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Home >  Interviews > interview with Tadzio - 150分の11の騒音

interview with Tadzio

interview with Tadzio

150分の11の騒音

――これが話題のタッジオ!

橋元優歩    写真:小原泰広   May 27,2011 UP

なんかみんなすぐ解散とかしちゃうから、それだけはやめろって言われて......。だから、続けるって意味で150。アルバム1枚出して終わりっていう人たちもいるから、そんなんだったた出したくないなっていう感じ。


Tadzio /Tadzio
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今回の作品は、1枚目ってこともありますから、これまでの総決算、とりあえずやってきたこと全部出しますってアルバムかなと思ったんですが。

リーダー:総決算?

総決算といいつつ、結成が2010年でしたっけ?

リーダー:2010年!

部長:そう! まだ1年ちょっとです。

野田:ははは!

部長:まだ総決算は大げさです!

(笑)あ、そうですね。とりあえず、出しました~って感じですね。

リーダー:そうです。総決算です。

(一同笑)

(笑)ここまでの時点のものを、まとめたという形のものだと思うんですが、次の作品がまたあるわけじゃないですか。何か見えている画というか、こんな感じの作品になるだろうという予定はあるんですか?

リーダー:ま、曲ができたらまた作る。みたいな感じですかね。

部長:曲をつくっていく、という。

リーダー:うん。どんどんどんどん、いっぱい。

部長:それだけが、目標なので。曲ができて、アルバムができて、みたいな。150曲作るっていう目標があって。

ああ、そっか。150曲の目標があるんでしたね!

リーダー:はい。そこでもう終わりなんです。

はい。......えっ、終わり!?

リーダー:そこで終わりです。

部長:中原(昌也)さんから150曲作って死ねって言われたんで。

はい。

リーダー:だからそこでタッジオは終わりです。

終わりって......。そういうことですか......それ、言われたこと守ってたら死んじゃうじゃないですか!

リーダー:そうそう、でもタッジオが死んじゃうんです。タッジオ、ダイ。

野田:じゃあさ、150曲作ろうっていうところまではほんとにやるつもりでいるんだ?

リーダー:はい。それが最後っていうこと。

部長:数をいっぱい作りたいですね。わけわかんないのもできるかもしれないけど、とにかくいっぱい。

野田:3枚組のボックス・セットになっちゃうね。

(一同笑)

ああー! それは刺激的なアイディアじゃないですか。150曲全部入ったやつ!

部長:憧れですね。ボックス・セット!

野田:3枚組じゃ150曲は無理か。

部長:枚数多くしたい。15枚組とか。

リーダー:いいねえ。

野田:でもさ、中原昌也ひとりに言われたからって、なんでそれ守らなきゃいけないんですか?

リーダー:なんか渋谷の焼き鳥屋さんでふたりで食べてたときに言われたんですけど、そんときに言われてすぐスタジオ入ったのがきっかけなんですけど......

部長:なんかみんなすごい後押ししてくれて、中原さんとか。私がドラムやるのも、千住(宗臣)さんに打ち上げで「昔、ドラムやってたんですよねー」って言ったら、「やればいいじゃん、なんでいまやらんの?」みたいに言われて、あ、やっていいんだーみたいに思ったのがきっかけです。

リーダー:すごいまわりが応援してくれる。

へえー。じゃ、すごい相性でしたね。

野田:え、でもだからさ、中原昌也ひとりに焼き鳥屋でやれって言われたからといってさ......

リーダー:あ、でも言ったんですよ、ちょっと。バンドやってみようかなーみたいな。そしたらなんかもうすごい(中原さんが)興奮しちゃって、ギャー! みたいに言われて。ちょっと、まわりの人が心配するくらい。なんか、隣りのカップルが助けにきたりとか。

(一同笑)

リーダー:傍からみたら、おじさんと若い子がそんな......なんかすごい説教されてるみたいな感じになってて。「やれよ!! やって死ねよ!!」みたいな......

(一同爆笑)

部長:27で死ねって言われたよね。

リーダー:そう。

このアルバムに入っている以外に何曲もあるんですか?

リーダー:新曲がちょっとあるくらいで、いま13曲ですね。2曲できた。

じゃほんとにこれで全部、お蔵入りはない方向なんですね!

リーダー:そう。恥ずかしい。20曲くらいあることにしておけばよかった。

野田:いや、しつこくて悪いんですけど、中原昌也のどんなところが好きなんですか?

部長:あんまり深刻なのが好きじゃなくて、なんか中原さんって「なんちゃって」って感じあるじゃないですか。なんか、キャラ、本人自体もそうですけど。そういう音楽がもともと好きなんで、惹かれますね。絵も好きだし。人も好きだし。かわいい。

野田:暴力温泉芸者とヘア・スタイリスティックスとでは、どっちが好きですか?

部長:ええ......そんなに全部を聴き込んでるわけではないんですが......

