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![]() Various Artist 14 Tracks from Planet Mu Planet Mu |
昔からのファンに言わせれば、かつてマイケル・パラディナスの〈プラネット・ミュー〉は、エイフェックス・ツインの〈リフレックス〉の後を追って出てきたレーベルだった。が、ゼロ年代のなかばにその形勢は変わった。〈プラネット・ミュー〉はいまや、ダブステップ/グライム/ポスト・ダブステップにおける第一線のレーベルのみならず、シカゴのゲットー・ハウスの最新型、ジュークを発信するレーベルでもあり、まあ早い話、目が離せないレーベルのひとつである。
201O年の暮れにレーベルが発表したシカゴのジュークのコンピレーション・アルバム『バングス・アンド・ワークス』は日本でもずいぶん話題になったものだが、今年に入ってからも新しいコンピレーション・アルバム『14トラックス・フロム・プラネット・ミュー』、あるいはフォルティ・DLのセカンド・アルバム、そしてボックスカッターの新作と〈プラネット・ミュー〉は相変わらず好調なリリースを続けている。あまたあるインディ・レーベルのなかで、正直な話、僕自身もここまで長く〈プラネット・ミュー〉の音源を追うことになるとは思いもよらなかった......といったところである。
『ブラフ・リンボー』をアンディ・ウェザオールがむちゃくちゃ評価していた時代を知るわれらテクノ世代からIDM世代、そして若きダブステップ世代にいたるまで、いまや幅広く支持されているこのレーベルの主宰者、マイケル・パラディナスに話を訊いた。
レーベルのリリースを選ぶにあたって、エレクトロニカ/IDMのデモを聴くだけでなく、他のシーンを見ることは新鮮だったし、そのおかげで前に進めたと思う。それは自分がDJするときにレコードを選ぶ興奮や衝動といった感情に似ている。
■まずはこの10年のレーベルの変遷について。2003年くらいまでは、IDM、ブレイクコア、ノイズやエクスペリメンタルを出していた〈プラネット・ミュー〉が2005年くらいからですかねー、ヴァイルス・シンジケートやマーク・ワン、ヴェクスドあたりをきっかけにグライムやダブステップのリリースをはじめて、2006年にはピンチやボックスカッターの作品も出すようになります。個人的にはあなたがミュージック(μ- Ziq)の名義でデビューした1993年から追ってきたので、2006当時は、あなたがグライムやダブステップに力を入れたことに驚きを覚えたんですよね......。
パラディナス:こんにちは! 自分の感覚ではレーベルの変遷それよりももっと前の91年くらいからはじまっていて、建築を勉強していたキングストン大学の頃だと思う。そのころはデトロイト・テクノ、ベルギー系のテクノ、当時真新しかったUKのブレイクビーツ・ハードコア(エイフェックス・ツインの"ディジリドゥー"のようなトラックも含め)をミックスしたDJセットで、 例えばこのDJセットなんか当時僕がよくかけていたレコードになるね。
www.mixcloud.com/mikep/mike-paradinas-90-92-hardcore-mix/
僕が言おうとしているのは、音楽的なルーツはDJで、とにかくみんなを踊らせることだってことだよね。だから1998年に〈プラネット・ミュー〉をはじめたときは、自分がレーベルから出している音楽とDJしているときにかけている音楽にあまり繋がりはなくて、2000年夏ごろにヘルフィッシュ(Hellfish)やハードコアテクノの12"シリーズ"コンスタント・ミューテイション"(Constant Mutation)という、その当時かけまくっていたレコードのリリースでそういった不一致を修正しようと決めたんだ。レーベルのリリースを選ぶにあたって、エレクトロニカ/IDMのデモを聴くだけでなく、他のシーンを見ることは新鮮だったし、そのおかげで前に進めたと思う。それは自分がDJするときにレコードを選ぶ興奮や衝動といった感情に似ていて、2003年と2004年にリマーク(Remarc)を再発しようと決めたときにも同じような刺激があった。
UKガラージ、2ステップ、130BPMのブレイクビーツは1998年くらいからDJでかけていたから、グライムが出て来た頃はそんなに驚きではなかった。
何人かのアーティストはジャングルやドラムンベースのプロデューサーやMCであったころから追っかけてたんだけど、2003年か2004年くらいになると、よりロウでそぎ落としたホワイト・レーベルがうようよ出てきて、ウィリーキャット(Wiley Kat)のホワイト・レーベル、DJ マースタ(Marsta)、ジョン・イー・キャッシュ(Jon E Cash)とか、本当に面白い時期だった。でもDJするときは違った音楽をかけていたから、〈プラネット・ミュー〉からリリースするとは思わなかった(例えば、2001年のワープのネッシュ・パーティのときなんかは完全にUKガラージ/ブレイクビーツだったね)。2001年のDJセットをちょっと録音したのがこれ。
www.mixcloud.com/mikep/2001-mike-paradinas-dj-set-at-alive-festival/
2004年にマーク・ワン(Mark One)のリリースを決めて、それがレーベルで最初のグライムだった。とてもデストピアでインダストリアルなサウンドだと思う。ヴァイルス・シンジケート(Virus Syndicate)のあとに、もっとグライムを出したかったんだけど、多くのMCはメジャーと契約したがってたから上手くいかなくてね。金銭的に満足させられなかった。それでゴースト・レコード(Ghost Records)、ビークル・レコード(Vehicle Records)、オリス・ジェイ(Oris Jay)、ゼット・バイアス(Zed Bias)とか、その先のシーンであったダブステップに行き着いた。彼らはグライムのプロデューサーほどがっついてないからさ(笑)。いまだにグライムはダブステップより面白かったと思ってて、もっとアンダーグランドで荒っぽくて、妥協のない、それでいてポップでもある。いろんな企画のリリースがもっとあったんだけどダメだったね。
ベクスド(Vex'd)は2004年に契約した最初のダブステップだった。彼らがピンチを紹介してくれたんだよ。ベクスドはグライムに近かったね。よりインダストリアルで、"スマート・ボム(Smart Bomb)"(2006年)なんか正にそれだよね。
www.youtube.com/watch?v=kwkwxyZ_-4k
彼らはグライムが大好きでね。だから僕はベクスドが好きなんだけど。そこからしばらくダブステップ・レーベルになって、有名なプロデューサーだとハッチャ(Hatcha)やベンガ (Benga)みたいな人から連絡がきはじめたりしたよ。そのときのDjセットがこれ。
www.mixcloud.com/mikep/mike-paradinas-2005-breakstepdubstepgrime-mix/
僕はいつだってストリート・ミュージックは好きだし、ただエレクトロニカのアーティストとして知られているわけで、もちろんナードは大好きだよ。グライムはブレイクコアよりガラが悪いと思うかな? 自分が見て来た感じだとグライムはとてもフレンドリーなシーンだった。
■グライムとダブステップのどこがあなたにとって魅力だったのですか? それとも、あなたのなかでブレイクコアとグライムやダブステップとの共通性があったのでしょうか?
パラディナス:正直ブレイクコアと呼ばれるものに入れ込んだことはないね。なんかどれも同じに聴こえるし、そういった音楽をクラブで聴くこともなかったよ。つまらないと思ってた。それよりもラガ/ジャングルに影響された音楽やアーメン(Amen)がチョップしていた"ブレイクビーツ・サイエンス"が好きで、シットマットは最高のプロデューサーだと思う。DJでもよくかけていたし、みんなよく踊ってた。
ヘルフィッシュ(Hellfish)や DJ プロデューサー(DJ Producer)も同じで、最初のダンスフロア・レコードだったね。激しい昔のジャングルやドラムンベースなんかを速くて踊れる音楽に持っていくときなんかは彼らをDJセットに入れてた。ヘルフィッシュ(Hellfish)、プロデューサー(Producer)、テクノイスト(Teknoist)、ドロフィン(Dolphin)、シットマット(Shitmat)なんかはブレイクコアだと思ってなかったね。ジャンスキー・ノイズ(Jansky Noise)、スピードランチ(Speedranch)のアルバムもブレイクコアではない、まあそういう感じはあるけどね。
ベネチアン・スネアズ(Venetian Snares)は唯一自分がかけていたブレイクコアだったかな。彼は唯一無二のヴィジョンがある素晴らしいミュージシャンで、シーンのなかでもずば抜けていたよ。ブレイクコアのルーツであるDJ スカッド(DJ Scud)、パラキス・レコード(Paraxis Records)、アレック・エンパイア(Alec Empire)なんかは好きだよ。とても面白いし、別にブレイクコアを否定しているわけではないから。ただ個人的にはそういう見方ではなかった。グライムとブレイクコアではファン層もサブカルチャーも違うし、そんなに共通点はないじゃないかな。たぶんディジー・ラスカル(Dizzee Rascal)の"I Love You"のキックなんかはガバのキックに聴こえるけど、それは偶然だよね。
■いまでもあなたはベネチアン・スネアズやシーファックス(Ceephax)のようなテクノ系のアーティストの作品をリリースし続けていますが、あなた自身はすべてを大きくエレクトロニック・ミュージックとしてみているのでしょうね。ファルティ・DLなんかは90年代初頭のテクノを思い出すようなサウンドだし、最近のダブステップのシーンからはテクノやハウスに近いサウンドが目立つようになったし、あなたにとっては20年前にテクノに接したのと同じ耳でダブステップにも接しているって感じなんですか?
