「CE」と一致するもの

Sports-koide (SLOWMOTION) - ele-king

DJ 予定

6/15 HOUSE OF LIQUID (LIQUID ROOM)
https://www.liquidroom.net/schedule/20130615/14701/

6/22 SLOWMOTION (神戸 塩屋 旧グッゲンハイム邸)
https://www.nedogu.com/blog/archives/7091

6月からオープンのライブスペース「神保町試聴室」にスタッフとして参加しております!宜しくお願いします!!shicho.org

スローモーションなトラック 2013.6.3


1
Low Res - Amuck - Sublime

2
Paddo - Balkon - Suger

3
Rene Breitbarth - Sphere - Deep Data

4
Ezekiel Honing - Under The Covers Remix By Someone Else - Goosehound

5
Satanic Soul - PPP - Pomelo

6
Lawrence - Rabbit Tube DJ Koze Remix - Mule electronic

7
Archie Pelago - Brown Oxford - Mister Saturday Night

8
Am/Pm - Also - Dreck

9
Roger That - Unknown - Playground

10
Elgato - We Dream Electric - Elgato

DJ FULLTONO - ele-king

 ここ2~3年のダンス・ミュージックにおける最大の衝撃は、シカゴのフットワーク/ジュークだった。この強烈なリズムは、僕のようにクラブに行けなくなった年寄りから、IDカードで通れるギリギリの若い世代にまで届いている。エネルギッシュで、過剰で、創造的で、同時に庶民的でもあるからだろう。そして、あらためて顧みれば、それは新ジャンルというよりも、シカゴ・ハウスという大河の新しい支流だったことに気がつく。歴としたシカゴ・ハウスの子孫だ。昨年のトラックスマンの来日は、そのことを証明した晩だった。
 いまや世界的な広がりを見せているフットワーク/ジュークだが、日本には〈プラネット・ミュー〉がそれをセンセーショナルにパッケージしてリリースするよりずっと前から、シカゴ・ハウスにおけるゲットー・ミュージックの進化を追い続けていた複数のDJがいる。〈BOOTY TUNE〉はレーベルだが、その代表的なポッセのひとつだと言えよう。DJフルトノはレーベルの発起人。トラックスマンの来日のときにDJとして共演している。

 現在は大阪に住んでいるDJフルトノがOUTLOOKフェスでのDJのために上京した5月のある日、僕は彼に会うことができた。ビールを飲みながら話していると、シーンに名を馳せている〈BOOTY TUNE〉の強者たちが続々と現れ......飲みながらの熱いシカゴ・トークを繰り広げるなか、相手を見下すことなく、彼らの知識を惜しみなく分け与えてくれたのであるが、その姿勢の低さというか、居酒屋ノリというか、まっすぐな情熱というか、開かれているところもフットワーク/ジューク、いや、シカゴ・ハウスらしいと思った。

先日の飲み会は楽しかったですね。〈BOOTY TUNE〉のみなさんがあんな風に揃って来るとは思わなかったですが、あらためて、みなさんのシカゴに対するリスペクトを感じました。

DJ FULLTONO:こちらこそ、大変有意義な時間を過ごさせていただきました。深い話になるにつれ、チーマーが電話で仲間呼ぶみたいに、どんどん人数が増えてしまい申し訳ございません......ついみんなを紹介したくなったもんで。

いえいえいえ(笑)。しかも、シカゴ・ハウスの話だけであそこまで長時間話せるっていうのもすごいですよね。で、あのときも話したように、トラックスマンの来日が僕にとってフットワークを考え直す良いきっかけになりました。僕は、わりとシカゴのキワモノ的なところ、エクストリームなところに反応していたのですが、この音楽が、シカゴ・ハウス(ヒップ・ハウスも含む)のアップデートされたものであることをあらためて感じることができました。あれ以来、トラックスマン系のDJラシャドとか好きになってしまい......。

DJ FULLTONO:そうですね。〈プラネット・ミュー〉がフットワークという文脈で紹介した最初のアーティストがDJネイトだったことはご存知だと思うのですが、正直ジューク・ファンからしたら、なんで? って感じでした。無名のネイトがいきなり1EPと4枚組みのアルバムですからねえ。この人はヒップホップもやってて、シーンにはそれほど肩入れしてないような若手です。その次のリリースがDJロック、これまた無名。でもこの人はけっこうベテランで、〈ダンスマニア〉クルーのDJスラゴのレーベルからリリースしてる人でした。このとき、もしかして〈プラネット・ミュー〉はあえて、ラシャドやトラックスマンなんかを外してるのかな? と感じました。ジューク/フットワークにハマるためのストーリーがマイク・パラディナスのなかででき上がってたんじゃないかと。実際のところわからないですけどね。

フルトノ君や〈BOOTY TUNE〉のみなさんは、そういう意味では、まだフットワーク/ジュークが出る前からずっとシカゴ・ハウスを追っていた人たちですよね。そもそも、シカゴとはどうして出会ったのでしょうか? 

DJ FULLTONO:僕は高校のときにテクノに出会ったんです。94年前後ですかね。その頃って、シカゴ・ハウス・リヴァイヴァルがはじまった頃で、テクノ=シカゴと言ってもいいと思うんですよ。僕はジャンルのことなんて全くわからなかったんですが、無意識に耳に入ってたと思います。でもホントにハマッたと言う意味では、やっぱりヴォイス・サンプリング連呼の曲かな。当時、田中フミヤさんが大阪のクラブ・ロケッツで「カオス・ウエスト」というパーティを主催していて、京都からひとりで行って、誰とも喋らず1回も休憩せずにドリンク1杯で朝までひたすら踊ってました。何が楽しいのかわからないんですが、いつかわかると思ってひたすら踊るんです。そしたらあるとき、いきなり人の声が連呼するトラックがフロアに鳴り響いた瞬間、うわー!! ってなって、あのときのフロアの興奮度は凄かったですよ。そのトラックはたぶんDJファンクの「Pump It」だったと思います。何の予備知識も無しであんなもん喰らったら一生抜けられないですよ(笑)。いま一緒に活動してる連中ほとんど似たような経験してるんだと思います。

あの音楽のどんなところに惹かれたのでしょうか?

DJ FULLTONO:それがいくら考えてもわからないんです。シカゴの魅力は言葉で表わしても伝わらない気がして。でも、初めてシカゴ・ハウスの12インチ手に入れて針を落とした瞬間、「これこれ! この音」って思いましたね。なんでしっくり来たのかはわかりません。永遠のテーマですね。でもいまの若い人がジュークを聴いて、「よくわからないけどこれこれ!」って思ってくれたらなんか嬉しいです。

90年代のなかば、グリーン・ヴェルヴェットやDJラッシュなんかが出てきたとき、日本でもシカゴ・ハウスは人気がありましたが、デトロイトやヨーロッパの盤に比べると、手に入りづらかった時期もあったと思います。それでもシカゴ・ハウス/ゲットー・ハウスから離れなかったみなさんのその一途さはどこから来ているのでしょうか?

DJ FULLTONO:ちなみに僕はグリーン・ヴェルヴェットよりもポール・ジョンソン派でした!

ポール・ジョンソンは、シカゴに造詣が深い人はみんな好きですよね。

DJ FULLTONO:日本で手に入りにくかったでしたっけ? 

〈リリーフ〉みたいな人気レーベルはともかく、マイナーなレーベルになると東京ではバロン・レコードぐらいしか扱ってなかったですね。DJゴッドファーザーとか、ああいうのは、バロンでしたね。

DJ FULLTONO:じゃあ、わりと僕はまわりに恵まれてたほうです。90年代半ば、シカゴのゲットー・ハウスをたくさん仕入れてくれてたレコード店は多かったですから。バイヤーさんに感謝したいです。大阪のシスコやソレイユにはお世話になりました。リバーサイドにいたっては、レーベルのリリース番号紙に書いて、「全部オーダーして下さい」って頼んだりしてました。ほとんど入ってきて大変なことになりましたけど(笑)。後にそのリバーサイド京都店のDJイケダさんに誘っていただき、そこでバイトしてました。ゲットー・テックばっかりオーダーしてて、D.J.G.O.が良く買いに来てました。僕が彼の人生を狂わせてしまったんです。
 シカゴ一本でいままでやってきたわけではまったくなくて、逆にけっこう移り気激しい方だと思ってます。最初テクノDJやってたのに、ブレイクコア聴いたりエレクトロニカ聴いたり、ゲットー・テックやエレクトロのDJやったり、いまはジュークやってますからねえ。
 シカゴとかゲットーとかっていうテーマから離れなかった理由は、単純に好きだったのもあるんですけど、紹介してくれるメディアが少なかったからというのもあります。取り上げてくれないんだったら自分らが発信するしかないと思いました。シカゴ好きな人って、みんな何故か使命感みたいなのをどこかに持ってる。頼まれてもいないのに。バカなんですけどね(笑)。自分の場合、自ら情報を発信していこうという気持ちが芽生えたきっかけがあって、実は昔、ele-kingさんでシカゴ・ハウスの特集が組まれたことがあって、そこで、「〈ダンス・マニア〉100番以降は下ネタ連呼のカストラック」と評されたんです。自分が一番好きな部分がそう評されてしまったので、いつか自分がこの100番以降を紹介する立場になりたいという気持ちに火が付きました。野田さんが書いた記事ではないんですが、いま、野田さんがジュークに興味を持たれているということは僕にとって感慨深いものがあります。

しまった、恨みを買ってましたか(笑)。ただ、下ネタ連呼に関しては、英語がわかる人には本当に嫌がる人も少なくないんですよ。ところで、ロン・ハーディのなかにもすでにフットワーク/ジュークの種子があったんでしょうね。

DJ FULLTONO:恨みだなんてとんでもない(笑)。でもやっと言えた、何年越しだろう......。ロン・ハーディもミュージック・ボックスもリアルタイムで体験してないので、もちろん本当のところはわからないんですが、そうかもしれませんね。でもぶっちゃけると、僕あんまりオールド・スクール掘ってなかったんですよね。DJマエサカやDJエイプリルに教えてもらって発見することが多いです。ただ、シカゴ・ハウス・リヴァイヴァルの93年以降のシカゴ・ハウス/ゲットーハウスはアホほど聴きましたし、いまも集めてます。

では、フルトノ君の、フットワーク/ジュークとの出会いについて教えてください。

DJ FULLTONO:ゲットー・ハウスのBPMが年々上がってきて、97年頃からかな? それまで4つ打ちのハウス・ビートだったのが、ローエンドを強調したようなビートにシフトした頃、ジュークという言葉が使われ出しました。2000年代に入ってからシカゴのシーンはデトロイトのゲットー・テックと融合します。2004年にDJゴッドファーザーが〈ジューク・トラックス〉というレーベルをはじめた頃にジュークを意識しはじめました。
 変則的なビート、フットワークに出会ったのは、そのだいぶ後の2009年です。〈ジューク・トラックス〉からリリースされたDJラシャドのアルバム『ジューク・ワークス』を聴いたとき、新しい時代が来たと思いましたね。ハウスの原型をまったく無視した変則ビートだけど、音色や曲構成はあきらかにシカゴ・ハウス。あまりにも唐突な出来事だったんで意味がわかりませんでした。それと同時期かな。僕はその頃SNSのマイスペースでほとんどのゲットー・テック・ジュークのクリエイターと繋がっていたんですが、そのなかのひとり、トラックスマンが、まったく聴いたことのない変則ビートのトラックばかり使ったショート・ミックスを次々にアップしました。鳥肌ものでしたね。トラックスマンのマイスペース・アカウントは、その当時のままネット上に放置されてますんで、いまでもいくつかのミックスは聴くことができますよ。

ほほぉ。

DJ FULLTONO:でも衝撃的な反面、これがクラブで機能するのか? って悩まされましたね。その後シカゴから〈ゲットー・ファイルズ〉ってレーベルができて、DJラシャドをはじめ、聴いたことない名前のアーティストがどんどん出てくるんですが、それらのトラックはしばらくのあいだほとんどクラブでプレイすることはありませんでした。僕以外にもこの手の音を聴いていたDJはいるのかもしれないけど、おそらく現場ではプレイできなかったんじゃないでしょうか。〈プラネット・ミュー〉がそれらの曲をフックアップするまでは。

DJエイプリルなど、〈BOOTY TUNE〉のみなさんとはどうやって知り合って、そして、どうやってそれが〈BOOTY TUNE〉(https://bootytune.com/)へと発展したのでしょうか?

DJ FULLTONO:D.J.G.O.や黒木幸一は結構古くから一緒にいろいろやってたんですが、レーベルに関しては元々は僕ひとりで思い立って2008年に〈BOOTY TUNE〉をはじめました。ロゴ・マークをデザイナーの落合桃子さん(:::STROLL SPACE:::)に作ってもらった以外、運営は僕ひとりでした。その後、D.J.G.O.が僕に曲を20曲くらい送ってきたのをきっかけにトラックメイカーとして参加するようになりました。
 DJエイプリルとは2010年くらいかな。ツイッターを見ていたら、彼が〈ダンス・マニア〉レーベルの音源だけでUstreamをやってて、しかも1曲プレイするごとにその曲をツイートしてたので否が応でも目に付いて、ちょっと話しかけてみたんです。そしたら僕がUstreamで毎週日曜日午後3時からやってた「Booty Tune Ch.」という番組を聴いてくれるようになって、その後、東京で露骨キットさんが主催していた「galaxxxy mixer」という企画に出演した際、遊びに来てくれたのが初対面です。
 その数日後、大阪の地下一階という箱で回した際もわざわざ東京から来てくれました。そのとき、逆さ絵みたいなおっさんの顔がプリントされたTシャツ着てて、これ誰の顔ですか? って聞いたら、「お父さんを探してるんですよ」って言ってた。面白い人だなあと思って自分のいままでの音楽経歴をたくさん話しました。最初はみんな、レーベルを応援してくれる立場って感じだったんですが、気付いたらレーベルの人になってました。みんなでやった方が面白いことになりそうと思って。

シカゴ系をメインにしたDJパーティも大阪や東京で続けていたのですか?

DJ FULLTONO:2005年くらいからだったかな。その頃ってSNSのミクシーがブームで、マニアックな趣味を持つ人たちが繋がりやすくなった時代でした。そこでタカオカさんやDJファミリーと知り合いました。D.J.G.O.が、ゲットー・テックをメインにしたパーティをやろうと言い出したのをきっかけに、「スラムキング」というパーティを大阪でやったことがあります。あと、黒木幸一が東京で「シカゴ・ビーフ」というマニアックなパーティをやっていたみたいです。その頃って、ゲットー・テックがけっこう人気が出た時期でした。タカオカさんやDJファミリーがゲットー・テックのミックスCDをリリースしたり、タカオカさん監修のコンピレーション『ゲットー・ビート・プッシャーズ』も話題になってました。すごくいい刺激をもらいました。

実は功労者がたくさんいるわけですね。ところで、世界的に名の知れた〈プラネット・ミュー〉がフットワーク/ジュークを紹介したことで、いっきにこの音楽は広がりましたが、こうしたある種のブームは、〈BOOTY TUNE〉の活動にフィードバックされていますか?

