンドは、まったく変わっていない。......地を這うようなベースライン、彼らのダーク・サウンドの中心には現代のエクスキューショナーじみた残酷性、ブラック・マジックのような危険な陶酔性......もある。マス・クリエーションを必要としてきたドラムンベースの方向性を相反する不適合な感覚が面白い。一貫したサウンド・シンフォニーは、いまだに人気を博している。
 今回の共演者も実にシンプルなラインナップで、グリッドロック、ジェイド、SPL、ナイムフォとサウンド、指針をぶらさないよう計られてるようだ。近年の彼らはダブステップにも接近している。サブ・レーベル〈シャドウス・オブ・ザ・エンパイヤー〉を作るほど力を入れている。そして、陰をチラつかせる不穏なマッシブ・ビートを展開するプログラミングは『ライツ&ワイヤー』でも聴くことができる。UKの陽に対する陰とでも言えばいいのか......。

[soul & dubstep] - ele-king

 2010年の2月にアルバム『アイム・ニュー・ヒア(I'm New Here)』で素晴らしい復活を果たした詩人、ギル・スコット・ヘロンだが、来年早々そのリミックス・アルバムのリリースが予定されている。しかも......アルバムをすべてをザ・XXのジェイミー・XXがリミックスするという企画だ。

 たしかに『アイム・ニュー・ヒア』は、ブリアルをはじめとするダブステップからの影響を取り入れていた作品だったけれど、それを丸ごとジェイミーが手を加えるとなると話はまた別だ。彼が2010年の来日時にDOMMUNEでプレイしたDJは、現在のUKのダンス・サウンド(ダブステップ、ファンキー、グライム、ウォンキー)を親切に手際よくパッケージしたもので、僕にとっては忘れがたいものだった。

 まずは手はじめに"NY・イズ・キリング・ミー"のリミックスが届いている。さあ、聴いてくれ。UKファンキー以降のビートを取り入れたこの音を聴いてしまったら......君はジェイミーのビートとスコット・ヘロンの声から逃れられなくなるだろう。

 

Primal Scream - ele-king

 プライマル・スクリームの『スクリーマデリカ』が発売されたのは1991年のことだ。1990に先行してリリースされた「ローディッド」と「カム・トゥゲザー」をリアルタイムでチェックしていた僕は、この2枚の時点で面食らっていた。ファースト・アルバムでは12弦ギターの美しいアルペジオを中心とした60'sサイケデリック、セカンド・アルバムではMC5やザ・ストゥージズのようなガレージ・パンクだったプライマル・スクリームだが、それらのシングルではハウスのビートを取り入れていた。そして、それが唐突に思えなかったのは、海の向うのイギリスではなにかとてつもないことがおきていることを感じとっていたからだった。

 1987年のスミスの解散から1996年のオアシスの『モーニング・グローリー』がリリースされ、そしてブリットポップが終わるまでの10年は日本のUKインディ・ロック・ファンにとって幸せな時代だった。多くの新人バンドは最初の数枚のシングルで注目されると、すぐに国内盤のリリースが決まっていた。来日するタイミングも早かった。来日はおろか、もはや国内盤もめったなことではリリースされない現在の状況とは大きな違いだ。その10年のあいだは、日本とイギリスの距離はいまより近かったのである。
 ニューウェイヴやネオアコ、ギター・ポップのシングルを毎週チェックしていた僕は、スミスのデビュー以降、どこかすっきりしない空気に息苦しさを感じていた。しかし、1988年のストーン・ローゼズの「エレファント・ストーン」をはじめ、インスパイラル・カーペッツの「プレイン・クラッシュ」やハッピー・マンデイズの「W.F.L」あたりから、いままでとは違う空気を感じていた。そしてその翌年、ストーン・ローゼズのデビュー・アルバムが発売されてからというもの、新しいスタイルの12インチ・シングルが都内のレコード店の壁を変えていった。
 僕が初めてロンドンに行ったのもこの時期だった。1989年の12月、ヴァージン・メガストアもタワーレコードもHMVも、壁一面がストーン・ローゼズの「フールズ・ゴールド」、808ステイトの『90』、ソウルIIソウルの「キープ・オン・ムーヴィン」、そしてデ・ラ・ソウルの『3フィート・ハイ・アンド・ライジン』で埋め尽くされていた。ダンスの季節が到来したのだ。
 1990年になると、僕は毎週2回はZEST、WAVE、CISCOそれにLiverpool、レコファン、Vinylなど渋谷、新宿のレコード店をぐるぐる回った(まさかHMV渋谷がなくなる日がくるとは夢にも思わずに)。あの時代、同じようにレコード店を回遊していた人は少なくない。
 『スクリーマデリカ』に収録曲された4曲、"ローディッド""カム・トゥゲザー""ハイヤー・ザン・ザ・サン""ドント・ファイト・イット、フィール・イット"は、そんな毎日のなかで巡り会った。当時はまだイギリスでなにが起こっているのか知るための情報源はなかった(もちろんインターネットなど一般的ではなかった)。レコード店の棚にならんだ12インチ・シングルと『NME』が頼りだった。幸せな時代だったのかもしれない。何が起きているのか想像することがほんとに楽しかったから。
 "ローディッド"と"カム・トゥゲザー"の幸福な肯定感、"ハイヤー・ザン・ザ・サン"のダブとハウスのサイケデリック、"ドント・ファイト・イット、フィール・イット(闘うな、感じろ)"のソウルフルなダンス......。アンドリュー・ウェザオール、ポール・オークンフォルド、テリー・ファーリー、ジ・オーブ、ボーイズ・オウン、アシッド・ハウス、エクスタシー......そしてクラブ・カルチャー。

 そしてあれから20年が経った。『スクリーマデリカ』はスタイルがころころ変わるプライマル・スクリームの作品のなかで、もっとも時代の空気をパッケージしたアルバムだ。当時は5曲が発表済みの音源だったこともあって、寄せ集めのアルバムという評価もあったが、いまになって思えば、だからこそ優れたアルバムなのだ。アルバムを作るためにレコーディングされたのではなく、1曲1曲彼らが突っ込んだパーティで気付いたアイデアを随時形にしていく過程がはっきり見てとれるからだ。今回の渡英ではボーイズ・オウンのテリー・ファーリーにこの時代のことを詳しく取材してきた、いずれアップするのでチェックして欲しい。
 

