「Re」と一致するもの

XINLI SUPREME - ele-king

 さすがの橋元も編集部でこの音が鳴った瞬間に「なんすかこれ?」と訊いてきた。「マイ・ブラッディ・ヴァレンタインやジーザス&メリー・チェインのようだ」と、イギリス人にとって最高の褒め言葉で迎えられた日本のバンド、現在大分を拠点とするシンリシュープリームが10年ぶりに新作を発表する。
 2002年、ロンドンの〈ファットキャット〉からリリースされた彼らのデビュー・アルバム『トゥモロー・ネヴァー・カムス』は、いま思えばシューゲイザー・リヴァイヴァル......などと言うと生ぬるく思う方もいるかもしれないけれど......の先駆けであると同時に今世紀のノイズ・ムーヴメントともリンクしていた(〈ファットキャット〉は当時、メルツバウも出している)。
 『トゥモロー・ネヴァー・カムス』は否定、否定、そしてまた否定の作品だった。ジーザス&メリー・チェインのように徹底的に、どこまでもネガティヴでありながら、同時に甘美で、恍惚としたサウンドで我々を魅了した。2002年の暮れには当時のアメリカ帝国主義を非難するかのように星条旗をデザインしたミニ・アルバムの『マーダー・ライセンス』もリリースしている。いずれにしても、シンリシュープリームとは、2002年当時、音楽が変わりゆく時代の波を感じていた人たちにとっては忘れがたいバンドなのだ。
 
 10年ぶりの新作は、ワールズ・エンド・ガールフレンドが主宰する〈Virgin Babylon Records〉から10月23日のリリースされる。タイトルは『4 Bombs』、レーベルの資料によれば「10年をかけ完成まで辿り着いたのはわずか4曲」で、彼らが2010年にオフィシャルサイトからmp3でフリー配信した"Seaside Voice Guitar"に関しては、この1曲のみに3年半の時間が費やされたという。彼らはこの10年、新たなノイズの創造に力を注ぎ続けていたのである。
 まずはこちらの映像を見よ!



XINLISUPREME - 4 Bombs

2012年10月13日 リリース
¥1100 VBR-009
8月24日よりVirgin Babylon Records通販サイトにて先行予約開始。

interview with Paul Randolph - ele-king


Paul Randolph And Zed Bias presents
Chips N Chittlins

Pヴァイン

Amazon

 ゼド・バイアスといえばUKガラージ/ベース・ミュージックを代表する名プロデューサーのひとりで、初期はイングランド中東部に位置する街、ノーザンプトンを拠点とするレーベル〈サイドワインダー〉から作品を出している(さらに初期はディープ・ハウスのレーベル〈ロウズ・オブ・モーション〉からも出している)。ザ・ストリーツのリミックスを手がけているほど母国では名が知れた人物で、ダブステップにも少なからず影響を与えているような先駆者でもある。ドラムンベースの人気レーベル〈ホスピタル〉、クアンティックで知られる〈トゥルー・ソーツ〉からもアルバムを出している。
 いっぽうのポール・ランドルフ、今回の取材の主役は、1999年、カール・クレイグのインナーゾーン・オーケストラ名義の作品、スタイリスティックスのカヴァー・シングル「ピープル・メイク・ザ・ゴー・ラウンド」において、その美声をもって我々の前に登場した。そのシングルのリミキサーがムーディーマンやスラム・ヴィレッジだったので、ランドルフは、この10年、日本でも多くの人に愛されているデトロイト系のソウルの始動に絡んだひとりとなった。
 ランドルフはそれから、ムーディーマンの〈マホガニー・ミュージック〉から最初のアルバム『This Is... What It Is』(2005年)をリリースして、2007年にはシカゴの〈スティル・ミュージック〉からセカンド・アルバム『ロンリー・エデン』を発表、他方ではアンプ・フィドラーやジャザノヴァでの作品をはじめ、オクタヴ・ワン、アズ・ワンなど、数多くのアーティストの作品に歌、あるいはベース奏者として参加している。職人といえば職人だが、交流関係はアーティスティックである。

 『チップス・アンド・チットリンズ』は、そんな、いかにもUKらしいクラブ・ミュージック道(地方で暮らしながら絶対に自分の好きなことしかやらない、労働者階級的な反骨心)を突き進んでいるベテランと、いかにもデトロイトらしいスキルフルでセクシャルなソウルとのコラボレーション・アルバムである。ハウス(4/4キックドラム)、そしてガラージ/ベース・ミュージックのビート(裏打ちでバウシーなビート)、ランドルフのベースとプリンスのような歌声、ときおり注がれるアシッディな音色、つまり『チップス・アンド・チットリンズ』とはモダン・ノーザン・ソウルなのだ。
 周知のように、ノーザン・ソウルとは60年代のUSソウルをとことん輸入した、UKにおいてふだん汗かいて働いている連中のダンス・ムーヴメントである。チップス=英国人の(どちらかといえばいなたい連中の)日常的な食べ物、チットリンズ=アフリカ系アメリカ人のソウルフード。良いタイトル/プロジェ クト名だ。
 ジャザノヴァでのライヴのために来日したポール・ランドルフに話を聞いた。

デトロイトにダブステップのような音楽が入ってきたのってやっとこの2~3年ほど前で、「そういうものがあるらしい」というような認識しかなかったんですよ。もともとデトロイトはテクノとハウスを中心に発展してきたような町ですから。

ええと、最初の来日って、ムーディーマンのライヴのときでしたっけ?

ポール:いいや、最初の来日は1985年で、そのとき僕は初めてちゃんとしたバンドの一員として来ていて、大阪のボトムラインというところで1日3回くらいショーをやりました。オリジナルもありましたけどカヴァーもあって、もうキャメルからヴァン・ヘイレンくらいまで何でもやるバンドでしたね。

というか、それって高校くらいってことですよね。

ポール:うーん、ひょっとしたら高校くらいだったかな。それからはもう7~8回くらい来日しています。何年かっていうのは、やっぱり言えないな(笑)。

どうしてです?

ポール:年齢がバレるからね(笑)。

なははは。いいじゃないですか(笑)。だって、たぶん我々があなたの名前をいちばん最初に認識したのは、1999年の"ピープル・メイク・ザ・ワールド~"のカヴァーだったんですけれども、それ以前のあなたの歴史というのもそうとう長そうですよね。

ポール:カールに会う前は、URのマイク・バンクスともともと友だちでよく練習していました。彼のお母さんの家の地下で、ドラムマシンやシンセやらをいじっていましたね。あの頃はなにも思っていませんでしたけれども、いま考えてみればURの生まれるもとになったのかもしれない。そのことに僕は気づいていませんでした。80年代に初めて日本に来たときには、ほんとはいっしょに来る予定だったんです。マイクも同じバンドにいたので。でもマイクは自分のプロジェクトを優先してデトロイトに残って、日本には来なかったんだけど、結果的には彼のほうが日本にもよく来てるし、世界を何周もすることになりましたよね。

へえー。それはすっごく面白いつながりですよね。

ポール:マイクに出会う前もいろいろなバンドにいたんです。けど基本的にマイクがデトロイトのアンダーグラウンド・テクノ・シーンを紹介する入り口になってくれた人で、彼からカールも紹介してもらったし、ケヴィン・サンダーソンも紹介してもらったしという感じで......。話が錯綜しちゃうけど、二度目の来日がムーディーマンだったかもしれない。

ああー。

ポール:実は4回目なんですけどね(笑)。

はははは!

ポール:よく考えてみればアンプ・フィドラーと2回来ていて。自分のバンドに最初アンプ・フィドラーが在籍してて、そのあとアンプがソロ作品を出すときに、サポートとしてベースを弾いて、そのバンドで2回ほど日本に来ているんです。そのあと、初めてエレクトロニック・ミュージックのソロ・プロジェクトとして出した作品がムーディーマンのレーベルからのもので、これは友人がムーディーマンにつないでくれたんだけど、それをきっかけに彼と来日しています。

ええと、僕、マイク・バンクスとは1993年12月に東京で会って以来の......なんて言ったらアレですけど、デトロイトが大好きな日本人のひとりです。あなたの地元の音楽を本当に好きなんです。

ポール:ああ、本当に! へえーーー!

[[SplitPage]]

よく人に「きみは何がしたいの? あっちにもこっちにも行って」っていう風に言われることがあるんだけど、その考え方自体がおかしいと思う。彼ら自身がその質問を自分にしてるんじゃないかなと思います。僕にとってはその質問は意味がないし、何かひとつのところに落ち着く必要もない。


Paul Randolph And Zed Bias presents
Chips N Chittlins

Pヴァイン

Amazon

ムーディーマンの初来日のときって、ストリップ嬢をステージに上げてライヴをやったときですよね。そのときにじゃあベースを弾いてたのがあなただったんですか?

