「S」と一致するもの

しくじるなよ、ルーディ - ele-king

 9月11日の「新宿・原発やめろデモ!!!!!」で逮捕・拘留されてしまったわけだが、こういうことを言うと応援してくれた方や心配してくれた方に怒られてしまうかもしれないが、なかなか面白く、ファンキーな体験だった。まあ、そもそも何も悪いことをしていないから気が楽だった。2泊3日だったから良かったというのもあるが、留置所のなかの人間模様はさすが新宿署という感じでヴァラエティに富んでいたし、警察の内部の様子も取材できてしまった。拘留延長がついていたら気持ちも違ったのだろうけど、2泊3日で出られたしね。松本哉には、「早過ぎる! これから盛り上がる予定だったのに。いまから自首して来て」と言われた。あんたね~。
 僕の容疑は東京都公安条例違反というものだった。多くの人が、「何、それ?」という感じだろう。要は、「デモ参加者を扇動して、デモの隊列を歩道まで広げ、公共の秩序を乱した」ということらしい。扇動なんてしてないし、はっきり言っていちゃもん逮捕です。

 僕は雑居房に入ったのだけれど、当然いろんな理由で捕まっている連中がいる。シャブ、業務上横領、私服の女性刑事をキャッチして捕まった若いホスト、ビルへの不法侵入、酔っぱらっての暴行などなど。彼らの名誉のために言っておくが、彼らは間違っても手の付けられない極悪人ではない。どこにでもいる気の良い男たちで、僕が反原発のデモで逮捕された話をすると、そのうちの何人かは反原発デモを支持してくれたし、なかには東北の被災地にボランティアに行っていた若者もいた。金髪のホストの彼は、4月10日に高円寺で行われた第1回目の「原発やめろデモ!!!!!」を目撃していたらしい。「『モテたい』とかいう関係ないプラカードもありましたよね。あのデモうざかったっすよ」「ははは。だいぶ派手にやったからな~。今度、参加してみてくださいよ」なんて会話もした。

 刑事からは1回取り調べを受けただけだったので暇だった。暇な時間は留置所の貸本(『海峡を渡るヴァイオリン』が面白かった)を読んだり、同房の住人と雑談していた。だいたいがこれからの身の振り方か、くだらない下ネタか、弁護士の情報交換か、警察や検事に対する文句だった。「オレの弁護士はやり手ですよ」という話になれば、「その弁護士の名刺をくれ」という話になる。弁護士もピンからキリまでいるから、この話題に関してはみんな目の色を変えて、真剣に語り合っていた。実際、僕は面会に来てくれた弁護士の方と少し言い合いになってしまったし、こればっかりは相性というものがある。同じように、留置所係の警察にも嫌なヤツもいれば、良いヤツもいる。とはいえ、捜査をする刑事や検事は基本的に嫌なヤツが多い。というか、彼らは人の人生を役所仕事的に扱う立場にいるから手に負えない。本当はちゃんと人間を見て、拘留するか、しないか、起訴するか、しないかを判断しなければいけないのだけど、制度がそのようにできていないという問題がある。ハンコをポ~ンと押して仕事をした気になっているから困ったものだ。複雑な話なので、これ以上書かないが、とにかく、同房の住人たちが文句を言っていたのは、「なんでこんなに長く拘留するんだよ!」ということだ。ほんとその通り!

 留置所での最大の楽しみと言えば、もちろん朝昼晩の食事だ。朝食のおかずがハンペンのときは愚痴をこぼし、ウィンナーやから揚げが入っていれば、みんなで大喜びしていた。昼は食パンで、夜は白身魚のフライが入っているような、コンビニの幕の内弁当をショボくしたような弁当だった。昼食の時間に、徳永英明の甘ったるい、ムーディーなバラードを流すのはマジで勘弁して欲しかった。もちろんたいした食事ではないけれど、新宿署はそれなりに良い方だと聞いた。取り調べのときにカツ丼なんて出ません! しかも、6時に起床して6時半に朝食を食って、昼は11時半、夕食が16時半なんていう修道院みたいな生活なので、だいたいみんな便秘になってしまう。運動の時間はあるけど、狭い部屋に集められて、煙草を吸って、髭を剃って、ツメを切るだけだから、運動でもなんでもない。映画に出てくるような運動場なんてもちろんない。

 3日という短い拘留期間のなかで、僕にいちばん印象を残してくれたのは、ある警察官だった。検事の取調べを受けるために東京地方検察庁に行く際、僕に手錠をかけ、縄を腰につないで同行した、デモでもプレイしたSKYFISH似の留置所係だった。現在、30代前半の彼はファッションが好きで28歳まで池袋の服屋で働いていたという。20代後半になって、好きだけでは続けていないと、次々に仲間が転職していく。彼は人の役に立ちたいと警察官を志す。この不況のご時世、公務員という安定した職につきたい気持ちはわからなくもない。妙に腰の低い彼は僕に「音楽や本はどんなのが好きですか?」「服は高円寺で買うんですか?」などとあれこれ訊いてきた。ネットか何かで僕が逮捕された理由や事情を知っているようだった。彼は自分の好きな音楽について熱く語り、「くるりが好きなんですよ!」と力を込めて言った。『snoozer』の読者だったのかもしれない。そこまではいいが、他愛もない世間話をひと通りしているあいだに気を許してしまったのか、彼は検事の取り調べを待っているときに僕の横であろうことか豪快に居眠りをかまして、手錠さえかけ忘れそうになって、同僚にこっぴどく叱られて落ち込んでしまったのだ。「逃亡しないと思って......」。そりゃしねぇーけどさ! すぐ出るし。良いヤツだったけど、あんなに間の抜けた警官に会ったのは初めてだった。

 と、そんな感じの近くて遠い3日間の愉快な小旅行だった。まあ、でも、もちろん捕まらないに越したことはない。次はもっと上手くやるつもりだ。しくじるなよ、ルーディ!!

追記:10月に発売される月刊『サイゾー』に掲載される森達也さんとの対談では、9月11日のデモにおける逮捕の経緯や警察の過剰警備の実態について話しています。

The Rapture - ele-king

 そのシングル、"ハウス・オブ・ジェラス・ラヴァース"を初めて聴いたのはいつだったか......はっきり思い出せないが、僕の場合、たしか2003年に入ってからだったと思う。まだYouTubeもなかったので、ネット上ではなく、たぶん何かのイヴェントで聴いて、そして彼らのデビュー・アルバム『エコーズ』が出る頃にはそれを聴く度にバカみたいに奇声を上げる10代になっていた。ニューヨークに〈DFA〉という理想主義そのもののようなレーベルが生まれたこと、そしてそこを中心にディスコ・パンクという、ネーミングそのままの、しかしその相容れなかったはずのふたつの音楽を交配させた新しいダンス・ミュージックが発生したこと――後に知ったそれらの情報は、その興奮に拍車をかけた。当然僕だけではなかった。それから数年はインディ・ロック系のイヴェントでは"ジェラス・ラヴァース"は必ずといっていいほどスピンされ、その1曲はロック・キッズをギターをあくまで持たせたままでダンスフロアに向かわせるのに十分だった。実際、僕と同い年で「ディスコ・パンクが契機で洋楽を本当に聴くようになった」という友人がいて、彼はいま楽しそうにダブステップを追いかけている。
 "ハウス・オブ・ジェラス・ラヴァース"はいま聴くとたしかに「かつてのディスコ・パンクの音」だが、それでも生々しい興奮の記憶が残っている。〈DFA〉らしいパーカッションのイキのいい響きと、パンキッシュに荒々しいギター・サウンドとどこかぎこちないグルーヴ。それはパンク・キッズががむしゃらに鳴らし叫んだダンス・サウンドであり、LCDサウンドシステムが音楽マニアの中年の哀愁をその音にブレンドしていたのに対して言えば、ザ・ラプチャーは自分たちの未熟さや勢いを偽ることなく詰め込んでいた。

