「MAN ON MAN」と一致するもの

KO UMEHARA (Komabano Oscillation Lab) - ele-king

現場でお世話になったトラック10選

KO UMEHARA (Komabano Oscillation Lab)

静岡県出身東京在住のDJ兼トラックメイカー。
ShuOkuyamaとのレーベルKomabano Oscillation LabやDJ WADAとのレギュラーパーティー『Contatto』、屋内型フェスティバル『Synchronicity』のレジデントなどの活動を中心に全国各地様々なパーティーをDJ行脚中。
2016/11/19にDJ WADAとのパーティー『Contatto』@ Forestlimit第6回目の開催!

https://contatto.jp

年末から年明けにかけてリリースが続きます、ぜひチェックしてみてください!
.Now On Sale
Ko Umehara - Reality Recomeposed by TCM-400 / Mastered Hissnoise

https://libraryrecords.jp/item/203147

・2016/11/11 Release
Ko Umehara - Happy 420 Tour 2015 To 2016 / Mastered Hissnoise

https://www.msnoise.info/

・2016/11/16 Release
CD HATA & MASARU - Octopus Roope / Hinowa Recodings

01. CD HATA & MASARU / Octopus Roope (Original Mix)
02. CD HATA & MASARU / Octopus Roope (Ko Umehara Remix)
03. CD HATA & MASARU / Octopus Roope (Hentai Camera Man Remix) 04. CD HATA & MASARU / Octopus Roope (DJ Doppelgenger Remix) 05. CD HATA & MASARU / Octopus Roope (Frangipani Remix)
06. CD HATA & MASARU / Octopus Roope (Hydro Generator Remix) 07. CD HATA & MASARU / Octopus Roope (Matsusaka Daisuke Remix)
https://hinowa.jp/

Coldcut - ele-king

 いったい何年ぶりだろう。ひい、ふう、みい……じゅ、10年ぶりじゃないか! ついにコールドカットが再始動する。まずはEPからだ。
 色々と思いはある。もしこのふたり組がいなければ、UKのクラブ・シーンは、いや、世界のクラブ・シーンはまったく別物になっていただろう。……が、とりあえず僕の感慨は脇に置いておいて、とにかくいまはみんなで、この伝説のデュオの帰還を祝おうではないか。リリースは11月25日。あと3週間だ!

〈NINJA TUNE〉主宰の大重鎮、コールドカットが再始動!
超待望の最新作『Only Heaven EP』のリリースを発表!
新曲「Donald’s Wig feat. Roses Gabor」を公開!


Photo : Hayley Louisa Brown

アンダーワールド、ケミカル・ブラザーズ、ファットボーイ・スリムらとともにUKクラブ・シーンの黄金期を牽引したサンプリング・カルチャーのパイオニアであり、アンクル、DJシャドウ、カット・ケミスト、DJクラッシュらと並んで、ブレイク・ビーツ黎明期の最重要ユニットにも挙げられるレジェンドがついに再始動! ジョン・モアとマット・ブラックによる伝説的ユニット、コールドカットが、〈Ninja Tune〉発足以前に初音源をリリースした伝説的レーベル〈Ahead Of Our Time〉から、超待望の最新作「Only Heaven EP」のリリースを発表! 新曲“Donald’s Wig feat. Roses Gabor”を公開した。

Coldcut - Donalds' Wig feat. Roses Gabor

「Only Heaven EP」には、“Donald’s Wig”や、M.I.Aやビヨンセのプロデュースやメジャー・レイザーの初期メンバーとして知られるスウィッチとの共同プロデュースで、ヴォーカリストに盟友ルーツ・マヌーヴァ、ベースにサンダーキャットが参加した“Only Heaven”を含む5曲が収録される。

長い沈黙を破り、ついに復活したコールドカットの最新作「Only Heaven EP」は、11月25日(金)にデジタル配信と12”でリリースされる。iTunesでアルバムを予約すると、公開された“Donalds' Wig feat. Roses Gabor”がいちはやくダウンロードできる。

label: Ahead Of Our Time
artist: Coldcut
title: Only Heaven EP

release date: 2016.11.25 FRI ON SALE
cat no.: AHED12014(12"+DLコード)

beatkart (12") : https://shop.beatink.com/shopdetail/000000002120
iTunes Store (Digital) : https://apple.co/2fkgmkO

[Tracklisting]
1. Only Heaven feat. Roots Manuva
2. Creative
3. Dreamboats feat. Roots Manuva and Roses Gabor
4. Donald’s Wig feat. Roses Gabor
5. Quality Control feat. Roots Manuva

interview with Warpaint (Theresa Wayman) - ele-king


Warpaint - Heads Up
Rough Trade/ホステス

Indie PopIndie Rock

Amazon Tower

 結成12年という安定期に入っているはずなのに、このバンドは決して一定のトーンに安住する気配を見せない。言い換えれば、作品ごと本能的に焦点を絞り込むことができる、常に柔軟なバンドということもできるだろう。2010年のファースト『ザ・フール』はアンドリュー・ウェザオールがミックスを担当、2年前のセカンド『ウォーペイント』はプロデューサーがフラッドでナイジェル・ゴドリッチもミックスを手がけていた。だが、届いたばかりのサード『ヘッズ・アップ』にはそうした“UKの著名人”は関わっていない。かと言って、彼らが拠点とするLA人脈……最初のEP「Exquisite Corpse」のミックスを手がけたジョン・フルシアンテやジョシュ・クリングホファーの姿もここには直截的にはない。では、今作で彼女たちがどこを向いているのか、と言えば、ダンス・ミュージック。それも90年代スタイル(形式だけではなく音質なども含めて)のカジュアルなブラック・ミュージック・オリエンテッドな“踊れる音楽”だ。
 それがたぶんにナイル・ロジャースが制作に関わったダフト・パンクの“Get Lucky”や、マイケル・ジャクソンの“Smooth Criminal”などをサンプリングしたケンドリック・ラマーの“King Kunta”あたりが中継点になっていることは明白で、そこから90年代――それはウォーペイントの4人がティーンエイジャーだった時代だが――へと舵を切った結果、頭で考えず、感覚でビートに抱かれることを望んだような作品につながったのではないかと想像できる。歌詞の簡略化……というよりシンプルなラヴ・ソングである“New Song”のようなリリックの曲を億面もなく提示してきていることからも、今の彼女たちが90年代スタイルのドレス・ダウンさせたダンス・ミュージックを体感的に求めていたことがわかるだろう。
 しかしながら、ウォーペイントの4人が過去積み重ねてきたキャリアにそっぽを向いているのかと言えば全くそうではない。結果、彼女たちはLAを起点に、様々なエリア、世代、フィールドへとさらに大きなストライドで足をかけることになった。それは、リベラルであることを意味するものであり、決して足下が浮ついていることを意味しているのではない。ヴォーカル/ギターのテレサ・ウェイマンが語る新作にまつわる思惑と手応えは、こちらが想像していた以上に邪気がなく、そして開放的だった。それが、何よりの証拠である。

多分、これまで自分たちにはすごく遠かったポップ・ソングをわざと選んだんだと思う。自分たちにとって心地よい領域ではないことをあえて選ぶ事で、領域を広められるから。

この1年ほどずっとメンバー個別の活動をしていたことから、次の作品では何か大きく変化が現れるだろうと想像していましたが、思っていた以上に躍動的な方向に舵を切った印象です。あなた自身もホット・チップのメンバーらと新ユニット=BOSSとしてシングル「I'm Down With That/Mr. Dan' I'm Dub With That」をリリースしたり、Baby Alpacaにジョインしたりと活動の幅が広がっています。このような個別のアクティヴィティが今回の新作にどのようなフィードバックをもたらしたと考えますか?

テレサ・ウェイマン(以下、TW):このアルバムの躍動感は、他のプロジェクトから直接的に影響されたものではなくて、前作のアルバムのツアーを終えて、みんなで次はもっとダンス・ミュージックっぽいアルバムを作ろうって決めてたからなの。自然とライヴでやりたい曲がダンス・ミュージックの要素が強い曲だった、と。その方がライヴで演奏する時に楽しいから。でももちろん他のプロジェクトの経験も刺激にはなったと思う。例えば、私がBOSSでリリースした曲は、プロデューサーのダン(Dan Carey)によるゲームみたいなものだったの。彼は、曲作りをする時に、条件を絞って曲作りをさせるんだけど、その狭められた条件の元に曲作りをするのは新しい経験だったし、すごく興味深かった。やれることもテーマもコンセプトも狭められることで、逆にその範囲でできることをより模索するっていう経験にもなった。それからウォーペイントのメンバーのジェン(ジェニー・リー・リンドバーグ)も、自分のソロ・アルバムに関してはあまり深く考えずにその時に感じた事を表現するようなアルバム作りをしていて、すごく衝動的だったみたい。そういう経験をそれぞれしたことで、また作品作りの新たなヒントにもなったし、いいレッスンになった気がする。あまり何かに固執しすぎないようにすることを教えてくれた気がするわ。

では、最初、あなた自身はこうした個別のアクティヴィティとは別に、このウォーペイントの新作について、どのような作品を目指したいと考えていましたか? 当初思い描いていた予想図を聞かせてください。

TW:コンセプトを持っていたとしたら、もう少しアップビートな作品にするってことくらいかな。今まではずっとBPMを90台に留めていたのよね。98BPMとか。だからそのテンポをもう少しあげて、ダンス・ミュージック要素が強いアルバムにしたかったの。多分、最初に決めてたコンセプトはそれくらいだったかな。決め事とかルールとか基本的に決めないのよね。私たちはいつもその時の衝動に身を任せるっていう方が合ってるから、ルールを決めたりはしないの。それは歌詞に関しても言えることで、テーマとか歌詞のコンセプトも決め込んだりはしない。例えば「このアルバムは失恋アルバムにしましょう!」、「これはラヴ・ソングが詰まったアルバムにしよう!」、「政治的なことを強く主張しよう!」みたいな決まりとかは作らない(笑)。でも今回は「ダンス・アルバム」にすることはキーワードではあったわね。

では、そうしたキーワードのもと、今作の楽曲がどのような環境で書かれたのかについて聞かせてください。今回のソングライティングはジャム・セッションではなく、個別の作業や、全員で合わせて一度持ち帰る……みたいなやりとりを経ての制作だったそうですね。なぜこうしたスタイルに替えてみたのですか?

