「S」と一致するもの

Hype Williams - ele-king

 〈ノット・ノット・ファン〉に続いて〈メキシカン・サマー〉もダンス・レーベルをスタートさせるらしい。そのA&Rを務めるのがゲームス(OPN)で、彼らのヒット作をリリースした〈ヒッポス・イン・タンクス〉がハイプ・ウイリアムズの3作目を獲得です。なるほどです。ペース、早いです。
 ひと言でいえば、なかなかヴァージョン・アップされている。ダブというフォーマットを使ってドローンをディスコ化するという無理なトライアルのなかでは意外な成功を収めている人たちといえ、ドローンとディスコのいいところを融合させようという目的だけで共感できるし、それがなぜかダブステップとシンセ-ポップのクロスオーヴァーと表面的には似たものになってしまうところも面白い。逆に言えばドローンやディスコ・カルチャーといったジャンルにこだわりたい人たちにはスカムもいいところで、実際、サンプリング・ソースのくだらなさはその印象を倍加して伝えるところがある。A6"ドラゴン・スタウト"やB3"ミツビシ"などアンビエント・タイプの曲ではOPNに通じるニュー・エイジ風味も耳を引き、フリー・インプロヴァイゼイションに無理矢理ドラム・ビートを叩き込んだようなB4"ジャー"も独創的(A7"ホームグロウン"の元ネタはもしかしてマッド・マイク?)。
 ライヴなどではマスクで顔を隠し、インタヴューもほとんど受けないらしく、一応、正体不明などといわれてきたけれど、『ピッチフォーク』などではロイ・ブラント(ロイ・ンナウチ)とインガ・コープランドがその正体だと暴いている(でも、それは誰?)。クラウトロックとダブの出会いといった紹介のされ方も半分ぐらいは納得で、OPNやジェイムズ・フェラーロに対するイギリスからの回答という表現はいささかクリシェに過ぎるだろうか。もうしばらくの間、何をやっているのかよくわからない人たちであり続けて欲しいというのが正直なところではあるけれど。前作に関しては→https://www.dommune.com/ele-king/review/album/001561/

 セルジュ・ゲンズブールをアシッド・フォーク風に演奏してきたフランスのエル-Gが新たにジョー・タンツと組んだオペラ-モルトの正式デビュー・アルバムもエレクトロニクスを前面に出したせいか、ハイプ・ウイリアムズと同じくレフトフィールド・ポップへの意志を感じさせるアルバムとなった。とはいえ、全体の基調はあくまでも初期のスロッビン・グリッスルを思わせるレイジーなエレクトロニック・ポップ=プリ・インダストリアル・ミュージックで、英米の動きとはいつも多少の距離を感じさせるフランスらしい作風といえる。だらだらとして快楽の質には独特の淀みが含まれ、けっしてシャープな展開には持ち込まない。80年代前半のフランスに溢れた傾向と何ひとつ変わらず、近年、『ダーティ・スペース・ディスコ』やアレクシス・ル-タン&ジェスによる『スペース・オディティーズ』が掘り起こしつつあるライブラリー・グルーヴとも一脈で通じるものも。フランス実験の重鎮、ゲダリア・タザルテと組んでミュージック・コンクレートにも手を出すような連中なので、そんな風に聴かれたいかどうかはわからないけれど。
 チルウェイヴをダフト・パンクの影響下にある音楽だと解する僕としては、このようなオルタナティヴなヴァリエイションは次世代に向けた必要なポテンシャルとして過大に評価したい。あるいは単純に"アフリカ・ロボティカ"が好きだなー。この曲はきっとアンディ・ウェザオールを虜にするだろう。

Ike Yard - ele-king

 UKではコード9が「アイク・ヤードこそ最初のダブステップ・バンドだ」と言ったことが話題になったようだけれど、彼らはたしかに有名なJ.G.バラード共鳴者だ。そして、実際にこれほど明確にディストピアな状況に自分が暮らしていると、なんだかますますディストピア・ミュージックを聴きたくなってくる(家人は迷惑しているが......)。

 この世には多くのディストピア・ミュージックがある。トム・ヨーク自身もそれがディストピア・ミュージックであることを認めている『キッドA』、あるいはデヴィッド・ボウイの『ダイアモンド・ドッグス』(とくに"ウィ・アー・デッド"ですよ)......、そしてもちろん僕の場合はブリアル、砂原良徳の新作もディストピア・ミュージックだと思っている。
 ディストピアというのは、ユートピアへのカウンターのことだけれど、少々強引にたとえるなら、「いや、大丈夫です」と記者会見で東電の社員が楽観的な展開を言っても(←ユートピア)、「いや、大丈夫じゃないでしょう」という反発心(←反ユートピア)によるものである。いや、ちょっと違うかもしれないが、とにかく世界の大きな舞台で言われる「いや、大丈夫です」に対する強烈な違和感、拒絶感、嫌悪感のようなものが「いや、大丈夫じゃないでしょう」というディストピアを創造する。「no」という否定によって作られるユートピアであり、おしなべてパンク・ロックがディストピア・ミュージックなのもそういうことであります。

 アイク・ヤードといえばデス・コメット・クルーだ。自慢じゃないが我が家には、ラメルジーにサインしてもらったデス・コメット・クルーのCDがある。2004年に再発見された1986年の"スーサイドとヒップホップとの出会い"のようなサウンドは、もともとはアイク・ヤードというポスト・パンク・バンドを土台に生まれている。1979年から活動をはじめたというアイク・ヤードは、ニューヨークでスーサイドの前座を務めたり、リディア・ランチとも共演していた、まあ、いわばノー・ウェイヴのいち部である。
 1982年に〈ファクトリー〉からアルバムを発表すると、メンバーはベルリンに移住して、マラリアやアインシュテュルツェンデ・ノイバウテンらとの交流を深め、そしてニューヨークに戻ってきたときにはラメルジーをゲストに迎えてデス・コメット・クルー名義のヒップホップ作品「アット・ザ・マーブル・バー」をロンドンの〈ベガーズ・バンケット〉から発表している。デス・コメット・クルーの再発見に続いて、オリジナル・アイク・ヤードの作品は〈アキュート〉(←トロ・イ・モアやビーチ・ハウスを出している〈カーパーク〉傘下の再発レーベル)から2006年に編集盤『1980-82 コレクティッド』として再発されている。
 こうした再評価の波に乗って、スチュアート・アーガブライトとマイケル・ダイクマン、そしてケニー・コンプトンの3人はふたたびアイク・ヤードの名前で新作を録音した、それがこの『ノルド』というわけだ。そしてそのプレスシートには、コード9の「アイク・ヤードこそ最初のダブステップ・バンドだ」という発言が記されていたわけである。
 ここにはダブの低音はないけれど、暗い現実の記述はたんまりある。それは、なかなか魅力的な記述である。そして、僕はこういう音楽をいまこの瞬間に聴きながら、おのれの頽廃を再認識するわけです。その場しのぎのユートピアなぞ要らない。冗談じゃない。そして、こういうときだからこそ死を身近に感じながらいまを精一杯生きようと思うんです。DOMMUNEにおけるキラー・ボングのDJがそうであったように。

interview with Yoshinori Sunahara - ele-king


砂原良徳 / liminal
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 取材したのが3月10日、つまり東北地方太平洋沖地震が起きる1日前というタイミングだった。ゆえに以下に紹介する取材のやりとりは震災前の世界でおこなわれていたもの。そしてこの原稿を書いている現在(3月24日)もなお、放射性物質の漏洩は止まることを知らないようで、もっとも危険だと評判の三号機は煙をあげている......。やだなー、恐いなーと思っても、逃げ場がない。
 原発事故によっても命が奪われ、多くの人が避難を迫られ、環境汚染がはじまり、そして節電を強いられている。僕はアンプに電流を通して毎日音楽を聴いている。『リミナル』は、震災前に聴いたときも強いものを感じたが、いまも変わらずよく聴こえている。むしろより共感している。
 以下のインタヴューを読んでいただければわかるように、『リミナル』は彼にとってのおそらく最初の抽象音楽である。が、砂原良徳のディテールへの執着......いや、執念のようなものがこのアルバムに収録された8曲すべてにある。それは聴覚体験においてスリリングで、そして、決して上昇することのないこの音楽――10年ぶりにリリースされる『リミナル』のリアリティは、いまの僕にはより圧倒的な存在感をもって響いている。
 「サブリミナル」のときにも書いたが、『リミナル』は僕のなかでは、コード9やブリアルの音楽の延長線上で聴こえている。僕は薄暗い都内の駅のホームで、iPodでこの作品を繰り返し聴いた。ひっそりとした電車のなかで、あるいは灯りの消えた青山通りで聴いた。奇しくもアルバムは、2011年のサウンドトラックとなった。

『ラヴビート』の頃はあらかじめテーマがあって、イメージがあって、それに沿ってやっていったんだけど、『リミナル』に関しては社会を生きながら感じたものをダイレクトに出してみようっていう。あんま考えずに出してみようっていうね、そこがいつもと違っている部分で、そうなると自分がどういう風にどうやってやったという説明がうまくできない。

素晴らしいアルバムができたましたね。

砂原:いや、そんなことないんですけどね。まあ、いちおうできたっていうね。

いまはどんな気持ち? ほっとしている感じですか?

