「Re」と一致するもの

Laurel Halo - ele-king

 もし「近年のエレクトロニック・ミュージックの担い手たちのなかで、OPNやアルカと肩を並べるくらいのタレントは誰か」と問われたなら、僕は迷わずローレル・ヘイローの名を挙げる。『Quarantine』『Chance Of Rain』『In Situ』と、作品ごとにスタイルを変えながらしかしつねに唯一無二のサウンドを響かせてきた彼女が、この初夏にニュー・アルバム『Dust』をリリースする。いま彼女が鳴らそうとしているのはいったいどんなサウンドなのか? 彼女は今年の1月に初音ミクにインスパイアされたプロジェクトの新曲も発表しているが、来るべき新作にはそれと関連した要素も含まれているのだろうか? いろいろと疑問は尽きないけれど、クラインラファウンダも参加していると聞いては、期待しないでいるほうが難しい。『Dust』は6月23日に〈ハイパーダブ〉よりリリース。

 ところで、「宅録女子」という言葉、いい加減なんとかならんのだろうか……

宅録女子から唯一無二の気鋭音楽家へ
〈Hyperdub〉に復帰し完成させた待望の新作『Dust』のリリースを発表!
ジュリア・ホルターやイーライ・ケスラーなど注目の才能が多数参加した注目作から
新曲“Jelly”のミュージック・ビデオを公開!

いきなり英『WIRE』誌のアルバム・オブ・ザ・イヤーを獲得し、主要メディアが絶賛したデビュー・アルバム『Quarantine』やエクスペリメンタル・テクノ作『Chance of Rain』などのアルバムを通し、高度なスキルと独創性を兼ね備えたポスト・インターネット世代の代表的アーティストとして注目を集めるローレル・ヘイローが、2015年に〈Honest Jon’s〉からリリースされたアルバム『In Situ』を経て、再び〈Hyperdub〉に復帰! 会田誠の『切腹女子高生』をアートワークに使用したことも話題となった『Quarantine』以来となるヴォーカル作『Dust』を完成させた。

今回の発表と同時に、昨年〈Warp〉からデビューを果たしたLafawndahとサウス・ロンドンのシンガー兼プロデューサー、Kleinがヴォーカル参加した新曲“Jelly”を公開した。

Laurel Halo - Jelly (Hyperdub 2017)
https://youtu.be/IrjeMN_U1hw

本作の作曲作業は、実験的な科学技術を使った作品、電子音楽やパフォーミング・アーツの発表/研究/作品制作のほか、ワークショップやトークなどをおこなう施設として設立されたメディア&パフォーミング・アーツ・センター(Experimental Media and Performing Arts Center)、通称EMPACでおこなわれている。そこで様々な機材へアクセスを得たローレル・ヘイローは、制作初期段階をひとりでの作業に費やし、終盤では前述のLafawndahと、ニューヨークを拠点にパーカッショニスト兼画家としても知られるEli Keszlerを招き、セッションを重ね、2年間の制作期間を経て完成させた。

より洗練されたソング・ライティングとカットアップ手法、即興を取り入れた電子音が特徴的な本作には、そのほか、Julia Holterや$hit and $hineのCraig Clouse、Zsのメンバーであるサックス奏者、Sam Hillmerのソロ名義Diamond Terrifierなどが参加し、そのハイセンスな人選にも要注目。

参加アーティスト:
Klein
Lafawndah
Michael Salu
Eli Keszler
Craig Clouse ($hit and $hine)
Julia Holter
Max D
Michael Beharie
Diamond Terrifier

ローレル・ヘイローの最新アルバム『Dust』は、6月23日(金)に世界同時リリース! 国内盤にはボーナストラックが追加収録され、歌詞対訳と解説書が封入される。iTunesでアルバムを予約すると、公開された“Jelly”がいちはやくダウンロードできる。

label: HYPERDUB / BEAT RECORDS
artist: LAUREL HALO
title: DUST
release date: 2017/06/23 FRI ON SALE

国内盤CD BRC-551 定価 ¥2,200(+税)
ボーナストラック追加収録 / 解説書・歌詞対訳封入

iTunes: https://apple.co/2pVIFwG

[TRACKLISTING]
01. Sun to Solar
02. Jelly
03. Koinos
04. Arschkriecher
05. Moontalk
06. Nicht Ohne Risiko
07. Who Won?
08. Like an L
09. Syzygy
10. Do U Ever Happen
11. Buh-bye
+ Bonus Tracks for Japan

TOYOMU - ele-king

Current top 9

Jeff Parker - ele-king

 去る4月に最新ソロ作『The New Breed』の日本盤がリリースされたジャズ・ギタリスト、ジェフ・パーカー。彼はトータスのメンバーとして有名ですが、ソロとしても魅力的な活動を継続しています。その彼の来日公演が来週から始まります。スコット・アメンドラ・バンドやトータスのステージも含めると、なんと14公演もプレイする予定です。詳細を以下にまとめましたので、ぜひチェックしてください!



■SCOTT AMENDOLA BAND featuring
 NELS CLINE, JEFF PARKER, JENNY SCHEINMAN & CHRIS LIGHTCAP

会場:COTTON CLUB
日程:2017年5月11日(木)~5月13日(土)
時刻:
●5.11 (thu) & 5.12 (fri)
[1st. show] open 5:00pm / start 6:30pm
[2nd. show] open 8:00pm / start 9:00pm
●5.13 (sat)
[1st. show] open 4:00pm / start 5:00pm
[2nd. show] open 6:30pm / start 8:00pm
出演:Scott Amendola (ds), Nels Cline (g), Jeff Parker (g), Jenny Scheinman (vln), Chris Lightcap (b)

* ウィルコのネルス・クラインとともにスコット・アメンドラ・バンドの公演に出演。

https://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/artists/scott-amendola/


■Jeff Parker『The New Breed』発売記念ミニ・ライヴ、トーク&サイン会

会場:タワーレコード 渋谷店 6F
日時:2017年5月14日(日) 16:00 start
出演:Jeff Parker (Jeff Parker & The New Breed, TORTOISE), 柳樂光隆 (Jazz The New Chapter) ※インタヴュアー

