「Nothing」と一致するもの

BRAINFEEDER 2 - ele-king

[BRAINFEEDER ブレインフィーダー]
2008年フライング・ロータスがLAを拠点にスタートしたインディペンデント・レーベル。フライング・ロータス自身が推すアーティストのサポートを目的とし、エレクトロニック・サウンドとヒップホップとジャズを新しい次元で融合させた刺激的なリリース、柔軟且つ先進的な活動形態、そして真摯な姿勢と鋭い感性によって、Low End Theory周辺と共鳴し合いながら、発足当初よりLAのアンダーグラウンドな音楽シーンを牽引し続け、いまやもっとも注目を集めるレーベルとなった。レーベル・アーティストには今回リリースされるサンダーキャット、トキモンスタ、マーティンの他にオースティンペラルタ、ティーブス、ローン、サムアイヤム、ガスランプ・キラー、デイデラスといった個性的で才能あふれるアーティストたちが集い、自由で先鋭的な音楽を発信している。

9/17 (土)DBS presents BIG BASS SESSIONS @代官山UNIT

東京 11/10/28(FRI) 西麻布 eleven
OPEN/START 23:00 前売TICKET ¥4,000
INFO: BEATINK 03 5768 1277

大阪 11/10/29(SAT) 鰻谷 sunsui
大阪市中央区東心斎橋 1-12-20 心斎橋シキシマビルB1F
OPEN/START 18:00 前売TICKET¥3900
INFO: sunsui 06-6243-3641(www.sunsui.net)
協力: ZETTAI-MU (www.zettai-mu.net)

チケット発売 8/27(土)から一般発売
*先行予約:8月20日より
●東京:Beat Web予約(www.beatink.com)にて
●大阪:sunsuimart(http:/www.sunsuimart.net)にて

企画制作:BEATINK
INFO: BEATINK:03-5768-1277[www.beatink.com]

Quantic - ele-king

 旅することは音楽的だ。20代後半から30代にかけては、わりと毎年のように海外を旅したものだったが、自分が生まれ育ったところの文化とは違う文化に出会うことは、自分が広がっていくような感覚がある。自分が日本以外の音楽ばかり聴いているのも、自分が生まれ育ったところの文化とは違う文化との出会いを期しているからだ。僕は長いあいだヨーロッパばかりだったが(それはもう、自分が思春期に影響を受けた文化への避けがたい魅力として)、結婚してから何回か東南アジアも旅した。それもまた新鮮な経験だった。南米はずっと憧れだけれど、いまだ行ったことがない。望みは捨てたくないが、もう一生行けないんじゃないかと最近は悲観的になっている。
 クァンティックの名前で知られるウィリアム・ホランドは、もっとも優秀な旅する音楽家だ。太陽の匂いのサルサ、クンビア、レゲエ、生温かいファンク、セクシーなジャズ、ソウル・ミュージック、熱帯地方のグルーヴ......なんとも缶ビールがすすみそうな音だが、UKのウスターシャー州出身のホランドの音楽はそうしたものの混合に関してもっとも頼りになるDJ/プロデューサー/ミュージシャンで、わが国でも評価と人気をものにしている。
 ここ数年はワールド・ミュージックへのアプローチで知られるホランドだが、彼はディプロのようにサンプリングを多用しない。初期の音楽は、ミスター・スクラフ(あるいはDJシャドウ)のような連中と同じように語られていたが、ホランドはギター、ベース、コントラバス、ピアノ、サックス、パーカッションなどの楽器を演奏する。また、ここ数年のクァンティックの作品では、南米や中米の優れたミュージシャンの演奏も聴ける。彼の音楽は洒落ているが、土の匂いがする。レコードコレクターとしても知られる彼は、レトロ・ソウルの追求者でもある。
 2001年に〈トゥルー・ソーツ〉から最初のアルバムを発表しているクァンティックは、この10年ですでに何枚もの名作をリリースしている。ラテン・ジャズ・グルーヴを展開する初期の作品、ザ・クァンティック・ソウル・オーケストラ名義の作品、コロンビアに拠点を移してからのフラワリング・インフェルノ、あるいはコンボ・バルバロ......本作『ザ・ベスト・オブ・クァンティック』は、彼のこの10年の回顧展で、CD2枚組、全32曲、それぞれのCDにめいっぱい入っている(日本盤にはさらにボーナス・トラックが付く)。実に気前の良い、サーヴィス満点のベスト盤だと言えるだろう。

 去る7月にオウィニー・シゴマ・バンド(Owiny Sigoma Band)のリミックス・シングル「Tafisiri Sound」を買った。クァンティックがリミキサーだ。同じようにジャイルス・ピーターソンのレーベルからリリースされたケニア共和国のナイロビの楽団の数か月前に出たシングルでは、セオ・パリッシュとフローティング・ポイントが参加していた。ピーターソンはダブステップ以降の流れ、ここ数年のワールド・ミュージック熱、そしてブソウル・ミュージックとしてのダンス・カルチャーとのクロスオーヴァーをはかろうとしているのだろう。そういえばデリック・メイもクァンティックがリミックスした"Doyoi Nyajo Nam"をかなり気に入っていた。


 追記:昨日は二木信がいきなり有名人になっているのでびっくりした。あの男は原稿の締め切りを守れないタイプの人間だが、間違っても暴力をふるうようなヤツではないし、ましてや人をいたずらに扇動するようなタイプでもない。だいたい自称二木信というのは何だ。彼はこそこそしない男だし、早いところ戻ってくるだろう。原稿を書いてもらわないと。あいつが大好きな音楽についての原稿を。

vol.12:9/10/11 - ele-king

September 10th 2011 2PM TO 10PM
BLOCK PARTY!!!!
POSTER Design BY WOLFY-THANK YOU!!

