「IO」と一致するもの

Bon Iver - ele-king

 前作『i, i』から早6年。ウィスコンシンのシンガーソングライター、ジャスティン・ヴァーノンによるプロジェクト、あるいはライターの木津毅が心の底から愛しているボン・イヴェールがひさびさにアルバムをリリースする。昨秋発表されたEP「SABLE,」の延長にあたるそれは『SABLE, fABLE(漆黒、寓話)』と題され、ヴァーノンの新たな一歩を刻んだ1枚に仕上がっているようだ。4月11日、おなじみの〈Jagjaguwar〉から発売。新曲 “Everything Is Peaceful Love” が2月14日の24時に公開されるようなので、まずはそれを待機しておきたい。

ボン・イヴェール、6年ぶりとなるニュー・アルバム『SABLE, fABLE(セイブル、フェイブル)』を2025年4月11日、Jagjaguwarよりリリース。

2月14日(日本時間:2月15日 0:00)、シングル/ビデオ「Everything Is Peaceful Love」を公開。

Justin Vernonはページをめくり、Bon Iverの次の章、エピローグを始める。4月11日にJagjaguwarからリリースされる『SABLE, fABLE』は、このプロジェクトにとって6年ぶりのアルバムであり、瑞々しく輝くポップ・ミュージックに乗せたラヴストーリーが収録される。昨年秋にリリースされた3曲入りのEP『SABLE,』EPから始まるこのアルバムは、1人が2人になり、闇がサーモン色の美しさに変わり、悲しみが抑えきれない喜びに変わる、9曲からなる新たなサガ(物語)へとシームレスに展開していく。『SABLE,』が、長い間過去を決定づけていた痛みとの決別という希薄で孤独なものであったのに対し、『fABLE』は、パートナー、新しい思い出、おそらくは家族といった、光と目的と可能性に満ちた活気ある未来を見つめている。
4月11日のリリースに先駆けて、Bon Iverは今年のバレンタインデーに「Everything Is Peaceful Love」で正式に『fABLE』時代に突入する。このシングルは、HBOの『How To with John Wilson』の映像作家、John Wilsonが撮影/編集したミュージック・ビデオとともにリリースされる。
Justin VernonとJim-E Stackによってプロデュースされた『SABLE, fABLE』は、主にウィスコンシン州にあるVernonのApril Baseでレコーディングされた。このアルバムのコンセプトは、2.22.22(2022年2月2日)にStackがDanielle Haimを連れてApril Baseに到着したときに生まれた。雪に覆われた数日間、VernonとHaimの声は「If Only I Could Wait 」で交錯した。このデュエットは、「新しい愛の輝きの外では、自分自身の最高のバージョンになる強さを持っていない」という重要な視点を持ったデュエット曲である。
もし『SABLE,』がプロローグなら、『fABLE』は本である。しかし、ひとつになった『SABLE, fABLE』はアルバムであり、おとぎ話ではない。夢中になること、そしてそれがこれらの曲にもたらす強烈な明晰さ、集中力、正直さ、祝福には、紛れもない癒しがあるのかもしれない。「Everything Is Peaceful Love」は、恋に落ちる相手に出会って幸福感に打ちひしがれる男の肖像である。しかし、『SABLE,』の影はまだ迫っており、リセットして再出発しようと努力しても、古い感情が戻ってくることがある。
寓話のように、各トラックは教訓を植え付ける。『fABLE』は、他者や恋人と関わるときに必要とされる無私のリズム、つまり、より良くなるためのペースを見つけるための忍耐強いコミットメント、そして一体感について歌っている。『i,i』や『22, A Million』でJustin Vernonの声を守っていた、回避的で濃密な音の層はもうない。『SABLE, fABLE』は、真実を剥き出しにしたキャンバスなのだ。
Justin Vernonは2月21日、ピーボディ賞(アメリカのテレビやラジオ、ウェブサイトなどの放送作品に贈られる賞)を受賞した放送作家で、ナショナル・ヒューマニティーズ・メダリスト、そしてニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー作家であるKrista Tippett(The On Being Project)との多方面にわたる対談で、『SABLE, fABLE』についてさらに語る予定だ。ニューヨークのブルックリンで開催されるOn Air Festの最後を飾るこの対談で、2人は音楽、癒し、その他の中心的な問題について語り合う。また、インタビューの音声はKCRWのインターネット・ラジオ放送でライブ・ストリーミングされる。

01. THINGS BEHIND THINGS BEHIND THINGS
02. S P E Y S I D E
03. AWARDS SEASON
04. Short Story
05. Everything Is Peaceful Love
06. Walk Home
07. Day One (feat. Dijon and Flock of Dimes)
08. From
09. I'll Be There
10. If Only I Could Wait (feat. Danielle Haim)
11. There's A Rhythmn
12. Au Revoir

【BON IVER/ボン・イヴェール】
ウィスコンシン州出身のシンガー・ソング・ライター、Justin Vernonのソロ・プロジェクトとして始まったBon Iverは、2008年にデビュー・アルバム『For Emma, Forever Ago』をリリース。世界中の音楽メディア、批評家、アーティストから絶大な指示を獲得した。また、同年のEP『Blood Bank』収録曲「Woods」は、後にKanye Westにサンプリングされ話題となる。2011年のセカンド・アルバム『Bon Iver, Bon Iver』はPitchforkで9.5/10点を獲得し、全米2位/全英4位を記録。2012年には、第54回グラミーでは最優秀新人賞と最優秀オルタナティヴ・ミュージック・アルバム賞を受賞した。2016年のサード・アルバム『22, A Millian』は、全米/全英チャートで2位を記録し、世界各国のチャートで軒並み上位にランクイン。2019年には目下の最新作『i,i』をリリースした。その独創的でユニークなアプローチや表現は、作品を出す毎にメインストリームにまで影響を与える。

Music for Black Pigeons - ele-king

 2010年代後半以降、〈ECM〉から多くの作品を発表しているデンマークのジャズ・ギタリスト、ヤコブ・ブロ。さまざまな音楽家とセッションを繰り広げてきた彼を14年間にわたって撮影しつづけたドキュメンタリー映画が公開されることになった。題して『ミュージック・フォー・ブラック・ピジョン ――ジャズが生まれる瞬間――』。監督は、一昨年『ラース・フォン・トリアーの5つの挑戦』が話題となったデンマークの巨匠、ヨルゲン・レス。撮影中に逝去したリー・コニッツやポール・モチアンといった音楽家による最後の演奏も記録されている。さらに、高田みどりも出演しているようです。
 映画は2月28日よりヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル池袋、アップリンク吉祥寺ほかにて、順次全国公開予定。前売り券も発売中です(https://www.major-j.com/cinema_information.php?id=M69113590023)。