* 〈HEADZ〉主催のインストア・イベントに出演。今回の来日公演のなかでは唯一のソロ・ライヴ。

https://towershibuya.jp/2017/05/01/95261


■TORTOISE

会場:Billboard LIVE TOKYO
日程:2017年5月15日(月) & 2017年5月17日(水)
時刻:[1st] 開場 17:30 開演 19:00 / [2nd] 開場 20:45 開演 21:30

会場:Billboard LIVE OSAKA
日程:2017年5月19日(金)
時刻:[1st] 開場 17:30 開演 18:30 / [2nd] 開場 20:30 開演 21:30

* ビルボードライブ東京およびビルボードライブ大阪にてトータスの単独公演が開催。

PC: www.billboard-live.com
Mobile: www.billboard-live.com/m/


■GREENROOM FESTIVAL ‘17

会場:横浜赤レンガ地区野外特設会場
日程:2017年5月21日(日)

* GREENROOM FESTIVAL ‘17の2日目、〈GOOD WAVE〉ステージにトータスとして出演。

https://greenroom.jp

【リリース情報】

アーティスト: Jeff Parker / ジェフ・パーカー
タイトル: The New Breed / ザ・ニュー・ブリード
レーベル: International Anthem Recording Company / HEADZ
品番: IARCJ009 / HEADZ 218
発売日: 2017.4.12
価格: 2,000円+税
日本盤ライナーノーツ: 柳樂光隆(Jazz The New Chapter)
※日本盤のみのボーナス・トラック Makaya McCraven Remix 収録

[Tracklist]
01. Executive Life
02. Para Ha Tay
03. Here Comes Ezra
04. Visions
05. Jrifted
06. How Fun It Is To Year Whip
07. Get Dressed
08. Cliche
09. Logan Hardware Remix (produced by Makaya McCraven)

https://www.faderbyheadz.com/release/headz218.html


【関連盤ご紹介】

アーティスト: Jamire Williams / ジャマイア・ウィリアムス
タイトル: Effectual / エフェクチュアル
レーベル: Leaving Records / Pヴァイン
品番: PCD-24617
発売日: 2017.4.19
価格: 2,400円+税
解説: 柳楽光隆(Jazz The New Chapter)
※日本盤限定ボーナス・トラック2曲収録

[Tracklist]
01. Who Will Stand?
02. The Fire Next Time
03. Selectric
04. Truth Remains Constant
05. Dos Au Soleil
06. Chase The Ghost
07. Wash Me Over (Pollock's Pulse)
08. In Retrospect
09. Futurism
10. [ Selah ]
11. Children Of The Supernatural
12. Illuminations
13. The Art Of Losing Yourself
14. Collaborate With God
15. Collaborate With God (Drums and Strings Mix)
16. Triumphant's Return

* ジェフ・パーカー『The New Breed』にも参加するドラマー、ジャマイア・ウィリアムスによるデビュー・アルバム。

https://p-vine.jp/music/pcd-24617

interview with Arca - ele-king

自分は100%プロデューサーだとも、あるいは自分は100%シンガー・ソングライターだとも感じていないんだよ。僕が「自分は中間にいる、どっちつかずだ」と感じる。そんなわけで、僕のこれまでの人生というのはずっとこう、思うに……「中間に存在する」っていう瞬間の集積なんじゃないかな。


Arca - Arca
XL Recordings/ビート

ExperimentalArca

Amazon

 無性の生命体である「ゼン」、あるいはその名の通りの「ミュータント」と、これまでのアルカの表現は自画像を極端なまでに奇形化したものとして出現していた。それは彼、アレハンドロ・ゲルシのルーツであるヴェネズエラにおいて同性愛を隠さねばならなかったことと密接に関わっていることはすでに明らかにされており、彼が描く官能はひどく禍々しくグロテスクなものだ。それはヴェネズエラ時代の彼にとってセクシュアリティ自体が端的に異物だったからだ。
 さらに過剰に断片化したビートやノイズが吹き荒れる攻撃的なミックステープ『Entrañas』を通過して、しかし、彼の新作『アルカ』はゲルシ自身の声と歌を中心に据えたもっとも甘美な一枚となった。そこではたしかにインダストリアルな音色や複雑怪奇な打撃音の応酬も聞こえはするが、それ以上に引きずりこまれるように誘惑的な旋律が響いている。それはかつて自分が話していた言葉であるスペイン語で歌うことを通して、自身の内面と過去の痛ましい記憶にさらに潜行し、そこにたんなる悲しみや苦しみで終わらない美しい何かを見出したことによるものだ。『アルカ』はだから、ゲルシが異物としての自分を柔らかく受容するアルバムである。
 
 以下のインタヴューでアルカは、自らのメランコリーやセクシュアリティ、歌うことやあるいは彼だけの「美」について驚くほど率直に語っている。隠蔽されていたものが解放される瞬間に沸き起こるエロス、その眩しさをアルカはわたしたちに余すことなく体感させようとする。 (木津)

このレコードで何が起きたかと言うと――たまたまなんだけれど、自分の取り組んでいたテーマ群そのものが、僕に自分のヴォイスを用いることを欲してきたんだ。だから、ある特定の類の……「傷つきやすさ」を現す、その必要が僕にはあった、と。それからまた、ある種の……「生々しさ」を体現する、その必要もあった。

坂本(以下、□):もしもし、アルカでしょうか?

アルカ:うん、アルカだよ。(日本語で)ハジメマシテー!

(笑)わぁ……ハジメマシテ! す、すごいな(笑)。えーと、電話インタヴューをやる予定なんですけども、始めてかまわないでしょうか?

アルカ:(児童が答えるように元気な日本語で)ハイッ!!

(笑)このまま、日本語でインタヴューしましょうか?

アルカ:いやいやいや、それはなし(笑)! どうなるか、想像してごらんよ(笑)……ヨロシクオネガイシマース!

