「ZE」と一致するもの

interview with Chihei Hatakeyama - ele-king

いまのアンビエントを俯瞰すると、正しくブライアン・イーノを継承しているのがテイラー・デュプリーで、そこを壊して進んでいるのがティム・ヘッカーで、大勢はその間に活路を見いだしているのかなとも思えますね。


Chihei Hatakeyama
Mirage

Room40

DroneShogazeAmbient

Amazon Tower HMV

 畠山地平の簡単なバイオは、デンシさんのレヴューに譲ろう。彼が主宰するレーベル〈White Paddy Mountain〉の怒濤のリリースはdiscogsにまかせておこう。彼のサッカー好きについては、紙ele-king vol.13を参照していただこう。
 ここでまず重要なことは、ぼくは深く考えずにアンビエント/ドローンという書き方をする。しからば、それは≠『アナザー・グリーン・ワールド』/“シスター・レイ”であり、まあ、たしかにこれは離れているようで同じ括りにできる。が、これをニューエイジ/シューゲイズと変換できることはできない。ということは……ジ・オーブ/マイブラはアリなわけで、ということはOPN/グルーパーもアリなのだ。
 何を言いたいのかといえば、アンビエント/ドローンといったときにその音楽的振れ幅はそれなりになり、アンビエント・ミュージシャンとして知られている畠山地平だが、しかし彼のそれには、シューゲイズ的感性がより多く入っている。言うなればティム・ヘッカーやグルーパーやローレンス・イングリッシュの側である。
 畠山地平は先日、そのローレンス・イングリッシュのレーベル〈Room40〉から新しいアルバム(ヴァイナルと配信のみ)を出したばかり。この機会に、精力的なリリースを続けるアンビエント/ドローンのプロデューサーを取材してみることにした。ゼロ年代のアンビエント/ドローンの流れを、掻い摘んで説明しながら、自らのコンセプトを語ってくれました。

もちろんグルーパーの個人的なテクニックや才能があるうえでの話なんでしょうけど、でもあのカセットテープ・レコーダーだけであんなのができちゃっているのを見て、作り手としてもう「俺らはなにをやっているんだろう」ってくらいの衝撃はありましたね。

作品のリリースが多くて、ものすごく精力的に活動されていますよね。

畠山:いまは制作意欲にも溢れていて、ライブやツアーも含めて精力的に動けてますね。

海外メディアでは、今年に入って〈White Paddy Mountain〉から3枚同時にリリースしたときはニュースになっていたもんね。

畠山:そうですね。やっぱり日本に比べるとカルチャーとして根付いているんでしょうね。あとはリスナーの数とか(笑)。

たぶんアンビエントの世界ってそれぞれの都市での数は少ないんだろうけど、世界でまとめてそれなりにいるというか、独特のネットワークを持っているでしょう?

畠山:そうなんですよね。他のジャンルに比べるとリスナーの連帯感みたいなものがあんまりないかもしれないですけど、現場に行って知り合うとかじゃなく、たぶんマニアな人が世界中に個人として確実に存在している、そういうイメージに近いのかなと。たしかに固定ファンは一定数いるんですよ(笑)。

サトミマガエさんのアルバムを聴いていて、彼女が演奏している場面を想像すると、10人くらいの小さいところでの親密なライヴ演奏というか。それと同じように畠山くんや伊達(伯欣)くんたち、あるいはhakobuneさんたちがいるようなアンビエントのシーンというのも、いろんな国のいろんな街の10人くらいのシーンがポツポツとあって、それが絶えずにリンクしているようなイメージがあるんだよね。そういう広がり方?

畠山:そうですよね。実際たしかにそうなのかもしれない。例えばいま名前を挙げてもらった伊達くんとかhakobumeくんとか……。

よく一緒にやっているフェデリコ(・デューランド)さんとか……。

畠山:フェデリコさんの場合はさらに面白いことにアルゼンチンのそれもブエノスアエルスに行くのにも1日かかる不便な山の方に住んでいるみたいですね。今年日本に来るのも家からカウントとすると4日旅して日本に来ると、それくらいの場所に住んでいるみたいです。
 いま挙げてもらった伊達くんとかhakobumeくんとかのアーティストに共通するものはエレクトロニック・ミュージックなんだけどいわゆるDTMじゃないというか。MIDIとかプラグインのソフトは使わずに、それこそクリックや小節数も関係なく作曲している。アンビエントなのにフィジカルで演奏しているという。わかりづらいんですけど(笑)。

なるほど! 言われてみればそうだよね。

畠山:だから今回の作品ではギターもあるし、モジュラー・シンセやアナログシンセも使っているんですけど、元々即興演奏したものを後で調整して形にする方法をベースにしています。最近ではアナログ卓で先にミックスして、ある程度アナログ環境で完成させてしまうので、DTM感はさらに薄まりましたね(笑)。MIDIキーボードも持っていないんですよね。

今回はローレンス・イングリッシュのオーストラリアのレーベル(<Room40>)からのリリースになるじゃないですか。彼なんかもそうなの? 海外もそう?

畠山:例えば……、グルーパーとか(笑)。

使わないですよね(笑)。

畠山:ティム・ヘッカーも演奏していますよね。

グルーパーで本当に驚いたのは、昔1000円くらいで売っていたソニーのラジカセを6台くらいミキサーにつなげて、その場で回転数を変えたりするじゃないですか(笑)。それでギター弾いて歌っているし。

畠山:グルーパーは野田さんも相当衝撃だったと思うんですけど。90年代からのラファエル・トラルやスターズ・オブ・ザ・リド等、先駆者たちの(アンビエント/ドローンが)きて、ゼロ年代でフェネスやテイラー・デュプリーなどのエレクトロニカがあって、そのあとにアンビエントみたいなものが復活して出てきたなという感じじゃないですか。そのフェネスとかの流れをグルーパーが2013年くらいに一度全部ひっくり返しちゃったような気がして(笑)。
 そこからまた流れていって、いまは2013年と比べるとアンビエントが多様化しているというか、ラファエル・トラルでいうと、その後純粋な電子音楽に行くのでわかりづらいんですけど、90年代はマイ ブラッディ ヴァレンタインをブライアン・イーノの手法で解釈するとどうなるかと、そこでギター・ドローンが生まれてきたという背景もあって、グルーパーもそうですけど、イーノとマイブラの影響は大きいのかなとは思いますね。ラファエル・トラルはインタヴューで興味深い事を言っていて彼はマイブラのケヴィン・シールズはエレクトリック・ギターの解放者だというんですね、それまでのジミ・ヘンドリックスを中心としたギター観だと、天才過ぎて真似できないと、でもケヴィン・シールズはテクニックはないので、真似しつつ先に進めると。少し話が逸れてしまいましたが、いまのアンビエントを俯瞰すると、正しくブライアン・イーノを継承しているのがテイラー・デュプリーで、そこを壊して進んでいるのがティム・ヘッカーで大勢はその間に活路を見いだしているのかなとも思えますね。

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アンビエントにはノイズがある。ノイズってものをどう定義するかにもよると思うんですけど。カセットテープのカスカスした音もノイズかもしれないし、もっと暴力的な音もノイズかもしれないし。曲のなかで突然ディストーションの音が入るとか、そういうものは意識して入れましたよね。

デジタルというものからどれだけ自由にいられるか、ということはテーマとしてあるなと思うんですよ。ぼくらの日常生活のなかでも、たとえば本来は自分たちの道具のはずのスマホに支配されているんじゃないかという感覚はあるでしょ。

畠山:そうなんですよ。道具や機材に使われる面はありますね。モジュラーシンセにもそういう面があって、たまにモジュラーシンセに使われている感覚になる事がありますね。ギター・エフェクターだとモジュラーほど何でもできるわけじゃないので、自分で工夫しないと何もできない。

電車に乗るとみんなスマホを見ているでしょう? 総じて、ぼーっとしている時間が昔よりも減っていると思いますよ。

畠山:そうなんですよ。俺もじつはiPhoneをやめて、Androidで一番安いやつにしたんですね。ある意味でiPhoneも機材だなということに気づいたんですよ。それで面白いケータイを探しに行こうと思って中古携帯屋に行って探していたら、ドコモがベトナムとかトルコとか開発途上国に作ったしょうもないスマホがあったんですよ。これを買ってみようと思って買ったら容量が3GBしかなくて、アプリも入れられないんですよ(笑)。なのですごく使い勝手は悪いんですけど、それで生活は変わりましたね。スマホに支配されるという生活から(抜け出せましたね)。

明らかにアディクトですよね。で、そういう意味で言うと、たしかにグルーパーは現代への批評にもなっていた。そこまでやっちゃっていいの? ってくらいのアナログ感だったよね(笑)。

畠山:しかもそれでできちゃうんだっていう(笑)。もちろんグルーパーの個人的なテクニックや才能があるうえでの話なんでしょうけど、でもあのカセットテープ・レコーダーだけであんなのができちゃっているのを見て、作り手としてもう「俺らはなにをやっているんだろう」ってくらいの衝撃はありましたね。

アンビエントは、そういう風にいつの間にか飼い慣らされていることへの抵抗でしょう?

