「Nothing」と一致するもの

The Pop Group - ele-king

 90年代に青春のようなものを過ごした筆者にとって、ちょうどザ・ポップ・グループの音源はどれもこれも入手困難につき、中古レコード屋の壁に鎮座する高嶺の花だったわけで……。なので、彼らの作品をようやく手にすることができたのは、たしかセカンド『ハウ・マッチ・ロンガー(われわれはいったいどれだけの大量殺戮を見逃すんだ)』が日本だけでCD再発されたときだから、1994年だったと記憶する。その1曲め“フォース・オブ・オプレッション”の衝撃たるやこれいかに! 長らくしたためすぎて溜まりに溜まり濡れに濡れてパンパンに膨らんだグループに対するこちらの妄想。それをゆうに越えた破壊力に、度肝どころか五臓六腑すべてを抜かれたものだ。

 そんな破壊力や初期衝動といった当時を思わせる若さなんてはなっから期待していなかったのだけれど、ザ・ポップ・グループの35年ぶりの新作にはなかなかに驚かされた。こちらは実際に体験していないので勝手な想像に終わってしまうが、2010年の再結成、そして2011年の〈サマーソニック〉出演時などの動画をみると、精彩を欠いたおっさんたちが懸命にかつてのザ・ポップ・グループのコピーに勤しんでいるという残念さでいっぱいだったのが正直なところで……。また、同時期に再結成&来日を果たしたノイエ・ドイチェ・ヴェレの雄、パレ・シャンブルクの抜群のキレのよさと比べてしまい、さらにがっかりしたものだ。

 しかしどうだ。ザ・ポップ・グループの新作『シチズン・ゾンビ』は、そんな失望を嘘ごとのようにはるか向こうに吹き飛ばす強烈なエナジーに満ちあふれているではないか。1曲めのタイトル曲“シチズン・ゾンビ”からマーク・スチュワート印の拡声された声のアジテーションが飛び出し思わず「おおぅ」となる。ほどよくダブ処理されたブルース・スミスのドラムと、ダン・カツィス(2代めベーシスト)のパンキー・レゲエなベースがずっしりとバンドの骨格を支え、ギャレス・セイガーのギターはエッジの効いた単音リフを刻んで空間を切り裂く。まぎれもなくザ・ポップ・グループの音だ。キレもある。ただ、そこにはかつてあった触るものみな傷つけるような暴力さはなく、しかし、尖ったナイフを捨てて胡座をかいているような生ぬるさも微塵もない。勢いというよりも、説得力を増した音と絶叫は相も変わらず傍若無人でワガママ。年をとるのも悪くない。そして、リード・シングル“マッド・トゥルース”では、1980年にリリースされたザ・スリッツとのスプリットEPに収録されていた“ホエア・ゼアズ・ア・ウィル・ゼアズ・ア・ウェイ”を思い起こさせる変則ジャズ・ファンクを聴くことができて、つづく“ノーウェア・ガール”ではいつになく緻密なアレンジと大胆なサウンド・プロダクションが同居する演奏をバックに、マークがロマンチシズムたっぷりに歌い上げたりする。本作のプロデュースに、アデル、U2、ポール・マッカートニーらを手掛けたポール・エトワースを起用するという開かれた試みも功を奏し、よい意味で彼らのごった煮スープのような音の具材一つひとつにクリアなうま味が加えられ、騒々しくも全体のピントがくっきり締まりのあるものになっている。また、本作の聞きどころとして、全編に顔を出す女性コーラスの存在も大きい。華やかな添えものとしてではなく、意表とツボをつくコーラスは作品に妖しい色気とゴージャスなグルーヴを送りこむ。その効果は“イマキュレイト・ディセプション”のなかでとくに顕著である。それにしてもギャレスのトリッキーなギターは最高だ。リップ・リグ&パニック時代にも冴えまくっていた不協和音混じりのザラついたカッティングに、ぎょいーんと曲の中心をずらして鋭利に切りこむスライド・ギター。なんだか、ザ・クラッシュのダンス・クラシック“ロック・ザ・カスバ”ばりのキャッチーな躍動感をもつディスコ・ファンク“ソフィア”や『ハウ・マッチ・ロンガー』収録の“ブラインド・フェイス”を思い出させるベースラインやフリーキーなサックスが印象的な、アルバム中もっとも混沌をきたす“ボックス・ナイン”で鳴らされるそのギターは、ザ・ポップ・グループがいつまでもザ・ポップ・グループであることを確かなものにする。

 グループ解散後にリリースされた3枚めのアルバム『ウィ・アー・タイム』(1980)で作り上げた発想と破壊の果ての巧みなバンド・アンサンブル。それを洗練とも熟練ともちがう、気迫あふれるラディカリズムで引き継いだ本作。彼らの過去の作品が35年もの月日に風化されることなく、いつまでもセンセーショナルに聴かれつづけてきたように、この『シチズン・ゾンビ』も聴くほどに新たな突破口を見出せる作品となっている。
 老いてなお燃ゆる。ブリストルの恐るべき10代たちは、自ら仕掛けた最大級の反語=「ポップ」の罠に陥ることなく、50代となったいまなおグループの革新性を更新しているのだ。