(笑)ヨロシクオネガイシマース。にしても、アルカさん、日本語お上手ですね。

アルカ:日本に行ったことがあるし、日本は大好きだからね。フフフッ!

いつ、日本に行かれたんですか? 

アルカ:日本には何度も行ったよ。たしかもう4回、いや、5回くらい行ったことがあるんじゃないかな。

それは、ライヴをやるために、ですか?

アルカ:最初の3回は、旅行だったね。僕は……とても若い頃から、日本のカルチャーと強いつながりを感じていてね。だから、大学では日本映画と日本文学について学んだんだよ。

ああ、そうだったんですか! それは素晴らしい。

『アルカ』はとても独創的な音響を持ち、メランコリックで、しかもパワフルで、強く訴える何かを持った作品です。まず、アルカにとってはじめてのヴォーカル作品であり、ある意味ではシンガー・ソングライターとしてのアルバムだと言えます。高校生当時ニューロ(NUURO)名義で歌っていたとはいえ、やはりそれとは意味合いがかなり異なると思えますが、アルカというプロジェクトにおいて歌とは何を意味するのでしょうか? 

アルカ:フム……そうだな……君の言わんとしていることは理解できるけれども……そうだな、この点をもっとも簡単に説明するとすれば、思うに……ミュージシャンとして、自分が音楽を作る際に、僕は……ある種の「ゴーストたち」を、人間として、自分の人生のその時々の中に捜し求めているんだよ。で、僕はたいてい、いつも音楽を作っているわけだよね。だから……「これをやろう」と決めると言うよりも、むしろ「受け入れる」ってことなんだ。ときに、直観は僕にとある響きを持つひとつのレコードを作りなさいと言ってくるし、また、その次の作品はそれとはまったく違う音のものになることもある。ただ、そういう経験は僕にとってはべつに目新しいものでもなんでもなくてね。思うに、自分がつねに追い求めているのはそれなんじゃないか、と。
 というわけで……そうだな、今回はある意味、自分にとって楽ではないことをやろうと仕向けた、みたいな感じかな。自分自身にチャレンジしようと、とても努力したよ。というのも……もしも自分が挑戦を受けたら……そうやって、自分自身の内面で何かと闘おうとする、あるいは、自分でもこれまであまりよく知らなかった自分のとある側面にコネクトすべく奮闘すれば……おそらく、自分は自分の「正直さ」を見つけられるんじゃないか? と。コミュニケートするときの誠実さ、ということだよね。で、このレコードで何が起きたかと言うと――たまたまなんだけれど、自分の取り組んでいたテーマ群そのものが、僕に自分のヴォイスを用いることを欲してきたんだ。だから、ある特定の類の……「傷つきやすさ」を現す、その必要が僕にはあった、と。それからまた、ある種の……「生々しさ」を体現する、その必要もあった。だから、純粋に必然、だったんだ。なんというか、ほとんどもう自分の口が勝手に開いて声を出していた、みたいなね。というわけで、僕としては自然に声が出てくるのならそうさせようじゃないか、そう、意識的に決断するしかなかった、という。

なるほど。

アルカ:で……うん、これを「ある意味でのシンガー・ソングライター•アルバム」と呼ぶのはアリだろ? 僕もそう思うんだよ。ただ、僕は……自分のこれまでの過去が非常に……複雑なものであったこと、その点については本当に感謝している、というかな。だから、僕というのは……人生のじつに多くの面において、僕は「自分は“中間点(in between)”にいる」、そんな風に感じていてね。だから、僕はヴェネズエラで生まれたけれど、いまこうして話していてもお分かりのように、ヴェネズエラの訛りなしで英語で話している。だから、僕はふたつの言語をアクセントなしで喋っている、ということ。で、それがどういうことかと言えば、アメリカ、ヴェネズエラの両国でそれぞれ暮らしていたときも、僕はいつだって「自分はアメリカ人だ」とも、あるいは「ヴェネズエラ人だ」とも感じたためしがなかった、という。だから、その意味で、僕には「自分はどこにも属することがなかった」みたいなフィーリングがあるんだよ。で……おそらく僕のセクシュアリティ、それから……僕の装いを通じての自己表現の仕方について、それらを……「アルカは、彼の抱いている“自分は(「あちら」でも「こちら」でもない)中間点に存在する”という感覚を、ああして外に見える形で出している」と評することはできると思う。セクシュアリティ、そしてジェンダーの双方の意味合いでね。

はい。

アルカ:で……だから、僕はそれと同じように、自分は100%プロデューサーだとも、あるいは自分は100%シンガー・ソングライターだとも感じていないんだよ。思うにそれもまた、僕が「自分は中間にいる、どっちつかずだ」と感じる、そういう場所のひとつなんだろうね。そんなわけで、僕のこれまでの人生というのはずっとこう、思うに……「中間に存在する」っていう瞬間の集積なんじゃないかな。で、「中間点」っていうのは、普通はみんなが避ける場所なんだよ。というのも、ものすごく居心地の悪い状態だから。

(笑)たしかに。

アルカ:そういう状態にいるなと自分が感じていると、まず、他者とのコミュニケーションが難しくなる。それに……自分自身に対しても楽でいにくくなる。というのも、「自分はどこにも属せないんだ」って風に感じているわけだからね。だから、たぶん、僕のこれまでの人生というのはすべてそうした「中間点/どっちつかず」の連続だったんだろうし、そんな空間に存在することで自分の感じている苦痛を、僕は……美しいものとして見ようとしている、あるいは、その苦痛から何かしら美しいものを作り出そうとトライしているんだ。おそらく、それがある意味、人間としての僕がたどる人生における旅路なんだろうね。ということは、それらは僕の作る音楽の中にも反映されることになる、という。

なるほど。ある意味、音楽作りを通じて、あなたはあなた自身が快適に感じられる「自分の空間」をクリエイトしようとしてきた、とも言えますか?

