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interview with Akira Rabelais

interview with Akira Rabelais

詩を書くように音を開発する

──アキラ・ラブレー、インタヴュー

取材・文:渡邊琢磨    翻訳:高見一樹、渡邊琢磨   Jun 23,2020 UP

コロナウィルスによって世界が激変しました。あなたの生活や表現にどのような影響を及ぼしましたか?(渡辺琢磨)
願わくば、人びとが少し内省的になってもらえたらと。これからどのように生きたいか、どういう影響を世界に与えているのかを考えてもらえたらと思います。(アキラ・ラブレー)

■ご友人の作曲家が収集したヒストリックな音とオープンリールが時代を越えてあなたの作品に生成変化したということでしょうか。あなたの作品はパーソナルでありつつ、出来事や他者との関わりから生まれた作品も多いような気がします。コラボレーションに関して考えをお聞かせください。とくにハロルド・バッドとの共作に関して個人的に興味があるのですが……

A:私にとってコラボレーションは常に難題です。自分のやり方がハードルを上げてしまうのです。去年リリースした『cxvi』(Boomkat Editions : BKEDIT018)ではコラボレーション作品に取り組みました。完成まで10年かかりましたが、結果には満足しています。ハロルド(バッド)は、素晴らしい人です。彼が自作の”Avalon Sutra”で作業をしていた時に、デヴィッド(シルヴィアン)が私たちを結びつけた。それで友達になりました。彼の場合一緒に作業するのはとても楽でしたよ。

■そういえば、私もデヴィッドを介してあなたとドイツでお会いしましたね。話しは変わりますが、コロナウィルスによって世界が激変しました。あなたの生活や表現にどのような影響を及ぼしましたか? また、こういった厳しい状況をどう捉えていますか? よろしければ教えてください。

A:パンデミックが表現にどのように影響するか説明するのは難しいですね。私はというと、作業する時間が増えました。願わくば、人びとが少し内省的になってもらえたらと。これからどのように生きたいか、どういう影響を世界に与えているのかを考えてもらえたらと思います。

■ありがとうございます。全米では、ジョージ・フロイドさんが白人警官によって殺害された事件を期に大規模なプロテストが起こっており、この抗議デモはいまや世界中に広がっています。あなたが住んでいるエリア(イリノイ州シカゴ)での状況を教えていただけますか。

A:私は、シカゴのダウンタウンから電車で北に一駅のところに住んでいるので、デモが自宅のあたりまで来ます。数千人のプロテストの参加者が通り過ぎていくのを見ました。私が目撃したデモはとても穏やかで、まるでパレードのようでした。残念なことに一部の地域はとても危険な状況で、ニュースでも見ましたが衝撃的でした。

■ドナルド・トランプは事件発生当初は傍観し、後に差別や暴力を煽るような発言をまたしてもツイッターやメディアで繰り返しています。このことは世界的に報道されています。

A:彼や彼の支持者が合衆国に対して行なってきたことは悲しく、恥だと感じています。意図的に無視することや、悪意のある不寛容を賞揚し正当化することは容認できません。

■日本ではアーティストやセレブリティーの政治発言は敬遠される傾向があります。これは米国の状況とは異なると思いますが、アーティストが政治に言及することについてどう思われますか。

A:思うに、私は誰からも学ぶことができる……キム・カーダシアン(※著名なモデル)から何か学べるだろうか? わかりません。アートとアーティストは同じではないということを憶えておくのは大事だと思う。ヒーローに実際会ってみるとたいてい、幻滅しますからね。

■あなたは過去に何度か日本を訪れていますね?

A:日本は好きです。素晴らしい瞬間の記憶がたくさん残っています……舞踏の先生と一緒に踊ったり、新宿で道に迷ったり、新幹線でコーヒーとカツサンドを食べたりしたこと。福岡の小さなレストランで友人と“タクシードライバー”の酒を飲んだこと、日本の風呂、東京でカラスと歌ったこと、誰もいない山形のホテルのバーでマンハッタンを飲みながら雪が降ってくるのを眺めたこと、神社で節分のキャンディーをキャッチしたこと。こうした瞬間、というより、やはり人なんですよ。

■その“タクシードライバー”のお酒のラベルは知人のアートディレクター、映画ライターの高橋ヨシキさんによるデザインですよ。

A:そうなのか!? ワオ、それは最高だね。


 アキラ・ラブレーと音のやり取りをしていると──ピアノや弦の音が変調するように──生活時間は“歪み"、日常も“変異"していく一方、均質化された思考や審美性、価値観等は解体されていく。蝋燭の炎のように小さくゆらゆらと持続/変化する音が、現実を明るみに出していくような行程は「内」から「外」を求めつづけた暗澹たる日々の羅針盤のように作用した。パンデミック後、最初のメールではお互いの国のこと、見えている景色のこと、国政等々についてやり取りし、美味しいお茶の淹れ方を(何の脈絡も無く)教えていただいた。ソフトウェアやコードは書く人つくる人次第で、詩にもなるし、社会問題を提起することもできる。(ele-king booksから出版されている『ガール・コード』も是非ご参照ください。)私もC言語の勉強を再開しましたが……早くも挫折寸前です……。アキラ・ラブレーとの音の往来は、7月下旬リリース予定の染谷将太監督『まだここにいる』recomposed project に収蔵されています。詳細は適時こちらから(https://www.ecto.info/)

 

アキラ・ラブレー(Akira Rabelais)
テキサス南部で生まれ。作曲家、ソフトウエア設計者、著述家。ビル・ディクソンに作曲、および編曲を学び、カリフォルニア芸術大学では 電子音楽のリーダーであるモートン・スボトニックおよびトム・エルベに師事し修士を修める。幼少期、彼は農場を囲んでいた有刺鉄線を金属板に打ち付けることによって最初の楽器を作り出した。 その後、音や映像を巧みに歪めたりノイズ を加えるなどの操作ができる独自のソフトウェア「Argeïphontes Lyre」を開発。彼は自身のソフトウェアを書くことを詩を書くことになぞらえる。数あるフィルターは形骸化蘇生法、ダイナミックFM音源、時間領域 変異、そしてロブスターカドリールなど独特な言葉で綴られているように。

Akira Rabelais official http://www.akirarabelais.com/
bandcamp https://akirarabelais.bandcamp.com/

取材・文:渡邊琢磨(2020年6月23日)

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