「R」と一致するもの

ぶっちぎりのネガティヴィティ! - ele-king

 今年、『止まらない子供たちが轢かれてゆく』で第1回せんだい短編戯曲賞を受賞した若き劇作家・綾門優季が、受賞後初の公演を来年早々に行う。
 21歳での戯曲賞受賞はタイミングとしてかなりはやいそうだ。しかも賛否両論どころか逆選をほしいままにしながらの受賞という印象が強く、なかなかにやんちゃな存在感を放っている。シャープな批評性、ぶっちぎりのネガティヴィティ、仰々しい文語的セリフまわしなどが注目されるが、そんな彼が発表する新作のテーマは、SNS時代のコミュニケーションと自意識(というふうに紹介文からは読めるけれども違っているだろうか?)。「情報量過多」とも評される作風の綾門が、「SNS疲れ」という問題にどう向かい合うのか、豪華なゲストによるアフター・トークとともに楽しみたい。
 チケットの発売は今週末から。

無隣館若手自主企画 vol.2 綾門企画
『天啓を浴びながら卒倒せよ』

作・演出:綾門優季
2014年1月16日(木)- 19日(日)
会場:アトリエ春風舎

『止まらない子供たちが轢かれてゆく』は、小学校のときに巻き込まれた学級崩壊の体験を、わりとそのまま注ぎ込みました。これ以降、日常生活の実感をそのまま注ぎ込む、ということに興味をそそられています。
いま、僕の世代でいちばん切実な問題は、SNS疲れ、と断言できます。twitterのフォロワー数やfacebookにアップする楽しそうな写真やLINEの返答の速さで、人間の価値が決まるわけではありません。僕は僕の周りにみえる邪悪な触手を、ぶっちぎって走りぬきたい。綾門優季

■公演日程
2014年1月16日(木)~1月19日(日)

1月16日(木)19:00※
   17日(金)19:00※
   18日(土)14:00※/19:00※
   19日(日)13:00/17:00
※マークは終演後にアフタートーク開催
受付開始は開演の30分前 開場は開演の20分前

【アフタートークゲスト】
16日(木)佐々木敦氏(批評家/HEADZ代表)
17日(金)山本充氏(『ユリイカ』編集長)
18日(土)14:00の回 豊崎由美氏(書評家)
     19:00の回 渡邉大輔氏(映画批評家)

公演詳細
https://s.seinendan.org/link/2013/10/3211


■綾門優季(あやとゆうき)
1991年生まれ、富山県出身。劇作家・演出家・Cui?主宰。
2011年、専属の俳優を持たない、プロデュース・ユニットとして「Cui?」を旗揚げ。
2013年、『止まらない子供たちが轢かれてゆく』で第1回せんだい短編戯曲賞を受賞。
短歌や批評等、演劇外の活動も多岐にわたる。

■Cui?
2011年、綾門優季を主宰として旗揚げ。専属の俳優を持たない、プロデュース・ユニットとして活動を開始。どうしようもなく避けられなかった鋭利な言葉、釈然としない事態、忘れたくても忘れられないしこりを残す出来事など、だれもがいつの日か抱えるかもしれない、あらがいようのないざらざらとしたものに、焦点をあてた芝居を展開する。
 
Cui?公式サイト https://d.hatena.ne.jp/ayaayattottotto/




渋谷慶一郎+岡田利規 『THE END』
- ele-king

 客層のまったく読めない客席だった。〈Bunkamuraオーチャードホール〉にここまで異なる人種が集まること自体かなり珍しいのではないだろうか? わたしの右隣のおじさんは小難しい評論集を紐解きながら、連れのおじさんと、最近のチェルフィッチュは迷走しているように思えるね、『三月の5日間』から『ホットペッパー、クーラー、そしてお別れの挨拶』までは若者特有の切実さが保たれていたんだよ、しかしその主題から離れて以降は……うんちゃらかんちゃら、と自説を開陳している一方で、わたしの左隣のお姉さんは全身、初音ミクそのもの(かつらではなくあれは地毛をこの日のために緑色に染めたのだろう)。この落差。どこで知ってだれを観に来たのか、という質問を投げかければとてつもなくばらばらの答えが返って来るに違いない。それほどまでに多くの要素を含んだ公演だった。客席にたどり着くまでに否応なく目に入るような位置に展示されていた、〈ルイ・ヴィトン〉のコスチュームに身を包んだ初音ミクの等身大フィギュアがその点では一種の踏絵と化していて、さかんに撮影する者と完全に素通りする者とに、人種がはっきりとわかれていたことを余談として付け加えておく。

 2013年5月23日、24日の二日間、〈Bunkamuraオーチャードホール〉にて行われたボーカロイド・オペラ『THE END』は、2012年12月の〈山口情報芸術センター(YCAM)〉での初演時からすでに話題にはなっていたが、8トンという客席そのものが震えるほどの音響機材が投入されたり、ラスト・シーンに大幅な変更が施されたりと、もはや再演というにはアップデートされすぎた東京公演は、注目の的となっていた。