畠山:そうですね、抵抗……たしかに正しく「抵抗」かもしれないですね。抵抗というのは対抗とは違うわけですよね。相手との力関係で言えば相手の方が上だと抗えないものや、状況に対して、か細い地味な個人的な抵抗といえるかも。なので、アナログ機材というものの存在とか使い方やノイズに焦点をあてているという面もあります。音楽制作がどんどん便利になっていく、パソコンで作ることが主流になっていくなかで、パソコンを使わずに曲を作るということに意味があるのかなと、MIDIやシーケンサーによる自動演奏で失われて行くもの、広い意味でのヒューマニズムなのかな。ただアンビエント・ミュージックというジャンルを音楽的に客観的に見ると飽和化しているのもたしかだと思うんですよね。そうそう安々と新しいものは出ないというか。じゅうぶん成熟はしているなというところです。

畠山くんがどこまで知っているかはわからないけど、いまニューエイジが流行っているのね。

畠山:先ほどの話ともかぶるのですが、音楽的には今回の『Mirage』は「ノイズ」というのがテーマの一部としてあって。ニューエイジにはノイズってものはないんですよね。

ニューエイジにノイズはないよ。ヒーリングだもん。

畠山:ただアンビエントにはノイズがある。ノイズってものをどう定義するかにもよると思うんですけど。カセットテープのカスカスした音もノイズかもしれないし、もっと暴力的な音もノイズかもしれないし。曲のなかで突然ディストーションの音が入るとか、そういうものは意識して入れましたよね。耽美的にならないようにというか。

ローレンス・イングリッシュが今年出したアルバム(https://www.ele-king.net/interviews/005609/)がものすごくポリティカルな作品だったでしょう?

畠山:ものすごくポリティカルでしたよね。

畠山くんの作品ってすごくペシミスティックなものが多いでしょう? 今回の1曲目は“Sad Ocean”。

畠山:そうですね、オプチミスティックではないですね、ただペシミスティックと言い切っていいものかどうかですね、“Sad Ocean“もメロディは希望が持てるような旋律なんですね、なのでそういう辛い状況のなかのひとすじの光のイメージですね。それとこの写真(アルバム・ジャケット)がテーマになっていて、これはトルコの写真なんですよ。

順番に話していくと今回はトルコに旅行に行って、そこで触発されたものを1枚にまとめたという話なんですよね。

畠山:行ったのは2010年だったんで、まだそこまでイスタンブールでテロが頻発していなかったんですよね。だから気楽には行けたんですけど、その後どんどんイスラム国の台頭とかで、いまはもう気楽に行けるところでもなくなってきたなという。“Sad Ocean”は隠喩的に「Ocean」にしましたけど本当の海ということではなくて、いまわれわれを取り巻いている状況という……、ところまでは考えたんですけど、そこまで解釈してもらわなくてもいいんですけどね。作り手としてはそういう意味もあって、このタイトルにしました。アルバムの完成には、5年かかりましたけどね。

5年間かかったんだ。

畠山:まず2010年にトルコに行って、2012年くらいには1回完成させたんです。それが第一段階ですね。で、ちょっと作り直して、その第二段階が終わったところで〈Room40〉のローレンスのところに送って出すことになった。その第二段階では、最終的には残る曲は半分くらいかな。第一段階の曲は1曲しか残っていなかったんです。
 で、最後にブラッシュアップし直して、何曲か差し替えたりして、最終的なものになった。機材も変わっていたんで、第二から第三段階への変化で、だいぶよくなりましたね。

ちょっと話が前後するんですが、そもそもなぜトルコに行こうと思ったの?

畠山:どうしてなんでしょうね、惹かれるところがあったんでしょうね、アジアでもヨーロッパでもなく、曖昧なところとか、イスラム圏で行き易そうな国っていうのもありますよね。

トルコのどんなところに衝撃を受けたの?

畠山:ひとつには、行かないと分かりづらいんですけど、もの凄く歴史が長い土地なんですよね。ヒッタイト文明とか、メソポタミア文明、そういう人類の文明発祥の地に近く、ギリジア文明にも近く、しかし中心ではないんですよね。いまはトルコ系の騎馬遊牧民の国なんですけど、それ以前には、全然違う人たちが住んでいたっていうのが、島国の日本人からすると衝撃的でしたね。なので、ものすごい文化の混濁具合というか、もう全然日本とも、ヨーロッパとも、アメリカとも、アジアとも違う、そこにイスラム教もあいまってカオス状態でしたね。偶像崇拝禁止なので、もの凄いキラビやかな、電球屋さんが秋葉原の倍くらいの広さであったりするんですよ。こういう世界もあるんだなと。身も蓋もない言い方なんですけど(笑)。

今回の作品で、トルコに行かなければ生まれなかった部分ってどういうところなんでしょう?

畠山:これまでの作品にだいたい共通していることなんですけど、なにかの出来事があってそれが自分のなかのフィルターを通ることによってイメージが湧くみたいなところがあるので、やっぱりメロディや音色や曲のすべてが受けたインスピレーションが自分のなかを入ってきて出てきたものなのである意味すべてと言えますね。旅からインスピレーションを受けたこれまでの作品はオピトープの『Hau』、ソロ作品『a long journey』なんですけど、今回の『Mirage』もその系統に入ります。なので、現地で録音したフィールドレコーディング素材が元にあって、そのフィールドレコーディング素材を加工し、音を重ねていくという手法で作った曲も入ってます。

トルコのなにを表現したいかということは考えなかった?

畠山:トルコの何かを表現したいという方向よりも、トルコで自分が受けたインスピレーションを音で再構成したいという方向に行きましたね。ただモスクとか、こっちには絶対にないような建築物とかそういうものを見て、音楽と建築というものの関係性みたいなことをちょっと考えて。やっぱり音楽も音の構造物として考えられると思うんですよね。だから組み立て方は自分のいままで思っていたものではないものが違うやり方でできるのか、とか思ったりしました。

しかし、それがなぜ結局は「蜃気楼」というタイトルになったんですか?

畠山:やっぱりポリティカルなところなのかな。なるべく限定的なことでなくて、どういう風にも解釈可能な言葉を探してみたんですね。ひとつの単語で何を表現できるのかという方向といまの世のなかがどうなっているのかなと考えたときに、蜃気楼みたいなものをみんな一生懸命追いかけているのかなと思ったということですね。何かこう歴史的な変換点にいるような気もするんだけど、そうじゃないような気もするし、なんでしょうかね。人間って観念的なものとか理想とかに動かされていくと思うのですがそういうものも、蜃気楼のようなものなのかもしれないとか、そう思ったんですね。

前に『Mist』(=霧)という作品を出しているじゃないですか。それと似たような感覚でしょうかね? わりとそれが畠山くんのテーマというか、強迫観念としてあるのかな(笑)。

畠山:はははは、なるほど、そうですね。ただ『Mist』の場合は自分が付けたタイトルではなくて、アクセサリーを作っている人がいて、その人のアクセサリーからインスピレーションを受けて作った作品なんですね、で、アルバムタイトルはその人が付けたと。感性が似ているんでしょうね。

でも(『Mirage』には)“Sad Ocean”とか“In The Quiet River”とか、やぱある種湿度を含んだものがタイトルになっているじゃないですか。

畠山:そうですね。そこまでは自覚はしてなかったですね(笑)。

出したらそういう風なものが多かったと?