 11月26日、20年目の"スクリーマデリカ・ライヴ"。当日は本格的な寒波がイギリスを包んで、本格的な冬のはじまりとなった。会場のオリンピアは幕張メッセのような展示場で、コンクリートの床に高い天井を擁している。
 開演が7時半と書かれていたので、7時過ぎに会場に着いたのだけれど、場内にはまだほとんど人がいなかった。8時を過ぎたところでステージにメンバーが登場するものの、会場はようやく半分強が埋まっている程度だった。
 それでもバンドは演奏をスタートする。前半は『スクリーマデリカ』以降のヒット曲中心の構成だったが、どうも盛り上がりに欠ける。"カントリー・ガール"や"ジェイルバード"、そして"ロックス"、オーディエンスは余裕でビール買ったり、待ち合わせの相手に電話したり、てんでばらばらにその場所にいる。
 いままで何度も見ているロックンロールなプライマル・スクリームによる40分程度のステージがまるで前座のようにあっけなく終了する。そしてアンドリュー・ウエザーオールのDJらしき音が小さく流れはじめる。途中でチアメン・オブ・ザ・ボードの1974年のアルバム『スキン・アイム・イン』に収録の"モーニング・グローリー"から続く8分のメドレーが流れる......この高揚感のあるソウル/ファンクはウエザーオールが『スクリーマデリカ』制作時の参考にした曲としてラジオ番組で紹介していた。
 

 コズミックなソウルが鳴り響くなか、ステージ全面のスクリーンに『スクリーマデリカ』の巨大なロゴが映される。ステージ上手には6人編成のゴスペル・コーラス、下手には4人編成のブラス・セクションを従えて、メンバーが登場する。アンドリュー・イネスが"ムーヴィング・オン・アップ"のイントロを弾き出す。場内からは大歓声があがり、観客の様子は打って変わって、どんどん前に突進する。そして大きな会場は一瞬にしてパーティ会場へ変貌した。
 
 誰もがこの瞬間を待っていたといわんばかりに弾ける。あっけにとられていた僕も思わず笑い出してしまった。バンドのメンバーにもわかっていたようで、演奏の熱がまるで違う。ボビーも踊り、オーディエンスを煽る。
 2曲目の"スリップ・インサイド・ディス・ハウス"のダンス・ビートがはじまった。去る4月にベーシストのマニはこう話している。「『スクリーマデリカ』は打ち込みの曲をカラオケのように使うのではなく、当時のマルチテープから、それぞれのパーツを抜き出して、ちゃんとライヴでやるためにアレンジをするんだよ」。"スリップ・インサイド・ディス・ハウス"は過去、ライヴ演奏はしていないはずだ。
 3曲目の"ドント・ファイト・イット、フィール・イット "でデニス・ジョンソンが登場する。彼女が「ラマラマラマ・ファファファ~」を歌うとフロアはどよめき、ティンパレスのフィルからキックとベースが入るとはやくも肩車があちこちで立ち上がる。僕も自然と笑いがこみ上げてくる、こんな楽しさまったく想像してなかった。
 4曲目はアルバムの曲順なら"ハイヤー・ザン・ザ・サン "だが、ここで"ダメージド"、"アイム・カミン・ダウン"、そして"シャイン・ライク・スターズ "とバラードが続く。90年代初頭のパーティ・ライフのアフターでチルアウトするために良く聴いた曲がいまはライヴで演奏されている。
 続いて"イナー・フライト"、ステージ後方の巨大なスクリーンがサイケデリックに変化する。洗練された映像が曲にあわせて揺らめいてゆく。僕がこの音とヴィジアルのほんとうの意味を知ったのは『スクリーマデリカ』の発売から5年後だったけれど......。

 ここまで来るともうあとは3曲しか残っていない、"ハイヤー・ザン・ザ・サン"のイントロが響く、鼓動のようなキックとオーロラのようなシンセがすべての感覚をさらってゆく。宇宙に投げ出されてしまったような浮遊感のなかでボビーのヴォーカルがもう戻れなくてもいいと言っているように聴こえる。あまりのトリップ感のなかで呆然としていると"ローデッド"のサンプリングが静寂を破る。コーラスが高らかに歌われ、ホーンセクションが鳴る。もうこの最高のパーティもあと2曲で終わってしまう......。
 "ローデッド "は伝えてくれている、「それははじめからわかっていたこと、終わりであり、はじまりでもある」、そんな答えにならない問いかけが心にこだまする。まわりは仲間同士で肩を組んだり、抱き合ったり、思い思いにたしかめ合っている。
 ラストの"カム・トゥゲザー"はもうはじめから大合唱だった。この曲で歌われている通りのフィーリングのすべてが溢れている。20年前のプライマル・スクリームがセカンド・サマー・オブ・ラヴの歓喜に素直に飛び込んだように。
 "カム・トゥゲザー"が終わって会場内には明かりが付く。それでもオーディエンスの合唱はやまない、会場の外に出て、通りの向かいにあるパブでは外まで人が溢れながら、そしてここでも合唱している......。

「キスして/どうかどうかキスして/僕を持ち上げて、世界の外側に出して欲しい/トリップさせて/どうかどうか僕をトリップさせて/僕を持ち上げて、星に乗せて欲しい/いまや僕たちは完璧に自由/さあ、おいで/僕に触って/それがありあまるほどのすべてだ」"カム・トゥゲザー"

[Dubstep & Techno & others] #3 - ele-king

1. Pariah / Safehouses | R & S Records


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E王ロンドンの、ジェームス・ブレイクに次いで注目を集めている若きポスト・ダブステップ・プロデューサーのセカンド・シングルで、前作におけるブリアルやジェイ・ディラへのリスペクトを残しつつ、よりダンスフロアへとアプローチしている。キックドラムから入るA1の"The Slump"は今回のシングルを象徴する曲で、2ステップ・ガラージとディープ・ハウスの美しいブレンドで、魅惑的なグルーヴを展開する。背後から人びとの声が響くB1の"Prism"はディープなレイヴ・スタイルへと流れ込んでいく。C1の"Crossed Out"は2ステップ・ビートと重たいエレクトロとの競演、そしてトラックの後半にはメランコリックなR&Bヴォーカルとともに導入されるロスカにも似た野太いビートがダンスを駆り立てる。D1の"C-Beams"はアシッド・ハウスへの冒険だ。ヒップホップ・クラップとR&Bヴォーカルの断片のなかをアシッド・べーすがうねっている。D2の"Safehouses"もパライアーらしいソウルフルなフィーリングのディープなトラックで、全盛期のシカゴ・ハウスが持っていた最良の瞬間に彼は近づいているようだ......。
 いや、とにかくもう、まったく素晴らしい2枚組だ。

2. James Blake / Limit To Your Love | Atlas Recordings


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E王モダン・クラシックが10インチで登場。You Tubeではなく、ようやくヴァイナルで聴ける......この喜び、これが音楽っすよ。いやね、『SNOOZER』で田中編集長と話していたら、ロックを聴いている子は音楽に救いを求めているっていうのだけれど、僕は音楽はまずはとにかく楽しみを追究するためにあると思う。
 さて、これはもうご存じ、ネット上でさんざん話題になった、2007年にファイストがリリースしたセカンド・アルバム『ザ・リマインダー』に収録された曲のカヴァーで、片面のみのプレスにてリリース。アルバムは来年の2月だとか。この曲を聴いたら期待するなというのが無理な話だ。

