「CE」と一致するもの

Shotahirama - ele-king

 ノイズが、グリッチが、サウンドが疾走している。ショータヒラマの音楽/音響を聴くと(というより聴覚に摂取すると)、その速度をありありと実感することができる。速度は、彼自身の鼓動や知覚、記憶の運動のようだし、同時に、この現代を生きている自分たちのリアリティのようでもある。破壊、粉砕、構築、速度。ビートは粉々に分解され、ノイズ・音響は超高速で接続される。これまでの事実が意味をなくし、新たな事実が増殖するように。そして音楽の反復性は有限の中に封じ込められ、一瞬の永遠が圧倒的な速度=強度のなか立ち現れるのだ。

 2014年のショータヒラマは、「速度」そのもののような活動を繰り広げてきた。『ポストパンク』『クラスター』『クランプダウン』『モダン・ラヴァース』などのアルバム4枚連続のリリースを敢行したのである。本作は、それらをすべて収めたボックスセットだ。まずは各アルバムについて簡単に述べておこう。

 ショータヒラマは2014年1月に自身のレーベル〈シグナルダダ〉からサード・アルバム『ポストパンク』をリリースする。清冽にして精密な電子音響作品であったファースト・アルバム『サッド・ヴァケイション』(2011)、セカンド・アルバム『ナイス・ドール・トゥー・トーク』(2012)を超える決定的なアルバムであった。ノイズ/グリッチが高速/高密度で展開し、新時代のノイズ/グリッチ・ミュージックの幕開けに相応しい傑作である。
 同年5月には、京都の電子音楽レーベル〈シュライン・ドット・ジェーピー〉のiTunes限定リリース・シリーズとして『クラスター』を発表した。電子ノイズが四方八方に炸裂するような強烈な作品である。芸術家・津田翔平による素晴らしいアートワークとの相乗効果もあり、イマジナティヴな作品に仕上がっていた。本ボックスも〈シュライン・ドット・ジェーピー〉からのリリースで、津田がアート・ディレクションを手がけている。

 翌6月にはマイクロダイエットとのスプリット盤『クランプダウン』を〈シグナルダダ〉からリリース。街中を包囲網に包むような、臨戦態勢を思わせる緊迫感に満ちた作品である。翌7月、カセット作品にして、初のドローン作品『モダン・ラヴァース』を福岡のカセット・レーベル〈ダエン〉から発表した。〈ダエン〉は、オヴァル、メルツバウ、イクエ・モリ、中村弘二(ニャントラ名義)、杉本圭一(フォーカラー名義)などのカセット作品を送り出しており、マニアから絶大な信頼を得ているレーベルだ。この『モダン・ラヴァース』は、音の粒が高速の粒子になり、そのまま線=千の持続的な音響になったかのような美しいドローン作品である。ちなみに『クラスター』と『モダン・ラヴァース』は本ボックスによって初CD化された。

 この4作を一気に聴き直してみると、彼のサウンドは電子音響でありながらも聴覚にアディクトするような「神経的」なものというよりは、肌に触れるヒリヒリとした感覚を想起させる「触覚的」なものだということがわかってくる。90年代末期から2000年代、〈メゴ〉以降に誕生したグリッチ・ノイズ・サウンドが偶発的なエラーを導入し、聴覚の神経性にアディクトするデジタル・パンクであるとするなら、ショータヒラマの発する電子ノイズやグリッチ・ノイズは、彼の鼓動やリズムと直結しているかのような肉体性を獲得しているように思えた。まさにポスト・デジタル・パンクといえよう。われわれ聴き手の肌や皮膚を直接的に刺激してくるような(電子ノイズの)触覚性。彼のトラックは低音が極端に少ないのだが、それは音響の空間性の確保し、サウンドの運動性を向上させることで、触覚性・肉体性を得るためではないかと勝手に考えてしまう(余談だが私は彼の痙攣し疾走するようなノイズとエレクトロニクスを聴くと、不意に阿部薫のサックスを思い出してしまう。もしくはアート・リンゼイのノイズ・ギターも)。
 
 デジタル・ノイズと肉体性を直結させるという新しい領域へと踏み込んだショータヒラマ。その2014年における驚愕のリリースは何を意味するのか。私は真夜中の世界からの闘争だったと(とりあえずは)仮定してみたい。2013年にリリースされたEP『ジャスト・ライク・ハニー』(DUCEREY ADA NEXINOとのスプリット盤)以降、アートワークの写真が夜の光景であったことを思い出してみよう。2011年の『サッド・ヴァイケション』と、2012年の『ナイス・ドール・トゥー・トーク』は、陽光が降り注ぐような写真であったのだから対照的である。たしかに、2011年にリリースされたユウ・ミヤシタとの『サッド・ヴァケイション・アゲイン』のアートワークは昼の光景とは思えないが、しかし2013年以降のアルバム・EPのほとんどが夜の意匠を纏っていることは紛れもない事実である。

 では、なぜ彼は真夜中の世界を選択したのか。それは昼という穏やかで安定した世界が、もう終わってしまったと実感したからとは考えられないか。夜は不可視のモノたちが蠢く世界である。闇は視界を遮るが、そのぶん、音たちの存在感は増してくる。つまり音楽とは本来、夜の世界に属するものだ。ショータヒラマは夜のストリートに蠢くサウンドの群れを、電子音響によってリ・スキャンしマッピングするようにコンポジションする。音の光景は、高速でグリッチするように変化し、聴き手の肌を夜風のようにすばやく触れて走り去っていくだろう。破壊、粉砕、構築、速度。こうして音たちは解凍/解放される。となれば、これは(世界との/からの)闘争=逃走の音だ。

 同時に彼は「愛」の人でもある。ジャケットのアートワークで佇む女性たちの姿を思い出してみよう。それは闘争=逃走の向こうにいる女性たちの姿だろうか(いわば未来の「娘」たち?)。
 ゆえに私はショータヒラマの作品に、闘争と愛という二面性を聴く。いわば「ラヴァーズ・ノイズ」。その愛こそが、ヒリヒリするような皮膚感覚の音響で現在を疾走するショータヒラマの「未来への希望」なのかもしれない。思えば、2014年のラスト・リリースは『モダン・モヴァーズ』と名づけられていた(もっとも彼の作品のタイトルはほとんど引用であるのだが、大切なことは何を、どう引用しているかという点である)。この美しいドローン作品は、いわばドローン/ノイズによるコーダといえよう。そして『モダン・ラヴァース』はその曲名にも記されているように(ワールド・トレード・センターのエレベーター・ミュージック?)、9.11の記憶が刻印されている。声のない哀歌として。声を喪失したラブソングとして。音響のコーダとして。終わりからはじまるアリアとして。となれば、この曲もまた闘争と愛の幕開けだったのではないか。

 2015年。疾走は継続している。2月、ニューアルバムがリリースされるのだ。その名は『スティフ・キトゥンズ』(!)。私はこの新作をプレビューで聴いたのだが、ノイズが、リズムが、音響が、極限まで解体/再構築されており、途方もない速度でサウンドが疾走していた。そこは音響のゼロ地点であり、闘争のゼロ地点ですらあった。音の蠢きはさらに圧縮/解凍され、新しい闘争と愛が同時に世界に解放されていく。しかもジャケットには夜から早朝(もしくは夕焼け)の光景も! ショータヒラマの闘争と愛はつづく。それは同時に私たちの闘争であり、愛の選択でもある。聴くしかない。

interview with Future Brown - ele-king


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 アンダーグラウンド・スーパーグループ? ホントかよ? いかにもハイプな称号に思えるが、フューチャー・ブラウンはたしかにアンダーグラウンド・スーパーグループだ。欧米メディアはもちろんのこと、僕のまわりでも昨年末から「12インチ聴いた?」とか「アルバムどうだった?」とか、なにかと話題になっている。「アルバムよりシングルのほうが良かったんじゃない?」とか、「でも、よくよく聴いたら良かった」とか、FKAツイッグスのときに似ているかもしれない。
 メンバーは、ファティマ・アル・カディリ(クウェート出身で、昨年ハイパーダブからアルバム・デビュー)、ダニエル・ピニーダ&アスマ・マルーフ(LAを拠点とするイングズングスのふたり組。ナイト・スラッグス一派)、Jクッシュ(シカゴのジューク天才児、ラシャドの作品で知られる〈Lit City Trax〉主宰)の4人。ね、スーパーグループでしょ?

