「IO」と一致するもの

Riton & Kah-Lo - ele-king

 ナイジェリアといえば国外に出るとしたら、これまではイギリスと相場が決まっていたし、実際、世界最大のナイジェリアン・コミュニティはいまだイギリスにあり、ここからディジー・ラスカルやスケプタといった移民二世のビッグMCが出て来たことはよく知られている。ところが新たなトレンドを求めて方向性を変えたメジャー・レイザーの最新ミックス・テープ『Afrobeats』にフィーチャーされていたラッパーやプロデューサーの出身地を調べてみると圧倒的にナイジェリア出身者が多く、かつてジャマイカからイギリスへと渡っていたレゲエやダンスホールのMCたちが90年代以降はジャマイカからアメリカへと目的地を変えたことと同じことが現在のナイジェリアにも起きつつあることがよくわかる。そうしたナイジェリアのMCたちがアメリカで制作したラップ・アルバムを聴いてみると、ところどころでナイジェリアや汎アフリカ的な表現も挟まれているものの、やはりアメリカン・マナーに染まってしまうケースが大半で、目先が大きく変わっているのでなければ、だったらリル・ウェインやカレンシーの新作を聴いた方が……と僕などは思ってしまう。スーサイド・ボーイズとかね。
 クラインと同じくイギリスのクラブ・ミュージックに進路を定めたナイジェリア育ちのカー~ローことファリダ・セリキはそして、これまでにリトンことヘンリー・スミッソンと組んだ2枚のシングルでごく短期間に頭角を現し、早くも昨年のグラミー賞でベスト・ダンス・レコーディングスにノミネートされている。TVドラマ『13の理由』のプロデュースやSNSからの撤退で何かと話題のセレーナ・ゴメスが早くも「Back To You」のリミキサーに起用しているので、メジャーでの知名度も急速に高まり、もはや爆発寸前だろうというタイミングでアルバムもリリースされた。

 これまでリトン名義でしかアルバムをリリースしてこなかったスミッソンも今回は名義をリトン&カー~ローとしている。リトンは99年にデビューした古参のプロデューサーで、〈グランド・セントラル〉からのデビュー・アルバム『Beats Du Jour』では穏やかなダウンテンポ、キュアーをカヴァーした“Killing An Arab”ですぐにもエレクトロクラッシュに移行し、2008年にはアイネ・クライネ・ナハト・ムジークの名義でクラウトロックとハウスをクロスオーヴァーさせたアルバムを、以後はわかりやすいことにレーベルも〈エド・バンガー〉に移り、2010年代に入ってからはベース・ミュージックを取り入れたEP「Bad Guy Riri」やヴォーカルにメレカをフィーチャーした“ Inside My Head”で完全に迷走状態に入ったかに見えた。その直後にツイッターで知り合ったのが(同時期にニューヨークに住んでいた)カー~ローだったという。“Habib”など現在に通じる曲もなくはなかったスミッソンがカー~ローをフィーチャーした“Rinse & Repeat”はアフロビートを取り入れているわけでもないのに、微妙にテンポをずらす彼女の歌い方だけで、それまでとは驚くほどグルーヴ感の異なる曲となり、まさかのグラミー賞ノミネートへ突き進んでいく。続く“Betta Riddim”のプロダクションは明らかに彼女の歌い方を生かす方向に変化し、以後もtqdやフィット・オブ・ボディといった80Sガラージ・リヴァイヴァルと歩を揃えた“Money”からイナー・シティ“グッド・ライフ”をループさせた“Fasta”などスミッソンの作風も15年目にして一気に固まり、いままであるようでなかったヒップ・ハウスのアルバムに仕上がっていく。

 アルバム・タイトルはおそらくゼノフォビア(移民嫌悪)を念頭に置いた上で、「外国人の気分」を表すスワヒリ語のようで、カー~ローの歌詞も「覇気のある人はいないのか」と繰り返す“Ginger”やニューヨークやロンドンでの生活とナイジェリアでの暮らしを比較した“Immigration”などシンプルなものが多い。「みんな、お金が欲しい」とか「(未成年の)女の子も楽しみたい、飲みたい、フェイクI.D.を持って行こう」とか。そう、ラゴスのパーティ・カルチャーを曲に反映させるためにナイジェリアからゲストを何人か招いた曲もあり、ガヤガヤとした感じで曲は進む。カー~ローはすでにリトンとのプロジェクトとは別にハイチ出身のマイケル・ブラントとも“Spice”をリリースしている。ペース早いです。ちなみに彼女の声のせいか、多くの曲はどうしてもケロ・ケロ・ボニトを思わせるものがあり、妙な懐かしさもあるのだけれど、実際のケロ・ケロは新作となる3作目でパンク・ギターを全開にし、いわばパワー・ポップ路線を突き進んでいる。

interview with Yo La Tengo - ele-king

ストリートで行進している人びと、落胆している人びと、怯えている人びと。美しい風景とは真逆なんだ。

 暴動が起きている。静かに。それはあのチャイルディッシュな元実業家がいちばん「偉い」立場に座っているアメリカ合衆国はもちろんのこと、ここ日本でも、どこであろうとそういえるだろう。しかしその暴動は主に、例えばワッツ暴動や西成暴動のように怒号や流血を伴ったものではない(そういった暴動ももちろん起こるであろうことを否定しているわけではない)。おそらくいま起こっているそれは主に、内面における暴動である。
 我々はいま、どのような形にせよ、後期資本主義体制下における効率主義と各種マネージメント思想の跋扈により心身の疲弊に絶え間なく晒され、(俗流の理解では最後の聖域とされてきた)「内面」までもが徐々にその戦いの場に供出させられるようになっている。しかも明確に指弾できる誰かにそうさせられているわけでなく、主には我々自らがすすんで、だ。「やり甲斐」は労働の場における新たな付与価値となり、それが収奪されることで個々の内面は切り崩されていく。また、「思想」は分類され、マーケティングされ、その結果として再び商品化(特定の“クラスタ”向けに調味)され外から内面へとやってきて、思想の顔をして内面を牛耳る、といったように。
 こうした趨勢を好ましいと思う人はあまりいないと思うが、悔しいことに、こうした趨勢には火炎瓶の投擲では対抗することが難しい。なぜなら倒すべき「敵」が内面化してしまっているから。

 1971年、躍動する肉体を鼓舞するようなそれまでのロック調ファンクをかなぐり捨て、スライ&ファミリー・ストーンとその首領スライ・ストーンが、『There's A Riot Going On』(邦題:『暴動』)というタイトルの暗く内省的な作品で愛と平和の時代の終焉をあぶり出したことと、ヨ・ラ・テンゴという尊敬を集めるベテラン・オルタナティヴ・ロック・バンドが同名のタイトルを据えたアルバムをこの2018年にリリースをしたということに、何かロマンチックな関連性を見出さないでいられる音楽ファンはいないだろう。事実、以下のジェイムズ・マクニューに対するインタヴューでは明言が避けられているにせよ、その関連は認められているし、別のインタヴューで彼らは「なぜこのタイトルにしたかは皆それぞれに考えてほしい」とも言っている。

 おそらく本作はバンド史上もっとも儚げで、しとしととした、そして類まれに美しいアルバムだ。最大のアイドルであるヴェルヴェット・アンダーグラウンド由来のギター・ロックを基軸に、ディープなリスナーとしてつねに様々な音楽を吸収し、茫漠としたサイケデリック風景を呼び込むグルーミーな音像、そして極めてメロウな旋律と詩情が融合した世界を作り続けてきた彼らは、世界中に熱心なファンをたくさん生んできた。つねに身近な題材や内面を描いてきた彼らは、もしかするといま、各種のせめぎ合いの場が我々の内面にまで伸長していることを、敏感に察知しているのかもしれない。美しい音楽へと耽溺し、エスケープすることは誰にも止める権利はないし、ときにそうすべきときもあるだろう。けれど、エスケープする先たる我々の内面そのものが何者かによって(それにも増して我々自身によって)侵食/破壊されているのだとしたら。その侵食の脅威にハッと気づかせてくれ、我々を立ち上がらせるのは、このように美しく鎮かなヨ・ラ・テンゴの音楽こそが得意とするところなのかもしれないし、内面で起こりつつある「暴動」を静かに焚き付けてくれるのかもしれない。

 その真摯さゆえなのだろう、相変わらず質問をはぐらかそうとしているように見えるジェイムズ(ライターとしては困ってしまうが、ファンとしては妙に嬉しくもある……)だが、要するに彼はこう言いたいのではないか。「全ては君の解釈さ。解釈するその内面の自由を大事に」
すべての解釈をいたずらに肯定するのではなく、解釈が成り立つ場として、我々の内面を慈しむこと。来る3年ぶりの来日ツアーで、彼らがいまどんな演奏を我々の内面に届けてくれるか、とても楽しみだ。

※ 以下の電話インタヴューは、アルバム発売時におこなわれたものです。

音楽学校に行ったり、ミュージシャンになるためにプロからの教育を受けなくても、経験でそれができるようになったのはすごくありがたいことだったし、良い気分だった。

最新作『There's A Riot Going On』は、みなさんのこれまでのディスコグラフィーのなかでももっとも美しい作品の一枚だと思いました。今作のオフィシャル・インタヴューで、アルバムがリリースされるまでの「待つ時期」は辛い、とおっしゃっていましたが、それから開放されて、いまどんな心持ちでしょうか? 