砂原:けっこうね、次を作りたいというのが強いですね。

なるほど。

砂原:ラヴビート』を作ったときは、次のことを考えられなかったけど、いまは次に何をやるのかってことばかり考えていますね。

そうかぁ。発売日が3月30日(注:その後、震災の影響で4月6日に延期)じゃない? それで、最初に池ちゃん(ソニーの担当者さん)から4曲入りのダイジェスト版のサンプルが送られてきたのが2月の初旬だったかな。そして、最終的な音源が送られてきたのが3月に入ってからだったでしょ。3月30日発売のCDでこのスケジュールは通常はあり得ないと思ったんだよね。舞台裏が相当にバタバタだったんじゃないかと推測したんだけど。

砂原:ハハハハ。

ギリギリまで粘っていたの?

砂原:まったくその通り。27日にあがってますから。異常だよね。

異常だよね(笑)。最初にダイジェストが来てから、わりとすぐに完成盤が来ると思っていたんだけど、けっこう時間がかかった。その間に何があったんでしょう?

砂原:『ラヴビート』のときは自分のスタジオで録音していたので、直そうと思えばすぐに直せたんだけど、今回は外のスタジオを使っていたんで、最終的に曲の足並みを揃えるのに時間がかかってしまったんだよね。

とにかく時間ギリギリまで。

砂原:それはいつもだけど。

それにしても本当にギリギリだったね。

砂原:そうだね(笑)。

このドタバタ感が、この作品の内容にも関係している?

砂原:しているね。あとね、前回の「サブリミナル」の延長線上でやっていこうと思っていたんだけど、途中から別の要素が入ってきて、別のことをはじめてしまったんだよね。それが(このスケジュールにとっては)大きかったね。

当初考えていたものとは違う方向にいった?

砂原:そうそう。

去年の夏に取材したときは、「半年以内に絶対に出る!」って断言していたからね(笑)。

砂原:だから野田さんが言った通りになったんだよ。『ラヴビート』って2001年の3月だったから、ほんとに10年後に次が出た。スゲー、予言者だよ。

あれは適当に言っただけだから。

砂原:ハハハハ。

それで『リミナル』なんだけど、俺はすごく激しいものを感じたんだよね。

砂原:そうですか。

いままでのアルバムにはまったくなかったモノを感じたんですよ。激しい何かを音楽から感じて、それにまずは驚いた。

砂原:そうですか。世のなかの切迫した感じが出たのかもしれないけど、こうしてやろうと思ったわけじゃない。ハードにしようと思った作ったわけじゃないんだけどね。自然にこうなったっていうか。

前回の取材で話したときに、物事をなるべくロジカルに捉えているように思えたんだけど、音楽を聴くとずいぶんとエモーショナルな作品だと思ったし......。

砂原:そうですか。

理詰めで作ったというよりも、エモーショナルに作ったっていう感覚が......。

砂原:『ラヴビート』の頃はあらかじめテーマがあって、イメージがあって、それに沿ってやっていったんだけど、『リミナル』に関しては社会を生きながら感じたものをダイレクトに出してみようっていう。あんま考えずに出してみようっていうね、そこがいつもと違っている部分で、そうなると自分がどういう風にどうやってやったという説明がうまくできない。だから自分でやっていることが口で説明できなくなってきてますね。だけど、説明できなきゃいけないのかというと、そうじゃないなと。自分がやっていることを何から何まで説明してしまうのは逆につまらないなって。

聴いているほうにしてみても、作者に何から何まで説明されてしまうとつまらないっていうのもあるんだよね。想像力が使えなくなるから。

砂原:そこが音楽の面白い部分でもあるからね。

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いまの世界が問題山積みなのはわかるけど、それを解決するのに何がいちばん良い方法なのかっていうのが自分のなかではまだはっきりしないところがあるから......もちろん、争いや暴力がなくなるのが良いに決まっているんだけどね。


砂原良徳 / liminal
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それで、聴いて思ったのは、「まりん、何を怒ってるの?」っていう。

砂原:怒ってるかな?

"ビート・イット"とか怒ってるよ。

砂原:問題意識はあるけど怒っては......いや、わからないね。自分でもそこがわかならいのかも。実は怒っているのかもしれないし。

自覚はなかったんだ?

砂原:まったくなかったね。

"フィジカル・ミュージック"についても?

砂原:社会全体の問題がどんどん山積している感じはずっとしているけどね。日本もそうだし、世界もそうだし、人類の問題がどんどん増えていってるという感じはするしね。

パブリック・エネミーやURみたいに意識していたわけじゃないんだね。

砂原:ただ、リアリズムに基づいて音を出すという意味では、デトロイトのそうした連中のことはすごい理解できるし、自分もそれはそうだと思う。

『ラヴビート』の前後は、「ファンク」ってことをよく言ってたよね。「次はファンクやりたい」とか。ファンクって表現は、怒りとも関係あるじゃない。だからね、「まりんのファンクとはこういうことだったのか」と思ったけど。

砂原:昔はファンクって、リズムが気持ちよく流れていく感じだと思っていたけど、ファンクっていびつさだと思うようになって。いびつさこそファンクじゃないかと。

いや、今回のアルバムはそれがもっとストレートに出ているよ。それが怒りというものに思えてならないんだけどね。

砂原:そうかもしれない。自分でもよくわかならないんだよね。『ラヴビート』だって最近だからね、ちゃんと聴けるようになってきたのって。でもね、『ラヴビート』のときのほうが怒ってたかもしれない。

『ラヴビート』はまだ、メロディがある。アプローチしやすいじゃん。

砂原:構造もわかりやすい。

今回はメロディやメロウネスといったものを排除しているでしょ。

砂原:してるね。

それで、ささくれ立った感覚が際だっているんだよね。

砂原:それは意識的にやったかもね。

そういう意味では『ラヴビート』の対岸に飛んだというか。

砂原:そうかもね。でも軸足は『ラヴビート』のときから変わっていないんだけどね。でも、世のなかも変わるし、自分も変わるし、そうなると表現も変わってくるよね。

それで90年代のまりんの音楽を聴き直すと......。

砂原:ぜんぜん違うでしょ。

ぜんぜん違うし......。そもそもパンクに親しんでいた過去があるわけではないでしょ?

砂原:うん。

テイク・オフ・アンド・ランディング』の頃はぜんぜん違うもんね。娯楽に徹していたし、作り方もサンプリング主体だし、ドリーミーだし。

砂原:パンクは通っていないけど、初めてアート・オブ・ノイズを聴いたときはパンク以上にパンクだと思ったけどね。ピアノをぶっ壊した感じとか、歪んだドラムとか......。

あれはアートフォームにおけるパンクでしょ。

砂原:戦略的なこともあったからね。ただ、パンクのスピリットというのは、昔から自分のなかにあったことはあったんだけどね。

だけど、パンクに対して斜に構えて見ていたほうでしょ。

砂原:まあ当時はね。

だいたいまりんはP-モデルだからね。

砂原:そうね。

でも、P-モデルはパンクだよね。

砂原:P-モデルはパンクだよ!

そうだよ(笑)。

砂原:だいたいパンクって言った瞬間に終わる。アートもそうなんだけど、言った瞬間に終わるっていうのがあると思ってて、俺が見たときにはパンクってできあがっていたから。それで直接的にパンクのほうにはいかなかったんだと思うけど。でも、スピリットは強いと思うね。だいたい電気グルーヴのなかにいたってこともあるし......あのバンドはパンキッシュだったでしょ。

石野卓球にはあるよね。

砂原:いや、瀧にもあると思うし、そういう影響はあると思うね。

でも、もともとは世のなかに対して腹を立てている音楽はかっこ悪いと思っていたほうでしょ?