[3月4日追記]
急遽イベントが決定しています。主演のジャズ・ギタリスト、ヤコブ・ブロさんとライターの原雅明さんによる上映後トーク・イベントで、下記の2回を予定。ぜひ足をお運びください。

①アップリンク吉祥寺 3月8日(土)13:20~の回
②ヒューマントラストシネマ渋谷 3月9日(日)12:00~の回

[作品概要]
ミュージック・フォー・ブラック・ピジョン ――ジャズが生まれる瞬間――
(原題:Music for Black Pigeons)
監督:ヨルゲン・レス、アンドレアス・コーフォード
字幕:バルーチャ・ハシム
2022年/デンマーク制作/92分/
出演:ヤコブ・ブロ、リー・コニッツ、ポール・モチアン、ビル・フリゼール、高田みどり、マーク・ターナー、ジョー・ロヴァーノ、ジョーイ・バロン、トーマス・モーガン、マンフレート・アイヒャー、他
配給:ディスクユニオン

オフィシャルURL: https://www.musicforblackpigeons.com/
予告編リンク:https://youtu.be/WL1P7Sv6AJM

guide to DUB - ele-king

 大変ご好評いただいている河村祐介(監修)『DUB入門』、その波はいまだとどまることを知らず。京都にて同書をフィーチャーしたイベントが開催されることになりました。2月21日、京都WEST HARLEMにて、半分はトーク・ショウ、もう半分はパーティという構成です。お近くの方はぜひお越しください。
 なお『DUB入門』、オンラインでは一部入手しづらい状況にありますが、全国の書店にはまだ在庫があります。気になる方は書店で探してみてください。

FRI 21 FEB
【W×H SOCIAL CLUB ft.DUB入門】

@京都WEST HARLEM

①Talk Show
7PM
1,000JPY
河村裕介、小野真、Kotsu

②PARTYTIME
10PM
DOOR 2,000JPY
Under 23 1,000JPY
(+1D for All entrance fees)
Live:
G Version Ⅲ


DJ:
河村裕介、kotsu、Naco、Vis
ykah
Flyer Desing:
Kotsu

Panda Bear - ele-king

 アニマル・コレクティヴのパンダ・ベア(ノア・レノックス)、近年はソニック・ブームとの共作も記憶に残る彼だけれど、ひさびさのソロ・アルバムの登場だ。前作『Buoys』から5年ぶりですな。発売は2月28日、おなじみの〈Domino〉から。現在新曲の “Ends Meet” が公開中です。ちなみに今回のリリースにあたって、先行シングル「Defense」のB面でプロダクションに参加していたOPNことダニエル・ロパティンがコメントを寄せている。詳しくは下記より。

Panda Bear

パンダ・ベアの5年ぶりとなる待望の新作
『Sinister Grift』より新曲「Ends Meet」を公開!
また、購入者先着特典としてポスターをプレゼント!

アニマル・コレクティヴの中心メンバーであり、稀代のメロディー・メイカーとして知られるノア・レノックスのソロ・プロジェクト、パンダ・ベアが、2月28日に〈Domino〉からリリースされる最新アルバム『Sinister Grift』より最後の先行シングル「Ends Meet」を解禁した。

「Ends Meet」では、アニマル・コレクティブのエイヴィ・テア (Avey Tare)とジオロジスト (Geologist)による演奏がフィーチャーされており、マリア・レイス (Maria Reis)とスピリット・オブ・ザ・ビーハイブのリヴカ・ラヴェデ (Rivka Ravede)がバックボーカルを務めている。

Panda Bear - ‘Ends Meet’
Youtube https://pandabear.ffm.to/endsmeet-yt
配信リンク  https://pandabear.ffm.to/endsmeet

アルバムからはこれまでに「Ends Meet」のほか、アルバム発表に合わせて解禁された先行シングル「Defense」と、2024年最も話題を集めたアーティストの一人、シンディ・リーがギターで参加している「Ferry Lady」の3曲が解禁されている。また、本日からトロ・イ・モアとのダブル・ヘッドライナー公演を含むUSツアーがスタートする。

アニマル・コレクティヴでドラマー兼ヴォーカリストとしてデビューしてから20年、ノア・レノックスはこれまでに様々なスタイルを通して作品を生み出し続け、またアニコレ作品やソロ作品以外にも、多くに愛される音楽作品に数多く携わってきた。そのため、彼の創造的ビジョンの一貫性は時に見過ごされてしまうこともあるが、2007年のソロ・アルバム『Person Pitch』や、2015年の『Panda Bear Meets the Grim Reaper』といった重要な作品から、アニマル・コレクティヴでのブレイクスルーとなった2004年の『Sung Tongs』や2009年の『Merriweather Post Pavilion』、さらにはダフト・パンク、ソランジュ、ディーン・ブラント、パラモア、ジェイミー・エックス・エックスらとの革新的なコラボレーションに至るまで、彼の作品は一貫して明確な軸を持ち、世代もジャンルも超えて、多くのアーティストに影響を与えてきた。

『Sinister Grift』は、5年振りとなるパンダ・ベアのソロ・アルバムで、これまでのキャリアの集大成でありながら、革新性も備えた作品となっている。彼のソロ作品は、深い悲しみを表現したものから、カラフルでエレクトロニックな大作まで様々だが、これほど温かく、即時的なサウンドはこれまでになかった。ポルトガルの自宅スタジオでアニマル・コレクティヴのバンドメイトであるディーケンことジョシュ・ディブと共に制作作業を行い、パンダ・ベアがあたかもオールドスクールなロック・アンサンブルに変貌したかのような新作を完成させた。ほぼ全ての楽器を自身で演奏しつつも、前述のシンディー・リーやスピリット・オブ・ザ・ビーハイヴのリヴカ・ラヴェデといった同志が集い、またソロ作品としては、アニマル・コレクティヴの他のメンバー全員が参加した初のアルバムとなっている。