 いまアンダーグラウンドがどこにあるのか、それがレッドブルでないことは『vol.15』に書いたけれど、ひとつは確実にインターネット空間にある。ポルノのことではない。たとえば、我々は液晶画面の向こう側に見えるワールド・ミュージックを知っている。サイバーな探索旅行を通してアクセスするワールド・ミュージックだ。イラクの音楽も南アフリカのバカルディもアンゴラのクォドロも、もちろんプエルトリコのレゲトンだって、なんだって聴ける。エジプトのシャアビも、シカゴのドリルも、なんだって。
 フューチャー・ブラウンは、まさにそんな時代を反映している。世界中のビートに影響を受けて、世界中にアクセスしている……といったら大袈裟だが、イメージとしてはそうなる。ディアスポラ音楽、ハイブリッドという言葉は、従来は、USの黒人音楽ないしはラテン音楽における文化的衝突に象徴されるものだったが、フューチャー・ブラウンを聴いていると、インターネット時代における「ワールド」を意味するものへと変わりゆくんじゃないかと思えてくる。
 もちろん、なんでもかんでもあるわけじゃないけど。フューチャー・ブラウンの基盤にあるのは、おそらく……UKのグライムとシカゴのジュークだろう。
 以下、4人揃ってのインタヴュー。

 F=ファティマ
 J=ジェイミー (J-クッシュ)
 D=ダニエル
 A=アスマ

 4人とも、自分の言いたいことを言ってくれたおかげで面白い取材になった。ちなみに、UKでは2014年はグライムの「セカンド・カミング」と言われたほど、ディジー・ラスカルのデビュー以来の、グライム熱が高まった1年だった。インターネット時代のグライム、ディアポラ音楽としてのグライム、ハイブリッド・ミュージックとしてのグライムを代表するのが、この若さとエネルギーに満ち満ちた4人組なのである。

外交上、丁寧な物の言い方をしましょう。文章でも何でも、積極的に誰かをディスすることはしたくないわ。私たちはディプロのことは好きじゃない。それだけ。

このプロジェクトは、世界中のアンダーグラウンド・シーン/ローカルなダンス・ミュージックにコネクトしながら、ハイブリッドな音楽を創出するものだと思います。メンバー4人もNY、シカゴ、LA、レーベルはロンドンとそれぞれ距離的に離れていてながら、ひとつにまとまっている点も現代的だと思います。そもそも、このコンセプトはどのように生まれたのですか? 

F:メンバー同士が、一緒に音楽を作っていたけれど、グループとしてではなかった。つまり、ダニエルはアスマと音楽を作っていたし、私はジェイミーと音楽を作っていたし、私はアスマとも音楽を作っていた。そんな状況で仕事をするのはまったく効率的じゃないと思ってグループで仕事をすることにした。

レーベルの資料によれば「グライムの進化型」をファティマさんが描いたことが発端となったそうですが、我々としては、そうだとしたら、なぜ「グライム」という言葉を使ったのか、気になりました。

F:それは本当じゃない! 悪いけど、嘘だわ。全然本当じゃない(爆笑)! ワオ、誰がそんなこと言ったの!? クレイジーだわ。

J:グライムの進化型??

F:そんな表現は聞いたこともないわ!

J:ひととつだけ言いたい、それは……

F:幻想よ。

J:矛盾してるときって何て言うんだっけ?

F:知らない。

通訳:Oxymoron(=矛盾表現)でしょうか?

J:そう! 「グライムの進化型」って表現はoxymoron(矛盾表現)だ! グライムとは、その当時、盛んだった音楽だ。そのシーンを経験した奴じゃなければグライムは作れない。それを、よりスマートなグライムとか、グライムの進化型と表現するのは屈辱に近い。だって、歴史的実例をひっくり返して、進化型と称してるんだぜ。過去のレイアウトを使ってるくせに進化型と呼ぶのは、どうかと思う。

F:「グライムの進化型」という考えを描いたことは一度もないわ。今後もそういうことはないと思う(笑)。

J:グライムが自由な音楽だということを前提で、そういう表現を使ったなら少しは理解できる。俺たちも自由な音楽を作っているから。

A:なんて訊かれたの?

J:フューチャー・ブラウンは、ファティマが「グライムの進化型」を描いたことが発端か?

F:(笑)とにかく、それは全くの嘘よ。

いちばん最初にサウンドクラウドに“Wanna Party”を公開したのが2013年ですよね? それから2年後のアルバムとなったわけですが、プロジェクトのコンセプトや脚本は、最初からある程度決まっていたのですか?

F:ええ。“Wanna Party”をネット上で公開したときから、アルバムに収録された曲のインスト版がすでに出来上がっていたの。

J:あの時点で、ヴォーカルに関しては半分くらいが出来上がってたよな。

A:グループとして何がやりたいのかというのはわかっていたわ。

J:このプロジェクトをはじめた当初から、ヴォーカリストのためにビートを作りたいと思ってた。

そもそもこの4人はどうやって知り合ったのですか?

J:音楽活動を通じてだよ。ニューヨークで。

D:ああ。

J:シェインとヴィーナスが、ゲットーゴシックというパーティを毎週やっていて、そのパーティでプレイするために、イングズングズが隔月でNYに来ていた。俺もけっこう頻繁に、そのパーティでプレイしていた。そこで俺たちは、音楽の趣味が似ているなとお互い感じた。ファティマもこのパーティによく来ていたから、みんなでよく一緒にいた。そこで意気投合したんだ。でもアスマとファティマはそれ以前から知り合いだったのかな? よく知らないけど。

今回のプロジェクトが生まれる上で、もっとも重要だった4人の共通項って何だったのでしょうか?

A:音楽を愛していること。

F:私たちの音楽の趣味というのはかなり同系だと言えるわ。それがもっとも重要な事だったと思う。同じような音楽が好きだとコラボレーションも容易にできる。それに、お互いが、各自の安心領域から、出なきゃいけなくなるような流れになるの。他の人と一緒に仕事をすると、自分の安心領域から出ざるを得なくなるから、とても良いチャレンジになっているわ。

J:自分がいままでやったことのないことをやるようにと、追い込んでくれるのは、このメンバーが一番ハードにやってくれる。あと、新しいことを学んだりするのも、こいつらと一緒のときが多い。誰かがクールなことをして、それがインスピレーションになり、自分もそれに影響されて何かをやってみたくなるんだ。俺たちが一緒に音楽を作るときは、すごく楽しいエネルギーが充満してるよ。

ファッション・ブランドの「HBA(フッド・バイ・エア)」があなたがたをバックアップしたそうですが、どんなブランドなのですか?

F:フッド・バイ・エアのデザイナー、シェイン・オリバーとは長年の友だちだった。彼がフッド・バイ・エアを立ち上げる前からよ。だから、昔からの友だちがある日突然、有名デザイナーになったという感じ。私たちはお互いの作品のファンでもあるわ。

J: ファティマは、シェインと6年くらい仕事をしてたんだよな? フッド・バイ・エアの音楽を何シーズンもやっていたよな? それから……

F:そんなに何シーズンもやっていないけど。フッド・バイ・エアの音楽を頼まれたことは何度かあった。それから、私とシェインは2008年に音楽プロジェクトを一緒にやった。だから長い間、一緒に仕事をしていることになるわね。でも、それより大事なのは、私たちがそれ以前から友だちだったということよ。

それでは、アルカもそのブランドと繋がっているそうですね。

J:アルカは俺たちの友だちだよ。

F:そう、彼も友だちなの。フッド・バイ・エアは友だちとしか仕事をしないブランドなの。ファミリー志向が強いブランドよ。フッド・バイ・エアが仕事相手に選ぶ人やサポートする人というのは、フッド・バイ・エアと長い間、友だちだった人、親しい間柄の人だということ。

アルカも、自分のバックボーンにはチャンガトゥキ(Changa Tuki)という地元ヴェネズエラの音楽を持ちながら、インターネット時代らしく、国境を越えていろいろな文化にアクセスし、ハイブリッドな音楽を作っていますよね。そういう姿勢には、やはり、共感するところはありますか?

J:俺たちはコンセプトを思い付いて音楽を作っているわけではない。俺たちの曲は、コンセプチュアルな作品ではないんだ。

F:でも、訊きたいのは、インスピレーションについてよね? アルカは地元の音楽にインスピレーションを得て音楽を作っているけど、私たちはどうか、ということよね? 私の場合、クウェートの民族音楽にインスピレーションを得てフューチャー・ブラウンの音楽制作に影響を与えているか? ということよね。アスマの場合、インドの民族音楽にインスピレーションを得てフューチャー・ブラウンの制作に影響しているか? ということ。

D:俺は、インドの民族音楽に、すごいインスピレーションを受けてるよ!

A:私もインドの音楽からインスパイアされているわ!

F:でも、それがフューチャー・ブラウンの制作に影響している?