ポール:いや、じゃあその次のときかな。自分以外にふたりほどパフォーマンスの人がいて、ムーディーマンがいちばん最後に出てきました。

今回、ちょうどあなたもアルバムを出すわけですけど、先日、Jディラがムーディーマンのところから未発表曲集の「ディラロイト」を出して、『リヴァース・オブ・デトロイト』っていうタイトルのアルバムもリリースされました。デトロイトのソウル・ミュージックというか、デトロイトの音楽を、すごくこう、再定義しようという機運を感じるなかでのあなたのリリースもタイミング的に面白いことだなと思いました。

ポール:ははは、でも、とくにそういう風にしようとしてなったわけではないんだけど。相談してこのタイミングでやろうってなったわけではないです(笑)。

そういえば、あなたにはリミックス・アルバムもありましたよね。2010年かな......『エコーズ(・ロンリー・エデン)』っていうね、2枚組でしたね。

ポール:あれはなんで2枚組だったかというと、キャリアとして2枚目の作品だったんだけど、『ロンリー・エデン』のとき、ディストリビューターにすごく問題があったんです。それでとても不安だったから、曲を少し残しておいたんです。それに新しい曲をプラスして2枚組にしたのが『エコーズ』なんですよね。だから1枚目の余韻の残るようなタイトルにしたくて『エコーズ(・ロンリー・エデン)』となったんです。チャールズ・ウェブスターとか、ジェロームとか、いろいろな人に話を振っていってできたものでした。いまもソロのプロジェクトで、もうすこしで終わりそうなものがあります。いくつもプロジェクトを持っていますが、わりと最近はロックのバンドのを終わらせたところだし、南アフリカのミュージシャンの仕事もやったりしていますよ。

それは楽しみです。今回の『チップス・アンド・チットリンズ』はデトロイトを拠点とするあなたがゼド・バイアスみたいな、UKガラージ/ベース・ミュージックのベテランとコラボレーションしたということがひとつのトピックですよね。『ロンリー・エデン』のときのリミキサーとしておたがいに知り合っているから、その流れから発展したんでしょうけれども、あらためて、どのように今回のプロジェクトが生まれて発展していったのかということを教えてください。

ポール:リミックスが終わったあとに、マイ・スペースでコンタクトを取ったんです。聴いてはいたけど、ダブステップって音楽が流行ってるっていうからどんなものかなと思って、それなら実際にやってる人に訊くのがはやいと。そしたら向こうが「ワオ」ってなってね。「僕、アンプ・フィドラーとのギグを観てるよ」って。「ずっといっしょに仕事をしたかった」ってゼドはすごく興奮してくれてね。「こんな曲どうかな?」ってマテリアルを送ってきてくれたから、すぐやって戻した。お互いすごく仕事がはやくて、「いいじゃない」ってなってね。
 ジャザノヴァの最初のころかな、3年ほど前にロンドンでギグをやったときに、ちょっと時間があまったから電車でマンチェスターまで行って、彼の自宅兼スタジオで数日間過ごしたんです。そしたら1日に4曲もできあがっちゃって。最初はただ行って、「どんな人かな」っていう感触をつかんで、軽いミーティングをしようというようなつもりだったんだけど、「ふたりのうちどちらかがもういやだってなるまでとことんやりましょう」ということになっちゃって、その次の日に3曲ってふうに、どんどんたまってきた。
 そうやってやりとりをしてきたのが3年前なので、彼もいろいろと忙しくなっちゃって一時放置されていたプロジェクトだったんだけれども、ときどき思いついたように連絡がきて、初めのころ作ってた曲を「こんなふうに直したよ」って送ってくる。けど、これは、「なんで直すんだよ! さわらないで!」っていう話ですね(笑)。で、じゃあ、「これもう3年も経ってるんだから終わらせようぜ」ということになったんです。だから今度は僕の自費じゃなくて、デイヴ(ゼッド・バイアス)のほうがチケットを送ってよこしてくれて、マンチェスターへ渡って作業を進めたわけです。

なるほど、なるほど。デトロイトにはデトロイトの独自のシーンがありますけど、UKガラージ/ベース・シーンっていうのはあなたからみてどういうふうに映ってるんですか?

ポール:音楽的なことでいえば、僕がそれまでまるで聴いたことのないものって感覚だったですね。デトロイトにダブステップのような音楽が入ってきたのってやっとこの2~3年前で、「そういうものがあるらしい」というような認識しかなかったんですよ。もともとデトロイトはテクノとハウスを中心に発展してきたような町で、そのなかに覚えきれないほどのサブ・ジャンルが枝分かれしていたわけなんですけど。そのなかにベース・ミュージックのようなものはなかったですからね。
 ゼッドと仕事しているあいだ、デトロイトでゼッドの名前が話に出たりすると「ああ、知ってるよ」っていう人もいたけど、だいたいは名前は知ってるけど、よくわからないって感じだった。僕が「聴いたほうがいいよ」ってすすめると、曲によっては好きだったり嫌いだったり、拒絶してしまう人もいればおもしろがるひともいた。やっとそれが定着してきて、デトロイトにも若いDJでダブステップDJって言われる人たちがでてきて、ちゃんとシーンを成立させてるって状況が生まれたんだけど、こっちからしてみれば、「きみたち4年前は何してたんだよ?」って気持ちもあってね。マンチェスターに行ったこともなければイギリスにも行ったこともないのに、彼らはベンガやら何やらダブステップの有名な作品のコレクションをたくさん持ってて、そういうDJをやってしまう。僕自身はクラブへは行けてなくて、それはデイヴが僕をスタジオに缶詰めにして「アルバムを終わらせるから」って遊びに行かせてくれなかったからなんです(笑)。

ははは、それは面白い話ですね。今回はジャザノヴァで来日されてますけど、あなたはほんとにいろいろな活動をされていて、たとえばディスコグスなんかを見ていたら、クレジットの多さに驚かされるんですね。ふだんはデトロイトに住んでいらっしゃるんですかよね? 10歳のときでしたっけ? ブラジルのサンパウロからアメリカのデトロイトに引っ越してこられたというのは。

ポール:そうですね。10歳になりそうってころからかな。

そのころすでに、ご家族の影響で楽器が使えたっていう話を聞いたことがあるんですが、デトロイトの文化にはすぐにうちとけることができたんですか?

ポール:デトロイトに移ったころというのは、子どもだったし、シーンというものを認識できていなかったというか、そんなものなかったのかもしれないですね。僕の世界は学校で、学校のなかのバンドでジャズをやったり、ロックをやったりしていました。でもそのときの学校の先生が、ほかの子どもよりも僕のほうが音楽的に先に進んでしまっているから、この子は退屈なんだろうなと気づいてしまっているようでした。実際にそのとおりだったし、どうやってこの子にもう少し楽しんで音楽をやってもらえるだろうかと先生が困っていたのを覚えています。シンプルなものとか誰にでもわかる音楽には興味がなかったし、もう少し深いことをやりたいとそのとき思っていました。

[[SplitPage]]

なんで僕がほかの人の音楽を聴くかといえば、僕のうしろからやってくる、新しい人たちの動きがこわいから聴いているんじゃなくて、ほかの人たちがどういう解釈をして音楽を聴いているのか、どういうアイディアを持っているのか気になるから、なんです。


Paul Randolph And Zed Bias presents
Chips N Chittlins

Pヴァイン

Amazon

デトロイトっていうのは音楽の町でもあるわけで、それこそ才能のあるミュージシャンやプロデューサーがたくさんいるんじゃないかと思うんですが、あなたにとって音楽哲学を形成する上で大きな影響を及ぼしたものについて教えてほしいです。

ポール:たぶん家族の影響が強いですね。祖父はシンガーでしたし、父はクラシック・ギターと、僕が生まれる前まではトロンボーンもやっていて、おばあちゃんは衣装を作る人だった。曾じいさんはレコーディング・スタジオを持っていて、ヴァイナルをカットする機械があったっていうことでね。基本的にはクリエイティヴなことをやる人たちに囲まれて育ったから、大人になるにつれてレコード屋に行くようになって、レコードを漁って雑誌を漁って、ちょっと気になったものがあったらとことん調べるという感じでした。
 そのころはなんでも共有できる友だちがまわりにいたかというとそうでもなくて、レッド・ツェッペリンが好きな人もいれば嫌いな人もいて、ファンクが好きな人もいればそうでない人もいるなかで、僕はぜんぶが好きだったんです。そこがまわりの人とは違うところでした。家族のなかで同じようにいろんな音楽を聴いて、どれもへだてなく好きだったのはおばあちゃんでした。彼女が亡くなったときに持ち物を整理しに行ったら、びっくりするくらいのレコードのコレクションがでてきてね! 種類も豊富で 、ローリング・ストーンズのオリジナルの初盤がすごくきれいな状態で混じってたり。もっとこれにはやく気づけばよかったと思ったんですよね。ほかの人もいるからあんまり持っていけなかったんだけど、それをいろいろ聴いたという影響はあるかもしれない。聴くほうから演奏するほうになっていったのは自然な流れですね。

へー、ローリング・ストーンズのオリジナルの初盤ですか-、それはいい話ですね。ちなみに『ロンリー・エデン』の「エデン」とは何を指していますか? 

ポール:いや、とくになにかアイディアはないです(笑)。みな人はなにかをするために生まれてきているんだと思いますが、「なにかをやるように」という神や宇宙の意思、そこから与えられる役割に、私は純粋に応えているだけだとしか言いようがないです。ほんとに私にとってはごくナチュラルなことで、好きだからやるし、気持ちいいし心地いい。それを拒否することもできないですし、しかもそれにまかせて努力せず、がんばらず、コントロールしようとすることなしに、自然にそれをやらせておこうとすれば自然に出てくるものなのです。
 これはもしかしたら特別なことかもしれない。みんなが僕のやっていることを評価してくれるから。ときどき人生の節目なんかで、これでいいんだろうか、自分のやっていることはまちがってい ないだろうかと思うこともあるんだけど、思い返していくとまちがってなかったんだなと、何のために生まれてきたのかということを知り、ちゃんとやるべきことをやっているんだなと感じるんです。僕はよく言うんですが、ミュージシャンやプロデューサーというのは、なにかメッセージを伝える人だと思う。僕たちは自由......完全なフリーダムというメッセージをデリバーできていると思いますよ。

あなたはヴァン・ヘイレンもレッド・ツェッペリンもPファンクも好きだったわけですが、あなたにとって音楽のなかでいちばん重要な要素というのはどんなものになるんでしょう?