TW:最初は個々に始めた感じだったの。当初、2015年を通して、作品をこまめにリリースすることにしようって話をしていたこともあって。1、2曲ずつ作って、その度にレコーディングして、そういう自由な流れに身を任せようって思ってて。結局そうはならなかったんだけど、そのつもりで制作を始めて、お互い自分の自宅のスタジオで制作を始めて、気付いたら2015年の終わりにはアルバムになるような曲数はできあがってた。だから最終的にはそれを仕上げるためにスタジオにみんなで入った。この経験を通して、今まで自分たちが持っていたもので出し切れてなかったものが強調された気がしたの。例えば、私とステラ(・モズガワ)が一緒に曲作りをする時、割とビートとかサンプルの要素が強いエレクトロニックな曲を作る事が多いの。でも全員でセッションで作る時はその要素はあまり出ないのよね。だからもともとお互いが持っていた要素だったとしても、制作の手法によってその要素が前に出なかったりするから、今回こうやって個々に制作を進めたことで、今まで目立たなかった個々の要素がいろんな形で前に出てきた気がする。みんながそれぞれ自分をより出せた気がするわ。

その結果、機能性の高いダンス・ミュージック的側面を持ったものになったわけですね。では、こうしたスタイルへと向かった理由を教えてください。具体的な参考になったもの、出会い、インスピレーションなどいくつかのキーワード、リファレンスを教えてもらえれば。

TW:正直に言うと、自分たちの影響を伝えるのって実はすごく難しくて。なぜかというと、本当にいろんなことから影響を受け、いろんな影響を表現している気がするから。まして、4人もいるとなるとなおさら。それぞれが個々のアングルから物事を表現していると、あるひとつのアングルから影響を受けたっていうことがない分、影響の幅がすごく広くて。だから例えば、ケンドリック・ラマーやジャネット・ジャクソンっていう名前を出すと、直接的にそういう影響が現れていないかもしれないから、すごく極端に聞こえる気もする。例えば自分の影響を具体的に説明するとしたら、アジーリア・バンクスの“212”という曲にインスパイアされて、私も“So Good”でそのインスピレーションを試してみたりしたの。もちろんすごく違う曲だけど、“212”の曲の構成がすごく珍しくて、その構成と、あのダンス感に聴いた時にすごく動かされるだけに、そういうアプローチを試してみたかった。すごくポップでとっかかりやすいけど、オーソドックスではない曲を作ってみたかったってわけ。あと、“New Song”はダフト・パンクの“Get Lucky”に影響を受けたの。実は、私たちのマネージャーはミュージシャンでもあるんだけど、彼からの提案もあった。すごく分かりやすいポップ・ソングを研究して、なんでその曲がポップなのか、どこが突き刺さるのかを理解して、それを自分たちも取り入れてみようって。多分、これまで自分たちにはすごく遠かったポップ・ソングをわざと選んだんだと思う。自分たちにとって心地よい領域ではないことをあえて選ぶ事で、領域を広められるから。実際にステラはアルバム製作中によくジャネット・ジャクソンを聴いていたんだけど、その時にすごく感じたのが、90年代のああいうポップ・ソングは、プロダクションがガヤガヤしていなくて、今聴いてもすごく美しいってこと。だから改めてそういう音楽を聴いて、それに気づけたことは、すごく啓発的でもあった。

確かに、ダンス・ミュージック・オリエンテッドな側面から見ても、あるいはオルタナティヴ・ロックなサウンド・プロダクションから見ても、全体的に90年代をひとつのキーワードにしている印象です。なぜ今、ウォーペイントが90年代なのでしょうか?

TW:私たちが影響されたものの多くがその時代のものなのは事実。人生の中でいちばん影響を受けた音楽はやっぱり90年代だと思う。その時私たちは10代、音楽をたくさん聴く中で、音楽が本当に大好きだって気づいた時代でもあるの。だから、いつもその時代の音楽には共感できるし、それは私だけじゃなくて、メンバー全員がそうだと思う。だから自分たちが90年代を狙って作った作品ではないけど、人が聴いた時にそう感じるのは、自分たち自身がその時代を生きて、自分たちの中に染みついているからだと思う。みんなアウトキャスト、ポーティスヘッド、ビョーク、トリッキー、マッシヴ・アタック、ザ・キュアーが大好き。ザ・キュアーに関しては80年代も入っているかもしれないけど……自分たちの青春時代なだけに、やっぱり刻み込まれている感じはするわね。

[[SplitPage]]

私たちは自分たちが感じることをやっているだけなの。いつもコンセプトを持たないバンドだから。

現在、確かに広く90年代の音作りが見直され、若い世代からフレッシュな形で上書きされています。そうした中で、過去2作で見せてくれた美意識を手放さず、どのようにして《ウォーペイント流90年代へのアプローチ》を実践したのか、特にバンドとしてこだわったのはどういうポイントだったのかを教えてください。

TW:すごく説明するのが難しいんだけど、私たちは自分たちが感じることをやっているだけなの。いつもコンセプトを持たないバンドだから。さっきも少し説明したみたいに、今回はもう少しダンス・ミュージックよりの作品にしようっていう軽いコンセプトはあったものの、いつもあまりガチッとしたコンセプトはない。前作も確か「空間を大切にしよう」っていう程度だった気がする。何か決まりがあるとしても本当にそれ程度で、あとは身を任せる感じ。だから曲ごとに感じてもらえる美学は、その時に生まれたもので、目指したものではなくて。だから聴き手側の解釈もそれぞれの解釈で良いと思ってて。自分たちが「こういう風に受け取ってほしい! こういう風に感じてほしい」っていうものは実はなくて。だから90年代のアルバムを作ろうとしている訳ではなく、現代風のアルバムを作ってる訳でもなく、そういう狙いはないのよね。自分の夢はただ一つ、自分が大好きだと思える音楽を人にも大好きだと言ってもらえること。本当にそれだけなの。

例えば、フランク・オーシャンやビヨンセ、ブラッド・オレンジや、去年リリースされたケンドリック・ラマーなど多くのアーティストが90年代の要素を取り込みながらも、ジャズ、R&B、ヒップホップ、ファンクなどを新たに上書きしています。ウォーペイントのこの新作にもそれに連なるかのようなグルーヴが感じられますが、そうした黒人音楽的側面を強く打ち出す方向性に対し、あなた自身はどのような意見を持っていますか?

TW:すごく説明するのは難しいけど、リズムやドラム&ベースやポリリズムやディープ・グルーヴ……音楽っていうことにおいてみんなが興味を持つ部分の多くが何世紀にもわたってブラック・ミュージックから影響されているものも多いと思う。それがどの時代ももっともっと大きくなってきているんだと思う。より多くの人が音楽を聴いて、音楽を作っているから。そこに惹かれちゃうのは、すごく自然の衝動だと思うし、多くの人たちがその衝動を表現したくなるんだと思うわ。

ドクター・ドレの名前からとられたような“Dre”という曲もありますね。

TW:残念ながらドクター・ドレからはとっていないの(笑)。あの曲で難関だったのは、Bメロからのパートかな。なかなかアレンジがうまくいかなくて。最終的には納得できるところに行き着くことはできたんだけど。でも時間がなくて。だからこの曲はミックスも急いでやらなきゃいけなかったのも難点だった。でもそういう困難もありながら、この曲はすごく制作においてもエキサイティングな曲だった。あ、あと思い出したのが、この曲はいろんな要素を織り交ぜたから、混雑している感じもあった。それを整理するためにも、その混雑したパートをひとつひとつ整頓していったなぁ。それでどの要素が重要かが明確になったから良いプロセスだったけど。

昔に起きた素晴らしいことと現在を繋げる。繋げるというよりも混ぜる感じかな。新しいアイデアだって歴史があってこそ生まれるものだったりするし。

とはいえ、全体的に広く多くのリスナーにさらにわかりやすく届けることを目的としたようなキャッチーさ、いい意味でのアイコン性、シンボライズされた音の在り方を、あくまでポップ・ミュージックの観点から意識しているように感じました。多くのツアーをこなし、フェスなどに出演してきた経験から、あなた自身も感じてきたことだろうと思いますが、今やりたいことを追究しつつもそうした“わかりやすさ”が求められていることに応えていく上でのジレンマ、もしくはこれまでのファンの期待にも応じ、でもこれからさらに裾野を広げていくこととの間でのストラグルなどはありましたか?

TW:私たちは揃ってあまりその部分を考えないようにはしてるの。繰り返しになっちゃうけど、あまりそういうことを考えないで、自分たちが感じたままを表現することを大切にしているから。でも自分自身としては、ポップ・ミュージックが響いてくるその即効性もすごく大好きだし、曲中のフックとかもすごく大事だと思ってる。あと、忘れられないようなリズムやダンスのビートだったりもとても大切だとは思う。そういう要素が詰まったキャッチーな曲は、自分にとっても魅力的な曲だったりはする。だから自分たちもお互いスキルを磨いて、徐々にそれができるようになってきているとは思う。自分たちらしさも崩さない形で。自分たちももちろん変わっていかなければいけないし、それは止められないものだから。中にはそれを理解してくれないファンもいるとは思うけど、解ってくれる多くのファンもいるとは思う。私は話したファンの多くは、自分たちが大好きだったポップ・ミュージックが好きっていう人も多くて。それでいて、自分たちの音楽も好きでいてくれて、あまり目立たないような音楽も好きだったり。だからすごくオープンマインドで共用範囲が広いファンもたくさんいると思っている。そういうわけで、私は個人的には新たな音楽性でファンは失わないだろうとは思ってるわ(笑)。

歌詞の面でも“New Song”に見られるようなストレートなアプローチによるラヴ・ソングが多い印象で、その裏には直感的にイイと思えるものを堂々とイイと言ってしまうような決断力が強く感じられます。

TW:そうね、“New Song”はとてもシンプルだと思う……あ、そうそう、このアルバムのことでもうひとつだけ話していたキーワードがあったわ。もう少しヴィヴィッド(鮮明)でクリアなアルバムにしようって話してたのを今思い出した。もう少しいろいろと鮮明になるようにしようって。それは歌詞においてもそう言えると思う。だから前作と比べたら、ぼんやりとした感じは減っているかなぁとは思う。でもこれはどちらかというと、すごく狙ったというよりも、自然な改革だった気がする。もっとリスナーと繋がりたいと思ったし、自分たちの気持ちを鮮明にすることに慣れたかったっていう気持ちもあったかなぁ。

確かに一見、ストレートで物怖じのない情熱的な言葉をまとったラヴ・ソングが多いですが、あえてそれを他の事象にも置き換えていけるようなわかりやすい言葉を多くちりばめ、言葉にも強さを与えている印象も受けました。歌詞の面で、何か大きなテーマ、テーゼを用意していたとしたらそれはどういうものでしたか?

TW:テーマやテーゼは全くなかった。みんなで話し合ったこともないし、本当にその時にでてきたことを歌にしたって感じかな。個人的には最近ラヴ・ソングを書くモードではあって、自分のソロ・アルバムはほぼ全部“愛”についてのアルバムなの。その要素をこのアルバムに1、2曲持ち込んだかなとは思う。ただ、自分たちではあまり変わっている意識はなくて。むしろ、他に何か変わったところがあったら逆に教えてほしいくらい(笑)。結局、とりあげることって自分たちの人間関係であったり、他人の人間関係であったり、自分たちの成長であったり、人生で正しいと思う道に進もうとしたり……いつもトピックは一緒なのよね。とはいえ、ちょっとだけ政治的な思想は歌詞に現れているかもしれない。確かに置き換えた時に何かを感じてもらえるような歌詞は多いのかも。世界で起きている問題の核みたいなトピックだったりね。

ところで、あなたがたは今の米西海岸を支えている代表バンドですが、先輩格のジョン・フルシアンテ、ジョシュ・クリングホファーといった方々との世代の架け橋にもなっていますし、海を超えて英国のアーティストとの交流も積極的に作っています。地域性、その場所の歴史を大切にしつつも、その垣根を崩して広げていくことの醍醐味をどの程度意識していますか?

