「IO」と一致するもの

Diamond Version - ele-king

 ドミューンのスウィッチング・ルームで宇川直弘が「顔がドイツ人だー、顔がドイツ人だー」とわかりきったことを言いながら画面を切り替えたり、エフェクトをかけたりしていると、いきなり本人=カールステン・ニコライがその顔をぬっと出した。「どんな感じだった?」と訊くので、「はじまる前から1000人ぐらい待機してたよー」とアバウトな数字を僕が告げると、彼はニコッと笑ってバーへと足を翻した。僕と宇川くんは「笑っても顔がドイツ人だー」と笑いが止まらない。観ていた人も多いと思うけど、アルヴァ・ノトことカールステン・ニコライとバイトーンことオラフ・ベンダーがシグナルとはまた別にスタートさせたダイアモンド・ヴァージョンが、ライヴの前に、まずはアルファ&ベータとしてDJタイムを設けたのである。適当にリズムをとっているベンダーとは対照的にニコライはまったく体を揺すらないので、どうしても顔に注意が集まってしまうのだろう。「クラフトワークにいてもわかんないよねー」とかなんとか(軽口は止まらない)。

 昨年9月にダイアモンド・ヴァージョンが〈ミュート〉からリリースした『EP1』はインダストリアル・エレクトロとでもいうような新境地だった。端正でムダがなく、SEが醸し出す雰囲気は完全にエイティーズのそれ(リエゾン・ダンジュオーズ以降、デトロイト・テクノ前夜というか)。『EP1』はロックド・ループを6本もプラスするほどダンス・オリエンティッドな性格づけがなされ、『クラックダウン』前後のキャバレー・ヴォルテールやジ・アンチ・グループ、あるいはグレーター・ザン・ワンに夢中だった頃をストレートに思い出させるものがあった(エレキング9号P.65)。"フォーエヴァー・ニュー・フロンティアー"で暴れまくるシンセサイザーや、同じく"ターン・オン・トゥモロー"など、『EP2』『EP3』と進んでも勢いはまったく衰えず、初めからEP5枚で完結すると宣言されていたシリーズは、なるほど『EP 1 - 5』として2CDにまとめられた(『EP5』は7月末リリース予定)。

 すでにデトロイト・テクノを知っている耳には"ゲット・ユアーズ"などはジェフ・ミルズに聴こえてしまうし、そもそも80年代のインダストリアル・エレクトロにはなかったグルーヴが周到に備えられた温故知新である。新しくなっているのはそこだけとは言わないけれど、仮にそれだけだったとしても、ニコライ&ベンダーによるトリートメントは抜群の完成度である。さらにはノイズの混ぜ方にはさすがとしかいいようのないものがあるし、何よりもこういった音楽を聴くときに時代背景が邪魔をしないという利がある。実際にドミューンでダイアモンド・ヴァージョンのライヴ・セットを聴いていて、キャバレー・ヴォルテールやクロックDVAがいま、ここで同じことをやってもここまでカッコよくはならないだろうと考えてしまったり......。

 この日、ダイアモンド・ヴァージョンのサポートには(〈ラスター-ノートン〉から『イッシュ』をリリースしている)キョウカが入っていて、彼女のパフォーマンスが終わるや否や宇川直宏は〈フリードミューン〉への出演を決めていたようだけれど、僕は彼女のリズム感はやや弱く、むしろドローンに寄ったときの方が冴えているなとは思っていた(リハ終わりで彼女が「寿司屋に行ってくる」というので、「寿司屋?」と思わず問い返したところ、「寿司命、なんで」と返されてしまった。むむむ)。

34423(ミヨシ・フミ)のデビュー・アルバムに驚いたのは、しかし、同じ女性という比較は意味を成さないとしても、それにしてもリズムがタイトで、ときにインダストリアルに近いものがあったからである。それだけでなく、細かいところでビート・フリークぶりを発揮し、さらには抒情的といえるほどメロディも豊富。淡白になりがちな日本人の傾向からすれば、かなり濃いなというのが第1印象だった(むしろイーライ・ウォークスへのアンサーといえるか?)。