パラディナス:テクノって何だろう? 前はハウスでないものすべてだった。いまの僕の捉え方だと4つ打ちでミニマルなものになる。僕がグライムや後のダブステップ(2002年から2003年)聴きはじめたころだったら、そう言えると思う。80年代後期のシカゴ・ハウスやデトロイト・テクノと同じくらいの衝撃だった。僕にとってそれは感情の流れで、時間がたてば変わっていくし、ある音楽は自分のなかで古くなって、興味がなくなったり、感情の浮き沈みだよね。コンセプトやジャンルでどうこうってわけではないよ。新しいと言われるポスト・ダブステップなんかは、ハウスのプロダクションとメロディがちょっといままでと違うけど、ただダブスッテプの初期にあった重要な要素であった荒っぽいエナジーはなくなったよね。
■とはいえ、〈プラネット・ミュー〉は、やっぱある時期まではナードなブレイクコア・シーンの中心的なレーベルだったわけだし、ワイルドでガラの悪いグライムのシーンに足を突っ込んだりして、それまでのファンからの反発なんかはありませんでしたか?
パラディナス:さっきも少し話したけど、僕はいつだってストリート・ミュージックは好きだし、ただエレクトロニカのアーティストとして知られているわけで、もちろんナードは大好きだよ。グライムはブレイクコアよりガラが悪いと思うかな? 自分が見て来た感じだとグライムはとてもフレンドリーなシーンで、ちょっと乱暴ではあったけど、ハイプもあったと思う。古くからのファンや新しいファンからも良い反応、悪い反応はいつもある。僕ができることは自分の感情に忠実である、それだけだよ。
■たしかにテラー・デンジャ(Terror Danjah)のアルバムも面白かったんですが、あなた自身はグライムのシーンに足を運ぶことはあるんですか?
パラディナス:2004年と2005年くらいはよくグライムのパーティに行ってたいたよ。サイドワインダー・レイヴとか(Sidewinder Rave)。テラー・デンジャに関しては2003年から2006年の彼のレーベル、〈アフターショック(Aftershock)〉から出ていたレコードを集めていたから、すごいプロデューサーだよね。ただ、いまとなってはもうグライムのパーティは見当たらないな。警察が全部閉め出したからね。まだブターズ(Butterz)、ノーハッツ/ノーフーズ(No hats No Hoods)まわりであるみたいだけど。
[[SplitPage]]ダブステップは、その名前はまだあるけど、過去のものとはまったく変わったよね。クロイドン/ビッグ・アップルがアプローチした現行ダブステップのウォブリー・サウンドから進化を見て来たけど、2007年初頭にはもうその姿は変わっていた。
■いままでミュージックやキッド・スパチュラ(Kid Spatula)、ジェイク・スラゼンガー(Jake Slazenger)などの複数の名義で自分の作品を発表してきたあなたですが、途中からレーベル業に専念しているように思えたのですが、このあたりの裏事情を教えてください。
パラディナス:そのとおりだよ。自分の音楽を作るのにちょっと飽きたし、自分では十分やったと満足している......と言いながらすぐに新しいリリースがあるかもね!
■そういえばニール・ランドストラムのようなテクノのベテランまで、グライムの作品を出しましたよね。それだけ当時のダブステップには、テクノのプロデューサーを魅了するような勢いがあったっていうことなんでしょうね?
パラディナス:そうだね。グライムではなかった思う。シェフィールドのブリープから派生したテクノ系統のグライム/ダブステップとブレイクビート・ハードコアをミックスしたとても面白いミックスであったことに間違いないね。ニールはそういったサウンドにつねに影響を受けていたから、だからそんなに驚くような動きではなかった。多くのプロデューサーがダブステップの影響を受けていたのはたしかで、なにせジャングル以降もっとも大きなムーヴメントだったから。
■スターキー(Starkey)、ヴェクスド、ボックスカッター、フォルティ・DL......ダブステップのアルバムを積極的にリリースしていきますが、もちろんあなたが好きだから契約しているのでしょうけど、とくに気に入っているアルバム名を挙げてもらえますか?
パラディナス:そう、好きだからだね。スターキーのファースト・アルバム『エファメラル・エキシビッツ(Ephemeral Exhibits)』はとくにお気に入りで、やり過ぎてる感がなくより即効的で踊れると思う。ボックスカッターの新しいアルバム『ディゾルブ(Dissolve)』は彼のベストだね。まわりにどうこう思われるのを気にすることなく、彼の良いとろこが全面に出たんじゃないかな。
■いま現在のエレクトロニック・ミュージックのシーンに関して、あなたはどう見ていますか? ダブステップはもう面白くないという意見の人もいるし、シーンはネクストに入ったという人もいます。
パラディナス:ダブステップは、その名前はまだあるけど、過去のものとはまったく変わったよね。2004年と2005年にのFWDと〈DMZ〉にはじまって、クロイドン/ビッグ・アップルがアプローチした現行ダブステップのウォブリー・サウンドから進化を見て来たけど、2007年初頭にはもうその姿は変わっていた。小さな島であったシーンが世界へ繋がったときからかな。いまだに初期のDMZがやってたピュアなダブステップのヴァイブレーションやサウンドは覚えてるよ。いまでも多くのレコードにそういった初期の雰囲気は残っていて、クロメスター(Kromestar)、スリー(Sully)、ルーカ(Lurka)、スクリーム(Skream)のプロダクションなんかそうだね。スクリームは最高だよ。テクノ、ガラージ/ハウス、フライング・ロータスのヒップホップに〈ランプ(Ramp)〉、〈ヘムロック(Hemlock)〉、〈ヘッスル・オーディオ(Hessle Audio)〉のようなポスト・ダブステップのフィーリングもある。本当に最高だよ。
[[SplitPage]]ジュークはシカゴのゲットー・ハウスから派生していて、ゲットー・ハウスは都市のクラブであったような反復的なサンプリングを多用したゲイ・カルチャーによるハウスとは違って、90年代前半に発展したストリート・ハウスで、〈ダンス・マニア〉がメインのレーベルだった。
![]() Various Artist 14 Tracks from Planet Mu Planet Mu |
■最新のコンピレーション・アルバム『14 Tracks From Planet Mu』はどんなコンセプトで編集したのですか?
パラディナス:音楽的にはないかな。僕としてはその年にリリースされた作品を集めたコンピレーションを作ることでレーベルのいまの流れを伝えたかった。『Bangs and Works』のコンピレーションがあったからジュークは入れないようにした。
■ちなみにいまのところもっとも売れたのは誰のどのアルバムでしたか?
パラディナス:ベネチアン・スネアズ『ロズ・シラグ・アラット・ズレテット(Rossz Csillag Allat Szulletet)』とミュージック『ビリオアス・パス(Bilious Paths)』だね。
■これだけデジタルの時代になってもあなたは12インチ・シングルを出し続ける理由は何ですか?
パラディナス:まだ売れるからね! ヴァイナルが好きなんだ。本格的に売るのが難しくなったら止めるけどね。12"がお店にあると、それに気づいて家に帰ってダウンロードしようって人もいるから。お金を払ってダウンロードしてくれるかもしれないし。
■DJネイト(Nate)やDJロック(Roc)のようなシカゴのジュークをどうして知って、あの音楽のどんなところに惹かれたのですか?
パラディナス:Youtubeとダットピフ(Dat Piff)のミックス・テープ・サイトで知ったよ。フットワーク(Footwork)は音楽的にもリズム的にも本当に面白い。自分の好きなツボがたくさんあって、昔のシカゴ・ハウス、アシッド・ハウス、ブレイクビート・ハードコア、ジャングルを思いだすんだ。ジャングルはダブル・テンポのドラムとハーフ・テンポのベースだけど、フットワークはハーフ・テンポのドラムとダブル・テンポのベースになっていて、両方とも160BPMくらいかな。
■ジュークがどのように生まれ、発展したのか、ちょっと歴史的なことを教えてください。
パラディナス:ジュークはシカゴのゲットー・ハウスから派生していて、ゲットー・ハウスは都市のクラブであったような反復的なサンプリングを多用したゲイ・カルチャーによるハウスとは違って、90年代前半に発展したストリート・ハウスで、〈ダンス・マニア〉がメインのレーベルだったね。90年代後半にどんどん速くなっていって、ダンスとかパーティといった意味合からジュークで知られるようになったんだ。
80年代なかばからハウス・オー・マティクス(House-O-Matics)のようなダンス・クルーがいつもハウスのダンスを踊ってて、90年代前半にフットワークはダンスバトルに特化した音楽としてジュークとともに進化しはじめて、ダンスが速くなるにつれて音楽も速くなって、最終的にはフットワークはジュークのキックドラムがなくなって今日の160BPM以上のベース・ミュージックになった。フットワークを"発明"したプロデューサーは90年代後期から00年代初頭あたりのPRブー PR Boo)、DJクレント(Klent)、DJチップ (DJ Chip)、トラックスマン(Traxman)、DJ スピン (DJ Spinn)、そしてDJ ラッシュド(DJ Rashed)。色の付いたミックステープで売られていて、シカゴには12インチを出すホワイト・レーベルもちらほらあったよ(シカゴの外には絶対に出さなかったとか)。
■実際に現場に行かれたんですか?