 セカンド・アルバム『ピーセズ・オブ・ピープル・ウィ・ラヴ』から5年の沈黙の末、ザ・ラプチャーが〈DFA〉に帰ってくる――しかも、LCDが活動を休止したこの2011年に――というニュースは、かつて"ジェラス・ラヴァース"で踊ったキッズのすべてが興奮したに違いない。リード・シングルとなった"ハウ・ディープ・イズ・ユア・ラヴ?"はすぐにネット上で聴けたが、その膨らんだ期待に大いに応えるものだった。バンド・サウンドではあるがパンクの要素はかなり後退し、シカゴ・ハウス調のピアノのリフと4つ打ちのバスドラムで幕を開ける、よりオーセンティックなディスコ・ナンバー。何と言っても4分辺りで加わり吹き荒れるサックスのソロと、それと対抗するように「君の愛はどれぐらい深い?」と狂おしく歌い上げるルーク・ジェナーのヴォーカルだ。そのエモーショナルな熱は、はっきりとザ・ラプチャーの帰還を告げていた。
 と言っても、本作『イン・ザ・グレイス・オブ・ユア・ラヴ』はかつてのディスコ・パンクではない。この新作のサウンドを特徴付けているのはシンセの煌びやかな音色であり、サックスのふくよかな響きと多重コーラスが醸すソウルフルさ、である。アッパーなシンセ・ディスコ・ポップ"セイル・アウェイ"で幕を開ける本作だが、まるで東欧の舞踏音楽とベース・ミュージックが合体したかのような"カム・バック・トゥ・ミー"、ぎくしゃくしたファンク・トラック"ネヴァー・ダイ・アゲイン"、"キャン・ユー・ファインド・ア・ウェイ?"など、曲ごとのスタイルは多彩だ。〈DFA〉と言ってもプロデュースはジェームズ・マーフィ&ティム・ゴールズワージーではなく、カシアスのフィリップ・ズダールということもあり、全体的に派手なプロダクションが目立つ。パンキッシュなギターの音色であったり高音のパーカッションであったりする、かつてのラプチャー的な記号であったサウンドはかなり抑えられている。

 このアルバムが8年前のように、新たな時代を呼び覚ますようなことはたぶんもうないだろう。それでも本質的なザ・ラプチャーの魅力が何も変わっていないと思えるのは、ルークの不安定に音程が揺れるヴォーカルが歌うメロウなメロディのせいだろうか。そしてそれは、本作でもっとも開放されている。前作で幼児言葉を使っていたように、あるいは本作の"カム・バック・トゥ・ミー"で「僕らはみな、子供ではないの?」と繰り返すように、ザ・ラプチャーの歌にあるぎこちなさや不安定さ、頼りなさはどこか子どもの叫びを思わせる。"ジェラス・ラヴァース"において彼らがダンス・ミュージックに持ち込んだのは、そしてロック・キッズの心を動かしたのは、思春期の危うさを孕んだものではなかったか。もっともメランコリックなメロディを持つタイトル・トラックでは「きみの愛に見守られ」と繰り返しながら、「どうか僕を否定しないで」ととても心細そうに吐き出している。
 本作における最大の驚きは、"チルドレン"と題されたナンバーで訪れる。振り切れたようにポップでアンセミックなシンセ・ディスコで......眩い光が降り注ぐような多幸感に満ち溢れている。「待ってくれ/たった一人の息子/きみの姿が見える/空の上から」という歌い出しは、ルークが4年前に母親を自殺で亡くしていることも関係しているのかもしれない。「子どもたちが呼吸する/子どもたちが離れゆく/僕には見える/きみと僕の姿が」......そこに、温かいコーラスが舞い降りてくる。「子どもたち」を無条件に肯定するかのように。子どもたちの踊る姿が見えてくる。
 アルバムは感情的なアップダウンを経ながら、やはり山場となっている"ハウ・ディープ・イズ・ユア・ラヴ?"のあと、ピアノのループがとてもスウィートだが、歌はどこか頼りなげなソウル・ナンバー"イット・テイクス・タイム・トゥ・ビー・ア・マン"で幕を閉じる。欲しいものはきっと手に入れられはず、カモン、ベイビー、やってごらん......そして"ハレルヤ"のコーラスとサックスが響き渡る。不安や心細さはいつもある。だがたしかにザ・ラプチャーはディスコのグルーヴで踊っていて、頼りない子どもであることをそのまま肯定するかのように、ソウルフルな歌を懸命に歌っている。

Alva Noto & Blixa Bargeld - ele-king

 およそ1週間前にマシュー・ハーバートの"ワン・ピッグ"ライヴを観ている。その同じ会場で、もっとも先鋭的なドイツの電子音楽家(アルヴァ・ノト=カールステン・ニコライ、坂本龍一との共演者としても知られる)と......ポスト・パンクの時代にチェインソーを金属に斬りつけるノイズを音源として、くず鉄を打楽器としたバンド、つまり、いわゆる既存の楽器のすべてを放棄したバンド、アインシュテュルツェンデ・ノイバウテンの中心人物にしてヴォーカリスト、ブリクサ・バーゲルトとのプロジェクト、ANBBのライヴである。破壊に憑かれ、ダダイズムに深く共振し、そして実験音楽に人生のすべてを捧げていると自ら語るアーティストの久しぶりの来日だ。オーディエンスの数は......意外なほど少なかったが、しかしそのライヴは耳と心にこってりと焼き付くものだった。

 フロント・アクトのNHKyxは、大阪とベルリンを往復する国際派の電子音楽家で、〈スカム〉〈ラスター・ノートン〉、あるいはセンセーショナル(元ジャングル・ブラザースのぶっ飛んだラッパー)との共作を〈ワードサウンド〉から......とにかくいろんなレーベルからたくさんの作品を出しているプロデューサーである。インダストリアルなビートを操作しながら、ノイズをかき鳴らし、IDMとハードコアなダンス・ミュージックの溝を埋めるような、インパクトのあるステージを披露した。続いて登場した伊藤篤宏のウルトラ・ファンクターは、蛍光灯のノイズを音源としながら、NHKyxの冷たいグルーヴをバトンタッチするかのように、彼の白い熱を展開した。昔、あるオーガニック系の人物から、家では絶対に蛍光灯は使わないと言われたことがある。ウルトラ・ファンクターはそうしたハイソなエコ人間へのアンチテーゼでもあろう。
 そうした強力なフロントアクトを経て、ステージに登場したふたりのベルリナーは、それまでの騒音とは真逆で、曲のなかには多くの静寂があった。ライヴは......ノイバウテンのリスナーにとってはお馴染みのバーゲルトのヴォーカリゼーション、あの水蒸気のような声(口笛のような音)ではじまった。

 黒いスーツでめかし込んで、もみあげを尖らせ、髪の毛をしっかりと整えてマイクの前に立っているバーゲルトは、ある意味古風な"ヨーロッパ主義"を強く感じさせるものだった。それはいまとなってはレトロ趣味のひとつとも言えるし、1920年代のベルリンのナイトクラブと2011年のIDMとの交流会という点では新鮮にも思える。
 ライティングは、すべてバウハウス的なデザインだ。直角で、そして色彩は2色に制限される。黒と赤、黒と緑、青と黒、そうした組み合わせで構成される。それは、かつてグラム・ロック/パンク・ロック/ポスト・パンクが、アメリカ的な経済繁栄への強烈な反撃として持ち上げたドイツ的な美学(非人間性や灰色の頽廃美、終末や衰退への陶酔、人工美、表現主義などなど)を表しているように思えた。
 "ワンス・アゲイン"~"ワン"~"ミミクリー"~"エレクトリシティ・イズ"......アルバム『ミミクリー』ではオウテカ(もしくはメルツバウ)を彷彿させるような情け無用の冷酷なエレクトロニック・ミュージックに思えたような曲も、ニコライの間(沈黙)を効果的に用いたIDM、そしてバーゲルトの呼吸まで聴こえそうなライヴではむしろエロティックに聴こえる。ジャック・ブレル(まあ、彼はドイツ人ではないが)のラップトップ・ヴァージョン――そんな言葉が脳裏をよぎる。「昆虫としてのあなた(You as an insect)/あなた自身を擬態する(Mimic yourself)」......バーゲルトは"ミミクリー"における最初の英詩をゆっくりと喋ってからはじめる。アルバムのスリーヴアートには、目を奪うような、女が昆虫のように町を這っている写真が使われているが、これは1967年の映画『欲望』にも出演しているドイツ人のスーパー・モデル、ヴェルシューカの写真である。
 アンコールの"フォール"(アルバムの1曲目)にいたってはさすがというほかない。周波数を手品師のように操作するニコライは、最初鼓膜の近くでさざ波を起こし、それをいつの間にか気が狂いそうなほどのノイズとして突き刺す(アルバムでは耳をつんざくノイズに思えたそれは、より展開のある楽曲となっていた)。そして静寂とピアノ、バーゲルトの歌......。最後の"ホール・イン・ザ・グラウンド"は、僕にはファーストの頃のスーサイド風、まあ、要するにロカビリー+ノイズに聴こえた(オリジナルではそうは感じなかった)。
 先週同じ会場で観たハーバートの、英国人らしい社会風刺のライヴ・パフォーマンスとはまったく別の興奮を覚えた。それは実験音楽に人生を捧げたと自負する人間による、現代における新古典主義とも喩えられるような、しばらくのあいだ家に帰りたくなるほど感動的で美しい時間帯だった。

なお、raster-notonジャパンツアーは今週も続きます!