畠山:そうですね。ただ湿度というか、水という存在は結構音楽を作る上で、気にしている根本的なテーマかもしれないですね。具体的には音色なのですが、水を触る感触、や透明なところとか。逆に考えると確かに乾いたものからはあまりインスピレーションは受けませんね。

ひとつたしかなのはアンビエントの歴史のなかでドローンがフロンティアであったことはたしかだと思うんですね、フィル・ニブロックやエリアーヌ・ラディーグは現代音楽ですからね、2000年代を通して、現代音楽をいかににアンビエントに取り入れていくかというテーマもあったような気もしますね。

畠山くんの音楽の特徴として、音がない箇所がないということがあると思うんですよね。ずっとロング・トーンで続くじゃない?

畠山:ああ、はいはい。たしかにそうですよね。間がない。

ローレンス・イングリッシュもそうだよね。ティム・ヘッカーもそういうところがあるよね。

畠山:ティム・ヘッカーもそうですね。グルーパーもけっこうそうかな。

ローレンス・イングリッシュやティム・ヘッカー、畠山地平の音楽にはなぜ間がないのだろう?

畠山:やっぱりそれはドローンというのがテーマにあるのかもしれないですね。もちろんフィル・ニブロックとか、昔のドローンの人ほどシンプルなドローンではないけれども、それをひとつの手法として取り入れているんでしょうね。
 ひとつたしかなのはアンビエントの歴史のなかでドローンがフロンティアであったことはたしかだと思うんですね、フィル・ニブロックやエリアーヌ・ラディーグは現代音楽ですからね、2000年代を通して、現代音楽をいかににアンビエントに取り入れていくかというテーマもあったような気もしますね。あとはジョン・ケージの逆影響かな、個人的には。4分33秒はやはりとてつもなく大きな存在で、それを超えてみたいってもうじゃないですか、それならば、逆をやるしかないと。音で埋めてみようかと……

ドローンに対するある種の執着というか(笑)。

畠山:それはありますよね。執着することによってひとつの形式みたいなものを作っているんだと思うんですよね。俳句だったら五・七・五があってその枠のなかで創作する、ということとちょっとだけ似ているというか。持続音のなかでいかにドローンのクリエイティヴィティを出せるか、みたいな(笑)。
 あともうひとつはライヴの問題もありますね。これだけパソコンでなんでも加工できてしまうと、どこまでも編集やミックスが可能なのですが、それを今度ライヴでひとりで再現しようとすると絶対に無理で、極端に言うとラップトップでトラックを流すか、アルバムとは違うことをやるしかなくなると。エレクトリックギターによるドローン演奏でどこまで行けるのかというのがテーマでもありました。最近はライヴで録音というのはあえてやめていて、その場で立ちあがる音、現場の音響設備や反響、雰囲気と相まって初めて体験できる音楽、そういう面でライヴ演奏を捉えています。なのでライヴはいつも完全に即興なんですね。じゃあ即興でなんでもやるのかというとそうでなくて、あるフレーム(形式)を用意しますと、それが自分の場合はドローンだったという面はあります。

人はなぜ持続音に向かうのか(笑)。やっぱり沈黙が好きじゃないのか、それとも沈黙というのは表現として違うのか。あるいはそれ以上にドローン/持続音に可能性を見出しているのか。

畠山:(可能性は)ありますよね。持続音の特性、音楽の3大要素。メロディ、和声、リズム、これがひとつもないのが、純粋なドローンですね、ただ音が永遠に鳴っている状態。しかし、何の変化もなく音がなっている作品というのはさすがになくて倍音構成、モジュレーション、音量、音色等、何かが少しずつ変化している。この少しの変化でどこまで行けるのかというところに可能性を感じているのかもしれません。極限のミニマリズムですよね。
 それと長く続く持続音は時間把握能力に変化を与えますね。今何分くらいたったのか、そういう時間認識能力に変化が起きて来るんですね。あとは長いドローン作品に限りますけど、5分くらいだと良さが分からない、10分くらい聞き続ける事によって初めて良さが分かって来るんですね。音の中に体が入って行く感覚というか、音に包まれる感じというか。自分がドローンに向かって行くきっかけとしては,音楽を始めた時はもちろんギター演奏から始めたんですけど、マックのラップトップで作曲を始めたときに「Max MSP」を使うようになって、それで持続音が出せるようになったんですよ。ギターを普通に弾くだけじゃ持続音は出せないんですよね。弾いたら(音が)消えていっちゃうじゃないですか。なので「Max MSP」は衝撃的で。「おお、これでずっと音が出せるぞ!」って(笑)。ですがいまは使ってないですね。

畠山くんが作曲する上で重要な要素はなんなの? 作るときの自分のモチベーションなのか、それともコンセプトなのか、あるいは作曲のアイディアなのか。

畠山:難しい質問ですね。……作りはじめたときからそうなんですが、1曲単位でアイデアが浮かぶという事はないんですね、アルバムのコンセプトが最初にあって、そのアルバムの構想から曲が生まれて来るというのが多いかな。ひとつの曲、あるいは音色単位で考えると”エラー”なのかなと最近思うようになってますね。最初の方の話とリンクしますが、演奏と録音は大事にしていて、例えばパンチインとかしないんですね。間違ったら最初から録音し直すようにするか、そもそも即興なので間違いがないと、でもそういういろいろな意味での揺らぎが面白いんですね。音色でもソフトシンセはほとんど使ってないんですけど、その理由としてピッチが正確すぎるんです。アナログ・シンセはもちろんそうですけど、YAMAHAの昔のデジタルシンセDX7ですら、ピッチがちょっと違うでもそこが味になっていていいんですよ。制作手法に関しては意識的に変えていて最初にスケッチみたいなものを作るんですよ。例えば1トラックはメロディで、そこに2つくらいアレンジを足した3トラックの5分くらいのループものを1日に3、4つくらい作るんですね。それを後で聴いて引っかかるものを作品にしていく、という感じで作っているんですね。
 いまはエディットよりもそのスケッチを作るほうがすごく面白いんですよ。自分でそのスケッチを書くのを意識化してやってみようと思って、いま部屋にギター用のエフェクターとモジュラー・シンセとアナログ・シンセ、あとは普通の楽器やマイクを置いていて、アナログ・ミキサーをいつも起ちあげておいて、ルーパーを使って自分とセッションが出来るようにエフェクター群を4つくらい用意しておくんですよ。そうするとひとつループを作って、それに対して別のループを重ねられるんで。そんなスケッチを作るのをやっていて、それは大体1時間半くらいでひとつのスケッチが出来るんですよね。そうすると調子がいい日は3~4つ作れる。そんな感じでやっておりますね。

なるほどね。じゃあ作品によって極端になにかが変わるということはない?

畠山:日々の営みと一体化しちゃったかな(笑)。

そういう感じはするね(笑)。

畠山:もう飯を食うのと一緒なんですよね(笑)。

アンビエントをやっている人たちにはそういう傾向があるのかね?

畠山:あるのかもしれないですね。やらない日はもう全然やらないんですけど、自分が作るということはかなり意識化をしていて。朝起きてからは他のことをしないとか。なにをやるかというのは前の日に考えておいて、朝起きたらすぐに取りかかる。そうしないと心に雑念が入っちゃうんですよね。雑念が入ると集中できないんです。

Mr. Mitch - ele-king

 かつて〈Big Dada〉が編んだコンピ『Grime 2.0』にトラックが収録され、その後〈Planet Mu〉からアルバムをリリースしたMr.ミッチ。やはりマイク・パラディナスの嗅覚は鋭いというべきか……いや、もはやそんな枕詞を添える必要はないのかもしれない。MC主体のグライム・シーンに対し「インスト」というオルタナティヴを呈示したパーティ/レーベル〈BoxedLDN〉をスラックらとともに主宰するこの才能がついに初来日を果たす。今回まわるのは、東京(7月22日)と大阪(7月29日)の2箇所。Double Clapperz(東京)や行松陽介(大阪)など、サポートの面々も強力なラインナップとなっている。いやこれ、行きたいっす……鬼のように溜まっている仕事をほっぽり出して、行きたいっす。


東京・大阪にMr. Mitchが初来日
-Boxedから羽ばたくインスト・グライムの才能-

ロンドンのアーティスト、Mr. Mitchが初来日を果たす。
彼自身はグライム、R&Bといったジャンル・リズムに囚われすぎず、ゲーム・ミュージックを彷彿とさせるメランコリックな音を実験的に拡張してきた。Yamanekoとのコラボ・ユニット、Yaroze Dream Suiteでは珠玉のシンセ・ミュージックをリリースしてきた。

そして、5月にはアルバム『Devout』をリリース。
アルバムのメロディはポップで忘れられないものが多く、いわゆる「クラブ・サウンド」を意識しすぎない世界観も独特である。

Album『Devout』試聴 - https://smarturl.it/devout

-Boxed -
ロンドンのインスト・グライムを代表するレーベル/パーティ〈Boxed〉(ボックスド)から羽ばたいたMr. Mitch。
Boxedは、それまでMCが主体だったグライム・シーンにおいて、Wileyをはじめとするグライム・クラシックの音楽性に注目し、それを拡張する新世代のアーティストとともにインスト・グライムを打ち出した。
いまや、ロンドンで不定期で開催されるパーティ〈Boxed〉は、400人以上を集めるパーティとなっている。

Rinse FMの〈Boxed〉でのレジデント番組

そんなMr. Mitchが初来日!