TW:自分でもそんな立ち位置にいることをとても光栄に思ってる。私たちは年齢的にも少し上だから、違う世代とも若い世代よりもナチュラルに繋がっていらえることもすごくラッキーだと思う。やっぱり先輩格の世代の人たちが生きた時代で起きた楽しいこととか、聞くだけで私たちには刺激や目標にもなるから。まさにこれって人生において大切なことだと思ってて。昔に起きた素晴らしいことと現在を繋げる。繋げるというよりも混ぜる感じかな。新しいアイデアだって歴史があってこそ生まれるものだったりするし。だから私たちも新しい何かを作りだす上で、過去を反省していく楽しさを大事にしているわ。いろんな時代や世界から得たアイデアをしっかり携えて制作するのが一番楽しい。だからイギリスで今何が起きているのかを知ることもすごく楽しい。それは日本もそうだし、オーストラリア、ウェストコースト……どのエリアに対しても同じよ。

Warpaint来日情報

日時/会場

東京  2/28 (火) LIQUIDROOM
open 18:30 / start 19:30 ¥6,300(前売 / 1ドリンク別)
#03-3444-6751 (SMASH)

大阪  3/1 (水) UMEDA CLUB QUATTRO
open 18:30 / start 19:30 ¥6,300(前売 / 1ドリンク別)
#06-6535-5569 (SMASH WEST)

チケット発売

主催者先行: 11/8(火)12:00 – 11/13(日)23:59
【URL】https://eplus.jp/warpaint17/ (PC・携帯・スマホ) *抽選制

一般発売: 11/19(土)
東京: e+ (先着先行: 11/15-17)・ぴあ (P: 315-091)・ローソン (L: 73278)
大阪: e+ (QUATTRO web: 11/14-16, 先着先行: 11/15-17)・ぴあ (P: 314-959)・ローソン (L: 54783)・会場

協力: Hostess Entertainment
お問い合わせ: SMASH 03-3444-6751 smash-jpn.com, smash-mobile.com

DIE KRUPPS Live in Japan 2016 - ele-king


 昨年、実に30年以上の時を経て、突然奇跡の初来日を果たした彼らが、また戻ってくる! Die Kruppsの「絶対にまた日本のファンの前でライヴがやりたい!」という強い希望が今回の再来日を実現させた。
 Die Kruppsは1980年、Jurgen Englerを中心にGerman New Wave全盛期のドイツ・デュッセルドルフで結成された。 彼らはミニマムなエレクトロサウンドにメタル・パーカッションを導入した先駆者である。
 自作メタルパーカッション「シュターロフォン」を駆使したパフォーマンスは80年代にEBM(エレクトロ・ボディ・ミュージック)の1スタイルとしてシーンに影響を与え、NitzerEbb等、その後に続く多くのフォロワーを生みだした。 その後、エレクトロとメタル・パーカッションとスラッシュ・ギターを融合させたINDUSTRIAL・METAL MACHINE・MUSICという彼ら独自のスタイルを確立し、90年代に巻き起こったMinistryなどに代表されるインダストリアル・メタルシーンで、さらにその活動の幅を広げ、本国ドイツのみならず世界でその名を馳せた。今年もドイツ最大のゴシックフェスWave-Gotik-Treffenや、世界的なアーティストが集結するメタルフェスWACKENやM'era-Luna等の大型フェスに出演している。 ドイツではINDUSTRIAL/EBMバンドの重鎮として確固たる地位を築き、長い月日を経てなお、現在に至るまで衰えることなく常に精力的な活動を続けている。昨年の初来日公演におけるパワフルでアグレッシブなライヴ・パフォーマンスに日本のファンは驚喜した。そして昨年の約束通り、彼らはまた日本のファンの期待に応えるべく戻ってくる! 前回見逃したファンは今回を逃さないで、あの気迫と熱気をぜひ体験して欲しい。

Swans - ele-king

 80年代初頭に結成され、ソニック・ユースとともにUSオルタナティヴ・シーンを牽引してきたエクスペリメンタル・ロックの雄、スワンズ。6月にリリースされた14枚目のアルバム『The Glowing Man』も好評なかれらが、12月に来日公演を果たすこととなった。東京公演は12月7日(水)@SHIBUYA TSUTAYA O-EAST、大阪公演は12月8日(木)@UMEDA CLUB QUATTRO。今回もヴォリューム・リミットなし、2時間超えのパフォーマンスを披露してくれるとのこと。また今回のツアーは、現メンバーでおこなわれる最後のツアーとなっている。これは見逃すわけにはいかないでしょう。詳細は以下を。

オルタナティヴ・ロック・シーンに燦然と輝く暗黒の巨星スワンズ、現メンバーでのラスト・アルバム『The Glowing Man』を引っ提げて、現メンバーでのラスト・ツアー決定!

1982年、Michael Gira(ギター/ヴォーカル)を中心に結成、80年代初頭の混沌としたニューヨークのアンダーグラウンド・シーンを象徴するバンドとして、SONIC YOUTHとともにオルタナティヴ・シーンに君臨した。ジャンク・ロックと称された初期作品『Filth』、『Cop』、Jarboe参加後の聖と俗・静謐と混沌の入り交じった中期作品『Greed』、『Holy Money』、『Children of God』、ビル・ラズウェル・プロデュースによるメジャー作品『The Burning World』で見せた限りなくダークな歌へのアプローチ、自身のレーベル〈Young God Records〉設立後の後期作品『White Light from the Mouth of Infinity』、『Love of Life』でのサイケデリックかつドローンなサウンドなど、幾多の変遷を経て唯一無二の世界観とサウンドを獲得していく。2010年、「SWANS ARE NOT DEAD」の宣言とともに復活。現メンバーはMichael Gira、Norman Westberg、Christoph Hahn、Phil Puleo、Thor Harris、Chris Pravdicaの6人。復活アルバム『My Father Will Guide Me Up a Rope to the Sky』を皮切りに『The Sheer』、『To Be Kind』、そして現メンバーでのラスト・アルバム『The Glowing Man』を本年6月に発表。アルバム発売ごとにおこなわれた精力的なツアーは、現在もっとも体験するべき価値のある最高のライヴ・パフォーマンスと数多くのメディアやアーティストから大絶賛されている。今回決定した現メンバーでのラスト・ツアーでもヴォリュームのリミット無し2時間超えの強靭なパフォーマンスを披露してくれることでしょう。現SWANSの有終の美を五感を総動員して自ら確認して下さい!

東京公演
12/7 (wed) SHIBUYA TSUTAYA O-EAST

Open 18:30 Start 19:30 ¥6,000(前売り/1ドリンク別)
Information: 03-3444-6751 (SMASH)

大阪公演
12/8(thu) UMEDA CLUB QUATTRO

Open 18:30 Start 19:30 ¥6,000(前売り/1ドリンク別)
Information: 06-6535-5569(SMASH WEST)

以下、プレイガイドにてチケット発売中!
東京: ぴあ(P: )・ローソン(L: )・e+(pre: )
大阪: ぴあ(P: )・ローソン(L: )・e+(QUATTRO web、pre: )・会場

共催:root & branch 協力:TRAFFIC
総合お問合わせ:SMASH 03-3444-6751 smash-jpn.com, smash-mobile.com

Jeff Mills - ele-king

 ジェフ・ミルズは前へ進み続ける。

 去る9月11日、東京フィルハーモニー交響楽団とともに『題名のない音楽会』に出演し、大きな話題を集めたジェフ・ミルズだが、このたび彼の新たな公演が、表参道のイベント・スペースVENTにて開催されることが決定した。11月18日(金)23時、オープン。
 今回の公演は、AACTOKYOが手がけるジェフ・ミルズのシネミックス(映像体験作品)最新作の、日本プレミア上映会のアフターパーティーとして開催される。
 詳細は以下を。

【テクノの革命家Jeff Mills(ジェフ・ミルズ)、表参道VENTに降臨!】

 未来、宇宙のメッセージを込めたテクノ・ミュージックを表現し続け20年強、今年の東京フィルハーモニー交響楽団との共演コンサートや『題名のない音楽界』への出演も衝撃的だったJeff Millsが、別次元の良質なサウンドを提案する、期待のニュースポットVENTで体感できるまたとないチャンス到来!

 ハードミニマルテクノというジャンルを確立し、デトロイトから全世界のダンス・ミュージックを革新してきたJeff Mills。テクノのDJやプロデューサーとしての活動は、自身の作品のリリース、クラシック音楽の楽団とのコンサート、宇宙飛行士、毛利衛とのコラボ作品など多岐にわたる。初期Wizard名義のDJ時代にはEMINEMやKID ROCKなど他ジャンルのミュージシャンにまで影響を与えてきたという生きる伝説の存在と言ってもいいだろう。

 今回は『AACTOKYO』が手がけるプロジェクト第1弾として、Jeff Millsのシネミックス(映像体験作品)最新作の日本プレミア上映会のアフターパーティーとして行われる。衰えることなく進化を続ける、他の追随を許さない圧巻のDJプレイをVENTの誇るサウンドシステムで体感できる奇跡のパーティー!

《Dekmantel Festival 2016 でのJeff Millsのプレイの映像》

《イベント概要》
" AACTOKYO presents JEFF MILLS “THE TRIP” After Party "

DATE : 11/18 (FRI)
OPEN : 23:00
DOOR : ¥4,000 / FB discount : ¥3,500

=ROOM1=
JEFF MILLS
HARUKA (FUTURE TERROR)
DSITB (RESOPAL SCHALLWARE / SNOWS ON CONIFER)

=ROOM2=
YONENAGA (R406 / SELECT KASHIWA)
NAOKI SHIRAKAWA
SHINING STAR (UTOPIA)
MASA KAAOS (PYROANIA / PHONOPHOBiA)

※VENTでは、20歳未満の方や、写真付身分証明書をお持ちでない方のご入場はお断りさせて頂いております。ご来場の際は、必ず写真付身分証明書をお持ち下さいます様、宜しくお願い致します。尚、サンダル類でのご入場はお断りさせていただきます。予めご了承下さい。

※Must be 20 or over with Photo ID to enter. Also, sandals are not accepted in any case.
Thank you for your cooperation.

Facebookイベントページ
https://www.facebook.com/events/1331989146852699/

《INFO》
VENT
URL: https://vent-tokyo.net/
Facebook: https://www.facebook.com/vent.omotesando/
Twiter: https://twitter.com/vent_tokyo/
Instagram: https://www.instagram.com/vent.tokyo/

Jeff Mills

1963年デトロイト市生まれ。
Jeff Millsがテクノ・プロデューサー/DJとして世界で最も優れた人材であることはすでに説明の必要もない。
高校卒業後、ザ・ウィザードという名称でラジオDJとなりヒップホップとディスコとニューウェイヴを中心にミックスするスタイルは当時のデトロイトの若者に大きな影響を与える。1989年にはマイク・バンクスとともにアンダーグラウンド・レジスタンス(UR)を結成。1992年にURを脱退し、NYの有名 なクラブ「ライムライト」のレジデントDJとしてしばらく活動。その後シカゴへと拠点を移すと、彼自身のレーベル〈アクシス〉を立ち上げる。1996年には、〈パーパス・メイカー〉、1999年には第3のレーベル〈トゥモロー〉を設立。現在もこの3レーベルを中心に精力的に創作活動を行っている。
Jeff Millsのアーティストとしての活動は音楽にとどまらない。2000年、フリッツ・ラングの傑作映画『メトロポリス』に新しいサウンドトラックをつけパリ、ポンピドゥーセンターで初公開して以来、シネマやビジュアルなど近代アートとのコラボレーションを積極的に行ってきている。 2004年には自ら制作したDVD『Exhibitionist』を発表。このDVDはHMV渋谷店で洋楽DVDチャート1位を獲得するなどテクノ、ダンス・ミュージックの枠を超えたヒットとなった。これらの幅広い活動が認められ2007年、フランス政府が日本の文化勲章にあたるChavalier des Arts et des Lettresを授与。
2004年渋谷Wombのレジデンシーから始まったSFシリーズ「Sleeper Wakes」は2016年リリースの『Free Fall Galaxy』で9作目を迎える。
2012年、主宰〈AXIS RECORDS〉の20周年記念として300ページにおよぶブック『SEQUENCE』を出版。2013年には日本独自企画として宇宙飛行士、現日本未来館館長毛利衛氏とのコラボレーション・アルバム『Where Light Ends』をリリース。同時に未来館の新しい館内音楽も手がけた。『Where Light Ends』はオーケストラ化され、2016年3月には文化村オーチャードホールにて東京フィルとの公演を実現させている。
2014年、Jeff Mills初の出演、プロデュース映像作品「Man From Tomorrow」が音楽学者でもあるジャクリーヌ・コーの監督のもとに完成。パリ、ルーブル美術館でのプレミアを皮切りにニューヨーク、ロンドンの美術館などでの上映を積極的に行なう。
第1弾から11年の年月を経て2015年に発表された『Exhibitionist 2』DVDには、DJテクニックのみならずスタジオ・レコーディングの様子やRoland TR909をライヴで即興使用する様子などが収められおり、同じく「即興性」をテーマにゲストミュージシャンを招待して東京と神戸で2015年9月に行われたライヴは「Kobe Session」として12インチでリリースされた。
2016年、初めてオーケストレーションを念頭におき作曲したアルバム『Planets』がポルト交響楽団とのコラボレーションによりリリースされる。

interview with The Orb (Alex Paterson) - ele-king


The Orb
Cow / Chill Out, World!

