「IO」と一致するもの

The Haxan Cloak - ele-king

 一昨日のイヴェントの際、友人がフロアをガン無視したアヴァンDJっぷりを発揮するなか、殊のほかひどかったのはコレであった。いやしかしまったく気づかなかった。いつの間にハクサン・クロークはここまでヒップな存在になっていたのか。やはりここで改めてUKの暗黒オブスキュア・ミュージック・レーベル、〈オーロラ・ボレアリス(Aurora Borealis)〉の実力を再認識させられている。

 ドゥーム・メタルやワンマン・ブラックメタルが絶賛ドローン化していた2004年頃産声をあげたこのレーベルは同郷の〈ブラッケスト・レインボー(Blackest Rainbow)〉と並び、時代へ一石を投じるサウンドの発掘に貢献してきたのだ。とりわけ文字通り多くのリスナーの耳に極端に響くエクストリーム・ミュージックからの精鋭的なリリースという点においては、なんせ最初のリリースが〈インテグリティ(Integrity)〉であるオーロラ・ボレアリスは常に最速であった。モス(Moss)、KTL、シルヴェスター・アンファン(Silvester Anfang)、ヘヴィ・ウィングド(Heavy Winged)、ラセファル(L'Acephale)、ブリアル・ヘックス(Burial Hex)、どれも僕にとっては感慨深いバンドばかりだ。

 ハクサン・クローク(魔女のマント)ことボビー・ケリックがセルフ・タイトルのファースト・アルバムを最初に聴いたとき、僕は同レーベルのデッド・ライヴン・コイアー(Dead Raven Choir)を洗練させたようなバンドといった程度の認識であったが、つづく即完売したEP、オブサーヴァトリー(Observatory)を一聴して吹き飛ばされた。ヴァイオリンやチェロやパーカッションの生音レコーディングで大切に創りあげたダーク・アンビエントとゴスな旋律が整然とつづく曲構成。そこでダレることなく展開される彼のオリジナリティーは、このEPでの明快なシーケンスの下、完全に昇華されたと言えよう。

『エクスカヴェイション(Excavation)』は、これまで以上に電子音のザラつきをフィーチャーし、ジェイムス・プロトキン(James Plotkin)のソロ・ワークやミック・ハリス(Mick Harris)のスコーン(Scorn)を彷彿させ、彼の音楽的嗜好の背景にあるものを強く感じ取らせる。素晴らしいアルバムだ。脈々と流れる暗黒音響派のDNAと、〈Tri Angle(トライ・アングル)〉からのリリースが意味するウィッチ・ハウス・ムーヴメント、そしてニューエイジ・インダストリアル、それらの納得のゆく着地点。そういった意味でも2013年度の重要な一枚といえる。あえてこのアルバムに対してはインダストリアルを唱えるよりも、松村さんリスペクトでドゥーム・エレクトロニカ(byスタジオボイス)と呼びたい。

Synth-pop, Rock & Roll, Electronica, Juke, etc. - ele-king

Inga Copeland - Don't Look Back, That's Not Where You're Going
World Music


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「Don't Look Back, You're Not Going That Way.(振り返らないで、あなたはそっちではない)」、いかにもアメリカが好みそうな自己啓発的な言葉で、沢井陽子さんによれば、この言葉がポスターになったり、ブログのキャッチになったり、本になったりと、いろんなところに出てくるそうだ。インガ・コープランドは、そのパロディを彼女のセカンド・シングルの題名にしている......といっても、この12インチには例によってアーティスト名も曲目もレーベル名も記されていない。表面のレーベル面には、ナイキを着てニコっと笑った彼女の写真が印刷されていて、裏側は真っ白。ちなみにナイキは、彼女のトレードマークでもある。
 Discogsを調べると今回の3曲のうち2曲はDVA、1曲はMartynがプロデュースしているらしい。ディーン・ブラントではない。ベース系からのふたりが参加している。レーベルの〈World Music〉は、ブラントとコープランドのふたりによる。1曲目の"So Far So Clean"はアウトキャストの"So Fresh, So Clean"のもじりで、「いまのところとってもクリーン」なる題名は悪ふざけだろう。シニシズムは相変わらずで、しかし音的にはスタイリッシュになっている。

Synth-pop

Jamie Isaac - I Will Be Cold Soon
House Anxiety Records


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 デビュー・アルバムのリリースが待たれるキング・クルーの初期作品を出していたレーベルから、冷たい心を持った新人が登場。簡単に言えば、ザ・XX、ジェイムズ・ブレイクの次はこれだろう、そう思わせるものがある。まだ聴いてない人は、"Softly Draining Seas"をチェックしてみて。

E王

Electronic Blues

Americo - Americo graffiti PEDAL


 アメリコは、50年代のロックンロール(ないしはフィル・スペクター)×70年代の少女漫画(ないしは乙女のロマンス)×70年代歌謡曲×ポストパンクという、なかば超越的なバンドだ。坂本慎太郎作品やオウガ・ユー・アスホール作品で知られる中村宗一郎をエンジニアに迎えての12インチで、全6曲。アートワークも楽曲も(そして録音も)アメリコの美学が貫かれている。ヴォーカルの大谷由美子さんは、80年代はクララ・サーカス(日本でザ・レインコーツにもっとも近かったバンド)なるガールズ・ポップ・バンドをやっていた人。

Rock & RollDream Pop

DJ まほうつかい - All those moments will be lost in time EP HEADZ


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 クラスターのレデリウスを彷彿させる素朴なピアノ演奏ではじまる、。DJまほうつかいこと西島大介の4曲入り......というか4ヴァージョン入り。本人の生演奏によるピアノをまずはdetuneがリミックス、自分でもリミックス、そして京都メトロでのライヴ演奏が入っている。エレクトロニカ調のもの、クラウトロック調のもの、少しお茶目で、それぞれに味がある。西島大介といえば可愛らしい画風で知られる漫画家だが、これは漫画家が余興でやったものではない。僕は最初の2と3のヴァージョンが良いと思ったが、もっともシリアスなライヴ演奏が最高かもしれない。

Modern ClassicalAmbient

DJ Rashad - I Don't Give A Fuck Hyperdub


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 これだけファック、ファック言ってる曲はラジオではかけられないが、海賊ラジオやネットでは大丈夫なのか。DJラシャドの「ローリン」は今年前半の最高のシングルだった。"アイ・ドント・ギヴ・ア・ファック"は前作のソウルフルなな路線とは打って変わって、残忍で、好戦的で、不吉で、緊張が走る。声ネタを使ったDJスピンとの"Brighter Dayz"ではジャングル、フレッシュムーンとの"Everybody"でも声ネタを使った、そして頭がいかれたジャングル、DJメニーとの"Way I Feel"はパラノイアックで不穏なR&Bを披露する。楽しんでいるのだろが、しかし......やはり恐るべき音楽だ。

Juke, Footwork

11月はすぐそこ! - ele-king

 踊りたい人間と、ちゃんと音楽を聴きたい人間とをともに満足させてくれるエレクトロニック・ミュージックのお祭り〈エレクトラグライド〉が、今年も開催される。昨日、出演アーティスト情報の第一弾が発表となった。ジェイムス・ブレイク、チック・チック・チック、エイドリアン・シャーウッド&ピンチ、ファクトリー・フロア、マシーンドラム。ベテランから新人枠までいずれ劣らぬ存在感を放っており、この後二弾、三弾とつづく情報解禁がさらに楽しみになる。
 そこで勝手にele-king的第二弾大予測を開始する!
 まずはソフィア・コッポラ監督の新作映画にも抜擢され、〈ワープ〉からの新譜も控えてステージをひとつ上げた感あるOPN(Oneohtrixpointnever)。来い! そしてパフォーマンス・スタイルにおいても随一のインパクトを誇り、イクエ・モリとのコラボなどを経ていまやヨーコ・オノからも呼び声がかかるという宅録女子、ジュリアナ・バーウィック。来い! ドローン・フォークからインダストリアルなダンス・ミュージックへ鮮やかに突き抜け、もはやブレイク寸前の超知性派ノイズ・アイドル、ピート・スワンソンも来い! フェリックス・Kやセイント・ペプシなんかもいると楽しいな! 〈ビートインク〉はきっとやってくれるでしょう......昨年同様、外れたらスミマセン!!
 胸を高鳴らせて続報を待とう。

国内最大級のエレクトロニック~ダンス・ミュージック・フェス〈エレクトラグライド〉、今年も開催決定!

electraglide
2013/11/29(FRI)
幕張メッセ

FEATURING:
JAMES BLAKE
!!!
SHERWOOD & PINCH
FACTORY FLOOR
MACHINEDRUM
PLUS MUCH, MUCH MORE ...

日本最大級かつ最も刺激的でクリエイティヴなエレクトロニック~ダンス・ミュージック・フェス〈エレクトラグライド〉!
オービタル、フライング・ロータス、アモン・トビンなどを擁し大盛況のうちに幕を閉じた昨年に続き今年も開催決定!
まずは第一弾ラインナップ(5組)を発表! そして今週末8月24日(土)より主催者先行発売がお得な早割価格¥7,800で開始!