砂原:そんなことはない。やっぱ、ニューウェイヴってパンクの変形みたいなところがあるじゃないですか。P-モデルなんかはまったくそうだと思う。中学生のときはYMOにハマっていたんだけど、高校生ぐらいのときからじわじわとP-モデルにハマっていったんだよね。

坂本龍一の『B-2ユニット』なんかは?

砂原:あれもそうだね。ああいう感覚をYMOが取り入れたんだろうね。それを言ったら俺は『テクノデリック』や『BGM』にもパンクを感じるけどね。あと、ヤン(富田)さんにすごくパンクを感じるんだよね。そう、俺はああいうスタンスにパンクを感じることが多いかな。ギター持って、ベース持って、ドラム叩いて、Tシャツ着てジーンズ穿いてって、俺はスーツ着て、ネクタイ締めて、小型無線機を持って電車に乗り込むサラリーマンといっしょだと思ってるから(笑)。それといっしょじゃん。それよりも、俺、池田亮司にもパンクを感じるから。

『ラヴビート』以降は、とにかくこうした公の取材で社会問題について話すわけだけど、社会と音楽との関わりみたいなところでは、何か声明を出していきたいとは思わない?

砂原:いまの世界が問題山積みなのはわかるけど、それを解決するのに何がいちばん良い方法なのかっていうのが自分のなかではまだはっきりしないところがあるから......もちろん、争いや暴力がなくなるのが良いに決まっているんだけどね。

何かこう、メッセージを言うって感じではない?

砂原:そういう感じではない。それを言うことで、どこかにしわ寄せが来るのが嫌だし。

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あれはメッセージはメッセージなんだけど、あのなかに出ているCO2がどうたらこうたらとか、ああいうの、俺、CO2を無くしたいからああいうこと言ってるわけじゃないのね。CO2が環境にどれだけ悪いのかという証明を誰かが出したのか、これは我々は騙されているんじゃないのかという、そういう投げかけなんだよね。


砂原良徳 / liminal
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"サブリミナル"のPVを見たけど、あれすごいじゃない。レディオヘッドみたいだと思ったよ。

砂原:あれはメッセージはメッセージなんだけど、あのなかに出ているCO2がどうたらこうたらとか、ああいうの、俺、CO2を無くしたいからああいうこと言ってるわけじゃないのね。CO2が環境にどれだけ悪いのかという証明を誰かが出したのか、これは我々は騙されているんじゃないのかという、そういう投げかけなんだよね。

CO2に限らず、グローバリゼーションの問題とか、資本主義経済の問題とか、いろいろな数字を地図にダブらせて、暗示させているよね。

砂原:そう、いろいろ出している。あれはけっこう踏み込んでやっているから。

あれは何?

砂原:あれはプロテストというわけでじゃない。「こういう情報とどうやってつき合っているんだ?」っていう問いかけだよ。まあ、時間が経ったから言うけど、「CO2を無くしていきましょう」とか、そういうことを言いたかったわけじゃなくて、「震度5でこの建物は崩壊します」と言う、しかし「その情報は本当にあっているのか?」、「怪しいヤツが来て、税金集めて、何に使われているのかわからないんじゃないのか?」、そういうことを考えて欲しいというのが意図としてあったんだよね。

惑わされるなと。

砂原:たとえば発展途上国の開発だって本当に現地の人たちのためにやっているのか利潤のためにやっているのかわからないと思うんだよね。「Win-Winの関係」って経済用語としてよく言われるじゃないですか。これをこうすることによって、お互いに利益がいくって。たとえば俺がいまここで水を飲める技術を提供してやれば、「おまえらも水が飲めるし、俺は金が儲かる」っていう。でも、「それって本当なのかな?」と思うんだよね。

なるほど。そういういま社会で公然とおこなわれていることに対する疑問符みたいなものだね。

砂原:そうだね。俺、ぜんぶ経済に取り込まれている気がするんですよね。昔だったら、家に赤ん坊がいればそれを見てくれるお婆ちゃんがいた。でも、いまはいないからそういうサービスに電話する。それで金が取られるじゃないですか。資本主義が......進化なのか退化なにかわからないけど、いろんな価値観がどんどん経済に飲み込まれてるってことです。そういうシステムに飲み込まれずに自分を成立させるのがひじょうに難しいと思うんだよね。「俺は金なんかいいよ」と言っても、そうやって生きられない。自分の価値観を持って生きていくことがより困難になってきていると思うんですよ。

それは『ラヴビート』以降、ずっと考えていることでしょ?

砂原:『ラヴビート』のときはもっと衝動的だったし、甘かったんですよ。『ラヴビート』のときのほうがはっきりモノを言えたと思うんだけど、当時の考えでいま有効ではなくなっているものも少なくないと思うんだよね。だから、『リミナル』のほうがよりはっきり言えなくなっている。

その「はっきり言えない」感じは音にもすごく出ているね。

砂原:そう、はっきりは言ってないんだけど、(実は何かを)言ってるっていうね。

去年会ったときには、「プログレみたいなアルバムになるかもしれない」って言ってたじゃない(笑)?

砂原:ちょっとはあるでしょ。ない?

正直言って、まったくないと思う。

砂原:ああ、そう(笑)!

良い意味でね。

砂原:ああ、そう。

プログレになったらどうしようかと思っていたから。

砂原:俺としてはちょっとあるんだけどね。

まあとにかく「サブリミナル」を発表した時点にあった構想からずいぶん変変更があったと。

砂原:あったね。初めて踏み込む領域があって、そこに入っていったら気がついたと思うんだよね。"サブリミナル"をリアレンジして入れようと思っていたんだけど、実際にできたらアルバムに馴染まなくてはじいちゃったんだよね。そういうことがあったりとか......、あと、アルバムのなかばの曲とか抽象的だと思うんですけど......。

はいはい、"ナチュラル"とかすごいもんね。

砂原:うん、そういうところにも出ている。自分が具体的に表現しにくくなっているんです。

そういう意味では『リミナル』はわかりづらいアルバムだよね。

砂原:そうかもね。

曲名もわかりづいらい。

砂原:そう。

わかりやすくしようとは思わなかったの?

砂原:わかりやすくできるんだったらしたほうがいいと思うけど、ただ、わかりやすくすることで......たとえば『ラヴビート』というタイトルがあったとしたら、そのキャッチフレーズに合わせて世のなかを理想的に見ようとしたときに、どこかに副作用があったらこれはもうダメだと思うようになってしまった。それで言葉をちょっとぼかすようになってしまったんだよね。

正義というものがますます相対的になっているっていう感じ?

砂原:誰かが理想を掲げても、その理想の裏には悲しむ人がいるんじゃないかって。そういう副作用ができるようなマニフェストだったらはっきりしていないほうがいいと思うようになったんだよね。文明が物事を解決しようとして進んでいって、しかしそこには副作用が起きて、結局、堂々巡りのようになっているんじゃないかと思ったんだよ。何を解決しようと思ってもしわが寄る。それを強く感じていますね。

まりんのディスコグラフィーだけを追っていくと、『ラヴビート』で急に社会に目覚めたように見えてしまうんだけど、いまあらためて訊くと、『ラヴビート』にいたるまでに何があったんだろうか?