7/22 (土) - Mr. Mitch Asia Tour in Tokyo @ CIRCUS TOKYO
7/29 (土)- merde feat. Mr. Mitch @ COMPUFUNK RECORDS

初来日パーティはCIRCUS TOKYO、COMPUFUNK RECORDSの2ヶ所で開催。
東京はDouble ClapperzとVOIDからSkyfish、Gyto、Azel、Tumがサポート。
大阪は行松陽介、satinko、YOUNGANIMALらが共演、
Mr. Mitchと各地の色濃いアーティストが繰り広げる。

Félicia Atkinson - ele-king

 フランスの電子音楽家フェリシア・アトキンソンの新作が〈シェルター・プレス〉からリリースされた。活動初期には〈ホーム・ノーマル〉や〈スペック〉などからアンビエントな作品をリリースしていた彼女だが、2015年に同〈シェルター・プレス〉から発表した『ア・レディメイド・セレモニー』あたりから作風がよりエクスペリメンタルな音響作品へと変化。2016年に〈ルーツ・フェスタ〉の主宰としても知られるアンビエント/サウンド・アーティスト、ジェフリー・キャントゥ=レデスマとのコラボレーション作品『コム・アン・スル・ナルシス』をリリースしたことで、「2010年代的エクスペリメンタル・ミュージック・アーティスト」としての存在感が再浮上してきた(その意味で、フェリシア・アトキンソンの創作活動には2015年前後を境に大きな変化と断絶を聴き取ることは可能のはず)。

 本作『ハンド・イン・ハンド』は、フェリシア・アトキンソンの新たな代表作としてカウントすべき傑作である。少なくとも今年前半にリリースされたエクスペリメンタル・ミュージック/電子音楽の中でも格別の出来栄えを示している。昨年あたりからやや飽和気味ともいえるこの種の音楽にあって個性と洗練が絶妙なバランスで同居している稀なアルバムに仕上がっているのだ。

 ロバート・アシュリーやジョアン・ラ・バーバラなど電子音楽史にその名を残す巨匠たちからインスパイアを受けたとされる本作は、電子音楽/ミュジーク・コンクレートの系譜にあるともいえるが(じっさい、GRMのフェスで演奏されるという)、同時に〈ポッシュ・アイソレーション〉からリリースされるノイズ作品のような衝動と色気が同居するような現代性も強く刻印している。この境界や流域の越境性において、2017年現在のエクスペリメンタル・ミュージック/ノイズ・サウンドとして格別な存在を刻み込んでいるアルバムとなっている。

 楽曲の構造も独特だ。即興と構築の「あいだ」を融解させ、連続と非連続の「はざま」に乾いた電子音や環境音の交錯/構造/結晶体が生成し、消えていき、そしてまた生成する。そこには明確な構造の意志と構造を超えたところに表出する感覚的なモノへの感性がある(彼女自身の「声」が、アルバム全編に渡って、モノローグのように、ポエトリー・リーディングのように挿入/レイヤーされていることも重要だ)。

 アルバムには全10曲(ヴァイナルは2枚組)が収録され、フェリシア・アトキンソンは、コンポジション/ミックスのみならずアートワークまでも手掛けている。
 電子音、環境音、声。そしてアートワーク。それらが「意味」を超えて、質感の官能を露わにしていくことで生まれる新世代の実験性と先進性。そう、本作に蠢く音響は、2017年的な新しいエクスペリメンタル・ミュージックの姿を見事に象徴しているように思えてならないのだ。先端的エクスペリメンタル・ミュージック/電子音楽/実験音楽における最良の作品が、いま、ここに生まれた。2017年前半における最良のエクスペリメンタル・ミュージックである。

Colin Stetson - ele-king

 人間の吐く息がダイレクトに空気の振動となり、音となる――という、管楽器の身体性が、昨年のボン・イヴェールの傑作『22、ア・ミリオン』に必要であったことは象徴的なことに思える。同作はテーマの抽象性や内省にも関わらずそこに多くの人間がいることが重要であったが――ある種の音楽的コミュニティがそこでは築かれている――、サウンド面ではとりわけ管楽器が多彩な表情をつけることに一役買っていた。そこからは様々な人間の吐く息が聞こえる。そしてそれは、ときに歪められたり加工されたりすることによって、まったく個性的な「声」としてそこで共存している……。

 ボン・イヴェールやアーケイド・ファイア、アニマル・コレクティヴら北米インディ・バンドへの参加で知られるサックス奏者、コリン・ステットソンのソロ作『オール・ディス・アイ・ドゥ・フォー・グローリー』は、一言でいえばバリトン・サックスによるIDMということになるだろう。ステットソンはEX EYEというポスト・メタル、ジャズ・メタル(と、とりあえずはいまのところ呼ばれている。カテゴライズが難しい非常に実験的なメタルということ)・ユニットでも現在活動しているが、いまや北米のエクスペリメンタル・シーンをつなぐ重要人物のひとりである。これまでのソロ作や、同じくアーケイド・ファイアのライヴ・メンバーであったヴァイオリニストであるサラ・ニューフェルドとの共作『ネヴァー・ワー・ザ・ウェイ・シー・ワズ』ではそのミニマルな作風からスティーヴ・ライヒやマイケル・ナイマンと比較されることが多かったが、『オール・ディス~』では本人が明言しているとおり方法論的に雛型となっているのはエイフェックス・ツインであり、IDMである。つまり、複雑に変幻していくリズム感覚と緻密なエディットが大きな聴きどころとなっている。サックスの演奏を多重録音し、そこに少しばかりのリズム、声を加えていく作風はこれまでと同様だ。ただ、ヘンリク・グレツキの交響曲第3番を独自に解釈し、オーケストラと声楽を大きく導入した前作『ソロウ』がある種の過剰さに貫かれていたのとは対照的に、本作では音のレイヤーをぐっと減らし、少ない音を的確に配置していくことによってストイックに耳を興奮させる。
 単一の楽器によるループとその多重録音を骨格とするという点では、たとえばマーク・マクガイアの手法と近いと言えるかもしれないが、マクガイアのギターが醸すリリカルさやスピリチュアリティに比べると、サックスという楽器の特性ゆえかステットソンの吐き出す音はもっと粗暴で生々しく、フィジカルだ。“Like Wolves On The Fold”や“In The Clinches”ではキーをカチャカチャと素早く押さえる音がそのままリズムとなり、ミストーンのノイズや音の乱れもそのまま録音されている。何よりもバリトン・サックスの低音の迫力――ゴッドスピード・ユー!ブラック・エンペラーのような重々しさを内包したまま、速弾きの躍動感でドライヴする離れ業がステットソンの魅力だ。本作のオフィシャル・ヴィデオではサックスを狂おしく吹き続けるステットソンの姿とサックスのアップばかりが映されるが、人間の身体からいまその瞬間に放たれる息が音に変換しているというダイナミズムがそこでは運動する。とりわけ、終曲“The Lure Of The Mine”において、13分にわたってウネウネと姿を変えていくサックスの旋律はほとんど官能的ですらある。ミニマルなのに自在に上下するメロディと、荒々しいグルーヴ、聴き手を陶酔と覚醒で翻弄するかのような不敵な構成――スリリング極まりない。