ポール:なんでもいいっていうんじゃないんですよね。わかってくれていると思うけど。じゃあ何かといえば、フィーリングとしか言いようがない。たとえばこの花が好きだというときにそれは色かかたちかにおいか、花瓶なのか、その花の置かれている状態すべてによって決まることです。音楽は主観的なものでもあるんだけど、僕にとってはフィーリングで、そのときそのときに感じるものを大切にしています。そのことが僕の人生をゆたかにしてくれたと思いますよ。
 よく人に「きみは何がしたいの? あっちにもこっちにも行って」っていう風に言われることがあるんだけど、その考え方自体がおかしいと思います。彼ら自身がその質問を自分にしてるんじゃないかなと思います。僕にとってはその質問は意味がないし、何かひとつのところに落ち着く必要もない。音楽をこれだけ聴いていると、ひとつのジャンルに対して円が描けていきますよね。べつのジャンルのところにも円があって、その円が交わってくるところがある。そこがやっぱり面白いものだと思います。そのつながっているところを見れば、なぜこの音楽がこうで、何の影響をどこから受けたのかってことがわかるじゃないですか。それは面白いことだと思いませんか? 
 そこを見ていれば、ブルースがなぜジャズに影響したのか、なぜジャズがリズム&ブルースに行ったりとか、それがファンクに影響して、さらにヒップホップに影響していったのか、いろいろなことがわかるし、好奇心もあるしね。たしかに幅広い興味があって、なんでも好きとはいかないけど、なんでも聴くよ。ときどきまわりの人から「そんな音が好きなの?」ってふうに驚かれることがあるんだけど、それがディアフーフとかですね。

ディアフーフ! まあ、とくにあなたほどの腕利きのミュージシャンの多くは他人の作品をそあなたほど幅広く聴かないものですよね。DJなんかにしてもある限られたジャンルしかかけなかったりする人が多い。あなたは本当にオープンマインドなんですね。

ポール:ほかの人たちがどう思っているかは別として、僕についてお話しします。なんで僕がほかの人の音楽を聴くかといえば、僕のうしろからやってくる、新しい人たちの動きがこわいから聴いているんじゃなくて、ほかの人たちがどういう解釈をして音楽を聴いているのか、どういうアイディアを持っているのか気になるから、なんです。自分がまったく持っていなかったり、これまで経験してこなかった文化――音楽も文化ですよね、ただ音だけ聴いていてもわからないんですが――人のアイディアを知ることによって、自分が生きることができなかったほかの文化に触れることができるかもしれない。だからほかの音楽に惹かれるんです。
 コラボレーションの素晴らしいところはゼッドもぜんぜん違う文化のなかで育った人だけど、まったく違うふたつの世界、僕の世界と彼の世界からそれぞれやってきて、おたがいの窓をのぞき込みながら、「面白いじゃん」というふうに引き合いながら違う音を組み上げていく作業はものすごく面白いと思ったよ。
 自分の枠だけとか、あるひとつのジャンルだけを聴いていくのって、危険なことだですね。まわりの人だったり、過去の人々がどんなことをやってきたのかっていうことを聴かなきゃいけないし、最近のとくにダンス・ミュージックが陥りがちなのは、あまりにも音楽が入手しやすくなって、そこらじゅうにいろんな音楽があるからこそ、周囲の人との競争だけを気にして、そのせまいなかで終わっちゃうことが多い。表面だけの理解でおわることも多い。ほんとはもっといろんな人と、自分とは違ったユニークな考え方を持った人の音楽を聴けば、その人にはなれなくても、その人が培ってきたものをすこしいただいたり分け合ったりできるますね。ゼッドとの作業のなかでも、僕が前から知りたくて教えてもらったこともあるし、逆に僕が彼に教えてあげるということもありました。そういう意味でもいろんな人の音楽は気になりますね。

良い話ですね。しかし、もう時間がきてしまいました。今日はどうもありがとうございました!

情報デスクVIRTUAL - ele-king

 僕はチルウェイヴに関しては、いちど、紙ele-kingのvol.4誌上で、スクリューという技法を断念した時点で終わったと、松村の耳元に囁いたことがある。DJスクリューのアイデアが、彼が死んで、そして数年が過ぎ去ってから、暇さえあればPCに向かう煮え切らない青年たちに伝播したとき、ドロドロのポスト・モダンなポップは生まれた。スクリューは、その遅さに特徴を持っているが、ありものの録音物を加工するという点においては、ノイ!のセカンド・アルバム、あるいは初期のザ・レジデンツの系譜にあるとも言えなくはない。チルウェイヴのブームが去った後も、スクリューは拡大し、いまここに受け継がれている。さて、最先端のタームを紹介しましょう。今回はヴェイパーウェイヴ(vaporwave)です!

 チル、クラウド、ヴェイパー......、これらポップのニュー・ブリードは、ダウンローダーによるきわどい創造行為によって活気づいている。
 いろいろ出ている。メディアファイヤード、コンピュータ・ドリームス、そして今年〈ビアー・オン・ザ・ラグ(毛布の上のビール)〉からリリースされたマッキントッシュ・プラスによるカセットテープ作品『フローラルの専門店』......、まずはメディアファイヤードの曲を聴いてみよう。ケイト・ブッシュの往年のヒット曲のサンプリング、ペプシコーラのコマーシャル映像のルーピング......クラウド・ストレージとして利用されるメディアファイヤはダウンロード時代の象徴で、合法/非合法を往復するデジタル時代のカオスでもある。液晶画面の向こう側に広がる空間から拾ってきた音をサンプリングし、他の音と混ぜ合わせ、ピッチ操作する(チョップド&スクリューする)、こうしたあやしげな領域の新たな闖入者が〈ビアー・オン・ザ・ラグ〉レーベルというわけだ。視聴はこちらで→https://beerontherug.bandcamp.com/

 彼らがいったい何者なのか僕は知らない。レーベルのサイトで送料込みの10.5ドルだった。注文したら1週間ほどでCDRが届いた。『フローラルの専門店』は売り切れだと言われた。
 「情報デスクVIRTUAL」という日本語混じりの名前は、どう考えても日本人の使っている日本語ではない。『札幌コンテンポラリー』という意味不明な題名、そして単語帳をコラージュしているかのような曲名("札幌地下鉄・・・「ENTERING FLIGHT MUSEUM」"、"iMYSTIQUE エジプト航空「EDU」"、"PRISM CORP不可能な生き物"、"NEO Sunsetters エネルギー危機iCONGO"、"Healing 海岸で昼寝My Last Tears"、"「Wkpx Ceephax '81」 新しい年 "Spring Blooms""などなど)、これらデタラメな言葉の並びが指し示すのは、情報に満ちあふれ、フラットだが混沌とした領域、文字通りの「情報デスクVIRTUAL」な世界、液晶画面の向こう側だ。
 〈ビアー・オン・ザ・ラグ〉がやっているのは、ハイプ・ウィリアムスがUKミュージックの文脈でやっていることのUS版と言える(そして、ジョン・オズワルドがアヴァンギャルドでやったことのチルウェイヴ版である)。催眠的で、同じ手法――サンプリング(カットアップ)、加工、そしてまた加工――を使いながらも、こちらのほうはいなたく、無邪気で、少々AORめいている。そして、繰り返すが、音楽の効力としては催眠的で、デジタルにサイケデリックなのだ。

 PCは、現代的な道具であると同時に道具以上の幻想をふくらませる。それがゆえに良識的な大人からは害毒のひとつとも見られている。とくに近年は、インターネット、SNSの中毒性、つながりの強迫観念、依存性の精神的なリスクを指摘する声も少なくない。
 他方では、PCには精神的にまったく醒めながら、それを玩具として遊んでいる連中もいる。チル、クラウド、ヴェイパー......は後者にいる。マス・プロダクト、マス・セールをポップだと信じ込んでいる人には彼らの音楽は反ポップだが、俗物(ゴミ)を無邪気な遊びにしてしまうことをポップとするならこれは今日的なポップである。フリー・ウィードやメディアファイヤードなどといったネーミングにもデジタル環境のきわどさとの戯れ、一種の茶目っ気を感じる。笑いがあって、若い世代の遊び心を感じる。ジェームス・ブレイクが「CMYK」を発表したとき、「(大ネタを加工しまくって使うため)これはヒップホップの最新型」などと評価されたが、最新型はまだ続いている。
 かれこれ1年以上も、へらへらしていたら怒られてしまいそうな空気のなかで暮らしている。オリンピックを楽しもうとしても「がんばれ日本」という言葉が反復する。まあ、どこの国も似たようなものと言えばそうだが、今回はいろんなお題目と重なっているところが実にいやらしく政治的で、統制的だ。こんなご時世、こんな国の言語をカットアップして、こんなことを真剣にやっているなんて、バッカだな~。でもね、だから最高。