砂原:『サウンド・オブ・70'S』をやっているときに「変わる」ってことを強く感じたんだよね。世のなかの秩序が変わるだろうと。

あの当時、環境問題について強く話してくれたのはよく覚えているんだよね。

砂原:まあ、そういうこともあったかもしれないね。とにかく、『ラヴビート』をやっているなかで気づいたんじゃなくて、『サウンド・オブ・70'S』をやっているときに感じたことだったんだよね。「こりゃ終わりだな」と。98年ぐらいかな。

『サウンド・オブ・70'S』までは、まりんのなかで自分の音楽がエンターテイメントであることにプライドを持ってやっていたと思うんだよね。

砂原:まだ若かったし(笑)。それに90年代なかばの音楽業界はお祭り騒ぎみたいだったから。

ちょっとした黄金時代だったかもね。

砂原:そのなかにいて、気がつかなかったことがあったんだよね。だけど、いろいろやってくなかで無視できなくなってきた。あと、他の音楽からの影響もあったよね。『ラヴビート』をやる前にACOのプロデュースをしたんだけど、彼女が書いてきた曲が時代にすごくマッチしていたりとか......。ア・トライブ・コールド・クエストの『ラヴ・ムーヴメント』のような、自分にとって決定的なアルバムが出たりとか......あのアルバムを聴いたとき、自分が「変わるな」と感じていたことがそこにあるように思ったんだよね。ああ、ひょっとしたら音楽に最初に教えられたのかもしれないな。それでもっと現実を見ようと思ったのかもね。

まりんほど大きく変化を遂げたミュージシャンも珍しいと思うんだよね。

砂原:そう? 中学校のときの友だちに会うと、「おまえ、インタヴュー読んだけど、まったく変わらねぇーなー」って言われるよ(笑)。

やっぱ、でも......、昔の話になっちゃうけど、電気グルーヴ時代は、電気グルーヴのなかのまりんという役柄を引き受けていたところもあったんでしょ?

砂原:前半はとくにね。『ビタミン』以降は自然になっていったと思うけど、それまではやっぱ、勝手にそういうイメージができていて、それをなぞっていかないといけないのかなというのはあった(笑)。それまで俺、インディーズでやってきてて、それが突然、大きなステージに立って、たくさん取材を受けて、たくさん写真を撮られて、初期はすごく混乱していたからね。しかも、瀧が俺の足を持ってがーっとかふりまわしたら、それで何かが成立しちゃうから。

ハハハハ。

砂原:もう何もやらなくていいわけ(笑)。

ハハハハ。電気グルーヴはアイドルだったからね。

砂原:『ビタミン』以降は変わったけどね(笑)。やっぱあの頃はふたりの影響が大きいよ。

インパクトが強すぎるからね(笑)。話を戻すと、そういう意味では『ラヴビート』というターニングポイントがあって、それで今回の『リミナル』ではさらにまた違うところに行こうとしているってことだよね。そこに迷いはなかった? 

砂原:なかったね。むしろの次のステップに行きかけていると感じていたから。そう、だから、本当は、そう感じるよりも前に、1枚のアルバムをまとめてしまったほうがわかりやすかったのかもしれないね。けど、もう(次のステップに)行きかけているから。で、全体的にグラデーションがかかってしまってるのかな。まあ、できたばかりかだから、まだ自分でも(『リミナル』の全体像が)わからないところもあるんだよ。

なかなか客観的になれない。

砂原:何回か通して聴いたんだけど、「まだわかんねーや」っていう。

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聴いている人が楽しめないものにしたいわけじゃないないから、もうちょっと楽しめる要素で、自分がそれを妥協しないで受け入れることができるものがあるなら、それは取り入れたいなと思うんですよ。いつもそう思ってやってます、これでもね。


砂原良徳 / liminal
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手法的な話だけど、90年代はサンプリングという手法にこだわっていたじゃない。それを『ラヴビート』でやめてしまった。それでも『ラヴビート』にはそれまでの砂原良徳の音楽の魅力のひとつであるメロウネスがあったと思うんだよね。『リミナル』の驚きというのは、自分の音楽の魅力であるメロウな感覚をも削いだってことなんだけどね。それがすごいなと思ったんだよね。

砂原:音楽って、曲って、人から人に対するコミュニケーションじゃないですか。でもね、人が言ってることとか、個人が出すものとか、もう白々しいし、限界があるなと思ったんですよ(笑)。それを考えたときに「音楽のはじまりってどうだったのかな?」、「人から人に向けたものが音楽のはじまりだったのかな?」と、「いや、そうじゃないだろう」と思ったんだよね。風の音を聞いてなんかいいなと思ったり、波の音を聞いてなんかいいなと思ったり、あるいは動物の鳴き声であったりとか、そういうものが音楽のはじまりなんじゃないかと思ったんだよね。で、風の音や波の音のような意識的なものではない要素を自分の音楽に取り入れたいと思ったんだよね。でも、意識的に取り入れないと音楽にならない。で、意識と無意識のグラデーションとか考えているうちに、メロディとかそういう人が作ったものではない領域に踏み込みたいと思ったんだよね。それがメロディが少なくなった理由です。

ふーん、すごい話だなぁ(笑)。まあ、とにかく削ぎ落とそうと思ったわけではないんだね。

砂原:違う。削ぎ落とそうというのは、基本的に毎回やっていることだし。そうではなくて、もっと無意識の音というか。

ただ、まりんの音楽はエレクトロニック・ミュージックであり、そういった風や波の音とは違う次元の音じゃない。

砂原:いや、でも、突き詰めていくと、意外と近かったりするかもしれないんだよね。たとえばコンピュータで乱数的なプログラムを作って音を鳴らすと、風鈴の音と近かったりとか、つまり次にどういう風に鳴るのかっていうことが予測できない。そういうことはコンピュータでも作り出せるから。

もともとまりんの音楽は、良い意味でサーヴィス精神に溢れていたと思うのね。腕の良いコックが......

砂原:気の効いた料理を(笑)。

そう、気の効いた料理を、見た目も華やかにデコレーションしてテーブルまで持ってくる感じがあったんだけど、そういう観点で言っても、もう『リミナル』はその対極とも言える作品だよね。俺は、まりんの本来の資質は、アヴァンギャルドというよりもポップのほうにあると思っているんだけど、『リミナル』を作っているときに、自分のなかにあるポップの価値観みたいなものとのせめぎ合いみたいなものもあったわけでしょ?

砂原:それはあるね。

"ブルーライト"や"ボイリング・ポイント"みたいな曲はポップとは言えないと思うんだよね。

砂原:ぜんぜん言えない(笑)。

それでもこうした曲を収録しなければならなかったわけだよね。

砂原:メロディやコード、キャッチーと言われるものって、ある文化圏において前提のものとに鳴らされている音だと思うんですよ。たとえばいま日本でヒットしている音楽をアフリカ大陸で生活している人のところにもっていってもわからないかもしれない、でも、ビートは違うだろうと。ビートにはそれはないだろう。そう考えたんだよね。だから、それ以外のもの(メロディやコード)がなくなっても、それはある前提のものであって、そうではないところまで音楽を戻すって言うのかな、そういうことをしなきゃならなかったんですね。

ビートね。

砂原:そう、ビートは違うんじゃないかって。

ビートがコンセプトだっていうのはよくわかる。

砂原:コンセプトというよりも、共通言語として成立するんじゃないかと思った。

なるほど。で、ノイズが断片的に聴こえる"ナチュラル"はひとことで言えば暗い曲じゃない。

砂原:明るくはないよね。

個人的には大好きな曲だけどね。それで、"ブルーライト"~"ボイリング・ポイント"と続いて、"ビート・イット"に来ると、これはもう怒っているとしか思えないんだよね(笑)。

砂原:ハハハハ。いや、ていうか、聴いている人が楽しめないものにしたいわけじゃないないから、もうちょっと楽しめる要素で、自分がそれを妥協しないで受け入れることができるものがあるなら、それは取り入れたいなと思うんですよ。いつもそう思ってやってます、これでもね。

そういう意味で言えば、『リミナル』は曖昧ではないと思うんだけど。よりクリアになっている。

砂原:意識はクリアになった。ただ、クリアになった分、はっきりしたことが言えなくなった。

ナチュラル"から"ビート・イット"までの展開って、アルバムの大きなポイントだと思うんだけど、今日、話を聞いていて思ったのは、やっぱ感情の赴くままに作っていたんだね。

砂原:そうなの。今回はそこがいままでとは違うんだよね。とくの、いま曲名を挙げたアルバムの中盤にある曲に関しては、日頃、生活しているなかで感じている世のなかの雰囲気や気分をそのまま出してやろうと思ったんだよね。で、それは必ずしも説明しなければいけないことではないと思ったんだよね。

なるほどね。俺はね、繰り返すけど、『リミナル』からは怒りを感じたのね。で、このところ、音楽から怒りを感じることがあまりなかったので、それが新鮮だったの。とくに、いまのような斜に構えたネット社会では、怒るってことはすごくエネルギーを使うし、大変だと思うわけですよ。怒りっていう感情が出しづらい世のなかになっているんじゃないかと思ってるんですよ。

