Home > Interviews > interview with Tadzio - 150分の11の騒音
お・前・の 脳みそどこだー!
何を言ってもわからない 笑ってばかりでわからない
あなたの思いはなんですか?
感情 行動 言動 性格
ファッキューファッキュー アイラブユー
はやく 気付いて はやく 見つけて
だけど... 死ね!"NOmiso"
Tadzio /Tadzio Pヴァイン |
「150曲作って死ね」という、今日じつに古風に聞こえる(まるでスポ根だ)言葉をきっかけに誕生した女性ノイズ・ロック・デュオ、タッジオ。ソニック・ユースもメルヴィンズも知らずにプレ・グランジなハードコアや辛口のジャンク・サウンドを鳴らす彼女たちは、結成1年にしてコンボピアノ、ヘア・スタイリスティックス(中原昌也)、狂うクルー、中村達也等と共演し、キュートなルックスに不敵な態度まで加わってスター性も十分、まさにアンファン・テリブルだ。
それぞれを「部長」「リーダー」と呼び合い、ぶらっと並ぶ立ち姿は、ノー・エイジやテレパシーなど、ここ数年のインディ・ロック・シーンにデュオ編成が目立つ傾向と共振するかのようでもある。このことは音楽シーンにとどまらず、広く現在のコミュニケーションの問題としても重要なポイントではないかと思う。3人以上ではなく、ふたりというミニマルなフォーマットがいま持っているリアリティを、本インタヴューでは随所から読み取ることができるだろう。
「150曲作って死ね」という言葉の主は中原昌也氏だが、見方を変えれば、タッジオとは、バンド誕生の時点で150曲という目標=終わりが予定されている時限プロジェクトとも言え、このワイルドなデュオがいったい150曲制作のあいだに何を見、どのように変化を遂げるのかという大掛かりなドキュメンタリーとしても興味深いものがある。
サブカルチャーにおいて音楽の力が衰退しつつある日本の状況に、タッジオの誕生はどのような影響を与え、何を残せるのか。長い旅路の最初の行程を記録するファースト・アルバム「タッジオ」が完成した。
その頃ふたりとも無職だったんですよ。だから時間だけはいっぱいあって、スタジオにもいっぱい入るけど、ぜんぜんおもしろくなくって。
■まず音楽的な背景からお聞きしたいんですが、ニルヴァーナとかソニック・ユースとか、あるいはメルヴィンズ、そういった90年代初頭のUSのインディ・ミュージックが......
リーダー:えへへ、やばいやばい......(部長に向かって)難しいこと言ってるよっ。
野田:直球だねえ。
リーダー:(部長に向かって)がんばろうねっ。
(一同笑)
■いえいえ、あくまで音を聴かせていただいた上で思い浮かんだのが、そういうバンドの名前でして......
リーダー:はい。
■はい。好きな音楽っていうと、どんな感じでしょう。
リーダー:ええと、いま言われたなかだと、ニルヴァーナは知ってます。
部長:ふたりで全然好きなの違うんで......。ハードコアとかも全然詳しくないですし。いろいろ言われるんですけど。
リーダー:ソニック・ユースとかも最近知ったくらいで。リーダーは。
■ええー!? 「好きで好きで仕方ない」ってくらいかと思いました。
部長:全然。私もソニック・ユースは通ってないですし。
リーダー:バンドやりだしてからメルヴィンズとかも知ったんです。メルヴィンズ知らないでバズ・オズボーンの曲ができたんですけど。
■へえー。"シック"とかもすごい重たい音で、ハードコアとかグランジとかを通過せずに、いきなりどうしてそんな音が生まれてきたんだろうって思います。
リーダー:リーダーは、なんか、知り合いとかがハードコアのバンドをやってるのを見てたんですけど。ぜんぜん趣味でやってる人たちの。汚ーい感じの。
■はい。汚ーい感じの。
リーダー:未来のない感じの。
■ははは。
リーダー:とかを見てて、って感じなんですけど。
■へえー。じゃ、日本の知り合いのバンドからの影響なんですね。バンドを組むのは初めてですか?
リーダー:はい。初めてです。
■ギターもドラムも初めてですか?
