「Nothing」と一致するもの

Back To Chill 〜8th Anniversary〜 - ele-king

 ことダブステップのシーンにおいて、アニヴァーサリーはかなりブチ上がるものとされている。10月に来日するデジタル・ミスティックズの〈dmz〉では、ブリクストンにある会場前には長蛇の列ができ(チケットはいまだに5ポンドである!)、ヴィヴェックの〈システム・ミュージック〉もチケットと限定Tシャツがネットで即ソールド・アウトするという事態だ。アニヴァーサリーでしか体験できないセットとメンツのために、ひとびとが集まることはシーンが健全な証拠である。
 前回の〈バック・トゥ・チル〉100回記念も素晴らしかった。平日木曜だったにも関わらず、フロアには踊る人、揺れる人、叫ぶ人、じつに多彩なサポーターたちが集結。個人的にとても印象に残っているのが、中心人物のゴス・トラッドとパーティ開始時からのレジデントDJである100madoとのB2Bでのクラシック・セットである。あらためて過去の作品を聴くと発見が必ずある。曲の良さの再発見もそうなのだが、なんだかんだ、みんなローファー、ディスタンス、スクリームが大好きなのだ(終止叫んでライターを灯し、一番前で知らない人と肩を組んで踊っていたのは僕です)。
 さて、そんなバック・トゥ・チルだが今年はなんと記念パーティが2回もあり、きたる9月22日は8周年アニヴァーサリーだ。今回のプログラムもレジデントとゲストによるB2Bをメインに予定している! 今秋にはパーティ史上初のコンピレーション・アルバムの発売(噂によるとかなりのビッグ・ネームも参加予定!)と、それに伴いレーベル〈バック・トゥ・チル〉の始動も発表された。つまり、パーティのクルーたちは現在、ノリにノっている状態なのである。
 ゴス・トラッドは初の南米ツアーとクロアチアで開催された〈アウトルック・フェスティヴァル〉から戻ってきたばかりで、世界を通過したセットがどんなものなのか、身をもって体験することができるだろう。
 先日、本誌でもインタヴューを行なったエナはもうすぐ海外ツアーに旅立ってしまうので、9月に彼のプレイを見られるのは最後かもしれない。当日はなんとゴス・トラッドとエナのB2Bが披露される予定! セカンド・アルバム『バイノーラル』が10月27日に発売されるというし、先行EPも視聴できるので要チェックだ。

ENA - Dirt EP - Samurai Horo

 8年間〈バック・トゥ・チル〉を支えてきた100madoのプレイも見逃せない。最近、UKダブステップ界の最重要ホープとダブのやり取りがあったらしい。どんなセットをCITY1とのB2Bを披露するのか期待がふくらむ! 先月の〈バック・トゥ・チル〉での100madoのプレイ音源はここからダウンロードできるので、予習してくるのもいいでしょう。うれしいセット・リスト付き!(https://100mado.info/post/96455798464/2014-08-07-btc-100mado-djmix

https://100mado.com/audio/100mado_20140807_BTC.mp3
100mado - DJ mix - 100mado 2014.08.07 - BTC

 ほかにもダブトロとヘルクトラムのB2Bがあったり、D.J.フルトノが大坂から参戦したり、ゴス・トラッドとムロチンのユニットであるバーサーカーのライヴがあったりと、かなりユニークでスペシャルな内容になっている。サウンド・システムも最高ですよ! 祝日前! ガン・ファイヤー!

■Back To Chill -8th Anniversary-
2014年9月22日(月・祝日前)
23:00 開演
会場:club asia
入場料:
DOOR:3000yen WF:2000yen GIRLS:1000yen 
ADV(前売りチケット)2000yen

出演:
Main Floor:
GOTH-TRAD
D.J.Fulltono (Booty Tune)
BERSERKER [LIVE]
100MADO
ENA
DUBTRO
CITY1
Helktram
π

Visual :
DBKN

2nd floor:
"Hangover vs Topology"
----------------------------
[Hangover]
KEN
SHIGE
SATOSHI

[Topolozy]
H Shiratori
Tack
Lynne
----------------------------
メメ
yuitty

1F FLOOR:
dahama
もんだいがい
pripri
kurara
and more,,,

Back To Chill 公式サイト
https://backtochill.com/

club asia 公式サイト
https://www.clubasia.co.jp/


Chihei Hatakeyama - ele-king

 ここ数年、日本のアンビエント・シーンはエレクトロニカ以降の世代によって大きな潮流が作られている。その音楽性は海外のそれとはやや違い、「穏やかな時間=日常性」を礎としつつ、しかし不意に聴き手の心と耳の深い所に作用する穏やかな強さを持っていたように思える。日常性と静寂と鎮静の音響音楽。その意味で、いまやアンビエントやドローンを実験音楽というカテゴリーに封じ込めることはできない。アンビエントは、私たちの生活の傍らにある音楽になったのである。
 畠山地平は、その新しいアンビエント・シーンにおいて、極めて重要なアーティストだ。彼はデジタル/アナログの機材を駆使し、美しくも穏やかな音の層を生成する。そして、その音には深い沈静作用がある。

 まず、畠山地平の経歴を簡単におさらいしておこう。彼は2006年にファースト・アルバム『ミニマ・モラリア』を名門〈クランキー〉から発表する。以降、2008年に〈マジック・ブック・レコーズ〉から『ザ・シークレット・ディスタンス・オブ・トーチカ』を、2009年に〈ルーム40〉から『サウンター』を、2010年に〈ホーム・ノーマル〉から『ア・ロング・ジャニュアリー』を、2011年に〈ルーム40〉から『ミラー』を、2012年に〈ホーム・ノーマル〉からアスナとの共作『スケール・コンポジションズ』リリースするなど、国内外のレーベルで数多くのアルバムを発表してきた。さらに2011年にはヨーロッパ10箇所をまわるツアーを敢行し、あのティム・ヘッカーなどとも競演。その名は海外のアンビエント・ファンに知られている。

 すでに豊富なキャリアを誇る畠山は、現在ドローン/アンビエント・シーンの旗手ともいえる音楽家だが、自らのキャリアに固執することなく、伊達伯欣(イルハ)とのデュオ、オピトープではエレクトロ・アコースティック、ヴォーカリストの佐立努とのルイス・ナヌークではフォーク・ミュージックを奏でるなど、ジャンルやフォームを越境していく活動を繰り広げている。また、レーベル〈ホワイト・パディ・マウンテン〉を自ら主宰し、自身のアルバムや、マシーンファブリック、アスナ、シェリングなど国内外のアーティストの作品をリリース。アンビエント・リスナーから絶大な支持を得ているのである。

