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interview with Black Midi

interview with Black Midi

自分自身を解体するアート

──ブラック・ミディ、インタヴュー

質問・文:細田成嗣    通訳:青木絵美   Jun 20,2019 UP

全てのジャンルの音楽において、そのほとんどが駄作だ。各ジャンルに、良いアーティストが数名、存在している。そういうアーティストは、どんな音楽を作ったって、良い音楽になる。

バンドのブラック・ミディからはマスロック、ポストロック、ポストパンク、サイケデリック、ノイズ、クラウトロックなど様々な音楽性が伺えます。メンバー全員が様々な音楽をたくさん聴いてきたのだと思いました。どのようなメディアで音楽を聴くことが多かったのでしょうか。

MS:俺は、違法なダウンロードをたくさんして(笑)、アルバム名を検索してジップファイルをいろいろなウェブサイトからダウンロードしていたよ。いろいろ試しているうちに、信頼できるサイトで、音の質も良いサイトがわかるようになって、そういうサイトを使うようになった。最初はストリーミング・サービスがあまり好きじゃなかったんだけど、徐々にストリーミング・サービスの餌食になっていった(笑)。別にいいんだけどね。俺の両親はたくさんの音楽をフィジカルで持っていたけれど、俺はそこには興味を持たずに、自分のパソコンから音楽を探してダウンロードしていたね。でも最近になってフィジカルな形の音楽にはまっているよ。

GG:俺はさっきも話したけど、父親が2000枚くらいの膨大なCDのライブラリーを所持していたから、俺が子供の頃は父親のコレクションから自由に音楽を選んで貸してもらっていた。俺はいまでもCDを買うよ。ストリーミング・サービスにはない音源がCDに収録されていることもあるし、ダウンロードでは見つけにくい音源もあるからね。

メンバー全員が共通して好きな音楽ジャンルはありますか。

GG:このジャンルだからという理由で、ある特定のジャンルに忠実だという人はバンド・メンバーにはいないと思う。俺たちは、全てのジャンルの音楽で、好きなものがあると思う。だけど盲目的に好きなジャンルというのはない。良いジャンルなんてものは存在しないと思うんだ。全てのジャンルの音楽において、そのほとんどが駄作だ。各ジャンルに、良いアーティストが数名、存在している。そういうアーティストは、どんな音楽を作ったって、良い音楽になる。俺たちが好きなアーティストというのはいるよ。

MS:俺たちが一緒にバンドをやっているのは、たしかに似たような好みがあるからだけれどね。

反対に、「他のメンバーはそうでもないが自分は好きだ」という音楽はありますか。

GG:誰かの方が、あるスタイルの音楽についてより詳しく知っていたり、経験があったり、というのはあるよ。でもそういう「他のメンバーはそうでもないが自分は好きだ」という白黒はっきりしたものはないな。モーガンはファンクが好きだけど、他の人は好きじゃない、ってわけじゃないから。

今年リリースされた12インチ・シングルには“Talking Heads”という曲がありますが、アメリカのバンドのトーキング・ヘッズに特別な思い入れがあるのでしょうか。

MS:もちろんだよ。この曲をそういうタイトルにしたのは、それがトーキング・ヘッズの音楽みたいに聴こえたからなんだ。曲ができてから、この曲はそういう風に呼んでいて、1年くらいが経った。その後に他の名前を考えようとしたんだけど、思い付かなかったから、この名前が定着したのさ。

何を弾けば良いのかを考えたりしていると、最悪な、ゴミのようなものが出てくる。けど、純粋な潜在意識に身を任せれば、空を飛びはじめるんだよ。

カンのヴォーカルとして活躍したことでも知られるダモ鈴木と共演した音源もリリースされています。ミニマル・ミュージックのようにフレーズを反復していくセッションはどこかカンのようにも聴こえます。あまり決め事を設けずにその場で即興的に演奏したのでしょうか。

MS:そうだね。彼とは45分のセットを2回やったんだけど、両方とも全てが即興だった。ダモ鈴木は、俺たちが最初のセットでステージに上がる5分くらい前に指示を出してくれたけど、それはただ「お前たちが先にステージに上がれ。俺はその後にステージに上がって、ジャンプしたりステージに寝っ転がったりするからお前たちはうるさい音をたくさん出してくれ」ということだった。あれはすごい経験だった。俺たちはそのギグの前の週に、ギグに向けて準備しようとしていたんだけど、結局、ダモ鈴木がやるように、その瞬間を大事にして演奏してみようということになった。