【R-N EXPRESS】(東京公演)
■日時:2011年10月9日(日)23:00開場 /開演
■会場:渋谷WOMB
■出演:Alva Noto / Byetone / Vladislav Delay / Luomo / Aoki Takamasa /Anne-James Chaton / AGF / NIBO / Atsuhiro Ito
■raster-notonジャパンツアー特設HP:<https://www.raster-noton.net/japantour>

また、東京馬喰町にある現代美術ギャラリー、Motus Fort(モータス・フォート)では、11月5日までブリクサ・バーゲルトの展覧会をしています。
https://www.motusfort.com/exhibition.html

vol.13 : エレファント6がやって来た! - ele-king

 エレファント6なる集団に特別の感情を抱いている人は、30代もなかばの世代だろうか......。エレファント6とは、80年代後半、アップルズ・イン・ステレオのロバート・シュナイダー、ニュートラル・ミルク・ホテルのジェフ・マンガム、オリヴィア・トレマ・コントロールのウィル・カレン・ハートとビル・ドスという4人のルイジアナ州のラストンの学生時代の同級生が4トラックのカセットレコーダーでレコーディングしたことからはじまっている。
 彼らはテープを交換しあい、アルバムのアート・ワークやライナノーツを作り、レコーディングのコラボレーションとバンドを結成した。1991年にロバートはデンバーに、残りの3人はアセンスに引っ越し、そこからエレファント6という名前とロゴが発生し、彼らが関連する作品には、エレファント6のロゴがつくようになった。これは、エルフ・パワー、ビューラー、ジャービルズ、ミュージック・テープス、オブ・モントリオールなど、さまざまな仲間のバンドに広がった。ロバートはアップルズ・イン・ステレオとして、日本のトラットリア・レーベルからアルバムをリリースしている。
 エレファント6という名前は、90年代末にピークを迎えている。よく知られているように、「エレファント6ミニ・ツアー」として、2000年にはオブ・モントリオール、エルフ・パワー、カルヴィン・ドント・ジャンプが日本に初来日した。オリヴィア・トレマ・コントロールはカヒミ・カリィなど日本のアーティストとコラボレートしたり、ソニーからリリースされたヴェルヴェット・アンダー・グラウンドのカヴァー・アルバムにも参加している。

 ジェフ・マンガムは、ニュートラル・ミルク・ホテルとして、いまでは伝説のアルバムになっている『In The Aeroplane Over The Sea』を1998年に発表している。ちなみにこの作品は、アマゾンでは100枚のグレート・ロック・アルバム、『Q』マガジンで25年のあいだでのトップ30アルバム、『ヴィレッジ・ヴォイス』では1998年のベスト・アルバムに選ばれている。
 その後活動を停止していたが、2011年のATPのキュレーターとしてついにカムバックしたのである。伝説となっている彼を一目見ようと、チケットは早々にソールド・アウトとなった。インディロック・ショー・リスティング・サイトの「オー・マイ・ロックネス」では、今週(9/29現在)は一面にジェフの話題で満載である。

 ウィル・カレン・ハートとビル・ドスは、エレファント6の中心人物だ。オリヴィア・トレマー・コントロールのオリジナル・メンバーでもある。彼らは1999年に『Black Foliage』をリリースした後、サーキュラトリー・サウンド・システムと名義を変えて活動している。また、エレファント6の「ホリディ・サプライズ・ツアー」へとライヴ参加もあった。が、今回のオリヴィア・トレマー・コントロールとしては約10年ぶりのショーである。
 共演のミュージック・テープスは、ジュリアン・コスターのプロジェクトで、彼もエレファント6にはなくてはならない存在である。ニュートラル・ミルク・ホテルのメンバーで、ニューヨークではチョコレートUSAとしてビル・ドスと一緒にプレイしていた。
 ジュリアン・コスターのミュージック・テープスは、基本的には彼と7フィートの大きさの巨大メトロノームによるプロジェクトである。
 90年代後半、著者はアセンスに住んでいた。彼がちょうどこの巨大メトロノームを作っていた頃だった。そして、ミュージック・テープスとしてのプロジェクトを話していたとき、彼は「オービタル・ヒューマン・サーカス」という名前の巨大な遊園地ツアーをしたいと、目をキラキラさせながら語っていたのを覚えている。メトロノームの裏側には、さまざまな機材が入念に作り込まれていて、自動的に演奏する仕組みになっている。見た目もプレイもびっくりな楽器である。ここ何年か、ミュージック・テープスはララバイ・ツアーとして、人の家にララバイ(子守唄)を届けるというユニヴァーサルなツアーをしていたが、ミュージック・テープスとしてのショーはオリヴィア・トレマー・コントロール同様、かなりの久しぶりなのである。

 このオリヴィア・トレマー・コントロールとミュージック・テープスのショーが9月21日、マンハッタンの ル・ポワソン・ルージュであった。観客は意外にも若い人が多かった。隣にいた子に話しかけると、「オリヴィア・トレマー・コントロールは音楽を聴いたことがあって、ずっと見たいと思っていた」と、新しい世代は顔を赤らめながら言う。「今回、彼らが見れるなんてドキドキしている。もちろん、ジェフ・マンガムがキュレートするATPのチケットも買ったよ。本物のジェフが見れるなんて、夢みたいだ」

 筆者が会場に到着するとすでにミュージック・テープスがはじまっていて、ジュリアンはミュージック・ソウ(のこぎり)をプレイし、その隣ではオルゴールのような仕掛けのオルガンが自動プレイしていた。彼の父はルーマニアのジプシーで、今日はその父が会場に来ていると、ステージ上の彼は嬉しそうに話している。バンジョー、ミュージック・ソウなど曲のたびに楽器(彼の手作りである)を代え、やがて7フィートのメトロノームが登場し、トランペット、トロンボーン、キーボードなどのサポートメンバーが加わる。目で見て楽しい、耳で聴いて驚く、素晴らしいミュージック・テープスのショーだった。


ミュージック・テープス

 続いてオリヴィア・トレマー・コントロールが登場する。筆者が個人的に知っているドラマーのエリック・ハリスの代わりに、元オブ・モントリオール、エルフ・パワーのデリック、そして〈クラウド・レコーディング〉主宰のジョン・フェルナンデスがベース、ピーター・アーシックがキーボード、ウィル・カレン・ハートとビル・ドスがボーカル&ギター、ミュージック・テープスのジュリアン、ジャービルスのスコットもメンバーとして参加した。もうひとり、初めて見るメンバーがギターで参加していた。あとで聞くと、AJという男の子で、アップルズ・イン・ステレオから紹介されて、すでに何年か一緒にプレイしているらしい。
 ウィルの横には、タンバリンや摩訶不思議な打楽器やパペットと並び、マイク・スタンドの前にレコード・プレイヤーが置いてある。その上にはレコードではなく、緑色のリンゴが回っていた。昔と比べて年を取ったのは否めないが、演奏がはじまるとあの懐かしい、90年代後半の豊かな香りが放射される。新曲の"The Game You Play Is In Your Head, Parts 1, 2, & 3"や定番のの"Jumping Fences"、 さらにフリーフォームの"Green Typewriters"(No.1からNo.10まである)......、イントロがはじまると歓声が上がったり、歌詞の最初から最後までを一緒に歌う声が場内に響いたりと、1時間のショーはとても充実したものだった。古いファンは懐かしい曲にいちいち喜んだり、新しい観客にはまったく新しいバンドとして、さまざまな思いをうながしている。彼らは変わっていなく、やっていることも90年代とほとんど変わらない。新曲もあったがオリヴィア・トレマーらしい、胸がくらりと動かされるような美しさを持つ曲だった。
 アンコールを3曲ほど披露したあと、終わったステージ上からセット・リストを奪いあうファンの姿を横に、まだレコード・プレイヤーの上でくるくる回り続けるリンゴがあった。楽屋に行くと、ジェフ・マンガムがいて(デンジャー・マウスもいた)、今回のショーのことを嬉しそうに話してくれた。「来週ニュー・ジャージーでアコースティック・ライヴをするんだ」と、自分がキュレートするATPのことも話してくれた。昔アセンスで一緒に住んでいた頃と何も変わっていない。