 その畠山地平、待望の新作が発表された。もちろん、〈ホワイト・パディ・マウンテン〉からのリリースである。その名も『ウィンター・ストーム』。まさに「冬」の音楽である。全71分の大作だ。この作品は本当に素晴らしい。アルバムを再生したその瞬間から、その音世界に一気に吸い込まれていく。絹のような音の持続、大らかな旋律、繊細なサウンド・レイヤー。耳の肌理に触れるかのような柔らかい音。全4曲、どの曲も一級の工芸品のように細部まで磨きあげられているのだ。

 〈マーマーレコード代官山〉のクロージングパーティーで演奏された1曲め“ドント・アスク・ホワット”の降り積もる雪のような素晴らしさ。澄んだ空気のごとく透明なアンビンエトの2曲め“ウィンドウ・トゥ・ザ・パスト”の繊細さ。畠山地平がトルコを旅したときの雪の記憶とリディア王国へのイマジネーションを結晶させた3曲め“リディア”の慎ましやかな雄大さ。2014年2月に東京に降った大雪の記憶から生まれた4曲め“ウィンター・ストーム”の美しさ。まさに「冬のイマジネーション・アンビエンス/アンビエント」とでもいうべき作品に仕上がっているのである。
 個人的には1曲め“ドント・アスク・ホワット”の冬の温度を視覚的に思い出すような大らかなメロディアス・ドローンに惹かれた。また4曲め“ウィンター・ストーム”は、繊細なサウンド・レイヤーと嵐のようなノイズの蠢きから生まれる音響の美しさに惚れぼれとしてしまった。

 ドローン・サウンドの中にゆったりと大らかな旋律が浮かび上がり鳴り響く。それが人の心を鎮静させる。近年、これほどまでに沈静効果のある音楽も稀ではないか。かといって「癒し」のような表面的な音楽性ではない。心と体の深いところに効くアンビエント音響=音楽なのだ。その意味で本作の穏やかさは、本質的な強さを持っているようにも思える。
 このアルバムには、才能溢れる音楽家が感じている/生きている時間=記憶の豊穣さが、見事に圧縮されている。そして私たちが彼の楽曲を聴く=効くというのは、その豊かな時間を、耳と心に解凍していく大切なひとときになるだろう。
畠山地平の音響/音楽は、聴き手の記憶の風景や時間を、ゆっくりと解凍してくれるのだ。あのときの風景。あのときの季節。あのときの空気。あのときの雪。あのときの冬。そのときの記憶。そしてまたあのときの風景。円環する時間。巡り来る季節。大らかさ、静けさ。繊細さ。柔らかさ。鎮静。音響的結晶。アンビエント/ドローン。ブライアン・イーノによるアンビエント・ミュージックの提唱から36年もの月日が流れ、これほどまでに心に効くアンビエント・ミュージックが誕生したことへの驚き。

ともあれ、秋から冬というメランコリックな季節に、じっくり耳を傾けたいアンビエント作品である。さあ、柔らかい音の層に包まれて、71分の「記憶」の旅にでかけよう。

RAVE TRAVELLER - ele-king


清野栄一『RAVE TRAVELLER - 踊る旅人【デジタルリマスター版】』
太田出版

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 都ホテル東京のドアを開けた時、ロラン・ガルニエは机に置いたノートパソコに向かい、その日の夜にプレイする曲をCD-ROMに焼いている最中だった。フランスに生まれ、1980年代から今までずっと第一線で活躍し続けている、テクノ界の生き字引のようなDJのひとりだった。
 そのガルニエが、2004年に出版した四百ページもある半生記とでもいうべき『エレクトロ・ショック』(翻訳は2006年・河出書房新社)を読んで、まさにショックを受けた僕は、興奮も冷めやらぬうちに、監修者の野田努氏と翻訳者のアレックス・プラット……パリ生まれで日本育ちの彼もまた世界各地でDJをしている……の仲介で、この本、『Rave Traveller』を抱え“てガルニエの元を訪ねたのだ。
 ビデオカメラをまわしながら『エレクトロ・ショック』の話を口にするなり、「あれは自分で書いたわけじゃないよ」とガルニエは言った。

 「インタビュアに喋りまくった話を、編集者がまとめてくれたのさ」

 1988年の9月……イギリスのマンチェスターからフランスに戻ったガルニエが本格的にDJをはじめた時、僕はちょうどパリに住みはじめたばかりだった。パラスやレックスやロコモーティブといったクラブの、革命前夜のように発狂していたダンスフロア! ……忘れもしない。今でもありありと脳裏に蘇ってくる。『エレクトロ・ショック』を読みながら、僕は自分が書いた『Rave Traveller』と重ね合わせずにはいられなかった。
 ホテルの部屋を訪ねた僕に向かって、ガルニエは、「いちばん大事なのは、こいつだ!」と言いながら、自分の胸元のあたり片手でたたいてみせた。ハート、ソウル、エナジー……そこにどんな言葉をあてはめてみてもよかったはずだ。ガルニエは僕に続けた。

 「テクノもハウスも、とっくの昔に音楽の一ジャンルになってしまった。今の若い連中は、テクノが好きならテクノしか聴こうともしない。でもいいか? 俺がジミー・ヘンドリックスをかけようが、古いアシッド・ハウスをかけようが、最新のテクノをかけようが、ダンスフロアにはオープンハートなパーティのヴァイブレーションが流れてるんだよ!」

 『エレクトロ・ショック』の中でガルニエはこう語っている。

 「テクノはたしかに前世紀の最後の音楽革命だった、しかしそれも15年前の話だ……現在はひとつのサイクルの終わりに来ている。もはや未来の音楽ではない。新しい勢いを見つけるために、自らを新しい他の音楽に解放して、ふたたび自らを発見していかなければならない」
 「存在のために変わる。さらに変化する。新しいサイクルをはじめる」