パラディナス:ない(笑)。シカゴには行くつもりだったけど、そのときに各クルーのあいだでもめごとになりそうだから取りやめたんだ。『Bangs and Works』の発売するためにライヴァル・グループのプロデューサー連中とも上手く関係を保つためにもそうする必要があったし。そういった事情が穏やかになったら行こうかなと思ってる。実際にヨーロパ・ツアーに来ていた何人かは会ったし、もちろんフットワークに絡んでもらった人たちとも話をしてるよ。
■実際にいまロンドンではああしたゲットーなダンス・ミュージックは受けているのでしょうか?
パラディナス:ジュークとゲットー・ハウスはいつでもリアクションあるけど、フットワークはちょっと違うかな。もうちょっと時間かかるんじゃないかと思う。ロンドンで3、4回DJしたけどレスポンスは毎回良いよ。アジソン・グルーブはとても上手く取り入れてるけど、フットワークというよりはポスト・ダブステップの続きとして見られてる感じがあるな。
■〈プラネット・ミュー〉以外で、好きなレーベル、共感しているレーベルに何がありますか?
パラディナス:トライ・アングル(Tri Angle)、リフレックス、ハイパーダブ、ヘムロック、ビュターズ(Butterz)、エグロ (Eglo)あたりだね。
■あなた自身の新作はいまどんな状態でしょうか?
パラディナス:いまはヘテロティック(Heterotic)っていうバンドのメンバーとして曲を書いてる。
www.soundcloud.com/heterotic
僕、ララ・リックス-マーティン (Lara Rix-Martin)、シンガーのニック・タルボット(Nick Talbot)がメンバーでもうすぐか、来年にはリリースしたいと思ってる。
■最後にあなたのここ1~2年のトップ5を教えてください。
パラディナス:まずは『Bangs & Works vol. 1』、それからトロ・イ・モアの『Causers of this』、ティーンガール・ファンタジー『7am』、DJネイト『Da Trak Genious』、オリオール『Night
and Day』。
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Wiz - Extra Inches - Hot Tortillas |
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Christian Mantini - Silence - Neorecords |
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James Duncan - FEEL THE SKY - Cortelyou |
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The Junkies - Quatro uno sei(Uglh & Federico Remix) - Noir music |
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Nena - Leuchtturm / Kino - CBS |
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C.V.O. - Mighty Real Groove - slow to speak |
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Axel Boman - Modern Fluids - Studio Barnhus |
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Joe Goddard - Apple Bobbing (Four Tet remix) - Greco-Roman |
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DISKJOKKE & STRANGEFRUIT PRES. SJUKT - GHOST IN THE MACHINE - LUNA FLICKS |
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ZWICKER - Oddity (John Talabot Remix) - COMPOST |
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DELICIOUS ALLSTARS
GRITWEED
SKYLINE / UK / 2011/5/22
»COMMENT GET MUSIC
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Q a.k.a. INSIDEMAN
DEDICATED TO THE MOON 3.19 AT GRASSROOTS
POSSE KUT / JPN / 2011/5/20
»COMMENT GET MUSIC
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お・前・の 脳みそどこだー!
何を言ってもわからない 笑ってばかりでわからない
あなたの思いはなんですか?
感情 行動 言動 性格
ファッキューファッキュー アイラブユー
はやく 気付いて はやく 見つけて
だけど... 死ね!"NOmiso"
![]() Tadzio /Tadzio Pヴァイン |
「150曲作って死ね」という、今日じつに古風に聞こえる(まるでスポ根だ)言葉をきっかけに誕生した女性ノイズ・ロック・デュオ、タッジオ。ソニック・ユースもメルヴィンズも知らずにプレ・グランジなハードコアや辛口のジャンク・サウンドを鳴らす彼女たちは、結成1年にしてコンボピアノ、ヘア・スタイリスティックス(中原昌也)、狂うクルー、中村達也等と共演し、キュートなルックスに不敵な態度まで加わってスター性も十分、まさにアンファン・テリブルだ。
それぞれを「部長」「リーダー」と呼び合い、ぶらっと並ぶ立ち姿は、ノー・エイジやテレパシーなど、ここ数年のインディ・ロック・シーンにデュオ編成が目立つ傾向と共振するかのようでもある。このことは音楽シーンにとどまらず、広く現在のコミュニケーションの問題としても重要なポイントではないかと思う。3人以上ではなく、ふたりというミニマルなフォーマットがいま持っているリアリティを、本インタヴューでは随所から読み取ることができるだろう。
「150曲作って死ね」という言葉の主は中原昌也氏だが、見方を変えれば、タッジオとは、バンド誕生の時点で150曲という目標=終わりが予定されている時限プロジェクトとも言え、このワイルドなデュオがいったい150曲制作のあいだに何を見、どのように変化を遂げるのかという大掛かりなドキュメンタリーとしても興味深いものがある。
サブカルチャーにおいて音楽の力が衰退しつつある日本の状況に、タッジオの誕生はどのような影響を与え、何を残せるのか。長い旅路の最初の行程を記録するファースト・アルバム「タッジオ」が完成した。
その頃ふたりとも無職だったんですよ。だから時間だけはいっぱいあって、スタジオにもいっぱい入るけど、ぜんぜんおもしろくなくって。
■まず音楽的な背景からお聞きしたいんですが、ニルヴァーナとかソニック・ユースとか、あるいはメルヴィンズ、そういった90年代初頭のUSのインディ・ミュージックが......
リーダー:えへへ、やばいやばい......(部長に向かって)難しいこと言ってるよっ。
野田:直球だねえ。
リーダー:(部長に向かって)がんばろうねっ。
(一同笑)
■いえいえ、あくまで音を聴かせていただいた上で思い浮かんだのが、そういうバンドの名前でして......
リーダー:はい。
■はい。好きな音楽っていうと、どんな感じでしょう。
リーダー:ええと、いま言われたなかだと、ニルヴァーナは知ってます。
部長:ふたりで全然好きなの違うんで......。ハードコアとかも全然詳しくないですし。いろいろ言われるんですけど。
リーダー:ソニック・ユースとかも最近知ったくらいで。リーダーは。
■ええー!? 「好きで好きで仕方ない」ってくらいかと思いました。
部長:全然。私もソニック・ユースは通ってないですし。
リーダー:バンドやりだしてからメルヴィンズとかも知ったんです。メルヴィンズ知らないでバズ・オズボーンの曲ができたんですけど。
■へえー。"シック"とかもすごい重たい音で、ハードコアとかグランジとかを通過せずに、いきなりどうしてそんな音が生まれてきたんだろうって思います。
リーダー:リーダーは、なんか、知り合いとかがハードコアのバンドをやってるのを見てたんですけど。ぜんぜん趣味でやってる人たちの。汚ーい感じの。
■はい。汚ーい感じの。
リーダー:未来のない感じの。
■ははは。
リーダー:とかを見てて、って感じなんですけど。
■へえー。じゃ、日本の知り合いのバンドからの影響なんですね。バンドを組むのは初めてですか?
リーダー:はい。初めてです。
■ギターもドラムも初めてですか?
リーダー:はい。リーダーは初めてです。
部長:ドラムは中学のときに1、2年やってました。
■中学で1、2年やったきりですか。部活動とか?
部長:いえ、バンドです。流行ってたんで、その頃。私が中学くらいの頃ですけど。
■曲は......
部長:コピー・バンドです。
■うーん。それで、初めてバンドを組んで急にあんなノイズが出てくるわけですか? ドラムも手数の多い感じの......
リーダー:バンドやるちょっと前に中原(昌也)さんとかと出会って、そういうノイズを初めて聴いたんですよ、リーダーは。そういう音を出したいって思ったわけでもないんですけど。
野田:中原君のライヴを観て?
リーダー:はい。何回か観ましたね。
■うーん......
リーダー:あ、でもライトニング・ボルト。ライトニング・ボルトのライヴを観てリーダーはいちばんかっこいいと思いました。
■ああ!
リーダー:いままで忘れてた。
■それです! そのコメント拾えてよかった。
リーダー:ははっ!
野田:2年くらい前ですかね。
リーダー:そうですね。中原さんに誘われて行きました。
部長:私は逆に、高校のときから中原さんの音楽を聴いてたので、大人になってからこんなふうに一緒にやったりすることになるなんて思ってなかったです。
■憧れとかあったわけですか。
部長:憧れというか、普通に好きで、家にCDとか持っていたので、変な感じ。すごい変な感じがします。
■あ、では音楽的にタッジオを引っぱっているのは部長さんですか?
部長:引っぱって......?
