「Not Waving」と一致するもの

Magic Mountain High - ele-king

 91年にデビューしたヨケム・パアプ(スピーディー・J)と07年にデビューしたルーシーによるツァイトゲーバーと同じく、昨年、「ワークショップXX」でいきなりデビュー・ヒットを飾ったマジック・マウンテン・ハイも92年から活動を続けるムーヴ・Dことデヴィッド・ムーファンと05年にデビューしたジュジュ&ジョーダッシュによる「年の差」ユニットである。ファクトリー・フロアがカーター・トゥッティやピーター・ゴーダンを訪ねたり、パークがE・ノイバウテンと組むのとは違って、同じテクノというタームのなかで年齢差を感じさせるわけだから、レイヴも長く続いたよなーと(『テクノ・ディフィニティヴ』が売り切れちゃうわけだよね……)。

 初期にはアース・トゥ・インフィニティやディープ・スペース・ネットワークの名義でアンビエント寄りの作風を重ねていたムーヴ・Dはすぐにも故ピート・ナムルックとタッグを組むようになり、さらにジョナ・シャープ(スペースタイム・コンティニウム)と組んだリアゲンツや、ハイアー・インテリジェンス・エイジェンシーとのジョイント・アルバムでもアンビエント風のアプローチは揺るがなかったものの、ゼロ年代に入るとベンジャミン・ブルンと組んだディープ・ハウスのユニットや、ソロでもハウスの要素が強くなっていく。一方、リジー・ドークスのサイコステイシスからデビューしたジュジュ&ジョーダッシュはイスラエルからアムステルダムに移ったふたり組で、「ザ・ハッシュEP」(05)を筆頭にトリップ性の高いディープ・ハウスを追求し、ヴァクラのリミックスを手掛けたり、ジャスーエドやシュティフィのミックスCDにフィーチャーされるなど、この5年ほどで建て直しが進んだディープ・ハウス・リヴァイヴァルの一翼を担っていた存在だといえる。

 この両者がどのようにして出会ったのか……は知らない。マンガのように出合ったのかもしれないし、ありきたりにSNSでつながったのかもしれない。いずれにしろ「ハウスがあれば年の差なんて」どこかで超えられることになり、マジック・マウンテン・ハイは結成される。そして、「ハッシュ」を思わせるデビュー・シングル「ワークショップXX」がハードワックス傘下のワークショップからリリースされ、これがまず大人気を呼ぶ。

 続いて、今年の夏にセカンド・シングル「ライヴ・アット・フリーローテイション」がリリースされたと思ったら、これが両サイド合わせて30分を越すロング・ジャーニーとなり、ファースト・アルバムはさらにその完全版である63分17秒のライヴ・ドキュメントとなった。まったく途切れることなく続くディープ・ハウスの波状攻撃である。攻撃……というか、とても優しい波に揺られ続け、ときにアシッドに、あるいは、しっとりとした情感に揺られ続けるだけ。目新しいものは何もない。気持ちい……としか書きようがない。

 「マジック・マウンテン」というのはトーマス・マンの『魔の山』のことで、妻がユダヤ人だったトーマス・マンは逸早くアメリカ西海岸に逃げ出し、ナチスが敗退してもすぐにドイツには戻らずに、マリファナばかり吸いまくっていたらしいので「ハイ」と名付けた……かどうかはわからないけれど、教養と娯楽がないまぜになった上手いネーミングではある。ヴァクラというのもウクライナの小説家の名前だそうで、ゲットー・ミュージックもいいけれど、こういった楽しみもやはり捨てがたいことはたしか。ちなみに村上春樹『ノルウェイの森』の元ネタとも言われている『魔の山』のストーリーはむしろ堀辰雄『風立ちぬ』に酷似していて、『魔の山』の主人公であるハンス・カストロプが宮崎アニメ版にも登場し、軽井沢のホテルをなぜか「魔の山」と呼んだりw。

 スタンリー・キューブリック監督『シャイニング』の謎を解く『ROOM237』(1月公開)を観ていたら、ここでもハンス・W・ガイセンデルファー監督による『魔の山』の映画版が使われていた。5つの仮説を中心に謎解きが進められていく『ROOM237』は半分は凄まじい妄想だけれど(それはそれで楽しい)、ひとつは大正解ではないかと思わせるものがあった。『魔の山』とナチスを結びつける下りはともかく、エレベーター・ホールに血があふれる理由は非常に納得がいくし、マニアというのは、しかし、ホテルの壁にかかっていた絵から何からよく観てるものだなーと(タイプライターの色が変わるなんて、まったく気がつかなかった)。サウンドトラックはしかも、元V/Vmのケアテイカーで、前後して〈モダーン・ラヴ〉からザ・ストレンジャーの名義では3作目となる『ウォッチング・デッド・エンパイア・イン・ディケイ』がリリースされたばかり。

 ケアテイカーの諸作よりもデムダイク・ステアやアンディ・ストットに近いものとして聴こえてしまうのは、やはり先入観のせいだろうか。インダストリアル・ガムランのような“ソー・ペイル~”、同じくトライバル・リズムを使った“スパイラル・オブ・デクライン”、そして、ビートルズ“グッド・ナイト”をノイズ化したような甘ったるい“プロヴィデンス・オブ・フェイト”や“ウェアー・アー・アワ・モンスター・ナウ~?”が、あー、もう、たまらない。『崩壊していく「死んだ帝国」を眺めながら』というタイトルにこめた思いがどんなものであれ、結果的に出てくる音がこのように甘美で優雅なものになってしまう精神状態というのは一体どのようなものなのだろうか。そして、どれだけUSアンダーグラウンドのポテンシャルが高いとしても、このような歴史の果てにある感覚はそう容易に生み出せるものではない。ネガティヴの年輪が違う。

Varius Artists - ele-king

 クズだと思われていた音源が何十年後かに突然光沢を帯びるのはいまでは珍しい話ではない。『コズミック・マシーン』は1970年代にフランスで制作された電子音楽を集めたものだが、高尚な現代音楽や芸術分野における成果ではなく、ジョルジオ・モロダーとクラフトワークの衝撃、シンセの普及、そのどさくさに紛れて産み落とされた、ディスコをはじめとするダンス・ミュージック、ライブラリー系の商用音楽や著名なアーティストが電子機材を手にしたばかりの熱にうなされて(さもなければ気まぐれで)作ったかのような楽曲が20曲収録されている。言わばフレンチ・エレクトロの青写真、コズミック・ディスコの視点から編まれたコンピレーションである。これから正月/新年を迎えるにあたって、実にユルくて、最高に腑抜けた音楽なので紹介しよう。
 ジャン=ジャック・ペリー(フランスというよりも、世界史な観点で言って大衆電子音楽の先達)やセルジュ・ゲンズブール、ジャン・ミッシェル・ジャールといった説明不要の大御所に混じって、ディスコ・ファンにはお馴染みのセローン、ベルナール・フェヴレ(ブラック・デヴィル・ディスコ・クラブ)の名前もある。なんとダフト・パンクのトマ・バンガルテルの父親がプロデュースした作品もあるが、これがネタというよりも、本気でなかなか良い。他の収録曲はだいたい面白い。4/4キックドラム、ロボティックな反復、ぶ厚く、ときにキラキラしたアナログ・シンセ音は、きっとあなたをアウタースペースに導いてくれるでしょう。電子機材を大衆音楽に使用するにあたっての「型」が確立していない時代の楽曲なので、テクノの珍品集というか、発想がいまより自由だし、3~40年前のガラクタがアートに見えるといったら大げさだが、聴いて楽しいことはたしかだ。クラウトロックにも似た、どこまでもスマートになりきれない面白さもある。

 とはいうものの、結局、音楽は時代の映し鏡という側面があり、それが電子音楽であれ、レアグルーヴであれ、そして流行のモードが90年代になろうとも、人が70年代の音楽を愛するのは、作品に吹き込まれたオプティミスチックな空気ゆえだろう。今日いかなる電子音楽を聴いても、良くも悪くもここまでお気楽な調子にはならない。ele-kingが好んで紹介しているようなダーク・アンビエントだの、インダストリアル/ゴシックだの、ヤング・エコーなど、とんでもございません! さすがゲンズブールは、電子音を使ってインダストリアルな質感を醸し出しているのだが、それにしても今日のそれとは比較にならない。

KABUTO - ele-king

 KABUTOは千葉出身、東京在住のDJ。KABUTOが少年時代を送った1980年代~90年代はパンク以降の音楽、クラブ・カルチャーの隆盛、ファッション、スケート・ボード、あらゆるユース・カルチャーが混然となった時代である。当時10代のKABUTOは千葉の街で、日々次々と生み出される新しく刺激的なムーブメントの数々を、ヤンチャな遊びの過程で貪欲に吸収して育った。
 そして2000年代になり、KABUTOは地元の先輩であるDJ NOBUからの誘いで、始動間もない〈FUTURE TERROR〉に加入する。千葉という街で何の後ろ盾もなく、仲間たちによる手づくりで始められた〈FUTURE TERROR〉……それがどれだけ特別なものであるかは、インタヴュー本文でKABUTOの言葉から知ってもらうべきだろう。とにかくKABUTOは〈FUTURE TERROR〉のオリジナル・メンバーであり、後に彼は〈FUTURE TERROR〉を脱退し東京に移るが、いまでもKABUTOの言葉は〈FUTURE TERROR〉への愛と敬意にあふれている。それからKABUTOは〈FUTURE TERROR〉で得た大いなる経験と理想を胸に歩み、彼はいま、東京のダンスフロアからもっとも信頼されるDJのひとりとなった。頼るものはDJとしての心と技、ただそれだけだったであろうが、それゆえに彼の周りには、新しい仲間たちも集まってきた。