 そもそも『THE END』とはいかなる公演なのか? 通常、オペラといえば、舞台上で衣装を着けた出演者が、演技や台詞だけではなく、大半の部分を歌手による歌唱で進める演劇のことを意味する。しかし、『THE END』の際立った特徴としては、人間の歌手もオーケストラも登場しないことが挙げられる。電子音響と立体映像によって構成された、世界初のボーカロイド・オペラ・プロジェクト。渋谷慶一郎と岡田利規と初音ミク、という発表されるまで想像したこともなかった組み合わせ。「どういういきさつでこの三者が一堂に会することに?」はじめて知ったときには耳を疑い、思わず首をひねったものである。

 ここで音響機材の重さをもう一度確認しておこう。8トン。想像の埒外にある重さ。無用な心配だとは承知しながら、カバンに耳栓を忍ばせていった臆病者がここにいることを告白しておく。そのあまりにも付け焼き刃的な対策は、正直に言ってまったくの杞憂に過ぎなかった。もちろん最初から最後まで客席は大音量で震えていた。しかしながら音響スタッフの行き届いた配慮のなせる業であろう、どれだけの轟音が届いたとしても、耳にじんわりと痛みが走るどころか、不快さを抱くことさえないままだった。

 オペラということで華々しいものを期待していた観客は面食らったのではないだろうか。いや、確かに圧巻の映像は華々しい、けれども、語られるあらゆることが、拭いようのない陰鬱さを帯びていた。
 初音ミクは一貫して正体不明の不安に苛まれていた。もちろん、いくつかの原因らしきものは物語のなかに存在する。髪も色も似せようとした、しかし全然似ていない初音ミクの劣化コピーが自分のほうへ向かってくること。いままで考えたこともないだろうけれど人間と同様にあなたも死ぬ運命にある、と突然告げられて動揺すること。記憶が曖昧であるいは嘘で、知らない場所か来たことのある場所かの区別もつかないこと。何かを与えられないと、動くことも話すこともここにいることもできない、常に「短く死んでいる」存在であることに気づくこと。それらのすべては不安の原因らしきものだが、原因ではない。
 不安を煽る初音ミクの劣化コピーに惑わされるけれど、注意しておきたいのは、初音ミクは最初から正体不明の不安に苛まれていた、ということだ。ここに原因と結果は存在しない。物事と物事が繋がっていって、結末が導き出されたわけではない。初音ミクは登場時からすでに、コンセプトの段階で、そのような病を抱えなければならない存在だった。蜂の巣を突っつかれただけで、はじめから大量の蜂が巣のなかを飛び回っていたのだ。
 無限に増幅する不安、という病。
 この病をどのように受けとめればいいのだろう?

 いまさら『THE END』についてわたしには何も語れない。21世紀にオペラがボーカロイドで行われることの意義、各界から噴出した過剰なまでの反発、旧来の初音ミク像をぶち壊したともアップデートしたともいえるデザインとその映像美、どれも言い尽くされてしまった。半年もたてばあらゆる要素は言い尽くされ、検索をかければ簡単に全体像が浮き上がってくる。というわけでここでは、ともすれば「はあ?」とあっけにとられてしまうような、一見なんの関係もなさそうなものを無理矢理ぶつけてみることで、『THE END』像をぶち壊したりアップデートしたりしてみたい。ただの劣化コピーに終わらなければいいけれど。

 『THE END』のラストシーンを目にしたとき、真っ先に脳裏によぎったのは中澤系だった。中澤系はディストピア的なシステム社会に疑義を唱える作風の歌人で、今回の物語の根幹にかかわる問題意識と深いところで響きあっていた。特に関係のありそうな短歌を引用しておこう。

終わらない だからだれかが口笛を嫌でも吹かなきゃならないんだよ
サンプルのない永遠に永遠に続く模倣のあとにあるもの
ぼくたちはこわれてしまったぼくたちはこわれてしまったぼくたちはこわ
中澤系『uta_0001.txt』(雁書館 2004年)所収

 もちろん渋谷慶一郎と岡田利規が知っていたとは当然思えないが、これらの歌は、初音ミクの劣化コピーが初音ミクを責め苛み、ラスト・シーン間近に「終わりはくりか」という「終わりはくりかえす」という字幕の途中で「くりか」が消去され、あらためて「終わりはいくつある?」と打ち直されるこの趣向に、不思議と寄り添ってはいないだろうか?
 わたしは口笛を無意識に吹いてしまう悪癖がある。もちろんひんしゅくを買うような公共の場ではなるべく慎むように努めているけれど、感銘を受けたライヴのあとにはついつい先ほどの心の震えを取り戻そうと悪あがきを試みるかのように、耳に焼き付いたメロディを口元で復唱してしまうのだ。今回もやった。渋谷駅まで渋谷慶一郎+東浩紀 feat.初音ミク“イニシエーション”の口笛を吹き続けたのである。
 帰りの電車の中でふと“イニシエーション”でイニシエーションをしていたことに気がついた。
 わたしは無意識に、いましがた目撃したばかりの初音ミクの劣化コピーになろうとしていた。