ジェイムズ・マクニュー(James McNew、以下JM):ははは(笑)。でき上がってからリリースされるまでの期間は、なんとも言えない時間なんだ。皆が聴けるようになるまで、ただ待って、待って、待ちまくる。その期間は緊迫の毎日だから、アルバムがリリースされていまは本当にハッピーだし、ホッとしているよ。日本にも行けるしね。日本は好きだから、また訪日できるのが待ちきれないよ。

本作はみなさんの作品のなかでも、楽曲もサウンドもとりわけジェントルでメロウな印象を受けました。そのようなモードになったのはなぜなのでしょう?

JM:それは意識してそうなったわけではないから、僕たちに理由はわからない。あと、僕たち自身はあまりジェントルでメロウな作品とは感じていないんだ。レコーディングも緊張感に溢れていてまったくメロウではなかったし(笑)。アメリカでライヴをしたんだけど、ライヴ自体もすごく緊張感があった。だから、僕にとってはまったくリラックスの要素はなくて、どちらかと言えば張り詰めた感じのアルバムなんだ(笑)。

皆さんのレコードからは、ありし日の美しくも儚い情景がふと浮かんでくるような、記憶や風景を喚起させる力を感じます(そして今作ではその感覚をより強く感じます)。あなたたち自身でも、曲作りをおこなっている際や演奏している際に、そういった感覚を覚えることはありますか?

JM:それも、君がそれを感じるとすれば、たまたまそういった音楽になったということだと思う。前回のアルバムを除いては、僕らはアルバムの音楽の方向性を初めからわかっていたことがないんだよ。コンセプトを考えたことがなくてね。だから、今回もコンセプトはない。自分たちが特にそれを感じることはないけれど、君がそう感じてくれたなら僕らはハッピーだよ。リリースされたいま、音楽はリスナーのものだし、自分たちの音楽が人に何かを感じさせることができているなんて本当に嬉しい。でも、僕たちはそういう風景は感じないんだ(笑)。というのも、僕らがアルバムで歌っている内容は、そう言った風景とはまったく逆のものだからね。ストリートで行進している人びと、落胆している人びと、怯えている人びと。美しい風景とは真逆なんだ。

今回は元々サウンドトラック作品の制作がきっかけとなり、その流れでオリジナル・アルバムの制作へ入っていたっと伺いました。劇伴音楽の特徵たる「映像とともにある音楽」、そのような意識は今作にも受け継がれていると思いますか?

JM:この質問に答えるのは難しいな。自分たちの周りにあるものすべてが受け継がれているからイエスとも言えるし、かといってそれがどう受け継がれているのかは自分たちにもわからない(笑)。自分たちのライフすべてがインスピレーションだからね。でも、サウンドトラックのプロジェクトの流れでアルバム制作がはじまったのは事実。あれがうまく行ったからアルバム制作につながったとはいえるね。作業と曲作りがテンポよく進んだんだ。すごく良い勢いがついているところでムーヴィーのプロジェクトが終わってしまったから、ムーヴィーなしで自分たち自身のためだけの作品を作りはじめたんだよ。

今回のアルバムに限らず、映像のための音楽を作る経験から何か得たことはありますか?

JM:ムーヴィー用の音楽のために、2004年から徐々にニュージャージーにあるリハーサル場所みたいなところで作業してきて、そのときは、エンジニアもプロデューサーも雇わず、ずっと自分たちだけだったんだ。そこには小さなレコーディングのセットアップなんかがあるんだけど、徐々にその場所での作業が上手くなっていったし、そこでの居心地が良くなっていった。自分たちの楽器も全部そこにあるしね。そういう面では、そこで自分たちだけで作業するようになったのはムーヴィーの経験からだから、それがいちばん大きな影響かもしれない。自分たちだけでも作品が作れるということを、その経験から学んだんだ。30年以上の活動のなかで、まったく新しいやり方で作品ができたときはすごくエキサイティングだったよ。新しい経験だったし、自分たちがやりたいだけミスをすることができたし、すごくスリルがあって自由だった。それを感じることができるようになったのは、ムーヴィーのプロジェクトの経験を通してだね。

いまのインディ・ロック・シーンは、すごく良い状態だと思うね。良いバンドがいないとか、勢いが落ちてきていると言われてもいるけれど、自分が好きな音楽、バンドというのは、探し続けている限り必ず見つかると思うんだ。

前作『Fade』ではジョン・マッケンタイアがプロデュースを担当していました。今作はバンド自身のセルフ・プロデュース作です。「プロデュース」という言葉の定義はときに曖昧でもあるかと思うのですが、あなたたちにとって「レコードをプロデュースする」とはどういったことなのでしょうか?

JM:すごく自然。僕たちはプロデューサーでもエンジニアでもないけれど、何年もかけて、素晴らしいプロデューサーやエンジニアと一緒に作業してきて、多くを学んできた。ロジャー・ムジュノーやジョン・マッケンタイアたちは、僕たちに多くを教えてくれたんだ。今回も、わからないことがあったときはメールで教えてもらったりしたし(笑)。音楽学校に行ったり、ミュージシャンになるためにプロからの教育を受けなくても、経験でそれができるようになったのはすごくありがたいことだったし、良い気分だった。自分の頭のなかにあるアイディアをそのまま、かつどうにか表に出すというのは、直感的でもあったね。

今作は、スライ&ザ・ファミリーストーンの『暴動』(71年作)と同名であることが話題となっています。ご自身たちで思う、あのアルバムと今作の共通点と、また相違点は何だと思いますか?

JM:それは僕らにはわからない。自分たちとそのタイトルとの繋がり方と、スライとそのタイトルとの繋がり方は違うんじゃないかな。でも、感情的に、スピリチュアル的に何かコネクションがあるんじゃないかとは感じているよ。

音楽および社会的な面において、1971年と2018年に何か象徴的な共通点と、また異なった点があるとすれば、どんなことだと思いますか?

JM:どうだろう(笑)。もっと変わってくれていたらと思うけど、問題はまだまだ残っていて、その問題の数々は全然変わっていないと思う。解消されつつある部分もあるかもしれないけれど、状況は同じなんじゃないかな。

このような時代だからこそ声高にプロテストを叫ぶ流れもあるなかで、本作ではむしろ何気ない日々を慈しみ、それを丁寧に伝えようとするような印象を抱ききました。いまこの時代において、そうしたパーソナルなことを歌い続けていくことの意義というものがあるならば、どういったことだと思いますか?

JM:僕自身は、そこに違いは感じない。皆、自分が言いたいことを表現しているのは同じで、表現の仕方が違うだけだと思うよ。例えば(初期の)ボブ・ディランのようなやり方もあるし、僕自身はボブ・ディランも好きだし、表現方法や音楽との繋がり方に選択肢がたくさんあって、皆がそれぞれに混乱や自分たちの周りにあるものを表現しているんだと思う。

オルタナティヴ・ロックがシーンに登場してから長い年月が経ちました。80年代からつねにシーンの一線で活動を続けてきたみなさんの目からみて、現在のインディ・ロックのシーンの状況はどのように映りますか?

JM:すごく良いと思う。素晴らしい若いバンドがたくさんいるし、長年活動していて、いまだに、そしてさらに力強い音楽を作り続けているバンドもまだたくさんいる。それらのバンドが共存しているいまのインディ・ロック・シーンは、すごく良い状態だと思うね。僕自身が好きな音楽が溢れている。良いバンドがいないとか、勢いが落ちてきていると言われてもいるけれど、自分が好きな音楽、バンドというのは、探し続けている限り必ず見つかると思うんだ。

みなさんとも深い交流のある坂本慎太郎さんですが、みなさんの催促も届いたのか、ついに昨年からライヴ活動を再開しました。今回のツアーでも10/11の東京追加公演では対バン共演をされますね。彼との出会いによって与えられた影響というのは、今作にもどこかへ表れていたりするのでしょうか?

JM:彼がライヴ活動を再開して、僕は心から嬉しい。でも、面白い質問だけど、僕には彼との出会いの影響がどう反映されているかはわからない。彼の音楽は大好きだし、彼らと一緒に演奏ができたのは素晴らしい経験だった。すごくマジカルな瞬間だったし、坂本さんとは良い友情を築けているんだ。彼がまた音楽を作りはじめてライヴ活動をはじめたことが、本当に嬉しいよ。

ずっと自分たちのレコードもアナログでリリースし続けているから、あまり復権という感覚はないね。僕らにとって、レコードというものはすごく自然な存在なんだ。

交流のある坂本慎太郎さんやコーネリアスといったアーティスト以外に、近頃注目している、もしくはお好きな日本のアーティストがいれば教えてください。

JM:たくさんいすぎて、誰からはじめればいいか……日本のサイケデリック、エクスペリメンタル音楽、70年代の音楽がとくに好きなんだけど、はっぴいえんどは好きだね。あとは、細野晴臣、ボアダムス。彼らの音楽にはどれも独特のソウルがあって、彼らのような音楽はこの世にふたつとない。ヨ・ラ・テンゴは彼らからとてつもなく影響を受けているし、彼らは、僕たちがこれからも絶えることなくインスピレーションを受け続けるアーティストたちだね。

ここ日本でも、この10年ほどでインディ・シーンが成熟してきつつあり、あなたたちのように長い年月にわたって質の高い作品をリリースし続け、ライヴもおこない続けているバンドに対しリスペクトを持っている若いアーティストたちも多くいます。「バンドを続けていくこと」にはどんな喜びがあるのか、また続けていくにあたってのコツはなんでしょうか?

