「Nothing」と一致するもの

You Kobayashi (SWC) - ele-king

YOUKOBA's CHOICE October.2010


1
Marc Houle - The Next - Minus

2
Andrei Fiber - I Want To Have 5 Noses - Indeks Music

3
Mar-T - Propaganda(Marc Marzenit Remix - Wow! Recordings

4
Fantastic Explosion - 血と掟(Blood And Rules) - ExT Recordings

5
Elad Emek - Dansvloer Bloedbad - Magic Powder Music

6
Egbert - Open - Cocoon Recordings

7
Bob Holroyd - African Drug(Four Tet Remix - Phonica Recordings

8
Traks Boys - Yellowbirds(TBD Remix) - Internasjonal

9
Mugwump - Losing Game - Kompakt

10
Mount Kimbie - Field - Hotflush Recordings

弓J(NYE/S) - ele-king

真っ暗なフロア専用 BEST 10


1
Oliver Huntemann & Dubfire - Fuego - Ideal Audio

2
Levon Vincent - Double Jointed Sex Freak(Part1) - Novel Sound

3
Roman Lindau - Sonnerie - Fachwerk

4
Alexander Kowalski - Reset - Damage

5
Brendon moeller - Mainline - Echochord Colour

6
Daniel Stefanik - Transmediale Reshape - Statik Entertainment

7
Robag Wruhme - Colbi Nekk - Musik Krause

8
Mike Sheridan & Mads Langer - Too Close - R&S Records

9
Tom Demac - In Your Eyes - Murmur

10
Onur Ozer - Oval - Cocoon Recordings

KAT-C (茶澤音學館 / form.) - ele-king

midnight tea time


1
Moondog - Viking I - Honest Jons

2
The natural Yougurt Band - Voodoo - Jazzman

3
Harco Pront - Trust - Music for Speaker

4
Bords Of Canada - Peacock Tail - Unknown

5
Apollo 440 - The Machine in The Ghost - Unknown

6
Signaldrift- Compass or Atlas - Woddlyhead

7
Twilight Circus Dub Sound System - Horsie - M Records

8
Savath & Savalas - Journey's Homes - AgendA

9
McClaren-Hom - Song For Chango - Island

10
Chickenwing All Stars - Celestial Dub(ANDERSON VERSION) - Heavenly Sweetness

Prince Rama - ele-king

 何をいまさらというか、またそれかという話で恐縮だが、エスケイピズムの問題について考えてみる。ここ数年、ポスト・マス・カルチャーすなわちデジタル時代に突入した音楽シーンでさんざん指摘されていることだ。たとえば『ピッチフォーク』のアーケイド・ファイヤーのアルバム・レヴューにこんな一節がある。「あなたがエスケイピズムとしてのロック・ミュージックを高く評価するのであれば、アーケイド・ファイヤーの『ザ・サバーブス』はより小さく見られる可能性がある」

 アーケイド・ファイヤーはゼロ年代以降に登場した、社会や政治を意識する数少ないロック・バンドのひとつだが、この一節は、彼らを積極的に評価するというよりも、アニマル・コレクティヴ以降のエスケイピズムをシニカルに突き放したいという欲望がもたらした言い回しのいち例だ。先月、『スヌーザー』誌でマニック・ストリート・プリーチャーズの取材をさせていただいたときに、ジェームス・ディーン・ブラッドフィールドは「(現代では)政治的になるのが難しい、とは言え、ある世代のミュージシャンがふたつも戦争を経てきて、経済の破綻を目にして、それについてクソ1曲も書かないなんて、信じ難いよ」と言っていたが、この意見に関して半分は同意できるが、異論もある。パンク・ロックがテレビのCMで使用され、ビート詩人たちのポートレイトが広告になる現代において、そして、60年代の遺産とはウッドストックではなくてシリコンバレーだったという説が有力な時代において、戦後カウンター・カルチャーの神話がそれを原体験していない世代にとってどれほど説得力を持つというのだろう。

 それでも、カール・マルクス・シアターでのライヴ経験を持つ誇り高きウェールズ人(マニックス)の洞察力は衰えていないと僕は思った。彼は「現実に気付いて、内面的な考えをリアリスティックなものにしなきゃいけないんだ。だからこそ、これまでになく夢見ることが重要になってる」と話しているが、それこそ僕にはエスケイピズムというタームで説明されているいまの若い世代の音楽の背後にある衝動ではないかと思えてくる。彼らは真実を見たいがために、目の前の現実(と思われている世界)から逃避しているとも言えるからだ。これは目新しい話ではないが、音楽文化においてはつねに重要な一手となっている。レイヴァーが当局の目を盗んでパーティへと辿り着くように、逃避とはときにリスクを承知でメインストリームの文化に背を向けることであり、それは出発の合図かもしれないのだ。