アルカ:まあ、そういう風に言うことも可能だろうね。ただ、僕だったらべつの言い方をするだろうね。だから、自分だったら、それをこう言うんじゃないかな……「僕は、自らの弱さの数々を“パワー”に変えようとしている」と。

ああ、分かります。

アルカ:だから、たとえば僕が自ら「恥だ」と感じるような物事、それらを僕は……祝福しようとトライする、というか。自分を悲しくさせてきた色んな物事、それらの中に、僕は……美を見出そうとする、と。だから単純に公平でニュートラルというのではないし、ただたんに「自分が楽に存在できる空間を作ろうとする」ではないんだよ。そうではなく、自分が自分のままで輝けるスペースみたいなものであり、かつ……自分は愛情を受けるに値するんだ、そんな風に感じられる空間、ということなんだ。

はい。

アルカ:だから……ただ「自分のことを許容し、大目に見てもらえる」程度の場ではなくて……愛を見つけることのできる、そういう空間を作ろうとしているんだよ。

と同時に、そこは「あなたがありのままのあなた自身でいられる場所」、でもあるんでしょうね。

アルカ:うん、そうだね。ただし……そう言いつつ、僕はいまのこの回答もややこしくしたいな、と思ってしまうんだけど。

(苦笑)はい。

アルカ:だから、ただたんに「自分自身のままでいることを許す」だけではなくて、同時に自分自身に「変化」も許す、という。

ああ、なるほど。

アルカ:だから思うに、ある意味……「自己」というのはそもそも存在しないんだよ。僕にとっては、そうだね。そう思うのは、もしかしたら僕の生まれ育ちのせいかもしれないけれども。だから僕はこれまで数々の「中間点」に存在する経験を経てきたわけだし、それもあって……僕たちはみんな、ちょっとばかり役を演じているところがあるんじゃないか? そう僕は思っていてね。だからたとえばの話、Tシャツにどうってことのないただのショーツ姿の男性を見かけた、としようか。気取りはいっさいなしだし、とても普通な見てくれの男性。ところが、そんな格好にしたって、やっぱりひとつの選択であることに変わりはない、みたいなね。要するに、ごく普通の格好をするってのは、その人は「目立ちたくない」と思ってるってことだよね。ただ、その「目立ちたくない」という想い自体、その人間が何らかの決定を下した結果だ、という。
 そんなわけで僕からすれば、自分たちの内面世界を、それがどんなやり方であれ、外に見える形で現した表現というのはすべて……とにかく、そこには「リアル」も「フェイク」も存在しないんだ、と。だから、僕たちはたまに自分たち自身で「自分は何かにすごく捕われている」と感じる状態に追い込んでしまうんじゃないか、僕はそう思っていて。ひとは「わたしはこういう人間です、これがわたしなんです」、「わたしはこうじゃなくちゃいけない」などと言うことによって自らを閉じ込めてしまう。そんなわけで、きみに「あなたの音楽は、あなたが自分自身であるためのプロセスということでしょうか?」と問われたら、僕は「イエス」と答えるわけだけど、と同時に「だけど、それ以上に大切なのは、僕自身が変化することのできる、そういう場所を見つけることだ」と言うだろうね。だからそのときどきの僕の感じ方次第で、あるいはその日に自分の感じた「僕はこんな人間なんだな」というフィーリング次第で変われる、そういう場所。だから……たんに「どちらか一方」という話ではなくて、その両方を切り替えることのできる状態、という。それって……より自由に自らを表現させてくれる、そういう何か、なんじゃないかな?

何に対してもコメントがくっついてくる、という。だから、あらゆるものがインターネットによって消費されている時代だし、少なくとも西洋社会のウェブサイト群においては、そこにかならず「ユーザーのコメント欄」みたいなものが添えてあるじゃない?

あなたのアルバム作品はこれまでもセルフ・ポートレイト的な意味合いが大きかったと思うのですが――

アルカ:ああ、うん。

本作『アルカ』ではさらに踏み込んであなたの内面の愛や欲望、性愛といったモチーフが赤裸々に言葉で歌われています。アルバム・タイトルを『アルカ』にしたのも、自身の正体もしくはトラウマを明かすという意味があるのでしょうか?

アルカ:んー……僕としては……「さらに踏み込んだ」、以前よりもその度合いが増したとも、減った、とも言わないね。正直なとこ、そうだな。思うに……僕の中には……人々とコネクトする、それだけの強さを充分に備えた部分もあるからね。

ええ。

アルカ:だから、僕は……自分の音楽において「正直であろう」、そう非常に努力しトライしてきたんだよ。で……ただ、今回のアルバムについては、たまにこんな風に感じもしたんだ。「もしもここで自分を誤解されても、僕としてはオーケイ、かまわない。けれど、僕はより無防備で傷つきやすい何かを、自分自身にもっと近い何かを聴き手とシェアしたいんだ」、とね。で、それをやるのは本当に難しかったんだよ。というのも、とてもおっかないことだからね。そうやって自分の内面を明かすのは、とても恐ろしいことだ。というのも、思うにいまみたいな時代、この2017年という年は、何もかもがこう、ものすごく「即座」なわけじゃない? 僕たちが音楽を消費する、そのやり方にしても一瞬なわけで。

はい。

アルカ:そんなわけで、何に対してもコメントがくっついてくる、という。だから、あらゆるものがインターネットによって消費されている時代だし、少なくとも西洋社会のウェブサイト群においては、そこにかならず「ユーザーのコメント欄」みたいなものが添えてあるじゃない?

