「Not Waving」と一致するもの

Timeline - ele-king

 クリスマス前夜の23日ともなると、僕と同世代のいい年した連中なら家で家族と過ごしているのだろうし、それはもちろん......良いことだ。あるいは、いわゆるハコ客が若い......ということもあるのかもしれない。まあとにかく思っていたよりも、客層は若い。男祭りでもなく(それを期待していた人もいたが......)、ラヴ&ピースな、心地よいヴァイブレーションだった。何人かのお客さんと話したら、フライング・ロータスのファンだった。
 タイムラインのライヴは熱かった。熱狂があった。前の晩の〈ヘッスル・オーディオ〉は音楽的には新鮮だったが、フロアの熱量と運動量という点では少々おとなしかったから、なおさらそう感じてしまったのかもしれない。また、メッセージのある音楽の強さが、こういう時代ではとくに際だつのだろう。が、それにしても1時間半を超える彼らの演奏、予定調和を後にした自由な演奏、つまりほとんど即興、タイムラインの新しい姿を迎えるオーディエンスの騒ぎ方は、最高の"宴"を創出した。僕はつくづく思った。ブラック・ミュージックには"情の厚さ"というものがある。それが英語で言うところのemotionやsoul、music from their heartsってもんだ。

 タイムラインは、去る11月にリリースした新作「Graystone Ballroom EP」の楽曲をガイドラインにしながら、1時間15分、がっつりとインプロヴィゼーションを展開した。それは時間の経つのも忘れるぐらいに耳と目と、そして気持ちをロックした。途中で演奏された"ジングル・ベル"も美しかった。ぜんぶ良かった。
 サックス奏者は23歳の大学院で博士課程を学ぶDe'Sean Jones(スティーヴィー・ワンダーのバックもつとめている)、キーボード奏者はふたり、ひとりはウェイン州立大学で音楽講師を務めているJon Dixon(ジャズとテクノの研究者)、そしてもうひとりはマイク・バンクス、DJは地元のヒップホップのキッズの面倒を見ているというDJシカリ(バンクスが彼の甥っ子の野球のコーチだった。お互いに音楽をやっていることを知ったのは数年後のことだったらしい)......MCはお馴染みのコーネリアスといった、選ばれし5人といったところで、とくにフロントをつとめる若いサックスと鍵盤のふたりは、演奏技術の高さもさることながら、そのステージング、情熱、気迫、実に見事だった。そういえば三田格はハーバートやモーリッツ・フォン・オズワルド・トリオの2011年の新譜にテクノの成熟のあり方を感じたというけれど、今回のタイムラインもそのひとつだったと言える。お馴染みのヒットメドレーでもやるのかと、一瞬でも思ってしまった自分の浅はかさを恥じるしかない。

 ライヴがはじまる数時間前、マイク・バンクスと久しぶりに会話した。いろいろ喋りながら、思わず「3.11 changed everything」などと口走ると、彼は押し黙り、泣いた。フットワークが好きだとマイクに言った。俺も大好きだと彼は言った。あの文化は、70年代後半、いや、おそらくそれ以前からあるものだと言った。「ちなみにデトロイトのヒップホップでいまいちばん面白いのは......」と言って、バンクスは「14KT」という名前をメモってくれた。ヤツをチェックしろよ、実験的で、そして良い言葉を持っている......。
 ほかに報告することは......ベース・ミュージック世代がURをプレイしていることををめちゃ喜んでいたこと。アメリカのシリアスな不況、イチローの猫みたいな動きの凄さ、あるいは彼がアジのタタキの骨までしっかり食べて醤油まで飲み干したこと(さすがに止めました)。相変わらず重りを背負って坂道を走っていることとか......。

 ブラック・ミュージックは情に厚い音楽である。ときにそれは尋常ではない情の深さを露わにする。まわりにいる人が「バカじゃないの」と呆れるくらいの、ラジカルな"情"だ。平岡正明の有名な言葉を思い出す。「どんな感情も正しい」
 タイムラインのライヴはそれを我々にあらためて伝える。最後の"ハイテック・ジャズ"、アンコールの"ジャガー"は正しい方向を向いた即興によってオリジナル録音の演奏を自由に崩す。アリス・コルトレーンやファラオ・サンダースらが参加してヴィレッジ・バンガードで演奏した"マイ・フェイヴァリット・シングス"......、いやいや違う、スピリチュアルというよりも、つねにファンクをキープしているという点では、『オン・ザ・コーナー』に近い。つまりこれはもう、jazzだった。モーリッツ・フォン・オズワルド・トリオがベルリン・ミニマルの新たな展開として見せた即興をデトロイト・テクノの文脈で試みたプロジェクトというたとえもできるかもしれない。いずれにしても、フライング・ロータスを契機にやって来た子らは満足したことだろう。僕もあらためて、彼らのファンになった。新しいムーヴメントはつねに魅力的だが、キャリアを積んだアーティストのかつて自分も新しいムーヴメントのいち部であったことに頼らない真のチャレンジ、さまざまな人生経験を経てのさらなる実験を今回はたたえたい。
 ライヴが終わってDJダクトのプレイを少し聴きながら、「いやね、じつは風邪ひいていたし(←本当)、リハだけ見て帰ろうとしていたんだよね」と、メンバーに土下座しようかとも考えたが、結局、誰にも挨拶せずに僕は会場をあとにした。午前4時を回っていた。こんどはこっちが泣く番だった。クラブのあとの空しさだって? そんなものあるわけないっしょ!

 (thanks to 石崎くん@Underground Gallery, 浅井くん@Es.U.Es)

U.S. Girls - ele-king

 へー。こうなるのかー。ベスト・コーストやハニー・オーウェンズの(悪)影響なのか、ソロで「アメリカの少女たち」を名乗るミーガン・レミーの3作目はレーベルを移籍し、簡単にいえばポップになった。圧迫感のあるビートが導入され、いわゆるソングライティングさえ恐れなくなっている(ついにCDヴァージョンまで出して。もしかしてアナログのレーベル・フォトは...?)。

 前作『ゴー・グレイ』(10)はなんとも不思議なアルバムだった。基本的にはイフェクトをかけまくったギターの多重録音で、ある種のパーカッションや、ゲームの残響音がプラスされることもなくはないけれど、ほとんどはギターの響きだけで構成され、ヘンな表現かもしれないけれど、ダンディとしかいえない美学に貫かれていた(...なかでは「ヒズ・サンズ・フューチャー」のアウトロがあまりにもイマジネイティブなコズミック・・ドローンでちょっとスゴかった)。曲というよりも断片とか余韻に酔いしれたくなるといった方が正確で、60年代のロックン・ロールをカヴァーしたディック・アンド・ディー・デォー「マウンテン・ハイ」もドラムスの残響音に埋もれているだけといった方がいい感じだし(ダーティー・ビーチーズが気に入っているというのは、この曲を聴くとなるほどです)、どの部分を取ってもフェミニンな感触はなく、スーサイドがジーザス&メリー・チェインのカヴァーをやり損なっているような質感は最後まで揺るがない。

 それが、『USガールズ・オン・クラアク』では、アルバムの後半こそアブストラクトにもつれ込んでは行くものの、戸川純かと思うようなオープニングからしっかりと歌を聴かせ、場合によっては楽しいメロディなんかも出てきちゃうし、「ジ・アイランド・ソング」では童謡とMGMTを掛け合わせたようなナゾの展開へと突入、どの部分からもフェミニンな感触があふれ出している(...ファイストが骨太になったのとは逆の展開というか)。それでも曲の骨格にはやはり前作と同じくソリッドな手触りが内包され、異様なムードには事欠かない。短いとはいえ、ドローンもむしろ本格的になったといえるし、どこへ行こうとしているのかさっぱりわからない曲の数々が混然としながら投げ出されていく(エンディングなんか爽やかにカントリーですから)。めちゃくちゃなのに、なぜか、迷いを感じているとか、そういったネガティヴな印象は持たせない。あっさりと納得してしまった。ファット・キャットのサブ・レーベルからはもっとポップな曲も出しているらしい(未聴)。

vol.25:リー・ラナルドは青春ロック! - ele-king

リー・ラナルド(ソニック・ユース)、レ・ボン・オム(ディアフーフ、元レイナーマリア)、コ・ラ(エクスタティック・サンシャイン)@グラスランズ 12/16(金)
Lee ranaldo(sonic youth), les bonhommes(mem of deer hoof, Rainer Maria), co la (ex. Ecstatic sunshine) @ Glasslands dec.16 (fri)

 〈グラスランズ〉はアートスペースかつ音楽会場。ポップ・ガン(ブッキング・エージェント)のホリディ・パーティが前日にあり、次の日、ジョナサン・トウビィンのベネフィット・ショー(ポートランドのホテルで信じられない事故が起こった=詳しくは→https://www.brooklynvegan.com/)。
 とにかくこの時期の〈グラスランズ〉はイヴェントが目白押しだ。この2日に挟まれた金曜日12月16日にはソニック・ユースのギタリストとして知られるリー・ラナルドのショーがあった()。同日、やや北の広い敷地内で開催される〈ブルックリン・バザー〉にてLCDサウンドシステムやクリスタル・アークのショーがあったり、隣の〈285 kent〉でダンス・パーティがあったり、人は分かれたようだが、〈グラスランズ〉は人でいっぱいだった。
 Co -aを見逃してしまい(残念!)、次は、グレッグ(ディア・フーフ)とビル(元レイナー・マリア、プロサイクス)の新しいバンド、Les Bonhommes(=人間という意味。以前はOut Fighting。www.outfighting.com)だった。グレッグがギター/ヴォーカル、ビルがドラム、そしてベースのトリオ。ローファイでパンクで、ちょいスカスカ系。グレッグがやると全部スカスカなんだけど。
 曲の半分ぐらいには歌詞がない。「アー」とか、「I will meet you」とか。メンバーのノリもまだぎこちないけど、それぞれの個性が合わさって、パンチあるケミストリーが生まれている。個人個人がしっかりしていると,何をやっても形になる。グレッグは緑のTシャツ、緑のスニーカー、スカイブルーのパンツ、ストライプの靴下とカラフルな出で立ち。対するビルは全身真っ黒。前のバンドでもそうだったので、これが彼の普段着なんだろうけど、髪型も以前とまったく一緒。ベース・プレイヤーは、何処かのバンドで見たことがある、デロン・プーレィ。何だか運動会を応援している気分になった。
 それからしばらくして、リー・ラナルドが登場。サーストンのソロ・ライヴは良く見ているが、リーははじめて。サーストンのソロもそうだが、エクスペリメンタル、ノイズなイメージがあったのだが、この日はチープ・トリックやソニック・ユースなど、少年的なギターリフが特徴的な、少し青春、甘くノイジーなロックンロールな演奏を披露した。メンバーはソニック・ユースのドラマーのスティーヴ・シェリー、ギターにトニックなどでプレイしていたアラン・リーチ、ベースは名前は知らないが、ベーシストな感じの男性、そしてリーがギター/ヴォーカル。みんなおじさんだが、プレイするのは甘い青春ロックンロールで、なんだか微笑ましかった。ハング・アップスをもっとロックにした感じ。演奏は凄腕。
 歌っているリーを見ていて誰かに似ているな......と思っていたら、ナダ・サーフのボーカル! 歌の雰囲気といい、格好といい(チェックのシャツ)、髪型といい、彼(マシュー)が少し年をとったらこうなるのだろう。曲ごとに、6本のエレキ・ギターを持ち替えていた。プラス、ギターと同じ色のペダルなど意外にこだわり屋なのかしら。
 観客はドレッドのお兄さんやハイヒールにドレスのお姉さん、アランがプレイしているからか、ノイズ・エクスペリメンタル系の人たちなど、普段のインディ・ショーにいなさげな人たち(年齢層高め)が目立った。バンドに共感できる幅広い年齢層が多く集まり、バンドが期待していることを与えてくれる。だから、これだけ人が集まったのだろう。
 
