「PAN」と一致するもの

Panda Bear - ele-king

 リリースから3か月遅れのレヴュー。なので好きなひとはとっくに聴いておのおの感想を持っていることだろう。聴いてないひとは、パンダ・ベアが嫌いか,もう彼の表現に興味を持てないか、飽きたか、もしくは生活のなかに取るに足らない、役に立たない、無用な喜びを見出さないひとかもしれない。しかし彼のまったくぶれない夢想癖が好きなひとにとっては、じつはこの『Panda Bear Meets The Grim Reaper』以来、6枚目のソロ・アルバム『ブーイ』はけっこう良かったりする。評判の良かった『Panda Bear Meets The Grim Reaper』と『Tomboy』よりも、ぼくは新作のほうが良いと思っている。昨年、最初に“Dolphin”を聴いたときにそう思った。

 オートチューンを使って昨今のR&B/ヒップホップの影響を取り入れているからではない。パンダ・ベアの作品を特徴付ける音のがちゃがちゃした感じ、空間を埋めたがるやかましい感じが綺麗に整理されて、より奥行きのある音像になっているのがひとつ、で、もうひとつの長所はメロディラインが良い。音響工作にに関しては、思うに、前作でダブを意識したとはいえは、キング・タビーの最小限の音による広がる空間とはほど遠いダブをやったパンダ・ベアも、いやまてよ、ダブにはもっと空間(スペース)とミニマリズムが必要であると気がついたのかもしれない。
 アルバムは、“Dolphin”に続く“Cranked”と“Token”も良い流れになっている。

 この2曲にも魅力的なメロディがあるわけだが、本作のひとつのスタイルが明らかになっている。それはアコースティック・ギターと歌を基調にし、サンプル音か電子音が控え目にミックスされるというシンプルな構造だ。それはフリー・フォークと括られた時代の、在りし日のアニマル・コレクティヴを思い出させるかもしれないが、『ブーイ』に収録された9曲は1曲1曲が成熟している。
 なるべく良い音響再生装置で聴いて欲しいというのが〈ドミノ〉からのリクエストのようだが、それはたしかで、間違ってもPCやイヤフォンで満足しないように。なるべく大きな音量で、独立したスピーカーから音を出そう。わかっていると思うけど、パンダ・ベアの音楽に自己救済なんて求めても無駄。たとえあなたが窮していようとも、空想力で楽しいことや嬉しいことで頭を満たして、ただただ純粋に楽しめば良い。

第5回 反誕生日会主義 - ele-king

 ハッピバースデートゥーユーハッピバースデートゥーユーハッピバースデーディーーーーーア/あああああああああああああああああああ!/●ーーーーーーーーーーちゃーーーーーーーーーん。
 逃げ出したい/暗がり/ロウソクの火/コマンドが見える/「吹き消せ!」/逆らわない=吹き消す/おめでと~~う/ああああああああああああああああああああああああああああああああ!/逃げ出したい。
 電気がつく。ケーキ=好きではない食べ物=祝福のアイコン/切り分ける/皿に盛る/横倒しになる/食べる。
 ちゃぶ台を囲む=父/母/姉/私。
 家族。「誕生日に」・「ケーキを食べる」・「家族」=ドラマで見た/優しい父/優しい母/優しい子/みんなが仲良し/実情と合致しない。
 誕生日会が不愉快だと気がついたのは小学生のころだった。それ以前は記憶にないので素直に喜んでいたのだと思う。不意に「ハッピーバースデー」の歌を歌う自分の身体が、喉を残して全部消えているような気になっているのを自覚した。喉は単独で震えている。声だけが浮いている。自分の声ではないみたいだ。歌いたくない/ここにいたくない/すぐに立ち上がって外へ逃げ出したい。

 儀礼が耐え難いほど嫌いだ。誕生日に限らず、私は成人式も卒業式も、形式化された祝福は全て嫌いである。
 空間を以て「祝福」を示すという「意向」が発生したとき、空間に参与する(させられる)人たちは、儀礼空間という大きな機械を動かすための歯車として所定の役割を果たすよう強いられる。さっきまで意志を持つ人間だった私は、急に物言わぬ歯車に変えられる。「誕生日会」なんだからここに座れ、歌を歌え、拍手しろ、ろうそく吹き消せ、ケーキを食え……これらの行動1つ1つに切実な意味はあるのか? 多くの場合ない。少なくとも私の場合はなかった。個人から個人へ祝福を伝える方法はこれ以外にも大量にあるはずなのだから、こんな決まり切った形式を真似させられるいわれはない。それでも別に歌いたくない歌を歌い、叩きたくないのに拍手し、興味のないろうそくを吹き消し、好きでもないケーキを食べるのは、「場の空気」に流されるからである。
「あるべき姿」「普通はこう」……特段説明もされない、ただそういう風に「ある」。笑みを浮かべた相手から無言で手渡されたものをつい受け取ってしまうように、儀礼は基本的に「善意」で運営されている。悪意由来のものを断るより善意由来のものを断る方がはるかに難しい。善意で生きている人間のエネルギーを前に拒絶で立ち向かうには、相手の数倍のエネルギーが必要になる。そして儀礼を切実に必要としている人もいるのだろうし、悪いと言いたいわけではない。でも私は嫌いだ。本当に嫌いだ。編まれたくない。パーツにされたくない。ロールプレイングなんてやりたくない。私は己の切実な意志を尊重し、表明の方法はその都度その都度考えたい。全てを私の関係ないところでやってほしい。全てを任意に。全てを自由参加に。

 しかし世間は「儀礼への不参加」に意味を見出す。強い意味である。たとえ「任意」「自由参加」という建前があったとしても、それは1つの異常事態として認識される(「●●ちゃん、どうしちゃったんだろうね」)。求められる行動を拒絶すると「めんどうなやつ」認定がすぐさま下される。わかっている。祝福がミーム化されていることによって、特に祝福する気持ちのない相手に対しても祝っているかのように見せかける行為がある程度可能で、それが社会の非常に面倒な人間関係を取り持っている側面は、確実にある。見せかけの祝福で救われる人がたくさんいるのもわかる。それでも「そういうのを全部やめる」選択が許される世の中でなければ、やはりおかしい。明文化されぬまま存在する同調圧力を抜け出すとき、そこに特別な意味を感じないでほしい。

 この同調圧力が最大限強くなるのは、やはり家族関係の儀礼である。私はかつて姉の結婚相手との顔合わせを強く拒絶したことがあった(今も気まずいのでなるべく避けている)。会ったことも私の意志で関わりを持ったわけでもない相手から「配偶者〈の〉妹」として従属的存在へ記号化される状況に、私は耐えられなかった。本当に耐えられなかった。「姉の結婚相手が来るなら行かない」を繰り返していた私の逃げについて父はこう言った。「お前さあ、いいかげん大人になれよ」。
 ……そういうことじゃないんだぜ、本当にそういうことじゃない。もちろん意味はわかる、「大人になれ」とは「子どもじゃないんだから」とも言い換えが可能だ。私の不参加の意志が「わがまま」であり、「子ども」のものであるから改めよということだ。儀礼空間の潤滑な運営に与するのが「大人」であり、人はもれなくこの「大人」の道に入り前に進むべきなのだと本気で思っているのだろう。そんなわけない。自ら利用されるための存在に成り下がることが成熟なら、許されなくても一生赤ちゃんでいる方がはるかにいい。この世自体、もはや途方もなく巨大な儀礼空間である。クソ息苦しい。

 つまるところ私は、あらゆるものに対して「それ本気で思ってんの?」と感じているのだと思う。本気じゃないものが嫌いなのだ。やるなと言っているわけじゃない。誕生日を祝うなら真剣に相手にとってよいと思うことをやりたいし、形式的な「祝福」を無理やりやらされるような状況を作る社会はクソだと思っているのだ。突き詰めて突き詰めて突き詰めて突き詰めて、やっと見える何かが、私にとっては何よりも重要である。雑な気持ちで臨みたくない。全額ベット、これに尽きる。
 この文章を書いているのは2019年4月下旬で、ちょうどちまたに横溢する改元の話題にとてもいらだっているところだ。三島由紀夫ばりに天皇を愛している人が改元を全力で祝っているならそれはそれで個人の自由じゃねと思うのみだが(ただ友達になれる気はしない)、そういうわけでもなさそうなのになんとなく「平成最後の●●」「令和初めての●●」を連呼しているやつらにはヘドが出るのだ。本気で考えろ、お前にとって元号って何なんだよ! 天皇制と元号について本気で考えたうえで祝福してるのか? 天皇家の人間に人権がないのを承知した上で代替わりを祝ってるのか? いまだに社会に「支配者」の係累を「象徴」として戴いている状況に何も思うところはないのか? 本気で祝うならこういう質問をちゃんと胸を張って回答するなり最低限自信を持ってはねのけるなりした上で祝え!