 というわけで、毎年9月にレポートしているウィリアムスバーグのアート・スペース、〈モンスター・アイランド〉......建物そのそれぞれの階でスペースとなっている(カイロック・プリンティング=2F、シークレット・プロジェクト・ロボット=1F、ライブ・ウィズ・アニマルズ=1F、モラスク・サーフショップ=1F、オネイダ・プラックティスルーム=B1、トッドPミュージック&ペース=B1)が、すべてをオープンにして開催するブロック・パーティ。今回は、残念ながら最後となってしまった。近所の環境が変わり(新しいコンドミニアムが立ち並び、フェリーでマンハッタンに通勤する層が引っ越してきている)、この場所が立ち退きになってしまったのだ。
 そう、9月いっぱいでこの場所はクローズ。建物は11月に倒壊予定だ。彼らはすでに新しい場所を東のブシュウィックに見つけ、10月から新たなスタートを切ることになる。シークレット・プロジェクト・ロボットになってから7年間、その前のマイティ・ロボットから数えると、10年以上、この地域にあった文化の発信地が出て行かざるえないということは、ウィリアムスバーグという地域の終了を意味しているのかもしれない。その意味を探そうと、今回のブロック・パーティに潜入した。


これが〈モンスター・アイランド〉です

いったい誰が出演しているのかわからないほど、かなりフリーな感じでパフォーマンスが繰り広げられる

 メトロポリタンとケント・アヴェニューの角、警察によって許可をとっていて、そのブロックを区切って、屋外でのイヴェントを繰り広げている。建物なかはシークレット・プロジェクト・ロボット、ライヴ・ウィズ・アニマル、そして、道の真んなかという3つのステージで、同時にバンドがプレイしている。タイムテーブルもないのでいまどのバンドがやっているのかはまったくわからないが、たまに「僕たちは〜です」と、バンドが挨拶してくれる。

 私がついたときには、ライヴ・ウィズ・アニマルではK-holes、屋外スペースでは、エリック・コープランド(ブラック・ダイス)、シークレット・プロジェクト・ロボットではカルト・オブ・ユースがはじまったばかりだった。なかで、オネイダのキッドに遭遇したが、彼のバンド、マン・フォーエヴァーはすでに終わったという。
 タイム・テーブルがないので、油断は禁物。なかでカルト・オブ・ユースを見て、外に出てみると、今回アナウンスされていないライト・アサイラムがやっている。ゲイの女の子と男の子のデュオで、かなりキャラクターが濃いが、根強いファンが多く、ファンはどのショーにも現れ、彼らのライヴのときにはフロントはゲイファンでいっぱいになっていた。ちなみに女の子のほうは!!!でも歌っていたりと、個人的にはかなり好きなバンドだ。


ブラック・ダイスのエリック・コープランドによる実験的なステージ

ゲイの女の子と男の子のデュオ、根強い人気のライト・アサイラム

 バンドラインナップは、この場所に関わっている人のバンド(身内バンド)がほとんどで、大きな目玉もないのだが、パーティと言うことで、かなり盛り上がっていた。このイヴェントのために作った「Last forever Monster island」のTシャツもかなりの勢いで売れていた。ドリンクはいつもバドワイザーやPBRなどの安いビールなのだが、今回はスポンサーがついたのだろうか......、ブルックリン・サマーエール、ブルックリン・ピルスナーなど、ちょっと良いビールにグレード・アップしている。彼らの明るい未来を暗示するように......。
 7時になると屋外のスペースがクローズ、そして9時には、シークレット・プロジェクト・ロボットがクローズ、最後にはライヴ・ウィズ・アニマルだけになり、ダブ・ノウ・ダブ+ゲスト(エックス・モデル、マン・フォーエヴァーなどのメンバー)、幕を閉めた。実に8時間にわたるパーティだった。

 以下が最後のブロック・パーティのラインナップである。バンドの順番は全まったくバラバラ 。日本で知られているのは、たぶんエリック・コープランドぐらいだろうか。きっとこのなかから、いつかみなさんも注目するようなバンドが出てくるでしょう。
 いろんなバンドを発見し、一緒に成長していった人たち。これからの新しい場所に期待を膨らませつつ、長年通ったこの場所に別れを告げる。
 モンスター・アイランド、フォーエヴァー。


〈モンスター・アイランド〉の二階にある
シークレット・プロジェクト・ロボットの風景。

CULT OF YOUTH
ERIC COPELAND
SOLDIERS OF FORTUNE
MAN FOREVER
CALL OF THE WILD
K-HOLES
REEGAL DEEGAL
DUBKNOWDUB
VAZ
HAIR JAIL
DIVINE ORDER OF THE BLOOD WITCH
BRUTE FORCE
THESE DAYS

SCUBA (HOT FLUSH RECORDINGS, SUB:STANCE) JAPAN TOUR 2011 - ele-king

 今年はレーベルにとって最初のコンピレーション『ホットフラッシュ・レコーディングス・プレゼンツ......バック・アンド・フォース』をリリース、いまもなおベース・ミュージックの"ネクスト"を開拓する男、スキューバ。2562やマーティン、シャックルトンらと並んで、テクノ・リスナーからも人気のベルリン在住の彼が1年ぶりの来日。go!!!!!


