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interview with tofubeats

interview with tofubeats

自分のことはハウスDJだと思っている

──トーフビーツ、インタヴュー

取材:小林拓音(●)+野田努(■)    写真:川島悠輝   May 24,2024 UP

tofubeats
NOBODY

ワーナーミュージック・ジャパン

House

Amazon Tower HMV 配信

 次の一手がどんなものになるのか、2年前からほんとうに楽しみにしていた。というのも、前作『REFLECTION』があまりにも時代のムードと呼応していたから。いや、むしろ時代に抗っていたというべきかもしれない。「溺れそうになるほど 押し寄せる未来」なる表題曲の一節は、以前からあった「失われた未来」の感覚がパンデミックや戦争をめぐるあれこれで増幅されいまにも爆発しそうになっていたあの年、頭にこびりついて離れなかった歌詞のひとつだった。かならずしもいいものとはかぎらない。でもそれはいやおうなくやってくるのだ、と。

 潔い。新作EP「NOBODY」はハウスに焦点が絞られている。むろん、シカゴ・ハウスを愛する tofubeats はこれまでもその手の曲をアルバムに収録してきた。フロアライクなEPの先例としては「TBEP」(2020)もあった。今回の最大の特徴はそれが全篇にわたって展開されているところだろう。ここ数年のダンス・ミュージックの盛り上がり、一気にパーティやイヴェントが増えた2023年以降の流れとしっかりリンクしている点で、これもまた時代と向き合った作品といえる。
 ダンスのよろこびに満ちているはずの音楽にはしかし、「だれもいない」なんてさびしげなタイトルが冠せられている。ヴォーカル部分にAI歌声合成ソフトが使用されていることを踏まえるなら、これは tofubeats なりの「ポストヒューマン」作品なのかもしれない。そこも2022年の ChatGPT ショック以降という感じできわめて現代的なのだけれど、仮にざっくり、ヴォーカル入りのハウスにかんして、じっさいにシンガーをフィーチャーするのがUSで、サンプリングを駆使するのがUKだと整理するなら、tofubeats はそのいずれでもない道を模索しているともとらえられよう。
 近年はヒップホップ文脈での活動も盛んな彼。これは、かつて史上最年少で《WIRE》に出演し、いま「自分のことをハウスのDJやと思ってい」ると主張する tofubeats の、ある意味では原点を確認する作品であると同時に、ふだんそうした音楽を聴かないリスナーに向けて送られた最高の招待状でもある。(小林)

自分は、リスナーが思う tofubeats と俺がイメージしてる tofubeats とでかなり差があったりするタイプのアーティストやと思うんですけど、自分は自分のことをハウスのDJやと思っていて。

●まずは前作『REFLECTION』のころのことから伺っておきたいんですが、ちょうど東京に引っ越されたときにパンデミックが直撃して。DJ活動を増やすために来たのに、仕事がなくなったという話だったかと思いますが、いまはDJはけっこうできていますか?

TB:コロナ禍のころよりは戻ってきたんですけど、そんなに頻繁にやっているわけではないですかね。以前のペースには戻っていないという感じです。コロナ禍前は年100本弱くらい、平均で80~90ぐらいはやっていて、デビュー時からずっとそのくらいだったんですけど、いまはライヴも合わせて年たぶん50~60ぐらいかなという印象です。大箱と言われるような、Spotify O-EAST(渋谷)とか The Garden Hall(恵比寿)みたいなところだったり、フェスの比率もちょっと増えた感じです。なので今年は久しぶりに仙台とか金沢とかの普通のクラブに行ってやる、みたいなのをちょっと意識して入れるようにはしていて。

●DJ活動からのフィードバックは大きいですか?