 イニシエーションとは、いうまでもなく通過儀礼のことだ。観客は『THE END』という一種の通過儀礼を経て、初音ミクの劣化コピーを体内に受精させていた。終わりは繰り返さない。終わりは交尾する。終わりは繁殖する。終わりは感染する。終わりは永遠に模倣され、歌のなかに宿る。模倣された歌がわたしに歌われた瞬間だけ、初音ミクは壊れるまえの表情を取り戻す。どれが劣化コピーか見分けがつかなくなるほどに大量の劣化コピーが、わたしを容赦なく蝕む。
 わたしは蝕まれることを愛おしく思う。終わりがいくつもいくつもいくつも、数えきれないくらいの終わりがわたしを包囲することを疎ましくは思わずに愛おしく思いたい。劣化コピーの影に常に怯えなければならない21世紀の宿痾を慈しみたい衝動を、誰かに糾弾される筋合いはない。糾弾もいずれ劣化する。
 膨大な『THE END』のレヴュー、その劣化コピーのレヴュー、その劣化コピーのレヴューの劣化コピーのレヴュー、その劣化コピーのレヴューの劣化コピーのレヴューの劣化コピーのレヴュー、その先にあるものに未来を託したいわたしの思考回路はすでに終わっているのかもしれない。いくつかあるうちの終わりのひとつがいま、ここにある。

『THE END』
渋谷慶一郎+初音ミク
発売日 11月27日(水)

■完全生産限定盤
8500円(税抜) MHCL2400〜2403

・20世紀記録メディア仕様:
LPサイズBOX、EPサイズブックレット(写真、図版多数)、カセットサイズ・ブック(オペラ台本完全版)、オペラ全曲を収録したCD2枚組、「死のアリア」など3曲のミュージック・ビデオと制作風景の記録DVDを所収。スペシャル・ブック:ジャン=リュック・ショプラン(パリ・シャトレ座支配人)、茂木健一郎×池上高志対談、蜷川実花、高橋健太郎、鈴木哲也(honeyee.com)ほか豪華執筆陣によるオリジナル・テクスト、渋谷慶一郎による全曲徹底解説など120ページを収録。

Tower HMV Amazon

■通常盤(EU edition)
2381円(税抜) MHCL 2404
・紙ジャケット(仕様1枚)

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ヤマシタトモコ - ele-king

 押井守や北野武が描くアウトサイダーはたいていの場合、組織に属している。いわゆる「お荷物」とか「不良社員」といったやつである。泥棒やドラッグ・ディーラーを主役にして反社会的行為を色とりどりに描く洋画や香港映画に較べて、そのような「アウトサイダー」には当然のことながら「悪いこと」には一定のラインがあり、最終的に主役が手にするものは「美学」ばかりである。実を取る気配すらないし、間違っても生活感などは漂わせない。

 不出来もいいところだった林海象監督『キャッツ・アイ』は論外として、最近だと内田けんじ監督『鍵泥棒のメソッド』や伊藤匡史監督『カラスの親指』でようやく日本の映画でも組織に属していない悪党たちがコン・ゲームを繰り広げはじめたと思ったら(以下、ネタばれ)「どこにも悪人はいなかった」という価値観に終始し、ストーリーの妙もそのような結論から演繹されるものばかりだった。バカバカしい。たかがエンターテイメントだけに、事態は余計に深刻な気がしてくる。犬童一心監督『のぼうの城』でも金子文紀監督『大奥~永遠~』でも権力者の内面に同調させる映画作りは得意なのに、持たざるものからの視点はタブーなのかと思ったり。

 「組織に属するアウトサイダー」は、しかし、新自由主義があっさりと過去のものにしてしまった面もなくはない。 原田眞人監督『金融腐食列島・呪縛』や本広克行監督『踊る大捜査線』以降、「はみ出し者」のレッテルはどちらかというと組織の周縁ではなく、組織を内部から改革しようとする者に貼られるようになり、以後、ストーリー的には「敵は頭の上」という図式がデフォルトと化してしまった感もある。佐藤嗣麻子監督『アンフェア』といい、堤幸彦監督『スペック』といい、警察上層部が悪くない例を探し出す方が最近は難しいし、改革=正義を行うという意識ととらえれば、このことは『沈黙の艦隊』や『デス・ノート』から連綿と続いてきた感覚であり、ゼロ年代よりもさらに強化されていると言える(クエンティン・タランティーノ監督『レザボア・ドッグス』は無意味な殺し合いを描いたものだったのに対し、『ジャンゴ』では人を殺す時に「正義」が持ち出されるという驚くべき変化があった)。

 こうした変化は押井モデルや北野モデルのアウトサイダーを組織内には居ずらくさせ、自主退社を迫られるものにしてきた。『鍵泥棒のメソッド』や『カラスの親指』だけでなく、吉田大八監督『クヒオ大佐』や、国家単位で考えた時には木村祐一監督『ニセ札』が美学の路頭に迷ったアウトサイダーたちを暫定的に詐欺師ものにトランスフォームさせたとも考えられるし、それはそのまま正社員が非正規(=ノンキャリ)にずり落ち、ついにはオレオレ詐欺に手を染めるしか生き延びる方法がなかった時代の写し絵とも見えなくはない(『クヒオ大佐』にはアレックス・コックスばりの政治的センスがあり、『ニセ札』には民衆側の視点というものがあった)。

