「ele-king」と一致するもの

 『トレインスポッティング』や『スラム・ドッグ・ミリオネア』のダニー・ボイルが監督した新作映画『スティーヴ・ジョブズ』をロンドンで観た。脚本は、『ソーシャル・ネットワーク』『マネーボール』のアーロン・ソーキン。ソーキンお得意の、しゃべりまくる個性的な登場人物たちの言葉の応酬でドラマを展開する奇妙なセリフ劇である。ダニー・ボイルだし、iTunesやiPodを発明したジョブズを主人公にした映画なのだから、音楽的なのかと思ったら、まったくそんなことはない。皆が知ってるジョブズの功績、iPhoneやiTunes、iPadなどは影も形もないし、U2のボノみたいなミュージシャンが彼の素晴らしさを讃えるわけでもない。ただ、ジョブズのカリスマ性を炙りだすのに、彼にとってのステージ、“発表会”という場とその舞台裏にフォーカスしたという意味では、十分にライヴ的な映画とは言えるかも。

 批評家のウケは極上だったこの映画、あまりにコアなところを狙いすぎたのか、すでに公開された海外各国での興行成績はふるわなかったようだ。さて、電気グルーヴの映画のレヴューをするのに、なぜこんなに長々と別の映画のことを書いたかというと、異端の存在でありながら26年も続いてきた“電気グルーヴの歴史”を総括する映画なんてものこそが、こういう罠に簡単にはまりそうだからだ。だってあの卓球と瀧が、ストレートな回顧ものを撮らせるわけがないと思うじゃない。監督もテレビ/映像業界でサブカルのご意見番的に有名で、なおかつかなりの電気ファンを自認する大根仁だというし。それこそ、ファンのオタク度を測るようなレア映像や特殊なシーンばかりをつなげたり、主だったできごとはすでに皆当然知っているものとして省いてしまったりネタとして処理するというような作りだってありえたと思う。もしくは、ダニー・ボイルのジョブズ映画に倣うなら、野村ツアー以前(つまり、『Vitamin』以前)のライヴ3回のバックステージでの様子や会話を捉えた楽屋裏映像だけで構成しちゃう、みたいなことも。
 いや、そういう“マニアの皆さん大歓喜”な映像がまったく入ってないというわけではないんだけど、この映画がすげーまっとうに作られていることに最初はちょっと面食らって、でもどんどん自分もその映像の一部になっていくような感覚を得て、最後には「うわ〜、電気グルーヴってやっぱりものすごい存在だわ。この人たちとこんなに長い歴史の時間を共有できてホント良かった」みたいな感慨を抱いた。仕事で電気に関わったようなひとたちはもちろん、劇場にこの作品を見に行こうと思っちゃうようなひとも皆、それぞれの思い出のフラッシュバックとともに、そういう感覚に包まれるんじゃないかと思う。

 初めて世に出るという89年8月の大阪でのデビュー・ライヴの映像から、ほぼ時系列にそって電気グルーヴの歴史をなぞりつつ、国内外の17人の関係者の証言を随所に折り込むことで、内と外から電気グルーヴとは何か? をすげーまっとうに炙りだす。昨年の〈Fuji Rock Festival ‘14〉グリーンステージでのライヴは、今回の映画で主要なステージのフッテージとしてたくさん使われているんだけど、WOWOWで放送された同時期のソロ・ライヴの様子を収録した番組を見た人だったら、類似性と大きな違いに気付くはず。〈塗糞祭〉のライヴでは、CMJKや砂原良徳、DJ TASAKA、スチャダラパーといったゲスト陣にインタヴューして、やはり電気グルーヴのことを語らせていた。今回も同じようなメンツが話している。でも、やっぱり今回の方が取材に時間をかけているだろうし、楽屋コメントよりもずっと冷静に、いきなり内臓に切り込んでくるみたいな鋭さが見られる。もっと重要なのは、(僕らはよく知ってるけど)普段はほとんど表にでてこない、マネージャーの道下さん、元所属レーベル社長の中山さん、リキッドルームの山根さん、ROCKIN’ON JAPANの山崎さんといったひとたちが喋っていることだ。油断しているとすぐ足下をすくわれ毒を盛られるという、いたずら好きで辛辣で、斜に構えたイメージの電気グルーヴではなく、ある意味ものすごい愛されキャラとしての電気の本質が彼らの証言によってだんだんと見えてくるのが、いい。
 歴史的な映像の大半は、VHSテープに残っていたようなざらざらのローレゾ映像なわけで、新撮のインタヴューや最新のライヴのきれいな映像は、否応なく目立ってしまう。そんな風に暗闇のでかいスクリーンに旧知の連中の顔が大写しになって次々出てくると、「うわぁみんな老けたなぁ」と思うのは当たり前だ。でも、不思議なことに映画が進むにしたがって、どんどんその老けたおっさんたちが、卓球と瀧だけじゃなくて、彼らと一緒に歴史を作ったきたCMJKやまりんやTASAKAたちみんなが、超かっこいいじゃんという印象に変わってくる。いやいや、ほんと、マジだって。そういう効果をしっかりだすために、今現在リアルにかっこいいしルックスだけでモテそうな関係者一番の若手、agraphこと牛尾くんを出さなかったじゃないかなとか勘ぐりたくなるくらい。