JM:わからないな(笑)。じつは、僕はあまりそれを考えたことがない。バンドを続けるということを意識していないんだ。僕らは、お互い3人が出会ったことがただただラッキーだと思っているし、自然に作業していくなかで達成感が感じられることを皆で続けているだけ。何がコツかはわからないけど、若いバンドの皆が自然体で自分たちの作りたい音楽を作り続けていってくれることを願っているよ(笑)。

ヘヴィな音楽リスナーでもあるみなさんに伺います。ここ日本でも現役バンドが新作をアナログ盤でリリースしたり、過去の埋もれた作品がヴァイナルでリイシューされたりすることが定着しつつあります。みなさん、レコード蒐集は続けていますか? また、データ~サブスクリプション配信時代におけるこうしたレコード文化の復権についてどんな思いを持っていますか?

JM:もちろん、レコードはいまだに集めている。自分たちは昔からずっとヴァイナルを買っているし、1993年からずっと自分たちのレコードもアナログでリリースし続けているから、あまり復権という感覚はないね。僕らにとって、レコードというものはすごく自然な存在なんだ。でも、ウォークマンやカセットプレイヤーを持ち歩いていた時代を考えると、iPodがやはり素晴らしいとも思う。移動中はよくCDボックスを持ち歩いてなくしたりもしていたけど(笑)、iPodだと、何千もの音楽をあんな小さいもののなかにすべて納めて持ち運ぶことができる。まさにミラクルだよ。

最近購入して、これは日本のファンにもぜひオススメしたい! という音楽作品(新譜旧譜問わず)があれば教えてください。

JM:ニューヨークのバンドで 75 Dollar Bill というバンドがいるんだけど、彼らの作品はオススメ。そのバンドはたまに2人だったり、たまに8人だったりするんだけれど、インストゥルメンタル音楽で、サウンドが本当に美しいんだ。彼らのような音楽は他にないと思う。すごく壮大な音楽だからぜひチェックしてみて。誰もが気にいると思うよ。

National Sawdust にておこなわれた Pitchfork Live の映像がアップされていますが、今後、今作の楽曲がライヴ演奏されていくにしたがい、本作収録曲たちはバンドにとってどんな存在になっていきそうでしょうか?

JM:まだツアーをはじめて2週間だからわからない。これから時間をかけてわかっていくんだろうね。これまで演奏した感じでは、すごく自然に感じているし、本当に楽しい。セットに新しい感情やサウンドが加わるのは、やはりエキサイティングだね。アルバムがリリースされ、みんなの前で演奏されていくことで、曲は成長し、変化していく。いまは、生まれたばかりの子どもを見守っている親みたいな感覚だな(笑)。

ありがとうございました。来日公演楽しみにしています!

JM:ありがとう! 僕たちも日本に行くのを楽しみにしているよ。

OGRE YOU ASSHOLE - ele-king

 OGRE YOU ASSHOLEが9月17日、東京・日比谷野外大音楽堂にて初のワンマン・ライヴを開催した。サウンド・エンジニアに佐々木幸生、サウンド・エフェクトには中村宗一郎(THE SOUND OF PEACE MUSIC STUDIO)というお馴染みのふたりを迎え、今回は複数のスピーカーを用いた「クアドラフォニック・サウンドシステム」を導入しての公演となった。

  • OGRE YOU ASSHOLE
  • OGRE YOU ASSHOLE
  • OGRE YOU ASSHOLE
  • OGRE YOU ASSHOLE
  • OGRE YOU ASSHOLE
  • OGRE YOU ASSHOLE
  • OGRE YOU ASSHOLE
  • OGRE YOU ASSHOLE
  • OGRE YOU ASSHOLE
  • OGRE YOU ASSHOLE
  • OGRE YOU ASSHOLE

 この日は朝からよく晴れ、思わず「オウガ日和!」とツイートしてしまうくらいの陽気だったのだが、昼過ぎから徐々に雲行きが怪しくなっていた。このところ、夕方になるとゲリラ豪雨も頻繁に勃発していたため、いざというときのためウィンドブレーカーをカバンに突っ込み野音へと向かう。今日は、サラウンド音響を存分に楽しむため、佐々木と中村が待機するPAブース付近で観ることに。定刻を20分ほど過ぎて、メンバー4人がステージに現れたときにはすでに上空に重たい雨雲が垂れ込めていた。

 まずはメンバー全員がアナログシンセに向かい、電子ノイズを思い思いに発信していく。それがステージ左右のスピーカーと、会場後方に設置された2台のスピーカーをグルグルと行き来する。その立体的なサウンドスケープに驚いていると、2011年のアルバム『homely』から“ロープ”で本編がスタートした。馬渕啓(Gt)による、宙を切り裂くようなファズギターが響き渡り、極限まで削ぎ落としたミニマルな勝浦隆嗣(Dr)と清水隆史(Ba)のリズム隊がそれを支える。続いてセルフ・タイトルのファースト・アルバムから“タニシ”を演奏した後、現時点では最新アルバムの『ハンドルを放す前に』から“頭の体操”。掴みどころのないコード進行の上で、まるで人を食ったような出戸学(Vo、Gt)の歌声が揺らめく。

 さらに、ダンサンブルな“ヘッドライト”、ピクシーズの“Here Comes Your Man”を彷彿とさせるオルタナ・ポップ・チューン“バランス”、3拍子の名曲“バックシート”と、旧作からの楽曲を披露。その間にも雨は降ったり止んだりを繰り返していたのだが、“ひとり乗り”を演奏する頃にはいよいよ本降りに。しかしほとんどのオーディエンスは、手早く雨具を取り出し動じることなくライヴに集中している。さすが。

 筆者ももちろんウィンドブレーカーを羽織ったが、強まる一方の雨のせいでチノパンはあっという間にぐしょ濡れ。関係者エリアは見る見るうちに人びとが退散していき、気づけば周りに誰もいなくなっていた。雨除けのフードを被ったものの、これだと四方八方に音が広がる「クアドラフォニック・サウンドシステム」の威力を100パーセントは楽しめない。そう思ってときおりフードを脱いでみるものの、ものすごい勢いで雨に打たれてすぐに被り直す。

 “ムダがないって素晴らしい”や、“素敵な予感”が演奏される頃には、雷鳴が響き渡るほどの土砂降りに。もはやサラウンド効果を体感することは諦め、フードを被ったまま滝のような雨に打たれて踊り狂っていた。“素敵な予感”では、オリジナル・ヴァージョンからオルタナティヴ・ヴァージョンへといつの間にか移り変わり、そのアブストラクトな音像が雨で乱反射する照明と混じり合う。豪雨によって周囲から遮断され、そんな幻想的な光景に没入し反復するリズムに身体を委ねているうちに、意識は完全にトランス状態となっていた。

  • OGRE YOU ASSHOLE
  • OGRE YOU ASSHOLE
  • OGRE YOU ASSHOLE
  • OGRE YOU ASSHOLE
  • OGRE YOU ASSHOLE
  • OGRE YOU ASSHOLE
  • OGRE YOU ASSHOLE
  • OGRE YOU ASSHOLE
  • OGRE YOU ASSHOLE
  • OGRE YOU ASSHOLE
  • OGRE YOU ASSHOLE

 ライヴはいよいよ終盤へ。トライバルなドラミングに出戸と馬渕のギターが絡み合う“フラッグ”は、引きずるようなテンポで焦らしに焦らし、出戸のシャウトと共にリズムがガラッと変わる。その瞬間、目の前の光景がグニャリと歪むような感覚に襲われた。後半、ヘヴィな展開ではまるで豪雨までも操っているかのように会場の空気を支配していく。その証拠に、“見えないルール” “ワイパー”で本編が終了する頃には、雨も野音から遠ざかっていたのだった。

 アンコールに登場した出戸が、「雨、やみましたね……。僕らが演奏しているときだけ降っていてすみません」と挨拶すると、会場から大きな笑いが起きた。そのまま“ロープ”のロング・ヴァージョンと、9月7日に配信リリースされた新曲“動物的/人間的”を演奏。平成最後の夏を名残惜しむような楽曲で、この日の公演は全て終了した。