砂原:そうだね。俺も、自分では意識してなかったけど、怒りっていうのはあるのかもね。

悲しみに同調するって感じでもないじゃない。

砂原:はははは、そうだね。

『ラヴビート』と聴き比べるとすごくよくわかるんだけど。

砂原:完成してからまだ『ラヴビート』聴いてないな。

ライヴではやっているじゃない。

砂原:やってるね(笑)。ただ、間違いなく問題意識は強くなっていると思うよ。

『リミナル』のデザインを手掛けているムーグ山本さんなんかも、そういうタイプの人だよね。

砂原:そう。ムーグさんとはそういう話、すごくいっぱいする。

似てるかもね。

砂原:興味の矛先がすごく近いと思う。

エモーショナルところとかも似てるよ。

砂原:ムーグさんはエモーショナルだよね。一時期、ヘルメット被ってビラ配ったりしていたもんね。

ハハハハ。言っておくけど俺もエモーショナルだよ。俺は右で左でもないもん。ノンポリだから。

砂原:俺は右翼が来たら左翼と言って、左翼が来たら右翼と言っちゃうタイプだな。

ハハハハ。それはただの喧嘩好きってヤツじゃないの。

砂原:いや、違う。中立であるってことをヤツに伝えたいというか、気づかせるというかね。

なるほどね(笑)。まあ、とにかく『リミナル』からはそういう激しいもの、何か強い気持ちを感じたのはたしかだよ。ところで、最初に「次を早く作りたくなった」って言っていたけど、要するに、もうそれは見えているんだ。

砂原:しっぽを掴んだというかね、そんな感じだけど。その先に何かあるかもしれないという。そのしっぽを引っ張れば何か出てくるかもしれないっていう。

そのしっぽは何なの?

砂原:それはまだわからない。引っ張ってみないとね。何もないかもしれないし。

なるほど。最後に、これから先の音楽人生っていうものをどういう風に考えていますか?

砂原:まったくわからないね。音楽業界もこういう状況だし、いつまで続けられるかわからないなと思ってやっているよ。10年後のことなんかぜんぜん考えてない。ただ、いまを詰み重ねていくしかないんだよね。

Chart by STRADA RECORDS 2011.03.29 - ele-king

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1

WOMACK & WOMACK

WOMACK & WOMACK MY DEAR(THE LETTER)-JOE CLAUSSELL REMIXES ARISTA (US) »COMMENT GET MUSIC
WOMACK & WOMACKの91年リリース作品をJoe Claussellがリミックス!インストやオリジナル・ヴァージョンも収録!

2

INSTANT HOUSE

INSTANT HOUSE DANCE TRAX EP WHITE (US) »COMMENT GET MUSIC
【強力盤!】JOE CLAUSSELLによるユニットINSTANT HOUSEが90年代に残した1枚がリリース当時と同仕様で奇跡の再発!最近は生音中心のJOE CLAUSSELLですが、当初はバウンシーなベースを中心とした黒いディープ・ダブ・ハウスでした。そんな彼の最初期のぶっ飛んだサウンドが再び!限定再発とのことなのでお早めに!

3

BLACKCOFFEE

BLACKCOFFEE CRAZY(feat.THIWE)-QUENTIN HARRIS/CULOE DE SONG REMIXES FOLIAGE(FR) »COMMENT GET MUSIC
人気急上昇中のBlack CoffeeがFoliage Recordsから12インチをリリース!しかもリミキサーにQuentin Harrisと Culoe De Songを起用した超贅沢な1枚! Quentin Harrisによるカッチリとした音作りのミックスはもちろん、ディープなピアノが印象的なCuloe De Songによるミックスやオリジナルもグッド!Mr V, Yass, Marlon D, Rocco, Dj Spen, Laurent Garnier, Terry Hunter, Claude Monnet, Ralf Gumらがプッシュ!

4

PIRAHNAHEAD

PIRAHNAHEAD CELEBRATE(feat.ABBY B.) WHASDAT (US) »COMMENT GET MUSIC
DANNY KRIVITやABICAH SOUL、TYRONE FRANCIS、DJ OJIらもサポート!デトロイトのクリエイターPIRAHNAHEADが女性ヴォーカルものをリリース!スイートでメロディアスな極上作品でThe Ruralsの Andy Comptonによるミックスが特にオススメ!

5

ALEX JAMES

ALEX JAMES NANKEIDO SEICHE COMPOSITE(EU) »COMMENT GET MUSIC
DJ Yellowが主宰するComposite Recordsからのドープな1枚!NY、NJあたりのディープ・ハウスに通じるへヴィーなキック&ベースがアンダーグランドな雰囲気満点!日本のKez YMによるリミックスも収録しており、こちらは浮遊するシンセにヴォイス・サンプリングが効いた極上の黒いハウスに仕上がっています!

6

JOHNNY MONTANA

JOHNNY MONTANA MAYBE WE COULD BE FREE(feat.PETE SIMPSON) STALWART (FR) »COMMENT GET MUSIC
UKのクリエイターJOHNNY MONTANAが人気の男性ヴォーカリストPETE SIMPSONをフィーチャーした作品をリリース!パーカションやピアノ、エレピ、サックス等が心地良い大人っぽくてスムーズなトラックにソウルフルなヴォーカルが舞う上質なハウス・チューンに仕上がっています!Osunlade, Rocco, Master H, Master Kevらもプッシュ!

7

AFRO DIZZI ACT

AFRO DIZZI ACT AFRO DIZZI ACT REMIXED MIGHTY HIGHNESS(UK) »COMMENT GET MUSIC
オーストラリアのアフロ系バンドAfro Dizzi Actによるリミックス12インチ!軽快なホーンやヴォーカルが印象的なスムーズなハウス・リミックスのB1、ドラムやギターのタイトな演奏力が光るA1のアフロ・ビート・ナンバーがオススメ!

8

ACHTERBAHN D'AMOUR

ACHTERBAHN D'AMOUR ACID TEST 02 ABSURD(US) »COMMENT GET MUSIC
上質なディープ・ハウス作品のリリースで知られるIron Curtisが変名で、しかもアシッド・ハウス系の作品をリリース!しかもしかもIDJUT BOYSによるリミックスを2ヴァージョンも収録しており、アシッドでありながらディープでダビー、そして心地良い独特な世界を展開!コレは見逃せません!

9

VA

VA ASSORTED ELEMENTS E.P. NDATL(US) »COMMENT GET MUSIC
Kai Alceが主宰するアンダーグランドなレーベルNDATL Musikからマーブル・カラー・ヴァイナル仕様の限定プレスEPが入荷!Kai Alceによる初期シカゴ・ハウスのような作品に加え、ナントTheo Parrishによるディープ&マッドなB1、Larry Heardによるアシッド・ハウスのB2といった強烈な作品も収録!これは見逃せません!

10

VA

VA ABSTRACT ART VOL.1 AESTHETIC AUDIO(US) »COMMENT GET MUSIC
デトロイトのKeith WorthyによるレーベルAesthetic Audioからの3曲入りEP!そのKeith Worthyに加え、2組の新人と思しきアーティスト達の作品を収録!Nick Aghaによるディープで漂うような雰囲気のB面のナンバーが気持ちイイ!

