「S」と一致するもの

Music for Black Pigeons - ele-king

 2010年代後半以降、〈ECM〉から多くの作品を発表しているデンマークのジャズ・ギタリスト、ヤコブ・ブロ。さまざまな音楽家とセッションを繰り広げてきた彼を14年間にわたって撮影しつづけたドキュメンタリー映画が公開されることになった。題して『ミュージック・フォー・ブラック・ピジョン ――ジャズが生まれる瞬間――』。監督は、一昨年『ラース・フォン・トリアーの5つの挑戦』が話題となったデンマークの巨匠、ヨルゲン・レス。撮影中に逝去したリー・コニッツやポール・モチアンといった音楽家による最後の演奏も記録されている。さらに、高田みどりも出演しているようです。
 映画は2月28日よりヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル池袋、アップリンク吉祥寺ほかにて、順次全国公開予定。前売り券も発売中です(https://www.major-j.com/cinema_information.php?id=M69113590023)。

[3月4日追記]
急遽イベントが決定しています。主演のジャズ・ギタリスト、ヤコブ・ブロさんとライターの原雅明さんによる上映後トーク・イベントで、下記の2回を予定。ぜひ足をお運びください。

①アップリンク吉祥寺 3月8日(土)13:20~の回
②ヒューマントラストシネマ渋谷 3月9日(日)12:00~の回

[作品概要]
ミュージック・フォー・ブラック・ピジョン ――ジャズが生まれる瞬間――
(原題:Music for Black Pigeons)
監督:ヨルゲン・レス、アンドレアス・コーフォード
字幕:バルーチャ・ハシム
2022年/デンマーク制作/92分/
出演:ヤコブ・ブロ、リー・コニッツ、ポール・モチアン、ビル・フリゼール、高田みどり、マーク・ターナー、ジョー・ロヴァーノ、ジョーイ・バロン、トーマス・モーガン、マンフレート・アイヒャー、他
配給:ディスクユニオン

オフィシャルURL: https://www.musicforblackpigeons.com/
予告編リンク:https://youtu.be/WL1P7Sv6AJM

guide to DUB - ele-king

 大変ご好評いただいている河村祐介(監修)『DUB入門』、その波はいまだとどまることを知らず。京都にて同書をフィーチャーしたイベントが開催されることになりました。2月21日、京都WEST HARLEMにて、半分はトーク・ショウ、もう半分はパーティという構成です。お近くの方はぜひお越しください。
 なお『DUB入門』、オンラインでは一部入手しづらい状況にありますが、全国の書店にはまだ在庫があります。気になる方は書店で探してみてください。

FRI 21 FEB
【W×H SOCIAL CLUB ft.DUB入門】

@京都WEST HARLEM

①Talk Show
7PM
1,000JPY
河村裕介、小野真、Kotsu

②PARTYTIME
10PM
DOOR 2,000JPY
Under 23 1,000JPY
(+1D for All entrance fees)
Live:
G Version Ⅲ


DJ:
河村裕介、kotsu、Naco、Vis
ykah
Flyer Desing:
Kotsu

Panda Bear - ele-king

 アニマル・コレクティヴのパンダ・ベア(ノア・レノックス)、近年はソニック・ブームとの共作も記憶に残る彼だけれど、ひさびさのソロ・アルバムの登場だ。前作『Buoys』から5年ぶりですな。発売は2月28日、おなじみの〈Domino〉から。現在新曲の “Ends Meet” が公開中です。ちなみに今回のリリースにあたって、先行シングル「Defense」のB面でプロダクションに参加していたOPNことダニエル・ロパティンがコメントを寄せている。詳しくは下記より。

Panda Bear

パンダ・ベアの5年ぶりとなる待望の新作
『Sinister Grift』より新曲「Ends Meet」を公開!
また、購入者先着特典としてポスターをプレゼント!

アニマル・コレクティヴの中心メンバーであり、稀代のメロディー・メイカーとして知られるノア・レノックスのソロ・プロジェクト、パンダ・ベアが、2月28日に〈Domino〉からリリースされる最新アルバム『Sinister Grift』より最後の先行シングル「Ends Meet」を解禁した。

「Ends Meet」では、アニマル・コレクティブのエイヴィ・テア (Avey Tare)とジオロジスト (Geologist)による演奏がフィーチャーされており、マリア・レイス (Maria Reis)とスピリット・オブ・ザ・ビーハイブのリヴカ・ラヴェデ (Rivka Ravede)がバックボーカルを務めている。

Panda Bear - ‘Ends Meet’
Youtube https://pandabear.ffm.to/endsmeet-yt
配信リンク  https://pandabear.ffm.to/endsmeet

アルバムからはこれまでに「Ends Meet」のほか、アルバム発表に合わせて解禁された先行シングル「Defense」と、2024年最も話題を集めたアーティストの一人、シンディ・リーがギターで参加している「Ferry Lady」の3曲が解禁されている。また、本日からトロ・イ・モアとのダブル・ヘッドライナー公演を含むUSツアーがスタートする。

アニマル・コレクティヴでドラマー兼ヴォーカリストとしてデビューしてから20年、ノア・レノックスはこれまでに様々なスタイルを通して作品を生み出し続け、またアニコレ作品やソロ作品以外にも、多くに愛される音楽作品に数多く携わってきた。そのため、彼の創造的ビジョンの一貫性は時に見過ごされてしまうこともあるが、2007年のソロ・アルバム『Person Pitch』や、2015年の『Panda Bear Meets the Grim Reaper』といった重要な作品から、アニマル・コレクティヴでのブレイクスルーとなった2004年の『Sung Tongs』や2009年の『Merriweather Post Pavilion』、さらにはダフト・パンク、ソランジュ、ディーン・ブラント、パラモア、ジェイミー・エックス・エックスらとの革新的なコラボレーションに至るまで、彼の作品は一貫して明確な軸を持ち、世代もジャンルも超えて、多くのアーティストに影響を与えてきた。