Jamie xx - ele-king

 先日、ロメアのレヴューで野田が「UKからは何年かに1枚の素晴らしいハウスのレコードが出る」なぞと、調子こいてわめいていたそのアルバムこそ、6月3日発売予定のジェイミーXXのソロ・アルバム『イン・カラー』のことなのであった。
 ele-kingの2014年の大きな過ちのひとつは、ジェイミーXXの傑作シングル「 Girl / Sleep Sound 」を紹介しなかったこと。



 この美しいハウス・トラックは、アルバムの2曲目収録されている。
 vol.16の取材で、ジェイミーXXは彼にとっての最初が影響が「DJシャドウ、RJD2、そしてプラッド」と明かしている。すごく納得のいく話だ。DJシャドウ(ネタをディグする男)+プラッド(デトロイティッシュUKテクノ)、そしてUKガラージにベース・ミュージック……。
 言っておくけど、ジェイミーXXとは、ザ・XXというポップ・バンドのメンバーで、アンダーグラウンドのスターではない。そんな青年が、来日時にディスクユニオンでレアグルーヴを1時間以上も掘り続けるっていのは、本当にUKらしい。
 
 現在、ジェイミーXXとフォー・テットとのラジオでのDJプレイが公開されている。なんと、ジム・オルークやNHKコーヘイまで入っているぜよ! 

Jamie xx
In Colour(イン・カラー)

Young Turks / Hostess
6月3日発売予定


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Young Fathers - ele-king

 『ホワイト・メン・アー・ブラック・メン・トゥー』(白人は黒人でもある)、アルバムのタイトルからして、充分に挑発的だ。
 いま話題のエジンバラの3人組、ヤング・ファーザーズ、昨年彼らが出した『デッド』は、FKAツイッグスをおさえての、まさかのマーキュリー最優秀アルバム賞を受賞。その授賞式で、まったく喜びを表に出さなかった冷めた態度も話題になった。
 『ホワイト・メン・アー・ブラック・メン・トゥー』──この言葉について一瞬でも人が考えてくれたら良いと思った、vol.16の取材にメンバーのグレアム・ヘイスティングスはそう答えてくれた。

 ポップ・ミュージックとは本来、幅の広い多様な音楽を意味するものだったと彼は語る。ネットの普及によって、リスナーの印象を確保するため、むしろ同じような内容の幅の狭い音楽がポップ・ミュージックになっていると鋭い意見を述べる。いわく「5時半に仕事を終えて、運転して帰宅途中の人たちなどには、人生の狭い価値観ではなく、幅広い文化を提供すべきだ。俺たちは、ポップ・ミュージックにそういう意味を込めている」

 おわかりのように、ヤング・ファーザースが“ポップ”にこだわるのは、キャッチーであるとか、商業的であるとか、大衆に迎合するとか、わかりやすいとか、そういう意味ではない。ポップこそが多様性に満ちた世界であるべきだ、という意味である。
 また、このアルバムには、彼らのエジンバラでの経験が詰められている。
 前作とは打って変わって、ラップはほとんどない。モータウンがベルリンで録音されたような……いや、止めておこう。

 前口上が長くなったが、ヤング・ファーザースの注目の新作、『ホワイト・メン・アー・ブラック・メン・トゥー』をたっぷり試聴してくれたまえ。

https://noisey.vice.com/blog/young-fathers-white-men-are-black-too-album-stream

 『ホワイト・メン・アー・ブラック・メン・トゥー』は、今週4月4日(土)、ボーナストラックを追加収録し、いよいよリリースされる。ぜひ、ele-king vol.16掲載のインタヴューも読んでいただきたい。

ヤング・ファーザーズ
White Men Are Black Men Too

BEAT RECORDS / BIG DADA

Amazon


interview with Purity Ring - ele-king


Another Eternity - Purity Ring

ElectronicR&BDream Pop

Tower HMV Amazon iTunes

 デビュー・アルバムがリリースされ、フェス出演のためにはじめて来日したとき、彼らは近所の若い人か職場の後輩のような親しみやすさと素朴さをあふれさせていて、コリン・ロディックは「この服はミーガンの手作りなんだ」と黄色いズボンを示してみせた。このふたりがこの後〈フジロック(FUJI ROCK FESTIVAL)〉のステージに立つなど想像できない──つねにツアーの途上、というようなUSのインディ・アーティストたちのような活動とも異なり、本ユニットにおいてはベッドルームがとつぜんステージに直結してしまったというようなピュリティ・リングのたたずまいには、当時のドリーム・ポップの盛り上がりや、あるいはインターネットを前提とした音楽コミュニケーションを象徴するようなところがあった。