DJ FULLTONO:もう、完全に恩恵を受けてます(笑)。『バングス&ワークス』の特典ミックスCD(国内オンリー)をやらせていただいたり、文章書かせていただいたり、めちゃくちゃ感謝しています。

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なんか欧米では、(ジュークというより)フットワークと呼ぶことのほうが多いように見受けられますが、どちらの呼称が一般的で、呼び方がふたつあるのは何故でしょうか?

DJ FULLTONO:呼び方はシカゴのアーティストあいだでも異なるくらい実は曖昧なんですが、足を速く動かすダンス「シカゴ・フットワーク」のバトルのために作られたトラックがフットワーク。パーティのために作られたトラックが「ジューク」という風に使い分けているようです。
 でも最近は、フットワークがクラブでプレイされることも多くなってきたので、UKではフットワークと呼ぶのが一般的みたいですね。僕個人としては、フットワークって呼んじゃうとそれまでのジュークと切り離された感じがするので、ジュークでいいんじゃないかなと思います。地方によって呼び方が異なるとか、一般に良くあることですしね。ただ、曲のレヴューとか書くときは使い分けますね。変則的なビートはフットワーク、反復的なビートはジューク。

なるほど、わかりやすい説明ですね。ところで、トラックスマンの来日時の良い話があったら教えてください。

DJ FULLTONO:それより先日のトラックスマンの事件はビックリしましたね。街で強盗に足を撃たれたということだけしかわからないので、本当に世界中のファンが心配してると思います。

そんなことがあったんですか。

DJ FULLTONO:「心配無い、元気だ」とエイプリルのほうには連絡があったみたいですが、心配です。しかし本人はその後も、いつものようにフェイスブックでオススメ音源を紹介し続けてるんです。すごいなあと。
 で、来日時、ホテルが一緒だったんですが、朝に一緒にマクドナルドに行ってハンバーガーふたつ買って、ひとつ店で食べて後はホテルで食べるってすぐに戻ったんです。「ハンバーガーとYoutubeがあればいいんだ」って言ってドアを閉めて、その後もひたすらフェイスブックでYoutubeをシェアし続けてました。シカゴの音楽を世界に紹介するという使命感がハンパないんです。
 パーティ中はパーティ中で学ぶことは多かったです。ほとんど控え室には行かずフロアにいました。東京公演の時はオープンからステージでマイク持ってましたからね(笑)。〈BOOTY TUNE〉のメンバーでゲットー・ハウスをプレイしてると、マイク持ってアーティストをシャウトアウトしてるんですよ。メインゲストが前座のMCもやるという前代未聞の光景でした。大阪では、自分の番が終わったらすぐにうちらの物販スペースに座ってくれて、その後の僕のDJのときもマイクで盛り上げてくれました。帰国後かな、「いますごく疲れてる。でも俺はバッド・ミュージックから世界を守らなければいけないから休んではいられない」ってコメントしてたそうです。熱すぎるでしょ(笑)。

とても良い人なんですね(笑)。僕はあの、クールさを売りしてない、一種のプロ根性にやられたのですが、ああいうリアルな感覚はフルトノ君も共感するところですか?

DJ FULLTONO:僕なんて好きなようにやってるだけですよ(笑)。でもDJはじめたときから心がけてるのは、まだクラブの雰囲気に慣れてないようなアウェイな人たちに衝撃を与えられるようなプレイをしようとつねに心がけてます。

あのとき、お手本にダンスをやっていた日本人の方はどういう人なのでしょうか? あんな風に動けて、羨ましかったです。

DJ FULLTONO:タクヤとウィージーですね。ふたりともシカゴ・フットワークを独学でやってます。あのダンスを取り入れてる人はいままでもダンスの世界にいたと思うんですけど、クラブで本格的に踊ってるのは彼らだけじゃなかと思います。俺の方が上手いって人は現場でどんどん勝負すればいいと思います。あと、そうしないと彼らもしんどいみたいです。フットワークってめちゃくちゃ疲れるんですよ。ふたりともノリがいいもんだから要望あればどんどん踊っちゃって、最後ぐったりしてるという(笑)。

ハハハハ。酒飲んだら無理っすよね。ところで、フットワーク/ジュークは、わりと大ネタのサンプリングを使ってますが、サンプリングはやはりこのジャンルでは重要な要素ですか?

DJ FULLTONO:サンプリングのないトラックものも多いんですが、大ネタ多いですね。大阪のファンクDJのピンチさんが言っておられたんですが、ジュークのいいところは、誰でも知ってる大ネタを使うところ。つまり、マニアのためにやってる音楽じゃないってことだと。僕は音楽を広く聴いてないのでほとんど元ネタわかってないんですが、DJ終わってお客さんに、「○○ネタ最高でしたよ!」とか良く言われるんで、なるほど有名なネタなんだなと気付かされます。

黒人音楽の大ネタを使うのは、それがブラック・コミュニティで生まれたものだからでしょうかね?

DJ FULLTONO:その辺は逆に野田さんに手ほどきいただきたいですわ(笑)。

デトロイトのゲットー・パティで、DJがマイケル・ジャクソンの「ビリー・ジーン」を高速でミックスしているのを見たとき、この音楽は本当に大衆音楽なんだなと思いました。踊っていた人たちも、子供から中年まで、幅広い世代にまたがってましたね。庶民的な音楽ですよね。おばさんから若い子まで行くような、チリ紙売ってるような雑貨屋で売っているミックスCDがその手のものでしたから。〈BOOTY TUNE〉では、日本におけるこの音楽の広がりについてはどう考えていますか?

DJ FULLTONO:そうですね。最近ネットで、ジュークが盛り上がってると良く耳にするんですが、あれはツイッター上だけの話であって、まだまだ少数派だと思うんです。現に僕は毎日自転車でアメ村を通るんですけど、服屋からジュークが聴こえて来たこと一度も無いですよ。そのくらいまだ認知されてないんです。情報が先行しすぎちゃったのかな。これから面白くなるんですが......。卑屈な意味で言ってるんじゃないです。それくらいいろんな人に聴いて欲しいと思ってるんです。いかに普通に耳に入ってくるかがこれからの課題。そのためにはもっと現場でプレイし続けて広げていかないと。
 いまジュークが好きでDJやライヴやってる人は、まわりで自分だけしかやってないとか、この客層では無理とか、なるべくそういうコンプレックス捨てて、この音楽の力を信じて、自分が描く最高のプレイをして欲しいです。オファーが来なければ家で磨いて準備してればいい。もしくはパーティはじめちゃえばいいと思う。時間は掛かるけど自分はそれが大事だと思ってます。ファッションやポップ・ミュージックの源流を辿ればクラブから生まれてたってこと多いですよね。クラブであんまり聴けないのに上辺だけのシーン作ったって薄っぺらいのはすぐリスナーにバレます。そんなものすぐ終わっちゃう。クラブからいろんな場所に繋がっていくって流れが自然だと思う。いろんなやり方があるんだろうけど、僕にはそれしかできません。

いま、日本で起きている面白いことがあれば、ぜひ教えてください。

DJ FULLTONO:世界で起きていることになるのかもしれませんが、最近海外のメディアが日本のシーンを紹介してくれるケースが多くなってきました。UKのリンスFMでIGカルチャーが日本のジュークをメインに紹介する放送があったり、アメリカの音楽メディア『The FADER』が「Japanese Juke」ってタグ作って、日本のアーティストを立て続けに紹介してくれたり、海外のフォロアーも少しづつ増えてきました。逆輸入で日本に広まるということが起これば楽しそうですね。

〈BOOTY TUNE〉はレーベルですが、やはり、フットワーク/ジュークというジャンルにこだわってのリリースを考えていますか? それとも、もっと幅広く考えているんでしょうか?

DJ FULLTONO:基本〈BOOTY TUNE〉は、僕が使いたいと思うものしかリリースしません。なのでおのずとジューク/フットワーク、ゲットー・テックといった音になります。自分のレーベルでリリースしたものを僕がプロモーターとなって現場でプレイするという構図です。小さいレーベルってそれでいいと思うんです。でも、EPで出すなら1曲くらい遊んでもいいかなと思うので、エレクトロとかゲットー・ハウスとか、何やってくるかわからない感じでも面白いですね。

先ほどの話にも出ましたが、インターネットがあることで、現在は日本のシーンが海外と繋がりやすくなっています。〈BOOTY TUNE〉が受けているネットの恩恵について話して下さい。

DJ FULLTONO:マイスペースで海外のアーティストと繋がれたことは大きいです。いまはマイスペースはゴーストタウン化しちゃってますが、フェイスブックで毎日世界のクリエイターと情報交換してます。翻訳ソフトが手放せません。昔は〈ダンス・マニア〉の盤面の少ない情報でしか知り得なかった謎の人たちと普通にスラング用語ばっかでコミュニケーションが取れてるっていうことはホントにネット様々です。
 一方、距離が縮まり過ぎて厄介なこともあります。シカゴの面白エピソードをネットにうかつに書けなくなくなってしまったことです。翻訳ソフト使ってる人もいますからねえ。直訳されたら茶化してるようにしか見えませんので。でも、こう言うと汚く聞こえるかもしれないんですが、シカゴのアーティストが日本人に対してこれほどウェルカムなのは、日本人がちゃんと金を払うからだと思います。そうじゃない人もいるけど、基本ビジネス・パートナーなんです。そこが他の国の人たちとシカゴの違うところ。でもそうあるべきだと思います。paypalで金送って新曲と交換。今週末パーティがあるから、いいのあったらすぐに送ってくれ! とか、とくにヤバイ曲があればリリースしようかって取り引きが結構日常的になってきました。手法は違えど昔からそういう感じだったのかなあと思ったりします。ネットがそれほど普及していなかった時代、日本の〈サブ・ヴォイス〉とかテクノのレーベルがシカゴのアーティストと密接に繋がっていたことは相当な労力と愛情があってのことだったんだろうなあと。比べることもおこがましいですが、ホントに頭が下がる思いです。

お下品なところとお上品なところとの両方がシカゴ・ハウスにはありますが、フットワーク/ジュークにも同様なことを思いました。ある意味では、お下品なところはわりと取り入れやすいと思います。しかし、あのエレガントさはなかなか出せるものではないと思います。日本では、お下品なところは拡大再生産しやすいんじゃないかと思っているのですが、そうしたバランス感覚についてはどう思われますか? 僕は、トラックスマンのバランス感覚の良いところに惚れたのですが......。

DJ FULLTONO:いやー、お下品な部分ですらなかなか真似できないです(笑)。最近広島のCRZKNY(クレイジーケニー)が、「ジュークは誰でも作れる」と良く言ってるんですが、ホントにその通りなんです。誰でも作れる。けどシカゴのフィーリングを出すのは難しいんです。日本のイメージとして、シカゴの人はドラムマシン適当に叩いて作った。みたいなのが昔から定番となっていますが、それは手法だけの話であって、聴けば聴くほどめちゃくちゃ拘っていることに気付かされます。音の良さとかそういうことではなく、ダンスそのものへの拘りです。
 フットワークで言えば、スネアの場所、タイミング、展開が変わるときの変化の具合。ベースはひとつの種類じゃなくて2種類3種類使う。見過ごしがちな細かい変化が随所に施されてるんです。トラックスマン、ラシャドあたりは本当に完璧だなあと感心します。RPブウに関しては、本当に頭のいい人なんだなあと聴けば聴くほど思います。わざとベタな打ち込みをして、そのビートを騙す為にオトリを挿入してきますから。この表現、全然伝わらへん(笑)。まあアルバム買ってみてください。

わかりました。フルトノ君のソロ・アルバムの予定はまだないのでしょうか? 待っているファンも多いかと思いますが......。

DJ FULLTONO:次に自分がリリースするものがリスナーの想定範囲内の音ではダメだと思っているので、実はここ1年くらい、作っては捨てるの繰り返しでした。自分の頭のなかで鳴っているビートを表現することができなかったんです。それがここ最近、いろんな所でプレイさせてもらったおかげで少しづつ表現できるようになってきたんです。自分で現場でプレイしてみて、コレだというものが揃ったタイミングでリリースできればと思ってます。おそらくまったく色気の無いトラック集になると思います。お店がそれを扱ってくれるのかという問題がありますが。

大丈夫でしょう(笑)。最後にフルトノ君の今後の予定、〈BOOTY TUNE〉の活動の予定などを教えてください。

DJ FULLTONO:間もなくデジタル配信でリリースされる、京都のアーティスト、グニョンピックスのEPはなかなかの力作なので是非聴いて欲しいです。彼の作品はとくに海外からのリアクションがすごくいいんです。あと近況では、7月にシカゴの若手プロデューサー、K.ロックのアルバムをCDでリリースします。これも最高。その他にもリリース予定はたくさんありますのでご期待ください。
 レーベル主催パーティはまだ予定はありませんが、いずれ東京でやりたいと思ってます。まだ企画段階ですが、大阪で、ケイタ・カワカミ君とパーティをはじめるかもしれません(言ってしまったのでもうはじめないといけませんね)。あと、8月31日に〈BOOTY TUNE〉クルーが初めて仙台に遠征します。他、大阪、京都、神戸、東京などでやってますんで、bootytune.com のスケジュールをチェックしてください。

ありがとうございました。また飲みに行きましょう。最後にフルトノ君のオールタイム・ベスト10枚を教えてください。

01) ALL RELEASE (DANCE MANIA & RELIEF)
02) KRAFTWERK / ROBOTS(91'ver.)
03) JEFF MILLS / PURPOSE MAKER 1 (PURPOSE MAKER)
04) JOEY BELTRAM / START IT UP (TRAX)
05) RED PLANET 7 
06) DJ HYPERACTIVE / LOCOMOTIVE (CONTACT)
07) DJ FUNK / KNOCK KNOCK (COSMIC)
08) DJ ASSAULT / ASS-N-TITTIE (ELECTRO FUNK)
09) LEGOWELT/ FIZZCARALDO (BUNKER)
10) DJ RASHAD / BETTA MY SPACE (JUKE TRAX)