『Sinister Grift』は、5年振りとなるパンダ・ベアのソロ・アルバムで、これまでのキャリアの集大成でありながら、革新性も備えた作品となっている。彼のソロ作品は、深い悲しみを表現したものから、カラフルでエレクトロニックな大作まで様々だが、これほど温かく、即時的なサウンドはこれまでになかった。ポルトガルの自宅スタジオでアニマル・コレクティヴのバンドメイトであるディーケンことジョシュ・ディブと共に制作作業を行い、パンダ・ベアがあたかもオールドスクールなロック・アンサンブルに変貌したかのような新作を完成させた。ほぼ全ての楽器を自身で演奏しつつも、前述のシンディー・リーやスピリット・オブ・ザ・ビーハイヴのリヴカ・ラヴェデといった同志が集い、またソロ作品としては、アニマル・コレクティヴの他のメンバー全員が参加した初のアルバムとなっている。

美しいちょっとした悪夢も垣間見られるクラシックなロック・ドリームだ - ダニエル・ロパティン
僕たちが一緒に作り上げたこの作品に非常に誇りを持っているよ。『Sinister Grift』は、30年以上知っているソングライターの姿を感じさせながら、同時にノアにとって新しいチャプターのようにも感じる。完成した作品にはこれ以上ないほど誇りを感じている。 - ジョシュ “ディーケン” ディブ (アニマル・コレクティヴ)
こんな暗い時代には、人生を乗り切るための音楽が必要だ。パンダ・ベアはその魔法を持っていて、彼の声はこの世界を癒す薬のように感じる。ノアが私たちに贈ってくれた『Sinister Grift』で、リラックスすることができるし、ビーチの近くにいる気になるよ。 - DJファルコン
『Sinister Grift』は美しいアルバムだ。全てが本物で自然な音に聞こえ、まるでそれが常に存在し続けているかのように感じる。真実であり、タイムレスな作品だ。 - アラン・ブレイクス

パンダ・ベアの最新アルバム『Sinister Grift』は、CD、LP、デジタル/ストリーミング配信で2025年2月28日に (金)に世界同時リリース。国内盤CDには、ボーナストラック「Virginia Tech」が追加収録され、歌詞対訳と解説書が封入される。LPは通常盤(ブラック・ヴァイナル)に加え、限定盤(キュラソー・ブルー・ヴァイナル)も発売される。 また、全形態を対象に先着特典でポスター(A2サイズ)の配布が決定!


先着特典ポスター

label: Domino / Beat Records
artist: Panda Bear
title: Sinister Grift
release: 2025.2.28.
Tracklisting:
01. Praise
02. Anywhere but Here
03. 50mg
04. Ends Meet
05. Just as Well
06. Ferry Lady
07. Venom's In
08. Left in the Cold
09. Elegy for Noah Lou
10. Defense
11. Virginia Tech *Bonus track
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=14474

 日本では、例えば誰かに「自分は、昨日の晩にこんな夢を見た」と言う。これは、英語では「夢」を「見た」ではなく、「Last night I dreamt that…」になる。「I saw a dream」ではない。日本語の表現の方が理にかなっているんじゃないか、ずっとそう思ってきた。眠っている間に夢を見ている時、POVは自分にある。ドリーマーは主役/カメラマン/監督を兼任する。

 映画館で映画を観るのは夢を見るのに似ている。光の芸術であるゆえに、この媒体はヴューワーに90分~2時間ほど(最近は3時間近い大作も珍しくないが)、闇の中で自発的にじっと座ることを求める。人間は普通闇を避ける生き物なので、その意味で妙なメディアだ。ホームシアター設備を備えている家庭は多いだろうし、携帯で映画をストリームできる今の時代、闇はもはや必要ないのかもしれない。しかしCMや他の映画の予告編が終わって淡く灯っていた客電が落ち、静寂が訪れ、映画本編上映が始まってからしばしの間、観客は起きたまま夢の中に入り込む。たとえ、外はまだ昼間であっても──デイヴィッド・リンチの訃報に触れて以来、そんなことを考えていた。

 「リンチの思い出を書いてみませんか」と声をかけていただきこの文章を書いているが、リンチ作品との最初の出会いは実は細かく憶えていない。恐らく『エレファント・マン』(1980)のテレビ放映だったのだろう。最後でおいおい泣いた。次はリンチ唯一の大予算巨編『デューン/砂の惑星』(1984)になるが、当時日本のSFアニメが好きで洋物実写に興味の薄かった筆者は公開時に観ていない。リンチの名前をちゃんと意識したのは、だから『ブルー・ベルベット』(1986)になる。ただしこれも、最初はビデオで観た。

 今とは違い、映画は劇場公開からしばらく経ち、地上波テレビ放映されれば御の字、あとはビデオソフト化(DVDではなくビデオカセット)を待つほかなかった。しかしソフトは高価だったので、レンタルビデオが隆盛した。『ブルー・ベルベット』は、映画評を読むとやばそうな内容だった。あの頃親から「お前はネクラだ」とたしなめられていたので、こっそり借りて、深夜にひとりで観た。正解だった。

 80年代は日本で単館〜独立系ミニシアターが増えた時期でもあった。大手系列館ではカバーできないアート/インディ映画やアングラ映画は、そうした水脈&土壌にも保護されていた。筆者が品揃え豊かなレンタルビデオ店やミニシアターの恩恵に与ったのは上京後。『このビデオを見ろ!(別冊宝島)』他をガイド役に個性的なビデオ店をはしごし、『ぴあ』をチェックして英国美少年映画祭オールナイト上映、六本木シネ・ヴィヴァン、新宿武蔵野館のやくざ映画二本立て、東中野シネマシオン、渋谷ユーロスペース、各種名画座/上映会等、ハイ/ロー入り乱れて色んな「闇」にもぐり込んだもの。中でも、ミッドナイトムーヴィー(あるいはカルト映画)は独特な磁力を放っていた。

 ミッドナイトムーヴィーの起源には諸説あるが、特に70年代にアメリカで盛り上がった現象とされる。問題作、アート/インディ/海外映画、ジャンル映画、エクスプロイテーションもの等が、物好きなお客相手に深夜に単館上映された。「観てはいけない」と言われると観たくなるのが人間の病的な性(さが)であり、人目を忍ぶように夜に観るのも背徳感がある。そのカルチャーが「ジャンル」として日本に波及したのは80年代だったと思う。