美しいちょっとした悪夢も垣間見られるクラシックなロック・ドリームだ - ダニエル・ロパティン
僕たちが一緒に作り上げたこの作品に非常に誇りを持っているよ。『Sinister Grift』は、30年以上知っているソングライターの姿を感じさせながら、同時にノアにとって新しいチャプターのようにも感じる。完成した作品にはこれ以上ないほど誇りを感じている。 - ジョシュ “ディーケン” ディブ (アニマル・コレクティヴ)
こんな暗い時代には、人生を乗り切るための音楽が必要だ。パンダ・ベアはその魔法を持っていて、彼の声はこの世界を癒す薬のように感じる。ノアが私たちに贈ってくれた『Sinister Grift』で、リラックスすることができるし、ビーチの近くにいる気になるよ。 - DJファルコン
『Sinister Grift』は美しいアルバムだ。全てが本物で自然な音に聞こえ、まるでそれが常に存在し続けているかのように感じる。真実であり、タイムレスな作品だ。 - アラン・ブレイクス

パンダ・ベアの最新アルバム『Sinister Grift』は、CD、LP、デジタル/ストリーミング配信で2025年2月28日に (金)に世界同時リリース。国内盤CDには、ボーナストラック「Virginia Tech」が追加収録され、歌詞対訳と解説書が封入される。LPは通常盤(ブラック・ヴァイナル)に加え、限定盤(キュラソー・ブルー・ヴァイナル)も発売される。 また、全形態を対象に先着特典でポスター(A2サイズ)の配布が決定!


先着特典ポスター

label: Domino / Beat Records
artist: Panda Bear
title: Sinister Grift
release: 2025.2.28.
Tracklisting:
01. Praise
02. Anywhere but Here
03. 50mg
04. Ends Meet
05. Just as Well
06. Ferry Lady
07. Venom's In
08. Left in the Cold
09. Elegy for Noah Lou
10. Defense
11. Virginia Tech *Bonus track
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=14474

Waajeed - ele-king

 1年と少し前、CIRCUS Tokyoで体験したワジードのDJはほんとうにすばらしかった。その感動をふたたび味わえる日がこんなに早く来ようとは、僥倖以外のなにものでもあるまい。2023年朝霧ジャム出演以来の再来日、今回は名古屋(3/1@CLUB MAGO)、東京(3/7@CLUB ASIA)、京都(3/8@CLUB METRO)の3都市をまわる。前回都合がつかなかった方は、今回こそは見逃せませんよ!!
 なお、前回来日時に取材したワジードのインタヴューはこちらから。とてもいい話をしてくれているのでぜひご一読を。

WAAJEED JAPAN TOUR 2025

3.1 (Sat) CLUB MAGO, Nagoya

Main Floor
DJ
WAAJEED
Williams (Conomark, Taihei)

LIVE
OBRIGARD
Ramza
Goemon

Second Floor
MAKOSSA BOYS
GAL
Taiyo Maruyama
DJ KANBE

Food
Island Service

Open 22:00
ADV 3,000yen Ticket on Sale club-mago.zaiko.io/item/369387
DOOR 4,000yen

Info: Club Mago http://club-mago.co.jp
名古屋市中区新栄2-1-9 雲竜フレックスビル西館B2F Tel 052-243-1818

3.7 (Fri) CLUB ASIA, Tokyo
- THE HOUSE TOKYO -
Waajeed Japan Tour 2025
&
clubasia 29th anniversary

-MAIN FLOOR-
dj:
WAAJEED (Dirt Tech Reck / from Detroit)
Toshiyuki Goto
桑田つとむ a.k.a. DJ QUIETSTORM
conomark

live:
TOSH7

Vj:
Peeping Tom & Big! a.k.a. Sumokings
VIDEOGRAM

-2F FLOOR-
dj:
Kaori Ichikawa
Kentaro TT
Leo Gabriel
and more...

-1F BAR FLOOR-
dj:
Bungo
and more...

Open 23:00
Door 4,300yen + 1Drink
ADV 3,300yen + 1Drink *TICKET → zaiko https://cultureofasia.zaiko.io/buy/1yar:EwS:eaef4

Info: Club Asia https://clubasia.jp
東京都渋谷区円山町1-8 Tel 03-5458-2551

3.8 (Sat) CLUB METRO, Kyoto
- Jazzy Sport Kyoto 7th Anniversary × WAAJEED JAPAN TOUR 2025 -

SPECIAL GUEST DJ:
WAAJEED

DJs:
MASAYA FANTASISTA & MIKEY VAROT (Jazzy Sport)
YUKARI BB (Jazzy Sport Kyoto)
SHUN145 (Jazzy Sport Kyoto)
SHUNPURI (Club Metro)
PICHUU (Hatake Junkie)

VJ:
HSMR
mahiro

Pop up:
HATAKE JUNKIE

Food:
HIGETACO

Open 22:00
早割¥2,500 ドリンク代別途 [受付期間:1/21~1/24 23:59迄]
前売¥3,000 ドリンク代別途 e+ ( https://eplus.jp/sf/detail/4253530001-P0030001 )
当日¥3,500 ドリンク代別途

Info: Club Metro https://www.metro.ne.jp
京都市左京区川端丸太町下ル下堤町82 恵美須ビルB1F Tel 075-752-4765

Waajeed (Dirt Tech Reck / from Detroit)
Waajeed (ワジード)ことRobert O'Bryantはミシガン州デトロイト出身のDJ、プロデューサー、アーティスト。
10代の時、デトロイト・ヒップホップを代表するグループ、Slum VillageのT3、 Baatin、J Dillaと出会い、DJやビートメイカーとしてSlum Villageに参加する。
奨学金を得て大学でイラストレーションを学ぶ時期もあったが、Slum Villageのヨーロッパツアーに同行した時に、音楽を生業とすることを決めたという。
2000年にはSaadiq (Darnell Bolden)とPlatinum Pied Pipersを結成し、ネオソウルやR&B色強いサウンドを打ち出した。Platinum Pied Pipersとして、Ubiquityよりアルバム『Triple P』、『Abundance』がある。2002年からレーベルBling 47を主宰し、自身やPlatinum Pied Pipersの作品の他、 J DillaのインストアルバムJay Dee Vol. 1: Unreleased や Vol. 2: Vintageをリリースしている。
2012年、レーベルDIRT TECH RECKを立ち上げ、より斬新なダンスミュージックサウンドを追求している。
Mad Mike Banks、Theo Parrish、Amp Fiddlerとのコラボレーションを経て、2018年、Waajeedとしてのソロアルバム『FROM THE DIRT LP』を完成させた。
2019年、デトロイトでより多くの人々がアンダーグラウンドミュージックの制作ができるように、DTM、DAWでの音楽制作を中心としたワークショップコミュニティ、Underground Music Academy (UMA)を設立する。
2022年、最新アルバム『Memoirs of Hi-Tech Jazz』をドイツテクノ名門、Tresorから発表。