GG:とても実りのあるセッションだった。俺たちにとっては全てが即興だったけど、潜在意識で演奏している最中から生まれたリフにはかなり良いものがあった。後で、そのリフを使って、自分たちの曲へと発展させていった。あのセッションの音源は、セッションのしばらく後に公開されたから、あれを聴いて、「この部分はあの曲に似ているな。ブラック・ミディは自分たちの曲をダモ鈴木と一緒に演奏したのか」と思う人もいたけれど、実はその逆なんだよ。即興セッションで誕生したパーツを再構築して新しい音楽にしたんだ。

MS:WIN-WINなセッションだったよ!

デビュー・アルバム『Schlagenheim』では、5時間のジャム・セッションの中から作られた曲もあると聞きました。ジャム・セッションはブラック・ミディの音楽制作においてやはり重要なものなのでしょうか。

MS:ときが経つに連れて、ジャム・セッションから作曲するというやり方になっていったと思う。試行錯誤してそうなったという感じ。バンドの初期の頃の曲や、アルバムの曲の大部分は、ジョーディとマットが作曲したもので、俺たちはリハーサル室に集まって、その曲を学んで練習していた。そしてときが経つに連れて、ジャム・セッションがバンドの重要な部分になっていった。新しい音楽を作るときは、ジャムをやることが俺たちにとって効果的というか、実りのある作曲方法だということがわかってきたんだ。

GG:ジャムを長い間やっていると、それについて考えなくなる。そのときに、最高な音楽ができるんだ。そういうときは、潜在意識から直接的に音楽が生まれてくる。そこにはフィジカルな行為しかない。ジャムについて考えすぎていると、全くダメになってしまう。何を弾けば良いのかを考えたりしていると、最悪な、ゴミのようなものが出てくる。けど、純粋な潜在意識に身を任せれば、空を飛びはじめるんだよ。

MS:俺たちがジャムをするときは1時間から1時間半くらいなんだけど、その時間の前半はまだ、潜在意識に身を任せるという精神状態に自分を持っていくための時間。何を演奏するべきかとか、何を演奏しているのかとか、そういうことを考えていない精神状態になるための時間。そのときはまだ自分の演奏したものでひとつくらいしか「まあ良いな」と思えるものがない。だが、ある一定の境界線を越えると、その良いと思えるものが全体の3分の1くらいになる。それは自分の潜在意識から来ているからなんだ。だからジャムをやるときは、比較的長い間、続けていないとその精神状態になれないということがわかった。

『Schlagenheim』に収録されている中で、完成させるのが一番大変だった曲を教えてください。

GG:完成させるというのは作曲? レコーディング? レコーディングでは大変な曲はなかったよ。とてもスムーズにいった。

MS:それはプロデューサーのダン(・ケアリー)のおかげでもある。彼とは本当に仕事がしやすくて、全てを円滑に進めてくれた。彼は自分のスタジオのことを隅々まで理解しているから、例えばオーバーダブをするというときに、他のプロデューサーがどうしようかと数分間考えてから行動する所を、ダンはもうマイクを手に持って録音する準備ができていたりする。

GG:彼は「鉄は熱いうちに打て」という精神をよく理解しているのさ! アルバムで最高なパフォーマンスが聴けるのは、有能なミュージシャンたちが初めてスタジオで曲を演奏したときだ。それを正しく弾いているか弾いていないかを考えているときは緊張してしまうからね。初めて演奏するときは、多少のミスがあっても、集中できているし、曲の感覚もつかんでいるから、良いものが生まれる。そういう意味でダンは良いプロデューサーだった。

今年の秋には日本ツアーが控えています。日本にいらっしゃるのは初めてですか?

MS&GG:みんな初めてだと思う。すごく興奮してる!

通訳:私たちもブラック・ミディの来日を楽しみにしています!