 オリヴィア・トレマ・コントロールはこのあとATPに出演すると、10月中旬に地元アセンスのアセンス・ポップ・フェスに参加する。10年は何かの周期なのだろうか、彼らのリヴァイヴァルはもはや回顧展以上の意味を持っているようだ。デジタル化された2011年の音楽業界においてニュートラル・ミルク・ホテルのジェフがフェスティヴァルをキュレートすると、瞬く間にソールドアウトになる世のなかなのである。これは何を意味するのだろうか、なぜいまの世のなかが彼らに惹き付けられるのだろうか......、10年のあいだで忘れそうになっていたものをあらためて見直す良い機会になるかもしれない。


オリヴィア・トレマ・コントロール

 ジェフがキュレートするオール・トゥモローズ・パーティズ〈I'll Be Your Mirror〉は今週末9月30日に、ニュージャージのアシュバリー・パーク、10月3日はパラマウント・シアター、UKでは12月2日~4日に(w/フリート・フォクシーズ、ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン、サーストン・ムーア、ザ・フォール、ボアダムス、パンダ・ベアなどが出演)開かれる。

今回のショーレポート
https://www.brooklynvegan.com/archives/2011/09/the_olivia_trem.html

エレファント6集団について
https://www.elephant6.com/about.html

バンドへのリンク
apples in stereo:
https://en.wikipedia.org/wiki/The_Apples_in_Stereo
neutral milk hotel:
https://en.wikipedia.org/wiki/Neutral_Milk_Hotel
olivia tremor control:
https://en.wikipedia.org/wiki/The_Olivia_Tremor_Control
https://www.oliviatremorcontrol.com/
the music tapes:
https://en.wikipedia.org/wiki/The_Music_Tapes

第五回:緑の家に聴かせる音楽〈一〉 - ele-king

 横浜方面に向かうのは今年二度目で、この前は葉山の神奈川県近代美術館でのモホイ=ナジ展に電車とバスを乗り継いでいった。私はそこで秋田昌美の文章で知ったナジの「アンタイ・レコード」の現物を見る腹づもりだった。秋田昌美はモホイ=ナジについてこう書いている。
「だが、ナギ(モホイ=ナジ、この本ではモホリ・ナギと表記している/筆者注)は聴覚芸術家ではなく視覚芸術家であった。彼がレコード盤上に刻まれた「溝」という「音が視覚化された」レコードの物質面に注視したのも、おそらく彼が音楽ではなかったからであろう。さらに、彼はレコードを「創造的音楽」のために変形を加え得る様々な方法を列挙するに当たり、レコードを写真にとること、そして、「いかにそれらのレコードが演奏可能な本物のように見えても、まずはこうしたことから始めるのが好ましい」と述べる。さらに、「機械的・金属的な音」あるいは「鉱物的な音」についての実験を試みるよう提案している」(秋田昌美『ノイズ・ウォー』青弓社)
 直後に秋田自身「ナギの作ったレコードが一体どのような「音」を出したのかは分からない」と断っているように、この作品は構想段階で終わったのか、今回の展示にそれを思わせるものはなかった。ところがその構想コンセプトが示唆するものは少なくなかった。とくにノイズや、ヒップホップをはじめとしたDJカルチャーで、ノン・ミュージシャンがどのようにレコード・メディアを誤用してきたか、秋田はその歴史のはじまりにモホイ=ナジを置こうとする。もちろんこれは、レコード/ヴァイナルの物質性に親和的な、ほとんど90年代的なものの考え方であり、音楽が物質性を捨て去りつつある2010年代においてノスタルジックに見えなくもないが、容れ物であるメディアのフレームそのものを音楽のいち要素として捉えれば、この問題は音楽を再生するたびにリピートする問題であるはずだが、高度化~複雑化~巨大化しつつ偏在することで不可視になったメディア環境下ではこの問題意識は低い階層へもぐらざるを得ない。音楽ジャンルであるノイズをのぞき、聴取におけるノイズはデジタルデータの保存形式のちがいと見なされるのがこの時代のややこしさである。「貧しさ」をあえて選びとるより、知らぬうちに「劣化」している複製芸術時代が、利便性といっしょに寝そべっている現状を、私は否定するつもりはないけど、ムシするわけにもいくまい、とたまにわれにかえることがある。
 秋田昌美はモホイ=ナジについて述べた中で、レコードの出現が音楽の時間概念を変質させたとも指摘している。複製品の枠組みが音楽を一定の時間/空間に従属させるだけでなく、ポータビリティが音楽の聴き方の選択肢を広げる、と同時に、ハードさえあればリスナーの自由意識でいつでもどこでも再生可能だが、逆にいえば、ある種の「ルーズさも作り出す」。 レコードというヴィークルに乗った音楽は未来へ運ばれる。溝に刻まれた過去は未来に再生される。そして再生される過去は--環境やレコード盤のコンディションに左右されるので--過去と完全に一致しないがゆえに、「このことは『ノイズ』にとって利用できることとなる」と秋田昌美は書いたが、これはアーカイヴさえ携行可能なネットワーク時代、すべての記録された音楽に張りつく薄皮みたいなものになった。もとから音楽は時間とか空間とかと無縁であるはずはない。しかし現在の時空間はネット空間とも混ざり合っているものだから、一筋縄ではいかないのもまたたしかである。
 いま思えば、2008年の第3回目の横浜トリエンナーレのテーマだった「タイムクレヴァス」について、「哲学や科学を射程にいれた、きわめてベーシックなテーマ」と、私はある雑誌に書いたとき、アートにとって時間はいまだ古典的な命題だった。古典的だから論じがいのあることでもあった。挑む山の頂が見えていた感じだったのかもしれない。私はトニー・コンラッドや小杉武久、ヘルマン・ニッチェやポール・マッカーシーの作品の間を歩き、田中泯や勅使河原三郎のパフォーマンスを見ながら、作品と身体に流れる時間を感じた。それはミニマル(ミニマル・アートではない)というよりも、ゼロ年代後期の音楽のキーワードであるドローンに似た持続性を思わせる、身体に訴える時間操作だった。

 あれから3年がすぎて、4回目のヨコハマトリエンナーレ2011がはじまったと聞いて、私は紙版『エレキング』第3号(そろそろ書店に並ぶので、みなさんよろしくお願いします)をホウホウの体で入稿した9月17日、横浜に向かった。冒頭にも書いたが今年二度目である。遅い午後まで最後の原稿を待っていたので、今日は展示を見てまわれない。もう一回、いやあと二回くらいで全部を見たいとも思うだが、この日の目的は会場のひとつ、ヨコハマ創造都市センター(YCC)内に設置したピーター・コフィンの《無題(グリーンハウス)》で行うジム・オルークの演奏を聴くことである。YCC屋内にあるこの作品は、切妻屋根の温室の全面を透明の皮膜が覆っていて、種々の観葉植物の鉢植えが温室の内側をとりまくようにしつらえてあり、いち部は屋根のてっぺんまで伸びている。温室の奥には小口径のドラムセットが一台あって、私が到着したときにはすでに、ジムが演奏するのだろうか、入り口をふさぐようにモジュラー・シンセが置いてあった。コフィンのこのインスタレーションは、植物はよい音楽を感知し、反応するという説をモチーフにした作品で、真偽不明な--そもそも「よい音楽」の定義がここでは明確でない上に植物にとっての「よい」か人間にとってのそれか判然としない--疑似科学の理論上の瑕疵を、議論と想像のための余白に転化したものだろう。迷信や神話や伝承といった、筋書きがありながらいくつもの解釈を許す体系を逆手にとったこの作品は私たちの内心への問いかけでもあるが、音楽はあくまでここでは"ミュージック・フォー・プランツ"、「植物のための音楽」となり、人間は植物のおすそわけにあずかることになる。コフィンのコンセプトに忠実になればなるほど、演奏する主体は人間相手のあたりまえの、いつも通りのやり方を検証することになり、ある種の宙吊り、真空状態が主体の内面にうまれるのを期待できる。音楽は変わるかもしれないし変わらないかもしれない。だがそれも人間の基準でしかないと、コフィンは言外にいっているかにみえる。
 今回の会期中「植物のための音楽」のライヴ・パフォーマンスは都合6回予定しており 、すでにEYE、OOIOO、大友良英が演奏を行った。4回目となるジム・オルークのライヴは定刻通りにはじまった。シンセサイザー・ドローンを基調にした演奏はギターやラップトップともちがうウォームな質感だった。さらにジムは鉢植えの葉裏につけたコンタクト・マイクで採取した音を変調したノイズを、ミラーを彷彿させるドローンに加えることで、「植物のための音楽」を「植物による音楽」に読み換え循環させ、バイオニック(Bionic)というより、バイオトープ(Biotope)ノイズとでもいいたくなる音場をつくりだした。私は温室のまわりを散歩するように音を聴いた。「植物のための」という前提があるため、会場に席はない。YCCの高い天井に反響したドローンが位置を変えると、鮮明になったりくぐもったりする。音と一体化した《無題(グリーンハウス)》 は音楽のエンジンを借りて、時間と空間の中で動き出したようだった。音楽は耳新しいものではなかった、というより古典的に端正だったがしかし、時間や空間よりずっとアート/音楽が従属している人間というものを対象にしない音楽は演奏者だけでなく聴く方もゆさぶった。(次回へつづく)