 アンコール含め、新旧バランスよく並べた全16曲。これまでのオウガのキャリアを総括するようなこの日のライヴは、決して忘れられない体験となった。

HOLGER CZUKAY - ele-king

 ホルガー・シューカイ(80年代の日本の一部のファンのあいだではその知性と容姿ゆえにホルガー博士とも呼ばれていた)のソロ作品8タイトルがリイシューされる。

 それはつまりこういうこと。
 みんながそこは自由だと思っていた。ギターもLSDもみんな揃っていたから。が、しかし、その外側にはもっと広大な自由があることに気が付いているひとたちもいた。たとえ未熟であっても、いや、むしろ未熟だからこそ自由であることにもそのひとたちは気が付いていたし、いずれにせよ、その広大な自由を選んだ。これが俗にいうところのクラウトロックというもので、70年代前半のドイツのロックが70年代末から80年代初頭のポストパンクと同期したのも、お互いロックの外側の自由に貪欲だったからだった。ホルガー・シューカイはその中心人物のひとりである。
 それは最初から英米中心主義に意を唱えるモノでもあった。サンプリング・ミュージックの先駆的作品と言われる1969年の『カナクシス5』にはベトナムの民謡がミックスされているし、1979年のもっとも有名な人気作『ムーヴィーズ』に収録されたもっともヒットした曲“ペルシアン・ラヴ”にはイランの歌謡曲がカットインされている。ジョン・ハッセルとイーノの『第四世界』やトーキング・ヘッズの『リメイン・イン・ライト』あるいはイーノとバーンの『マイ・ライフ・イン・ブッシュ・オブ・ゴースト』のような作品は、ホルガー博士の(CAN時代の作品もふくめて)存在なくして語れない。
 周知のように、ホルガー・シューカイは、シュトックハウゼンの生徒だった。つまりは、厳密な理論と思想のうえから生まれた電子音楽の父のもとで学んでいる。が、彼はその厳密さを絶対的な自由に変換してしまった。マイルス・デイヴィスのジャズ・ロックとヨーロッパの前衛音楽とのあいだに回路を見つけてしまったし、そして明白な意味において「明日」の音楽を創造した。それは眉間にしわを寄せながら聴くような音楽ではない。基本的に、微笑みの音楽。
 CANやクラフトワークが古くならないように、ホルガー・シューカイが古くならないのはそういうわけだ。いま時代はようやく、かれらが出かけていった「外側の自由」に気が付いて、それをグローバル・ビートなどと呼んだりしている。
 ホルガー・シューカイ、ぜひ聴いて欲しい。

(※今回の再発、2種類のポスター・かレンダーやポストカードの特典があります。どうせなら、お店で買って特典もらってください。詳しくは→https://p-vine.jp/news/20180919-190000

●9月28日発売

PCD-24762

TECHNICAL SPACE COMPOSER'S CREW (aka Holger Czukay & Rolf Dammers) / Canaxis 5
1969年作品
このアルバムは80年代~90年代は聴くのが大変でした。82年にジャケ違いで再発されたもので聴いていたし、オリジナル盤は見たことがなかったです。エレクトロニック・ミュージックにおける重要作。

PCD-24763

HOLGER CZUKAY / Movies
1979年作品
“おー、神様、我らにお金をもっとください”というのが1曲目。ジャンルの境目を消していく、ユーモラスな音楽旅行の傑作。

PCD-24764

HOLGER CZUKAY / On The Way To The Peak Of Normal
1981年作品
ポストパンクとリンクしながらも離れていくナンセンス・ポップ・ロック・ダダイズム。

PCD-24765

HOLGER CZUKAY, JAH WOBBLE, JAKI LIEBEZEIT / Full Circle
1982年作品
まったく古びない(というかそのお手本のような)エディットが冴えている、ダビー・ダンス・トラックの“How Much Are They?”を聴くために買ってもソンしない。

●10月10日発売

PCD-24775

HOLGER CZUKAY / Der Osten Ist Rot
1984年作品
「東は赤」というタイトルで、つまり“東方紅”という中国の国歌で、作中にサンプリングされている。支離滅裂な作品だが、“フォト・ソング”は素晴らしい名曲。

PCD-24776

HOLGER CZUKAY / Rome Remains Rome
1987年作品
「ローマはローマのまま」。教会の聖歌や教皇の言葉のサンプリングをはじめ、“Sudentenland”でもそのサンプル技は冴える。“Hit Hit Flop Flop”のようなお馴染みのギャグも炸裂。

PCD-24777

HOLGER CZUKAY / Moving Pictures
1993年作品
過小評価されがちだがまるで晩年のフェリーニの映画を観ているような気持ちになれる佳作。年季が入ったコラージュとダウンテンポの“All Night Long”が最高。

PCD-24778

HOLGER CZUKAY / Radio Wave Surfer
1991年作品(ライヴ・アルバム)

----

【特製ポスターカレンダー特典対象店舗】

タワーレコード渋谷店
タワーレコード新宿店
タワーレコード秋葉原店
タワーレコード吉祥寺店
タワーレコード横浜ビブレ店
タワーレコード札幌PIVOT店
タワーレコード仙台パルコ店
タワーレコード名古屋パルコ店
タワーレコード梅田大阪マルビル店
ディスクユニオン各店


【タワーレコードオンライン特製ポストカード 】
タワーレコードオンライン

【 HMV&BOOKS online特製ポストカード】
HMV&BOOKS online

Blawan - ele-king

 かつてポスト・ダブステップと括られていたプロデューサーたちがどんどんテクノのほうへとスタイルを移行して久しい。2010年に〈Hessle Audio〉から登場したブラワンもそうした元ベース系/現在テクノ系を代表するひとり。今年は、行松陽介も絶賛したアルバム『Wet Will Always Dry』をリリース、やばいほどハマりにハマっているテクノ・サウンドを披露したばかりだ。
 そのブラウン、11月9日にVENTで開催されるElephantに出演。これは行くしかないでしょう。

Yuta Orisaka - ele-king

 10月3日にアルバム『平成』をリリースする折坂悠太(おりさかゆうた)、スケールのでかい新人──とはいってもここ数年アンダーグラウンドで活動している──だ。バンド・アンサンブルによるみごとな音楽性は、ラテン、アフロ、ジャズ、ヒップホップなどあらゆるスタイルを飲み込んで(いわゆるグローバル・ビートだ)、それは折坂悠太の「うた」と調和し、まるであたたかい海のように広がる。つまり人生には意味があり、それは冒険であるという、意気揚々とした感じがとても良い。

坂道を駆け下りる
この体に開かれた
世界を置き去りに
鳥のように駆け下りる
“坂道”

 本人はフランク・オーシャンにそうとう入れ込んでいるようだが、その影響は今作『平成』には見られない。むしろ、サンズ・オブ・ケメットめいたアフロ・ジャズからの影響があったりして、しかもそれがいかにも「アフロやりました」的な嫌らしさがないというか、自分たちのモノにしている。

 この度、アルバムの表題曲“平成”のミュージックビデオが公開となった。バンドの演奏に名古屋のトラックメイカー、RAMZAが手を加えた楽曲で、映像監督は寺尾紗穂やバレーボウイズなど手掛ける玉田伸太郎。

 ま、とにかく、名前は覚えておいてソンはない!

 なお、今回のリリースに伴い、全国6都市のタワーレコード店舗(名古屋パルコ店、梅田NU茶屋町店、新宿店、福岡パルコ店、広島店、仙台パルコ店)でのインストアライブが決定。

【リリース情報】

アーティスト:折坂悠太
タイトル:平成
リリース:2018年10月3日
定価:2500円+税
品番:ORSK-005

1. 坂道
2. 逢引
3. 平成
4. 揺れる
5. 旋毛からつま先
6. みーちゃん
7. 丑の刻ごうごう
8. 夜学
9. take 13
10. さびしさ
11. 光


【インストアライヴ情報】

全国6ヶ所の下記店舗にて観覧フリーの弾き語りライブ+サイン会を行います。

10/25(木)20:00~ TOWER RECORDS 梅田NU茶屋町店(6Fイベントスペース)
10/27(土)15:00~ TOWER RECORDS 名古屋パルコ店
11/2(金)21:00~ TOWER RECORDS 新宿店(7Fイベントスペース)
11/4(日)12:00~ TOWER RECORDS 福岡パルコ店
11/4(日)18:00~ TOWER RECORDS 広島店
11/16(金)19:00~ TOWER RECORDS 仙台パルコ店

ご予約者優先で対象店舗にて、2018年10月3日発売 折坂悠太「平成」(ORSK-005)をご購入頂いたお客様に先着でサイン会参加券を配布致します。イベント当日、サイン会参加券をお持ちのお客様は、弾き語りライブ終了後のサイン会にご参加いただけます。サイン会は商品にサインをさせていただきますので、当日、商品を忘れずにお持ち下さい。

【ライヴ情報】

折坂悠太 “平成” Release Tour

名古屋 11/22(木) 名古屋Live & Lounge Vio
open 18:30 / start 19:30 \3,000(前売り/1ドリンク別)
#052-936-6041(JAIL HOUSE)

大阪 11/24(土) 心斎橋CONPASS
open18:00/ start 19:00 ¥3,000(前売/1ドリンク別)
#06-6535-5569 (SMASH WEST)

東京12/2(日) SHIBUYA WWW
open18:00/ start 19:00 ¥3,300(前売/1ドリンク別)
#03-3444-6751 (SMASH)