 さらには「ソーシャル」というキーワードが無条件で是とされ、「自由」に振舞うことが迷惑行為と同義語のようになってくると、「アウトサイダー」は単なる自己愛パーソナリティ障害か時代の変化に気づいていない人にしか見えなくなってくる。松本人志監督『大日本人』は戦闘少女に救える地球はあっても、旧型の男性ヒーローには救ってもらいたい人もいないというカリカチュアとしては有効に思えたし、同時に押井守や北野武の美学が笑われているようなセンスもあった。このような時期に押見修造『悪の華』は意外なほど反社会的行為をストレートに描き、しかも、「受けまくった」。ここには押井モデルのような屈折もなく、同時多発テロ以降、題材にしにくかったテロリズムを心情的に理解させながら話を進めていくことにも成功し、『殺し屋1』のように動機は捏造だったというようなトリックもない。それこそイスラムもないしw、強いていえば思春期原理主義というようなものかもしれないけれど、これに中2病のバイブルというような表現で時代性にフタをしてしまうと、見失しなわれてしまうことも出てくるはずであう。社会が常に変化しているならば、「反社会」も一定ではないはずだし、作者が参考にしたという『太陽を盗んだ男』だけが繰り返し上映されていれば、ほかはいらないということになってしまうし。

 とはいえ、『悪の華』には「反社会」を内面化する決定的なプロセスがない。最も肝心な部分は主人公の外側からやってくる。教室で誰とも口を利かない女子生徒がいわば「反社会」の源泉のように描かれ、主人公はそれに染まるだけである。要するに少年マンガにありがちな「女の子は天使」とか、戦闘美少女と同じく、なぜか絶対なものとして描かれるものが、とくにこれといって位置関係を変えることなく男子生徒に影響を及ぼしているだけで、その女性徒が反社会的なパーソナリティになった理由はまったく明らかにされていない(少なくとも第1部では)。これではレールを踏み出したものがひとりいれば、後はつられて踏み外してもオッケーみたいな感覚に思えてくるし、逆にいえば、ひとりも踏み外す者がいなければ誰も踏み外さないということにはならないだろうか。最初のひとりはどうして反社会へと振り切れたのか。それが描かれていなければ、「反社会」を規定できるのはどの部分なのか、あまりにもわかりづらい。

 ヤマシタトモコがいつもとは作風を変えた『ひばりの朝』が、そして、そのアンサーになっていると思えた。同作は3人の女性がそれぞれに社会と距離を感じていくプロセスが克明に描かれ、その気持ちが何度も上塗りされていくという残酷な作品である(全2巻)。彼女たちにつられて、同じように距離を表現する男性はひとりも出てこない(=だから、『悪の華』のようなテロリストは育たない)。男性たちはむしろ、彼女たちに距離を感じさせる原因でしかなく、ある種の男性たちに対する作者の怒りはみしみしと伝わってくる。彼女がここで描いている女性たちの何人かは、キャラクターをそのままにして男性化させれば吉田秋生の描いたアッシュやヒースと、そうは変わらないものになるだろう(……そう、ヤマシタトモコには、近い将来、吉田秋生の後継といえるような作品を生み出すのではないかとドキドキさせてくれるものがある)。『ひばりの朝』が、そして、とんでもないのは、『悪の華』ではひとりだった反社会的な女性のパターンが3倍になっているだけでなく、それらがさらに憎悪やネグレクトとして絡み合い、女性同士が必ずしも連帯しないという構図にもなっていることだろう。「反社会」性は、そして、なんらかの行動として実行されるものではなく、孤独へと跳ね返ってくるだけで、3種3様の諦めや逃避が描かれる。そして、周辺にいる登場人物たちは反社会に染まるどころか、近づくことさえできないものになっていく。

 「息をとめていたので平気でした」
 「人に興味を持たなければ 傷つかず 良心も痛まない」。

 こうなってくると、もはや「アウトサイダー」という立場が成立していたことさえ奇妙なことに思えてくる。三池崇史監督『悪の経典』のように、一切の理由も正義も省かれている方が納得はできてしまうし、じとーッと『ひばりの朝』を読んでいると、一方では、きっと何も変わっていなかったのだろうと思わせるものがあり、それを普遍性と呼ぶならば、そのように呼べること自体が諦念と結びついているとも考えられる。吉田秋生でいえば『吉祥天女』のようでいて、どれだけ映画化されても悲惨な結果しか生まない(のに、懲りずに映画化される)『桜の園』に近い作品ではないだろうか。「社会」という言葉をもっと分解して考えなければ、ここではこれ以上は先に進めない。

 安直に比較してしまったけれど、『悪の華』と『ひばりの朝』は主題も違うし、読者も効果も何も重ならないに違いない。強いていえば、『ひばりの朝』で克明に描かれているようなプロセスが省略されているにもかかわらず、『悪の華』がこれだけの読者を得たということは、理由もなく、反社会的な行動に駆り立てられている人が少なからずいるということにはならないだろうか。それは、もしかすると新自由主義が生み出したアウトサイダーの変貌がタイムリミットを迎えているのかもしれないし、小泉政権以降、組織に組み込まれなかった人たちが増えすぎて、情緒の受け皿が必要になっているということなのだろう。