野田:すごくたくさんあるもんね、中原くんの作品。

部長:どっちってこともないですね......どっちも好きです。最近出してるシリーズとかも。

150曲というのになにか説得力があったというか、それを守ろうというわけですから。150という数字には何か意味があると思いますか。

リーダー:いや、ないと思います。

野田:きっとそのときたまたま出たんだよ。

(一同笑)

そんなあやふやな数字にも関わらず守ろうというんだから、すごい信頼関係があるんですね。

リーダー:最初にその話を聞かせたときに言われたから、やけに印象的で。

部長:それを聞いて、量があればなんとかなるだろうって。

リーダー:なんかみんなすぐ解散とかしちゃうから、それだけはやめろって言われて......。だから、続けるって意味で150。アルバム1枚出して終わりっていう人たちもいるから、そんなんだったた出したくないなっていう感じ。

いまだけじゃなくて、その次出すということが確実に決まってる。ヴィジョンがあるわけではないかもしれないですけど、1回だけじゃない、次もやるという覚悟ですね。そういうのがあるというのは、また古風というか。若い人のバンドには珍しい感じがしますね。

野田:ちなみに、このタッジオっていう名前はどこから......?

リーダー:リーダーが好きなひと。

部長:『ベニスに死す』に出てくる美少年です。

美少年かあ。

リーダー:リーダーが好きで。

野田:なるほど......古風だねえ。

(一同笑)

では、まとめになります。いま言っていただいた部分と重なりますが、これからどのように活動していかれるのか、何か野心があればお聞きしたいです。

リーダー:うーん。

部長:うーん。

ライヴをひたすら続けていく感じでしょうか。

部長:うん、それを続けること。

じゃ、でっかく、「海外行くぜ!」みたいのはない?

部長:それはもちろん行きます。

リーダー:うん。それはもうライヴをやるっていう予定の中に組み込まれてる感じ。

シーンをオーガナイズして日本のインディ・ロックを引っぱっていくぞ! というような方向の野心はないですか?

リーダー:いや、それは勝手についてくればいいなって。

部長:やろうと思ってできることではないから。

野田:ていうか、絶対そういうタイプには見えないよね。

(一同笑)

そういうところがはっきりしてよかったです。野心というか、まあ、自分たちが最高! という。

リーダー:ぷっ。

そういうところがかっこいいと思います。

A氏:あんまり買い被るらないでくださいね。ほんとにまだ他のバンドと全然対バンしてないから、何にも知らないんですよ。

野田:いや、でも渋谷のディスクユニオンのインディ・コーナーとか行くと、いまの日本のロック・シーン内の断絶っぷりがそのまま凝縮されていて。最新のインディ・ロック=パンダ・ベアの新譜の隣にサニー・デイ・サービスの90年代の高価な中古盤があって、その隣にはスピード・グルー&シンキの2万円のオリジナル盤が売られていたりね、とても同じ音楽ファンとは思えない人が隣同士に並んでいる。

まさに、そうですね。タッジオのなかにもそういうせめぎ合いというか、すごく混淆としたものを感じますね。

部長:はい。

だって、「これが好き!」っていうバンドがまわりにないわけですよね?それって、海外の、とくにUSの音楽シーンとかだと考えられないことだと思うんですよ。それこそアニマル・コレクティヴなんかのまわりでは。

部長:アニマル・コレクティヴとか、そういうあたりは私も好きです。ギャング・ギャング・ダンスとか。

それが日本のバンドでないというところが不幸というか。どうですか、日本の音楽はアニメに勝てると思いますか?

部長:すごい嫌。アニメ。

(一同笑)

部長:嫌。もうー。

でも、すごい影響力ですよ。レコード屋で働いていてさえ、「若い人は音楽聴くのか?」っていう状況で、では、タッジオの音楽は「けいおん!」に勝てるのでしょうか?

リーダー:ケイオンって?

(一同笑)

部長:よくわかんないけどアニメだよ。

あ、すみません。私もよくは知らないんです。若い人にすごく支持されているマンガ、アニメです。

リーダー:オタクねー。

部長:そういうこというと「おばちゃんねー」って言われるよ。

リーダー:なんか、オタクもこっちを好きになればいい、ってことでしょ?

はい、質問の意図としては(笑)。あっちのアタマをぶちのめして......

リーダー:こっちになびかせる。

そう、こっちになびかせるということはできるんでしょうか? これ、最後の質問ですね。これに答えていただくことで、日本の音楽のひとつの未来をうらないましょう。ということで!

部長:ええー。もう、違う星の人たちみたいに思えちゃって。どうなんですかねー。

リーダー:じゃ、アニメを絞め殺すということで。

部長:うん。アニメを絞め殺す。

(一同笑)

ははは! じゃ、150曲作ったのちには、

リーダー:のちには。

世界がひっくり返っているであろうことを期待しまして!

野田:でも、アニメ観たらはまっちゃったりして。

部長:そうかもしれないですね! 偏見かもしれないから。

取材:橋元優歩(2011年5月27日)

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