※各公演ワンマン、特別ゲストあり


■一般販売
チケット発売中
名古屋: ぴあ(P:126-568)・e+(pre:8/24-27) ・ローソン(L:42980)
大阪: ぴあ(P:125-915)・e+(pre:8/22-26) ・ローソン(L:55628)
東京: ぴあ(P:125-936)・e+(pre:8/22-26) ・ローソン(L:71310)

お問合わせ:
SMASH:03-3444-6751 smash-jpn.com ,smash-mobile.com
JAILHOUSE:052-936-6041 jailhouse.jp

Laurel Halo with Eli Keszler - ele-king

 これは待望のニュースです。作品を出すたびにオリジナリティの限界を更新し、そのディスコグラフィすべてが重要作といっても過言ではない、まさに10年代を代表する電子音楽家のひとりとなったローレル・ヘイロー、先般も『Raw Silk Uncut Wood』という素晴らしいアルバムを届けてくれたばかりの彼女がこの年末、来日公演を開催します。12月6日(木)@東京UNIT、12月7日(金)@京都METRO。しかもこのツアーには、先日のOPNのMYRIAD公演でも来日したイーライ・ケスラー(こちらも10月に〈Shelter Press〉より新作『Stadium』をリリース予定)が帯同、日本からは日野浩志郎率いるgoat(東京)とMadeggこと小松千倫(京都)が参加します。これは見逃し厳禁ですね~。

Laurel Halo live with Eli Keszler Japan Tour 2018

■2018/12/06 (THU) UNIT, Tokyo
guest: goat

OPEN 18:30 START 19:30
ADV. 4,300yen (ドリンク代別途) 2018年10月6日 (土) ON SALE
チケットぴあ (Pコード: TBC)
ローソンチケット (Lコード:TBC)
e+ (https://bit.ly/2MoiI0i)
Clubberia
RA

■2018/12/07 (FRI) METRO, Kyoto
guest: Kazumichi Komatsu (Madegg)

OPEN 18:30 START 19:00
ADV. 4,000yen (ドリンク代別途) 2018年10月6日 (土) ON SALE
チケットぴあ (Pコード: 130-319)
ローソンチケット (Lコード: 55458)
e+ (https://bit.ly/2MoiI0i)

ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーとならぶ、現USアンダーグラウンドが生み出したエレクトロニック・ミュージックの鮮やかな特異点、ローレル・ヘイローが、NYより鬼才ドラマー/パーカッショニスト、イーライ・ケスラーを帯同してのライヴ、待望の来日公演が東京UNIT、京都METROにて決定! UKの名門〈hyperdub〉よりリリースされた、ディープな電子音とその歌声によって発露する柔らかなポップ・センスが溶け込む『Quarantine』(2012年)で世界的に大きく注目を集めた。一転して続く『Chance Of Rain』(2013年)や〈Honest Jon's〉からの「In Situ」(2015年)は、彼女のテクノ・アーティストとしての側面をくっきりと示す作品となった。そして2017年の『Dust』は、キュートなポップ・センスとエレクトロニクス~アヴァン・ミュージックが奇跡的な配分で同居した作品となり、多くのメディアでも年間ベストへと選出される作品となった。と、思えば最新作となる『Raw Silk Uncut Wood』では、初期のアンビエント・フィーリングをさらに増幅させつつ、フリー・ジャズや現代音楽などを飲み込んだ壮大な作品をリリース、まさにとどまることを知らないその才能の幅を見せつけている。こうした作品でのローレルとのコラボなどなどまさにひっぱりだこ、さらには自身もソロ・アーティストとして〈PAN〉や〈ESP Disk〉からもリリースするイーライ・ケスラー。ローレルとイーライのライヴはまさにいま、必見の内容と言えるだろう。そして東京UNITでは、イーライの来日時のセッションやGEISTへの参加も記憶に新しい、日野浩志郎(YPY)率いるgoat、京都METRO公演では、Madegg名義でハウス~アンビエント~ビート・ミュージックなどさまざまな領域で活動する小松千倫が登場する。(河村祐介)

■Laurel Halo (ローレル・ヘイロー)

重く、細かく切り刻まれた電子音楽は、ライヴ・パフォーマンスやDJ、アルバムやスコアの作曲まで、Laurel Haloの作品の中核を成している。ミシガン生まれ、現在はベルリンに在住する彼女は、ワイヤー・マガジンでアルバム・オブ・ザ・イヤーを獲得した2012年のデビューアルバム『Quarantine』をリリースしたロンドン拠点のレーベル〈Hyperdub〉を中心に作品を発表している。
2013年に〈Hyperdub〉からリリースした『Chance Of Rain』と〈Honest Jon's〉から2015年にリリースした「In Situ」の2枚のアルバムは、彼女の長期間に渡るツアー時期に制作され、全編インストゥルメンタルのアルバムであり、ライヴセットを発展させたハードウェアによるリズメロディックなダンスフロア向けの作品になっている。
2015年には日本のヴァーチャル・ポップスター、初音ミクとのコラボレーション・インスタレーション「Still Be Here」のサウンドトラックを手掛け、この作品は、2016年にベルリンのHaus der Kulturen der Weltで初演され、続いて2017年にロンドンのBarbicanでも披露された。
2017年に〈Hyperdub〉からリリースされた『Dust』は『Chance Of Rain』と「In Situ」でのハードウェアによるマシン・ファンクの美学と、緩やかかつ賑やかなソングライティングを組み合わせ、改めて多くの評論家/メディアから高い評価を得た。また本作は多数のコラボレーター(Eli Keszler、Julia Holter、Lafawndah、Kleinなど)のフィーチャリングも話題となった。
その後、Laurelはオランダのデザイン・グループMetahavenが制作した長編実験ドキュメンタリー『Possessed』のスコアを手掛け、2018年の最新のリリースはクラシカルなインストゥルメンタルを集めたミニLP『Raw Silk Uncut Wood』。アルバム『Dust』やデュオ・ライヴも定期的におこなっているコラボレーターのEli Keszlerとチェリスト、Oliver Coatesをフィーチャーしている。本作はパリ拠点の先鋭的レーベル〈Latency〉よりリリースされた。
またLaurelはマンスリーでロンドンのFM局、RinseにDJ MIXを提供している。

https://www.laurelhalo.com
https://soundcloud.com/laurelhalo

■Eli Keszler (イーライ・ケスラー)

ニューヨークを拠点とするアーティスト/作曲家/パーカッション奏者。音楽作品のみならず、インスタレーションやヴィジュアル・アート作品を手がける彼の多岐に渡る活動は、これまでにLincoln CenterやThe Kitchen、MoMa PS1、Victoria & Albert Museumなど主に欧米で発表され、注目を浴びてきた。これまでに〈Empty Editions〉、〈ESP Disk〉、〈PAN〉、そして自身のレーベル〈REL records〉からソロ作品をリリース。ニューイングランド音楽院を卒業し、オーケストラから依頼を受け楽曲を提供するなど作曲家としても高い評価を得る一方で、近年はRashad BeckerやLaurel Haloとのコラボレーション、Oneohtorix Point NeverのMYRIADプロジェクトへの参加など、奏者としても独自の色を放ち続けている。なお最新ソロアルバム『STADIUM』はSHELTER PRESSより今年10月にリリースされる。
https://www.elikeszler.com

■goat

以前はスタンダードなロック編成でありながら、ギター、ベース、そしてサックスさえもミュート音などを使ったパーカッシヴな演奏をし、12音階を極力外してハーモニクスを多様することによりいわゆるバンド・サウンドとは異なるサウンドを作り出していた。2017年よりメンバーと楽器を変更し、リズムが交差し共存しながらも続いていく、繰り返しのリズム・アプローチへの探求を深めていく作曲へとシフト。これまで〈HEADZ〉より1st album『NEW GAME』、2nd album『Rhythm & Sound』をCDリリースし、2018年にはその2枚のアルバムから選曲したLPを〈EM records〉よりリリースした。

HP: https://goatjp.com
Facebook: https://www.facebook.com/Goat-408629939245915/
SoundCloud: https://soundcloud.com/goatjapan
Twitter: https://twitter.com/goatJp

■Kazumichi Komatsu (Madegg)

16歳よりコンピューターを使った作曲をはじめる。これまでに〈flau〉〈Angoisse〉〈Manila〉 〈Institute〉〈Rest Now!〉などのレーベルより3枚のアルバム、複数のEPをリリース。池田良司、ティム・ヘッカー、ジュリア・ホルター、マーク・フェル、アルカなどのアーティストの来日公演をサポート。
自然や街のなかの様々な音をフィールドワークを通して採集し、それらの音素材をもとに抽象的なサウンドスケープを構築する。近年は局所的な環境や情報を反復することで非指向的な安定未満の状態へと変化させるようなアンビエント・ミュージックの実験をおこなっている。またクラウド・ネットワーク以降の現代的なメディア環境において詩(ミーム)の可能性を検証するインスタレーション作品をサウンドデザイン、コンポーズ、グラフィックデザイン、ポエトリーなどを基調に展開している。

OTHER MUSIC NYC MEETS DUM-DUM LLP - ele-king

 相変わらずライヴハウス・シーンでは暗躍している高円寺の音楽事務所「DUM-DUM LLP」がNYの伝説的レコードショップ「Other Music」と合同パーティーをやるらしいですよ。
 しかも、スペシャル・ゲストに来日中のヨ・ラ・テンゴがDJ SETでの出演という。日本勢からはimai、Nyantora、トリプルファイヤーの三組が出演します。また、「Other Music」のジェラルドさんもDJやります。
 「DUM-DUM LLP」から送られてきたメールによれば、このイベント「GET TOGETHER」とは、「単なるショーケース・ライヴではありません。ジャンル不問、様々な音楽体験やNYCの音楽シーンを熟知する彼らとダイレクトに情報交換したり音楽談義もできる 100% Openなコミュニケーションの場でもあります」とのことです。
 また、「当日イベントに参加したい日本在住のアーティストも募集しています。もし興味を持ってくれた方がいらっしゃれば、是非下記アドレスからエントリーしてください。よろしくお願いします」(https://prt.red/0/GETTOGETHER-CONTACT)
 だそうです!
 応募しよう!