 それからもうひとつ、これはいま書きかけの自分のコラム(forgotten punk)でも触れようと思っている話題だけれど、アニマル・コレクティヴ以降のインディ・ミュージックを特徴づけていることのひとつに、白と黒との衝突(もしくは混合)の喪失があるように感じている。要するにブラック・ミュージックの要素がほとんどない、あったとしてもずいぶん希薄になっている。白い社会における黒い体験がどれほどカウンター・カルチャーの神話に貢献してきたのかは、歴史を少しでも紐解けばわかる話なので割愛するが、オバマが大領となったこの社会における黒への共振に関して、つまり白と黒の二項対立に何らかの変化が起きたとしても不思議ではない。また、かつてルー・リードは「俺は黒人になりたい」と歌ったものだが、たとえばいまのジェイ・Zを見ているインディ・キッズが同じような気持ちになれるのかも疑問でもある。

 そして、そうなったときに彼らが新たな真実を求めてさらに外側へと、さらに遠くへと目を向けたとしても理解できない話ではない。日本人はそれを昔からやっている。自分たち自身から離れるように遠くにあるアメリカやヨーロッパへと思いを飛ばし、さらに遠くのジャマイカやブラジルへと漂泊し、つまり融合的に物事を吸収したように、彼らはいまドイツやアジアやアフリカといった彼らにとっての遠方への密会に飢えているように思える。東洋思想と接触した『森の生活』の作者で知られる19世紀の作家ソローのように、逃げることで真実を見ようとしているのかもしれないし、インディ・キッズの気まぐれの異国趣味か、さもなければぶっ飛んでいるだけなのかもしれない。正直、まだわからないが、言葉よりも先に音が出ている。意味よりも先に声が出ているのだ。もうしばらくはつき合ってみようと思う。

 アニマル・コレクティヴが主宰する〈ポウ・トラックス〉からリリースされたプリンス・ラーマのデビュー・アルバム『シャドウ・テンプル』は、ドイツのポポル・ヴーやアモン・デュールを経由してインドへと流れ着く。ヒンズー教から名前(ラーマ)を引用したこの3人組は、深いサイケデリアを彷徨いながら、アフリカ系アメリカ人が発明したロックンロールのリズムをギャング・ギャング・ダンスとも共通する原始主義的なトライバリズムへと変換する。
 ロックにおけるインドへの接近は60年代にもあった。しかし、ジミ・ヘンドリックスの『アクシス:ホールド・アズ・ラヴ』があくまでブルース・ベースの音楽だったのに対して、プリンス・ラーマのリズムや深いリヴァーブのかかった女性ヴォーカルにはロバート・ジョンソンのかけらすらない。少なくとも60年代のクリシェではないのだ。とはいえ、あまりにもドロドロで、アフリカ系アメリカ人のセンスがもたらした音楽に長く親しんできた耳にはそれなりの違和感があるのも事実だ......が、逆に言えば、彼らはそれだけ現在におけるカウンター......とまではいかないかもしれないけれど、時代のノイズとなっていると言える。まだ小さなノイズだが、ノイズがないところに未来はない。

RILLA (ALMADELLA / GUERILLA) - ele-king

最近よかった12inch TOP 10


1
Shackleton/ Burnt Friedman - Mukuba Special / Rubaczech -Congotronics

2
Mark Ernestus Vs. Konono No 1 - Masikulu Dub -Congotronics

3
Mr Raoul K Feat. Wareika - Le Triangle Peul -Baobab Music

4
Blendon Moeller - Mainline EP -Echocord Colour

5
Santos - Controverse EP -Rockets & Ponies

6
Dubkasm - Part3 : Guido / Peverelist Remixes -Sufferah's Choice

7
Scuba - Three Sided Shape / Latch -Hotflush Recordings

8
Omar S - These Complimentary Track'x -FXHE Records

9
Radio Slave - Kenny Larkin & DJ Sneak Remixes -Rekids

10
Pinch - Croydon House / Elements -Swamp 81

Mount Kimbie - ele-king

 ジェームス・ブレイクがまだアルバムを発表していない現在、ポスト・ダブステップの最前線にいるのはスキューバの主宰する〈ホットフラッシュ〉かもしれない。2010年にダブステップは過渡期を迎えた......といってもそれは欧米でのことだが、まあ、それでもわれわれは何枚もの印象的な作品を手にすることができた。〈ハイパーダブ〉からのアイコニカとダークスター、〈パンチ・ドランク〉からのグイード、〈オネスト・ジョンズ〉からのアクトレス、そしてもちろん〈ホットフラッシュ〉からのスキューバのセカンド・アルバム『トライアングレーション』......そう、これもたしかに美しい作品だったけれど、マウント・キンビーのデビュー・アルバム『クルックス&ラヴァーズ(ペテン師と恋人たち)』はそれらを抑えてトップに躍り出る。気がついたら1位だったというのではない。僕がただ気がつくのが遅かっただけなのである(......と、つまり偉そうに言える立場ではないわけです、すいません......)。