Kompakt/ビート

Ambient

Amazon Tower

 KLFの歴史的アンビエント作品『チル・アウト』のパロディのようなアルバム名が発表されたときは呆然としたものだ。とうぜん、彼ら流のブラックなユーモアだろうとは思ったが。
 しかし、このジ・オーブの新作「アンビエント作品」は、一聴すれば誰もがわかるように、(KLFとジ・オーブの関係? という、いささかスキャンダラスな)話題性などを遥かに超えて、現代社会への警告のようなものを強く感じるシリアスな作品であった。しかも、カジュアルで、このうえなく美しいアース・ミュージック/アンビエント・アルバムでもある。

 そう、「アンビエント・ミュージックとは何か?」。そんな命題に、彼らは彼らなりに、自分たちが背負っているものを認めながらも、なおもピュアに、音も遊びのように、しかし強いメッセージを持って、アンビエントに向かい合っている。そこが何より感動的だった。その根底に流れているのは、音楽の悦びと深い信頼ではないかと思う。
 本作はかつての『オルヴス・テラールム』(1995)のような睡眠に落ちる直前のような意識がトバされる瞬間は希薄だ。そのかわりに、もっとナチュラルに、カジュアルに、この世界や地球の音/環境の素晴らしさを意識の中に送り込んでくれる楽曲を多く収録している。その繊細で知的なサウンド・メイクは、トーマス・フェルマンがメインになって制作された楽曲が多いのではと思ってしまうが、じっさいユースも参加し、3人での作業が進められたという。制作期間は6ヶ月といわれているが、インタヴュー中でも語られているように、ジ・オーブは結成30周年を迎えつつあり、本作には30年近くに及ぶ彼らのアンビエント観/感が凝縮されているともいえる。まさに濃縮アンビエント。

 制作に困難を極めた(実に6年!)という名作『ムーンビルディング 2703 AD』から1年ほどで、これだけのアルバムを軽々と生み出したジ・オーブは、今、何度目かの黄金期にいる。そこにアンビエントというタームが重要なものとしてあるのはいうまでもない。なるほど、今、世界はチル・アウトをする必要があるし、同時に、アンビエント的な感覚も強く希求されているのだろう。
 じっさい今回のインタヴューで、アレックス・パターソンから得た回答や言葉の数々は「アンビエント」というものを考えるための、素晴らしいヒントやアイデアに満ちていた。ユーモアと真摯さ。ピュアと皮肉。私は本作を聴きながら、英国的だなと思ったものだが、彼の発言はやはり英国人的なのだろう。だが、これが不思議なのだが、本作は日本の光景にも強く(淡く)リンクする。本作を聴きながら日本の景色を観てほしい。まるで世界が柔らかくなったような不思議な質感が満ちてくるはずだ。そんなとき、このインタヴューでのアレックスの発言、たとえば「良いアンビエント作品ならどれでも、必ずどこかにとても綺麗なコードが含まれているものなんだよ。すぐ、ここで変化するとは分かりにくくても、聴き直すうちに気づかされる」という言葉が不意に脳裏に浮かんでくる体験も、なかなか良いものだと思う。

良いアンビエント作品ならどれでも、必ずどこかにとても綺麗なコードが含まれているものなんだよ。すぐ「ここで変化する」とは分かりにくくても、聴き直すうちに気づかされる、という。

新作『COW / チル・アウト,ワールド!』を聴かせていただいて、とても感動しました。まさかのアンビエント作品で、感覚的でもあり知的でもある。そのうえユーモアも感じる音作りで、しかし、まったく雰囲気に流されていない。私は「ジ・オーブの最高傑作ではないか!」と思わず興奮してしまったのですが、もしかしたら、あなたがたも本作を最高傑作と自負されているんじゃないかと思ってしまいました。いかがですか?

アレックス・パターソン(以下、AP):まあ、それ(=ジ・オーブの最高傑作だとの意見)は、とても、とてもデカイ意見だなぁ……。うん、そういわざるをえないよ。ただ、それはとてもナイスで嬉しい意見でもあるから、こちらとしても非常に謙虚な思いにもなってしまう。俺たちとしては、(これが最高ではなく)もっと「これから」があるだろう、とそう思っているんだけどね。俺たちは今、そこに向かいつつある、と。それに適した動き方を見つけるのに、俺たちはかなりの歳月、数年を費やすことになったわけだけどね。ただ、来年になって、今度は逆にアンビエント作品じゃないものを作ってみんなを驚かせる、なんてこともあるかもしれないよね(笑)。
 でも、俺から見ればアンビエント音楽というのは、2~3年くらい考え抜いて作る、そういう風に作るべきじゃないだろう、と思う。そうではなく、自然な勢いでやるべきものだ、と。その意味で、ここで俺たちのやっていることのいい基準になると思う。だから、1年以内で音源を聴き返したところで、そこからミックスに取り組む。ミックスはその場ですぐ終わらせて、ハイ、じゃあ次のトラックに、という具合。そうしたセッションをふたりで5回やった程度でアルバムができ上がっていた。6ヶ月そこそこの期間で完成した。だから、この作品がとてもフレッシュに聞こえるのは、まさにそこが理由でもあると思う。
 というのも、作品の大半は今年完成したものだし、しかも年内に発表される。でも、それってまた、すごくいいことでもあってね。だからこういう動き方をしていると、かつて自分がインディペンデント・レーベルをやっていた頃を思い出すんだ。で、もちろん〈コンパクト〉はそういうインディ・レーベルなわけで。だから彼(=ウォルフガング・ヴォイト)に作品をプッシュすれば、「分かりました、こちらで出しましょう」ってことになる。
 それにタイミングが良い、というのもあるね。今は10月の時点でまだ2016年だし、この作品は自分たちには6ヶ月前から分かっていたようなものだから。今年の3月にはこのアルバムのレコーディングをやっていた。ある意味、あの時点で作品はフィニッシュしていた、みたいな。で、俺たちも「モノにできたぞ」って具合でどっしりと構えていた。いや、というか、あれは3月ですらなかったっけ。ってのも、すべての作業が終わったのは今年の5月だったし。思いっきり厳密に言えば、この作品ができ上がったのは4ヶ月前の話。

通訳:なるほど。

AP:俺たちはノース・キャロライナで開催される「モーグ・フェスト」(2016年版は5月19〜22日開催)に出演してね。あそこで俺は色んなことを発見させてもらったんだけど、やっぱりアッシュヴィルとはまったく違ってね(註:「モーグ・フェスト」は、2016年にかつてのアッシュヴィルから同じくノース・キャロライナのダーラムへと開催地を移した)。アッシュヴィルは、ノース・キャロライナの中でも本当に素晴らしい街だったから、残念なことに以前のような雰囲気は期待できなくなってしまったけれども、それでもやっぱりとても良いエリアでであって。
 で、その際に俺は「イーノ川」という名の川があるのを発見したんだよ(註:イーノ川はオレンジ郡からダーラム郡にかけて流れる川で、ノース・キャロライナ州立公園区として自然保護されている)。
音楽を知っている人間なら誰でも、それ(9曲め“9エルムス・オーヴァー・リヴァー・イーノ”)を聴いて、即座に「おっ!」と思うだろうし、そこで「これはブライアン・イーノとなにか関係があるんですか?」という話になるだろうけれど、あれはブライアン・イーノとはまったく関係なし。単に、「イーノ」という名前の川のことなんだ。で、川のサウンドをあそこでレコーディングして、ほかにも日中に、街中に出て電車の通過音をフィールド・レコーディングしてね。
 で、続いて「モーグ・フェスト」の会場に向かったところ、出店していたポップアップのレコード・ショップで、とても奇妙でユーモラスなレコードの数々に出くわした。何もかもがそんな具合で、その場で瞬時にぱっぱっとモノになっていった。「直感に従う」という風だったんだ。だから、考えてはいったん脇に置き、また改めて考えては中断、という具合に繰り返し吟味する作り方とは違うんだ。

前作『ムーンビルディング 2703 AD』(2015)が6年の制作期間。対して本作は約6ヶ月の制作期間。私は、この振れ幅が凄いと思ったんです。本作の制作期間は、作品のどのような部分に影響を与えましたか?

AP:俺たちは『ムーンビルディング』制作時の経験をすべてここで活かしたかったしね。かつ、それらをビートのないアンビエントな雰囲気へと広げていきたいと思っていた。だからビートを用いることなく、でも音楽は変化し続ける。そういう発想を使おうとした。それは優れたアンビエント作品が持つアイデアにとても近い。良いアンビエント作品ならどれでも、必ずどこかにとても綺麗なコードが含まれているものなんだよ。すぐ「ここで変化する」とは分かりにくくても、聴き直すうちに気づかされる、という。
 自分の頭の中で設計図的に使っていたのは、ブライアン・イーノの『アンビエント 4: オン・ランド』。それにイーノとダニエル・ラノワの『アポロ: アトモスフィアズ・アンド・サウンドトラックス』まで含むかもしれないな。そのダニエル・ラノワとは、今話したノース・キャロライナでの「運命的な」日に、なんと実際に対面する機会にも恵まれたっていうね!
 というのも「モーグ・フェスト」でダニエル・ラノワとレクチャーをやったんだよ。その場で彼のスライド・ギターとアンプなんかを使っていくつか即興演奏をやってね。あれはほんと奇妙な経験だったな……。

それはなんとも歴史的な邂逅、演奏で非常に興味深いです。さて、大胆なアルバム・タイトルで発売前から話題になりましたが、同時にジ・オーブらしいユーモアとも思いました。とはいえ、本作とKLF『チル・アウト』とは、発表された時代なども違いますし、当然、音楽性も異なります。そこで、あなたがたにとって『COW / チル・アウト,ワールド!』とKLF『チル・アウト』の、もっとも「違う」点は、どのようなところだと考えていますか?