Kendrick Lamar - ele-king

アメリカンドリームに慎重ながらも楽観的:ケンドリック・ラマーの『GNX 』(2024年)

 昨年の秋、ケンドリック・ラマーのサプライズ・リリース『GNX』は、カリフォルニア出身のラッパーがヒップホップ界の勝者であることを決定づけた。このアルバムは、ラップというジャンル自体について語り、同時に、この情熱的で重要な作品についても多くを物語っている。

 日本でも、ラップの起源やその文化はほとんど神話となって広く知られている。人種的、経済的に疎外された人びとが楽曲をリミックスし、パフォーマンスを通じてコミュニティを形成し、アメリカの都市の裏通り——ブロンクスからシカゴ、ロサンゼルスからマイアミなどなど——から、ときに社会への怒りも表現した。しかしながら、ヒップホップがアメリカ(そして世界中)で主流文化となるにつれ、このジャンルの枠組みやルールは変容している。かつては協力関係やコミュニティを基盤としていたものが、いつしか競争と個人主義を中心とするものになったのだ。

 ある意味ヒップホップの進化は、いわゆる「アメリカンドリーム」というパラドックスを象徴している。この「アメリカンドリーム」もまた、「アメリカでは努力さえすれば何でも達成できる」と約束するという、世界中で知られるほぼ神話的な概念である。だが、実際のところそれはどうだろうか? アメリカでは、資本主義が民主主義と混同されることがしばしばある。この「自由の国」では「お金で投票している」と言われているが、まさに先日の、ドナルド・トランプがイーロン・マスク、ジェフ・ベゾス、マーク・ザッカーバーグといった火星行きの取り巻きを従えて1月20日に大統領に就任した時点で、私たち99%の人びとはこれらの億万長者を打倒するための民主的な力を十分には持っていなかったことが明らかになった。

 アメリカでは、金は「何を成し遂げられるか」という点で価値を持つと考えられる一方で、それ自体が目的になっている。一部の人びとにとっては、金で買えるものよりも、どれだけの額を蓄えられるかのほうが重要なのだ。このことが、なぜラップ文化が主流の商業商品として地位やお金への執着に取りつかれているのかを説明しているように思える。それは、カニエ・ウェストが“The Good Life”で「人生でいちばん大切なものは無料のものだ」と主張していたのにもかかわらず、“I Am A God”では「早くクロワッサンを持ってこい」と怒鳴るようになった理由でもあり、また、ジェイ・Zが「俺はビジネスマンじゃない、ビジネスそのものだ」とラップしたことにもつながるだろう。

 しかし、『GNX』では──ドレイクやその「ロリータ・コンプレックス」に向けた一連のディス・トラック、さらにはP・ディディの醜悪な性的スキャンダルを経て──ケンドリックはラップを使ってこのジャンルが象徴するものへの反旗を翻している。彼はライヴァルたちを、ラップの純粋性を損ねる敵として位置づけ、このアルバムを通じてジャンルの喪失を嘆きつつも祝福し、あるいはその回復を求めているのだ。冒頭の“Wacced Out Murals”という曲において、このメッセージをすぐさま打ち出されている。ここでケンドリックは「みんな怪しい」と宣言し、リル・ウェインやスヌープ・ドッグ(「古臭いフロウ」と批判)など一部のラッパーを名指しで非難する一方で、ドレイクに対してはより間接的に、しかしアルバム全体を通して繰り返し批判を展開している。

 『GNX』には、「White Lives Matter」以前のカニエを思わせる感覚が随所に見られるように思う。まだ彼がプラットフォームをポジティヴな目的で使おうとしていた頃の話だ(『Graduation』の“Everything I Am”で、カニエはこう宣言している——「普通ならこんなことラップしないだろうけど、俺にはこれを裏付ける事実がある/去年だけでシカゴでは600以上の棺桶が必要だった/殺しなんてくだらないクソだ」)。ほかにも、アルバム全体を通じて、キリスト教的な救済のテーマが強く感じられるほか、“Man at the Garden”という楽曲では自分自身への賛辞(「俺にはすべての価値がある」)と、母親への感謝(「そうさ、彼女にはすべての価値がある」)という、カニエ風のオマージュさえも垣間見える。
 しかし、ケンドリックとカニエ、さらには他の現代ラッパーとの違いは、ケンドリックが名声と権力の誘惑に負けなかった点にある。彼はいまもなお、自分の地位を使って「より良いもの」を求めるメッセージを伝え続けている。アルバムの白眉ともいえる“Reincarnated”では、エゴと謙虚さ、そして権力や金銭の誘惑との間で揺れる古典的な葛藤を、驚くほど正直に探求している。ケンドリックは、自らを過去の偉大な黒人の系譜に位置づけ、「俺の人生を捧げて調和のなかで生きることを誓う/多くの人びとは苦しみ、思いは閉じ込められている/そんな敵を俺が作り出してしまったことを恥じている/さあ、いまいる場所を喜び合おう/悪魔の物語を書き直し、俺たちの力を取り戻すために、生まれ変わった」と宣言しているのだ。

 音楽的に見ると、『GNX』は華麗でありながら簡素という二面性を持ち合わせている。これは、成功の頂点に立つ人生の豊かさと孤独感、そして大きな力を持つことに伴う孤立した責任を見事に捉えているように思える。不規則なリズムやケンドリック特有のキャラクターになりきる能力に乗せられて、アルバムの音楽的印象を際立たせるのが、全編を通じて織り込まれた、無名の歌手によるマリアッチのヴォーカルだ。このメキシコ音楽が、ドナルド・トランプが2期目の大統領職に就いてから1週間足らずの状況ではとくに心に響く。その間に、トランプは大量の不法移民を国外追放する計画を公表し、メキシコ湾を「アメリカ湾」に改名することを示唆した。
 とはいえ、こうした歌詞の内容を超えて、『GNX』は包括性へのラヴレターと言えるだろう。これは個人ではなくコミュニティを、個人主義ではなく協力関係を慎ましく祝福する作品なのだ。アメリカは夢見る者たちの国であり、異なる文化の断片がひとつの全体として結集するという実験でもある。ここでは物事は複雑で混沌とし、騒々しく、押しつけがましく、何ひとつ予定通りには進まない。ときには暴力的なこともある。そして、フルタイムで働いても請求書の支払いに苦労し、漫画に出てくるような悪党たちに支配されている政治現状では、「アメリカンドリーム」は悪い冗談でしかない。