※サーストン・ムーアとキム・ゴードンの離婚で解散が言われているソニック・ユースだが、まだ公式の解散宣言はしていない。が、解散を思ってきているオーディエンスも少なくなかった。ただ、リー自身は今後のソニック・ユースを楽観的に見ていると言っている。

Derrick May - ele-king

 3.11以降、相次ぐ来日キャンセルのなか、むしろ勇んで予定よりも早く来日したことは、実にデリック・メイらしい行動だった。あのいかんともしがたい凍り付くような不安のなか、彼はやって来て、ドミューンへの出演を直訴し、そして「放射能を浴びに来たゴジラか」と宇川直宏をはんぶん呆れさせるところが、良くも悪くもまあ、デリック・メイというDJの魅力にもつながっている。身体と感情が先走ってしまうのだ。理屈はたぶんあとからついてくる。賢明な人なら、普通はあのタイミングで来ないわな。
 震災直後だから当然クラブ営業も停止状態で、自分のスケジュールもキャンセルされたというのに、彼がなぜあのとき来たかと言えば、理由は簡単、好きだから、ただそれだけ。日本びいきと言われる外国のミュージシャンは多いけれど、デリック・メイの場合は本気で、好きなんだと思う、自分が知っている日本とこの国の貴婦人がたを。正直なところいまだに僕には、彼がなぜ、どうしてここまで本気で好きなのかよくわからない。俺らってそんなに良かった? と思う。ただ、彼はとにかく好きなのだ。その証拠に通算3枚目のミックスCD『Derrick May×Air Vol.2』もまた日本でのリリース。
 ライナーノーツにも書いたように、僕はあの気まぐれな男が、まあこう言っては何だが、ミックスCDを、今回本当に出すとは思っていなかった。前回の『Vol.1』のときは13年ぶりという、久しぶりだという価値があったが、今回はおよそ2年ぶり、彼の知名度や評価、実績や人気を思えばこれを出す必然性はなかったように考えるのが当然だ。つまりこれが出たこと自体がいくら「好き」とはいえ、驚きだった。リリースの背後には3.11も関係しているだろう。このミックスの音源のレーベルの方からCDRをいただいたときに、ああ、ホントに出るんだと漠然と思った。

 オープニングは彼のDJではお馴染みのフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドの"ウェルカム・トゥ・プレジャードーム"。このセックス賛歌はガラージ・クラシックとしても知られている。ミックスの展開は、もういつものデリック・メイだが、選曲にはクニユキやカイト、ヒロシ・ワタナベといった日本人のトラックが目に付く(かつて日本に住んでいたレニー・フォスターのトラックも収録されている)。それから、流れにアクセントを付けているのはラテン系のハウス(現在のイタリア、もしくはスペイン)、あるいはクァンティックのトライバルなハウス......と、何か特別に懲ったりもしない、ファンには充分過ぎるほどわかっているいつものデリック・メイだ。少々雑だが、思い切りの良さがあり、寛容さと愛情のこもったミックスである。ブースのなかで大汗をかいて身体を揺らしているデトロイトの男にとって、これが最良のやり方なのだ。
 CDは30分を経過したところで、日本語の「生きててよかった」という言葉が入る。デトロイトの〈テクノティカ〉から2004年リリースされたゲイリー・マーティンのトラックのフタゴ・ブラザースによるリミックスだが、その言葉の意味をデリック・メイは知らずにそのトラックを使ったという話だ。それでもこういう具合に、意味深な展開になってしまうのもこの人らしいというか......しかし「生きててよかった」のか「悪かった」のか、まあ、「良かったのだろう」、そういう風に、人をとりあえず前向きにさせる力もいつものデリック・メイ。応急処置かもしれないが、前向きさを感じることは健康に良い。

 彼は年末の〈SOUND MUSEUM VISION〉のカウントダウン・パーティのために来日する。その2日前の29日のドミューンにもデリック・メイは出演する(ちなみにデリックの前のDJはムードマン、意外なことに初共演?)。もし読者のなかにハウス・ミュージックをこれから試しに体験したいと思っている人がいたら、デリック・メイのDJを聴くと良い。生きていることは楽しむこと、rhythim is rhythim, life is life...

ele-king vol.4  - ele-king

〈特集〉2011パート1
2011エレキング-ランキング100
オウガ・ユー・アスホール インタヴュー
〈コラム〉頭でわかる2011
コード9 インタヴュー  他

Pinch & Shackleton - ele-king

 シャックルトンといえば、5~6年前のデビュー時は怪奇趣味を弄ぶダブステップ界の異端児、変わり種だった。彼がロンドンでアップルブリムといっしょに営んでいた〈スカル・ディスコ〉は、アメリカのメタル・キッズが好むようなB級ホラー映画めいたヴィジュアルとエキゾティズム(アフロ・パーカッション、アジア、中近東の音楽からのサンプリングなど)をベース・ミュージックに調合することで、その当時も多くの目と耳を惹きつけていた。ほどなくして、その怪しげなミニマル・サウンドはリカルド・ヴィラロヴォスと結ばれている(それはベース・ミュージックが初めてベルリンのミニマルと接触した瞬間でもある)。
 10枚目の12インチ・シングルを発表すると、2008年、〈スカル・ディスコ〉は4年の寿命を終えた。アップルブリムはブリストルへ、そしてシャックルトンはベルリンへ移住した。そして"ノー・モア・ネガティヴ・ソーツ"という、それまでの〈スカル・ディスコ〉のイメージをひっくり返すかのようなタイトル名のトラックではじまる『Three EPs』(2009年)は、しかし確実に、〈スカル・ディスコ〉サウンドをアップデートしたものだった。彼のトレードマークであるパーカッションとベースラインはより有機的に絡みつき、ほかの誰とも違った独特のヒプノティックなグルーヴを編み出していた。ポスト・ダブステップにおけるデトロイト回帰でも、そしてベーシック・チャンネル回帰でもない......いや、ベーシック・チャンネルは少々入っているか。とはいえ、地下室に閉じこもっていた博士が研究の成果を見せるように、それは「まだこの手があったのか!」というサウンドであることはたしかで、多少気味が悪いかもしれないが、『Three EPs』以降のシャックルトンはダブステップから離れてオリジナルなサウンドを作ることのできた数少ないひとりとして、ずいぶん幅広く聴かれている。2010年にはすべてを自分の曲でミックスした『Fabric 55』(ある意味では、これがファースト・アルバムとも言える)を発表しているが、これは当時、ヴィラロヴォスのミックスCD以来の話題作になっている。

 本作は、そのタイトルが言うように、ブリストルのダブステップ・シーンにおけるパイオニア、〈テクトニック〉レーベルを主宰するピンチとシャックルトンのふたりによるコラボレーション・アルバムである。これが予想を上回るできの良さで、幽霊屋敷めいたはじまりは相変わらずだが、頭蓋骨を叩いているような2ステップ・ビートに超低音のダブのベースが響くオープニング・トラックの"Cracks In The Pleasuredome"からして最高だ。ダークウェイヴ、ネオゴシック、ウィッチハウスといった暗闇を歓迎する時代のモードともシンクロしているからだろうか、それともやはり彼らのグルーヴが特別に優秀なのか、とにかく身の毛もよだつこの音楽のなかに吸い込まれるように入っていける。
 骨がガチガチ鳴っているような"Jellybones"にしてもそうだが、この音楽をひとつ強いものにしているのは、音圧や音質、録音といったものの気の使いようにある。言うなればイヤフォンやパソコンで聴かれることを拒んでいるかのような、クラブ仕様の迫力のある音だ。それゆえにDJに好まれるのだろうけれど、この体感的なサウンドの魅力は家のスピーカーからも伝わります。
 "Burning Blood"から最後の"Monks On The Rum / Boracay Drift"までの展開はサイケデリックであるばかりか、不吉であることこのうえない。バッドトリップしがちな人ないしは暗いところが苦手な人にはオススメできないが、ダブの新しい展開、ダブステップのネクストのひとつを覗いてみたい人はぜひ聴いてみよう。トランスするならここまで徹底的にやって欲しいし、もう1ヶ月早く聴いていたら2011年のトップ10......いや、少なくともトップ20、いや、まあ、少なくともトップ50には入れていたであろうマスターピース。

Chart by UNION 2011.12.21 - ele-king

Shop Chart


1

CV313

CV313 Standing Still ECHOSPACE / US / »COMMENT GET MUSIC
echospace[detroit]から、ROD MODEL(Deepchord) & STEVEN HITCHELL(Intrusion/Soultek)のユニット・CV313のニューアルバム『Dimensionalspace』のリリースに先駆けてのアナログカット。徹底的にロウを攻めるAサイド"Standing Still"、ダブ・アンビエント系のセミ・ノンビートトラックのBサイドと、旋回しながら音色をジワジワと変化させていくシンセと鋭いリフ、ダビーに鳴り響くベースラインの絡みが見事な、深い音世界。ゆったりとフロアメイクする浅い時間はもちろん、フロアユースなトラックに合わせロングプレイで重ねることで無限大のエッセンスを注ぐパーツへと変貌を遂げるドローン・キラー!

2

OMAR S & KAI ALCE

OMAR S & KAI ALCE Jive Time (Unreleased Beats) NDATL MUZIK / US / »COMMENT GET MUSIC
FXHEからリリースされ話題をさらったOMAR S + KAI ALCEによるシングル"Jive Time"から、ビートを抜き出し新たにアレンジを加えたスペシャルな限定7"が登場! シカゴハウスの流れを汲むボックストラックにクラップ、ドープなキー&カウベルのシンプルな構成。コードが無いのでどのようなトラックにミックスさせても十分な溜め~インタールードとして効果絶大!トラックの骨格を剥き出しにしたロウでディープな質感がたまりません!

3

CMT

CMT Oma SBM RECORDINGS / JPN / »COMMENT GET MUSIC
様々な場所、時代、そしてジャンルを超え一つの物語を紡いだチルアウトMIX "ZONAZONA"、イーブンキックグルーヴの狭間に零れ落ちた異形のダブステップ、エレクトロニカをクールに展開し、玄人筋に絶大な支持を得たスペー スドアウト・ミニマルミックス"HIELO"以来、CMT 2011年最後のリリースとなるピュア・テクノMIX作品"OMA"がSBM recordingsよりいよいよ到着。

4

CANYONS

CANYONS See Blind Through (DJ Harvey Mix) MODULAR / AUS / »COMMENT GET MUSIC
DJ HARVEYによるフロアでの鳴りを強化させたキラーリミックス!!!!RUNAWAY主宰のON THE PROWLやDFA、MODULARをリリース元にシドニーを拠点に活動するLEO THOMASONとRYAN GRIEVEによるユニットCANYONSによる初期DFAマナーな80'sサウンド/ニューウェーヴを消化したアンダーグラウンド・ハウス"See Blind Through"をDJ HARVEYがリミックス!!マシンビートを走らせ、サイレン等のサンプル類が散乱する中、Voフレーズのループで展開を持たせ突如ブレイクへ突入。トリッピーな鳴り物とともにピークタイムへと上昇するキラーリミックス!!