James Blake

2011年1stアルバムで衝撃的デビューを飾り、初来日公演はすべてソールドアウト、2012年のフジロックではWHITEステージのヘッドライナーとして圧巻のライヴを披露、そして今年、2ndアルバム『オーヴァーグロウン』発売後に開催された来日公演でも、追加公演を含む東京2公演を完売! 久しぶりにシーンに登場したニュー・ヒーロー、ジェイムス・ブレイクが、エレグラに登場!

!!!

アルバム『スリラー』リリース後行われた緊急来日公演(完売!)で、噂通りの最狂ライヴでフロアを絶頂へ導いた!!!(チック・チック・チック)

Sherwood & Pinch 

もはやUKベース・ミュージック・シーンの伝説的存在であり、最近もエイジアン・ダブ・ファウンデイションの最新作をプロデュースするなど未だ活発な活動を続けるOn-U Sound総帥エイドリアン・シャーウッドと、ベース・ミュージック新世代の最重要人物ピンチによるドリーム・タッグ=シャーウッド&ピンチ!

Factory Floor

すこぶる高い評価を得た一昨年のフジロックでのライヴも忘れがたい、そして間もなく最新アルバムも発売されるファクトリー・フロア!

Machinedrum

エレクトロニック~ダンス・シーンにおいて絶大かつ強固な信頼を集め、間もなくアルバムが〈ニンジャチューン〉より発売されるマシーンドラム!


今後、続々追加ラインナップを発表していきます!
次回発表も乞うご期待!


■日時
2013/11/29(Fri)

■場所
幕張メッセ

■Open/Start
20:00

■Ticket
主催者先行早割:7,800yen(8/24~9/2)
前売:8,800yen
当日:9,800yen
※18歳未満の入場は不可、入場の際IDの提示をお願い致します。

前売TICKET詳細
◆主催者先行(先着):https://l-tike.com/electraglideticket/
[8/24(SAT)12:00~9/2(MON) 23:00]
先行早割価格 7,800YEN

◆一般発売:9月7日(土)から
前売 8,800YEN
チケットぴあ 0570-02-9999[https://t.pia.jp/] (Pコード:209-961) 初日特電:0570-02-4480
ローソンチケット 0570-084-003 (Lコード:72626) 初日特電:0570-084-637
イープラス [https://eplus.jp]

ビートインク [www.beatink.com] ※先行発売:9月3日より

GANBAN 03-3477-5710 (店頭販売のみ)

※お買い求めいただいたチケットは返品できません。

企画制作:BEATINK / SMASH / DOOBIE
後援:SHIBUYA TELEVISION
INFO:
BEATINK 03-5768-1277 beatink.com
SMASH 03-3444-6751 smash-jpn.com smash-mobile.com
HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999 doobie-web.com

www.electraglide.info

GOLDIE x DEGO - ele-king

 ゴールディとディーゴと言えば、泣く子も黙るドラムンベース界の2大巨匠。シカゴ・ハウスで言えば、マーシャル・ジェファーソンとラリー・ハード、NYハウスで言えばフランキー・ナックルズとフランソワ・ケヴォーキアン、デトロイト・テクノで言えばホアン・アトキンスとデリック・メイが一緒に来るようなもの。あまりにでっっっっっかいブッキングだ。とくにディーゴはいま何を回すのだろう? すっっっっっっごく興味あるんですけど......。では、9月21日、代官山ユニット。待ってるぜ。


DBS presents
"GOLDIE x DEGO (2000Black/4hero)"
W Birthday bash!
2013.09.21 (SAT) @ UNIT

feat.
GOLDIE (Metalheadz)

with:
DX
DJ MIYU
DJ ICHI a.k.a DIGITAL ONE

vj/laser:
SO IN THE HOUSE

Painting : The Spilt Ink.

saloon:
DEGO (2000Black/4hero)

Yoshihiro Okino (Kyoto Jazz Massive)
Yukari BB (Juno Records)
Toshimitsu "Tiger" Takagi
OKA (DESTINATION)
SAYURI (DESTINATION)
ZuKaRoHi (ブロークンビーツ酒場)
Shimoda

open/start 23:30

adv.¥3,300 door ¥3,800

info. 03.5459.8630 UNIT

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Ticket outlets:NOW ON SALE!
PIA (0570-02-9999/P-code: 208-636)、 LAWSON (L-code: 70076)、
e+ (UNIT携帯サイトから購入できます)
clubberia https://www.clubberia.com/store/

渋谷/disk union CLUB MUSIC SHOP (3476-2627)、TECHNIQUE(5458-4143)、GANBAN(3477-5701)
代官山/UNIT (5459-8630)、Bonjour Records (5458-6020)
原宿/GLOCAL RECORDS (090-3807-2073)
下北沢/DISC SHOP ZERO (5432-6129)、JET SET TOKYO (5452-2262)、
disk union CLUB MUSIC SHOP (5738-2971)
新宿/disk union CLUB MUSIC SHOP (5919-2422)、Dub Store Record Mart (3364-5251)
吉祥寺/Jar-Beat Record (0422-42-4877)、disk union (0422-20-8062)
町田/disk union (042-720-7240)
千葉/disk union (043-224-6372)

★90年代初頭ロンドンのアンダーグラウンドから勃発したUKブレイクビーツ革命はジャングル/ドラム&ベースから今日のベースミュージックの潮流を生んだ。そんなシーンのパイオニアはゴールディー、そして4ヒーロー/ディーゴに他ならない。20数年前、活動を共にして以来、それぞれの音楽を追求して行ったゴールディーとディーゴが9/21(土) 代官山UNIT&SALOONで再会する。GOLDIE x DEGOのW Birthday bash!!!! 奇跡の一夜!伝説を見逃すな!

GOLDIE (aka RUFIGE KRU, Metalheadz, UK)
"KING OF DRUM & BASS"、ゴールディー。80年代にUK屈指のグラフィティ・アーティストとして名を馳せ、92年に4ヒーローのReinforcedからRUFIGE KRU名義でリリースを開始、ダークコアと呼ばれたハードコア・ブレイクビーツの新潮流を築く。94年にはレーベル、Metalheadzを始動。自身は95年にFFRRから1st.アルバム『TIMELESS』を発表、ドラム&ベースの金字塔となる。98年の『SATURNZ RETURN』はKRSワン、ノエル・ギャラガーらをゲストに迎え、ヒップホップ、ロックとのクロスオーヴァーを示す。その後はレーベル運営、DJ活動、俳優業に多忙を極めるが07年、RUFIGE KRU名義で『MALICE IN WONDERLAND』をMetalheadzから発表、08年に自伝的映画のサウンドトラックとなるアルバム『SINE TEMPUS』を配信で発表。09年にはRUFIGE KRU名義の『MEMOIRS OF AN AFTERLIFE』をリリース、またアートの分野でも個展を開催する等、英国が生んだ現代希有のアーティストとして精力的な活動を続けている。12年、Metalheadzの通算100リリースに渾身のシングル"Freedom"を発表。13年3月には新曲"Single Petal Of A Rose"を含む初のコンピレーション『THE ALCHEMIST: THE BEST OF 1992-2012』がCD3枚組でリリースされ、まさにアルケミストなゴールディーの不朽の音楽性を再認識させる。
https://www.goldie.co.uk/
https://www.metalheadz.co.uk/
https://www.facebook.com/Goldie
https://twitter.com/MRGOLDIE

DEGO (2000Black/4hero, UK)
 ロンドンに生まれたDEGOはサウンドシステムや海賊放送でのDJ活動を経て90年にReinforced Recordsの設立に参加、4HEROの一員として実験的なハードコア/ブレイクビーツ・トラックのリリースを開始。やがて4HEROはDEGOとMARC MACの双頭ユニットとなり、タイムストレッチング等、画期的な手法を編み出し、ドラム&ベースのパイオニアとなる。傑作『PARALLEL UNIVERSE』(94年)、『TWO PAGES』(98年)以降、4HEROはD&Bのフォーマットを捨て、『CREATING PATTERNS』(01年)、『PLAY WITH THE CHANGES』(07年)で豊潤なクロスオーヴァーサウンドを打ち出す。DEGOはTEK9名義でダウンテンポを追求する等、オープンマインドかつ実験的な制作活動は多岐に及び、98年に自己のレーベル、2000Blackを始動し、革新的な音楽共同体としてのネットワークを拡張、ブロークンビーツ/ニュージャズの潮流を生む。KAIDI TATHAMらBUGZ IN THE ATTIC周辺と密に交流し、dkd、SILHOUETTE BROWN、2000BLACK名義のアルバムを制作。11年には満を持してDEGO名義の初アルバム『A WHA' HIM DEH PON?』を発表、ジャズ、ファンク、ソウルetcへの深い愛情を反映した傑作となる。その後も精力的な活動を続け、12年に『TATHAM,MENSAH,LORD & RANKS』を発表している。
https://www.2000black.com/
https://mrgoodgood.com/
https://www.facebook.com/2000blackrecords
https://twitter.com/2000black_dego