ええ。

アルカ:で、そういう2017年の社会に対し自分自身を開いて明かすってのは、かなり……なんというか……フム……だから「危険な行為だ」ってフィーリングがある、という。ゆえにそれをやるには、自分は本当に強いんだ、自らを明かすだけの確信が自分にはちゃんとある、そう強く感じる必要があるんだよ。でも僕にとっては、自分をもっとクリアなやり方で人びとから理解してもらうべくトライすること、それはとても重要だったし、かつ「自分はどちらでもない“中間点”にいる」という風に強く感じている、そういう他の人びととコネクトしようと努めることは非常に大切だったから、(たとえ危険な行為であっても)これはやるに値することだ、そう感じた、みたいな。

なるほど。

アルカ:きっと、それなんだろうね、ひとりの人間としての僕にとって重要なことというのは。だから、人びとから「あなたの音楽を聴いたおかげで、『自分はひとりじゃない』と感じて、孤独感が薄れました」と声をかけられたときだとか……あるいは、「自分は異形の者だ」とか、「自分はミュータントだ」なんて風に感じている誰かのことを、たぶん僕は自分の活動を通じて……ただたんにそのひとに「自分はこのままでかまわない、オーケイなんだ」って感じさせるだけではなくて、彼らを彼らたらしめている「他との違い」を、彼ら自身に祝福させることができるんじゃないかな。あるいは、彼らが自ら恥だと感じているような物事を、そうではなく美しいものとして眺めようとすること、というか。だから、さっききみが言っていたような「自らの内面を明かそう、自分自身の内面における対話をもっと表そう」っていう勇気を僕に与えてくれたのは、たぶん、そうした想いだったんだろうね。意味、通じるかな?

はい、分かります。で、自分自身でこれは重たい作品だと思いますか?

アルカ:(軽く、「ハーッ」と息をついて)……うん、たしかにヘヴィな作品だと感じるけれど……なんというか、その重さというのはある意味……重いんだけど、でも、同時にほとんどもう「祝福」みたいなものでもある重さ、というか。で、これって、以前に友だちに説明しようとしたことと同じ話なんだけど……僕たちのレコードというのは……そうだな、まあ、ここでは、自分が毎回使うおなじみのメタファーにまた戻らせてもらうけれども――まず、「自分はドロドロの沼地の中に立っている」、そういう図を想像してみてほしい。

はい。

アルカ:で……そこは何やら暗い場所で、しかも沼は毒を含んだ有害なもので。その水に、きみは膝まで浸かっている。いや、もっとひどくて、胸までその水に浸かった状態、としよう。

(苦笑)うーん、嫌ですねぇ。

アルカ:ところが、そんな君の頭上には、白い光のようなものが差している、と。だから、その有毒な水というのは、きっと……深淵(abyss。地獄の意味もある)や罪、そして悲しみすら表現しているんだよ。対して頭上にある光というのは、ある種の……希望だ、と。だから、そんな毒性のある水に浸かってきたとしても、その人間がいまだに頭上にある光に目を向け続けているとしたら……それはある意味、ただただ楽しいだけのレコード、「FUN」について歌っただけのレコードよりも、もっとオプティミスティックなものなんじゃないのかな? そうやって重さに敬意を表し讃えるのは、自分が楽しい状態になるための、そして「生」を祝福するための、僕なりのやり方なんだ。というのも、あらゆるものというのは……同じコインの裏/表みたいなものじゃないか、僕はそんな風に思っているからね。たとえば苦痛と歓喜とは、何らかの意味を持つためにそれぞれお互いを必要としているわけだし……そうだね、イエス! だから、僕はこれを「重いレコード」と呼ぶだろうけど、なぜヘヴィな方向に向かったのか? と言えば、それはある意味において、僕が光を信じているからなんだよ。

なるほど。

アルカ:もしも光を信じていなければ、これほど重く感じられる何かを作る、それだけの強さが僕には備わらなかっただろうからね。

そう言われると、これは個人的な印象に過ぎませんけど、アルバムの最後のトラックである“Child”は特に、聴いていると心の中に光を感じる、そういう美しい曲だと思います。

アルカ:それは、とても……(軽く感極まったような口調で)きみがそこを僕と分かち合ってくれたのは、本当に嬉しいよ!

いやいや、こちらこそ、ありがとうございます。

» アルカ、ロング・ロング・インタヴュー(2)

Aphex Twin - ele-king

 フジロックフェスティバルへの出演も話題となっているエイフェックス・ツインが、去る4月28日、リチャード・D・ジェイムス名義で新たなデモ音源を公開した。タイトルは“4xAtlantis take1”で、『ピッチフォーク』によれば、Sequentix のシーケンサー Cirklon をテストするために作られたトラックだそうである。現在、同曲は Sequentix のプロモーション動画にて試聴することが可能。しかしこの曲、か、かっこいいじゃないか……

JOYFUL TOKYO for 2020 - ele-king

 日本のイラストレーション界に大きな足跡を残した河村要助。その展示会が6月5日から10日にかけて、南青山のSPACE YUIにて開催されます。「100パーセント・スタジオ」で活動をともにした湯村輝彦および矢吹申彦の描き下ろし作品も出展されるとのこと。詳細は下記より。

JOYFUL TOKYO for 2020
河村要助傑作イラストレーション展

2017年6月5日(月)~10日(土)
11:00~19:00

天才イラストレーター、河村要助が1985~89年に発表した傑作シリーズ=「ジョイフル・トーキョー」。ニッポンならではの食文化、作法、シキタリ、日常のマナー……それらを、根底にある美意識とともに大キャンバスに描いた愛あるイラストたち。手書の英文解説とともにニンマリ、シミジミと味わう。

原画や版画とともに作品集『河村要助の真実』(*)、グッズなどを展示販売致します。その他初公開作品も展示予定。また、特別参加で幻の「100%スタジオ」の僚友、湯村輝彦、矢吹申彦の描き下ろし作品出展も決定!!