 ……。
 わかってはいる、この気持ちが深く考えていることが偉いとか考えないやつはバカだとか、そういう思想に転化してしまったら元も子もないし、現時点でも偉そうなことを言っていると思われる場合はあるだろうし、実際人によって「本気」の尺度が違うことも重々理解している。私のものの考え方が「重い」ことも自覚している。今まで何度も「楽しんでいるんだから水をさすな」と言われた経験がある。抗っても抗いきれないときはいくらでもある。
 それでも「これが嫌いなんだよ!」と一人称ではっきり書いているのは、意思表示する野良犬はいればいるほどよいという考えを前提として、絶対にこの儀礼社会にムカついている人がいるはずだと考えているからだ。これを読んで共感してくれた人がいたら、ぜひ最低限1年に1回ぐらいは儀礼への参与をさりげなく拒否してほしい。
 アナキスト人類学者のジェームズ・C・スコットは、著書『実践 日々のアナキズム──世界に抗う土着の秩序の作り方』(岩波書店)の中で、「アナキスト柔軟体操」なる仕草を提唱している。いわく、いつか自らの信条のために重大なルール違反をする日がくる。そのXデイにスムーズに法を犯すためには、常日頃からささいな法律違反をして身体を柔軟にほぐしておくべきだろうというのだ。スコットが具体的にやっているのは信号無視である。車がいないのに赤信号が灯っているとき、あえて待たずにさっさと渡ってしまうとか、そういうちょっとした行為でいい。それを意識的にやる。この柔軟体操の積み重ねが、少しずつトップダウンのクソな秩序に風穴を開けるきっかけになり得る。儀礼空間の歯車を積極的に辞任していくことが、いつか大きな自由に向けた崩壊を招く可能性は大いにある。
 式典への参加拒否だけでなくてもいい。巨大な儀礼空間としての社会に抗うためには、例えば突然意味不明な言葉を叫ぶとか、帰り道で突然靴を脱ぐとか、社会のなかで想定されている行為の外へ逸脱していく行為が重要だと私は思っている。結局会話でも移動でも生活のなかには「普通こうする」という明文化されていないルールが潜んでいて、それらがどこかで誰かを追い詰める。あらゆるものがミーム化された社会とは、結局「普通」しか許さない社会、「異常」をつまはじきにする社会なんじゃないかと思う。殺意、怒り、イラつきは、自分の首を絞めるためだけではなく、柔軟体操に使うべきだ。誰もしない話をし、嫌いなものを大いに指摘し、式典をフケて、何の前触れもなく走り出す。秩序だって古アパートの壁紙みたいに端っこから毎日爪でちまちまめくっていけば、いつかべろっと全部剥がれる日が来るはずだ。

Visible Cloaks, Yoshio Ojima & Satsuki Shibano - ele-king

 これは嬉しいニュースです。先日〈RVNG〉の手がける優良シリーズ最新作『FRKWYS Vol. 15: serenitatem』にてコラボを果たしたヴィジブル・クロークス、尾島由郎、柴野さつきの三者ですが、なんとこの6月彼らが一堂に会し、東京と大阪でワールド・プレミア公演をおこないます。題して《VISIBLE CLOAKS, YOSHIO OJIMA & SATSUKI SHIBANO - serenitatem - World Premiere Live in Japan 2019》。東京公演では、日本のアンビエントにフォーカスすることで話題を集めたコンピレイション『Kankyō Ongaku』の監修者たるスペンサー・ドーラン(ヴィジブル・クロークスの片割れ)がオープニングDJを務めるとのこと。この貴重な機会を見逃すなかれ。

VISIBLE CLOAKS, YOSHIO OJIMA & SATSUKI SHIBANO - serenitatem - World Premiere Live in Japan 2019

ニューエイジ再興から呼び起こされる環境音楽の和。NYの名門〈RVNG Intl.〉のコラボレーション・シリーズ「FRKWYS」にて実現した現代アンビエントの最高峰 Visible Cloaks、日本の環境音楽/アンビエントを牽引して来たサウンド・アーティスト 尾島由郎 とピアニスト 柴野さつき による共同作品『serenitatem』のワールド・プレミア公演が東京(全席座り)と大阪で開催。また東京公演では日本の「環境音楽」にフォーカスを当てたコンピレーションで話題の Spencer Doran (Visible Cloaks) がオープニングDJを務める。

Daniel Lopatin、Laurel Halo、James Ferraro、Julianna Barwick、Ikue Mori、Laraaji、Sun Araw、Steve Hunn、Mike Cooper、Robert Aiki Aubery Lowe、Suzanne Ciani、Tashi Wada 等、錚々たる音楽作家/ミュージシャンが招かれたNYの〈RVNG Intl.〉によるコレボレーション・シリーズ「FRKWYS」に現代アンビエントの最高峰 Visible Cloaks、日本の環境音楽/アンビエントを牽引して来たサウンド・アーティスト 尾島由郎 とピアニスト 柴野さつき が『serenitatem』と題した共同作品をリリース。生成的なソフトウェアとアコースティックの境界線を超え、オーガニックかつデザインされた音と空間に、エリック・サティやドビュッシーの楽曲をかねてより演奏してきたピアニスト 柴野さつき の端正なピアノが寄り添う、人工の美を強く打ち出したモダンなニューエイジ・アンビエント作品が完成、本イベントにてそのライブが世界初となるワールド・プレミアとして実現される。またシアトルの名門〈Light In The Attic〉からリリースされた、吉村弘、尾島由郎、久石譲、土取利行、清水靖晃、イノヤマランド、YMO、細野晴臣、LP盤には高橋鮎生、坂本龍一を収録し、日本の「環境音楽」にフォーカスを当てた話題のコンピレーション・アルバム『Kankyō Ongaku Kankyō Ongaku: Japanese Ambient, Environmental & New Age Music 1980-1990』を監修した Visible Cloaks の片割れ Spencer Doran が「環境音楽 set」としてこれまでに、Gigi Masin、Andras、Suzanne Kraft、〈RVNG Intl.〉のショーケース(Visible Cloaks、SUGAI KEN、Matt Werth)、Laraaji 等を招いて開催されて来た都市型アンビエント・イベント《Balearic Park》の東京公演でオープニングDJを務める。インターネットの文脈から端を発したエレクトロニック・ミュージックにおける本ディケイドの一大潮流ニューエイジの頂点とも言える貴重な公演をお見逃しなく!

6/5 wed at WWW Tokyo
Balearic Park -Visible Cloaks, Yoshio Ojima & Satsuki Shibano-

OPEN / START 19:30
ADV ¥5,000+1D *150席限定・全席座り / Limited to 150 seats
Ticket Outlet: Resident Advisor / e+
LIVE: Visible Cloaks, Yoshio Ojima & Satsuki Shibano - serenitatem - World Premiere Live
Opening DJ: Spencer Doran - 環境音楽 set -
more info: https://www-shibuya.jp/schedule/011077.php

6/8 sat at Conpass Osaka
VISIBLE CLOAKS, YOSHIO OJIMA & SATSUKI SHIBANO -serenitatem- World Premiere Live in Osaka 2019

OPEN / START 19:00
ADV ¥4,200+1D / DOOR ¥4,900+1D
Ticket Outlet: TBA
LIVE: VISIBLE CLOAKS, YOSHIO OJIMA & SATSUKI SHIBANO - serenitatem - World Premiere Live
Opening DJ: 江村幸紀 [EM RECORDS]
more info: https://www.newtone-records.com/event.php?eid=845