(ライヴ情報)
2011年10月1日(土)17時30分~
ミュージック・フォー・プランツ
出演:蓮沼執太
会場:ヨコハマ創造都市センター(YCC)
※ヨコハマトリエンナーレ2011の詳細、会場へのアクセスは以下よりご確認ください
https://www.yokohamatriennale.jp/


ピーター・コフィン
《無題(グリーンハウス)》2010-2011
Installation/performance view for Yokohama Triennale 2011
Courtesy the Artist
Photo by KATO Ken
Photo Courtesy of Organizing Committee of Yokohama Triennale

Chart by JET SET 2011.10.03 - ele-king

Shop Chart


1

TORNADO WALLACE

TORNADO WALLACE PART NINE »COMMENT GET MUSIC
Delusions Of GrandeurやSleazy Beatsからの人気作で知られるオーストラリアの新進気鋭Tornado Wallaceによる新作が、大注目のレーベル"Instruments Of Rapture"から登場。

2

坂本慎太郎

坂本慎太郎 幽霊の気分で (IN A PHANTOM MOOD) »COMMENT GET MUSIC
只今制作中のソロ・アルバムから、先日自身のオフィシャル・サイトにおいて先行ダウンロード販売した話題曲「幽霊の気分で(In a Phantom Mood)」と、当7インチ・シングルへの収録が初披露となる「何かが違う(Something's Different)」の2曲をカップリング。

3

VOLTA CAB

VOLTA CAB LOVED BY THE SUN »COMMENT GET MUSIC
Ism, Diner City Sound, Apersonal Musicからの傑作シングルと共にシーン前線に舞い降りたロシアの大型新人、Konstantyn Isaev a.k.a. Volta Cabによるオリジナル新作2楽曲。Daniel Bortz & Ene! Remixも見逃せません。

4

SOULPHICTION

SOULPHICTION FREEROTATION »COMMENT GET MUSIC
ShackletonやMove Dら豪華レジデントを共にする"Freerotation Festival"からのインスパイアをもとに、デトロイト~シカゴ・ハウス影響下のグルーヴを自身のライブ・セットから抽出したディープ・ナンバー。

5

WILL SESSIONS

WILL SESSIONS THE ELMATIC INSTRUMENTALS »COMMENT GET MUSIC
大人気ファンク・バンドWill Sessionsが叩き出すクラシック・ビートの数々。素晴らしい完成度を誇っていた『Elmatic』ですが、独自のアレンジが効いた彼らの演奏に度肝を抜かれた方も多いはず! これは持っておきましょう! ※ダウンロード・カード封入。

6

TROPICS

TROPICS PARODIA FLARE »COMMENT GET MUSIC
Caribouファンにも大推薦のドリーミー・レフトフィールド・ディスコ新鋭Tropicsが遂にアルバム・リリースです!!

7

SPIKE

SPIKE MAGIC TABLE »COMMENT GET MUSIC
オランダのギタリスト、Spike Woltersが'81~'83年にかけて製作/録音していた発掘音源2作品に加え、Thomas Bullock (Rub N Tug/Map of Africa)によるWelcome Stranger名義でのダブ/アカペラ・ミックスを収録!!

8

VAKULA

VAKULA SHEVC002 »COMMENT GET MUSIC
電子音を飛び交わせながら美麗な鍵盤音を轟かせるスペーシーなディープハウス・ナンバー"You Cannot Resist"。B-Side"Rural Dances"も同様に、トリッピーな電子音や奥行きあるアトモスフェリック・シンセを絡めながら、カッティングエッジなボトム・プログラムで引き込んでいくディープ・ナンバーに仕上がっています。

9

AUNTIE FLO / DJ SDUNKERO

AUNTIE FLO / DJ SDUNKERO OH MY DAYS / CHOOSING LOVE »COMMENT GET MUSIC
グラスゴー在住の大新星Auntie Floによる待望のニューシングル!!ビッグ・ヒットを記録した'11年デビュー作"Goan Highlife"と同じく"Huntleys & Palmers"からの10"作品となった、南アフリカのDJ Sdunkeroとの大推薦スプリット。

10

ONRA

ONRA EDITS (CHANGE OF HEART / KEEP ON LOVING ME) »COMMENT GET MUSIC
ダンス・クラシックスとして名高いChangeの名曲をリエディットしたA-1は、原曲の良さを十二分に生かしながら、これぞOnraといわんばかりのエレクトロ・ブギーに仕立て上げた一品。Whispersが83年にリリースした大ヒット曲"Keep On Loving Me"をリエディットしたB-1も同路線の仕上がりで、両面ともフロアを彩る必殺のダブルサイダー!

Chart by JAPONICA 2011.10.03 - ele-king

Shop Chart


1

COFFEE & CIGARETTES BAND

COFFEE & CIGARETTES BAND SESSIONS -LIVE AT FORESTLIMIT- DISQUES CORDE / JPN / 2011/9/28 »COMMENT GET MUSIC
3台のラップトップ、ドラム、シンセサイザー、フルート、ギターと総勢8名によるほぼバンド編成とも言える迫力の陣容で送る第2弾。根底としてあ るDJ視点な部分がしっかりセッションの中で息づいており耳馴染みがとても良くミックスCD感覚でも楽しめます◎そしてKUTMAHに続くジャ ケット・アートワークは勿論この人、山尾光平 as BAKIBAKI!<CORDE>主宰MASAAKI HARA氏のライナーノーツも封入。内容/仕様共に素晴らしい!

2

THEO PARRISH

THEO PARRISH PARALLEL DIMENSIONS UBIQUITY / US / 2011/9/27 »COMMENT GET MUSIC
00年に自身のレーベル<SOUND SIGNATURE>から少量限定リリースされるも即廃盤、その後当時デトロイト勢へ熱い視線を注いでいたUS西海岸の良心<UBIQUITY>より04 年にアナログ未収録曲も追加でジャケも新たにリマスタリング・リイシューされたTHEO PARRISH傑作セカンド。この度長らく入手困難となっていた、その<UBIQUITY>盤が待望のオフィシャル・リイシュー!

3

V.A. [GLOWING PALMS / RUF DUG]

V.A. [GLOWING PALMS / RUF DUG] RUF KUTZ #3 RUF KUTZ / UK / 2011/9/28 »COMMENT GET MUSIC
RUF DUGが仕掛ける限定エディット・シリーズ<RUF KUTZ>第3弾!今回は新株GLOWING PALMSとのカップリングです。リプレス無しの限定250枚!

4

DJ NATURE

DJ NATURE CELEBRATE YOUR LIFE / LET IT RING GOLF CHANNEL / US / 2011/9/22 »COMMENT GET MUSIC
ラグドなクラップ・グルーヴに淡いシンセ・フレーズ、そして味わい深いヴォーカル/コーラス・ワークが艶やかにフィーチャーされる極上ブラック・ ビートダウン"CELEBRATE YOUR LIFE"、そしてディスコ・ファンク調のミニマルな疾走系グルーヴにこちらも黒い女性ヴォーカルが絶妙に馴染むクラップ・ディスコ・ハウス"LET IT RING"の鉄壁2トラック!