 ピュリティ・リング。カナダの男女デュオ。ネットで公開した音源が話題を集め、2012年に名門〈4AD〉からフル・アルバム『シュラインズ』をリリース。その後はレディ・ガガのオフィシャル・リミックスなど活動の幅が大きく広がった。同じくカナダのプロデューサーで〈4AD〉のレーベル・メイトでもあるグライムス(Grimes)にやや遅れるかたちで、しかしチルウェイヴやシューゲイズなど新しいサイケデリック・ミュージックの盛り上がりともシンクロしながら、同レーベルがふたたび輝いた時代を体現したユニットだ。
 それから約3年、今回取材に応じてくれたコリンの回答からは、純朴さや音楽に対する生真面目さは残しながらも、少しタフになった印象を受ける。新譜もまさにそんな印象だ。経験値の上がった無垢をどのように評価するか筆者には悩ましいところだが、『アナザー・エタニティ(Another Eternity)』はより多くの人に聴かれることになるだろう。

■Purity Ring / ピュリティ・リング
コリン・ロディック (Corin Roddick) とミーガン・ジェイムズ (Megan James)、カナダはハリファックス/モントリオールを拠点に活動する男女デュオ。ゴブル・ゴブル(現ボーン・ゴールド)のドラムとヴォーカルとして活動し、のちに独立して曲作りをはじめる。11年1月にインターネットで発表した音源が世界的な注目を浴び、英老舗レーベル〈4AD〉と契約、2012年7月『シュラインズ』で世界デビューを果たし、フジロック'12に出演のため初来日。ダニー・ブラウンやジョン・ホプキンスとの共演や、レディー・ガガの楽曲のオフィシャル・リミックスを行うなど精力的に活動。2015年3月にセカンド・アルバム『アナザー・エタニティ』がリリースされた。


俺もミーガンも映画を見たり本を読んだりはよくするし、テレビ・ゲームもする。あと、音楽を作る環境もよく変える(笑)。

ぐっとR&B色が強まりましたね。これは誰のアイディアなのでしょう?

コリン・ロディック(以下コリン):自分ではそんなこと考えなかったからさっぱり(笑)。最初のアルバムも、ドラムやプログラミング、使ったリズムのタイプとか、ヒップホップの要素はたくさんあったと思う。それとまったく同じリズムを使ったわけではないけど、今回のアルバムでもそういったリズムを使ってるから、そこかな? ニュー・アルバムではサウンドがもっとクリアになっているから、ヒップホップやR&Bの要素が前回よりもわかりやすくなっているんだと思う。自ら意識してR&B色を強めようとしたわけではないんだ。

あなたはもともとR&Bが好きでもあるんですよね。

コリン:そう。いろいろなタイプの音楽が好きだけど、その中でもR&Bはたくさん聴くよ。

その中でも自分の原点にあるような音楽とは?

コリン:うーん……難しい質問だな(苦笑)。パッとは思いつかないけど、お気に入りはジャネット・ジャクソン。だけってわけではないけど、彼女は王道だと思うし、素晴らしい作品をたくさん持ったアーティストだと思うから。

では次は、最近のR&Bで気になるものを教えてください。

コリン:そうだな……、アリアナ・グランデ(Ariana Grande)のアルバムはいいと思った。前よりもポップになってはいたけど、まだまだR&Bだと思うし、去年の俺のお気に入りのアルバムのひとつ。今年はいいR&Bのアルバムがもっとたくさん出てくるんじゃないかな。

また、とくに今作についてつよい影響を与えるような体験や音楽、表現などはありましたか?

コリン:俺もミーガンも映画を見たり本を読んだりはよくするし、テレビ・ゲームもする。あと、音楽を作る環境もよく変える(笑)。だから、そういったいろいろなものから影響や刺激を自然と受けてるんだ。どうやってかはわからないけど、そのすべてが自然と自分たちの音楽に入ってくる。この音楽とかこの映画とか、ピンポイントでこれっていうのは説明できないけどね。意識はけっしてしてなくて、そういった日々のまわりにあるものが、自分の脳というフィルターを通して音に出てくるんだよ。

レディ・ガガのリミックスは、ガガさん本人があなたたちの音楽を気に入られたからですよね? 

コリン:ははは(笑)。そう思いたいけどね。俺たちのリミックスを気に入ったっていうのは実際に聴いたけど。あの経験はクールだった。リミックスのオファーが来たのは光栄だった。彼女は尊敬すべきアーティストだし、おもしろい音楽をたくさん作ってる。関わることができてハッピーだったね。

あなたたちのドリーミーで抽象的な音と、レディ・ガガさんのある意味では直接的な表現や音では、真逆ともいえる性質を持っていると思いますが、彼女の音楽を料理するにあたってどんなことを考えましたか?

コリン:俺のアプローチは、とにかく彼女のヴォーカルだけはキープして、そのまわりのものを剥ぎ取っていくというやり方だった。そこからまた自分で曲を再構築していきたいと思ったんだ。リミックスというより、自分のオリジナル・ヴァージョンを作る、みたいな感じ。新曲を作るみたいにね。それだけは取り掛かる前から決めていた。DJがプレイしたいような作品とか、普通のリミックスとか、そんなのはぜんぜん頭になかったんだ。だからあのリミックスは、レディ・ガガの作品にも聴こえるし、ピュリティ・リングのトラックにも聴こえると思う。

ご自分たちにはどんなことが求められていると思いましたか?