9.22 thu SPRAWL meets SCUBA @ 名古屋 CLUB ABOUT
Open 22:00 ¥2,500 (Advance), ¥3,000 (Door)
DJs: SCUBA (Hotflush Recordings), Kazuaki Suzuki (version city session, material), RYUMA (ILLCOM+), HISAOMI (A-BASS)
VJ: LAFgLAF
Information: 052-243-5077 (Club About)
https://club-about.com

9.23 fri UBIK @ 東京 eleven
Open 22:00 ¥3,500 (Door), ¥3,000 (w/ Flyer)
DJs: SCUBA (Hotflush Recordings), DJ Nobu (FUTURE TERROR, DAZZY DJ NOBU), GOTH-TRAD (DEEP MEDI MUSIK, BACK TO CHILL), Yusaku Shigeyasu (ALMADELLA, Basement Ltd)
LOUNGE: Timothy Really DUB - Guest Selectors: Pablo Valentino (FACES RECORDS) BLUNT (HATOS) Jammin' K a.k.a Kiccio (combine) & Konpot a.k.a kon (Timothy Really, VAVA) - Timothy Really DUB Selectors: Ryujiro Tamaki, tosi, Sisi - Food: MITSUO CURRY
Information: 03-5775-6206 (eleven)
https://go-to-eleven.com

9.24 sat SYNCHRO 012 @ 静岡 JAKATA
Open 22:00 ¥3,000 (Door), ¥2,500 (w/ Flyer) w/ 1 Drink
DJs: SCUBA (Hotflush Recordings), KEIHIN (G.O.D., ALMADELLA), CITY BOY, YSK, KATSU
LIVE PAINT: HISA
VJ: RYOTA
Information: 054-260-4212 (JAKATA)
https://www.jakata.jp


SCUBA (Hotflush Recordings)
www.myspace.com/paulhotflush
www.hotflushrecordings.com
www.myspace.com/substanceclub
ロンドン出身のプロデューサー/DJ。
ダブステップ・シーンの創世期から多数の独創的なトラックをリリースする最重要レーベル、Hotflush Recordingsを2003年にスタート。UKガラージュに端を発するアンダーグラウンド・ムーブメントをレゲエ〜ダブ、2ステップ、グライムなどの音楽的要素を融合/進化させたオリジネイター。2007年にベルリン移住後、音楽ジャンルの壁を越えてあらゆる方面から大絶賛されたファースト・アルバム『A Mutual Antipathy』を2008年にリリース。そのリミックス・プロジェクトではジャンルの越境者としての真骨頂を見せ、Surgeon, Substance, Jamie Vex'd, Martyn, Marcel Dettmannなどをリミキサーとして起用。別名義であるSCBによるテクノ/ハウスへ急接近を示唆した。ここ最近ではFever RayやRed Snapperなどのリミックス、Hotflushの精力的な新譜リリースなどで多忙を極めている。レーベ運営と音楽制作に加えて、ベルリン・テクノの聖地BERGHAINでダブステップ・パーティー、SUB:STANCEを主催して大きな成功を収めている。2010年1月末にはベルリン・クラブ・シーンを先導するOSTGUTからキャリア初のオフィシャル・ミックスCD『SUB:STANCE』をリリースする。同年にリリースされたセカンド・アルバム『Triangulation』はダブステップを通過したテクノと形容されるニュー・ヴィジョンを提示した。ミニマル・テクノ・シーンとシンクロするダブステップ、ダンス・ミュージックの最新トレンドをクリエイトする最重要アーティストである。

Chart by JET SET 2011.09.12 - ele-king

Shop Chart


1

GONNO

GONNO ACDISE #2 »COMMENT GET MUSIC
ウルグアイ発バレアリック・トップレーベル"International Feel"と、Gatto Frittoが主宰する"Fritto Morto"レーベルとのコラボレート・カタログ第一弾。James Holden, Loco Dice, Tim Sweeney(B.I.S.にてプレイ済み), Todd Terjeら各方面から注目を集める話題の一枚が遂に解禁。180g重量盤でのリリースです。

2

BEING BORINGS

BEING BORINGS LOVE HOUSE OF LOVE »COMMENT GET MUSIC
国産インディペンデント・レーベル最高峰として御馴染み"Crue-L"の代表、瀧見憲司による新名義Being Boringsによる噂のデビュー作。アフターアワーズを彩る極上のミドル・ブギー2楽曲を収録。

3

QUANTIC

QUANTIC THE BEST OF QUANTIC »COMMENT GET MUSIC
Cumbia Clash、Soul Orchestra名義のデビュー曲、そして12"は既に入手困難な"Mi Swing Es Tropical"など、選りすぐりの全15曲を収録!!

4

LORD OF THE ISLES

LORD OF THE ISLES ULTRAVIOLET »COMMENT GET MUSIC
Beat Brokerによる第1弾も大好評だったDJ Ritesh(American Standard)とTony Watson(ex. Wax Records)の手掛ける期待大なレーベルAdult Contemporaryの第2弾が到着、今回も最高でした!!

5

KOUROSH YAGHMAEI

KOUROSH YAGHMAEI BACK FROM THE BRINK »COMMENT GET MUSIC
トルコのErkin Korayを彷彿とさせる異様な存在感があるこの人はイランに於けるロック/ポップ・シーンの伝説的偉人とのこと。Now Againから、4枚組7インチBoxも登場です!!

6

PAUL WHITE

PAUL WHITE RAPPING WITH PAUL WHITE »COMMENT GET MUSIC
Now Again発掘音源の再構築ワークスだった前作『Paul White & the Purple Brain』とは異なり、意外にも今回は世界各地のラッパー達とのコラボ作に。コレは注目です!

7

RAS G

RAS G DOWN 2 EARTH (THE STANDARD EDITION) »COMMENT GET MUSIC
現行ビートメイカーの中でも一際Sun Ra的なスピリチュアル・ジャズを体現しているRas G。一昨年以降噂になっていた音源が、L.A.シーンとの繋がりも深いUKのレーベルRampから登場!