〈UNIT〉
Za HOUSE BLD. 1-34-17 EBISU-NISHI, SHIBUYA-KU, TOKYO
tel.03-5459-8630
www.unit-tokyo.com

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〈GOLDIE JAPAN TOUR 2013〉
9/20(金) 高知 X-pt. GOLDIExDEGO (問)088-885-2626
9/21(土) 東京 UNIT GOLDIExDEGO (問)03-5459-8630
9/22(日) 広島 cafe Jamaica (問)082-240-0505
9/23(月) 札幌 DUCE (問)011-596-8386

〈DEGO JAPAN TOUR 2013〉
9/20(金) 高知 X-pt. GOLDIExDEGO(問)088-885-2626
9/21(土) 東京 UNIT GOLDIExDEGO(問)03-5459-8630
9/22(日) 大阪CIRCUS ---(問)06-6241-3822


interview with Franz Ferdinand - ele-king


Franz Ferdinand
Right Thoughts, Right Words, Right Action

Domino / ホステス

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 2004年、ひと昔。フランツ・フェルディナンドのファースト・アルバムを手にしたのが、つい3年ほど前のように感じられる人もいるかもしれない。10年も経っていることに驚くのは、単純に「光陰矢の如し」的な感慨なのか、彼らがほとんど古びていないということなのか、それともUKロックに目立った更新がなかったということなのか。久々のフル・アルバムとなる『ライト・ソーツ、ライト・ワーズ、ライト・アクション』を聴いていると、そのどれでもあるように感じられる。

 今作にシンセ・ポップ寄りの嗜好が見られるように、彼らの音楽にはそのときどきのモードを反映したマイナー・チェンジはあるものの、4枚のアルバムを通して大きな方向転換はなかった。大ヒットした"ユー・クッド・ハヴ・イット・ソー・マッチ・ベター"は、ほぼ真っ直ぐに2009年の"ユリシーズ"へと連続している。バンド自体のストーリーとしても、とくにドラマチックな事件や変化を迎えたりはしていない。それで10年も現役としてメジャーな存在感を保っていられるというのが彼らのスペシャルなところだ。
 フランツ・フェルディナンドには何があるのか。
 今回はバンドの支柱とも呼べるベーシスト、ボブ・ハーディに話をきいた。彼らはけっして若さのために輝き、脚光を浴びたのではない。下積みが長いことがよく知られているが、彼らにあったのはずば抜けてクレバーなポップ・バンドとしてのアイロニーや批評性である。「信じるべきものなど何もないと僕は信じてる」("フレッシュ・ストロベリーズ")という一行(しかもカラっとした皮肉をこめて、のびやかに歌われる)は、その意味で彼らの来し方と行く末を照らすものかもしれない。若さやデビューの勢いが減退したからといって、まったく影響を受けない魅力やスタイルを、彼らは当初から備えている。

 何度めかの「ロックンロール・リヴァイヴァル」が終わりかけていた頃、それと入れ替わるようにフランツ・フェルディナンドはロック・アンサンブルをダンス・フロアへと持ち出し、シーンをまるごと踊らせた。そしてその後につづく大きな潮流――空虚さを祭に転換するようなポストパンク・リヴァイヴァル――をある一側面において象徴することにもなった。「信じるべきものなど何もないと僕は信じてる」というのは、思えば一貫したスタイルである。
 しかし、年を重ねること見えてくるものもあるはずだ。彼らにとっていまはどういう時期なのか、これからどんなふうに年をとっていこうと思っているのか。質問に対して、ボブ・ハーディは落ち着いた声と態度で語ってくれた。

「正しい考え、正しい言葉、正しい行動」、この3つの要素を適用すれば、人生のなかの大体のことは成功するんじゃないかな。

今作のタイトルは『ライト・ソーツ、ライト・ワーズ、ライト・アクション』ですが、私ははじめ「ライト」って「light(軽い)」の方かと思ってたんです。その方がいい意味で音楽性にも合っているというか、あなた方が標榜する無神論的な態度やプレイスタイルをよく表しているような気がしたんですね。ですが実際は「right(正しい)」の意味で、どうやら仏教に由来するタイトルであると。
 この「right」には、「ブリティッシュ・ポップ界きってのアホ野郎」とも自称されていたあなたたちの、わりとマジな理念や思考が反映されていると考えていいのでしょうか?

ハーディ:ははは、なるほどね。今回のタイトルに関してはどんなふうにでも意味をとってもらえるような余白があって、けっこういいんじゃないかって思ってるよ。僕らの込めた意味合いとしては、とても前向きなものがあるんだけどね。人生についてポジティヴな思いもあるし、バンド自体にもいまとてもいいエネルギーがあるんだ。「正しい考え、正しい言葉、正しい行動」、この3つの要素を適用すれば、人生のなかの大体のことは成功するんじゃないかな。僕らなりにはそう考えてつけたタイトルなんだ。だけど、全然、どうとってもらってもかまわないよ。

今作はプロデューサー/ミキサーとしてトッド・テリエも参加していますが、あなたがたは一貫して人々を踊らせるというコンセプトを大事にされていますね。デビューから10年、ダンス・ミュージックもさまざまに変化してきたわけですが、エレクトロニックな表現に距離を置いて、あくまでバンドによるセッションのスタイルを大事にされるのはなぜでしょう?

ハーディ:たしかに僕らは「踊れる」とか「クラブ向き」っていうふうに言われてきたけど、そもそもそれを目指していたバンドではないからね。ライヴをやって、ギターがその中心にいて......というバンドのスタイルは最初から持っていたつもりでね。今回のアルバムはとくにその感じが全面に出ているかもしれない。レコーディングの過程を通じて4人がいっしょにプレイするということを貫いているからね。
 トッドに入ってもらったのは、僕らが彼のファンだからだよ。こっちから声をかけたんだ。僕らがやった音の上に何か足せるものがあるかなってふうに呼びかけて、ロンドンのスタジオに来てもらった。音を聴いてもらって、その上でトッドなりに思うところがあれば......っていう感じでね。ベーシックなトラックは作ってあったから、その上にトッドらしい、ダンシーなフレイヴァーを加えてもらったんだ。最終的には彼はそれをオスロに持ち帰って、向こうで仕上げてくれたよ。彼がやってくれた2曲はその後、「エクステンデッド・ミックス」というかたちで8分くらいの尺に延ばしたものになったんだけど、それがすっごくいいんだ。僕らの演奏は生きてるんだけど、それをとてもいいかたちにミックスしたダンス・チューンになったるよ。いずれ2曲を両面に入れたシングルを出すつもり。というか、すぐ出るはずだね!

他に参加しているアーティストにはメロディメイカーが揃っているなという印象もありました。ビヨーン・イットリングとかアレクシス・テイラー、ジョー・ゴッダートというのはポップなソング・ライティングにおいて屈指の存在だと思いますが、起用の理由もやはりそのあたりになるのでしょうか?

ハーディ:才能ということで言えば、アレクシスとジョーのふたりとも、とてもメロディに秀でてるよね。1曲め("ライト・アクション")と10曲め("グッバイ ラヴァーズ&フレンズ")が彼らに参加してもらった曲なんだけど、1曲めの方はアレクシスにメロディを追加してもらってるし、10曲めの方ではキーボード・パートも加えてもらっているよ。10曲めはヴォーカル・ハーモニーもだね。アレクシスの高音のヴォーカルが目立っていると思うけど、ああいう、彼ならではのヴォーカルをあの曲に入れられたのはすごくうれしいなって思うよ。

ああ、アルバム全体のなかでもとても印象的なパートですね。あれはアレクシス・テイラーなんですね。

ハーディ:そう。そしてビヨーンについてだけど、ビヨーンのユニット自体がそうであるように、スウェディッシュ・ポップ自体がもともとメロディを重んじる音楽だよね。「いい曲」を大事にする彼らに僕はすごく惹かれるんだ。メロディメイカーとしてはもちろんだけど、プロデューサーとしての腕も確かで、リッケ・リー(Lykke Li)のプロダクション・ワーク(『ユース・ノベルス』2008年)なんかはほんとによかったな......。

なるほど。リッケ・リー自体も好きなんですか?

ハーディ:ほんと、大好きだよ。それにあのアルバムにはビヨーンのプロデューサーとしての才能が詰まってるよね。

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シニカルというのは、本当に生きることの意味を探しはじめたからこそ出てくるものだとも思うし、僕らのような無神論者がほかになにを信じて生きていけばいいのか――生きていくために必要な、信じるべき対象を探しているという部分が出ているのかもしれない。

そうですね。ところで、先ほどアルバムの大きな性格として「前向き」ということをおっしゃっておられましたが、私もすごくポジティヴなマインドを受け取りました。はじめの2曲なんかも、ほんとに10年前のファーストのときのような活力がありますね。その一方で、歌われている内容自体は、失恋というか、やぶれた関係のようなものがわりとテーマになったりもしています。こうしたテーマは自然に出てきたものなのでしょうか?