コリン:ぜんぜんわからなかった。何も言われなかったし、頼まれたってことは俺たちの音楽を気に入ってくれてるからなのかなってことくらいしかわからなかったね。彼女の音楽と俺たちの音楽に何か通じるものがあったのかもしれないし。いま振り返るとおもしろいな。あのリミックスをやったのは、『シュラインズ(Shrines)』(2012年、ファースト・アルバム)を完成させて、『アナザー・エタニティー(Another Eternity)』を作る前、つまりその二つの作品の中間地点だった。『シュラインズ』のサウンドには戻りたくないけど、同時にどんなサウンドを作りたいのかもわからないっていう、変な時期だったんだよね。自分の中で、いろいろと模索している時期だったんだ。

レディ・ガガの音楽は聴きます?

コリン:彼女の音楽は好きだよ。全曲ってわけではないけど。これはポップ・スター全員に言えることだと思う。いいヒットもあるし、あまり魅力的ではない曲もある。レディ・ガガのようなビッグなポップ・スターたちは、本当にたくさんの人たちと作業しているから、音楽がアルバムごとに、もっと言えばアルバムの中の曲ごとに変わってくる。サウンドの形が、誰と作業するかで変化するんだよね。だから、自分好みの曲とそうでないものが出てくるんだけど、俺自身が好きな彼女の曲は何度も聴いてるよ。

ジョン・ホプキンスとのコラボレーションもありました。こうした他のアーティストたちとの仕事や関わりは、あなたたちの存在感ばかりでなく、音にも影響を及ぼしたのではないかと思いますが、いかがでしょう?

コリン:ジョン・ホプキンスに関しては、最初に彼と仕事したのは『シュラインズ』の中の“Saltkin”っていう曲。あの曲のミックスをやっていたときに困ってしまって、彼に連絡をとって協力を頼んだら、彼も興味をもってくれていたからお願いすることにした。だから、あの曲だけが『シュラインズ』の中で自分がミックスしなかった曲なんだ。彼はあの曲におもしろい要素を加えてくれた。だからそこから彼と近くなって、またいっしょにやろうということになったんだ。ショーもいくつかいっしょにやったし、リミックスもしてくれたし、ミーガンも彼の曲で歌ったりして、彼とはけっこう関わってる。彼と俺たちっていうのは、クールなコンビネーションだと思うんだよね。彼のサウンドへの取り組み方は自分たちに合ってるし、これからも彼といろいろ作業していきたいと思ってる。彼は確実に俺たちのお気に入りのアーティストだし、メロディとサウンドデザイン両方で素晴らしい才能を持ったアーティストだから。

中にはインディをジャンルだと思ってる人もいるみたいだけど、俺はインディっていうサウンドはないと思う。サウンドはサウンドだから。

また、かつてふたりで小さな空間で作っていたような音楽といまの音楽の間にどのような差を感じますか?

コリン:どうだろう……。音楽がどこから来てるかっていう根本は変わらないと思う。前はベッドルームで、いまはビッグなスタジオで他のアーティストたちと共演したりしているけど、俺たちにとっては全部同じに感じるんだよね。サウンドがいまと昔でちがうのは当たり前だと思うし。アーティストとして自分たち自身も成長するし、自分たちをさまざまなやり方でより表現できるようになる。でも、結局それがどこから出てきているかっていうのは変わらないんだ。ファーストとセカンドでサウンドがちがっていたとしても、どちらが良くてどちらが良くないとか、そういうことは思わない。それは、自然な変化だと思うから。

「インディらしさ」というものをどんなものだと考えますか?

コリン:それは難しい質問だね。インディ=インディペンデントだから、やっぱり誰の力も借りず、全部自分たちでやるっていうことじゃない(笑)? そういう意味では、俺たちはインディじゃないと思う。レーベルもマネージャーもいるからね。俺たちのためにがんばってくれているチームがいるし、たくさんの人たちに協力してもらってるから。その中でも自分たちのやりたいことはやらせてもらっているけどね。でもおもしろいのは、俺たちのレーベルはメジャー・レーベルと見なされていないし、俺たちもインディ・アーティストと思われてるということ。でも俺自身は、自分たちをインディ・アーティストだとは思ってない(笑)。結局、あまりちがいはないんだと思うよ。中にはインディをジャンルだと思ってる人もいるみたいだけど、俺はインディっていうサウンドはないと思う。サウンドはサウンドだから。世の中には、本当に自分たちだけで何でもやっている真のインディ・アーティストもいるよね。俺が最初にバンドにいたときは、全部自分たちでやっていたから、当時は自分たちをインディ・アーティストって言ってた。でも、言葉そのものの意味を考えたらもうちがう(笑)。インディやメジャーかなんて、いまの時代誰も気にしてないんじゃない(笑)?

以前〈フジロック・フェスティヴァル〉で来日されたときは、手製のランタン型のシンセサイザーのようなものを使用されていたと思うのですが、そうしたD.I.Y.な方法は今作に何か反映されていますか?