 もっとディテールのこと(特にKAGAMIへの言及のことなんか)を本当は話したいんだけど、まだ公開前だし、それはこれから観る皆さんの楽しみをスポイルしちゃうと思うので、やめておきます。どっかのパーティーのバー・カウンターとかで、誰かと語りあいたいわ。
 でも、実はこの映画の一番のターゲットって、電気グルーヴのことをあまりよく知らない人じゃないかなとも思うんだよね。テレビや映画に瀧が出てるの見て「へぇ、この人ミュージシャンなんだ」って興味持ったり、偶然フェスでライヴを体験してとか、そういう入り口でいきなりこの映画観たら、最高だろうなぁ。僕も、自分の子供がもう少し大きくなったら絶対これ見せようと思ったし!

札幌のギター・ポッパーたち - ele-king

 日本のインディ・シーンが見えないところで地殻変動をはじめているかもしれない。このアルバムを聴いてそう思った。
 欧米ではあたりまえのように、過去を掘り起こし参照しながら新しいバンドが登場してくる。パンクにせよ、ギター・ポップにせよそのフィールドにいるなら知らなければいけない数多くの名盤の上に新作が連なってゆく。それがまたオーディエンスにフィードバックされながらシーンが形成され、受け継がれてゆく。

 日本で継続的なシーンが生まれてきづらいのはそのあたりに理由があるとつねづね思ってきた。しかしいま、地方のローカルなコミュニティから飛び出してくる20代前半のバンドはそのサウンドも活動のスタンスも、これまでとはちがった価値観を持っている。

 札幌を拠点に活動するTHE SLEEPING AIDES AND RAZORBLADESは、僕が深く関わっているレーベル〈KiliKiliVIlla〉から今年アルバムを出したNOT WONKに多大な影響を与えている。どちらのバンドにも共通しているのは貪欲なまでに音楽を追求する姿勢だ。彼らは自分が生まれる前の音楽でもほんとによく知っている。70年代のパンク、80年代のギター・ポップ、90年代のUK/USそれぞれのインディ・シーン、僕らレーベルのスタッフとバンドが集まると、いつもそんな話ばかりしている。それがほんとに楽しいのだ。30歳ちかい年齢差があるにもかかわらず。

 90年代生まれの彼らが60年代から90年代まで、それこそT・レックスからプライマル・スクリームまで楽しみながら引用、カヴァーしている様子からは音楽好きのあるべき正しい姿を感じる。このアルバムを聴くと世界各地のローカルなインディ・バンドから、ギター・ポップ、パンク、ニュー・ウェイヴまでを連想させる、きっと彼らは毎日音楽の話ばかりしているにちがいない。
 そうやって自分たちが愛してきた名曲、名盤をオーディエンスに伝えようとしている。いやもしかしたら彼ら自身がわかってくれるオーディエンスを見つけようとしているのかもしれない。まるでニッキー・サドゥンのようなヴォーカルの歌声から筆者が勝手に想像しただけなんだが。

 景気の低迷も音楽業界の構造の変化も、彼らにとっては当たり前の日常として、ロックを聴きはじめたときからあったものだし、むしろどうでもいい人たちがまったく入ってこない歓迎すべき状況なのかもしれない。彼らのようなバンドが自分たちのできること、やりたいことを工夫しながら実現していくことがひとつのアティチュードの表明でもあるはずだ。