 現在のKABUTOのホーム・グラウンドは、全国の音楽好きから愛される東高円寺の〈GRASSROOTS〉で自らオーガナイズする〈LAIR〉。それと、和製グルーヴ・マスターと名高いdj masdaが運営し、ベルリン在住のyone-koも名を連ねる代官山UNITの〈CABARET〉である。KABUTOのプレイ・スタイルの片鱗は、2009年に〈DISK UNION〉からリリースしたMIX CDシリーズ"RYOSUKE & KABUTO - Paste Of Time Vol.1/2"や、この秋サウンドクラウドにアップされた"Strictly Vinyl Podcast 010"等でも触れてもらえると思う。だができることならぜひ、パーティの現場でこそ、彼のDJと人柄を味わってもらいたい。なお2013年12月13日、現時点でのKABUTOの最新のプレイのひとつである〈CABARET〉では彼は朝6時過ぎからブースに登場。ミニマルとディープ・ハウスを行き来し気持ちよく踊らせる持ち味を発揮した後、荒々しいシカゴ・ハウスをはさみつつどこまでも加速するようなKABUTOのプレイにダンスフロアの歓声はどんどん膨らんでいった。時計は7時半を回っていた。

 それではKABUTOの初めてのインタヴューをお届けする。KABUTOと長年交流する五十嵐慎太郎(〈Luv&Dub Paradise〉主宰)をインタヴュアーとして、過去、現在、そしてこれからについて存分に語ってもらった。


俺、全部同時進行なんです。「(特定の)この音楽で育った」っていうのはないんですよね。そういう音楽の聴き方をしていたのは先輩とかの影響もあるから、千葉での遊びがルーツとも言えるかもしれないですね。

■五十嵐:俺、カブちゃんとは常に会うような関係ではないけど、お互いの要所要所では何度も会って、熱い話をしてるんだよね。それこそカブちゃんが〈FUTURE TERROR〉を離れるにあたって考えていたこと、その当時の目標やヴィジョンなんかも含めて、個人的には以前にも話を聞いてるんだ。それからしばらく経って、KABUTO君の近年のDJ/オーガナイザーとしての活躍ぶりは、すごく注目されるべきものだと俺は強く思っていて。それでインタヴューという形で改めて、KABUTOというDJのこれまでの歩みや、何よりもKABUTO君がこの先、DJとしてやろうとしていることについて、じっくり話を伺おうと思ったんです。
 まず、カブちゃんが〈FUTURE TERROR〉を辞めたのはいつなんだっけ?

KABUTO:2008年に辞めたから、5年ですね。

■五十嵐:いきなり言っちゃうけど、その頃カブちゃんは、NOBU君が〈FUTURE TERROR〉というパーティを何もないところから作って、みんなの信頼を勝ち得るまでのものすごい大変さをわかった上で、「そこに挑戦したい」と言っていたんだよね。そして「それで、俺がDJとしていまより良くなっていったとしても、それは〈FUTURE TERROR〉のおかげなんだ」とも話していた。

KABUTO:本当にそう思います。

■五十嵐:これからあらためて聞くけど、カブちゃんがその頃から思ってきたことに、ここに来て近づいてきたのかなって俺は感じてるんだよね。

KABUTO:やっとちょっとは見えたかなって感じですね。

■五十嵐:まず、11月15日にカブちゃんがいま〈GRASSROOTS〉で主宰してる〈LAIR〉の6周年があったじゃない(その日のゲストはムードマンと、DJスプリンクルズことテーリ・テムリッツだった)。あれは本当に素晴らしかったね。あの雰囲気を作り上げたっていうのがさ。DJはもちろん良いに決まってるんだけど。

KABUTO:プラス皆の人間力ですよね。

■五十嵐:その一方で2013年になり〈womb〉や〈ageha〉の〈ARENA〉のような大きな会場のメインも務めたり、活躍の場を広げてきているよね。そんなこといろいろと思い出してたら、こないだの〈FUTURE TERROR〉の12周年(2013年11月23日)のフロアでさ、朝、俺がHARUKAのDJで踊っていたら、NOBU君がカブちゃんのところに来て、「お前、去年あたりからいい動きしてるよ」って、俺の目の前で話し出してさ(笑)。それを見た時に、お互いの気持ちをメチャメチャ感じて、何故か俺が感動しちゃって。俺が泣いてどうするんだっていう(笑)。

KABUTO:NOBU君とは、もう出会って20年ですよ。俺が17のとき。共通の知り合いがいて、ある日その人とNOBU君とで俺の地元に来たことがあって、そのときに初めて会って。凄い覚えてますね。RYOSUKE君(同じく元〈FUTURE TERROR〉)も17のときから知っていて、俺はRYOSUKE君が当時やっていたバンドをよく見に行ってましたね。

■五十嵐:RYOSUKE君がやってたのはハードコアのバンドだったんだっけ?

KABUTO:そうです。RYOSUKE君は、ハードコアだけじゃなくてレアグルーヴとかいろいろな音楽を聴いてる感じで、当時の俺はメチャメチャ影響受けてるんですよね。RYOSUKE君とは、高校生の頃、俺が船橋のバーみたいな所でDJしてたときに、初めて話したのは凄い覚えてます。

■五十嵐: RYOSUKE君も年上だよね? 当時のふたりはどんな関係だったんだろう。街の兄貴分みたいな感じ?

KABUTO:兄貴って、そこまで仲良くなれなかったですね。

■安田:遊びに行くといる、格好いい先輩みたいな?

KABUTO:そう。千葉に〈LOOK〉っていうライヴハウスがあって、そこによく遊びに行っていたんですけど、最初は話もできなかったですね。「ちわっす」「おつかれさまです」って感じで。

■五十嵐:ガハハハハ(笑)! そのときが17歳っていうと、1992、93年ぐらいか。そのときはどんなDJしてたの?

KABUTO:そのDJのとき、(ビースティー・ボーイズの)『CHECK YOUR HEAD』からのシングル・カットをかけてたんですよ。そうしたらRYOSUKE君が反応して、話かけてくれて。

■安田:KABUTO君の音楽のルーツっていうと何なんですか?

KABUTO:うーん、強いていうならスケート・カルチャーがルーツですね。スケートのビデオで使ってる音楽っていろいろじゃないですか。それをすごい観てたから、いろんな音楽を聴くようになったんですよ。
 あと姉が洋楽好きだったので、それでピストルズとかを聴いたのが小6とか。で、ガンズとかのハードロックからヘヴィー・メタル。スレイヤー、メガデス、というのが中1、中2ぐらい。
 で、中3になるとスケートもはじめて、メタリカ、アンスラックス、レッチリとかレニー・クラビッツを聴いていて、それからジミヘンやクラプトンとかも聴くようになりました。で、高校生になるとスーサイダル(・テンデンシーズ)とかバッド・ブレインズとかを聴く一方でHIP HOP、R&Bも聴いてて、テレビでは〈BEAT UK〉を観てたり。そういう感じで、聴いてきたものは皆とそう変わらないんだけど、ゴチャゴチャでいろいろ聴いてたんですよね。だから「昔何聴いてたの?」って聞かれると「全部!」って答えてて。レゲエやスカ、キンクスもスペシャルズも大好きだったし。昼間はスペシャルズ聴いて、夜になったらサイプレス(・ヒル)聴いて、みたいな(笑)。またゆったりしたい日にはスティーヴィー・ワンダーやプリンスも聴いてたし。だから「(特定の)この音楽で育った」っていうのはないんですよね。あと、そういう音楽の聴き方をしていたのは先輩とかの影響もあるから、千葉での遊びがルーツとも言えるかもしれないですね。

■五十嵐:ロックとクラブ・ミュージックが交わる時期というか、とにかくいろいろ新しいものが出てきた時代でもあったよね。

KABUTO:そうですね。アンスラックスとパブリック・エネミーの“ブリング・ザ・ノイズ”とか、ビースティーとかNASも人気があって、それで元ネタを掘り始めたりするんですよね。

■五十嵐:『パルプ・フィクション』等の影響でのレアグルーヴもあったしね。

KABUTO:映画の影響もありましたね。高校の時に『さらば青春の光』を見たり、マット・ヘンズリーの影響でVESPAが流行って乗ったりもしてましたね。

■五十嵐:90年代にはフィッシュとか、ジャム系のバンドも出てきたけどそういった音は?

KABUTO:俺はフィッシュとかは通ってないんですよ。その頃は俺、日本のハードコアがすごい格好いいと思ってた時期ですね。下北沢の〈VIOLENT GRIND〉とかもよく一人で行ってました(笑)。そういえば、NOBU君はニューキー・パイクスと繋がってたりして。

■五十嵐:そうなの?