(*)購入の方限定で河村要助の特製絵皿のプレゼントの用意もあります。

会場:SPACE YUI
〒107-0062
東京都港区南青山3-4-11ハヤカワビル1F
03-3479-5889

後援:㈱Pヴァイン
協力:佐藤卓デザイン事務所、y.k.プロジェクト委員会、SPACE YUI

Lusine - ele-king

 昨年は、キルンの『ダスカー』(2007)や、テレフォン・テル・アヴィヴの『ファーレン・ハイト・フェア・イナフ』(2001)がリイシューされるなど、にわかに「00年代エレクトロニカ」再評価の機運が高まりつつある。
 近年ではIDMと称されることも多いエレクトロニカだが、テクノをルーツとしつつ(初期〈ワープ〉、エイフェックス・ツイン、初期オウテカなどのインテリジェント・テクノ)、ルーム・リスニング主体の音楽であったこと、サウンドにハードディスク制作以降の多層性や複雑さがあったということ、それゆえの細やかなサウンドレイヤーゆえ電子音楽の進化を感じることができたことなど、あの時代(90年代末期から00年代中頃まで)のエレクトロニカには不思議な固有性があった。それは90年代のダウンテンポやアブストラクト・ヒップホップなどがサンプリングからHD制作や録音の電子音楽/音響へと変わった時代ともいえよう。

 では2010年代中期である現在、「90年代末期から00年代中期のエレクトロニカ」は、どのような形で受け継がれているのだろうか。近年人気のアンビエント/ドローンにもその流れを聴きとることもできる。となればビートの入ったテクノ以降ともいえるエレクトロニカの系譜は?(それは〈ラスター・ノートン〉などのグリッチ/電子音響の系譜とも違う)と思っていた矢先、今年、ルシーン、4年ぶりの新作『センソリモーター』がリリースされたわけである。
 エレクトロニカ的にはこのリリースは事件といえる。「00年代エレクトロニカ」の技法をここまで継承・洗練させているアーティストやアルバムは、なかなか見つけることができないからだ。00年代の〈n5MD〉、〈U-カヴァー〉、〈メルク・レコード〉などのサウンドを受け継いでいるというべきか。

 ルシーンはジェフ・マキルウェインのソロ・プロジェクトである。1998年からカリフォルニア芸術大学で20世紀エレクトロニック・ミュージックとサウンド・デザイン、映画を専攻していたというジェフ・マキルウェインのサウンドには、実験性と聴き手の心理に寄り添うようなポップさが同居しており、ファースト・アルバム(L’usine名義)『L’usine』から聴き手を惹きつけてきた。続く、ルシーン Icl(Lusine Icl)名義で、〈U-カヴァー〉から『ア・スード・ステディ・ステート』(2000)やライヴ・アルバム『コアリション 2000』(2001)、〈ハイマン・レコード〉から名盤『アイアン・シティ』(2002)をコンスタントにリリースし、エレクトロニカ・リスナーからの信頼と高評価を得た。
 ルシーン(Lusine)名義として2004年に〈ゴーストリー・インターナショナル〉からリリースした『シリアル・ホッヂポッヂ』が最初で、以降は〈ゴーストリー・インターナショナル〉よりいくつものアルバムを送り出していくことになる(ルシーン Icl名義では2007年に〈ハイマン・レコード〉からリリースした アンビエント・アルバム『ランゲージ・バリア』などがある。そのほかレーベルを超えてのリミックス・ワークや本名での映画音楽制作など、その活動は多岐にわたっている)。

 彼のサウンドの特徴は、緻密なビート・プログラミングをベースにしながら、細やかな電子音をレイヤーさせている点にある。フロアとリスニング、聴きやすさと実験性を絶妙なバランスで成立させているのだ。まさに00年代エレクトロニカの特徴を体現しているような存在といえよう。
 そのダウンビート・エレクトロニカとも称したい作風は、4年ぶりの新作となる『センソリモーター』でも変わらない。2009年の『ア・サートン・ディスタンス』で結実した自身のサウンドをより磨き上げているのだ。どうやら「MPC1000、アナログ・シンセ、ハンド・パーカッション、グロッケンシュピール、フィールド・レコーディング、ライヴ・インストゥルメンツのサンプル」などを駆使しつつ、端正にサウンドメイクをおこなっているようで、細やかな電子音をレイヤーさせ、ポップなサウンドに仕上げる。
 なかでも格別にポップな4曲め“ジャスト・ア・クラウド”と8曲め“ウォント・フォーゲット”に注目したい。2曲とも Vilja Larjosto のヴォーカルを細かくエディットし、緻密なサウンドレイヤーの中に馴染ませるように構成・作曲され、どこか都会の夜の孤独な感覚と不思議なサウダージ感が同居し、本アルバム中、格別な存在感を放っている。

 ほかにも、カラカラと乾いた鈴の音のような音から次第にドラマティックなサウンドへと変化する1曲め“キャノピー”、彼の妻サラ・マキルウェインをフィーチャーしたエディット・ポップな2曲め“ティッキング・ハンズ”も良い。また、ミニマル・ミュージックのようなノンビートの音響空間を展開する7曲め“チャター”、ヴォイスなどを加工したノイジーなドローン・トラックの10曲め“トロポポーズ”などから、ジェフ・マキルウェインの幅広い音楽性を垣間見る(聴く)ことができるだろう。
 全曲、端正に作り込まれた、繰り返し聴いても飽きのこない普遍的なエレクトロニカ/エレクトロニック・ミュージックであった。まさに15年以上に及ぶ彼のキャリアを代表する傑作アルバムといえよう。