5

ANDY STOTT

ANDY STOTT Passed Me By,We Stay Together MODERN LOVE / UK / »COMMENT GET MUSIC
UKマンチェスターのミュージック・セレクトWEBストアBOOKMAT運営、独自の実験的・ディープなダブ・テクノ路線で一線を画す孤高且つ極北のダブ・テクノ~ミニマル/エレクトロニカ・レーベル・MODERN LOVEから、今年相次いでリリースされた所属アーティスト代表格・ANDY STOTTによる限定アナログ・リリース作品「Passed Me By」「We Stay Together」の2つがなんとボーナス・トラックを追加し初のCD化。共に市場からは一瞬で姿を消した傑作でHARD WAX~BASIC CHANNELからOSTGUT、SANDWELL DISTRICT等の各国のアンダーグラウンド・テクノは勿論、シャックルトンやアクトレス等とも共鳴するビートダウン/ミニマル/ダブ・ステップを通過した今最もエッヂの効いたダブ・テクノ・サウンド。

6

TIMELINE

TIMELINE Greystone Ballroom UNDERGROUND RESISTANCE / US / »COMMENT GET MUSIC
G2Gの主要若手メンバーで再構成された新生TIMELINEによる1枚。。G2Gのフロント・マン DESEAN JONES(Sax)、同じくG2Gのメイン・キーボーディスト JOHN DIXONに、親分MAD MIKEによるプロデュース作品は、一言で言うなら『ジャズ・テクノ』。抑えめのビートにフィルタリングが怪しげな空気感を作り、その中に忍び込んでくる生のサックスが印象的なA-1、そして、JOHN DIXONのジャズ・キーボード・プレイが冴えるB-1等。

7

CONFORCE

CONFORCE Escapism DELSIN / JPN / »COMMENT GET MUSIC
HARD WAXクルーやMARCEL DETTMANNもレコメンドする逸材CONFORCEが名門・DELSINから放つ渾身のセカンド・アルバム。オランダ・シーンの中心的レーベルRUSH HOURから2007年にデビュー、その後CURLEやDELSIN、CLONEなど現在のシーンに欠かすことのできない良質レーベルから次々とシングルをリリースし、HARD WAXクルーやMARCEL DETTMANN等のレコメンドで一躍脚光を浴びたCONFORCE。しなやかに脈打つタイトなハットとキック、幻惑的なシンセリフでリスナーを鷲掴みにしてしまうダブ・テクノやSANDWELL DISTRICT周辺を想起させるミステリアスな雰囲気に身震いするタイトル・トラック、OSTGUT-TON勢にも比するソリッドなミニマルを展開する"Ominous"など、モダン・テクノの必要条件を全て満たすかのような強力なトラックがラインナップ。

8

AZYMUTH

AZYMUTH Meu Mengo (Mark E Remixes) FAR OUT RECORDINGS / UK / »COMMENT GET MUSIC
MARK Eによる仕事を3トラック収録した話題の1枚!!!!先日のTHEO PARRISHによるFAR OUT MONSTER DISCO ORCHESTRAのリミックスでも注目を集めたFAR OUTからブラジルのラテン・バンドAZYMUTHが35年振りに復活を遂げた作品「Aurora」から"Meu Mengo"をMARK Eがリミックス!!真骨頂でもある細かく刻まれたフレージングのループでのテンションキープでビルドアップするビートダウンハウスA-1、そこに"トビ"の要素を加えたB-1の"Dub"、視覚的でファットなキックでアーシーに展開されるB-2。全てのバージョンで完璧な仕事を行うMARK Eによる傑作仕事集!!

9

XHIN

XHIN Sword STROBOSCOPIC ARTEFACTS / GER / »COMMENT GET MUSIC
FREAKS VILLAGEで初来日を果たした鬼才・LUCY率いるSTROBOSCOPIC ARTEFACTSから、シンガポール出身のプロデューサー・XHINのサード・アルバムが登場。これまでIBADANのサブレーベル・APOTEKやCHRIS LIEBINGのCLRなどからリリースを重ね、STROBOSCOPIC ARTEFACTSにおいてもLUCYと並ぶ中心アーティストとして活躍してきたXHIN。本作ではあえて4/4ビートを封印しごつごつとした硬質なブレイクビーツを展開し、 緊迫感溢れるシンセリフに心拍数が上がるM-3やインダストリアルな重量級ビートに叩きのめされるM-7、地底深く潜るかのようなヒンヤリとしたサウンドスケープが圧巻のM-9など、広がりのある世界観が堪能できる秀作になっています。

10

MIKE PARKER

MIKE PARKER Pulse Trader EP PROLOGUE / GER / »COMMENT GET MUSIC
PROLOGUE最新作はMIKE PARKERのニュー・シングル。DONATO DOZZY主宰のAQUAPLANO、自らが主宰するGEOPHONE等、アンダーグラウンド・シーンの最重要レーベルからの一連のリリースで気を吐くNY最奥のミニマリスト・MIKE PARKERが、ドイツ発の優良アンダーグラウンド・ミニマルレーベル・PROLOGUEに再登場。期待を寸分違わぬドープ&反復の嵐の地底ミニマルで、しなやかにドライブする低音が強力なA-1、より地底に叩き落す様なキックが奥底で振動するダビーなA-2等を筆頭に、ノン・ビートのエクスペリメンタル・トラックB-2に至るまで一貫したアンダーグラウンド・サウンドを展開しています。マスト!!

interview with Ben Klock - ele-king

「うわぁ...... 完全に"テクノ・マシン"だね、これは。」〈Berghain〉でベン・クロックがプレイするさまをダンスフロアから見上げながら、DJ NOBUが打ちのめされたようにこう言ったのをよく覚えている。かのクラブのレジデントのなかでも一、二を争う人気を誇るベンのプレイは、本物のテクノ体験と言えるだろう。ハードなイメージが強い彼だが、その正確なミックスをずっと辿っていけば、そのなかにさまざまな彩りやテクスチャーがあり、柔らかさや奥深さが感じられるはずだ。そんなベンのDJ姿は実に優美で、ハードゲイからギャルまで、ダンスフロアを虜にして放さない。三度目の来日を前に、本邦初となる本インタヴューでは、あまり知られていない〈Berghain〉以前のキャリアと、DJの醍醐味について聞いた。〈Berghain〉7周年パーティでプレイした翌日、「聞き苦しい声でごめんね、そんなに長居はしなかったんだけどね」と苦笑いしながら、いつもより少しかすれた声で取材に応じてくれた。

「テクノがいったい何なのか知りたければ、〈Berghain〉のダンスフロアの真ん中にしばらく立ってみればいい。たぶん、少し理解できるだろう」ということ。音も雰囲気もイマイチなクラブで同じ音楽がかかっても、何も伝わらないだろうと思うよ。テクノは、とくに「体験」してみないと理解できない類いの音楽。

私自身もそうでしたが、日本のほとんどのファンはあなたが〈Berghain〉のレジデントになって以降のことしか知らないので、それ以前のことを教えてもらえますか? DJ歴自体はかなり長いと聞きましたが?

ベン:実際、〈Berghain〉をきっかけにすべてが変わったんだよね。それ以前は、最初は〈Cookies〉のレジデントをやっていた。毎週火曜日回していたんだ(※Cookiesは火曜日と木曜日に営業しているクラブ)。〈Cookies〉というクラブと僕は、一緒にに成長したようなものなんだ。火曜日は「Cookies Night」で僕が一晩中プレイしていた。それを、かなり長いあいだ続けていたよ。

それはいつ頃のことですか?

ベン:はじめたのは94年だったと思う。その後、〈Tresor〉や〈WMF〉といったクラブでもプレイするようになった。でも......僕はずっと自分の居場所を探し続けていたというか、自分にピッタリくる場所はあるんだろうか? と常に違和感を持っていたんだ。実は2000年代に入った頃、DJを辞めることすら考えていた。エレクトロ・クラッシュなどが流行っていて......僕にとってはセルアウトした音楽にしか聴こえなかった。何も面白味を感じられなかったんだ。それに伴って、DJをする回数もどんどん減っていった。そんななかで唯一、僕が音楽的スリルを感じられる場所が〈Ostgut〉(〈Berghain〉の前身となったゲイ・クラブ)だった。「僕がプレイしたい場所はここだけだ」と思っていた。だから〈Berghain〉がオープンしたときは、「ここだ!」って思ったね。つまり、僕にとってすべてのはじまりとなったのは、まさに僕がDJを辞めようかと思っていた時期だったんだ。でもその時点から、それまでよりもずっと面白い体験がはじまったというわけ。

へぇ、それは驚きですね!〈Ostgut〉でDJをしたことはあったんですか?

ベン:いや、なかった。〈Berghain〉になってからだよ。〈Panorama Bar〉の方を先にオープンして、数ヶ月してから〈Berghain〉のフロアがオープンしたんだけど、それから2ヶ月後くらいじゃなかったかな。初めてプレイしたのは。

では〈Ostgut〉にはお客さんとして行った経験があっただけだったんですね?

ベン:その通り。その頃、自分がかけたいものをかけられるクラブは〈Tresor〉くらいだったな。他のクラブはエレクトロ・クラッシュみたいなものが主流になってしまって、僕のかけたい音楽とはかけ離れていた。だから〈Ostgut〉に遊びにいくようになったんだよ。あそこでは「リアル・シット」がかかっていたからね(笑)。

〈Berghain〉のレジデントになった経緯は? 〈Ostgut〉に通っているうちに関係者と知り合ったんですか?

ベン:きっかけはエレン・エイリアンが与えてくれたんだよね、実は。その頃僕は彼女のレーベル(〈BPitch Control〉)からリリースしたりしていたから、ある日DJの話をしていて、その流れで新しいレジデンシーをはじめたいという話題になって。「じゃあ、彼らに連絡してみましょう」といって彼女が紹介してくれた。そしたら、いちどプレイする機会をもらえて。この最初の出演で、僕は「これだ」と確信した。人生が変わる瞬間を実感したよ(笑)。あのサウンドシステムでプレイしたことで、僕自身もトバされたし、その場にいたお客さんもトバされたようだった。プレイした直後に、クラブ側に「毎月やって欲しい」と言われたんだ。

最初にプレイしたときは緊張したんじゃないですか?

ベン:そうだね、緊張もしたけど、楽しみという気持ちも強かった。

それまでとは違うクラブということで、違うスタイルでプレイしたんですか?それとも自分が他のクラブでやってきたことを見せたという感じだったんでしょうか?

ベン:先に触れた通り、僕がかけたいようなものを自由にかけられるクラブは他に〈Tresor〉くらいしかなかった。それ以外のクラブのお客さんは、それほどテクノに反応しなかったんだよ、当時。だから、店の雰囲気やお客さんに合わせて自分にブレーキをかける必要があった。思いっきりやれなかった。あまり激しいトラックをかけると、みんな逃げちゃって(笑)。

ははは。お客さんを怖がらせちゃったんですね(笑)。

ベン:そう(笑)。でも、〈Berghain〉では思いっきりやっても大丈夫だとわかっていた。どんなに力強く、ハードに、あるいはディープにプレイしてもいいと分かっていたんだ。だから、そうした。プレイし始めたらすぐに心地よくなったというか、とても自然にやれた。

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テクノの歴史を知らない若い子たちが僕らを通してこの音楽を知ってくれるのは嬉しいね。(パリの)〈Rex Club〉でプレイ中に、18歳か19歳くらいの若い男の子が携帯電話のスクリーンにメッセージを打って僕に見せて来た。「僕の世代にテクノを呼び戻してくれてありがとう」と書かれていた。僕がかけていた曲なんて、彼らが生まれる前のものだったりするわけだよ(笑)。

あなたはつねに、いまプレイしているようなハードめなテクノが好きだったんですか? 〈Cookies〉などでやっている頃から?