コリン:DIYはつねに可能だと思うし、大切だと思う。前の『シュラインズ』のライヴ・ショーでは、照明とかカスタム楽器とか、すべてを自分たちで作った。あのランタンもそう。オンラインでオーダーして自分で作ったんだ(笑)。あれはかなりやりがいがあった。当時は自分たちしかいなかったからね。そういったDIY精神はつねに大切。いまはニュー・アルバムのショーを構成しているところなんだけど、ビッグ・スケールだから他の人たちにも手伝ってもらってるんだ。以前よりも忙しいのと、スケールが大きいぶん、自分たちよりもスキルがある人に任せたくて。それでもDIY精神はまだあって、すべてのプロセスに俺たちも関わっているし、アイディアは全部自分たちのもの。すべてを把握してるっていうのもDIYのひとつだと思うし、これからもずっと大切だと思う。今回のライヴは、また一から作ってるんだ。前回とコンセプトは似てるけど、スケールがこれまでにないくらい大きくなってる。いまはまだ準備中だけどね。

録音環境で前作ともっとも異なっていると感じるのはどのようなところですか?

コリン:録音環境ではあまりちがいは感じないけど、いちばんのちがいは音楽の書き方。前回はお互い別々の街に住んでたから、音を何度も送り合ってたんだ。でも新作では、ほとんど同じ部屋で作業することができた。だから、もっと結束力が強くなってる。その場ですぐにフィードバックを与え合ったり、いっしょに曲を書いたり。そのプロセスの変化は、ライティングへの意識を確実に変えたね。

次回もそのプロセスで?

コリン:同じスペースで仕事をするほうが確実に得だと思う。簡単だし、何かエキサイティングなことが起これば、それをそのまま捉えることができる。それって重要なことだと思うんだよね。もう遠距離で曲は作らないと思う。

リスナーとして他の音楽を聴いているときも、俺はあまり歌詞の内容に耳を傾けてない。気になるのは、音のトーンなんだよね。

“ビギン・アゲイン(begin again)”には月と地球の比喩が出てきますね。地球が女性側のことであるように感じられますが、地球=大地に母性のイメージをみているのでしょうか?

コリン:これはミーガンに訊いてくれる(笑)? 歌詞はすべて彼女が書いてるから。

わかりました(笑)。今作では何度か「地球」のモチーフがあらわれますし、前作にも共通することですが、あなたがたの詞には「世界」を歌う、スケールの大きいものが多いですね。そしてそうでありながらも、歌われているのは「あなた」と「わたし」の愛についてだけだとも言えるように思います。こうしたテーマはあなたがたの音楽にとって不可欠なものでしょうか? ……というのもミーガンにお訊ねしたほうがよさそうですね。

コリン:俺にはわからないな(笑)。これもミーガンに訊いた方がいい。

歌詞に関して、あなたが意見するときもあるんですか?

コリン:内容に関してはノー。でも、メロディに対して意見は言うよ。あと、歌詞の「サウンド」。この言葉の音はこのメロディには合わないんじゃない? とか。歌詞の内容じゃなくて、俺は言葉の音を気にするんだ。歌詞の意味に関しては、すべてミーガンの仕事だからね。

なるほど。歌詞の聴こえ方ということですよね? おもしろい。

コリン:そうそう。気づいたんだけど、リスナーとして他の音楽を聴いているときも、俺はあまり歌詞の内容に耳を傾けてない。気になるのは、音のトーンなんだよね。ヴォーカルと歌詞に関しては、そこにフォーカスするんだ。

今回の収録曲のそれぞれの長さについて、とくに意図したところはありますか?

コリン:曲はなるべく短くするようにしてる。4分以上の曲は個人的にあまり好きじゃなくて。自分が音楽を聴くときもそうなんだ。早くポイントに達する曲が好きだし、ずっとダラダラした音楽はあまり好きじゃない。だから、ベストは3、4分。それが俺にとっては自然なんだよね。作る時点で、長いものを編集して3、4分にするというよりは、いろいろな音を集めて一つにした時点でそれくらいの長さになってることのほうが多いんだ。

“アナザー・エタニティ”というのは現世を否定するような意味合いがありますか?

コリン:このアルバム・タイトルはアルバム内の“ビギン・アゲイン”っていう曲から来てるんだけど、その曲はアルバムの中間に収録された曲で、ある意味アルバムの中心なんだ。歌詞から来てるから、これもミーガンに訊いたほうがいい(笑)。俺にとっては、いろいろなことに対してオープンになって、ひとつひとつを冷静に考えると、物事はサイクルになっていて、あることが起これば次に何かが起こって、それがまた繰り返し起こるって感じがするんだけど……説明が難しいな。言葉では無理(笑)。

物事はサイクルになっていて、あることが起これば次に何かが起こって、それがまた繰り返し起こるって感じがする。

あなたがたの音楽は、非常にドラマチックでシネマティックなものだと思うのですが、この作品に音をつけてみたいというような映像作品はありますか?