A:直に繋がっているわけではないけれど……

J:意識している部分はあるということか。

A:むしろ、無意識に、影響として表れてくるんだと思う。自分の耳にどう聴こえるか、というような影響。私がインド人だからこそ、ある種の音に魅力される影響とか。そんな感じのこと。

F:直接的な影響と間接的な影響があると思う。ひとりが回答するインタヴューなら、まとまった答えができるけど、私たちは4人だから、回答も難しくなってしまうわ。

A:でも、私たちはみんな……

F:私たちはみんな、様々な音楽にインスピレーションを受けている。それがたとえ地元でも地元じゃなくても。

A:その通り! たとえば、私たちは、イラクの曲の構成にインスピレーションを受けたりする。別に私たちがその場所の出身でなくてもインスピレーションを受けるわ。だって、私はレゲトンやダンスホールにも強いインスピレーションを受けるもの。

J:俺たちの出身がどこかというのはとくに関係ないと思う。むしろ、何を経験して聴いてきたかということや、どんな響きに愛着を感じるかということの方が大きい。そういうものが影響して、俺たちが作ったものが出来上がった。

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例えば、私たちは、イラクの曲の構成にインスピレーションを受けたりする。別に私たちがその場所の出身でなくてもインスピレーションを受けるわ。だって、私はレゲトンやダンスホールにも強いインスピレーションを受けるもの。


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みなさん、ふだんはネットでやり取りしていると思うのですが、4人揃うことって、やはり大変ですか? 

J:そんなに大変じゃないよ。

A:計画は必要ね。

F:そう、前もって計画するだけよ。

フィーチャリングされているラッパーやシンガーもいろんな人がいますが、レコーディングはスタジオでおこなわれたそうですね。そこはこだわったんですか? よくあるデータ交換ではなく、あくまでもリアルな現場を共有しながら作るんだということに。

J:それは、実際のところ、全てがその過程でおこなわれたわけではなかった。スタジオでレコーディングをやったのは50%ほどで、残りの50%は俺たちがいないスタジオでレコーディングされ、ファイルが送られてきた。

A:でもたしかに、スタジオに入ってリアルな現場で音楽を作るというのは私たちにとって大事なことだわ。可能な限りそうしたいと思っている。

F:毎回、可能というわけではないから。

A:そうなの。

J:距離的、金銭的な限界がある。

実際は、どんな風に作品が生まれていったのでしょう? 4人で話ながら作っていくんですか?

F:スタジオに入って(笑)、ワニを呼んで、象の鼻を引っ張って(爆笑)、フレンチブルドッグのお腹をさすって……まあ、とにかく……創造する過程は個人的なものだから、それを説明すると、その魔法が解けてしまう気がするの。

J:みんなでスタジオに入る。みんな、一緒に仕事ができることにワクワクしている。誰かがアイデアを出して作業が始まり、そこから作り上げていく。

A:曲の作り方はそれぞれ違うわ。決まった作曲方法があるわけではないの。アルバムの曲を聴けば、それが分かると思う。

〈ワープ〉と契約したいきさつについて教えて下さい。

J:〈ワープ〉が俺たちの音楽を聴いて気に入ってくれた。そこで契約について話し合い、契約がまとまっただけだ。音楽面では、自分たちがコントロールできるような状況を与えてくれた。〈ワープ〉は、俺たちにとって一番フィットするレーベルだった。

D:俺たちがどんな音楽を作るか、ということに関して〈ワープ〉は、とくに指示を出さなかった。だから自由にできた。

フューチャー・ブラウンのような音楽は、アメリカよりも欧州のほうがウケが良いですか?

D:それはマジでわからないな。まだアルバムを出してないから。

F:そうよ、まだアルバムはリリースされてないのよ。

J:正直言って、俺は、メディアが書いているものをあまり読んでない。

通訳:では、ライヴの反応はいかがでしょうか? アメリカでライブはやりましたよね?

D:えーと、ああ。やったことあるね。

F:ええ。

J:アメリカでライヴってやったっけ?

D:PAMM(マイアミ美術館)とかPS1とか。

J:それはパフォーマンスだろ。

D:最高だったよな。だから、アメリカでの反応もすごく良かったよ!

F:いままでやったライヴでは、観客はみんなノリノリで楽しんでいたわ。でも、アメリカとヨーロッパで反応の違いというものは、とくに感じていない。

J:アメリカはひとつの国だけど、ヨーロッパは幾つもの国を指す。ヨーロッパの方が何カ国でもプレイする機会は多いわけだけど、それが果たして、ヨーロッパの方が受けが良いからなのかというのはわからない。

F:物事を一般的に捉えて答えるべきではないと思う。

J:アルバムには、いくつものサウンドが含まれている。アメリカにインスピレーションを受けた曲や、ヨーロッパにインスピレーションを受けた曲。他にもいろいろあるから、それをひと言でまとめるのはムリだ。

みなさんは、たとえば、エイフェックス・ツインやオウテカのような、〈ワープ〉の古株のアーティストの作品を聴きますか?

J:俺は聴いたことはあるよ。

F:私も。ティーネイジャーのときに聴いていたわ。

D:俺も昔、聴いていた。新作ももちろん聴いたよ。

プロジェクト名にある「ブラウン」は何を意味するのでしょうか? 

F:「フューチャー・ブラウン」という名前全体が……

J:「ブラウン」単体の意味というのは無い。

F:そう、「ブラウン」には何の意味も無いわよ。

J:前もそんな話になったよな。ま、いいけど。

F:「フューチャー・ブラウン」とは、(DISマガジンの)ソロモン・チェイスが思い付いた言葉で、それは、自然界に存在しない茶色なの。

“Wanna Party”や1曲目の“Room 302”でフィーチャーされているティンクについてご紹介ください。かなりの評判のシンガーだそうですね。

J: 彼女と制作をはじめたのは……

F:2013年5月。

J: 本当に意欲のある人。彼女と話してみると、彼女がどれだけ音楽に情熱を持っているかということがすぐに分かる。彼女にデモをいくつか聴かせたら、彼女は4時間以内に2曲分の歌詞を書いた。そして、撮り直しなど一切せずにそれらの曲を完成させた。正直言って新鮮だったよ。あれほど完璧な体験は、そう頻繁に起こるもんじゃない。最高の仕事相手だったよ。

F:まさに神童ね。素晴らしい才能に恵まれている。

J: ヴォーカリストはみんな意欲的で、一生懸命、俺たちのビートに乗っかってきてくれたから、俺たちはヴォーカリストには恵まれていた。ヴォーカリストたちが、安心領域というか、身近な人たちのいる環境よりもアウェイな状況に挑んでいく様子を見るのはクールだった。

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私たちは、政治に無関心なわけではない。真空の住人ではないのよ(笑)。


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ロンドンのロール・ディープ・クルーのメンバーも参加していますね?

J:参加しているのは、ロール・ディープの元メンバーのローチー、それにラフ・スクワッドのラピッドとダーティ・デンジャー。俺たちはみんな、ロール・ディープとラフ・スクワッドのファンだったから。俺のロンドンの友だちが、ロール・ディープとラフ・スクワッドと仕事をしていて、長年グライムのシーンに関わっていた。その彼が、俺たちにラピッドを紹介してくれた。そこから連絡を取り合い、ダーティ・デンジャーとローチーにも曲に参加してもらおうということになった。そこでビートをいくつか彼らに送ったというわけさ。

最近は、ワイリーをきっかけに、ウェイトレス・グライムという、アンビエント・タッチのグライムが注目を集めてますが、好きですか?

J:それはグライムのファンが作った言葉で、その人なりのグライムの解釈の仕方なんだと思う。よくわからねえ。ある意味、冗長表現だと思う。ワイリーの、デビルミックス・グライム・ミュージック、つまりビートレスなグライム・ミュージックをリ・ブランディングしたというか……。それにグライムは、以前よりも自由でなくなっている。みんな、ワイリーのサウンドに似たようなものを作りたがる。グライムの本質は、自分特有の音を作ることなのに。だから、とにかくばかげてるよ。

F:グライムとは自由であることなのよ。プレデタが以前、こう言ったわ。「グライムを作るのにグライムをリブランディングする必要はない」と。グライムはグライムなのよ。

A:そうよ。

F:グライムの進化型でもないし、ウェイトレス・グライムでもない。ただのグライムってこと。

J:自分特有のことを表情豊かな音楽でやるということ。過去をやり直すとしたら、こうなります、って言ってるようなもんで訳が分からない。作品をウェイトレス・グライムと称している人達は、ワイリーにそれを聴かせるだろうか?多分しないだろう。なぜなら、それはワイリーの作品のリメイクに聴こえるからだ。コンセプチュアルの面にしてもそうだ。アイデアが……

A:でもときには、優れた作品だってあるわよ。

J:もちろん、良い曲はたくさんあると思う。

A:問題になってしまうのは、音楽を理解したいがために、新しい呼び名やジャンルを作ってしまうことだと思う。

F:元々あった呼び名で十分だったのにね。

J:それを、元のものより、優れているとか、進化しているとか、表現してしまうのが問題だ。

F:元のものより新しいとか。

A:そう、新しくてパワーアップした、みたいな。

J:ウェイトレス・グライムというのはワイリーのデビルミックスと同じコンセプトのもので、それは2002年、2003年から存在し、存在し続けているものだ。新しくも何ともない。ウェイトレス・グライムが新しくエキサイティングなものだというのは真実では無い。

F:リ・ブランディングね。

A:そうだわ。

J:マーケティングの良い訓練にはなると思うが。

メンバーの役割みたいなものはどうなっているのでしょうか? いまどちらに住んでいるんですか?