HeavysickZERO - ele-king

 東京のアンダーグラウンド・ミュージック・シーンの重要拠点〈中野heavysick ZERO〉が10周年を迎える。ということで、8月24日(金)、25日(土)に盛大にアニヴァーサリー・パーティが開かれてしまう! まずは、おめでとうございます!!! 僕が、この、山の手の外れの小さな箱から学んだことと言えば......当たり前のことだが、新しい音楽が生まれる背景には、果敢な挑戦や実験を好む向こう見ずなミュージシャンやバンド、DJやラッパーを応援するクラブやライヴ・ハウスがあり、また、それらを支える献身的なスタッフや情熱的なミュージック・フリーク、そして、最高にファンキーな野次馬たちがいるということだ。音に対しては厳しくても、朝まで酩酊したり、酒癖の悪い、だらしない人間にも優しかったりする、そういう連中が集まるクラブで、刺激的な音楽文化が創造され、根づくということだったりする。
 注目すべきことに、10周年記念のコンピまで発売される。しかも全曲、このコンピのための録り下ろしだ。ザ・ヘビーマナーズにはじまり、ルミとキラー・ボングの強烈な初コラボ曲、シンガー、チヨリとスティルイチミヤのヤング・Gがタッグを組んだ曲、MJPのDJケン、アサやザ・ブルー・ハーブのO.N.Oやダブステップ・シーンで今注目のDJドッペルゲンガーのトラックも収録されている。
 アニヴァーサリー・パーティの出演者に関しては、以下のインフォを見て欲しい。知らない名前があったとしても、あなたがいちばん最初の発見者になるかもしれない。それが、この箱で遊ぶ最大の魅力。とにかく〈中野heavysick ZERO〉らしく、ダンス・ミュージック、ヒップホップ、ダブ、アヴァンギャルド、ダブステップ、ノイズが渾然一体となったファンキーな二日間になるでしょう。僕も遊びに行きます。乾杯しましょう。(二木信)


『HeavysickZERO 10th ANNIVERSARY』
~ SPECIAL 2DAYS ~

[特設WEB]
https://www.heavysick.co.jp/zero/2012_10th.html

8月24日(金)

- ACT -
THE HEAVYMANNERS
DJ KIYO(ROYALTY PRODUCTION)
CHIYORI with LOSTRAINS
INNER SCIENCE
DJ KEN(MIC JACK PRODUCTION/ILL DANCE MUSIC)
DOPPELGENGER
噛ます犬[asa / DJ HIDE / ICHIRO_ / DJ noa]
惹蝶
MIZUBATA(一○∞)

8月25日(土)

- ACT -
O.N.O - MACHINE LIVE -
K-BOMB
DJ DUCT(THINKREC.)
CONOMARK
OPSB
TAICHI(Stim/Nice Brew)
Yousuke Nakano(DUBBING HOUSE)
DJ SATOSHI(izmical/NNNF)
jitsumitsu(P.V.C.)
HAGIWARA(FAT BROS)
Militant B

@heavysick ZERO
[OPEN&START]23:00
[DOOR]3000YEN(1D)
[W.F]2500YEN(1D)

≪information≫
heavysick ZERO
〒164-0001
東京都中野区中野5-41-8 B1F/B2F
TEL: 03-5380-1413
WEB: https://www.heavysick.co.jp/zero/
※JR中央線/総武線「中野駅」北口下車、早稲田通り沿いの"モスバーガー"を過ぎた先。
"からあげ塾"の地下です。



Various Artists
『heavysick ZERO 10th ANNIVERSARY』
heavysick ZERO / ULTRA-VYBE, INC.
2,000円(税込)
2012年09月05日発売!!

『~ローカリズムとリアリティー此処にあり~』

 独自の文化が渦巻く中央線"中野"にて、一般的な流行廃りには左右されず、型にはまら ないスタイルで自由な音楽パーティーを実験的かつ挑戦的にバラ撒き続けるheavysick ZERO。そんな現場第一主義で2012年に10周年を迎えるheavysick ZEROが、過去と未来を繋ぐ重要アーティストを中心にオリジナル楽曲をコンパイル!!! 全曲・本作が初だし音源のみという豪華内容に加え、Heavysick ZEROだからこそ成し得たジャンルの枠組みを取っ払った数々の楽曲、
自慢のサウンドシステムにて最高の音を体感出来るようなサウンドに仕上がっている。

01. THE HEAVYMANNERS / HEAVYSICK MANNER
02. SKIT 1
03. RUMI x KILLER-BONG / suck'n'chill
04. SKIT 2
05. asa feat. nuffty / NAKA - 噛ます犬REMIX -
06. O.N.O / eng
07. SKIT 3
08. 惹蝶 feat. 宮本 忠義 / Interesting City Nakano
09. MIZUBATA +小宮守+ペヤング+ILLSUGI / HAI-SAI-GARA
10. Like A Rolling Stone [DJ KEN & 響大] / Slowdown Sundown
11 .SKIT 4
12. DJ DUCT / Run the Game !
13. SKIT 5
14. DJ SATOSHI / sexual appetite
15. Yousuke Nakano / NO GENERATION
16. SKIT 6
17. OPSB / PUSH
18. DJ Doppelgenger feat. saara / Grounding
19. CHIYORI x Young-G / 憂晴れ
20. SKIT 7
21. OUTRO
22. SKIT 8

SKIT:森田貴宏

5lack - ele-king

 「よろしければどうぞ」と、告知らしい告知もなくリリースされた5lackの『情』は、非営利目的でMediaFireにアップされたzipファイルである。いま現在、ヒップホップにおける最新音源が、フリーのミックステープとしてタイムライン上を無限に流れていくものだとしても、本作を思いつきの企画ものとして聞き流すことは、少なくとも私にはできそうにない。『情』(譲)は、まぎれもなく『我時想う愛』(2011)以降のメランコリアの延長に立つ作品である。いや、もっと露骨に言おう。大ネタ使いのサービス感が吹っ飛ぶくらいの想いを、彼はこのミックステープに込めている。これはすでに削除されているので内容への言及は避けるが、7月12日ごろ、恐らくは本作のリリースと関係していたのであろう心の内側を、彼はブログで苛立つように綴っている。

 思えば、とくに震災以降、You Tubeの突発的な利用やDommuneへの出演などを通じて、彼は聴き手に要求する金銭的な対価を下げていった。『この島の上で』(2011)には値段こそ付いたものの、リリースは異様なほど突然で、ほぼノン・プロモーション。「ヒップホップで自立する方法」以前にあるべき志のようなものを、彼はまず自分自身に対して強く必要としたのかもしれない。それは、あるいは理想主義者のロマンか虚勢だったのだろう。だが、私はその変化をいまでは違和感なく受け止めている。結局のところ、人生は一度きりであり、不可逆であり、その一回性の上に刻印されたあの圧倒的な破壊の余韻は、日々が隠し持つ偶然性(自分は今日、たまたま生きているのだという雑感)を顕在化させるには、十分すぎやしなかったか。その時、彼にとって、いったいどれだけの物事が不要に思えたのだろう? 例えばtofubeatsら平成以降の新世代が、無料配信の文化圏からiTunesチャートをおそるおそる(だが鮮やかに)駆け上がっていったのと逆行するように、彼はむしろ、トーナメントの階段を静かに降りて行った。

 全体的な雰囲気で言えば、『情』は、『我時想う愛』にさらけ出した「不安や罪の意識」の延長線上に、私たちが共通の記憶として持つ久石譲のピアノ、そして重厚なオーケストレーションを大胆に引用した作品である。それだけでレジュメできると言えばできるだろうし、当然、スタジオジブリ作品群の断片が、記憶のそこかしこをかすめていく。さまざまな冒険や旅、恋の記憶がよみがえる。最初の数回を聴いているうちは、そうした大ネタのサービス感にこちらも調子づくが、次の数回では、そのトラックがしかし、これまでの作品となかなか矛盾しない質感だと気付き、その後の数回ではむしろ、元ネタの持つ属人的・属作品的なブランド感が、トラックの後景へと少しずつ退いていくのを感じることになる。それくらい、『情』のビート・プロダクションは彼のディスコグラフィーと整合している(例えば、メロディアスなピアノ・ループが夜遊び後の空虚さを優しく染め上げる"朝の4時帰宅"は、"東京23時"のアフター・ストーリーのようで、フィンガースナップが幻想的なアンビエンスの上に響き渡る"想い出す"は、初期のクラシック"I Know About Shit"を文字通り、想い出す)。

 だが、いやだからこそ気になるのは、やはりその主題である。「何か良いことを言わなければならない、何か気の利いたことを言わなければならない」(野田努)というオブセッション、それをドメスティック・ラップの領域で仮に<パンチライン症候群>と呼ぶなら、その風潮のなかであえて「俺はテキトーである」ということを表明しなくてはいけなかったS.L.A.C.K.の辛さは、いま思えば彼の真面目さのコインの表裏としてあったのだろう。そんな彼が、震災後の言語表現におけるプレッシャーをむしろ進んで受け入れたのは、それゆえに飛躍ではなかったと思っている。あえて断じて言うなら、『この島の上で』は、リスナーを選び直し、シーンから選ばれ直そうとするような、ごくヘヴィな試みだった。そして本作『情』においても、彼はこの国を、あるいは強固に続いている(ということにされている)日々の風景を、ごく低温度で見つめている("朝の4時帰宅")。そこには、自戒と挑発が蠢く。そう、"テキトー"から出発したS.L.A.C.K.が、やがて5lack、そして"娯楽"へと当て字されていくに伴って、彼の眼差しはむしろその深刻さを強めている。