ハーディ:そういう音楽が僕は個人的に好きなんだよー。音楽だけ聴いているとアップで楽しいんだけど、詞のほうは逆。シリアスっていうんだろうか。ちょっと惨めなところがあったりね。例で言えばザ・スミス。ジョニー・マーのギターだけ聴いていればすごくエネルギッシュで、だけどモリッシーの歌の内容をきくと、そういうことばっかりじゃないというね。そういう組み合わせの曲の方が僕は好きだし、つい歌いたくなるのもそういう音楽だ。でも僕らのアルバムの詞がずっとそんな感じだからって、壊れた関係や別れってことばかり頭に残るんじゃなくて、音楽に身を任せて気分を上げて踊れるようになってると思うから、そういう両面を楽しんでもらえればなって思うよ。

すでに活動も長いわけで、最初の作品の頃から比べて、人間性に深みが出るというか、苦くなったり影ができていくような部分もあるのかなと思いまして。最後の曲では「恋人が友人に変わる」場面が描かれていたりしますが、それをきれいな思い出としてスッキリ処理しないでくれと呼びかけるくだりは、10代、20代の無邪気さからは遠いものですよね。フランツ・フェルディナンドがどんなふうに年を重ねてきたのか、時間の経過を少し感じさせるように思いました。

ハーディ:この曲は恋愛関係の終わりというよりは、死というか、「葬式」を歌ってもいるんだ。だから、関係の終わりではなくて命の終わりなんだよね。そのなかで、死んだ人が、「こういうことだけはしないでくれ」っていうことをあげつらっている曲なんだ。ポップ・ミュージックは流さないでくれ、とか、自分にそぐわない神話や美談を作り上げないでくれ、とかね(笑)。
アレックスも、べつに自分の葬式を想定しているわけではなくて、別のキャラクターを想定しているんだと思うんだけど、たしかに僕らにも多少シニカルなところは出てきたのかもしれないよね。それはべつに悪いことではないと思ってる。シニカルというのは、本当に生きることの意味を探しはじめたからこそ出てくるものだとも思うし、僕らのような無神論者がほかになにを信じて生きていけばいいのか――生きていくために必要な、信じるべき対象を探しているという部分が出ているのかもしれない。それがタイトルにもつながっていくんじゃないかな。

だけど、まず自分たちが楽しむということ自体がなかなか簡単なことではないんだよ。

なるほど......"フレッシュ・ストロベリーズ"では、「僕らは摘みたての新鮮なイチゴだけど、そのうち腐って忘れ去られるだろう」っていうようなことが歌われてますね。これはもしかすると部分的には自分たちの境遇や、長くアーティストを続けることの比喩だったりするのかなと思いました。

ハーディ:ははっ、そうだね。

いえ、比喩として(笑)。それで、バンドにとって年を重ねることと、クリエイティヴの幅を広げていくこととは、対立することなくうまく結びついていると思いますか? フランツ・フェルディナンドはどのように年をとっていくのでしょう?

ハーディ:あの曲は、腐る直前のあの甘さ......じつはそこがいちばん味わい深く貴重な魅力を秘めているということを歌ってるんだ。それはとても重要なことでもある。
 バンドとしては、これまで学んできたものがあるからいまがあると思っているし、年数を積んできただけのものはあるつもりだよ。たとえば、創造性をうまく保っていくためにはスケジュールに踊らされていてはいけない。スケジュールからも解放され、ツアーからも解放され、お互いからも距離を置いて自分だけのスペースを持つことがどれだけ大切かということを過去の経験から学んだ。そしてこのアルバムを作る前にそういう時間をしっかり設けたということが、この作品の出来につながっていると思うし、そうしないとアイディアが生まれてくる新鮮な感覚が持てなくなってしまうんだよね。書きたいことがなくなってしまうというか。
 でもがんばってツアーなんかをしてきたから――その経験のなかから書くべきことが生まれているとも言えるわけだよね。それがいいかたちでいまの作品には出てると思うんだ。

"スタンド・オン・ザ・ホライズン"なんかはめずらしくストレートに弱みやエモーションを見せている曲だと思うんですが、これは気に入っていますか? わりと湿っぽいことも、そう湿っぽくはしないのがフランツ・フェルディナンドだと感じるのですが、それはバンドとしての姿勢というか、哲学のようなものなんでしょうか?

ハーディ:ああ、"スタンド・オン・ザ・ホライズン"ね、ありがとう! 僕のフェイヴァリットだよ、この曲は。そうだな、ダンス・ミュージックをギターで演じるというのがやっぱり僕らの根本にあるわけだから、音的に高揚感を持たせることは意識しているよ。歌詞のテーマはその都度変わるけれども、ちょっとしたメランコリーのようなものはどうしても出てしまうことがある。だから音によってそこを引き上げようということは、意図的に行ったりはするね。

フランツ・フェルディナンドは優れたバンドであるとともに、優れたエンターテイナーであるからこそ、ここまで人々に受け入れられるようになったと思うのですが、人を楽しませることと、自分が楽しむこととでは、基本的にはどちらが大切だと考えますか?

ハーディ:まずはやっぱり自分たちが楽しむことを大事にしているかな。そうじゃないと続けられないものね。だけど、まず自分たちが楽しむということ自体がなかなか簡単なことではないんだよ。4人の好みもバラバラだしね。そのあたりのチェック・リスト的なものが無意識にあって――たとえば誰かはこれが好きだけどポールはそれでは納得しない、とかってふうにね――そうやってそれぞれの嗜好をすり合わせながら曲を作っていくという過程自体が、広く受け入れられる音楽性を作っていくのかもしれないよね。というか、そうならざるを得ないということに近いかもしれないよ。

Asian Dub Foundation - ele-king

 2011年3月4日、エイジアン・ダブ・ファウンデイションの、前作『ア・ヒストリー・オブ・ナウ』を引っ提げたツアー東京公演で軽くショックな場面を目にした。ギターのチャンドラソニックの発した「チュニジア、エジプト、リビアの市民にリスペクトを!」というMC(その通りのシンプルな英語だった)に対して、渋谷の会場を埋め尽くし、踊り狂っていた聴衆の大半が、きょとんとして反応しなかったのだ。よりによってこんなタイトルのツアーの公演に詰めかけた"ファン"(という言葉の定義を疑うが、それはともかく)が、あのとき地球上の最大の事件だった〈アラブの春〉に関心を示さない景色は、ステイジの上からどう映ったのだろう?(ピース・サインは、こういうときのためにあるはずなのだが)

 活動歴20年を数えるエイジアン・ダブ・ファウンデイションのヴェテラン・サポーターに対しては釈迦に説法だろうが、ADFは言わばひとつの学校のようなものである。そもそも彼らはベンガル(バングラデシュ、インド)・オリジンの恵まれない若者たちに音楽を教える東ロンドンの民間ワークショップ《コミュニティー・ミュージック》を背景に結成された。Dr.ダス(b.)やチャンドラソニック(g.)はそこで演奏を教える側にいたのだが、社会的バリアーによって抑圧されているマイノリティーの若者が同所で演奏技術を学ぶということは、社会に対して自分の意見を表明することと同義だった。そこでの教育とは、〈きみが大衆の前で演奏できるなら、政治的な集会で発言だってできる〉というものだったからだ(つまりその主眼は、社会的弱者として泣き寝入りしないために、音楽を通して社会に意見することを学ぶことにあった)。
 その後ADFは、《コミュニティー・ミュージック》をモデルとして、自分たち独自のネットワークの中に《ADFED(Asian Dub Foundation EDucation)》という、同目的の教育部門を作っている。若者たちに無料で音楽を教え、機材の使い方も手ほどきして自由に使わせ、卒業制作的に録音もでき、その曲は《ADF Sound System》でプレイされたり、実際にそこで作曲者がマイクを握ってオーディエンスに実地披露できたりもする。そういう組織体の前面に、アーティスト名義(バンド)としてのエイジアン・ダブ・ファウンデイションが存在してきたわけだ。
 例えば2000年の『Community Music』を最後に天才肌のMCディーダー・ザマンがグループを去ったあとにやってきたフロント2名:MCスペックスとアクターヴェイター(要するにあの「Fortress Europe」の2人)だって、別のグループのメンバーでありながら《ADFED》カリキュラムに参加した、同制度の最初期の"生徒"だったし、2人はその後《ADF Sound System》を経てADFの"本体"に抜擢されたわけである(その後スペックスは07年にフォーメイションから離れた。アクターヴェイターは一度離れたが再加入:現行メンバー)。