F:私はクエート出身で、いまはどこにも住んでいない。NYに住んでいたときもあったけど、いまは……

J:素晴らしい音楽を普及させるために世界を飛び回っているのさ。

F:プロデューサーとしての強みや弱みは、私たちそれぞれにあると思う。だけど、同時に、自分の安心領域から抜け出すために、あえて弱みに焦点を当てて、自分を成長させて行くこともできる。私たちは、強みを磨き、お互いを通して、弱みの部分を成長させて行っている。

J:役割に関して決まり事は作っていない。それを決めたら……

F:快適過ぎてしまうから。

J:自分を追い込んで、普段とは違ったことをした方が、エキサイティングなものができるかもしれないだろ。

ちなみにJクッシュさんのルーツはどこなんですか?

J:母はイラン人。父はリトアニア系のアメリカ人だ。

通訳育ったのはシカゴでしたっけ?

J:いや、シカゴに住んだことは一度もない。

通訳:そうでしたか、でもDJラシャドの作品でも知られる〈Lit City Trax〉を立ち上げたのはあなたですよね?

J:そう、俺が立ち上げた。シカゴのフットワーク・シーンが盛り上がっていたから、音楽をプッシュするために俺が出来る限りのことをやった。シカゴには何度も行ったことはあるけど住んだことはない。生まれたのはNY。そこに10年住んで、ロンドンに移住して10年住み、その後またNYへ戻ってきた。

ふだんもネットで世界中のビートを探しているんですか?

A:(笑)ええ。そういうときもあるわ。

F:DJ用にってこと?

J:たしかに俺たちはネットで音楽を見つけている。

F:でも、曲のビートは、スタジオに入って作るの。

J:アイデアとしてはじまるけど、そこから積み上げて曲を作っていくんだ。

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グライムの進化型でもないし、ウェイトレス・グライムでもない。ただのグライムってこと。


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これはDJクッシュさんにおたずねしますが、シカゴの新世代のゲットー・ラップ、メディアが「ドリル」と掻き立てているシーンとジュークとは実際に繋がりがあるのですか? 

J:いや、別物だ。ジュークはハウス・ミュージックがベースになっている。ドリルはラップから来ている。類似点はあるかもしれないが、別物と考えていい。

ドリルに対して、「シカゴ・バップ」は、よりダンサブルで、DJネイトなどジュークともより繋がりがあるのでしょうか?

J:バップ・シーンはジューク・シーンから直に発展したものだ。DJターボはバップの曲でよく名前が挙がる人だが、彼がバップ・シーンをけん引したひとりだ。他にもそういう人が何人かいるが、みんなフットワークのシーンから出てきた人たちだ。だからそこにはたしかな繋がりがある。

ドリルとバップ、シカゴのいまのヒップホップ・シーンがどうなっているのか教えて下さい。

J:この質問はみんなも答えてくれよ。シカゴのヒップホップ・シーンはみんな好きだし、アスマとダニエルは、以前何年もシカゴに住んでいたんだぜ。

D:俺たちがシカゴに住んでいた頃は、ドリルやバップはなかった。シカゴは音楽シーンが盛んで、才能のある人がたくさんいる。

A:とても独創性のある街よね。私とダニエルがシカゴにいた頃はドリルやバップはなかったけど、またたく間に大きなシーンが出来上がったもの。シカゴからは、素晴らしい才能の持ち主がたくさん現れてきている。今回のアルバムにも、意図的ではなく、シカゴのアーティストがたくさんフィーチャーされているわ。

J:シカゴでは面白いことがたくさん起こっている。シカゴに住む人の状況や環境などが、その人のパワーとなり、良い音楽を作らせている。シカゴから抜け出すためにね。シカゴから出たいという願望を持ったアーティストを俺は何人も知っている。治安の悪いシカゴから逃れたいと言う。シカゴの人は、ダンスに対してありがたみを感じているし、シカゴの音楽にはソウルが溢れている。俺たちはシカゴが大好きだ!

ドリルの、たとえばリル・ハーブなんかは、緊張感のあるニヒリスティックな作風を打ち出していますが、フューチャー・ブラウンは、もっとパーティに寄っているように思います。

F:私はその意見にとても賛成できない。私たちのアルバムを聴けばわかると思うわ。アルバム聴いた?

通訳:聴きましたよ。

F:あなたはいまの意見に賛成?

通訳:すべてがパーティというわけではないと思います。パーティ曲は1曲だけだったかと……。

F:私たちのアルバムは「パーティ」感が前提となっているわけではない。まったくそうではないわ。「パーティ」感は、いち要素として存在するけれども、アルバム全体のコンセプトではない。

では、みなさんはディプロをどう思いますか? 彼は早い時期からボルチモア・ブレイクやバイレ・ファンキなど、グローバル・ビートを取り入れて自分なりに編集した人です。影響を受けているのでしょうか?

J:奴のグラミー賞を取り下げるべきだ。

通訳:ディプロはグラミー賞に値しないと……?

F:外交上、丁寧な物の言い方をしましょう。文章でも何でも、積極的に誰かをディスすることはしたくないわ。私たちはディプロのことは好きじゃない。それだけ。

J:彼は、アンダーグラウンド・ミュージックを商品化し、金銭面で大きな得をしただろう。だが、彼は、元々そういう音楽を作ってきた人たちのために、シーンが持続できるような未来を用意するまでに至らなかった。

昨年はアメリカで人種暴動がありましたし、シャルリ・エブド事件やISによる人質事件があったり、ウクライナ情勢とか、国際舞台では政治的な事件が続いています。関心はありますよね?

D:もちろんだよ。アメリカの出来事は、人種暴動というより、警察の暴力に対するデモと表現した方が的確だろう。

フューチャー・ブラウンの政治的関心をひとつ挙げるとしたら?

F:警察の残忍性について。

D:こういうことは、みんな各自で興味を持つべきだと思う。グローバルな問題だから、世界の人すべてが関心を持つべきだと思う。

F:私たちは、政治に無関心なわけではない。真空の住人ではないのよ(笑)。

J:だが、フューチャー・ブラウンに、ひとつの政治的アジェンダや動機があって、それを人々に伝えたいというわけでもない。個人において、それぞれ強い政治的信念や意見があるということだ。

もし誰かにリミックスを依頼するとしたら、誰がいいでしょう?

J:ディジー

D:トータル・フリーダム

F:トータル・フリーダム

J: トータル・フリーダム、ディジー・ラスカル……

A: トータル・フリーダムでいいんじゃない?

最後に、みなさんが注目しているシーン、もしくはいま面白いと思っているビート/リズムについて話してもらえますか?

F:たくさんあるわ。たくさんありすぎて……。アルバムを聴いてちょうだい。そしたら私たちが聴いている音楽のバイブスがわかるわよ。たくさんあるから。

A:そうね。

F:クドゥーロもみんな好き。

J:クラブ、ラップ……

F:ラップ……

D:クラブ、バップ、ドリル……

A: まだまだあるけどいくつか挙げるとこんな感じ。

Sleater-Kinney - ele-king

 伝説のバンドのカムバック盤はクリーンでタイトになりがちだ。ミドルエイジになっても健在。みたいな、元気でわかりやすい音にしたほうが売れるからだろう。だから、10年の沈黙を経て帰って来たスリーター・キニーの新譜が、初期スージー&ザ・バンシーズのエクスペリメンタル版みたいで個人的には好きだった前作『The Woods』で閉じた本の、まったく同じページからのやり直しになるわけがなかった。「とにかく良いロック・ソングを作る」というベーシックに戻った新譜は『Dig Me Out』、『All Hands Are On the Bad Ones』辺りを髣髴とさせる。

 しかし「クリーンでタイト」もやり過ぎるとバンド独特のテイストが希薄になるもんだが、スリーター・キニーの場合は逆に濃厚になっている。アクロバティックに尖ったギターの不協和音、ザ・ストーン・ローゼスのレニが女装してるのかと思うぐらいヴァーサタイルなドラム、そしてハスキーさに肝の据わりを加えブルージーにさえなったヴォーカルが、個別にも、バンドとしても、ばーんとスケールアップしていて冒頭から「お。」の声が出る。過去4作を手掛けたプロデューサー、ジョン・グッドマンソンがこれまで以上の仕事をしている。そうか。関係者も含めてみんな加齢したせいかもしれない。年を取ると余計なことを考えなくなるからだ。10曲で32分(日本盤は11曲らしい)。見事に迷いも無駄もない。

*********

 他所で書いた与太話だが、2015年はワーキングクラスのミドルエイジの女たちが政治を変えるという説がある(提唱したのはわたしではない。オーウェン・ジョーンズだ)。昨年、UKで草の根の運動を起こして成功したのは下層の女たちだった。運営打ち切りのシェルターから追い出されたホームレスのシングルマザーたちが公営住宅を占拠して自分たちでシェルターを作ったり、公営住宅が投資ファンドに売り飛ばされて退居を迫られたお母さんたちが抗議運動を展開し、ついに投資ファンドが公営住宅を手放した件など、市民運動は成功しないという近年の常識を覆し、彼女たちは現実に求めるものを手に入れたのである。