 もうひとり、ボン・イヴェールに参加したプレイヤーのソロ作を紹介したい。ジャスティン・ヴァーノンと同郷のウィスコンシンはオークレアのトランペット奏者、トレヴァー・ハーゲンによるノイズ・アルバム『ワンダータウン』は日本のカセットテープ・レーベルである〈kolo〉からリリースされているが、これがトランペットという楽器の知らなかったポテンシャルを発見するような驚きに満ちている。プリペアド・トランペットによる乾いた高音は悲鳴のように轟き、それは切り刻まれのたうち回る。まるで音それ自体がひとつの生き物のようなのだ。けっして耳触りのいいものではないが、管楽器が呼吸器と繋がっていることを如実に感じさせるような熱がこもっている。そしてそれは、静謐なドローンへとやがて姿を変えていくが、緊迫感に満ちた音楽体験がここにはある。

 ステットソンにしてもハーゲンにしても、2000年代後半からのノイズ/ドローンと地続きのものではあるのだろう。昨年のボニー“プリンス”ビリーとビッチン・バハスのジョイント・ライヴを観たときにも感じたが、USインディ・シーンにおいてアメリカーナやフォーク・シーンとノイズやエクスペリメンタルがシームレスに繋がっていることは、そのサウンドの拡がりにおいて大きな強みとなっている。そこでは雑多な人間の実存を主張するかのように、多様な「声」が複雑にポリフォニックに折り重なっているのである。

Lunice - ele-king

 覚えているだろうか。2012年、強烈な1枚のEP「TNGHT」が〈Warp〉と〈LuckyMe〉から共同リリースされたことを。そのEPを送り出したトゥナイト(TNGHT)はハドソン・モホークとルニスからなるユニットだったわけだが、その片割れであるルニスがついにファースト・ソロ・アルバムをリリースする。現在、最新シングル曲“Distrust feat. Denzel Curry & C9”の音源と、“Mazerati”のMVが公開されている。アルバムの発売は9月8日。心して待つべし。


L U N I C E
ハドソン・モホークとのユニット、トゥナイトでも知られるルニスが、
待望のデビュー・アルバム『CCCLX』を9月8日にリリース!
また最新シングル「Distrust feat. Denzel Curry & C9」と「Mazerati」を公開!

ハドソン・モホークとのユニット、トゥナイトでも知られるモントリオール発ラッパー兼プロデューサーのルニスが、ソフィー、キング・メズ、リーフ、そしてデンゼル・カリーらをフィーチャーした待望のデビュー・アルバム『CCCLX』を9月8日にリリースする。また最新シングル「Distrust feat. Denzel Curry & C9」と「Mazerati」のMVが公開された。「Distrust」においては、デンゼル・カリーと彼の所属するC9クルーからJKザ・リーパーとネルをフィーチャーし、華麗なMCリレーを披露している。

Distrust feat. Denzel Curry & C9
https://smarturl.it/LM040s2spt

Mazerati
https://youtu.be/a_eL5cKv5TY

label: LUCKYME / BEAT RECORDS
artist: Lunice
title: CCCLX
release date: 2017/09/08 FRI ON SALE

国内仕様盤CD
BRLM40

iTunes: https://itunes.apple.com/jp/album/ccclx/id1250483988
Apple Music: https://itun.es/jp/u8nIkb

Shackleton with Anika - ele-king

 は、はやい……年明けにヴェンジェンス・テンフォルドと組んだ強烈なアルバム『Sferic Ghost Transmits』を発表したばかりのシャクルトンが、7月10日に新作『Behind The Glass』をリリースする。今度はアニカとの共作で、どうやらまた新境地を開拓しているらしい。アニカは、ポーティスヘッドのジェフ・バーロウによるプロデュースのもと〈Stones Throw〉からデビューを果たしたベルリンのミュージシャンである。詳細は下記よりチェック。


LONDON ELEKTRICITY & MAKOTO - ele-king

 あなたがジャジーでソウルフルなドラム&ベースをうんと浴びたいと思っているなら、このイベントがおあつらえ向きでしょう。
 今年で創立21周年を迎えるUKのドラム&ベース・レーベル〈ホスピタル・レコード〉。そのボスであるトニー・コールマンのソロ・プロジェクトとして知られるロンドン・エレクトロシティが、7月21日に代官山ユニットで開催される「HOSPITAL NIGHT」に出演する。
 昨年20周年を迎えた「Drum & Bass Sessions(DBS)」が開催する今回のパーティでは、ロンドン・エレクトロシティがレーベル21周年を祝す「21 years of Hospital set」を披露するそう。
 さらに日本勢からは今年〈ホスピタル・レコード〉と契約し、9月にアルバムをリリース予定のマコトが出演する。競演はダニー・ウィーラーや、テツジ・タナカ、MC CARDZ、などなど。

UNIT 13th ANNIVERSARY
DBS presents "HOSPITAL NIGHT"

日時:2017.07.21 (FRI) open/start 23:30
会場:代官山UNIT
出演:
LONDON ELEKTRICITY (Hospital Records, UK)
MAKOTO (Hospital Records, Human Elements, JAPAN)
DANNY WHEELER (W10 Records, UK)
TETSUJI TANAKA (Localize!!, JAPAN)
host: MC CARDZ (Localize!!, JAPAN)

Vj/Laser: SO IN THE HOUSE
Painting: The Spilt Ink.

料金:adv.3,000yen door 3,500yen

UNIT >>> 03-5459-8630
www.unit-tokyo.com
Ticket 発売中
PIA (0570-02-9999/P-code: 333-696)
LAWSON (L-code: 74079)、
e+ (UNIT携帯サイトから購入できます)
clubberia: https://www.clubberia.com/ja/events/268846-HOSPITAL-NIGHT/
RA: https://jp.residentadvisor.net/event.aspx?974718


(出演者情報)


★LONDON ELEKTRICITY (Hospital Records, UK)
"Fast Soul Music"を標榜するドラム&ベースのトップ・レーベル、Hospitalを率いるLONDON ELEKTRICITYことTONY COLMAN。音楽一家に生まれ、7才からピアノ、作曲を開始した。大学でスタジオのテクニックを学んだ後、'86年にアシッド・ジャズの先鋭グループIZITで活動、3枚のアルバムを残す。'96年に盟友CHRIS GOSSと共にHospitalを発足し、LONDON ELEKTRICITYは生楽器を導入したD&Bを先駆ける。'98年の1st.アルバム『PULL THE PLUG』はジャズ/ファンクのエッセンスが際立つ豊かな音楽性を示し、'03年には2nd.アルバム『BILLION DOLLAR GRAVY』を発表、同アルバムの楽曲をフルバンドで再現する初のライヴを成功させる。’05年の3rd.アルバム『POWER BALLADS』はライヴ感を最大限に発揮し多方面から絶賛を浴びる。’08年には4th.アルバム『SYNCOPATED CITY』で斬新な都市交響楽を奏でる。そしてロングセラーを記録した’11年の名盤『YIKES !』を経て’15年に通算6作目のスタジオ・アルバム『Are We There Yet?』をリリース、多彩なヴォーカル陣をフィーチャーし、ピアノ、ストリングスといった生音を最大限に活かしたソウルフルな楽曲の数々で最高級のクオリティを見せつける。'16年にはTHE LONDON ELEKTRICITY BIG BANDを編成し、ビッグ・ブラスバンド・スタイルでのライヴを敢行する。
https://www.hospitalrecords.com/
https://www.londonelektricity.com/
https://www.facebook.com/londonelektricity
https://twitter.com/londonelek


