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HOLGER CZUKAY

HOLGER CZUKAY

──偉大なるホルガー・シューカイを回顧しよう

Oct 03,2018 UP

 ホルガー・シューカイ(80年代の日本の一部のファンのあいだではその知性と容姿ゆえにホルガー博士とも呼ばれていた)のソロ作品8タイトルがリイシューされる。

 それはつまりこういうこと。
 みんながそこは自由だと思っていた。ギターもLSDもみんな揃っていたから。が、しかし、その外側にはもっと広大な自由があることに気が付いているひとたちもいた。たとえ未熟であっても、いや、むしろ未熟だからこそ自由であることにもそのひとたちは気が付いていたし、いずれにせよ、その広大な自由を選んだ。これが俗にいうところのクラウトロックというもので、70年代前半のドイツのロックが70年代末から80年代初頭のポストパンクと同期したのも、お互いロックの外側の自由に貪欲だったからだった。ホルガー・シューカイはその中心人物のひとりである。
 それは最初から英米中心主義に意を唱えるモノでもあった。サンプリング・ミュージックの先駆的作品と言われる1969年の『カナクシス5』にはベトナムの民謡がミックスされているし、1979年のもっとも有名な人気作『ムーヴィーズ』に収録されたもっともヒットした曲“ペルシアン・ラヴ”にはイランの歌謡曲がカットインされている。ジョン・ハッセルとイーノの『第四世界』やトーキング・ヘッズの『リメイン・イン・ライト』あるいはイーノとバーンの『マイ・ライフ・イン・ブッシュ・オブ・ゴースト』のような作品は、ホルガー博士の(CAN時代の作品もふくめて)存在なくして語れない。
 周知のように、ホルガー・シューカイは、シュトックハウゼンの生徒だった。つまりは、厳密な理論と思想のうえから生まれた電子音楽の父のもとで学んでいる。が、彼はその厳密さを絶対的な自由に変換してしまった。マイルス・デイヴィスのジャズ・ロックとヨーロッパの前衛音楽とのあいだに回路を見つけてしまったし、そして明白な意味において「明日」の音楽を創造した。それは眉間にしわを寄せながら聴くような音楽ではない。基本的に、微笑みの音楽。
 CANやクラフトワークが古くならないように、ホルガー・シューカイが古くならないのはそういうわけだ。いま時代はようやく、かれらが出かけていった「外側の自由」に気が付いて、それをグローバル・ビートなどと呼んだりしている。
 ホルガー・シューカイ、ぜひ聴いて欲しい。

(※今回の再発、2種類のポスター・かレンダーやポストカードの特典があります。どうせなら、お店で買って特典もらってください。詳しくは→http://p-vine.jp/news/20180919-190000

●9月28日発売

PCD-24762

TECHNICAL SPACE COMPOSER'S CREW (aka Holger Czukay & Rolf Dammers) / Canaxis 5
1969年作品
このアルバムは80年代~90年代は聴くのが大変でした。82年にジャケ違いで再発されたもので聴いていたし、オリジナル盤は見たことがなかったです。エレクトロニック・ミュージックにおける重要作。

PCD-24763

HOLGER CZUKAY / Movies
1979年作品
“おー、神様、我らにお金をもっとください”というのが1曲目。ジャンルの境目を消していく、ユーモラスな音楽旅行の傑作。

PCD-24764

HOLGER CZUKAY / On The Way To The Peak Of Normal
1981年作品
ポストパンクとリンクしながらも離れていくナンセンス・ポップ・ロック・ダダイズム。

PCD-24765

HOLGER CZUKAY, JAH WOBBLE, JAKI LIEBEZEIT / Full Circle
1982年作品
まったく古びない(というかそのお手本のような)エディットが冴えている、ダビー・ダンス・トラックの“How Much Are They?”を聴くために買ってもソンしない。

●10月10日発売

PCD-24775

HOLGER CZUKAY / Der Osten Ist Rot
1984年作品
「東は赤」というタイトルで、つまり“東方紅”という中国の国歌で、作中にサンプリングされている。支離滅裂な作品だが、“フォト・ソング”は素晴らしい名曲。

PCD-24776

HOLGER CZUKAY / Rome Remains Rome
1987年作品
「ローマはローマのまま」。教会の聖歌や教皇の言葉のサンプリングをはじめ、“Sudentenland”でもそのサンプル技は冴える。“Hit Hit Flop Flop”のようなお馴染みのギャグも炸裂。

PCD-24777

HOLGER CZUKAY / Moving Pictures
1993年作品
過小評価されがちだがまるで晩年のフェリーニの映画を観ているような気持ちになれる佳作。年季が入ったコラージュとダウンテンポの“All Night Long”が最高。

PCD-24778

HOLGER CZUKAY / Radio Wave Surfer
1991年作品(ライヴ・アルバム)

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