3. Untold / Stereo Freeze / Mass Dreams Of The Future | R & S Records


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 これはDJ御用達でしょう。上物だけ聴けばアシッド・ハウスそのもの。が、しかし、イントロのスネアの16の連打、そして最高のダブステップ・ビートがどかーんとやって来る。フロアの狂騒が聴こえてくる。かなり格好いい。大邸宅に住んでいるDJメタルが愛して止まない"エナジー・フラッシュ"のモダン・スタイルとでも言いましょうか。
 フリップサイドの"Mass Dreams Of The Future"もまた......、イントロはアシッドのべースライン、それからダブステップのうねりが蛇のように絡みついてくるとトランシーに飛ばしていく。新世代によるアシッド・ハウス解釈というか、これもかなりのキラー・チューン。まあとにかく、これもシーンの盛り上がっているということなのだろうけれど、パリアーにしてもアントールドにしても、最盛期におけるダンス・ミュージックが持ちうる素晴らしいグルーヴがある。
 それにしても〈R&S〉は見事にダブステップのレーベルへと転身したな。

4. Addison Groove / Footcrab / Dumbsh*t | Swamp 81

 2007年にURが「フットウォーズ」を出したときに、マイク・バンクスに「これって何?」って訊いたら、笑いながら「いや~、これはシカゴやデトロイトのキッズのあいだで流行っている新しいダンス・バトルのために音楽だよ」と教えてくれたものだが、それがいつの間にか広がっていた。
 これは半年以上前のリリースだけれど、shitaraba君がDJネイトのレヴューのなかでUKにおけるダブステップ方面からのフットワークへのリアクションとして、たいして面白くないと紹介していた1枚がこのアジソン・グルーヴの"フットクラブ"で、僕はけっこう面白いと思っている。そのように一掃されてしまうにはもったいない可能性がここにはあると思うので紹介しておきましょう。
 シカゴのゲットー・ハウスの豪胆な野蛮さ(〈ダンス・マニア〉から綿々と続くあれの現代版)がロンドンのクラブ・カルチャーの雑食性のなかで再解釈されたもので、この混沌のなかから来年は何か発展しそうな気配もある。
 踊らせたいぜーというDJはチェックしてみて。

5. Joe / Claptrap / Level Crossing | Hessle Audio

 これはジェームス・ブレイクの"CMYK"と並んで2010年のクラブ・アンセムとなった、いわば時代を象徴する1曲なので紹介しておく。完璧にダンスフロアのためにあるトラックで、ソカのリズムを笑えるほど極限まで削ぎ落としながらも、UKファンキー、それからフットワークやジュークともリンクするような不思議なグルーヴを持っている。
 ハウス世代がこれを聴いたら驚くんじゃないかな。そして、この音がクライマックスでかかることを知ったら、自分のレコードバッグを見直すかもしれない。あるいはこの最小限の音でここまで陽気であるという事実に嬉しくなるかもしれないね。

 以上、いまダンス・ミュージックを聴くならUKが面白いというこの1年を代表する5枚でした。

Leftfield - ele-king

 今年の夏に彼らがライヴ活動を再開したことは知っていたけど、まさかこんなに早くツアーをするとは思ってなかったのでレフトフィールドはまったくノーチェックだった。「スクリーマデリカ・ライヴ」が目的の渡英だったけど、もし見ることができるならレフトフィールドも絶対見たかった、来日公演なんて実現しないだろうし。それにしてもなぜ日本では彼らの復活ツアーがほとんどニュースにもならないんだろう。

 ダンスビートが希望と目眩に溢れた混沌のなかから大きなうねりを作りオーディエンスの心に革命をおこしていた90年代前半、レフトフィールドはまさにその名の通りのシーンのエッジにいた。彼らはまだヒップホップもレゲエそしてテクノまでもミックスして新しいビートとしてハイブリットできた、ほんのわずかな時代のタイミングに奇跡的なトラックを連発してダンスビートを大きく進化させた数少ないアーティストのなかのひとつだった。

 今回のツアーにオリジナル・メンバーであるポール・デイリーは参加していない、脱退したわけでなくこの先のプロジェクトでは合流するということらしい。
 自分の日程に合うのがグラスゴーでのライヴだけだったので、出発1週間前にライヴとフライトのチケットを押さえ、グラスゴーへ飛んだ。会場はグラスゴーの中心から2~3キロはなれた幹線道路沿いにポツンと立つ〈O2 アカデミー〉、ちょうどゼップの天井を高くしたような感じ。開場から30分ぐらいでなかにはいるとまだ人はほとんどいない、しばらくして前座のブレイケージがスタート、それにしても人は入ってこないし音は小さいし、ちょっと不安になりながら広い場内に響くシリアスなダブステップを聴いていていると、早く会場に来た人たちはガンガンにビールをあおっている、イギリス人はほんとにビールが好きだ。
 スタートから40分ぐらいで場内はいい感じに埋まってきた、50ぐらいのヒッピーのようなおじさんからまだ10代の若者まで幅広い層のお客さんがきているけど、中心はやはり30代から40代のレイヴ/パーティー世代。ブレイケージの終盤にハッピー・マンデーズの"ハレルヤ"のサンプリングが飛び出すと場内から歓声が......。やっぱり年齢層高いかも! 

 ブレイケージによる1時間のDJが終わる頃には場内は超満員に、DJ終了と同時にいい感じで拍手、そしてステージ全面のLEDスクリーンが点灯すると"ソング・オブ・ライフ"のイントロが鳴り響く。ドラムセットにドラマーが座り、ニール・バーンズがシンセの前にくると爆音ベースが響く......。まず驚いたのはブレイケージとの音量差、ここまで前座とヴォリュームに差があるとは!
 かつてライヴで爆音を出し過ぎて〈ブリクストン・アカデミー〉の天井に亀裂を入れただけのことはある。この時点で場内はもう沸騰寸前だ、そして"ソング・オブ・ライフ"のビートがブレイクスから4つ打ちになった瞬間に場内は完全にスパーク、つづいて"アフロ・レフト"で完全にパーティ状態へ突入!
 "オリジナル"では女性ヴォーカルが登場、ニールがベースギターを持って、重たいビートが強調される。それから"ブラック・フルート"へ。そしてついに"リリース・ザ・プレッシャー"のイントロからラガMCが登場、ここで場内は最高の盛り上がりを見せて、いわばパーティの午前3時状態、まさにレイヴ。隣で踊ってるヤツの踊りがあまりにも懐かしい動きだったので、フラッシュバックしてしまう。こんな光景を見るのほんとに久しぶりだ。続いて"インフェクション・チェック・ワン"、この頃には僕も完全に飛ばされてしまった。シンプルなビートが、突き刺さるように響いてくる。