 ポスト・ダブステップにおいて注意すべき点は、当たり前の話だが......それをどこに落とし込むかということである。ポスト・ダブステップとは、要するにダブステップの狂騒から一歩引くということで、ブリアル以降の音を真剣に探ってみるということなのだから、寄り掛かる大きな柱を主体的に放棄するということだ。これが手法に溺れてしまいかねないことは、10年前のエレクトロニカが証明している。とにかく変わっていれば良いという、目的のない実験主義に陥りがちな状態でもあるわけだ。ゆえにグイードの『アニーディア』はよりR&B色を意識して、アクトレスの『スプラシュ(Splazsh)』はIDMテクスチャーに色目を見せた(まあ、いちばん危ういパターンではある)。
 アイコニカの『コンタクト、ラヴ、ウォント、ハヴ』はテクノとチップチューンへ、ダークスターの『ノース』はシンセ・ポップへ、スキューバの『トライアングレーション』はベルリンのミニマリズムへとアプローチしている。あるいはラマダンマンやアントールドがミニマル・テクノへと、そしてジェームス・ブレイクだけが新しい場所を切り開こうとしているのかと思っていたら、ドミニク・メイカーとカイ・カンポスのふたりによるマウント・キンビーはもうひとつの場所を見つけていた。そう、あたかも廃墟の上に温かい場所を見つけ出すように......、そして言うなればマウント・キンビーは、ブリアルとボーズ・オブ・カナダの溝を埋めようとしている。

 マウント・キンビーはザ・XXの"ベーシック・スペース"のリミックスを手掛けているが、ある意味で両者は似た感覚を持っている。収録された11曲は長くて4分という長さで、曲は空間的に録音され、反復を強調している。曲には陶酔感と緊張が混ざっている。"カーボネイティッド"や"ルビー"は真夜中をひとりで過ごす人たちのためにある。そしてより孤独な"オデ・トゥ・ベア"は上品なアンビエント・ダブステップとして繰り返し聴かれるに違いない。
 アルバムにはときとしてボーズ・オブ・カナダの牧歌性とエイフェックス・ツインの子供っぽさが適度に注がれる。トイ・ピアノと声のサンプリングがお茶目に交錯する"メイアー"はジェームス・ブレイクによるリミックス・ヴァージョンも出ているが、これはゴールド・パンダの"ユー"と並んで今年を象徴する曲のひとつである。

 もっと早く紹介するべきだった。ゴールド・パンダにも言われたマウント・キンビーのデビュー・アルバム『クルックス&ラヴァーズ』は2010年にリリースされたエレクトロニック・ミュージックにおいておそらく5本の指に入る......(いや、しかしフライング・ロータス、ゴールド・パンダ、エメラルズにOPN、アグラフも良かったし......)。
 まあとにかくいまでもUKがクラブ・ミュージックにおいて大胆な手を打ってきていることをわれわれはもっと知るべきです。


〈ブラロウィン〉で演奏するバンド

 今回は、ブルックリン・ミュージック・シーンの重臣であるバンド、オネイダ(Oneida)のメンバーとして知られるキッド・ミリオン(Kid Millions)にご登場していただく。昨年〈ジャグジャグウォー〉から発表したオネイダの『Rated O』は『NME』の年間ベストに選ばれたり、キッドの別プロジェクトであるマン・フォーエヴァー(ドラム・アンサンブル・プロジェクト)も『NYタイムス』誌などメディアから絶賛されたり、ボアダムスの77人ドラム以来のボア・ドラム・プロジェクトに参加するなど、彼の評価は上々だ。
 先日開かれた、彼のレーベル〈ブラ(Brah)〉のハロウィ・ンパーティ〈ブラロウィン((brahloween)〉に行って彼の声を拾ってきた。


向かって右側の白い服の彼が、取材に応えてくれたキッド・ミリオン

会場内ではお客さんも仮装する

■今日の〈ブラロウィン〉について。〈ブラ〉はあなたのレーベルですが、いつ頃はじめて、どんなアーティストがいるのですか。

キッド・ミリオン:〈ブラロウィン〉=(Brah+Halloween)は、今年で6回目なんだよ。なぜこのパーティをはじめたかは覚えていないんだけど、自分のレーベル〈ブラ〉で何かイヴェントを組みたいな、って、あと、〈ブラロウィーン〉っていう語呂も面白いと思ったし。

■〈ブラロウィン〉をはじめて今年で何年目ですか。1回目に出演したアーティストや毎年出演しているアーティストなど教えて下さい。今年のアーティストそれぞれについて、コメントください。