★MAKOTO (Hospital Records, Human Elements, HE:Digital, JAPAN)
DRUM & BASSのミュージカル・サイドを代表するレーベル、LTJ BUKEMのGood Looking Recordsの専属アーティストとして98年にデビュー以来、ソウル、ジャズ感覚溢れる感動的な楽曲を次々に生み出し、アルバム『HUMAN ELEMENTS』(03年)、『BELIEVE IN MY SOUL』(07年)、そしてDJ MARKYのInnerground, FABIOのCreative Source, DJ ZINCのBingo等から数々の楽曲を発表。DJとしては『PROGRESSION SESSIONS 9 – LIVE IN JAPAN 2003』, 『DJ MARKY & FRIENDS PRESENTS MAKOTO』の各MIX CDを発表し、世界30カ国、100都市以上を周り、数千、数万のクラウドを歓喜させ、その実⼒を余すところなく証明し続けてきた、日本を代表するインターナショナルなトップDJ/プロデューサーである。その後、自らのレーベル、Human Elementsに活動の基盤を移し、11年にアルバム『SOULED OUT』を発表、フルバンドでのライヴを収録した『LIVE @ MOTION BLUE YOKOHAMA』を経て13年に"Souled Out"3部作の完結となる『SOULED OUT REMIXED』をリリース。15年にはUKの熟練プロデューサー、A SIDESとのコラボレーション・アルバム『AQUARIAN DREAMS』をEastern Elementsよりリリース。17年、DRUM & BASSのNo.1レーベル、Hospitalと契約を交わし、コンピレーション"We Are 21"に"Speed Of Life"を提供、同レーベルのパーティー"Hospitality"を初め、UK/ヨーロッパ・ツアーで大成功を収める。そして今年9月、待望のニューアルバム『SALVATION』が遂にリリースされる!
https://www.twitter.com/Makoto_MusicJP
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https://www.facebook.com/makoto.humanelement
https://www.soundcloud.com/makoto-humanelements
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special talk : ISSUGI × CRAM - ele-king


ISSUGI & GRADIS NICE
THE REMIX ALBUM "DAY and NITE"

Pヴァイン

Hip Hop

Amazon Tower HMV iTunes


CRAM & ILL SUGI
Below The Radar

Moevius

Hip Hop

Amazon Tower

 ISSUGIとCRAMの対談をお送りする。CRAMとは、ISSUGIがビートメイカー/DJのGRADIS NICEと共作した『DAY and NITE』のリミックス盤『THE REMIX ALBUM "DAY and NITE"』にリミキサーとして参加したビートメイカーである。ISSUGIとKID FRESINOと5LACKの3人がマイクリレーする“TIME”という哀愁漂う曲を、80年代の“ソーラー・サウンド”を彷彿させるファンク・フレイヴァーと強烈なアタックのビートで構成されたダンサンブルなリミックス・ヴァージョンに生まれ変わらせている。が、これはあくまでもCRAMのひとつの表情であり、彼のサンプリングを主体としたビートはより多彩な表情とウネリを持っている。

 この若き才能、CRAMについてもう少し説明しておこう。彼は1991年生まれ、福岡出身のビートメイカーで自主制作で数多くの作品を発表、bandcampではこれまで創作してきたビートが大量に聴ける。ISSUGIが毎月発表した7インチをコンパイルした『7INC TREE』にもビートを提供、昨年末にはラッパー/ビートメイカー、ILLSUGIとの共作ビート集『BELOW THE RADAR』をリリースしている。手前味噌だが、後者の作品は、僕が運営に関わる『WORDS & SOUNDS』というレヴュー・サイトでも取り上げさせてもらった。また、CRAMは6月末に、すでにbandcampとカセットテープで世に出した『THE DEVIL IN ME』という作品をCD-Rという形で発表する。このスピード感も彼の武器だ。

 例えばトラップだけが新しいラップ・ミュージックであり、ブーム・バップは90s懐古趣味のヒップホップであるという認識を持っている方がいるとすれば、それは安直である、とだけ指摘しておこう。そのように、新旧のスタイルを二項対立で理解できるほどこの音楽文化は単純ではない。ISSUGIを聴いてみるといい。彼は、黒い円盤がターンテーブルの上をグルグル回りながら新しい音を鳴らしていくように、自分のスタイルを堅持しながらラップとサウンドを更新し続けている。CRAMは、サウンド、リリース形態、そのスピード感も含め現在の世界的なビート・ミュージックの盛り上がりに共鳴している。そんな2人によるラップとビートと創作を巡る対話である。まず2人はいつ、どこで出会ったのだろうか。

冗談じゃなく、CRAMは天才だと思ってます。これだけは書いといてください。俺こういうことあんまり言わないんで(笑)。 (ISSUGI)

トロントはそれぞれのシーンが小さいからひとつのパーティにヒップホップのビートメイカーだけじゃなくて、エレクトロとかダブステップの人たちもみんな集まるんです。そこでヒップホップだけじゃないノリも吸収できたかなと思います。 (CRAM)

ISSUGI:たしか福岡の〈CLUB BASE〉で会ってCD-RをもらったときにCRAMとはじめて会いましたね。レーベル面の赤い、黒のレコードの形のCD-Rだったと思う。

CRAM:僕は高校のときにMONJUの3人で出場しているMCバトルの映像を観てはじめて知りました。司会がDARTHREIDERさんでした。

ISSUGI:〈3 ON 3 MC BATTLE〉(〈Da.Me.Records〉と池袋のクラブ〈bed〉が主催していたMCバトル)だ。

CRAM:それからMONJUの『Black.de ep』を聴きました。

『Black.de ep』を最初に聴いたときのインパクトはどんなものでしたか?

CRAM:スネアの音がめっちゃ小さいのにグルーヴがあるのがかっこよかった。90sのヒップホップってドラムの音にインパクトがあって大きいじゃないですか。ドンッドンッダッーン!って。そういうビートとは違うかっこよさがあって16FLIPが好きになりました。

ISSUGI:うれしいですね(笑)。

CRAMくんが2016年にリリースした『Call me 3324"CD-R"』の紹介にBOSSのSP-303、SP-404といったサンプラーを使っていると書かれていますよね。最初からSPで作り始めた感じなんですか?

CRAM:いちばん最初はMacのGarageBandです。それからマッドリブやMFドゥームを知って、SP404の存在も知ったんです。それで当時は安かったのもあって買いました。その後、マッドリブが使っているのが広く知られるようになって、いまはめっちゃ値段が上がってますね。

SPの好きな点、SPでビートを作る理由は何ですか?

CRAM:MPCだと音があたたかくてディラっぽい音になってそれはそれでかっこいいんですけど、SPはデジタルっぽい音、冷たい感じになるのが好きなんです。みんなと違う音を出せるのもいいなって思ったのもありますね。

ISSUGI:俺はCRAMのビートを聴いて、まず音の鳴りがヤバいって感じましたね。それからグルーヴをナチュラルに理解してるなって感じさせるところと、メロディのかっこよさの3つですね。全部のパーツが生き生きしていて意味のある動きをしているんです。しかもデモ音源で聴いてもありえないぐらい音がデカい。マスタリングをしていないのにバッチリ音が出せているのは耳が良い証拠だと思いますね。いまSoundCloudで公開されてる“Ride Or Die”っていうビートもヤバいっすね。

CRAMくんは独自に、ナズやジェイ・ZやレイクウォンといったUSのラッパーのリミックスもかなりやっていますよね。

CRAM:「俺のビートでジェイ・Zが歌っとうや! バリかっけぇ!」っていう感じで始めたのがきっかけでしたね。

ははは。今回、『THE REMIX ALBUM "DAY and NITE"』では、 ISSUGI、KID FRESINO、5LACKがラップする“TIME”をリミックスしています。ISSUGIくんからのディレクションはあったんですか?

ISSUGI:CRAMにはアカペラを全部送ったんですけど、“TIME”は絶対やってほしいと伝えましたね。CRAMにはリミックスを作るセンスがあると思ってるんで、メロディの入ってくる“TIME”をリミックスしてほしかったんです。

CRAM:日本語のラッパーのリミックスは初めてだったんですよ。ISSUGIさんから依頼されたのもあって、最初は意識しすぎて16FLIPに寄せた音になっちゃったりもしたんです。自分の色を出すために何度も作り直しましたね。時間はかかりました。

ISSUGI:でも俺はCRAMに関しては、マジで100%言うことないと思ってる。冗談じゃなく、CRAMは天才だと思ってます。これだけは書いといてください。俺こういうことあんまり言わないんで(笑)。

CRAM:ありがとうございます。

ISSUGI: REMIXって場合によってはビートよりラップの方が前に“走っちゃう”こともあるんです。俺は自分で作った曲のBPMやピッチを数字でおぼえてないけど、俺がラップしている曲だから、ラップが走ってるって俺が感じたらそれは走ってるんですよ。CRAMはその点でバッチリだった。ラップのタイミングをわかってる。CRAMのオリジナルの曲を聴いていてもそこが絶対間違いないとわかってましたね。