KABUTO:そうなんですよ。そこでAckkyさんとも繋がるんですよ。

■五十嵐:なるほどね! Ackkyもニューキー・パイクスのライヴに客演で参加したこともあったみたいだもんね。
 そういう、90年代からいまへと連なる人の繋がりもあるわけだけど、ミクスチャーとかHIP HOPの世代の人たちから、バンドとDJの間の壁がまるっきりなくなったと俺は感じていて。要するにNOBU君世代ぐらいからなのかな。それまではクラブとバンド、ラップとバンドの垣根はすごく高かったように思うんだけど、サイプレス・ヒルとかガス・ボーイズが出てきたあたりから変わってきたんだよね。

KABUTO:それが、俺が高校生の頃ですね。俺、全部同時進行なんです。ハードコア聴いてる時期に〈MILOS GARAGE〉に行ったり、平日の青山〈MIX〉、あと〈BLUE〉とかも、千葉から遊びに行ってたし。四つ打ち行く前にアシッド・ジャズ、ラテンとかも聴いていて、ビバ・ブラジル(Viva Brazil)のスプリットのレコードを買ったらその逆面にサン・ラが入ってたりして。後に気付くんですけど、当時はサン・ラってわからず聴いてましたね。

■五十嵐:カブちゃんはバンドだけじゃなくDJの方にも、すんなり入っていったんだね。

KABUTO:クラブ・ミュージックの最初は、地元の仲良い年上の友だちが、兄弟でレコードすごい持ってて。その家がたまり場でよくDJして遊んでたりしてたんです。そこで電気グルーヴの『VITAMIN』や『オレンジ』とかを初めて聴いて、あとは〈ON-U〉とかのダブを聴いたり。高校のときはハウスとかテクノってあまりピンとこなかったんですけど、シカゴ・ハウスを聴いたときに「何だこれ!?」って思って衝撃を受けて、そこからハマってったんですよ。

■五十嵐:その頃、RYOSUKE君とかNOBU君はもうDJやってたの?

KABUTO:NOBU君は出会った頃はまだそんなにやってなかったはずですね。あまり正確には覚えてないんですけど。その頃トリップ・ホップも流行ってたじゃないですか。スカイラブ(SKYLAB)とか〈MAJOR FORCE〉、デプス・チャージ、セイバーズ・オブ・パラダイスとか、それでアンディ・ウェザオールが〈新宿リキッドルーム〉でやるときに、地元の友だちとNOBU君と一緒に行ったんですよ。それがクラブで初めての四つ打ち体験。19ぐらいの時かな?

■安田:四つ打ちを聴きはじめてからはどうなったんですか?

KABUTO:その後、ハタチぐらいからの何年か、毎年のようにアメリカに遊びに行ってた時期があるんですよ。地元のスケーター仲間がアメリカに住んでたから。いろんな街に旅行して、クラブもいろいろ行きました。ニューヨークに行ったときには(ジュニア・)ヴァスケス聴きに行ったりとか(笑)。NYでは他にも〈Sonic Groove〉と〈Drumcode〉の共同開催みたいなパーティとかにも行ったし。ちょうど年越し時期のフェスっぽいパーティで、NYのフランキー・ボーンズ、シカゴのマイク・ディアボーンやポール・ジョンソン、ヨーロッパからもアダム・ベイヤー、ニール・ランドストラムとか、いろいろ出てましたね。サンフランシスコではQ-BERTとか聴いてるけど、レコードはテクノを買って帰ってきました(笑)。ロスアンジェルスに行った時はたまたまカール・クレイグとステイシー・パレン、デトロイトのふたりが出るパーティがあったから、それに遊びに行ったりとかしてました。

■五十嵐:ここまで、若いときの音楽の話には「地元の仲間」という言葉が頻繁に出てくるから、やっぱり「千葉」はカブちゃんにとってとても重要な要素なんだね。カブちゃん自身は、住んでいたのは千葉のどのあたりなの?

KABUTO:僕は成田で、〈FUTURE TERROR〉の最初の4人のなかでは僕だけ住んでる所が離れてるんですよ。

五十嵐:成田ってどういう感じの街だったの?

KABUTO:成田山と空港くらいで田舎です(笑)。で、外国人が多い。地元の仲間はみんなスケーターでしたね。

■五十嵐:それにハードコアとか、バンドや音楽が好きな仲間も。

KABUTO:そうですね。皆で滑って、飲みに行ったり。その頃俺らまだ未成年だったけど、悪い先輩達と遊ぶのがすごい楽しかったし。そこからもう夜遊びの方にシフトしていくタイミングですね。

■五十嵐:俺の地元の静岡もそうだけどさ、そういうので生活は成り立たないじゃない。

KABUTO:成り立たないですね。

■五十嵐:どうしてたの?

KABUTO:普通に働いてました。まず車がほしいんで、お金貯めなきゃ、ってなって。高校卒業してすぐ車ゲットして。これで東京のクラブにも遊びに行ける! って。もうみんな乗せてパーティ行ったりとか、ウロチョロウロチョロしてましたね。俺、就職するとか大学に行くとか、全然考えなくて。まず遊び。

■五十嵐:ガハハハハ(笑)!

KABUTO:パーティの楽しさを知ってしまったので、もうひたすら遊びに行ってました。

■五十嵐:千葉で自分でパーティもやってたの?

KABUTO:いや、やってないです。俺が22歳くらいの時にRYOSUKE君が〈MANIAC LOVE〉でDJシャッフルマスターと〈HOUSEDUST〉っていうパーティでDJをやってて、それに結構遊びに行ってて。その頃にDJ RUSHとかPACOUみたいなDJを初めて現場で聞くんですよね。後で知るんですけど、その頃、KURUSU君(FUTURE TERROR)もRYOSUKE君と遊んでるんですけど、俺はその頃はまだKURUSU君のことは知らなくて、実際に知り合うのはもう少し後なんですよね。

■五十嵐:そうなんだ?

KABUTO:俺とKURUSU君がリンクしたのが、たしか(2000年前後に大人気だった)SUBHEADが来日した後くらいだったかな。
 SUBHEADが来日して、渋谷道玄坂の〈MO〉ってクラブでやってた〈Maximum Joy〉ってパーティでプレイしたことがあったんですけど、そのパーティがすごいヤバかったんですよ。ちなみに〈FUTURE TERROR〉の第1回目のゲストが、そのSUBHEADのフィルとMAYURIさん(metamorphose)なんですよ。
 その〈Maximum Joy〉には俺は客として遊びに行ってて、そこからクリスチャン・ヴォーゲルとか、No Future系にもハマっていくんですけど、そこにはNOBU君たちもいて。それから何年かして誘われるんですよね、〈FUTURE TERROR〉に。

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デトロイトで音を作っている人たちって、結構生活が厳しいながらも、やっぱり音楽の力を信じてやってたりしますよね。自分も(進学はせずに)仕事して、働いた後にパーティの準備するために集まったりしてたんで、そういうところが当時ちょっと自分とダブって感じて、デトロイトの音楽にハマったっていうのもあるかもしれないですね。

■五十嵐:〈FUTURE TERROR〉はこないだ12周年だったから、2001年ぐらいに始まってるわけだよね?

KABUTO:俺は1回目の〈FUTURE TERROR〉のときはDJじゃなくて。実は1回目は遊びにも行ってないんですよ(笑)。
 俺、その時パーティが開催されることを全く知らなかったんです。地元で仲良かった友だちはそれ行ってて、俺は後から聞いて「え、そんなのやってたの!?」みたいな。で、それが集客も良かったらしくて、レギュラーでやってみようかってなったらしいんですけど、俺はもう、全然知らずに。
 だけど、ちょっと経った頃に……当時よく、音楽好きな友だちと、家でいろんな音楽聴きながらDJしてたんですよ。そしたらある日、NOBU君からいきなり電話がかかってきて「DJやらない?」って言われて。「レコードあるんでしょ?」「はい」って、「今度こういうのやるんだけど、どう? RYOSUKEとKURUSUと4人で」って。だから正式には、俺は2回目からなんですよ。

■五十嵐:なるほどね。

KABUTO:その時は結婚式場を借りて、システムを入れてやるって話で。でも、その時俺はパーティのやり方がなんにもわかんないから。必死にDJやるだけでした。

■五十嵐:俺、その辺の話は静岡にいる時に、何かの雑誌で読んで知った。パーティを自分たちで一から作り上げて。千葉にね、静岡の自分と同じ気持ちの人たちがいるんだってシンパシーを感じてたんだよね。環境がなければ自分たちで作るしかないっていう。

KABUTO:俺はもう、右も左もわかんないし、DJしかやってなかったんですけど。ただ言われたことをひたすらやって。「この時間に集合ね」って言われたら行って、システムを運ぶのを手伝ったりとか、その程度でしたけどね。その前に、自分がパーティに行ってクチャクチャに遊んで、っていう経験はあるんですけど、それを自分がやるとなったらどうやればいいかっていうのは、わかってなかったですね。

■五十嵐:東京のクラブで遊んでて、それを地元の千葉で再現したいっていう気持ちだったの?

KABUTO:うーん、東京で遊んでて、なんだろう、その時期はRYOSUKE君も〈HOUSEDUST〉を辞めていて、NOBU君は空手に打ち込んでた時期なんですよね。たぶん、また遊びたくなったからはじめたんだと思うんですけど。パーティをやるスキルはみんなあったと思うんだけど、日本のシーンに対するアンチテーゼ的な感じで最初ははじまってるんで。

■五十嵐:商売気とかの部分かな?

KABUTO:当時の東京のノリにちょっと飽きちゃったというか。やっぱり地元でやりたいっていうのも強かったと思うんですよね。

■五十嵐:遊びではじめたことに、だんだん気持ちが入っていったって言う感じ?