 特筆すべきは、このアルバムの取り扱いは全国の専門店だけでなく個人で商品を仕入れてライヴ会場や友人関係に販売する個人ディストロとネット・ショップが販売の中心となっている。こういうかたちでシーンに参加することも可能だし、それが地域のコミュニティの活性化にもなり、また各地に散らばるコミュニティを結び少しずつ広がってゆく現象が起きているのだ。音楽を配信とYoutubeでしか聴かない人にはけっして届かないだろうが、ロックやパンクに特別な夢を見ている人は自分でたどりついてほしい。このアルバムを見つけた人同士は絶対に話が合うはずだから。

 アナログ盤にちゃんとプレスされたCDが封入されて税込で2,000円! 世界を広げてくれるかもしれない買い物としては安いはずだ。

(与田太郎)

THE SLEEPING AIDES AND RAZORBLADES
FAVORITE SYNTHETIC

DEBAUCH MOOD
品番:BEBAUCH-009
https://debauchmood.blogspot.jp

THE SLEEPING AIDES&RAZORBLADES
/ MY STRANGE HEADACHE


Myths Of The Far Future - ele-king

 12月15日、原宿のVACANTでアシッド・フォークのイヴェントが開催される。出演は、UKからGrimm Grimm(Koichi Yamanohaによる)。今年、〈ATP Recordings〉からデビュー・アルバム『Hazy Eyes Maybe』をリリースしたばかり。
 他に、マヒトゥ・ザ・ピーポー(GEZAN)とKohhei Matsuda(Bo Ningen)と、強力なラインナップ。映像はTakashi Watanabe。



Future Brown - ele-king

 〈ハイパーダブ〉からのリリースでも知られるファティマ・アル・カディリ。LAのビート・ミュージック・デュオであるエングズングズのダニエル・ピニーダ&アスマ・マルーフ。シカゴ・ジュークの天才児Jクッシュ。この4人によるプロデューサー集団、フューチャー・ブラウンが来日する。今年の頭に〈ワープ〉よりリリースされたファースト・アルバムでは、グライム、ジューク、トラップ、ゲットー・ハウスなどが起こす鮮やかな音の化学反応が大きな話題を呼んだ。アルバムには多くのMCが参加していたように、今回の来日講演にはMCのローチ―が4人とともにステージに上がる。ファティマ・アル・カディリは去年も日本へやってきたが、フューチャー・ブラウンの来日は今回が初となる。スーパー・グループのセットを是非体感してほしい。


B.B.KING - ele-king

 それは、まるで公民権運動の時代に逆戻りしたような風景に見える。思い思いのメッセージを掲げたプラカードを抱えながら路上に集まる、ブラック・ピープル。「私たちを撃たないで」、路上の上では小さな子供やお母さんたちがスローガンを掲げている。2015年、新しいブラック・ムーヴメント、#BlackLivesMatterが拡大している(紙エレキング17号を参照)。
 こういう時代において、音楽はムーヴメントのサウンドトラックとなる。2015年はケンドリック・ラマーの『ピンプ・トゥ・バタフライ』がそれに選ばれた。久しぶりに圧倒的なインパクトで“黒さ”を見せつけたこの作品のなかには、こんなフレーズが出てくる。「40エーカーの土地とラバ1匹よこせ」「あぁ、アメリカよ、悪いビッチだな。俺たちがコットンを積んでリッチになったのに」

 南北戦争以降のアメリカの南部、奴隷制のなか綿畑で働く最下層の農民たち、ミシシッピ川周辺、そこにはアメリカのポピュラー・ミュージックにもっとも大きなインパクトを与えたエリアがある。今日我々が耳にしている音楽の大いなる基礎となったブルースなる音楽は、そもそも南部のスタイルである。グリール・マーカスの『ミステリー・トレイン』がロバート・ジョンスンからはじまるように、そこはすべての出発点と言ってもいい。
 2015年5月14日に他界したB.B.キングは、ミシシッピの孤児の小作農からブルース歌手となり、やがて白いアメリカ中間層にも支持されるようになった通用「ブルースの王様」である。
 この度、日暮泰文氏の監修のもと、ele-king booksから刊行することとなった『キング・オブ・ザ・ブルース登場-B.B.キング』は、1980年に本国アメリカで刊行されたブルース研究の古典の1冊である。社会学の観点から、アメリカ黒人史の観点から、そして音楽学の観点から、ブルースの王者を分析した名著で、ことにシェアクロッパー・システム(小作人制度)という、ブルースの背景のひとつであり、当時の農民たちを縛り付けていた制度に関する踏み込んだ研究がされている。ケンドリック・ラマーがジャケのなかで、ドル札を見せびらかす理由がよくわかるだろう。
 また、本書においてはブルースが、どのように白いアメリカのなかで受け入れられていったのも詳細に語られている。それはある意味もっとも白いフォーク・リヴァイヴァルと呼ばれるムーヴメントだったのだが、そのあたりの話も興味深い。
 もちろん、B.B.キングは白い黒いといった人種を超越した、まさにアメリカを代表するブルース歌手/ギタリストであり、エンターテイナーだった。この機会にどうぞ、振り返って見て欲しい。
 なお、当然原書にはない、著者、チャールズ・ソーヤーによる弔辞も掲載している。