 リンチの長編処女作『イレイザーヘッド』(1977)を筆者が遂に観ることができたのもその流れだった。しかし、『ロッキー・ホラー・ショー』(1975)や『リキッド・スカイ』(1982)といったひいきのカルト作品とはまったく趣きが違ったので驚いた。構想は1970年にスタート、撮影開始から公開まで実に5年かかったこのモノクロ作品、当時のトレンドやサブカルチャー(ニューシネマ運動、キッチュ/キャンプ美学、グラム〜パンク〜ポストパンク等)と絶縁した、あまりにパーソナルに閉じた映画だった。

 主人公ヘンリー(ジャック・ナンス)のルックスはセルゲイ・エイゼンシュテインとジャン・コクトーと事務員の中間だし、一方で他の登場人物も含めミザンセーヌは40〜50年代アメリカ映画のノリ。映像のトリックや夢のロジックは、ジョルジュ・メリエスやシュルレアリスト映画(コクトー『詩人の血』/1932年、マヤ・デレン『午後の網目』/1943年、ハンス・リヒター『金で買える夢』/1947年等)の系列にある。唯一コンテンポラリーな要素は、荒廃した屋外の通りとインダストリアルなサウンドスケープ、そして2年後の『エイリアン』のゼノモーフを予期させる「赤ちゃん」のエグいデザインおよび特殊効果くらいだろう。

 それくらい、『イレイザーヘッド』の出来事が起こる空間は現実界とシンクロしていない。若くして父親となったリンチ本人の自伝的背景や、美大生時代を過ごしたフィラデルフィアのトポロジーも作用している(70年代のフィラデルフィアの雰囲気は1976年公開の『ロッキー』を観れば少し掴める)。とはいえ、主人公の部屋──その、壁紙、床板、カウチ、フロアランプから成るインテリアのヴァリエーションは以後繰り返し登場する──が最たるものだが、目に見える/耳に聞こえるすべてはリンチの想像力あるいは夢の世界の具現化と言える。

 実在人物を描いた物語(『エレファント・マン』、『ストレイト・ストーリー』/1999年)と架空の世界(『デューン』)を除くと、彼の映画およびテレビ作品の大半はこうした彼個人の想像力/無意識/オブセッションの現出だった。夢を真摯に、明晰に描いたがゆえに、その世界は常にどこかが「ズレて」いたのだし──リンチ映画のセリフや設定の陳腐さ、独特なペース、役者の超フラットあるいは激エキセントリックな演技は、他の監督の手に掛かったら成り立たないだろう──、普通に辻褄の合う映画を期待して観ると、「なんで?」の連続になる。だがそれは、自分でも気づいていなかった心の闇の部分を刺激される、「意味は分からないけど、もう一度観たい」と引き込まれる唯一無二な世界だ。

 その不可思議さが「味」として確立されたのが、『ブルー・ベルベット』と『ツイン・ピークス』の第一シーズン(1990)だろう。クラブ他でシンガーが歌うダイジェティックな場面、時の止まったごとき平和な町と不健康な暗部の共存、常識はずれの悪(evil)、オフビートなユーモア。それらが相まって形成される、アナクロニズムの魅惑(オールドスクールなロックンロールやジャズが占めるリンチの世界では、1964年のビートルズ米上陸──リンチ本人は64年にビートルズのライヴを観ているものの──は起きなかったかのような錯覚に陥る。そこから先はコンテンポラリーな90年代メタル/インダストリアルにジャンプしてしまう)。『ツイン・ピークス』は日本でも盛り上がり、関連書籍も色々と出た。筆者はレンタルで観たが、毎回コーヒーとドーナツを用意して鑑賞したものだった(チェリーパイは当時日本では見かけなかった)。

 この2作で主役兼ヴューワーの身代わり(=謎を探る主体)を務めたのはリンチのオルター・エゴであるカイル・マクラクランだ。リンチはよく、『スミス都へ行く』(1939)や『素晴らしき哉、人生!』(1946)といったヒューマニスト映画で名を馳せた「ミスター・ナイスガイ」、ジェームズ・スチュワートに似ていると言われた。そのイメージにひねりを効かせたのがヒッチコックで、特に『裏窓』(1954)と『めまい』(1958)で覗き魔/探偵の境界線をぼかし、夢の女にフェティッシュな執着を抱く役柄をそれぞれ演じたスチュワートは、『ブルー・ベルベット』のジェフリー(『裏窓』の主人公の姓名はジェフリーズ)と『ツイン・ピークス』の堅物捜査官デイル・クーパー(「最も美しい死体」と称されたローラ・パーマーに、彼は魅入られたと言える)がだぶる。

 すれたところがなく誠実そうなマクラクランは、「善VS悪」を軸とするリンチ世界で善とその戦いを体現するヒーローと言える。しかしスモール・タウン〔※〕を出て、リンチがアメリカ映画の別のトロープ、すなわちロード・ムーヴィー(およびそのリミックス)を撮り始めたところで、モラルの境界線は錯綜していく。『ワイルド・アット・ハート』(1990)の主役のひとり=ルーラ(ローラ・ダーン)が言うように、「This whole world's wild at heart and weird on top(この世って根っから荒っぽくて、その上妙ちきりん)」なのだ。

 『ワイルド・アット・ハート』のもうひとりの主人公セイラー(ニコラス・ケイジ)は、マーロン・ブランドを思わせるヘビ革ジャケットを愛用しプレスリーを歌う、マクラクランの好青年とは真逆のアンチヒーロー。この善悪の反転はメビウスの輪へとねじれ、「ハリウッド三部作」=『ロスト・ハイウェイ』(1997)、『マルホランド・ドライブ』(2001)、『インランド・エンパイア』(2006)で加速していく。リンチにしか説明できないロジック&抽象を押し進めた、ハルシネーション(幻覚)とハレーションの交響楽──美/醜、感傷/怪奇、アイデンティティが錯綜するこれら3作は、「感じる」映画だ。オチがつかず、しかも抜け出せない悪夢にうなされる時のように、じかに感覚が揺さぶられる。