ベン:もちろん僕もいろいろなフェーズを経験してきているよ。〈Cookies〉でやりはじめた頃はいまよりずっとハウシーだった。DJを最初にはじめた頃はドラムンベースやジャングルをかけていたしね。その後ハウスやテクノもかけるようになったけど、いまよりも、そうだな、メロウだったと言えばいいかな。その後、もう少し激しい音楽に発展していった。

ほう。それはなかなか興味深いですね。ベルリンのクラブ・ミュージックの変移を考えると、ほとんど逆行しているように聞こえます。大多数の人は、90年代にハード・テクノにはまり、その後他のスタイルに移行していったんじゃないでしょうか? ハードなテクノは2000年代に入ってむしろ廃れていったものだと思っていました。

ベン:そうだね。なぜそうだったのかは自分でもわからない。おそらく、周りの友人や環境の影響じゃないかな。僕はドラムンベースやジャングルと、入り口からして違ったわけで。90年代前半に僕自身はそれほど(テクノ・)レイヴ体験をしたわけじゃなかなった。

つまり、あなたは他の大多数の人よりもテクノと出会ったのが遅かったということになりますか?

ベン:ああ、そうなんだ。僕はテクノと出会ったのが他の人より遅かったと思う。だからよく、当時僕が知らなかった90年代のレコードをいまかけると、その頃からDJをやっている人は「うわ、そんな曲もう恥ずかしくてかけられないよ!」なんて言う。僕には僕がいまかけている曲ととてもよく合うように思えても、その頃に聴いていた人には古くさく聴こえるんだろうね。

それはとても意外ですけど、よく分かります! 私も同じようなケースだからです。〈Berghain〉で体験するまでハード・テクノの良さが全然わからなかったんですが、あそこで意味がわかったんです。

ベン:うん、よくわかるよ。そのシーンにいる人には、それが世界そのもののように感じるけれど、実はその世界はごく小さなもので、ほとんどの人はその外の世界に生きている。世界中がテクノを聴いているように思えても、実際聴いている人はものすごく少なくて、それ以外の人たちはまったくそれが何かわかっていないし、何がいいのかさっぱり理解できない。それを考えたときによく思うのが、「テクノがいったい何なのか知りたければ、〈Berghain〉のダンスフロアの真ん中にしばらく立ってみればいい。たぶん、少し理解できるだろう」ということ(笑)。音も雰囲気もイマイチなクラブで同じ音楽がかかっても、何も伝わらないだろうと思うよ。テクノは、とくに「体験」してみないと理解できない類いの音楽。きちんと体験できれば、すべての意味がわかるようになるはずだよ。僕もそうだった。僕も「こういうブンブンいってるハードな音楽はちょっとよくわからないな」と思っていたから(笑)。

私はてっきり、あなたはずっとテクノ一辺倒でやってきた人かと思っていたので、すごく意外です!

ベン:僕は常に幅広い音楽に興味があったから、ハードなものにも関心はあったよ。例えば、僕はつねにグリーン・ヴェルヴェットの大ファンだった。もっとメロウな音楽をかけていた時期でも、グリーン・ヴェルヴェットやシカゴものはいつも混ぜてかけていた。でもテクノのより深い部分、ディープな音にも惹かれるようになったのはだいぶ後になってからだったね。

いま現在は、自分のことをテクノDJだと思いますか? それともそういう定義づけはせずオープンにしておきたいですか?

ベン:もちろん他のさまざまな音楽に対してオープンではあり続けるけど、間違いなく自分はテクノDJだと思っているよ。いまは「ハウスからテクノ、ダブステップまでかけます」というDJも多いけど、僕はテクノDJだと自分で思う(笑)。

そこまでテクノが好きな理由はなんだと思いますか?

ベン:当初ドラムンベースなどをプレイしていた経験から、テクノのほうが音楽体験としてより強烈(intense)だということを実感したんだ。言葉で説明するのは難しいけれど、ダンスフロアの真んなかに立って、温かくもパンチのあるベース・ドラムが腹に響くあの感覚... あれが全てだと思うんだよね。その感覚が好きでしょうがない、としか言えないな。

いまも大好きなんですね。

ベン:もちろん。

これだけ毎週、長時間プレイし続けていても大好きだと言えるのは凄いですね......私だったら絶対飽きると思うんですが(笑)。

ベン:でも、それは単純に音楽だけではないんだ。DJとしての音楽体験全体だから、お客さんからのフィードバック、その会場にいる人を全て引き込むような雰囲気を作ることが僕にとってはとても重要なことなんだ。日常生活から解き放たれて、音楽のヴァイブに身を任せる、その体験全体をクリエイトすることが好きなんだ。もしかしたら、僕にとってはそれが音楽そのもの以上に重要なことかもしれない。

〈Berghain〉以外でもそういった体験を頻繁に作り出すことが出来ますか?

ベン:場所によって異なるね。〈Berghain〉は間違いなくとても特別な場所だけれど。前回、僕のなかでも最長記録になった13時間セットなどは...... 〈Berghain〉でしか実現しないことだと思う。少なくともいまのところはね、他にそれができそうな場所は知らない。なぜかそれができてしまう特別なヴァイブがあるんだ、あそこには。他のクラブでは、2~3時間やったところで飽きてしまって続けられないところもある。だけど、長ければいいというものではないから、短くてもとても内容の濃い、濃縮されたセットをプレイできることもあるし。時間が限られているからこそ〈Berghain〉よりもよりもずっとお客さんがクレイジーになるところもあるし。それはそれで特別な体験だよ。

そんななかで3回訪れた日本に対してはどんな印象を持っていますか?

ベン:とてもいい体験をさせてもらっているよ。とくに昨年〈WAREHOUSE702〉でクリスマスにやったパーティ(『MARIANA LIMITED 001』)はとても素晴らしかったな。雰囲気もとても良かったし、山のなかでやった〈Taico Club〉フェスティヴァルも良かった。あの年にやったフェスティヴァルのなかではベストのひとつだったよ。多くのフェスティヴァルでは盛り上げなきゃいけないというプレッシャーを感じるものだけど、〈Taico Club〉はそんなことなくてリラックスした気持ちのいい雰囲気だった。よりクラブっぽいというのかな。とても良かったよ。日本のお客さんはよく音楽を知っているなという印象を受けるね。まだリリースしていないトラックまで知っているような気がすることがあるよ(笑)。でも、これは多くのDJが言うことだろう? 日本はDJにとってプレイしたい場所だって。

そうですね、多くの人がそう言いますね。ところで、先日発表されたばかりの〈Resident Advisor〉の人気DJ投票で、10位に選ばれましたね。そのご感想は?

ベン:もちろん嬉しいよ。去年(5位)よりは落ちたけどさ......(笑)。20位以内に選ばれた人たちを見ると、他にあまりテクノDJがいないから、そこに選ばれるのはとても喜ぶべきことだと思う。僕に投票してくれた人にはお礼を言いたいよ。

それは気づきませんでしたね、たしかにテクノDJが少なめです。でも全体的に、個人的には何だかよくわからない投票結果だったんですけど、自分が歳とっただけですかね(笑)?

ベン:ははは(笑)。でも僕のまわりでもそう言ってる人が多いよ。今年の結果を見て、「もう無理、ついていけない」ってさ。次の世代に交代したというのか、何かががらっと変わったよね。

世代交代はいいことだと思うんですけどね、実力が伴っているのかどうかは疑問です。スキルよりもハイプ、って感じがします。

ベン:さっきの話に戻るんだけど、2000年の初頭に僕がDJを辞めようとしたって言っただろう?あの頃のことを少し思い出すんだよね、アンダーグラウンドやクラブというよりも、ポップ・アピールのある、「僕を見て!」って感じの音楽。

まったく違うシーンという感じがします。

ベン:そうだね。僕がまったく知らないシーンのことだからコメントもできない。誰かがかけてている曲のことを「この曲は本当にヒットしているよね、みんながかけてる」と言われても、僕はいち度も聴いたことがない、なんてことがよくある(笑)。

私もよくあります、それ(笑)。しかもそういうことが増えてる気がします。もしかしたら、思っている以上にクラブ・シーンが細分化されているということかもしれないですね。

ベン:でもRAの投票結果などを見ると、例えばジェイミー・ジョーンズと僕が一緒に上位に入っていることとか、これだけ違うスタイルの人たちが混ぜ混ぜに投票されているのは面白いことでもあるよね。

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「〈Berghain〉は前ほどクールじゃなくなった」とか、「最近コマーシャルになった」といったことが言われた時期もあったけど、いまはまたそういうことを言う人は減ったように思う。ここ数ヶ月を振り返っても、僕自身素晴らしいパーティやマジカルな瞬間をあそこで体験しているし、文句を言っていたお客さんもまたクラブに戻って来たような印象を受けているよ。

あなたの話に戻します。あなたはベルリンにテクノを復権させた、あるいは2000年代のベルリン・テクノを再定義した立役者のひとりだと思うんです。あなた自身はそう自覚していますか?

ベン:そうだね、客観的に状況を見ると、そう言えると思う。僕やマルセル(・デットマン)のようなテクノをかけていた人はそれほどまわりにいなかった。でも、意識的にそうしていたわけではなくて、僕らは単に僕らが好きなもの信じていたものをかけていただけだったんだ。まわりで起こっていることや、流行などをまったく気にしていなかった。エレクトロクラッシュだなんだって騒がれていたときも、僕らは僕らのテクノをかけていた。だから〈Berghain〉ができたときは、孤立したひとつの島ができ上がったような感じだった。そしてこの島はどんどん大きく成長するだろうという予感がしたし、きっとより多くの人がそのクオリティを認識することになるだろうと思った。当初思った以上に大きなものとなったけれどね。とにかくユニークなところで、僕らもユニークな音楽をかけていたら、その影響が広がっていった。でも僕ら自身はそれまでのテクノの歴史、90年代のベルリンやデトロイトに影響を受けて来たわけで、決して僕らが作り出したものではない。何か新しいものを発明したとは思っていない。サウンドシステムや、僕らが使っていたベースのサウンドなど、部分的に新しいものを導入しただけだ。
 でも、そういうテクノの歴史を知らない若い子たちが僕らを通してこの音楽を知ってくれるのは嬉しいね。この前面白い体験をしたんだ。(パリの)〈Rex Club〉でプレイ中に、18歳か19歳くらいのすごく若い男の子が携帯電話のスクリーンにメッセージを打って僕に見せて来た。「Thank you for bringing back Techno to my generation.(僕の世代にテクノを呼び戻してくれてありがとう)」と書かれていた。僕がかけていた曲なんて、彼らが生まれる前のものだったりするわけだよ(笑)。そういうことがあると、やっぱり嬉しいし光栄だと思うね。

私も90年代はそれほどテクノを聴いていませんでしたが、それでも初期のデトロイト・テクノは少し興味があって知っていました。いまあなたたちの活躍によって、その頃の人たちが再び脚光を浴びているようにも見えます。例えばロバート・フッドやクロード・ヤングのようなアーティストたちがまた前線に戻って来た、そして新しいオーディエンスを獲得しているのは〈Berghain〉やあなたたちの功績だと思うんですが。