コリン:実現できたらすっごくクールだね! 俺はSFや未来的な映画を見るのが好きだから、そういった作品のために音楽を作れたら最高。あとはヴィデオ・ゲームかな。俺の音楽の書き方もシネマティックだし、可能ではあると思う。俺たちの音楽は、3分間の音の旅みたいな、聴いていていろいろなエリアにワープできるような作品だから。いままで一度もそういう(映像に音をつける)経験をしたことがないから、いつか経験できるのがすごく楽しみ。

カナダではいまどんな音楽がおもしろいでしょう? また、あなた方自身は、UKとUSではどちらの音楽シーンに親和性を感じますか?

コリン:わからないな(笑)。ロックでも、メインストリームでも、ポップでも、アメリカで流行ってるものがカナダでも流行ってると思うよ。最近よく言われてるけど、俺もあまり場所で音楽を考えないタイプ。ジャンルもそう。シーンとかは意識してないし、いまはいろいろな場所の音楽をどこでも聴くことができるから、そういう見方はしてないんだ。

今日はありがとうございました。

コリン:ありがとう! また日本にいけるのを楽しみにしているよ。

SUBMARINE - ele-king

 TBSラジオ系『伊集院光 深夜の馬鹿力』を聴いていたら、番組の途中、おもしろいヒップホップの曲が流れていた。SUBMARINE“Midnight Tour Guide”である。すごくポップな曲だが、よく聴くとヘンテコでもある。「ここんとこほんともうトホホと声に出しちゃうほど脱力モード」という印象的なリリックではじまるこの曲は、その「脱力」な感じに、スチャダラパーなんかを思い出すが、声の感じやリリックの抒情性には、「あの小説の中に集まろう」(TOKYO NO.1 SOUL SET“More Big Party”)とラップするBIKKEを連想したりもする。フックでは、女性ヴォーカルがかわいらしく歌い上げており、エレピとギターとの絡み合いが爽やかで気持ちいい。そのフック部分が終わると、エレピとギターのループが細かくなって、ビートも少し変則的になり、トラックの展開がめまぐるしくなる。ポップで美しい曲だが、トラックに緊張感があって刺激的だ。ふいに前面に押し出されるベースにもドキッとする。

 そんな“Midnight Tour Guide”をリード・トラックに据えたのが、SUBMARINE『島唄』というアルバムだ。SUBMARINEは、MCの日渡正朗とトラックメイカーの新城賢一によって1999年に沖縄で結成されたグループである。本作は、以前から交流があったという□□□の三浦康嗣をプロデューサーとして迎えた、約8年ぶりの作品だ。ヒップホップ的なビート感は強く残しつつ、同時にヒップホップ的な様式美からかなり自由になったサウンドと構成が、とても新鮮に響く。そのあたり、□□□の感覚とも通ずるか。サウンド・プロダクションはけっして一筋縄ではいかないが、ポップでカラフルな音色に仕上がっているぶん、広いリスナー層にアピールする。とくに、歌モノやシンガーソングライターのファンには、ぜひ本作をチェックしてほしいと思う。本作を貫くメロディーラインやコーラス、アコースティック色を残したサンプルの数々などは、とてもSSW的な温かみがある。実際アルバムには、三浦によるピアノ弾き語りの“Midnaight Tour Guide”のヴァージョンまで収録されている。ビート・ミュージック的な側面からアコースティック的な側面まで見事に共存しているのが、本作の最大の魅力だ。
 このような作品世界を考えたとき、特筆すべきはやはり、7分半にも及ぶ大作“導かれし者たち”である。三浦以外にも、西尾大介(ALOHA)、小島ケイタニーラブ(ANIMA)、夙川アトム、伊藤豊(カズとアマンダ)を客演に迎えたこの曲は、サビでのケイタニーの唯一無二の歌声を中心に、ドタバタした生ドラムのサンプルやキーボードが響いて、温かく美しいサウンドが広がっている。ケイタニー含め、その他のゲスト陣もラップのようなヴォーカルのようなものを披露しており、ポッセカットのようになっているのが楽しい(ちなみに、ANIMAのファーストアルバムを聴いたとき、いつか小島ケイタニーラブのラップが聴いてみたい、と強く思っていたので、それが実現したのが個人的には嬉しい)。その他、“Angel”とその姉妹編のような“Beauty × Beauty”、あるいは“深海魚”など、温かみのあるトラックと日渡ののびやかなラップが、全編にわたって聴きどころである。

 とはいえ、このアルバム、やはりヘンテコなところもあって、先の“導かれし者たち”も、歌詞はひどい下ネタだったりする。あるいは、アルバム冒頭の“VAMPIRE EMPIRE”は、吸血鬼の立場からラップをした曲で、トラック自体もヴァンパイアをモティーフにしたものになっている。さらによくわからないのは“道”という曲で、ビズ・マーキーばりの(?)ヘタウマな歌声で行進曲のパロディが歌われている。うーむ、底知れない。冒頭にも書いたように本作のリリックは、「脱力」系で笑ってしまうものが多いのだが、それがしっかりと作り込まれたサウンドに乗せられているのが、またおもしろい。ポップに聴き流しているつもりでも、よく聴くと、「なんだ、この歌詞!?」みたいな。それは、SUBMARINEというグループが持つイタズラ心のようなものにも思える。心地よく美しいサウンドのなかに、チクリと刺激的。これがやけに中毒性があって、やめられない。本当に温かみのあるアルバムなのだが、温かいだけでは終わらない不穏さもしっかりと抱え込まれている。