8

PLASTIKMAN

PLASTIKMAN ARKIVES ANALOG »COMMENT GET MUSIC
GaiserやHeartthrobといったMinus一派は勿論のこと、盟友DubfireからCarl CraigやFrancois Kといったビッグネームまでが今回のために制作したリミックスを収録!こちらもやはり超限定品になりますのでこの機会を逃すとまず手に入らないであろう代物です。

9

MELCHIOR PRODUCTIONS LTD.

MELCHIOR PRODUCTIONS LTD. APARICIONES REWORKED (BABY FORD ,RICARDO REMIX) »COMMENT GET MUSIC
PlayhouseやPerlonそしてCadenza等、誰もが一目おく名門レーベルで活躍するThomas Melchiorによる作品を、Soul Capsuleとしてパートナーシップを結ぶイギリスの奇才、Baby FordそしてあのRicardo Villalobosがリミックス!!

10

BJORK / SADE

BJORK / SADE NRK RMX »COMMENT GET MUSIC
2005年Nite Groovesからのデビュー以降、活発なリリースやリミックス・ワークを展開してきた東京発の夫婦ユニットDazzle Drums。Sade & Bjork両歌姫の名楽曲を引き立たせたヴォーカル・ディープハウス大推薦の一枚です。

DJ Diamond - ele-king

 シカゴのダンス・コミュニティから生まれたジュークは、この1年でずいぶんと広がっている。ことUKでは、自分でもジュークをやりたくなってしまっている人が後を絶たないようだ。アイコニカは最近のリミックスでそれをやっていたし、レコード店で試聴しているとUKの新しいレーベルの音にジュークっぽさがさらに伝染しているんじゃないかと感じる。
 ジュークはダンスのために生まれた音楽だが、この新種のゲットー・ミュージックには、殺気だったミニマリズム、内に秘められた狂暴性のようなものがある。僕はデトロイトのフットワーク的な現場なら見たことがある。路上のダンス・バトルは日本やヨーロッパでも見たことがないので、実に物珍しく、「格好いいなー」と圧倒されたものだった。黒人ばかりでなく、白人も、少数だが女性も混じっていたので、音楽とダンスは激しいものの平和的にも見えた。しかし、かつてジッツと呼ばれたそれは、もともとはギャング同士のダンス・バトルから発展したもので、ジェフ・ミルズに訊いたところでは70年代からずっとあるものだという。デトロイトのコアなリスナーには有名な「Jits」(ゲットー・エレクトロのアンセム)は、それこそ声ネタの高速ループによるゲットー・エレクトロだが、思い切りが良いというよりも、作品という概念を超越したそのラフな作りは、かたやこの音楽の背景となるスラム街の猥雑な現実を暗示し、他方では白人文化には不可能なようなことをやってのけるブラック・ミュージックのファンクネスのすごみを強烈に主張する。

 DJダイアモンドは、〈プラネット・ミュー〉のコンピレーション『バングス &ワークス Vol. 1 』に参加しているひとりで、本作は、DJネイトDJロックに続いてレーベルがリリースする3人目のソロ・デビュー・アルバムである。そして『フライト・ミュージック』は、スティーヴ・ライヒとOFWGKTAのケツをブッ叩いているような音楽だ。DJロックが新時代のハード・ファンクだとしたら、こちらはさしずめサンプラーを用いたアヴァンギャルドだろう。とにかく、まあ、あまりにもいびつなのだ。街の景色が異次元に変形していくこのアートワークが『フライト・ミュージック』をよく表しているように思う。
 また、「これはハウス・ミュージックという靴に踏まれたガムだ」と評していた人がいたけれど、それほどこの音楽は、思わず「底辺(アンダーグラウンド)のなかの底辺(アンダーグラウンド)」を感じてしまうような強烈なものを放っている。乾いたパーカッションは単調だというのにテンションが高く、不穏なストリングスと極端に細かく刻まれた声は、不条理な現実の映し鏡のようにめまぐるしく展開する。恐怖の感情が押し寄せて、リスナーをそわそわさせるかもしれない。あまりにも落ち着きがなく、とてもじゃないけど、じっと聴いてはいられない。しかも恐ろしいほどヴェイカントである。
 「ヒップホップはいつの時代も伝統の束縛からもっとも素早く逃れていく」......ジュークは正確にはヒップホップとハウスの変異体だが、これはいまその限界に挑戦しているようだ。

Chart by Underground Gallery 2011.09.10 - ele-king

Shop Chart


1

THE GLOBE

THE GLOBE Adventure Party (International Feel) »COMMENT GET MUSIC
[International Feel]から緊急リリース!全世界限定120枚という、コレクターズアイテム化間違い無しの、激レアアイテムが極・極・極少量のみ入荷しました!

2

PLASTIKMAN

PLASTIKMAN Arkives Reference (Minus) »COMMENT GET MUSIC
グローバルな活動でテクノシーンに多大な影響を与え続けるカリスマ、RICHIE HAWTINによるプロジェクト・PLASTIKMANの17年に及ぶ活動の集大成といえる超ド級のBOX SETがリリース!! これまでに発表したオリジナル・アルバム「SHEET ONE」、「RECYCLED PLASTIK」、「ARTIFAKTS (BC) 」、「MUSIK」、「CONSUMED」、「CLOSER」をリマスター盤で収納し(しかも、それぞれにボーナストラックが収録されている!)、12"のみでリリースされた未CD化音源をまとめた「NOSTALGIK」、クラシック中のクラシック"Spastik"のライブを再構築した貴重な音源やBBCの名物プログラムであったJOHN PEEL SESSIONでの録音を収めた「SESSIONS」、世界各地で行われたセッションや初期楽曲をまとめた「ARKIVES」、これまでにPLASTIKMANとして手掛けたリミックス・ワーク(DEPECHE MODE、SYSTEM 7、HARDFLOOR etc..)が堪能できる「REKONSTRUKTIONS」、そしてこのBOX SETのために制作されたリミックス・トラックをふんだんに盛り込んだ「REPLIKANTS」、そしてさらに未発表曲を収録した「ARKIVES (UNRELEASED)」などが加わったCD15枚組に加え、MINUSの美学を反映したクール極まりない映像が収録されたDVD「OPTIK DVD」、94ページに渡るブックレットが付属された圧巻の超豪華仕様!! ここまでの作品が作れるのはRICHIE HAWTIN = PLASTIKMAN以外にありません!! 受注限定生産ですので、この機会を逃すと入手困難になることは確実!