ベン:そういう部分はあると思うし、僕もとても光栄に感じていることだよ。僕たちが影響を受けた人たちがまた活発にプレイしはじめているのは嬉しいし、例えばルーク・スレーターがいまやっていることは本当にカッコいいと思える。そういうシーンがまたできたこと、そういう人たちが評価される場所が出来てテクノが勢いを取り戻していることはとても嬉しいし、自分がそこに少しでも貢献出来ているんだったらものすごく光栄だよ。

なんかその状況を見ていると、もとは同じ部族だったのに世界中に散らばってしまった仲間たちが、やっと再会する機会が出来たようにも映ります(笑)。

ベン:そうだね、それがいちばんいいかたちで体験できるようになったんじゃないかな。これぞテクノ、テクノとはこうあるべき、という環境が整っている。

逆に、テクノがここまで大きくなったことについてはどう感じていますか? 私はコマーシャルになったとは全然思いませんけど、トレンディーなクラブ音楽にはなったように思うんです。〈Berghain〉はとくにアンダーグラウンドであることも重要な要素です。昨年イビサのどこか大箱で「Ostgut-Tonナイト」が開催されたときも批判の声が多く聞こえましたし。

ベン:そうだな、いまは「Berghain night」みたいなイヴァントは数を減らしているよ。僕らもセルアウトしたくないからね。クラブとしてもレーベルとしても、そういう方向性をまったく求めていないし、今後どのようにレーベルを運営していくかといったことにはつねに協議していて、今後は数を出すことよりも、少しペースを落としてやっていこうと考えている。〈Berghain〉はつねに自分たちの物差しで物事を決めてやって来たし、業界の常識だとかスタンダードに合わせたり振り回されるようなことはしていないと思う。それでも、「〈Berghain〉は前ほどクールじゃなくなった」とか、「最近コマーシャルになった」といったことが言われた時期もあったけど、いまはまたそういうことを言う人は減ったように思う。ここ数ヶ月を振り返っても、僕自身素晴らしいパーティやマジカルな瞬間をあそこで体験しているし、文句を言っていたお客さんもまたクラブに戻って来たような印象を受けているよ。もちろん何だって変化はするものだし、変わっていくのは自然なことだからまったく同じではないけど、悪い方向にいっているとは思わない。僕はああいう場所がまだあることに、むしろ感謝すべきだと思うけどね。

そうですね、私もそう思います。

ベン:いまでも魔法のような瞬間を何度も体験しているよ。つまらなくなったなんてまったく思わない。

それにしても、あなたはあそこでプレイする際に平均7~8時間といった長いセットをやりますよね? どうしてそんなことが可能なんでしょう? 私の友人はみんな、実はあなたが機械なんじゃないかって思ってますよ(笑)。それだけ長いあいだ、集中力を切らさずに正確なプレイが出来る秘訣は何ですか?

ベン:ははは。何も特別なトリックはないよ。その場からエネルギーをもらっているんだと思う。僕がプレイする際は、自分のフィーリングを伝えようと努めているし、魔法の瞬間を作り出すのはやはり機械ではなくて人間的な資質が必要だ。でも、言わんとしていることはわかる。技術的に正確であること、曲から曲への完璧な移行も魔法の瞬間を作る上では重要なことだ。僕がDJの醍醐味だと思っているのはそういう部分で、ただトラックを流すだけではなく、曲を使って新しい何かを造り上げること。その曲のパーツを足しただけではなく、さらにそれを増幅させること。それが僕の大好きなDJというものの面白さだ。だから自分が「ゾーン」に入ったときは、それがほぼ自動的に起こり、何時間でもやり続けることが出来るんだ。
 唯一秘訣があるとすれば......お酒は少しだけにして、飲み過ぎないことかな(笑)。

Ben Klock 来日情報
12/22(木)OTONOKO @ Club Mago
12/24(土)Liquidroom & Metamorphose presents Ben Klock @ Liquidroom

DJ YOGURT - ele-king

 自分のお気に入りのDJを紹介できるというのは光栄なものだ。もうかれこれ3~4年前の話だが、その晩僕はひどく落ち込み、うちひしがれ、死にそうだった。ナイトライフを過ごせるような精神状態ではなかったが、約束があったので、僕は重たいドアを開けた。
 ブースのなかにはヨーグルトがいた。彼は......すでにアッパーだった。「おいおい、何時だと思っているんだ」と僕は思った。「まだ11時だぜ」、フロアには10人いるかいないか。こちとら死にそうなほど落ち込んでいるというのに、この寂しいフロアにアッパーなテクノかよ......やれやれ参ったな。
 しかもその飛ばし屋のプレイはそこにいる10人を完璧にロックしていた。落ち込んでいる人間がこういう光景に出くわしたとき、通常ならますます落ち込んでくるものだが、DJヨーグルトのプレイにはどこか無邪気なものがあった。ドラッギーだが、リー・ペリー的というか、ドロドロした感覚がないのがDJヨーグルトの個性だ。トランシーだが、アーシーなセンスがあるからなのだろうか、デーモニッシュな方向にはいかない。DJ saved my lifeという有名な言葉があるけれど、DJヨーグルトのグルーヴは、その晩の僕を助けてくれたかもしれない。

YOGURT&KOYAS
SOUNDS FROM DANCEFLOOR

UPSET RECORDINGS

Amazon

 2001年にDJ Uとのアップセッツとしてデビューして、3枚のアルバムと数枚のシングルを発表すると、2008年には〈ラストラム〉からDJヨーグルトとしての過去の作品集『Singles&Remixes 2005 To 2008』、そして2010年にはDJヨーグルト&コヤスとして『CHILL OUT』と『SOUND OF SLEEP & MEDITATION』の2枚をリリースしている。
 DJヨーグルト&コヤスとしての3枚目となる最新作『SOUNDS FROM DANCEFLOOR』 は、それまでの2枚のアンビエント・アルバムとは打って変わって、いまどきこんなに無邪気な、ケレンミのない、ピースでトランシーなダンス・ミュージックがあるのかといった趣だ。この10年は、90年代とは違って愛情を欠いたダメなクラブも目に付くようになったが、それとは別の場所ではピースなパーティが続いていることを『SOUNDS FROM DANCEFLOOR』は我々に教えてくれる。取材には相方であるコヤスも同席してくれた。

バンド仲間でアジアを旅するのが流行りはじめて、「3万あれば1ヶ月滞在できるよ」って言われて、カネは無かったけど時間は余っていたし刺激を求めていたので、じゃあ俺も行こうと思って。で、何度か日本と海外を往復しているあいだに91年にゴアでたまたま野外パーティに出会ったんですよね。

最初に知ったのは、ヨーグルトが渋谷のシスコ店で働いているときだったね。店長の星川慶子さんから「三田さんのファンです」って紹介されたんで、すごくよく覚えているんだよね(笑)。

ヨーグルト:そうですね、三田さんが来店するとずーっとしゃべってるという。

で、「どれどれ、どんな服を着てるんだ?」と思って(笑)。

ヨーグルト:それはもう、三田カジェアルですよ(笑)。冗談はともかく物書きの人のなかで三田さんはほんとに昔から気になる存在だったんですよ。

レコード店で働くまではインドを放浪しているようなトラヴェラーだったんだよね。んで、いつまでも漂泊できないっていうことで、飯食うためにレコード店に入ったんだっけ?

ヨーグルト:ですね。インド~ヨーロッパの旅から帰ってきて、よくクラブで一緒に遊んでいる仲間のなかに初期の〈イエロー〉の店員のジュリアって人がいたんですよ。その彼が星川さんと仲が良かったんですよね。もともと僕はディスクユニオンで働きはじめて、ロックやジャズとテクノの新譜と中古を担当してて、このままユニオンで働いていくか悩んでいた頃にシスコのテクノ店がオープンして、「こういうテクノの新譜だけで成り立つ店ならいいな」と思って星川さんに自分のことをその友だちに紹介してもらったんですよ。ちょうど佐久間さんとシャッフルマスターがテクノ店を抜けるタイミングでテクノ店に入りました。

しかしね......その頃の若さでなんでゴアに行くようなヒッピーになったんですか? 

ヨーグルト:ヒッピーって自覚はなかったですけどね(笑)。もともとクラブ好きでしたよ。ゴアに行く前も東京のクラブにもよく行ってたし、地元にいるときはたまに地元で遊んでました。

どこの出身?

ヨーグルト:愛媛の松山です。地元が盛り上がっていたわけではないですけど、東京に来たのが88年ですね。当時はクラブに人は入ってて盛り上がっていたんですけど。もっとむちゃくちゃでもいいんじゃないか、もっと盛り上がってもいいと思ってましたね。いまひとつ物足りなさを感じていました。

92年ぐらいから東京もむちゃくちゃになってましたけどね。

ヨーグルト:たしかにすごいパーティが東京でもあったと思うんですが、自分は出会わなかったんですね。その後のゴアとかロンドンで見たときに「俺が求めた解放感や自由な雰囲気を含んだパーティってこれだ!」と思いましたよ。

目覚めてしまったんですね。

ヨーグルト:89年ぐらいは俺、バンドやってたんですよ。でもバンドの練習で同じ曲を何度も演奏するのに飽きてしまって、歌や演奏が飛び抜けて上手いわけでもなかったのでバンド活動は2年ほどで終息して。ちょうどそのバンド仲間でアジアを旅するのが流行りはじめて、「3万あれば1ヶ月滞在できるよ」って言われて、カネは無かったけど時間は余っていたし刺激を求めていたので、じゃあ俺も行こうと思って90年に初めてインドに行きました。で、何度か日本と海外を往復しているあいだに91年にゴアでたまたま野外パーティに出会ったんですよね。まだトランスが根付く直前だったので、UKレイヴものからイタロ・ハウス、アシッド・ハウス、打ち込みのニューウェイヴ、ボディ系の音までいろいろかかっていました。でも音楽を聴きはじめた頃は打ち込みの曲はそんなに好きじゃなかったんですよ。

ヨーグルトのルーツって何になるの?

ヨーグルト:10代前半は60年代から80年代のUKのロックやパンク、ニューウェイヴ、10代後半の頃はレゲエとかブルースですね。

レゲエが好きなのは、アップセッツっていう名義にしてるぐらいだからね。

ヨーグルト:レゲエは好きでしたね、レゲエを好きになったきっかけは、ストーンズやクラッシュがカヴァーしていたレゲエだったりするので、10代後半の頃好きだったのはロック流れのレゲエやロックステディですね。ラスタとかは正直わからないこともいろいろあります。で、ゴアでは打ち込みが苦手な自分がパーティの熱気に巻き込まれて、そしてメチャクチャ踊れるじゃないですか、それで「これすごいな」と思って、もっと探求したいと思ったんです。テクノとか全部エレクトリックな音で構成されてる音楽って、独特のフィーリングがあるじゃないですか。

ある種の麻薬性みたいなところに惹かれたんだね。

ヨーグルト:う~ん、そうですね、苦手だったぶん、より惹かれたってことですかね。

多くのレゲエが好きな人って、けっこうテクノを苦手とする人が多いんだよ。

ヨーグルト:けど、もうバッチリで。テクノで踊った後は歌ものレゲエよりもダブを聴くことが格段に増えて、90年代半ばだとマッドプロフェッサーがマッシヴ・アタックをリミックスしたやつとかを愛聴してました。

コヤス:僕、はじめ『ノー・プロテクション』ぜんぜんわかりませんでした。

一同:ええーー(驚)!!