 ケンドリックの『GNX』は、慎重ながらも楽観的な祈りのように感じられる。たしかに状況は最悪だ。が、そう、だからこそいまは、正直になって過去の過ちから学び、アメリカのみならずこの世界をより良い場所にするため、私たちに与えられた力を何であれ使うべきときなのだ。

Cautiously Optimistic for the American Dream: Kendrick Lamar’s GNX (2024)

Last fall, Kendrick Lamar’s surprise release GNX cemented the California-based rapper as the winner of the hip-hop game — which says as much about the genre of rap itself as it does about this blistering, important album.

Even in Japan, rap’s origins are so well-known as to be almost mythical: the racially and socio-economically disenfranchised remixing songs, creating communities through performance, and raging against the machine in the back alleys of America’s inner cities — from the Bronx to Chicago to LA. But as hip-hop went mainstream in the US (and around the globe), the parameters of the genre — and the rules of its game — morphed from a foundation of collaboration and community to one of competition and individualism.

In a sense, hip-hop’s evolution represents the paradox of the so-called “American Dream”: another near mythical concept known around the world which promises that you can achieve anything in the USA, so long as you work hard enough. In actuality, though, capitalism is conflated with democracy in America. Here in the “Land of the Free,” we’re told that we “vote with our dollar”— although since Donald Trump was sworn in as president on January 20th with his Mars-bound henchmen of Elon Musk, Jeff Bezos, and Mark Zuckerberg in tow, it’s clear that we 99% didn’t have enough democratic capital to to overthrow the billionaires...

In America, then, money might be coveted for what it can do for us, but often ends up becoming the goal in and of itself. To some people, what money can buy you isn’t as important as how much money you can accumulate. I can’t help but think that this is why rap culture, as a mainstream commodity, is so status and money-obsessed. It explains why Kanye West went from reminding us that the best things in life are free on “The Good Life” to barking at people to hurry up with his damned croissant on “I Am A God.” It’s why Jay-Z rapped, “I’m not a businessman, I’m a business, man.”

But on GNX — fresh off a series diss tracks aimed at Drake and his Lolita- complex, and the hideous sex scandal surrounding P. Diddy — Kendrick uses rap to fight against what this musical genre has come to represent. He frames his rivals as opponents of rap’s integrity, which the album both mourns and celebrates— perhaps even demands. He wastes no time establishing this message, either. On the opening track of “wacced out murals”, Kendrick declares that “everybody questionable,” and calls out some rappers explicitly (like Lil Wayne and Snoop Dog, the latter with his “old-ass flows”), and others — specifically Drake — more implicitly, and repeatedly throughout the entire album.

Aspects of GNX have a distinct feel of pre-White Lives Matter Kanye, when he tried to use his platform for positivity (“I know people wouldn’t usually rap this,” Kanye pronounces on Graduation’s “Everything I Am,” “But I got the facts to back this / Just last year, Chicago had over six hundred caskets / Man, killing’s some wack shit”). There’s strong themes of Christian redemption throughout the album as well, and even a decidedly Kanye-esque homage to both himself (“I deserve it all”) and his mother (“Yeah, SHE deserves it all”) with “Man at the Garden.” The difference, though, between

Kendrick and Kanye— and other rappers of our time— is that Kendrick didn’t fall prey to the siren song of fame and power. He continues to use his status to preach for something better. Perhaps the crown jewel of the album, “Reincarnated” investigates the age-old struggle between ego and humility, and the temptation of power and money, with stunning honesty. Inserting himself into a lineage of Black greats before him, Kendrick promises: “I vow my life to just to live one in harmony now/ You crushed a lot of people keeping their thoughts in captivity/ And I’m ashamed that I ever created that enemy/ Then let’s rejoice where we at / I rewrote the devil’s story just to take our power back, reincarnated.”

Musically, GNX is at once ornate and spare, which captures the lush loneliness of life at the top, and the isolating responsibility that comes with great power. Against some off-kilter rhythms and Kendrick’s signature ability to get into character, though, GNX’s musical stamp might be the Mariachi vocals from a previously unknown singer woven throughout the album. This Mexican music is especially haunting in Donald Trump’s second presidency, which less than a week in promises to deport undocumented people en-mass, and rename the Gulf of Mexico the Gulf of America. Beyond its lyrics, then, GNX is a love-letter to inclusion: a solemn celebration of community over individual, and collaboration over individualism.

America is a nation of dreamers, and is an experiment in separate cultural pieces coming together as a whole. It’s complicated and messy here. It’s loud, it’s in-your-face, nothing runs on time. Sometimes it’s violent. And while the American Dream may seem like a bad joke as people struggle to pay bills working full-time jobs, and while our politics are overrun by comic book-levels of villainy, I dare say that Kendrick’s GNX is a cautiously optimistic prayer. Yes, this is the shit show we’re in, but now is the time to get honest, learn from our mistakes, and use whatever power we may to make something better— in America and beyond.

Brian Eno & Peter Chilvers - ele-king

 先日、観るたびに内容が変わるドキュメンタリー『ENO』の公開が話題となったブライアン・イーノ。映画にまで「ジェネレイティヴ=自動生成」を導入するその徹底ぶりには脱帽させられるけれど、彼が長年にわたり探求してきたそのアイディアのひとつの到達点が、ピーター・チルヴァースとともに開発した2008年のiOS用アプリ「Bloom」だった。
 基調音と最低限の音素材が流れるなか、ユーザーが画面をタップするとそれに応じて新たにサウンドが加えられていくというインタラクティヴなそれは、2018年にARインスタレーション「Bloom: Open Space」へと発展、同年には10周年記念ヴァージョン「Bloom: 10 Worlds」も発売されている。
 その「Bloom」をスタジオ作品として再構築したのが、去る1月31日に配信開始となった『Bloom: Living World』だ(ちなみに、ややこしいが、同作を5分34病の長さにエディットした曲が “Bloom: Small World” で、ようは先行シングルみたいなものだろう、こちらはすでに昨年10月、Amazon Music Originalsでリリースされていて、今回その他のサーヴィスでも解禁されることになった)。
 まあようするに、二度とおなじ体験ができないサウンドをひとつのかたちに固定した『Bloom: Living World』は、イーノの新しいアンビエント・アルバムとして楽しむこともできますよ、と。いまのところYouTube、Spotify、Apple Music、Amazon Musicなどのサーヴィスで試聴可能、ぜひお試しあれ。

Bloom: Living World (Video Edit)

Bloom: Recorded 4th June 2024

BRIAN ENO

ブライアン・イーノとピーター・チルヴァースが開発したジェネレーティブ・ミュージック・プレーヤー「Bloom」がスタジオ作品『Bloom: Living World』としてすべてのデジタル音楽サービスで配信スタート!