 最後のページには短い一行が記されていた。

 「パーティは続く」

 僕が『Rave Traveller』を書いてから、もう20年近くがたった。はじめてパリのクラブで踊った時から数えると、30年近くが過ぎようとしている。
 20世紀と21世紀の境目をまたぐその間に、世界情勢や経済や文化は加速度的な変化をとげた。複雑怪奇な金融工学と、ソーシャル・ネットワーキングと、携帯電話やスマートフォンが、グローバリゼーションと表裏一体の金融ショックや、世界じゅうで多発する民主化革命や、紛争やテロや報復を引き起こした。60年代にアンディ・ウォーホルが「誰でも15分間は世界的な有名人になれるだろう」と予言した未来を、追い越そうとしている。テクノに限らず、「ひとつのサイクルの終わり」が来ないわけがない。でも、ガルニエの言葉を借りれば、これだけは断言できる。
 
 「それでもまだ、パーティは続いている」

 僕がこの本を書こうと思い立った頃、日本語で読めるダンス・カルチャー関連の本といえば、『クラブ・ミュージックの文化誌』(野田努編・JICC出版局)だけだった。それから約2年間にまたがる旅行の後に、半年たらずで書きあげたこの本の読者の多くは、自分と同年代のパーティ・ピープルやトラヴェラーといった人たちだった。いや、そう思い込んでいただけなのかもしれない。

 僕が記憶している限り、最初の書評は社会学者の毛利嘉孝氏によるもので、この本は現代のオン・ザ・ロードでありセリーヌの旅する物語である、といった内容の一文が記されていた。僕の作家としての未来を暗示するかのように。
 同じ年にハキム・ベイの『TAZ──一時的自律ゾーン』(インパクト出版会)が出版されると、『Rave Traveller』とともに論じた書評が雑誌に掲載された。僕が書いた旅の物語は、文化研究(カルチュラル・スタディーズ)の文脈からも読まれるようになったのだ。やがて研究会や大学に招かれ、レイヴ・カルチャーについて人前で喋ることになるとは思いもしなかった。2005年には、その第一人者とでもいうべき研究者だった(とあえて過去形で書いておくが)上野俊哉氏が、『アーバン・トライバル・スタディーズ ─ パーティ、クラブ文化の社会学』(月曜社)を出版した。

 やがて僕は、『Rave Traveller』と相前後して書き続けてきた一連の小説を「ロード・ノヴェル」と名付け、『デッドエンド・スカイ』をはじめとする何冊かの本を出版した。その一方で、自分でもDJをして、パーティを開くようになり、実にたくさんの人と出会った。時には、見知らぬ若者から「あの本を読んで自分も旅に出ました」と言われていささか複雑な思いにとらわれたり、「卒論の参考文献にした」という大学生と出くわして驚いたり、本にサインを求められて、「ほんとうに著者なんですか?」と言われ免許証を見せたりしたこともあった。

 『Rave Traveller』は著者である自分自身にとっても、一連のロード・ノヴェルの最初の一冊になった、という以上の、もっと重要な問題をはらんでいた。僕はこの本の中で、ガルニエが胸に手を当てながら言おうとしたこと……パーティのダンスフロアで感じた、体の芯から湧きあがり、あふれでてくる「何ものか」について、ジョルジュ・バタイユや井筒俊彦の著作を引用しながら説明を試みている。
 今思えば、この本を書いていなければ、バタイユの『内的体験』や井筒の『意識と本質』を、体をともなった体験を通して読み返してみることなどなかったはずだ。その新たな「出会い」は、長い時を経て、今の自分が小説家として書き続けている作品の本質的な部分へとつながっている。

 こうして、僕は今でも作家でありながら、パーティでDJやライヴを続けている。そして、ふとした瞬間に、ホテルの部屋で胸元に手をあてていたガルニエの姿や、この本の冒頭でも引用したセリーヌの言葉を思い出すのだ。つい先月も、そんなことがあった。僕はこの本を書いていた頃に知り合った友人が主催するパーティに招かれ、凍えるように寒い真夜中にDJをして、やがてダンスフロアで朝を迎えた。

 「僕たちは、またこうして、お互いに、しっかりと生きてきたことを、確かめ会うのだ。」(『夜の果ての旅』生田耕作訳・中央公論社)

 この本を書きはじめたのはちょうど、日本で野外のレイヴ・パーティがはじまった頃だった。『Rave Traveller』という題名は最初から決まっていたが、出版するにあたって、英語だけでは意味が伝わらないだろうということになり、「踊る旅人」という日本語の副題をつけ加えた。やがて、レイヴやトラヴェラーという言葉を、僕は説明もなしに原稿の中で使うようになった。そして、20年後にこうして原稿を書きながら感じるのは、バブルが崩壊し、「失われた十年」と呼ばれた90年代の日本で、噴火のように涌き起こった、熱狂するダンス・ミュージックとレイヴ・パーティへのなつかしさのようなものだ。パリのダンスフロアではじめてそれを感じた80年代の末が、やがて「セカンド・サマー・オブ・ラヴ」と呼ばれたのと同じように。

 『Rave Traveller』は、そのダンスフロアでひたすら踊りながら、ダンス・ミュージックやレイヴ・カルチャーとは何なのか? を探求し続けた、めくるめく旅の物語なのだ。そして、僕がはじめて出会った真の写真家であり、生涯の友となったジェフリー・ジョンソンの、深く研ぎ澄まされたまなざしの記憶でもある。
 今回の「デジタルリマスター版」の製作にあたり、僕とジェフは書籍にはなかった写真を新たにつけ加えることにした。厖大なフィルムの中から200枚もの写真を選ぶうちに、一冊の写真集にも匹敵する作品ができあがった。パーティや旅というものが、常に過ぎ去ってゆく「今ここ」の連続であるならば、これほどの瞬間を切り取って写真におさめ、ひとつのまとまった作品ができたのは驚くべきことだ。僕とジェフは、20年前に出版した本の冒頭に、それらの写真をまとめて挿入することにした。

 踊り、そして書き綴ること。旅をして、写し撮ること。その果てで交錯する言葉とまなざしが、この本に、旅行記や小説のような物語として、あるいは文化研究のテクストとして、そして90年代のストリート・カルチャーを写した作品として、長年にわたり読み継がれてきた多面性を与えている。そして、まだ20代だった僕とジェフが、あの時にしか成し得なかった、何ものにもかえ難いかけがえのなさが、この本を他に類のない独得な作品にしている。