3

CAPABLANCA & T. KEELER

CAPABLANCA & T. KEELER No Hay Ritmo (Gomma) »COMMENT GET MUSIC
TIM SWENNYが以前 Beats In Spaceでプレイし話題となっていた、謎のフラメンコ・ブギーが遂にアナログ化!!トビ感満載のカリンバをフィーチャーする ダブ&リミックスも◎!! 時折、とんでもない'当たり'作品をリリースしてくれる[Gomma]ですが、今回はスパニッシュ/フラメンコギターをフィーチャーしたディスコブギーモノをリリースし、そしてコレがまた相当にカッコ良いのです!!既に TIM SWENNYも先日のBeats In Spaceでプレイしていた今作は、スペインの伝統音楽'フラメンコ'の雰囲気をそのままディスコトラック上に落とし込んだ「No Hay Ritmo」、そこにOPTIMOライクなトビ感のあるカリンバやシンセフレーズを響かす「No Hay Dub」、さらにアシッディーなリフなどが加えられた P.G.PARALLAX Remixの3ヴァージョンを収録。オススメです

4

AFROBUDDHA MEETS KAKATSITSI DRUMMERS

AFROBUDDHA MEETS KAKATSITSI DRUMMERS Obame (Round In Motion) »COMMENT GET MUSIC
ロンドン在住の日本人デュオAFROBUDDHAの新作は、ガーナのドラム楽団KAKATSITSI DRUMMERSをFeatした、超本格派アフロ・ハウス! 往年の[Spiritual Life]周辺の作品を思わせる所もありますが、低音のグルーヴや質感は明らかにディスコ・ダブ/Nu Disco以降のサウンドで、かなりカッコイイです!B面に収録されたKAKATSITSI DRUMMERSのみの演奏だと思われるトラックもかなりヤバい...。オススメですよ、コレは!!

5

DOMPTEUR MOONER

DOMPTEUR MOONER Greatest Hits (Erkrankung Durch Musique) »COMMENT GET MUSIC
[Compost]の傑作コズミック・コンピ[Elaste]や CONRAD SCHNITZLERのリエディットEPなどが大きな話題を集めた 元ZOMBIE NATIONのメンバー DOMPTEUR MOONER待望の新作!!81年にリリースされた KIM CARNERSロック・ディスコ・クラシック「Bette Davis Eyes」のロング・リエディット A1、タイトルはド忘れしちゃったのですが、コズミック方面で人気のエレクトロ・ファンク A2、DAVID MANCUSOもプレイする 68年にリリースのサイケロッククラシック IRON BUTTERFLY「In A Gadda Da Vida」のイタロ・ディスコヴァージョン B1、81年に ベルギーの[Dark Coldwave]からリリースされた ポスト・パンク/New-Waveクラシック TUMEURS「Prothese」をネタに、ドープ・サイケデリックなディスコ・リエディット化した B2の全4作を収録。どれも本当に良いですよ縲怐B70's/80'sなイタロ/コズミックやオブスキュアー・ディスコ、方面の方は是非チェックしてみて下さい。大・大・大推薦!

6

STEREOCITI

STEREOCITI For Southand Situations (Better Days) »COMMENT GET MUSIC
1stアルバム『Kawasaki』も好評、KEN SUMITANI aka STEREOCITI、最新ミックスCD! 今は無き青山"Maniac Love"でDJとしてのキャリアをスタートし、ソウルやジャズ、ディスコ等のブラック・ルーツミュージックへの深い 愛と造詣、シカゴ/デトロイト・サウンドとのシンクロヴァイブを感じさせるダンス・グルーヴが結実した、奥深い暖かさと映像的な美し さをたたえたディープハウス・サウンドを東京から送り出しているケンさんことKEN SUMITANI aka STEREOCITI。[Mojuba]からのアルバム『Kawasaki』が世界的な注目を集める中、彼のルーツであるジャズ/レアグルーヴ/アンビエント..等の奥深いルーツミュージック を紡いだ素晴らしいMix CDがリリース!!

7

MARK ERNESTUS Meets BBC

MARK ERNESTUS Meets BBC Ngunyuta Dance Remix (Honest Jons) »COMMENT GET MUSIC
BASIC CHANNELのメンバーであり、レコードショップHARDWAXのオーナーでもある、ベルリン地下シーンを牽引してきた最重要人物、MARK ERNESTUSの新作12インチが、[Honest Jon's]からリリース! 南アフリカの現在進行形のダンスミュージック"Shangaan Electro"をコンパイルした「New Wave Dance Music From South Africa」に収録されていた、BBC 「Ngunyuta Dance」を、MARK ERNESTを、が2ヴァージョン、リミックス!とてもシンプルな作りなのですが、使われている音、一つ一つの深さと濃さが格別で、他のアーティスト達とは、一線を画する、本物のミニマル・ダブ・テクノを披露!流石の一言!