●公演詳細

Other Music NYC meets DUM-DUM LLP「GET TOGETHER」
2018年10月12日(金)@新代田FEVER
OP/St18:00 (終電まで)

TICKET:前売・当日共通 ¥3000 ( 1D別)
メール予約;ticket1012@fever-popo.com
e+(28日より)https://sort.eplus.jp/sys/T1U14P0010843P006001P002274712P0030001
Peaticx; https://peatix.com/user/1005892/view

LINE UP:
SPECIAL GUEST: YO LA TENGO( DJ SET)
(Another Guy Called) Gerald - Other Music
imai
Nyantora
トリプルファイヤー
問い合わせ;新代田FEVER Tel:03-6304-7899 & https://www.dum-dum.tv/

●アザーミュージックとは?

アザーミュージックは、20年間、NYの音楽シーンの真ん中にいた、ユニークで、
通好みのするレコード屋だった。

1995年にオープンし、いつも発展し続ける、幅広い音楽にアプローチし、インディ、エレクトロニカ、ワールド、ジャズ、ヒップホップ、ダブ、フォーク、サイケデリア、モダンクラシック、アヴァンギャルドなどの、多種多様なジャンルを網羅していた。

ヴンパイア・ウィークエンドからニュートラル・ミルク・ホテル、DJシャドウ、マック・デマルコ、ナショナル、ボーズ・オブ・カナダ、ティナリウェン、ベル・アンド・セバスチャン、コートニー・バーネットまでの、沢山の若いアーティスト、ミュージシャンのキャリアを助け、セルジュ・ゲンズブール、フランソワ・ハルディ、カン、ノイ!、サン・ラ、ニック・ドレイク、ロドリゲス、ベティ・デイヴィスなどの、定番アーティストを、若いファンに対して、知名度をあげる大切な役割を果たした。

また、日本の音楽のチャンピオンで、ボアダムス、坂本慎太郎、ボリス、灰野敬二、DJクラッシュ、アシッド・マザー・テンプル、坂本龍一、コーネリアス、メルツバウ、ピチカート・ファイブ、トクマルシューゴ、ファンタスティック・プラスティック・マシーン、渚にてなどの、パフォーマンスをホストしたり、一緒に仕事をした。
ローリング・ストーン、ビルボード、ピッチフォーク、ニューヨーカー、タイムアウト、ステレオガム、ヴィレッジ・ヴォイス、ガーディアンなどのプレスで、世界の最も良いレコード屋として賞賛された。

2016年に20年の幕を閉じ、次の年にMoMA PA1で、カム・トゥギャザー・レーベル・フェア・アンド・ミュージック・フェスティバルを立ち上げ、世界中から、革新的で、ベストなレコード・レーベルを沢山招待し、レコード屋文化の新しい章を探索している。

For 20 years, Other Music was at the center of the New York City music scene, a unique, taste-making record store in the heart of that vibrant music city. The shop opened in 1995, with a broad and ever-evolving approach to music, embracing diverse sounds including indie, electronica, world, jazz, hip-hop, dub, folk, psychedelia, modern classical, avant-garde, and much more. Other Music helped launch the careers of many young artists, from Vampire Weekend to Neutral Milk Hotel, DJ Shadow, Mac DeMarco, The National, Boards of Canada, Tinariwen, Belle & Sebastian, Courtney Barnett, and many others. The shop also played a major role in raising the profile with young fans of classic artists like Serge Gainsbourg, Francoise Hardy, Can, Neu!, Sun Ra, Nick Drake, Rodriguez, Betty Davis, and others.

Other Music championed many Japanese artists over the years, hosting performances or working closely with Boredoms, Shintaro Sakamoto, Boris, Keiji Haino, DJ Krush, Acid Mothers Temple, Ryuichi Sakamoto, Cornelius, Merzbow, Pizzicato Five, Shugo Tokumaru, Fantastic Plastic Machine, Nagisa Ni Te, and many others.

The shop was lauded as one of the best record stores in the world by press outlets including Rolling Stone, Billboard, Pitchfork, The New Yorker, Time Out NY, Stereogum, The Village Voice, The Guardian, and many others. In 2016, after two decades, Other Music closed its doors. The following year, they launched the Come Together Label Fair and Music Festival, at MoMA PS1, bringing together many of the best and most innovative record labels from around the world, exploring the next phase of record store culture.

https://www.othermusic.com/

interview with Miss Red & The Bug - ele-king

 ミス・レッドとザ・バグは、トレンディなことをやろうなどという気はさらさらない。彼らはとにかく、キレッキレのライムとビートが欲しいだけ。ダンスホールでぶっ飛ばしたい、限界まで、まずはそれ。
 『K.O.』はそのヴィジュアルもサウンドも、いまどき珍しくアグレッシヴなアルバムだ。もちろんアンダーグラウンドではダンスホールは再評価/再解釈の兆しを見せている。ジャマイカのイキノックスがそうだし、Raimeのような暗黒系のプロデューサーもダンスホールのカセットを出したこともそうだし、ジャングルやグライムにはつねにその成分がミックスされている。
 ザ・バグのダンスホールはまた特殊だ。なにしろ最初はエイフェックス・ツインが関わっている〈Rephlex〉からのリリース。2003年のそのアルバム『Pressure』がダンスホールだった。以来彼はいろんなMCといっしょにラガ、ダブ、テクノの実験を続けている。そのなかにはUKが生んだ素晴らしい女性MC、ウォーリアー・クイーンと一緒にやった一連の12インチやフロウダンとキラー・Pをフィーチャーした「Ganja」のような忘れがたい名作もある。つまり『K.O.』は、彼のダンスホール歴の新たなる栄光の1ページとなるだろう。
 イスラエル出身の、あり得ない早口で、キレッキレの声をしたこのMCのアルバム『K.O.』は、数ヶ月前にリリースされると日本でも話題になった。そして9月の上旬、ベルリンのそれぞれ別の場所にいるミス・レッドことシャロン・スターン、ザ・バグことケヴィン・マーティンとスカイプ上で合流し、21世紀的な取材をした。

イスラエルのヤッファという場所の小さいパーティでDJをしたんだけど、人がパンパンで前日にやったライヴよりも盛り上がった。で、前の方で狂ったように踊っていた赤い髪の姉妹がいて、それがミス・レッドと彼女のお姉さんだった(笑)。そのクレイジーな姉妹のひとりが、俺がDJをしている最中に肩を叩いてきて、「私にもやらせろ」って言ってきたんだ。

まずおふたりの出会いについて、2011年テルアビブでケヴィンがDJをしたときに、ミス・レッドさんに出会ったと聞きましたが、そのときの様子を詳しく教えてください。

ケヴィン・マーティン(以下、KM):テルアビブに行った日に休みがあって、パーティに行った。その前日にバブでライヴをして、その翌日にDJを頼まれた。そのエリアはヤッファという場所で、小さいパーティでDJをしたんだけど、人がパンパンで前日にやったライヴよりもそっちの方が盛り上がっていた。で、前の方で狂ったように踊っていた赤い髪の姉妹がいて、それがミス・レッドと彼女のお姉さんだった(笑)。

シャロン・スターン(以下、SS):ハハハハ。

KM:そのクレイジーな姉妹のひとりが、俺がDJをしている最中に肩を叩いてきて、「私にもやらせろ」って言ってきたんだ。最初は「これは大丈夫か?」という感じで、普通はそういうことがあってもやらせないんだけれど、そのときは「ま、いいか」と思ってマイクを渡した。どうせ自分のライヴというよりもパーティという感じだったから、「まぁいいやちょっとやらせてやろう」みたいな感じでね。実際マイクを持たせてみたら、そのときの凄さにビックリして、すごかったね。いきなりイスラエルの真んなか、自分が知らない場所で、自分が探していたような高めのキーの声を持つ女の子に出会って、フローもバッチリで、ダンスホールみたいなジャマイカン・スタイルのMCで。自分が探し求めているようなMCに偶然出会ったことは自分でもビックリしているよ。しかもドープなだけじゃなくて攻撃的。

攻撃的ですよね。

KM:イスラエルの真んなかで出逢えるとは思っていなかったので、そういう出会いが自分には衝撃的だった。

イスラエルで生まれ育って、どのようにダンスホールや、レゲエというものと出会い、そしてなぜあなたはMCになったのでしょう?