KABUTO: 初めはNOBU君に誘ってもらったけど、なんで俺を誘ってくれたのかはわかんないですね。聞いたこともないですけど。
 最初の〈FUTURE TERROR〉でのDJは警察に止められて途中でダメになったし、それからは数々のいろんなことがあるわけですけど。当時は「地元でやろう」ということだけを考えてたと思うんですけどね。それが徐々に、徐々に大きくなっていくというか。結婚式場からレストランに移ったり、場所も変えつつ。あ、レストランの前に別の箱があって。潰れて空いてた箱なんですけど、そこでパーティできるって話になって、〈FUTURE TERROR〉で最初にテレンス・パーカーを呼んだのはそこなんですよ。そこでみんなで何日か前から集合して、ホコリだらけのところをみんなで掃き掃除から全部やったりして。そのパーティが凄く強烈でしたね。それまでのパーティも楽しかったんですけど、そこで気持ちが一気に入った感じですね。

■五十嵐:ゼロから自分たちで作っていった、っていう。

KABUTO:強烈に憶えてますね。

■五十嵐:テレンス・パーカーも感動して〈Chiba City〉っていうレーベルを作っちゃったりね。

KABUTO:すぐやめちゃいましたけどね(笑)。最初DJ引退するって言ってたんだけど、その時の〈FUTURE TERROR〉で「やっぱり辞めない」ってなって、それからいまだに辞めてないんですけど。テレンスもそれぐらい強烈なインパクトを感じたんだと思うんですよね。(壁や天井から)水滴も垂れるし、最前列はタバコの火も点かないぐらい酸欠で。みんなメチャクチャ踊ってて。本当、初めて「ハウス」を感じた日だったかもしれない。

■五十嵐:伝説として話は聞いてる。

KABUTO:あれ遊びに来た人はみんな結構憶えてるんじゃないかなぁ。当時はいろんなMIX音源を聴けるサイトは〈Deephouse Page〉ぐらいしかなくて、来日前はそれでチェックするしかなかったんだけど、テレンスはHIP HOPとかいろいろなセットも結構やってたから「当日はどんなDJやるんだろう?HIP HOPやったらどうする?」とか、心配したりもしてたんですよ(笑)。けど、その日はURから始まって、ゴスペルやらディスコやらを2枚使いでかけたりしてて、何じゃこのDJは! って皆ひっくり返ったっすね。

■五十嵐:みんなで何日も前から集まって準備してそこに至る、って、いいなぁ。

KABUTO:みんなでマスクして(笑)。でも千葉のそのDIYスタイルはずっとそうで。その後やった会場はレストランだったけど、そこも何日か前から集合して、壁に防音やったりしてました。そこで本当、パーティをつくるっていうのはこういうことだと教えてもらって……「教えてもらった」って言っても、言葉で何を言われるわけじゃないですけど。

■五十嵐:今日はいろいろ訊こうと思ってたんだけど、その全部の答えがいまの話に集約されていたというか。そういうパーティ体験があったからこそカブちゃんは、ただスキルを磨くだけのDJにはならなかったんだね。

KABUTO:DJのスキルがあっても気持ちがないと……NOBU君のDJを見てたらわかると思うんですけど、たまに(ミックスを)ミスりますよ、NOBU君でも。だけど人間力で持っていけるんですよ。あれはNOBU君にしかない部分だと思うんです。あのイケイケな感じでミックスしてオラーッて、フロアが盛り上がっちゃうんですよ。ああいうDJ、誰にでもできることじゃないから、それをずっと見てると、そういう感覚に陥っちゃうというか。

■五十嵐:スキルは大事だけど、パーティを楽しみたいという気持ちはもっと大切なんだよね。

KABUTO:そう。その気持ちがグルーヴになって現れるし。あとひとつ言えるのは、〈FUTURE TERROR〉のお客さんってメチャメチャ踊るんですよ。常にダンスフロア。そういうダンスフロアの雰囲気。踊った人にしかわからない感覚ってあるじゃないですか。DJの皆もそうで、その感覚を持ったDJが揃ったな、とは思いましたね。

■五十嵐:高橋透さんが同じこと言ってた。透さんはソウルのダンサーやってたの。チーム組んで。透さんが言うには、俺たちは音楽評論家じゃないんだ、ダンスして遊ぶ仲間なんだ、って。

KABUTO:やっぱり、踊ったときにしかわからない感覚、ダンスフロアにいる時にしかわからない聴こえ方、見え方って重要じゃないですか。それをみんな知ってるんですよね。それを言葉で確認したりしないですけど、自然とDJもそうなるというか。〈FUTURE TERROR〉が最初ハウスやってたのも、そこから今のテクノに移行していって耳がどんどん変化していくのも、踊ってる人ならではの感覚があるゆえにだと思います。

■五十嵐:ダンスの楽しさを、人一倍味わっちゃってる人たちなんだよね。

KABUTO:そうなんですよね。いまの〈FUTURE TERROR〉に来てる人は知らないかもと思うんですけど、最初は歌物がガンガンかかってましたからね。ゴスペルとか。デトロイト・ハウスが好きすぎて、実際みんなでデトロイトまで遊びにに行っちゃいましたし(笑)。
 デトロイトで音を作っている人たちって、結構生活が厳しいながらも、やっぱり音楽の力を信じてやってたりしますよね。自分も(進学はせずに)仕事して、働いた後にパーティの準備するために集まったりしてたんで、そういうところが当時ちょっと自分とダブって感じて、デトロイトの音楽にハマったっていうのもあるかもしれないですね。俺の勝手な妄想かもしれないですけど(笑)。仕事してキツいけど、その日のためにみんな気持ちをそこに持っていくというか。
 ひとつ、すげー嬉しかった話してもいいですか(笑)? さっき話したテレンスを呼んだ回の後なんですけど、デトロイトからテレンスとスティーヴ・クロフォードのふたりを一緒に〈FUTURE TERROR〉に呼んだ時があったんです。そこでNOBU君は(海外からゲストをふたり招く大切なパーティを)、テレンス、スティーヴ、俺、の3人だけで一晩やらせてくれたんですよ。そのときもお客さんパンパンで。すげー嬉しかったですね。任されたっていうのもあったし。スティーヴの前にやったんですけど、DJ変わるときお客さんすごい拍手してくれて、テレンスとスティーヴも来てくれてワーッってなって。本当嬉しかったですね。NOBU君はサラッと俺を指名してくれたというか。RYOSUKE君やKURUSU君でもいいはずなのに。でも俺に振ってくれたんです。

■五十嵐:それぞれがDJスキルを見せつけるためにパーティをやってるんじゃないんだよね。

KABUTO:それをすごい感じましたね。

■五十嵐:こないだ(2013年11月)、カブちゃんが〈ageha〉の〈ARENA(メインフロア)〉でやってたじゃない? 同じ日にNOBU君は〈ageha〉の中の〈ISLAND〉でやってたんだけど。いまの話を聞いて、その日のことともリンクすると思った。

KABUTO:俺は初めてNOBU君が〈ARENA〉でやるときも行ってたし、正直みんなも、〈ARENA〉はNOBU君だと思ってたと思うんですよ。最初話が来た時は、自分が本当に〈ARENA〉でやるとは思ってなかったし。今までやってきたことがちょっとずつ繋がってきた瞬間でもありました。

■五十嵐:カブちゃんが〈ARENA〉でやるって知ったときは、俺もめちゃめちゃ嬉しかった。11月にはその〈ARENA〉があって、インタヴューの最初に言った、〈FUTURE TERROR〉12周年におけるNOBU君の「お前、この1年いい動きしてるよ」という言葉があった。その時に俺は「やっぱり思ったとおりだな」って感じたんだよね。あれは同じクルーとしての言葉でもあるけれど、ひとりの男同士としての言葉なんだよね。

KABUTO:本来DJとしては、そういうの持ち込まない方がいいのかな、って思うところもあるんですけど、やっぱり千葉の人間ってそこが熱いのがいいところだから。そういうのがダメな人もいるんですよ。でもやっぱり俺はそういうところ出身の人間なんで。そういう人たちのパーティはやっぱ熱いから。泣けるっすよね。

■五十嵐:だからデトロイト・ハウスにも泣けるんだよね。

KABUTO:感動するし、流行り廃りじゃないスタイルで、本当にここ(胸に手を当てて)。気持ちの部分。いちばん芯の部分をちゃんとわかってる人にしかできないパーティというか。〈FUTURE TERROR〉もダメな人にはダメだと思うんですよ、でもそれはまだ、本当の〈FUTURE TERROR〉を知らないなって。 

■五十嵐:最近になってNOBU君を知った人には案外知られてない部分かもしれないし、もっとアナウンスをしたい部分だと思うんだよね。

KABUTO:常に100%。本気な人ですね。

■五十嵐:KABUTO君もそうなんだよ。

KABUTO:その影響を受けてるから。それは身体で教えられたというか、見せられましたね。言葉では何も言われてないですね。

■五十嵐:それで〈GRASSROOTS〉の〈LAIR〉も同じ11月に6周年。「本当に素晴らしかった」という感想は最初に伝えたけど、あの光景を見た時に、カブちゃんがいままで頭に描いてたことが、形になってきたことの表れだと俺は思ったんだよね。6年経って、それについてはどう?