(参考)

Hair Stylistics - ele-king

 ヘア・スタイリスティックス=中原昌也のビート集、ビート・ミュージックだ。僕はこの27曲65分にも及ぶ、ビート集を聴いて、心の底から愉快な気持ちになった。発売から2ヵ月以上経つが、いまだによく聴いている。いま、日本でもビートメイカーのレヴェルはぐんぐん上がっていて、彼らは海外のムーヴメントのフォロワーとは異なるオリジナリティを獲得している(という物言いそのものが古臭い!)。コンピレーションとしてまとまっている、『Lazy Replay』や『Sunrise Choir - Japan Rap&Beat』は、日本のビートメイカーのいまを知るためのひとつの参考になるだろう。とはいうものの、良し悪しの問題ではなく、やはりLAのビート・ミュージックや、SoundCloudやbandcampにおける世界的なモードは大きな影響力があり、日本のビートメイカーの多くもその時代の空気のなかにいる。
 ヘア・スタイリスティックスのビート・ミュージックからはそのような空気と同じ匂いがするが、それは中原昌也が90年代の暴力温泉芸者の頃からずーっとやってきたことがたまたまいまの時代の空気にフィットしただけだとも言える。おそらく、このビート集がもう5年早くリリースされていたら、中原昌也のコアなリスナーには届いたとしても、鎮座ドープネスをフィーチャーした曲(“This Neon World Is No Future”)が収録されるには至らなかったのではないだろうか。3年前から制作がはじまったというこの作品が、2013年に世に出たというのは素晴らしいタイミングだ。いや、タイミングではなく、『Dynamic Hate』が素晴らしいのだ。

 好き嫌いといった趣味はあるにせよ、多くのビートメイカーやビート・ミュージック・フリークは、この作品を聴いて考え込むのではないだろうか。「いま“新しい”と言われているビート・ミュージックが果たして本当に“新しい”のか」と。『Dynamic Hate』は、“ビート・ミュージック”という既存の土俵に揺さぶりをかけるビート・ミュージック集だ。中原昌也自身はそんな大それたことを意図していないだろうが、そのような問題提起を孕んだ作品でもある。例えば、アルカの『&&&&&』はたしかに面白いと思うし、いまの時代に支持される理由もわかる。ただ、インターネットの大海原には、アルカに匹敵する才能はゴロゴロ転がっている。僕なんかよりも、SoundCloudやbandcampで日夜ビート・ミュージックをディグっているビート・フリークの諸氏がそのことをよく知っているだろう。カニエ・ウェストが『イーザス』で大抜擢しなければ、アルカがこれほど脚光を浴びることはなかっただろうし、もっと言えば、アルカの分裂的な手法は子供騙しと表裏一体でもある。

 中原昌也は、紙版『ele-king vol.11』のインタヴュー「いよいよ脈打つヘイト」で、「ビート=黒人のものっていう図式もなくなってきたじゃないですか。黒人だからいいビートをつくれるわけじゃない。そういった状況は後押しするものがあったかもしれない」と語っている。さらに、「昔はブギ・ダウン・プロダクションズとマイナーなノイズをいっしょに買うと気ちがい呼ばわりされたものです。僕の頭のなかで常に共存はしていましたけど、そういうことを共有できる友だちはいなかったですよね」とも言う。興味深い発言だ。ラス・Gの『Back On The Planet』の土臭くコズミックなビート、アートワークに接すると、やはりいまだアフロ・アメリカンの音楽家には、拠り所にすることのできるルーツや、アフロ・フューチャリズムのような思想が脈打っているのだなと思う。 “ビート=黒人”という図式があったのかは議論を差し挟む余地があると思うけれど、ビートをグルーヴと言い換えれば、たしかに“グルーヴ=黒人”という図式はあったと思うし、いまだに根強く存在すると思う。

 僕が『Dynamic Hate』を面白いと思った最大の理由は、いち音いち音の音色のヴァラエティとコンビネーションが耳を楽しませてくれるところにある。耳のチャンネルが面白いように次々に切り替わっていくのだ。資料に拠れば、本作は「Ensoniq SP1200、AKAI MPC3000などのサンプラー、ROLAND TR-808などのリズムマシン、ARP2600などのシンセサイザーなど、数々のヴィンテージ・アナログ機材を使っ」て制作し、カセットデッキに録音しDATに起こしたというから、その音色は想像できるだろう。
 一応断っておくと、僕はなにもローファイなサウンドに拘ることが、音への誠実な態度であると言いたいわけではない。グルーヴィーなビートもあれば、グルーヴをあえて否定しているようなビートもある。それが不思議で、興味深くて、何度も聴いてしまう。中原昌也流の諧謔精神ももちろんあるが、そのような態度よりも、とにかくビートのユニークさに耳がぐいぐい惹きつけられる。そして、中原昌也流の分裂的な手法もある。というか、『Dynamic Hate』を聴けば、先ほどのブギ・ダウン・プロダクションとノイズの話ではないが、それが実は分裂でもなんでもなかったことがわかるし、僕自身もいまだからこそその感覚を実感できる。10年前は頭では理解しているつもりでも、実感としてそのことがわからなかった。マントロニクス流のエレクトロ・ファンクとウェルドン・アーヴィンのジャズ・ファンクの名曲“We Getting` Down”をミックスしたような“Empire of Plesure”があり、“No Funk (Tk1)”というタイトルなのに、ベースとキーボートがシンコペーションしているファンキーなビートがある。エキゾ・ブレイクビーツとでも言いたくなる“Music For The Murder Festa”と、シンセサイザーがうなりを上げ、ノイズを撒き散らし、シンプルなビートがズンドコ叩きつけられるタイトル曲からは、中原昌也の気合いと激情が溢れ出しているように思う。手を叩いて大笑いしながらでも、難しい顔をして議論しながらでも聴ける作品だが、いまビート・ミュージックを追っているのであれば、無視できない作品だ。