コヤス:そのうちわかるようになりましたけど。

コヤスくんはヨーグルトと何歳はなれてるの?

コヤス:5歳です。

けっこう離れてるね。

コヤス:95年に交通事故で足をケガして、そこから3年ぐらいまったく遊んでないです。

ヨーグルト:コヤスくんはけっこう卓球さんファンで。

コヤス:最初は卓球さんでしたね。

日本で打ち込みの音楽やっている人で、もともとは卓球ファンっていう人は本当に多いよね。

コヤス:最初の入りはデジタル・ロックだったんですよ。

なんだっけ、デジタル・ロックって?

コヤス:ケミカル・ブラザーズとかプロディジーとか。

ああ、そうだったね。

コヤス:もともとバンドやってたんですよ。僕の場合交通事故にあって足をケガして立って楽器を弾けなくなっちゃって、そのときにケミカル・ブラザーズを聴いて、これならひとりでもできると思ってサンプラーを買って、曲を作りはじめました。

そのとき何歳だったの?

コヤス:22~23です。

そうなんだ。コヤスくんも......運命というか、よりによってヨーグルトといっしょにやるとはね......。当時からヨーグルトは謎だったよ。「彼はいったい何者なんだろう?」っていつもレコードを選びつつ横目でちらっと見つめては思ってたもん。

ヨーグルト:シスコ・テクノ・ショップのいち店員ですけどね(笑)

あの頃はCDを担当してたよね?

ヨーグルト:そうですね、CDの担当だとテクノという概念に含まれる音楽なら何でも全ジャンルやれるのが良かったです。ドローンや民族音楽系の作品も扱っていました。

あの頃CDで発売されるものって〈ファックス〉とかのアンビエントが多かったじゃない。それでアンビエントが好きなのかなって思ってたんだよ。

ヨーグルト:そうですね、90年代にちょっとテクノに疲れちゃった時期があって。90~93年ぐらいまでは無邪気に遊んでましたけど、94年ぐらいにガックリ疲れて、4つ打ちをもう聴きたくないってときにアンビエントにのめりこんでいきました。

あの頃はヨーグルトや星ちゃんの口車に乗ってずいぶん散財したよ(笑)。

ヨーグルト:はははは。お世話になりました!

もし自分もレコード店で働いていたら、同じことしたと思うけど。

ヨーグルト:お客さんが買おうとしている作品にはダメだししにくいですね(笑)。でも、俺はわりと無理には勧めないほうでしたけどね。

コヤス:僕はアルタのシスコでアベさんの当時の楽曲制作の相方だったDJユーに勧められていろいろ買わされて、家帰ってから「なんでこんなの買ったんだろう?」ってことよくありましたね(笑)。

ほら!

ヨーグルト:まあ、そのあたりが難しいとこですよね。自分の好きなものだけ売って成り立つんならいいですけど、塩梅がね。当時だとアンダワールドはとにかく売らないといけないみたいなのあるじゃないですか。でもそこでレコード店でバイヤーの経験を積むことで幅広い視点を持つ勉強にはなった気がしますね。

それは重要だよね。ところでヨーグルトを名乗った理由はなんなんですか?

ヨーグルト:本名でも良かったんですけど「DJアベとかDJシュウジとか名乗って覚えられるかな?」と思って、「俺は覚えられない」と思って(笑)。いっぱいいそうだし。あとムードマンとかコーネリアスとか、名前以外を名乗る人がいたんで。

なんでヨーグルトなの?

ヨーグルト:う~ん、それが覚えやすいのと意味合いですかね。

精子のメタファーなんだよね。やっぱそこでエロティシズムをほのめかしている。

ヨーグルト:アメリカではそうみたいですけど、英語圏以外では違うらしいですよ。トルコ語では撹拌するとかゆっくり混ぜるという意味があると聞いたことがあります。柔らかいイメージと、身体のなかに取り込んで変化するみたいな意味合いもあるんですね。音楽もそうだし。

便通も良くなるしね。DJをやるようになったのはいつなんですか?

ヨーグルト:たぶん〈マニアック・ラヴ〉で「スローモーション」の一番手をやるようになったのがきっかけですね。レギュラーでやるのはそれが最初です、それまでは友だちのパーティでやるぐらいでしたから。「スローモーション」はディープ・ハウスのパーティで、野田さんもたまに来てましたよね?

あれは楽しかったよね、客はいなかったけど。ムードマン、3E(蓑田+三田)、ヨーグルト、あとたまにゲンイチだっけか。96年か97年ぐらいだよね。フレンチ・ディープ・ハウスが流行りはじめた頃だったね。

ヨーグルト:モーターベースがすごい人気でて、そのあとダフト・パンクがブレイクして。

「スローモーション」が火付け役だったからね。

ヨーグルト:えー、そりゃわかんないですけど(笑)。いち部の人たちのあいだでじゃないですか?

エチエンヌ・ド・クレイシーとイアン・オブライエンに関しては確実に「スローモーション」でしょ? 俺が来るとどや顔でベーシック・ソウルをかけていたもんな。「マッド・マイクみたいだろー」って感じで(笑)。

ヨーグルト:そうですかね。三田さんが『エレキング』で頻繁に書いていた印象は強いですね。しかしまさかここまでダフト・パンクがブレイクするとは、当時まったく思ってなかったです。

それでムードマンがムーディーマンとセオ・パリッシュだったね。

ヨーグルト:「スローモーション」って、ちょうど自分の耳がジェフ・ミルズなんかのミニマル・テクノに疲れちゃったときにはじまったパーティなんです。ウェザオールもちょうどディープ・ハウスをやってるときで、「これはもうやるしかない」って思いましたね。俺も最初は客として行ってたんですけど、いいコンセプトだなと思ってDJやらせてくださいってオーガナイザーの蓑田くんにお願いしました。三田さんに「疲れました」って言ったら、「だろ!」って言われて(笑)。ちょうど三田さんもジェフ・ミルズからフィッシュマンズにシフトした時期でしたね。そんな原稿を三田さんが『エレキング』に書いてました。

あー、覚えている。ジェフ・ミルズのDJ聴いて、家に帰ってフィッシュマンズを聴いたっていう原稿あったよね!

ヨーグルト:そうそう、それで俺、三田さんに誘われて野音にフィッシュマンズ見に行ったら、三田さんがいちばんガン踊りしてました(笑)。

あー、それ俺も行った。バッファロー・ドーターが出たやつじゃない?

ヨーグルト:たしかそのときはバッファッロー・ドーターはいなくて、ワンマンでしたよ。ザックさんがPAやってました。ザックさんのPAがものすごくて、歌が聴こえないぐらいベースが出てて、「こんなアヴァンギャルドなミックスやるんだ」って驚きました。ON-Uを見ているような感覚でしたね。ほんと声がわかないぐらいディレイとEQがかかるのが良かったんです。佐藤さんのヴォーカリストとしてのエゴが感じられないライヴでしたね。そこが音楽的にはとても良くて、その日からフィッシュマンズの大ファンになりました。

とにかく、それで「スローモーション」でヨーグルトはデビューしたわけだけど、「スローモーション」が終わってから、さらに音楽活動が活発になっていくじゃない。90年代末にいっかいクラブが落ち目になったときがあって、その頃からヨーグルトは制作のほうもやるんだよね。すごいなーと思ってたんだけど、アップセッツ名義でプロダクションをやるあたりの経緯はどうだったんですか?

ヨーグルト:98年頃からMPCで楽曲制作をはじめて、エレクトロニカ的なビートものを制作しつつ、アンビエントにハマっていた時期に考えたアイデアをどこかで音にしないとすっきりしないって思ってたんですよね。90年代だと作りたいと思っても、まだパソコンの性能がそこまで良くなかったから、ある程度のミュージシャンじゃないと頭のなかで作り上げた構想はなかなか実現できなかったんです。で、2000年半ばにMPC叩いて作ってたスタイルからパソコンに全部移行したんですよ。そこでやるようになったら当時自分が考えていたことが具現化できることがわかって、2001年に『サウンド・オブ・スリープ』の1枚目としてリリースしました。実際は2000年にはもう出来てましたね。そのファーストCDはアンビエントだったんですけど、ファースト・12インチ・シングルはサイケデリックなハーバートみたいな曲でそれは700枚ぐらい売れました、いまより売れてる(笑)

知ってますよ。「アンコンヴェンショナルEP」(2001年)だっけ? 真んなかにアップセッツって書いてあるやつでしょ。レヴュー書いた覚えがある。

ヨーグルト:あれはハーバートと60年代のサイケデリック・バンドのレッド・クレイヨラとリー・ペリーをミックスさせたらどうなるか? っていうアイデアから生まれた楽曲なんです。

つねにサイケデリックだよね、つねに。

ヨーグルト:つねに(笑)、ってわけじゃあ......。

ヨーグルトのDJも本当にアシッディだしね(笑)。

ヨーグルト:あんまりあからさまじゃなくて出汁のように利いてる感じじゃないかと自分は思っているんですけど(笑)。コンブの出汁みたいな。

それでゼロ年代途中でジェット・セットに職場を変わって。でもバッサリやめて音楽活動に専念するんだよね。

ヨーグルト:ジェット・セットでは3年ぐらい働いてました。でもDJの活動が忙しくなってきたので思い切って仕事やめて音楽に専念したかったんです。

やっぱ売れてたんだね。

ヨーグルト:スタートが低いから売れてきているように感じているっていうのもありましたけどね。自分のスタートはフロアには誰もいない「スローモーション」のオープニングでしたから。

はははは。まあそれで、サイケデリックというコンセプトをヨーグルト&コヤスでもさらに展開していると?

ヨーグルト:その前にもいろいろあって、アンビエントも追求しつつ、快楽主義も忘れず、でもわりと生真面目に試行錯誤してたんですよ(笑)。ヒカルくんと2002年に出会ったのも大きかったんです。彼も出演した「FORESTED OVA」って野外パーティで自分のDJを聴いて気に入ってもらえて、自分もヒカルくんのDJを聴いてこれは!というモノを感じたので、「いっしょにやろうよ」ってことになって、2003年からヒカルくんのレギュラー・パーティにときどき参加するようになりました。当時からヒカルくんには熱心なファンがいましたね。20~30人ぐらいは来ることも多くて、それで平日でもパーティがガンガン盛り上がる時間帯があるんです。自分はそれまではラウンジやメインフロアの早い時間とかでいろんなタイプの音楽をかけることが多かったんですけど、ヒカルくんとやるとひと晩にふたりで2~3回交替しながら回すことが多くて、そうするとヒカルくんのDJでダンスフロアが大盛り上がりした後にDJするわけですよ、それが自分にはすごくいい経験になりました。面白かったし、そのドンチャン騒ぎを維持しつつフロアを作る技術というか、メインフロアのピークタイムのフィーリングを多少なりとも学んだのは彼のおかげですね。それまでは前座しかやれませんでしたからね。

やっぱDJも縦社会だからね。でもそれは仕方がないよ。だってジェフ・ミルズが客入れやるわけにはいかないし。

ヨーグルト:そうなんですよね、だからちょうどDJとしての活動が煮詰まってたときにヒカルくんに会ったんですよ。90年代に国内外の先輩DJたちから良いところを吸収して、ゼロ年代に入ってヒカルくんや自分らがワイルドに爆発させたってところがあるかも、ですかね、熟成させたっていうか。

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単純にサマー・オブ・ラヴだってわけではないです。その良質な部分をアピールしたいっていうか、レイヴ・トラックにもひどいのもあるじゃないですか。セカンド・サマー・オブ・ラヴのスピリットが埋もれてしまっているんじゃないかなって残念に思うことがあるので。

そうだね。アップセッツからはじまってどんどん自分を音楽生活にシフトさせていくじゃない、その上での大きかったことってなにかある?