AP:まあ、自分が真っ先に上げる点と言えば、「今回、『COW』ではデカいサンプルは使っていない」。そこだね。『チル・アウト』というのは別の時代、80年代と呼ばれる、今とは違う時期に作られたものなんだよ。で、俺はあのアルバムにもかなり関わっていた。だから多くの意味で、いずれ自分はあの作品のとばっちりを受けるんだろうな、と。たとえそれが、今回、俺たちが『チル・アウト,ワールド!』というタイトルを使った、という程度のものであってもね。
 このアルバム・タイトルに関しては、俺たちもかなり話し合ったんだよ。というのも、このタイトルを使えば、やはりおのずとKLF好きな連中を呼び込むことになるだろう。連中は『チル・アウト,ワールド!』と聞いて、間違いなく「おっ! 『チル・アルト/ワールド』か」と思うだろうし。
 でも、俺はこのタイトルでGOすることにしたんだ。ってのも、このアクロニム(=頭文字を繋げた言葉。ここではC-O-W)は自分としても本当に気に入っていたし。だからとにかく、「このアルバムは『カウ(COW)』と呼びたいな」、そう考えたわけ。ところが、そこでまた、なんというか、奇妙なことに、そこで今度は、「じゃあ、これはピンク・フロイド(の『牛』)を意識しているんですか?」という話も出てきたりして。でも、それは違うんだよ! とにかく「偶然の重なり」、というかな?
 ほんと、それだけのこと。俺だったら、あのアルバムを『チル・アウト』ではなく『Chilling』って呼んでいただろうから。ただ、ほかの連中に押されて、(当時は)その意見は通らなかったっていう。

通訳:それで、今回は「COW」を押し通したと。

AP:この「COW」のアクロニムにはやられちゃったね。あの頭字語、「C-O-W」を目にした途端、「これだろ!」と。とにかく、あれを使わずにいるのはもったいないし、自分でも「最高だな」と(笑)。俺は牛が大好きだし、40年近く牛のことはよく知ってきた。だから、あのタイトルについてはとてもハッピーなんだよ。

2曲め“ワイヤレスMK2”と10曲め“ザ・10・スルターン・ラドヤード (Moo Moo Mix)”に、ロジャー・イーノさんが参加されていますね。彼が参加した理由を教えてください。

AP:あれもかなりのシンクロニシティ(=偶然に何かが同期すること)だったんだよ。(プロデュースで参加した)ユースと俺は、とても長い付き合いの友人同士でね。それこそもう、ガキだった頃にまで遡る。それくらい古い友だち。高校時代以来かな? うん、ほんと、あいつとはそれくらい長い歴史があって。
 で、あるとき俺たちは一緒にレコード探しをしていた。とあるレコード・ショップにいたときだったんだけど、俺たちはまったく同時に、それぞれ偶然に、ロジャー・イーノのレコードを引っ張り出したんだ。俺がロジャー・イーノ作品を1枚引き出して、同時に彼も、ロジャーの別の作品を引き抜いていた、と。
 お互いに「こんなレコードを見つけたんだけど」って具合に収穫を見比べてみたところ、ユースの奴は、「こうなったら、彼(ロジャー・イーノ)を見つけなくちゃいけないな!」って調子になった。で、ユースは実際にそれをやってのけた。彼にスタジオに来てもらい、ユースがそこに俺を引っ張ってきた。彼にいくつか音楽を聞かせてね。その時点で聴いてもらったのは、俺たちが前の年にスペインで制作したスケッチ程度のものだったんだけど。あのときの音源の多くは、「これは来年ちゃんと取り組もう」と思っているもので、だから未完成なんだけどね。リズムのあるチューンでベースも入っていたし。俺としては、ちょっとそれが自然な感じのドラム・サウンドっぽく聞こえているんだけど。それを部分的に使った。でも、その全部を使っているわけじゃないんだよ(笑)。

ロジャー・イーノさん(の音楽性)のどういった点に惹かれていますか?

AP:まあ、俺は恵まれた立場にいたんだよね。というのも、80年代に〈EGレコーズ〉で働いていたころ、俺たちはロジャー・イーノのアルバム群を出す機会に恵まれたんだ。だから俺はある意味、彼については知り尽くしていた。彼がさまざまなレコードで、ヴォーカル他で参加していたのを俺は知っていたし、クレジット表記は「ブライアン・イーノ作」ではあっても、それらの多くにロジャーが関わっていたことも俺は認識していた。それに彼が本当にナイスな人だってのも知っていたからね。実際にアプローチしてみれば、とても接しやすい人なんだよ。
 なんで俺がそういうところを知っていたかと言えば、〈EG〉にいたころ、俺はロバート・フリップと非常に強い関係を築いていてね。さらにはペンギン・カフェ・オーケストラのサイモン・ジェフリーズとも仲が良くて。レーベルでA&Rをやっていた時代を通じて、そういう、大きなコネができたんだ。
 俺が〈EG〉で働くかたわらジ・オーブで音楽をやり続ける、その自信をもたらしてくれたのもまさに彼らみたいな人たちだった。だからキャリアの早い時点で、俺は彼らみたいな人たちを通じて発見したんだよ。「ほとんどのミュージシャンは音楽が好きだし、だからこそ彼らは音楽を作っているんだ」っていう事実をね(笑)。

通訳:つまりロジャー・イーノさんは、「音楽的な同胞」みたいな存在と?

AP:いや、彼は、ブライアンと並んで、俺からすれば、「こちらからわざわざアプローチする必要はないだろう(それだけ彼らは事足りている)」、そう感じてきた人たちだった。ロジャーが90年代初頭に、他のアーティストたちとコラボレーションしたのは俺も承知していた。あのときは「なんだって、俺は(遠慮せずに)一番乗りして彼と一緒にやらなかったんだ!?」と、われながらちょっとイラついたりした(笑)。
 それが、こうしてやっと、自分たちも素敵な「50代のオヤジ」になったところで、ついに彼にリーチできたわけだ。しかしそこで、ロジャー・イーノと自分が同い年だってことを知ってね。それに彼が実に素晴らしい人間であることも発見した。彼とは、本当にものすごくウマが合ったんだ。
 俺は先月、9月にスペインでDJギグをやったんだけど(註:ユースがスペインのグラナダにあるスタジオで開催したPuretone Resonate Festivalのことと思われる)、そこで俺たちと一緒にガウディ(註:イタリア人ミュージシャンで、ジ・オーブとも長くコラボしている)とロジャー・イーノがキーボードを弾いてくれて。で、その場で聴いていた連中はみんなハッとして、「これって、もしかして新たなピンク・フロイドじゃないの!?」って反応だったんだけど、「あー、またかよ!」みたいな(笑)。でも、あれはやっていてかなり楽しかったね。

[[SplitPage]]

「アンビエントはこういうもの」って風に固まった概念は存在しない。アンビエント・ミュージックというのは「雲」みたいなもので、「これ」というひとつの形状/フォーメイションは定まっていないんだ。

先ほども話に出ましたが、今回は「盟友」ユースさんも参加されていますね。久しぶりの彼との作業はいかがでしたか?

AP:まあ、表立った形でなければ彼とはしょっちゅうやってきたし、お互い一緒に過ごすのはいつも楽しい。そういう間柄なんだよ。さっきも言ったように、あいつは学生時代からのとても古い友人だし、この間の土曜は俺の誕生日だったから(註:この取材がおこなわれたのは10月17日月曜日)、家族と彼がご馳走に連れ出してくれてね。それくらい、彼はもう「俺のファミリーの一員」だってこと。お互いにそうで、俺も彼にとってそういう存在なんだ。
 彼とやる際は、ほんと何もかも、完全にナチュラルだね。対してトマス(トーマス・フェルマン)との作業は、メカニカル/機械的なんだよな。彼はドイツ人だから。ほんと自然にメカニカルになるっていう。それはそれで、かなり素敵なんだ。俺はトマスに対して最上級の敬意を抱いているからね! 彼をリスペクトしているのは間違いないから誤解しないでほしい。その点は、このインタヴューから省かないでもらいたいな。
 ただ、とにかく、あのふたり(ユース&トマス)を一緒に作業させようとすると、大変で。俺としては「あー、まったく! お前ら、どこかおかしいんじゃないのか?」みたいな。ってのも、ふたりともそれぞれに違うスタイルを持つプロデューサーだからさ。
 でも、俺は果敢に彼らとの作業を続けていくつもりだし、できれば来年、ふたりが一緒に参加したアルバムを出せればいいなと思っているよ。そこにはロジャー・イーノなんかも含まれるだろう。っていうか、俺たちもう、(ジャー・)ウォブルとは1曲作ったんだよな。それは、このアルバムには収録されなかったんだけども。

通訳:やはり、ダブっぽいトラックなんですか?

AP:そのとおり。ただし、ダブとは言っても、俺たちがリー“スクラッチ”ペリーとやった時のような、あそこまでラディカルなダブではないんだけどね。ウォブルは、ああいうことをやるにはまだちょっと早い、そういう状態だと思うし。それでも、もっとぐっとベーシック・チャンネル的で、よりヘヴィでアトモスフェリック。そういうダブだね。サイエンティストみたいな。

通訳:お話を聞いていると、あなたの旧友たちが再び集まって音楽ギャング団を組んでいるようです。

AP:たしかに、そうだよな。でも、それにしたってやっぱり「やってもいいじゃん?」という。ってのも、あいつらは俺の友人なんだし。お互いに長いこと知り合いでもある。ここ数年、俺はジ・オーブで活動するかたわら他の連中の手伝いも色々とやってきたわけだしさ。
 今年の夏、俺たちはブリクストンで1枚めのアルバムの25周年記念ギグをやってね(註:7月29日開催、「THE ORB - ADVENTURES BEYOND THE ULTRAWORLD - 25th Anniversary show / Performed Live in Full with the original family」と題されたショウ。このロンドン公演の成功を受け、同主旨のUKツアーが11〜12月にかけて予定されている)。その際、俺はあのファースト・アルバムに参加してくれたソングライターたちを招いたんだ。あれは素晴らしかったよ! 本当に良い体験をさせてもらったな。あのショウをやったおかげで、俺とトマスのふたりっきりというのではなく、大勢の人間をステージに上げてライヴをやるってアイデアに再び夢中になっているくらいなんだ。だから、そこは今後考えるべき課題だな、と。 俺は明日からアメリカ入りで、トマスとふたりでアメリカ・ツアーを回るんだけど、「自分たちがいつもやるようなことは、これからはやらないだろう」と、そこは分かっているというか。でも、それがどういうものになるか、はっきりしたヴィジョンは自分にもまだ見えていないから、今の時点ではここまでにしておくよ。
 とにかく、今はエキサイティングなタイミングだよ。ってのも、俺たちはこうして実に良い、本当に良いアルバムをモノにしたところだし。自分たちが思うに、俺たちのファンにとってかなりエモーショナル、かつ心に触れる作品なのはもちろんのこと、長年のジ・オーブのファン以外の層にも感動をもたらすものなんじゃないか? と。
 その点、俺にはひそかに分かっていてね。というのも、この夏、俺はフジ・ロックのキャンドル・ステージ(註:ピラミッド・ガーデンのこと)で演ったセットで、このアルバムからの曲をいくつかプレイしたんだよ。あれは土曜の晩で、深夜12時から2時までの時間帯だったな。で、とある曲をプレイしていたとき、ふとオーディエンスを見渡したら、その曲が広がっている最中に、とある若者の姿が目に入ったんだ。彼は涙を流していてね。音楽のピュアなエモーションに揺さぶられて、彼は泣いていたっていう。
 それを見た瞬間、俺も「このアルバムは、かなりエモーショナルなものになるぞ!」と気づいた。あの光景を見ることができたのは素敵だった。っていうのも、誰もが自分自身のエゴや感情だのに何らかの形で対処しないといけないわけだけど、音楽はそのためのひとつの手段を与えてくれているわけで。あの泣いている若者を見て、音楽というのは唯一の……いや、ほかにも色々とやり方はあるだろうけれども、そうやって感情を解放させてくれる自然なパワーを誰かにもたらす、数少ない何かのひとつなんだと分かったから。

今回のアルバムは、アンビエントといってもサイケデリックな感覚は希薄で、とても美しい音のつらなりながら、どこか地球そのものに寄り添っている、オーガニックで自然とシンクロした音作りに感じましたが……。


The Orb
Cow / Chill Out, World!