KABUTO:元々は〈GRASSROOTS〉が10周年のときに、(店主の)Qさんから「カブちゃんやってみる?」って言われて、「いいんすか?」って、最初はホント気楽にはじめさせてもらったんです。そのときは〈FUTURE TERROR〉に在籍してたんで、〈LAIR〉はもうちょっとパーソナルなパーティ……自分のスタイルでパーティをやれたらいいかなと思ってました。その後すぐに〈FUTURE TERROR〉を抜けるんですけど、千葉で教わった、パーティを一から作っていくことを目標にしてやっていきたいと思ってましたね。6年本当あっという間でした。やっと少しは良い感じにやれてきたかなと。

■五十嵐:いま話してくれた、「結果的に〈FUTURE TERROR〉を辞めることになったけど、自由にやれることにもなったんで、千葉で教わった、パーティを一から作っていくことを目標にしてやっていきたいと思うんです」という話が実は、このインタヴュー冒頭で俺が言ったことなんだよね。俺がブッキングさせてもらった姫路の〈彩音〉で、酒でベロンベロンになりながら2時間ぐらい同じ話をずっとしてたよ(笑)。

KABUTO:だはは! ありましたね(笑)。元〈FUTURE TERROR〉の人間として、このパーティの凄さを、もっと知らしめたかったっていうのもありましたしね。

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これから厳しくなっていく環境のなかで、どれだけ工夫してサヴァイヴしていくか。それは、その人がこれまでやってきたことが全部出ちゃう部分だと思うけど、そこからいい音楽は絶対生まれてくると思っていますね。やっとみんな本気で考え始めたんじゃないかって思ってて。「なぜパーティをやってるのか」ということを。

■五十嵐:そして、〈LAIR〉が軌道に乗ってきた2009年には、カブちゃんとRYOSUKE君のスプリットのMIX CDシリーズ(『Paste Of Time』)を〈DISK UNION〉からリリースしたじゃない。あれは俺、いまだに聴いてる。さっきカブちゃんが「踊った人にしかわからない感覚を大事にしているDJが〈FUTURE TERROR〉には揃った」という発言をしていたけど、あのCDの空間の捉え方はまさしく、自宅ではない音の響き方を知ってる人たちのものだと思うんだ。
 去年、〈DOMMUNE〉の番組でベルナー・ヘルツォークの映画(『世界最古の洞窟壁画 3D 忘れられた夢の記憶』)を紹介する番組に俺が関わったときに、あの日の〈BROADJ〉をRYOSUKE & KABUTOにお願いしたのも、『Paste Of Time』からの流れなんだよ。あの映画は、それまで言われていた人間の起源を大きく塗り替えた、3万2千年前の洞窟壁画にまつわる作品なんだけど、それを〈DOMMUNE〉の番組前半で紹介するなら、番組後半の〈BROADJ〉は「あのふたりに頼んでみたい」と思ったんだ。

KABUTO:なんだろう、(『Paste Of Time』でやったように)空間をイメージするっていう行為というか、ある空間の中でダンスするとか、みんなパーティでやってることなんですよ。

■五十嵐:俺が素晴らしいと思ったのは、ふたりは映画に合った、洞窟という空間による音の響きを意識した選曲とミックスをちゃんとしてくれたのよ。空間プロデュースという側面でのDJの役割を見事に果たしてくれて、印象深いんだよね。

KABUTO:俺も、「洞窟」っていうテーマは初めてで(笑)、しかも何万年もさかのぼるっていうのは初めての感覚で、悩みましたけどね。

■五十嵐:何万年も前の人も、現代の人も、根本のところでは同じなんだよね。それを音で見事に表現してくれた。

KABUTO:あのときの録音はたまに自分でも聴いてます(笑)。でも、そうやっていろいろな現場でDJやれるのはありがたい話ですよね。いま、同じ〈CABARET〉チームのyone-koやmasda君と出会ったのもそうだし。yone-koに関しては、静岡にDJで行った時に、静岡のKATSUさんから「yone-koってのが東京にいるからよろしくね」って言ってもらったことがあって。でも実は俺は、当時から〈CABARET〉が気になってたんですよ。日本人の音源も結構チェックしてたから、The Suffraggetsも聴いてたし。で、静岡から戻ってきてから、〈CABARET〉に遊びに行って。そこで、「yone-ko君っすよね?」って、俺から話しかけたんですよ(笑)。「今度タイミング合ったら一緒にやろうよ」って。それがファースト・コンタクトですね。
 その後、さっき五十嵐さんが言った『Paste Of Time』を俺とRYOSUKE君とで出した時に、「リリース・パーティやらない?」って話になったんですね。それで「ふたりだけでやるのもなんだから、誰か呼ぼうか」ってなった時に、yone-koがいいんじゃないか、と。そのときにyone-koと初めて一緒の現場でDJやって、yone-koが俺らのDJにも反応してくれて。それですぐyone-koはわかってくれたと思うんですよね。その時、音楽の話はそんなにしてないと思うんですけどね。

■五十嵐:音で通じ合った。

KABUTO:そう、それで俺が「〈LAIR〉でもDJやってよ」って。逆にyone-koは自分が〈SALOON〉でやってた〈Runch〉に呼んでくれたり。そういう風に、とんとん拍子に。
〈CABARET〉のメンバーは、最初yone-koしか知らなかったんですよ。他のメンバーとは誰も喋った事なかったから。顔は知ってたんですけど(笑)、話しかけるのも照れくさいしって感じで。で、〈CABARET〉に遊びに行くようになって、yone-koと話してるときにmasda君が来て、「KABUTO君だよね?」って話しかけてくれて「よろしくっす」みたいな感じで。で、少し経ってyone-koはベルリンに行くんだけど、ある時にmasda君と話してて、「〈CABARET〉どうするの?」って聞いたときに、「パーティは続けたい。手伝ってくれない?」って言われて。で、俺、レギュラー・パーティも〈LAIR〉しかなかったから「いいよ」って。俺、最初、裏方の手伝いかと思ったんですよ。一足早く現場に入っていろいろケアしたりとか、そういう意味での手伝いを頼まれてるのかと思って返事したら「いや、DJで」って(笑)。

■五十嵐:そりゃそうだよ(笑)

KABUTO:それで2012年に〈CABARET〉に正式に入って、いきなりスコーンってやらせてもらって。そのとき思ったのが、「masda君、けっこう腹くくってんなぁ」って。本気だなって思ったんですよ。

■五十嵐:カブちゃんからの影響も強いと思うんだけど。

KABUTO:本当っすか。本気でやろうとしてる人には魅力を感じるし、そういう人じゃないとやりたくないし。

■五十嵐:一緒に本気でやれる新しい仲間ができて、それが〈CABARET〉ということなんだね。それじゃあ、この先の目標は? カブちゃんは〈FUTURE TERROR〉を離れるときから「DJとしても上を目指す」とも話していて、いまは事実、全国津々浦々に呼ばれるようになっているわけだけれど。

KABUTO:目標……大げさですけど、遊びに来てくれた人の人生を変えられるようなパーティをやることですかね。「このパーティがあったから、俺の人生変わっちゃったんだよね」って、来てた人に言わせてみたいですね。それだけかも。俺もパーティで人生狂わされたし(笑)。もちろんいい意味で。〈FUTURE TERROR〉で人生狂わされた人、価値観変わった人結構いると思うんですよ。それを伝えてくってわけじゃないですけど、人生巻き込み型パーティっていうか。生き方に対してもそうだし、全てにつながるじゃないですか。いろんな考えがあってもちろんいいんですけど、やっぱり音楽ってすごい原始的なもので、リズムはずっとあったものだから(人間にとってすごく大切なもの)。それはやっぱ、ずっと伝えないといけないっていうか。テクノだろうがハウスだろうが、基本、根っこの部分は一緒だと思うんですよ。お客さんの人生を変えるぐらいのパーティをしたいっていうのは、永遠のテーマですね。〈FUTURE TERROR〉を抜けてからですけど、やっぱりそれは常に目標というか。

■五十嵐:この生きづらい時代の、パーティの存在意義という話にもつながるよね。ただ楽しみたいだけなのに、どうにかして奪いに来ようとする奴らがいるからね。

KABUTO:それと戦う意味で音楽があると思ってるし。

■五十嵐: 〈LAIR〉に行ったときもさ、あのお客さんの優しさ。

KABUTO:そうなんですよね。

■五十嵐:あれはある意味理想郷だった。あれを目指したいと思ったよ。具合悪そうな奴がいたら「大丈夫ですか?」とか。「金なくて困ってる」っていう奴がいたら……。

KABUTO:一杯おごるとか。そういうことじゃないですか。助け合いの精神。「全てパーティから学んだ」って言ったら大げさかもしれないですけど……俺、元々は凄い人見知りなんですよ。さっきyone-koに自分から話しかけたって言ったじゃないですか。何かそれから、自分からいろんな人に話しかけるようになったんですよ。だいたい酔っ払ってんですけど(笑)。
 最近仲良くしてるSatoshi Otsuki君もそうで。(田中フミヤの)〈CHAOS〉にOtsuki君が来てたときに、「Otsuki君今度一緒にやろうよ!」って話しかけて、そうしたら「MIX聴いてましたよ」なんて言ってくれて「おっ!」みたいな。だからそういう、ベクトルが合う感覚というか、あ、この人全然大丈夫だわ、って嗅ぎ分ける感覚とか、そういうのもパーティから学んだし。だから、自分から行かないと何も開かない、待ってても何も来ない、っていうのは本当に、千葉にいたときに教わったことっていうか。

■五十嵐:ヴァイブスで繋がると、偏見も取れるしね。

KABUTO:そう。例えば〈CABARET〉はマニアックな音を出してるんだけど、みんなシュッとしてて、出で立ちもスマートじゃないですか。最初は俺、〈CABARET〉クルーとこんな仲良くなるなんて思ってなかったけど、なんだろう、〈CABARET〉に入るって決まったときに、俺のキャラがプラスに働くと想像できたんですよ。yone-koやmasda君みたいに知的で、膨大な知識のあるDJと、俺みたいなタイプのDJが一緒にやれたらいいパーティができるなっていうのが。バランスですよね。どっちが行き過ぎてもダメだから。お互い切磋琢磨して、バランスがとれてると凄くいい。それが今の〈CABARET〉なんですよ。

■五十嵐:違う人との調和ってことだよね。本当にここのところね、カブちゃんがずっと前から言ってたことが形になってるという感触を、きっと本人がいちばん感じているはずなんだよ。