DJ Yama - ele-king

April Fool "DisqClash" Techno 10

DJ Shufflemaster - ele-king

スタンダードナンバー

Chesterbeatty - ele-king

Often imitated never duplicated

※Shout out to "The Nation of HIPHOUSE(website)"
https://maesaka1991.blog.fc2.com/blog-entry-42.html

写真:CHESTERBEATTY

第28回:ザット・チャーミング・マン - ele-king

 20年近くも前の話になる。
 Tを知ってまず驚いたのは、「Tの部屋。ノックしてね」のドアプレートだった。子供部屋ならいざ知らず、老いた母親と2人暮らしのおっさんがメルヘンチックなイラストのあしらわれた木製プレートを自室の前にかけていたので、それを見た瞬間、わたしは何か人生のダークサイドを覗いたような気分になった。
 Tはまともな仕事に就いたことがなかった。若い頃から失業保険や生活保護で暮らし、半引きこもりのようになっている間に太って心臓を患ったり、糖尿病にかかったり、腰を悪くしたりして障碍者手当を受けるようになった。そもそも、Tはパニック障害で飛行機に乗れないので旅行をするわけでもなかったし、女性と交際・結婚するなんてこともないし、酒も煙草も賭け事もしなかったので、生活する上でそんなに金はいらなかったのだ。彼の楽しみと言えば近所のパブで日替わりのセットランチを食べること(必ず行く前に電話して本日のデザートのチョイスを尋ね、パブに着くまで「ブラウニーにしようか、アップルパイにしようか」と悩んでいた。彼にとっては、それが人生の一大事だったのである)。身なりなどは一切構わず、いつもよれきったラクダ色のセーターに裾の切れたジャージのズボンを履き、不健康に老け込んでいるので母親と歩いていると誰もが夫婦だと思った。

        *********

 今、わたしの机にはTの若き日の写真が飾ってある。
 この写真を発見した時、
 「誰? このバディ・ホリー」
とわたしは言った。そのモノクロ写真には、黒縁眼鏡にソフト・リーゼントの髪、細いネクタイでシャープな三つボタンスーツを着こなしたバディ・ホリーばりの洒落男が写っていたからだ。
 「T。18歳の時ぐらいかな」
と連合いが言うのでわたしは絶句した。ちょっとスミス時代のモリッシーも入ってる感じのそのスリムな青年は、わたしの知っているハンプティ・ダンプティみたいなTとはどうしても結びつかなかった。
 「その頃、Tはロンドンのテイラーに弟子入りして働いていた」
と連合いは言う。ああでも、Tはサッカーの試合の予定や結果、リーグテーブル、選手の移籍金などをまるで人間データベースのように正確に覚えていたし、近所のパブのセットランチの組み合わせを詳細に記録してメニューが反復する周期パターンを割り出したりするギークだったから、いったんファッションに関心を持つととことん入り込んだのだろう。
 「働いてたこともあったんだね」
 「でも続かなかった。イングランド人の同僚に虐められて、母親が『かわいそうに』と辞めさせた」
 当時の英国には露骨なアイルランド人差別があったという。「犬と黒人とアイルランド人はお断り」の名残りである。差別されると「くそったれ」と反撃に出たり、反撃に出なくともそれをバネにして別方向に前進するタイプもいる。が、怒りを自分の内側に吸収して分解してしまったり、怒ることさえできない人々もいる。Tはまさに後者だった。また彼の母親が「Tさえいれば他の子はいらない」と言うほどTを溺愛した人だったので、彼がきつそうにしているとすぐ仕事を辞めさせた。父親はそんな母親に激怒し、Tの尻を玄関から蹴りだすようにして次から次へと彼に仕事を見つけて来たという。が、そんな父親が50代で早逝すると、母親はTを連れて故郷のアイルランドに帰る。その時、母親はTに宣言した。これからは好きなだけ家にいて、好きな物を食べ、テレビを見て暮らしていいと。家の外に出て他人に顎で使われたり、差別されたり、虐められたりせずに、ただ家にいて私のそばで暮らしなさいと。
 気弱な若者にとってそれは天恵のようだったろう。が、Tがその時点で考えていなかったのは、その状況に甘んじて何十年も過ごしてしまうと社会復帰できなくなるということで、彼は知らない間に母親の専任介護者になる運命を選んでいたのである。
 こうして年月の経過と共にTは無職の青年から生活保護受給者のおっさんとなり、母親の介護者へとスライドした。母親は丈夫だったので身体的介護が必要になったのはごく近年のことだったが、年を取るごとにTへの執着が増し、2時間以上外出することは許されず、門限から10分以内に帰宅しないと叱られた。
 中高年になっても母親にビクつき、還暦を過ぎてもぬいぐるみと一緒に寝ていたTを、連合いは「世界一のWANKER」と呼んでいた。母親というものは恐ろしい生物ではあるが、男子はやがて恋を知り、別の女(または男)とセックスすることによってその呪縛から解放されるものだろうに、Tにはそれが起こらなかった。
 「生まれてから一度もセックスしたことないと思う。そういう相手は一人もいなかった。人畜無害のアセクシャルだった」
と連合いは言った。そんなTは、虐め、カツアゲ、ゆすり、たかりなどのあらゆる暴力・掠奪行為のターゲットだったという。
 「そういえば若い頃、家に女の子を連れて来ていた」
 「やっぱ付き合ってた子がいたんじゃない」
 「いや、そういうのじゃなかったと思う。なぜかそれが障碍を持った女の子ばかりで、Tは彼女たちからも金を巻き上げられていた」