キッド・ミリオン:最初のショーは2005年で、たしかノース6(現ミュージック・オブ・ウィリアムスバーグ)の地下でやって、とても楽しかったんだよ。オークリー・ホール、カンパニー、ダーティ・フェイシィズが出演したよ。それから〈ブラ〉のバンドやオネイダの友だちバンドで毎年パーティをするようになって、今年は〈ブラロウィーン〉も6回目を迎えた。この何年間かで、ナイフ・フィッツ、ビッグ・ベア、サイティングス、パーツ・アンド・ラバーなど、たくさんのバンドがプレイしたよ。これらのバンドはいつも僕がオーガナイズしているよ。今年プレイしたバンドもオネイダの友だち。紹介するね。
 トップバッターは、Be/Nonで、オネイダと同じく〈Turnbuckle〉レーベルから作品を出している。1997年にはオネイダといっしょにツアーもしている。リーダーのブロディ・ラッシュはいつも良い友だちで、インスピレーションをくれる。彼らはカンサスシティ出身で、最近新しいアルバムをリリースしたんだ。
 2番目は、ノース・キャロライナのラレィ出身のバーズ・オブ・アヴァロン、彼らは、1998年に彼等の昔のバンド、チェリー・バランスがツアーしていた時に、カンサスのローレンスで、出会ったんだ。オネイダは彼らとはそのときからずっとプレイしている。
 3番目はエリック・コープランド。ブラック・ダイスのメンバーで、ソロとしても活躍している。彼やブラック・ダイスは、オネイダのスタジオ〈オクロポリス〉(=モンスター・アイランドの地下にある)でたくさんのレコードを録音している。彼は、ピープル・オブ・ノースの未発表トラックにゲスト出演している。
 4番目は、テロダクティル。ダクは、〈ブラ〉から2枚のレコードをリリースしていて、現在は3枚目を制作中。彼らはブルックリンの地元のバンドで、オネイダの古くからの友だちだよ。で、5番目がオネイダ。説明はいらないよね?
 オネイダの後は、レッド・ドーン2。元オーサム・カラーのアリソンとカイ・ロック・プリンティングのウルフィーのバンドだよ。最高のハードコア・バンドで、〈エクスタティック・ピース〉からもうすぐ出るアルバムをオクロポリスでレコーディングしている。
 ダブ・ノウ・ダブがこの夜の最後のバンド。オクロポリスでレコーディングしている最高のブルックリン・バンドでオネイダの良い友だちだよ。ちなみにバードロウとDJノックス・オーヴァー・ストリートがバンド間のDJで、2回目から6回目の〈ブラロウィン〉にも出演している。

■どのように出演バンドを決めているのですか。

キッド・ミリオン:僕が〈ブラロウィン〉にピックアップするバンドは、とても個人的で任意的だよ。まず、〈ブラ〉レーベルのバンドであったり、オネイダに関係するバンドであったり、もしくは、これはレアだけど、まだ会ったこともプレイしたこともないけど僕が尊敬するバンドにお願いすることもある。


もちろんバンドもハロウィン仕様です

■〈ブラロウィン〉とハロウィンをかけているけど、ハロウィンはアメリカ人にとって、どれぐらい大切なイヴェントなんでしょう?

キッド・ミリオン:ハロウィンは、アメリカで大きなホリディだよ。中学から高校生になるとダサいって感じになるけど、楽しく着飾って、創造的な楽しいことだよ。もちろん、アメリカのホリディは商品化されているけど、買う必要はないし、公共のなかに埋もれたときに、魅力的に感じるのかな。

■シークレット・プロジェクト・ロボット(https://www.secretprojectrobot.org/spr_menu.html)で毎年ショーを開催していますが、彼らとの関係を教えて下さい。

キッド・ミリオン:シークレット・プロジェクト・ロボットのレイチェルとエリックがいなかったら〈ブラロウィン〉はないね。彼らは毎年、このパーティが起こることを可能にしてくれている。僕はただたんにバンドを集めているだけだからね。僕がシークレット・プロジェクト・ロボットのみんなを知ったのはだいたい2000年ぐらいかな。たぶんオネイダがツイステッド・ワンズのショーをスタートしはじめたぐらいから。たくさんのショーがマイティ・ロボット・スペースでおこなわれたんだ。彼らはヴィデオ・クルーでもあるし、ほとんどのオネイダのショーのライトを担当していた。彼らは、僕らが見せたい音楽や僕たちがやっている本質的な要素の大きな部分を占めている。彼らは僕らがやっていることの"ハート・アンド・ソウル"なんだ。僕らが5年前にスタジオをモンスター・アイランドに移すときに、建てるのを手伝ってくれたり、オネイダへの助けは計り知れない。

■あなたのプロジェクトについて話してもらえますか?