ジェネレイティヴ・ミュージックとアンビエント・ミュージックのパイオニアであるブライアン・イーノは、スマートフォンが新しく登場した時にスマートフォン・アプリがもたらす可能性を即座に見抜いた。2008年、彼はソフトウェア開発者のピーター・チルヴァースと共に、あらゆるスマートデバイスで楽しめるジェネレイティブ・ビジュアル・ミュージック・アプリ「Bloom」を開発。様々な受賞歴もあるこのアプリは、イーノのオリジナルの音楽とビジュアルを活用し、ユーザーは画面をタップするだけで精巧なパターンやメロディーを探求することができる。

発表から16年経っても新鮮さと関連性を保ち続けているアプリはそう多くない。長年にわたり映画やテレビで使用され、新機能が追加されながら進化し、2018年には10周年を記念した拡張版「Bloom: 10 Worlds」が誕生。そして同年には、アムステルダムのThe TransformatorhuisでBloom: Open Spaceが開催された。このインスタレーションは、イーノにとって初となる拡張現実(AR)を用いた試みで、ホロレンズを使用しその場でのジェネレイティブな音楽体験ができるものであった。

Bloom: Living Worldは「Bloom」をスタジオ作品として再構築し、1時間の録音に微妙な音のタッチを加えた楽曲。そして、Bloom: Small Worldは、この体験を5分34秒という簡潔な時間に凝縮している。2024年10月にAmazon Music Originalsとしてリリースされたこの作品は、最初の3ヶ月で1700万ストリーミングを突破し、2025年1月31日にはすべてのデジタル音楽サービスでリリースされる。

音楽に合わせて、同じくアプリから生成されたオリジナル・ビデオ編集が行われ、YouTubeの総再生回数は12万回を超えている。

Brian Eno & Peter Chilvers - Bloom: Recorded 4th June 2024
https://youtu.be/uwfudk4jftI

Brian Eno x Bloom - Bloom: Living World (Video Edit)
https://youtu.be/veLbUg6Uatc

各種リンク
https://linktr.ee/brianeno

ブライアン・イーノは、自身のクリエイティブな人生を描いた新作ドキュメンタリー映画「Eno」の中で、それぞれの楽曲を制作する際のアプローチについて、「新しい世界を創造すること」と考えていると説明している。Bloom: Living Worldでは、このアプローチがエレガントかつシンプルに表現されている。

Teebs - ele-king

 〈Brainfeeder〉のティーブスが約12年ぶりとなる来日を発表している。2月21日(金)に渋谷・WWW Xにて開催されるイベント〈4D with Teebs + Yuma Kishi〉に出演。空間/映像表現にスポットを当てるイベントシリーズ「4D」の特別編として、みずから開発したAIを用いた表現をおこなう現代美術家・岸裕真とのコラボレーションとなるようだ。

 本公演はメイン・フロアの全出演者がオーディオ・ビジュアル・セットでのライヴを披露する特別な内容となり、日本からはDaisuke Tanabe + Reiji Saito、E.O.U + jvnpey、Friday Night Plans + Leo Iizukaが出演し、ヴェテランから新星までが出揃う形となる。また、WWW Xのサブ・フロアとしてしばしば開かれる4階フロアにもさらなる出演者の追加が予定されているとのこと。こちらは後日発表となる。

 前売チケットはすでに発売中。さらなる公演詳細については下記を参照いただきたい。

4D with Teebs + Yuma Kishi

2025/02/21 FRI 17:00 at WWW X
U23 ¥3,000 / ADV ¥3,800 / DOOR ¥4,300 (+1D)
TICKET: https://t.livepocket.jp/e/20250221wwwx

LIVE A/V

Teebs [LA / Brainfeeder] + Yuma Kishi
Daisuke Tanabe + Reiji Saito
E.O.U + jvnpey
Friday Night Plans + Leo Iizuka
(+ 4F FLOOR TBA)

協賛: Cyran

Teebs [LA / Brainfeeder]

 長年にわたりTeebsは完璧なアーティストとしての地位を確立してきた。圧倒的なユニークなスタイルで、彼のアイデアは、エーテルの曇った隠された領域から、媒体を通してキャンバスにまっすぐ流れてくるようだ。プロデューサーとして、また画家としてのスキルを反映した彼のプロジェクトは、完璧な一貫性を持ち、人を彼の創り出す世界に深く引き込む。何層にも重なり、果てしなく瑞々しいTeebsの音楽は、超現実的な方法で心と体に語りかけ、最終的にはリラックスし、好奇心と戸惑いを同時に残す。My Hollow Drumコレクティブ、Dublab、Low End Theoryをルーツに持つTeebsは、ロサンゼルスの音楽界を代表する存在だ。Flying LotusのレーベルBrainfeederのレーベルメイトの協力のもと、彼は間違いなくLA内外から進化し続ける多くの新しいサウンドにインスピレーションを与えてきた。Brainfeederからの2枚のフル・アルバムと1枚のミニ・アルバム、DaedelusやJeremiah Jaeらとの複数のスプリット・アルバムやコラボレーションEP、My Hollow Drumからの2枚の限定CDなど、過去9年間にリリースされた作品には畏敬の念を抱かせている。また、ビートのパイオニアであるPrefuse 73と共にSons of Morningの片割れでもある。