(一同笑)
■ははは。いえ、では曲ができるときはどんな感じなんでしょう?
部長:ふたりでスタジオ入って、ほんとに、ふたりで話しながらできる感じなんですよ。だからどっちかが作った曲を持ち寄るとかではなくて、どっちが引っぱるとかでもなくて。
■まずスタジオに入るところからはじまるんですね。
リーダー:そう、スタジオに入って、音を出して、いまのいいねって言ってどんどんくっつけてくみたいな。
■なるほど。バンドのきっかけは、学校とかですか?
リーダー:ううん、何かのライヴの打ち上げで出会って、ふつうにそこで、お友だちになって......
部長:で、リーダーがそこでギターを......
リーダー/部長:もらってー。
リーダー:で、なんかやりたいねって言ってたら、部長が昔ドラムをやってたって言ってたのを知って、で、スタジオ入ってみますかみたいな。
部長:最初はなんかコピーとか。
リーダー:そう。そのニルヴァーナとかやってたら、できなくって。
■あら。タッジオでコピーとかやってたんですか。
リーダー/部長:ぷっ(笑)。
部長:あはは。でもコピーとかいっても、全然できてなくって!ふたりとも全然へたくそで、もう「はーっ」ってなってたんですよ。2、3ヶ月くらい。
リーダー:ニルヴァーナとかも全然......
部長:全然できなくてつまんないし(笑)、ニルヴァーナとかやってても。その頃ふたりとも無職だったんですよ。だから時間だけはいっぱいあって、スタジオにもいっぱい入るけど、ぜんぜんおもしろくなくって。それでちょっと(オリジナル曲を)作ってみよっかって。
リーダー:自分たちで作れば間違いがないから、すごい楽しくて。
■ははは。たしかに「あ、ここ間違った」とかいうことがない。全部正解ですね。
リーダー:そう、自由にできる。
部長:自分のレヴェルに合わせて。
■じゃ、けっこう、突然変異的に、そういういろいろな偶然やら事故やらが重なってできてきた音楽なんですね。
野田:中原昌也の音楽を聴いてたっていうのはどのくらいの時期からですか?
部長:暴力温泉芸者とか、トラットリアから出してたのとかです。
野田:ふーん、じゃわりと昔から。
部長:はい。私もともと小山田(圭吾)さんのとか大好きだったので、そこからたどって聴いてたんですけど。
野田:へえ。じゃ部長さんがマニアックなんだ。
部長:マニアック......そうですね(笑)。
リーダー:「部長さん」......(笑)
[[SplitPage]]私から見ても......いくつ離れてるんだっけ? わかんない、けっこう歳が離れてるんですけどこんな感じだし。リーダーには同世代の子とかは「若いわね~」ってふうに見えるんじゃないですかね。
![]() Tadzio /Tadzio Pヴァイン |
■おふたりのお名前、部長さんとリーダーさんだったら、どっちも偉いじゃないですか。
リーダー:そうなんです。だからこういう名前にしたんです。どっちかが嫌だってことは絶対やらないっていう意味で。
部長:どっちも部長、リーダーみたいな感じです。
■はいはい。すごいかっこいい名前ですよね。
リーダー/部長:ははははっ!
リーダー:かっこいいですか?
■はい。すごいしびれました。
部長:あはは! けっこう変えた方がいいって言われるんですけど。
リーダー:こんな褒められたの久しぶり。ていうか初めて褒められた!
■だって、若い、新しい世代の女性アーティストが、「オニ」と「ピカチュウ」(あふりらんぽ)を反復したってだめじゃないですか。そうじゃなくて、「部長」と「リーダー」って、いまいろんな映画やドラマなどが思い浮かぶんですが、2000年代の日本のサブカルチャーが描いてきた、若い人間の新しい関係性を象徴するような、いい名前だと思います。
リーダー:ははは。膨らましていただいてありがとうございます。
■いえいえ、クールな名前ですよ。
リーダー:つけてよかったねー。一生リーダーと部長でいいよ。
■あはは! では作品にお話を戻しまして。私"ノーミソ"とか音も言葉も好きなんですが、意外に歌詞が頭に入ってこないんですよね。ノイズとファンキーなリズムがかっこよくて、どちからと言いうと身体がよろこぶ感じなんですよ。で、タッジオにとって歌詞ってどのくらい大事なんですか?
リーダー:とても......大事?
野田:はははは!
部長:とても大事です! 全部、実話とか思ったことを歌詞にしてるんで。
リーダー:すごい嫌いな、まあ、苦手な方がいまして。
部長:ぷっ(笑)
リーダー:その人に問いかけてる感じなんですよ。ノーミソがほんとどこにあるんだろって思って。
■あ、具体的に顔の見えてる曲なんですね。
部長:これはそうですね。
リーダー:(聴いている人が)いろんな人に当てはめてもいいんですが、それがきっかけですね。
■へええ。歌詞はすっごく大事なんですね?
部長:あははは、歌詞を聴かせたいわけではないんですが......
リーダー:歌詞を書いてるのもすごい楽しい。
部長:うん。
■そうなんですね。詞に、現代の風俗を感じさせるようなものが全然出てこないなと思って。辻でブルースマンが悪魔と契約するシーンを下敷きにしてたり、ビッグマフへの憧れがあったりとか、ピストルズも出てきますし、「ファックユー」と中指を立てるようなポーズを感じさせたり、ちょっと古い世界の言葉でできてますよね。ひとつだけ現代を感じさせるのが"カピバラ"。
リーダー:あ、電車かな?
■電車も出てきますね。カピバラ自体にもいまを感じますが。
野田:何? カピバラって。
■動物ですよ。ゆるキャラです。
リーダー:ほ乳類の中でいちばん歯が強いらしくって......
部長:すごいのほほんとしてるのに、牙だけグワーッ! ってなってるんです。
リーダー:そういう歌ですね。それが神様に勝ったっていう。
■うんうん。それでその"カピバラ"だけがいまっぽいなんて、いまの世界は嫌いなのかな? って思って。
リーダー/部長:えーっ(笑)!!
リーダー:あははは。全部リアルなものですよ。私たちの世界の。
部長:まあ、イライラしてることは多いのかもしれませんけど、べつに嫌いとかではないですね。ふつうですよ。
リーダー:そう。日常で起こったことを歌詞にしてる。
■なんか、友だちとどこそこへ行ったとか、その駅名がでてきたりとかしないなと思いまして。あるいは恋愛をテーマにすることがあっても、現実のディテールにこだわる書き方ではなくて、もっと抽象的というか......
リーダー:抽象的ってなんですか?
■ええと、じゃ、誰かを好きだとして......
リーダー:あ、でもラヴ・ソングはいっぱいあります。
■え? そうですか。
リーダー:1曲めとか3曲めとか。
部長:"ビースト・マスター"は恋愛の曲です。
■あー! "ビースト・マスター"が恋の歌だとすれば、私的に、相手は女の子のように感じられます。
リーダー:なんかかっこいい人でもブスと付き合ってる人とか多くて、でもそれは......
部長:見た目はブスでも中身がきれいな人を好きになるからあいつは素敵よ、みたいな。あたしはきれいだけど、中身はブス、という曲です。
リーダー:でも、片思いの曲なんです。
野田:三角関係の曲なんだ。
リーダー:そうです。三角関係です。ふつうの男女の恋愛の曲です。
■でもその相手の男性よりも、女性に向けてる視線の方が濃くないですか? 深いっていうか。こんなに深い観察が生まれているわけで。
リーダー:はい。
■いま"ノーミソ"の話になりましたけど、"ノーミソ"とかって神様やカリスマのいない世界のことを歌っていると思うんですね。"ベルギー"で言えば「あの子」。神様とかあの子とか、そういう特別な、唯一の存在っていうものがいない場所。で、いるのはカピバラなんです。それが世界だ。って言ってるのかなと思いました。
(一同笑)
■えっと、かけがえのない存在ってあるじゃないですか。それが、ない。というか成立しない世界。いまってインターネットがあればどこにでもつながるし、たいていのものが手に入りますよね。職場とか地域のつながりとかにしたって、昔のような結びつきとかしがらみ、そこにいるのが自分じゃなきゃいけない感覚って薄いですし、他の誰でも原理的には替えがきく。そういうすごく流動性の高い社会なわけですよね。神様も彼女もあの子もいないんだけど、カピバラみたいなゆるキャラだけがはっきり存在してる。鋭い牙を隠し持って......。そんなとこが現代的な感覚だな、と。
(一同笑)
部長:そこまで考えてないです。
リーダー:べつに、神様に頼らなくても、哺乳類=人間だけでやってけるよっていう。クロスロードに行ったら、神様はいなくてカピバラがいたから、あ、自分たちだけでなんとかしろってことねって思った、という。
■タッジオって、まず詞ではなく音が聴こえてくるので、しかもいまっぽい言葉が希薄なので、詞って大事じゃないのかなあって思ってたんですよ。でも違うんですね。
リーダー:はい。うちらがいまっぽくないからそうなんだと思います。
■はぁ。
リーダー:まあ、だからお互いいまっぽくないってだけなんですけどね。ね?