SS:ダンスホールの音楽やスタイルがちょうど私に合っていた。ちょうど私の若い頃、ダンスホールのシーン自体がイスラエルで育っている時期だったし。友だちがサウンドシステムを持っていて、そういう影響もあってダンスホールの音楽を深く掘り下げるようになった。

ダンスホールのどのようなところが魅力だったんでしょうか?

SS:ダンスホールが持っている爆発的なエネルギー。スペースにすごくエネルギーを感じる。ダンスホールのリズムで使う周波数も。スペースといったのはリズムのなかのスペースという意味ではなくて、ダンスホールの雰囲気だったり、雰囲気が作るエネルギーだったり、攻撃的な感じだったり、そういうムードのこと。

イスラエルでダンスホールはポピュラーなものですか? それとも、マイナーでアンダーグラウンドなものなのでしょうか?

SS:いまはかなりポピュラーなポップ・ミュージックとしてイスラエルで盛り上がっているけど、10年前はすごくアンダーグラウンドだった。

2011年にケヴィンとミス・レッドさんが出会って、2015年に最初のアルバムをフリー・ダウンロードでリリースしましたが、それまでの間にはおふたりでどのようなやり取りがあったのですか?

KM:俺はそのときロンドンに住んでいた。「もしもシャロンがロンドンに移ってきたらもっとチャンスがあるし、一緒に何かできる機会が増えると思うんだけど」と彼女に言ったら、彼女はすぐこっちのヨーロッパによく来るようになった。で、彼女とアフター・パーティで出会った日、俺は彼女のことが気に入ったので、翌日一緒にレコーディングをしないかと誘ったんだ。アフター・パーティが終わったのは朝の4時。俺がスタジオを見つけられたのは朝の10時。で、「いまからレコーディングをしようぜ」と言ったら、彼女は全然やる気で、二日酔いでけっこうベロベロだったにも関わらず、無事にちゃんと時間通りに現れたよ。レコーディング自体も上手くいって、これを1回だけで終わりにしないで今後続けていったらもっと良いものができるかもしれないと話した。俺はロンドンに帰ったあと、「もしもシャロンがロンドンやヨーロッパに来るようになればもっとこういうことができるし、君にとっても面白い機会があるよ」と誘ったら、シャロンは「私行く!」という感じで。俺は彼女のそういう情熱がすごく気に入っている。

最初のアルバムはマーク・プリチャードやマムダンスも協力していますが、「こんな素晴らしMCがいるから一緒にやろうぜ」みたいな感じでケヴィンが声をかけて集まってきたんですか?

KM:最初にミックス・テープで使った曲というのは、もともと俺がシャロンにこういうスタイルで、こういう音楽で、こういうディレクションでMCをのっけてやったらすごくフューチャリスティックな新しい感じのものになるんじゃないかみたいなアイデアがあってやった。最初にマーク・プリチャードたちの音をシャロンに聴かせて、これはすごく新しいものができるし、これがやりたいディレクションのひとつなんだという話をした。シャロンもそのコンセプトやアイデアをすごく気に入ったよ。で、そのあと俺がマムダンスや各プロデューサーにコンタクトをとった。俺とミス・レッドがやった“Diss Mi Army”という曲を送って、こういう面白くてヤバいMCがいるから、トラックを使ってもらえるか? ってコンタクトをとったんだ。

ミス・レッドさんから見て、曲であったり、コンセプトであったり、ケヴィンがやっていることのどんなところが魅力的だと思いましたか?

SS:彼の音楽を聴いたことがあったし、さっき言ったミックス・テープみたいなコンセプトを元にプロダクションをスタートできることはめちゃくちゃエキサイティングだった。ダンスホールとはまた違った、新しくてあんまりないようなものをミックスしてやるなんて最高よね。それに、わたしはもともとケヴィンのプロダクションがすごく好きだったから。

今回の『K.O.』を聴いて、ケヴィンはダンスホールが好きなんだなとあらためて思いました。ザ・バグ名義で最初にだしたアルバム『Pressure』(2003年)の頃からすごく一貫したものがあって、それがアップデートされたかたちをやっているようなふうにも思ったのですが、ケヴィンはなぜダンスホールというものにこんなに長く強く惹かれ続けているのですか?

KM:『Pressure』のときは、ダンスホールを使って実験をする感じだった。ダンスホールのリズムを使ってフリーキーなことをするというね。Steely & Clevieが手掛けた“Street Sweeper”という曲があった。聴いたことがないようなリディムで、俺は当時かなりやられた。それが俺のスタート地点。そのリズムが作られたのは90年代だったけれど、超未来的な感じだった。ビートがスプリングする感じ、フロアで踊っている女の子のケツとリズムのスウィングがシンクロするような感じ、そういうちょっとワイルドなところも良かったし、とにかくリズムの未来的なところにやられたね。

“Street Sweeper”がきっかけだったんですね。

KM:そう。最初にダンスホールのリズムを使って実験したのはテクノ・アニマル時代だった。あるライヴの終盤、相方のジャスティンに「自分が最近作っているダンスホールのリズムをかけて良いか」って言って、それをかけたことがあった。テクノ・アニマルのお客さんというのは男ばかりでね、みんな髭が生えていて、フードを被っているような奴らなんだけど、連中はダンスホールのリズムがかかるといっせいにフロアの後ろにいってしまった。で、その代りに彼らのガールフレンドが前の方に来たと(笑)。みんなステージの上にあがって踊りだしたりとかして。ジャマイカン・スタイルというよりは、もっとアグレッシヴな感じだったけど、ダンスホールのスウィングする感じが女の子を躍らせるのにすごく重要ということにそのとき気付いたよ。

素晴らしい発見ですね。

KM:まったくな……で、あのころはDJスカッドという友だちがいて、彼が作った“Total Destruction”というトラックの上に Admiral Baileyのアカペラを載せている曲があった。俺の『Pressure』もノイズだけど、リズムがあって、ジャマイカMCが入っている。このアイデアは最初はその辺からきた。そのときDJスカッドに、「このアイデアを使って他のローカルの黒人のMCとかジャマイカのMCと一緒にやったらどうだ?」と言ったんだけど、彼は乗り気じゃなかった。このアイデアや方向性は面白いから、だったら俺がやったろうと、それで俺のダンスホールがはじまった。

[[SplitPage]]

アフター・パーティが4時くらいに終わって、俺がスタジオを見つけられたのは朝の10時くらいだった。で、「いまからレコーディングをしようぜ」と言ったら、彼女は全然やる気で、二日酔いでけっこうベロベロだったにも関わらず、無事にちゃんと時間通りに現れたよ。

ダンスホールはケヴィンにとって身近な音楽だったんですか?

KM:ああ。俺が20年前くらいにロンドンに住んでいたとき、北西のエリアに住んでいたひとは基本的にはジャマイカ移民のひとだったり、パキスタン人だったり、白人が少ないエリアだったから。そのころは家の周りにレコード屋がいっぱいあったんだけど、レコード屋はみんな黒人ばっかりで、売っているレコードはダンスホールばかり。そこにいつもレコードを買いに行った。で、俺以外ほかに白人が居ないから、レジに並ぶといつも自分がいちばん後回しにされた(苦笑)。そういう状況だった。毎週そのレコード屋に行くたびに、新しいリリースが山ほど入っている。新しいレコードといっても同じリズムに違うMCが乗っているものが10枚レコードにされていたりとか。で、彼らの言っている歌詞はセックスとか暴力とかばっかりで……。でもそういうところって基本的な人間のエネルギーだと思うから。とにかく、そういうレコード屋に通って、ダンスホールとかバッシュメントのリズムを毎週ディグっていたんだよ。

そういうダンスホールの姿勢には、あなたのルーツであるパンクとの共通点もありましたか?

KM:ダンスホールとの出会いやアティチュードはパンクだ。ただし、サウンドはパンクよりもさらに進んでいる。当時そういう音楽を望んでいたお客さんが毎リリース毎リリース、新しいもの新しいものを望んでいた。俺はそのころ音楽を作りはじめたばかりだから、どういうテクノロジーを使って音楽は作れるのかということが全然わからなかった。自分にとっては新しいエネルギーがあるようなパンクな音楽が、そのとき知らないテクノロジーで作られているということに関してサイエンス・フィクションな印象をすごく受けていた。

いまの話は『K.O.』にも繫がりますよね?

KM:いま話した経験や自分がショックを受けたことが今回のミス・レッド『K.O.』に繋がっている。過去何年かのダンスホールは俺にとってはすごくコマーシャルで面白くなかった。もともとダンスホールというものは新しいものをどんどんプッシュしていくような、いわばカッティング・エッジな音楽だったから。だからこそミス・レッドと一緒にそういうものを作っていこうとしたわけで、『K.O.』がある。

ミス・レッドさん、『K.O.』のリリックはあなたの経験からきていると思いますが、どんなことを言葉にしているのでしょうか?