 2010年に絶賛されたデビュー作「Ardour」に続き、Teebsは「Collections」(2011年)、「Estara」(2014年)、そして5年間の活動休止を経て2019年に最新アルバム「Anicca」をPanda Bear (Animal Collective)、Sudan Archives、Ringgo Ancheta aka MNDSGN, Miguel Atwood-Ferguson, Anna Wise等の多くの音楽仲間の協力を得てリリースしている。

https://www.instagram.com/teebs__

1月のジャズ - ele-king

Emile Londonien
Inwards

Naïve

 本誌ムック本の2023年のジャズ・ベスト・アルバムにも挙げたエミール・ロンドニアン。フランスのストラスブールを拠点とするトリオで、マテュー・ドラゴ(ドラムス)、ミドヴァことニルス・ボイニー(ピアノ)、セオ・トリッチ(ベース)という構成。2021年頃から作品エリリースを始め、2023年のファースト・アルバム『Legacy』ではホーン・セクションやシンガーも配し、ロバート・グラスパー的なジャズとヒップホップを融合したスタイルから、よりエレクトロニックでブロークンビーツなどにも接近したスタイルを見せた。同じトリオ形式のゴーゴー・ペンギンなどに比べてさらにクラブ・ミュージック的なアプローチが強く、またヴォーカル作品などでは極めてソウルフルな要素が際立っていた。『Legacy』にも参加したサックス奏者のレオン・ファルも同系のジャズとクラブ・サウンドが融合したアルバム『Stress Killer』をリリースするなど、現在のサウス・ロンドンに呼応するかのようなシーンをフランスで形成している。

 そして、この度『Legacy』に続くセカンド・アルバム『Inwards』がリリースされた。前作に続いてレオン・ファルのほか、ジョウィ・オミシル、ローラン・バルデンヌとフランス人サックス奏者がホーン・セクションを固めるほか、サウス・ロンドンからアシュリー・ヘンリーやシンガーのチェリス・アダムス・ヴァーネットもゲスト参加。アシュリーは昨年リリースしたアルバム『Who We Are』が同じレーベルなので、そうした関係もあって参加したのかもしれない。ブロークンビーツ調のダイナミックなジャズ・ファンクの “Catch The Light”、ダブの影響を感じさせる “Early Days” や “In Motion”、ドラムンベースのビートを取り入れたコズミックな “Inside”、ポエトリー・リーディングを配したディープな “Shades” など、前作以上にジャズとクラブ・ミュージックの融合が進んだ内容となっている。“Crossing Path” のようにホーン・セクションとエレピが絶妙のマッチングを見せるサウンドは、1970年代のハービー・ハンコックやロニー・リストン・スミスあたりのフュージョンを彷彿とさせるところもある。そして、アシュリー・ヘンリーが歌う “Another Galaxy” はR&B的な要素が強く、UKで比較するならジョー・アーモン・ジョーンズからブルー・ラブ・ビーツなどが思い浮かぶアルバムだ。


Ganavya
Daughter Of A Temple

Leiter

 ガナーヴィヤ・ドライスワミーはニューヨーク生まれ、南インドのタミル・ナードゥ州育ちのシンガー/ダブル・ベース奏者/作曲家。祖母がインドのカナルティック音楽の大家で、幼少期から宗教儀式を通じて音楽を学び、即興演奏家、学者、ダンサー、マルチ・インストゥルメンタリストとしての教育も受けてきた。アメリカに戻って大学では演劇や心理学の学位も取得し、民族音楽からコンテンポラリー・パフォーマンスなど芸術を多角的に学んだ。キューバ人ピアニストの名手アルフレッド・ロドリゲスのアルバム『Tocororo』(2012年)に参加して名前を知られるようになり、2018年にファースト・ソロ・アルバム『Aikyam: One』をリリース。エスペランサ・スプルディングの『Songwrights Apothecary Lab』(2021年)では、南インド音楽の専門家としてヴォーカルなどに携わり、同作がグラミー賞に輝くことにも貢献した。また、演劇や映画に関わる音楽活動も多く、ピーター・セラーズ監督の映画『This Body Is So Impermanent…』(2021年)にサントラの作曲で参加している。

 2023年にブラジル出身のギター/ベース奏者/作曲家のムニール・オッスンと共演作『Sister, Idea』を発表し、2024年春にはシャバカ・ハッチングスら南ロンドンのミュージシャンから、カルロス・ニーニョフローティング・ポインツまで参加した『Like The Sky I’ve Been To Quiet』を発表。より幅広いリスナーから注目を集めたガナーヴィヤが2024年末に発表したアルバムが『Daughter Of A Temple』である。ガナーヴィヤはヴォイス、ダブル・ベース、カリンバを担当し、エスペランサ・スポルディング、ヴィジェイ・アイヤー、シャバカ・ハッチングス、イマニュエル・ウィルキンス、ピーター・セラーズほか、音楽家やそうでない人も含め約30名の人たちが声、ダンス、写真などで参加する。なかには故人のウェイン・ショーターも含まれるが、生前の彼の声などをサンプリング素材で用いているようだ。アリス・コルトレーンの “Journey in Satchidananda”、“Ghana Nila”、“Om Supreme”、ジョン・コルトレーンの “A Love Supreme” を取り上げるなど、全編に渡ってアリス&ジョン・コルトレーンに対する敬意や愛情に包まれたアルバムである。シャバカ・ハッチングスをフィーチャーした “Prema Muditha” は、近年の彼が傾倒するアンビエントな世界が展開される。


Raffi Garabedian
The Crazy Dog

RG Music

 ラフィ・ガラベディアンはアメリカ西海岸のベイアリアを拠点とするサックス奏者/作曲家。ホルヘ・ロッシー、ベン・ストリート、デイナ・スティーヴンス、ジョニー・タルボットなどと共演し、ベイアリアの集団即興演奏集団のインセクト・ライフやフリー・ジャズ・グループのスティックラーフォニックでも活動するほか、最近ではクロノス・カルテットのサン・ラー・トリビュート・アルバムにも参加していた。ラフィの祖先は1915年にオスマン帝国でおこなわれたアルメニア人虐殺の生存者の末裔で、彼の祖父母はアメリカへ難民として逃れ、苦難の生活を続けていったのだが、そうした民族の悲しい歴史はラフィの家族へも代々伝えられてきて、このたびリリースした通算3枚目のソロ・アルバム『The Crazy Dog』は祖国アルメニアや彼の家族の歴史を題材としたものとなっている。