主催・企画制作:WWW, newtone
協力:Inpartmaint

■ VISIBLE CLOAKS

ポートランドを拠点に活動する Spencer Doran と Eternal Tapestry の Ryan Carlile によるユニット。2014年に Sun Araw のレーベルから作品を発表し、2017年に〈RVNG Intl.〉よりフィジカルの作品として3作目になる『Reassemblage』を発表し Pitchfork で「BEST NEW MUSIC」に選出されるなど大きな注目を集める。2017年12月に初の日本ツアーを成功させる。

https://soundcloud.com/visiblecloaks

■ YOSHIO OJIMA / 尾島由郎

一貫してアンビエント・ミュージック/環境音楽の世界を追求している音楽家。スパイラル(ワコール/アート・センター)やリビング・デザイン・センター OZON、東京オペラシティ・ガレリアを始めとする集客施設の環境音楽を多数制作し、サウンド・デザインやサウンド・システムの開発にも関わる。一方、定村史朗、芳垣安洋、中島ノブユキ、フェビアン・レザ・パネ、大儀見元らとのノンジャンルな即興音楽のライブも多数行う。

https://www.yoshioojima.com

■ SATSUKI SHIBANO / 柴野さつき

エリック・サティをはじめとする近代/現代ピアノ音楽のスペシャリスト。渡仏し、サティの研究家であり詩人でもあるピアニスト、J.J. バルビエに師事。多数のアルバム制作やコンサートを通じ、枠にとらわれない自由な演奏活動を展開している。今まで前奏曲しか演奏されることのなかった未発表の大曲エリック・サティ『星たちの息子・全曲版』日本初のスタジオ・レコーディング盤をリリース。

https://www.hf.rim.or.jp/~satsuki/index_j.html

[最新作リリース情報]

4/19発売
VISIBLE CLOAKS, YOSHIO OJIMA & SATSUKI SHIBANO
FRKWYS Vol.15: serenitatem
RVNG Intl. / Inpartmaint

坂本龍一と Oneohtrix Point Never の心を持つ現代アンビエントの最高峰 Visible Cloaks と、日本の環境音楽/アンビエントを牽引して来た尾島由郎/柴野さつきによる夢のコラボレーション作が完成!

尾島由郎の大ファンだった Visible Cloaks が連絡を取り、事前にレコーディングしたサウンドの概要を尾島がヨーロッパツアーの期間に渡し、そこから音源交換しながら準備を進め、2017年12月の Visible Cloaks 初来日公演の際に Sounduno Studios でレコーディングを行いました。アンビエントや環境音楽を制作する事自体が目的ではなく、完成までに深く掘り下げた過程の記録を音源化した本作。人間とコンピューターの違いを感じさせる部分を聴き手は見つける事はできない程に精巧に作られ、アルバムを通して柴野のサティーを思わせるピアノはゆっくりと変化しながら最終曲で見事なアンビエンスを響かせる、90年代の環境音楽を再構築し、芸術的で美しい現代のアンビエントを提案した作品。

Track listing:
1. Toi
2. Anata
3. You
4. Atelier
5. S'Amours ne fait par sa grace adoucir (Ballade 1)
6. Lapis Lazuli
7. Stratum
8. Canzona per sonare no.4
9. Toi (Tokyo Mix) *bonus track

https://www.inpartmaint.com/site/26074/

Lee Gamble × Renick Bell - ele-king

 さまざまなスタイルを解体しながら折衷し、独創的な音楽を創造するプロデューサーのリー・ギャンブル、この2月に〈Hyperdub〉より最新EP「In A Paraventral Scale」を発表したばかりの彼が、3年ぶりとなる東京公演を実施する。会場は渋谷 WWW X で、WWW のレジデント・パーティ《Local World》の一環としての開催だ。ズリキシにと、最近ノりにノっているギャンブル主宰の〈UIQ〉だけど、同レーベルからリリース経験のあるレニック・ベルが今回の共演相手を務めるとのことで、彼の「アルゴレイヴ」がいかなるものなのか確認する絶好の機会でもある。5月最終日は WWW X へゴー。

Local X3 World Lee Gamble

超越のハイパー・レイヴ! UKエレクトロニックの鬼才 Lee Gamble (UIQ) が〈Hyperdub〉移籍後、初の東京単独公演を WWW X にて開催。共演に自身のレーベル〈UIQ〉からリリースした Renick Bell が登場。追加ラインナップは後日発表。

ジャングル、レイヴ、テクノ、アンビエントを超越したハイパー・コンクレートな作風でサウンド・デザイナー、ジャングリスト、コンポーザー、DJとして活動、エレクトロニックの名門〈PAN〉や〈Hyperdub〉からのリリースを軸にアートとクラブ・シーンをまたぎながら着実なキャリアを重ね、また近年のエレクトロニック・ミュージックにおいて大きな潮流へと発展した“脱構築”のパイオニアとしても名高いロンドンの鬼才 Lee Gamble がコンテンポラリーなエレクトロニック/ダンス・ミュージックを探求する WWW のレジデント・パーティ Local World に登場。ローカルからプログラムをリアルタイムに書き換えながらアルゴリズミック・パフォーマンスを行うコンピューター・プログラマー/電子音楽家、日本在中の Renick Bell が出演し、アルゴリズムとレイヴの混合語「アルゴレイヴ」と自ら名付ける、アルゴリズムによって作られたリズミックな即興音楽を披露。90年代クラブ・ミュージックの解体と合成から生成されるハイパー・レイヴなクラブ・ナイトが実現する。追加ラインナップは後日発表。

Local X3 World Lee Gamble
2019/05/31 fri at WWW X

OPEN / START 24:00
ADV ¥1,800@RA | DOOR ¥2,500 | U23 ¥1,500

Lee Gamble [UIQ / Hyperdub / London]
Renick Bell [UIQ / Halcyon Veil / US/JP] - LIVE
+ more

詳細:https://www-shibuya.jp/schedule/011107.php
前売:https://jp.residentadvisor.net/events/1258078


Lee Gamble [UIQ / Hyperdub / London]

英バーミンガム出身、現在はロンドンを拠点に活動する Lee Gamble。ジャングル、テクノ、レイヴ、アンビエントを超越し、サウンド・デザイナー、ジャングリスト、コンポーザー、DJとして抽象的で近未来的な作風で鬼才の名を恣にしている。ベルリン〈PAN〉からジャングルを解体した話題作『Diversions 1994-1996』や名作『KOTCH』含む3作を発表し、2017年に Kode9 の〈Hyperdub〉から『Mnestic Pressure』をリリース。複雑で抽象的な電子音楽プロデューサーとしてのみでなく、常に新鮮な楽曲をダンス・フロアに提供する傑出したDJとしてカルト的な地位を築いた。その後もビジュアル・コラボレーターの Dave Gaskarth とA/Vショー「Foldings」を行い、またロンドン現代オーケストラとの共演、これまでに ICA London,、Southbank Centre、MoMa PS1、Tate Modern、Sonar Festival、Berghain, WWW in Tokyo, MMCA Seoul、Fabric、Ministry of Sound、Sonar Festival、Unsound Festival、Oval Space、Village Underground、Mutek Festival、Old Granada Studios、Dimensions Festival and The Empty Gallery in Hong Kong 等様々な場所で活動の幅を広げている。近年、新しい才能を発掘すべく自身のレーベル〈UIQ〉をスタート。日本在中の Renick Bell、N1L、Lanark Artfax、Zuli、Nkisi 等、実験作品をリリース。最近では〈Hyperdub〉より3部作となるアルバム『In A Paraventral Scale』の第1部がリリースされる等、旺盛な活動が続いている。

https://soundcloud.com/leegamble

Renick Bell [UIQ / Halcyon Veil / US/JP]

アメリカ出身日本在住のプログラマー/電子音楽家。オープンソースのソフトウェアを使用してライブコーディング、即興演奏、およびアルゴリズムの合成を研究。Cask、Haskell やプログラミング言語を用いたライブコーディングによって演奏した作品やパフォーマンスを行い、これまでに〈UIQ〉、〈Halcyon Veil〉、〈Seagrave〉から実験的な作品をリリースしている。

https://soundcloud.com/renick

FKA Twigs - ele-king

 すでに街中で写真を目撃した方もおられることでしょう。FKAツイッグスが3年ぶりとなる新曲“Cellophane”を公開しました。例によってまたMVがなかなかに奇妙かつ刺激的な仕上がりでございます。これはもしや、アルバムも近い?? 今度こそ出る……のか????

FKA Twigs

あなたのためにしなかったかしら? どうして私はあなたのためにしないの?