 そして今話題の、反緊縮の急進左派が政権を握って(しかも右翼政党と連立を組んで)EUにタイマンを張るというとんでもないパンクな状況になっているギリシャでも、選挙運動中に左派を象徴するシンボルになったのは、アテネの財務省の前で座り込みを続けた元清掃作業員の失業した女性たちだった。彼女たちは役所の前にキャンプを張り、警察の威嚇にライオットし、粘り強く権力に拳を上げ続けた(彼女らが使ったポスターには、ゴム手袋をはめた拳が描かれていたそうだ)。

 この地べたの女たちの怒りと底力。はミニスカ姿のテイラー・スウィフトやパリコレでプラカードを掲げて行進したスーパーモデルたちが体現できる類の「女性の力」ではない。サヴェージズだって詩的に構えすぎる。こんだけフェミニズムがどうのと言われてるわりには、ゴム手袋をはめた拳のサウンドトラックが見当たらなかったのだ。

 私はアンセムじゃない かつてはアンセムだった
 それは私のことを歌っていた
 でも今は アンセムが存在しない
 聞こえるのは残響 鳴り響く音
‟No Anthems″

 その残響をリアルに変えるのだというロマンティックな使命は彼女たちの中にあった筈だ。
 ‟Surface Envy″やタイトル曲‟No Cities to Love″などはそれこそ堂々たるロック・アンセムだし、プラスティックなギャング・オブ・フォーみたいな‟A New Wave″のソリッドなグルーヴ、WギターとドラムとWヴォーカルが5匹の蛇のようにタイトに絡み合って一本の太いロープになって飛び跳ねている‟Bury Our Friends″など、ベースレスのバンドがなんでここまでどっしりしているのか。なんかこう、音に覚悟がある。若い頃に弄んだスカスカした洒脱さを、帰って来たスリーター・キニーは覚悟で置き換えている。

 息子の学校の保護者会に行ったらそこら中にいそうな感じの風貌になった3人組がこんな音楽を奏でているというのがまたいい。これを聴いた後では今年はロックが聴けるのかしらん。と不安になっている。2015年の「ゴム手袋の拳」大賞は早くも決定した。

 1月末、NYでは「史上最大の暴風雪に見舞われる」との警報があり、住民をあたふたさせた。地下鉄などの交通機関が止まり、食料調達も十分(スーパーマーケットに入るのに長い行列!)「危険なので、家にから出ないように」など住民に呼びかけ、万全で暴風雪に備えた。が、結局、史上最大ではなく、よくある雪の1日で終わった。
 みんなが悶々していた暴風雪警報が出た月曜日の夜、ほとんどのショーがキャンセルの中で、勇敢にもショーを行ったのがゾラ・ジーサス(https://www.zolajesus.com)だ。予定より早めに行われたショーの途中で、彼女は「ついてきて」、トロンボーン・プレイヤーを率い会場の外に出て、1曲「Nail」をアカペラで歌いだすなど、雪ならではのパフォーマンスを披露した。車も通らない、ガランとした雪のストリートにこだまする彼女の声と、それをあたたかく見守るオーディンス。大停電や台風の時といい、ニューヨーカーは災難時でも、エンターテインメントの心を忘れない。因みに、彼女はウィスコンシン出身、雪には慣れたものだったのかもしれない。
https://www.brooklynvegan.com/archives/2015/01/zola_jesus_perf.html



 暴風雪騒ぎから1週間経った今日2月2日も雪は降っていて、外はマイナス10度の世界。雪が降ろうが槍が降ろうがイベントは普通にある。昨日2月1日はスーパーボウル、フットボールの決勝戦。個人的に興味ないが、周りが盛り上がっているので、いやでも目に入ってくる。行き着けのバーに行くと、この日だけは大きいスクリーンを出し、みんなが大画面でスーパーボウルを鑑賞している。お客さんはもちろん、店員も仕事そっちのけで画面を熱く見守っている。点を入れなくても、何か好プレイ珍プレイをするたびに、「おーー!!!」や「ノーーー!!」や、「ぎゃーーー」などの奇声が飛び交うので、ドリンクもうかうかオーダー出来ない。一緒に行った友だちは、接戦の最後の5分は「もう心配で心配でしかたない!!!」と、私の手をぎゅっと握り、自分の事のようにハラハラドキドキしていた。
 結果、ニューイングランドのペイトリオッツが勝利(10年ぶり)。ルールがわからない著者にも、周りの気迫で好ゲームだったことが伝わってくる。
 スーパーボウルで注目されるのは、ハーフ・タイムショー。過去に、マドンナ(w/M.I.A.,ニッキー・ミナージュ)、ビヨンセ(w/ディスティニー・チャイルド)、ブルノ・マーズ(w/レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)などが出演しているが、今年はケイティ・ペリーとレニー・クラヴィッツ、ミッシー・エリオット。旬なのか、古いのかわからないラインナップだった。
 そういえば、テロリスト(?)に揺すられ、公開中止になりかけた、問題の映画『インタビュー』のなかで、主役のセス・ローガン(役名アラン)が、北朝鮮の最高指導者の金正恩の戦車に乗った時に、流れてきた曲を聴いて一言「あんた、ケイティ・ペリー聞いてるの?」。著者は、それで初めてケイティ・ペリーを知った。それだけ、彼女が「いま」の大衆音楽を表している。ハーフタイム・ショーの彼女も見事だった。レニー・クラヴィッツもミッシー・エリオットも貫禄抜群だったが、今年の顔はケイティ・ペリーで万場一致。

 ケイティ・ペリーは、メイクやポップなファッションが特徴で、一見今の時代どこにでもいるような女の子。歌がこの上なくうまいとか、ダンスが飛び抜けて上手とかではなく、格好を付けようとせず、素で勝負しているところが、同世代からの共感をかっているのだろう。下積みも長く、所詮ポップスなのだから流通しないと意味がないと、堂に入ったあきらめ感もあるし、彼女のキャラクターや世界観は、見る人を素直にハッピーにさせてくれる。プライヴェートもさらけ出し、ポップスターにも悩みはあるのよと、オーディエンスに近い感覚が現代のスーパースターのあり方なのだ。
 楽曲も親しみやすく耳に残り、カラオケに行ったらみんながシンガロングで歌いたくなるつぼを抑えている。ハーフタイムショーの1曲目に演奏した「ロアー」は聴いているとヴォリュームを上げたくなってしまう。映画で流れた「ファイア・ワークス」も、ヘリコプターを爆破するシーンに使われたが、周りの雰囲気を壊すことなく、シーンにぴったりとはまっていた。実際、彼女の曲は人の生活のなかに入って来ても邪魔しない。そこが現代的で彼女が支持されている理由なのだろう。

 ファイア・ワークスと言えば、スーパーボウルの1日前の1月31日に、ウィリアムスバーグの北の川沿いで大規模な火災があった。N11とケントアベニューの4F建ての貯蔵施設シティ・ストレッジから発炎し、200人以上の消防士が出動し、寒い中消火にあたった(制服に氷柱がしたたっていた)。一駅離れた著者の家の周りさえも灰が飛んできたり、こげた臭いが充満し、窓を開けることが出来ない。周辺の住人お店やレストランは、避難したり休店したり、暴風雪よりも大きい被害を被っている。完全鎮火には1週間ほどかかる見込みだそうだ。ドミノ・シュガー・ビルディングなど周辺ビル/コンドミニアムの契約書類が保管されていたのだが、無残にも焼かれてしまった。ここは、デス・バイ・オーディオやグラスランズなどの音楽会場を閉店に追いやった、ヴァイス・オフィスの真近くでもある。実はあまり報道されていないが同じ頃、グリーン・ポイントでも火災があったのだが、このふたつの火災の関係は? ウィリアムバーグの家賃高騰に対する嫌がらせだと言う噂も飛び交っているのだけれど……。