Kompakt/ビート

Ambient

Amazon Tower

AP:うんうん。この質問、すごいね。とても良い解釈だよ。俺たちとしては、この作品をサイケデリックな側面からは引き離しておきたかったんだ。いわゆる「サイケ・トランス」みたいなノリ、それはウウゥ〜ッ! ごめんだな、と。俺とトマスのふたりには、そういうのは必要ないからね。俺たちの趣味じゃないんだよ。
 じゃあ俺たちがクリエイトしたのは実際何なのかと言えば、ヒップホップのベーシックな要素がまずあって、それらをアンビエントな世界に引っ張ってきて、その上で(ヒップホップの)ビートの要素を切り捨ててしまったものである、と。でもそこには独自のリズムがある。そこにちょっとした心地よい響きだのを色々と振りかけてある。繰り返しになるけれども、アンビエント・ミュージックというのは周到に考えて作るものではなく、偶然出くわしたものから生まれるんだよ。あまりに素晴らしくて無視するわけにはいかない、そういう事柄に出くわすことはたまにあるわけでさ。その意味で俺たちは今回非常に運が良かったんだよ。俺たちはまず、1曲めの“ファースト・コンサイダー・ザ・リリス”からスタートしたんだ。ちなみにあの曲は、女性解放運動について触れたものでね。リリーというのは、古代神話において最初の女性解放運動者とみなされている存在なんだ(註:アダムの妻とされるリリスのことか?)。
 あの曲では本当にラッキーだったんだ。あれは、いわゆる「昔のジ・オーブっぽい、12分台の大きなエピック」みたいなものになりつつあったけれど、そこは俺たちもトーン・ダウンしようと思った。俺たちのどちらも、ああいう曲は聴き手をアルバムの中に引き込むのにすごく良いんじゃないか、そう考えたんだ。たとえば(『オルヴス・テラールム』の)“プラトー”みたいにね。

かつてのサイケデリアとは違うこの作品を聴いて、あなたがたの「アンビエント観」に大きな変革が起きたのでは? と思ってしまいましたが、いかがでしょうか?

AP:アンビエント・ミュージックというのは間違いなく変わってきた。俺が今「最高だな」と思うアンビエント・ミュージックは、〈コンパクト〉の出している「ポップ・アンビエント」シリーズに見出せるね。あのシリーズに含まれているアーティストたち、たとえばあのシリーズの2作めに入っているノヴィサッド(Novisad)なんか、他にないくらい最上に美しいギターの調べが聴ける曲だ(註:“Sommersonnenschein”と思われる)。
 そんなことを知っているのも、俺の〈コンパクト〉というレーベルに関する知識、そして彼らに対して抱いているリスペクトを示す良い例だよね。ウォルフガング・ヴォイトが「ポップ・アンビエント」というシリーズを企画していること、そうやって彼が自分の主義を20年も守り通している点を俺はリスペクトしているんだ。それってアメイジングなことだよ! 本当に驚異的だ。それに彼がGASみたいなプロジェクトをやっていること。GASとしての1枚めに収録されている1曲めは、21世紀アンビエント音楽の(いや、90年代発表だから20世紀後半のアンビエント・ミュージックってことになるけど)、そんな基準のひとつになるトラックだと思う。だから、あれは21世紀のアンビエント・ミュージックの可否を判断する。その基準になっている。
 それとウールフ・ローマン(Ulf Lohmann)というアーティスト。彼も〈コンパクト〉発で非常に良い音楽をやっているよね。ほかにも色んなレーベルに良いアクトが散らばっていて、メタモノ(Metamono)とか、色々ね。あと、ダニエル・ラノワのアルバムもチェックしてみるべきだと思うよ。あれも実に良い作品だから。
 だから「アンビエントはこういうもの」って風に固まった概念は存在しない。アンビエント・ミュージックというのは「雲」みたいなもので、「これ」というひとつの形状/フォーメイションは定まっていないんだ。だからこそ、次にどんな形をとるのかも決して分からない。アンビエント・ミュージックは、そうあるべきなんだ。アンビエントは、ポップ音楽メディアにはどうしたって分析不可能なものなんだよ。そもそもポップ・ミュージックじゃないからさ!
 だから「チル・アウト」でもいいし、「リラクゼーション」だとか、「ラウンジ・ミュージック」とか、そういうあらゆる類いの語句を用いて音楽を形容し、分類箱にフィットするようにそれらを使うことは可能だけれども、だからといってアンビエントを分析したことにはならないわけ。たとえば、あのゾッとするようなひどい言葉……「ニューエイジ」ってのがあったけど、あれなんて今や死に絶えたわけだよね? まったく神様ありがとう! ってなもんだよ。ここであの言葉を持ち出しちゃったのは俺自身だよな。あーあ、言わなきゃ良かった!

「ノー・サンプリング」と発言されていますが、サンプリング風に聴こえるループなどは、自分たちで演奏されたものですか?

AP:(小声で)やろうと思えば、やれたかもね? うん、やろうと思えばやれた。だから俺たちからすれば、他のドラムなりのちょっとしたサンプル音源からあれらのループをまとめるのはかなり楽にできる。そうやって、「それ」とは想像もつかない、同じようには聞こえないループを作ることができるわけだ(笑)。
 ああ、でもひとつだけ、あまりにミエミエなものがあってね。〈コンパクト〉から注文されたのも唯一それだったんだよ。「お願いですから、このループは外してください」って言われた(笑)。でも、それ以外はすべて「Okely Dokely!」(註:アニメ『ザ・シンプソンズ』のキャラであるネッド・フランダースのキャッチフレーズ)(笑)。OK、他はすべてオーライ、大丈夫、と。

通訳:なるほど。あなたがたは、いわゆる「マイクロ・サンプリング」で有名なので、今回はどうなのかな? と思ったんです。

AP:それがまさに前作『ムーンビルディング』において、俺たちが4年にわたって潜ってきた「愛/憎」のプロセスだったんだ。「マイクロ・サンプリング」というテクニックについての、ね。
でも、マイクロ・サンプリングは、やっていて楽しいんだよ。“リトル・フラッフィ・クラウド”(1990)を作ったときとなんら変わりはない。ただ、“リトル・フラッフィ・クラウド”では、8小節分をサンプリングさせてもらった。そこだけが今と違うってこと。あそこからは教訓を学んだよ。「我々の手にはサンプルを使うテクノロジーがある、だったらなんでその事実を無視しようとするんだ?」という。その一方で、「レッド・ツェッペリンみたいな古いロック・バンドのようにプレイし続けてほしい、そういうのを恋しがる声が存在する」なんて言う人もいるけど、「未来のテクノロジーがあるのになんで?」と思う。俺としては「んなことないだろ!」と。
 マイクロ・サンプリングってのは本当にもう、やっていて楽しい行為なんだよ。だから、一緒に作業するためにスタジオに来てくれたミュージシャン相手にあれをやると、みんなニッコリ嬉しそうに笑ってくれる。かつ、その結果を聴いてとても喜んでくれるオーディエンスたちもたくさんいる。というわけで、マイクロ・サンプリングというのは、運良く「見つからず」に済む限り、俺としては続けるのは一向に構わない。そういう作業だね。俺からすれば「いっちょ上がり!」だ。

通訳:なるほど(笑)。

AP:でもさ、来年で、ジ・オーブも28歳なんだぜ? それってクレイジーだよな。「俺たちはもうじき30歳になります」って。そういう風に考えた方が、実年齢を考えるよりいいよ(苦笑)。

通訳:その長い歳月の間、あなたたちはうまくバレずにやってのけてきた、と。

AP:それはもう、俺たちのすべてにおいてだよ! ただ、俺にはそもそも失うものもないから、別に問題じゃない、と。

[[SplitPage]]

そこがテクノロジーの「美しさ」なんだよ! それを使って遊んでみようと思えばみんなにやれる。誰にでも与えられたものなんだ。別に俺にしかできないことじゃない。誰にだってやれることなんだ。


The Orb
Cow / Chill Out, World!

Kompakt/ビート

Ambient

Amazon Tower

フィールド・レコーディングされたと思える環境音がたくさん使われていました。水の音や鳥の声など、本当に心地よく聴きました。環境音はアンビエント・ミュージックにどういった効果を与えるものとお考えですか?

AP:あー、そこね。たとえば自分の家の庭に目をやるとするよね。これが日本だと、よっぽどバカみたいに大金持ちでもない限り、いわゆる「ガーデン」は持てないんだろうけど……。
 でもまあ、俺の家は庭付きで、すごく良い飼い犬もいて、スズメもたくさん飛び回っているし、お隣にはキツネも来るって具合なんだ。野性動物や自然が常に俺の周囲を飛び交っている。それに今年は、庭のもっとも大きな樹の一本にアオガラ(註:スズメ目。イギリスの庭でよく見られる小鳥の一種)が巣をかけて、ヒナたちを育てているっけ。
 で、俺はそういった環境音をサンプルとして拾い、その小さな断片をアレンジの中に散りばめているんだ。たとえば「プルップッ・プップップッ……(と、汽船の煙突が発するようなサウンドを口真似する)」という感じの水音は、あれは、俺が庭の池で飼っている魚を録ったものなんだ。あれは鯉とまではいかないんだけど、金魚だね。とてもサイズの大きな金魚。でも、見た目はほとんど鯉に近い。
 俺はあの手のアンビエントなノイズには目がないんだよ。自然に存在するナチュラルなノイズにね。このアルバムで、ある曲で使ったサンプルには、他にも面白いものがあって。それは俺たちがイスタンブールのレストランでメシを食っている時の様子を録音したものだったりするし。
 というのも、その場のアンビエンスが素晴らしくて非常に豊かなものだったんだよ。テーブルがあって席についた。そのテーブルの上には水が流れていた。噴水みたいなものが据えてあった。しかもギター奏者が音楽を演奏していて、まわりの人間たちがトルコ語で会話する様子も盛んに聞こえてきた。とても雰囲気が強力だったんだ。だからそうしたアンビエンスをすべてピックアップして、音楽に含めた。

通訳:そういった環境音は、どのような役割を担っているのでしょうか。

AP:その曲のイントロみたいな存在だね。アート・オブ・ノイズのアルバムみたいな感じというのかな。彼らは導入部とエンディングを作り出すのに長けていたし、俺たちもユニットとして長い間、かなり学んできた。だから、これまたさっき話したようなことで、瞬間的に反応するんだ、このスマートフォンでね。今こうして君と会話するのに使っている、このスマートフォンを使って、環境音のサンプル音源、アルバムで使ったものをすべて録ったんだ(笑)。
 そこがテクノロジーの「美しさ」なんだよ! それを使って遊んでみようと思えばみんなにやれる。誰にでも与えられたものなんだ。別に俺にしかできないことじゃない。誰にだってやれることなんだ。そうやって自然に生まれたものをとっさに捉えることができる。しかもその上に、さらに音楽をクリエイトして重ねていっても、そこに独特なアトモスフィアをもたらしてくれる。そこはまあ、「誰にでもできる」芸当ではないかもしれないけど。
 でも、そういった色んな音を収めた、ほかの人間に使ってもらうためのアルバムもあるからね。2、3年前にキャロライナ出身の人に会ったことがあるけど、彼はこれまでの生涯かけてずっと、昆虫の出す音を収集してきたそうだ。その目的は、いつの日にか昆虫のあの「キッキッキッキッ……!」みたいな啼き声の数々を使ってアンビエントな昆虫ノイズを作り出すこと。で、それらをリズムに作り替えて、レコードにしたいんだそうだよ。俺はそれを聞いて、「はぁ?」みたいな、「……そりゃヘンだな!」と思ったっけ(笑)。

たしかに(笑)。「声」といえば、2曲め“ワイヤレスMK2”、3曲め“サイレン33 (オルフェ・ミラー)”など、アルバム中、ときおり挿入される「声」は、誰の「声」ですか? あなた自身の声ですか?