 それはとりもなおさず、今なお脈々と続いているダンス・ミュージックやレイヴ・カルチャーが持ち続けてきた多面性であり、パーティで朝の太陽がのぼってくる時の、あの何とも言い難い、ありありと迫り、そして過ぎ去ってゆく、今ここにある世界と、それを感じ、生きている、自己と他者そのものなのだ。

■清野栄一
『RAVE TRAVELLER - 踊る旅人【デジタルリマスター版】』

太田出版 Amazon



Arca - ele-king

 エイフェックス・ツイン、フライング・ロータスの新作リリースで、すでに「文化の秋」なんてのんきに言ってもいられないシーズンの到来ですが、もうひとりのビッグ・ネームが追加された。アルカの新作『ゼン(Xen)』が10月29日に発売される。リリースもとは、なんと先日ニュー・オーダーとまさかの契約を果たした〈ミュート・レコード〉!(いや、これ自体すごい話なんですけど)

 ニューヨークからロンドンに移り住んだこの24歳ベネズエラ出身の男は、カニエ・ウェストの『イーザス』(2013年)への参加でメジャーに媚びることなく、イギリスのアンダーグラウンドに漂着した。
前作『&&&&&』(2013年 / 〈ヒッポス・イン・タンクス〉)は、ヤバい音楽に出会ったときに使う言葉がいくらあっても足りない作品だった。5月の来日公演も素晴らしかったですね

 「『これが僕自身だよ』と自信を持って言える初めての作品」とアルカが語るように、『ゼン』はリスナーに容赦しないものになっている。アルバムに先駆けて公開された「シーバリー」の彼のルーツであるカリビアン・サウンドとねじ曲げられたシンセサイザーは、容易に説明できないアルカ自身を体現しているようだ。

Arca – Thievery – Mute Records (2014)


 あの一度見たら文字通りトラウマになる映像を作ったジェシー・カンダが今回もジャケットを担当している。ジェシーは14歳のときにオンラインのアート・コミュニティーでアルカと出会い、現在も活動をともにしている。2013年にアルカがプロデュースしたFKAツイッグスの『LP 1』のデザインもジェシーの仕事だ。
 生と死の狭間にいる人間の姿を絵がいているようなアート・ワークは、今作のジャケットにおいても健在である。当初、情報が回ってきたときはジャケットにはモザイクがかけられていたが、最終版では女性の形をどうにか保っている物体が表れた。
 前作を聴き、「未来はノックもせずにやってくるのか」と言ったのは竹内正太朗だが、『ゼン』の日本盤ライナー・ノーツを担当した彼が今作に何を思ったのかも要チェック! 日本先行発売!


Amazon Tower

Arca
『Xen』


2014年10月29日日本先行発売(海外は11月3日)
全16曲(うちボーナス・トラック1曲)
定価:2100円(税抜)
Mute Records / Traffic
TRCP-178

トラック・リスト
1. Now You Know
2. Held Apart
3. Xen
4. Sad Bitch
5. Sisters
6. Slit Thru
7. Failed
8. Family Violence
9. Thievery
10. Lonely Thugg
11. Fish
12. Wound
13. Bullet Chained
14. Tongue
15. Promise
+ボーナス・トラック

Arca
アルカ(ARCA)ことアレハンドロ・ゲルシ(Alejandro Ghersi)はベネズエラ出身の24歳。現在はロンドン在住。2012年にNYのレーベルUNOよりリリースされた『Baron Libre』、『Stretch 1』と『Stretch 2』のEP三部作、2013年に自主リリースされたミックステープ『&&&&&』は、世界中で話題となる。2013年、カニエ・ウェストの『イールズ』に5曲参加(プロデュース:4曲 / プログラミング:1曲)。またアルカのヴィジュアル面は全てヴィジュアル・コラボレーターのジェシー・カンダによるもので、2013年、MoMA現代美術館でのアルカの『&&&&&』を映像化した作品上映は大きな話題を呼んだ。FKAツイッグスのプロデューサーとしても名高く、『EP2』(2013年)、デビュー・アルバム『LP1』(2014年)をプロデュース、またそのヴィジュアルをジェシー・カンダが担当した。2014年、契約争奪戦の上MUTEと契約し、10月デビュー・アルバム『ゼン』 (“Xen”)をリリース。

LITTLE TEMPO - ele-king

 秋と言えば祭りの季節、祭といえば、カリブ海のリディムを中央線に衝突させて、得意な前向きさを創出したリトル・テンポだ。東京におけるポートベル・ロードと呼ばれる国立経由の、ご機嫌で、いかしたバンドだ。
 そのリトル・テンポがプロデュースする恒例のライブ企画、「ワイワイ祭り」と「レジェンドシリーズ」が合体!『ワイワイレジェンド祭り』と題して開催されることが決定した。リトテンが、親交のあるゲスト・ミュージシャンを招き、絶対ここでしか見ることができない、一夜限りのスペシャル・セッションを繰り広げる!
 
 今回のゲスト陣は、リトテンのリーダー土生"TICO"剛がハナレグミのアルバム「だれそかれそ」に参加したことが縁でハナレグミの出演が決定。
 また、そのハナレグミも参加したカヴァー・アルバム『青春レゲエ・パート2』を7月にリリースしたTico & icchieの市原"icchie"大資(exデタミネーションズ)も出演。レジェンドとして、80年代、伝説的なイベント「東京ソイソース」で活躍したexトマトスの松竹谷清も参加。
 さらにレゲエ Sax奏者、西内徹を迎えて、豪華3管編成のライブ・アレンジでお披露目する!
 まさに歌って踊って楽しい、純度100%の音楽祭りとなること請け合いだ。毎度々オーディエンスを、ノッティングヒル・カーニヴァル的享楽と金魚すくい、ええじゃないか的馬鹿騒ぎへとビッグバンさせる、その最高のグルーヴに包まれる至福の時を、是非この機会に体感してほしい!!

LITTLE TEMPO 『ワイワイレジェンド祭り』
"リトル・テンポのワイワイ祭りとレジェンドシリーズが合体! 消費増税反対!"

