一昨日のイヴェントの際、友人がフロアをガン無視したアヴァンDJっぷりを発揮するなか、殊のほかひどかったのはコレであった。いやしかしまったく気づかなかった。いつの間にハクサン・クロークはここまでヒップな存在になっていたのか。やはりここで改めてUKの暗黒オブスキュア・ミュージック・レーベル、〈オーロラ・ボレアリス(Aurora Borealis)〉の実力を再認識させられている。
ドゥーム・メタルやワンマン・ブラックメタルが絶賛ドローン化していた2004年頃産声をあげたこのレーベルは同郷の〈ブラッケスト・レインボー(Blackest Rainbow)〉と並び、時代へ一石を投じるサウンドの発掘に貢献してきたのだ。とりわけ文字通り多くのリスナーの耳に極端に響くエクストリーム・ミュージックからの精鋭的なリリースという点においては、なんせ最初のリリースが〈インテグリティ(Integrity)〉であるオーロラ・ボレアリスは常に最速であった。モス(Moss)、KTL、シルヴェスター・アンファン(Silvester Anfang)、ヘヴィ・ウィングド(Heavy Winged)、ラセファル(L'Acephale)、ブリアル・ヘックス(Burial Hex)、どれも僕にとっては感慨深いバンドばかりだ。
ハクサン・クローク(魔女のマント)ことボビー・ケリックがセルフ・タイトルのファースト・アルバムを最初に聴いたとき、僕は同レーベルのデッド・ライヴン・コイアー(Dead Raven Choir)を洗練させたようなバンドといった程度の認識であったが、つづく即完売したEP、オブサーヴァトリー(Observatory)を一聴して吹き飛ばされた。ヴァイオリンやチェロやパーカッションの生音レコーディングで大切に創りあげたダーク・アンビエントとゴスな旋律が整然とつづく曲構成。そこでダレることなく展開される彼のオリジナリティーは、このEPでの明快なシーケンスの下、完全に昇華されたと言えよう。
『エクスカヴェイション(Excavation)』は、これまで以上に電子音のザラつきをフィーチャーし、ジェイムス・プロトキン(James Plotkin)のソロ・ワークやミック・ハリス(Mick Harris)のスコーン(Scorn)を彷彿させ、彼の音楽的嗜好の背景にあるものを強く感じ取らせる。素晴らしいアルバムだ。脈々と流れる暗黒音響派のDNAと、〈Tri Angle(トライ・アングル)〉からのリリースが意味するウィッチ・ハウス・ムーヴメント、そしてニューエイジ・インダストリアル、それらの納得のゆく着地点。そういった意味でも2013年度の重要な一枚といえる。あえてこのアルバムに対してはインダストリアルを唱えるよりも、松村さんリスペクトでドゥーム・エレクトロニカ(byスタジオボイス)と呼びたい。













"KING OF DRUM & BASS"、ゴールディー。80年代にUK屈指のグラフィティ・アーティストとして名を馳せ、92年に4ヒーローのReinforcedからRUFIGE KRU名義でリリースを開始、ダークコアと呼ばれたハードコア・ブレイクビーツの新潮流を築く。94年にはレーベル、Metalheadzを始動。自身は95年にFFRRから1st.アルバム『TIMELESS』を発表、ドラム&ベースの金字塔となる。98年の『SATURNZ RETURN』はKRSワン、ノエル・ギャラガーらをゲストに迎え、ヒップホップ、ロックとのクロスオーヴァーを示す。その後はレーベル運営、DJ活動、俳優業に多忙を極めるが07年、RUFIGE KRU名義で『MALICE IN WONDERLAND』をMetalheadzから発表、08年に自伝的映画のサウンドトラックとなるアルバム『SINE TEMPUS』を配信で発表。09年にはRUFIGE KRU名義の『MEMOIRS OF AN AFTERLIFE』をリリース、またアートの分野でも個展を開催する等、英国が生んだ現代希有のアーティストとして精力的な活動を続けている。12年、Metalheadzの通算100リリースに渾身のシングル"Freedom"を発表。13年3月には新曲"Single Petal Of A Rose"を含む初のコンピレーション『THE ALCHEMIST: THE BEST OF 1992-2012』がCD3枚組でリリースされ、まさにアルケミストなゴールディーの不朽の音楽性を再認識させる。
ロンドンに生まれたDEGOはサウンドシステムや海賊放送でのDJ活動を経て90年にReinforced Recordsの設立に参加、4HEROの一員として実験的なハードコア/ブレイクビーツ・トラックのリリースを開始。やがて4HEROはDEGOとMARC MACの双頭ユニットとなり、タイムストレッチング等、画期的な手法を編み出し、ドラム&ベースのパイオニアとなる。傑作『PARALLEL UNIVERSE』(94年)、『TWO PAGES』(98年)以降、4HEROはD&Bのフォーマットを捨て、『CREATING PATTERNS』(01年)、『PLAY WITH THE CHANGES』(07年)で豊潤なクロスオーヴァーサウンドを打ち出す。DEGOはTEK9名義でダウンテンポを追求する等、オープンマインドかつ実験的な制作活動は多岐に及び、98年に自己のレーベル、2000Blackを始動し、革新的な音楽共同体としてのネットワークを拡張、ブロークンビーツ/ニュージャズの潮流を生む。KAIDI TATHAMらBUGZ IN THE ATTIC周辺と密に交流し、dkd、SILHOUETTE BROWN、2000BLACK名義のアルバムを制作。11年には満を持してDEGO名義の初アルバム『A WHA' HIM DEH PON?』を発表、ジャズ、ファンク、ソウルetcへの深い愛情を反映した傑作となる。その後も精力的な活動を続け、12年に『TATHAM,MENSAH,LORD & RANKS』を発表している。