8

FUDGE FINGAS

FUDGE FINGAS What Works Ep (Firecracker) »COMMENT GET MUSIC
TRUS'ME主宰の[Prime Numbers]、LINKWOOD主宰の[Firecracke]という、UKビートダウン・インフルエンス重要レーベルの主要作品のキーボード奏者でもある、才能溢れるプロデューサーFUDGE FINGASの新作10インチ!ウクライナの新鋭ディープ・ハウサーVAKULAリミックス収録!初回プレスのみの限定盤です! 黒味を帯びたハウス・ビートに、デトロイティシュなパッド・シンセを絡め、輪郭のぼやけた浮遊感たっぷりのギター・フレーズを幻想的に浮かばせ、エモーショナルなディープ・ハウスを披露したA1「What Works」、ビートを強化し、スモーキーなダブエフェクトで空間を広げる事に成功したVAKULAリミックスのB1、往年のSTASIS辺りを思わせるような、メロディックなピュア・テクノ/メロディック・アンビエントのB2「Mass X」の3トラックを収録!

9

MITSUAKI KOMAMURA

MITSUAKI KOMAMURA Weedis_01 (Weedis) »COMMENT GET MUSIC
2006年にJEFF MILLIGANが主催するカナダのモノ・ミニマル・レーベル[Relolve]からリリースした12インチは、LAURENT GARNIER、ANGEL MOLINA等世界トップクラスのDJからも賞賛を受け、また本場ドイツの"De:Bug"誌でも名誉ある五つ星と評価されたMITSUAKI KOMAMURAが、自身の理想とするスタイルの具現化と追求のため12インチオンリーのレーベル[Weedis]をスタートさせ新作を発表!重心低く打ち鳴らされたビートダウン・ライクなハウス・グルーヴに、ダブ/アンビエンス感が漂う、ウワ音をスモーキーに浮遊させた、ディープ・テクノ/ハウスが2トラック! クラブでの最高の音鳴りを実現するため、全てベルリンの"Dubplate&Mastering"にて MONOLAKE、HARDWAX関連のリリースのエンジニアを務めるCGB-1により、アーティスト立ち会いの元マスタリング、マスターカットを行っている。今後のリリースに期待が持てる、UG推薦ジャパニーズ・アンダーグラウンド・レーベルです!是非チェックを!

10

EDUARDO DE LA CALLE

EDUARDO DE LA CALLE Analogue Solutions 009 (Analogue Solutions Records) »COMMENT GET MUSIC
CARL CRAIG / MAURIZIOネタ!スペインはマドリッドのベテランEDUARDO DE LA CALLEのプロジェクトだと言うことが判明した、大ネタ・ディープ・テクノ・レーベル[Analogue Solutions]の9作目! 今回も毎度お馴染みのCARL CRAIGやMAURIZIOのクラシックをネタにした1枚なのですが、特筆したいのはB1!CARL CRAIGのトラックを下敷きに、ムーディーなトランペット・ソロがFeatされた、哀愁漂うディープ・テックハウス! しっとりとした質感のグルーヴにドラマティックなシンセのフレーズが反復し深いテンションで疾走していくディープ・チューンA1や、MAURIZIO「M5」ネタのB2も流石のクオリティー!リリースを重ねるごとに面白いアプローチを見せる[Analogue Solutions]、要チェックです!

Chart by TRASMUNDO 2011.09.10 - ele-king

Shop Chart


1

UG KAWANAMI

UG KAWANAMI 斜陽 »COMMENT GET MUSIC

2

YA△MA

YA△MA before the wind »COMMENT GET MUSIC

3

ILL FANTASTICO

ILL FANTASTICO STEAL MY SUNSHINE vol.2 »COMMENT GET MUSIC

4

MS-DOS(MICHIOSHKA&SEROW)

MS-DOS(MICHIOSHKA&SEROW) FLIPSIDE »COMMENT GET MUSIC

5

TONOSAPIENS

TONOSAPIENS RAMBCAMP REMIXES »COMMENT GET MUSIC

6

KRBT a.k.a. DON K

KRBT a.k.a. DON K a conspiracy of silence »COMMENT GET MUSIC

7

MASS-HOLE a.k.a. BLACKASS and DJ SEROW

MASS-HOLE a.k.a. BLACKASS and DJ SEROW NUMBER SHOT vol.4 SWEET SOUL BROS »COMMENT GET MUSIC

8

ELEVEN

ELEVEN SPRUNG DUBBING vol.1 »COMMENT GET MUSIC

9

DJ ○-MARU-

DJ ○-MARU- BOKYO »COMMENT GET MUSIC

10

悪魔の沼

悪魔の沼 沼日和 imaginary 魔ndscape »COMMENT GET MUSIC

Radiohead - ele-king

 8月末から9月にかけて、レコード店の棚に面白い光景を見ることができる。ビョークのリミックス・シングル、レディオヘッドのリミックス・シングルが並んでいるのである。ポップのメインストリームにいるアーティストがアンダーグラウンドなDJ/プロデューサーと組んで12インチ・シングルを連続でリリースするようなことは久しぶりのことだが、ビョークはこの試みのいわば先駆者で、過去のほとんどすべてのアルバムにおいてそれをやっている。いっぽうレディオヘッドにとっては初めての試みだ。互いに自分の音楽にエレクトロニカ/IDMを取り入れたことで知られるアーティストだが、こと12インチに関して言えばビョークはベテランで、レディオヘッドは初心者である。トム・ヨークがソロ・アルバム『ジ・イレイザー』でようやくやってみた程度だ。
 ビョークのハーバートのリミックスのほうはあっという間に売り切れていたので、僕はサーバン・ゲニーのリミックスのほうを買った。レディオヘッドのほうは......ローンとピアソン・サウンドのリミックス盤を欲しかったのだけれど、やはり売り切れていた。カリブーとジャックス・グリーンもなかった。