音楽やファッション、アート……芸術の垣根を超えたネクスト・レベル・アーティスト、FKAツイッグスが3年ぶりに新曲“Cellophane”を公開。


(Photo by Matthew Stone)

これまでの人生を通じて、可能な限りベストであることを私なりに追求していたけれど、今回ばかりは上手くいかなかったの。これまで頼ってきた全ての歩みを突き崩さなくてはならなかった。もっと深いところへ。再び築き上げよう。そして再スタートへ。 ──FKAツイッグス

イギリス・グロスタシャー出身でジャマイカとスペインにルーツを持つシンガー・ソングライターのFKAツイッグスは、3年ぶりとなる新曲“Cellophane”をMVと共に公開した。数日前に突如、本人のSNSからアーティスト写真が拡散されたほか、日本をはじめとした世界各国で彼女の写真が町中に張り出されるというプロモーションがスタートし、話題を呼んでいた最中の新曲公開となる。

ファッションアイコンとしても世界中から注目を集め、音楽とファッション、アート、テクノロジーと様々なジャンルの架け橋となるFKAツイッグスは、2012年にセルフリリースEP「EP1」を発表。2013年にはザ・エックス・エックスやカマシ・ワシントンらを擁するロンドンの先鋭レーベル〈Young Turks〉から「EP2」をリリースし、米音楽メディアPitchforkなどのメディアから絶賛されたほか、英BBCの Sound of 2014 にも選出された。その後デビュー・アルバム『LP1』を2014年に発表し、同年の英マーキュリー賞やブリット・アワードにもノミネートされている。FKAツイッグスは2015年に初来日し、その後フジロックにも出演している。

FKA twigs - Cellophane
https://www.youtube.com/watch?v=YkLjqFpBh84

“Cellophane”はFKAツイッグス本人が制作・プロデュースし、フランク・オーシャンやアンダーソン・パークらを手掛けたレコーディング・エンジニアのジェフ・クラインマンと、同じくフランク・オーシャン、ヴィンス・ステイプルズ、アール・スウェットシャツらを手掛けたマイケル・ウゾウルが制作に携わっている。新曲は、FKAツイッグスのキャリア史上最も“自身の内面をさらけ出した”楽曲となっているほか、2ndアルバムへの布石を感じさせるシングルとなっている。

今回公開された“Cellophane”のMVは、ビョークの“Mutual Core”のMVなどを手掛けたLAの映像作家アンドリュー・トーマス・ホワンが監督を務めた。同曲の歌詞「Didn't I do it for you? Why don't I do It for you?(あなたのためにしなかったかしら? どうして私はあなたのためにしないの?)」からも分かるような弱々しさとは対照的に、非常に力強い映像作品となっている。また、FKAツイッグスはこのMVのために数カ月も訓練を重ねたというポールダンスも見どころの一つ。ダンサーとしても活躍している彼女ならではの多才さにさらに磨きがかかっていることがうかがえる。

今から1年以上前に“Cellophane”を書いている時、すぐに映像の構想が思い浮かんだわ。このアイデアを形にするためにはポールダンスを習得しなきゃならないってわかっていた。だからそれを実行したのよ。 ──FKAツイッグス

日本をはじめとした世界各国でFKAツイッグスの写真が町中に張り出されるというプロモーションで話題の、FKAツイッグスのポスターを以下の店舗で明日より先着でプレゼント致します。*ポスターは先着で数に限りがございます。

タワーレコード札幌ピヴォ
タワーレコード仙台
タワーレコード渋谷 6Fインフォカウンター
タワーレコード新宿 9F洋楽カウンター
タワーレコード吉祥寺
タワーレコード秋葉原
タワーレコード横浜ビブレ
タワーレコード名古屋パルコ
タワーレコード梅田大阪丸ビル
タワーレコード難波
タワーレコード梅田NU茶屋町
HMV record shop 渋谷
HMV record shop 新宿ALTA
HMV record shop コピス吉祥寺
ディスクユニオン 新宿インディー・オルタナティヴロック館(6F)
テクニーク
(有)珍屋立川2号店
BEAMS RECORDS
BIG LOVE RECORDS Harajuku Tokyo
FLAKE RECORDS
RECORD SHOP FILE-UNDER
代官山蔦屋書店
Alffo Records
more records

label: Young Turks
artist: FKA twigs
title: Cellophane

Spotify : https://spoti.fi/2XJvdtp
iTunes : https://apple.co/2L1KXXv

Visible Cloaks, Yoshio Ojima & Satsuki Shibano - ele-king

「FRKWYS」シリーズ15作めとしてヴィジブル・クロークスと尾島由郎、柴野さつきらのコラボレーション作品がリリースされた。レーベル・インフォメーションによれば、尾島の音楽の熱心な聴き手であったヴィジブル・クロークスが尾島にコンタクトを取ったことがはじまりらしい。その後、音源のやりとりを経て、2017年にヴィジブル・クロークス来日公演の際にスタジオに入りレコーディングをおこなったという。

 この出会いと共作は必然だった。ヴィジブル・クロークスのスペンサー・ドーランは、『Fairlights, Mallets And Bamboo』というミックス音源や、吉村弘の『ミュージック・フォー・ナイン・ポストカード』の再発など、近年、日本のアンビエント・ミュージックの海外における再発見に尽力した人物でもある。その彼がかつてのインタヴューで日本の環境音楽について語る際に吉村弘、芦川聡らと共に尾島についても語っていたのだ。そう、80年代から90年代初頭に花開いた日本のアンビエント/環境音楽シーンにおいて、尾島は吉村と芦川らと共に重要な存在なのである。
 じじつ、尾島はワコールが文化の事業化を目指して建設した槇文彦設計による複合文化施設スパイラル(ワコールアートセンター)をはじめ、リビングデザインセンター OZONE、東京オペラシティ・ガレリア、キャナルシティ博多などの各種施設用の環境音楽を制作し、実に多岐に渡るサウンドデザインやサウンドシステムの開発に携わってきた音楽家だ。特にスパイラルの館内環境音楽として制作された『Une Collection Des Chainons I』と『Une Collection Des Chainons II』は、環境と音楽の関係性を澄んだミニマリズムで包み込んだアンビエント音楽の傑作として名高いアルバムだ。
 一方、柴田さつきは、エリック・サティの演奏における日本有数の現代音楽曲のピアニストであり(サティ研究家にして詩人、ピアニストのJ. J. バルビエに師事)、尾島との数々のコラボレーションでも知られている音楽家である。本作でもその緻密に電子加工されたサウンドの向こうにガラスの光のようなピアニズムが聴き取ることができる。

 ヴィジブル・クロークスのスペンサー・ドーランとライアン・カーライルが名作『Une Collection Des Chainons I』と『Une Collection Des Chainons II』のようなサウンドを本作の制作において求めていたかは知らない。が、実際にアルバムとしてまとまったサウンドを聴いていると、まさに「Une Collection Des Chainons」的なアンビエンスが、4人の見事なコラボレーションによって2010年代末期的で精密な音響工作による美しい電子音楽へと深化していたことに何より耳が奪われてしまった。80年代末期から90年代初頭の日本的環境音楽がモダンにアップデートされたように感じられたのである。
 アルバムには全8曲が収録されている。どの曲も電子音の微細な変化、ピアノの響きとその抽出と変化、声と人間とマシンの融解など、マシンとヒューマンの境界線が少しずつ溶け合っていくようなサウンドに仕上がっている。まさに光の粒子のように見事な音響空間だ。じっと聴いているだけで聴覚が洗浄されていくような感覚を覚えたほどである。

 この清冽な感覚は、80年代から90年代初頭の日本の環境音楽が持っていた「水と空気」のテーマを継承しているのではないか。じじつ、1曲め冒頭では水が滴り落ちるのだ。
 以降、アルバムは電子音、ピアノ、声、旋律、持続、反復し、磨き上げ抜かれた音を生成変化させていく。そしてフラグメンツの美学とでも形容すべき7曲め“Stratum”を経て、慎ましやかな感動を放つピュアにしてミニマルな終局“Canzona per sonare no.4”で終わる(日本盤はボーナストラックが1曲追加されている)とき、環境と音響と耳の関係が清冽に拡張されたような感覚を覚えた。ここにおいてアンビエントという概念すらも「音楽」という環境の中にゆったりと溶け合っていくさまを聴くことになる。繰り返し何度も何度も聴きたい。この音で耳と空間を潤したい。空間に優雅な香りをのこす上品な香水のような電子音楽アルバムである。

 何よりこのアルバムは、90年代の音響、00年代の残響を経た10年代的な環境を象徴する作品に思える。それは音響派、ポストクラシカル、アンビエントへの変化を意味する。近年の日本を含めた世界各国のニューエイジ音楽の再発見はそのことを証明していよう。
 本作は、そのような潮流のなかで生まれた世代を超えた見事な共作にして象徴的作品だ。話題のコンピレーション・アルバム『Kankyō Ongaku: Japanese Ambient, Environmental & New Age Music 1980-1990』を聴いた後にぜひ本作を続けて聴いてみてほしい。環境音楽の現在が瑞々しく鳴り響いていることに気がつくはずだ。これぞ Kankyō Ongaku 2019。

Plaid - ele-king

 きました。今年30周年を迎える〈Warp〉の良心、プラッドが新たなアルバムをリリースします。同レーベルを初期から支え続け、多くの名作を送り出してきた彼らデュオですが、今度はいったいどんな試みにチャレンジしているのでしょう。現在、“Maru”と“Recall”の2曲が公開中。躍動的なビートと美しいメロディの映える前者、インダストリアルで重厚な後者、どちらもたまりません。発売日は6月7日。ああ、プラッドよ。

P L A I D

今年30周年を迎える〈WARP〉のオリジネーター、プラッドが6月に待望の最新作『Polymer』 をリリース! 先行シングル「Maru」と「Recall」が解禁!