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 個人的には、Tはゲイなのではないかとも思ったこともある。彼は毎朝ミサに通う熱心なカトリック信者で、神父の補佐として信者に聖体を授けていた聖体奉仕者でもあった。
 「どうしてそんなに熱心に教会に通うの?」
ある日Tに訊いたら、彼はこう答えた。
 「それは僕と神しか知らないことだ」
常に温厚というかぼさっとしているというか、決して強い物の言い方をしない人がきっぱりそう言ったので何かただ事ではないものを感じた。それが妙に鮮烈に記憶に残っている。
 また、アセクシャルといえば、モリッシーが「スミス時代はずっとひどい鬱状態だったので性欲なんて感じなかった」と言っている映像を見たが、なるほどTも長いあいだ鬱と付き合った人だった。Tは心臓の薬やら糖尿の薬やら何やらで常にヤク漬けだったが、処方されたプロザックだけは飲まなかった。「信仰が厚い人間は絶望することがない」という聖書の言葉を額面通りに信じていた節があった。そういうところだけは頑固で、決して自分の考えを曲げようとしなかった。

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 T。というのは2週間前に亡くなったわたしの義兄のことである。
 1月に義母が亡くなり、漸く彼も自分の人生を生きられる筈だった。
 わたしと同じ月の生まれなので、今年はどこかに旅行して一緒にバースデーを祝おうと話していた。義母がいた頃はとてもそんなことはできなかったから。が、Tは一人暮らしになった家の床の上に、ひっそり倒れて亡くなっていた。
 それは偶然だったのか必然だったのか、母の日の朝のことだった。

 アイルランドの田舎の教会では、1月に義母が亡くなった後と全く同じことが反復された。まるでデジャヴだ。葬儀後にパブで行われたWakeのメニューまで同じである。が、今回は店内にやけに車椅子や盲導犬が目につき、障碍を持った女性たちがギネスを飲みながら談笑している。昔、義兄から金を巻き上げてた人たちかなと思ったが、年齢的にそんな筈がない。「彼は私たちの良い友人だったのです」と彼女たちは言った。
 店内にはU2やヴァン・モリソンといった田舎のアイリッシュ・パブの定番音楽がかかっていたが、突然、どんより沈んだ空気を切り裂くようなキラキラしたギター音が飛び込んで来た。スミスだ。
 ディス・チャーミング・マン。

 こんな陽気なイントロの曲が、人里離れた丘の上で自転車がパンクなどという絶望的シチュエーションで始まるという笑える矛盾。
 チャーミングなどという言葉から最も遠いところにいた人間が、逆説的にとてもチャーミングだったというやるせない矛盾。

 “IT’s gruesome ThaT someone so handsome should care″

 バディ・ホリーとモリッシーが混ざったような青年の写真を思い出していた。
 こんなポップな音楽を聴きながら、人は泣けるものなんだと思った。

Jazzy Couscous - ele-king

 東京滞在フランス人2人に創始された〈Jazzy Couscous〉の初リリースが発表されました。〈Jazzy Couscous〉のコアメンバーは、AlixkunとKlodioです。
 Alixkunは、もうみなさまにはお馴染みですね。ハウスや和物DJであり、ele-kingのライターであり、『House Definitive』にも寄稿しています。はっきり言って、日本の中古市場においてジャパニーズ・ハウスの値を上げたひとりです。余計なことしないで欲しいです。DOMMUNEにも90年代和ハウスのDJミックスで出演したことがあります。
 Klodioはハウスシーンの新プロデューサーであり、デトロイト・ハウス、ジャズ、ソウル、とにかく黒い音に影響されたプロデューサーです。今回の「Toktroit」EPでは、彼の影響元であるデトロイトと東京の雰囲気を交えて、ソウルフールなバイブを提供しています。ele-kingとしては、初期URハウスの色も多少あって、ハイウェイでフールスピードなナイトドライブをイメージした“First Car”と“Futako Tamagawa”がおすすめです!
 今後Hugo LX, Brawther、寺田創一などの曲もリリースされる予定です。Toktroit EPは4月10日リリースされます。ヨロシクね。

https://www.facebook.com/jazzycouscous

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