Nicolas Jaar - ele-king

 ジュリアナ・バーウィックがコクトー・ツインズとアニマル・コレクティヴの溝を埋めたとしたのなら、ニコラス・ジャーの『スペース・イズ・オンリー・ノイズ』はマシュー・ハーバートとリカルド・ヴィラロヴォスの溝を埋める作品である。いずれにせよ、ここ数年あまりパッとしなかったテクノ・シーンにおいて久しぶりの大器の登場......というわけで、すでに輸入盤店では評判になっているブルックリン在住の21歳、そのデビュー・アルバムだ。

 ジャーは、昨年リリースしている何枚かのシングルではヴィラロヴォスの後継者と言われたようにミニマル・テクノ・ダンスを発表してきた若者、というか大学生で、アーティなノリが鼻につくとはいえ、それら作品はアイデアに富み、個性があって、魅力的なダンス・トラックであることは間違いない。ここ数年、どん詰まり気味に見えていたミニマル・テクノにおいて、「あー、まだこんなに新しいことができるんだ」と彼のシングルを聴くと感心する。
 それはまあ、簡単に言えば知性による革新だが、感覚派が多数を占めるミニマル・テクノにおいて、知性派と言えばスティーヴ・ライヒを再評価するような、あるいはカールステン・ニコライを再評価する動きがあるけれど、そことも確実に一線を画する面白味というものがジャーにはある。現代音楽を真面目に学ぶ教室のなかでRケリーを高らかに歌う生徒を想像してみて欲しい。そして、フィリップ・グラスは知っていてもヒップホップを聴かない連中の前で一見アホらしいミニマル・テクノを演奏したときに、多くは眉をひそめるだろうが、しかし何人かは熱烈に拍手するだろう。そういう意味では、ニコラス・ジャーにはダダイストめいたところがあるのだ。実際の話、ジャーの最大の特徴をひと言で表せば、異なるジャンルの混合(コラージュ)ということになる。そして、その実験はつねにポップに響いている。
 アルバムではダンスを控え、ダウンテンポでラウンジーな展開を披露しているものの、ハーバートを彷彿させる洒脱でユーモラスなセンスと彼の教養は充分に発揮されている。プリペアード・ピアノとブルースを重ね、ジェームス・ブレイクをミニマル・テクノでやったかと思えば、ゲンズブールがキャプテン・ビーフハートとラップトップでマカロニ・ウエスタンをやっているというか......レナード・コーエンを最大のヒーローとしているだけあって、歌心も忘れない。何よりも音楽を思い切り楽しもうという気概が気持ちよいし、それが老朽化したミニマルのクリシェを解体して、若々しい現在を主張している。

 ともかく、これはジェームス・ブレイクと並んで2011年前半のエレクトロニック・ミュージックにおけるエポックメイキングな1枚になるので、未聴の方は早めにレコ屋にGO!

SOUL AID: music for japan - ele-king

 音楽が大好きな日本の皆さんを、何とか元気に出来る方法はないかと考えた、私なりの精一杯の支援方法です。音楽を楽しんでもらい、少しでも気持ちが明るくなったり、軽くなってくれたら......。これからもっと楽曲が増えていきますので、楽しみにしていて下さい!(浅沼優子)

日本支援プロジェクト
SOUL AID: music for japan

東北大震災とそれに伴う様々な被害や問題を受け、音楽の力で日本を支援するウェブサイトを立ち上げました。

URL: https://soulaid.org

アーティストたちに楽曲を「寄付」してもらい、それをメッセージと共に公開し、無料でシェアするというシンプルなプラットフォームです。

このサイトの最大の目的は日本の音楽ファンの方々に、日本でも人気の高いアーティストたちの心のこもった音楽と真摯な想いを届けることで、心理的・精神的にサポートし、元気を出してもらうことです。

二次的な目的は、この音楽の交流を通して国際的な音楽コミュニティに募金を呼びかけ、深刻な被害に苦しんでいる方々のための支援活動に少しでも金銭的な貢献をすることです。

募金はJustGiving を介して、全額を現在気仙沼市を中心に活動を展開している災害支援NGO、Civic Force に寄付します。

現在サイトにはThomas Fehlmann、Alexkid、International Feel、Nico Purman、Barker & Baumecker、Charles Webster、DJ Cosmo、Miss Kittin によって提供された8曲がアップされていますが、今後さらに増えていきます。

詳しい情報は、サイトの説明ページをご覧下さい。

ご意見、ご質問はこちらまで:
浅沼優子/ SOUL AID
soulaid.org@gmail.com

Chart by UNION 2011.03.28 - ele-king

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1

THEO PARRISH

THEO PARRISH Feel Free To Be Who You Need To Be SOUND SIGNATURE / US »COMMENT GET MUSIC
遂にリリースされたデトロイト・ハウスの至宝THEO PARRISHのニューアルバムからのシングルカット! コラボレーション・アルバムも発表しているギタリスト・DUMINIE DEPORRESをフィーチャー!THEO自身の言葉をそのまま借りるならば「このアルバムにおいて最も重要な2曲」である。尽きることの無い実験性を土着的なリズムへと流し込んだ2トラック!

2

BUBBLE CLUB

BUBBLE CLUB Goddess + Quiet Village Remix INTERNATIONAL FEEL / URG »COMMENT GET MUSIC
HARVEY、ROCHA、HUNGRY GHOSTなど通を唸らせるラインナップでシーンを席巻するINTERNATIONAL FEELの12番は、DAN KEELINGによるプロジェクト・BUBBLE CLUB! ポジティブなヴァイブに溢れたバレアリック・フィーリンなオリジナルと、QUIET VILLAGEによるマッド極まりないダブ・リミックスという好対照な2トラックを収録!

3

MOODYMANN / ムーディーマン

MOODYMANN / ムーディーマン Private Collection WHITE / US »COMMENT GET MUSIC
MOODYMANN関連の中で最も入手困難な作品として知られるKEMのリミックス音源を収録した1枚がホワイト盤で再発決定。不穏なシンセの揺らめき、どこまでも切ないKemの歌声......ホワイト盤のリリースだけにしておくには余りにも、もったいない至高の音源!ホワイト盤ですがこれは絶対にオススメします!

4

RICK WILHITE

RICK WILHITE Limited Japan Promo #1 STILL MUSIC / US »COMMENT GET MUSIC
Theo Parrish、Moodymannと並ぶデトロイト・ハウス最強のユニット3 Chairs「第3の男」Rick Wilhiteがキャリア15年を経て放つ待望の1stアルバム「ANALOG AQUARIUM」からの限定プロモ盤。こちらにはRick Wilhiteの才能を強烈に感じさせる土着的なベースラインとミステリアスなシンセが鳴り響く「Cosmic Jungle」を収録!

5

RICK WILHITE

RICK WILHITE Limited Japan Promo #2 STILL MUSIC / US »COMMENT GET MUSIC
Theo Parrish、Moodymannと並ぶデトロイト・ハウス最強のユニット3 Chairs「第3の男」Rick Wilhiteがキャリア15年を経て放つ待望の1stアルバム「ANALOG AQUARIUM」からの限定プロモ盤!こちらには現在Theo Parrishが各地でプレイしているフィリーテイストが魅力のトラック「In The Rain」を収録!

6

SIRIUSMO

SIRIUSMO Mosaik MONKEYTOWN / JPN »COMMENT GET MUSIC
ギミック満載のエレクトリック・サウンドが各方面で話題となりDAFT PUNKやSOULWAXからも大絶賛される等、今最もアツいフレンチ以降の"ポスト・エレクトロ"最右翼SIRIUSMOが、遂に1stフル・アルバムをドロップ!!!なんと17曲入り(!)

7

MORITZ VON OSWALD TRIO

MORITZ VON OSWALD TRIO Horizontal Structures HONEST JONS / UK »COMMENT GET MUSIC
MORITZ VON OSWALD(BASIC CHANNEL)、MAX LODERBAUER (NSI/SUN ELECTRIC) AND SASU RIPATTI (VLADISLAV DELAY/LUOMO)によるスーパーグループ、MORITZ VON OSWALD TRIOのセカンド・アルバムが遂にリリース!! ブルージーなギターや緊張感溢れるメタルパーカッション、繊細なエレクトロニクスが自由度の高い演奏を繰り広げるダイナミズムに満ちた傑作の誕生です!

8

FRIVOLOUS

FRIVOLOUS Meteorology CADENZA / JPN »COMMENT GET MUSIC
LUCIANO、REBOOT、MICHEL CLEISらを擁し、ミニマル・シーンの最先端を突き進むCADENZAから、2011年のキックオフを飾るに相応しいアーティストとして送り出すのがこのDANIEL GARDNERことFRIVOLOUS!これまでにANDY VAZのBACKGROUNDやSUB STATICのサブレーベル・KARLOFF、そしてPOLE率いるSCAPEから作品を発表し、そのいずれもが高評価を得てきた才人FRIVOLOUSのNEWアルバムが登場!

9

AREA

AREA Tenderness EP KIMOCHI / US »COMMENT GET MUSIC
ANTON ZAP率いるロシアの要注目ディープハウス・レーベルETHEREAL SOUNDや、BEAT PHARMACY主宰STEADFASTなどに印象的な作品を残し、今後CV 313とのコラボレーションやWAVE MUSICからのアルバム・リリースを控える俊英・AREAが、セルフレーベル・KIMOCHIよりNEW EPをドロップ! ノイズに包まれた幻想的なシンセが空間を漂う至高のアンビエント・ダブテクノ"Bed Vertigo"、地中深くどこまでも潜り込む様なディープ・ダブ"So Many Fireflies"、フィールド・レコーディングスを薄くまぶしたノンビートのチル・アンビエント"Cheap Warmth"と全3トラック驚異的なクオリティー!!