出演: LITTLE TEMPO 
https://www.littletempo.com/jp/top.html

ゲスト:
ハナレグミ (Vocal, Guitar) https://www.laughin.co.jp/hanare/
松竹谷清 (Vocal, Guitar) https://d.hatena.ne.jp/matsutakeya/
市原"icchie"大資 (Trombone) https://www.busrecords.net/icchie/i_top.html
西内徹 (Tenor Sax, Flute) https://ja-jp.facebook.com/techaaan.sax

渋谷クラブクアトロ https://www.club-quattro.com/shibuya/
9月18日(木)  開場:18:30 / 開演:19:30

料金:
前売り券:¥3,800 / 当日券:¥4,300
*整理番号付/ドリンク別

チケット販売中:
・チケットぴあ:Tel: 0570-02-9999 [Pコード:239-545]
・ローソンチケット:Tel: 0570-084-003 [Lコード:78462]
・e+(イープラス): https://eplus.jp

お問合せ:渋谷クラブクアトロ
・Tel: 03-3477-8750
https://www.club-quattro.com/shibuya/

企画制作:Sunshine Records
協力:P-Vine Records


■LITTLE TEMPO
スティールパンの光の音! 太陽の様なサウンド! 夏を呼び込むダブ・パラダイス! 
レゲエを軸に据え、ライブ現場で鍛えながら独自の音楽を営み続ける気さくで愛すべき9人の野郎共。スティールパン、ペダル・スティール・ギターのきらめくメロディ、絡むサックスと鍵盤はメロウかつフリーキーに、そして多幸感をエスカレートさせる重低音リディム・セクション、それらを四次元に実体化するダブワイズの炸裂! 最高のグルーヴでオーディエンスをええじゃないか的馬鹿騒ぎ大宴会へとビッグバンさせる事はもうご存じの通り。そんなフェスには欠かせないお馴染みのバンド、リトル・テンポ。
メンバー公認による初のベストアルバム3枚組『Golden Deluxe』が只今発売中!
https://www.littletempo.com/jp/top.html

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■ハナレグミ
永積 崇(1974年11月27日、東京生まれ)。

高校2年の頃よりアコースティック・ギターで弾き語りをはじめる。1997年、SUPER BUTTER DOG でメジャー・デビュー。
2002年5月、”永積タカシ”名義で、はっぴいえんどのトリビュート・アルバム『HAPPY END PARADE?tribute toはっぴいえんど?』に参加。同年、夏よりバンドと併行して、ハナレグミ名義でひっそりとソロ活動をスタート。同年10月、1stシングル『家族の風景』、11月には1stアルバム『音タイム』をリリース。 ギター片手に単身、全国のライヴ・ハウスを廻る。
2004年、2ndアルバム『日々のあわ』をリリース。全国ツアーはNHKホールを含む全公演がソールドアウト。
2005年、完全自宅録音による3rdアルバム『帰ってから、歌いたくなってもいいようにと思ったのだ。』をリリース。夏にはSUPER BUTTER DOGの代表曲をタイトルにした竹中直人氏監督映画「サヨナラCOLOR」が公開となり、エンディング・テーマとして忌野清志郎氏とのデュエットも披露している他、サントラも担当する。 同年9月、初のベスト・アルバムをリリース。その10日後の9月24日に東京・小金井公園にてワンマン・フリー・ライヴ『hana-uta fes.』を開催。台風の影響による大雨から一時は開催自体が危ぶまれたものの、なんと2万人もの観衆が会場に集結。予想以上の大成功を納めた。
2009年、シングル「光と影」・アルバム『あいのわ』をリリース。4年半ぶりとなる全国ツアーでは12公演を遂行し、ファイナルの日本武道館では約1万人の観客を圧倒するステージを披露した。
2010年3月「TOUR あいのわ「タカシにはその器はないんじゃないかしら…」と母は言ったのであった。@日本武道館」をリリース。10月には全国Zeppツアーを遂行。
2011年は、FUJI ROCK FESTIVAL’11/GREEN STAGEをはじめ、RISING SUN ROCK FESTIVAL 2011 in EZOへは大トリとして出演、ARABAKI ROCK FEST.11では初日のトリとして多彩なゲストを迎えセッションを披露するなど各地の観衆を魅了した。9月に5thアルバム「オアシス」をリリース、2012年1月からは全国ツアー「TOUR オアシス」を開催。 現在、サントリー「角ハイボール」のCMソングとして、ハナレグミによる「ウイスキーが、お好きでしょ」がオンエア。
2013年5月には、時代を越えて歌い継がれる12の名曲を、多彩なゲストミュージシャンを迎えてレコーディングしたハナレグミにとって初となる待望のカバーアルバム『だれそかれそ』をリリース。
2014年1月29日には、茂木欣一(スカパラ/FISHMANS)、加藤隆志(スカパラ/LOSALIOS)、柏原譲(FISHMANS/Polaris/OTOUTA)の3人によるバンドSo many tearsと各地180分を超える熱演を繰り広げた伝説のツアーのライブ盤、ハナレグミ・So many tears『どこまでいくの実況録音145分』をリリース。
その深く温かい声と抜群の歌唱力を持って多くのファンから熱い支持を得ている。
https://www.laughin.co.jp/hanare/

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■松竹谷清 
1957年、北海道・札幌市生まれ。80年代から90年代初頭に掛けて”TOMATOS”のリーダーとして活躍。メンバーには、じゃがたらのNABE CHANG(Bass)、EBBY(Guitar)やミュート・ビートの松永孝義(Bass)、今井秀行(Drums)らが在籍。TOMATOSは、80年代にじゃがたら、ミュート・ビート、S-KENと共にTokyo Soy Souceというライブ・イベントを企画、シリーズ化して、それまでの日本のロックとはまた違った新たな音楽シーンを作った。彼らの活動がベースにあった上で、後にリトル・テンポやフィッシュマンズが生まれたといっても過言ではない。又88年には、スカの創始者ローランド・アルフォンの初来日公演 "Roland Alphonso meets Mute Beat"でサポート・ギタリストとして参加、後世に語り継がれる感動のライブとなった。その後、ローランド・アルフォンとは2枚のアルバム『ROLAND ALPHONSO meets GOOD BAITES with ピアニカ前田 at WACKIES NEW JERSEY』、『Summer Place』を一緒に作り、リリースした。
近年は、"吾妻光良&The Swinging Boppers"、“西内徹バンド”、“松永孝義”のアルバム等に参加。その天真爛漫な存在感、ブラック・ミュージックの粋なエッセンスを日本語に置き換えた唄は、キャリアと共により味わい深さを増している。
https://d.hatena.ne.jp/matsutakeya/