 レフトフィールドの曲はDJのとき、どうも使いずらいことが多かった、その使いずらさはビートや曲の構成の問題ではなく、音のタッチの問題としてそう感じていた。もちろん『リズム・アンド・ステルス』は当然そういう作りなのだけれど、『レフティズム』のシンプルな4つ打ちの曲でもそうだった。
 このライヴを見てその理由が理解できた、というよりも思い知らされた。レフトフィールドは楽曲をDJツールとして作ってはいないのだろう。 DJに使ってもらうことを前提としてトラックを作ることも、ビートをフォーマットとして捉えていることもしていない。単純なビートですら自分たちの刻印を刻みつけるようにして作っている。それがマッシヴ・アタックと同様に、オリジネイターとしての凄みであり、メッセージだ。ブレイケージを前座に起用したところにもレフトフィールドの意思を感じる。ダブステップが現在彼らの意思を正しく受け継いでいるというメッセージでもある。
 アンコールでは"メルト"、美しいシンセの眩暈だが、夢よりも現実が迫っていること感じさせる音色だ、しかしオーディエンスはそこに信じるべき明日を予感する、これこそ夢を見ながら現実を飛び越える瞬間の表現。ラスト・ナンバーは音圧で割れるようなベースの"ファット・プラネット"、最高のドラマの締めくくりに相応しい名曲だ。"オープン・アップ"をやらなかったのは残念だったけど、彼らが現役であることを証明する、気迫充分のライヴだった。このハードコアなビートのフィロソフィーに最大の歓声を持って応えているオーディエンスも最高! イギリス人はなんて音楽好きなんだろう。

神聖かまってちゃん - ele-king

 目の前には、「神」と描かれた白いヘルメットを被っている磯部涼と三田格がいる。隣には、ヘルメットを被りながらでは素早いスウィッチングができないと断念して、いつものようにハットを被った宇川直宏、それから生中継のために動き回るdommuneのスタッフたち......、そしてその反対側には「ナタリー」編集部の優秀な女性記者がリアルタイムでパソコンを素早く叩いている......とにかく、両側に素早い指の動きをもった人に挟まれながら、白いヘルメットを被った僕は、渋谷のスペイン坂に新しくオープンしたライヴハウス〈WWW〉でいまもっとも注目に値するロック・バンドの演奏を聴いた。

 わずか2分でソールドアウトという競争率のなかで、幸運にもチケットを手に入れることのできた来場者全員には、先述したように「神」ヘルメットの着用が義務づけられていた。フロアは白い頭で埋め尽くされている。その光景自体が、ひとつの強烈なアイロニーだ。なにせ「神」であり、全員同じのヘルメット姿である......演奏は、ダンサブルで、ベースの音は会場のいちばん後ろの僕たちのところまで響き、ウイスキーを片手に演奏される鍵盤はメランコリーを携えていた。の子は、僕にはパンク・ロック・バンドのヴォーカリストとしての条件を充分に満たす佇まいをしているように見える。無責任な子供のような顔つきで、子供のようなわめき声で、子供のような目をしている。

 「アイ・ウォナ・ダ~イ」と歌ったのはジーザス&メリー・チェインだったが、かまってちゃんは「死にたい」を繰り返す。この音楽に熱狂している子供の姿を親が観たら、びっくりするかもしれない。後方の画面ではネットからの野次が走っているし。
 神聖かまってちゃんは今日の日本社会におけるノイズだ。ノイズとは工事現場の騒音のことではない。意味としていち部の人たちの耳を塞がせる音のことだ。いま、彼らほど憎まれ、愛されているバンドが他にいるのだろうか......。"学校に行きたくない"では、の子はノートパソコンを木っ端微塵に破壊する。彼のそうした一挙手一投足のなかに、なにか鋭い絶望を感じるのだが、すべてはこのバンドにとっての賛辞であろう大いなる嘲笑のなかで掻き消されていく。しかしその嘲笑はパンク・ロッカーにとっての蜜であり、オーディエンスにとっての勇気である。"いかれたニート"という曲も頭に残った。人間は経済活動の要員であり、ネットが普及しながらひとりひとりは孤立し、自分の人生を社会的に開いていくことはますます困難である――こんな時代において、かまってちゃんのそれは、あるいはひょっとしたら自覚のない抵抗として最高のエネルギーを持っているように思える。
 ライヴの最後ではキーボードのmonoとの子が喧嘩をした。何がなんだかよくわからなくなったが、「ナタリー」の女性記者に訊いたら以前にもステージ上で喧嘩しているという。まるでオアシスみたいだね、と磯部や三田さんと話した。ほとんど何も期待されていなかった若者たちがことを起こしているという点でも、似ている、
 神聖かまってちゃんのアルバムは12月22日に『つまんね』と『みんな死ね』、2枚同時に発売される。

interview with Cornelius - ele-king


Cornelius /
Fantasma

[CD+DVD, Limited Edition, Original recording remastered]
ワーナーミュージック・ジャパン
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 そこにはあらゆるモノが放り込まれている。消費社会におけるハイ・カルチャーとロウブロウの境界線は溶解して、貧民街のヒップホップと煌びやかなデパートの玩具コーナーは結ばれる。ブラック・サバスはクラウトロックといっしょにリオデジャネイロのボサノヴァへと直行して、エイフェックス・ツインは空飛ぶ円盤に乗ってジーザス&メリーチェインに会いに行く。冗談音楽と立体音響、パンクとサンシャイン・ポップス......これらアルバムに詰め込まれたおびただしい情報量、そして得も知れぬセンチメンタリズム(僕にはそれが消費文化を強いられた世代のある種のシニシズム、80年代を席捲したブランド文化と対をなしていた当時のアンダーグラウンド文化から来ていると考えている。詳しくは『EYESCREAM』に書いた)......。
 まあ、とにかく、『ファンタズマ』は、海外のメディアから見れば日本のロック文化に決定的なアイデンティティを与えた作品となったわけだが、まずそれ以前の問題として、この音楽は僕たちの最高のサウンドトラックだったのである。それから13年後の今日も、この革命的なポップ・レコードの魅力は少しも衰えていない。未聴の若い人はこの機会に聴いてみて。

『ファンタズマ』を再発することになった経緯から教えてください。"2010"という曲が入っていたり、収録曲の"New Music Machine"のなかで「2010年になんか全部ぶっ壊れた」と歌っていたりすることと関係あるんですか?

小山田:まあ、それにかけてというのと、あとは、大人の事情ですね。

大人の事情?

小山田:ポリスターという会社から出ていたんですけど、権利をワーナーに買ってもらって、それで出そうと。

パーセンテージとしてはどのくらいなんですか? 大人の事情と......(笑)。

小山田:まあ、タイミングかなと。いろんな偶然が重なって。

ちなみに、なかなか新作ができないから......というところはないんですか?

小山田:それもあるのかなぁ(笑)。

そこはあまり突っ込まないでおきましょう。

小山田:いえいえ(笑)。

いろんな事情があるにせよ、さっき言ったように"2010"という曲が入っていたり、歌詞に「2010年」が出てきているんだよね。当時はどういうニュアンスで使ってたんですか?