AP:いやいや、俺の声じゃないよ。あれはどちらも、ユーリ・ガガーリンに話しかけているコメンテーターの声。だから、彼が初めて宇宙に行った時にどんな気がしたか? とか、そういうことを訊ねている。けど、あの「声」はなんというか、宇宙へのリファレンスでもある。面白いものだからね、宇宙ってのは。

また、「声」を散りばめた理由なども教えてください。

AP:人間の声に備わったトーンには、とてもエモーショナルなものがあるしね。それに、この作品の中にはドイツ語のユーモアすら、ちょっとばかり含まれていてね。ドイツ人にしか通じないユーモアがあるっていう。ところが、今のところまだ誰もそれに気づいていないんだよね! 今回はまだドイツ人相手のインタヴューは1本もやっていないから、彼らが気づいてくれているのかどうか、俺にも分からないんだけどさ。ってのも、ドイツ人は決して「ユーモア精神が旺盛な人々」としてよく知られている、とは言えないし。だからたぶん、彼らにもあのユーモアは通じないんだろうなぁ(爆笑)。

通訳:えーっと、トマスさんは?

AP:(即答して)彼はスイス人。

(笑)。では話を変えて:4曲め“4am エクスエール(チル・アウト・ワールド!)”の冒頭は、何か動物の鳴き声でしょうか?

AP:それは、聴き返さないと分からないかもしれない(笑)。動物? 鳴き声? サウンドをオフにしたところだったから音を出して聴いてみよう。この電話がかかってきたとき、ちょうどセット・リストを組んでいたところだったから。えーと……よし、“4am エクスエール”の冒頭の部分だよね?(トラックを流してしばし耳を傾けている)……この「ンンンンン〜ムムム〜……」みたいな音のことかな?
 でも、そうじゃないんだ、それだとあまりにミエミエだろ! そうじゃなくて、これはシンセ・ノイズ。シンセを使ってこの雰囲気を作り出している。

このアルバムのテーマは「動物たち」では? と思ってしまいました。いかがでしょう?

AP:特にそれはないな。ただ、今そう言われたのはなんともおかしいな。ってのも、ちょうど庭を眺めていたところなんだけど、うちの犬が寄って来て窓ガラスに頭をくっつけてきてさ。まさに「動物」だよな、フム……みたいな。でまあ、俺は彼女(=飼い犬)から実に多くのことをやるインスピレーションをもらっている、というか。一緒に散歩して健康を維持する、というだけではなくてね。とにかく参るよ、ほんとに愛らしいんだから! 彼女は実に可愛いい犬だよ(と、携帯のカメラでスナップを撮っている模様)。次のアルバムのジャケット写真はこれで決まりだなぁ、悪いけど(親バカめいた口ぶりに、少々照れくさそうに)。
 ともあれ、自然のサウンドに対する強い願望というのは、自分の中に常に存在してきたものなんだ。君はさっき『チル・アウト』を引き合いに出していたけれど、ここのところ俺が話をしてきた人々の多くはまた、ジ・オーブの最初のシングル「ア・ヒュージ・エヴァー・グローウィング・パルサティング・ブレイン」に似ているとも指摘してくれている。ほかにも俺たちがロバート・フリップと作った『FFWD』というアルバムがある。あれは「現在入手不可能」みたいな作品なんだけど、ダウンロードで入手した人だの売買している人はいて、要するに世間には流出している。
 それらを聴けば、あのアルバムとKLF、“ラヴィン・ユー”、そして『チル・アウト』との間の類似性がわかると思うよ。だから『チル・アウト』と『チル・アウト,ワールド!』だけではなく、ほかにも近いものはあるってこと。それに、“ア・ヒュージ・エヴァー~”は、ジミー(・コーティ)と作った曲だしね。で、ジミーは『チル・アルト』を、俺とビル・ドラモンドと一緒に作ったわけで。

本作をどういったシチュエーションで聴いてほしいとお考えですか?

AP:フロート・タンク(アイソレーション・タンク)の中(笑)。じっさい、この作品を自分で聴き返していても、とても魅力的だ。俺からすれば「ビートのないヒップホップ」、そういう世界に連れて行ってくれるもので、ある種、未来的だ。「チル・アウト、マン!」、「落ち着けよ!」と言っているんだ。タイトルも含めてこの作品で俺が意味したのもそういうことで、フロート・タンクを買って半分水に浸かった状態になるのもいいだろうし。あるいは泳ぎに出かけて、スパに行くのでもいい。チル・アウトしようぜ、と。日本はそこらへんが優れているよね、スパがたくさんあってさ。で、スパにのんびり浸かりながら、小型のBOSEスピーカーを通して音楽に耳を傾ける。でも、本当にチル・アウトして頭を冷やしてもらいたいのは、俺にとってはアメリカだね。どうもあちらは、ちょっとクレイジーな状況になっているみたいだし。でも、アメリカからはアルバムに対してとてもポジティヴな反応をもらっているんだ。

通訳:チル・アウトが必要だと、彼らも承知しているからかもしれませんね。

AP:確かに必要だろうね。でも、今起きている事態というのは何も一般大衆のせいではないんだよ。どうしてああなっているのか、その原因の先入観めいたものを俺たちは抱いているわけだけど、それは日本人に対する誤解と少し似ているかもね。基本的に人々はマスコミの報じることをキャッチしているだけ。だから誤解も生まれるけど、俺は日本に何度も行ったことがあるし、日本がどういう国かも理解している。とても素敵な日本の人たちにたくさん出会ってきたからね。っていうか、俺たちイギリス人だって日本人みたくなれるはずなんだけどね。もしも俺たちが右翼な政府からひどく抑圧されてさえいなければ、の話だけど。言うまでもなく、奴らのせいでまたひどいことになっているし。

通訳:日本も右寄りな傾向を高めているようで、世界的な風潮かもしれません。

AP:そうだね、だから1ヵ所だけの話じゃない。ジェレミー・コービン(註:現イギリス労働党党首)は右翼サークルから相当嫌われているしね(笑)。彼はガチガチの左翼人だし……今どき、大したもんだよな! 新たな社会主義者っていうよりむしろ新共産主義者めいていて、ありゃかなり変わっているよ。

本作はどこか人間へのレクイエムのようにも聴こえました。そこで、本作を感情に例えると、どのような状態だとお考えですか?(嬉しい? 悲しい? もしくは怒っている?)

AP:まあ、アルバムのタイトルがすべてを言い表していると思うけどね。これは「アンチ・プロテスト音楽」みたいなものであって。だから状況に対して「怒る」のではなく、そうした思いが頭の中に入り込んでこないようにする。さまざまなことにイライラさせられないようにしようと。そんな風に苛立つのは、誰にとっても良くないよって。
 今の政治家たちっていうのは、人々を怒らせることで、実際に何が起きているのか彼らに見えなくさせてしまう。その術に非常に長けている。だから政治においては、何がなんだか分からない混乱の世界が生まれているんだ。それを始めたのは15年前のプーチンで、以来、世界中の政治が分裂している。あれはちょっとばかし怖い話だね。それこそもう投票で政権を握った人間が、こっちが思っていたものとは違う何かに、「えっ?」と思うようなものに変化してしまう。「こいつら、いったい何をやっている?」と感じたね。投票してくれた人間にあんなことをさせるなんて、連中のやり方は間違っているよ。

通訳:状況に対してあなたは悲観的なのでしょうか?

AP:まあ、国連の全メンバーにこのアルバムを送りつけるのは悪くないアイデアなんじゃないかな? そうすれば彼らも何かしら恩恵を受けるんじゃないかな。今の質問に対する答えはそういうことにしておこうか。で、EUの全メンバーを知っている連中に、確実に最初に送りつけるようにしよう、と(笑)。

本作を作るにあたって、音楽以外で、イマジネーションのソースになったような本、映画などはありますか?

AP:あー、そりゃもう、俺の犬!

通訳:そうなんですか!(笑)。

AP:いや、これはかなりマジな話、そうなんだ。彼女の遠吠えは世界一だよ。彼女はワンワン吠えたりしない犬でね。アラスカン・マラミュート種なんだけど。ネットで調べてごらん。シベリアン・ハスキーに少し似ていて、ああ、日本にもこれとかなり似たタイプの犬がいるはずだよ。かなりの大型犬で、うん、ほんとデカい。で、彼らはアラスカの原住民たちとともに棲息してきたっていう。だから、マイナス40℃くらいの気候だとハッピーな種、っていう。

アルバム名にもなっている「牛」は穏やかで、とてもアンビエント的な動物ですよね。では、逆にアンビエント的ではない動物とは何になるでしょうか?

AP:非アンビエントな動物ねぇ。インドネシアのバリにいるオスのボスザル。あいつらはかなり攻撃的だな。剥き出した歯もデカイし、鼻面も大きくて。

通訳:人間に襲いかかったりもするんですか?