キッド・ミリオン:いまのところ、オネイダとマン・フォーエヴァーが僕のふたつのメイン・プロジェクトだよね。オネイダは僕がブルックリンで1996年に作ったバンドで、それ以来、僕のメインプロジェクトになっている。マン・フォーエヴァーは、僕のドラム・アンサンブルで、実験的なパーカッションとサウンド・コラージュ実験。いまはそれ以外のプロジェクトには関わっていない。

■それぞれはどのように分けているんですか? バンドとレーベルをするにあたり、気をつけていることはありますか?

キッド・ミリオン:オネイダが僕のいちばんのプライオリティ。マン・フォーエヴァーは2番目かな。〈ブラ〉は僕とジャガジャガのスタッフが運営するレーベル。僕が彼らにプロジェクトを提案して、彼らが少し資金を調達してくれる。いまのところ15枚のレコードをリリースしたよ。

■それだけバンドやレーベルなどに関わっていたら、たまに音楽を止めたくなることなどあります?

キッド・ミリオン:音楽を嫌いになったことはないよ。音楽作りやレーベル運営に関して、ハッスルする状況は好きじゃないけどね。僕はできる限り音楽を聴いたり練習したりしようとしてる。ときどき休んでリフレッシュすることも必要だけど、ニューヨークではそのバランスが難しいね。

■音楽以外で好きなことは? 音楽をやっていないときは何をしていますか?

キッド・ミリオン:音楽以外は書き物をしたり、読んだり料理したりすることが好きだね。いまはおいしいラーメンを作り方を学んでるよ。たぶん、君が助けてくれるかもね(笑)。

■この界隈のバンドで、おすすめのバンドはいますか?

キッド・ミリオン:ファビュラス・ダイアモンズや地元のバンドのブルース。リタージーもいいし、インヴィジブル・サークルも好きだよ。

■日本のバンドで好きなバンドはいる? そういえばbore 77 drumに出演していましたよね。それはどのように関わったのですか?

キッド・ミリオン:DMBQがボアダムス以外で僕の大好きな日本のバンドだね。もちろんボアダムスが世界でいちばん好きなんだけど......。彼らは、ただすばらしくて、僕が、彼らと一緒にプレイできたのは本当にラッキーだよ。日本のボアダムスファンは、本当に彼らのことが大好きで、特別でパワフルなグループであることを知っていると思う。

■この雑誌ele-kingは日本のウェブ・マガジンだけど、〈ブラ〉として、オネイダとして、日本に対するイメージは?

キッド・ミリオン:日本は大好き。そこにいれることはとても特別で信じられない。音楽、友だち、食べ物、人びと......。ただ単にすばらしいね。すべてのことが大好きだし、また戻るのが待ちきれないよ。

■いま日本では洋楽のCDを売るのがとても難しいし、アメリカのインディ・ミュージックに夢中になる人も少ないんですよね。たぶんいろんな新しいことが起こりすぎて、音楽以外にもたくさんの情報がありすぎるし、それが彼らにとってリアルでないのだと思う。もちろん、それを共有したいと思っている人もいるし、日本のインディ・ロック・ファンにはこのシーンを理解してもらいたいと思っているんですが、このシーンを日本に伝える何か良い方法はあるでしょうか?

キッド・ミリオン:難しい質問だね。ブルックリンには確立されたDIYシーンがあると思う。たくさんの才能ある人びとが、さまざまな希望を持ってここに引っ越してくるからね。僕らはここに引っ越した。ルールなんて知らなかったけど、ただ音楽をプレイしようと決めて、そしてプレイできる場所を見つけるんだ......。この感情を日本に持って行くのは難しいだろうね、なぜなら文化的に僕らは、音楽のプレゼンの仕方が違う。他には、日本は、ハード・ワーキンに対しての尊敬や、深い才能のプールがある。地元の日本のアーティストがすでにたくさんいて、ブルックリン・ミュージックが入り込む余地はないんだと思う。でも僕らがマイティ・ロボット仲間とそこに行って、日本の変わったオルタナティヴ・スペースでプレイできるなら、きっとどこかのシーンとコミュニケートできると思うよ。でも僕はもっとたくさんの日本のバンドがブルックリンに来てプレイしてほしいな。友だちになる良い方法だよ。

■来年の〈ブラロウィン〉はどんなバンドを招待したい?

キッド・ミリオン:次? ボアダムスとOOIOOなんて最高だね!