エイフェックス・ツインやオウテカと共に長きに渡ってエレクトロニック・ミュージック・シーンを牽引する〈WARP〉の看板アーティスト、プラッド。大胆で、心に響くエレクトロニック・ミュージックを創り出している彼らが、10枚目となるスタジオ・アルバム『Polymer』を6月7日にリリースすることを発表すると同時に、アルバムより“Maru”と“Recall”の2曲を先行解禁した。

Maru:
https://www.youtube.com/watch?v=mBpVycuV7xM
Recall:
https://www.youtube.com/watch?v=EYXiESVnERY

反復される機械的なビートに美しいメロディが心地よい“Maru”、そして“Recall”ではOPNのサンプリング使いも思い起こさせるかのようなビートに加え、インダストリアルなサウンドが聞こえてくる、紛れもなく〈WARP〉、そしてプラッドのサウンドを奏でている。

エネルギッシュなサウンド、明るくメロディックで体の奥に響くリズム、催眠剤のようなテクスチュアーを駆使してクリエイトしたアルバム『Polymer』は、おそらく彼らにとって今までで最もまとまりのあるダイレクトな作品といえるだろう。感情のうねり、感化、インスピレーションなど幅広く網羅した『Polymer』は、今の時代のために作られたアルバムだ。特徴的なポリフォニー、公害、政治から影響を受けており、環境、合成品、生存と死、人々の繋がりと断絶といったテーマをぶつけている。

革新的なデュオ、エド・ハンドリーとアンディ・ターナーは、90年代初期に所属していたザ・ブラック・ドッグから枝分かれし、プラッドとして活動を始めた頃から、エレクトロ・ミュージックの領域を大きく広げてきた。2019年に設立30周年を迎える〈Warp Records〉の大黒柱として、エイフェックス・ツイン、オウテカ、ナイトメアズ・オン・ワックスらと共に、レーベルの輝かしい功績を称える存在となっている。持ち前の冒険心と遊び心溢れるアプローチが、ビョークとの共作に繋がったり、また、マーク・ベル(LFO)、アルカ、ハクサン・クロークといったアーティストとのコラボレーションに繋がっている。

『Polymer』で扱っている問題点や利点は、このアルバムにとって良いテーマになるだろうと感じた。反復性の強さ、忍耐力と厄介な固執、天然物 vs 人工物、シルクとシリコン、それらがぼくらの生活に与える重要な影響だ ──Plaid

プラッドの最新作『Polymer』は6月7日(金)に世界同時リリース。国内盤にはボーナストラック“Sol”が追加収録され、さらに解説書が封入される。iTunes でアルバムを予約すると、公開中の“Maru”と“Recall”がいち早くダウンロードできる。

label: WARP RECORDS / BEAT RECORDS
artist: PLAID
title: POLYMER
release: 2019.06.07 fri ON SALE

国内盤CD:BRC-601 ¥2,400+tax
ボーナストラック追加収録/解説書封入

[ご予約はこちら]
BEATINK.COM:
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10233
iTunes : https://apple.co/2ZlbUs3
Apple Music : https://apple.co/2DkUYIP

TRACKLISTING
01. Meds Fade
02. Los
03. Maru
04. Ops
05. Drowned Sea
06. The Pale Moth
07. Dancers
08. Nurula
09. Recall
10. All To Get Her
11. Dust
12. Crown Shy
13. Praze
14. Sol (Bonus Track for Japan)

interview with Fat White Family - ele-king

 実存的な不安と戦いながら、根拠のない希望と根拠のある怒りを失わず、時代の波に乗ってやろう、尖ってやろうというパッションを持ったインディ・ロック、知性とユーモアと冒険心を持ったロック・バンドはいまどこにいるのだろうか? あ、いた。UKのファット・ホワイト・ファミリーのようにゴミ箱から這い上がってきたような連中を知るとちょっと安心する(笑)。

 彼らには、アウトサイダー、放蕩者、変人、ホームレス、元ドラッグ中毒者などなど……いかにもロックなエピソードがすでに多くある。それはいまどきオールドスクールでレトロ風味の伝説なのか、それとも、時代に風穴を開けることができるポテンシャルを意味しているのか。なにかと風紀委員化する日本という国にはとてもおさまりそうにない。が、こんな連中の音楽に、イギリスが世界にほこる『ガーディアン』をはじめ、あるいは本国の音楽メディアはかねてより共感と期待を寄せている。アークティック・モンキーズで有名な〈ドミノ〉レーベルは、ここ数年でもっともエキサイティングなロック・バンドだと評価し、彼らの新作をリリースすることにした。それが通算の3枚目の『サーフス・アップ!』である。

 ファット・ホワイト・ファミリーは、破天荒なバンドのようだが、音楽的にはじつに豊かで、じつに多彩だ。彼らのサウンドには、70年代初頭のソウルから70年代後半のポストパンク、サイケデリックからインダストリアル、クラウトロックからビーチ・ボーイズ、いろんなものの影響がミックスされている。歌はメロディアスで親しみやすく、ハーモニーがあり、アイデアの詰まった演奏とのバランスをうまく取っている。というか、基本どの曲もキャッチーだ。さあ、注目しよう、彼らはインディ・ロックの救世主か? ヴォーカリストであるリアス・サウジ、鍵盤担当のネイサン・サウジの兄弟ふたりにそれぞれ話を訊いた。最初はやはり、どうしてもブレグジットの話から──

俺たちは小さなグループで、俺たちのことを好きな連中は周りにほとんどいなかった。だから俺たちのほうも向こうとは関係を持たずに、ある意味孤立してたんだよ。で、向こうは……よくわかんないけど、モダンなインディ・ミュージックなんかを聴いてて、俺たちはそんなのクソじゃん、って思ってた。そういうんじゃなく、すごいのはブルース・スプリングスティーンだ!  とか(笑)。

ブレグジットのことですが、UKっていまけっこうカオスじゃないですか? 

ネイサン:誰にとってもよくわからないよ。混乱してる。なんていうか……右翼のリーダーたち、っていう小さなマイノリティが引き起こしたことが、大ごとになってる。いい気分はしないね。ある意味、絶望的でもある。まるでみんなが終末に向けて投票したみたいで。というか、人びとは何かしらの変化を求めて投票したのに、それはより悪い方向への変化だった。だから、『国民がそう投票したんだから、実現させろ』っていうのが合ってるとは俺には思えない。わからないけどね。

リアス:まあ、いま何が起こっているのか、何が起ころうとしているのか誰もがわかっていない状態ではある。イギリスってずっと昔からふたつの国がひとつの国に存在しているし、つねにカオスなんだけどね。あと、階級差が激しくて、ごく一部がディズニーランドみたいな生活をしていて、残りは労働者階級。俺の場合、親父はアルジェリア人の移民で、お袋は北アイルランド出身。だから、移民と移民を嫌う地域の中間で育ったんだ(笑)。
 でもまあ、いまUKがとくにカオスとは思わない。世界のいたる場ところで様々な出来事が起きているしね。お互いに耳を傾けることをしない状態が長く続いたんだろうな。自分の世界にこもって、狭い世界観のなかで皆が長い時間を過ごしすぎたんだと思う。いま、そのガタが来てるんだよ。トランプの当選だってその表れさ。彼も最低だけど、彼を選んだ人がそれだけいたということだからね。労働者階級の人びとの声がいま形になって見えてるんだ。ここまで表に出てきたんだから、もう目を背けることは出来ない。そういうカオスがいま起きているけど、それはいつだって起こりうること。生きていれば、そういうことは起こるのさ。

「Whitest Boy On The Beach」では、ジャケットもスロッビング・ギリッスルのパロディでしたが、そのサウンドにもそのPVにもTGの影がちらついています。と同時に、この曲においても“白人”ということがからかいの対象になっていますよね?