 つまりADFは、南アジア・オリジンの在英エスニック・マイノリティーの視点から、植民地政策、新自由主義経済システム、人種差別、宗教対立などに関する重大な問題にスポットを当て、リスナーを啓蒙し、考えさせるメディアであり、そして、自分たちと同じように音楽を媒体として世の中にプロテストする若者を育てる学校として機能している。そこでの"音楽"とは、社会的弱者のための厳然たる政治手段であり、カリキュラムとしてラヴ・ソングは扱われず、民族主義や権威主義は明確に忌避され、宗教的にもニュートラルであり続けている(今作からレゲエ・シンガーのゲットー・プリーストが戻ってきた現ADFでは、"違う神"を信じるムスリムとラスタファリアンが並んでマイクを握る)。
 そうしたスタンス/ポリシーと、そこから発せられるメッセージの質が厳格であればあるほど、それを高次で中和、かつ補強するための音楽的快楽を必要とする。それが彼らの"エデュテインメント"であり、そのために、バングラ・ビートなどのオリエンタル・ルーツ・ファクター、ブレイク・ビーツ、レゲエ、ラガにジャングル、ハード・パンク、ダブ・ステップ etc. が渾然とする彼らのサウンドがある。そのCDを買ってきて鳴らすことは簡単だが、共鳴することはまた別の話だ。それは、大なり小なり自分で学び、考えることを抜きにしてはあり得ない。
 ......と言うと堅苦しく聞こえるかもしれないが、ちなみにぼくがそのためにやっていることは単純だ。ADFの新作は、毎回必ず日本盤を買い、解説原稿と歌詞対訳を熟読しながら聴き込むのだ(彼らの曲を真に楽しむには、まず彼らのアクションや楽曲の意味を知ることが不可欠。各曲の背景に最初から通じていて、英語の聞き取りに問題のない人なら解説も対訳も不要だろうけれど、ぼくは残念ながらそうではない)。

 常に世界情勢に敏感に反応するADFだけに、今回は2011年のロンドン(とイギリス各地の)暴動や、〈アラブの春〉以降の世界を彼らがどう見ているのかに興味が湧くわけだが、今回も解説や歌詞対訳からいろいろな知識が得られた。大石始さんによる優れた解説原稿には、それらの出来事以外にも(2005年フランス暴動の問題の核心をその10年前に描いていた)マテュー・カソヴィッツ監督のフランス映画『憎しみ(La Haine)』と本作との関係性についても詳述されていて興味深い。ADF2003年の名盤『Enemy of the Enemy』にその名も「La Haine(ラ・エンヌ)」という同映画へのオマージュ曲が入っていたことを思い出して聴き返したり、あの映画が今も変わらずADFと深く通じていることを知って、久しぶりに観返したくなった。こうした発展的な刺激を与えてくれる解説原稿は楽しい。

 訳詞を読んで即、疑問が氷解したのが、アルバム2曲目のタイトル・チューン"The Signal and the Noise"の意味するところだ。先行公開されたPVを観ても漠然としていてよくわからなかったのが、訳詞を調べてピンときた。"the signal and the noise"は通信工学用語で("S/N比"はオーディオ用語としても知られるが)、これはそのまま、アメリカの若き統計学者ネイト・シルヴァーによる2012年のベスト・セラー本のタイトルでもあったのだ。で、ここでの意味は──世界は意味のある信号(有益な、正しい情報)と、ただ思考を惑わすだけのノイズ(ニセ/操作情報)の混交体であり、現象の正確な把握のためにはそれらの見極めが必要だ──という、つまり世に溢れる情報に対する注意を喚起する曲だったのだ。そう思ってPVを観返してみると、(動きを監視されている)白人青年が一体何に翻弄されているのか? ネクタイを締めたADFのメンバーが誰を演じているのか? ビルの屋上に逃れた若者は何を目にするのか? そのすべてがスッキリ理解できる。歌詞も映像もわざと抽象的に作ってあり、こちらに一歩踏み込んで考えさせる、さすがにうまい作りだ(すぐわからなかったオレが愚鈍なだけかもしれないが......)。

 アルバム・オープナー"Zig Zag Nation"は、問題が次々に生じて人びとが対立し、地域や国家の中に新たなジグザグした分断線が引かれていく状況を歌った曲だが、そのサビ部分の歌詞〈ジグザグな時代に生きる/厳しいかもしれないが、直線よりマシだ〉の、最後の部分にもしみじみ考えさせられた。日本でも、原発、憲法改正、米軍基地、歴史認識、多民族共生等々の問題が人々をジグザグに分断している。スッキリ直線的に二分されて両陣営が膠着してしまうより、むしろジグザグの突起部分が相手側に入り込み、刺激し合って対話を絶やさないところから距離を縮め、解決の糸口を探っていくしかない......というメッセージだと解釈したがどうだろう? そうだとすると、この"Zig Zag"という短い響きが含蓄するものは、この地球全体をもすっぽり飲み込んでしまう大きなものだ......。

 "The Signal and the Noise"にも先んじて、今年5月に本アルバムから最初に発表された曲が、アルバム3曲目の"Radio Bubblegum"。このヴィデオはストーリーがわかりやすいが、これも訳詞を読むと相当辛辣な内容であることがさらによくわかる。国が推奨するバブルガム(おこちゃま向け)なラジオ局への批判だが、金と権力を握る者たちがコントロールするラジオ放送とは、連中の金儲けとプロパガンダのためのメディアであり、市民を自分の頭で考えることのできない"おこちゃま(未成熟)"にしておくための装置だ、という曲だ。映像では、どんなものをラジオから流せばリスナーがイカれてしまうか(効率よく国民を"バカ"にできるか)を研究している。
 この曲に関してもう1点特筆すべきことがある。今作ではADF創始者のDr.ダスをはじめ、ドラムズのロッキー・シン、ヴォーカリストのゲットー・プリーストがバンドに正式に戻ってきたことも大きな注目点だが、その新生ADFの最初の曲のヴォーカリストが、わざわざバンド外部からフィーチャーされたLSKだったということだ。本アルバムの総合プロデュースは、『Enemy of the Enemy』以来となるエイドリアン・シャーウッドで、たしかにLSKはシャーウッドのお気に入りの歌手だ。しかしそれ以上に、この起用の仕方がADFという組織体の本質をはっきり示していて、その意味からも、活動20周年を記念する新アルバムのリード曲としてふさわしかったと思う。
 これまでを振り返っても、ADFはインストゥルメンタリストどころか、ディーダー・ザマンにはじまるヴォーカリスト(フロントマン)さえ代替可能な集団だったし、今回のように新生ADFのお披露目の曲にメンバー以外のシンガーを大々的にフィーチャーすることもできる。つまり肝心なのは誰が"メンバー"かではなく、誰が参加しても組織と音楽の性格が不変であることなのであって、それが彼らの政治運動体としての"コミュニティー・ミュージック"の肝なのである。極端な話、誰が入って、抜けて、戻ってもよく、運動体内部にヒエラルキーはなく、無論マイクを握る者に特別な権威を与えることもない。同じ敵に向かうのであれば、誰が声を上げてもいい(The enemy of the enemy / He's a friend)のであって、肝心なのは歌う人格ではなくて、歌われるメッセージだからである。

 と、ここまでいろいろ書いてきたけれど、これでもADFの新作から、ただ単に頭の3曲を紹介したに過ぎない。あとは各自、国内盤CDを買って1曲ごとじっくり取り組んで欲しい。最後まで強烈な、カッコいいアルバムだから。
 しかしこの国内盤......その内容の良さに加え、充実した解説、対訳ばかりかボーナス・トラックまで付いて1,980円というのは普通に考えてちょっと安過ぎる。言っておくけど、ぼくはレコード会社から飼われてはいない。ADFのファンであることを真剣に楽しんでいるだけだ。その点は信用して欲しい。


The Signal And The Noise


Asian Dub Foundation Ft. LSK - Radio Bubblegum

John Frusciante - ele-king

"はみ出る"ための試行錯誤 文:小野田雄

 ジョン・フルシアンテは、そのキャリアを通じて、「独自の音」を追求し続けてきたアーティストだ。レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(以下RHCP)のギタリストとして、そして、ソロ・アーティストとして、はっきりとその「独自の音」を感知できるのは、ギター・サウンドだろう。使用するギターやアンプ、エフェクターの種類やそのプレイ・スタイル、ソングライティグなどの試行錯誤を通じて、一聴した万人に彼の音であることを認識させるサウンド・キャラクターを確立したという一点において、彼の目的はすでに達成されたといえる。