KABUTO:そうですねぇ。感じられるようになったかな。

■五十嵐:周りも、そういうステージも用意してきているし。

KABUTO:なんか、DJ度胸じゃないけど、海外のDJが出るパーティで、そのゲストDJの後にやることが何回かあって。その時もまぁ普通に緊張はするんですけど、〈FUTURE TERROR〉のときに比べたら全然余裕、って正直思いましたね。当時は、NOBU君の後にDJすることほど、緊張するものはなかったですね。当時みんなNOBU君を観に来てるって感じもあって、お客さんはNOBU君で散々踊りつくして、DJ変わるとき「次DJ誰? まだ踊れるの?」みたいな空気があるじゃないですか。そういう現場を経験してきたから、外タレのときは緊張は少なくて。やっぱそれは、千葉でやってきた甲斐があったなぁ、っていうのは東京に出てきてから感じましたね。

■五十嵐:俺は、カブちゃんが実際いま好きな音楽とかも詳しくはチェックしてないんだけど、皆がカブちゃんやNOBU君に求めてるものっていうのは、パーティ=人なわけじゃん。

KABUTO:人生捧げてる人たちですから(笑)。

■五十嵐:だから俺はもう、今後の活躍を……。

KABUTO:「このまま散ってやるよ」って感じですね(笑)。

■五十嵐:ガハハハハ(笑)。

KABUTO:だからもう、そこの覚悟を決めてる人と決めてない人との違いは、俺のなかではものすごくデカいんですよ。東京でやってても、辞めちゃう人もいるじゃないですか。

■五十嵐:みんなセンスは凄くいいのにね。

KABUTO:そう。でもなんだかんだ言って、いまは東京で見せてナンボってところは実際あると思う。

■五十嵐:世界との玄関口だしね。

KABUTO:世界中見てもこんなクレイジーな街ってないと思ってるんですよ。本当、東京って独特な狂い方じゃないですか。だからそこで勝負できるっていう幸せも感じないといけないし、ここで生活することの大変さもそうだし、ここでDJできることのありがたみを感じながらプレイして、その気持ちをお客さんに伝えられるかどうかってことですよね。

■五十嵐:プレイがいいのは大前提としてね、そこに気持ちがないと、この街ではサヴァイブできないよね。

KABUTO:ニュースを見てても、これから厳しくなっていく環境のなかで、どれだけ工夫してサヴァイブしていくか。それは、その人がこれまでやってきたことが全部出ちゃう部分だと思うけど、そこからいい音楽は絶対生まれてくると思っていますね。

■五十嵐:だからいま、突きつけられてるんだろうね。

KABUTO:そう、やっとみんな本気で考えはじめたんじゃないかって思ってて。「なぜパーティをやってるのか」ということを。風営法(の問題)もあるし。デトロイトなんか2時までしかパーティできないですからね。それでもたくさんいい音楽が出てくる。普段の生活はキツかったりするのに。厳しい状況になればなるほど、音楽って良くなっていくじゃないですか。それに比べたら東京はまだ恵まれてるんですよ。すごい数のクラブやパーティがあるんですよ。

■五十嵐:本当に、いまの東京は凄いんだよね。

KABUTO:だけど実際は、(本気で)やれてる人はほんの一部じゃないですかね。でも歳とるとだんだん感覚が研ぎ澄まされてくるというか、同じような人が自然と集まってくるんですよね。どんどん辞めて抜けていくから、そういう人しか残んなくなってくるし。それでみんなで協力して盛り上げようとか、そういうことでもいいし。皆でできることがたくさんあると思うんです。

■五十嵐:こないだ俺、ele-kingのチャートで『求めればソウルメイトと必ず会える都内のDJ BAR&小箱10選 pt.1』ってやったけど、「ソウルメイト」ってそういうことなんだよね。若い人に「ソウルメイト」とか言うと笑われるかもしれないけど(笑)。

KABUTO:ジャンルとかじゃないんですよね。だから俺は〈GRASSROOTS〉でパーティやってるし。〈CABARET〉に入る前、〈LAIR〉にmasda君を呼んだ時なんですけど、秋本さん(THE HEAVYMANNERSの秋本武士)とかKILLER-BONGとかがフラッと来たことがあったんですよ。普段やってるクラブじゃ有り得ないですよ。masda君がDJやってるところに秋本さんがいるとか。で、Qさんが「これで秋本さんを踊らせたら凄いよね」とか言うんですよ。俺も本当、そう思って。ジャンルとかは無し。人と人。だから俺も、全然知らない人がやってるパーティ行ったりしてるんですよ。それで新しい感覚を覚えるし、いろんな考え方を知ることもできる。だから〈womb〉も〈AIR〉も遊びに行くし、逆にそこで遊んでる人たちが〈GRASSROOTS〉に来てくれるようになったりするんです。「こんなとこあったんだ、ヤバいね」って言ってくれて「でしょ?」って。でもキッカケがなかっただけで。そのキッカケづくりができたのはデカかったかな。そうすると「ひとりでGRASSROOTS来ちゃいました」とか言う人も出てくるんだけど、何でもいいんですよ。そうやっていろいろな音楽を聴いて、いろんな感覚や価値観を感じてもらえば、やってる意味があるというか。別にDJ巧い人でも、その感覚がなかったら俺はあんまり魅力を感じないし。NOBU君の凄さってそういうところにあるのかなって。〈BERGHAIN〉でやってて、〈GRASSROOTS〉でもやるっていう。

■五十嵐:それをやってたのは、ラリー・レヴァンなのかもね。

KABUTO:そういう感覚を身につけるのはすごい重要だと思いますね。場所を選ぶ嗅覚というか。その場の匂いを感じ取ってそこにガッと行けるというか。

■五十嵐:パーティがあれば幸せでしょ?

KABUTO:幸せですよ。パーティで皆で踊ったり、いろんな人と出会えたり、いろんなジャンルの音楽や人が交じり合う瞬間って、やっぱり楽しいし、幸せだって思います。それがいま自分がいちばん感じやすいのが〈GRASSROOTS〉なのかな、とか思ってますね。そこでいろいろなジャンルの人が交差して新しいものが生まれたら凄くいいし。「俺は違うことやるよ」って思うのもいいし。それを全部含めて、パーティでしかできない感覚というか。そこが全てですね。

■五十嵐:なんか、安心したよ(笑)。さっきからNOBU君、NOBU君、って言ってるけど、カブちゃんにとってはNOBU君発信だったものが、KABUTO君が発信することによって伝わっている人というのが、着実に増えているという風に俺は実感してるんだ。カブちゃんのいないところでね。それこそ、〈CABARET〉にしか行ったことのなかったお客さんが「KABUTOさん良かったです」と。そういうのを耳にしていると、おべんちゃらみたいだけど、カブちゃんは有言実行したんだな、と思う。

KABUTO:俺も意地ありますから(笑)。〈FUTURE TERROR〉を辞めた時の気持ちがずっと原動力になってますから。これからもずっと続いていくでしょうけど。

■五十嵐:いまでも〈FUTURE TERROR〉にはLOVEなんだね。

KABUTO:もちろん。当時〈FUTURE TERROR〉に関わった全ての人には本当感謝してます。お客さんとケンカしてるの五十嵐さんに見られたりとかあったけど(笑)。

■五十嵐:でもちゃんとその後仲直りしてたじゃん(笑)。音楽の前に人ありき、だもんね。

KABUTO:そういうところを感じられたら、また音楽が楽しくなるし。全てですよね、音楽と、人と、その人生。それについてくると思ってるんですよ、パーティって。そこにいるいろんな人に出会って、そこから生まれるものってたくさんあると思うんで。だから、グイグイ来る若い子に「シッシッ、あっち行け」なんて、絶対誰もやらないと思うんですよ。相当ヒドくない限りは(笑)。そういう若い子を増やしたいですね。ちょっとしたことでもいいんですよ。いいパーティだなって思って最後まで遊んだなら、グラス片付けたり、皆に「おつかれさまでした」って声かけてから帰るとか。なんでもいいんで、自分の方からパーティに関わって楽しんでほしいですね。そうすればもっと楽しくなるし。

■五十嵐:そろそろまとめようか。俺が話してほしかったこと、ほぼ全部言ってくれたよ。

KABUTO:あとは〈CABARET〉をよろしくお願いします。これから先も面白い動きがあるし。それで来年で〈CABARET〉は15周年だから、パーッと何かやるか、っていう話もしてて。DJも、〈CABARET〉関連デザインを担当してくれてるMAA君も含めてみんなでいいパーティやりたいと思ってます。

■五十嵐:常に応援してます。これからもその調子で頑張ってください。最近住居がご近所さんにもなったし(笑)。

KABUTO:まだまだ話したいエピソードは山ほどありますけど(笑)、今後の活動を楽しみにしててください。

■ KABUTO on line DJ MIX
CB-157 KABUTO
https://soundcloud.com/clubberia/cb-157-kabuto

Strictry Vinyl Podcast 10 KABUTO
https://soundcloud.com/strictlyvinylpodcast/svp010

■ DJ schedule
12/28(SAT) Mood and Voltage@cafe domina名古屋
12/30 (MON) KARAT@Solfa w DJ SODEYAMA
12/31 (TUE) TBA
1/10 (FRI) GRASSROOTS
1/18 (FRI) CABARET - a leap of faith edition - feat KAI from berlin
2/1 GIFT feat CASSY @AIR afterhours

- ele-king

OGRE YOU ASSHOLE - ele-king

 いま現在、私を完璧にトランスさせることのできる日本のバンドは、オウガ・ユー・アスホールであります。『homely』以降の彼らのライヴは、「ドリーミー」なんて生やさしいものではない、まさしく「サイケデリック」そのもの。「ロープ」という曲は、ヴァージョンによっては「ドープ」と呼ばれているけれど、私はライヴで演奏されるこの曲を世界中の人に推薦したいと思う。ライヴ会場で聴かなければ、この曲の真実は伝わらないし、そして、20分にもおよびであろうこの演奏を聴いたら、その日たとえどんなに嫌なことがあったとしても、1日のうちに2回以上も電車のダイヤルが乱れても、満天の星のなかをドライヴできる。初めての人は、日本にこんなバンドがいたことに驚きを覚えるでしょう。日本にもこんな、強いてたとえるなら、初期ピンク・フロイドとカンが混ざったようなバンドがいるのです。最新号の紙ele-kingの表紙も飾っています。
 というわけで、12月28日恵比寿リキッドルーム。今年最後のフリークアウトを楽しみましょう!