ツイステッド・ワンズ(Twisted Ones):
フィッツとアーサーのふたりが2000年頃からはじめたブッキング・チームで、ヤー・ヤー・ヤーズ、ラプチャーなどのバンドをマイティロボットも含むブルックリンのDIYスペースでブッキングしたチームとして知られる。ブルックリンのジャンクヤード(空き地)を借り切り、毎年夏に開いていたジャンクヤード・フェスは有名で、ライトニング・ボルトやライアーズなどの、その頃のブルックリンを代表するバンドがそこでプレイした。現在、フィッツはベルリン在住で、アニマル・コレクティブ、ライアーズなどのヨーロッパ・ツアーをブッキング。アーサーは、ブルックリン在住で、ウィリアムスバーグ・ファッション・ウィークエンド( NYのハイエンドなファッションウィークに対抗し)を毎年開催してる。https://williamsburgfashionweekend.com/

マイティ・ロボット(mighty robot):
2000年~2005年ぐらいまでブルックリンにあったDIYスペース。ここでツイステッド・ワンズがマイティ・ロボットと組んでショーをオーガナイズしたのがブルックリンシーンのはじまり。ヤーヤーヤーズ、アニマル・コレクティブ、ラプチャー、ライトニング・ボルト、オネイダ、!!!、ブラック・ダイスなどのブルックリンニュー・パンク・シーンの発信地。ショーのアナウンスはメーリングリスト、口コミのみだが、いつでも人がパンパンの知る人ぞ知る場所。詳しい情報は〈コンタクト・レコーズ〉からリリースされているDVD『u.s. pop life v.34 tribute to mighty robot』(CR-034)参照。ここにジャンクヤードの映像やマイティ・ロボットのレアヴィデオクリップ集が収録されている。

モンスター・アイランド(monster island):
さまざまなアーティスト・スペースが入った見た目もそのまま、その名の通りモンスター複合建物。
2F(mountain):カイロック・スクリーン・プリンティング(インディ・バンドのポスター、Tシャツなどデザインをする、プリント会社)。
1F:シークレット・プロジェクト・ロボット(アートスペース)、ライヴ・ウィズ・アニマルズ(アートスペース)、モラスク・サーフ・ショップ。
BF(cave):オクロポリス(オネイダ、キッドのスタジオ)、モンスター・アイランドベースメント(Todd Pスペース)その他、ヨガスペースなどもはいっている。年にいち度monster island block partyを開催している。
https://www.brooklynvegan.com/archives/2010/09/monster_island_2.html
https://flavorpill.com/brooklyn/events/2010/9/4/third-annual-monster-island-block-party
https://www.freewilliamsburg.com/saturday-3rd-annual-monster-island-block-party/
https://www.lastfm.jp/event/1634523+Monster+Island+Open+House+-+Block+Party

マイティ・ロボット・ヴィジュアル・スクアッド(mighty robot visual squad):
ヴィジュアル・チーム。マイティ・ロボット・スペースでのショーはもちろん、バンドと組んだり、単体でもさまざまなイヴェントでVJをする売れっ子ヴィジュアル・チーム。アナログ手法を使い、水と油など、理科の実験のごとく、多彩な虹色ヴィジュアルを創りだす。有名なアートギャラリー、ダイチ・プロジェクト、他、いろんなチームとのコラボも良くある。

シークレット・プロジェクト・ロボット:
2005年の終わりにマイティ・ロボット・スペースがクローズし、2006年より、シークレット・プロジェクト・ロボットと名前を変え再始動。モンスターアイランドの1Fにあるアートスペース。
www.secretprojectrobot.org

Avey Tare - ele-king

 アニマル・コレクティヴでエイヴイ・テアーを名乗るデヴィッド・ポートナーにとっての最初のソロ・アルバムで、結論から言えば......、いや、結論は最後に書くべきだ。とにかく最高のモダン・サイケデリック・ポップが展開されているし、僕はかなり気に入っている。まず、アルバム冒頭の"ラフィング・ハイログリフィック(笑っている象形文字)"からして素晴らしい......というか間違いなくこれがベスト・トラックである。いわばエレクトロニック仕様のシド・バレットで、マーク・ベルが作ったトラックの上に『ザ・マッド・キャプ・ラフス』がミックスされていると想像して欲しい。IDMテクスチャーのトラックもさることながら、デヴィッド・ポートナーのエモーショナルなヴォーカルもなかなか味がある。2曲目の"スリー・アンブレラズ"はアニマル・コレクティヴの"マイ・ガール"と同じ系統に属する軽めのポップ・ソングで、3曲目の"オリヴァー・ツイスト"は子供じみた奇抜さを持ったIDMスタイル、そして4曲目の"グラス・ボトム・ビート"から"ゴースト・オブ・ブック"へとアルバムは奇行に走る子供のようにサイケデリックな度合いを高めていく......という展開だ。