 スーパーボウルの日、誰もが家でピザやバッファローウィングを食べながらテレビを見ると思われたが、著者がスタジオをシェアしているバンドは「今日ショーがあるんだ」と雪のなか揚々と出て行った。雪+スーパーボウルという悪条件で「人は来るの~?」と思われたが、「友だちがたくさん来てくれた」とご機嫌に話してくれた。彼らは20代前半で、「スーパーボウルなんて、ピザしか食べない年寄りの見る物」と思っているらしい。
 彼らが演奏したのは、トラッシュ・バーという、ウィリアムスバーグの音楽会場。こちらも他の会場と同じく、リースが継続できず(家賃が4倍(!)になると言われたらしい)、3月の閉店が決まった。閉店後は、ブッシュウィックに移る予定らしいが、既にブッシュウィックはヒップスターの聖地、どうなることやら。
 また、元ウィリアムスバーグにあったガラパゴスという音楽会場は、ダンボで数年営業した後、来年ニューヨークを飛び出し、デトロイトに移ることを決めた。NYの小さなアパートメントと同じ値段で、デトロイトでは10,000スクエアフィートの湖つきの会場が手に入るらしい。ガラパゴスはウィリアムスバーグ時代は、ガラス張りの外から見える会場にある湖がトレードマークだった。ダンボに移った時点で、会場に湖なんて夢のまた夢と忘れられていたが、デトロイトで初心に戻るのだろう。ゴーストタウンと言われるデトロイトだが、そろそろ移住してもいいかもと思えるようになったのは新たな希望だ。アメリカの地方都市がこれからなるべき姿なのかもしれない。もちろんいまもNYは特別で、人が集まりたい場所であることは否定できない。が、ウィリアムスバーグの家賃問題は深刻極まりないし、火事も起こる(!)。地価問題と戦いながら、バンドは残されたところで演奏して行く。露出されなければ意味がないが、転がっているチャンスを、掴むことも可能な場所だから……。

スーパーボウル
https://www.nfl.com/superbowl/49
https://www.billboard.com/articles/events/super-bowl-2015/6458199/katy-perry-super-bowl-xlix-halftime-show-review

ウィリアムバーグの火事
https://bedfordandbowery.com/2015/01/photos-six-alarm-fire-on-williamsburg-waterfront/
https://bedfordandbowery.com/2015/02/photos-epic-warehouse-fire-enters-day-2-in-williamsburg/

トラッシュバー
https://www.thetrashbar.com

ガラパゴス
https://www.galapagosartspace.com

Dub Syndicate - ele-king

 2014年はレゲエ・ファンにとって悲しみの1年だった。ホープトン・ルイス(歌手)、ジョン・ホルト(歌手)、フィリップ・スマート(ダブ・エンジニア/プロデューサー)、ウェイン・スミス(歌手)、バニー・ラグス(サード・ワールド)が死んで、スタイル・スコット(ドラマー)は10月に殺害された。58才だった。
 ジャマイカのスコットは、彼を巻き込んだ残忍な事件の前に、ダブ・シンジケートとして11年ぶりとなるオリジナル・アルバムの録音を終えていた。アルバムには、リー“スクラッチ”ペリー、U-ロイ、バニー・ウェラーといったレゲエの巨匠たちが参加した。ミキシングは、いままでのようにロンドンのエイドリアン・シャーウッドが担当した。こうして、2015年1月、ジャマイカの名ドラマーのひとり、スタイル・スコットの遺作はドイツのレーベルからリリースされた。

 スコットの死は、音楽のシーンにとって大きな喪失に違いないが、しかし彼の遺作は、そうした感傷をさっ引いたところにおいて、思いも寄らぬ悦びをもたらす傑作である。なんてことはない、相変わらぬレゲエ/ダブだ。が、「あれ、こんなに良かったっけ?」と、嬉しい驚きがあった。いちど聴いて、そしてもういちど聴いて、家にいるときに何度も繰り返し聴いている。ホント、気持ちが晴れ晴れとする。

 スタイル・スコットは、1970年代後半、クリエイション・レベルやルーツ・ラディックスといったバンドのドラマーとして頭角を表している。前者はルーツ・レゲエ・バンド、後者はダンスホール・スタイルへの橋渡し的なバンドだった。また、クリエイション・レベルがエイドリアン・シャーウッドと巡り会ったことで、スコットはザ・スリッツや〈ON-U〉レーベルと関わりを持つようになった。シャーウッドとスコットのふたりのパートナーシップは、1980年代の〈ON-U〉の音楽の骨格となった。ダブ・シンジケートもそのなかで生まれている。
 そんなわけで、スコットは、かたや〈Greensleeves〉で、かたや〈ON-U〉で、あるいはその他さまざまなレーベルの作品でドラムを叩いている。レゲエ・ファンであれ、パンクであれ、1970年代後半から1980年代前にかけてのスコットのドラミングを聴いてない者はいないだろう。

 ダブ・シンジケートの作品は、バンドがジャマイカで録音した素材を、ロンドンでシャーウッドがミックスしたものである。クリエイション・レベルの名作『スターシップ・アフリカ』(1980年)を聴けばわかるように、シャーウッドのダブ・ミキシングは、よりテクノロジカルなアプローチを具現化している。とくに初期は極端な電気処理を多用した。自家製のミキサーを使ったキング・タビーともポンコツを再利用したリー・ペリーとも違って、UKにはまともな機材があった。そうした環境面もこのプロジェクトの個性に結びついている。
 テクノ・ファンに〈ON-U〉好きが多いのは、エレクトロニックであることもさることながら、スコットが創出するリディムのミニマリズムが魅力的なグルーヴを有しているからだろう。オリジナル・アルバムとしては11年ぶりに録音された『ハード・フード』でも、彼のリディムは冴えに冴えている……いや、それどころではない。ひょっとしたら本作は、ダブ・シンジケートの数ある作品のなかでもベストなんじゃないかと思ってしまうほどの輝きがある。

 シャーウッドが情報量を削ぎ落としたストイックなミキシングに徹しているのが良い。ダブ・シンジケートのトレードマークである派手な電子効果音は、極力抑えられている。ときおり音響は揺らめくものの、基本的には心地良いリズムがたんたんと続いている。だだっ広い空間のなかを鼓動がこだまして、彼方で帚星が流れる。1曲目の、ほとんどドラム&ベースの展開を聴いたらファンは泣くかもしれないけれど、アルバムのなかに感傷的な要素はない。“Jah Wise”の透明な広がり、“Bless My Soul”の惚れ惚れとする美しさ、“Love Addis Ababa”の陶酔的な美しさ……などなど、「らしさ」は円熟の域に達している。好むと好まざるとに関わらず、人生は永遠にぶっ飛んではいられない。
 もっともスタイル・スコットその人の人生は、アルバムのタイトルが暗示するように「ハード(厳しい)」なものだったのだろう。しかし、僕がこの作品を推薦する理由は、この作品がハードだった彼の人生を反映しているからではない。むしろアルバムには、温かさ、優しさのようなものが滲み出ているからである。自分の内側から光が灯るように。

■5 classics of Dub Syndicate‎

The Dub Syndicate‎
The Pounding System (Ambience In Dub)

On-U Sound  1982

Dub Syndicate Featuring Bim Sherman & Akabu
Live At The T+C

On-U Sound  1993

Lee "Scratch" Perry & Dub Syndicate
Time Boom X De Devil Dead

On-U Sound  1987

Dub Syndicate
Stoned Immaculate

On-U Sound  1991

Dub Syndicate
Strike The Balance

On-U Sound  1989

C.R.A.C. - ele-king

 このところ安部政権の好戦的な態度ばかりを見せつけられているせいか、戦意も失せるふぬけた音楽とユーモア(ないしは平和的エスニック・ジョーク)に飢えている編集部に、代官山ユニットから熱いメールが……。
 以下、そのメールです。

2015年、東京に全く新しいパーティーが誕生する。

伝説のCLUB VENUSのオーガナイザー久保憲司、そしてShufflemasterとTASAKAという2人のDJたち。
彼らの共通点は、2013年以来東京の路上を侵食しようとした極右排外主義デモに対抗してきた対レイシスト行動集団、C.R.A.C.(Counter-Racist Action Collective)のメンバーだということだった。

デザイナー、写真家、ライター、ミュージシャン、アーティスト、建築家、など多岐にわたる才能を内包し、東京の路上文化に多大な影響を及ぼしてきたC.R.A.C.が、満を持してパーティ”CLUB CRAC”をオーガナイズする。

レジデントはDJ Shufflemaster、DJ TASAKA、そしてDJ NOBUの3人。第1回のゲストにはECD+ILLICIT TSUBOI、MC JOE、ATS、AKURYOといったヒップホップ勢に加え、東京ハードコア・シーンからはPAYBACK BOYSが盟友BUSHMINDと共に参戦。さらに狂気のノイズ・アーキテクトENDON、スクリューのAIWABEATZ、そしてC.R.A.C.のメンバーでロゴのデザイナーでもあるDJ=1-Drink(ex.キミドリ/ILLDOZER/JAYPEG)が、真夜中のUNITを反ファシスト闘争の最前線へと変える。

ビジュアル面では、最近ではほとんどVJパフォーマンスをやらないDOMMUNEの宇川直宏がC.R.A.C.のために重い腰を上げるほか、The RKP(a.k.a. rokapenis)、映画『堀川中立売』の監督・柴田剛など強力すぎる面々が、音楽、文化、政治、そして路上の思想が交錯する未曾有のパーティ体験をもたらしてくれるだろう。

あいつらが論文を書いていたとき、俺たちはピットでモッシュし、フロアでダンスしていた。ナイトクラブで培われた身体の知性が、2月7日、代官山UNITに結集する。

Strictly Antifascist.
Music is The Weapon of The Future.