チャールズ・ ソーヤー
染谷和美 (翻訳)
日暮泰文 (監修),
『キング・オブ・ザ・ブルース登場-B.B.キング 』
ele-king books
Amazon

GUITAR POP definitive 1955 - 2015 - ele-king

ギター・ポップの古今を訪ねる、名盤500枚の旅。

好評のディスクガイド、“ディフィニティヴ・シリーズ”最新刊!フォーク・ロック、ボサノヴァ、カントリー・ポップからネオアコへ、そして、21世紀のギター・ポップへ。

これは、ギター・ポップをめぐる成熟と未成熟の物語だ──。
変わることなく、しかしその不変の輝きによっていつの時代においてもファンを生みつづけてきたギター・ポップ。
本書は、ポスト・パンク期の名門レーベルやバンド、国内においてはネオ・アコースティックとして愛され親しまれたアーティストたちはもとより、彼らに先行する存在へと遡行し、また、新しい世代の音にその遺伝子と普遍性とをたずね、年代順に掲載するディスク・ガイドです。

ラテン・ポップス、ソフト・ロック、ネオ・アコースティック、ギター・ポップ、そして現在。
5つのカテゴリーでつぶさに眺める、新しいギター・ポップ本!

好評のele-king books“ディフィニティヴ・シリーズ”最新刊として登場です。


監修:
岡村詩野

執筆者:
北中正和、木津毅、坂本麻里子、沢井陽子、土屋恵介、デンシノオト、中村義響、野田努、橋元優歩、増村和彦、松村正人、松山晋也、水越真紀、三田格、与田太郎

 今年もっとも輝いた顔のひとつである。ハープを抱いた歌姫、フリーフォークのアイコン、確実にUSインディの一時代を築いたこのシンガー・ソングライターは、しかし同じところにはとどまっていない。ディヴェンドラ・バンハート『クリップル・クロウ』から10年、アニマル・コレクティヴ『フィールズ』からも10年だ。はやすぎて恐ろしい。

いま彼女は街に両足をつけ、ひとりの女として、歌うたいとして、そのなかに渦巻く感情のドラマツルギーでこそわたしたちを魅了する
(木津毅によるレヴュー、ご一読をお奨めしたい! )

 そう、新しいジョアンナは新しい歌をうたっている。それは今作を支えた編成とともに見るときもっとも鮮やかに、そしてもっとも直接的に感じられるだろう。東京はグローリア・チャペルでの公演も楽しみだ。

■Joanna Newsom Japan Tour 2016
ジョアンナ・ニューサム ジャパン・ツアー2016

 2015年秋にリリースされた最新アルバム『ダイヴァーズ』の興奮冷めやらぬ中、その歌声とハープで世界を魅了しつづけるジョアンナ・ニューサム6年ぶりのジャパン・ツアーが決まりました。彼女の歌とグランド・ハープ、ピアノを囲む今回の演奏家はライアン・フランチェスコーニ、ミラバイ・パート、ピーター・ニューサム、そしてヴェロニク・セレットの4人。もちろん『ダイヴァーズ』の大きな音楽世界を支えた選り抜きのメンバーたちです。さて、手を伸ばせば、世界でもっとも鮮やかなユートピアがそこで待ち受けています。息を吐き、足で蹴り、浮かび上がるダイヴァーたちの群れ。もちろん次はあなたが飛び込む番!