小山田:ちょっと遠い未来という感覚で使っていたと思うんですよね。13年後のことだから実際は近未来なんだけど、やっぱり当時はまだ20世紀だったし、現実的にいま2010年になって感じるよりもずっと遠い感じでいたから。

1997年だもんね。

小山田:20世紀ですよ。

2001年でさえも、まだ遠い未来に思っていたからね。

小山田:僕ら世代は2001年とか1999年という数字に関する刷り込みがあるじゃないですか。

たしかに。でも、「2010年になんか全部ぶっ壊れた」というのはどういう感覚で言っていたの?

小山田:予想できないくらい先のこと......、そんな感じですかね。

まりん(砂原良徳)がリマスタリングすることになった経緯は?

小山田:せっかく出すんだし、もうちょっと聴きやすいものしたかった。それで、誰に頼もうかと思ったときに......。まあ、このアルバムを作っている頃に家が近所で、よく行き来をしてたんですよね。それでお互い作っているモノを聴かせ合っていたんですよね。だから当時の雰囲気を共有できる人だし、あとは彼が個人的にリマスターをやっていたんですよ、趣味で。

趣味でやってたんだ?

小山田:それがすごくて、自分の昔出ているCDとか、90年代頭のCDとか、音質が悪いじゃないですか。音が悪かったり、レヴェルが低かったり、90年代後半や2000年代初頭のCDはレヴェルを突っ込み過ぎているとか。時代によって音質の違いみたいなのがあって、それをたぶん、自分の聴きやすいカタチにリマスターして、で、盤を作って、それでちゃんとプリントもして、ジャケットもちゃんとスキャンして作って、しかもヴィニール袋に入れて、で、エサ箱みたいな箱があって、そこに入ってて(笑)。

ハハハハ。

小山田:「クラフトワーク」っていう柵があって(笑)。

ハハハハ! すごいね。

小山田:これはもう、売れるでしょう! というレヴェルまで完全に個人でやっていて、そういうのを聴かせてもらったりしていて。で、何枚かCDをもらったんですけどね。そのなかにフリッパーズ・ギターのサードがあって、それを聴いたら、たしかにすごく音が良くなっていたんですよ。

なるほどね。

小山田:彼ほどの適任者はいないと思って。

さすがと言うしかないね。

小山田:そうですね。

さすがまりん。そういう意味では最高のマスタリング・エンジニアがいたということだよね。

小山田:彼の本職はマスタリング・エンジニアではないけどね。まあ、マスタリングに関しては、解釈だなと。いまはそれがソフトウェアによって個人でできるんで。彼の解釈をいちばん信用していたというか。

マスタリングという作業自体はちょっと前までは作り手側のものだったけど、これだけ「リマスタリング」という言葉が流通して、あるいは、たとえば70年代のロックのレコードがUK盤とUS盤と日本盤とでは音が違うんだってこともわかってくると、マスタリング技術自体が表現に近づいている感じもあるもんね。

小山田:あと97年は、パソコンとかiPodで聴かれることを想定してなかったし、リスニング環境が変わってきているというのがありますよね。

でも、イヤフォンを入れていたじゃないですか。

小山田:13年という年月を感じたのは、オリジナル盤のパッケージを空けたら、そのイヤフォンについていたスポンジが完全に劣化していたんですよね。
ボロボロになっていたという(笑)。

そうそう、僕が持っているのもそうなっていた(笑)。あの劣化すごいよね。

小山田:ああいうのから年月を感じましたね。

小山田君の持っているのもそうだったんだね。

小山田:すべてそうなっていると思いますよ。

それ聞いて安心した。自分の保存状態が悪いからそうなったのかと思ってた(笑)。

小山田:だから今回、タワーレコードとHMVで予約してくれた人に、特典でそのスポンジを付けたんだよね(笑)。

それはいいね。ところで当時、あのイヤフォンを付けたのは?

小山田:オマケというよりもメッセージ、イヤフォンやヘッドフォンで聴いてもらいたいという。

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バイノーラル録音できるハンディ型のマイクが売ってたんですよね。それを中原くんと一緒に買いに行ったんですよ。そのマイクをDATに繋いで、いろんな音を録っていって、その頃に"Mic Check"を作るんですよね。録ったものから効果的なものを並べて、チョイスしていったという感じです。


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なるほど。あらためて『ファンタズマ』は革命的なポップ・レコードだったと思うんだけど、1997年ってどんな時代だったと記憶している?

小山田:CDがいちばん売れていたのが97年、98年って言われてますよね。バブルははじけていたけど、音楽産業的にはピークだったみたい。

ちなみに、1996年がエイフェックス・ツインの『リチャード・D・ジェイムス・アルバム』やDJシャドウの『エンドトロデューシング』、で、『ファンタズマ』がリリースされた1997年は、ビョークの『ホモジェニック』やマウス・オン・マーズ『オーディオタッカー』とか。

小山田:ああ、なるほど。

で、翌年の1998年はトータスの『TNT』......という感じなんだよね。

小山田:ちょっと変わりますね。

そうだね。98年にはゴッドスピード・ユー・ブラック・エンペラー!も出てくるしね。まあ、当たり前だけど、作業しながら、いろいろ思い出したでしょう。

小山田:そう、思い出したし、多くのことを忘れていることに気がついた。けっこうここまで地続きで来ちゃっているというか、そんなに時間が経ってないような気がするんですよね。たとえば97年からさらに13年前となると、84年になるんですけど、そうなると中学や高校生のときで、そこから『ファンタズマ』までの自分のなかでの変化はすごく大きいんですよ。でも、『ファンタズマ』から現在まではそんなにやってることが変わっていないというか。年齢も歳を取るごとにスピードが速く感じるじゃないですか。だから振り返ってみるとすごく時間が経っているんですけど、意識としてはそんなに経っていない感じなんですよね。だけど、いまこうやって当時の話をすると覚えていないことがすごくあって、まったく記憶から抜けていることがあるんですね。それがびっくりしましたね。

たしかに、13年前なんて、昨日のことのように思うもんね。

小山田:そうですよね。

それでは当時を思い出しつつ、話をしてもらえたらと思うんですけど、『ファンタズマ』とはそもそもどこから手を付けたんですか?