 トリオ編成のファースト・アルバム(2017年)、カルテット編成のセカンド・アルバム『Melodies In Silence』(2021年)に対し、『The Crazy Dog』はヴィブラフォン、クラリネット、トロンボーンなどを交えた7人編成の演奏で、より色彩豊かなアルバムになっている。特に重要な点は初めてヴォーカリストを加えた点で、2015年セロニアス・モンク国際ジャズ・ヴォーカル・コンペティションのセミファイナリストに選ばれたダニエル・ウェルツをフィーチャーしている。本作でのダニエルはジャズ・ヴォーカルというよりもヴォイスに近いもので、クラシックの声楽のような要素を感じさせる。ジャズにアルメニア民謡を取り入れたアーティストとしてはティグラン・ハマシアンが有名だが、音楽的に本作はことさらアルメニア的な要素を前面に出すのではなく、基本は西洋音楽としてのジャズの技法に則ったもの。ただ、変拍子のモーダルな “Escape To Erzurum” のメロディなどにはアルメニア民謡の影響も感じられ、ラフィの遺伝子のなかにあるものが顔を出す場面もある。この “Escape To Erzurum” はじめ、西洋音楽の技法である対位法をテーマとした “Contrapuntal Bewilderment”、ほとんどスキャットのみで綴る神秘的な “The American Question” など、ノーマ・ウィンストンやジェイ・クレイトンあたりを彷彿とさせるダニエル・ウェルツのヴォイス・パフォーマンスが印象的だ。


Rowan Oliver
Quickbeam

Soundweight

 1990年代末から2000年代にかけて活動したゴールドフラップは、ポーティスヘッドの再来と評されたこともある男女ペアのエレクトロニック・ユニットだったが、そのゴールドフラップのサウンドを7年間に渡って支えたドラマーがローワン・オリヴァー。プロデューサーでマルチ・ミュージシャンでもある彼は、ゴールドフラップ以外にもプラッド、ポール・オーケンフォールド、スペーサー、アドゥン・トゥ・エックス、マーラ・カーライル、マリリン・マンソン、マックス・デ・ヴァルデナーらの作品に参加し、〈ソウル・ジャズ〉〈ミュート〉〈ワープ〉〈フリーレンジ〉〈プッシーフット〉といったレーベルで仕事をするなど、長年に渡ってUKの音楽シーンで活動してきている。そんなローワン・オリヴァーが初のソロ・アルバム『Quickbeam』をリリースした。

 基本的にローワンが全ての楽器やプロダクションを担当しているが、一部楽器で兄弟のアーロやジェイコブが演奏し、ファンク・バンドのスピードメーターからサックス奏者のマット・マッケイも参加する。スリリングなストリングスを配した “Burning Boat” に代表されるように、1960年代から1970年代にかけてロータリー・コネクションやドロシー・アシュビーなどの作品プロデュースで活躍したリチャード・エヴァンスや、ヒップホップのサンプリング・ソースとして名高いデヴィッド・アクセルロッドなどの作品群を彷彿とさせる。基本的にはドラマーなので、“Wheeling”“Road Of Dreams” のように、ビート感覚に優れたドラムが軸となるジャズ・ファンク、ジャズ・ロック系の作品が中心となるわけだが、“Onwards & Upwards” におけるダークでミステリアスな感覚はトリップホップやダウンテンポなどを通過してきたUKのミュージシャンらしいと言える。

ERA - ele-king

 等身大の目線で都市の生活を歌うラッパー、ERA。その6枚目のアルバム『under the sun』が本日1月22日配信されている。客演には仙人掌、CENJU、anndy toy storeといったベテランから若手までが登場。現在、収録曲 “SWAY IN THE WIND feat. CENJU” のMVがERA自身の運営するHOW LOWのYouTubeチャンネルで公開中だ。リリースを記念してパーカーもWISDOM STOREおよびTRASMUNDOにて発売とのことなので、あわせてチェックしておきましょう。

アーティスト:ERA
タイトル:under the sun
フォーマット:CD / DIGITAL
配信リンク:https://ultravybe.lnk.to/under-the-sun
発売日:2025年1月22日

ERAの2年ぶりとなる6枚目となるアルバム。PAIN、希望、日常をテーマとした全11曲入りのアルバム。エモーショナルなリリックにERA独特のFLOWが乗る。今回はBAYAREA寄りの楽曲が多数収録されている。ERA特有のキャッチーさに華をそえているビートとERA独特のFLOWとの関係性となっていて楽しめる内容となっている。フューチャリングには仙人掌、CENJU、anndy toy storeとベテランや盟友、フレッシュな若手を起用している。アルバムの後半では苦しんでいる人達にたいしてのメッセージがある曲を収録するなど今ままでより幅が広がったERA節を展開している。是非色んな人に聞いて頂きたい。

収録曲 :
01. Favorite Food Prod. by 4thathr33
02. Summertime In The Hood feat. 仙人掌 Prod. by Cedar Law$ & kosy
03. Rooftop Prod. by Major Threat
04. In The Dream feat. anddy toy store Prod. by DJ HIGHSCHOOL
05. Name ERA Prod. by Vis The Kid
06. Swaying In The Wind feat. CENJU Prod. by K.E.M
07. Get Serious Prod. by DJ SCRATCH NICE
08. ケセラセラ Prod. by SIRCORE
09. My Life Prod. by TEMPO TUNES COLLECTION
10. 明日 Prod. by boi yanel
11. Turn The Page Prod. by MASS-HOLE

Mixed by I-DeA at FLS 6th Lab
Masters by HIroshi Shiota at SALT FIELD MASTERING
Artwork by ATER ( FUT / LPS )
Photo by Teppei Hori

PROFILE :
D.U.O TOKYOをリプレゼントするFRESHでORIGINALなTOKYO出身のMC。2011年にファーストアルバム「3 WORDS MY WORLD」をリリース。変わらずに変化していく街のHIP HOPでTOKYOからオリジナルカラーに世界を染めていく。アルバム「JEWELS」をリリース後、自らのレーベルHOW LOWを設立。「LIFE IS MOVIE」(2015)、「Culture Influences」(2018)の2枚のアルバムと EP 「Ground Music」(2020)シングル「Daily Tales」(2021)及び「Reachung」(2022) をリリース。リリースしたどのタイトルもクラッシックとして、生活の中で作用し合いながら輝き続けている。SEMINISHUKEIの作品はもちろん、BCDMG、BIM、Campanella、tofubeats、PUNPEE、仙人掌らとも楽曲をリリースしており、ERAの描く地平線は素晴らしく湾曲していてまっすぐにのびていく。エモーショナルなリリックは何かを掴むきっかけをいつだって感じさせてくれる。

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