LowPass - ele-king

 いま、アメリカでは弱冠20歳の新人ラッパーが、カニエ・ウェストやリル・ウェイン、ひいてはプリンスさえ脅かそうとしている。ジューク以降のビート感覚をアーバン・サウンドに落とし込んだChance The Rapper、その最新ミックステープ『Acid Rap』の話だ。もちろん、ジューク以降ということでなら、Le1fの『Dark York』なんかも強烈だったけれど、ポップ・ポテンシャルという点では『Acid Rap』が抜きんでている。

 では、日本はどうか?
 何と言ってもECDが、超遅れてやって来た全盛期をキープしていると僕は思っているが、新世代と言うことに限定すれば「SIMI LAB以降」というのがうねりを生んでいる。彼らの台頭はヒップホップの原点調整、つまりメッセージ性ではなくダンス音楽としての機能性の回復だったと言えるだろう(ポップのレベルを目指すと言う意味でSALUの存在はひとつの試金石だろうが、彼のラップのすべてを必ずしも肯定できないとすれば、それはやはり、言葉の最終的な着地点が人生、人生、またもや人生、でしかないからだ)。
 ラップの純然たる機能性の追求、という意味では、やはり昨年のOMSBがハンパじゃなかった(彼がジュークを好きなのもわかる)。とくにヴィデオも作られた"Hulk"はショッキングで、同作の映像ディレクターを務めたというラッパーのGIVVN は、そこからの影響をTEE-RUGがルーピングするトラックの上に落とし込んでいく。それが、このLowPassと名乗るデュオ――あるいは「SIMI LAB以降」の決定打だ。

 男女の唐突な告白シーンから、満面の笑みでの街中をスキップ、そして渋谷〈ルビールーム〉のソファー席でダラダラ、からの、最後は巨大なキャップの例のアレで路上を闊歩......、そんな"Skip"のミュージック・ヴィデオが見せる軽快さ、そして湿り気のなさは、ソーシャルメディア(に投影される自己像)に翻弄されて生きる人たちをあざ笑うようだ。他人にどう見られたいか、どう見られたくないか、というか、前提としてそもそも自分という存在にそれほど興味がない人だっているのだ、ということをそこで思った。
 ラップにはQNからの影響も相当、ある。が、その憧憬に没入するどころか、先輩格からお株を奪うくらいの堂々たるパフォーマンスだ。「ラップはリリックよりもライミングだ!」とでも言いたげな態度が、序盤の"Mirror Mirror"から爆発するし、そこからハード・グルーヴィな"Skip"に雪崩れ込む瞬間は本作のハイライトのひとつだ。サウンド・エンジニアはイリシット・ツボイで、リリックの精読や、サンプリング・ネタの精査は抜きにしても、ただこの音を鼓膜に触れさせればそれだけでひたすら気持ちがいい、という状態に仕上げられている。

 トラックは、プレミア的な、オーセンティックでソウルフルなサンプリング・ループものもあれば、ディアンジェロ以降の揺れるビートもあるし、ダウナー・ハウス的なダンス・ビートの利いたエレクトロものもある。Maliyaなる女性シンガーが参加した"Nightfly"は、宇多田ヒカルを感じさせる妖艶なるR&Bの世界で最高。ゴージャスに重ねられたコーラスはもちろん、サビだけではなくバースも自分で蹴る、という気概にアガる。
 大げさで的外れだと笑われるかもしれないが、デ・ラ・ソウルと、そして『Madvillainy』(2004)と『Only Built 4 Cuban Linx... Pt. II』(2009)の鬼子、と言えば、本作のイメージを多少は伝えられるかもしれない。二木信がリストアップした「2012 Top 20 Japanese Hip Hop Albums」の上位作と比べてもなんら遜色ないし、〈アメブレイク〉のインタヴューによればトラックとラップは完全分業制で、必要以上に煮込むタイプではなさそうだから、スキップでもするような気持ちであまり考えすぎずにバンバン進んでいって欲しい。

 こんなに強く、ひたすらヘドバンしたくなる日本語ラップのアルバムって、実はけっこう久しぶりじゃない?

interview with Deft & JJ Mumbles - ele-king

 ポスト・ダブステップ、ジューク、フットワーク、トラップ、フューチャー・ベース......と新たなスタイルが誕生し続けているダブステップ以降のクラブ・ミュージックにおいて、目下、従来のベース・ミュージック・ファン以外も巻き込んで、とりわけレフトフィールドなハウス/テクノのDJやリスナーからも一際注目を集める"UKベース"ムーブメント。それはUK発の例にもれずまたもや明確な定義が難しいハイブリッドなクラブ・ミュージックだが、"UKベース"の面白さはレゲエ由来の低音の太さやスモーキーなムードにとどまらず、むしろハウス、テクノ、エレクトロニカ、ヒップホップ、ダブ、UKソウルetc.の、様々なエッセンスを「ベース」というキーワードのもと自由に組み替えた音楽性の豊かさと、イーブン・キックのDJセットとも親和しやすい楽曲が多い点にあるのだと思う。
 また、UKにおけるダブステップのハウス・シフト傾向とも相まって、既存の各ジャンルからは少しずつはみ出したような、味わい甲斐のあるダンス・ミュージックが"UKベース"の名の下に次々と生み出されている。その事実に、遊び心に満ちたDJやレコード・バイヤーたちがいち早く反応を示しているというわけだ。この現象はかつてUKファンキー、ブロークン・ビーツ等々で見られた、隙間の音楽を愉しむ数寄心の再燃だとも言えるが、一方で「ダブ」を合言葉にディスコもサイケもハード・ロックも料理した"ディスコ・ダブ"が、ダンスフロア/レコードショップの勢力図を塗り替えた時のようなダイナミズムもまた感じられる。そうするとこの春、どうしても連想するのがドメスティック・ミックスCD三部作"Crustal Movement"におけるムードマンの『SF』である。勿論『SF』が"UKベース"だとは軽はずみには言わないし、その『SF』こそ、それが一体何なのかを容易には定義できない音楽なのであるが......。

 そんな折にロンドンから"UKベース"の寵児デフト(Deft)───かの「未来的すぎるセット」でDJシャドウもピックした新鋭アーティストと、彼を擁するレーベル〈WotNot Music〉を主宰するJJ・マンブルズ(JJ Mumbles)が来日した。彼らを招聘したのは〈ライフ・フォース〉。長期にわたるUKでの生活から90年代初頭に日本に帰国したミュージシャン、プロデューサーのMassa氏と、後に〈DOMMUNE〉、名古屋〈MAGO〉、静岡〈CLUB four〉、岡山〈YEBISU YA PRO〉などの音響設計で名を轟かすサウンド・デザイナーのAsada氏とでスタートし、いまではフェスの人気者ともなったニック・ザ・レコードを、20年前に日本へと紹介した老舗パーティである。

 〈ライフ・フォース〉といえば、そのAsada氏によるサウンド・デザイン───原音忠実再生にしてパワフル、でありながらフロアで長く聴いても耳が疲れない、箱が震える音量なのに隣の人の声は聞こえる、といった画期的なクラブ・サウンド設計は〈DOMMUNE〉の前身〈Mixrooffice〉で広く知られることとなる───が大きな特長であり、長年に渡ってパーティを支えてきた心臓部である。
 Asada氏自身も音響設計の視点から「最新のダンス・ミュージックにおける低音の構造がキックやパーカッション主体から『ベース』主体へとシフトしてきているのを感じていた」と話す。デフト、JJマンブルズ、"UKベース"、そうした新しい音楽的潮流は、Asada氏の音響実験精神をも刺激していたようだ。Asada氏は今回ふたりがプレイした渋谷〈seco〉ではウーファーを増量して低音を強調するだけではなく、ベースの輪郭と定位をいままで以上に感じられるような、新たな音響実験に取り組んでいた。それによりもたらされた極めて重く、しかもスピード感に優れたベースの鳴りは、ダンスフロアを未だ見ぬ角度で切り裂いていた。

 それではデフトとJJ・マンブルズのインタヴューをお届けしよう。なぜ〈ライフ・フォース〉が新しく彼らをフィーチュアしたのか、といまだに首を傾げている向きも、その理由をさまざまに感じ取れると思う。取材は東日本有数の労働者街、東京・山谷でおこなわれた。

ロンドンのクラブ・シーンはお金中心で回っているというのが現状なんだよね。そんな状況もある中で、音楽自体が大切にされているパーティに関われているのは嬉しいことだよ。

〈ライフ・フォース〉でプレイした感想はいかがでしたか?

デフト:すごく楽しかった! お客さんも楽しんでくれていたみたいだったし、ファンタスティックな経験だったよ。実はあの夜は、いつもとはちょっと違った感じでセットをはじめてみたんだ。というのは、日本に着いてから〈ライフ・フォース〉のクルーやその周りの人たちと一緒に音楽を聴いているときに、UKファンキーをすごく面白がってくれた人がいたんだ。だったら、パーティに来てくれたお客さんはどんな反応をするかな、と思ってUKファンキーからスタートしてみたら、実際うまく行って。その後テクノに移行してからの方がお客さんはもっと踊っていたかもしれないけど、全体的にとてもうまく行ったセットだったと思うよ。それと〈ライフ・フォース〉は映像・空間演出も素晴らしかったね。

あの日、自分が会場で聞いた声によると、ふたりはやっぱり、ベースミュージックをずっと追いかけているリスナーやDJからの注目度がすごく高くて。そうしたお客さんと、〈ライフ・フォース〉のファンとが混じり合ってそういう反応になったのかもしれませんね。

JJ:比較的年齢層の高いお客さんが集まっていたのも印象的だったよ。ロンドンで僕らがDJしたりするパーティは20歳前後の若いお客さんが多いんだけど、渋谷SECOの〈ライフ・フォース〉にはいろんな年齢層のお客さんが集まっていたよね。しかもパーティに騒ぎに来てるというよりは、音楽に対して熱心なお客さんが多いと感じたよ。

ふたりがプレイした〈ライフ・フォース〉というのはたしかにいろんな年齢層、いろんな音楽的嗜好のパーティ・ピープルから、非常に高い信頼を得ているパーティなんです。というのは、〈ライフ・フォース〉は約20年前にコマーシャルじゃないところでのレイヴをいち早く紹介したりだとか、また1990年代後半、テクノとニューヨークのハウスがメインストリームだった日本のダンスフロアに、サイケデリックなオルタナティヴ・ハウスを持ち込んだりだとか、要は常にリスナーが驚くような音楽体験を、高いクオリティで提示し続けてきたからなんです。で、その〈ライフ・フォース〉がいままた、新しい方向に舵を切ろうという段階で、そのメインアクトとしてあなたたちふたりを選んだという。そのことについて、何か思うところはありますか?

デフト:自分たちを選んでくれたことについては、もちろんすごく光栄に思っているよ。全く想像してなかったことだし、まだ全然ビッグネームではない自分たちを、新しいディレクションのメインDJとして選んでくれたことが本当に嬉しいんだ。最初に話したように、ロンドンのクラブ・シーンはお金中心で回っているというのが現状なんだよね。そんな状況もあるなかで、音楽自体が大切にされているパーティに関われているのは嬉しいことだよ。

そもそも〈ライフ・フォース〉のクルーとはどういう出会いだったんですか?

JJ:実は昨年の夏に、ガールフレンドと一緒に日本に旅行に来てたんだ。DJとかじゃなくて、本当にただの旅行で。それで、ちょうど日本にいるときに〈ライフ・フォース〉のMassaからコンタクトがあったんだ。すぐにパーティがあるからDJしないかって(笑)。以前から彼が、サウンドクラウドで僕のミックス音源を聴いてくれていたみたいで。

Cossato(LifeForce):ちょうど去年秋の〈ライフ・フォース・アルフレスコ〉のDJを探していた頃に、候補に挙がっていたJJ Mumblesの活動をフェイスブックでチェックしたところ、「どうもこの人、いま日本にいるらしい」と(笑)。それでMassaさんがコンタクトを取って、で1ヵ月後にもう一度来日してもらって〈アルフレスコ〉でプレイしてもらったという。今度、6月14日と22日の〈ライフ・フォース〉に呼ぶアントン・ザップ(Anton Zap)と一緒にプレイする予定だったんですけどね。そのときはアントン・ザップはビザの都合で来られなかったですけど。

その後、昨年12月に〈ライフ・フォース〉でJJがプレイしたときはベース・ミュージック主体、今回は四つ打ち主体と結構違うセットだった印象なんですけど、それは東京のクラウドや〈ライフ・フォース〉に合わせてきたところがあるんですか、それとも自身のなかでハウス・テクノ主体の音がホットだということなんですか。

JJ:実は12月は体調が悪くて、ジュークみたいな激しい曲をたくさんかけることで自分自身を鼓舞していたようなところがあって(笑)。今回はロシアのディープ・ハウスなんかを結構かけたんだけど、そのなかには〈ライフ・フォース〉のクルーから教えてもらった曲も多かったんだ。自分としてもその辺の音が好きだしね。自分の何となくの印象だけど、ジュークとかをかけたときよりも、今回の方が反応が良かったような気がしているよ。ツアーのアフターパーティ(インタヴューの3日後に渋谷kinobarで開催された)では、チルアウトしたUKビートをたくさんかけようと思っているんだ。

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自分たちの音楽はハウス、ヒップホップ、ベースミュージック、そういったものを全部ミックスしてやっているものだと思ってる。レーベルのアーティスト達とは人間的にもちゃんと付き合っていけて、人間同士の関係性を築けるかどうか、というところはすごく重視している。

ところでふたりはおいくつなんですか?

JJ:26歳(1986年生まれ)。

デフト:23歳(1989年生まれ)。

パーティでプレイする側も遊ぶ側も若いんですね。ロンドンでふたりが関わっているパーティ・シーンについてもう少し聞きたいのですが、パーティ・オーガナイズもやるんでしたっけ?