 そんな濃厚な夢に付き合うには観る側もそれなりの覚悟がいる。リンチの劇場映画はどんどん長くなっていった(雇われ仕事である『エレファント・マン』や『デューン』も2時間越えだが、原作の性質上仕方ない。『デューン』が長編1本で収まらないサーガなのは、ドゥニ・ヴィルヌーヴ版でご承知の通り)。『ワイルド・アット・ハート』で2時間の線を破り、『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』(1992)と『ロスト・ハイウェイ』は134分、『マルホランド・ドライブ』で147分、映画では最後となった『インランド・エンパイア』に至っては180分だ。

 その意味で、実験/アート映画の方向をとるのではなく、リンチが2017年に『ツイン・ピークス The Return』で大衆向けのドラマに久々に立ち戻ってくれたのは、英断だったし溜飲が下がった。18話に及んでハルシネーションを展開することでロングフォームTVの可能性を広げたのはもちろん、様々な「盟友」と再会を果たし、ライトモチーフやお家芸やテクニックを洗練・更新したあの作品は、彼の現役ぶりを示すと同時に総決算でもあった。

 もはや彼の新たな夢を見ることがかなわなくなった現在、謎(エニグマ)の山をどっさり残してくれたあの合計約17時間は貴重だ。ポリマスなアーティストだったゆえに、音楽、絵画、写真、書籍、ウェブ等、その感性はマルチなアウトレットを通じて発された。しかしリンチの遺した10本の劇場映画および『ツイン・ピークス』は、やはりそれらを集約した「総合芸術」であり、稀に見る夢の映像化だったと思う。

 『ツイン・ピークス』に出て来る用語に「青いバラ」というのがある。「Blue rose」は自然界に存在しない=「不可能/ミステリー」の意味でもあり、作品中では異界のフォースや超常現象を指すが、これはリンチというエニグマにもぴったりな気がする。彼は2010年にディオールのハンドバッグ、レディ・ディオールの連作広告のひとつ『Lady Blue Shanghai』篇を作った。主演のマリオン・コティヤールは記憶が混乱したまま、ホテルの部屋に鎮座した謎のバッグを開ける。ロバート・アルドリッチの『キッスで殺せ!』(1955)を想起せずにいられない場面だが、しかしその中に彼女が見つけるのは──記憶の中の恋人から渡された青いバラ、愛のシンボルだ。

 バラと言えば、『ブルー・ベルベット』の冒頭で鮮やかに咲き乱れる赤いバラのイメージも有名だ。しかし「Red rose」は「Dead rose(死んだバラ)」と韻を踏みたくなるし、対して「Blue rose」は「New rose(新たなバラ)」と思える。『エレファント・マン』のラストにはテニスンの詩「Nothing Will Die」が引用されるが、テニスンはその対を成す無常を歌った詩「All Things Will Die」も書いていた。そう考えるとリンチは、なんだかんだ言って善や愛が最後に勝つ、再生を信じていた人だったと思う。だから彼の夢の中に入るのは怖くないのだ。幕はいったん引かれたかもしれないが、映画館で、テレビで、ウェブで、彼の青いバラはどこかの闇の中で繰り返し花開き続ける。そんな風に何度でも夢で逢えるのは、素敵なことだ。

〔※〕『ブルー・ベルベット』の舞台ランバートンのあるノースカロライナ州、および『ツイン・ピークス』の主な舞台であるツイン・ピークスのあるワシントン州は、いずれもリンチが子供時代に暮らした州。

Waajeed - ele-king

 1年と少し前、CIRCUS Tokyoで体験したワジードのDJはほんとうにすばらしかった。その感動をふたたび味わえる日がこんなに早く来ようとは、僥倖以外のなにものでもあるまい。2023年朝霧ジャム出演以来の再来日、今回は名古屋(3/1@CLUB MAGO)、東京(3/7@CLUB ASIA)、京都(3/8@CLUB METRO)の3都市をまわる。前回都合がつかなかった方は、今回こそは見逃せませんよ!!
 なお、前回来日時に取材したワジードのインタヴューはこちらから。とてもいい話をしてくれているのでぜひご一読を。

WAAJEED JAPAN TOUR 2025

3.1 (Sat) CLUB MAGO, Nagoya

Main Floor
DJ
WAAJEED
Williams (Conomark, Taihei)

LIVE
OBRIGARD
Ramza
Goemon

Second Floor
MAKOSSA BOYS
GAL
Taiyo Maruyama
DJ KANBE

Food
Island Service

Open 22:00
ADV 3,000yen Ticket on Sale club-mago.zaiko.io/item/369387
DOOR 4,000yen

Info: Club Mago http://club-mago.co.jp
名古屋市中区新栄2-1-9 雲竜フレックスビル西館B2F Tel 052-243-1818

3.7 (Fri) CLUB ASIA, Tokyo
- THE HOUSE TOKYO -
Waajeed Japan Tour 2025
&
clubasia 29th anniversary

-MAIN FLOOR-
dj:
WAAJEED (Dirt Tech Reck / from Detroit)
Toshiyuki Goto
桑田つとむ a.k.a. DJ QUIETSTORM
conomark

live:
TOSH7

Vj:
Peeping Tom & Big! a.k.a. Sumokings
VIDEOGRAM

-2F FLOOR-
dj:
Kaori Ichikawa
Kentaro TT
Leo Gabriel
and more...

-1F BAR FLOOR-
dj:
Bungo
and more...

Open 23:00
Door 4,300yen + 1Drink
ADV 3,300yen + 1Drink *TICKET → zaiko https://cultureofasia.zaiko.io/buy/1yar:EwS:eaef4

Info: Club Asia https://clubasia.jp
東京都渋谷区円山町1-8 Tel 03-5458-2551

3.8 (Sat) CLUB METRO, Kyoto
- Jazzy Sport Kyoto 7th Anniversary × WAAJEED JAPAN TOUR 2025 -

SPECIAL GUEST DJ:
WAAJEED

DJs:
MASAYA FANTASISTA & MIKEY VAROT (Jazzy Sport)
YUKARI BB (Jazzy Sport Kyoto)
SHUN145 (Jazzy Sport Kyoto)
SHUNPURI (Club Metro)
PICHUU (Hatake Junkie)

VJ:
HSMR
mahiro

Pop up:
HATAKE JUNKIE

Food:
HIGETACO

Open 22:00
早割¥2,500 ドリンク代別途 [受付期間:1/21~1/24 23:59迄]
前売¥3,000 ドリンク代別途 e+ ( https://eplus.jp/sf/detail/4253530001-P0030001 )
当日¥3,500 ドリンク代別途