5

DJ NATURE

DJ NATURE EDITS VOL.1 GOLF CHANNEL / US / 2011/9/22 »COMMENT GET MUSIC
エレクトロ~初期ハウス的色合いが強いマッシヴな重厚四つ打ちグルーヴ"C.O.A"、爽やかなフィージョン・ソウルをネタにループ/ボトム強化 でグッとフロア映えするダンス・トラックへと仕立てた"BILLY C"、そしてパーカッション/チャント/ハットのコンビネーションが絶妙すぎるアフロ/土着ネタのミニマル・エディット"BUSH BEAR"と、いずれもDJ NATURE色がはっきりと滲み出た絶品トラックに仕上がっております◎

6

WILL SESSIONS

WILL SESSIONS THE ELMATIC INSTRUMENTALS FAT BEATS / US / 2011/9/24 »COMMENT GET MUSIC
孤高のリリシストNASの大傑作ファースト・アルバムにして90'Sヒップホップを語る上では外せない超重要作「ILLMATIC」をSLUM VILLAGEのELZHIが同郷のファンクバンドWILL SESSIONSを従え並々ならぬリスペクトを込め忠実にカヴァーしてしまった強烈作、その名も「ELMATIC」・・・のインスト盤、つまりWILL SESSIONS単体での「ILLMATIC」カヴァー!

7

ONRA

ONRA CHANGE OF HEART / KEEP ON LOVING ME ALL CITY DUBLIN / UK / 2011/9/25 »COMMENT GET MUSIC
A面はCHANGE"HEAVEN OF MY LIFE"を持前の肉厚エレクトロ・ヒップ・ビートにもったりレイドバック感注入にてズルリと料理仕上げたリエディット(ほぼリミックス)"CHANGE OF HEART"、そしてC/Wではこちらも極太ボトムでTHE WHISPERS"KEEP ON LOVIN' ME"をコーラスパートのループ・エディットでスムーシーにリエディットした"KEEP ON LOVIN' ME"を収録。

8

ANTHONY JOSEPH & THE SPASM BAND

ANTHONY JOSEPH & THE SPASM BAND RUBBER ORCHESTRAS HEAVENLY SWEETNESS / FRA / 2011/9/25 »COMMENT GET MUSIC
2大レジェンド、GILL SCOTT HELON&FELA KUTIからの色濃い影響を随所で垣間見せつつも二番煎じには収まらないオリジナル風情で紡ぎだす2011年型アフロ・ソウル傑作。ANTHONY JOSEPHのヴァーカル/ポエトリーもさることながら、やはりバック演奏を務めるTHE SPASM BANDのオーソドックスを踏襲した情熱的なアフロ/ファンク・グルーヴも素晴らしスギル!

9

DJ DUCT

DJ DUCT ONE TURNTABLE LIVE MIX "TODAY : TOMORROW" THINKREC. / JPN / 2011/9/14 »COMMENT GET MUSIC
ルーツでもあるファンク/レアグルーヴに「BACKYARD EDIT」収録ナンバーを織り交ぜ小気味良く展開していく"TODAY (FUNK SET)"サイド。そしてシーンを代表する大御所JEFF MILLSもDOMMUNE競演時に驚嘆の声をあげ、初見の数多くのオーディエンスを虜にさせた話題のダンスミュージック・セットとな る"TOMORROW (TECHNO SET)"の2テイクを収録。

10

JAMES PANTS & TOM NOBLE

JAMES PANTS & TOM NOBLE SELECTED SOUND REMIXES PT. 1 FACES / LES DISQUES SUPERFRIENDS / FRA / 2011/9/11 »COMMENT GET MUSIC
抜けの良いパーカッシヴ・ドラムブレイクがリズミックに進行するロービート・ファンク・ナンバー"DRUM AROUND"をドラムブレイクそのままにいかにもJAMES PANTS"らしい"ニュー・ウェイブ/エレクトロ・ライクなシンセ・フレーズを交えつつ長尺リミックスしたA面。そしてブギー感のあるキーボード・プレ イが印象的なエレクトロ・ジャズ・ファンク"DRUMCRAZY"をパーカッションの効いたディスコ・ビートにスペース・シンセ煌くダンス・ト ラックへとアップデートしたTOM NOBLEリミックスのB面。

[Electronic, House, Dubstep] #9 - ele-king

 最近読んだUKのメディアの記事で、〈RAMP〉レーベル(UKの〈ストーンズ・スロウ〉フォロワーで、ゾンビーやSbtrktなど出している)を主宰するDJのトム・ケリッジはいまだ月に数百ポンド分の新譜のヴァイナルを買って、DJするときもほぼ100%ヴァイナルだと自慢している。デジタルかヴァイナルか......この議論をここで蒸し返すつもりはない。が、去る9月、DOMMUNEでTHA ZOROや大阪のDJ、TUTTLEのプレイを聴きながら、あらためてアナログ盤でプレイするDJの魅力を思い知った次第である。

1.Cloud Boat - Lions On The Beach R & S Records


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 ジェームス・ブレイクの成功は、ダブステップのネクストとしての歌モノをうながしている。ジェイミー・ウーンのアルバムは本サイトではスルーしたけれど、〈エグロ〉あたりはジャズ・ファンク/ソウル・ミュージック寄りにそれを展開している。そしてクラウド・ボートは、レディオヘッドのリミックス盤のように、ダブステップをバックに歌っているトム・ヨーク、ないしはボン・アイヴァーである。つまり、ダブステップのインディ・ロックとの相性の良さを証明する1枚でもある。裏面は、ブリアルのサイケデリック・ロック・ヴァージョンといったところ。

2.FunkinEven - Rolands Jam Eglo Records


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 ロンドンのファンキンイヴンは、〈エグロ〉レーベルが発掘した新世代のアシッド・ハウス野郎で、すでにこれが4枚目のシングル。前作「彼女はアシッド」に続いて、レトロスペクティヴなアシッド・ハウスを展開している。というか、アシッド・ハウスとは、いま本当にレアグルーヴになっている。より音がクリアになって、もちろんベース・ミュージックの流れを引いてはいるものの、ウワモノのアシッド音は紛れもなく1987年のシカゴである。

3.Floating Points - Faruxz / Marilyn Eglo Records


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 今年の6月にリリースされた12インチで、A面の"Faruxz"は、以下に挙げるアーティスト名のうち3人好きな人がいたら間違いなく聴いたほうが良い曲。カール・クレイグ、初期のエイフェックス・ツイン、フローレンス、グローバル・コミュニケーション、あるいは〈FXHE〉レーベルの美しいディープ・ハウス。

4.Lucky Paul - The Slow Ground EP Somethink Sounds


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 グライム/ダブステップの荒野をあとに洗練化へと向かうネオ・ソウルからまた新しい才能が登場した。これはロンドンの新しいレーベルから、ニュージーランド出身でベルリン在住のラッキー・ポールのデビューEP......EPとは言え7曲入り。
 B面ではギャング・カラーズ(ジャイル・ピーターソンのレーベルの秘密兵器)、エリフィノ(Eliphino)がリミックスをしている。ゴンザレスやモッキーらとセッションしているドラマーだという話だが、グライム(ヒップホップ)の冷たいビートにパーカッションを与えたA-1やA-3、ジェームス・ブレイクやマウント・キンビーを意識したA-2、そしてR&Bを試みたA-4など彼の折衷的な態度を見せている。

5.Δ Δ - Sportex / Ikonika Remix Pushing Red


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 テキサスのダブステップのレーベルから、謎のプロジェクトのリリースだが素晴らしい。音は現代風のヒップ・ハウスというか、実にエネルギッシュなラップ入りのダブステップとシカゴ・ハウスとの古くて新しい幸福な出会いとなっている。B面は女流ダブステッパー、アイコニカよるジューク。前半は絵に描いたようなジュークで、しかし後半は彼女のコズミックなグルーヴで飛ばしていく。  〈プッシング・レッド〉はアメリカのレーベルだが、音はUKの影響下にある。アメリカ人プロデューサー、ジャス・ワン(Jus Wan)によるUKガラージ作品などリリースしている。

6.Duff Disco - Grand Master Duff / Slow Duff Disco


 今年はダフステップ名義でアルバムを発表したジェレミー・ダフィーのダフ・ディスコ名義のアンオフィシャルな1枚。A面はグランドマスター・フラッシュ&ザ・フューリアス・ファイヴの"ザ・メッセージ"、B面はカイリー・ミノーグの"スロー"をネタにしている。彼らしい、気の抜けたゆるいディスコだが、B面はとくにその脱力感がひかっている。

7.Untold - Bones Remixes SSSSS


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 ポスト・ダブステップにおいて、多くのリスナーにアルバムが待たれているのはピアソン・サウンドとそしてこのアントールドだろうけれど、筆者がより得体の知れない才能を感じているのは後者である。ピアソン・サウンドはプラスティックマンをなぞることができるが、アントールドは、これだけ多くのプロデューサーがハウス回帰している現在でも他とは違うところを見せている。
 これは2008年の曲をジョーとロックウェルがリミックスしたもので、ジョーのリミックス・ヴァージョンがとにかく素晴らしい。キックドラムに頼らずに最小のパーカッションで構成されるこのトラックは、機械で作られるダンス・ミュージックにはまだ創造の余地があることを証明しているようだ。