小山田:......それもぜんぜん覚えていない(笑)。

ハハハハ。いちおう、歴史的には「エイフェックス・ツインとブライアン・ウィルソンとの出会い」ということがクリシェになっているんだけど、ただこの1枚のなかには到底そのふたつだけでは語れない、ものすごい情報量が入っているじゃない。その後の『ポイント』以降と比較しても、信じられないほどの情報量だよね。むしろ『ポイント』以降はどんどん抽象的になっていくからね。とにかく、あらためて驚くのは、このアルバムに詰め込まれた情報量だよね。

小山田:そうですね、そのピーク感みたいなのは感じますね。

その前作に当たる『96/69』にも、ヘヴィ・メタルとヒップホップがごっちゃになった感じがあるけど、『ファンタズマ』はまたそことも違うし。

小山田:『ファンタズマ』のほうが内省的ですよね。

すごくコンセプチュアルで、はじまりと終わりがしっかりできているし。

小山田:どこから手を付けたのかという話だけど、たぶんいちばん最初は、"Mic Check"からやった気がする。頭から順に曲を作っていったと思うんですけど......。

"Mic Check"からなんだー。

小山田:おそらく。

それは面白い。

小山田:昔、『ウゴウゴルーガ』というTV番組があって、なかに「音の博物館」というコーナーがあって、そこでムシが交尾する音とか、すごく増幅したような音を聴かせるコーナーを持っていた人がいて、藤原(和通)さんという音フェチのアーティストがやっていたんですけど。その人がバイノーラル録音できるハンディ型のマイクを作っていて、売ってたんですよね。それを中原(昌也)くんと一緒に買いに行ったんですよ。そのマイクをDATに繋いで、いろんな音を録っていって、その頃に"Mic Check"を作るんですよね。

それは興味深い話だね。"Mic Check"は名曲だと思っているんだけど、あの曲の最初の1分強のイントロの部分のものすごい細かいカットアップがあるじゃない。あれからドラムがが入るまでがすべてを物語っているように思っていて。

小山田:あれは......バイノーラル録音だから耳で聴いているのとすごく近い臨場感のある音が録れるんですよ。それで録ったものから効果的なものを並べて、チョイスしていったという感じです。立体録音を最初にやったヒューゴ・ズッカレリという人がいるんですけど、その人は自分の録音方法を明かしてなくて、僕のやり方とは違うんですけど、その人の録音したテープが、僕が高校生のときに売ってたんですよね。六本木WAVEの1階に。

へー、1階に。

小山田:1階にね、面白い音楽......じゃないな、なんかスピーカーが売っていたり、ヒョウタンで作ったスピーカーとか。

えー、何年?

小山田:僕が高校生ぐらいのときですよね。で、それを聴いたことがあって。それをヘッドフォンで聴いていると、実際に髪の毛切られたり、ドライヤーをかけられたりするのを感じるんですよ。それをよく覚えていて......ヒューゴ・ズッカレリはマイケル・ジャクソンもやっているし、"バッド"の後半かな、それからサイキックTVもやっていますよ。

"Mic Check"って『ファンタズマ』を象徴する1曲だと思うんだけど、やっぱ"Mic Check"が完成したことで、アルバム全体が見えましたか?

小山田:そこまでではないですよね。何曲かやってみてからですね。

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そのちょっと前ぐらいに境界線が崩壊していったような記憶があるんですよね。たとえば、この頃は砂原くんとよく遊んでいたんですけど、そのちょうど1年くらい前かな......、クアトロで中原君の暴力温泉芸者のライヴがあって、で、そのときにいろんな人が来ていて、そこで僕は初めて砂原くんと喋ったんですよね。


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いまではロック・バンドがエレクトロニクスを使うことは当たり前になったけど、当時はまだそれがすごく冒険的だったでしょ。

小山田:いや、そんなことはない。すでにたくさんいたと思いますけどね。

誰がいたっけ?

小山田:YMOとか。

だってそれはテクノでしょ(笑)。

小山田:バンドじゃないですか。

まあ、70年代はね、他にもいろいろと。

小山田:電子音楽とロックって、70年代からじゃないですか。

でも、97年と言えば、レディオヘッドの『キッドA』よりも3年前だし、当時はロック/ポップス系ではビョークがエレクトロニカ(IDMスタイル)を取り入れた『ホモジェニック』を出して話題になったくらいだったし。コーネリアスがよくいっしょにライヴをやっていたバッファロー・ドーターもエレクトロニクスを導入したのが早かったように記憶しているんだけど、ロック・バンドって、けっこうまだグランジ系の名残みたいなのもの多かったし、テクノを嫌いなバンドも多かったし。

小山田:でもコーネリアスってバンドじゃないし(笑)。あと、フリッパーズの3枚目がけっこうサンプリング使ってたから。

まあ、そうか。自分のなかではとくに飛躍したという感覚はないんですね?

小山田:とくに変わったとは思わなかったですけど、自分がいままで目指していたけど到達できなかったというか、わりと自分が納得できる完成度までいったという感触はあったと思うけど。

さっき曲順に作っていったと言ってたけど......。

小山田:全部じゃないけど、ほとんど曲順ですね。これ、曲がシームレスに繋がっているんですけど、"Mic Check"からはじまって、そのエンディングから「では、次はどうなるんだろう?」ということで作っていった。そう、そういう作り方をしていったんだと思います。

"2010"みたいなブレイクコアや"Star Fruits Surf Rider"のサビに関してはエイフェックス・ツインからの影響とよく言われているんだけど、それは当たっている?

小山田:そうですね。エイフェックス・ツインはもちろんですけど、あとドラムンベースですね。リズムであったり。

あの当時、ロック・バンド......いや、バンドじゃないんだけど、ロック文化とテクノのあいだにはいまよりもずっと距離があったと思うんだよね。

小山田:そうですかね。そのちょっと前ぐらいに境界線が崩壊していったような記憶があるんですよね。たとえば、この頃は砂原くんとよく遊んでいたんですけど、そのちょうど1年くらい前かな......、クアトロで中原くんの暴力温泉芸者のライヴがあって、で、そのときにいろんな人が来ていて、そこで僕は初めて砂原くんと喋ったんですよね。

へー。

小山田:面識はあったんだけど、ゆっくり話したのは初めてでしたね。で、その頃にいろんなジャンルの境界線が崩壊していくのを感じたんですけどね。

ただ、前例のないことをやろうとしていたわけでしょ?

小山田:まあ......。

たとえば"Star Fruits Surf Rider"のシングルは2枚同時発売で、同時ミックスすると1曲になるというアイデアだったり。

小山田:あれはね、「できない」と言われました(笑)。当時はまだ、8センチ・サイズの短冊形のシングルがあったでしょ。もうほとんどマキシ・シングルに移行しつつある時期だったんだけど、あれに2枚入れて、「2台のコンポで同時に鳴らしてください」としたかったんだけど、「できない」と。

ハハハハ。ちなみに"Star Fruits Surf Rider"は当時、USとUKでシングル・カットされているんだけど、UKでは次に"Free Fall"がシングル・カットされているんだよね。

小山田:あー、そうか。

で、意外だったのが、"Chapter 8"がUSとUKとドイツでシングルになっているんだよね。

小山田:そうですよね。

リリースに脈絡がないというかね、国や担当者によって、好みの曲がすごくバラバラだったんじゃないかなと。

小山田:そうなんですよ。日本で出すときは担当者と話して、「じゃあ、これを出しましょう」という流れで決めていたんですけど、『ファンタズマ』は初めての海外だったし、コミュニケーションがぜんぜん取れてなくて、「Free Fall」もできた盤がいきなり送られてきたりして、「え? これですか?」みたいな(笑)。ジャケットも向こうで勝手にデザインされていて、けっこうびっくりしてましたね。まあ、向こうなりの考えがあって出していたと思うんですけど、それはこっちとぜんぜん違う感じでしたよね。

とくに"Chapter 8"なんかは、"Star Fruits Surf Rider"とはぜんぜん違う傾向の曲だし。

小山田:そうですよね。

レーベルのほうでも『ファンタズマ』をどう売っていけばいいのか迷っている感じがあって面白いんですけど、〈マタドール〉との契約はどうやって決まったんですか? 向こうから?