■ジョアンナ・ニューサム(Joanna Newsom)
米カリフォルニア州ネヴァダ・シティ生まれのハープ奏者/シンガー・ソングライター。グランド・ハープの弾き語りというユニークなスタイルで2000年代音楽シーン最大の「発見」のひとりでもある。これまでに『ミルク・アンド・メンダー』(2004年)、『Ys』(2006年)、『ハヴ・ワン・オン・ミー』(2010年)、『ダイヴァーズ』(2015年)と4枚のアルバムを米ドラッグ・シティ(国内盤はPヴァインから)より発表し、その世界観を大きく拡張。その音楽要素をジャンル名で回収することはおろか、もはや大きな「音楽」としか名づけられない唯一無二の個性となった。近年は2014年のアカデミー賞2部門にノミネートされた映画『インヒアレント・ヴァイス』に女優として出演、ナレーションも手がけるなど活躍の場を広げている。

公演

1月26日(火)
大阪 大阪倶楽部 4階 大ホール(06-6231-8361)
大阪府大阪市中央区今橋4-4-11
開場 6:00pm/開演 7:00pm
5,000円(予約)/5,500円(当日)*全席自由席
予約受付は12月7日正午より開始します。
予約:Cow and Mouse(cowandmouse1110@gmail.com)
予約方法:件名に「ジョアンナ・ニューサム大阪公演」と明記の上、お名前(フルネーム)、お電話番号、チケット枚数をご記入いただき、上記メール・アドレスまでご送信ください。確認後、購入方法を折り返しお知らせいたします。なお、携帯電話から申し込まれる方は、PCメールの拒否設定をされていませんようご確認ください。また、会場内はすべて自由席、ご来場順でのご入場となります。
大阪公演問い合わせ先:ハルモニア(080-3136-2673)、
Cow and Mouse
cowandmouse.blogspot.jpwww.facebook.com/cowandmouse

1月27日(水)
東京 キリスト品川教会 グローリアチャペル(03-3443-1721)
東京都品川区北品川4-7-40
開場 6:30pm/開演 7:30pm
5,000円(予約)/6,000円(当日)*全席自由席

1月28日(木)
東京 キリスト品川教会 グローリアチャペル(03-3443-1721)
東京都品川区北品川4-7-40
開場 6:00pm/開演 7:00pm
5,000円(予約)/6,000円(当日)*全席自由席

東京公演前売りチケット:
スウィート・ドリームス・プレス・ストア(sweetdreams.shop-pro.jp
*12月7日正午より、上記ウェブサイトにて特製チケットの販売を開始します。なお、送料として一律200円がかかりますので、あらかじめご了承ください。また、会場内はすべて自由席、チケットの整理番号順でのご入場となります。

企画・制作:スウィート・ドリームス・プレス
招聘:Ourworks合同会社
協賛:株式会社P-VINE
共催:Cow and Mouse(大阪公演)
音響:Fly-sound(東京公演)

Sweet Dreams Press
www.sweetdreamspress.com
info.sweetdreams@gmail.com

JOANNA NEWSOM: Divers
ジョアンナ・ニューサム/ダイヴァーズ
発売日:2015年10月23日
品番:PCD-18803
価格:定価:¥2,480+税

TRACK LISTING:
1. Anecdotes
2. Sapokanikan
3. Leaving the City
4. Goose Eggs
5. Waltz of the 101st Lightborne
6. The Things I Say
7. Divers
8. Same Old Man
9. You Will Not Take My Heart Alive
10. A Pin-Light Bent
11. Time, As a Symptom


世界はまだダニエル・クオンを知らない - ele-king

入学おめでとうございます - ele-king

 いきなりですが、赤塚不二夫先生生誕80周年記念行事のひとつとして、今週から、まさかのバカ田大学の特別講義がはじまります。場所は東京大学。ジム・オルークのファンにもお馴染みの坂田明先生、ドミューン宇川直宏先生の講義もあります。この機会をお見逃しなく。

 追記:先日、晴れて文庫化された、赤塚りえ子氏の名著『バカボンのパパよりバカなパパ』の後書きは大友良英氏。帯には氏の言葉が書かれています。「今の日本には赤塚不二夫が足りない!!」。
 赤塚不二夫生誕80周年祭、来年の9月14日まで続くそうです。

■バカ田大学
・開催日程:2015年12月1日(火)~2016年3月31日(水)
・開催場所:東京大学 山上会館(東京都文京区本郷 7-3-1)
・授業料 1コマ5,500円(税込/受講者全員にオリジナルノート付き) ※未就学児童入場不可
《チケット購入方法》一般発売日: 2015年11月14日(土) ・チケットぴあ https://w.pia.jp/t/akatsuka80/ Tel0570-02-9999
セブン‐イレブン/サークルK・サンクスで直接購入可能。 ・アーク https://ark.on.arena.ne.jp