Info: Club Metro https://www.metro.ne.jp
京都市左京区川端丸太町下ル下堤町82 恵美須ビルB1F Tel 075-752-4765

Waajeed (Dirt Tech Reck / from Detroit)
Waajeed (ワジード)ことRobert O'Bryantはミシガン州デトロイト出身のDJ、プロデューサー、アーティスト。
10代の時、デトロイト・ヒップホップを代表するグループ、Slum VillageのT3、 Baatin、J Dillaと出会い、DJやビートメイカーとしてSlum Villageに参加する。
奨学金を得て大学でイラストレーションを学ぶ時期もあったが、Slum Villageのヨーロッパツアーに同行した時に、音楽を生業とすることを決めたという。
2000年にはSaadiq (Darnell Bolden)とPlatinum Pied Pipersを結成し、ネオソウルやR&B色強いサウンドを打ち出した。Platinum Pied Pipersとして、Ubiquityよりアルバム『Triple P』、『Abundance』がある。2002年からレーベルBling 47を主宰し、自身やPlatinum Pied Pipersの作品の他、 J DillaのインストアルバムJay Dee Vol. 1: Unreleased や Vol. 2: Vintageをリリースしている。
2012年、レーベルDIRT TECH RECKを立ち上げ、より斬新なダンスミュージックサウンドを追求している。
Mad Mike Banks、Theo Parrish、Amp Fiddlerとのコラボレーションを経て、2018年、Waajeedとしてのソロアルバム『FROM THE DIRT LP』を完成させた。
2019年、デトロイトでより多くの人々がアンダーグラウンドミュージックの制作ができるように、DTM、DAWでの音楽制作を中心としたワークショップコミュニティ、Underground Music Academy (UMA)を設立する。
2022年、最新アルバム『Memoirs of Hi-Tech Jazz』をドイツテクノ名門、Tresorから発表。

Shun Ikegai - ele-king

 2010年代前半のインディR&Bやポスト・ダブステップを背景に登場してきた東京のバンド、ヤイエル。独特の声づかいを聞かせるそのヴォーカリスト、池貝峻(いけがい・しゅん)がソロ・アルバムを送り出す。題して『Black River, Far East』。2月26日、〈Andless〉よりリリース。すべての曲がDYGLのドラマー、嘉本康平との共作だという。先行シングルとして今年に入ってからすでに “Route 246” と “Feel it” の2曲が公開中だ。リリース・パーティも予定されているとのこと(3月30日@WALL&WALL)なので、アルバムを聴いて予習しておきたい。

yahyelのフロントマン池貝 峻が新曲「Feel It」をリリース。2月26日にはソロアルバムリリースも決定

yahyelのボーカルを務める池貝 峻がシングル「Feel it」を2月5日(水)にリリースした。本作は1月22日にリリースしたシングル「Route 246」からわずか2週間後に発表。曲中で大きく広がっていくパイプオルガンのようなシンセシスと池貝の透明感溢れる歌声がオーバーダブすることで生まれるコーラス、都市的な不協和音が混じりあい、不安の中にわずかな光を感じるような前半部分から、徐々にクレッシェンドを繰り返しながら、幸福への問いを残す壮大な1曲だ。

また池貝は、2月26日(水)にはソロアルバムとなる『Black River, Far East』をリリース。それに際したリリースパーティーを3月30日(日)に青山のWALL&WALLにて開催することも決定した。アルバムは全曲を共作したDYGLの嘉本康平を始めとした東京を拠点とするアーティストたちと長い時間をかけて制作された作品となっている。ソロアーティストとして新たな魅力を見せる池貝の新しいサウンドを、是非とも余すところなく感じて欲しい。

Artist : 池貝 峻
Title : Feel it
Label : Andless
Date : 2025.02.05(水)
Cat #: Andless-010
配信:https://linkco.re/29cSFX8Y

【ライブ詳細】
“Black River,Far East”Shun Ikegai Album Release Party

日程:2025年3月30日 (日)
会場:WALL&WALL
時間:OPEN 17:15 / START 18:00
価格:オールスタンディング前売り4,500円 (税込•D別)
※小学生以上チケット必要/未就学児童入場無料(保護者同伴の場合に限る)
先行先着:2025年2月5日[水] 18:00~

前売り先行チケット :
https://eplus.jp/shun-ikegai/

Kendrick Lamar - ele-king

アメリカンドリームに慎重ながらも楽観的:ケンドリック・ラマーの『GNX 』(2024年)

 昨年の秋、ケンドリック・ラマーのサプライズ・リリース『GNX』は、カリフォルニア出身のラッパーがヒップホップ界の勝者であることを決定づけた。このアルバムは、ラップというジャンル自体について語り、同時に、この情熱的で重要な作品についても多くを物語っている。

 日本でも、ラップの起源やその文化はほとんど神話となって広く知られている。人種的、経済的に疎外された人びとが楽曲をリミックスし、パフォーマンスを通じてコミュニティを形成し、アメリカの都市の裏通り——ブロンクスからシカゴ、ロサンゼルスからマイアミなどなど——から、ときに社会への怒りも表現した。しかしながら、ヒップホップがアメリカ(そして世界中)で主流文化となるにつれ、このジャンルの枠組みやルールは変容している。かつては協力関係やコミュニティを基盤としていたものが、いつしか競争と個人主義を中心とするものになったのだ。

 ある意味ヒップホップの進化は、いわゆる「アメリカンドリーム」というパラドックスを象徴している。この「アメリカンドリーム」もまた、「アメリカでは努力さえすれば何でも達成できる」と約束するという、世界中で知られるほぼ神話的な概念である。だが、実際のところそれはどうだろうか? アメリカでは、資本主義が民主主義と混同されることがしばしばある。この「自由の国」では「お金で投票している」と言われているが、まさに先日の、ドナルド・トランプがイーロン・マスク、ジェフ・ベゾス、マーク・ザッカーバーグといった火星行きの取り巻きを従えて1月20日に大統領に就任した時点で、私たち99%の人びとはこれらの億万長者を打倒するための民主的な力を十分には持っていなかったことが明らかになった。