小山田:そうです。

〈マタドール〉は、すでにピチカート・ファイヴを出していたんだっけ?

小山田:ギター・ウルフも出してましたね。〈マタドール〉は日本のバンドをけっこうチェックしてたんじゃないですか。『ファンタズマ』で海外ツアーに行ったときも、日本の音楽が流行っていましたからね。向こうの人が日本という国を発見したというか。

バッファロー・ドーターもそうだったし。

小山田:チボマットとか、うちの奥さん(嶺川貴子)もそうだったし。

少年ナイフとか。

小山田:少年ナイフはもうちょっと前だね。

ボアダムスや中原昌也もそうだよね。

小山田:まりんもヨーロッパでDJやっているし。ちょうど90年代後半は、渋谷にはレコード屋さんがたくさんあって、海外の人が渋谷にレコードを買いに来るような時代だったでしょ。同時に日本のポップ・カルチャーが注目されていた時代だったと思うんですよね。

そうだったね。当時、とくにリアクションが面白かった国はどこですか?

小山田:会場単位ではあるんですけど、国という単位ではすぐに思い出せないんですよね。まあ、でもこの頃はイギリスが大きかったですね。アメリカよりもイギリスでしたね。ヨーロッパのなかでもイギリスがいちばん大きかったです。

ツアーも最初はイギリスからだったの?

小山田:最初はテキサス。サウス・バイ・サウス・ウェストで〈マタドール〉のショーケースがあって、そのあとヨーロッパ・ツアー、最初がオランダだった気がする。イギリスはかなり細かく回ったんですよね。最初に話題になったのはイギリスだったんじゃないのかな。

それは僕も記憶しているかな。最初はロンドンの友人から知らされたし、『ファンタズマ』は98年の『WIRE』誌の年間チャートにも入っているからね。ただこの頃は、作っているときに海外のリスナーに届けようなんていう気持ちはなかったわけでしょ?

小山田:ぜんぜん......とくになかったですね。

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何かが終わっていくような感覚はすごく出ていると思うんですよね。20世紀が終わっていく感じや、作品のなかのものすごい情報量に関しても、その当時の街の雰囲気からの影響が関係していると思うし。当時の僕は、毎日毎日渋谷に行ってレコードを買っていた。そういったことすべてに影響されていると思うし。


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あらためて聴いてみると、"Clash"みたいな歌モノというか、ああいう曲がまた面白いんですけど、それこそ『ポイント』以降は作っていないタイプの曲でしょ?

小山田:そうかもしれないですね。

"Clash"というのは、ジョー・ストラマーのクラッシュのこと?

小山田:まあ、それにもかけている......みたいな感じかな。

ハハハハ。『ファンタズマ』という作品のなかに"Clash"という曲が収録されているのが、なんだか倒錯している感じに思えたんだけど、なぜ当時、よりによってこの作品で"Clash"とか"ミック・ジョーンズ"という言葉を歌ったの?

小山田:なぜでしょうね? いや~。

そこに『ファンタズマ』の秘密があるんじゃないかと思っているんですけどね(笑)。

小山田:ぜんぜんクラッシュっぽい曲じゃないし。

それがひとつ、『ファンタズマ』の立脚点を表している気がして、ついつい深読みしたくなるんだけどね。

小山田:んー、なんかその、組み合わせが面白いと思ったのかな。

話が逸れるんだけど、いま、英米のロック・ジャーナリズムのあいだでエスケイピズム論争というのが起きているのね。僕はけっこう好きになって追いかけているUSインディの動きでチルウェイヴっていうのがあってね、シューゲイザーと80年代ディスコを組み合わせたような宅録の音楽なんだけど、「その音楽は逃避的である」と、「何も言っていないじゃないか」と、そういう批判があるいっぽうで、「逃避的で何が悪い」という意見とかいろいろあって、とにかく熱くなっているんだよね。で、そのエスケイピズムの音楽の流れを作ったバンドのひとつがアニマル・コレクティヴとなっていて、アニマル・コレクティヴの音楽はたしかにファンタジーなんだけど、それが出るもっと前には『ファンタズマ』があったと思ったんだよね。

小山田:最初じゃないけどね。

最初じゃないけど、アニマル・コレクティヴよりも前にそれをやっているでしょ。

小山田:『ファンタズマ』というタイトルが付いているぐらいだから、ファンタジーという意味ではそうだけど......、まあ、ファンタジー的なものだとは思うんですけど、いまあらためて聴いたときに、たしかに当時の社会状況を意識して作っていたわけじゃないんですけど、その当時の社会の雰囲気は作品に残ってしまっていると思うんですよね。「歌は世につれ~」じゃないけど、作品は社会と無縁ではいられないと思うんですよね。

あらためてそこを感じる箇所っていうのはある?

小山田:パッケージをふくめ、すべては当時にしか作れなかったモノなんですけど、内容的にも、何かが終わっていくような感覚はすごく出ていると思うんですよね。20世紀が終わっていく感じや、作品のなかのものすごい情報量に関しても、その当時の街の雰囲気からの影響が関係していると思うし。当時の僕は、毎日毎日渋谷に行ってレコードを買っていた。そういったことすべてに影響されていると思うし。

なるほど。

小山田:その時代を生きている以上は、社会をまったく切り離して音楽だけを作ることはできないと思いますね。だから、どんなにファンタジー的なものを作ろうとしても、作品にはそういった社会からの影響が反映されてしまうんだなということを、あらためていま思いますけどね。

なるほど。ある意味では『ファンタズマ』はすごくエモーショナルな作品でもあると思うんですよね。しかもどちらかと言えばセンチメンタルな作品だと思うんですけど、"Clash"もそうだけど、"God Only Knows"とか、それこそ"Mic Check"からしてそういう感覚があるでしょう。"Star Fruits Surf Rider"のようなロマンティックな曲にもセンチメンタルな感じがあるし。

小山田:うん、全体的なトーンはそんな感じがしますね。

で、そのいっぽうでは、"Free Fall"や"Monkey"や"2010"のような躁状態の曲もあるんだよね。すごく分裂的な内容になっているというか。何なんですかね?

小山田:何なんでしょうね(笑)。躁状態の曲が突然出てくるし、でも、全体の印象は感傷的ですよね。ただ、作っているときは自分を客観的に観れないんですよ。時間経って、初めて、客観的にそう思える。

『ポイント』や『センシュアス』って見事にコントロールされている作品だと思うんだけど、『ファンタズマ』は制御できずに壊れている感じもあるでしょう。しかも、最後の"Thank You For The Music"で、おちゃらけている。僕のバカな夢につき合ってくれてありがとう、バイバイみたいな。このおちゃらけ方がアルバムの感傷性を隠しているように思ったんだよね。リスナーを最後にきてまた騙しているというか。

小山田:うーん。

ホントのところはどうなんですか(笑)?