部長:うん。
野田:そういう、「いまっぽくないな」っていう感覚はあるんですか? 普段生活してて。浮いてるとか、同世代と合わないとか。
部長:たぶん、リーダーはあるのかもしれないよね。まわりに大人が多いんで。私から見ても......いくつ離れてるんだっけ? わかんない、けっこう歳が離れてるんですけどこんな感じだし。リーダーには同世代の子とかは「若いわね~」ってふうに見えるんじゃないですかね。
野田:じゃ、リーダーくらいの人たちの典型的な同世代像ってどんな感じなんですか?
リーダー:うーん、リーダーの同世代......?
野田:部長はなんとなくわかるよね。トラットリアとかコーネリアスとか聴いててさ。
リーダー:うーん、同世代、同世代......
■何してたりするんですか? バイトとか?
リーダー:うーん......みんな何してるんだろう。
部長:とくにバンドはじめてからは、同世代の人とかとは遊ばないもんね。
リーダー:もとから友だちいなかったのにもっといなくなっちゃった。
[[SplitPage]]見た目はブスでも中身がきれいな人を好きになるからあいつは素敵よ、みたいな。あたしはきれいだけど、中身はブス、という曲です。
![]() Tadzio /Tadzio Pヴァイン |
■なんか、若い方って保守的だなあと思ったりすることが多いんですよ。それこそ古い音楽を参照したりして、すごくブルージーなギターを弾く女性サイケ・バンドとか。素でレトロ志向な若いバンドがけっこう多い気がして、そういう「いまっぽさ」に対する批評があるのかなって感じるんです。同世代とか見てて、かったるいなとか思いませんか?
部長:そういうのありますね。
リーダー:渋谷歩いててよくね(笑)。
部長:ふたりで歩いてて、悪口しか言わないんですけど(笑)。
リーダー:変なバスとか走ってて。
■あ、バスレベルで駄目ですか(笑)。ツイッターとかは?
リーダー:部長はやってます。
■つかいこなせてる感じありますか? 私ツイッターって全然活用できなくて。
野田:はははは。
部長:ライヴの感想見たりとか、イベントのお知らせ見たりとかって感じですね。
■なんだか、私よりもずっと落ち着いていて、ずっと年上のように感じられてきますね......。音楽以外にハマっているものとかないんですか?
部長:うーん。
■音楽ばっかりですか。レコード屋さんとかは行きます?
部長:レコード屋さんは行きますね。DJをやってたりしたんで。
■あ、そうですね。ジャンル関係なくご覧になります?
部長:いえ、偏ってますね。機械で作った音楽ばっかり聴いています。バンドは全然知らないですね。
■あ、じゃあまさに『エレキング』なんて......
部長:買ってましたね。
野田:さすが!
■なるほどー。どんどんタッジオが見えてきました。私、おふたりは立ち姿もすごくかっこいいなと思うんですが、ここ3年ほど、海外の音楽はとくにそうなんですが、デュオが多いんですよ。こう、ふたり組が、ぶら―っと立ってる写真が多くて、それが妙にかっこよくて説得力があるんです。デュオってミニマルな単位で、まあ、ひとりがいちばんミニマルですが、いま複数人で音楽やろうとすると、ふたりっていうサイズになにか意味やカギがあるんじゃないかなってことを考えさせられるんです。3人以上のバンドってやれると思います?
部長:(小声で)たぶんできない......
リーダー:やりたくないですね。
部長:サポートで入ってもらうとか......
リーダー:そう、ゲストで出てもらうとかはアリだけど......
部長:一緒に曲作ったりとかは無理ですね。
リーダー:うん。めんどくさそう。
■ああ、ふたりのあいだでの緊密な何かがあるわけですね。
リーダー:はい。そう。スタジオ風景とかは誰にも見せられないですね。
(一同笑)
リーダー:悪口しか言ってない。
(一同笑)
リーダー:自画自賛しかしない。
部長:褒めあって曲ができるから、聞かせられません。
リーダー:うん。けなすことはいっさいしない。
■じゃあ、ふたりがいちばん動きやすいサイズなんですね。
部長:増えすぎるとちょっと。
リーダー:ちょっと、ですね。
部長:あんまり団体行動とかも得意じゃないし、3人以上になると支障も出てくるかなあ。
リーダー:そうですね。揉めるからね。
■わりとプライヴェートでも一緒にいるんですか?
部長:はい。よくお茶とかはしてたんですよ。
■その延長でスタジオに入るようになったって感じですか?
リーダー:そう、お茶がスタジオに変わったみたいな。
■先に言った海外のぶらーっとしたデュオもそうなんですが、3人以上ではないリアルがあるんだなって思うんですね。高校のときは部活とかはされてなかったんですか?
リーダー:リーダーはされてないです(笑)。
部長:私はギター部でした。弾けないのに。しかも部長でした!
(一同笑)
部長:弾けないけど仕切るのが好きだったんで仕切ってました。
■でも団体行動は無理......?
リーダー:無理ですね。だから大勢のバンドってすごいと思う。何がどうなってんのか。
■話は変わりますが、資料によるとこのアルバムは一発録りだっていうことなんですが、「せーの」で一気に録っちゃったんですか? いつもライヴやってるみたいな感じで。
リーダー:はい。それを何回かやって録りました。
■へえー。じゃほとんど1日とかですか?
部長:はい。1日だね?
■次いくよ、次いくよって感じで?
部長:録りっぱなしです。頭から最後までずっと録りっぱなしで、それを何回かやって。
リーダー:そう。通して、それを3回くらいやって終わり。
■へえー。それで1セットまるまるじゃなくて、そのなかからいいものをチョイスしているってことですね。
リーダー:そうです。
■そんなところから想像しても、一見ライヴがすごく大事なバンドなのかなって思えるんですが、じつは家で聴いたり、再生されることが大事な音楽なんじゃないかという気もするんです。ライヴをやっているのと曲を作ったり録音したりしているのとどっちが好きですか?
リーダー:どっちも楽しい。どっちも大事なことです。違う種類の楽しさです。
■ライヴも大事なことなんですね。
部長:やっぱり大きい音でやれるっていうのが。反応も見れるし。
■スタジオは、曲作りというか、ふたりでいろいろ言い合っている場所なわけですよね。それに対してライヴは知らない人もいっぱいいるところです。どちらが居心地がいい場所なのかなと思って。
リーダー:居心地がいいのはやっぱりスタジオだよね。
部長:そうだよね。
リーダー:空気もいいし。ライヴ・ハウスは空気悪くて。
■ははは! そうですよね。オーディエンスの方って年代や性別的にはどんな方が多いんですか?
リーダー:おっさんばっかりだよね。
(一同笑)
部長:CD出したばっかりだし、ライヴもまだ10回ちょっとしかやってないので、まだよくわからないですね。客層とかは。もっと若い人にも観てほしい。
■ああ、それはまさにCDになってから、これからという感じですよね。
部長:うんうん。
■しかし、おじさんばっかりなんですか。
部長:とりあえず、出す前までは......
野田:なんでおじさんばっかりなんですか(笑)?
■いや、わかります! 私も思いますよ。ノイズ・ロックをやる若い女性って、おじさんの萌えポイントなんですよ!
(一同笑)
部長:あー、それ誰かも言ってた。
■だから、そういうところにタッジオが取り込まれちゃうと悔しいなと思って。
野田:なんかディスクユニオン(橋元)が言うと説得力あるね。
(一同笑)
■いやー、そうですよほんと。だから、そういうところに取り込まれるのではなくて、音もスタイルもあるわけですから、ぜひとも外にぶつけていっていただきたいなって。若い層に。ただ、若い人が音楽聴いてるのか?って話はありますけどね。
リーダー:ああ、そうねえ。
[[SplitPage]]うん。怖い。渋谷とかにあるやつ怖い。「日本を元気に」とか言って......
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■日本の音楽シーンはどのようにご覧になっていますか?
リーダー:えー......怖い......
(一同笑)
■ははは! 怖いっていうのはなんでしょう?
リーダー:それは......
野田:ねえねえ、ノイズ・ロックの若い女性がおじさんの萌えポイントだっていうのはさ、具体的にはどんなバンド名が挙がるの?
■ええ!? 気になりますか。いや、それこそトーク・ノーマルとかどうですか?
野田:でもあれはさ、若い子から教えてもらったんだよ。
■ああ、そうなんですか?
野田:もっと有名どころで言うと?
■私、日本のアーティストだとよくわからないですが、それこそあふりらんぽとかどうなんでしょう?
A氏:最初はおじさんだったと思いますね。
リーダー:へえー......
野田:ああ、そう?
部長:そうなんだ......
■何でしたっけ、私いますごい大事なことを......。あ、そうです。日本の音楽シーンです! 怖いっていうのは何なんですか?
リーダー:あー、怖い!
■アイドル・ユニットとかはどうですか?
リーダー:あれは、かわいい。
■AKB48とかも好きですか?
部長:好きではないですけど! かわいらしいなとは思います。
■あのなかでむかつく人とかはいないんですか?