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■市原大資 (icchie)
1990年代から関西で音楽のキャリアをスタート。京都のFUNKバンド"UNIT-4"、大阪のオーセンティックSKAバンド "DETERMINATIONS"のトランペッター、DUBバンド"BUSH OF GHOSTS"のリーダーを経てソロ活動を開始。また、キーボード奏者YOSSYとのYOSSY LITTLE NOISE WEAVERも始動。RICO RODRIGUEZ、EDDIE TANTAN HORNTON、Cool Wise Man、U-ROY 、STRANGER COLE、LITTLE TEMPO、PRINCE BUSTER、DENNIS BOVEL、mama!milk、ハナレグミ、CARAVANなど多くの音楽家と共演、サポート。
https://www.busrecords.net/icchie/i_top.html

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■西内徹
レゲエのフィールドを中心に数多くのライブ、レコーディング・セッションに参加しているサキソフォン&フルート奏者。2012年リリースのファースト・アルバム「西内徹バンド」につづき、今年はそのダブ盤、「西内徹DUB」をリリース。合言葉は「やまんです!」
https://ja-jp.facebook.com/techaaan.sax

BioMechanica JAPAN TOUR 2014 - ele-king

 30年以上におよびスペインのアンダーグラウンド・ミュージック・シーンの最前線で活躍しているふたりのミュージシャン、アルトゥーロ・ランス(Esplendor Geometrico)とフランシスコ・ロペスによる最新ユニット「BioMechanica(バイオメカニカ)」が10月に初来日公演をおこないます。

 アルトゥーロ・ランスといえば、スペイン初のインディ・バンド、エスプレンドー・ジオメトリコの創設メンバーとして、1980年代の初頭から直球インダストリアル・サウンドを作り続けるノイズ界の重鎮。日本にも過去4回の来日公演を行っており、D.A.F.のロベルト・ゲアルやピーター・クリストファーソン(ex.スロッビング・グリッスル)、CoH(a.k.a.イワン・パブロフ)との共演や、日本が誇るキング・オブ・ノイズ、非常階段とのコラボレーション「E.G.階段」も実現している。
 一方のフランシスコ・ロペスは、四半世紀にわたり140タイトル以上の作品をリリースし、数十カ国にもおよぶツアーをこなす孤高のエレクトロ・ミュージシャン。古くから目ざとい音楽ファンからは注目されていながら、その実態が謎に包まれた人物として知られていた。現在ロペスはスペインではなくオランダのデン・ハーグを拠点に活動を行っているという。
 ランスとロペスは30年以上に渡って親交があったが、共作としては2012年に結成したバイオメカニカが初めて。エレクトロ・シーンの進化/深化をリアルタイムで過ごした彼らが生み出すサウンドは、その名のとおり有機的な息吹を宿した機械の律動音であり唯一無二のアンビエント・ノイズだ。パワフルでアグレッシヴなランスのセンスと、術策的で繊細なロペスのアレンジが生み出すサウンドは実験とテクノの融合であるが、時にその姿勢は聴衆に対して挑発的だ。
 なお日本公演の会場限定で『Japan Tour Remix』と題されたCDの販売も予定されているので、彼らのスタジオ・ワークもぜひその耳で確かめてほしい。
 今回のツアーでは大阪出身の話題のバンドGEZANとの共演であり、大阪ではさらにオシリペンペンズも参戦。エモーショナルな日本勢のバンドとバイオメカニカの有機的インダストリアル・サウンドとの異色のコンビネーションをお見逃しなく。(小柳カヲル)

総合インフォメーション:https://suezan.com/Bio/


Arturo Lanz (Esplendor Geometrico) + Francisco Lopez from SPAIN


10/6 Mon
西麻布 新世界 https://shinsekai9.jp
BioMechanica / GEZAN

10/7 Tue
大阪心斎橋 CONPASS https://conpass.jp
BioMechanica / GEZAN / オシリペンペンズ

O.N.O(THA BLUE HERB)主宰の〈STRUCT〉が本格始動 - ele-king

 O.N.OといえばTHA BLUE HERBのトラックメイカー。ここ数年は、onomono名義でDJ、あるいはプロデューサーとしてソロ活動を続けている。そのO.N.Oによって今年立ち上げられたレーベル〈STRUCT〉が、いよいよ本格始動する模様だ。

 「音/映像/文章/ソフト/ハードを問わず、未だ見ぬ素晴らしいプロダクトとコンテンツを広く世に発信するため、O.N.Oを中心に組織されたクリエイターたちによる構造体(=”STRUCT”)」──そう謳う彼らは今年3月、第一弾となる『O.N.O×SATOL』をリリース。そして、まもなく販売開始予定の第二弾『THRIVE / KEITA YANO』をもって本格始動となる。本日からはレーベルの公式サイトもオープンとなった。

https://struct-sound.jp/

 現段階ではサイトにて掲載されている以外の参加アーティストは未発表ながら、今後もワールドワイドな影響力を誇るクラブ界の重鎮から、シーンで勢いをもつ若手アーティストまで、多彩なラインナップによるリリースが控えているとのこと。

 これを記念して、9月14日(日・祝前日)に中野〈Heavysick Zero〉でダブル・リリース・パーティ〈RADICAL BEAT SESSION〉が開催される。O.N.OはもとよりSTRUCTからのアナログリリースを控えた二人組の“ドープ・トラック・マスター”THRIVEや、熱狂的なファンを持つベース・ミュージックパーティ〈MAMMOTH DUB〉を主宰するDJ DOPPELGENGERらが出演。


O.N.O / Ougenblick
Amazon

 O.N.O自身もソロ名義によるアルバム『Ougenblick』を今年6月にリリースしている。前作をリリースしてからの5年間に体験した、全国ライヴ・ツアー、2012年にTHA BLUE HERBとしてリリースされた4枚めのフル・アルバム『TOTAL』などが反映された作品だ。あわせてチェックしたい。

■RADICAL BEAT SESSION
~O.N.O 『Ougenblick』 + THRIVE 『In Confusion / STRUCT-002』 Double Release Special~

日時: 2014年09月14日(日) 23:00開演
会場: 中野heavy sick ZERO
入場料: 当日3,000円
フライヤー持参もしくは24:00までに入場の方: 2,500円

出演:
[RELEASE LIVE]
O.N.O a.k.a MachineLive (THA BLUE HERB / STRUCT)
THRIVE (STRUCT / ambivalent deviation)