ネイサン:俺と兄のリアスとサウル(・アダムチェウスキー)の3人で、バルセロナに行ったんだ。バンドから抜けるって決めたときにバルセロナに行って、3人でビーチにいた。で、兄貴もサウルもかなり色白で、痩せてたんだよ。で、リアスがビーチ全体を眺めて、14歳くらいのやつでも自分たちより体もデカいし、日焼けしてる、って言ったんだ。「あいつらの方がずっとデカくていい体してる」って。ま、基本的に自虐的なギャグだったんだけど。『ヒョロヒョロの白人男がビーチにいる』って。まわりのラティーノのキッズはずっと健康的なのにね(笑)。そこから来てるんだ。つまり、俺たちはルーザーだ、っていうのから。

そもそもあなたがたの世代でロック・バンドをやろうなんて人はそれほど多くはないと思うんですけど、たとえば高校時代、音楽の話で気が合う友人はいましたか?

ネイサン:ていうか、俺たちは小さなグループで、俺たちのことを好きな連中はまわりにほとんどいなかった。だから俺たちのほうも向こうとは関係を持たずに、ある意味孤立していたんだよ。で、向こうは……よくわかんないけど、モダンなインディ・ミュージックなんかを聴いてて、俺たちはそんなのクソじゃん、って思ってた。そういうんじゃなく、すごいのはブルース・スプリングスティーンだ! とか(笑)。だから俺たちだけで孤立してた。
 ただ、ギター・バンドっていう話だけど、それっていちばん普通の楽器だよね? 最初に手に取る楽器って、大抵はギターだろ? で、「うわ、これなんだ? どうする? 何ができる?」って感じで。そこからサウンドを探っていって、レコードももっと聴いて、「この楽器はなんだ?」とか思うようになる。それで「あ、これなかなかいいじゃん」っていうのを見つけていくんだ。うん、鉄板焼き食べに行くときと同じ(笑)。最初はモヤシとか、ちょっとしたものからはじめるんだけど、だんだん「向こうのあいつが食べてるの、試してみよう」って、ナスを食べてみたり。好奇心ってやつだよ。

原口:まわりがそういう音楽を聴かず、バンドもいないなか、どうやってそういった音楽を発見したんですか? どんな音楽を聴いていましたか?

リアス:ボブ・ディラン、ジョニー・キャッシュ、レナード・コーエン。あとはちょっとだけどクラッシュとか。あの場所に住んでいたから、そういった音楽が、俺にとっては外の世界と繋がって入れる手段だった。兄貴がそういう音楽を聴いていて、俺に聴かせてくれたんだよ。それが大きかった。あとは、当時のガールフレンドの父親がでっかいレコード・コレクションを持ってて、彼もいろいろとおしえてくれたな。

あなたがたの音楽は雑食性が高く、たとえば“Fringe Runner”なんかのリズムはタックヘッドみたいだし、必ずしも約束通りのロックではないとは思います。ただ、形態はロック・バンドだし、やはりまわりのみんなはR&Bやラップ・ミュージックに夢中だったと思います。どうしてロック・バンドなどという、経済的にも人間関係的にも苦労するであろう表現形態を選んだのでしょうか?

ネイサン:それはいま言ったとおり、いちばんありふれてたから。それが結果的にどうなるとか、選んだわけでもなかった。それと、俺が聴く音楽はヒットしたやつだけなんだ。ゴールデン・ヒットってやつ。ジャンルは問わない。なんでもありなんだよ。ほんと、なんだっていい。その音楽がマジでファッキン・グッドであるかぎりは(笑)。昨日の夜はレギュレーターズを聴いてた。で、そこからヒプノティック・タンゴを聴いて、ソフト・セルを聴いて、エルヴィス・プレスリーを聴いて、締めにビートルズなんかを聴いたり。つまり、なんでもありなんだ。俺はバッハとか、クラシック音楽も聴くしね。セックスするときはいつも、なるべくクラシック音楽を流すようにしてる。五感が喜ぶような気がするからね。俺のお気に入りはヴィヴァルディとバッハだな。それに、ジャズでもなんでも……いいものは、なんでもいい! 音楽にはふたつのタイプがあるんだと思う。いい音楽と、悪い音楽。それだけだよ。

「アイ・アム・マーク・E・スミス」をやったのは、純粋に彼へのリスペクトもあったと思いますが、同時に、彼のことをよく知らないあなたと同世代のリスナーへのメッセージでもあったんでしょうか?

リアス:当時、俺がザ・フォールの真似をしているだけという批評があった。それへのレスポンスが「アイ・アム・マーク・E・スミス」。俺は、自分はある意味マーク・E・スミス(オールドスクールな)だと思ってる。たくさん彼の音楽を聴いてきたから、俺のなかにはマーク・E・スミスが強く存在している。俺はあの作品で、彼のキャラクターを演じたかった。あのタイミングでそれに挑戦するということは、俺にとってリスクだったけどね。ザ・フォールのファンに批判されるかもしれないし。でも俺は、あれを作って皆に封筒を差し出したんだ。

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いまの若くて貧乏な連中には、そういうアートを探るチャンスが与えられてない。金もゼロ、サポートもゼロ、方向性みたいなものもゼロだと、人が一番に求めるのは何かしらの安全、セキュリティになる。アートみたいなものは顧みなくなるんだ。

たとえばいまUKにはマーク・E・スミスのような人がいないことをあなたがたはどのように考えていますか? ひとつの解釈としては、労働者階級出身の良いロック・ミュージシャンが昔のようにはいなくなっているということがあると思いますし、もう昔のようにロックそれ自体が反抗の音楽でもないという考え方もあるんじゃないでしょうか?

ネイサン:どうかな……わからないけど、むしろ経済状況と関係してるんじゃないかな。いまの若くて貧乏な連中には、そういうアートを探るチャンスが与えられてない。金もゼロ、サポートもゼロ、方向性みたいなものもゼロだと、人がいちばんに求めるのは何かしらの安全、セキュリティになる。アートみたいなものは顧みなくなるんだ。すごく悲しいことだけど。とくに都市周辺はもともと物価が高いし、才能やマテリアル、すべての素晴らしいものへのアクセスにものすごく金がかかる。それに貧乏だと、金よりもまず、アートなんかかける時間がないんだよ。生活のなかにそのための時間がない。で、結局どんどんミドルクラスの連中が全部取りすることになるんだ。でも、ミドルクラスの連中が音楽を通じて表そうとするものは……なんていうか、多くの場合、そこには他の人びとに対して自分は何を意味するのか、みたいなものが欠けてるんだよね。本能的なもの、衝動みたいなものが。いまはほんと、そういうのばっかりで。それに対して俺が何を感じるかっていうと……失望だな。ロンドンとかで部屋を借りるのなんて、もう無理なんだよ。金がない連中はスクワットしてたけど、もう俺たちが最後くらいじゃないかな。残念な話だ。

そう、南ロンドンのペッカムって、なんかファッショナブルで、ちょっといまハイプになってきている感じもするんですけど、そんな場所であなたがたはスクウォットしていたという話を読みました。現代のロンドンは、物価も家賃も高くて、再開発されていて、もう貧乏人は住めない街で、昔のようにスクウォッターなんていない街だと思っていたので、意外に思ったのですが、ロンドンには、あなたがたのような生き方をしている人もまだいるってことですね?

ネイサン:いまはもうスクワットなんて無理だね。不可能だ。まあ、全部そういうもんなんだろうけど。浮き沈みがある。だろ? 都市が進化することもあれば、その進化ってやつが馬鹿馬鹿しかったり。まあ、俺としてはいい気分はしないよ。俺はもうロンドンじゃ部屋を借りる金なんてないし、まわりの友だちもみんなそうだし。

リアス:ここ何年かで、どんどん変わってきている。ニューヨークやベルリンと違っ、ロンドンにはレント・コントロールがないからね。どんどん高層ビルが建てられて、中国人の億万長者が建てているビルだから、建っても誰も住んでない。新しい建物が建っても、労働者階級の人びとは、そこに住めるわけがないんだ。そういう現象は起こっているけど、それでも南ロンドンは良い街だとは思う。俺たちももうブリクストンには住めないけどね。ブリクストンに遊びには行けるけど、住めはしないな。でも、遊びに行くには良い街だし、南ロンドンはいまも面白いと思うよ。

全裸なのは俺(笑)。しばらくやってたけど、やっぱトラブルになったから最近はやってない。俺はアートとして裸体に興味があるんだ。自分なりにGGアリンのライヴ・パフォーマンスを分析しているというか、そんな感じ。逮捕されたこともあるけどね(笑)。

メンバーに全裸の人がいますが、それって、ある種の開き直りというか、隠しごとなんてないからどこからでもかかってこい的な気持ちのあらわれだったりするのでしょうか?