■講師

河口洋一郎
2015年12月1日(火)

みうらじゅん
2015年12月5日(土) 2016年2月20日(土)

安齋肇
2015年12月5日(土) 2016年2月19日(金)

宮沢章夫
2015年12月26日(土) 2015年12月26日(土)

坂田明
2016年1月12日(火) 2016年2月18日(木)

浅葉克己
2016年1月28日(木) 2016年2月28日(日)

喰始
2016年2月6日(土) 2016年2月10日(水)

三上寛&宇川直宏
2016年2月14日(日) 2016年2月27日(土)

泉麻人
2016年2月19日(金) 2016年2月27日(土)

(※まだまだ続くそうです)

ダニエル・クオン - ele-king

Ha Ha, Just notes 増村和彦

 ──『ノーツ』というアルバム・タイトルが象徴する掌編的小曲は、集合体となって、永遠に未完のまま無限に続く可能性を燻らせている。

 Pヴァインのオフィシャル・インフォにも「ポピュラーミュージック症の重篤患者」とある通り、彼の音楽的な素養には驚くばかり。アルバムに収録された小曲はトラック数の数倍に及ぶというメロディ・メイカーぶりはビートルズを彷彿させるほどであるし、奇抜でありながら普遍性を身に纏うアレンジやミックスにキース・オルセンやカート・ベッチャーを重ね合わせるかもしれない。その手のことは、枚挙に暇がないが、裏側から対象を眺めるような観察観の鋭さは、言わば「aに対するa´」を勝ち得ている。作品からaを探し出すことは簡単かもしれないが、さまざまな音楽遺産の中から彼のa´を見出した時一つの幸福感を味わえるに違いない。それは同時に、音楽遺産の上に新たな視点を提示してくれる。
 そのような経験的な音楽の領域に説得力を持たせているのが、詩的な領域だ。何もコンセプトや歌詞のことではない。各曲は物語としては掌編的に完結していくが、そこにカタルシスはない。不満なき完結はある意味では死を意味する。はちきれんばかりのリビドーが(#5“mr.kimono”の頭のローズ・ピアノなんて手で掴めそうだ)、浄化されることなくアルバム全体を流れつづけることによって、長編のようないつ終わるとも知れない味わいを持たせている。タイトルの「note」と「複数形」の意味をそこに見た気がした。

 彼にそんなことを言ってもきっと「haha, just notes」と言うはずだ。それはそうにちがいない。矛盾するように同居するムードの気楽さが作品をしてベタつかせていない。各所に散りばめられたフィールド・レコーディングが、自己の中に入り込もうとするものでなく、映画の1コマのような効果を与えていることも象徴的だ。時に顔を出すシニカルな側面にも深刻さはない。これもタイトルが示すところであろう。

 たしかに、このアルバムにハイライトやメッセージ性はないかもしれない。彼の場合は、さまzまな倒錯や幻想の形態化自体がユーモアや物語を帯びながら音楽をなしていくところがあるように思う。それは、自己満足の空しい作業かもしれないが、閉ざされた空間で日曜日にしか愛好されない音楽の中にあって、稀有な存在であり、われわれはそのようなものに心酔するはずだ。

 ……なんだか難しいように書いてしまったかもしれないが、最後に一つ。ここまで歌が聴けるアルバムもなかなかないだろう。

増村和彦

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呪われたようにポップ 松村正人

 さきほど『ele-king』本誌にジム・オルークの原稿を書き終えた勢いというか熱さめぬままというか惰性というか、そういうもののまま、ジョン・フェイヒィの“Requiem For Molly”を聴いていたとき、それとアイヴズの交響曲4番と異同にあらためて慄然とし、本稿でそれをもちこんだのはそこに書き漏らしたためなのだが、この傾向を、かつて私たちはジムの音楽を述べるにあたりアメリカーナと呼びならわしたものの、ことばの深いところでそのことを考えてはこなかった。不在あるいは架空のルーツといい条、語りの構造を語らないことで片手落ちになっており、これは保坂和志が『遠い触覚』でリンチ(のおもに『インランド・エンパイア』)を語るさいのフィクションがたちあがるときの「遠さ」とも重なるが、このことについては別稿に譲るとして、私たちは音楽にドリームないしドリーミィの単語を被せるときその形容詞を甘くみすぎている。