部長:むかつく人は......ていうか、全然知らないですね。
リーダー:うん。全然知らない。
■エグザイルとかは?
部長:あれは怖い!
リーダー:うん。怖い。渋谷とかにあるやつ怖い。「日本を元気に」(※渋谷駅前の広告看板)とか言って......
部長:全然元気になれない。
(一同笑)
リーダー:なんか落ち込んじゃう。あれ見ると。
■ああ、わかるなあ......(笑)。
リーダー:だったらスマップとかがいい。
部長:うん。
リーダー:スマップは平和。聴いたことないけど。
部長:写真だけね。
■じゃ、逆に前野健太さんとかはどうですか? ひとりでギター抱えて、活動もごくインディで。
部長:あの人は好きでした。
■あ、そうですか?
部長:かわいくて。
■かわいいですか!
部長:なんか私、なんだっけ、ダックス?(※スペース・シャワー・TVの動画配信サイト)に出たときに、前野健太さんの映像も流れてて、初めて観たんですけど、かわいい。
■ははは! かわいい、と。なんか、前野健太さんが一言で収められちゃいましたね(笑)。
部長:いえ、ちゃんと聴いてないので......
リーダー:リーダー聴いたことない。
■(笑)それこそ、同じ世代くらいの方で、たとえばライヴで一緒になったりする気になるアーティストとかはいないんですか?
リーダー:いないですね。
■ははは!
部長:バンドはあんまりわからないんですよ。DJとかなら。
■神聖かまってちゃんとか、相対性理論とか......
リーダー:も、わかんない。
■わかんないですか。
部長:わかりますよ!
リーダー:わかりますよ。
部長:わかるけど、ちゃんと聴いてない。
リーダー:タイプじゃない。
部長:そう、タイプじゃない。
野田:かまってちゃんと似てるとこあるよね!
部長:ええ!!
リーダー:ええ!!
■うーん、鏡合わせに......ですかね?
リーダー:あんまり聴いたことない。
部長:私は全然だめです、かまってちゃん。
■そうなんですか。
リーダー:対バンしてかっこよかった人か......茶谷(※久土'N'茶谷)さんくらいかなあ?
■やっぱりじゃあ......自分たちが一番かっこいいってこと?
部長:ははは!
リーダー:まあ、そうなっちゃいますね。
(一同笑)
■なっちゃいますね(笑)。なんか、あえて聴かない、というよりは、バリアがある感じ?
リーダー:いや、かっこいいのはかっこいいと思う。つい最近も、なんだっけ? THE GIRL(注:日暮愛葉さんが新たに組んでいるバンド)?
部長:THE GIRLとか、久土'N'茶谷もかっこいいと思ったし。
リーダー:だから、レコ発にも久土'N'茶谷に出てもらうし。
■ああ......
部長:なんか落ち込んできちゃった。
リーダー:なんかへこんできちゃったねえ。
■いえいえ! もうちょっと「怖い」ってあたり掘り下げてお聞きしたいんですが。「怖い」のニュアンスってあるじゃないですか。べつにホラーで怖いわけじゃないですから。
リーダー:なんか、全部おんなじに聴こえる。全部おんなじに聴こえて怖い。
部長:なんか、あれをいいと思って聴いてる人の感覚が怖い。
リーダー:そこで音楽をやったら、私たちの音楽は大丈夫かしらって。
■ああ。じゃ、音楽性というよりは、立っているところ、生きているところがみんなと違うんじゃないかっていう感覚ですかね?
リーダー:変なのがチャートの一位とかになってたら怖いなっていう、「怖い」。
■そういう、ほんとにマスな音楽とおんなじ地平に立ってる感じあります?
部長:別かな。
リーダー:うん。別。
■その自分たちのいる場所でのライバルっていないんですか?
部長:いないかな。
リーダー:うん。いない。
■......やっぱ、かっこいっすね(笑)。
部長:かっこいいっていうか、ほんとに知らないんですよ!
(一同笑)
■あ、でも部長さんはDJとかなら知ってらっしゃるんですよね?
部長:あ、いや、そこは掘り下げなくても......
■いえいえ、聞かせてください。
部長:もともと自分でもやってたので。仙台とかでも。
■日本のDJ。私こそあまりわからないので、教えてください。
部長:仙台でやってたのは、常磐さんとか、二見裕志さんとか、ムードマンとか。
野田:ふーん。
■音的には......?
野田:ディスクノートっていうレコード屋さんあったじゃない、仙台に。なくなっちゃいました?
部長:あるんですけど......ていうか、私、野田さんのDJそこで観てます。
野田:えっ! あ、あのときかあ!......すごいねえ!
(一同笑)
部長:野田さんのDJですよ! でもそういうこと言わないでおいたんですけど、言っちゃった。
野田:えっ、いや......
■(笑)いまテンション上がりましたよね?
野田:いや、だって、すーごい昔ですよ、それ。
部長:中三か、高一かなあ......
■そういうところが、高校の頃のアジトだったんですか?
部長:そうですね。レコード屋さんとかは。
野田:ディスクノートってね、それこそディスクユニオンみたいなとこだよ。
部長:そうですねえ。店の感じとかも......
■あはは、きたないなあ、ごちゃごちゃしてんなあ! みたいな?
野田:ファラオ・サンダースのTシャツを勝手に作って売ってるみたいなね?
■ははは! ディスクユニオンはすごくちゃんとした会社ですよー。ではお話が戻るんですが、これからまた新たなアルバムを作っていく上で、そういったDJ的な素養はフィードバックされてこないんですかね?
部長:フィードバック......されてるのかなあ?
■いえ、次の作品の青写真、ということなんですが......
部長:うーん、フィードバックしようとは思わないし、好きな音楽を持ち込もうとも思わないし、そういうのはまったく別物なんですけど、なんか聴く人によっては、「このリズム、テクノっぽいよね」とか言われたりします。
■ああ! へえ。
部長:だからほんとに別のもので。ぜんぜん知らないことやってるから楽しいのかも。こんなふうに。
■次の展開としては、そういう方向性はないんですかね?
部長:自分からは、ないと思います。勝手に入ってきちゃうってことはあるかもしれないですけど......
[[SplitPage]]なんかみんなすぐ解散とかしちゃうから、それだけはやめろって言われて......。だから、続けるって意味で150。アルバム1枚出して終わりっていう人たちもいるから、そんなんだったた出したくないなっていう感じ。
![]() Tadzio /Tadzio Pヴァイン |
■今回の作品は、1枚目ってこともありますから、これまでの総決算、とりあえずやってきたこと全部出しますってアルバムかなと思ったんですが。
リーダー:総決算?
■総決算といいつつ、結成が2010年でしたっけ?
リーダー:2010年!
部長:そう! まだ1年ちょっとです。
野田:ははは!
部長:まだ総決算は大げさです!
■(笑)あ、そうですね。とりあえず、出しました~って感じですね。
リーダー:そうです。総決算です。
(一同笑)
■(笑)ここまでの時点のものを、まとめたという形のものだと思うんですが、次の作品がまたあるわけじゃないですか。何か見えている画というか、こんな感じの作品になるだろうという予定はあるんですか?
リーダー:ま、曲ができたらまた作る。みたいな感じですかね。
部長:曲をつくっていく、という。
リーダー:うん。どんどんどんどん、いっぱい。
部長:それだけが、目標なので。曲ができて、アルバムができて、みたいな。150曲作るっていう目標があって。
■ああ、そっか。150曲の目標があるんでしたね!
リーダー:はい。そこでもう終わりなんです。
■はい。......えっ、終わり!?
リーダー:そこで終わりです。
部長:中原(昌也)さんから150曲作って死ねって言われたんで。
■はい。
リーダー:だからそこでタッジオは終わりです。
■終わりって......。そういうことですか......それ、言われたこと守ってたら死んじゃうじゃないですか!
リーダー:そうそう、でもタッジオが死んじゃうんです。タッジオ、ダイ。
野田:じゃあさ、150曲作ろうっていうところまではほんとにやるつもりでいるんだ?
リーダー:はい。それが最後っていうこと。
部長:数をいっぱい作りたいですね。わけわかんないのもできるかもしれないけど、とにかくいっぱい。
野田:3枚組のボックス・セットになっちゃうね。
(一同笑)
■ああー! それは刺激的なアイディアじゃないですか。150曲全部入ったやつ!
部長:憧れですね。ボックス・セット!
野田:3枚組じゃ150曲は無理か。
部長:枚数多くしたい。15枚組とか。
リーダー:いいねえ。
野田:でもさ、中原昌也ひとりに言われたからって、なんでそれ守らなきゃいけないんですか?
リーダー:なんか渋谷の焼き鳥屋さんでふたりで食べてたときに言われたんですけど、そんときに言われてすぐスタジオ入ったのがきっかけなんですけど......
部長:なんかみんなすごい後押ししてくれて、中原さんとか。私がドラムやるのも、千住(宗臣)さんに打ち上げで「昔、ドラムやってたんですよねー」って言ったら、「やればいいじゃん、なんでいまやらんの?」みたいに言われて、あ、やっていいんだーみたいに思ったのがきっかけです。
リーダー:すごいまわりが応援してくれる。
■へえー。じゃ、すごい相性でしたね。
野田:え、でもだからさ、中原昌也ひとりに焼き鳥屋でやれって言われたからといってさ......