 だが、震災以後という文脈に対して、頭からがんじがらめになっているわけではない。もちろん、一定の確率で今日も生きていられる人間として、彼がある種の重荷を背負ったのは間違いないだろう。だがここには、そこからもう一度パーティ(=あくびが出るほどの退屈さ)へと出かけていくための、模索の手振りが垣間見える("これがなければ")。ある程度、正常に引き継がれている日々の、表面的にはごく平和な断片を不可避なものとして受け止め、今度はその先に言葉を置いている。そして、割れるような喝采のライヴ・サンプルが飾られた"気がつけばステージの上"は、ステージという遊び場であり、また処刑台でもある場所へともう一度向かう徒労感、義務感、そしてそれでも沸き起こる、果てるような高揚感を丹念に描く。が、そんな自分さえをも外から見てしまう再帰性が、この作品に翳りを与えていることも指摘しておきたい。どれほどテキトーを気取っても、もう以前のようには笑えない。ならば、重い足取りで泥のなかを進むまでだ。

 もちろん、自然主義の位相における現実描写・内省吐露という、純文学めいた詩作表現が、必ずしもポップ・ミュージックにおいて特別な効力を発揮するわけではない。あえて皮肉めいた言い方をすれば、いまもっとも安易な方向性であることもまた事実だ。だが、このセンチメンタリズムを内破したとき、彼はまた美しく、気怠そうに笑うだろう。彼の真摯な遠回りを私は楽しんでいる。いまはまだ、決して華麗ではない、撤退するようなネクスト・ステップを踏んだ(「何も怖くねえ/俺は進むyeah」"想い出す")。だが現時点でのそれは、この国のポップ・ミュージックに対する切実な疑問符でもある。ウォーク・オン・ザ・ダーク・サイド、暗闇を行け。

ZAZEN BOYS - ele-king

 ザゼンボーイズの『すとーりーず』、4年ぶりの新作、これがすごい。リズミックで、フリーキーで、強力なファンクが展開されている。キャプテン・ビーフーハートの遺伝子全開といったところだが、それはいつものことか......。とにかく、欧米でマス・ロックと呼ばれているジャズとロックとのダンサブルな出会いを、ザゼンボーイズはポップに咀嚼する。
 だいたい「繰り返される諸行は無常......」、お馴染みのこの言葉が、いまはまたあらたに響くでしょう。「諸行は無常......」、これは何かつらいことがあったときに現実を誤魔化し、逃避するために言葉ではない。これは何かつらいことがあったときに、そのつらさに情が呑まれて身動きが取れなくなってしまうことへの、日本人の防御反応、つまり、宗教心というよりも、自分の気持ちをラクにするための知恵だ。
 おそらく、世界のほかの都市では、いろんな民族が多様な声を露わにするために、なにか大事が起きたときも自分の情は相対化されやすい環境にある。ロンドンで裕福な人たちが涙でくれているその傍らで黒い人たちが笑っていることは珍しくない。その分、連帯感など生まれようにないのだけれど。ところが、昔にくらべれば外国人の人口も増加したとはいえ、ほとんどが日本人で占められている日本という国では、あるひとつの方向性の情はマスメディアを通じて瞬く間に伝播し、ある種の力となって、多種多様な自我を覆い尽くす。みんなが泣いているかたわらで笑っているわけにはいかなくなる。わかっちゃいるけど、連帯感を欠いている人間には息苦しい。
 そういう意味では、ザゼンボーイズは、土着的な日本でありながら異邦人的でもある。向井秀徳の「パンツ一丁になって踊れ」からは、おそらくは彼が理想とする社会──昨年だっけかな、iLLとのコラボ作"死ぬまでDANCE"で映像化されたような、多種多様な色の人たちが一緒に踊っている世界が見える。その強烈でケオティックな思いゆえか、彼らの音のうねり、言葉と音のファンクネスはいまも際だっている。ポテトサラダが食べたい人はもちろん、バトルスが好きな人も是非聴いてみて!

 『すとーりーず』の発売は、9月5日。特典がいっぱいついたデジタル配信もある。詳しくは→(https://www.mukaishutoku.com/main.html)、視聴もできます。

BASSの時代 - ele-king

 日本のベース・ミュージックについて改めて考えてみると、「ベース・ミュージック」という言葉を日本人が使いだしたのは東では〈Drum & Bass Sessions〉、西では1945 a.k.a KURANAKAが率いる〈ZETTAI-MU〉に代表される方々が支えてきた「ドラムンベース」や「ラガ・ジャングル」の登場以降だと推測される。
 しかし、近年では「ベース・ミュージック」という言葉の意味にかなり広がりを持つように進化し続けていると思う。もともとは海外でマイアミ・ベースやゲットー・ベースなどのヒップホップやエレクトロからの流れが「ベース・ミュージック」と言われだしたのがはじまりだろうし、「DUB STEP」という言葉にある「DUB」についてはもっと昔から存在する手法だ。
 そんな「ベース・ミュージック」の言葉が持つ深いポテンシャルに注目し、日本におけるベース・ミュージックの現在進行形を体験できる貴重な機会があったので、少々時間は経ってしまったが、レポートしようと思う。

 〈Outlook Festival〉とは、ヨーロッパはクロアチアにて数日間に渡って開催され、世界中のアーティストやDJ、そしてサウンドシステムが集結する世界最大級のベース・ミュージックの祭典だ。その錚々たるラインナップには、リー"スクラッチ"ペリーやマックス・ロメオやジャー・シャカといった、生きるレゲエ・レジェンドたちからスクリームやデジタル・ミスティックズなど、最先端ダブステップ・アーティストが一斉に名を連ねる。

 ある日、Part2Style Soundの出演するクロアチアの〈Outlook Festival〉に同行したeast audio sound system(イーストオーディオ・サウンドシステム)のtocciの体験談として「BASS MUSICは体で体感する音楽である。しかるべきサウンドシステムで鳴らせば、その重低音は肌から伝わり、体のなかを振動させ、ついには喉が震えて咳き込むほどの音楽だ」という見解を、過去にサイトにアップしていたのを読んで、自分の目を疑ったのと同時に「体感してみたい」という思いが芽生えた。その個人的な思いは「Outlook Festival Producer Competition」という、勝者はクロアチアへのチケットを手にすることができるコンペに自作曲を応募する形でぶつけてみた。仲間や応援してくれたみんなのおかげもあって、数多く存在するファイナリストまでは残れたものの、結果としては敗北に終わり、悔しい思いをしたのも記憶に新しい。
 そんな〈Outlook Festival〉の日本版がPart2Style とイーストオーディオ・サウンドシステムによって、今年も開催されると知ったのは春のはじまりのころで、それを知ってからは毎日のように「Outlookを体験したい」と心のなかで連呼したが、どうしても行きたい思いとは裏腹に、諸事情により今回のフェスへの参加を諦めていた。
 その矢先、小説家であり、ライターであり、大阪の夜の飲み先輩であるモブ・ノリオさんから一本の電話がかかってきた。
 以前、モブさんにとあるパーティで会ったときに酒を飲みながら〈Outlook Festival Japan Launch Party〉がいかなるものかと熱く説明したことがあり、そのときに何度も「それにはお前は行かなあかんやろ」と言われたが、「行きたいですねぇ......」と返すのが僕の精一杯の返答だった。それを察しての電話口だった。「〈Outlook〉行くの?」と聞かれ、「めちゃくちゃ行きたいですけど、もう諦めました」と返すと「行かんとあかんときっていうのは、どうしても行かんとあかん。お前、ああいうことを自分で書いといて、いかへんつもりなん? それはあかんぞ......あのな、エレキングで取材の仕事をセッティングしたから、行って来てレポートを書いてみぃへんか? 文化を体験するって行為は絶やしたらあかんで」
 涙がでるほどの奇跡が起きた。僕のなかで行かない理由はなくなった。

 5月26日、TABLOIDの隣にある、日の出駅に着いたときに、まず驚いた。改札を通るときに重低音の唸りが聴こえてきたからだ。駅から会場までの近さも手伝って、初めて行く会場への方向と道のりを重低音が案内してくれた。会場の建物がどれなのかは、低音の振動でコンクリートが「ピシッ」と軋む音でわかった。ついに ここに来ることができた、と胸が高まった瞬間だ。

 会場に入り、さっそくメインフロアであるホワイト・アリーナへ向かうと、先ほどの駅で聴いた重低音の唸りがSPLIFE RECORDINGSがかけるラガ・ダブステップだったことがわかる。そびえ立つモンスター・スピーカーたちの城から発せられるその音は、「爆音」なんてものではなく、まるで生き物のようにスピーカーから"BASS"が生まれ、フロア中を駆けめぐった後、壁を登り、遥か高い天井で蠢く、「獣帝音」と言えば伝わるであろうか。そう、これがイーストオーディオ・サウンドシステムとTASTEE DISCOが繰り出す、メインフロアの音だ。驚いたのは、出番が終わったあとにSPLIFE RECORDINGSのKOZOから聞いたところによると、これでまだ50%ぐらいの音量だというのだ。驚きとともに、100%の音量を出したときに自分は正気でいられるのだろうか? 建物は大丈夫なのだろうか? などと、少しの不安と緊張感を抱くとともに、武者震いをするかのように心を踊らせた。

 大阪から到着したばかりで腹がすいていたので、メインフロアの後方にあるFOODブースへと向かった。
 DUUSRAAのカレーを注文し、待っているあいだにおもしろい出来事があった。テーブルの上に置いてあった誰かのカクテルのカップが、重低音の振動で勝手に動き出し、なかに入ってあるカクテルが噴水のようにしぶきを上げ、こぼれだしたのだ。それぐらい、建物自体が振動していたということだ。