ヨーグルト:いろいろな要因があるんですが、ヒカルくんとやってて、「ドッカンドッカン盛り上がっている局面でDJがプレイしてそこで通用する曲をつくらないと」って思ったことは大きなキッカケになったかもしれないです。当時はまだDJユーと曲作ってて、たまたまヒカルくんまわりにゼロっていうジャム・バンドがいたんですけど、彼らとスタジオでセッションして、それを再構築して、ダンス・トラックを作って、〈トライエイト〉からリリースしたのが2004年ですね(『グルーヴ・オン』)。そこからのシングル曲「エスノ」をDJケンセイくんがリミックスしてくれて、2005年に12インチでリリースされてそれが2500枚売れたんですよ。それが大きかったですね。

ヨーグルトがアンビエント寄りのものからアッパーな方向に行った背後にはホントにヒカルくんがいたんだね。

ヨーグルト:あとはそのときのケンセイくんのリミックスですね。ケンセイくんとはそれ以前から仲よかったんですよね。で、そのシングルが日本中で売れたんで地方に呼んでもらえるようになりました。

そこからまたドラッギーな旅がはじまるわけですね。

ヨーグルト:そうですね、90年代のいちばんてんやわんやな時代のノリに戻ったというか。

はははは。

ヨーグルト:で、2007~8年あたりに、それまでの00年代前半の自分のDJプレイは生音と電子音を融合させた音が多かったんですけど、どんどんテクノ化が進みましたね。現場で受ける音がどんどんテクノっぽくなったんです。「フューチャー・テラー」とかも、00年代前半はわりとダンス・クラッシックとかもかかってたと当時遊びに行っていた人たちから聞いたんですけど、どんどんテクノが流れる時間が長くなっていって。

僕が初めて行った頃も、まだソウルフルなディープ・ハウスが多かったね。

ヨーグルト:で、自分も自分なりにそっちの方向へ向って、ジェブスキっていうムーチーとネクサスってバンドをやってた彼といっしょにテクノ・トラックを作って、12インチ・シングルを〈トライエイト〉や〈ジェット・セット〉、〈ローズ〉から出したりしたんです。で、テクノへ本格的にシフトするあたりでコヤスくんと出会うんですよ。彼と話してみると卓球さんが好きだったりして。ジェブスキはソロ活動を開始するタイミングでもあったので、2007年頃からコヤスくんと共作する機会が増えていきました。

ヨーグルトも卓球好きなの?

ヨーグルト:めちゃ好きですよ(笑)。元旦に東京にいる時はリキッドに挨拶にいってます。卓球さん、俺たちの曲聴いてくれていて「『チル・アウト』いいよ」って伝えてくれたときは嬉しかったですね。あの卓球さんの快楽主義を貫く姿勢は尊敬しますよ、簡単にできることじゃあないじゃないですか。

快楽主義も良いけど、レイヴのあとの空しさったらないよ。二日酔いの翌朝の空しさもたまらないけどね。「なにやってんだろう、俺?」ってね。

ヨーグルト:俺もそんな気分を味わったことがあるのでわかりますよ。だけどそこで帰っていままで聴いてなかった音楽とか聴いて、それまで聴いても良さがわからなかった音楽がわかるようになってんじゃん、みたいなこともときにありますよね。「あれ? この曲やけにいい聴こえかたする」とか。そういう微妙だけど確実に何か変わっていることに気がつくと空しさも薄れるんじゃないですかね? レイヴを体験して感覚が変容することで、音楽だけじゃなく映画などアート全般に対する理解力が上がってそれまで以上に人生が楽しくなった人もいると思うんですよね。

ですかね。でもさ、たとえばトランスってドラッギーで入りやすいけど、空虚な音楽でもあるよね。ぶっ飛ぶためだけにあるから。心は満たされないっていうか、それがトランスの格好良さなんだけどね。

ヨーグルト:トランスの受け止め方も人それぞれで何とも言えないんですけどね。自分はトランスのパーティに漂う解放感は好きです。90年代のパーティ・カルチャーは自由を目指して、より自由にって爆走していたと思うんですけど、良いことだけでなくいろいろ問題も発生して、熟成期に差し掛かってきたのがいまなんじゃないですかね。

レイヴの自由って幻覚じゃない?

ヨーグルト:いやいや、すごいパーティで感じた体験はそう簡単には風化しないですよ。毎週のようにまあまあのパーティに行ってると空しさが爆発するかもしれないですが。どうしても空しさを感じたくないなら、DJやパーティを絞り込んで狙って、3~4ヶ月に1回行けばいいんですよ。一度や二度空しさを感じて、そのあとまったくパーティに行かなくなるのももったいない気がします。

はははは、たまには幻覚ぐらい見ないとね(笑)。俺も3~4ヶ月に1回は行きたいですよ。そういえば、ゼロ年代以降は、小バコの時代だったとも言えるよね。

ヨーグルト:〈グラス・ルーツ〉が盛り上がったり。

〈グラス・ルーツ〉って行ったことないんだけど、たとえば静岡だったら〈ラディシャン〉が居心地が良かったりするよね。小さいながらもスピリットを感じるっていうか。人と人との距離も近いから、話しやすいし。

ヨーグルト:でかい場所で何千人って人と同じ曲聴いて盛り上がるっていうのもありだと思いますけど。小バコだともっと音楽好きが集まって音楽性が高まる気がしますね。

まあ、敷居が低い分、音楽性は高くはないかもね。

ヨーグルト:いろいろな小箱があるから何とも言えないですけどね。俺は〈グラス・ルーツ〉でダメ出しされたこともありますよ(笑)。「キミはいろんな曲かけてるけど、ほんとに全部すきなの?」って言われて。好きな曲しかかけてないですけどね。そういう感じのコミュニケーションがあるのは小バコならでは気がしますね。ダンスフロアとDJブースが近いからこそ生まれる雰囲気はあると思います。

でも大人数のときの興奮はまた別のすごさがあるよね。

ヨーグルト:大人数で盛り上がるすごさにあらためて目覚めたのは去年のフジロックですかね。あのメインステージの音がムチャクチャよくて、あそこで考えが変わりましたね。なんですかね、あそこで1万人以上で盛り上がるのは......衝撃でした。ただ音が良いだけではない部分があると思いましたね。あの音に感動してPA業界に入る若者とかいるんじゃないかと思いますよ。

DJとしてのポリシーは?

ヨーグルト:新譜と旧譜をバランス良くプレイすることや、なるべく他のDJと選曲が被らないことは意識しています。「こんな選曲のDJは初めて聴いた」と言われたいです。その夜来てくれた人が「また来たい」って思いながら帰ってもらえたら嬉しいです。

先日ゴス・トラッドに取材したときに彼が言ってたんだけど、日本と欧米との違いは日本では曲を作るDJがまだまだ少ないってことだと。たしかにダブステップ世代のDJって、みんな曲作っているんだよね。むしろ曲作りが先で、それをプレイするためにDJしているんだよ。とはいえ、テクノが盛り上がった90年代なかば以後は日本でも曲を作る人がいっきに増えたよね。田中フミヤや瀧見憲司以降っていうか、ヨーグルトもそうだし、アルツとかノブくんとか、みんな作ってる。

ヨーグルト:作曲とDJがどんどん同じになってきてるのかもしれないですね。そんな流れのなかでオリジナリティを出すのはほんとに大事だと思います。自作の曲やエディットを作ってかけたり、スクラッチなんかをしたり、やり方はなんでもいいと思いますけど、DJプレイにおいてその人にしかできないことをやるのはこれからいままで以上に求められてくるでしょうね。自分はウェザオールが"ローデッド"をリミックスしたときからそれは感じてました。「DJってこんなに自由にやっていいんだ」ってね。

目標としているDJっている?

ヨーグルト:ミックスマスター・モリスは昔から好きです。

あー、昔からずっと好きだよね。

ヨーグルト:いま〈R&S〉傘下の〈アポロ〉のA&Rやったりしてて、視野がほんと広いんですよね。そこでジェームス・ブレイクとかをきっちりチェックしつつ......。歳とっていくと視野が狭くなる人が多いじゃないですか。でも、ミックスマスター・モリスはいまでも現役というか、しっかり新譜の動きをおさえているんですよね。すごくアナーキーなところもあるし......。コヤス・スタジオにデモ曲を制作するために泊まりにきたこともありました。
 他には、ニック・ザ・レコードも好きですね、あの人はお約束以外のディスコをうまくかけるじゃないですか。ズブズブのディスコを素人にはわからない感じでかけるのがすごい。何時間でも聴いていられる面白さがあります。

僕は今回のアルバムも『チル・アウト』も、聴いてつくづく思ったんだけど、基本的にはサマー・オブ・ラブの人だよね、ヨーグルトは。

ヨーグルト:根底にあるのは間違いなくそうですね、でもいろいろありつつですね。

それはいまは素直に受けとれないと?

ヨーグルト:けっこう世のなかの流れってかわるんですよね。まあ、基本的にはそこが大事なところですけど。どちらにしても『チル・アウト』と『サウンズ・フロム・ダンスフロア』は素直にやったというよりは微妙に批評性はあると思いますよ。

自分がここ数年ダブステップ系ばかり聴いていたからかな。なんて無邪気だろうって思ったんだけど。

ヨーグルト:セカンド・サマー・オブ・ラヴの頃に生まれた楽曲って勢いでやっちゃてるものが多い気がするんですが、自分でやっているものは、もっと落ち着いて見直して、セカンド・サマー・オブ・ラヴの頃に生まれた楽曲のどこが良かったかって考えてやってます。余計なものをそぎ落としたというか、むやみに意気込んでるわけではないですね。単純にサマー・オブ・ラヴだ、フリーダムだってわけではないです。その良質な部分をアピールしたいっていうか、セカンド・サマー・オブ・ラヴといってもレイヴにもひどいのもあるじゃないですか。そういうよくわからないレイヴにセカンド・サマー・オブ・ラヴのスピリットが埋もれてしまっているんじゃないかなって残念に思うことがあるので。

ヨーグルトの場合は、ゼロ年代に曽我部恵一を聴いているような若いリスナーのあいだで広まっていったよね。実際、ヨーグルトが好きっていう20代のロック・リスナーに何人か会ったことあるよ。

ヨーグルト:嬉しいですね! 最近では、大阪の奇妙礼太郎トラベルスウィング楽団のヨーグルト&コヤスリミックス(「機嫌なおしてくれよ」)が評判になって、10代から20代の人も聴いてくれてるみたいです。自分もロックを聴いててダンスに入っていったんで、ロックのリスナーにはシンパシーがあるんです。インディ・ロックを聴いているような子たちにダンス・ミュージックの魅力を伝えたいっていうのはあります。曽我部さんも「そういうことやりたいよねっ」て言ってくれているんですよね。

いま、どのくらいの割合でDJやってるの?