8.Owiny Sigoma Band - Tafsiri Sound Brownswood Recordings


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 アフリカ・ミュージックは新たな展開は、クラブ・カルチャーとの交流である。ナイロビのオウニー・シゴマ・バンドのリミックス・シングルは、そのことを象徴する。A面はクァンティックによる2ヴァージョン、フリップ・サイドはジェシー・ハケット(ロンドンの〈オネスト・ジョンズ〉からのジャズ/ファンクの作品で知られる)、ヘロー・スキニー(何者かわからん)によるヴァージョン。スキニーによるボンゴやコンガの響きに的を絞ったややファンキーよりのミックス以外は、ハウス・ミュージックとして機能する。すべてが良く聴こえるのは原曲がいいからだ。

9.Mark Ernestus Meets BBC - Ngunyuta Dance Remix Honest Jon's Records


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 これもアフリカとクラブ・カルチャーとの交流のひとつ。現代の南アフリカ音楽のコンピレーション・アルバム『New Wave Dance Music From South Africa』の収録曲をベーシック・チャンネルのマーク・エルネストゥスがリミックスしたものだが、まったくお見事な出来。ドイツ的な美意識による直線的なミニマル・ダブの極意というか、『ゼロ・セット』が古く思えるほど。アフリカの熱さとドイツのメトロノーミックなビートの出会い。
 ちなみに、このシリーズには他にアンソニー・シェイカー、そしてリカルド・ヴラロヴォスの2枚がある。筆者は3枚試聴してこれだけを買った。

10. Bjork - The Crystalline Series (Omar Souleyman Versions) One Little Indian


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E王"クリスタライン"はリスナーを惹きつけて止まないビョークの得意なコブシ回しの入ったパワフルな曲で、彼女の音楽にハマったことのあるリスナーなら1回聴いてすっかり好きになってしまうタイプの曲である。オリジナルはシンセ・ポップ的なはじまりから後半はエイフェックス・ツイン流のドリルンベースへと展開する。ビョークらしいエレクトロニック・ミュージックのパワーを吸収した曲である。
 リミキサーでもっとも驚いたのが、アラン・ビショップが世界に広めたであろうシリアのカントリー・フォーク歌手のオマー・ソウレイマンで、リミックスというよりは、そのオリジナルに合わせて演奏して(サンプラーをブッ叩いて)、歌っている。この濃厚なエキゾチズムはかなり魅力で......というか爆笑ものだ。B面に収録された2曲ではほとんど自分のやりたいことをやって(演奏して、うわーおーなどと高らかに歌い)さっさと切り上げるという、実に清々しい態度でビョークに接しているように思える。だいたい、リミックスを依頼されたというのに、ソウレイマンは勝手に共作にまでしてしまったようなのだ。ちなみにこれはシリーズの3作目である。2作目がマシュー・ハーバート、4作目がポップス界の大物サーバン・ゲニー。
 しかし、A面45回転、B面33回転というのがいまのトレンドなんだとあらためて認識した。

11.The Stepkids - Legend In My Own Mind Stones Throw


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 これはもう完璧なレトロマニア。甘ったるいヴィンテージ・サイケデリック・ファンクのスタイル(テンプテーションズの"クラウド・ナイン"とか、あのあたりです)を展開する3人組のヴォーカル・グループ、ザ・ステップキッズのアルバムからの先行シングル。たたみかけるシンセサイザーの感じはいまどきのチルウェイヴにも通じる......というか、最近の〈ストーンズ・スロウ〉は、ジェイムス・パンツもそうだが、インディ・ロック・キッズ向けのものが目立っている。

12.Frankie Knuckles Feat. Jamie Principle - I'll Take You There Nocturnal Groove


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 ハーキュリーズ&ラヴ・アフェアにフレンドリー・ファイアーズ......フランキー・ナックルズとジェイミー・プリンプルといった巨匠がカムバックする準備は整っていた。シンセ・ポップのアンダーグラウンド・ダンス・ヴァージョンとしてのハウス・ミュージックである。
 そういえば最近はグラスゴーの〈ナンバーズ〉からファンタジー・クラブの"ミステリー・ガール"がリイシューされている。きっと近々、DJピエールも出てくるだろう。シカゴ・ハウスは確実にいま旬なのだ!

13.James Blake - Order / Pan Hemlock Recordings


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 デビュー・アルバムとも、そして「CMYK」ともまた別の、ジェームス・ブレイクのメロディらしいメロディなしの、ミニマル・トラックがふたつ。ラマダンマンを徹底的にストイックに、反物語的にした感じで、ちょうどこのEPを買うときにプラスティイックマンのボックス・セットがレジの隣にあった。
 まあ......このアシッディな感覚は〈ヘムロック〉らしいと言えばらしいし、"Pan"の荒廃したイメージは他にない説得力を秘めているかもしれない。ダンス・ミュージックとしての面白味においては、10年前のヘロイン・ハウスを彷彿させる。そういう意味では筆者にはアンビヴァレンツな作品で、いちど評価を上げるとしばらくは何をやっても支持されるというのは、ありがちなことではあるけれど、これよりも数ヶ月前に都内のお店に出回っていたデスチャとリル・ウェインをネタにしたトラックのほうが、いまはまだ魅力を感じる。

14.Four Tet - Locked / Pyramid Text


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 フォー・テットの主宰する〈テキスト〉レーベルは、わが国の12インチ市場でいまもっとも人気のひとつである。すぐに売り切れるのだ。それもよくわかるというか、"Locked"はミニマル・ハウスのフォーマットを使って、フォー・テットらしいメロウな展開をする。カール・クレイグがペーパークリップ・ピープル名義でダブステップ少々のビートを取り入れたと想像すれば良い。"Pyramid"は、いわばフォー・テット流のシカゴ・ディープ・ハウス解釈で、オーソドックスな4/4キックドラムのグルーヴィーなダンス・ミュージック。トラックの後半にはエレガントなメロディが重なってくる。

15.Juk Juk - Winter Turns Spring Text


 何者かわからないが、このスロー・テンポのミニマル・ハウスは機能性重視のトラックではない。〈テキスト〉レーベルらしい楽曲性の魅力に重点をおいた、陶酔的な響きを有している。メロディが重なる"Winter Turns Spring(冬から春へ)"の素晴らしい叙情性を聴いたら、作者が何者かわからなかろうが、思わずレジに走るだろう。フリップ・サイドの"Frozen"もそうだ。牧歌的なアンビエントではじまって、しばらくすると遅めのビートが脈打つそれは、空想的な悦びを刺激するだろう。
 もしお店に行ってフォー・テットのEPかこれかで迷うことがあれば、筆者は迷わずこちらをオススメする。

16.DjRum - Mountains EP (Part 1)+(Part 2) 2nd Drop


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 このレーベルは、ダブステップ系の人気レーベルのひとつなのだが、前回のLV以来、2枚同時(Part 1、Part 2)にリリースしている。しかも内容が素晴らしいから、タチが悪い。90年代のダビーなブリストル・サウンド、もしくはブリアルが好きなリスナーにはたまらない音楽で、そう、ダブの恍惚なのだ。フリップ・サイドはダンスフロア愛好者向け。
 ジャマイカ声のMCが入る"Part 2"も良いし、そこに女性ヴォーカルが重なる"Part 3"への展開も申し分ない。とくに後者のずぶずぶのダウンテンポは葉族には最高のBGMだろう。"Turiya"は女性ヴォーカルを活かしたソウルフルなダブステップで、目新しさはないが、筆者はとってはこれがもっともグッと来るタイプのアーバン・ソウルである。DJラムか......覚えておこう!