[B1F DJ]
DOPPELGENGER
MIZUBATA
SEKIS&DIKE
RAW THE BACKWELL

[B2F DJ]
YAZI (BLACK SMOKER RECORDS)
BLACKOLY
DAISUKE IWANAGA (water bar)
惹蝶
DJ SIET (water bar)
VSTLE

STRUCT 公式サイト
https://struct-sound.jp/

RADICAL BEAT SESSION
https://www.clubberia.com/ja/events/226114-RADICAL-BEAT-SESSION/


DESKTOP ERROR - ele-king

 彼らについてはシューゲイザー、あるいはポストロックという紹介を多く見かけるが、サイケデリックの一類型という意味ではシューゲイズだし、トータスの構築性/脱構築性ではなくレディオヘッドの折衷性をポストロックと呼ぶならば、あるいはエモの文脈においてはポストロックと呼べるだろうか。90年代から2000年代のリアルな「洋楽体験」を反射させながら輝くタイの5人組インディ・ロック・バンド、デスクトップ・エラー。彼らの音を聴いていると、国は異なれどひとつの世代感を共有するような錯覚におそわれる。

 マイ・ブラッディ・ヴァレンタインからレディオヘッドといったUKインディ、アメリカン・フットボールやデス・キャブ・フォー・キューティといったUSインディ/エモ、それから感触としては〈モール・ミュージック〉やトゥ・ロココ・ロットなどロック的でアコースティックなエレクトロニカにまで飛び火するだろう。〈アンチコン〉まで連想してもいいかもしれない。横断的にそれらを括る言葉はないが、ポストロックというよりも「ポスト・バンド」時代のバンドやプロデューサーたちが残してきた折衷的な知恵とスタイル、そして前掲のアーティスト名に絡まる、内向的で潔癖的なメランコリーとセンチメンタリズム。デスクトップ・エラーの楽曲には、シューゲイズ・マニアとかポストロック信者とかいうことではなく、そのように「あの頃のヨウガク」のごく素朴なリスナー体験とその感動がしみこんでいる。

 不思議なもので、彼らにとってもわれわれにとっても「ヨウガク」への距離感はほとんど同じなのではないかとさえ感じる。かつてはレディオヘッドなどをコピーしていたというのも、微笑ましくてリアルなエピソードだ。もっとも、タイではこの種の音楽体験を共有するのはひと握りだということだから(https://www.offshore-mcc.net/2012/03/desktop-error.html)、経済的な階層が音楽カルチャーの受容を分断しているというようなことはあるかもしれないが。

 今年リリースされたデスクトップ・エラーのセカンド・アルバム『キープ・ルッキング・アット・ザ・ウィンドウ』は、そんな彼らのルーツが素朴に開陳されながらも、新鮮な驚きにみちたアルバムだ。とくに新しい方法があるわけではないが、かわりにはっとするほどピュアな瞬間がいくたびもおとずれる。ピンバックのアジア的ヴァリエーションとも呼べそうなサッドコア的フォーク・ナンバー、あるいはアリエルなどのきらきらとしたシューゲイズ新世代などを思わせる“เปลี่ยนทิศ / Pian Tid”や“เปลือยเปล่า / Nude”といったあたりもすばらしいが、“ต่างด้าว / Alien”などのバースト・ナンバーにおいてペダルが踏まれた瞬間の感触などにもいわくいいがたいものがある。いわゆる轟音バンドのそれとはちょっと異なる発想の歪みではないかと思う。こうしたところもマニアや研究気質ではない素朴さがなせる部分だろうし、渋谷系のリヴァイヴァルも手伝ってか、知識や歴史意識を携えたバンドが復権しているいま、相対的にどこか愛らしさも感じさせる。タイ語は非常に自然に英語と溶けてきこえるが、ふとしたタイミングで見たことのないような音の情景を描きだしてくれる。

 しかし最大の驚きはやはり1曲めだろうか。“กุญแจผี / Ghost Key”となづけられたその曲は、おそらくは民俗楽器を用いていて、タブラ様のなにか打楽器、そして耳慣れない弦楽器がフィーチャーされているように聴こえる。つづけてたとえばビーチハウスの一節を歌いはじめてもまったくおかしくないような英米のインディ・ポップの文法に、わざとらしさを微塵も感じさせずに自身らのオリジンを接続させていく感覚がとてもすばらしい。取り込む・取り込まれるという関係ではなくナチュラルに両者をオーヴァー・ダビングしていくようなところには、おそらくは彼らの拠って立つ場所や皮膚感覚のそのものがあるのだろう。この1曲があることにおいて、本作品はマイナー・ローカル・バンドのアルバムとして絵葉書のようにものめずらしく眺められることにとどまらない、深みとアート性を帯びることになると思う。

禁断の多数決 - ele-king

 歌詞は謎めいていて、ライヴはほとんどしないで、インタヴューは人を食ったようで、しかし、たしかな音楽性でファンを獲得する禁断の多数決が、〈術ノ穴〉から新作をリリースした。新作『エンタテインメント』は、新曲3曲にリミックスを加えた全6曲で構成されたEPのかたちをとっている。
 彼らが〈術ノ穴〉から新作をリリースすることについては、それなりに驚きもあったが、少し考えれば必然性も感じる。トラックメイカー・ユニットのFragmentが主宰するこのレーベルは、最初期こそ良質なヒップホップ/エレクトロの作品を送り出すことで評価を得ていたレーベルだったが、近年ではジャンルに限定されない活動が広い支持を集めている。一方、禁断の多数決も、前作『アラビアの禁断の多数決』で、エレクトロ・ハウス調からR&B風、あるいはワールド・ミュージック的な意匠の曲まで、多様な音楽性を発揮していた。さまざまなジャンルを現代的な感覚で昇華するというありかたにおいて、なるほど禁断の多数決と〈術ノ穴〉は、とても相性が良い。