 また、一見すると混沌としているように感じられる作品も彼のなかではチャレンジングなテーマが設けられていて、一時離脱したRHCPに復帰を果たす1999年以降は、ロックの発想やアプローチから離れ、エレクトロニック・ミュージックの発想や制作スタイル、レコーディングにおけるエンジニアリングやプロダクションの知識・経験を自分のものにしようという試行錯誤が重ねられてゆく。たとえば、2004年から2005年にかけてリリースされた6枚の作品は、その直前に制作され、莫大な費用と時間が費やされた『シャドウズ・コライド・ウィズ・ピープル(Shadows Collide With People)』とは真逆のアプローチで、RHCPの活動がはじまるまでの6ヶ月間という短期間に、60年代、70年代のアナログ・レコーディングの技術を用いて6枚の作品を録音するというコンセプトで作られたものだ。それぞれの作品も、アコースティックな『カーテンズ(Curtains)』は60年代後期に作られた8トラック/1インチのテープ・レコーダー、『ザ・ウィル・トゥ・デス(The Will To Death)』と『インサイド・オブ・エンプティネス(Inside Of Emptiness)』は16トラック/2インチのテープ・レコーダーによる録音。また、フガジのイアン・マッケイによるプロデュース、〈ディスコード(Dischord)〉御用達であるインナー・イヤー・スタジオのエンジニア、ドン・ジエンタラの仕事を学ぶために『DC EP』を制作し、『ア・スフィア・イン・ザ・ハート・オブ・サイレンス(A Sphere In The Heart Of Silence)』は、後にジョンの後釜としてRHCPに加入するジョシュ・クリングホッファーとの共同作業で、シンセサイザーやアナログ機器を用いた実験を繰り広げたりと、作品ごとのテーマが設定されていたことは、アメリカの『TAPE OP』誌のインタヴュー記事において、本人と当該作のエンジニアであるライアン・ヒューイットの口から語られている。

 そうしたジョンのアナログ・レコーディング経験を総括した作品が、スタジオそのものをひとつの楽器として捉えて制作された2009年のアルバム『ジ・エンピリアン(The Empyrean)』だ。48トラックのアナログ・レコーダー2台を用いて録音したこの作品は、テープの切り貼りやシンセサイザーをはじめとするアナログ機材で音を加工しながら、現代的なエレクトロニック・ミュージックのサイケデリックな音響やサウンド・テクスチャーの発想を活かしたサイケデリック・ロックを高い完成度で結実させた傑作といえる一枚。そして、この作品でアナログ・レコーディングでの学習に区切りが付いたからこそ、その後の彼はセルフ・エンジニアリングによるデジタル・レコーディングへと劇的な転換を図ったのだろう。昨年リリースされたEP『レター・レファー(Letur-Lefr)』とアルバム『PBX・ファニキュラー・インタグリオ・ゾーン(PBX Funicular Intaglio Zone)』、そして、今回のEP『アウトサイズ(Outsides)』は彼がエレクトロニック・ミュージックやDTMの手法や発想を修得する過程で生み出された習作だ。

 エイフェックス・ツインやオウテカのプロセッシングからインスピレーションを得たり、アシッド・ハウスやドラムンベースの荒削りな部分を補うように耳を傾けてみたり、はたまた、ブレイクコアを代表するアーティストであるヴェネチアン・スネアズことアーロン・ファンクとのセッションを数百時間以上重ねたりすることで刺激された創作意欲は恐ろしい速さで彼にとっての未知なる領域を開拓している。サンプラーやドラムマシン、シーケンサーを複数台同時に走らせ、エレクトロニカ・アーティスト御用達のトラッカー・ソフト、Renoiseを駆使しながら、ロック・バンドの曲作りやレコーディングとは異なるエレクトロニック・ミュージックの発想や制作アプローチを無邪気に学ぶ彼は、しかも、既存の音楽フォーマットに当てはまる、あるいはリスナーを意識した整然とした作品を作るつもりは全くないようだ。というよりも、『レター・レファー』以降の作品から感じられる収まりの悪さは、むしろ、積極的にはみ出してゆくことで何かを得ようという彼の意志の現れと考えるべきだろう。

 本作『アウトサイズ』を幕開ける10分超の長尺曲"Same"にしても、形式的にはブレイクビーツとギターソロを組み合わせた楽曲であるが、彼が曲中で延々と弾きまくるギターはロックのクリシェや手癖から脱却した奏法を模索するべく運指の実験をしているように聞こえるし、リズム・トラックもギターに寄り添うように細かくパターンを変化させており、彼なりの意図があって、制作に相当な時間と労力をかけている。そして、2曲めの"ブレシアックBreathiac"と3曲めの"シェルフ(Shelf)"はともにオーケストラのサンプル・フレーズを用いた連作と思われる楽曲。ドラム・マシーンやイクレディブル・ボンゴ・バンド"アパッチ(Apache)"ほかのドラム・サンプル、アシッド・シークエンス、デルタ・ブルースを思わせるギターや歌の断片などをヒップホップでいうところのメガミックス形式で繋いでおり、彼の意識はサウンドスケープの移ろいに注がれているように思われる。そして、これら3曲ではプリセットを安易に用いるのではなく、モジュラー・シンセサイザーなどを通すことで丁寧に加工されていて、冒頭で述べた通り、この作品においても彼は一聴してジョン・フルシアンテのものであることがわかる独自のサウンド・キャラクターを追求していることは明かだ。

 ただ、問題なのは、筆者のように楽器演奏や機材に明るくないリスナーにとって、それぞれの楽曲で彼が設定したテーマや意図が把握しづらい点にある。さらにリスナーを意識して作品制作を行うこともなく、また、表立ってインタヴューに応えるつもりもない彼の現在のスタンスを考えると、「『レター・レファー』以降の作品は仰々しいオナニーである」という批判は致し方ないだろう。しかし、その一方で制作意図が掴めず、どうにもすっきりしない部分を想像し、補いながら楽しむことができれば、この作品には尽きない魅力があるだろうし、アナログ・レコーディングでの試行錯誤を経て、完成度の高い『ジ・エンピリアン』にたどり着いたように、この先、新たな高みが彼を待っているとしたら、『レター・レファー』以降の習作はその過程を読み解くヒントになるのではないだろうか。そんな推理を働かせつつ、ジョン・フルシアンテの音楽世界は依然としてミステリアスなままだ。


文:小野田雄

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静かな狂気、そしてブルース 文:天野龍太郎

 ジョン・フルシアンテが昨年リリースしたEP『レター・レファー』とそれに続くフル・アルバム『PBX・ファニキュラー・インタグリオ・ゾーン』は、アナログ・シンセの温かくも物悲しい響き、ドラム・マシンないしサンプリングによるせわしないブレイクビーツ、美しいコーラス・ワークで彩られたヴォーカル、そしてロック・ギターの過去と未来をいびつに接ぎ合わせたような変幻自在のギター・サウンドによって構成された異形の作品であった。
 ジョンの最新EP『アウトサイズ』のサウンドは、その延長線上にある。とはいえ、音楽のカタチはより抽象的になり、音と音との間には隙間が生まれてルーズな感覚が滑り込み、エクスペリメンタルな方法論はいちだんと深化している。なにより『アウトサイズ』にはジョンのヴォーカルがほとんどない。『PBX』において中心のひとつを占めていたヴォーカリゼーションはすっかり鳴りを潜め、最終曲"シェルフ"の最後の1分間になってやっと添え物のような歌声が聴けるほどだ。それゆえに、酩酊するわけでも逃避するわけでもなく、ただただ前を見据えるかのような静かな狂気がこのEPには凝集しているように思える。

 10分にも及ぶ"セイム"は、バタバタと落ち着かないドラム・パターン上で途切れることのないギター・ソロが演奏される楽曲で、まさにそういった平静さを保った狂気によって駆動しているかのような異様な緊張感を纏っている。『ジ・エンピリアン』(2009)の"イナフ・オブ・ミー"のソロを拡張したかのようなギター・プレイは、ただひたすらにずるずると引きずって蛇行するようなトーンの軌跡を聴き手に突きつけている。曲が進むにつれモジュレーションによる音の揺らぎが次第にキツくなっていき、ギター・サウンドの変調が頂点に達すると、永遠に続くかに思われた奇妙なギター・ソロはあっけなく幕を閉じる。
 オフィシャル・サイトに掲載されたジョン・フルシアンテ自身による説明によれば、"セイム"は「わたしのプレイを聴いてそれに反応しながらも、同時にわたしが応えられるような確実なアンカーを、通常なら存在する時間差なしに提供してくれる」理想のドラマーによる演奏とギターとの相互作用によるインプロヴィゼーションである。現実的には不可能なこの演奏を実現するため、リピートする2小節のビートに対してギターを演奏したのち、ギター・ソロに対応するようにビートをチョップした、と彼は書いている。それはつまり、『PBX』において掲げた「マシンの知能と人間の知能が刺激し合って、その相互作用によって生まれる音楽」へのさらなる漸近を目指す実験のひとつなのだろう。
 そうなるとこの『アウトサイズ』という作品がなぜ「歌っていない」のか、ひとつ仮説が立てられる。つまり、あまりにも人間的な歌というものを禁欲的なまでに排除することによって、マシンと人間とをより近くへと引き合わせ、その境界を曖昧化しようと試みているのではないのだろうか。