JJ:〈WotNot Music〉でリリースがあったときには、レーベルとしてリリース・パーティをやっているよ。レーベルのクルーみんなでレギュラー・パーティ的なものも運営していきたいとは思うんだけど、ロンドンはいま、そういうパーティをやるには難しい状況でもあって。パーティが飽和状態なのと、日本みたいなサウンドシステムがいいクラブが少ないんだ。なのでレギュラー・パーティをやるには難しい面もあって。

デフト:去年、ロンドンで教会を借りてD.I.Yスタイルのパーティをやったんだ。メンバーは僕、DA-10、マニ・D(Manni Dee)、アルファベット・ヘブン(Alphabets Heaven)、アニュシュカ(Anushka)、チェスロ・ジュニア(Chesslo Junior)という〈WotNot Music〉周辺の仲間たちで。PAは自分たちで入れたし、ヴィジュアルはウィー・アー・イェス(WeAreYes)というチームに担当してもらって、普通のクラブ・イヴェントとは少し違った感じで、ライヴをたくさん入れて。

JJ:教会だから椅子があるよね。最初はみんな椅子に座ってチルしながら映像を楽しんでる感じだったんだけど、だんだん盛り上がってくると前の方に出て踊りだすんだ。他にない雰囲気で楽しかったよ。

デフト:なんでそういうパーティをやったかというと、クラブでパーティするというマジョリティに対して、自分たちはちょっと違うことをやりたかったんだ。DJだけじゃなくヴィジュアルやライヴ・アクトも一緒くたに楽しんでもらうというのが目的で、これまでにもウェアハウスや電車のガード下とか、クラブじゃない場所でそうしたパーティを開催してきたんだ。とはいえそうしょっちゅうやっているわけじゃないんだけど、ロンドンでマジョリティなクラバーたちも、だんだんそういうパーティの楽しさに開眼してきているように感じているよ。

ロンドンでのふたりの活動の様子をいろいろ聞いたのは、日本でもいま、ふたりがやっているようなイギリス発のハイブリッドなベース・ミュージックが「UKベース」というキーワードのもと非常に注目されてるからなんですけど、ふたりの活動や〈WotNot Music〉の音楽は、地元のロンドンでも「UKベース」というワードで盛り上がっているんでしょうか。それとも何かまた別のキーワードもあるんでしょうか?

JJ:自分たちの音楽はハウス、ヒップホップ、ベース・ミュージック、そういったものを全部ミックスしてやっているものだと思ってる。それを言い表す名前はないけれど、他の誰かに説明する時に「UKベース」という言葉を使うことはある。けど、自分たちとしてはUKベースという言葉はそんなに好きじゃなくて。〈WotNot Music〉に関してもUKベースだけじゃなくて、いい音楽なら何だってリリースしたいと思っているんだ。例えば(WotNot Musicからリリースしているアーティストのなかでも)DA-10とチェスロ・ジュニアとでは、作っている音楽も全然違うよね。DA-10はハードウェアのみでビートミュージック的なサウンドを作るアーティストだし、チェスロ・ジュニアのサウンドはトラップ・ビートの進化型ともいえるものだし。

いま話に出たように〈WotNot Music〉のサウンドは幅が広いのが特徴ですね。そうなると、リリースする音源を選ぶ基準はどうなっているんですか?

JJ:これまでのリリースに関して言えば、レーベルに関わる全員が楽しんで聴けるものばかり、ということになる。デモもいろいろ届くんだけど、自分でいろんなところに出かけていって、レコードを掘るようにアーティストをディグするのが好きなんだ。あとリサーチの一環としてサウンドクラウドなんかでもいろいろ聴くけど、例えば100回しか再生されてないけどメチャクチャいい曲があるとするよね。そういうのを見つけるとものすごく嬉しいんだ。もっとたくさんの人に聴いてもらいたい、と思えるような人を見つけるのが楽しいんだよね。あと、アーティストのパーソナリティは重視しているんだ。人間的にもちゃんと付き合っていけて、人間同士の関係性を築けるかどうか、というところはすごく大切だと思っている。

例えば〈WotNot Music〉がフックアップしているアーティストに、沖縄在住でまだ17歳のスティルサウンド(Stillsound)という人がいますよね。彼についてもそういう感じだったんですか。

JJ:スロウ・ディスコというのかスロウ・ファンクというのか、そういう曲を作っているアーティストを1年ぐらいずっと探していて、サウンドクラウドでいろいろ聴いているなかにスティルサウンドがいたんだ。すごくツボだったね。まだ17歳ですごく若くて、例えばミキシングのやり方や音の作り方も未熟というか若さを感じるサウンドなんだけど、そこがすごく気に入ってるんだ。未完成なところもあるけどすごく才能を感じるし、これからどんどん伸びていくアーティストだと確信してるよ。今年の終わりにはロンドンに来てもらって、一緒にギグをする予定なんだ。

DA-10 - The Future Is Futureless


Chesslo Junior - Move South


Stillsound - Live A Little


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DJシャドウ、デイデラス、ジャイルス・ピーターソン、そして〈ライフ・フォース〉......僕らは新しい音楽というものにすごく興味があって、それを常に探し続けているという共通点はあるんじゃないかな。

まあ、ふたりも若いと思いますけど(笑)、これまでにはどんな音楽を聴いてきたんですか?

デフト:いちばん最初はブリンク182とかランシド、ミスフィッツみたいなポップ・パンクが好きで、12歳のときにドラムを叩きはじめたんだ。で、いつからだったか、義理の兄が音楽制作ソフトのFL Studioを持っていたから、それをいじりはじめたんだよね。最初はそれでループを組んでるぐらいだったんだけど、だんだんプログラミングを覚えていって。そこから聴く音楽もヒップホップ、トリップホップになって、そこからサンプリングに興味を持ちはじめたんだ。大学に入る頃には、ボノボ、クアンティック、シネマティック・オーケストラとか、チルアウト/ラウンジ的な音楽を聴いていたかな。そこからドラムンベースやダブステップ。フライング・ロータスや〈ブレインフィーダー〉みたいなのを聴きはじめて。だから何か特定の、というわけではなく、興味を持った音楽をどんどん聴いていくタイプなんだよね。まわりの友だちはサッカーだとか、スポーツに熱心な人が多かったけど、自分は16歳ぐらいのときに、ずっと音楽をやっていこうと思うようになったんだ。

JJ:僕の場合は、義理の父がソウルとかルーツ・レゲエのレコードをすごくたくさん持っていて、そうした音楽がルーツなんだ。祖母もクラシックが好きだったし、家族みんなが音楽好きだったから、いろんな音楽を聴きながら育った。祖父が南アフリカのケープタウンの出身で、ジャズ・バンドでピアノを弾いていたから、自分も音楽をはじめたのは祖父からの影響もあるのかな。最初に大きく惹きつけられた音楽はヒップホップで、そこからMPCで自分でビートを作ったりしはじめたんだ。
 最初にビートを作りはじめたのは13歳のときだね。その頃はマッシヴ・アタックとかトリッキーがすごく好きだった。とくに、父親が持っていたマッシヴ・アタックvsマッド・プロフェッサーの『ノー・プロテクション』のレコードが好きで。アメコミ風のジャケットの絵も含めて、あの作品にはすごく影響を受けてるよ。家族もそうなんだけど、まわりの友だちにも昔から音楽好きが多くて、新しいCDやレコードが出るたびにいろいろ交換し合って聴いてたんだよね。

デフト:僕のまわりには、音楽好きな友だちはあまりいなかったんだ。ジェド(JJ)と知り合って、彼からもいろんな友だちを紹介してもらったりして、ようやく自分と同じような志向の人に巡り合えたという感じ。だからすごく嬉しかったんだ。

JJ:デフトの音源は元々ネットで聴いてたんだけど、たまたま共通の友だちがいて紹介してもらったのが僕らの出会いなんだ。最初に会ったのは約2年前。Wotnotの最初のパーティのときだった。あとそうそう、ヒップホップのビートをメインに作っている時期があったんだけど、その頃のクルーと一緒にUKをツアーして回ったことがあって、そのときにビジネスとして音楽をやるための基礎を学んだんだ。その経験が、〈WotNot Music〉のレーベル運営にすごく役立っているよ。

クラブ、パーティ体験については何かありましたか? クラブで忘れられない体験だとか。

デフト:初めてクラブに行ったのは16、17歳の時なんだけど、その頃のクロイドン(デフトの地元、南ロンドン。かつてあったレコード店〈Big Apple〉と共にベース・ミュージック縁の地として知られる)にはクラブ・シーンといったものはなくて、あったとしてもコマーシャルな感じで、音楽を聴きに行くというよりはお酒を飲んで騒ぐための場所という感じで、自分が行ったのもそういうクラブだったんだよね。その頃はダンス・ミュージックというよりもヒップホップにハマってたし。
 自分がクラブ・ミュージックに目覚めたのはブライトンの大学に入ってからで、ある時にDJシェフ(DJ Chef)のプレイを聴いたんだ。そのとき彼が、当時はまだリリース前の、フライング・ロータスのマーティン・リミックスをかけた瞬間があって。それで初めて、クラブのサウンドシステムや空間でクラブ・ミュージックをすごく楽しむことができた。その瞬間にクラブミュージックに開眼したというか、「これだ!」と思ったんだよね。自分もこういう音楽がつくりたいと思って、その時から音楽をやってるつもりだよ。

JJ:自分はクラバーだったことは一度もないんだ。クラブ・ミュージックは部屋でヘッドフォンで楽しむもので、クラブという場所はナンパしに行く場所だと思っていた(笑)。自分の好みとしてはクラブで遊ぶよりも、ライヴ演奏を聴くことの方が好きかもしれないな。ラップトップでもバンドでも。

さっき音楽遍歴について伺いましたけど、デフトのバイオグラフィを見ると、トキモンスタのリミックスコンペティションであったり、デイデラスのツアー・サポートだったり、またDJシャドウがあなたの曲『Drop It Low』をプレイしたらしい、など、国境や世代に関わらずいろんなアーティストとの絡みが出てきますよね。彼らと自分自身との間で、共有しているものは何だと思いますか?

デフト:うーん、自分ではよくわからないけど、ひとつ挙げればヒップホップが好きで、それが基本にあることなのかなぁ......。
 シャドウに関しては、自分の曲をデモで送ったりしたわけじゃないから、彼がただ自分のトラックを見つけて気に入ってくれて、自分のセットに入れてくれたんだよね。シャドウはすごく有名になったいまでもアンダーグラウンドな音楽にちゃんと目を向けて、ずっとディグし続けている人なんだっていうことを実感できたし、すごく嬉しい出来事だったよ。
 デイデラスとはツアー・サポートをした時に結構長く話をしたんだ。すごく情熱的な人だった。一緒のツアーがきっかけで、今もビートを交換したりしているんだ。うん、いま名前が挙がった人たちと僕とで何か共有していること......ひとつ言えるのは、僕らは新しい音楽というものにすごく興味があって、それを常に探し続けているという共通点はあるんじゃないかな。

Deft - Drop It Low


そういう、アンダーグラウンドのフレッシュなサウンドを一貫してディグし紹介し続けている存在としては、あなたたちの国にはジャイルス・ピーターソンもいますよね。そしてデフトは、ジャイルスのレーベル〈Brownswood〉から出ているギャング・カラーズ(Gang Colours)のEPにリミックスを提供しています(『Fancy Restraunt (Deft Remix)』)。



デフト:そのリリースのオファーにはものすごく驚いたし、同時に本当にすごく嬉しかったんだよ。ギャング・カラーズ自身から「サウンドクラウドで君の曲を聴いたんだけど、リミックスをやってくれないか。マシーンドラムのリミックスなんかと一緒にリリースしたいと思ってるんだけど」というメッセージが届いて、それを読んで即決したんだ。彼の曲は以前から好きだったし、「自分の曲を聴いてくれて、好きになってくれる人がいるんだ」という意味でもすごく自信となったし。自分のキャリアもそれをきっかけとして上がっていったところがあるしね。

なるほど。ジャイルス・ピーターソンについてはどう思いますか。

デフト:彼がホストしているラジオ番組でも常に新しい音楽をプレイしているし、自分も影響を受けてるね。〈Brownswood〉を運営しているスタッフも人間的にもすごく良くて、そういうところも尊敬しているんだ。ジャイルスの凄いところは、エレクトロニック・ミュージックだけでなくてワールド・ミュージックやヒップホップとかも含めて、常に新しいものを、幅広く紹介し続けているところだよね。UKでそういったことを続けているのは、もしかしたらジャイルスただひとりかもしれない。ベンジ・Bも昔はそういうところがあったけど、いま彼はハウスやベース・ミュージック寄りの活動が中心だしね。

JJの方は、単独名義での初リリースは〈WotNot Music〉カタログ2番の『Boxes & Buttons EP』になると思うんですけど、美しいUKソウルのオリジナル・ヴァージョンと、6ヴァージョン収録されたリミックスとで、ノース・ロンドンとUKのベース・ミュージックのいまが象徴されているように思えるんですよね。フィーチャーしている女性シンガーのナディーナ(Nadina)も魅力的ですし。このシングルが完成した背景を教えてください。

JJ Mumbles - Boxes and Buttons (Jamie Wilder remix)


JJ:ナディーナは当時、僕の友だちと付き合っていたんだけど、彼女の声が最初から好きで。どんな風に唄ってもらうかというシンガーとしてのプロデュース、ディレクションも僕がやったんだ。あのEPに入ってる僕のビートが完成して2、3日後に彼女を家に呼んで、そこで歌ってもらって完成した。EPに6ヴァージョンもリミックスが収録されているのは、そう、いろんな音をつめ込んだEPにしたかったからだね。友人の中には「ヴァージョンの数が多すぎるんじゃないか」と言う人もいたんだけど。
 『Boxes & Buttons』は、歌詞も僕が書いたんだ。音楽をしている者として「あまりお金はないけれど、楽しくやるのにそういうことは関係ないんじゃないか」みたいなことを唄っているんだ。一方で自分のなかにある、不安な気持ちだったりね。いまは別の男性シンガーと、新しい曲に取り組んでいるところなんだ。これはファンクというか、スロウなハウスのようなトラックになりそうだよ。

デフト:その曲は僕もまだ聴かせてもらってないんだ。

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未来は若者の力にかかっているというのは、日本もUKも同じだよね。若者をきちんと育てていかなくてはならない、というのは日本にもUKにもすごく重要なことなんじゃないかな。

音楽を世に出すことで、何か伝えていきたいメッセージはありますか?