MARK E - ele-king

Mark E Japanツアー
11.22(金) 名古屋 @ Club JB’S
Info: Club JB’S https://www.club-jbs.jp
名古屋市中区栄4-3-15 丸美観光ビルB1F TEL 052-241-2234

11.23(土/祝) 東京 @ AIR
Info: AIR https://www.air-tokyo.com
東京都渋谷区猿楽町2-11 氷川ビルBF TEL 03-5784-3386

Running BackからBlack Country RootsというEPが先日リリースされました。
https://www.juno.co.uk/products/mark-e-black-country-roots/506311-01/

Merk Music:
https://mercmusic.net
https://twitter.com/mark_e_merc
https://www.facebook.com/pages/MERC/124366710936688

THE BLACK COUNTRY ROOTS CHART


1
Tony G - Simple Dreams - infinite juju

2
Glbr & Sotofett - Foliage - Versatile

3
Young Marco - In the Wind - Rush Hour

4
KDJ - Imotional Content - TP Deep remix - JDRecords

5
Mount Kimbie - You took your time - Warp

6
Roc & Kato - Jungle Kisses -eLegal

7
Mark E - Black Country Roots - Runningback

8
Pat Methany - Are you going with me - GU remix - white

9
Black Rox 1 - Black Rox

10
Frak - Matador

YO.AN (HOLE AND HOLLAND) - ele-king

https://yo.an/

11月に発売されるTBPRの新作DVD LENZ II宮原聖美パートの為に1曲制作しました。
PONCHI (OPSB)にguitarで参加してもらった曲です。DVDは2013/12/14発売でサントラもTBPRから発売予定です。
LENZ IIのデッキはEvisenより発売中。今回は思いつきで好きなスケートの映像10個リストしました。

DJ SCHEDULE
11/15 fri  @幡ヶ谷Forest limit
11/23 sat @代官山Air "MARK E JAPAN TOUR"
11/30 sat @渋谷Koara
12/28 sat @静岡eight&ten
12/29 sun @代官山Unit "MOVEMENTS ONENESS MEETING"
12/30 mon @中野heavysick zero  "HOLE AND HOLLAND & OPSB presents『UP↑ 』year's end special"
every 4th tuesday "Sun Hum" @神宮前bonobo

https://hole-and-holland.com/
https://soundcloud.com/holeandholland

10 skate clips.


1
Haruka Katagata - Pick Up - VHSmag
https://www.vhsmag.com/pickups/haruka-katagata/
soundtrack by YO.AN

2
DESHI - NIGHT PROWLER - Katsumi Minami
https://www.youtube.com/watch?v=aIN7a-A84G4
soundtrack by BALKAN BEAT BOX

3
Sunshine60dub - AKIOCHAM.com
https://www.youtube.com/watch?v=xTcu1LA0BHY

4
Zerosen (Shintaro Maruyama) - Underground Broadcasting - FESN
https://www.youtube.com/watch?v=ixrkuRAMkZI
soundtrack by HIDEYUKI DOI a.k.a. Taikoman

5
Takahiro Morita - ON THE BROAD - FESN
https://www.youtube.com/watch?v=g_QvqevXqBs
soundtrack by Kouta Andou

6
AARON HERRINGTON - BLOOD WIZARD
https://www.youtube.com/watch?v=XcgYCU5E8qQ

7
Greg Hunt -Tincan Folklore - Stereo Skateboards 
https://www.youtube.com/watch?v=TaA7jqP8pKo
soundtrack by TORTOISE

8
este ó este 2 - HOLE AND HOLLAND 
https://www.youtube.com/watch?v=lzmLL8WMIhg
soundtrack by KPK (kujitakuya)

9
TRES TRILL - PALACE SKATEBOARDS
https://www.youtube.com/watch?v=oXi0ucVsqFk

10
Mark Gonzales - Kicked Out Of Everywhere - Real Skateboards
https://www.youtube.com/watch?v=GI4YJs3Xmqs
soundtrack by Hiroshi Fujiwara