 知人の皆と、久しぶり感がまったくない(1ヶ月前に会ったばかり)挨拶やジョーク等を交わし、会場全体をウロウロとまわるうちに最初の狼煙が上がった。Part2Style最重要ユニット、ラバダブマーケットの登場だ。Erection FLOORと名付けられたフロアで鳴り響く、姫路は最高音響サウンド・システムの音も、サブ・フロアという陳腐な言葉では片づけられない、まさしく最高の音だった。その音は暖かく、どれだけの音量で鳴っていたとしても耳が疲れない、例えて言うならマホガニーサウンドだ。しかし、鳴っている音量はかなりのもので、ここのフロアが階段を登った2階にあったのも手伝ってか 振動が床を伝い、足から体全体が震え、まるで自分がスピーカーになったような錯覚すら覚えた。そんな最高音響でのラバダブマーケットのライヴは、フロアの反応も最高だった。Dread Squadの"Sleng Teng International Riddim"にジャーゲ・ジョージとMaLが歌う"Digital dancing mood"~e-muraのJUNGLEビート本領発揮の"Bubblin'"~突き抜ける"MAN A LEADER"の流れは、正にリーダーが告げるこのフェスの本格的開始合図だった。そしてその勢いは櫻井饗のエフェクターを駆使した多彩なビートボックス・ライヴへと継がれていった。

 ホワイト・アリーナへ戻ると会場にも人が溢れ返っていて、LEF!!!CREW!!!が、フロアにいるオーディエンスをハイテンションでガンガンにロックしていた。休憩しようと外へ向かう途中にグラス・ルームではDJ DONが、まだ生まれて間もないベース・ミュージック、ムーンバートンのリズムで"Bam Bam"をプレイしていた。僕もよくかけるリミックスだ。ついつい休憩のつもりがまたひと踊りすることに。Jon kwestのアーメンブレイクを切り刻んだムーンバートン(これまた僕もよくかける)など、ニクイ選曲にTRIDENTがパトワのMCで煽る。108BPMという、遅いような早いような不思議なテンポに錯覚してしまい、ついつい踊らされてしまうのがムーンバートンの魅力だろう。

 外の喫煙ブースでマールボロのタバコをもらい一服してからなかへ戻ると、さっきのグラス・ルームでは函館MDS CREWのボス、SHORT-ARROWがSUKEKIYOのMCとともにジャングルをプレイしていた。同じく函館から来ていたKO$は今回、カメラマンとしてもかなりいい写真を撮っていたので、是非チェックしてほしい。ここでも先ほどラバダブマーケットのライヴでも聴いたDread Squadの"Sleng Teng international"が聴けたし、時を同じくしてホワイト・アリーナではTASTEE DISCOがスレンテンをかけていた。

 この〈Outlook Festival Japan Launch Party〉の興味深いポイントとして、「ベース・ミュージックに特化したフェスティヴァル」ということでは日本ではかなり早いアクションだということだ。以前からPart2Styleは"FUTURE RAGGA"というコンセプトのもと、コンピュータライズドなレゲエをやっていたし、ジャングルやドラムンベースはもちろんのこと、最近ではダブステップやクンビアも自分たち流に消化して発信していたし、ムーンバートンを僕が知ったきっかけはMaL氏とNisi-p氏がふたりで作ったミックスだった。それらやその他もろもろを総じて、ベース・ミュージックと日本内で呼ばれ、波及しだしたのは ごく最近のことであり、まだまだ発展途上といえる段階だろう。スレンテンのベースラインは、この新しい試みのなかでも 互いに芯の部分を確かめ合うように呼応する不思議な信号や、電波のようにも聴こえた。

 時間が深まっていくなか、eastee(eastaoudio+TASTEE)が本領を発揮しだしたと感じたのはBROKEN HAZEのプレイだった。重低音が何回も何回も、ボディブローをいれてくるように体に刺さりまくる。激しいビートとベースで、まるでボクシングの試合でボコボコにされ、痛いどころか逆に気持ちよくなってしまう感覚だ。パンチドランカー状態になってしまった体を休めに、バー・スペースへ行きDUUSRAA Loungeの音が流れる中、友人と談笑したりした。

 上の階では、ZEN-LA-ROCKPUNPEE、そしてファンキーなダンサーたちによってオーディエンスが熱狂の渦と化していた。音の振動によってトラックの音が飛ぶトラブルもなんのその。
「皆さん、低音感じてますか? Macも感じすぎちゃって、ついつい音が飛んじゃいました。低音はついに800メガヘルツに到達! Everybody say BASS!!」とトラブルすらエンターテイメントへと変換させる話術は、お見事の一言では片づけられないほど素晴らしく、ごまかしや隠すことの一切ない、正に全裸ライヴだと実感した。ZEN-LA-ROCKは独自にこのフェスティヴァルをレポートしているので併せて見てほしい。



 楽しいライヴを満喫した後は、D.J. FULLTONOを見にグラス・ルームへと移動する。個人的にエレクトロやシカゴ・ハウス、ゲットーベース等を2枚使いでジャグリングをガンガンやっていた頃を知っているだけに、いま、日本のJUKE/JIT第一人者として〈Outlook Festival Japan〉に出演していることが不思議であり、同じ大阪人として嬉しくもあった。彼がプレイしている時間のフロアは、このフェスのなかでもっとも独特な空気を放っていただろう。矢継ぎ早に、時にはトリッキーに繰り広げられるJUKEトラック、"FootWurk"という超高速ステップ、難しいことは言わず自然体な言葉でフロアを煽るMC、仲間たちお揃いのBOOTY TUNE(FULLTONO主宰レーベル)のTシャツ、ブースに群がるクラウド、汗だくになりながらも、次々とフットワークを踊り、DJブース前のフットワークサークルを絶やそうとしないダンサーたち、出演者、観客、スタッフ、なんて枠組みは取り払われたかのように、そこにいる皆で夢中になってフロアを創った時間だった。その素晴らしさは、FULLTONOが最後の曲をかけてすぐさまフロアに飛び出し、さっきまでDJをしていた男がいきなり高速フットワークを踊りだした時に確認できた。僕にはその姿が輝いて見えた。

 メインフロアに戻ると、Part2Style Soundがいままで録りためたキラーなダブ・プレートを惜しげもなくバンバン投下しフロアをロックし続けていた。そのスペシャル・チューンの連発にフロアのヴォルテージが高まりすぎて、次の日に出演予定のチャーリー・Pが我慢できずにマイクを取ったほどの盛り上がりだ。そしてその興奮のバトンとマイクは、DADDY FREDDY(ダディ・フレディ)へと渡された。高速で言葉をたたみかけるダディ・フレディのライヴは圧巻であった。何回も執拗にライターに火を灯せ! とオーディエンスに求め、フロアは上がりに上がった。早口世界チャンピオンは上げに上げた後、だだをこねるように「もう行っちゃうぞ?」とフロアに問う。フロアは声に応え、ダディ・フレディを放そうとはしない。チャンピオンはノリノリでネクスト・チューンをうたい終えた後、またフロアに問う。「おれはもういくぞ!?」と。もちろん皆は声に応える。するとチャンピオンはノリノリで「ワンモアチューン!」と、まだまだ歌い足りなさそうだが、やはりチャンピオン。どのアクトよりも怒涛の勢いを見せつけた、素晴らしいステージだった。