リーダー:あ、でも言ったんですよ、ちょっと。バンドやってみようかなーみたいな。そしたらなんかもうすごい(中原さんが)興奮しちゃって、ギャー! みたいに言われて。ちょっと、まわりの人が心配するくらい。なんか、隣りのカップルが助けにきたりとか。
(一同笑)
リーダー:傍からみたら、おじさんと若い子がそんな......なんかすごい説教されてるみたいな感じになってて。「やれよ!! やって死ねよ!!」みたいな......
(一同爆笑)
部長:27で死ねって言われたよね。
リーダー:そう。
■このアルバムに入っている以外に何曲もあるんですか?
リーダー:新曲がちょっとあるくらいで、いま13曲ですね。2曲できた。
■じゃほんとにこれで全部、お蔵入りはない方向なんですね!
リーダー:そう。恥ずかしい。20曲くらいあることにしておけばよかった。
野田:いや、しつこくて悪いんですけど、中原昌也のどんなところが好きなんですか?
部長:あんまり深刻なのが好きじゃなくて、なんか中原さんって「なんちゃって」って感じあるじゃないですか。なんか、キャラ、本人自体もそうですけど。そういう音楽がもともと好きなんで、惹かれますね。絵も好きだし。人も好きだし。かわいい。
野田:暴力温泉芸者とヘア・スタイリスティックスとでは、どっちが好きですか?
部長:ええ......そんなに全部を聴き込んでるわけではないんですが......
野田:すごくたくさんあるもんね、中原くんの作品。
部長:どっちってこともないですね......どっちも好きです。最近出してるシリーズとかも。
■150曲というのになにか説得力があったというか、それを守ろうというわけですから。150という数字には何か意味があると思いますか。
リーダー:いや、ないと思います。
野田:きっとそのときたまたま出たんだよ。
(一同笑)
■そんなあやふやな数字にも関わらず守ろうというんだから、すごい信頼関係があるんですね。
リーダー:最初にその話を聞かせたときに言われたから、やけに印象的で。
部長:それを聞いて、量があればなんとかなるだろうって。
リーダー:なんかみんなすぐ解散とかしちゃうから、それだけはやめろって言われて......。だから、続けるって意味で150。アルバム1枚出して終わりっていう人たちもいるから、そんなんだったた出したくないなっていう感じ。
■いまだけじゃなくて、その次出すということが確実に決まってる。ヴィジョンがあるわけではないかもしれないですけど、1回だけじゃない、次もやるという覚悟ですね。そういうのがあるというのは、また古風というか。若い人のバンドには珍しい感じがしますね。
野田:ちなみに、このタッジオっていう名前はどこから......?
リーダー:リーダーが好きなひと。
部長:『ベニスに死す』に出てくる美少年です。
■美少年かあ。
リーダー:リーダーが好きで。
野田:なるほど......古風だねえ。
(一同笑)
■では、まとめになります。いま言っていただいた部分と重なりますが、これからどのように活動していかれるのか、何か野心があればお聞きしたいです。
リーダー:うーん。
部長:うーん。
■ライヴをひたすら続けていく感じでしょうか。
部長:うん、それを続けること。
■じゃ、でっかく、「海外行くぜ!」みたいのはない?
部長:それはもちろん行きます。
リーダー:うん。それはもうライヴをやるっていう予定の中に組み込まれてる感じ。
■シーンをオーガナイズして日本のインディ・ロックを引っぱっていくぞ! というような方向の野心はないですか?
リーダー:いや、それは勝手についてくればいいなって。
部長:やろうと思ってできることではないから。
野田:ていうか、絶対そういうタイプには見えないよね。
(一同笑)
■そういうところがはっきりしてよかったです。野心というか、まあ、自分たちが最高! という。
リーダー:ぷっ。
■そういうところがかっこいいと思います。
A氏:あんまり買い被るらないでくださいね。ほんとにまだ他のバンドと全然対バンしてないから、何にも知らないんですよ。
野田:いや、でも渋谷のディスクユニオンのインディ・コーナーとか行くと、いまの日本のロック・シーン内の断絶っぷりがそのまま凝縮されていて。最新のインディ・ロック=パンダ・ベアの新譜の隣にサニー・デイ・サービスの90年代の高価な中古盤があって、その隣にはスピード・グルー&シンキの2万円のオリジナル盤が売られていたりね、とても同じ音楽ファンとは思えない人が隣同士に並んでいる。
■まさに、そうですね。タッジオのなかにもそういうせめぎ合いというか、すごく混淆としたものを感じますね。
部長:はい。
■だって、「これが好き!」っていうバンドがまわりにないわけですよね?それって、海外の、とくにUSの音楽シーンとかだと考えられないことだと思うんですよ。それこそアニマル・コレクティヴなんかのまわりでは。
部長:アニマル・コレクティヴとか、そういうあたりは私も好きです。ギャング・ギャング・ダンスとか。
■それが日本のバンドでないというところが不幸というか。どうですか、日本の音楽はアニメに勝てると思いますか?
部長:すごい嫌。アニメ。
(一同笑)
部長:嫌。もうー。
■でも、すごい影響力ですよ。レコード屋で働いていてさえ、「若い人は音楽聴くのか?」っていう状況で、では、タッジオの音楽は「けいおん!」に勝てるのでしょうか?
リーダー:ケイオンって?
(一同笑)
部長:よくわかんないけどアニメだよ。
■あ、すみません。私もよくは知らないんです。若い人にすごく支持されているマンガ、アニメです。
リーダー:オタクねー。
部長:そういうこというと「おばちゃんねー」って言われるよ。
リーダー:なんか、オタクもこっちを好きになればいい、ってことでしょ?
■はい、質問の意図としては(笑)。あっちのアタマをぶちのめして......
リーダー:こっちになびかせる。
■そう、こっちになびかせるということはできるんでしょうか? これ、最後の質問ですね。これに答えていただくことで、日本の音楽のひとつの未来をうらないましょう。ということで!
部長:ええー。もう、違う星の人たちみたいに思えちゃって。どうなんですかねー。
リーダー:じゃ、アニメを絞め殺すということで。
部長:うん。アニメを絞め殺す。
(一同笑)
■ははは! じゃ、150曲作ったのちには、
リーダー:のちには。
■世界がひっくり返っているであろうことを期待しまして!