CRAM:MASS-HOLEさんとISSUGIさんで対談してる記事があるじゃないですか。

ISSUGI:『1982S THE REMIX ALBUM』をリリースしたときの対談だ。

CRAM:そこでISSUGIさんが自分のラップの乗せるタイミングについてMASS-HOLEさんにけっこう指摘したというのを読んだから、「うわ、これ、バチッとせなイカンやん」って。

ISSUGI:「こいつ、厳しいぞ」って(笑)。

ははは。CRAMくんはビートメイカーとしての基礎というか、リズム感やビート・メイキングする際の感覚をどのように手に入れていきましたか。

CRAM:ひとつはトロントですかね。カナダのトロントに一時期住んでいて、そこで感じた海外のノリがめちゃくちゃ新鮮でした。トロントはそれぞれのシーンが小さいからひとつのパーティにヒップホップのビートメイカーだけじゃなくて、エレクトロとかダブステップの人たちもみんな集まるんです。そこでヒップホップだけじゃないノリも吸収できたかなと思います。SoundCloudを通じて知り合った友だちのビートメイカー、CYがたまたまトロントに住んでたんです。一緒にパーティに遊びに行ったんですけど、そこで「『SP持ってきて!』って言えばよかったねー!」って言われて、「いや、実は……」ってバッグに忍ばせていたSPを取り出してライヴしたんですよ。そしたら、「お前、ヤバいから次もライヴして!」ってなって、トロントのシーンに乗り込んでったっすね(笑)。

ISSUGI:いいね、いいね。

ところで、ISSUGIくんは『THE REMIX ALBUM "DAY and NITE"』をどのように作っていったんですか?

ISSUGI:リミックス・アルバムを作ること自体、超久々だったので楽しんで作りましたね。『Thursday』のときに5曲のリミックスを入れた作品(『THURSDAY INSTRUMENTAL & REMIXES』)を出したり、それ以降、曲単位でのリミックスはありましたけど。今回はメロウな感覚がいつもより2割増しぐらいで出ましたね(笑)。それと新曲が何曲かあると聴く人も楽しいと思って新曲も入れてます。

“SPITTA feat. FEBB (Prod. by MASS-HOLE)”と“RHYZMIK & POET (Prod. by FEBB)”の2曲が新曲ですよね。“D N N”はNYのブロンクスのGWOP SULLIVANっていうビートメイカーが作ってますね。

ISSUGI:そうですね。“D N N”は新曲ではなくて、ある曲のタイトルを変えてみましたね。GWOP SULLIVANはO.C.のアルバム(『SAME MOON SAME SUN』)の“Serious”っていうビートを聴いて超ヤバいなと思ったのがきっかけですね。

仙人掌をフィーチャーした“MID NITE MOVE”はGRADIS NICEと16FLIPの2曲のリミックスがありますね。

ISSUGI:同じ曲のリミックスが2曲入っているのがリミックス・アルバムっぽいなって思って入れましたね。だから、自分がリミックス・アルバムと思う要素を詰め込んで作りましたね。このGRADIS(NICE)のリミックスは、俺が(ラップを)乗せたいと思うビートを選んで作ったんですよね。

ISSUGIくんとCRAMくんにはビートの共作のやり方や考え方についても聞きたいですね。ISSUGIくんがいまFRESH!でやっているレギュラー番組の「7INC TREE -TREE & CHAMBR-」ではBUDAMUNKと共作する様子を放送したりしてますし、本作の冒頭曲“BLAZE UP”は JJJがドラムで、プロデュースは16FLIPとクレジットされてますよね。一方、CRAMくんもこれまでAru-2との『MOVIUS ROOPS EP』、ILLSUGIとの『BELOW THE RADAR』といった作品もあります。

CRAM:『BELOW THE RADAR』に入っている曲は、ILLSUGIが「これ、良くね?」とか言ってネタを選んで、僕は「うーん、どうだろう、でもやってみるか!」と思いながらSP404を駆使してかっこよくしていきました。

ISSUGI:はははは。CRAMが組み立てていったの?

CRAM:あの曲に関してはそうですね。ILLSUGIが上ネタのシーケンスを組んで、僕がドラムを打ちました。それでかっこよかったらアルバムに入れようって感じでした。『MOVIUS ROOPS EP』の場合は、まずAru-2がピロ~ッてシンセを弾いただけの、ビートもない、BPMもあってないような音を送ってきたんです。そういう、「これをどう使うの?」みたいな素材をチョップしたりフリップしたりして組み立てていきました。そうやって頭を捻って考えて作るのが好きなんですよね。

ISSUGI:俺は人が打ったドラムに自分がネタを入れるのが好きですね。“BLAZE UP”も最初にJ(JJJ)がドラム・ループだけ送ってきたんですよ。「何かを入れて返してください」という感じで。元々は今回のリミックス・アルバム用ではなかったんですけど、そのドラムが気に入ったから上ネタだけ入れて返すタイミングで、「リミックス・アルバムで使わせてもらえないか?」と頼んでOKしてもらいました。そこからベースとかを足してビートとして完成させましたね。すごく気に入っています。

RAPも含めてドラムからどのパートも前に行っちゃダメだっていうのはありますね。 (ISSUGI)

鼻唄で「フンフン~♪」って歌えるのが僕は良い曲だと思います。音楽やっていない人もつかめるのも大事だと思いますし、そこは意識していますね。 (CRAM)

「7INC TREE -TREE & CHAMBR-」の第2回目の放送でBUDAMUNKのビートにISSUGIくんが上ネタを足していくシーンがあるじゃないですか。ビートをループさせて、あるフレーズをいろんなタイミングで鍵盤で弾いて被せたりしていましたよね。

ISSUGI:これまでに曲を作りまくってきてるんで、ここで終わりだっていうタイミングが自分のなかにあってそこに入れていくんです。そこに入れられたら完成でストップしますね。

CRAM:僕もそこを見つけたらそれ以上は深く考えないで終わりにしますね。それ以上やるとドツボにハマっちゃうんで。ピッて止めますね。

ISSUGIくんはラップのレコーディングにもそんなに時間をかけない印象があるんですけど、ラップに関してはどうですか? 一発OKが多いですか?

ISSUGI:1回で録れるときもあるけど、ハマるときはもちろんありますよ。10回とか15回とか録り直すときもある。

CRAM:ハマったときはどうするんですか?

ISSUGI:くり返し録り直しているときは、リリックやフロウというよりも、ビートにラップを乗せるタイミングを調整しているね。速過ぎてもダメだし、遅過ぎてもダメだから。1小節めから16小節めまですべてが自分の頭のなかにあるリズムで置けたときにひとつのヴァースが完成じゃないですか。それと気持ちですね。その2つです。

さきほどISSUGIくんが、ラップがビートよりも先に“走っちゃう”とダメだという話をしていましたよね。その感覚はとても面白いと思いました。

ISSUGI:いまの時代はいろんな音のバランスでグルーヴを作ることができるので、グルーヴに関してもいろんな考え方があると思うんです。記憶が曖昧なので違ってたら申し訳ないんですけど確かマイルス・デイヴィスがどの楽器の演奏もドラムより絶対先に走っちゃいけないと語っていたんです。それを知ったとき、間違いないなと思いました。自分のなかの基本もそれなんですよね。RAPも含めてドラムからどのパートも前に行っちゃダメだっていうのはありますね。

なるほど。

ISSUGI:俺が好きで聴いているUSのラッパーとかミュージシャンの多くが当たり前に持っている感覚だと思うんです。黒人のラッパーでラップが走ってるヤツとか余り聴いた事ないので。多分HIPHOPの前にJAZZとかSOULとかがあったからだと思うんですけど、日本の音楽は走ってるなと思うときもありますね。ちょっと前にJJJが面白いことを言ってたんです。Jが福岡のクラブのイベントに行った時、フロアでずーっとビートを裏でノッてるヤツがいたらしいんですけど、Jは「こいつだけ裏でノッテルな」と思ってたらしくて、その日ビートのショウケースを観たらそいつが出てきてそれがCRAMだったんですよね。ビートを聴いたら「やっぱりヤバかった」って言ってて。CRAMはリズムキープの感じもやばいと思いますね。とぎれず円を描くようなループの感じ。

CRAMくんは、創作における鉄則というか、曲作りやビート・メイキングに関して意識していることはありますか?