Eccy - ele-king

ども、Eccyです。今年もあっという間に終わってしまいましたねー。
結局リリース出来ませんでした(泣)。が、しかし! 何か最近気合いも入ってきたしモチベーションも上がってきたので、来年はリリースすると思われます! いやします! しよう! する! 出来るかな? いやしなきゃ! するでごわす!するなっしー! するめいか! するーざふぁいやー! ちゃかかーん! ということで、2013年のベストアルバムトップ10を書きました。載せたいのもっといっぱいあったけど悩みに悩んで絞りました。ではわたくし、2014年はもっと頑張ります! みなさんよいお年を!(紅白あまちゃん特集楽しみっすね)

https://twitter.com/_Eccy_
https://soundcloud.com/eccyprodukt
https://yusukekiyono.tumblr.com/

10 Best Albums Of 2013


1
Oneohtrix Point Never - R Plus Seven (Warp)

2
Jon Hopkins - Immunity (Domino)

3
Bonobo - The North Borders (Ninja Tune)

4
Danny Brown - Old (Fool's Gold)

5
Atoms For Peace - AMOK (XL)

6
相対性理論 - TOWN AGE (みらいレコーズ)

7
Sky Ferreira - Night Time, My Time (Capitol)

8
Zomby - With Love (4AD)

9
Pusha T - My Name Is My Name (GOOD)

10
Quasimoto - Yessir, Whatever (Stones Throw)

Cate Le Bon - ele-king

 「ルー・リードが死に場所として選んだところはやはり都市であったと誤解をさせて欲しかった」という三田格さんの文章を読みながら、わたしが思い出していたのはニコのことである。人間、一定の年齢になると死に方を夢想する瞬間もある。わたしにとっての理想形はニコだ。
 イビサ島で自転車でこけて死んだ。なんて、ごっつくていい。過去16年間、夏になると行っているのでイビサをチャリキで疾走する感じはよくわかる。あそこでこけて頭を打って死ぬなんて、実に清々しい。その最期だけで、ニコはわたしの永遠のヒロインである。

             ************

 ウェールズのニコ。と呼ばれるケイト・ル・ボンについては、例えば『ピッチフォーク』なんかは、両者の欠伸しながら歌っているような歌唱法の相似について、「生まれながらにして両者ともそういう歌い方をする」と書いている。それが皮肉にしろ何にしろ、ケイト・ル・ボンはニコに影響を受けている。んでそれは、全然悪いことではない。
 アデル→ダスティ・スプリングフィールド、リリー・アレン→ザ・スリッツのリリックス、というように、現代の女子アーティストは過去の女性アイコンのペルソナを借りなければアイデンティティ的に成立が難しいようなので、ニコまで出て来たというのは喜ばしい限りだ。
 が、その彼女がロスに移住したというので、整形&増乳でもしてハリウッド系に変身するのかと不安になったが、彼女が彼の地で製作したのは、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドに黙って言うことを聞かせているニコ。みたいなアルバムだった。フリーキー・フォークとか、サイケ・フォークとかいうカテゴリーに納められがちな彼女の新譜は、70年代もここまで行けば神々しい。トム・ヴァーラインの息遣いも聞こえる。後半のより実験的な曲群を聴いていると、ヴェルヴェッツのジョン・ケイルも思い出すのだが、そういえば彼もウェールズ出身のロス在住者だ。ひょっとすると、彼らはロスで会ったりしたのかしら。というようなことも夢想させるアルバムだ。
 上記のキー・ワード(アデルとリリーは除く)で引っかかるものがある人は聴いてみて損はない。冬の暗い午後には(UKはもう4時には暗闇だ)じわじわ来るアルバムである。

             *********

 すっかり芸能界の重鎮&ご意見番になっているという点では、UKの和田アキコになった感のあるノエル・ギャラガーがこんなことを言っていた。
 「レディー・ガガとかマイリー・サイラスとか、音楽以外のパフォーマンスで物議を醸すことがフェミニズムだと思っている女たちは、実は音楽界での女性アーティストの発展を5年ぐらい後退させている。本当に良い曲さえ作っていれば、そんな小細工は不要だろう。Sisters are not doing it for themselves.」

 リリー・アレンは、ビッチという言葉について「他人の反応など気にせず、言いたいことを言う女」と定義している。が、アタシはこんなことまで言えるのよ。平気で炎上だってさせちゃうの。みたいな過激ちゃんたちは、実は他人の目が気になって仕方ないからこそ「もっと私を見て」コンペに参入するのである。
 なんというか、ビッチ。はもういい。
 過激ちゃんや奇抜ちゃんたちの妙な切羽詰り感というか、不安定なきーきー声は聴きたくない。メンヘル上のプロブレムとフェミニズムというのはまた別の問題である。
 女であるということは、そんなに七転八倒するような大変なことではない。
 女であるということに自分の存在価値や存在意義を見出そうとさえしなければ。

 保育園の教室でわざと本棚の角に頭ぶつけて劇的に号泣する子や、ワンピースの裾をまくって裸体を晒しながらじっとり保育士を見ている子のような「私を叱って。そして抱いて」オーラを全開にしている女児が「ビッチ」タイプだとすれば、ケイト・ル・ボンは、いつも教室の片隅で黙々とお絵かきしているタイプだ。普段は何処にいるかわからないが、「え、これ、あなたが描いたの?」と思わず声をあげたくなるような絵を描いている女児である。こういう子が毎年クラスにひとりかふたりはいる。
 彼女なんかはマグカップまで焼いているそうで、焼いているうちにいつの間にかアルバム・タイトルの『マグ・ミュージアム』と呼べるほどの数になったというから、本当に物を拵えるのが好きなんだろう。
 男も女もない純然たる創造欲を感じさせる女子の音楽が、今年はやけに聴きたくなった。彼女たちは「女である」というどうでもいいようなファクトに拘泥して病んで気張って行き詰まっておらず、何よりもまず、創造することの楽しさを感じさせてくれるからだ。
 ケイト・ル・ボンとヴァレリー・ジューンとサヴェージズがわたしの2013年トップ・アルバム10に入っているのはそのせいだ。彼女らには自転車でこけて死にそうな気配がある。

Compilation Albums - ele-king

 コンピレイションを3~4枚。

Various Artists - New German Ethnic Music  Karaoke Kalk

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 エレクトロ・アコースティックならぬエレクトロニカ・アコースティック系の〈カラオケ・カルク〉が企画したのはドイツのフォークロアをマーガレット・ダイガスやウールリッヒ・シュナウスをはじめとするクラブ系のプロデューサーたちが電子化するというもので、1970年代にヘンリー・フリントがアメリカでブルースやカントリーをエレクトロニック化した「ニュー・アメリカン・エスニック・ミュージック」に習ったものだという。このところドイツでは過去の音楽に関心が集まっているらしく、移民たちがドイツに持ち込んだ音楽を浮き上がらせるためにリミックスという手法を選択したのだとか。なるほどトーマス・マフムードは北アフリカ起源のグナワをダブに変換し、グトルン・グットはクロアチアの無伴奏男性合唱、クラッパに重いベースをかませて高い声を引き立てている。マーク・エルネストゥスの興味はモザンビークに移ったようですw。

 元の曲がわからないのでジャーマン・ネイティヴのようには楽しめないものの、基調となっている重苦しさはブルガリアン・ヴォイスを思わせるものが多く、オープニングのムラ・テペリはまったくそのまんま。言われてみれば明らかにトルコ系の名前だったカーン(エア・リキッド)はかつての出稼ぎ先だったギリシア音楽をゴシック風にアレンジしてみせる(古代を中世化させたわけですね)。奇しくも2013年はトルコ人9人を殺害したネオ・ナチで唯一自殺しなかった女性、ベアテ・チェーペの裁判がドイツ中の注目を集め続けた年だけにトルコ系のプロデューサーが健在だったというだけで嬉しい知らせといえる。ワールプール・プロダクションズのエリック・D・クラークがキューバ系だったということも初めて知った。
 グルジアや南米からのエントリーもあって、2013年には相変わらずモンド気分な『ザ・ヴィジター』をリリースしたマティアス・アグアーヨと第2のジンバブエと化しているベネズエラのニオベはそれぞれヴェトナム・カン・ホーというフォーク・ソングとスペインのルネッサンス合唱を題材にレジデンツ風ラウンジ・ミュージックに仕上げている(そう、個人的には南米組、圧勝です)。つーか、トラック・リストは面倒くさいので以下を参照。
https://www.inpartmaint.com/shop/v-a-new-german-ethnic-music-immigrants-songs-from-germany-electronically-reworked/

HouseIDM

Various Artists - Scope Samurai Horo

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 なんだか補完しあっているようだけど、同じドイツから〈サムライ・ホロ〉がコンパイルした『スコープ』は期せずして、フォークロアとはなんの関係もないのに、似たような重厚さにに支配され、フェリックス・Kのヒドゥン・ハワイと同じく、ベーシック・チャンネルを通過したストイックかつスタイリッシュなミニマル・ドラムンベースを聴かせる。イギリスからASCや最新シングルがまさかの〈トライ・アングル〉に移ったニュージーランドのフィスなど、集められたプロデューサーはドイツだけとは限らず、このところ頭角を現しつつあるサムKDCや2011年に『テスト・ドリーム』が話題となったコンシークエンスの名前もあるものの、まるでひとりの作品を通して聴いているような統一感があって、その意志の堅さには恐れ入る。こういった音楽をマイナー根性ではなくファッショナブルな感覚で聴いていただけたら。