デフト:メッセージ性は曲にもよるけど、何で音楽をやっているのかというと一番はやっぱり楽しいからだし、メシを食っていくために頑張るものでもあるよね。曲を作る、ということはすごくパーソナルな行為なので、その動機に関しても、やっぱりパーソナルな部分が大きいよ。つまり何かのメッセージを伝えたいというよりは、自分はこれまでいろんな音楽を聴いて育ってきたし、それによっていまの自分があるわけだから「他の人にも自分の音楽を聴いてもらいたい、自分が音楽にしてもらってきたことを他の人にも経験してもらいたい」ということが目的やモチベーションになっている。だからとくに何か、ポリティカルなメッセージとかがあるわけではなくて。あとは「自分の感情を表現する手段」という部分もあるかな。その時のフィーリングによってつくる曲も違ってくるしね。感情やフィーリングを曲を通じて表現するために、昇華するために音楽を作っているというのはある。

JJ:自分は本当に、曲を作っていれば1週間でも2週間でも作り続けられるような人間だし、本当に楽しいということが第一だよ。ただ自分の場合はそれと同時に、メッセージを伝えたいという気持ちもある。さっき話したような、歌詞のある曲を作っているのもそういう理由、動機からで。自分は良質なポップ・ミュージックを作りたいという思いがあるんだ。それは17、18歳ぐらいのキッズのための音楽というよりは、もっと大人が楽しんで聴けるような音楽、そういうものを作りたい。それは自分がソウル・ミュージックなどを聴いてきたというバックグラウンドがあるからなんだけど、自分もそういうところを目指してみたい。あと自分の場合はポリティカルな部分で思うこともあるから、もしそれを音楽を通じて表現できるのであれば、やっていきたいとも思っている。

それはどういった思いなんですか。

JJ:仕事でユースワーカー(若者の自立を支援する専門職)をしているから、10代の子たちと日常的に接しているんだけど、2011年のイギリス暴動に見られるように、僕らの国でも若者を取り巻く状況は厳しいんだ。お金があれば大学に進んだりもできるけれど、そういうチャンスがない人も多くて。若い人たちになるべくたくさんのチャンスが与えられるような社会にしていきたい、と僕は思っている。

音楽のメッセージ性というのは、JJの場合はずっと親しんできたソウル・ミュージックなどの影響なんですよね、きっと。あと、例えばルーツ・レゲエにもいわゆるレベル・ミュージック、被抑圧者の音楽という面がありますけど、現在のUKのベース・ミュージックにもそうした面は引き継がれているのでしょうか?

JJ:まず、いまのUKで言う「ベース・ミュージック」というのは、ルーツ・レゲエの系譜というよりは、パーティ・ミュージックとしての側面が強いと思う。ルーツ・レゲエみたいに、抑圧された人たちが声を上げるための音楽としては、グライムやロード・ラップがそれにあたるだろうね。グライムやロード・ラップで唄われていることや音楽のスタイルはすごくアグレッシヴなのはたしかだけれど、それは彼らが正直に自分たちの気持ちを表現していることの表れなんだ。

デフト:ベース・ミュージックにも「コミュニティ」があるけど、それは政治的なものというよりもパーティをするために集まっているものだよね。一方、グライムやロードラップのコミュニティは自分たちの声を上げて、何とかして状況を変えるために力を合わせているんだけど。誤解している人も多いみたいだけど、グライムやロードラップはギャングスタ・ラップとは全然別物だよね。

JJ:2011年のイギリス暴動に話を戻すと、アッパー・ミドル・クラスといわれる人たちよりも上の階層の人たちは、何で暴動が起きたのかをまったく理解していないんだ。単にトラブルメーカーの若者たちが起こした騒ぎだとしか認識してないし、ちゃんとした形で理解しようという動きもない。若者がトラブルを起こしたから静かにさせなきゃ、というぐらいのことしか考えてないんだよ。
 「階級の低い」子どもたちがそこから抜け出すための機会が全然与えられずにそこにとどまるしかなくて、抜け出そうとしても抜け出せないという状況になっている。だからこそ子どもが犯罪に走ってしまうという悪循環があるわけだし、あの暴動にはそういう背景があるんだけど......僕は、これからそういう若者に力を与えることで、社会を変えていかなくてはいけないと思っている。〈WotNot Music〉も、レーベルがもうちょっと大きくなったらインターンを募集したりして、若者たちが犯罪など以外で生きていく術を見つけるための手助けをしていきたいと思っているんだ。

このインタヴューを行っている山谷という地域は日雇い労働者の宿場街なんですけど、いまはこの街に長期滞在している労働者の多くは、生活保護を受けて過ごしているんです。日本もイギリスに追随して新自由主義主義の道を進んでから格差がどんどん広がってきていて、このまま行くと、いまJJが教えてくれたイギリスの状況のようになりかねないですね。そんななかで2年前の原子力発電所の爆発事故に際して政府への不信・怒りが強くなっていて、日本でもかつてないほど、社会運動に自発的に参加する若者が増えてきているんです。パーティ・ピープルのなかにもそういう子は多いですし、彼らの精神的支えであるようなラッパーやミュージシャンも出てきています。社会運動に関しては、イギリスは日本の大先輩ですから。

JJ:未来は若者の力にかかっているというのは、日本もUKも同じだよね。そうでなければディストピアというか、『ブレードランナー』みたいなお金持ちだけがいいところに住んで、それ以外は皆スラムに追いやられる、という世界になってしまうよ。そうならないためにも若者に投資して、若者をきちんと育てていかなくてはならない、というのは日本にもUKにもすごく重要なことなんじゃないかな。
 たしかに僕も日本人には、例えば「労働時間がメチャクチャ長くてもそんなに文句を言わない」みたいなイメージを持っていた(笑)。一方でUKは反政府運動の歴史がすごく長くて、行動の参考にできるものがたくさんあるから、その点はいいといえるね。日本もUKも、お互い勉強しあって進んでいけばいいんだと思うよ。

本当にそうですよね。

JJ:あと、そうだ。さっきも言ったけど僕の祖父母は南アフリカのケープタウン出身で、まだアパルトヘイトが実施されていた時代をそこで過ごしたんだよ。当時のケープタウンは、アパルトヘイトにちょっと反対するようなことを言っただけで牢屋に入れられたりするような状況だったという。その点、いまの自分は政治的なメッセージを発したり、行動したぐらいでは逮捕されたりはしないから、それを思うと勇気をもらえるね。祖父母から学んだことというのは「その人を憎むのではなくて、その人がそういうことをしている理由は何かというのを考えなさい」というメッセージなんだ。

最後に、今後の予定を教えてください。

デフト:まずはリミックスを提供した、フランスのアーティスト・123MRKの作品が〈インフィニト・マシーン(Infinite Machine)〉というレーベルから5月早々に出る。それと〈WotNot Music〉からも新しいEPを出す予定で、これはほぼ作り終わっているんだ。あとはオランダの〈Rwina〉からの新しいEPとか、ほかにもいくつかリリースの話が来てる。リリース先は未定だけど、アルバムの制作も進行中だよ。あとはフェスでのDJ。ヨークシャーとマンチェスターとでフェス3本、あとカンタベリーのフェスでは〈WotNot Music〉でステージを1つ用意するんだ。DJじゃなくてライヴのセットも準備しているよ。

JJ:僕自身のリリース予定は、先ほど言った、DA-10のDAnalogueをシンガーにフィーチャーしてのシングル。〈WotNot Music〉としてはDA-10の新しいEP『The Shape Of Space』と、それから僕がコンパイルするコンピレーション『Dancefloor Sweets vol.1』が出たばかり。これはヨーロッパのアーティスト中心の内容で、これをチェックしてもらえば、いま自分がどんな人たちに注目しているかががわかると思う。次のリリースにはグレン・ケリー(Glenn Kelly)というロンドン郊外のディープ・ハウス・ガイのシングルが控えている。その後はK15というアーティストのアナログ・リリース。これには大阪のメトメ(Metome......3月にファースト・アルバム『OPUS cloud〈moph records〉』をリリースした新鋭)と、カイディ・テイタム(Bugz In The Atticのメンバー)とによる2ヴァージョンのリミックスを収録予定なんだ。
 アルバムも2枚出したいと思っていて、ひとつはさっき話に出た沖縄のスティルサウンド。あともうひとつはサッカー96という名義でも活動するDAnalogueと10-Davidによるふたり組・DA-10。彼らは〈WotNot Music〉が初めてリリースしたアーティストなんだけど、プログラミングではなくて、自分たちでハードウェアを叩いたり弾いたりして曲を作るんだ。そういうスタイルのアーティストがいることが、〈WotNot Music〉としてはすごく重要なんだよ。あとは、〈ライフ・フォース〉と〈WotNot Music〉でコラボレーションしてコンピレーションCDをリリースする話も進行中なんだ。

 なんだかよくわからなくなってきた。下津光史がステージに上がるまで酒を我慢できるか、勝負しようじゃないか。もちろん編集部は「飲む」に賭ける。
 ele-king編集部(ライター募集中!)とDUM DUM LLP(コック募集中!)によるパーティ、「DUM-DUM PARTY 2013」の追加出演者が決まりました。オウガ・ユー・アスホール(OGRE YOU ASSHOLE)ザ・ガール、そして、OLキラー、そして、大先輩である大貫憲章さん!
 という、なんだかよくわからないことになってきた。だけどもういちどよく考えてて欲しい。このイヴェントの主役は、長州がコック長を務めるバーベキュー大会であり、ディスクユニオンが1日限定でオープンする宝物ありのレコード100円市なのだ。きのこ帝国も快速東京もマウス・オン・マーズでさえも、長州がコック長を務めるバーベキュー大会のツマミに過ぎない。つまり、この倒錯したバレアリック感は、当日来てもらうしかないということである。ele-king編集部(デモ音源募集中!)からひと言あるとすれば、最初から飲み過ぎないでくれ、だ。
 この1ヶ月、よい子を続けたお陰で、スゲー、メンツが揃った。あらためて、この下にある、出演者の名前を見て欲しい。
 渋谷のビルを貸し切ってのレコード100円市とバーベキュー大会、よろしくお願い申し上げます。こないだも書いたように、出入り自由なので、腹減ったら外で食べれるし、飽きたら映画館に行けばいいし、酔いたければ飲み屋もある。まったく、ファッキン・ブリリアントなパーティだ。

※なお、出演者も一般募集しています。ジーザス&メリー・チェインが初来日したとき、フロント・アクトを一般募集したのと同じ。出演者として参加ししたい人も同時募集です。自薦・他薦問わず! 
 ただし、6/29(土)のスケジュールが空いていて、渋谷でライヴができることがマストです。ele-king編集部(友だち募集中!)とDUM-DUM LLP(お客さん募集中!)で相談した上で、出演してほしい方にはこちらからご連絡します。応募はこちらのフォームから!↓
https://system.formlan.com/form/user/dumdumparty/2/


■DUM-DUM PARTY2013
Curated by ele-king & DUM-DUM LLP
イベント特設サイト:https://party.dum-dum.tv/

日時:2013年6月29日(土)
会場:渋谷O-WEST BUILDING(O-WEST・O-nest・7th FLOOR 三会場同時開催)
開場/開演:15:00(22時頃終演予定)
出演:Mouse on Mars(fromドイツ)、OORUTAICHI、快速東京、きのこ帝国、group_inou、SIMI LAB、下津光史(踊ってばかりの国)、スカート、砂原良徳(DJ)、ミツメ、森は生きている、YAMAGATA TWEAKSTER(from韓国)、Kamikaz(Clockwise)、LANG LEE(from韓国)、ダエン(from福岡)、渋家(shibuhouse)、Exclusive、Ned Collette (fromオーストラリア)、DJ Yogurt、OGRE YOU ASSHOLE、THE GIRL+...and more!
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チケット:¥6,300(税込 / 全自由 /1ドリンク代別) ※3才以上有料
来場者全員特典:特製ZINE
チケット:5/18(土)発売
ぴあ (P:201-745)
LAWSON(L:70170)
イープラス(https://eplus.jp/
DUM-DUM OFFICE(高円寺)、SHIBUYA O-WEST/O-nestの店頭で購入の方は¥5250で販売
※ディスクユニオン店頭でもお求め頂けます。

◎DUM-DUM LLP https://www.dum-dum.tv
(イベント/チケット/公演に関する問合せ/担当:野村、嶋津)


interview with Tim Hecker - ele-king

 週刊誌的な興味でしかないと思いつつ、ブランドン・クローネンバーグのデビュー作『アンチヴァイラル』を観に行った。そして、そこには父の失ったものがすべてあるとさえ思えた。多言は必要ないだろう。スノッブと観念を瞬時に結びつけてしまう手際は見事にトレースされ、『ヴィデオドローム』をそのまま引用したシーンまであった。余裕だ、としか思えなかった。
 
 ゼロ年代前半、ティム・ヘッカーが『ラジオ・アモーレ』(03)で、それまでのアンビエント・ミュージックにはなかったようなササクレだったムードを持ち込んだとき、それがどこから来るものなのか、最初はぜんぜんわからなかった。発信元はドイツの〈ミル・プラトー〉でもヘッカー本人はカナダで活動していることや、彼の周辺にはゴッドスピード・ユー・ブラック・エンペラー!がいて、翌年、地元の〈エイリアネイト〉からリリースされた『ミラージュ』にはそのメンバーが多数、起用されていたことから、彼に対するイメージは少しずつアグレッシヴなものへと変化していく。それは安直にデヴィッド・クローネンバーグやGYBE!が醸し出してきたアポカリプティックでタナトスと結びついたカルチャーとのオーヴァーラップと言い換えてもいい。ブランドン・クローネンバーグに煽られていた僕は、つい、そのことを訊きたくなってしまった。

自分にとって感情や興味が沸き上がるような音楽を作ることにフォーカスしている。平穏を保ち、美しくグロテクスで、みんなが聴いてくれるような音楽であればと思ってる。

自分の音楽を映画に喩えると、どの作品になるでしょう? ちなみにブランドン・クローネンバーグ『アンチヴァイラス』は観ましたか?

TH:見たことないな。なので答えるのは難しいね。日本の映画だと新藤兼人の『鬼婆』(64)になるんじゃないかな。

 え? 新藤兼人。去年、亡くなった?(さきほど日付が変わり、原稿を書いている途中で命日になった) 僕は『裸の島』や『北斎漫画』といった代表作しか観たことはなかった。人間を即物的に撮るという印象が強い作家である。話は前後するけれど、僕はこういった興味にはまったく逆らえないので、インタヴュー後、すぐに『鬼婆』を観てみた。そして、なるほどであった。ティム・ヘッカーをクローネンバーグやGYBE!と重ね合わせたのは間違いだった。そのことを知らずに以下のインタヴューは続いていく。なんとももどかしい。


作を重ねるごとに作風が重々しくなっていきますが、それは意識的にそうしているんですか?

TH:それは違うな。時間の経過でそうなったのか、礼拝的なハーモニーへの興味はあると思う。

あなたは常にエモーショナルなノイズ・ドローンを生み出そうとしていますが、人が抱く感情のなかでもとりわけ「切なさ」を重視しているように 思えます。それとも違うことにこだわりがありますか?

TH:自分にとって感情や興味が沸き上がるような音楽を作ることにフォーカスしている。平穏を保ち、美しくグロテクスで、みんなが聴いてくれるような音楽であればと思ってる。

同郷だからというわけではないのですが、あなたの音楽はゴッドスピード・ユー・ブラック・エンペラー!の音楽をエレクトロニック・ミュージック に置き換えた面があると感じますか? やはり影響は受けている? それともこれは誤解?