野田:でも、アニメ観たらはまっちゃったりして。
部長:そうかもしれないですね! 偏見かもしれないから。
「黄金時代を感じるには生まれときが遅すぎた」、このように歌いはじめる"リヴ・ゾーズ・デイズ・トゥナイト"は、セカンド・サマー・オブ・ラヴを知らない世代が初めて1989年の夏について歌った歌である。「トビ(rush)も逃したし、良い時代(better days)も知らない/僕は君の経験した時代を感じることができない/君の貴重な過去に触れることもできない」、とまあ、なんとも実直な憧憬が歌われている。そしてフレンドリー・ファイアーズのエド・マクファーレンはその曲のサビを次のように繰り返すのである。「それでも僕はあなたがたのその日々を今夜生きてみせるよ。僕には手が届かない歴史だと言うけれど、それでも僕はそれらの日々を今夜生きてみせる」
これほど前向きに、レイヴ・カルチャーを知らない世代がそのファンタジーを歌ったことはない。"リヴ・ゾーズ・デイズ・トゥナイト"は過去を調べているが、あくまでも現在についての歌である。「僕をアンダーグラウンドにとどめる亡霊と向き合って/みんなが話している最良のものをいただこう/僕は待っているけど外は寒いから/夜には君をしっかりと抱くんだよ/君の愛を感じるために」
興味深いことに、5月19日付けの『ガーディアン』では、フランキー・ナックルズの"ユア・ラヴ"(注)の記事が組まれている。「永遠にレイヴさせる歌」というわけで、この曲にはいまだ素晴らしい魅力があり、現在もジ・XXのような若いバンドにまで支持されている......などといった事情が記されているが、真実を言えばこの曲は明らかにある時期に飽きられ、忘れられていたのである。しかし......たしかにここ数年で蘇ったのだ。そして、この1987年のシカゴ・ハウスのクラシックのリヴァイヴァルをうながしたのがフレンドリー・ファイアーズなのだ。"ユア・ラヴ"は、このバンドの2006年のデビュー・シングルでカヴァーされている。渋谷のディスクユニオンの2Fのインディ・ロックのコーナーと4Fのクラブのコーナーを往復するリスナーが果たしてどれほどいるのか知らないが、つまりUKではいまそれが起きているのである。
さて、2008年のファースト・アルバム『フレンドリー・ファイアーズ』で80年代のニューウェイヴとイビサの快楽をミックスしたこのバンドは、そしてセカンド・アルバムにあたる本作『パラ』においてより情熱的に、さらに思いを深めながら、ダンス・カルチャーとその"夏"をテーマにしている。音楽的にはUKのエレクトロ・ポップの伝統芸を引き継ぎながら、オーソドックスな構成のキャッチーな歌をダンサブルな演奏をバックに歌っている。「裏庭で一本のテープを見つけた/泥だらけの青いカセットだけど/そのホコリの奥ではリールがまわりはじめて/土のなかに保存されたもうひとつの記憶が再生される」"ブルー・カセット"
『パラ』にひとつ問題があるとしたら、これほどクラブ・カルチャーを扱いながら、ダブステップないしはミニマル・テクノといった現在稼働中である音がまったく関わっていないという点にある。レトロ趣味に終始しているのだ。この音はアンダーワールドでもなければケミカル・ブラザースでもない、ワム!の"クラブ・トロピカーナ"でありアニマル・ナイト・ライフの"ラヴ・イズ・ジャスト・ア・グレート・プリテンダー"なのだ。明らかに彼らは享楽の季節としての80年代をうらやましがっている。
「塵が降ってくる/彼らは行進していった/地下に眠るレコードたちとともに/階段を上がる/クラブから出てライトにキスする/君の愛が欲しい/街に出る/君の面影を心抱いて世界はふたたび回り出す/しかし君は決して僕のものにならない」"チャイム"
こうした若い世代の複雑な感情の吐露に享楽の時代を経験した僕はまだうまく応えることができない。当たり前だが、戸惑いを感じるのである。そして、彼ら自身もそれが素直に喜べることではないことも理解している。「君の愛、それは幻/僕が生きるすべては君の嘘/僕は混乱している/トリップしている/僕は傷つき、参っている/寒いし、負けているというのに、この気持ちは強まるばかりだ」"プル・ミー・バック・トゥ・アース"
な、なんていう告白なのだろう。君の世代にだって面白い音楽がたくさんあるじゃないか、思わずそう言いたくなってくる。ただ......ダンスはあっても、愛と笑顔の夏は手の届かないところに行ってしまったのかもしれない......とは僕も思う。個人的な快楽だけはあっても、集団として理想とするヴィジョンはない。パーティの最後にキング牧師の演説や"パワー・トゥ・ザ・ピープル"をかけるようなDJが、いまさらいるのだろうか。それとも少年たちの愛の歌を聴きながら、潮風に混じったハウスのビートを感じていたあの日々は蘇るのだろうか。「僕はその日々を生きるんだ」と、エド・マクファーレンは何度も何度も繰り返すのだ。「君が持っていた愛を感じる/我慢はしない/僕は今夜、あの日々を生きるんだ」
なおアルバムのタイトルは、メスカリンやLSDの研究でも有名なオルダス・ハクスリーのユートピア小説『島』から取られている。
(注)正確に言えば、この曲のもうひとりの主人公はジェイミー・プリシプルである。多くの人が「フランキー・ナックルズの」を書いているが、これではプリシプルがあまりにも可哀想。蛇足として、使われたドラムマシンはデリック・メイのものだと言われている。
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和泉希洋志は日本のエレクトロニック・ミュージックにおいてもっともユニークなひとりである。彼が1997年にロンドンの〈リフレックス〉から八角形のケースでリリースした「Effect Rainbow」は、IDMにおける異色のサイケデリックだったと言えるだろう。ゴムのようにねじられたビートはテクノと呼ぶにはオーガニックな感触があり、実験的だが生温かいのだ。小杉武久やフルクサスなどを通過したこの異才は、それからボアダムスの「スーパー・ゴー!!!!!」や「スーパー・ルーツ7」、あるいはOOIOOに参加すると、2000年には〈チャイルディスク〉からアルバムを1枚発表して、その4年後には〈ピース・レコーズ〉からもアルバムをリリースしている。その活動はテクノとアヴァンギャルドのあいだを気まぐれに往復するようで、とにかく捉えどころがないのだ。アシンメドレー名義による本作『エイジ・オブ・サン・エッジ』は、和泉希洋志としては7年ぶりのアルバムとなる。
それはこれまでの彼の、IDM/アンビエント・テクスチャーを応用した諸作とは少しばかり異なっている。先述したように和泉希洋志は、ひとつのスタイルを貫くというよりも、さまざまなスタイルを取り入れて、咀嚼し、掻き回すような、固有のスタイルを持たないスタイルの作り手だが、『エイジ・オブ・サン・エッジ』からはクラブ・カルチャーのざわめきを間近に感じる。今日の日本において重要なDJのひとり、アルツが主宰するレーベルからのリリースというのは、そのことと無縁ではないはずだ。要するにはここにはハウス・ミュージックのグルーヴがあるのだ。そしてこれはどう聴いても、ユートピアのダンス音楽である。
"Artificial Tour"はトロピカルなフィーリングをもったアンサンブルが4/4のキックドラムを擁したハウスのBPMのなか、ゆっくりとうねる波のように変化していく。ベースは地面から伸びているが、ジャングルの上のほうから音符が降り注いでくるようだ。美しいピアノとパーカッションが素晴らしコンビネーションをみせる"Akashic Rain"もまた極楽浄土におけるスローテンポのダンストラックで、それはある種のドリーミーなフュージョン・ハウスとして"Prismatic Drms"や"Mirror in Lemuria"へと続いている。
アルバムは、70年代のイーノを彷彿させるような、5曲目のアンビエント・トラック"Crystal Finite State Machine"からさらに深い茂みのなかに入る。アルバムの曲名には自然を喚起する――雨、水晶、オーロラ、大気、森、太陽――といった言葉が使われているが、和泉希洋志はある種のアニミズム(それはボアダムスにも共通するものである)をハウス・ミュージックのスタイルに変換しているように思える。アトモスフェリックな"Aurora Tones"から自然の精霊たちが踊っているような"Purple Low Air"へと、アルバムはまるで放射性物質によって汚れてしまった大地とは真逆のヴィジョンを強調している。"Fibonacci Forest"などはデリック・メイの〈トランスマット〉から出ていても驚かないようなトラックだが、しかしこのサイケデリアはアフリカニズムとはまた別のところから来ているように感じる。アーサー・ラッセルからヒントを得て、水中にいるような感覚をハウス・ミュージックに変換したカリブーの『スウィム』のようにコンセプチュアルなダンス・アルバムで、『エイジ・オブ・サン・エッジ』にはJ.G.バラードの『結晶世界』をユートピア小説として書き換えたような、奇妙なオプティミズムがあるのだ。
クローザー・トラックの"Diffused Aura"は、熱帯雨林のスコールのようなノイズが鳴っている。みんながこの音楽を好きな理由がとてもよくわかる。
今年はベース・ミュージックがますます盛りあがりそうです。ダブステップ系の勢いも相変わらずですが、ハドソン・モホークやラスティーといったウォンキー系のリリースも控えているみたいだし、ホントに楽しみです。そんなわけで、日本のベース・ミュージックの総本山とも言える、KURANAKA 主宰の〈ZETTAI-MU 〉が東京と京都で開かれます!!
震災後、海外からのDJの来日キャンセルが相次いでいますが、僕が東京でハウスで踊っていた大昔なんかは、外国人のDJがまわすなんて滅多にありえない時代でした。だからみんな日本人のDJを英雄視していました。いまでも、日本には良いDJがたくさんいます。今回の〈ZETTAI-MU 〉がもうひとつ興味深いのは、すべて日本で暮らしているDJでやっていることです。
とりあえず低音好きは絶対に行こう! 踊って、瞑想しよう!
2011.5.27 (FRI)
ZETTAI-MU MONTHLY GROUNDATION in TOKYO @ AIR
"GRASP AT THE AIR"
O.N.O a.k.a Machine Live (THA BLUE HERB)
DJ BAKU (POPGROUP)
KURANAKA 1945 (Zettai-Mu)
DJ QUIETSTORM (中目黒薬局 / TIGHT)
GOTH-TRAD (DEEP MEDi / BACK to CHILL)
BLUE BERRY (BLACK SMOKER / SKUNK HEDAS)
@ AIR
Info tel: 03-5784-3386(AIR)
ADDRESS: 東京都渋谷区猿楽町2-11氷川ビル B1, B2
WEB SITE : https://www.air-tokyo.com/
OPEN/START. 22:00
¥3,000 Admission
¥2,500 w/Flyer
¥2,500 AIR members
https://www.zettai-mu.net/news/1105/0527_air/0527_air.html
https://www.air-tokyo.com/schedule/543.html
2011.6.3 (FRI)
ZETTAI-MU MONTHLY GROUNDATION in KYOTO @ WORLD
KODAMA KAZUFUMI (DUB STATION / MUETBEAT)
KURANAKA 1945 (Zettai-Mu)
O.N.O a.k.a Machine Live (THA BLUE HERB)
ナカムライタル (OUTPUT)
Light-One
and more act!
@ 世界WORLD
Info tel: 075 213 4119(WORLD)
ADDRESS: 京都市下京区西木屋町四条上ル真町97 イマージアムBF~2F
WEB SITE : https://www.world-kyoto.com/
OPEN/START. 22:00
¥2,500 ADV
¥3,000 DO