 2曲目の"ブレシアック"は3分にも満たない小曲で、サンプリングとプログラミングによるビートが継ぎ接ぎされた本作中最もアブストラクトな曲だ。次の"シェルフ"はよりファンキーではあるが同様にせわしなくビート・パターンが変化し、両曲ともにフリー・ジャズのドラムを素材としたビートが多く聴こえてくる。『PBX』における大きなトピックだったドラムン・ベースの導入は、この"ブレシアック"や"シェルフ"、あるいは『PBX』収録の"サム(Sam)"のフリー・ジャズ風のビートと突きあわせて聴くとそれほど唐突には聴こえない。おそらくジョンのなかではフリー・ジャズのビートとドラムン・ベースは一本の線で繋がっているのだろう。その間隙を埋めるのが、ファンクであり、アシッド・ハウスであり、ヒップホップのビートなのである。

 しかしながら『アウトサイズ』を一聴して直感したのは、これはジョンにとってのブルースである、ということだった。それはやはり"セイム"の長大なギター・ソロに依るところが大きい。歌はなくとも......やはりギターが泣いているように聴こえるのだ。それは"シェルフ"の中間部のソロも同様である。キリキリとした鋭利なトーンではあるが、そこにはブルージーな哀感が潜んでいる(「驚いたことにブルース・ギターがうまくハマったんだ」と彼は認めている)。
 ジョン・フルシアンテ自身が「プログレッシヴ・シンセ・ポップ」と呼ぼうが、「現代音楽のわたしのヴァージョン」と説明しようが、この『アウトサイズ』というEPは、いびつな形ではあるがブルースというひとつの軸で貫かれている。そう思えてならない。


文:天野龍太郎


SEIHOU
Abstraktsex

DAY TRIPPER

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 勢いが止まらない! そして夏休みは終らない! 先月インタヴューにてele-kingにも登場してもらったSeihoのセカンド・アルバム、『ABSTRAKTSEX』リリース・パーティーがすごいぞ。ゲストにはUltrademonが参加! Seapunkがモニターを飛び出す! 迎えうつゲスト勢も、tomadからAvec Avecら盟友がズラリと一同に会した豪華な布陣。いま彼らのまわりに何が起こっているのか、目撃するチャンスは今日&明日。今年最高の「陸の海」へと、さあ、繰り出そう!


いよいよ今週! トロピカルなモチーフでファッションのトレンドにもなった10年代のネット/ユース・カルチャーを象徴する #Seapunk のオリジネーター Ultrademonが遂に日本へ初上陸!東京公演では新世代ビートメーカーの旗手Seihoのセカンド・アルバム『ABSTRAKTSEX』のリリパにゲスト出演!!

【Ultrademon Japan Tour 2013】

■8.16 (FRI) @ Circus Osaka with idlemoments
OPEN/START 18:00
ADV 1,500 yen / Door 2,000 yen (+1drink)

LINE UP:
Ultrademon
gigandect
Avec Avec
Terror Fingers (okadada+keita kawakami)
SEKITOVA
eadonmm
doopiio
kibayasi
Alice
?
VJ:
Tatsuya Fujimoto

FOOD:
カレー屋台村山ねこ

more info: https://idlemoments-jp.com

■8.17 (SAT) @ UNIT with Seiho ABSTRAKTSEX Release Party
OPEN/START 23:00 | ADV 3,000yen / DOOR 3,500yen

LINE UP:
[UNIT]
Seiho
Ultrademon
LUVRAW & BTB + Mr.MELODY
RLP
Taquwami
terror fingers (okadada & Keita Kawakami)
tomad
eadonmm

VJ:
ネオカンサイ
Kazuya Ito as toi whakairo

[SALOON]
Licaxxx
Redcompass
Mismi
Hercelot
FRUITY
andrew/Eiji Ando

more info: https://www.unit-tokyo.com


FUSHIMING 1st 12"EP "HEAVY MOON EP"が、HOLE AND HOLLANDから7月24日に発売されます。
ALTZ氏、KZA氏、INNER SCIENCE氏、SANDNORM氏がすでにプレイしています。コメントもALTZ氏、高木壮太氏、KZA氏、箭内健一氏から頂いてますので下記ホーランドのWEBにてCHECKしてみて下さい。

https://www.hole-and-holland.com
https://soundcloud.com/hole-and-holland
https://www.jetsetrecords.net/FUSHIMING-HEAVY-MOON-EP/p/724004639262

最近頻度の高い12インチシングルを選びました。


1
Thompson Twins - In The Name Love 12"Dance Extension - Arista

2
Venus Dodson - Where Are We Headed - WB/RFC

3
Sebastien Tellier - Broadway - Lucky Number Music

4
Azymuth - Ta Nessa Ainda Bicho_(Zed Bias 4×4 Remix) - Far Out

5
Blackjoy - Moustache - Yellow

6
Popnoname - Surrounded By Weather Remixes B1 - Italic

7
Torch Song - Prepare To Energize12" - I.R.S

8
Trussel - Gone For The Weekend - Elektra

9
Fernando - Endless Disco - Redux

10
Rharaohs - Island Time 12" - Spinning Wheel

interview with John Frusciante - ele-king

俺にとってロック・ギターのソロを演奏することや、優れたロック・ソングを書くことは、考えなくてもできることなんだ。


John Frusciante
Outsides

RUSH!×AWDR/LR2

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 ジョン・フルシアンテは、ご存知のとおり、90年代の音楽シーンをいわゆる「ミクスチャー」と呼ばれた強烈なファンク・ロック・スタイルで風靡し、いまなお支持の衰えないモンスター・バンド、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのギタリストだった男である。欠員を埋める形で中途から加入したフルシアンテは、しかし、バンドに叙情的でエモーショナルな「歌」の力を呼び込み、名ギタリストであるとともに名ソングライターとしての力量を遺憾なく発揮した。この時期からのファンも多いだろうし、バンドを出てソロになってからは多様なミュージシャンたちと関わりながら精力的にアルバム・リリースを重ねており、その求道的なまでの音楽活動に心酔する方も多いのではないだろうか。

 ギタリストとして卓越した技術とセンスを持つ彼に、あくまでギターを弾いてほしいというのは多数の意見であるだろうけれども、昨年リリースされた2枚の作品は、そうした期待からは大きく逸れる、しかし尊敬を持って受け入れられた異色作だった。 『レター・レファー(Letur-Lefr)』と『PBXファニキュラー・インタグリオ・ゾーン(PBX Funicular Intaglio Zone)』。何が異色かといえばこれまでは部分的な実験として取り込まれていたエレクトロニクスを全面的にフィーチャーし、シンセ・ポップやドラムン・ベースに彩られたアルバムだったという点だ。彼がギターをサンプラーやシーケンサーに持ち替えてやろうとしたことは何だったのか? 

 今週発売となる新作『アウトサイズ』発売に際してバルーチャ・ハシム氏が行ったインタヴューから、その点についてほぼ完全な答えを知ることができる。以下、その一部抜粋をお届けしよう。インタヴュー(というか、ほとんどフルシアンテの一人語りである)自体は3万字超の長編となり、また今回の国内盤特典の目玉ともなるため抜粋での公開になるが、RZAやウータン・クラン・ファミリーの若手たちも交えて作られたあのアルバムの次の展開を楽しむ上で、是非とも読んでおきたい内容である。
 ギター・ソロを全面的にフィーチャーしたという10分超の大曲"セイム(Same)"が、こうしたプロセスと逡巡との上に完成したものだと知ると、一層理解が深まるだろう。

エイフェックス・ツインの『アナロード』シリーズは、エレクトロニックな楽器を使ってファンクを進化させていると実感した。

バルーチャ・ハシム:『The Empyrean』のリリース後、『Letur - Lefr』からエレクトロニック・ミュージックを大幅に取り入れるようになりましたが、その理由は?