Oto Hiax - ele-king

 まったく新しい様式を発明したから素晴らしい。かつてないサウンドを鳴らしてみせたから優れている。たしかにそういう評価のしかたはある。あるいは、最近の傾向を反映しているから重要である。こんな時代にこんなサウンドを鳴らしているからこそ価値がある。そういう判断のしかたもある。でも、当たり前の話ではあるが、そういう基準からはこぼれ落ちてしまう作品だってある。特に目新しいわけではない。何かの波に乗っているわけでもない。でも、完成度自体はきわめて高い――Oto Hiaxのこのアルバムはまさにそういう「こぼれ落ちてしまう」作品だ。どうしても何らかの文脈を用意しなければならないのであれば、「90年代リヴァイヴァル」あるいは「00年代リヴァイヴァル」といった言葉をあてがうこともできるだろう。そのどちらにも当てはまってしまうところがこのアルバムの魅力でもあるのだが、しかしどうにもこの作品からは、そういうふうに「整理されてしまうこと」を拒むような不思議な温度が感じられる。
 Oto Hiax は、シーフィールの中心人物として90年代の音楽シーンに多大な痕跡を残したマーク・クリフォードと、ループス・ホーント名義でおもに〈Black Acre〉から作品を発表してきたスコット・ゴードンのふたりから成るユニットである。2015年に自主リリースされた最初のEP「One」の時点では、「とりあえずコラボしてみました」という印象が強く、まだ方向性の定まっていない感のあったかれらだが、ラシャド・ベッカーがカッティング&マスタリングを手掛け、名門〈Editions Mego〉からリリースされたこのファースト・アルバムは、その多彩な音響の実験とは裏腹にしっかりとしたまとまりを持っている。アンビエント、ドローン、シューゲイズ、サイケデリック、ノイズ、ミュジーク・コンクレート、ミニマル……本作にはさまざまなジャンルやスタイルの要素が盛り込まれているけれど、それらの音の群れをひとつの作品としてまとめ上げているのは、牧歌性である。
 このアルバムでは、ぬくもりのあるシンセやフィードバックがどこまでもノスタルジックな風景を現出させている。その繊細な情緒は、はかなげな電子音がよく晴れた穏やかな午後のイメージを呼び起こす冒頭の“Insh”から、すぐに聴き取ることができる。細かく切り揃えられた電子音がセンチメンタルなコードのなかを流れいき、そこにときおり鋭利な刃物が紛れ込む2曲め“Flist”なんかは、ゆったりと水中を漂っているかのような心地良さを与える。こうした牧歌性は、フィードバック・ノイズとエコーが極上のシューゲイズ的サイケデリアを錬成する5曲め“Creeks”にもっともよく表れており、そのたゆたう音の波のなかでわれわれはただただ安らかな光にくるまれることになる。

 しかしこのアルバムはただ夢見心地なだけではない。フィードバックを背後に具体音が舞い踊る3曲め“Dhull”や、民族的な高音とドローンに支えられながらさまざまな音の展覧会が催される4曲め“Eses Mitre”、もこもこした低音としゃらしゃらした高音が耳をくすぐる小品“Bearing & Writhe”と、トラックが進むごとにアルバムはミュジーク・コンクレートの側面を強めていき、それは9曲め“Lowlan”でひとつの山場を迎える。フィードバックとドローンの上をノイズが転がる7曲め“Littics”や、センチメンタルなコードの往復運動をバックに打撃音が乱れ舞う8曲め“Thruft”などでは、シューゲイズとミュジーク・コンクレートが同時に追究されている。ギターが電子音との一体化を目指しているかのような10曲め“Hak”もおもしろい。
 ノスタルジックでドリーミーなムードのなかに、即興的でノイジーな、ある意味では破壊的でもある要素が巧みに散りばめられている。このアルバムのなかを行き交うさまざまな音たちは、生の喜びを祝福すると同時にその喜びに疑いの眼差しを向けてもいる。音たちは交錯しながら、一方で牧歌的な風景を現出させつつ、他方でその素敵な夢の景色に小さな引っかき傷を刻み込もうとする。情緒に頼り切るのでもなく、かといってエクスペリメンタリズムに振り切れるのでもない。感傷と実験との絶妙な共存。
 このアルバムはけっして後世まで語り継がれるような「傑作」の類ではない。が、確実にある一部の人びとの耳を捉え、いつまでもその記憶の隅っこに留まり続けるだろう。ただ垂れ流しているだけでもじゅうぶん心地良いが、じっくり聴き込めば多くの発見がある。すでにさまざまな佳作や話題作が出揃ってきている2017年の音楽シーンだけれど、2月から3月にかけて個人的にもっともよく聴いていたのがこの Oto Hiax のアルバムであった。きっとこれからも何度も聴き返すことになるだろう。白熱する年間ベスト・レースからは「こぼれ落ちる」、地味ながらも愛おしい1枚である。

Juana Molina - ele-king

 先週、3年半ぶりとなる最新アルバム『ヘイロー』を日本先行でリリースしたばかりのフアナ・モリーナですが、このたび彼女の来日公演が発表されました。フアナは先日のインタヴューで「東京と京都に行きたい」と語っていましたが、見事にその夢が叶いましたね。8月19日にサマーソニックの東京会場に出演、翌8月20日には京都METROにて単独公演をおこないます。いったいどんなステージになるのでしょう。すでにチケットの受付が始まっていますので、早めにチェックしておきましょう。

フアナ・モリーナ、3年半振りのニュー・アルバムが日本先行発売!
サマーソニック出演&京都公演も決定!
“Lentísimo halo”のミュージック・ビデオが公開に!

先週金曜日に、約3年半ぶりとなるニュー・アルバム『ヘイロー』を海外に先駆け日本で発売したフアナ・モリーナが、この夏サマーソニックに出演することが決定した! 当日はEGO-WRAPPIN’の中納良恵を迎えたスペシャル・セットとなっており、8月19日(土)に東京GARDEN STAGEに出演する。また翌日には、京都METROにて単独公演をおこなうこともあわせて決定!! こちらの公演は5月2日(火)より早割チケット(¥3,500)の受付スタートとなっている。

好評発売中のニュー・アルバム『ヘイロー』は、フアナらしいエクスペリメンタルな方向性と独特の歌声は健在ながらも、さらなる高みを目指した12曲を収録。催眠作用のあるリズム、魔術、虫の知らせや夢といった隠喩を用いたミステリアスなリリック、感情やムードを体全体を使って表す様は、これまでに増してマジカルである。
そんななか、先日収録曲より“Lentísimo halo”のミュージック・ビデオが公開となった。

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“Lentísimo halo”のミュージック・ビデオはこちら:
https://youtu.be/--pC7g_eGgo
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これはけっして新たに発見されたマン・レイやハンス・リヒターが作る、1920年代のモノクロのエクスペリメンタルな超現実主義的映画ではない。アルゼンチン人映画監督マリアーノ・ラミスが制作した、フアナ・モリーナの新曲のミュージック・ビデオなのだ。
フアナとふたりでアイデアを出し合って完成したこのビデオは、同楽曲を書く際にフアナの脳裏に浮かんできたという“ひし形をしたヘイロー”に関する伝説がインスピレーションの元となっている。
「ヘイローっていうのは、灯りから発されるぼんやりした光や、聖人の頭の後ろに浮かんでいる後光のこと。それは聖なる光ではなくて、夜に野原を漂う緑色の邪悪な光なの。人を追いかけてくることもあって、200年ぐらい前の田舎に住む人びとは恐れていたらしい。現代になって、それは腐った骨から発せられる蛍光性の光だと判ったそうなの」とフアナは話す。

他にも、収録曲“Cosoco”やアルバムのティーザー音源も公開となっているので、あわせてチェックしよう!