ExperimentalDrum'n'BassIDM

Various Artists - We Make Colourful Music because We Dance in The Dark
Greco-Roman

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 大量に吐き出される音楽にはやはり無意識が強く反映され、日本のそれには奇妙な躁状態が表出しているように(なんで?)、ヨーロッパはいまだ深い闇に沈んでいるようである。2017年までにEUからの離脱を国民投票で決めるだなんだと騒がしくなってきたイギリスは、しかし、まったく雰囲気が違っていて、ディスクロージャーのシングルをリリースしてきたグレコ・ローマンがコンパイルした『ウイ・メイク・カラフル・ミュージック・ビコ-ズ・ウイ・ダンス・イン・サ・ダーク(僕たちは暗闇で踊るのだから、カラフルな音楽をつくるのさ)』は(思わずタイトルで買ってしまったけれど)、たどたどしさをなんとも思っていない勢いと若さに満ち満ちている。ディスクロージャーとデーモン・アルバーンのDRCミュージックに参加していたトータリー・イノーマス・イクスティンクト・ダイナソー以外はまったく知らないメンツだったけれど、バイオとテルザがとても耳を引き、調べてみたら前者はヴァンパイア・ウィークエンドのクリス・バイオで、それこそヴァンパイア・ウィークエンドのトラックを使い回したハウス・ヴァージョン。ハーバートがデビューさせたマイカチューのプロデュースによるテルザはゼロの飯島さんもお気に入りのようで、「踊ってんじゃなくて戦ってんのよ/輝いてんじゃなくて燃えてんのよ/触ってんじゃなくて感じてんのよ」という歌詞を気だるげに歌っています。


Various Artists - Young Turks 2013 Young Turks

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 この辺りのシーンの火付けは野田努が言うようにジ・XXなんだろう。同じくレーベル・コンピエイションとなる『ヤング・タークス2013』はジ・XX「リコンシダー」にサウンド・パトロールで紹介したFKAトゥィッグス「ウォーター・ミー」とまー、レア・シングルばりばりで、コアレスのニュー・プロジェクト、ショート・ストーリーズ「オン・ザ・ウェイ」まで入ってますよ。いやー、こんなに勢いがあったら、そらー、EUも飛び出しちゃうかも知れませんねー。とはいえ、ギリシャを見放さなかったことで、EUには現在、周辺から弱小国が相次いで加入を決め、入れてもらえないのはトルコだけという感じになっています。〈ヤング・タークス〉というのは若いトルコ人という意味だけどね。

ExperimentalHouseAmbientElectro

ele-king vol.12  - ele-king

〈巻頭インタヴュー〉オウガ・ユー・アスホール
〈第二特集〉ブリストル・ニュー・スクール
〈第三特集〉ポスト・ジャズ菊地成孔            他
※電子書籍版へのアクセスキーがついています

 もういい歳こいてることは重々承知、僕は未だに自分の放浪癖を更正するすべを知らない。この原稿を書いている現在も、何の因果かヨーロッパを放浪している。これは、まあ、そのドリフト録とでも言うべきものだ。そもそもはふとした思いつきでLAに向かったことから始まるこの生活だが、今回の最終目的地もいちおうのところLA。僕の放浪はLAに始まりLAに終わるのだ。いや、終わればいいんだけれども。

 といいつつ、この記録を書きはじめた10月には、ローブドア(Robedoor)のヨーロッパ・ツアーのコラボレーターとして暗雲立ち籠める最悪の欧州をドリフトしていた。しかし彼らとの出会いは僕が初めてLAに長期滞在していた2009年に遡る。当時はLAの〈エコー・パーク〉をヤサにしていて、ローカルたちが集うギャラリーや人ん家で夜な夜な催されるアホなパーティーを通じて親交を深め云々、そこからずっとつながる縁である。

■Oct14th
 ローブドアのブリット(〈NNF〉主宰)とアレックスにベルリンにて久々の再会を果たし、昨年LAでの対バン以来初めて観る彼等のデュオ編成でのパフォーマンスに度肝を抜かしたのは言わずもがな、今回のツアーの前半戦をサポートしたスウェーデンからのナイスガイ、マーティンによる初めて見るサンド・サークルズ(Sand Circles)のライヴ・セットは素晴らしいものであった。〈NNF〉からの過去のテープはどちらもヴァイナルをプレスするにじゅうぶんなクオリティであるが、それを納得させるセットだ。
ショウ終了後、再会の感激冷めやらぬ我々はベルリンの寒さをものともせず、さらに寝床を提供してくれたお姉チャンの家が5階で勿論エレベーターが無いため全力で機材を持ち込むことによって全員熱気すら放ち、ヨーロッパの一般的ボロ・アパートの何たるかを忘れシャワーの順番を譲り、みなを起こさぬよう悲鳴を抑えながら3日ぶりのシャワーを冷水で浴びていた。

■Oct15th
 翌朝ムニャムニャのままプラハに向け出発。国境を越え、チェコに入国した途端に濃霧に包まれるハイウェイ。ようこそ暗黒のチェコへと言わんばかりの歓迎にテンションも上がる。幻想的なプラハの町並みに感銘を受けながらダンジョン感全開のハコでのショウ。この日のローブドアのセットは素晴らしかった。勿論この土地で得た僕の心象風景とローブドアのサウンドが相乗効果をもたらしたのであろうが。僕が嗜好するような音楽シーンがこの土地に根づいているのかはわからないが少なくともこの日集まった多くのオーディエンスが熱烈にソレを求めているのがビンビンに伝わってきた。この日の主催者たちが運営する〈アムディスクス(AMDISCS)〉等のDIYレーベルが放つ多くのリリースからもそれをうかがい知ることができる。


そしてこの画のように野暮ったい。しかし野暮なオーディンスこそがリアル。ノー・ハイプ・シット。見よ前列のお姉ちゃんを。

寝床への道中、マシンガントークで町のあっちこっちの歴史を熱弁するこの日のプロモーターの一人(名前失念)は最高だった。僕らのために用意してくれた寝袋のひとつがテントだったのは意味わからんかったけども。

■Oct 16th
全員が早起きした。宿先の正面にそびえ立つ重そうな教会前(Church of the most sacred heart of our load)で朝市が催されており、僕らは大量の新鮮な果物とチーズを購入し……って、そう、チーズ。ローブドアのアレックスは食品輸入関係の仕事をこなしているためか、とにかくチーズに目がなく、僕らはツアー全日程を通してあらゆるチーズをつねに喰っていたため、車内はつねにチーズ臭で充満していたであろう。
この日のショウはウィーンのフラック(Fluc)で移動時間に余裕のある僕らは満場一致でクトナー・ホラのセドレツ納骨堂に寄ることにした。メタル系バンドのジャケで写真が濫用されているアレである。ノリでホトケをLEGOのごとく積み上げてみました的な実物に感銘を受けながら僕らは今回初めての観光らしい観光に充足した。

 フラックで僕らを迎え入れてくれた〈ヴァーチャル・インスティテュート・ヴィエナ(VIV)〉を主催するステファンとシーラは間違いなくウィーンでもっともイケてるカップルだ。シーラは最高の手料理をふるまってくれ、サウンドチェック後に僕らはそれを堪能し、ステファンは自身のNHKヴァイヴなプロジェクトJung An Tagenでナイスなオープニング・アクトを務めてくれた。ハコのサウンドシステムもさることながら、この日はDJ陣が素晴らしかった。SKVLKRVSHと名乗るアンチャンは僕の今年度のヘヴィロテをほぼ網羅してくれたし(D.R.I.からピート・スワンソンのミックスとか最高過ぎる)、そして何故かジェノバ・ジャクジーが80'sゴス全開のDJを……。
どうやらヨーロッパ・ツアー中であったアリエル・ピンクス・ホーンテッド・グラフィティに参加していた彼女は、最高潮に達したメンバー間の不和によりツアー半ばにして脱退し、強引にソロ・ツアーを慣行していたらしい。アナーキー過ぎる……。


酔いどれアレックスとジャクジー。何でジャクジーなのよってツッコんだら超真顔で本名だからと仰っておりましたが……

■Oct 17th
 お次はチューリッヒへ、ちなみに僕は今回のドリフトに際してビザも帰りの航空券も取得しておらず、EU加盟国でないスイスに入国するのを危惧していたが、問題なく国境を通過できた。高架下とスケート・パークに隣接するハコ〈Klubi〉は、どことなく新大久保〈アースドム〉を彷彿させる構造と音作りで、爆音での演奏を熟知しているようだ。プロモーションからアテンド、サウンドメイキングまで手掛けてくれたロジャーはソルト(Soult)としてホーラ・ハニーズ(Hola Honeys)のプロモーション・ツアーでNHKと共に来日もしている。ソリッドなDJを担当していたお姉ちゃんが用意してくれた豪勢な食事は、あまりのうまさに全員が無言でガッついていた。
満腹で弛緩しながらも、このあまりにも勿体ない待遇の何たるかを、僕にとって初めてのヨーロッパ・ツアーであるがゆえのカルチャー・ショックなのか、それとももしかしたらヨーロッパにおけるミュージシャンシップはゲストを快く迎え入れることがひとつのステイタスなのかしらんなどなど夢想しながら眠りについた。

無駄にドリフトは続く……

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