 本作冒頭を飾る“ちゅうとはんぱはやめて”は、遅めのビートとシンセサイザーが印象的な曲で、恋愛なのかなんなのか、という「ちゅうとはんぱ」な人間関係について歌ったものである。この曲では、〈術ノ穴〉からの鮮烈なデビューも記憶に新しい泉まくらが客演に迎えられているが、この起用が見事である。というのも、泉まくら以外のパートが抽象的・比喩的に「ちゅうとはんぱ」な人間関係を歌うのに対し、泉まくらはもっと具体的・現実的に「ちゅうとはんぱ」な人間関係をラップする。もちろん、そんなはっきりと抽象的/具体的と分けられるわけではないのだけど、両者の歌詞世界の対比が、とてもおもしろかった。この対比をなぞるように、泉まくら以外の部分にコーラスが重ねられていたり、リヴァーブが強く効いていたりする一方で、泉まくらのラップは生身の声に近いのも緊張感があっていい。とくに中盤、泉まくらが「中途半端だから中途半端にしか君の気持ちは気にならない/中途半端だから中途半端にしか知ったところで傷つかない」と、歌うようにラップを聴かせる展開が印象深い。禁断の多数決が披露してきた現実離れした世界に、泉まくらがヒリヒリした感覚――主題こそ違えど、それこそ奥村チヨの「中途半端はやめて」のような!――を持ち込んだようで聴きごたえがある。

 この曲は、Tomgggと食品まつり a.k.a. foodman がリミックスをしている。Tomgggのリミックスは、小西康陽感すら感じさせるストリングスありトイピアノありのウワモノに、多種多様なビートが展開する力作。一方、食品まつりのリミックスは、アンビエントのトラックに歌声がダブ加工されたもので、Tomgggの楽しいリミックスとは一転して暗い雰囲気になっている。この方向性がまったく異なるリミックスを聴き比べるだけでも楽しい。しかし特筆すべきは、どちらのリミックスもそれなりに禁断の多数決らしい曲に聴こえてしまうことである。最近はメンバーの流動性もうかがえる禁断の多数決は、依然としてなかなか全貌をつかませないが、そのことはかえって、どんなリミックスや音楽性にも耐えうるような幅広さに通じているのかもしれない。Fragmentによる“秘密の世界”のエレクトロニカ/音響派的なリミックスは、もはやほとんど原曲のかたちをとどめていないが、全6曲を通して聴けば、このリミックスすら禁断の多数決ワールドの一環として聴くことができる。

 本作『エンタテインメント』は、禁断の多数決による「エンタテインメント」がいかに広い振れ幅を持っているかを示している。客演、リミックス、コラボレーション……――これからファンの予想を裏切って、さまざまな活動を展開することを楽しみにしたい。ちなみに“秘密の世界”を聴いたとき、オリエンタルなテクノポップの雰囲気に、細野晴臣が作詞作曲をした小池玉緒“三国志ラヴ・テーマ”を思い出した。ファンの予想を裏切る活動ついでに、まことに勝手ながら、ぜひ“三国志ラヴ・テーマ”のカヴァーをリクエストしたい!

TOMOKI A HE-ART - ele-king

MetroJuiceRecords、SoundChannel を経て、2014年、日本独自の突き抜けた才能を世界に発信していくレーベル、iro music を立ち上げた。国籍やジャンルの垣根を超えて、音楽を通してダイレクトに繋がることを目指し、オープンマインドにパーティ道を突き進んでいる。

TOMOKI A HE-ART classic chart 10


1
unless+w-moon / entry plug ep / MetroJuiceRecords

2
TOMOKI A HE-ART feat. V.A. / oneness ep / iro music

3
MODEL 500 / DEEP SPACE / R&S Records

4
massive attack / protection / circa records

5
jepte guillaume / voyage of dreams / Spiritual Life Music

6
moodyMANN / silentintroduction / planet e

7
A Guy Called Gerald / black secret technology / JUICE BOX

8
SADE / Lover's Rock

9
one dove / why don't you teke me

10
M / M4 / M
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467 468 469 470 471 472 473 474 475 476 477 478 479 480 481 482 483 484 485 486 487 488 489 490 491 492 493 494 495 496 497 498 499 500 501 502 503 504 505 506 507 508 509 510 511 512 513 514 515 516 517 518 519 520 521 522 523 524 525 526 527 528 529 530 531 532 533 534 535 536 537 538 539 540 541 542 543 544 545 546 547 548 549 550 551 552 553 554 555 556 557 558 559 560 561 562 563 564 565 566 567 568 569 570 571 572 573 574 575 576 577 578 579 580 581 582 583 584 585 586 587 588 589 590 591 592 593 594 595 596 597 598 599 600 601 602 603 604 605 606 607 608 609 610 611 612 613 614 615 616 617 618 619 620 621 622 623 624 625 626 627 628 629 630 631 632 633 634 635 636 637 638 639 640 641 642 643 644 645 646 647 648 649 650 651 652 653 654 655 656 657 658 659 660 661 662 663 664 665 666 667 668 669 670 671 672 673 674 675 676 677 678 679 680 681 682 683 684 685 686 687 688 689 690 691 692 693 694 695 696 697 698 699 700 701 702 703 704 705 706 707 708 709 710 711 712 713 714 715 716 717 718 719 720 721 722 723 724 725 726 727 728 729 730 731 732 733 734 735 736 737 738 739 740 741 742 743 744 745 746 747 748 749 750 751 752 753 754 755 756 757 758 759 760 761 762 763 764 765 766 767 768 769 770 771 772 773 774 775 776 777 778 779 780 781 782 783 784 785 786 787 788 789 790 791 792 793 794 795 796 797 798 799 800 801 802 803 804 805 806 807 808 809 810 811 812 813 814 815 816 817 818 819 820 821 822 823 824 825 826 827 828 829 830 831 832 833 834 835 836 837 838 839 840 841 842 843 844 845 846 847 848 849 850 851 852 853 854 855 856 857 858 859 860 861 862 863 864 865 866 867 868 869 870 871 872 873 874 875 876 877 878 879 880 881 882 883 884 885 886 887 888 889 890 891 892 893 894 895 896 897 898 899 900 901 902 903 904 905 906 907 908 909 910 911 912 913 914 915 916 917 918 919 920 921 922 923 924 925 926 927 928 929 930 931 932 933 934 935 936 937 938 939 940 941 942 943 944 945 946 947 948 949 950 951 952 953 954 955 956 957 958 959 960 961 962 963 964 965 966 967 968 969 970 971 972 973 974 975 976 977 978 979 980 981 982 983 984 985 986 987 988 989 990 991 992 993 994 995 996 997 998 999 1000 1001 1002 1003 1004 1005 1006 1007 1008 1009 1010 1011 1012 1013 1014 1015 1016 1017 1018 1019 1020 1021 1022 1023 1024 1025 1026 1027 1028 1029 1030 1031 1032 1033 1034 1035 1036 1037