リアス:全裸なのは俺(笑)。しばらくやってたけど、やっぱトラブルになったから最近はやってない。俺はアートとして裸体に興味があるんだ。自分なりにGGアリンのライヴ・パフォーマンスを分析しているというか、そんな感じ。逮捕されたこともあるけどね(笑)。

ネイサン:兄貴はただ、人から反応を引き出すのが好きなんじゃないかな。昔からああだったし。子どもの頃から、学校の教室でいきなり服を脱いで、机の上に立ってた。裸で他のキッズを見下ろしてね(笑)。だから、ずっとそうだったんだよ! まあ、どういう理由でやってるのか知りたかったら、きっとリアスと膝つき合わせて、あいつの精神分析をしないといけないだろうな。本当に本当の意味を知りたければ(笑)。ま、俺からすると、他人のリアクションを見るのが好きなんだと思う。あれがリアス的な人生の楽しみ方なんだよ。

『サーフス・アップ!』というタイトルが痛快でいいですね。この言葉を選んだのはなぜでしょうか?

ネイサン:サーフ(surf)っていうのは、いま、現在ってこと。で、いまって世界中で右翼ポピュリズムのムーヴメントが起きてる。で、人びとが共鳴して立ち上がってるんだけど、それこそが人びとをさらに抑えつけ、ひどい状況に引きずり込むものだっていう。あのタイトルはちょっとそれに言及してるんだ・

リアス:労働者階級がもっと自由になるために伸び上がるっていうのを表現したのがあの言葉。ブレグジット、トランプ、そういった現代の問題を総括したものがこのタイトルなんだ。ビーチ・ボーイズのアルバムをもじったと思われがちだけど、そうじゃない。たまたまそうなっただけだよ。

アルバムのアートワーク、これはいったい何なんでしょうか?

リアス:あれは、ニーチェ(※マーク・E・スミスのお気に入りの哲学者でもある)の”力への意志”と、スーパーマンのアイディアを表したものなんだ。ドイツのヒロイズム(※英雄的資質)。あとは、俺たちのお気に入りのバンド、ライバッハへの同意でもある。最終的に、俺たちは皆愛すべき利己主義者なんだよ。

ネイサン:俺たちはヨーロッパ的で古い感じの、自然のイメージが欲しかったんだ。どこか神話的なイメージ。何か誇れるような、いいものがね。でも必ずしも……うん、そういうイメージを好きになるのに、ナショナリストである必要はない。美しいものを誇りにしたっていいんだ。たしかに自然主義的な絵画、イメージを右翼は好んできたし、左寄りだとそういうイメージを使っちゃいけないことになってるのかもしれないけど、「なんでいけないんだ?」ってこと。誰だって使っていいんだよ。シンボルそのものは右翼でも、左翼でもないよね? ただのシンボルなんだ。そしてそれが表現すべきものを表現してる。なのに無理やり意味を付加されて、袋小路的な思考に押し込められてて。でもそれに従ってたら、もうトライバリズムしかなくなる。だろ?

“Tastes Good With The Money”(※イアン・デューリーの息子、バクスター・デューリーが参加))のような曲は、曲名からしてきっと新自由主義的なことをからかっているんだろうなとは推測するんですけど、アルバム全体で、メッセージのようなものはあるんですか?

リアス:曲それぞれでメッセージは違う。あまり歌詞の内容やメッセージを明確にはしたくないんだ。でも、英雄的苦しみ、男らしさのイメージの崩壊、ポピュリズム、自己愛とアート、そういったものが主なテーマだとは言えるかな。

“I Belive in Somthing Better”は、ろくでもないことばかりこのご時世でも良いことあるよっていう希望の曲なんですか? 

リアス:あの曲では、俺たちなりに環境保護について書いてみたかったんだ。セオドア・カジンスキーみたいな奴のことをいろいろな奴らがプロぶって崇めているけど、カジンスキーが爆弾で多くの人びとを殺し、負傷させた事実には触れもしない。俺たちはそれが馬鹿げていると思うし、そんな奴らが語っている理にかなっていない社会問題を超えた素晴らしいものがこの世のなかには存在しているということを書きたかった。

いまいちばん頭に来ていることといまいちばん楽しいことは?

リアス:頭に来ているのはブルジョア。あと、非現実的な希望を掲げて活動する政治家たち。あと、俺自身に十分な金がないことだな(笑)。ブリクストンに住めないくらい(笑)。楽しいことは、音楽で食べていけてはいること。アルバムを作れるくらいの余裕はある。あと、ドラッグ中毒じゃなくなったことと、アメリカ人の彼女がいないこと(笑)。

ネイサン:人間が環境崩壊に突き進んでることに対しては、すごく憂慮してる。ある日は考えたくもないし、また別の日には何かしなきゃいけない気持ちに駆られるし。落ち込むね。で、ハッピーになれることは、もしすべての終焉が来るとしたら、もうちょっと暑くなる(=温暖化)、ってわかってることかな。で、それを生き延びる動物もいるだろう、ってこと!

あなたがたの考える、イギリスのいちばんいいところってなんだと思いますか?

リアス:それは俺だな(笑)。俺を作ったこと(笑)。何事にもオープンで、人種も混ざっている。つまりは、自分自身を持ちながらも、さまざまな文化や要素が混ざっているということさ。

ネイサン:いまUKでいちばんいいところ? ファック、回答不可能な質問だな! ま、俺たちが日本に行けるかもしれない、って思うといちばん嬉しいね、いまは(笑)。

萩原:まあ言っておくと、日本もかなりのカオスですよ。わけのわからないことも起きてるし、そこははっきりさせておきます(笑)。

ネイサン:まあどこでもクソってことだよね? きっと必要なのは、第四の産業革命なのかも。たぶんね」

萩原:あと経済と、民主主義では何かしないといけないかもしれないですね。

ネイサン:うん。まあ、もがくのをやめちゃダメだ、ってことなんだろうな。みんな一人じゃないんだし。じたばたしつづけないとね!

Flying Lotus - ele-king

 問答無用、この春最大のニュースの到着だ。フライング・ロータスが5年ぶりとなるニュー・アルバムをリリースする。読者の皆さんは覚えているだろうか? アンダーソン・パークとのコラボが報じられたのはすでに2年前。長かった。じつに長かった。散発的に新曲の発表はあった。フライロー自らが監督を務める映画『KUSO』の公開もあった。昨年のソニックマニアでのパフォーマンスも圧倒的だった。彼の主宰する〈Brainfeeder〉は10周年を迎えた。それを記念してわれわれele-kingは1冊丸ごと特集を組んだ。そして最近では渡辺信一郎の新作アニメ『キャロル&チューズデイ』への参加が話題を呼んだ。長かった。じつに長かったが、いよいよである。タイトルは『Flamagra』。これはもしかして「フライング・ロータスによるドグラ・マグラ」という意味だろうか? 詳細はまだわからないけれど、どうやら炎がコンセプトになっているようで、とりあえずは熱そうである。くだんのアンダーソン・パークに加え、ジョージ・クリントン、デヴィッド・リンチ、トロ・イ・モワソランジュと、参加面子もものすごい。発売日は5月22日。嬉しいことに日本先行発売だ。もう何も迷うことはない。

[4月24日追記]
 昨日、待望の新作『Flamagra』より2曲が先行公開されている。“Spontaneous”にはリトル・ドラゴンのユキミ・ナガノが、“Takashi”にはサンダーキャット、ブランドン・コールマン、オノシュンスケが参加。フライローいわく、オノシュンスケについては坂本慎太郎のリミックスを聴いて知ったのだという。なんでも Spotify でランダムにその曲が流れてきたのだとか。2曲の試聴は下記リンクより。

https://flying-lotus.ffm.to/spontaneous-takashi

FLYING LOTUS
FLAMAGRA

フライング・ロータス待望の最新作『FLAMAGRA』堂々完成
自ら監督したトレーラー映像「FIRE IS COMING」を解禁
27曲収録の超大作に、超豪華アーティストが集結!