AP:どうだろう? 野性状態だったら、そういうケースもあるんじゃないかと思うけど。それくらい歯も立派にデカいし。バリに行ったときに、一度見かけたことがあってね。奴は家の屋根のてっぺんから、俺に向かって威嚇してきたんだ。「ウギァァァァァァァ〜〜ッ!!」ってもんで。で、屋根から飛び降りてきて俺を見上げて、なんというか、ガンをつけてきたんだ。でも、すぐクルッと後ろを向いて、俺にケツを見せつけたっていう。こっちは「……ありがとさーん!」みたいな。

通訳:そのサル、あなたが本当に気に食わなかったんでしょうね。

AP:(笑)。うんうん、相手にタフに向かう、と。それってもう、「なんだ、マザーファッカーな野郎が来たようだな。おい、俺の縄張りで何してやがるんだ?」みたいな(笑)。

通訳:あなたがウェスト・ノーウッドにあるブック・アンド・レコード・バーというショップ(古本とアナログを販売するカフェ)で、あなたがDJをやっているというのを知って、いつか行きたいなと思っています。

AP:DJを聴きたいなら、WNBCのラジオを聴いてもらうのが早いんじゃないかな(https://www.mixcloud.com/wnbclondon/stream/)? もちろん、あの店に君が来てくれるのは歓迎だよ。ラジオ・ショウは毎週やっているんだけど、これから俺はアメリカ・ツアーだから、しばらく欠席になるね。

通訳:毎月第一土曜日あたりに、あなたはあのショップで生DJを披露しているんですよね。

AP:いや、あれは日曜。夏季限定のイベントで、「ケーキラボ(Cakelab)」ってタイトル(註:手作りケーキが供されるDJイベント)。でも、あれはもう終了したんだ。ってのも、夏も終わって寒くなってきたし、寒い屋外で、座ってケーキを食べながら音楽を聴いたって楽しくないだろ(笑)?
 で、俺たちが次に企画しようとしているのは「フィルムラボ(Filmlab)」ってイベントでね。たぶん、この冬の間に3回くらいやれればいいなと思っているけど、あの店内で俺たちのお気に入りの映画を上映するっていう。上映用のスクリーンもあるから、ばっちりセットアップできるだろう、と。だから、WNBCのウェブサイト(https://wnbc.london/)にアクセスしてくれれば、いずれその上映企画に関するインフォもアップされるんじゃないかな。
 今、俺たちがやろうとしているのは昔っぽい新聞を作りたいな、と。その月に俺たちが企画しているイベントをすべて、見開きのニュース・リーフレットみたいに仕立てたいな、と。オールド・スクールだけど、形式はPDFのニュー・スクールという。そんなわけで、実際あのショップに足を運んでくれるのもいいし、でも、ラジオは24/7で聴けるから。
 そこを聞いてもらえたのは嬉しいね。ってのも、俺はインタヴューを受ける場面で「自分はこの、ロンドンのラジオ局で放送しています」って点について触れるのが好きでね。日本からのリスナーも多いし、そこで、俺はアンビエント・ミュージックをたくさんプレイしているからさ!
 まあ、俺のやるライヴ・セッションは大概(イギリス時間で)木曜の深夜12時から朝6時にかけて、みたいなスケジュールだから、それって日本のリスナーからすればかなり奇妙だろうけどね。もろに日中の時間帯だから。朝まで踊っていてアンビエントで休みたいって手合いのクラバーにはいいだろうけど、そうじゃないと、「ええっ?」みたいな(笑)。

Oneohtrix Point Never - ele-king

 昨秋リリースされた『Garden Of Delete』の昂奮も冷めやらぬなか、年明け早々にジャネット・ジャクソンをドローンに仕立て直したかと思えば、ハドソン・モホークとともにアノーニのアルバムをプロデュースしたり、DJアールのアルバムを手伝ったりと、ダニエル・ロパティンの創作意欲は留まるところを知らない。そのOPNがまた新たな動きを見せている。
 昨年公開された“Sticky Drama”のMVもなかなか衝撃的な映像だったけれど、このたび公開された“Animals”のMVもまた、観る者に深い思考をうながす内容となっている。近年は過剰な音の堆積でリスナーを圧倒しているOPNだが、彼はもともとアンビエントから出発した音楽家である。そのことを踏まえてこのヴィデオを眺めてみよう。このMVは「ベッドルームとは何か?」という問いを投げかけているんじゃないだろうか?
 監督はリック・アルヴァーソン。主演はヴァル・キルマー。以下からどうぞ。

https://youtu.be/1UztCDH2xuQ

ONEOHTRIX POINT NEVER
ヴァル・キルマー主演の最新映像作品「ANIMALS」を公開

エクスペリメンタル・ミュージックからモダンアート、映画界まで活躍の場を広げ、熱狂的な支持を集めるワンオートリックス・ポイント・ネヴァーが、2015年に発表し、賞賛を浴びた最新作『Garden of Delete』から、作品の核となる楽曲「Animals」のミュージック・ビデオを公開した。

Oneohtrix Point Never - Animals (Director's Cut)
YouTube:https://youtu.be/1UztCDH2xuQ
公式サイト:https://pointnever.com/animals

Val Kilmer

Directed & Edited by Rick Alverson
Story by Daniel Lopatin & Rick Alverson

Ryan Zacarias - Producer
Drew Bienemann - DP
Alex Kornreich - Steadicam
Julien Janigo - Gaffer
Paulo Arriola - 1st AC
Jess Eisenman - HMU
Dan Finfer - Home Owner

ロサンゼルスで撮影された本映像作品は、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーことダニエル・ロパティン原案のストーリーを元に、映像作家リック・アルヴァーソンが監督を務め、映画『トップガン』や『ヒート』、『バットマン・フォーエヴァー』などで知られる俳優ヴァル・キルマーが主演している。

また本作品は、現在ロサンゼルスのアーマンド・ハマー美術館にて開催中のアート展『Ecco: The Videos of Oneohtrix Point Never and Related Works』のオープニング・イベントにて10月18日にプレミア上映された。

ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーは、『Garden of Delete』をリリース後も、人気ファッション・ブランド、KENZOのファッション・ショーにて、ジャネット・ジャクソンの「Rhythm Nation」をアレンジした160人による合唱曲を披露し、マーキュリー賞にもノミネートされたアノーニのアルバム『Hopelessness』をハドソン・モホークとともにプロデュースし、ツアーにも参加するなど、ますますその活躍の場を広げている。

label: WARP RECORDINGS / BEAT RECORDS
artist: ONEOHTRIX POINT NEVER
title: Garden of Delete
ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー / ガーデン・オブ・デリート
release date: NOW ON SALE

国内盤CD BRC-486 定価 ¥2,200(+税)
国内盤特典:ボーナストラック追加収録

[ご購入はこちら]
beatkartで購入:https://shop.beatink.com/shopdetail/000000001965/
amazon: https://amzn.to/1NbCrP4
tower records: https://bit.ly/1UodWT0
HMV: https://bit.ly/1LVZJIv
iTunes: https://apple.co/1NOGOj3

Tracklisting
1. Intro
2. Ezra
3. ECCOJAMC1
4. Sticky Drama
5. SDFK
6. Mutant Standard
7. Child of Rage
8. Animals
9. I Bite Through It
10. Freaky Eyes
11. Lift
12. No Good
13. The Knuckleheads (Bonus Track For Japan)

Bonnie 'Prince' Billy - ele-king

 ケンタッキー州はルイヴィル出身。ボニー・プリンス・ビリーの名称以外にパレス・ブラザーズ、パレス・ソングス、パレス、パレス・ミュージック、ひいては本名のウィル・オールダム名義で着々と出しつづけた音盤を、私なぞ日々くりかえしくりかえし聴きつづけてきたせいで干支がひとまわりするまでナマの彼を拝んでいなかったとはにわかに信じられないが来日公演は12年ぶりである。
 米国インディの中堅どころでありフォークロアをたっぷり吸った歌心をもつ楽曲がどこか輪郭がひしゃげた聴き心地なのは、その風貌のせいもあるとの意見を否定するつもりはありませんが、それをしのぐ音楽のナゾめいたものがボニー・プリンス・ビリーの音楽には秘められている、それを確認するかっこうの機会だろう。さらに今回は新作『Epic Jammers and Fortunate Little Ditties』〈Drag City〉を共作したビッチン・バハスが帯同するという。トータスしかり〈オネスト・ジョンズ〉からのトレンブリング・ベルズとの共作しかり、コラボレーターとしても無類の柔軟性と順応性をみせるボニー・プリンス・ビリーが在シカゴのクラウトロック・バンドとどのようにわたりあうか、フリーフォーキーな弾き語りとハルモニア的な天上のドローンとが重なり合い、アシッドでありながらときにローリー・アンダーソン風のアヴァン・ポップ(おもに“You Are Not Superman”の印象です)を思わせる新作に耳を傾けつつ、首を長くして待ちたい。(松村正人)

Bonnie 'Prince' Billy & Bitchin Bajas Japan Tour 2016
ボニー・プリンス・ビリー&ビッチン・バハス ジャパン・ツアー2016

10月26日(水)京都 アバンギルド(075-212-1125)
京都府京都市中京区木屋町三条下ル ニュー京都ビル3階
出演:ボニー・プリンス・ビリー、ビッチン・バハス、風の又サニー
開場 6:30pm/開演 7:30pm
料金 4,500円(予約)/5,000円(当日)*ドリンク代別

10月27日(木)金沢 アートグミ(076-225-7780)
石川県金沢市青草町88 北國銀行武蔵ヶ辻支店3階
出演:ボニー・プリンス・ビリー&ビッチン・バハス、ASUNA quintet(ASUNA+宇津弘基+黒田誠二郎+ショーキー+加藤りま)
出店:喫茶ゆすらご
開場 7:00pm/開演 7:30pm
料金 3,500円(予約)/4,000円(当日)/2,500円(学割)
*学割:学生証など証明となるものをご持参ください。

10月28日(金)名古屋 KDハポン(052-251-1324)
愛知県名古屋市中区千代田5-12-7
出演:ボニー・プリンス・ビリー、ビッチン・バハス、Gofishトリオ(テライショウタ+黒田誠二郎+稲田誠)
開場 6:30pm/開演 7:00pm
料金 4,500円(予約)/5,000円(当日)/3,500円(学割)*ドリンク代別
*学割:学生証など証明となるものをご持参ください。

10月29日(土)東京 O-Nest(03-3462-4420)
東京都渋谷区円山町2-3 O-Westビル6階
出演:ボニー・プリンス・ビリー、ビッチン・バハス、井手健介と母船(墓場戯太郎+清岡秀哉+石坂智子+山本紗織+羽賀和貴+岸田佳也)
開場 6:30pm/開演 7:00pm
料金 5,000円(予約)/5,500円(当日)*ドリンク代別

10月30日(日)東京 7th FLOOR(03-3462-4466)
東京都渋谷区円山町2-3 O-Westビル7階
出演:ボニー・プリンス・ビリー&ビッチン・バハス with 馬頭將器(The Silence / ex: Ghost)、ダスティン・ウォング
開場 6:30pm/開演 7:00pm
料金 5,000円(予約)/5,500円(当日)*ドリンク代別
チケット:予定枚数が終了しましたので、予約受付を終了いたしました。当日券の有無につきましては、公演当日、会場に直接お問い合わせください。

企画・制作:スウィート・ドリームス・プレス
(詳細は以下をご参照ください)
https://www.sweetdreamspress.com/2016/08/bonnie-prince-billy-bitchin-bajas-japan.html

Jameszoo - ele-king

 〈ブレインフィーダー〉の勢いが止まらない。
 ジョージ・クリントンと契約を交わしたことでも話題沸騰中の同レーベルだが、5月にリリースされたジェイムスズーのデビュー・アルバムも、後世に長く語り継がれることになるだろう珠玉の1作である。まだフローティング・ポインツほどの知名度はないけれど、少なくともそれと同等か、場合によってはそれ以上のポテンシャルを秘めたオランダ出身の青年――それがジェイムスズーことミシェル・ファン・ディンサーだ。
 この期待の新星が、なんと11月に来日しちゃいます。11月25日(金)@CIRCUS TOKYO、11月26日(土)@CIRCUS OSAKA。ちなみに両公演にはSeihoも出演予定とのこと。
いまのうちに彼のパフォーマンスを堪能しておけば、将来お友だちに自慢できますYO!

〈Brainfeeder〉の現在の勢いを体現する怪作にして、
ジャズとエレクトロニック・ミュージックとを融合した音楽の1つの頂点ともいうべき傑作
『Fool』をリリースして大注目のJAMESZOO来日公演が決定!!

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184