CLUB CRAC

DATE & TIME: Feb 7th (sat), 2015
DOOR OPENS at: 23:00
VENUE: UNIT (https://www.unit-tokyo.com)
FEE: 2000 yen in adv / 2000 yen with Flyer / 2500 yen at door / 3800 yen with T-shirt
TICKET: https://peatix.com/event/68703(通常前売)
       https://peatix.com/event/69652(Tシャツつき/1月19日発売)

LIVE PERFORMANCES:
 ECD+ILLICIT TSUBOI
 PAYBACK BOYS
 ENDON
 MC JOE
 C.R.A.C. (ATS, AKURYO, G.R.)

DJs:
 DJ NOBU
 BUSHMIND
 DJ Shufflemaster
 DJ TASAKA
 1-Drink
 AIWABEATZ

VJs:
 Ukawa Naohiro from DOMMUNE
 The RKP a.k.a. Rokapenis
 Shibata Go

FOOD:
 True Parrot Feeding Service

https://crac.club


The Best 5 Reissue 2014 - ele-king

01 Lewis Baloue / Romantic Times / Light In The Attic


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 アメリカでは近年、プライヴェート・プレス(いわゆる私家版)の発掘が進んでいる。文字通り、商業的な流通には乗せず、「仲間内に配って終わり」みたいなやつで、アンビエント・ミュージックだとそれらをまとめた『アイム・ア・センター』が決定的だったりする。そのようなプライヴェート・プレスには、当然、どんなものがあるのか想像もつかなかったりするわけで、昨年、最も話題を集めたのがルイス『ラムール』の再発だった。同作はカナダの大富豪が恋人のために1983年に吹き込んだアシッド・フォークというかなんというかで、これが2013年にEベイでいきなり20万円近くで落札され、それを受けてフリー・デザインやベティ・デイヴィスの再発を手掛けてきたシアトルの〈ライト・イン・ジ・アティック〉が正式に再発。簡単にいえば、あまりの音痴に世界は笑いの渦に巻き込まれた。そして、それで終わりかと思ったら、ルイスには2作目があり、『ロマンティック・タイム』(85)はシンセ-ポップにサウンドも様変わり。またしても切々と歌いかけるトーンには笑いが止まらなかった。後半でちょっと歌が上手くなる曲があって、その時だけ少し白けるものの、全体として見れば、世界を少しばかり平和な気分にしてくれたことは確かでしょう。この騒ぎのさなか、ルイス本人もイタリアの避暑地にいるところを発見され、再発されたレコードを手渡されたらしいのだけど、本人からは「で?」という返事が返ってきただけだったとか。(オリジナルは83年)

02 Tom Dissevelt / Fantasy In Orbit / Sonitron


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 実は『テクノ・ディフィニティヴ』のオープニングにしたかったオランダのパイオニア的シンセサイザー奏者(2年前にはキッド・バルタンとのジョイント・アルバム『ソングス・オブ・ザ・セカンド・ムーン』しか再発されていなかった)。『セカンド・ムーン』がまさにそうだけど、随所にエイフェックス・ツインを思わせる面があり、裏を返していえば、エイフェックス・ツインにはこの種の音楽がまだ黎明期に表現していた「驚き」を表現する素朴さが備わっているとも言える。ミュージック・コンクレートにありがちな生硬さもなく、時期的にまだニュー・エイジのようなスピリチュアリズムに陥るわけでもなく、単純にスペース・エイジの電子版をつくりあげている。インドネシアに演奏旅行に行き、現地で出会った歌姫と結婚し、シュトックハウゼンに興味を持って電子音楽に乗り換え…という彼の人生を映画化して欲しいかも。(オリジナルは63年)。

03 / Psychedelic Sanza 1982 - 1984 / Born Bad Records(Beans)


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 2011年に編集盤『アフリカン・エレクトロニック・ミュージック 1975-1982』が話題を呼んだカメルーンのギタリストによるサンザ(親指ピアノ)の演奏を集めた『アフリカ・サンザ』(82)と『アクワアバ:ミュージック・フォー・サンザ』(84)をパックした2枚組。サンザだけでメディテイティヴな空間を創出したり、ベースを加えてダンサブルな曲調を展開したり。同じカメルーンのマヌ・ディバンゴがエレクトロに走った時期だけにその差が際立つというか、ローカルに徹したことで現在に再生する余地があったという感覚はそれだけで示唆的。「サイデリック」というより「アトモスフェリック」ではないかと。

04 Berto Pisano, Jacques Chaumont / Kill ! / The Omni Recording Corporation


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 イタリア映画のOST盤。どんな映画かぜんぜんわかりませんけど(ジーン・セバーグの遺作らしい)、初期のカーティス・メイフィールドに憂いを含ませたようなスパイ音楽と甘く切ないストリングスのヴァリエイションがたまらない(菊池俊輔作曲『非情のライセンス』っぽいという か)。最後でいきなりドロス・トロイが歌い出す。(オリジナルは72年)。

05 The Topics / Wanted Live! By A Million Girls / Jazzman(P-Vine)


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 国内盤のライナーノーツを読むと、同じモダン・ソウルで同じ時期に同じ名前のグループが存在し、そちらの方が有名らしい。そこまで詳しくはないので、単純にこれだけを聴くと、それこそシティ・ポップスの元ネタみたいなサウンドがぎっしり。マインドデザイン(Mndsgn)が去年、アップしたミックスを聴くと、D/P/Iにジェリー・ペイパー(新)やシャラマー(旧)に混じって佐藤博や間宮貴子の曲もミックスされていて、70年代をどう聴くかということではもう同じなんだなーということがよくわかる。(オリジナルは78年)。

*次点でペレス・プラドーと名前が同じ弟によるイタリアン・ファンクの『ラヴ・チャイルド』(73)かな。レシデンツの5枚組とかウイリアム・オニバーの9枚組は面白そうだけど、さすがに外しました。

D/P/Iが日本を通過 - ele-king

 D/P/Iことアレックス・グレイについては、ele-kingでも何度取り上げているかわからない。彼や彼らをとりまくLAローカルがローカルではないことは、この数年のD/P/Iの動向や、マシュー・サリヴァンやショーン・マッカンやゲド・ゲングラスといった才能が名を馳せ、マシューデイヴィッドが押しも押されぬ存在になったいま疑う余地はない。そのD/P/Iのうれしい来日ツアーが金曜(福岡)からはじまるが、東京公演の目撃をゆるされるのはわずか111人+α。先行チケット購入者にはD/P/Iデザインのツアー・ポスターがついてくるということで、ヴィジュアル表現においてもヴェイパーウェイヴ以降のリアリティをスマートに切り取る彼の魅力を(QRコードとはかくもミステリアスで甘やかなものなのか)、何方向からも愉しむことができるにちがいない。

■D/P/I JAPAN TOUR 2015

2.6 FRI Fukuoka at KIETH FLACK 20:00 -
mew×duenn presents OBDELAY feat. D/P/I
More Info: TBA

2.7 SAT Osaka at CIRCUS 17:00 -
INTEL feat. D/P/I Japan Tour Osaka
More Info: https://intelplaysprts.tumblr.com

2.8 SUN Tokyo at KATA LIQUIDROOM 2F 18:00 -
BONDAID #4 feat. D/P/I Japan Tour Tokyo
More Info: TBA

Tour Info: https://meltingbot.net/event/dpi-japan-tour-2015

■BONDAID #4 feat. D/P/I Japan Tour Tokyo
powered by forestlimit sound system

日時:
2015.2.8 Sun START 18:00

場所:
KATA + Time Out Cafe & Diner [LIQUIDROOM 2F]

料金:
ADV ¥2,500 w/ Ticket (LTD 111) / DOOR ¥3,000
※限定111枚
ADV Ticket ¥2,500 yen inc. D/P/I JAPAN TOUR 2015 POSTER
アドバンスのチケットを購入された方にはD/P/Iデザインのツアー・ポスター(A2)が付いてきます。
ポスターは公演当日受付にてチケットと引き換えにお渡します。
※ ¥3,000の当日券もございますが混雑により入場規制がかかることも予想されますので予めチケットのご購入を強くオススメ致します。

チケット販売:
KATA [LIQUIDROOM 2F]
DISK UNION (SHIBUYA CLUB MUSIC SHOP/SHINJUKU CLUB MUSIC
SHOP/SHIMOKITAZAWA CLUB MUSIC SHOP/KICHIJOJI/CLUB/DANCE ONLINE SHOP)
DISK UNION ONLINE SHOP
https://diskunion.net/clubt/ct/detail/1006568517