アンダーソン・パーク|ジョージ・クリントン|リトル・ドラゴン|ティエラ・ワック|デンゼル・カリー|デヴィッド・リンチ|シャバズ・パレセズ|サンダーキャット|トロ・イ・モワ|ソランジュ

credit: Renata Raksha

グラミー賞候補にもなった前作『ユー・アー・デッド!』から5年。ケンドリック・ラマーの傑作『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』におけるコラボレーション、カマシ・ワシントンの大出世作『ジ・エピック』の監修、サンダーキャットの出世作『ドランク』では大半の楽曲をプロデュースし、ここ日本でも上映されたコミック・ホラー長編映画『KUSO』の監督・脚本を手がけ、主宰レーベル〈ブレインフィーダー〉が10周年を迎えるなど、底なしの創造力でシーンの大ボスとして君臨するフライング・ロータスが、マグマのごとく燃えたぎるイマジネーションを詰め込んだ27曲(*)の超大作、その名も『フラマグラ』を完成させた。(*国内盤CDにはさらに1曲追加収録)

発表に合わせてフライング・ロータスとデヴィッド・ファースが手がけたトレーラー映像「FIRE IS COMING」が公開された。
https://www.youtube.com/watch?v=aTrTtzTQrv0

本作は、12年に及ぶキャリアの中でロータスが世に提示してきた革新性のすべてを掻き集め、それをさらに推し進めている。ヒップホップ、ファンク、ソウル、ジャズ、ダンス・ミュージック、トライバルなポリリズム、IDM、そしてビート・ミュージックが図解不可能なほど複雑に絡み合い、まるでロータスの頭の中に迷い込んだような、もしくは宇宙に漂う灼熱の惑星の上にいるかのような、驚異的独創性が発揮された傑作だ。

いつも頭の中では一つのテーマが浮かんでいて、火にまつわるコンセプトが燻り続けていた。ある丘の上に永遠の炎が鎮座しているんだ。 ──フライング・ロータス

過去作品でも豪華な参加アーティストが話題を呼んだが、今作のラインナップは数もインパクトも過去作を上回るものとなっている。アンダーソン・パーク、ジョージ・クリントン、リトル・ドラゴンのユキミ・ナガノ、ティエラ・ワック、デンゼル・カリー、シャバズ・パレセズのイシュマエル・バトラー、トロ・イ・モワ、ソランジュ、そして盟友サンダーキャットがヴォーカリストとして参加。さらに、デヴィッド・リンチの不気味なナレーションが今作の異様とも言える世界観を炙り出している。

フライング・ロータス待望の最新作『フラマグラ』は5月22日(水)に日本先行リリース。国内盤にはボーナストラック“Quarantine”を含む計28曲が収録され、歌詞対訳と解説書が封入される。初回生産盤CDは豪華パッケージ仕様。またTシャツ付セットも限定数販売決定! 2枚組となる輸入盤LPには、通常のブラック・ヴァイナルに加え、限定のホワイト・ヴァイナル仕様盤、さらに特殊ポップアップ・スリーヴを採用したスペシャル・エディションも発売。Beatink.comでは50部限定で、スペシャル・エディションのクリア・ヴァイナル仕様盤が販売となり、本日より予約が開始となる。

なお国内盤CDを購入すると、タワーレコードではオリジナル・クリアファイル、Beatink.com、HMV、diskunion、その他の対象店舗ではそれぞれオリジナル・デザインのロゴ・ステッカー、Amazonではオリジナル肖像画マグネットを先着でプレゼント。また、タワーレコード新宿店でアナログ盤を予約するとオリジナルB1ポスターが先着でプレゼントされる。

label: WARP RECORDS / BEAT RECORDS
artist: FLYING LOTUS
title: FLAMAGRA

日本先行リリース!
release: 2019.05.22 wed ON SALE

国内盤CD:BRC-595 ¥2,400+tax
初回盤紙ジャケット仕様
ボーナストラック追加収録 / 歌詞対訳・解説書付
(解説:吉田雅史/対談:若林恵 x 柳樂光隆)

国内盤CD+Tシャツセット:BRC-595T ¥5,500+tax
XXLサイズはBEATINK.COM限定

TRACKLISTING
01. Heroes
02. Post Requisite
03. Heroes In A Half Shell
04. More feat. Anderson .Paak
05. Capillaries
06. Burning Down The House feat. George Clinton
07. Spontaneous feat. Little Dragon
08. Takashi
09. Pilgrim Side Eye
10. All Spies
11. Yellow Belly feat. Tierra Whack
12. Black Balloons Reprise feat. Denzel Curry
13. Fire Is Coming feat. David Lynch
14. Inside Your Home
15. Actually Virtual feat. Shabazz Palaces
16. Andromeda
17. Remind U
18. Say Something
19. Debbie Is Depressed
20. Find Your Own Way Home
21. The Climb feat. Thundercat
22. Pygmy
23. 9 Carrots feat. Toro y Moi
24. FF4
25. Land Of Honey feat. Solange
26. Thank U Malcolm
27. Hot Oct.
28. Quarantine (Bonus Track for Japan)

Amgala Temple - ele-king

 ノルウェイの音楽的良心たるジャガ・ジャジストですが、その中心人物であるラーシュ・ホーンヴェットによるプロジェクト、アムガラ・テンプルが来日します。ジャガ・ジャジストはライヴも高い評価を得ているバンドだけに、初となるアルバム『Invisible Airships』をリリースしたばかりのアムガラ・テンプルがいったいどんなパフォーマンスを披露してくれるのか、気になるところです。5月18日から21日のあいだに都内3箇所をめぐるツアー、詳細は下記よりご確認を!

ジャガ・ジャジストから派生したジャズロック・プロジェクト、アムガラ・テンプル待望のジャパンツアー決定!

ジャガ・ジャジストのコア・メンバーである Lars Horntveth を中心に Amund Maarud、Gard Nilssen というノルウェーの異能プレイヤーが集結したアムガラ・テンプルは、ジャズ・ロックの系譜を受け継ぎながらもプログレからサイケ、クラウトロックまで飲み込んだまさに2020年代を迎えるに相応しい先鋭的なサウンド! ライヴの半分近くはインプロ(即興)で構成されるなど二度と同じ演奏をしないライヴ・アクトとしても熱狂的な支持を集めている彼らのパフォーマンスをお見逃しなく!

「Avenue Amgala」(ライヴセッション映像)
https://youtu.be/G-Lb29r7A24

Amgala Temple:
Amund Maarud (electric guitars)
Gard Nilssen (drums, gongs, bells, melodic drum)
Lars Horntveth (bass, keys, lap steel, guitar & vibraphone)

Amgala Temple (with member of Jaga Jazzist) JAPAN TOUR 2019

2019年5月18日(土) CROSSING CARNIVAL'19
会場:TSUTAYA O-EAST、duo MUSIC EXCHANGE、clubasia、WOMB LIVE、TSUTAYA O-nest
時間:Open / Start 13:00(時間予定)
チケット料金:¥4,800 (税込 / ドリンク別)

チケット ※枚数制限4枚
イープラス:https://eplus.jp/crossingcarnival19/
問い合わせ:SOGO TOKYO(03-3405-9999)

2019年5月20日(月) 六本木VARIT
Live :
・Amgala Temple (with member of Jaga Jazzist)
・東京ザヴィヌルバッハ・スペシャル
(坪口昌恭:Keys / David Negrete:Alt. Sax, Flute / 宮嶋洋輔:Guitar / 角田隆太:Bass (from ものんくる) / 守真人:Drums)
時間:Open 18:30 / Start 19:00
チケット料金:Adv. ¥2,800 / Door ¥3,300 (+1 drink order)

チケット発売/予約受付開始日:4月20日(土)
イープラス:https://eplus.jp
購入ページ:
https://eplus.jp/sf/detail/2939610001-P0030001
問い合わせ:六本木VARIT(03-6441-0825)

2019年5月21日(火) Shibuya 7th FLOOR
Live :
・Amgala Temple (with member of Jaga Jazzist)
・guru host (坂口光央+一樂誉志幸)
・角銅真実
時間:Open 18:30 / Start 19:00
チケット料金:Adv. ¥2,800 / Door ¥3,300 (+1 drink order)

チケット発売/予約受付開始日:4月20日(土)
イープラス:https://eplus.jp
7th FLOOR メール予約:4/20 (土)~5/20 (月) (nanakaiyoyaku+0521@gmail.com)
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*入場順:①イープラス(整理番号順)、②メール予約/その他のご予約の順番となります。

[アルバム情報]
タイトル:インヴィジブル・エアシップス / Invisible Airships
アーティスト:アムガラ・テンプル / AMGALA TEMPLE
レーベル:P-VINE
品番:PCD-24818
定価:¥2,400+税
発売日:2019年3月6日(水)
日本語解説:山﨑智之

-収録曲-
1. Bosphorus
2. Avenue Amgala
3. Fleet Ballistic Missile Submarine
4. The Eccentric
5. Moon Palace

https://p-vine.jp/music/pcd-24818

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