 アメリカでは、金は「何を成し遂げられるか」という点で価値を持つと考えられる一方で、それ自体が目的になっている。一部の人びとにとっては、金で買えるものよりも、どれだけの額を蓄えられるかのほうが重要なのだ。このことが、なぜラップ文化が主流の商業商品として地位やお金への執着に取りつかれているのかを説明しているように思える。それは、カニエ・ウェストが“The Good Life”で「人生でいちばん大切なものは無料のものだ」と主張していたのにもかかわらず、“I Am A God”では「早くクロワッサンを持ってこい」と怒鳴るようになった理由でもあり、また、ジェイ・Zが「俺はビジネスマンじゃない、ビジネスそのものだ」とラップしたことにもつながるだろう。

 しかし、『GNX』では──ドレイクやその「ロリータ・コンプレックス」に向けた一連のディス・トラック、さらにはP・ディディの醜悪な性的スキャンダルを経て──ケンドリックはラップを使ってこのジャンルが象徴するものへの反旗を翻している。彼はライヴァルたちを、ラップの純粋性を損ねる敵として位置づけ、このアルバムを通じてジャンルの喪失を嘆きつつも祝福し、あるいはその回復を求めているのだ。冒頭の“Wacced Out Murals”という曲において、このメッセージをすぐさま打ち出されている。ここでケンドリックは「みんな怪しい」と宣言し、リル・ウェインやスヌープ・ドッグ(「古臭いフロウ」と批判)など一部のラッパーを名指しで非難する一方で、ドレイクに対してはより間接的に、しかしアルバム全体を通して繰り返し批判を展開している。

 『GNX』には、「White Lives Matter」以前のカニエを思わせる感覚が随所に見られるように思う。まだ彼がプラットフォームをポジティヴな目的で使おうとしていた頃の話だ(『Graduation』の“Everything I Am”で、カニエはこう宣言している——「普通ならこんなことラップしないだろうけど、俺にはこれを裏付ける事実がある/去年だけでシカゴでは600以上の棺桶が必要だった/殺しなんてくだらないクソだ」)。ほかにも、アルバム全体を通じて、キリスト教的な救済のテーマが強く感じられるほか、“Man at the Garden”という楽曲では自分自身への賛辞(「俺にはすべての価値がある」)と、母親への感謝(「そうさ、彼女にはすべての価値がある」)という、カニエ風のオマージュさえも垣間見える。
 しかし、ケンドリックとカニエ、さらには他の現代ラッパーとの違いは、ケンドリックが名声と権力の誘惑に負けなかった点にある。彼はいまもなお、自分の地位を使って「より良いもの」を求めるメッセージを伝え続けている。アルバムの白眉ともいえる“Reincarnated”では、エゴと謙虚さ、そして権力や金銭の誘惑との間で揺れる古典的な葛藤を、驚くほど正直に探求している。ケンドリックは、自らを過去の偉大な黒人の系譜に位置づけ、「俺の人生を捧げて調和のなかで生きることを誓う/多くの人びとは苦しみ、思いは閉じ込められている/そんな敵を俺が作り出してしまったことを恥じている/さあ、いまいる場所を喜び合おう/悪魔の物語を書き直し、俺たちの力を取り戻すために、生まれ変わった」と宣言しているのだ。

 音楽的に見ると、『GNX』は華麗でありながら簡素という二面性を持ち合わせている。これは、成功の頂点に立つ人生の豊かさと孤独感、そして大きな力を持つことに伴う孤立した責任を見事に捉えているように思える。不規則なリズムやケンドリック特有のキャラクターになりきる能力に乗せられて、アルバムの音楽的印象を際立たせるのが、全編を通じて織り込まれた、無名の歌手によるマリアッチのヴォーカルだ。このメキシコ音楽が、ドナルド・トランプが2期目の大統領職に就いてから1週間足らずの状況ではとくに心に響く。その間に、トランプは大量の不法移民を国外追放する計画を公表し、メキシコ湾を「アメリカ湾」に改名することを示唆した。
 とはいえ、こうした歌詞の内容を超えて、『GNX』は包括性へのラヴレターと言えるだろう。これは個人ではなくコミュニティを、個人主義ではなく協力関係を慎ましく祝福する作品なのだ。アメリカは夢見る者たちの国であり、異なる文化の断片がひとつの全体として結集するという実験でもある。ここでは物事は複雑で混沌とし、騒々しく、押しつけがましく、何ひとつ予定通りには進まない。ときには暴力的なこともある。そして、フルタイムで働いても請求書の支払いに苦労し、漫画に出てくるような悪党たちに支配されている政治現状では、「アメリカンドリーム」は悪い冗談でしかない。

 ケンドリックの『GNX』は、慎重ながらも楽観的な祈りのように感じられる。たしかに状況は最悪だ。が、そう、だからこそいまは、正直になって過去の過ちから学び、アメリカのみならずこの世界をより良い場所にするため、私たちに与えられた力を何であれ使うべきときなのだ。

Cautiously Optimistic for the American Dream: Kendrick Lamar’s GNX (2024)

Last fall, Kendrick Lamar’s surprise release GNX cemented the California-based rapper as the winner of the hip-hop game — which says as much about the genre of rap itself as it does about this blistering, important album.

Even in Japan, rap’s origins are so well-known as to be almost mythical: the racially and socio-economically disenfranchised remixing songs, creating communities through performance, and raging against the machine in the back alleys of America’s inner cities — from the Bronx to Chicago to LA. But as hip-hop went mainstream in the US (and around the globe), the parameters of the genre — and the rules of its game — morphed from a foundation of collaboration and community to one of competition and individualism.

In a sense, hip-hop’s evolution represents the paradox of the so-called “American Dream”: another near mythical concept known around the world which promises that you can achieve anything in the USA, so long as you work hard enough. In actuality, though, capitalism is conflated with democracy in America. Here in the “Land of the Free,” we’re told that we “vote with our dollar”— although since Donald Trump was sworn in as president on January 20th with his Mars-bound henchmen of Elon Musk, Jeff Bezos, and Mark Zuckerberg in tow, it’s clear that we 99% didn’t have enough democratic capital to to overthrow the billionaires...

