ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. interview with Masato Matsumura これからの前衛音楽のために (interviews)
  2. Ninjoi. - Masayume (review)
  3. Norhern Soul ──『ノーザン・ソウル』、この最高な映画を見たらスリムのデニムを履けなくなる (news)
  4. The Matthew Herbert Big Band ──ハーバートがビッグ・バンドで新作をリリース、発売日はイギリスがEUを離脱する3月29日 (news)
  5. Phony Ppl - mō'zā-ik. (review)
  6. 打楽器逍遙 12 行進 (columns)
  7. interview with Phony Ppl NY発 新世代が奏でるソウルの真髄 (interviews)
  8. Columns TINY POPというあらたな可能性 (columns)
  9. K Á R Y Y N ──〈ミュート〉期待の新人がアクトレスの人工知能とコラボ&ファースト・アルバムをリリース (news)
  10. 天国でまた会おう - (review)
  11. James Blake ──ジェイムス・ブレイク新作の日本盤CDがリリース (news)
  12. The Specials - Encore (review)
  13. interview with Mark Stewart 俺は永遠の楽観主義者だ (interviews)
  14. interview with Simon Halliday 元〈WARP〉スタッフ、現〈4AD〉社長に話を訊く (interviews)
  15. Bbno$ - Recess (review)
  16. Mars89 ──たったいま聴こう。東京新世代のプロデューサー、Mars89が新作をリリース (news)
  17. Beirut - Gallipoli (review)
  18. interview with Mark Stewart & Gareth Sager 歴史的名盤の裏側を語る (interviews)
  19. Kankyō Ongaku ──日本のアンビエントにフォーカスしたコンピレーションが発売 (news)
  20. Random Access N.Y. vol.110 史上最悪のスーパーボウル騒動 (columns)

Home >  Regulars >  編集後記 > 編集後記(2018年7月17日)

編集後記

編集後記

編集後記(2018年7月17日)

Jul 17,2018 UP

 ホイッスル。試合終了。今日からまた憂愁の日々。みなさんもそうでしょう?
 まとめてみよう。今回のW杯で、あらためてフットボールとは幸福なものだと認識した。大人も子供も夢中で観戦する。また、なかんずくW杯は政治とは無縁でいられないということもフランス対クロアチアの決勝戦がはからずとも証明した。
 プッシー・ライオットの乱入。彼女たちの政治的な主張を尊重したうえで言えば、タイミングが悪すぎた。試合の流れをみないと。もうひとつ、プレーしている選手も観ている側も、その瞬間瞬間においてはまったく政治から切り離されている。かつて、ペレがプレーすると紛争中の国同士が休戦したというエピソードがあるくらいだ。愛の営みの最中には戦士だって銃をしまう。それから、彼女たちの乱入は攻めていたクロアチアにとっては不利に働いた。その事実についてもツイッターで触れるべきだった。
 プーチン。とつぜんの雷雨に見舞われた表彰式で、ずぶ濡れのマクロン大統領とクロアチアのグラバルキタロビッチ大統領と横に並びながら、ひとりだけ傘のなかにいるところを生放送されてしまった。今大会を通じてロシアの国際舞台でのイメージ向上につとめたのだろうけれど、あの最後の失態には笑ってしまった。

 クロアチア。それまでの試合ではピッチを駆け抜ける炎だったモドリッチだが、決勝戦では不完全燃焼だったように思えた。しかし、3試合の延長戦を勝ち上がってきたクロアチア代表の奮闘は、紛争によって分裂した旧ユーゴスラビアの多くの人たち(クロアチア人、ボスニア人、セルビア人)に偏狭なナショナリズム以上の、より平和的な融和の感情を持たせたようだ。
 フランス。ポグバが最高。サッカーダイジェストの記事によれば、大統領宮殿の祝賀会において、この屈強なMFはマイクを握って「俺たちはすべてぶっ壊したってことだな! すべてぶっ壊したぞ! すべてぶっ壊したぞ!」と繰り返したそうだ。すると宮殿の庭では「ぶっ壊したぞ!」の唱和がはじまったという……これ、いかにもフランスらしいんじゃない?  レイモンド・コパというフットボール・ファンにはよく知られているポーランド系移民の名選手は、68年5月のバリケードのなかにも参加したというけれど、歓喜に湧くシャンゼリゼ通りの様子もほとんど暴動みたいに見えた(笑)。喜びの暴動とでもいうのだろうか。抑圧されている日本人は、なんでも秩序の言うがままだが、ああいう騒ぎ方は見習ったほうがいいと思う。いまでは毎年のように、歪んだ形の暴力としてその反動が出てしまうのだから、なおさらスポーツは抑圧のシステムに加担しないでもらいたい。

COLUMNS