小山田:どうなんでしょうね。ま、クセみたいなものかな。

ハハハハ。

小山田:わかんないですけど(笑)。まず、入口があって出口がある作品にしたかったんですよね。現実から別世界に行って、どうやって現実に戻ってくるかみたいな......その落とし方というんですかね。

一瞬、素顔を見せておいて、最後に仮面を被って去るって感じじゃないんだ(笑)?

小山田:どうでしょう(笑)。ただ、これはすごくCDらしい作りだなと思いますけどね。いまはもう、コンピュータに取り込んで断片的に音楽を聴くじゃないですか。それ以前のアナログ盤の時代はレコードをひっくり返すという作業があったじゃないですか。レコードはそれに合った作りをしていたと思うんですけど、『ファンタズマ』はCDらしいCDですよね。実際、自分でもCDウォークマンで聴いていた気がするんですよね。

そうだね。ただ、全体の尺は45分くらいでレコード時間なんだよね。それぐらいがアルバムを聴くのに良い時間だよね。そういえば、未発表やリミックスを収録したもう1枚のCDがあるじゃない。その最後に入っている常磐響のリミックスが最高だったね(笑)。

小山田:ハハハハ、あれはね、彼が自分でぜんぶ喋っている。

へー、さすがだね。あの常磐響のミックスが極端な例なんだけど、小山田くんは自分のやっていることを自分で相対化するのが好きだよね。

小山田:好きなのかな。でも過去の自分と向き合うっていうのは、けっこう辛いですよ。辛い作業でもありますよ。過去の自分の写真、動いている映像を観るのは......けっこう、辛いです。

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サンプリング・コーラジュみたいなことをずいぶんやっているんですよね。海外盤を出すときに使用料は払いましたけど、いま同じことをやったら莫大な金額になってしまう。わりとざっくりしたサンプリングを使えた最後の時代の作品かもしれない。お金ない人がクリエイティヴなサンプリングを使って面白いことをやるっていうのはもう、90年代末からできなくなってしまいましたよね。


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話変わるけど、『ファンタズマ』ってブラジル盤も出ているんだよね。

小山田:出ている。ブラジルの人いましたよ。担当の人が。その人はいまでも毎年クリスマスになるとミックスCDみたいなのを作って送ってくれる。

素晴らしい人ですね。

小山田:ブラジルのディストリビューションやっている人ですね。

ちなみに『ポイント』はメキシコ盤があるんだよね。

小山田:『センシュアス』もメキシコ盤があるんですよ。いまでもメキシコの人からメールが来ますよ。『センシュアス』はアメリカの契約が西海岸のレーベルだったこともあって、近いじゃないですか、メキシコと。フェスをやると、メキシコからもお客さんがたくさん来るんですよ。

意外とラテン受けしているのかね。

小山田:彼らにとっても地球の裏側の音楽だから、よほど変な風に聴こえているかもね。こっちがブラジルのサイケを面白がっているように......。

そうとうエキゾティックに聴こえるんだろうね。

小山田:カエターノ・ヴェローゾの息子のモレーノ、その人まわりにカシンって人がいて、アート・リンゼーなんかといっしょにやっている人なんですけど、後に仲良くなるんですけど、その人なんかは当時ブラジルで『ファンタズマ』をよく聴いていたって言ってましたね。

実際、『ファンタズマ』にはブラジル音楽の要素もあるしね。

小山田:当時は、ムタンチスとか好きでしたね。

なるほどね。

小山田:再評価されてたでしょ。

そうだったね。カエターノ・ヴェローゾにもサイケな作品があるしね。

小山田:カエターノのサイケな作品もよく聴いてましたね。

それで『ポイント』に"ブラジル"という曲が入るんだ。

小山田:いや、あれはたまたまです。

さっきも言いましたが、『ポイント』以降は、どんどん抽象化の方向に進むでしょう。『センシュアス』になるとほとんどテクノというか、たとえば"Gum"みたいな曲と"Free Fall"を聴きくらべるとよくわかるというか、ホントに断片化されているなって思うんですけど。

小山田:でも、『センシュアス』に入っている"Music"なんかは普通に歌モノですよ。歌も好きなんで、そういうのもやりたいとは思っているんですけどね。

『センシュアス』へと続く方向性の発端は『ファンタズマ』なわけですよね。

小山田:そうと言えばそうだけど、でも、作り方が違いますね。『ファンタズマ』のときはレイヤーを重ねていく感じの作り方だったけど......『ファンタズマ』はまだサンプリングしているし、サンプリング・コーラジュみたいなことをずいぶんやっているんですよね。海外盤を出すときに使用料は払いましたけど、いま同じことをやったら莫大な金額になってしまう。当時はDJシャドウみたいな人がいたけど、それより先はアクフェンみたいにもっともっと細かくサンプリングしていくか、あるいはもうサンプリングはしない方向性になっていくじゃないですか。だから、わりとざっくりしたサンプリングを使えた最後の時代の作品かもしれない。

あのざっくりしたサンプリングの良さってあるからね。

小山田:その良さはあるけれど、いまはもう作れない。お金持ってる人が超大ネタ使ってやるっていうのはあるけど。そのまんま使って、歌入れてラップ入れてヒットさせるとか......。でも、お金ない人がクリエイティヴなサンプリングを使って面白いことをやるっていうのはもう、90年代末からできなくなってしまいましたよね。その代わりにティンバランドみたいな面白い打ち込みで作る人が出てくるんですけど。

たしかにそうだったね。

小山田:それと......『ファンタズマ』の頃はまだ商業スタジオで録音していたんですよ。『ポイント』からは自分のスタジオで録音しているんですけど。

外のスタジオを借りて『ファンタズマ』を作っていたというのもすごいね。

小山田:スタジオ代って高いじゃないですか。だから、たぶん『ファンタズマ』は2~3ヶ月で作っているんですよね。『ポイント』はもっと長くスタジオに居られたんだけど......。あの当時はまだ若かったし、毎日のように朝まで徹夜してましたね。『ポイント』からはもう、徹夜できなくなりましたけどね(笑)。

ele-king - ele-king

ele-king Chart


1
Darkstar - North - Hyperdub

2
Terror Danjah - Undeniable - Hyperdub

3
Lone - Emerald Fantasy Tracks - Magic Wire

4
Robot Koch - Songs For Trees And Cyborgs - Project:Mooncircle

5
Robert Wyatt/Ros Stephen/Gilad - For the Ghosts Within -Domino

6
Cornelius - Fantasma - Warner Japan

7
Girls - Brocken Dream Club - True Panther

8
Colored Mushroom And The Medicine Rocks - Wagon

9
Magnetic Man - Magnetic Man - Sony Music

10
Mount Kimbie - Crooks & Lovers - Hotflush Recordings
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