James Blake - ele-king

 この1年、自分がとくに熱を入れて聴いていたのはチルウェイヴとポスト・ダブステップだから、まあ要するにウォッシュト・アウトとジェームス・ブレイクに代表されるものだったわけだ。もっとも『ジェームス・ブレイク』は、"CMYK"の抜け目のないポストモダン的な展開(周知のように、あの曲は有名なヒット曲のサンプリングを、それとわからせないように使っている)、ないしはそれまでのポスト・ダブステップの文脈を思えば、自分で歌って自分で演奏しているという点において古典的な音楽作品とも言える。まあ、日本は欧米と違って"CMYK"がクラブ・ヒットしたわけでもないので、あのアルバムの文脈はどうでもいいと言えばどうでもいいのだけれど、それでもブリアル以降の展開においてもっとも突出した1枚になったことはあらためて記しておきたい。というのも、それまでダブステップにとくに関心のなかったリスナーが『ジェームス・ブレイク』を聴いたあとにブリアルの『アントゥルー』を聴いたら良かった......などという話も耳にしている。そう考えると、ダブステップのメランコリーな響きも、日本ではむしろこれから新しいリスナーに再発見/再解釈されていくということも充分にありうる。

 「ふたりの愛が壊れるときに君は言った。『私の愛は北極星のようにつねにそこにあるわ』と」......さて、「エナフ・サンダーEP」は、すでに話題となっているジャスティン・ヴァーノン(ボン・アイヴァー)とのコラボレーション曲"フォールズ・クリーク・ボーイ・クワイア(フォールズ・クリーク少年合唱隊)"、ジョニ・ミッチェルの有名な『ブルー』(1971年)の"ア・ケイス・オブ・ユー"のカヴァーほか4曲の新曲、つまり合計6曲が収録されたジェームス・ブレイクのシングルである。『ジェームス・ブレイク』がリリースされたとき、"CMYK"の大ヒットを経験している欧米ではずいぶんと議論が、賛否両論が湧き上がった。たしかに『ジェームス・ブレイク』は、ダブステップ・シーンで有名になったプロデューサーが作ったアルバムとしては好き嫌いが分かれるようなタイプの作品だ。僕のまわりでも好き嫌いがはっきりを分かれたが、仕方がないことだと思う。なにせクセが強いし、誰もがスコット・ウォーカーやジャック・ブレルを好むわけではない。しかし、あれが嫌いだと言っているリスナーにとっても、ジェームス・ブレイクがこのあとどう進むのかは興味津々だ。ブレイクには〈ヘムロック〉レーベルのように帰れる場所があるし、その他方ではよりSSW色を際だたせるということもできる。そうした観点で言えば、「イナフ・サンダーEP」という新作は"ア・ケイス・オブ・ユー"の歌詞の一節に象徴されるだろう。「暗闇のなかで輝いているのかい? 僕を捜しているのなら、バーにいるよ」
 物悲しいピアノと彼のすすり泣くような歌声はまったく相変わらずだが、「イナフ・サンダーEP」に収録された新曲には、彼のひとつの拠り所――UKのアンダーグラウンドなクラブ・シーン――との絆を感じるものがある。最初の曲"ワンス・ウィ・オール・アグリー"で挿入されるベースはまだ大人しいが、"ウィ・マイト・フィール・アンサウンド"ではブレイクは、彼の〈ヘムロック〉での音楽性と『ジェームス・ブレイク』を融合させている。冷たいが躍動感のあるビートと不穏なアンビエントが一体となっている。"ノット・ロング・ナウ"もそういう意味で、ブレイクのエレクトロニック・ミュージックを望んでいるリスナーを満足させるかもしれない。彼のサンプリングの妙技、そして後半に重なるミニマルなブリープ音と床に響くベースライン、そして彼の歌との協奏曲は、見事と言うほかない。ジャスティン・ヴァーノンとのコラボレーションは曲の素晴らしさは、もうみなさんはご存じだと思うので、いま僕がここで書く必要はないだろう。2011年にもっとも輝かしいソウル・ミュージックを挙げると言われれば、これだ。タイトル曲の"イナフ・サンダー"は、ピアノの伴奏だけのエレジーである。

 なお、日本盤として、デビュー・アルバム『ジェームス・ブレイク』にさらに2曲のボーナス・トラック、そしてCD2として「イナフ・サンダーEP」を収録した来日記念盤もリリースされる。

Teen Daze - ele-king

 ティーン・デイズの音楽が急激に広がったのは、それがブログ主導の音楽カルチャーによって生みだされたものだといういい例だ。というのはある海外サイトで見かけた分析なのだが、書き手クリス・タプリーはそこに「はやさがウリ」というニュアンスを嫌味っぽく加えている。たしかに、誰もまだ見つけていない音を聴いてみたい、それをいちはやく紹介したいという欲望は筆者にもあるし、実際になにかしらの使命感をすら持ってそうしたフック・アップ作業をみずからに任じているブロガーも多いことだろう。大手の雑誌社に入る必要も、ファンジンを刷って配ってまわる必要もなく、簡単な手間で瞬時に、しかも世界に対して投げかけることができるわけで、レビュワーや発掘者たちがその嗅覚をかけて競合する状況が生まれている。インターネットが広げたのはインディ・アーティストたちの可能性ばかりではなかったわけだ。しかしクリス・タプリー氏の文章はこうした状況自体を快くおもっていないような書きぶりである。おそらく彼にはそれがイージーではかない「素人たちの祭」のように見えるのだろう。そうした祭の嚆矢ともいえるチルウェイヴというタグなどは言語道断なのである。しかし、ではオーソリティーなきブログ文化は音楽をつまらなくするだろうか? 折にふれて何度も述べているように、筆者はそのような見解はとらない。そしてブログ文化の寵児とも言えるチルウェイヴは、成熟社会におけるリアルな批評として現在もっとも説得力を持つ音であると思っている。

 それはともかく、ティーン・デイズにもまちがいなくチルウェイヴのタグがつくだろう。ドリーミーなシンセをサウンドの軸としたサマー・ウェイヴだ。このヴァンクーバーのひとりユニットの存在はSNSを通じて話題となり、〈アーケイド・サウンド〉からのデビューEPは『ピッチフォーク』をはじめ高評価で迎えられた。クリス氏は数年後にこのタグが取れても生き残っていれば本物だというような手厳しい評を下しているが、生き残る云々の評価基準でその作品のマキシマムを取り逃がしてしまうのはもったいない。たしかにアルバムを複数枚出せるかどうかというのはそのアーティストの力量をある程度は測る基準になるだろうが、曲単位で音楽の購買ができる時代に、アルバムという形式も見直され、姿を変えつつあるようにおもわれる。本作『ア・サイレント・プラネット』はセカンドとなるEP/ミニ・アルバムであるから、曲数的には1枚分のアルバムとして十分な量を持ちながらも、EPを2枚出していることにな。(本作の国内盤には13曲が収録されているが、7曲はボーナス・トラックである)。最近はこのようなEPのリリースがほんとうに多い。そしてウォッシュト・アウトの『ライフ・オブ・レジャー』を象徴として、需要の高いリリースがEPに顕著なことも多くの人が認めるところだとおもう。いま作品としてコンフォータブルなサイズは5縲鰀6曲だということなのだろう。それならば毎年や年に2度のリリースも苦ではないし、そのときそのときの感覚を鮮度よくまとめることができる。個人的にはシンセの音はギターよりも疲れやすいので、その点でもちょうどいい。そう、『ア・サイレント・プラネット』はコンフォータブルなチルウェイヴ作品として最大限に力を発揮している。ただただひたすらドリーミーで心地よいというのはチルウェイヴの本懐でもある。

 目を引くのは"サーフェイス"と"ザ・ハーヴェスト"、"ウォッチ・オーヴァー・ミー"だ。本編とその同数以上あるボーナス・トラックとの差は、ヴォーカルがフィーチャーされているという点と、いずれもギターが重要な役割を果たしているという点だ。この3曲においてはとくにうまく作用している。彼自身、多くのチルウェイヴ・アクトたちがそうであるように、もともとはギターで曲をつくるロック少年であったという出自を証してもいるだろう。『サーフェイス』ではちらちらとまばゆい音色で曲をリードし、ヴォーカルより雄弁に切ないエモーションを語り出している。ピッキングが生み出す躍動性が、アンビエントなシンセの澱との間に輝かしい対照をつくる。『ザ・ハーヴェスト』でも単純なコード弾きが、印象的な旋律をなぞるヴォーカルと絶妙に絡んでいてとてもよい。ベース音が抜けるアウトロもギター・アンビエントの趣が美しく出ている。"ウォッチ・オーヴァー・ミー"はレッティング・アップ・ディスパイト・グレイト・フォールツのエレクトリックなポップ・シューゲイズ、あるいはペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハートの情緒的で翳りのあるギター・ポップを思わせる。エレクトリカルな部分とギターとの折衷が作品全体の目鼻をつくる主たる要素なのである。ボーナス・トラックにも何曲かはそうした傾向が見られ、"コロキアリズムス"のノスタルジックなアコースティック・ギターなどもおもしろい。これなどよけいな上ものの電子音は不要だと感じる。全体に、シンセの音の斡旋によりも、ギターのそれへの方が繊細な配慮が感じられるアーティストである。

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