10

LUCY

LUCY Wordplay for Working Bees STROBOSCOPIC ARTEFACTS / JPN »COMMENT GET MUSIC
セルフレーベル・STROBOSCOPIC ARTEFACTS、LUKE SLATER主宰・MOTE-EVOLVER、そしてDOMMUNEにも出演したCIO'DORやDONATO DOZZY作品で今やミニマル最深部を担う存在となったPROLOGUEなど重要レーベルから軒並み12"作品を発表、またCHRIS LIEBINGのCLR PODCASTやコアな情報で支持を得ているブログMNML SSGSでのMIXにより、耳の早いDJ/リスナーを中心に人気の高まるLUCYが、いよいよアルバム・リリース!

Chart by JET SET 2011.03.28 - ele-king

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1

クボタタケシ

クボタタケシ CLASSICS »COMMENT GET MUSIC
正真正銘のザ『クラシックス』。遂にあの伝説のミックステープ・シリーズが初CD化!!こだわりの箱スリーヴ・ケース付2枚組仕様で登場です。

2

INNER SCIENCE

INNER SCIENCE END OF THE BEGINNING E.P. »COMMENT GET MUSIC
シリアルナンバー付き、Ltd.300!Inner Scienceの『Elegant Confections』のアナログ・カット最終章!4年ぶりのリリースとなったオリジナル・アルバム『Elegant Confections』が大ヒットのなか、アナログ未発表音源3曲を収録した12インチが到着。

3

THEO PARRISH

THEO PARRISH FEEL FREE TO BE WHO YOU NEED TO BE »COMMENT GET MUSIC
フリーキーかつ叙情的な唯一無二の世界観が相変わらず凄い2トラックス。どちらも本当に素晴らしいです。いつまで入手出来るかわかりませんので、どうかお早めに!!

4

QUANTIC AND HIS COMBO BARBARO

QUANTIC AND HIS COMBO BARBARO CALIVENTURA REMIXES EP »COMMENT GET MUSIC
Cut Chemist、Deadelus、DJ Day、J-Boogieによる超極上リミックスEP!!Cut Chemistによる人気曲"Un Canto a Mi Tierra"激キラー・ラテン・ブレイクスB-2を筆頭に、US西海岸代表の4人が凌ぎを削る爆裂マスト盤!!

5

NITE JEWEL

NITE JEWEL IT GOES THROUGH YOUR HEAD »COMMENT GET MUSIC
ブルックリンの最重要インディ・レーベルMexican Summerから、全世界1000枚限定ナンバリング入りEPが緊急入荷しました(ダウンロード・コード付)!

6

BOTTIN

BOTTIN DISCOCRACY REVISITED »COMMENT GET MUSIC
Eskimoデビュー作"Discocracy"のリワーク4トラックスを収録!!イタリアン・ディスコ・ヒットメイカーBottinによるEskimoデビュー作"Discocracy"収録の2楽曲をMunk, Hannulelauriがリミックス。さらにはBottin自身もハイエナジー・リモデルを披露した鮮烈なインパクト盤!!

7

BARON ZEN & TEKBLAZER

BARON ZEN & TEKBLAZER ELECTRIK SURGERY »COMMENT GET MUSIC
P.B.W.の盟友Sweet Steveが制作を行うBaron Zen待望の新作は、Tekblazerとの共作EP!客演にはCoown Crownからのリリースでお馴染みZackey Force Funkが3トラック、Stones ThrowからKoushikが1トラックに参加。

8

MR RAOUL K

MR RAOUL K RAINNING LOVE »COMMENT GET MUSIC
故郷マリに伝わる伝統楽器群の素朴な音色を使って、驚くほどモダンに、トランシーに鳴り響かせる天才Mr Raoul K。今回もその卓越したスキルには些かの曇りは無し!!大推薦します。

9

EXILE / FREE THE ROBOTS

EXILE / FREE THE ROBOTS LOS ANGELES 10/10 »COMMENT GET MUSIC
遂にシリーズ最終章となる本作、ラストはExileとFree The Robotsによるスプリット!Plug Resaerch所属の西海岸きってのビート職人EXileによる4トラックと、最近ではRhettmaticとの10インチで才能を如何なく発揮していたFree The Robotsによる3トラックの計7トラック収録!

10

RADIOHEAD

RADIOHEAD THE KING OF LIMBS »COMMENT GET MUSIC
突如発表され話題騒然となったニュー・アルバム。US流通アナログ入荷です!!"In Rainbows"に続く8th.アルバム!!ダウンロード・クーポン封入。

#10:Last night DJ saved my life - ele-king

 デリック・メイは怒っていた。3月17日、テレビでBBCを点けっぱなしにしながら原稿を書いていたら、連日トップ・ニュースとして報じている「JAPAN DISASTER」においてアナウンサーが「それにしてもなぜ福島の人たちは怒らないのでしょう」と口走った。こんな発言を聴くと「こうした事態になっても日本人は暴れることなく落ち着いて......」という褒め言葉も皮肉に思えてくる。いや、実際には怒っているのにもかかわらずその声がマスメディアでは報じられていないだけだろう。感情も制御されているようだし、いずれにしても3.11以降、夜は余震に起こされ、福島原発からは相変わらず放射性物質が漏れているようだ。コンビニに行っても食物はないし、雨には濡れるし、水道水を使わないわけにはいかないし、奇妙な自粛ムードが日本を支配している。静岡で毎年夏におこなわれる安倍川の花火大会の中止までもがこの時期に発表された。
 デリック・メイが怒っていたのは、海外のニュース番組の報道についてだった。「あれを聞いたら誰も日本に来なくなる」と、地震から1週間後の成田に降りた彼は言った。「もう人が住む場所じゃないという感じで、とにかく大袈裟なんだ。そこで生活している人たちがいるというのに失礼だろ、このマザーファッカーめ!」と僕に向かって怒鳴った。
 実際の話、海外のロックのライヴ公演はことごとく中止になっている。来日が予定されていたDJのキャンセルも相次いでいる。ほとんどの場合、4月も見通しが立っていないところが多く、ゴールデンウィークのスケジュールも揺らいでいる。「こんなときに日本に行くなんて、さすがに熱い男ですね」とベルリンにいる浅沼優子さんは感心していたけれど、海外メディアの報道を見たうえでこの時期に来日するのはそれなりに強い気持ちがいることだと思う。
 アメリカからの成田行きの便は搭乗者が少なくことごとくキャンセルになっているので、デリック・メイはキャンセルを恐れ、スケジュールを前倒しにして入国した。彼はそれから宇川直宏に電話してDOMMUNEの出演を直訴した。あの番組を観ていた人には不自然に感じたことだろうけれど、WADAさんのDJが終わって僕と門井隆盛くんがマイクを持ってDJブースにいたのも、簡単にデリック・メイの心境を話してもらってからDJプレイに移りましょうと本人を交えて打ち合わせたうえでのことだった......が、しかし、あのように見事に裏切られた、というわけである。「さっさと出ていけ!」はないでしょう、いくらなんでも(笑)。
 そして......およそ2週間ぶりにお客さんが入ったDOMMUNEには、クラブ・カルチャーの最良の雰囲気があった。その晩はバーテンをやっていた豪邸住まいのメタルに「クラブって良いな!」と肩を叩くと、前の週末の彼のパーティにもたくさんの人が集まったと自慢された。依然として楽観できる状況にはまったくいないけれど、こういうときは音楽好きで良かったとつくづく思う。とにかくわれわれには集まる場所があるのだ。