ヨーグルト:平均すると月に6~7本ぐらいですかね。

さすがですね。

ヨーグルト:でもヒカルくんとかノブくんとかケンセイくんはもっとやってますからね。

みんなすごいよね。

ヨーグルト:俺もこれからの『エレキング』に期待したいですね。

もう『エレキング』にはクラブ・ミュージックについて書きたいって人がいなくなってるからね。

ヨーグルト:萎縮してるんじゃないですか? それかブログやツイッターなんかで自分の思いを文字にして満足している人が多いのかもしれないです。

五十嵐とか暇を見ては手伝ってくれてるけど、大人でコンスタントに書いているのは僕と三田さんぐらいで、松村や二木なんかもたまに、1年に1~2回ぐらいは磯部も書いてくれているけど、他は20代なんですけどね。2012年はライターを増やしたいっていう目標があるんだ。

ヨーグルト:俺も書きますよ!

それは嬉しいな。ヨーグルトも昔の『エレキング』でもよくレヴュー書いてくれたよね。でも、やっぱもう言葉を必要としていないってところもあるのかな? テクノやハウスに関していえばもう充分過ぎるほど語られているから。

ヨーグルト:もしかしたら語るよりも体験しようって人が多いんじゃないですか。娯楽文化でもあるし、ヨーロッパではドラッグ文化のいち部でもあることが日本では書く人が少ない原因かもですよね。

関西なんてそれどころじゃないだろうしね。そういう意味ではね、今回のアルバムのアートワークが思いっきりダンスフロアを主張しているでしょ。このわかりやすいヴィジュアルをいまやるところにヨーグルト&コヤスの強い気持ちを感じたんですけど。

ヨーグルト:『チル・アウト』、『サウンド・オブ・スリープ&メディテーション』と2枚のアンビエント・アルバムを続けてリリースしたあとなので、今回は方向性が変わったことを明確にアピールしたかったんです。もちろんダンスフロアへの愛情をストレートに表現したタイトルでもあるんですが。ま、これは昔の『リミックス』も関係あるというか、それが原因みたいなものですよ(笑)。

というと?

ヨーグルト:2004年にさっき言った〈トライエイト〉から『グルーヴ・オン』っていうアルバムを出したら、それがどういうわけか『リミックス』誌の2004年の「アンビエント・アルバムNo.1」に選ばれて(笑)。「自分にはアンビエントってイメージが強くあるからなのか?」と軽く悩みました(笑)。これはマジで、もっとわかりやすくしないと音楽系のライターにすら通じないのに、一般の人たちにはまず通じないなと心の底から思って(笑)。それ以来、ダンスものはダンスものらしく、曲名もヴィジュアル的にもわかりやすくしています。

ひぇー、それはごめん。すいません!

ヨーグルト:河村さんがそうしたということをあとから知りましたけどね(笑)。それがトラウマでこうなってるんですよ。

え、じゃあ、まさか河村の影響で?

ヨーグルト:このタイトルなら誰もアンビエントだと間違えないでしょう。

重たい話になっちゃうかもだけど、ゼロ年代以降は店員の態度が悪いクラブも出てきたでしょ。疲れて階段で座っているだけで注意するような。入口で財布の中身まで見るとか。あれがクラブ初体験だったらリピーターにはならないと思ったことあるんだよね。〈イエロー〉や〈マニアック・ラヴ〉の時代は、お店のスタッフもみんな「こちら側」っていう感じだったけど、やっぱこの10年で好きでやっていた人たちが作っていったものと、商売ありきではじめた人たちとの差が出てしまったかなと思って。

ヨーグルト:〈イエロー〉や〈マニアック・ラヴ〉の店員の人たちの雰囲気はほんとによかったですもんね。クラバーがそのまま店員になった感じで。でも全国いろいろまわってるとナイスな店員さんに出会うこともあるし「こんなところにこんなクラブが!」ってこともありますよ。

気持ちのこもったクラブっていまでもあるんだろうけど、客の側から見てちょっとギブかなっていうのも混じってるからややこしいんだよね。たぶんヨーグルトやノブくんみたいな人たちはそういう場所を巡業しているんだろうし、だからこういうアルバムが生まれるんだろうし。ちなみにこのアルバムに込められたメッセージは?

ヨーグルト:ダンスフロアにはマジックがあるんだってとこですかね。


■all time to 10 albums by Yogurt
1. RED CRAYOLA / Parable Of Arable Land (International Artist)
2. MILES DAVIS / Bitches Brew (Columbia)
3. BOB MARLEY&WAILERS / Catch a Fire (Island)
4. ROLLING STONES / Black&Blue (Atlantic)
5. KING SUNNY ADE / Juju Music (Island)
6. SPACEMEN 3 / Dream Weapon (Fierce)
7. PRIMAL SCREAM / Screamadelica (Creation)
8. BASIC CHANNEL / Basic Channel (Basic Channel)
9. IRRESISTIBLE FORCE / It's Tommorrow Already (Ninja Tune)
10. BLAST HEAD / Head Music (Free Hand)

1/7(土) @八王子Shelter
1/12(木) @西麻布Eleven
1/14(土) @江ノ島Oppa-La
1/20(金) @中野Heavy Sick Zero
1/27(金)@渋谷Vision
1/27(金)@代官山UNIT/SALOON
1/28(土) DJ YOGURT Open To Last 6Hours@代官山Saloon
(The FieldがUnitに出演する日です)

他の出演予定の確認はこちらで
https://www.myspace.com/djyogurtfromupsets/shows

神聖かまってちゃん - ele-king

 神聖かまってちゃんに関しては、前作のレヴューをぜひとも読んでいただけたらと思う。ドキュメントとしてのかまってちゃんではなく、表現としてのかまってちゃんについて書ききっているつもりだ。
 さて、2枚同時リリースの傑作『つまんね』『みんな死ね』から非常に短いスパンで発表された本作『8月32日へ』は、さすがに前作をしのぐ作品とは言いがたい。むしろB面集といった位置づけで、これまで猛進させてきたキャリアにひとつの区切りをつけ、それを肉づけるものとして聴くのがよいのではないかと思う。かまってちゃんのドリーミー・サイド、ないしはの子のなかのやわらかい部分にあらためて触れることのできるアルバムだ。
 とはいえ、これまでの作品には含まれなかったモチーフが兆してもいる。本作のカギになるのは切なさである。もちろん本作ならずとも彼らのトレードマークとも言えるエモーショナルなキーボード・リフはいつだって切なさを大量消費するように鳴るのだが、その消費さるべき莫大な切なさが枯渇しつつあることへの哀切が『8月32日へ』においては歌われている。これはとても重要なポイントだ。

 "26才の夏休み"がその解題となるだろう。このアルバムには"◯◯才の夏休み"というタイトルの曲が3曲収録されている。これは『友だちを殺してまで』収録の名曲"23才の夏休み"を中心とした連作と考えてよいだろう。本作収録の同曲はミックスやヴォーカルが異なっていて、とくにコーラス・パートに派手にかけられたヴォイス・チェンジャーがアニソンを彷彿させながら旧テイク(実際どちらが古い録音なのか定かではないが)の切迫感をサイケデリックに加速させている。"22才の夏休み"は"23才の夏休み"の変奏ヴァージョンで、メロディなどはほぼ同じだ。22才や23才の人間に高校までのような夏休みなどめぐってはこないのだが、そうした「サイズ違いの気持ち」("22才の夏休み")を自覚しながらも、ここには「夏」ではなく「夏休み」という体験の濃密さに寄せる思慕がありありと刻まれている。それが「キラカード」の表象をとって両曲をつないでいると言えるだろう。の子が曲と分けられないほど大切だとするPVにも同様のことがみてとれる。画面を切るように自転車を走らせる彼らの様子が早巻きの映像で描き出される、このスピード感は夏休みのかけがえのなさの凝縮と言っていい。それを忘れないためにピアノのリフは執拗な切なさでもって繰り返されるのだ。というか、そもそもリフというものの性質は何かを記憶する方途として見つけ出されたものではないかとさえ思わせる。
 しかし、26才の夏休みは違う。「どこにも行かない」「きっと何もしない」けれど「チャリをこぎ続け」る、あの23才の夏休みとはちがう。「ろくでもないな」「帰りてー、が本音です」といいながらもバス停で君と待ち合わせる、あの22才の夏休みとも決定的にちがう。"26才の夏休み"にはそんな「夏休み」を忘れてしまうことが暗示されている。シャッフル・ビートをきかせたシンプルなアコギの弾き語りナンバー。しかしラフなライヴ・テイクか、あるいは風呂場でテープ録音したかのように奇妙なリヴァーブを施され、オーヴァー・コンプ気味で割れそうに伸びあがった音(あたかもそれは明るいハウ・トゥ・ドレス・ウェルだ)には、ゴーストの気配がただよっている。「なんだか僕は感受性ってやつが薄れている」。以前のように夏休みを感じることはできなくなり、夏休みはゴーストになったのだ。なぜか。大人になったとか童心を忘れたとか、皮相な説明はどのようにでもつけられるだろう。しかしの子は「千葉ニュータウンと僕は変化した」とだけ歌っている。ジャスコの街にはイオンができ、「僕」は髭を剃ることから26才の夏休みをはじめている......オクターブ上げて叫ばれるこのあたりの詞には目が覚めるほどのリアルがある。サビでは「僕はかけらをただひろい集めてる」という表白が何度も何度も繰り返される。かけらとは夏休みのかけらであり、なつかしさのかけらである。あのキラカードは、かけらになってしまったのだ。そのような切なさが詞、音ともにじつに高度に表現されている。彼には夏休みを前に何も感じなくなりつつあることが切ないのだ。だから「外に出て切なくなりにいこうぜ」というときの、意味が空洞化した「切なさ」には胸がうたれる。

 ではすっぱりと夏休みの記憶を消すのかといえば、その逆で、彼は8月32日を目指す。「大人になる」というような理屈を受け入れず、たとえ夏休みがゾンビ化しようとそのつづきを生きてみせるというのがの子の非凡さである。もしかしたらその直後に「まあどーでもいいんですけどねっ」("グロい花")などと言うかもしれない。しかしここには、意識的な逃避がオルタナティヴな回路をひらき得るというチルウェイヴのマナーにきわめて近い感性がある。
 そもそもの子の詞にはおおらかな空想性や世界把握がある。学校ネタやどぎついと思われがちな言葉の選択にそれが隠れてしまうことがあるというだけだ。"コタツから眺める世界地図"には"夜空の虫とどこまでも"に通じる世界の美しさの描出がある。"映画"などは少し驚くくらい素直なラヴ・ソングだが、けっして定型に陥らない上品で繊細な言語感覚を感じる。スクール・カーストを下地におのれという「気持ち悪い」存在を自虐的に歌うパンク・チューン"制服b少年"は、その意味では彼らにとってメジャーな作風であるが、「顔面」「っーツーの」「マジキモスギナンダケド」といった言葉のチョイスは同様に繊細なものである。もし「顔面がまじで気持ちわるい」が「顔がまじで気持ちわるい」だったら、まったくこの詞の価値は下がってしまうにちがいない。"僕は頑張るよっ"の「1日が続く中」という言い方にもオリジナルなセンスを感じる。こうした言葉たちは、それが彼のリアルから切り出されてきたのだという証拠のようなものだ。彼の曲には彼の命、彼の姿、彼のフォームがある。よってやはり、今作もとても好ましかった。軍配は前作に上がると書いたが、どの曲もとても良い。そして切なさを忘れることの切なさは、かまってちゃんをどのように変えていくのか。この命題をもって神聖かまってちゃん第1期終了、というように思った

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