Home > Interviews > intervew with Atjazz - 特別対談:赤塚りえ子×アットジャズ
■ふたりは直接どのように知り合ったの?
赤塚:アンディ(・ブルックス)とかクライウ゛(・アスティン)とか、その辺りの人たちの紹介だったと思う。
マーティン:たしかレコード・ショップから繋がっていったんじゃなかったっけ。
■それこそ僕がダービーに行ったときは、リッキーやマーティンに連れられて、DIYのフリー・パーティに連れて行ってもらったんだよね。あのときはリッキーが警察の壁を突破したんだよ(笑)。
赤塚:懐かしい(笑)! パーティを取り締まる警察に囲まれて大変だったんだ。
マーティン:覚えてるよ(笑)。警察が来てパーティが無理矢理中止させられそうになったんで、オレたちは面倒くさくなる前に逃げ出そうとしたんだ。
■そうそう! 帰りの車の中で、誰かが「クソみたいな警察だ」って言ったら、マーティンが「あれはまだマシな警察だ」って言ったのを覚えてる。
赤塚:ともかくいい体験をさせてもらったな。
■本当だね。ふたりはダービーにいた頃はそんなワイルドな生活ばっかりしていたの?
マーティン:いやー、あの当時、ああいうパーティはそんなに頻繁にあるものではなくて、年に2~3回くらいのペースでしかやれていなかったと思う。
赤塚:クリミナル・ジャスティスが施行される以前は、ああいうフリー・パーティももっとたくさんあったんだと思うけどね。
マーティン:その通りだよ。
■リッキーにとっては〈マンティス・レコード〉やダービー・ポッセの存在ってものすごく大きいんじゃない?
赤塚:そりゃとんでもなく大きいよ。95年と96年にいて、それが私とディープ・ハウスとの出会いでもあったから。
■その頃のUKのクラブ・ミュージックと言えば、ドラム&ベースがすごかった時期でしょ。それがああやって北部やミッドランドのローカルなシーンではディープ・ハウスが元気だったというのがまた面白いなあって。
マーティン:ほとんどのアンダーグラウンドなパーティは、レコード・ショップやレーベルの人間が中心になっておこなっていたよね。
■当時、アットジャズが面白いってリッキーから真っ先に紹介されたわけだけど......。
赤塚:そもそも私は音楽が好きだからという理由でイギリスに行ったんだけど、そうしたら、ダービーという日本ではあまり聞き慣れない町で、音楽を本当に愛している人たちによるものすごいピュアなシーンに偶然遭遇することができて、本当に感動したんだよね。レコード屋さんでいいレコードを見つけたときの感動とはまた別の、実際に音楽を作って、パーティをやっている人たちの熱気のなかに放り込まれて、貴重な発見や体験をすることができた。それって私にとってはものすごい大きなことだった。
マーティン:リッキーからそういう話をはじめて聞けて、嬉しいよ。
赤塚:ラジオから普通にディープ・ハウスが流れてくるでしょ。もうそれだけで興奮だった。
■日本にはないからね。
赤塚:アットジャズの音楽もすごく好きだった。それまではテクノばっかり聴いていたから、実はハウスの魅力ってあんまりわかっていなかったけど、ダービーで完全に目覚めた(笑)。あとその当時って〈イエロー・プロダクションズ〉とかモーターベースのようなフレンチ・ハウスとかも流行っていたから、どんどんディープ・ハウスを聴くようになった時期でもあった。
マーティン:エティエンヌ・ド・クレイシーとか『スーパー・ディスカウント』みたいなね。
赤塚:うわー、懐かしいね。大好きだった(笑)!
■その当時、ダービーの連中が「いいDJってのはベーシック・チャンネルをマイナス8でミックスするDJだ」って言っていたのをすごくよく覚えているんだけど。
マーティン:だははは、よく覚えていないけど、たしかにそうだと思うよ。実際、その当時は僕もベーシック・チャンネルのレコードをたくさん買っていたしね。
赤塚:私もよく買ってた。よくジョンとふたりで誰も買わないようなダブのレコードやそれこそベーシック・チャンネルのレコードを買って、店員さんに「あのふたりまた渋いの買ってたよー」みたいな感じで密かに注目されてて......、あ、思い出した! それで音楽の趣味が合うんじゃないかってことで、アンディたちと話すようになって、パーティに誘ってもらったりして、その繋がりでマーティンと出会ったんだ! いま思い出したよ(笑)!
マーティン:だはははは。とにかくジョンとリエコはパーティでもいちばんのお客さんだったよ。〈ウェアヘッド〉のオーナーのトムのことは覚えてる? 彼はたったの10ペンスでレコードを売ったりしていた。
赤塚:はははは、覚えてる! そうなんだよね、彼はあまりレコードの相場をわかっていなくて、セールになると、デトロイト・テクノなんかをものすごい安い金額で売ってたんだよね。当然、私たちはそれに飛びついて買いまくってたんだけど(笑)。
マーティン:そうそう! あとあの頃、自分たちのパーティにシカゴからジェミナイを呼んだこともあったっけ。
赤塚:呼んだねー。
■だってマーティンはその当時、ロン・トレントの〈プリスクリプション〉とか、シカゴのディープ・ハウスにハマっていたもんね。
マーティン:あははは、そうだね。
司会:野田 努(2010年2月08日)