 もっとも私は夢をほとんど見ないし、見たとしても脈絡のないものばかりなので実感はないが世の中にはどうも楽しい夢もあるらしい。願うだけであるものが手に入る万能感、おしよせる多幸感──それを音楽にこじつけると、いや、音楽はいまや思うことのすべてをだれもがひとりでたやすく実現できる、まさに夢の世界だが、想像できる範疇でできた音楽などとるにたらない。私はなにがいいたいかというと、夢の力学とはガタリがカフカを述べるにあたりもちだした「夢の臍」から来るもので、それはほとんど受動的な万能感といえるほどのある種の恐慌状態を指すとものであり、万能なのは夢そのものであり見る側ではない。というと付け焼き刃のフロイト派のようであり、しかも音楽をふくむフィクション全般を語るにそれをもちいることの、ジジェクめいたあやうさももちろんあるのだけど、なんかしっくり来ないのよ、柳沢慎吾に「いい夢見ろよ」といわれるたびに、うーむとなってしまう私としては。いい夢見たことないし。

 私はシンガー・ソングライター、ダニエル・クオンを知ったのは、このレヴューを引き受けてからという、はずかしながらクオンさんヴァージンの私だが『ノーツ』には巷間のドリーム・ポップに私の抱いてきたどこか食えない感じとは似ても似つかないものをもっている。略歴そのほかは健筆な著者の別稿をご参照いただきたいが、森は生きているの岡田拓郎、増村和彦はじめ、牛山健、小林うてなといった、数年前の日本移住後、東京インディ界隈で培った人脈を投入した『ノーツ』は、私は浅学ぶりをさしひいても確実にポップ度は増した。私が空手形を切っていると思われる方もおられようが断言します、『ノーツ』以上にポップな作品がおいそれとつくれるわけがない。それほどこのアルバムは呪われたようにポップだ。作者ではなく音楽がそうなっている。

 幕開けの“fruit, not apple”の果実(リンゴではない)を囓る音のほのめかすもの、つづく“hop into the love van”でダニエル・クオンは私たちをトリップに誘い出す。飛び乗るのはラヴ・ヴァン。ケン・キージーのバスを思わせるところもあるがあれほどトリッピーではない。行く先々には見知った顔も見える。ある停留所ではポール・マッカートニー卿のまわりをパイロットとエミット・ローズをはじめ、その音楽的遺伝子を受け継いだ無数の子どもたちがとりまき、たがいのポップ・センスの捻れぶりを競い合っている、人垣をかきわけるとジョンストンのほうのダニエルと鉢合わせして意気投合しないともかぎらない。どこを切っても、口ずさめそうなほど耳なじみがいいのに、場面はくるくる展開する。飛躍するというほどではないのに、全体的には断片の集積の印象を残す。『ノーツ』の表題はそこに由来するのかもしれないが、そこにはキース・オルセンやロイ・トーマス・ベイカーといった彼の偏愛の対象だというプロデューサーの手がけた作品名がメモってあるだろう。前者はフリートウッド・マックとかフォリナー、後者となるとクイーンであり、前述のパイロットもサードはロイのプロデュースだった。これだけ見ると音楽性はさておき、先日のレヴューされたジェームス・フェラーロに通じるガジェット感があり、クオンはそれをある種の付随音楽──というと即座に映画音楽を想起される方がいるかもしれないが、私がいいたいのは部分と全体のかかわりであり、クオンの『ノーツ』は全体がすべてに先行する。ところがそれはテーマとかコンセプトとかではない。まっしろなノートがまっさきにあるのである。ソフト・ロックにせよ、ロウファイであれラウンジであれ、そこには自由に書き込む余白がある。ブライアン・メイの亡霊さえ召還可能だろう(まだ死んでないが)。フィールド録音の多様は音楽と外との流通をはかる。そうすると音楽はフェイヒィにかすかに似た歪みをともなうが、特異なソングライティング・センスは埋もれないどころか、ますます際だっていく。このような作品はバンドではなかなか難しい。ゆえに『ノーツ』は東京のアンダーグラウンドの若い住人たちにも新風を吹きこむ作品として歓迎されるにちがいない。お年を召した方のなかにはモンドを想起される御仁もおられよう。しかもメロディが中心にしっかりあるから、訴えかけるのは好事家にとどまらない。肌ざわりから、カセットを出すのもひとつの手だとも思いました。

松村正人

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