 『TKOL RMX 1 2 3 4 5 6 7』は、去る7月からはじまった『ザ・キング・オブ・リムス』の"リミックス"シリーズとして、限定2000枚の12インチ・ヴァイナルで発表しているリミックス・ヴァージョンを2枚のCDにまとめたものだ。いまのところ日本のレコード店に出回っているのは3枚だろうか......このあと、本作のタイトルを見ると7枚までいきそうだ。『TKOL RMX 1 2 3 4 5 6 7』には今後も発表されるであろうヴァージョンも含め、全19曲が収録されている。
 『ザ・キング・オブ・リムス』がポスト・ダブステップとミニマル・テクノからの影響を取り入れたアルバムだったことからも察しが付くように、リミキサーはだいたいその筋で固められている。ポスト・ダブステップ(ベース・ミュージック)系では、ジャックス・グリーン、ピアソン・サウンド、ジェイミー・XX、SBTRKTをはじめ、IDMよりのダブステップで知られるブリストルのブロークンコード、〈ヘッスル・オーディオ〉のブラワン、ベルリンのTJ・ハーツによるオブジェクト、アンスタムらが参加している。意外なところではイラム・スフィアのようなマンチェスターのインディ・ヒップホップのプロデューサーの名前もある(レディオヘッドの"白さ"からは、ヒップホップとの繋がりは思い浮かばない)。
 ミニマル・テクノ/IDM系では、カリブー、フォー・テット、ネイサン・フェイク、ローン、ベルリンのシェドとモードセレクター......、ベテランのテクノ系ではハーモニック313がいる。だいたいUKとドイツで固められているが、ハーモニック313のようなUKテクノのベテラン、フォー・テットやカリブーのようないま旬の中堅どころをのぞけば、その多くがまだアルバムを出したこともないような若い世代で、シングルを2縲怩R数枚しか出していないような新人も何人かいる。いわゆる大御所と言えるような人はひとりもいない。

 ビョークのリミックスにも言えることだが、リミキサーがオリジナル作品をリスペクトしているので、原曲がまったくわからなくなっているようなことはそれほどない。1枚目のCDに関してはトム・ヨークの歌はほとんどのヴァージョンで活かされている。2枚に収録された全19曲のうちオリジナル・アルバムの最初の曲"Bloom"のリミックスがいちばん多く、5ヴァージョンもある。原曲もグルーヴィーだった"Morning Mr Magpie"が3ヴァージョン、以下、"Little By Little"と"Lotus Flower"と"Separator"と"Give Up The Ghost "がそれぞれ2ヴァージョンづつ、"Feral"と"Codex"はそれぞれ1ヴァージョン入っている。1枚目のCDでは、カリブー、ジャックス・グリーン、ローンといった人たちのミニマル・テクノやハウス的なセンスを取り入れた折衷主義的な展開がひときわ魅力的に聴こえる。とくに本作のオープニングを飾るカリブーによる"Little By Little"の惹きつけられる緻密な展開とそのグルーヴリが僕にはベストに思える。オリジナルよりもこちらが好きだというリスナーはいるだろう。若手の注目株ジャックス・グリーンは"Lotus Flower"をハウシーなベース・ミュージックへとそつなくまとめている。オリジナル自体が2ステップ・ガラージ風のビートを取り入れた曲だが、グリーンはもとの荘厳さを失うことなくよりスムーズに展開させている。ローンはヨークの歌を解体して、"Feral"を彼の持ち味を活かしながらダンス・トラックにしている。トライバルなパーカッションとドリーミーな展開が見事で、僕はカリブーのミックスと並んで気に入った。ピアソン・サウンドは例によって最小限の音数によるマシン・ファンクを押し通し、フォー・テットはダンスを選ばずに"Separator"を叙情的でチルアウトなIDMサウンドに変換している。
 2枚目のCDのほうは、よりDJカルチャーにアプローチしたプロダクションが並んでいる。冒頭を飾るスリラー・ハウスゴーストのリミックスは4/4キックドラムを使ったディープ・ハウスで、〈オストグット・トン〉の看板プロデューサーとして知られるシェドはダビーなミニマル、アンスタムはアトモスフェリックなダウンテンポ、ブラワンはUKファンキー、オブジェクトはトランシーなグルーヴ、そしてサブトラクトはパーカッションとベースを挿入している。コアなリスナーはトム・ヨークのブリアルと(フォー・テットと)の共作「Ego / Mirror」以上のインパクトがあるかどうかは疑問に思うかもしれないが、聴きどころはたくさんある。

 ビョークがソロ活動をはじめてから2回目の来日公演では、フロント・アクトとしてプラッドのふたりを連れてきた。会場は恵比寿のガーデンホールだったか......プラッドのライヴの最中、ぎっしり埋まった場内からは、「つまんねーぞ」「早く終われよ」などといった心ない野次が飛んでいた。テクノ・ファンにはヨダレモノの"ノート・ルート"をライヴ演奏しても、「早く終われよ」は止まなかった。
 こういう光景は他に見たことがある。ビースティー・ボーイズがリー・ペリーをフロント・アクトに起用したときも同じことが起きた。ビョーク(あるいはビースティー)をアーティスト/音楽家として見ているのなら、なぜ彼女がプラッド(あるいはリー・ペリー)を聴いてもらいたかったのか、ちったぁ気になるだろうと思うのだが、娯楽産業にくみしている以上、そうした意識のズレは仕方がないことでもある。アーティストが面白がっているところとリスナーがそれを感じているところが必ずしも合致するとは限らない。人によっては、こうした行為はアーティストの自己満足に見えるのだろう。アーティストが先に進みたくても、そこに止まって欲しいと思うリスナーはいつの時代もいるものだ。
 しかし、それが1年後にはまるで新しい世界が開けたように素晴らしく聴こえるときが来る可能性もある。それは自分の耳が拡張されたときで、音楽体験として本当に幸せな瞬間でもある。レディオヘッドはこの度初めて、そういう機会を用意したのだ。