CRAM:鼻唄で「フンフン~♪」って歌えるのが僕は良い曲だと思います。音楽やっていない人もつかめるのも大事だと思いますし、そこは意識していますね。だから、メロディアスなビートが僕は好きですね。

あと、「7INC TREE -TREE & CHAMBR-」でISSUGIくんがBUDAMUNKに「ファンクとは何か?」と訊くシーンがあって、これまでISSUGIくんがファンクという言葉を使っているのをあまり聞いたことがなかったのもあって興味深かったです。

ISSUGI:そうなんすよ。俺、最近ファンクが超気になっちゃってるんです。fitz(fitz ambro$e/ビートメイカー)っていうヤツが、〈Weeken'〉で俺がDJ終わったあとに、「超DJヤバかったよ。ファンクを感じたね」って言ってくれたことがあったんです。TRASMUNDOのハマさんにも「ISSUGIくんはファンキーだよね」って言われて、「俺ってファンキーなのかな?」ってここ最近考えることがあって。

CRAM:はははは。

ISSUGI:俺はBUDAくんからファンクを感じてきたんです。それは、ジェームズ・ブラウンのファンクというよりも、例えばエリック・サーモンやDJクイックに感じるファンクのことなんです。それでBUDAくんにああいう質問をしたんです。

そのときにBUDAMUNKが「動きが滑らかで流れてる感じ」というような表現をしていましたね。

ISSUGI:そうですね。言葉で説明するのは難しいけどノれる感じとかも言ってくれたときがあった気がしますね。それが動きがあるって事なのかなと思って。クールな感じのベースラインにも感じるし両方ありますよね。
 話変わるんですけどCRAMとILLSUGIのビートライヴ見た事ない人は出てるパーティに遊びにいってみて欲しいですね。ノリ方を目撃すると、「こいつらマジで音にノってんな」って伝わってくる。ビートライヴをやり出したらハンパじゃないなと思わせるものがあるんですよね。それがやっぱり音楽じゃないですか。CRAMがクラブでよくかける自分で作ったジェイ・Zのブレンドとかもハンパないです。

CRAM:あと、僕はいまのリル・ヨッティとかも好きなんですよ。それはチャラくてもノれるし、ラップが120点で上手いと思う。ジェイ・Zにもチャラい曲があったりするけど、確実にノリがあるんですよ。僕もそういう音楽が好きですね。

ISSUGIくんはリミックス・アルバムを出したばかりで、「7INC TREE -TREE & CHAMBR-」も進行中ですけど、2人は近い未来はどんな風に活動していく感じですか?

ISSUGI:〈Dogear〉からCRAMの作品を今年出したいと思ってます。CRAMは自分的に絶対にヤバいですから。「7INC TREE -TREE & CHAMBR-」では7インチをリリースする以外にもCRAMもそうだし、自分の周りのかっこいいやつを紹介できればと思ってます。あと例えばレコードをプレスしたり、スニーカーを探しに行くとか、あとはTOURの映像とかヒップホップが好きなヤツだったら楽しめる番組にしていければと思ってますね。

CRAMくんのアルバム、楽しみにしてます!

CRAM:ありがとうございます!

Powell - ele-king

 昨年〈XL〉からリリースしたファースト・アルバム『Sport』が話題となったパウウェルが、突如、自身の主宰する〈Diagonal〉から新作を発表しました。タイトルは『New Beta Vol. 1』で、現在Boomkatから購入することが可能。フォーマットはヴァイナルのみで、500枚の限定プレス。デジタルでの配信はないそうですので、ファンは急ぎましょう。

Artist: Powell
Title: New Beta Vol.1
Label: Diagonal
Cat No: DIAG038
Release date: 08 June 2017

Tracklist:
01. Teddy
02. Freezer
03. Wormhole
04. 97
05. The Bust
06. Dogs On Acid
07. Electric Sheep

ECD - ele-king

 2004年に聴いた“東京を戦場に”のリアリティは凄まじかった。2003年の『失点 in the Park』のジャケットも忘れがたい。杉並区の公衆トイレに描かれた「反戦」「スペクタクル社会」というメッセージ――最高裁まで争った例の事件を思い出す人もいるだろう。『さんピンCAMP』を後追いでしか知ることのできなかった世代には、そこからECDに入っていったという層も少なくないのではないだろうか。
 そんな00年代以降のECDの歩みを辿るベスト盤が7月19日に発売される。CD 2枚組の仕様で、各ディスクには00年代の楽曲と10年代の楽曲が振り分けられている。監修はもちろんECD本人。客演作品も収録されているのが嬉しい。トラックリストは下記よりチェック。

ECD完全監修による2000年代以降の作品をまとめた2枚組ベスト盤『21世紀のECD』、7/19にリリース決定! ジャケット、トラックリストも公開!

 日本のヒップホップ黎明期よりコンスタントに活動を続けながら、いまなお現役第一線としてのリアリティを失わないアーティスト、ECD。1996年、日比谷野外音楽堂にて歴史的ヒップホップ・イベント〈さんピンCAMP〉のプロデュースを務めて数々のクラシックスを世に送り出し、2003年作『失点 in the Park』から今日に至るまで、自主制作で精力的なリリースを続けている。2015年には16枚目となる現時点での最新作『Three wise monkeys』をリリース。日本のヒップホップ・シーンという括りのみならず、シーンをクロスオーバーした活動で音楽ファンを魅了し続け、ここまで作品をリリースし続けるアーティストは他にいるだろうか。
 そんなECDのリリース作品・客演作品より、2000年代、2010年代を区切りにふたつのディスクにコンパイルし豪華2枚組としてパッケージングしたベスト盤『21世紀のECD』のリリース日がついに7/19に確定! そして最終的なトラックリストとジャケットも公開!

「今聴いても古さを感じさせない」それは最高の褒め言葉だ。
しかし僕は前作を古いものにするために新作を作り続けてきた。
つまり、この「21世紀のECD」と題されたベスト盤のようなものはいわばECDの地層である。
収録されている曲のひとつひとつは化石だ。ECDの化石を聴いてくれ。
――ECD

[DISC1 - 2000年代ベスト]
1. DIAL Q-EST - TSUTCHIE feat. ECD (From 『THANKS FOR LISTENING』)
2. Freeze Dry (From 『失点 in the park』)
3. DJ は期待を裏切らない (From 『失点 in the park』)
4. MIZO (From 『FINAL JUNKY』)
5. 東京を戦場に (From 『FINAL JUNKY』)
6. CD (From 『FINAL JUNKY』)
7. A.C.I.D (From 『Crystal Voyager』)
8. E.C.D (From 『Crystal Voyager』)
9. セシオン - U.G.MAN with ECD (From 『SOME SECRET』)
10. FINAL JUNKY のテーマ (From 『FUN CLUB』)
11. In The Place To Be (From 『FUN CLUB』)
12. BORN TO スルー (From 『天国よりマシなパンの耳』)
13. 天国ROCK (From 『天国よりマシなパンの耳』)
14. Keep On and GO - マイクアキラ feat. ECD (From 『THE RAP IDOL』)
15. 火星呆景 – O2 feat. ECD (From 『STAY TRUE』)

[DISC2 - 2010年代ベスト]
1. How's My Rapping? (From 『TEN YEARS AFTER』)
2. Time Slip (From 『TEN YEARS AFTER』)
3. Sight Seeing (From 『Don't worry be daddy』)
4. 想定外 - MINT&ECD (From 『BLACK SWAN』)
5. ラップごっこはこれでおしまい - soakubeats feat. ECD (From 『Never Pay 4 Music』)
6. 憧れのニューエラ (Extended 12' Version) (From 『憧れのニューエラ / ラップごっこはこれでおしまい』)
7. トニー・モンタナ (KM Remix) (EXCLUSIVE)
8. Trouble Makker - RIKKI feat. ECD (From 『BLACKGATE』)
9. Lucky Man (for Fans & Relativities REMIX) (EXCLUSIVE)
10. ただの直感 - GEBO feat. ECD (From 『IT'S A NEW DAY』)
11. 2030 - S/ & ECD (From 『T.R.E.A.M. presents ~田中面舞踏会サウンドトラック~ 「LIFE LOVES THE DISTANCE」』) ※正式表記は「S」の上にスラッシュ
12. ECDECADE (From 『TEN YEARS AFTER』)

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151