 チャンピオンの勢いに圧倒された後に続いて、特別な時間がやってきた。
 DJ、セレクタのセンスと腕が問われる真剣勝負、サウンド・クラッシュ。今回、かなり楽しみにしていたイベントだ。NISI-Pの司会によってルール説明が行われ、場内は緊張感に溢れた。今回のルールとして、はじめにくじ引きで第1ラウンド出場者である3組の順番を決め、1ラウンド目はダブ・プレートではない曲で3曲ずつかけ、次ラウンドの順番が決まる。第2ラウンドが「Dub Fi Dub」(ダブプレートを1曲ずつかける)の流れだ。第2ラウンドで決勝進出の2組が決まり、ファイナルラウンドで一対一の対決となる。
 第1ラウンドの一番手はHABANERO POSSE(ハバネロ・ポッセ)だ。普段からイーストオーディオ・サウンドシステムの音を研究しているだけあって、音の鳴りはピカイチだった。ガンヘッドのDJにFYS a.k.a. BINGOのMCの勢いもハンパなく、スピーカーとオーディエンスを存分に震わせた。続いて、JUNGLE ROCKがプレイするジャングルはレゲエのサウンドマンの登場を物語る。サウンドクラッシュはレゲエから発生した文化だ、と言わんばかりにフロアに問いただす。最後に登場したDEXPISTOLSは、なんとレゲエ・ネタで応戦し、エレクトロの先駆者が異文化であるクラッシュへの参戦表明を見せつけたことで、このサウンドクラッシュがいままでのどのサウンドクラッシュとも違う、斬新なものであるかがわかっただろう。今回のサウンドクラッシュの見どころとして、ヒップホップやエレクトロの文化やレゲエの文化などが、カードの組み合わせによって異種格闘技戦となっていることも、おもしろい試みだ。
 肩慣らしともいえる第1ラウンドを終え、いよいよ本番、ガチンコ対決となる第2ラウンドへと続く。トップバッターはDEXPISTOLSだ。第1ラウンドのときとは、やはり気合いの入り方が違い、ダブプレートには自身たちの曲にも参加している、ZeebraJON-Eがエレクトロのビート上で声をあげ、DEXPISTOLSがDEXPISTOLSであることをオーディエンスに見せつけた。
 続くはHABANERO POSSE。ムーンバートン・ビートにのるラップの声の持ち主に耳を疑った。なんと、Zeebraのダブ・プレートである。まずは「ベース好きなヤツは手を叩け!」と、"公開処刑"、そしてビートがエレクトロへと急激にピッチが上がり、DEXPISTOLS自身がZeebraをフィーチャーした"FIRE"のダブへと展開し、DEXPISTOLSへ向けたレクイエムを送る。逆回転のスピンの音が少し短くて、思ったことがあった。「あれはもしかして、レコードかもしれない......。」その盤はアセテート盤と呼ばれる、アナログレコードをわざわざカットして鳴らされたものであるのも、block.fmで放送された後日談にて確認できた。HABANERO POSSEは、ぬかりのない綿密な作戦と、業が成せる完璧な仕事を僕らに見せつけたのだ。
 ラストのジャングル・ロックは、アーメンブレイクと呼ばれるジャングル・ビートに、猛りまくったMCで問う。「さっきも、V.I.Pクルーがかかってたけど、V.I.Pクルーって言ったらこの人だろ!?」と、BOY-KENがうたう様々なクラッシュ・チューンでレゲエの底力を見せつけた。
 ファイナルラウンドに駒を進めたのは、HABANERO POSSEとJUNGLE ROCKの2組だ。本気の真剣勝負の結果である。誰もそこに異論を唱える者はいなかったと思うし、オーディエンスの反応にも間違いなく現れていた。戦うセンスと実力だけがものをいう、音と音のぶつかり合い。それがサウンドクラッシュという音楽の対話だ。
 ファイナルラウンド、先行はJUNGLE ROCKだ。「おれがこのダブとるのに、いくら使ったと思ってんだよ!」と意気込みを叫び、ダブを投下した。鎮座ドープネスリップ・スライムからはPESとRYO-Zという、豪華なメンツにフロアは沸きに沸いた。そして後攻にHABANERO POSSE。なんとその場のゲストMCにSEX山口を迎え、マイクでフロアに物申す。「おれらの敵はJUNGLE ROCKでも、DEXPISTOLSでもない。本当の敵は、風営法だ!」なんと、YOU THE ROCKがラップする"Hoo! Ei! Ho!"のダブだった。



 優勝は満場一致で、HABANERO POSSEが受賞した。展開の読み、選曲、音像、すべてにおいて郡を抜く存在だった。本当に、普段から音の鳴りを研究した努力の賜物だったと思うし、あの時間にあのダブ・プレートを聴いた時の、ドラマのような展開に感動した。近年、風営法を利用した警察が、文化を発信している場所となるクラブを摘発していることへの、強烈なアンチテーゼを意味するメッセージでもあった。クラバーたちの真の戦いとなる風営法を、サウンドクラッシュという戦のなかで伝え、勝利という名の栄光を掴んだ、真のチャンピオン誕生の瞬間だった。

 この頃には酔いもできあがってしまって、BUNBUN the MCのライヴではPart2Styleのメンバー、DJ 1TA-RAWがカット(バックDJ)をやっているにも関わらず、大阪のオジキの大舞台を応援したい気持ちで僕もDJブースにノリこんでカットをやるが、酔った手がCDJの盤面に当たってしまい、ズレなくてもいいリズムがズレてしまって、「WHEEL UP!Selecta!」とすぐにお声がかかり、ネクストチューンへ。大変、お邪魔いたしました。。もちろん、ライヴはいつにも増して、大盛況であった。酔いも深まる中、タカラダミチノブのジャーゲジョージをフィーチャーしたDJにシビれ、朝を迎えた。

[[SplitPage]]

 2日目はひどい2日酔いのなか、昨日が夢のような1日だったため、目が覚めてもまどろみ状態がなかなか覚めなかった。そんな状態で、酒を飲む気分になれなかったので、この日はレッド・ブルだけを飲んで過ごした。
 会場に到着して、ブランチに虎子食堂のごはんを食べようと、真っ先にフードブースへ足が進む。フェジョアーダという黒豆ごはんを注文し、知人と一緒に「初めて食べる味ですねー」なんて話しながら、美味しくいただく。ふと、ブースの方へ向くと、Soi Productions(ソイ・プロダクションズ)がスタートダッシュのドラムンベースをブンブン鳴らしていた。会場の音も、昨日よりも開始直後からよく鳴っている印象だった。考えたら昼の2時だ。鳴らせる時間には鳴らさないと、サウンドシステムがもったいない。目もスッキリ覚めるほどのベースを浴びて、2日目がはじまったことを改めて確認した。

 バー・スペースではDJ DONがクンビアを気持ちよくかけている。今日はどうやって過ごそうかな? とタイムテーブルを見ながら周りを見渡す。ここは〈DUB STORE RECORDS〉や〈DISC SHOP ZERO〉がレコードを販売しているフロアでもある。ふと見ると、E-JIMA氏がレコードをクリーニングするサービスなんてのもあって、もしレコードをもってきてたら、超重低音でプレイする前にキレイにしたくなるだろうな、と思ったりした。

 入り口付近のグラス・ルームではKAN TAKAHIKOがダブステップのベースの鳴りをしっかりとたしかめるように、自作曲も交えながらプレイしていたり、2階へ行くと、DJ YOGURTがスモーキーで渋いラガ・ジャングルをかけていて、最高音響で聴くアーメン・ブレイクは体にスッと馴染みやすく刺さってくることを確認したり、NOOLIO氏との久々の再会がグローカル・アリーナで太陽を浴びながら聴くグローカルなハウスだったり、ホワイト・アリーナに戻っては、G.RINAの生で聴く初めてのDJにテンションが上がってしまい、BUNBUN氏とふたりしてかっこええわ~なんて言いながら楽しい時間はあっという間に過ぎていく。

 グラス・ルームでワイワイと楽しそうにやってたNEO TOKYO BASSの姿は、誤解を招くのも承知で書くと、やんちゃな子どもたちが はしゃいでいるようにも見えて、その楽しそうな姿に、ついついこっちまで指がガンショットの形になってしまった。クボタタケシのクンビア・ムーンバートンを交えたセットも素晴らしかった。この時にかかっていたKAN TAKAHIKOの"TOUR OF JAMAICA"のエディットはこのパーティ中に最も聴いたチューンのひとつだ。

 Tribal Connection(トライバル・コネクション)の1曲目は、ジャングル・ロックの昨日の決勝戦のチューンだった。昨日のバトルの雰囲気とはうってかわって、パーティ・チューンに聴こえたのもセレクター、DJとしてかける意味がかわって聴こえたりもして、趣が深かった。悔しそうに、そして楽しそうに。深いジャングルの時間だった。続くJxJxはグラス・ルームをファンキーに彩るムーンバートンで、大都会の夕暮れの時間を鮮やかに彩った。

 そうこうしている内にはじまったPart2Style Soundが、確実にメインフロアを唸らす。興奮もピークに近づいてきたところで、やってきたのはCharlie P(チャーリー・P)だ。まだ若いらしいが、堂々としたステージはベテランのようで、スムーシーに唄うその声は、ときに激しく、ときにまとわりつくように耳から脳へとスルリと入ってくる。続いて登場したSolo Banton(ソロ・バントン)は先日、大阪で見た時よりもキレがあり、"Kung Fu Master"や"MUSIC ADDICT"など、堂々としたステージングでオーディエンスをグイグイ引き寄せる。そして時には、ソロとチャーリーが交互に歌ったり、お互いの声質が異なることによるスペシャルなブレンド・ライヴを展開した。かなりマイクを回しあっただろう。時間が終盤に近づくにつれ、グルグルと回るマイクをもっと回せと口火をきったのはRUMIだ。"Breath for SPEAKER"の「揺らせ! スピーカー!」のフレーズで、正にスピーカーとフロアを存分に揺らした。すかさずソロがたたみかけるようにうたう、すると今度はなんと、CHUCK MORIS(チャック・モリス)が出てきては「まんまんなかなか、まんまんなかなか、ド真ん中!」と、すごい勢いで登場し、「たまりにたまった うさばらし! Outlookでおお騒ぎ!」と、けしかけては、「ハイ! 次! ソロー!」とソロ・バントンにマイクを煽る。ソロがすかさず歌い返すも、Pull UP! ちょっと待ったと、いきなり現れた二人のMCに たまったもんじゃないソロはなんと、ダディ・フレディの名を呼んだ。「ジーザス、クライスト!」とダディフレディが一言、そこからのトースティングは即座にフロアを頂点へとのし上げた!!! ダディ・フレディは会場に集まった皆と、Part2Styleに感謝を述べ、よし、マイクリレーしよう!と閃き、なんとスペシャルなことか、ダディ・フレディとソロ・バントンとチャーリー・P、3人の怒涛のマイクリレーがはじまった。これにはフロアもガンショットの嵐!! 最高のスペシャルプレゼントステージだった。Nisi-pが「もう一度、3人に大きな拍手を!!」と叫ぶと、会場は拍手大喝采に見舞われた。