TH:彼らのスタジオは自分の住んでいる家から2ブロック先の所にあるけど、直接的な影響はないと思う。間接的にはあるよ。モントリオールは小さい町だからね!

ラジオ・アモーレ』があなたの転機になったと思います。単に気持ちいいだけのアンビエント・ミュージックではなく、ノイズや耳に痛い要素を取り入れたものをつくっ たのはなぜですか? 普通に考えると90年代のアンビエント・ミュージックに対して不満があったのかなと思いますが。

TH:当時はアメリカのノイズ・シーンで起きていた音楽が好きで、個性やパワーを感じていたし、無味乾燥なコンピューター音楽をチープなギター・ディストーションに通して、ある特定のテキスチャーとムードを作るというアイデアに興味を抱いていたんだ。それが自分が探求していた手法だった。

 ここだ。彼はとくに名前をあげていないけれど、紙エレキング7号でこってりと特集したように、ウルフ・アイズやダブル・レオパーズがアメリカの地下シーンを形成し始めた頃で、イエロー・スワンズやバーニング・スター・コアのデビューもこの時期に重なっている。前述した『鬼婆』でも冒頭から林光がおどろおどろしいパーカッションを挿入し、かつてミュージック・コンクレートが執拗に欲した無常観を彼が欲していたことがよくわかってくる。そう、最初はなんだかわからなかった『ラジオ・アモーレ』の謎がどんどん解けていく。


『ラジオ・アモーレ』というタイトルの意味を教えて下さい。

TH:スペイン語で「ラジオ・ラヴ」という意味で、ジャケットもそうなんだけどフィールド・レコーディングの多くは中米で録ったんだ。

洞窟や教会など、スタジオとは違った音の響きをする場所で録音を試みるのはいつからやり始めたことですか?

TH:前からずっと興味があって、最近やっとちゃんと出来る環境を見つることが出来た。『レイヴデス 1972』はスタジオの仮想的な空間を合成的にシュミレートしたリバーブでなく、実際の大きな空間のなかで作れた最初の作品だね。

もっとも大きな影響を受けたと思うミュージシャンを3人あげて下さい。

TH:わからないな。

ダニエル・ロパーティン(OPN)から『インストゥルメンタル・ツーリスト』のコラボレイトを持ちかけられた時、彼のことは知っていましたか? また、共同作業を通じて評価が変わったところはありますか?

TH:ネットで連絡を取って話をたくさんして、それからレコーディングを一緒に何日かやってみようという流れになったんあ。ポスト・デジタルな時代において、どうスタジオでコラボレートするかを考えさせられる良いきっかけになったね。

 最初に作風が重々しくなっていると訊いたように、OPNとのコラボレイトでもヘッカーはその路線を突き進んでいる。同作のライナーでも書いたようにロパーティンもマザー・マラーズ・ポータブル・マスターピース・カンパニーのデヴィッド・ボーデンと共作を試みるなど、両者にミュージック・コンクレートや現代音楽への興味があったことが一種の接点をなしていたことは間違いない。そこにあるのは、ヘッカーが興味を抱いたUS地下シーンの洗練であり、彼の身体を通した解釈である。『レイヴデス 1972』に続くソロの新作はこの秋になるらしい。


WWW presents Tim Hecker Japan Tour 2013

WWW presents
<東京> Opening Guest:Ametsub -exclusive set-
日  程:2013年6月7日(金)
会  場:渋谷WWW
時  間:OPEN 19:00 / START 20:00
料  金:前売¥4,000 (ドリンク代別 / オールスタンディング)
問合わせ:WWW 03-5458-7685

主催:渋谷WWW
協力:p*dis / melting bot

WWW & night cruising present
<京都> Opening Guest:Ametsub -exclusive set- / DJ:Tatsuya Shimada (night cruising)
日  程:2013年6月8日(土)
会  場:京都METRO
時  間:OPEN 17:00 / START 17:30
料  金:前売¥2,800 (ドリンク代別 / オールスタンディング)
問合わせ:METRO 075-752-2787 / WWW 03-5458-7685

主催:渋谷WWW / night cruising
協力:京都METRO / p*dis / melting bot

<チケット発売中>
チケットぴあ[P:197-955] / ローソンチケット[L:75645] / e+ (https://eplus.jp/timhecker)
WWW・シネマライズ店頭(東京公演のみ) / メール予約(京都公演のみ)

東京公演詳細:https://www-shibuya.jp/schedule/1306/003742.html
京都公演詳細:https://www.metro.ne.jp/schedule/2013/06/08/index.html

 カメラのシャッター音と強靭なリズムが聴こえてきたので興奮しながら踊っていると、DJブースの前で跳ねまわっていた男が「ジャム・シティだ!」と叫び、とつぜん僕に飛びかかってきた。びっくりさせるなよ! ああ最高だよ、わかってるから、落ち着け。いや、まだ落ち着かないでくれ。みんなそれぞれ好きなだけ踊り狂っていよう。フロアには走り回って遊ぶパーティ・ピープルまでいた。
 いやしかし、待て、いったい僕はどこから来てここに辿り着いたんだっけ? そして、ここはどこだったっけ?

 ときは2013年3月某日の夜。東京・渋谷の街を見おろす商業施設ヒカリエの9階のホールでは、その立地に似つかわしくない奇妙な光景が繰り広げられていた。ファッション・ピープルが見守るなか、ロンドン・アンダーグラウンドの深い闇に根を張るウィル・バンクヘッド(The Trilogy Tapes)がジョイ・オービソンをプレイしている。それだけではない。自身の新曲を響かせながら、〈C.E〉のファッション・モデルとして大画面で堂々登場したのは、なんと我らがゾンビー。新作『ウィズ・ラヴ』のリリースを控えているゾン様、こんなところでいったいなにを!?

 ファッション・ショーが終わり、なだれこむようにしてパーティは開かれた。DEXPISTOLSや〈キツネ〉のふたりやVERBALといった名の知れた出演陣がDJをしていたが、その一方、すこし離れたもうひとつのフロアでは、海を越えてやってきたアンダーグランド――その熱狂の予感が渦を巻いていた。
 それは〈REVOLVER FLAVOUR〉と題された、デザイナー:KIRIによる饗宴だった。
 日本から1-drink(石黒景太)が迎え撃ったのは、先に述べたウィル・バンクヘッドに加え、ロンドンの〈ナイト・スラッグス〉の姉妹レーベルとしてLAに基地をかまえる〈フェイド・トゥ・マインド〉(以下FTM)の面々。〈FTM〉をキングダムとともに運営するプリンス・ウィリアム(Prince William)、同レーベルに所属し、アメリカのアート・ミュージック・シーンをさすらうトータル・フリーダム(Total Freedom)
 彼らのプレイから飛び出したのは、グライム/UKガラージ/ドラムンベース/ジャングル/レゲトン/リアーナ/サウス・ヒップホップ/R&B/ジューク/ガラスが粉々にされる音/赤子の泣き声/獰猛な銃声/怯えたような男の叫び声/乱打されるドラムなどなど。
 〈FTM〉について知っていた人はその場でも決して多くなかっただろう、が、とにかくフロアはダンスのエネルギーで溢れていた。レーベルのヴィジュアル面を担っているサブトランカ(Subtrança)によるヴィデオゲームめいたCGのギラギラした冷たいライヴVJも、このイヴェントの奇怪さと熱狂を促した。

 それにしても、ヒカリエとベース・ミュージック――そのコントラストは〈FTM〉にうってつけだった。ぜひレーベルのウェブサイトやアートワークを見て欲しい。そこでは、発展していく文化やテクノロジーと、留まることのない人間の物欲や暴力と、地球を支配する自然界の力とが、ワールド・ワイド・ウェブのなかで拮抗と核融合を重ねながら爆発を起こし、我々の脳――PCの液晶ディスプレイへ流れだしている。すでにわれわれの実生活において、文明は現代のテクノロジーやデザインの(快適な)成果として現れつづけている(最近はじまった『to be』というウェブ・サーヴィスはもはやヴェイパーウェイヴを作るためのツールにしか見えない......)。〈FTM〉は、そんな現実を生きる活力として、LSDでもSNSでもなく、ダンスとソウルを主張する。すなわち、心へ(Fade to mind)、と。


Kingdom
Vertical XL

Fade to Mind

Amazon iTunes

 間もなく〈FTM〉から、レーベル・オーナーでもあるキングダムの『ヴァーティカル・XL』がリリースされる(先行公開されている曲は"バンク・ヘッド"と題されている)。

 以下は、〈FTM〉の共同オーナー:プリンス・ウィリアムと、サブトランカの片割れ:マイルス・マルチネスとの貴重なインタヴューである。取材を受けるのは初めてとのことだった。サウンドトラックにはぜひこのミックスを。
 いつなにが起こるかわからないのはデジタルの世界もアナログの世界もおなじ。インターネットが見れなくなる前に、いますぐ印刷するのをおすすめしたい。

 夏以降、〈FTM〉のアクトが来日する動きもあるようなので、詳しくはまた追ってお知らせしよう。どうか、ダンスとソウルをあなたに。

90年代のレイヴ・カルチャーは逃避主義的すぎた。僕らは人びとに触れあいがあってほしいし、「いま」を生きてほしいんだ。クラブの外に出たとき自分たちがどこにいるのかを認識してほしいんだ。僕らのメインドラッグは珈琲だよ(笑)。

今回はわざわざ来日してくれてありがとうございます。まさかこんなに早くあなたたち〈FTM〉に会えるとは思いませんでした。日本に来るのは何回目ですか?

マイルス・マルチネス:僕は2回目だよ。最初の来日は2001年で、アシュランド(トータル・フリーダム)も同じ。ングズングズ(Nguzunguzu)はソナーが初来日だ。

プリンス・ウィリアム:僕も同じころが最初で、今回は2回目だ。前にきたときは〈アンダーカヴァー〉や〈ベイプ〉とかストリート・ウェアのファンでただの買い物客だったんだ。だから、KIRIやSk8ightthingをはじめ、ファッションに携わるみんなとこうして仕事ができるなんて夢みたいな出来事だよ。いつか日本の生地をつかった服をつくりたいね。

では、もともとファッションにはつよい興味を持っていたのでしょうか?

プリンス・ウィリアム:もちろんだよ。僕は人口の少ないテキサスのちいさな町で育ったんだけど、そういったカルチャーをディグしたんだ。

マイルス・マルチネス:ヴィジュアル・アーティストとして、映像も音楽もファッションもすべて表現という意味では共通しているものだと思っているし。

プリンス・ウィリアム:実際〈フェイド・トゥ・マインド〉のほぼみんながアートスクールに通っていたんだ。アシュランドとマイルスはレーベルのなかでももっとも精力的に現代アートの世界でも活躍していて、ほかのみんなは音楽にフォーカスしつつ、やっぱりアートはバックグラウンドにある。新しくてユニークでイノヴェイティヴであるカルチャーそのものを提示するっていう共通のアイデアが僕たちを動かしているし、繋げている。僕らは〈FTM〉をライフスタイルそのものだと考えているよ。〈FTM〉はみんなが友だちで、強い信頼関係にあるんだ。

マイルス・マルチネス:アシュランドはアートスクールには通っていなくて、ただただアーティスト/ミュージシャンとしてのキャリアがあるんだ。彼は学校にいってないことを誇りに思っているよ。

日本の音楽やアートあるいはカルチャーでなにか惹かれるものはありますか?

プリンス・ウィリアム:音楽にもアートにもすごく魅了されているよ。マイルスは日本のアニメーションが好きだよね。僕はコンピュータ・グラフィックスが好きだ。

マイルス・マルチネス:日本のアートだと草間弥生や森万里子が好きで、日本のアニメもたくさん好き。広告もいいし、ヴィデオ・ゲームとかも。全体的に、ファッションもデザイナーもいい。葛飾北斎なんかの古典的な美術も好きだよ。

プリンス・ウィリアム:プリクラも。

マイルス・マルチネス:プリクラ、いいね。

プリンス・ウィリアム:音楽なら、坂本龍一のことは〈FTM〉のみんなが大好きだよ。YMOのこともね。とても大きな影響力があるよ。つまり何が言いたいかというと、日本のテクノロジーに惹かれるんだ。

マイルス・マルチネス:YAMAHAとかシンセサイザーとかね。

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インターネットの文化にはさまざまな問題も感じている。たくさんのリサイクルで溢れているし、多くの人びとが好きなだけ情報を享受しているばかりで、自分から何かを還元している人は少ないよね。その状況には文化的に何か問題がある気がするんだ。

なるほど。テクノロジーについてはまたのちにお訊きしますが、その前にまず〈FTM〉のヴィジュアル面を大きく担っているサブトランカの活動について聞かせてください。ちょっと気になっていたんですが、ジャム・シティのヴィデオを手がけたのはあなたの相方であるダニエラ(Daniela Anastassiou)ですか? 変名かなと思ったのですが。

マイルス・マルチネス:あれは違うんだ。僕たちはングズングズ(Nguzunguzu)マサクーラマン(Massacooramaan)のヴィデオを手掛けていて、〈FTM〉以外ではSFのショート・フィルムをサウンドトラックまで手掛けて、小規模な映画祭で上映したこともあるよ。

〈REVOLVER FLAVOUR〉でもライヴですばらしいVJをしていましたね。以前にジェームス・フェラーロやインクのメンバーのライヴでもマッピング映像を披露しているそうですが、そういった上映作品はウェブにアップなどして公開しないのですか?

マイルス・マルチネス:僕たちは変人だと思われるかもしれないけど、レアなライヴの感覚が好きなんだ。サイバー・カルチャーには深く入れ込んでいるし、影響を受けてはいるんだけど、僕たちはインターネットに対して懐疑的でもあって、オンラインだと簡単に見過ごされてしまうこともある。だから僕たちはライヴ・ヴィジュアルにこだわって、体験としてレアでありたいんだ。変なことかもしれないけど、それが自分たちにとってここちよいやり方なんだ。

プリンス・ウィリアム:僕はそれがクールだと思うけどな。

〈FTM〉はウェブサイトをとてもアーティスティックに作っていますし、コンピュータ・グラフィックによるアート・ダイレクションも、インターネットにおける情報の無茶な重層感/合成感といいますか、テクノロジーのごった煮感が強く表れていると思いますが、それでも同時にインターネットに対して懐疑的になるのはなぜでしょう?