リーダー:はい。リーダーは初めてです。
部長:ドラムは中学のときに1、2年やってました。
■中学で1、2年やったきりですか。部活動とか?
部長:いえ、バンドです。流行ってたんで、その頃。私が中学くらいの頃ですけど。
■曲は......
部長:コピー・バンドです。
■うーん。それで、初めてバンドを組んで急にあんなノイズが出てくるわけですか? ドラムも手数の多い感じの......
リーダー:バンドやるちょっと前に中原(昌也)さんとかと出会って、そういうノイズを初めて聴いたんですよ、リーダーは。そういう音を出したいって思ったわけでもないんですけど。
野田:中原君のライヴを観て?
リーダー:はい。何回か観ましたね。
■うーん......
リーダー:あ、でもライトニング・ボルト。ライトニング・ボルトのライヴを観てリーダーはいちばんかっこいいと思いました。
■ああ!
リーダー:いままで忘れてた。
■それです! そのコメント拾えてよかった。
リーダー:ははっ!
野田:2年くらい前ですかね。
リーダー:そうですね。中原さんに誘われて行きました。
部長:私は逆に、高校のときから中原さんの音楽を聴いてたので、大人になってからこんなふうに一緒にやったりすることになるなんて思ってなかったです。
■憧れとかあったわけですか。
部長:憧れというか、普通に好きで、家にCDとか持っていたので、変な感じ。すごい変な感じがします。
■あ、では音楽的にタッジオを引っぱっているのは部長さんですか?
部長:引っぱって......?
(一同笑)
■ははは。いえ、では曲ができるときはどんな感じなんでしょう?
部長:ふたりでスタジオ入って、ほんとに、ふたりで話しながらできる感じなんですよ。だからどっちかが作った曲を持ち寄るとかではなくて、どっちが引っぱるとかでもなくて。
■まずスタジオに入るところからはじまるんですね。
リーダー:そう、スタジオに入って、音を出して、いまのいいねって言ってどんどんくっつけてくみたいな。
■なるほど。バンドのきっかけは、学校とかですか?
リーダー:ううん、何かのライヴの打ち上げで出会って、ふつうにそこで、お友だちになって......
部長:で、リーダーがそこでギターを......
リーダー/部長:もらってー。
リーダー:で、なんかやりたいねって言ってたら、部長が昔ドラムをやってたって言ってたのを知って、で、スタジオ入ってみますかみたいな。
部長:最初はなんかコピーとか。
リーダー:そう。そのニルヴァーナとかやってたら、できなくって。
■あら。タッジオでコピーとかやってたんですか。
リーダー/部長:ぷっ(笑)。
部長:あはは。でもコピーとかいっても、全然できてなくって!ふたりとも全然へたくそで、もう「はーっ」ってなってたんですよ。2、3ヶ月くらい。
リーダー:ニルヴァーナとかも全然......
部長:全然できなくてつまんないし(笑)、ニルヴァーナとかやってても。その頃ふたりとも無職だったんですよ。だから時間だけはいっぱいあって、スタジオにもいっぱい入るけど、ぜんぜんおもしろくなくって。それでちょっと(オリジナル曲を)作ってみよっかって。
リーダー:自分たちで作れば間違いがないから、すごい楽しくて。
■ははは。たしかに「あ、ここ間違った」とかいうことがない。全部正解ですね。
リーダー:そう、自由にできる。
部長:自分のレヴェルに合わせて。
■じゃ、けっこう、突然変異的に、そういういろいろな偶然やら事故やらが重なってできてきた音楽なんですね。
野田:中原昌也の音楽を聴いてたっていうのはどのくらいの時期からですか?
部長:暴力温泉芸者とか、トラットリアから出してたのとかです。
野田:ふーん、じゃわりと昔から。
部長:はい。私もともと小山田(圭吾)さんのとか大好きだったので、そこからたどって聴いてたんですけど。
野田:へえ。じゃ部長さんがマニアックなんだ。
部長:マニアック......そうですね(笑)。
リーダー:「部長さん」......(笑)
取材:橋元優歩(2011年5月27日)