TB:そうですね。あと単純にDJ好きなんで。ただやっぱり、お客さんはぼくが歌ってるのを見たいわけですよ。もし自分が客で初めて観るんやったらやっぱり絶対 “水星 feat.オノマトペ大臣” は聴きたいし(笑)。そういうバランスみたいなのは、昔からテーマとしてありますね。

●2020年にダンスにフォーカスした「TBEP」というEPが、『RUN』のあとに出ました。

TB:神戸から東京に出てきて初めてちゃんと仕上げたのが「TBEP」で、「DJを頑張っていくぞ」っていうのをテーマとしてしっかりやって、クラブでかけられるようなものを出して。でもリリースのときにはたしか最初の緊急事態宣言には入っていて。

●ほんとうにどんぴしゃだったんですね。

TB:そうなんですよ。それで、失われた幻として「TBEP」のときの気持ちみたいなのがずっと漂ってたまま『REFLECTION』をつくって、その後気分的にイベントのモードが戻ってきたところに、「TBEP」のときにやりたくてできなかったことをもう一回ちゃんとやろう、っていうのが、そもそもこの「NOBODY」のはじまりですね。

●なるほど。レヴューや編集後記でも書いたんですけど、2022年は “REFLECTION” の「溺れそうになるほど 押し寄せる未来」っていう一節がずっと頭のなかに残っていて。日本はまだパンデミック中でしたし、ウクライナへの侵攻もはじまっていて、そういう時代に対する抵抗というか、ポジティヴな未来を求める感覚があったのでしょうか?

TB:そうですね。あと、『REFLECTION』のときぐらいから自分はめっちゃネアカなんじゃないかって思いはじめて。ずっと……『POSITIVE』とかもそうなんですけど、「明るくいよう」みたいな気持ち、けっこうあるぞみたいに思って、そういう部分を出そうっていう気持ちはありましたね。なんというか、「まあ、いつかは終わるっしょ」みたいなことはわりと思ったりするんです。『REFLECTION』をつくってるときは、そういう願いみたいなものも入れたかったというか、最後は開けて終わる感じにしたいなとは思ってましたね。いつもアルバムはループ構造になるのを意識してるんですけど、閉塞感があるときだからこそ、開けて終わるかたちにしたいというのはありました。

●しかも、そういうポジティヴな曲のリズムに選ばれたのがジャングルだったっていうのが、すごくはまっていると感じました。

TB:普段だったらジャングルはライヴではやりづらすぎるというか、あまりやらないテンポ帯なのでできないんですけど、ライヴがない時期だからジャングルいけるやん、っていうのはありましたね。

●『REFLECTION』では神戸の Neibiss をフィーチャーしていたり、『REFLECTION REMIXES』でも RYOKO2000 や Peterparker69 を起用していて、昔から tofubeats さんは若手をフックアップしてきたと思うんですけど、彼らのことはどういうふうに見ていますか?

TB:単純に若手を呼びたいっていう基本思想というか、前提条件みたいなものはずっとあります。自分が若手のときに仕事をもらって上達していったんで、単純に足掛かりしてもらえればっていう(笑)。あと、メジャーの仕事なので、「ワーナー・ミュージックに請求書を出す」とか、それだけでも若手には経験になるじゃないですか。だから、合いそうな曲があったら振っていますね。ほんとうに自分も昔いろいろしてもらって、頑張った記憶があるので。

●『REFLECTION』から『REFLECTION REMIXES』の一連の流れのなかで、「おっ」と思った反響ってなにかありましたか?

TB:どうだったかな……“REFLECTION” がいい曲やなってみんなに言ってもらったのはめっちゃ嬉しかったですね。あれは自分でもいい曲できたなって思えていたので。さっきの小林さんの話もそうなんですけど、あの曲の歌詞とかコンセプトみたいなものを褒めていただけたのはめっちゃ嬉しかったです。あと、普段ああいうテイストはやってないですけど、サウンド的にもちゃんとできてたっぽくて、先日 Sinjin Hawke と Zora Jones のユニット(Flactal Fantasy)と一緒にやったときに、ゾラにあの曲めっちゃいいやんって言われたのは嬉しかったですね。

取材:小林拓音(●)+野田努(■)(2024年5月24日)

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