プリンス・ウィリアム:インターネットは定義上、現れては消えて、臨時的だから。僕たちはクラシックな瞬間を作りたいんだ。それにとても言いたいのは、僕たちがおなじ部屋にいて初めておなじ瞬間をいっしょにわかちあっているという共通の体験を大切にしたいということだよ。ヴュアーの類としてではなくね。

マイルス・マルチネス:インターネットの文化にはさまざまな問題も感じている。たくさんのリサイクルで溢れているし、多くの人びとが好きなだけ情報を享受しているばかりで、自分から何かを還元している人は少ないよね。その状況には文化的に何か問題がある気がするんだ。もちろん僕はインターネットを愛しているよ。たくさんのひとが色んなものを見れるし、それは偉大なことだと思う。でも、レコードを手にして初めてアートワークを見る事ができたり、映画館に行かないと作品を見れない事だったり、現実世界のそういう制限的、だけど経験的な部分に僕は強く惹かれるんだ。たくさんのものがコピー&ペーストされていくインターネットとは違って、新譜のレコードを実際に手にするあの瞬間のような、その経験自体を僕はクリエイトしたいと思っているから。

プリンス・ウィリアム:タンブラーのことは知ってるでしょ? みんなが素材を拾って、再投稿する。そこでは新しいものを作らなくてよくなる。クリエイトするエナジーを使わないかわりに、「これイイネ!」「あれいいね!」ってライクすることでリサイクルにエナジーをつかっているだけなんだ。なにかを作っている気になれるのかもしれないけど、実際には借りているだけだ。それじゃあ新しいコンテキストは生み出せない。

マイルス・マルチネス:インターネットはたくさんのものを見れるかもしれない。それはたしかにクールなことだ。でも、僕たちはミステリーが好きだし、ミステリアスでいたいんだ。ファティマ・アル・カディリ(Fatima Al Qadiri)もングズングズも一目見てミステリアスでしょう。人知れぬ存在というか。

プリンス・ウィリアム:そう、僕たちはアンダーグラウンドを愛しているんだ。とても実験的なエッジ(力)として。

なるほど。〈FTM〉は、ポスト・インターネット的な意匠が共通していながら、現状いかに面白い素材を拾ってきてリサイクルできるかを匿名で競っているヴェイパーウェイヴとはまったく逆の哲学を根源でお持ちなのですね。
 〈FTM〉のレーベルを強く印象づける要素としてアートワークがとても大きな役割を果たしていると思います。サブトランカとはどのようにして手を組むことになったのでしょうか?

プリンス・ウィリアム:レーベル初期のアートワークはエズラ(キングダム)が担当していて、彼はコンピュータ・グラフィックのとてもクラシックなスタイルをとっている。マサクーラマンのアートワークの真んなかにあるオブジェなんかにそれが現れているね。ただ、彼も音楽にフォーカスしていくうちに時間が限られていってしまったんだ。マイルスはングズとも親友だったんだよね。

マイルス・マルチネス:ングズの作品はファーストEPからアートワークを担当しているよ。

プリンス・ウィリアム:当初〈FTM〉のアートワークを写真だけで作ろうと思っていたんだけど、イメージ通りにはいかなかったんだ。そこで3Dグラフィックをデザインできるひとを探しているところに、ングズと仲のよいマイルスたちサブトランカがいたんだ。自然な運びだよ。マイルスと初めて会った時からもうファミリーみたいに打ち解けたんだ。エズラがアート・ディレクターみたいなもので、マイルスはとてもコンセプチュアルなアイディアにもとづいたデザイナーでありクリエイターだ。エズラがちいさなアイディアをもっていたとして、マイルスはそれを実現に導いてくれる。

マイルス・マルチネス:最近はファティマの『デザート・ストライクEP』のアートワークを担当したり、ボク・ボク(Bok Bok)から『ナイト・スラッグス・オールスターズ・ヴォリューム2』の依頼も受けたりしているよ。

サブトランカのツイッターの背景には写真がたくさん並べてありましたが、あなたのアートワークの基礎には写真があるということなんですね。

マイルス・マルチネス:僕はヴィジュアル・アートやフォトグラフィーやペインティングや3Dを主に学んで、相方のダニエラ・アナスタシアはアニメーションなど映像が基礎にあるんだ。僕はもともと映画業界で働いていたこともあったし、ウィル(プリンス)は写真を勉強していたり、それぞれみんなの背景があって現在のアートワークがかたちつくられているんだよ。僕のアートのコンセプトは「現実と非現実のブレンド」から来ているんだ。

プリンス・ウィリアム:僕たちは「現実と非現実」の狭間にいるね。

〈ナイト・スラッグス〉もしかり、〈FTM〉も唯物的でフューチャリスティックなテクノロジーをアートワークの題材に用いていると思うのですが、それはどういった思想に基づいているのでしょう?

プリンス・ウィリアム:そうだなあ。僕たちは「いま」を生きなければならない。僕たちはクリシェとしてのレトロな音楽をつくりたくはないんだ。いまを生きている僕たちはたしかに過去から影響を受けているけども、僕たちがはじめてガラージやグライムを聴いたときのような衝撃を――音楽の原体験をファンに与えたいんだ。でもそれらを真似したり、おなじことを繰り返したくはない。そのとき、テクノロジーというのはコンテンポラリーであることの大きな要素ではあるよね。でも同時に、最新のシンセサイザーだけを使うわけではない。もちろん、ヴィンテージのサウンドも使う。ヴァイナルのほうが音がよいのもおなじで、過去からのものを活かすこともする。そう、僕たちのコンテクストで意味を成すことが大事なんだ。

マイルス・マルチネス:過去と現在の状況から何かを想定出来るという意味では、フューチャーという概念はすごく面白いと思う。

プリンス・ウィリアム:でも「いま」であるいうことはやっぱりすごく大切で。先進的であるという事ももちろん大切だけれども、リリースする作品は常に今を意識しているし、リスナーにも今好きになってほしいと思っている。2年後に再評価されるとかそういう物ではなくてね。とても難しい部分ではあるのだけれど、そういったバランスを大切にしながら、つねにイノヴェイティヴでいたいんだ。

マイルス・マルチネス:ただただ物事を先に進めて行きたいと思っている。前進だね。

プリンス・ウィリアム:そう、前進していくんだ。ただ、フューチャーという言葉はいまではレトロの文脈で使うことが多いよね。70年代とかクラシックなSFとかが持っていた「どんなことが起こり得るか」の想像力を愛してはいるけど、僕らはやっぱり現代に強く根ざしているし、〈FTM〉の哲学は「いま」(now)だよ。

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僕たちは「いま」を生きなければならない。僕たちはクリシェとしてのレトロな音楽をつくりたくはないんだ。いまを生きている僕たちはたしかに過去から影響を受けているけども、僕たちがはじめてガラージやグライムを聴いたときのような衝撃を、音楽の原体験をファンに与えたいんだ。

なるほど。未来的なイメージとの差異から現代(いま)を浮かび上がらせるということでもあるのでしょうか。
 それでは、レーベルそのものについて話を伺いたいと思います。〈FTM〉は、ロンドンのボク・ボクらによる〈ナイト・スラッグス〉の姉妹レーベルとしてLAで運営されていますね。まず、ングズングズをリリースをしたいということから〈FTM〉が始まったというのは本当ですか? 

プリンス・ウィリアム:そのとおり、それがとても大きな理由だね。彼らは最初のEPをフリーでリリースしていた。色んなバンドをリリースしているレーベルからオファーがあったみたいだけど、旧いコンテキストのうえで紹介されて理解を得られないんじゃないかと僕たちは心配だった。だから僕たち自身のコンテキストを作ったんだ。それにングズングズとマイクQ(Mike Q)が〈ナイト・スラッグス〉の色とは違っていたのもあって、キングダムと手を組んで〈FTM〉を立ち上げてレコードを出すことにしたんだ。
 それまで僕はブログをもっていたから、それをつかってレーベルをやろうとしていたんだ。例えば、ガール・ユニット(Girl Unit)はとてもシャイだったから当時隣の家に住んでたのに初期のデモ音源をボク・ボクに直接送れなくて、僕に渡してきたから、それを僕がボク・ボクに「これを聴くべきだよ」って繋いだんだ。だからもしそのとき僕がレーベルをはじめていたら、きっとガール・ユニットやキングダムと契約していただろうね。
 その年に〈ナイト・スラッグス〉がはじまっていい仕事をしはじめて、僕たちは「オーケー、僕たちの出る幕はないな」と一旦は思ったんだけど、まだやる余地があるのを見つけたんだ。
 そうして〈FTM〉は〈ナイト・スラッグス〉を基にして生まれたんだ。アレックス(ボク・ボク)がロゴをデザインしてくれたり、ミキシングやマスタリングなどのすべてにおいて彼から学んだんだ。リリースする作品に関しても彼の意見を常に参考にしていたよ。

ボク・ボクとはどのようにして出会ったんですか?

プリンス・ウィリアム:インターネットだよ。マイスペースを通してだね。キングダムは当時デュオでDJをしていたボク・ボクとマナーラ(Manara)に出会ったんだ。キングダムはガラージや2ステップやグライムといったイギリス発の音楽にとても大きな影響を受けていて、ボク・ボクたちはサザン・ラップやアメリカ発のクラブ・ミュージックに影響を受けていた。お互いの国のカルチャーへの興味が交差して、その強いコネクションがあってそれぞれのサウンドが築かれていったんだ。

〈FTM〉とおなじくングズングズやファティマ・アル・カディリをリリースしている〈ヒッポス・イン・タンクス〉や〈UNO NYC〉など、他のレーベルとはなにか交友関係があるのでしょうか?

プリンス・ウィリアム:〈ヒッポス・イン・タンクス〉のバロン(Barron Machat)はいい友だちなんだ。でも他の多くのレーベルもそうだけど、バロンもレイドバックしてるんだ。ングズングズがデモを送っても彼はそれを受け取るだけだった。でも僕たちはフィードバックを返して、ミックスに入れたり、好きなレコードをプレゼントしたりした。〈FTM〉は他のレーベルと違ってデモを受け取ってリリースするだけじゃないんだ。アーティストをプッシュして、彼らによりよいものを作ってほしいと思っている。僕らはアーティストのために働きたいし、リリースに際してたくさんのエナジーをつかうよ。お金や資源を投じるだけじゃなくてね。〈ヒッポス〉のようなレーベルと僕たち〈FTM〉の契約するときの違いはそういうところかな。〈UNO NYC〉もレイドバックしてるからね。でもどちらが正解ということじゃない。〈FTM〉にはクリエイティヴなプレッシャーがあるんだ。アーティストにはクリエイトする環境で生き抜いてほしいから。だから、ほかのレーベルとは違うシステムで動いていると思う。
 〈FTM〉と〈ナイト・スラッグス〉はふたつでひとつのレーベルだと思う。僕たちはビヨンセやリアーナ、クラシックなR&Bに大きな影響を受けている。エモーショナルな歌が大好きだ。ブレンディーのレコードは去年のお気に入りだな。ジェシー・ウェアもわるくないけど、彼女の場合はスタイルに重きがあるよね。僕はエモーショナルなものが欲しい。メアリー・J. ブライジのように。

「フェイド・トゥ・マインド(心へとりこまれる)」というレーベル名はプリンスがつけたそうですね。レーベル・コンセプトについてキングダムはクラブ・ミュージックに心を取り戻すと語っていたと思うのですが、つまりそれまでのクラブ・ミュージックに対する批評的な視点があるということでもあるのでしょうか? また、レーベルをスタートさせてから2年経ちますが、現状どのような感想をお持ちですか?

プリンス・ウィリアム:それはちょっと誤解で、僕たちはそれまでのクラブ・ミュージックに対して不満があったわけではないよ。レーベル名の意味については、ただ僕たちがやりたいこと――クラブにソウルを吹き込みたいということを語っているだけだよ。エズラ(キングダム)はとてもスピリチュアルでミスティカルな人間なんだ。メディテーションに興味があって、「身体の外の経験」――すなわちそれが「フェイド・トゥ・マインド」なんだ。そこにクラブ・ミュージックがあるとき、人びとにソウルフルな体験を味わってほしい。僕たちはクラブに/リスナーにエナジーを注ぎこみたい。朝の起き抜けに音楽を聴いて起きたり、夜の疲れているときクラブに行ったりするでしょう。僕たちはそういうものを欲しい。ハイエナジーな音楽を。

さきほども挙げられていたガラージや2ステップなど、なぜイギリスの音楽に惹かれるのでしょう?

プリンス・ウィリアム:繰り返しになるけども、僕たちはただイノヴェイティヴなレコードを作っていく。けれど、それと同時に一般的な人びとやストリートにもアピールしたいと思っている。人びとがソウルフルになれる実験的なクラブ・ミュージック――たとえば、グライムはとてもクリエイティヴでイノヴェイティヴだ。さまざまなジャンルに派生していける可能性も秘めていたしね。
 全体的にイギリスの音楽は、ソウルフルでありながらとても冷たい、温かいのにハードなんだ。驚くべきバランスで成り立っている。ロンドンにはとてつもない緊張感があって、それがすばらしい音楽を生み出しているんじゃないかな。そういうところに影響を受けているね。トレンドが移り変わって、リアクションがあって。イギリスの音楽はヴォーカルやアカペラをまったく色の違うトラックに乗せたりするけど、ヴォーカルを新しいコンテキストに組み込むというのは僕たち〈FTM〉にとっても設立時からずっと鍵であるアイディアだった。それもあって、ケレラ(Kelela)のようなオリジナルなシンガーをレーベルにずっと迎えたかったんだ。

イギリスの音楽というところで、ブリアルやアンディ・ストット、また、国は違いますがR&Bのハウ・トゥ・ドレス・ウェルなどにはどのような感想をお持ちですか?

プリンス・ウィリアム:僕はとても〈ハイパーダブ〉に影響されたけど、もっとエネルギーのあるレコードを好んでいたから、ブリアルを最初聴いたときはチルな感触がマッシヴ・アタックのようなトリップ・ホップのように感じられた。そんなにプレイすることもなかったし、おおきな影響を与えられた存在とは言えない。エズラ(キングダム)はヴォーカルのマニピュレーションがとても評価されているけど、どちらかというとドラム・ン・ベースからの影響が強いね。
 アンディ・ストットはどんな音楽なの? 知らないな。
 ハウ・トゥ・ドレス・ウェルよりも、僕はインク(Inc.)の方が好きだ。近しい友だちでもあるしね。
 僕は音楽においてダイナミクスが聴きたいんだ。ただ悲しいものだけじゃなくてね。僕たちの音楽は、悲しかったり、ハッピーだったり、ハイエナジーだったり、すべてがひとつの瞬間に起こる。でもハウ・トゥ・ドレス・ウェルはとってもとっても悲しくてとっても沈んでいるよね。沈みっぱなし。彼のプロダクションとかサウンドは好きなんだけど、僕は音楽にアーク(弧)が欲しいんだ――クラシカル・アーク――『クラシカル・カーヴ』さ。

(一同笑)

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〈FTM〉と〈ナイト・スラッグス〉はふたつでひとつのレーベルだと思う。僕たちはビヨンセやリアーナ、クラシックなR&Bに大きな影響を受けている。エモーショナルな歌が大好きだ。ブレンディーのレコードは去年のお気に入りだな。ジェシー・ウェアもわるくないけど、彼女の場合はスタイルに重きがあるよね。僕はエモーショナルなものが欲しい。メアリー・J. ブライジのように。

ングズングズも含め、〈FTM〉のみなさんのDJプレイはダンスを強く希求するハイエナジーなものでした。本誌でも工藤キキさんが〈GHE20G0TH1K〉(ゲットーゴシック)の客のファッションについて「90'Sのレイヴの独自の解釈?」と表現していましたし、PROMの甲斐さんも「まるでレイヴだった」と話してくれました。あなたたち自身は、たとえばかつてのレイヴ・カルチャーないしはセカンド・サマー・オブ・ラヴに対して憧憬はありますか?