 SKYFISHがクンタ・キンテのフレーズを流したのはその直後だ。ラスコの"Jahova"にチャック・モリスが歌う、"BASS LINE ADDICT"。続くRUMIのアンサーソング"BAD BWOY ADDICT"と、さすが、UK勢にも引けをとらないふたりのコンビネーションがフロアをぶちかました。今回のフェスで誰が一番のアクトだったかなんてことは、到底決められないけども、個人的にBASSを浴びる、いや、BASSをくらったのはNEO TOKYO BASSのときだ。腹にかなり直撃で受けてしまい、なんというかお腹のなかで内臓が揺れているのだ。いや、いま思い返せばそれが本当だったかはわからない。しかし、記憶していることは、体のなかが、なかごと、ようするに全身震えていたのだ。音が凶器にも感じた瞬間だった。ずっとフロアで聴いていたから低音には慣れているはずなのに、NEO TOKYO BASSがエグる、BASSの塊に完全にKOされてしまった。
 メインフロアを出た後、グラス・ルームでは、KEN2D-SPECIALが"EL CONDOR PASA"を演奏していた。どうやらラスト・チューンだったらしく、もっと見たかったが、そこで久しぶりの友だちと会い、話をしながらINSIDEMAN aka Qのかけるディープなトラックに癒された。少し外で休憩した後はクタクタだったのもあり、グローカル・エリアの帽子屋チロリンにて少し談笑したりした。すぐ隣にあるグローカル・エリアで見た1TA-RAWから大石始への流れはトロピカル・ベース~ムーンバートン~クンビア~民謡と、自然に流れるダイナミクスへと昇華され、僕が見たグローカル・エリアでは一番のパーティ・ショットだった。そして最後に見たのは、OBRIGARRD(オブリガード)だ。ハウスのビートから徐々にブレイクビーツ、クンビアへとビートダウンしてく"Largebeats"~"Ground Cumbia"の流れは素晴らしく、個人的にエンディング・テーマを聴いているような、寂しく、狂おしい瞬間だった。

 僕の〈Outlook Festival 2012 Japan〉Launch Partyは、こうして幕を閉じた。
 いまになって思い返してみても、なんて素晴らしく、楽しい体験だったのだ。体験したすべての人たちが、それぞれの形で、記憶に残る2日間になったと思う。そして日本のベース・ミュージックにとっても、キーポイントとなるような歴史的な2日間だったのではないか。
 出演していた あるアーティストに「今回出演できて、本当に良かった。もし、出演できていなかったら、自分がいままでベース・ミュージックを頑張ってきたことはなんだったんだろう? と、思っていたかもしれない」という話を聞いた。もちろん、自分も「出たいか?」と問われたら、即答で「出たい」と答えるだろう。それほどまでに、魅力溢れるパーティだ。個人的に思う〈Outlook Festival 2012 Japan Launch Party〉が残した大きな功績は、アーティストやDJたちが「次も出演したい」と、または「次は必ず出演したい」と、いわば、「目標」を主宰たちが知らず知らずのうちに創ったことだろう。その目標を叶えるためにも、来年、再来年と、また日本で〈Outlook Festival〉が開催されることを、切実に願っている。

 Part2Styleとイーストオーディオ・サウンドシステム、会えた方々、関係者の方々、そして体験する機会を与えてくれた「ele-king」の松村正人さんとモブさんに最大級の感謝をここに記します。

追記
 そしてこの夏、Part2Style Soundが2011年に引き続き、本場はクロアチアで開催される〈Outlook Festival 2012〉に出演する。本場のベース・ミュージック フェスティヴァアルに2年連続で出演し、何万人といった海外のオーディエンスを熱狂させることを思うと、同じ日本人としてとても誇らしい気分にさせてくれる。
 きっと彼らはまた素晴らしい音楽体験を得た後、その景色を少しでも日本へと、形を変えて伝えようとしてくれるだろう。
 進化し続ける「ベース・ミュージック」。未来のベース・ミュージックはどんな音が鳴っているのだろうか。
 僕はその進化し続ける音楽を体感して追っていきたい。

KABUTO (LAIR/CABARET) - ele-king

SCHEDULE
8/24 @grassroots
8/30 minimood label night@ oath
9/1 barrier@module
9/22 ERR@だるま山キャンプ場
9/28 @Cave246
9/29 @Eleven
10/6 CABARET feat Daniel bell@UNIT/SALOON

https://twitter.com/Kabutooo

2012.8.CHART


1
MORITZ VON OSWALD TRIO - FETCH - Honest Jons

2
BRETT DANCER - EUPHONIC MOODS EP - TRACKMODE

3
MAKAM - DREAMS OF TOMORROW - SUSHITECH

4
DANIEL KYO - HYPNOTIZED (Kelvin K Remix) -LOST MY DOG

5
DEWALTA & MIKE SHANNON - THE ADVENTURES OF SAINT JACK DE SMOOVE - MEANDER

6
OPUSWERK - WIRED CONNECTIONS - PLAK

7
ANDRES ZACCO - POMPAK - ESPERANZA

8
CHRIS MITCHELL - PHRENETIC EP - Vanguard Sound

9
J ANTONI - NO SLEEP (Thoms Krome mix) - UES

10
GRIMES ADHESIF - pa'am shlishit glida - naif

foliday (CPY,forever 3am) - ele-king

レギュラーパーティは偶数月第1土曜"CPY"@青山OATH、偶数月最終土曜"forever3am"@江古田noah。その他、都内広範囲にて活動中。
9/1(土)には今年で3回目を迎える、江古田の3店舗回遊パーティ"EKODA VINYL CONNECTION
2012"が開催されます。詳細は下記リンクのチェック宜しくお願いします!

https://ekodavinyl.tumblr.com/
https://soundcloud.com/foliday
https://foliday.blogspot.com/

2012 SUMMER LISTEN&PLAY TOP10


1
Super Flu & Andhim - Reeves - Mona Berry

2
Pillowtalk - The Real Thing - W + L Black

3
K.W. - Girls In Dub - Nakayoshi Use Only

4
Windsurf - Weird Energy - Catune

5
The New Wine - Bridge(Mighty Mouse Remix) - Tnw

6
Al Kent Presents Million Dollar Disco - J'Adore - Million Dollar Disco

7
Rahmlee - Heartbreaker - Headfirst

8
Michael Sembello - Automatic Man - Warner Bros

9
Way Yes - Oranjudio - Lefse

10
ザ・なつやすみバンド - 自転車 - Tnb

ICHI-LOW (Caribbean Dandy) - ele-king

偶数月第二月曜@The ROOM、奇数月第四火曜@虎子食堂等々のレギュラーでCaribbean Dandyはプレイ中。その他個人活動はTwitterの@ICHILOWをチェックしてください。

8/30映画『ボブ・マーリー/ルーツ・オブ・レジェンド』公開記念配信DOMMUNEに出演します!

映画『ボブ・マーリー/ルーツ・オブ・レジェンド』公開に乗っかって
自分的ボブがらみソングベスト10


1
ETANA - LOVE MYSELF - CANNON

2
LUCIANO - JAH LIVE - CANNON

3
BOB MARLEY & THE WAILERS - COULD YOU BE LOVED 12mix - ISLAND

4
Luciano, Louie Culture, Terror Fabulous - IN THIS TOGETHER - Xterminator

5
BOB MARLEY & THE WAILERS - EXODUS - TUFF GONG

6
DAMIAN "JR.GONG" MARLEY - Welcome to Jamrock - GHETTO YOUTHS / Universal

7
Lauryn Hill & Bob Marley - Turn Your Lights Down Low - ISLAND

8
BOB MARLEY & THE WAILERS - NO WOMAN NO CRY - ISLAND

9
PETER TOSH - BUSH DOCTOR - Rolling Stones

10
Dean Fraser - Redemption Song - Joe Gibbs Music
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467 468 469 470 471 472 473 474 475 476 477 478 479 480 481 482 483 484 485 486 487 488 489 490 491 492 493 494 495 496 497 498 499 500 501 502 503 504 505 506 507 508 509 510 511 512 513 514 515 516 517 518 519 520 521 522 523 524 525 526 527 528 529 530 531 532 533 534 535 536 537 538 539 540 541 542 543 544 545 546 547 548 549 550 551 552 553 554 555 556 557 558 559 560 561 562 563 564 565 566 567 568 569 570 571 572 573 574 575 576 577 578 579 580 581 582 583 584 585 586 587 588 589 590 591 592 593 594 595 596 597 598 599 600 601 602 603 604 605 606 607 608 609 610 611 612 613 614 615 616 617 618 619 620 621 622 623 624 625 626 627 628 629 630 631 632 633 634 635 636 637 638 639 640 641 642 643 644 645 646 647 648 649 650 651 652 653 654 655 656 657 658 659 660 661 662 663 664 665 666 667 668 669 670 671 672 673 674 675 676 677 678 679 680 681 682 683 684 685 686 687 688 689 690 691 692 693 694 695 696 697 698 699 700 701 702 703 704 705 706 707 708 709 710 711 712 713 714 715 716 717 718 719 720 721 722 723 724 725 726 727 728 729 730 731 732 733 734 735 736 737 738 739 740 741 742 743 744 745 746 747 748 749 750 751 752 753 754 755 756 757 758 759 760 761 762 763 764 765 766 767 768 769 770 771 772 773 774 775 776 777 778 779 780 781 782 783 784 785 786 787 788 789 790 791 792 793 794 795 796 797 798 799 800 801 802 803 804 805 806 807 808 809 810 811 812 813 814 815 816 817 818 819 820 821 822 823 824 825 826 827 828 829 830 831 832 833 834 835 836 837 838 839 840 841 842 843 844 845 846 847 848 849 850 851 852 853 854 855 856 857 858 859 860 861 862 863 864 865 866 867 868 869 870 871 872 873 874 875 876 877 878 879 880 881 882 883 884