SS:『K.O.』のメインのモチーフというのは自分が何を経験してきたのかということ。自分のバックグラウンドはジャマイカではなくて、イスラエル。だからジャマイカのリリックは書けないし、書く必要もない。基本的に過去何年間に自分に何が起きたのかということが歌詞のもとになっている。自分がイスラエルにいたときに、イスラエルで何が起きているかだったり、何が自分のことを自由にさせないか……、何が自分にとっての義務なのか……、わたしはそういう強制させられていることすべてをK.O.したい。全部自由に解き放ちたいということが、リリックの基本的なコンセプトというかテーマになっている。

ジャケットのスリーブアートワークになっているボクサーの写真はミス・レッドさんのおじいさんなんですよね。ホロコーストから逃れてモロッコで暮らしていたということですが、おじいさんの写真をジャケットにした理由は?

SS:レコーディングの最中におじいさんが亡くなった。それがこの写真を使った理由のひとつでもある。おじいさんから聞いた話だったり、私とおじいさんとの間の精神的な繋がりはすごく強い。おじいさんから聞いた話が私にとっての人生の支柱になっているし、すごく影響を受けている人物。

本当にボクサーだったんですね。

SS:彼はボクサーだった。おじいさんはユダヤ人で、もともとモロッコに住んでいたんだけど、モロッコにユダヤ人がいるということで精神的な迫害だったり、差別をうけていた。精神的にも戦っていかなければいかなかったし、ボクサーとしても戦うということで、肉体的にも精神的にも闘いを挑んでいて、そういうところは私にとって大きなインスピレーションだった。だからK.O.するというアルバムのジャケットにおじいさんの写真を使った。

日本から見て、あなたが生まれ育って生活していた状況というのはなかなか想像できないところがあります。どんなものだったのかということを教えてください。

SS:ハイファという街で育ったけど、他の街とはかなり違う街だった。私が生まれ育ったイスラエルのハイファという街は、アラブ人とユダヤ人がけっこうミックスしているところで、ハイファ以外の他の都市は、アラブ人や、パレスチナ人や、ユダヤ人が分割されている。人種だけではなくて宗教でも皆バラバラに住んでいて、例えばユダヤ教だったり、イスラム教だったり、キリスト教でもみんなバラバラに住んでいるわ。あとはアラブ人だったりユダヤ人だったり、すごいいろいろばらばらに皆が住んでいて、全然交わらない。でもハイファだけはそれが混ざって生活している、ミックスカルチャーな街ね。

ハイファは庶民的な街ですか?

SS:エルサレムに行ったりすると緊張感がすごいけど、ハイファはそんなことはない。フレンドリーで、みんなリラックスしている。

ミス・レッドさんの音楽にとって大切なものはなんだと思いますか?

SS:自分の心を自由にさせてくれたり、自分を解き放たせることができるということ。

ちょっと前にトランプがイスラエルの首都はエルサレムだと言って世界を混乱させていますが、その影響は『K.O.』のなかに入っているのでしょうか?

SS:トランプがクソみたいなことをする前から、イスラエルでは混乱だったり、殺人とかが起きていた。私にとってはそれが当たり前だった。自分がイスラエルのなかにいて、言いたいことだったり、言いたくても言えなかったこと、そういうことがアルバムにはある。自分が表現したいことができないというのはフラストレーションだった。だからわたしはヨーロッパに移住したんだし。

ケヴィンからみて、『K.O.』というアルバムは何を攻撃していると思いますか。

KM:基本的にひとの頭をこのアグレッシブさで爆発させる。この攻撃性というのは、人を傷つけるようなサド的な攻撃性ではなくて、人を照らすファイアーのようなものだ。ファイアーは人生であり、情熱だ。ジャマイカのダンスホール・スタイルをコピーして、同じようなことをやろうとするんじゃない。自分が辿ってきたポストパンクの道をダンスというものを使って、もっと未来のものを作っていきたい。最近は安全な音楽が世のなかに多すぎると思う。音楽は人びとにとって、いちばん最初にみんなを掴むものではなくなってしまっている。音楽の価値がすごく下がってしまっている。ビジネスのツールになってしまっているんじゃないのかな。『K.O.』はまずはとりあえずは楽しくて、電気が走るようなそういうヤバいものを作ろうって。とりあえずこれを聴いたときにみんなの頭がおかしくなるような(笑)。例えばデス・グリップスの最初の頃のライヴだったり、オウテカのライヴだったりとか、そういう生生しさ、それにタビーズのようなすごいプロデューサーが残したアイデアをミックスしたようなものを作りたいと思っていた。

言い足りないことがあったら最後にお願いします。

KM:台風で日本が大変なことになっていると聞いたので、心配しているんだ。

ありがとうございました。

KM&SS:アリガトウゴザイマス!

Damon Davis - ele-king

 石黒景太(1-Drink)が3回も足を運んだというので、近所だし、ゴードン・マッタ=クラーク展に行ってみたところ、平日からゴシャゴシャの混みようで、途中で体力が尽きてしまったこともあり、確かにもう一度行きたくなる内容ではあった。1970年代にニューヨークや世界の建物を切断する「ビルディング・カット」という作品(? 手法?)で知名度を得た芸術家で、ストリート・カルチャーという概念を逸早くスキーム化した存在である。ジェントリフィケイションの理論的支柱となったブロークン・ウインドウ理論(割れた窓をそのままにしておくと都市の治安が悪化するという考え方)どころか、マッタ=クラークはその遥か以前から窓を壊してまわっていたことも僕には興味深かった。石黒景太とはサウンド・デモを通じて東京のストリートには活気がないということを実感していた仲なので、彼がいたく感銘を受けたことも手に取るようにわかった。治安はいいけど痴漢が多い。東京オリンピックに向かって東京はどのように変貌するのか。この時期に日本で企画された展示の目的も明らかだった。

 マッタ=クラーク展も膨大だったけれど、同時期にセントルイスのザ・ルミナリーで行われたデイモン・デイヴィスの『ダーカー・ゴッズ(Darker Gods in the Garden of the Low-Hanging Heavens)』も大規模な展示だったようで、アフロ・シュールレアリストとして黒人文化の変容をテーマに掲げた同展示はブラックライヴスマターから生まれた初の芸術的成果と言えるものだろう。2014年にマイケル・ブラウンが警官に撃ち殺された「ファーガソン・アンレスト」を受けて「手を上げる」動作をモチーフとしたポスターの連作「オール・ハンズ・オン・デック(All Hands on Deck)」が彼の知名度を不動のものにし、さらには同事件を『フーズ・ストリーツ(Whose Streets?)』という映像作品へと発展させていく。その前後に創作された絵画や立体など多種多様な表現を一堂に会したものが『ダーカー・ゴッズ~』である(https://theluminaryarts.com/exhibitions/damon-davis)。

 ルーズスクリューズ(LooseScrewz)の名義で、セロニアス・クリプトナイトと共にスクリプツン・スクリューズ(Scriptz 'N Screwz)というヒップホップのユニットを組んでいたデイヴィスはそして、本人名義で『ダーカー・ゴッズ』のサウンドトラック・アルバムもリリース。これがかつてのヒップホップ・メソッドだけではなく、インダストリアルからコールド・ファンク、アフロ・ドラムやドローンまで、僕が勝手にブラック・エレクトロニカと呼んでいるテイストの作品となった。アルバムはメガドンナと名付けられた創造神が無から宇宙を作り出すイメージから始まり、白人がつくったギリシア神話などを覆しながら進められていく。そして、なんとも形容が難しいアフリカン・ミュージックを展開する“低く垂れ下がった天国の庭(the Garden of the Low-Hanging Heavens)”という曲名に象徴されるように全体的にはダークで、展覧会と同じく「新しい神話」を軸にオブスキュアでゴシックな世界観が貫かれていく。DJプレミアがエンターテインメント性を放棄したというか、ものの見事に抑制されたサウンド・メーキングは希望とも絶望ともつかないスタティックな気分に終始し、一方で、プリンス風の“I Just Want Cha”もあれば、エンディングでは少しばかり気分を解放的にしてみたり。ブラック・シュールレアリスムという手法は2009年に心理療法士のD・スコット・ミラーが提唱したものだそうで、その起源は1930年代のアフリカで起きた文学運動、ネグリチュードに遡るものだという。デイモン・デイヴィスは彼の作品を黒人社会にとってのセラピーとして機能させたいというニュアンスも語っている。

 ライアン・クーグラー監督『ブラック・パンサー』でも白人たちにその存在が気づかれなかったワカンダという国が想定されている。そのような場所が存在するというファンタジーがディアスポラという意識を捨てきれない黒人たちにとってセラピー効果があるとは随所で指摘されている通りである。それが大ヒットの要因だったのかどうかはわからないけれど、期せずして、なのか、同時多発的というのか、アフリカン=アメリカンの歴史を別な角度から再考するネグリチュードが2018年に出揃ったということは実に興味深い(ネグリチュードはちなみにクリオール思想によって批判されている)。また、ライアン・クーグラーが監督した『フルートベール駅で』がブラックライヴスマターのサウンドトラックをなしていたとは『バッド・フェミニスト』を書いたロクサーヌ・ゲイの指摘するところであり、そのロクサーヌ・ゲイが『ワールド・オブ・ワカンダ』の原作者だったりも。

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467