日本の音楽で好きなものを教えてください。

GG:うるさいバンドが好き。ボアダムズ、メルト・バナナ、あと大友良英のグラウンド・ゼロも良いね。そういうのが好き。あと日本には良い作曲家もいる。武満徹は良いよね。いまい出すのに苦労しているけど、日本からは良い音楽がたくさん出ているよね。

どういったところが好きなのかもお聞きしたいです。

GG:昔、ボアダムズにはまったときは、スワンズやマイルス・デイヴィスのように、エネルギーを合わせて音楽を作るバンドだと思って衝撃を受けた。だがボアダムズはエディットの仕方がデジタルでプツプツとしていてその組み合わせが面白いと思った。それから、ボアダムズに関連するOOIOOの音楽などをどんどん聴いていった。そうしていろいろな日本の音楽を聴くようになった。

ダモ鈴木とのセッションのようにコラボレーションしたいと思う日本のミュージシャンやグループがいれば教えてください。

MS:俺たちは全ての可能性に対してオープンだ。

GG:俺たちとセッションしたい奴なら誰でも良いよ!

MS:俺たちは誰でもウェルカムだよ!

GG:ボアダムズのヨシミとか、グラウンド・ゼロの大友良英とか、セッションしたい人なら誰でも良いよ。


black midi live in japan 2019

ロンドン発、今最もアツい新生バンドと噂のブラック・ミディが
6月にデビュー・アルバム『Schlagenheim』をリリース!
そして初来日JAPANツアー決定! 超レアなライブになること間違いなし!

9/5 (木) 東京:Unit
9/6 (金) 大阪:Conpass
9/7 (土) 京都:Metro

ロンドンを拠点に活動を開始し、みるみる大注目バンドとなったブラック・ミディが、遂にデビュー・アルバム『Schlagenheim』を6月21日にリリースすることを発表した。
ブラック・ミディは、ジョーディ・グリープ(vo、g)、キャメロン・ピクトン(b、vo)、マット・ケルヴィン(vo、g)とモーガン・シンプソン(ds)の4人で構成され、メンバー全員が19歳か20歳で、アデルやエイミー・ワインハウス、キング・クルールらを輩出した英名門校ブリット・スクールで出会ったという。ゲリラ・ライブを敢行するなど精力的にライブ活動を行い、常に変化するセットリストやその演奏力とオリジナリティ溢れる楽曲から、噂が噂を呼び早くも完売ライブを連発。結成からわずか1年であることから未だに謎が多いが、今最もアツい新生バンドという評判を早々に確立した。
海外のバズを受け、ここ日本でもコアな音楽ファン達の注目を集める中、デビュー作を引っさげた初来日ツアーが決定し、明日よりチケット先行販売がスタート!

9/5 (THU) 東京:UNIT
OPEN 18:00 START 19:00 前売¥5,500(税込)
※別途1ドリンク代 / オールスタンディング ※未就学児童入場不可
INFO: BEATINK 03 5768 1277 [www.beatink.com]

9/6 (FRI) 大阪:CONPASS
OPEN 19:00 START 19:30 前売¥5,500(税込)
※別途1ドリンク代 / オールスタンディング ※未就学児童入場不可
INFO: CONPASS 06 6243 1666 [http://www.conpass.jp]

9/7 (SAT) 京都:METRO
OPEN 17:30 START 18:00 前売¥5,500(税込)
※別途1ドリンク代 / オールスタンディング ※未就学児童入場不可
INFO: METRO 075-752-2787 [info@metro.ne.jp]

label: ROUGH TRADE RECORDS / BEAT RECORDS
artist: black midi
title: Schlagenheim
release date: 2019/6/21 (金) ON SALE

国内盤CD RT0073CDJP ¥2,400(+税)
ボーナストラック2曲追加収録 / 解説・歌詞対訳冊子封入

質問・文:細田成嗣(2019年6月20日)

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Profile

細田成嗣/Narushi Hosoda細田成嗣/Narushi Hosoda
1989年生まれ。ライター/音楽批評。佐々木敦が主宰する批評家養成ギブス修了後、2013年より執筆活動を開始。『ele-king』『JazzTokyo』『Jazz The New Chapter』『ユリイカ』などに寄稿。主な論考に「即興音楽の新しい波 ──触れてみるための、あるいは考えはじめるためのディスク・ガイド」、「来たるべき「非在の音」に向けて──特殊音楽考、アジアン・ミーティング・フェスティバルでの体験から」など。2018年5月より国分寺M’sにて「ポスト・インプロヴィゼーションの地平を探る」と題したイベント・シリーズを企画/開催。

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