マイルス・マルチネス:僕個人的にはオリジナル・クラブ・ミュージックというのは、ヨーロッパではなくアメリカ発祥のそれであって、シカゴ・ハウス/シカゴ・ジューク/デトロイト・テクノなどかな。初めて好きになった音楽はヒップホップで、それからすこし違う文脈でハウスやテクノを知るようになった。

プリンス・ウィリアム:僕も初めはヒップホップから入ってデトロイト・テクノのようなものを知った。でもエズラはまったく違くて、彼はヨーロッパのクラブ・ミュージックに入れ込んでいた。彼も僕もドラムンベースは大好きだし鍵となる影響を受けているし、ドラムンベースは僕のなかでヒップホップとテクノとを繋いでいる橋なんだけれど、僕がヒップホップに入れ込んでいる一方で、エズラはR&Bに入れ込んでいた。ラジオでかかる音楽を実験的なテリトリーに引き込みたいというアイディアがあったんだ。ヨーロッパの国営放送では実験的なレコードがかかるよね。それはただのポップではない。アメリカのラジオは崩壊したシステムで成り立ってる。DJに金を払わなければいけない。良いレコードをつくってラジオでかけてもらうということがアメリカではありえないんだ。
 はじめてレイヴが起こった頃に僕は14歳だったし、レイヴはヴィジュアル面でとてつもなく大きい影響があったこともたしかだ。フライヤーとかモーション・グラフィックとか、エズラもアート・ダイレクションにすごくレイヴカルチャーの影響を受けているよ。

マイルス・マルチネス:そう、そのとおり。

プリンス・ウィリアム:でも同時に、90年代のレイヴ・カルチャーは逃避主義的すぎた――ディプレスやデジャヴからの逃避。僕らはひとびとに触れあいがあってほしいし、「いま」を生きてほしいんだ。クラブの外に出たとき自分たちがどこにいるのかを認識してほしいんだ。なにも日々の仕事から離れさせようとか落ち込んでいるのをカヴァーするとかではなく、僕は気分の沈みをクリエイティヴィティに変えるのを助けたいんだ。僕らのメインドラッグは珈琲だよ(笑)。

カフェインもなかなかですからね。プリンスはコンセプトについて語ると一貫していますし、〈FTM〉が逃避ではなく、いま現実を生きる活力としてのダンスを主張しているというのがよくわかりました。それでは、最近聴いた音楽でよかったものと、うんざりしたものを教えてください。

プリンス・ウィリアム:インク。インクだよ。僕たちのもっとも好きな音楽だし、とてつもない影響をもらっているし、新しいアルバム『ノー・ワールド』はつねに車でプレイしている。
 不満をいうなら、トラップだね。あれはカウンター・カルチャーじゃないと感じるし、事実あれはアメリカのラジオでかかっている。たとえば、ビヨンセがトラップに乗った音楽がある、一方でトラップのインストゥルメンタルだけの音楽がある。どっちがほしいだろう? 僕はビヨンセが欲しい。わかるかな。僕はトラップのインストじゃなくてビヨンセがあればいい。それにトラップはサザン・スタイルのヒップホップだ。でも南部じゃないひとたちがたくさんトラップを作っているでしょう。そんなのはリアルじゃないよ。ただのトレンドだ。

マイルス・マルチネス:僕はDJラシャドが好きだな。新作はもちろん、古いのも。クドゥーロも好きだし、グライムも好きだし......なんていうかな。

プリンス・ウィリアム:マイルスはとてもポジティヴだからね。

マイルス・マルチネス:はは(笑)。好きじゃないものは聴かないから。音楽雑誌も読まなくなったし、欲しいものをは自分で探すようにしてる。僕はングズングズが大好きだし、ジャム・シティもキングダムもファティマ・アル・カディリも......シカゴの音楽も、マサクーラマンも、E+Eとかも...とにかく友達はすばらしい音楽を作るし、それが好きなだけだよ。

それでは最後の質問です。あなたたちが日本にくるまえ、2年前に、震災と原発の事故があったことはご存知ですよね。日本国内の市民である僕たちでさえ安全だとはとても言えないのですが、そんななか自国を離れ、わざわざ日本に来るのは不安ではなかったですか?

マイルス・マルチネス:この世界では日常的に汚染だとか放射線とか僕たちにはわからないクレイジーなことが起きているし、いつも死に向かっているようなものだよ。それに、日本にはいつだってまた行きたいと思う場所で、それは事故のあとも変わらないよ。

プリンス・ウィリアム:僕が思うに、〈FTM〉は恐れではなくポテンシャルによってここまで来ることが出来た。僕らのクルーが恐れについてどうこう話をすることすらないよ。日本はすばらしい場所だし、いつだってサポートしたいと思うカルチャーがある。アメリカでもカトリーナのあとのニュー・オリーンズとおなじで、僕たちはそこに行ってお金を回してカルチャーを取り戻したいと思ったし、実際、日本の経済的な状況は前に来た時よりもおおきく変わったのを今回は肌で感じることもできた。
 ストリート・カルチャーもおおきく変わったね。前に来日した時はコンビニに入れば『smart』とかストリート・ファッションの雑誌がたくさんあった。でももうそういうのが見られないよね。ストリート・カルチャーはもっと狭くなってしまった。みんな年を重ねてソフィスティケイトされた。でもそれは悪いことじゃなくて、ただシフトが起こっただけだと思う。
 とはいえ、実際に住んで生活をしている人とアメリカにいる僕とでは経験としてまったく違うのだろうと思う。(311の頃)日本の友達にはすぐ電話したんだけど、僕はとても心配だったよ。
 災害時にすぐにメディアがポジティヴな話題に切り替えたり、人びとの間で実際に被害の話ばかりするのが良くないという風潮があったというのは、やっぱり日本の文化的な面も大きいと思う。そこには悪い部分もあるかも知れないけれど、僕はそれは日本の良い部分でもあると思うんだ。恐れの話をしてもしょうがないというときもある。それはポテンシャルと自信を生む事もあるし、このように気の利いた社会というのはそういうメンタリティによって支えられているとも思うんだ。だから僕たちはまた機会があれば日本に来たいし、出来る限りサポートしたいと思っている。ここの文化からはすごく影響を与えられているから。

なるほど。これからも〈FTM〉を躍進させて、僕たちを思いっきり踊らせてください! ぜひまたお会いしたいです。今回はありがとうございました。

vol.51:オタクはヒップスター? - ele-king

 先週はアーヴィング・プラザ(Irvingplaza.com)という比較的大きめの会場に、アナマナグチという8ビット・パンク・ポップ・ダンス・バンドを見に行った。

 メンバー4人、ニューヨーク・ベースの彼らの特徴を上げる:「蛍光色」「アニメ」「ヴィデオゲーム」「ライトアップ」「かわいい」「おたく」
 サイト(https://www.anamanaguchi.com)からもわかるように、彼らには、たくさんのこだわりとアイディアがある。それに同意する人がいかに多いのかという結果として、最新アルバム「endless fantasy」を作るためにキックスターターで、189.529(=200万弱)をレイズした(https://www.kickstarter.com)。

 会場は、半分がおたく男子(ナード、ギーク、でもスタイリッシュ)。彼らに向ける声援もアイドルのようだ。目を閉じるとゲーム音楽が流れ、目を開けると蛍光カラーのライトが反射するステージが飛び込んでくる。
 このライトに関して言うと、ベースのジェイムス(彼のベースの弦は、4色とも蛍光カラー、ネットで購入したらしい)は自分の家の地下室にライト研究室を持つぐらい、蛍光ライトにこだわり、さらに映像と音のシンク、ステージでのプレゼンテーション全てをケアしている。ギターのアリーは、蛍光グリーンの髪に(最近黄色から変えた)、蛍光オレンジのキャップ、蛍光ピンクのTシャツに、蛍光イエローのギターで、見た目はアニメキャラ。

 メンバーが着ていたのは、ブルックリンのファッション・レーベルRHLS/ルフェオ・ハーツ・リル・スノッティ(https://rhls.com/)、ウィリアムバーグ・ファッション・ウィークエンドでもおなじみの彼らは、アナマナグチと同じ世界観、ファンタジーの世界を生きている。ウィリアムズバーグにmovesというコンセプトストアも運営している(https://movesbrooklyn.com/)。

 基本インストなのだが、ゲスト・ヴォーカルが入る曲もある。今回は、アイルランド人の女子(歌が下手なきゃりーぱみゅぱみゅ風)と、女性R&Bシンガーがアナマナ好みにサンプリングされていた。ライヴの最後には、今日の観客から引っ張り出されたような、ヒップスター女子ふたりが登場(柄物レギンスにボーイフレンドT)、歌い終わったあとは、客席へダイヴするのだった。
 彼らの音楽は、アメリカのアタリや日本の任天堂、サブカルのごちゃ混ぜ感を、音楽+映像をプラットフォームに表現している。インディ・バンドのように心に訴えかける力やハングリー感はないが、音楽に対する熱意やアイディアは相当ある。オタクというと気持ち悪いというイメージもあるだろうが、新世代のオタクはヒップスターなのだ。バンドというフォーマットにこだわらず、自分が操作できる装置を使って、自分たちの娯楽を作っている。



 このショーを見ながら、私はオブ・モントリオールを思い出した。どちらも現実を忘れさせるほど、ファンタジーの世界を捻り出している。ヴィジュアルやステージでのパフォーマンス、ライティングに定評があるが、その裏では果てしない奮闘を繰り広げている。
 ちょうどアナマナグチのショーの3日後に、オブ・モントリオールを見たのだが、ステージを盛り上げるゲスト(シアトリカル・パフォーマー、女性ヴォーカリスト)、ライトショー(白い布を来た人がステージの中心に立ち、そこに映像が当てられる)など、音楽以外にさまざまなおまけが付いてきて、アナマナグチよりストーリー性を感じた。
 ライトショーは前回もあったが、今回は人の体のラインや形によってライトの当て方を変え、まるで動くプラネタリウムを見ているようだった。新曲からヒット曲をまんべんなくミックスし、全曲スムースに進む。まったくソツがない。
 バンドとして全体を見たとき、勢いなのか、新しいことをやっているワクワク感なのか、アナマナグチの方にパワーを感じたが、オブ・モントリオールは経歴も長いし、今回のツアーも後半に差し掛かっている。そこを差し引いても、オブモンはオーディエンスを楽しませること、アナマナグチは自分たちが楽しむことをいちばんとしているように思えた。
 オブ・モントリオールはその足で、日本(6/1タイコクラブ)に行くので、多くの人に是非ライヴを体験して欲しい。

TANGO (METHANE) - ele-king

ここ数年チルアウトスペースでのDJブッキングが多いので、そんな10曲選です。
いい場所あればお誘い下さい。

DJスケジュール
5/25 Wander-ground (あきる野キャンプ場)
https://wonder-ground.jp/about.html

6/15 HOUSE OF LIQUID (LIQUID ROOM)
https://www.liquidroom.net/schedule/20130615/14701/

6/22 SLOW MOTION (神戸 塩屋 旧グッゲンハイム邸)
https://www.nedogu.com/blog/archives/7091


1
三田村菅打団? - Asa Branka - Compare Notes
https://www.youtube.com/watch?v=2gzoV1h1BjU

2
yumbo - 人々の傘 - Igloo Records
https://www.youtube.com/watch?v=KR5I1dGS8cA

3
Nautic - Fixxx - Deek
https://www.youtube.com/watch?v=zHf4KKDL9xw

4
Tom Ze - Toc - Continental
https://www.youtube.com/watch?v=7brUX75sSQQ

5
Baby Fox - Curly Locks - Malawi Records
https://www.youtube.com/watch?v=UwLB34_w6aI

6
S.Y.P.H - Little Nemo - HiD
https://www.youtube.com/watch?v=e8SfIc3pp7o

7
The Art Of Noise - Eye Of A Needle - China Records
https://www.youtube.com/watch?v=JVOYsqsnKvU

8
Fripp & Eno - Evening Star - Island Records
https://www.youtube.com/watch?v=REkbY-eEuus

9
Beaver & Krause - Spased - Collector's Choice Music
https://www.youtube.com/watch?v=2xKO3KAtDZ0

10
アサダマオ - ビールの涙 - カモメレコーズ
https://www.youtube.com/watch?v=1cuN0BZeIbk

Marii (S・THERME) - ele-king

フロアでだれかに話しかけたくなるような、いいにおいが漂う90'sよりのハウスを選んでみました。
音攻めパーティ「S」をオーガナイズしたり、THERME GALLERYというギャラリーの運営をしていたりします。
6月はSクルーみんなでHOUSE OF LIQUIDに出張します。
6/15 @ KATA (Liquid Room) 【HOUSE OF LIQUID】

THERME GALLERY https://thermegallery.com/
SOUND CLOUD https://soundcloud.com/mariiabe
BLOG https://cawgirl.exblog.jp/

いいにおいのするハウス10曲 2013.5.10


1
Enrico Mantini - The maze(What you like) - Smooth sounds

2
Jump Cutz - Meditate on this - Luxury service

3
The visionary - Free my soul (duke's deep skool mix) - Music for your ears

4
Pierre lx - Gabita - Initial cuts

5
Aly-us - Go on (club mix) - Strictly rhythm

6
Vapourspace - Vista humana - Ffrr

7
Cazuma & Hiroaki OBA - Alphonse - TBA

8
Raiders of the lost arp - Stealing my love - Snuff trax

9
Reese&Santonio - Truth of self evidence - KMS

10
Kornel Kovacs - Baby Step - Studio Barnhus
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448