ジョン・フルシアンテ:俺は、レコードから音楽を学ぶことに人生のほぼ全てを費やしてきた。過去30年間、何よりもそれに時間をかけてきた。そうすることで、いろいろなジャンルの音楽について学ぶことができた。
 レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(以下RHCP)に最後に戻った期間中も、シンセ・ポップ、90年代のレイヴ・ミュージック、ヒップホップ、コンピューターなどを使ったエレクトロニック・ミュージックを聴きながらギターをプレイしていたんだ。そういう音楽を流しながらギターを演奏していくうちに、サンプルやエレクトロニック楽器の使い方が、ギター・プレイとは全く違うアプローチだということが分かった。ギター・プレイヤーは、エレクトロニック・ミュージックのプロデューサーとは違う考え方で曲作りをしているし、そういう音符の組み合わせ方をしない。俺にとってロック・ギターのソロを演奏することや、優れたロック・ソングを書くことは、考えなくてもできることなんだ。チャレンジでなくなってしまった。

 でも過去30年間のエレクトロニック・ミュージックの歴史からは新たなリズム、フレーズ、一小節の分解方法が誕生していて、どれも俺にとって未知の世界だった。俺は熟練したギタリストであったにもかかわらず、オウテカ、ヴェネチアン・スネアズ、エイフェックス・ツインの思考プロセスが理解できなかった。ギターで彼らの曲を再現できても、同じような音楽を自分で作り出すことができなかった。彼らのような音符の組み合わせ方が俺にとって理解不能だった。エイフェックス・ツインの『アナロード(Analord)』シリーズがリリースされたとき、俺にとってはビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』と同じくらい画期的な作品に思えた。これまで自分にとって未知の世界だった新しい音楽的試みが可能だと気が付かされた。俺にとっては新しいタイプのファンク・ミュージックだったんだよ。

 60年代と70年代にファンク・ミュージックが発展して、80年代から90年代はあまりファンクは進化しなかったけど、エイフェックス・ツインの『アナロード』シリーズは、エレクトロニックな楽器を使ってファンクを進化させていると実感した。ファンクの伝統を受け継ぎながらも、それを非伝統的な方法で進化させていた。だから303や202(訳注:RolandのTB-303やMC-202 Microcomposerは80年代に発表され、アシッドハウスの定番機材だった)のような機材を買うまでは、そういう楽器が存在していることすら知らなかった。シンセを使っていろいろな実験をしていたんだけど、シンセのプロにエレクトロニック・ミュージックを作るためにどの楽器を買えばいいか尋ねると、Nord Leadなどの使いやすいシンセを薦められた。買ってみたけど、あまりその楽器にインスパイアされなかった。でも202のようなアナログ・シンセサイザーの存在を知って、数値でプログラミングしてみたとき、とてもエキサイティングだったんだ。俺のメロディ・センスを202で活かすには、自分のメロディに対するアプローチを完全に考え直さないといけないと思った。
俺は202の使い方に慣れてなかったから、いままで思いついたこともないようなメロディを生み出せることがわかった。ミュージシャンとして、俺は同じパターンを繰り返していることに気がつかされたんだ。RHCPのツアーに出たときに、ホテルで退屈しのぎをするためにドラムマシンとシンセを持っていったんだけど、いつもと同じようにヴァースとコーラスの構成に基づいた曲を作ってしまった。そういうパターンから抜け出して、テクスチャー重視のメロディをもっと作りたかった。

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俺は202の使い方に慣れてなかったから、いままで思いついたこともないようなメロディを生み出せることがわかった。ミュージシャンとして、俺は同じパターンを繰り返していることに気がつかされた。

 ポップ・ミュージックとエレクトロニック・ミュージックを比べると、ポップ・ミュージックはモーツァルトに近くて、エレクトロニック・ミュージックはベートーベンに近いんだ。ひとつの焦点となる音楽的要素が前面にあって、その他の要素がその土台になっているのではなく、さまざまな要素が同時に絡み合っているんだ。つまり、焦点となる要素が同時にいくつもあるんだ。エレクトロニック・ミュージックでは、多くの場合ドラムが焦点となっているけど、ロックではヴォーカルが中心的要素なんだ。だからエレクトロニック・ミュージックのなかで自己表現をするには、メロディをまったく違う方法でアプローチしないといけない。
子供の頃に俺はジャズを演奏しはじめた。当時俺はジャズを理解していなかったけど、だからこそ学んでみたかった。俺の考え方と違う音楽だったから、習ってみたかったんだ。そこからジョン・コルトレーン、マイルス・デイヴィスなどの音楽を研究するようになった。そして新たな考え方を学ぶことができた。俺は人生において、そのプロセスを続けているんだ。エレクトロニック・ミュージックの世界に踏み入れることで、新たなアプローチを学べると思った。いろいろな機材に囲まれて、それぞれをプログラミングして、ひとつの機材の再生ボタンを押して、すべての機材が同期されて演奏されることは、俺にとって新鮮だった。とても自由な感覚だったし、自分が全体像のいち要素でしかないという感覚から離れることができた。自分ひとりで全体像を作り出せることがわかった。ただのプレイヤーなのではなく、コンポーザーになることができたんだ。

 バンドの一員としてギターを演奏することは制限が多い。バンドのギタリストとして曲を書くときは、青写真を提供しているだけなんだ。エレクトロニック・ミュージックを作るときは、伝統的なソングライティングとは一切関係ないクリエイティヴ・プロセスに取り組むことができる。そして、抽象的な概念からスタートして曲を作り上げることができる。しかも、自分がそれを全てコントロールし、音そのものを直接的に扱える。楽器のピッチを変えて演奏するだけではなく、音色そのものを変えたり、音色のハーモニーを作り出すことができる。
バンドでは、自分が楽器で演奏したピッチに対して、他のミュージシャンがハーモニーを作り出してくれることを願うしかない。バンドで演奏するときは、ドラマーに合わせて演奏するしかないけど、エレクトロニック・ミュージックではとても緻密にリズムをコントロールすることができる。バンドでは、ドラマーを観察して演奏しないといけないし、ドラマーがスピードを上げたら自分も演奏のスピードを上げて、ドラマーがスピードを落としたらこっちもスピードを落とさないといけない。ドラマーはバンド内でとても権力をもつようになるんだけど、ドラマーは曲を書くわけじゃないから、そこまで音楽的権力をもつのはおかしいと思うんだ。

 ひとりでエレクトロニック・ミュージックを作る場合、自分がドラマーでもあり、全てのパーツを作れるし、音色を加工することができる。エンジニアが自分の理想のサウンドを作ってくれるかどうかという心配もなくなる。エレクトロニック・ミュージックを作ることは、俺にとって音楽的に自由であることを意味しているんだ。そしてさらに言うなら、ロック・ミュージックは本質的にエレクトロニック・ミュージックなんだ。
多くのジャンルのカテゴリーは、現実において理論的な意味をもっていない。たとえば、オルタナティヴ・ロックというジャンルはおかしいよ。ただのロックなんだ。なぜそんな名前をつけたかは理解ができない(笑)。ロックのロジカルな進化の形だっただけなんだ。オルタナティヴ・ロックは、それ以前のロックに対するオルタナティヴ(別の可能性)だったわけだけど、どのタイプの音楽だって、過去の音楽に対するオルタナティヴなんだ(笑)。

エレクトロニック・ミュージックを作ることは、俺にとって音楽的に自由であることを意味しているんだ

 エレクトロニック・ミュージックとロックを全く別のものとして捉えている人もいるけど、回路基盤を作っている人たちがいなければ、ロック・ミュージックは存在しない。ロック・ミュージックは、アンプ、ピックアップ、レコーディング機材、サウンドシステムがなければ存在しないわけだから、エレクトロニクスに依存しているんだ。長年エレクトロニック・ミュージックを作って、エレクトロニック・ミュージックを研究した結果、全く違うアプローチでロック・ミュージックを聴けるようになったんだ。最近はロック・ミュージックを聞くと、エンジニアの手法やレコーディングされたルームの特質も聴くようになった。楽器の本来の音とそれをどうやってアンプに通したかなども聴くようになったんだ。そういう意味で、ロック・ミュージックはエレクトロニック・ミュージックとひとつなんだ。俺のなかのロックの側面が、徐々にエレクトロニック・ミュージックな側面と統合されているんだ。

 たとえば『PBX』にはロック・ソングが入っているけど、抽象的なエレクトロニック・ミュージックやジャングルのようなアプローチでプロデュースしている。そういう手法で曲を作れるなんて想像もしていなかった。エレクトロニック・ミュージックの作り方を学んでいるときは、そういうことも考えていなかった。いまは、ひとつのジャンルのなかで作業しているという感覚が一切ない。あらゆるスタイルの音楽を組み合わせられるし、自分のなかのどの音楽的要素も自由に取り入れられる。20年前の自分の音楽的要素も、10年前の自分の音楽的要素も取り入れられる。俺と音楽の間に隔たりがないんだ。

 オーケストラやロック・バンドでは、音楽とミュージシャンの間に何らかの壁が必ずある。たとえば、作曲家が作品を作曲しても、指揮者がいて、オーケストラがあって、自分の望みを叶える状況的な問題もあるかもしれない。エレクトロニック・ミュージックでは、作曲家が完全に解放される。自分の頭のなかで聞こえた音を実現する上で、他者に依存する必要が全くなくなるからなんだ。それにリアルタイムで曲を作りながら聴くことができる。バンドのために曲を書いてから見せる必要がないし、バンドが実際に演奏してどういうサウンドに仕上がるか待つ必要もない。クリエイトする行為と、リスニングの行為が同時に起きるから、それは俺にとって最高の自由を意味するんだ。俺がエレクトロニック・ミュージックを作るのは、最も自由な音楽だし、音楽を作る最も完全なアプローチだからなんだよ。

本リリースにあわせて収録曲"シェルフ"の歌詞をプリントしたTシャツも販売されるようだ。これまでにもジョン・フルシアンテ関連のアイテムを扱ってきたサイトであり、今回のTシャツもこのAnatato Watashino Delivery限定商品。他での販売予定はないという。

 https://www.anatato-watashino-deli.com/

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