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アルバムのティーザー音源試聴はこちら:
https://youtu.be/W6_Dzl712i8
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「Cosoco」の試聴はこちら:
https://soundcloud.com/crammed-discs/juana-molina-cosoco-1
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■来日公演情報

●サマーソニック2017
2017年8月19日(土)、20日(日)
※フアナ・モリーナは8月19日(土)に東京GARDEN STAGEに出演します。
東京会場:ZOZOマリンスタジアム&幕張メッセ
大阪会場:舞洲SONIC PARK(舞洲スポーツアイランド)
サマーソニック公式サイト:https://www.summersonic.com/2017/

●晴れ豆インターナショナル presents JUANA MOLINA Japan Tour 2017 京都公演
@京都METRO
Open 19:00 / Start 19:30
チケット:5/13より一般発売開始
早割¥3,500 ドリンク代別途 [受付期間:5/2~5/12]
前売¥4,000 ドリンク代別途
当日¥4,500 ドリンク代別途

【限定早割】
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★期間限定:早割¥3,500 ドリンク代別途 [受付期間:5/2~5/12]
※『特別先行早割お申し込み方法』
→ タイトルを「8/20 フアナ・モリーナ 早割希望」として頂いて、
お名前と枚数を明記して 宛てでメールして下さい。
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【一般PG前売り】
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チケットぴあ (0570-02-9999、Pコード:332-717)
ローソンチケット (ローソンLoppi、Lコード:53857)
e+ (https://ur0.work/DfpZ)
にて5/13より発売開始
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詳細: https://www.metro.ne.jp/single-post/170820
お問い合わせ: 075-752-4765


■リリース情報
アーティスト:Juana Molina(フアナ・モリーナ)
タイトル:Halo(ヘイロー)
品番:HSE-6388
レーベル:Hostess Entertainment
定価:2,490円+税
発売日:発売中!(海外発売:5/5)
※日本盤は先行発売、ボーナス・トラック1曲、歌詞対訳、ライナーノーツ(石田昌隆) 付

【トラックリスト】
1.Paraguaya
2.Sin dones
3.Lentísimo halo
4.In the lassa
5.Cosoco
6.Cálculos y oráculos
7.Los pies helados
8.A00 B01
9.Cara de espejo
10.Andó
11.Estalacticas
12.Al oeste
13.Vagos lagos *
* 日本盤ボーナス・トラック

※新曲“Cosoco”iTunes配信スタート&アルバム予約受付中!
リンク:https://itunes.apple.com/jp/album/halo/id1205397001?app=itunes&ls=1&at=11lwRX


■ショート・バイオ
音楽ジャンルの壁を凌駕する唯一無二の独創的才能を持つアルゼンチンのアーティスト。1996年デビュー。'00年に発表した2ndアルバム『セグンド』によって人気に火がつき、徐々に世界にその名が知られ始める。3rdアルバム『トレス・コーサス』は、U2、ビョーク、カニエ・ウエスト、アニマル・コレクティヴなどのアルバムと並んで、『New York Times』の "The Best Pop Album of 2004" に選出される。'04年には元トーキング・ヘッズのデヴィッド・バーンと全米をツアー。来日も多く、レイ・ハラカミ、勝井佑二(ROVO)、高橋幸宏、原田郁子(クラムボン)、相対性理論など日本のアーティストとの共演多数。中納良恵(EGO-WRAPPIN')からフィリップ・セルウェイ(ds. レディオヘッド)まで、様々なアーティストからフェイヴァリットに挙げられている。2013年11月、約5年ぶりとなる最新作『ウェッド21』をリリース。その後もほぼ毎年来日し公演をおこなっている。2017年4月、約3年半ぶりとなるニュー・アルバム『ヘイロー』を発売。8月にはサマーソニックへの出演が決定。

Patten - ele-king

 昨年放ったサード・アルバム『Ψ』で新機軸を打ち出したパテンが、ICAロンドンでの公演にあわせて、新たなEPのリリースを発表しました。現在、収録曲の“Amulet”が先行公開されています。はたしてこのEPは『Ψ』のアウトテイク集なのか、それとも次のアルバムへの重要な布石なのか? 公開された“Amulet”は無料でダウンロードすることが可能となっていますので、それを聴きながらあれこれ想像しちゃいましょう。ダウンロードはこちらから。

patten

〈Warp〉所属の新鋭プロデューサー・デュオ、パテンが
4曲収録の最新EP「Requiem」のリリースを発表
新曲“Amulet”を無料DLで配信!

〈Warp〉の実験性と音楽性の高さを継承する新鋭プロデューサー・デュオ、パテンが、新曲4曲を収録した最新EP「Requiem」のリリースを発表! 新曲“Amulet”を公開! 公式サイトでは無料DLも可能。

patten - Amulet
https://youtu.be/zK_1y36jjCg

公式サイトで「Amulet」を無料DL配信中
https://patttten.com/

label: WARP RECORDS / BEAT RECORDS
artist: patten
title: Requiem
release date: 2017/05/12 FRI ON SALE

iTunes Store: https://itunes.apple.com/jp/album/id1231337426

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