Vic Mensa - ele-king

 セイヴマネー・クルー――シカゴのクリエイティヴで騒々しい若者たちのコレクティヴだ。ラッパーに限らずトラックメイカー、ミュージシャン、ヴィデオ・ディレクター等々、様々な才能を持った連中がたむろしているらしい(https://cokeandfrozenpizza.blogspot.jp/2013/07/whats-save-money-crew.html)。セイヴマネーという集団の雰囲気を存分に伝えているこちらのヴィデオで、構成員のひとりであるチャンス・ザ・ラッパーはこんなことを語っている。「セイヴマネーにリーダーはいないんだ」(セイヴマネーの音楽については『ザ・ベスト・オブ・セイヴマネー』というミックステープをぜひ聴いてほしい)。

 高校時代からのチャンス・ザ・ラッパーの良き友人(先のヴィデオでも終始仲よさそうにしている)、ヴィック・メンサことヴィクター・メンサーももちろんセイヴマネー・クルーの一員だ。今作、ヴィックの新しいミックステープ『INNANETAPE』(ダウンロード・イット!)のジャケットにはしっかりと"SAVEMONEY"の文字が刻まれている。
 もともとヴィック・メンサはキッズ・ディーズ・デイズというラップ・ロック・バンドのラッパーだった。ウィルコのジェフ・トゥイーディーとの共同プロデュースによる傑作フリー・アルバム『トラップハウス・ロック』(ダウンロード・イット!)をリリースした後、レーベルとの契約を済ましていたにも関わらず今年に入って方向性の違いから解散、ヴィックは新曲"DID IT B4"のリリースとともにソロ・キャリアに注力することとなる。

 誰もが聴き紛うほど、ヴィック・メンサの音楽はチャンス・ザ・ラッパーのそれと多くのものを共有している。兄弟なんじゃないか? と疑う者もいるほどだ。ソウルフルで、ファンキーで、メロウで――それに、2人の声はよく似ている(チャンスの方がアクが強いが)。チャンスとヴィックの音楽とは逃れがたい結び付きがあって、比較は避けがたいものがある。
 しかし、チャンスの泥臭い『アシッド・ラップ』よりも『INNANETAPE』は爽やかで温かい開放感を携えており、より軽やかな陽性のグルーヴがみなぎっている。それが端的に現れているのが冒頭の2曲、ジャジーなフィーリングを携えたオーセンティックなブレイクビーツの“オレンジ・ソーダ”と、軽やかなジャングル風ビートとソウルフルなコーラスやトランペットに彩られた“ラヴリー・デイ”だ。ヴィックのベスト・トラックとも言えるこの2曲がアルバムのカラーを決定づけている。この爽やかなメロウネス、リラックスしたチルアウトな感覚は、まるでザ・ファーサイドの素晴らしき最初の2枚が表現していた幸福感をスマートにアップデートしたかのように響く(余計なことを言えば、“ウェルカム・トゥ・INNANET”におけるウータン・クランの引用や、“YNSP”の最後にチラッと聴こえるア・トライブ・コールド・クエストの“アワード・ツアー”、チャンス・ザ・ラッパーをフィーチャーした“トゥウィーキン”においてヴィックがノトーリアス・B.I.G.の声を真似ている点など、黄金の90年代の影がそこかしこに見え隠れしている。プロ・エラのジョーイ・バッドアスにしろ、90'sヒップホップは現在のモードのひとつなのかもしれない)。

 “オレンジ・ソーダ”でヴィックは視界を曇らせる「デーモン」を排し、「俺の音楽への傾倒はビジネスよりもずっと深い」「俺は俺の『イルマティック』を書こうとしているんだ」と素朴だがシンプルで逞しいメッセージをラップしている。「重要に思えることが常に(自分を)ミスリードしているようなのはなぜだ?/未来を見ることができればとただ望んでいる」と逡巡しながらも。
 他方、アルバムの後半ではシリアスな顔も見せている。メイバック・ミュージックからロッキー・フレッシュが客演した“タイム・イズ・マネー”ではシカゴの格差や暗い現実を映しだし、「金は稼げ、だが稼いだ金がお前を決めるわけじゃない」と父の言葉を反芻している。“フィア&ダウト”やブラック・ヒッピー(ケンドリック・ラマーらが所属するクルーだ)のアブ・ソウルをフィーチャーした”ホーリー・ホーリー”といった曲では内省に沈んでもいる。
 それでも、〈ブレインフィーダー〉からサンダーキャットを迎えた“ラン!”ではワードプレイを排除した簡素でシンプルな言葉遣いでもって「君がどこへ行こうとするのかを知りたかった/だから俺は光を捨てて、一人暗闇を行く/君の反射光が見えるさ」と自らを鼓舞し、クロージング・トラックの“ザット・ニガー”ではアトランティックとの契約を蹴ってシカゴのステージに立ち戻り、「セイヴマネー・スティル・アライヴ!」と宣言する(チャンス・ザ・ラッパーがTDEからのオファーを蹴ったことも話題となったが、セイヴマネーはインディペンデントであり続けることに矜持を持っているようだ)。