 デヴィッド・ポートナーは、ブラック・ダイスのエリック・コープランドとのテレストリアル・トーンズによって実験性の強い作品を発表しているが、彼はこのアルバムでもそれぞれの曲でエレクトロニクスを活かしたユニークなサウンドを追求している。喩えるなら、エイフェックス・ツインやプラッド、LFOといった夢見る〈ワープ〉サウンドがブルックリンの動物農場で合唱しながら再生されているような感じだ。6曲目の"セメタリーズ(墓地)"はエイフェックス・ツインめいたアンビエント調のトラックにおぼろげな歌がミックスされるという、そう、まさに"入眠ポップ"である。7曲目の"ヘッズ・ハンモック"では、絡まった糸のように歌や音を捻り、引き延ばし、リスナーをわけのわからない世界へと連れて行く。8曲目の"ヒーサー・イン・ザ・ホスピタル"、そして最後の曲"ラッキー・ワン"に関しては、何も知らず曲だけ聴いたらアニマル・コレクティヴの新曲だと思うだろう。彼らの得意とするメロディのオンパレードだ、が、しかし、バックトラックのIDMテクスチャーがこのアルバムのすべてを代弁する。つまり、デヴィッド・ポートナーはチルウェイヴァーたちにこう話しかけていると想像して欲しい。どうだい、これもけっこう気持ちいいでしょう?

 はい、ご名答。これは、アニマル・コレクティヴからのチルウェイヴへのリアクションである......というのが僕の結論であり、誰かに訊かれたらそう答えている。いまではエイヴイ・テアーまでチルウェイヴにアプローチしていると。

Eskmo - ele-king

 昨年から今年にかけて20周年を迎えたロンドンの老舗ダンス・ミュージック・レーベルといえば、〈ニンジャ・チューン〉と〈ワープ〉に他ならないが、両レーベルが長年の歳月を経て磨き続けてきた嗅覚の鋭さには、あらためて驚かざるをえない。今年の頭〈ニンジャ・チューン〉は、スキューバも注目する新人フィメール・ダブステッパー、エミカの12インチ・シングル「ドロップ・ジ・アザー」(スキューバによるリミックスも収録)をリリースした。一方〈ワープ〉は、こちらもダブステップのトラック・メイカーでありながら、コマネチなどインディ・バンドのリミクスも多く手掛ける、カナダのベイブ・レインボウの12インチEPをリリースしている。昨今のポスト・ダブステップ・シーンの熱狂に華麗に切り込む両レーベルのその新たな一手に、それはもう興奮したものだった。

 その〈ニンジャ・チューン〉が今年もっともホットな新人として、ステッピーなコズミック・ハウサー、フローティング・ポインツとともに世界へ送り出そうとしているのが、このサンフランシスコ出身の新進気鋭のビート・メイカー、エスクモことブレンダン・アンジェリードだ。US西海岸出身のビート・メイカーといえばデイダラスをはじめとする〈ロウ・エンド・セオリー〉周辺のブロークン・ヒップホップを想像するが、彼の場合もご多分に漏れず、アンダーグラウンド然とした奇妙なウォンキー・サウンドを特徴としている。
 とはいえ、ダブステップ通過後ともいえる、ハイハットとスネアとキックのコンビネーションを活かしたそのトリッキーなビート・メイキングは、ハドソン・モホークやラスティら、プレイステーションのコントローラーを片手に作曲作業をする、グラスゴウ周辺のビート・メイカーたちの人を食ったクレイジーさも匂わせる。
 ちなみに彼は、このアルバムをリリースする以前に、すでに今年の春に、US西海岸の新世代ビート・ジャンキーの台頭を表すエプロムとのスプリット12インチEPを〈ワープ〉からリリースし、続いて夏には、かの〈プラネット・ミュー〉からのデビューを果たしている。〈ニンジャ・チューン〉、〈ワープ〉、〈プラネット・ミュー〉の3レーベルを行き来したアーティストというのは、歴史的に見ても、彼とルーク・ヴァイバートぐらいではないだろうか。

 とにかく、注目のなかでリリースされる『エスクモ』は、ガラクタ一歩手前の奇天烈なトライバル・ビートにアンビエント調のアトモスフェリックなシンセサイザーを重ねることで、アルバム全体を通して、原始と宇宙空間を繋ぐかのような、超現実的なサイケデリック・ワールドを構築することに成功している。充分にユニークな展開だが、〈ワープ〉からのスプリットEPや〈プラネット・ミュー〉からのシングルを聴いたときほどの驚きもない。それら先行シングルでの、スクウィーなどロウビット・ミュージックの要素を取り入れた革新的なビート・メイキングには胸が躍ったものだが、あまりにも期待し過ぎたせいだろうか、このアルバムは、どうにも斬新さを欠いているように思う。