 最初に僕に突破口を見せてくれたのはキラー・ボング(aka.ブラック・レイン)だった。僕は心底驚いた。3月20日のDOMMUNEのDJブースに立ったあの天才は、破壊されたこの世界においてさらなる破壊を試みた。慈愛の言葉があらゆる場面で飛び交い、そして自粛ムードという緊張感に覆われたこの世界において、あのプレイは誰にでもできることではない。もちろん3月13日のラリー・ハードをはじめとするすべての出演者、ムードマン、七尾旅人、ノブ、クラナカ、ロブ・スミスのプレイはまったくもって心がこもったものだったし、20日のシミラボとRAU DEF、PUNPEEとPSG、S.L.A.C.K.といった若い力もみんな美しかった。僕はその場にいなくても、ほとんどすべてを聴いていたし、それぞれの場面でずいぶんと感動したものだった。ただ......、そう、ただ、キラー・ボングだけは何か違うところを見ていた。
 それは人間の不条理への呪いのようにはじまった。エフェクトがかけられた抽象的な音の不穏な渦巻きからビートが聴こえる。しばらくするとファラオ・サンダースがけたたましく吠えている。悲しみがすさまじい勢いで押し寄せる。ターンテーブルの上には不気味極まりない骸骨、歯模型、あるいは悪魔の人形が置かれている。骸骨がぐるぐるとまわるなかで、彼のなかの激しい感情が音になって暴れている。口当たりの良い音ではないし、「これはいま聴きたくない音だな」というツイートもあったが、実は僕は、そのときもっとも聴きたかった音だった。待っていたのはこれだ! という感じだった。彼のラディカルなダブミキシングによって無秩序にうごめいている音を聴いていると、不思議なことに"自由"が見えてくる。自由......それは命と同じように尊いものだ。
 キラー・ボングの集中力が途切れることはなかった。彼は目を閉じて、始終音のみに集中していた(飲み物を差し出しても気がつかないほどに)。やがてシンク・タンクがミックスされ、それからウータン・クランとヘア・スタリスティックスの溝を埋めるような彼のミックス・ショーは、コンガのビートがファンクのうねりに絡みつくディアンジェロの"スパニッシュ・ジョイント"を最後のクライマックスとして、そしてフェイドアウトしていった......。それはアヴァンギャルドがこの瞬間(滅びた街々、汚染された環境、買い占めパニック、錯綜する情報などなど......)に向き合ったときの、素晴らしい声明に思えた。容赦のない怒りが噴出し、そして絶え間なく溢れる願いが氾濫した。音楽はときに隠された真実を引きずり出すのだ。

 僕はあの濃密な1時間半の、キラー・ボングの破壊的なミックス・ショーが道を作ってくれた気がしている。あれがなければ多様であるべき感情表現すらも、あるいは自由であるべき表現さえもいまよりも不自由なままだったかもしれない。Last night DJ saved my lifeが起きたのだ(もちろん誰もがDOMMUNEを見ているわけではないが、こうしたささやかな亀裂やさざ波がいずれ大きく広がり物事を動かすことはある)。
 ああ、そういういえば、あの日の僕は風邪で喉がガラガラで、実に聞き苦しい声で、視聴者の方にはたいへんな失礼をした。「何を悲痛な声で......」とキラー・ボングには笑われたけれど、このタイミングで風邪を引くというのも我ながら情けない。いまも身体がだるいなーと思いながらこの原稿も書いている。テレビではBBCが東電本社の前のデモをレポートしている。「こんな事態になっても人びとは無関心なようです」とイギリス人のレポーターは伝える。それから場面は浜岡原発へ......。震災のコメントでマユリちゃんや湯山玲子さんも言ってるけど、この災害を原発というものを考え直す良い機会にしなければならない。チャリティーも大切だが、これもまた未来に向けての重要な事柄。ヨーロッパでは、これは大袈裟な報道の恩恵とも言うのか、脱原発の世論が高まっている。すぐに停止というわけにはいかないだろうけれど、スイスは国民の健康を第一に考え、原発計画を凍結させ、UKも原発は必要としながらも老朽化した原発は閉鎖、イタリアでも原発再開を1年間凍結、ドイツでは25万人のデモ......。なにはともあれ、とにかく早いところ放射能の漏洩だけでも止めて欲しいわ、ホントに。

The Pains of Being Pure at Heart - ele-king

 バンド・サウンド、ないしはバンドの肉体性というものが空洞化したなと感じはじめたのは2008年前後だっただろうか。90年代ロック......ニルヴァーナやレッド・ホット・チリ・ペッパーズ、レディオヘッドらまでは残っていた「バンド」という物語は、いまやすっかり解体されてしまった。ストロークスやホワイト・ストライプスにしても、「ガレージ・リヴァイヴァル」の名のとおり一周回ったバンド解釈であり、それが2008年頃にきて、ロクスリーやフラテリス、ザ・ヴューなどを最後の華として歴史のなかに回収されたという印象だ。ロクスリーのマージー・ビートやフラテリスのブギーに顕著だが、ラストが一様にブリティッシュ・マナーなバンド・サウンドだったのも印象的だ。その後完全にUKロック・シーンは停滞するからだ。
 そしてサイケ・ポップにバレアリック・ムード、シンセ・ポップの新しい波が押し寄せ、シューゲイザー再燃の気運が、ローファイ再燃の気運と乗り入れて相乗的にブームを起こした。ローファイ勢はバンド・サウンドと呼べるだろうが、台頭したのはノー・エイジやベスト・コーストなどデュオ(やソロ)が多く、バンド形態に対する批評や距離が暗示されていたと考えてよいだろう。またサイケ・ポップ勢もバンドとはいえ、リズム隊+リード・ギターといったシンプルなフォーメーションを大きく逸脱していることはアニマル・コレクティヴを参照するまでもない。このあいだ、コミュニケーションの在りようも変化したのだ。3人以上の人間のあいだに生じる微妙で繊細な駆け引きよりも、デュオやソロの機動性と直接性に説得力が宿る。要はバンドというものがダサくなった。
 個人的な感覚に過ぎるだろうか? ひとまわり歳の離れた私の弟たちを見ていても、バンドよりオタクである。ギターより2次元である。ひとりで発信し、ネット上で燃え上がるチルウェイヴの隆盛などは、音楽におけるオタク/ひきこもり的メンタリティの合理性や説得力を証すものだと言えないだろうか?

 そのかたわらでままごとのようにバンド形態を謳歌していたのが、『c86』リヴァイヴァリストたちである。80年代英国インディーズへのノスタルジーは、新世代シューゲイザーの盛り上がりとも重なり、〈サラ〉、〈エル〉、〈スランバーランド〉ものの再発掘やニュー・リリースへの注目に熱を帯びさせた。なるほど「ギター・ポップ」というカードは、かつて与えられた符号どおりエヴァー・グリーン......無期限に有効であるらしい。時代に背くように、あるいは時代性をシャット・アウトするように、彼らはエヴァー・グリーン・シェルターのなかでエヴァー・グリーンを偽装し、再生産しつづける。バンドという物語は、このシェルターのなかでは永遠に生きることができるのだ。そして、そうした物語を必要とする者にとってこの世界は得難い場所だ。ペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハートは、こうしたノスタルジーが生み出したなかでも飛び抜けて優秀なバンドである。

 ペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハートのデビュー・フルは、国内では「CDショップ大賞」の洋楽部門準大賞にまで選出された。ファズの効いたノイジーなシュガー・ポップ&男女ヴォーカルという鉄板シューゲイズに加え、ブラック・タンバリンやロケット・シップ、あるいはフィールド・マイスなど、ギター・ポップ~ネオ・アコースティックのオリジネイターへの参照点も非常に的確かつオタク的である。アート・ワークの参照ポイントも同様で、旧世代には懐かしく、新世代には新鮮に映るじつに巧いジャケットだった。メロディ・センスも図抜けている。あらゆるポイントで高得点だ。
 セカンド・アルバムとなる本作も基本的には前作の延長なのだが、特筆ポイントは表題曲でもある"ビロング"のサウンドだと言えよう。そこで鳴っているのはスマッシング・パンプキンズだ。金属的で重めのギターがバンド・サウンドの亡霊を神々しく召喚する。なにしろプロデューサーにフラッド、ミックスにアラン・モウルダーを配しているのだ。どういう経緯かはわからないが戦略的で効果的な陣形である。おそらく純粋な憧れだけではあるまい。4枚ものアルバムがプラチナ・ディスクに輝いたザ・オルタナティヴ・ロック=スマッシング・パンプキンズをいま鳴らすことが、昨今の超インディ志向なガレージ・ポップに対するなんの問いかけにもなっていないはずがない。もちろん楽曲も粒揃いで、ドライヴ感を大事にしたラフさは出しつつ丁寧に目の配られたプロダクションである。彼らが重要で存在感のあるバンドだということを証明した、じつに堂々たるセカンド・アルバムだ。

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