 『INNANETAPE』は『アシッド・ラップ』ほどのバズを引き起こすことはなかったし、完成度も及んではいない。それでもなお、軽やかにビートを乗りこなし、ユーモラスな所作を交えながらラップするヴィック・メンサの姿には唯一無二の魅力がある。『INNANETAPE』はヴィックにとっての『10デイ』になるだろう。次作はもっとブリリアントだ。そう思わせるポテンシャルがたしかに感じられる。すでにJ・コールとのツアーを終え、来年にはディスクロージャーとのジョイント・ツアーも控えている。前途は洋々だ。

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RP BOO JAPAN TOUR 2013 - ele-king

 今週末、東京大阪、やばいっす。ジューク人気が急上昇するなか、シカゴからそのシーンの重鎮、RP ブー(今年、 名作『Legacy』を出している)が来日するの知ってる? 楽しいから、絶対に行ったほうが良いよ。

RP Boo - Legacy JP (Planet Mu)


 来日のサポートにはシーンを牽引してきた〈Booty Tune〉、CRZKNY (Dubliminal Bounce)、Satanicpornocultshop (Negi)、〈SHINKARON〉、Keita Kawakami (Dress Down)をはじめ、ジュークと共鳴するゴルジェ、テクノ、ベース、ヒップホップ / ラップなどの周辺ジャンルと華麗にクロスオーバー、そしてフットワークのバトル・トーナメントで優勝したTa9yaや準優勝の女性ダンサーHarukoなど多くのダンサーもジャンルを超えて結集した、若手を中心にベテランや中堅も織り交ぜ、もはやこれがジュークであるとは言えないほど多様化するハイブリットな国内シーンとそのカルチャーを堪能出来るキレキレのラインナップをお見逃しなく!

≈ RP BOO JAPAN TOUR 2013 ≈

〈東京公演〉

11.23 (SAT) @ Shinjuku LOFT Tokyo
OPEN/START 23:30 ADV 3,000 yen | Door 3,500 yen

shinjuku LOFT Presents
SHIN-JUKE vol.5

RP Boo (Planet Mu from Chicago)
D.J.Fulltono (Booty Tune)
Satanicpornocultshop (negi)
hanali (Gorge In, Terminal Explosion!!)
HABANERO POSSE
ALchinBond
Booty Tune crew
SHINKARON crew

More Info:
https://www.loft-prj.co.jp/schedule/loft/18988


〈大阪公演〉

11.22 (FRI) @ Club Circus Osaka
OPEN/START 21:00 ADV 2,500 yen | Door 3,000 yen

Booty Tune & Dress Down Presents
SOMETHINN3

RP Boo (Planet Mu from Chicago)
D.J.Fulltono (Booty Tune)
Keita Kawakami (Dress Down)
DJ TUTTLE (Marginal Records)
Quarta330 (Hyperdub)
terror fingers (okadada + Keita Kawakami)
CRZKNY (Dubliminal Bounce)
DjKaoru Nakano
Paperkraft (Alt)
AZUpubschool (doopiio)

More Info:
https://circus-osaka.com/events/booty-tunedress-down-presents-something3


Gun Club Cemetery - ele-king

 アラン・マッギーに「君が契約したバンドってみんなサイケとパンクに影響されていて、それがいまの音楽の主流になったよね」と言ったら、「俺はテレビジョン・パーソナリティーズのダン・トレイシーの〈ワーム!・レコード〉をマネしただけだ。偉大なのはダン・トレイシーだ」と言ってました。
 ダン・トレイシーはレッド・ツェッペリンのレーベル、〈スワン・レコード〉で、ジミー・ペイジに「お前はパンクか」と白い目で見られなが働いていたそうで、レッド・ツェッペリンのマネージャー、ピーター・グラントのようになったアランは、ダン・トレイシーの復讐をしたのかと思うとなんか、感慨深いものがあります。

 アランに「そんな謙遜せずに、マイブラがいまの若者の琴線にいちばんふれる音楽になったじゃん」と言うと、「ケンジ、マイブラなんか大したことないぞ。いまに若いやつらが“オアシスがいい、オアシスがいい”と言い出すぞ。そのときはもっと大変なことになるぞ」と言っていた。というわけでガン・クラブ・セメタリーを出すことにしたんでしょうか。オアシスより白黒な感じがいいです。ガン・クラブという名前を付けているのはあのジェフリー・リー・ピアースのガン・クラブへのリスペクトなんでしょうか、ガン・クラブな荒野の不法地帯な匂いがします。

 僕はガン・クラブ・セメタリーのブルージーなところが好きです。彼らが新しいオアシスになるのかどうかはわからないですが、ガン・クラブのようなカリスマ的人気を得ていきそうな気がします。
 しかし、本当にガン・クラブの再評価は高いですよね。前にパーマ・ヴァイオレットのチリ・ジェッソンにインタヴューしたら、「ガン・クラブが好き」と言ってましたが、ガン・クラブ・セメタリーはまさにそのようなバンドになりそうですね。いまのところは元ハリケーン#1のボーカルで元ボクサーでリアム・ギャラガーを殴ったというくらいしか伝説はないですが、これから作っていくのでしょう。でも、元ボクサーだったら殴ったらダメですよね。犯罪ですよね。僕ももう鼻血ブーな伝説を作らないように、彼には殴られないように気をつけていきたいです。

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