 とはいっても、エスクモが作り出す摩訶不思議なブロークン・ヒップホップ/ウォンキー・サウンドが耳に心地良く聴こえるのは事実である。また、彼がヴォーカル・トラックを多く作り続けていることにも将来性を感じている。マグネティック・メンの"アイ・ニード・ジ・エア"の次は、もしかすると、このあたりからアンセムが生まれるのかもしれない......。フライング・ロータスやゴールド・パンダら世界のトップ・クリエイターたちがネクストを求めて新たなビートを生み出しているなか、エスクモもまた次世代を担うビート・メイカーのひとりであることに間違いはないのだ。
 
 11月5日に開催される〈ニンジャ・チューン〉の日本での20周年パーティでエスクモは、〈夕刻の巻〉と〈夜更けの巻〉の両方でトップバッターとしてプレイする。当日は開演時間に前に合うように行くこと。

Issugi - ele-king

 スラックもそうだが、イスギのアルバムにもリリックが掲載されていない。言葉は音ともにあることをダウン・ノース・キャンプ(DNC)は暗に主張しているのだろう。日本の音楽シーンの言葉好きに関しては、歌詞カードがあって当然というリリース形態に象徴されているが、それは世界共通の考えではないことは輸入盤を聴いている人なら当たり前のように知っている。音楽における言葉は音ともにある。しかし、われわれは言葉だけを聴いているときがある。音はせいぜい伴奏であり、言葉の意味のみをどこまでも追いかける。そして言葉に寄りかかり、ときとしてミュージシャンは道を示す導師のごとき扱いを受ける。そうしたある種の自己啓発めいたシーンから遠く離れた場所で、DNCのようなDIY主義者によるヒップホップは動き続けている。

 イスギはこのアルバムを発表する前に、超限定で前作『Thursday』のインスト&リミックス集を発表しているが、今年はスラックもブダムンキーとのリミックス・アルバムを発表しているように、DNCクルーはずいぶんと音作りの冒険にはまっているようである。イスギのセカンド・ソロ・アルバムとなる『ザ・ジョイント』というタイトルも、一面では、このアルバムに参加した多彩なトラックメイカー――マス・ホール(メダラ)、16フリップ(モンジュ)、パンピー(PSG)、ブダムンキー、マリク、グラディス・ナイス、およびラッパー――仙人掌、Mr.PUG、O.Y.G、タム、ヤヒコ、スラックたちとの協同作業を意味しているのだろう。イスギのハスキーな声は、彼らの作る素晴らしいうねりの数々のなかで息づいている。それらの楽曲は〈ストーンズ・スロー〉やジェイ・ディラのソウルフルな破壊衝動、ウータン・クランやMFドゥームの薄明かりの地下街へと連結するように感じられる。

 ビッグ・バンド・ジャズのホーン・セクションが不吉なイントロを吹くと、霧の中から1曲の"ザ・ジョイント"がはじまる。そしてひび割れた音とピアノのループによる"ニューデイ"へと続く。この2曲だけでも充分に、夜遅く静まりかえった通りに潜んでいる魔物たちの夢に連れていかれる......と、まあ、とにかく格好いいのである。
 16フリップによるエレガントでメロウな"ビッグ・マウス"は路上の叙情詩で、マス・ホールによる"ジ・アンセム"はファンクの部品をひとつづつずらしながら解体していくような幻覚を与える。イスギは、彼の日々の雑感のような言葉をラップしている。混乱、酩酊、生活と厭世、そして怒りと夢が語られている。"ミスター・ランページ"は容赦ない憤怒のスリリングな一撃だ。パンピーの手掛けるトラックは、尺八のような音とトライバルなビートが夜の新宿のような、独特な無国籍感を演出している。危険な風を運ぶストーンしたビートの"タイムイズナウ"とジャジーなピアノ・ループによる"ファイン・バット・サッド・ウエザー"はブダムンキーによる曲で、後者の曲でイスギは真夏のけだるいひとときを、海辺の青春のひとコマではなく、アスファルトと冷房の夏を描いている。16フリップによるメランコリックなヘヴィ・ファンク"ジャス・ミュージック"は地下室に深く反響し、アルバムがいよいよ佳境に来たことを告げる。そして『ザ・ジョイントLP』は、スラックが参加した"キングダム"でさらに激しさを増す――。

 だが、ある意味では『ザ・ジョイントLP』には、クライマックスがない。いわばアンチ・クライマックスと言える。彼のリリックにはリスナーを勇気づけるような気の利いた言葉もなければ、偉そうな教訓も色恋もなく、お涙頂戴のメロドラマもない。断片化された古いジャズやソウルの残骸の上から、何かを生み出そうとする衝動があり、そして東京で暮らすボヘミアンとしての小さな放浪が描かれている。正しくなくてもかまわないという意味においては、迷いのない現在が表現されている。いや......、彼はひょっとしたら、世間や音楽が押しつける正しさやポジティヴな態度に抵抗しているのかもしれない。

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