In America, then, money might be coveted for what it can do for us, but often ends up becoming the goal in and of itself. To some people, what money can buy you isn’t as important as how much money you can accumulate. I can’t help but think that this is why rap culture, as a mainstream commodity, is so status and money-obsessed. It explains why Kanye West went from reminding us that the best things in life are free on “The Good Life” to barking at people to hurry up with his damned croissant on “I Am A God.” It’s why Jay-Z rapped, “I’m not a businessman, I’m a business, man.”

But on GNX — fresh off a series diss tracks aimed at Drake and his Lolita- complex, and the hideous sex scandal surrounding P. Diddy — Kendrick uses rap to fight against what this musical genre has come to represent. He frames his rivals as opponents of rap’s integrity, which the album both mourns and celebrates— perhaps even demands. He wastes no time establishing this message, either. On the opening track of “wacced out murals”, Kendrick declares that “everybody questionable,” and calls out some rappers explicitly (like Lil Wayne and Snoop Dog, the latter with his “old-ass flows”), and others — specifically Drake — more implicitly, and repeatedly throughout the entire album.

Aspects of GNX have a distinct feel of pre-White Lives Matter Kanye, when he tried to use his platform for positivity (“I know people wouldn’t usually rap this,” Kanye pronounces on Graduation’s “Everything I Am,” “But I got the facts to back this / Just last year, Chicago had over six hundred caskets / Man, killing’s some wack shit”). There’s strong themes of Christian redemption throughout the album as well, and even a decidedly Kanye-esque homage to both himself (“I deserve it all”) and his mother (“Yeah, SHE deserves it all”) with “Man at the Garden.” The difference, though, between

Kendrick and Kanye— and other rappers of our time— is that Kendrick didn’t fall prey to the siren song of fame and power. He continues to use his status to preach for something better. Perhaps the crown jewel of the album, “Reincarnated” investigates the age-old struggle between ego and humility, and the temptation of power and money, with stunning honesty. Inserting himself into a lineage of Black greats before him, Kendrick promises: “I vow my life to just to live one in harmony now/ You crushed a lot of people keeping their thoughts in captivity/ And I’m ashamed that I ever created that enemy/ Then let’s rejoice where we at / I rewrote the devil’s story just to take our power back, reincarnated.”

Musically, GNX is at once ornate and spare, which captures the lush loneliness of life at the top, and the isolating responsibility that comes with great power. Against some off-kilter rhythms and Kendrick’s signature ability to get into character, though, GNX’s musical stamp might be the Mariachi vocals from a previously unknown singer woven throughout the album. This Mexican music is especially haunting in Donald Trump’s second presidency, which less than a week in promises to deport undocumented people en-mass, and rename the Gulf of Mexico the Gulf of America. Beyond its lyrics, then, GNX is a love-letter to inclusion: a solemn celebration of community over individual, and collaboration over individualism.

America is a nation of dreamers, and is an experiment in separate cultural pieces coming together as a whole. It’s complicated and messy here. It’s loud, it’s in-your-face, nothing runs on time. Sometimes it’s violent. And while the American Dream may seem like a bad joke as people struggle to pay bills working full-time jobs, and while our politics are overrun by comic book-levels of villainy, I dare say that Kendrick’s GNX is a cautiously optimistic prayer. Yes, this is the shit show we’re in, but now is the time to get honest, learn from our mistakes, and use whatever power we may to make something better— in America and beyond.

Brian Eno & Peter Chilvers - ele-king

 先日、観るたびに内容が変わるドキュメンタリー『ENO』の公開が話題となったブライアン・イーノ。映画にまで「ジェネレイティヴ=自動生成」を導入するその徹底ぶりには脱帽させられるけれど、彼が長年にわたり探求してきたそのアイディアのひとつの到達点が、ピーター・チルヴァースとともに開発した2008年のiOS用アプリ「Bloom」だった。
 基調音と最低限の音素材が流れるなか、ユーザーが画面をタップするとそれに応じて新たにサウンドが加えられていくというインタラクティヴなそれは、2018年にARインスタレーション「Bloom: Open Space」へと発展、同年には10周年記念ヴァージョン「Bloom: 10 Worlds」も発売されている。
 その「Bloom」をスタジオ作品として再構築したのが、去る1月31日に配信開始となった『Bloom: Living World』だ(ちなみに、ややこしいが、同作を5分34病の長さにエディットした曲が “Bloom: Small World” で、ようは先行シングルみたいなものだろう、こちらはすでに昨年10月、Amazon Music Originalsでリリースされていて、今回その他のサーヴィスでも解禁されることになった)。
 まあようするに、二度とおなじ体験ができないサウンドをひとつのかたちに固定した『Bloom: Living World』は、イーノの新しいアンビエント・アルバムとして楽しむこともできますよ、と。いまのところYouTube、Spotify、Apple Music、Amazon Musicなどのサーヴィスで試聴可能、ぜひお試しあれ。

Bloom: Living World (Video Edit)

Bloom: Recorded 4th June 2024

BRIAN ENO

ブライアン・イーノとピーター・チルヴァースが開発したジェネレーティブ・ミュージック・プレーヤー「Bloom」がスタジオ作品『Bloom: Living World』としてすべてのデジタル音楽サービスで配信スタート!

ジェネレイティヴ・ミュージックとアンビエント・ミュージックのパイオニアであるブライアン・イーノは、スマートフォンが新しく登場した時にスマートフォン・アプリがもたらす可能性を即座に見抜いた。2008年、彼はソフトウェア開発者のピーター・チルヴァースと共に、あらゆるスマートデバイスで楽しめるジェネレイティブ・ビジュアル・ミュージック・アプリ「Bloom」を開発。様々な受賞歴もあるこのアプリは、イーノのオリジナルの音楽とビジュアルを活用し、ユーザーは画面をタップするだけで精巧なパターンやメロディーを探求することができる。

発表から16年経っても新鮮さと関連性を保ち続けているアプリはそう多くない。長年にわたり映画やテレビで使用され、新機能が追加されながら進化し、2018年には10周年を記念した拡張版「Bloom: 10 Worlds」が誕生。そして同年には、アムステルダムのThe TransformatorhuisでBloom: Open Spaceが開催された。このインスタレーションは、イーノにとって初となる拡張現実(AR)を用いた試みで、ホロレンズを使用しその場でのジェネレイティブな音楽体験ができるものであった。