2014年の各媒体を大いに賑わしたニューフェイスARCAやGiant Clawと並び、今日のオンライン・アンダーグランド~レフトフィールドにおけるエレクトロニック・ミュージックの新時代を切り開くLAの異端児D/P/Iが満を持しての初来日公演。R&B / ヒップホップの名義Heat Wave、アンビエント / ドローンの名義Deep Magic、グリッチ / ミュージック・コンクレートの名義D/P/I、そしてジューク / リディムの新名義Genesis Hullなど、様々な名義で現行の流動的なジャンルを縦横無尽に駆け巡り、コラージュやサウンド・プロセスを繰り返しながらインターネットを介して溶け合うサウンド /ヴィジュアル・アートとダンス・ミュージックのクロス・ポイントへと到達。圧倒的なスピードで加速を続ける時代の寵児が紡ぎ出す"今"という最高の瞬間を祝うべく、既存のジャンルやシーンの主流からは外れた異種 "#Leftfiled" (レフトフィールド)をキーワードに各シーンで異彩を放つ気鋭の国内アーティストが集結。新世代インディーズの巣窟でもある幡ヶ谷のライブ・ハウス forestlimit のサウンド・システムを投入、活気付く電子音楽の現在を体現した全14アクトで東京公演をお届けします。

LIVE :
D/P/I (from LA aka Alex Gray, Genesis Hull, Deep Magic, Sun Araw, etc)
[Leaving Records, Duppy Gun, CHANCEIMG.es, melting bot] #Glitch

DREAMPV$HER #Techno
FUMITAKE TAMURA (Bun) #Beat
Akihiko Taniguchi #Glitch
食品まつり aka Foodman [Orange Milk] #Footwork
KΣITO [SHINKARON] #Footwork

DJ :
Inner Science #NewAge
ENA [7even / Samurai Horo] #Bass
HiBiKi MaMeShiBa [Gorge In] #Gorge
Cold Name (from Jesse Ruins) [Desire] #Industrial
Fruity [SHINKARON] w/ Weezy & Takuya #Footwork
あらべぇ #Ambient
Hi-Ray [Sukima Tokyo] #HipHop
SlyAngle [melting bot / BONDIAD] #Techno

More Info : https://tmblr.co/ZThEfs1aIsq_N

■D/P/I aka Alex Gray :
LAのプロデューサーAlex Grayによるソロ・プロジェクトDJ Purple ImageことD/P/I。Deep Magic名義で2009年に〈Not Not Fun〉よりデビューし、 アンビエント / ドローンを主体とした作品を〈Preservation〉や〈Moon Glyph〉といったレーベルから連発、一方のD/P/I名義は自身のレーベル〈CHANCEIMAG.es〉立ち上げと共に2012年に始動、アブストラクトなベース / ビート・ミュージックへアプローチをした作品を矢継ぎ早にリリース。勢いは加速され〈Brainfeeder〉所属のMatthew David 主宰〈Leaving〉からのEP『RICO』、そしてアルバム『08.DD.15』と『MN.ROY』ではそのアブストラクトなビートは更にデジタルなプロセスを経て細切れとなり、Oneohtrix Point Neverの『R Plus 7』へも通じるシャープでグリッチーな音像のコラージュを主体としたミュージック・コンクレートへと発展。別名儀Heat WaveではR&B / ヒップホップをスクリューしたミックステープ、最近ではSun ArawとM. Geddes Gengrasの電子ダブ・レーベル〈Duppy Gunn〉よりGenesis Hullなる新名義でジューク / フットワークの影響下にあるリディムを披露。また同じくLAの盟友Sun ArawやDreamcolorのメンバーでもあり、映像やアートワークも自身で作る、流動する現在のジャンルを縦横無尽に駆け巡り加速を続けるマルチ多作家。

最新作リリース情報 :
D/P/I - MN.ROY / RICO [melting bot / Leaving Records 2014] #Electronic
#Glitch #MusicConcrete
https://meltingbot.net/release/dpi-mn-roy-rico/

Genesis Hull - Who Feels It, Knows It [Duppy Gun 2014] #Bass #Juke #Riddim
https://soundcloud.com/zonatapes/sets/genesis-hull-who-feels-it

Deep Magic - Reflections Of Most Forgotten Love [Preservation 2013]
#Ambient #Drone #NewAge
https://soundcloud.com/experimedia/deep-magic-reflections-of-most


What’s SOCIUS(ソキウス)? - ele-king

 熱量120パーセントで臨むアニソン・ライヴ・イヴェント、個人のペースで楽しむアニソンDJイヴェント。両方のよさを取り入れ、アニメと音楽の新しい「場所」を提案するパーティが立ち上がるようだ。その名は〈socius(ソキウス)〉。ライヴとクラブのよさがあるということは、ライヴとクラブのいずれかに苦手意識のある人にもやさしいということ。お目当てのアニソン・アーティストがいる人も、なんとなくアニメと音楽があるハコでまったり過ごしたいという人も、両者気持ちよくて楽しい空間を作れたら……という、これはひとつの実験でもあるだろう。縁日に出かけるように、高揚感と気楽さとをともに味わいたい。

■SPACE SHOWERが切り取るオタク音楽カルチャーイベント
“SPACE SHOWER SOCIUS” (スペースシャワー・ソキウス)

オカエリナサイ。めんどうくさいみなさん。
SPACE SHOWER SOCIUS は、スペースシャワーネットワークのごく一部の人間が画策する、オタク「仲間」で、思いっきり気軽に音楽を楽しむことができる「お祭り」です。
誰も楽しみ方を押し売りしません。
お酒を飲んでも・飲めなくても、
踊れても・踊れなくても、
友達がいても・いなくても、大丈夫。

素敵なアニソンDJとライブで楽しくやりましょう??

出演:
(メインフロア)
黒崎真音/天誅ガールズ/米澤円/DJ WILDPARTY/吉田尚記/D.watt/KITUNE/お父ちゃん。/すーすけ
(ラウンジフロア)
DJ 和/沙P/DJ シーザー/ありぃ/いわたか/O'tk Sound

開催日時
2015 年 2 月 7 日(土) 開場/開演 15:00/16:00

会場
渋谷 WWW (東京都渋谷区 宇田川町 13-17 ライズビル地下)

チケット
https://spaceshowersocius.jp/ticket.html

主催
株式会社スペースシャワーネットワーク

企画協力
すぺしゃアニ研

制作協力
H.U.Create.,LLC.

公式サイト
https://spaceshowersocius.jp/index.html

問い合わせ
info@spaceshowersocius.jp ※11:00~19:00
EVENT PURPOSE

What's “SOCIUS” ?
SOCIUSとは?

SOCIUS = ソキウスと読みます。
・ラテン語で「仲間」、「濃い仲間=結社的な仲間」という意味です。
・アニメやアニメにまつわる音楽、映像等が大好きな人たちが、“ソキウス”となって、踊り、歓声を上げ、共感を露わにできる、楽しいパーティーイベントにしたいと考えて、この名前にしました。


ANDY STOTT Japan Tour 2015 - ele-king

 AFXの最新EPが先週末出た。評価された作品のすぐあとに出される作品の多くはコケるものだが、AFXは「やっぱすごいわ」と唸らせた。アンディ・ストットの『Faith In Strangers』は大評価された『Luxury Problems』のすぐあとの作品ではないが、前作が大きなインパクトだっただけに、アーティストの真価が問われる作品ではあった。『Faith In Strangers』は、「やっぱすごいわ」とファンを唸らせた。紙エレキングの年間ベストの7位である。2014年はミリー&アンドレアとしての『Drop The Vowels』もあった。こちらは紙エレキングの13位である。
 『Faith In Strangers』は、FKAツイッグスや下手したらビョークの新作ともリンクしそうなほど、彼の拡張する音楽をみせている。パワフルなベースの響きと妖艶なポップ・センスが彼の新しいライヴセットでどのように再現されるのか、注目したい。

2015.2.13 friday @ 東京 代官山 UNIT
LIVE: ANDY STOTT (MODERN LOVE, UK), STEVEN PORTER (10 LABEL)
DJ: HARUKA (FUTURE TERROR), Chris SSG (MNML SSGS)
SALOON: Viorhythm / Live: hakobune / DJ: Koba, Yuki Moriyama, medical, maki / VJ: CHRISHOLIC / Art: STONE63, ayanicoco
Open/ Start 23:00-
¥3,500 (Advance), ¥4,000 (Door)
Ticket Outlets: LAWSON (L: 78755), e+ (eplus.jp), disc union CMS (渋谷, 新宿, 下北沢), TECHNIQUE, Clubberia Store, RA and UNIT
Information: 03-5459-8630 (UNIT) www.unit-tokyo.com
You must be 20 and over with photo ID.

2015.2.14 saturday @ 大阪 心斎橋 CIRCUS
LIVE: ANDY STOTT (MODERN LOVE, UK)
DJ: DJ: Kihira Naoki (S.I), Ooshima Shigeru (S.I, Mobbin hood), AIDA (Factory, Copernicus), Masahiko Takaeda (RÉCIT RECORDS)
Open/ Start 22:00-
¥2,500 (Advance, Members), ¥3,000 (Door)
Ticket Outlets: e+ (eplus.jp) または info@circus-osaca.com までお名前と枚数をお送り下さい。
Information: 06-6241-3822 (CIRCUS) www.unit-tokyo.com
You must be 20 and over with photo ID.


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