Neon Indian - ele-king

 シンセサイザーが帰ってきた。......いや、どこかに行っていたわけではないが、ループを構成することで作られるダンス・ミュージックとは別のところからそれは帰ってきた。合成機械から出る電子音を前面に打ち出したポップ・ミュージックがおよそ30年ぶりにシーンを賑わそうとしている。
 チルウェイヴも、いまとなってはシンセ・ポップ・リヴァイヴァルのひとつとして捉え直すことができるだろう。ネオン・インディアンは2009年のチルウェイヴの先駆けとなったグループのひとりだが、彼のセカンド・アルバム『エラ・エクストラーニャ』はウォッシュト・アウトのデビュー・アルバムと同様、彼なりのシンセ・ポップを展開している。

 いま準備中の紙ele-kingの3号にはシンセ・ポップの特集ページがある。シンセ・ポップのリリースがこれほど多いのは、先述したように30年ぶりのことだし、「リヴァイヴァル」とは言っているが30年前の焼き直しではない。特集するには充分な条件が揃っている。
 もっともチルウェイヴ系がシンセ・ポップに移行した理由のひとつは、サンプリングの問題も大きい。仲間内のアンダーグラウンドでやっている分には気にする必要のなかった著作権問題にも、シーンが注目されるようになれば配慮しなくてはならない。現実的な話として、音源としてのシンセサイザーが必要とされているというのがまずある。
 また、チルウェイヴ世代の作り手の多くが80年代生まれで、子供の頃の記憶としてのシンセ・ポップ、つまり、オールディーズとしてのシンセ・ポップという事実もある。ネオン・インディアンは子供の頃にいとこの車のなかで聴いたニュー・オーダーの"ビザール・ラヴ・トライアングル"(1986年)が忘れられなかったと回想しているが、実際に80年代のシンセ・ポップは、ニュー・オーダーであれデペッシュ・モードであれソフト・セルであれヒューマン・リーグであれ、ティアーズ・フォー・フィアーズであれユーリズミックスであれトンプソン・ツインズであれ、チャート・ミュージックだった。ポップスとして機能していたのである。

 僕が新世代によるシンセ・ポップを興味深く思えた理由のひとつは、前にも書いたように、30年代は電子音楽をかたくなに否定したホワイト・アメリカの内部でいまそれが拡大していることだが、もうひとつこの動くの特徴を言えばその清潔感だ。それはソフト・セルのように、赤線地帯を面白がるような感性とはほど遠い。明らかにセックスを連想させるウォッシュト・アウトのデビュー・アルバムのアートワークを見ても、ソフト・ポルノともまた違った、実にクリーンな清潔感がある。また、シンセ・ポップをやりながらそのテーマが海や夏というのは、80年代を知る者からするとさらに妙に感じる。
 いまシンセ・ポップはほぼすべてインターネットを介して発信している。ネットの世界とは、ひとつ皮を剥いでみると匿名による罵詈雑言、陰険なガセネタ、ポルノ画像、迷惑メール......などなど、ある意味ではディストピックで、人間のくらい部分もよく見える場所でもある。赤線地帯は机のうえのすぐ目に前にある。今日的なシンセ・ポップは、そうしたもうひとつの現実に広がる陰湿なところから逃れるように、たとえば海や夏へと向かっているようだ。あるいは、仮想現実の喧噪や情報過多にうんざりして、昔ながらの素朴な営みが恋しいのだろうか。まあとにかく、30年前のオレンジ・ジュースのように、それらの多くは清涼飲料水のようだが、いまは甘酸っぱい夏の思い出をグレッチのギターではなく機械を通した歌とシンセサイザーが表現している。

 ネオン・インディアンの『エラ・エクストラーニャ』は、ポスト・チルウェイヴにおけるシンセ・ポップの典型となりうる作品だ。80年代のソウル・サウンド、シューゲイザーとアンビエントのテクスチャーがミックスされている。チルウェイヴならではの気怠さも残っているとはいえ、だいぶ洗練されている。ポップスへの道が開けている......というか、もう、ポップスを目指すしかないだろう。歌の入れ方はアニマル・コレクティヴ以降のインディ・シーンの決まり事のようになっている、エフェクトの効いた音のパートとしてのそれだが、フレミング・リップスといっしょにコラボレーションしているだけあって、音の高揚感や起伏の付け方もうまい。『ウィズイン・アンド・ウィズアウト』よりも大衆的な音楽だと思われる。
 『エラ・エクストラーニャ』はスペイン語で「missing era(=人びとがつねに何かを恋しがる時代)」という意味で、本人によれば「テクノロジーが進化した現在、それでも人は何かを恋しがっている」というようなニュアンスで使ったそうだ。ちなみに彼はアメリカで育ってはいるが生まれはメキシコで、父親はメキシコ人のプロの歌手である。家にはシンセサイザーがあり、ファースト・アルバムでは父親の曲もサンプリングしていたそうだ。

 いまの20代にとっても、そして40代にとってもこれはある種の懐メロに聴こえるんじゃないだろうか。昔、ラジカセから流れていたような音楽だが、今風なアレンジがほどこされてPCやIPodから流れている。なんとも言えない切ない気持ちになるのは、いよいよ80年代の音楽がオールディーズとして定着するような時代になったのかと時代の流れを思ったからではない。ネオン・インディアンの音楽が感傷的だからである、"ビザール・ラヴ・トライアングル"のように。

(これまでの人生においてもっとも声援を送ったGK、真田雅則 R.I.P.)

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