Bloom: Living Worldは「Bloom」をスタジオ作品として再構築し、1時間の録音に微妙な音のタッチを加えた楽曲。そして、Bloom: Small Worldは、この体験を5分34秒という簡潔な時間に凝縮している。2024年10月にAmazon Music Originalsとしてリリースされたこの作品は、最初の3ヶ月で1700万ストリーミングを突破し、2025年1月31日にはすべてのデジタル音楽サービスでリリースされる。

音楽に合わせて、同じくアプリから生成されたオリジナル・ビデオ編集が行われ、YouTubeの総再生回数は12万回を超えている。

Brian Eno & Peter Chilvers - Bloom: Recorded 4th June 2024
https://youtu.be/uwfudk4jftI

Brian Eno x Bloom - Bloom: Living World (Video Edit)
https://youtu.be/veLbUg6Uatc

各種リンク
https://linktr.ee/brianeno

ブライアン・イーノは、自身のクリエイティブな人生を描いた新作ドキュメンタリー映画「Eno」の中で、それぞれの楽曲を制作する際のアプローチについて、「新しい世界を創造すること」と考えていると説明している。Bloom: Living Worldでは、このアプローチがエレガントかつシンプルに表現されている。

Meitei - ele-king

 日本アンビエント界の人気者、冥丁の新着情報です。2023年にデジタル配信のみで発表されていた「室礼(しつらひ)」が〈KITCHEN. LABEL〉から12インチとしてリリースされます。“立春” “立夏” “立秋” “立冬” と二十四節気をテーマにした作品で、700枚限定の白のカラー・ヴァイナル、発売は3月7日です。
 またこれを記念し、京都と東京ではライヴも開催されます。3月8日(土)@京都文化博物館別館ホール、3月9日(日)表参道WALL&WALL、後者はなんとジム・オルーク石橋英子とのツーマン! 音源とライヴとでは表情が変わる冥丁、未見の方はこのチャンスにぜひ。

冥丁『室礼』(限定12インチ・ヴァイナル)
3/7(金)リリース

デジタル配信のみで発表していた、「二十四節気」をテーマにした冥丁のミニマル・ピアノ・アンビエント作品『室礼』が限定12インチ・ホワイト・ヴァイナルとしてKITCHEN. LABELよりリリース。日本古来の印象をモチーフにしたサウンドで脚光を浴びる音楽家・冥丁が、古の文化を現代に訳しその概念を届ける”WARA”のために制作した楽曲集。

発売日: 2025年3月7日(金)
アーティスト:冥丁
タイトル:室礼(読み仮名:しつらひ)
フォーマット: 国内流通盤12インチ
本体価格 : 4,400円(税込)
レーベル:KITCHEN. LABEL
流通 : p*dis / Inpartmaint Inc.
*限定700枚プレス
*カラーヴァイナル(ホワイト)
https://www.inpartmaint.com/site/41084/

冥丁 『室礼』 TOUR
3/8(土)京都・京都文化博物館 別館ホール
3/9(日)東京・WALL&WALL

MORE INFO : Inpartmaint Inc.
https://www.inpartmaint.com/site/41061/

失われつつある日本の情緒を再解釈し新たな音の領域を構築する広島在住のアーティスト冥丁が、日本の「二十四節気」をテーマにしたミニマル・アンビエント作品『室礼』の限定12インチ・ヴァイナルの発売を記念した国内ツアーを東京・京都の2都市で開催!

DESIGNED BY RICKS ANG (KITCHEN. LABEL)

【京都公演】
■日時:2025年3月8日(土)開場 17:30 / 開演 18:00
■会場:京都文化博物館 別館ホール(京都市中京区三条高倉)
■料金:前売 ¥5,000 / 当日 ¥5,500 (全席自由/税込)
■出演:冥丁
■チケット販売
LivePocket
https://t.livepocket.jp/e/20250308_meitei
■主催・お問い合わせ:night cruising
https://nightcruising.jp/
E-Mail: info@nightcruising.jp

Tel: 050-3631-2006(平日12:00-18:00)

【東京公演】
冥丁/ジム・オルークx石橋英子 -a part of ”室礼” Tour-
http://wallwall.tokyo/schedule/20250309_meitei_jimorourke_ishibashieiko/

■日時:2025年3月9日(日)開場 17:30 / 開演 18:30
■会場:WALL&WALL(東京都港区南青山3-18-19フェスタ表参道ビルB1)
■料金:
前売 ¥4,000 +1drink ¥700[販売期間:3/8 18:00まで]
当日 ¥5,000 +1drink ¥700[販売期間:3/9 17:30〜]
■出演:冥丁 / ジム・オルーク×石橋英子
■チケット販売
e+(イープラス)
https://eplus.jp/sf/detail/4258470001-P0030001
■主催・お問い合わせ:WALL&WALL
http://wallwall.tokyo/
E-MAIL : info@wallwall.tokyo
TEL:03-6438-9240

Yetsuby - ele-king

 韓国のエレクトロニック・デュオ・Salamandaの一員としても知られるDJ/プロデューサーのYetsuby(イェツビー)が、アルバム『4EVA』を3月26日にイギリスの〈Métron Records〉の新たな姉妹レーベル〈Pink Oyster Records〉よりリリースする。

 サラマンダ自体はベッドルーム的なサウンドスケープにもとづいたアンビエント~エレクトロニカに近接した作品をいくつかリリースしているが、メンバーのUman ThermaとYetsubyはそれぞれがDJとしてもソウルのクラブ・シーンを大いに盛り上げており、Umanはマシンドラムの韓国公演を、Yetsubyはエヴィアン・クライストの韓国公演をサポートするなど、ローカル・プレイヤーとしても支持を得ている(昨年11月にはAlbino SoundとRomy Matsたちによる〈解体新書〉へ、ふたりともDJセットで来日していました)。

 本作『4EVA』はレフトフィールド・ベースやブレイクビーツ、フットワーク、ジャングル、IDMといったジャンルを横断的に織り交ぜたコンテンポラリーなクラブ・ミュージックがヴァラエティ豊かに収録された内容となるようだ。先行シングルとして収録曲〝Aestheti-Q〟も先行公開中。

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