 メロウであると同時に乾いたリズムが刻まれる"マスク"、オウテカとテリー・ライリーをジューサーで掻き混ぜたような"ドロップス"、コクトー・ツインズにジュークやダブステップをやらせたような"ノック"はアンディ・ストットへのアンサーなのか(?)、後半はデトロイト・テクノをイギリス独自に解釈したインフォネットや初期の100%ピュアを思わせるダンス・ナンバーへともつれ込んでいく。曲のイメージがどんどん変化していく"ティアーストーム"もいいし、混沌としたムードを崩さない"ジョイント"もよくできている。東京で活動しているということ以外、何も知らないけれど、もう少しでスウィングしはじめそうな"アトム"なんて、ほんとにシャレているし、エンディングの"フォッグホーン"ではラウンジ的なセンスまで零れ落ちてくる。ときに強迫的なまでのリズムを構築すること(=タフ)で、自在なメロディを遊ばせることが可能になっている(=テンダー)としたら、レイモンド・チャンドラーから取ったらしきアルバム・タイトルもなかなか言いえて妙である。これは期待しちゃいますね。

Chee Shimizu(著) - ele-king

 「ジャケ買いして失敗した」という人は根本的に間違ってないだろうか。「ジャケ買い」というのはジャケットを買うことなので、たとえ中身を聴かなくても、ジャケットを買った時点で成功じゃないですか(成功とは言わないか)。さらに、それで音楽の方もよかったら、プラスαの意味があったと思うべきじゃないかなー。ザ・KLF『チル・アウト』も「ファイル・アンダー・アンビエント」と書かれたシールを見て、一回はエサ箱に戻してしまったものの、やはり思い直して「ジャケ買い」したものだったし、ワルター・マルケッティなどはどこの誰だかも知らなかったのに、あまりにキレいな緑色に惹かれて、それだけで高い中古盤に手が出てしまったし(ネットではこの色はわからないけれど→)。

 ディスコセッションのチー・シミズといえば、70~80年代のシンセサイザー・ミュージックでは誰も適わないほどの知識を持っている(......ので、『裏アンビエント・ミュージック』に引き続き、『アンビエント・ディフィニティヴ』でも新たに原稿をお願いしています)。その彼が、なんだ、コレは......というレコード・カタログを書き下ろした。題して『オブスキュア・サウンド』。定義はよくわからない。「曖昧模糊とした存在の音楽」、あるいは「世に知られていない」という意味で使っているとまえがきには書いてある。そして、それこそ見たこともない魅惑の「ジャケ」がこれでもかと並んでいる。いちおう、章立ては施してあって「オーガニック」「エスニック」「サイケデリック」「スピリチュアル」など12のスタイルに分けられてはいる。しかし、ここまで訳がわからないものが並んでいると、そういうことはどうでもいいというか、どのページを見ても気になるジャケット・デザインに目が留まってしまうだけである。うむむ。

 4年前に『アンビエント・ミュージック』を編集した際、あれがないこれは違うといった瑣末な物言いに混ざって、たったひと言だけ批評的な言葉を頂戴した記憶がある。それは「アーカイヴ型の発想でつくられている」というものだった。これには自覚があった。ロックやジャズのように歴史を前提としたカタログ本ではなく、いわば、歴史を捏造しているという自覚である。つまり、「あれがない」の意味がぜんぜん違うということである。何もアンビエント・ミュージックの専門家になりたかったわけでもないので、この点に突っ込んでくる人がいれば、「体系化」について僕の手を離れた議論も可能になっただろうなと思ったりもするものの、結局、そういうことにはならなかった。アニメ文化などでデータ・ベース消費ということが言われて、けっこう日数も経っていたというのに、応用が利かないというのかなんというのか。

 『オブスキュア・サウンド』もアーカイヴ型の発想であり、歴史にはとらわれていない「データ・ベース消費」型のつくりである。これまでジャズに押し込められ、ワールドで一括されてきた音楽を歴史の呪縛から解放し、「スタイル」だけをもって再構成するやり方は『アンビエント・ミュージック』とまったく同じといえる。そして、それはDJカルチャーが「曲」を作家性から切り離し、まったく違う文脈のなかで立ち上がらせていったプロセスの連続が可能にしたものといえ、そのような文化のあり方がもしかすると初めてレコード・カタログになったものだといえる。ハウスやエレクトロの名盤をずらずらと並べた「DJカルチャー」のレコード・カタログではない。「DJカルチャー」というような歴史性からも自由であり、歴史性を共有するつもりがないという意味ではとても退廃的な試みなのである。どちらかを選ばなければならないというものでもない。強いて言えば歴史性にフィードバックがもたらされればもっとも健康的なのかもしれないけれど、先にも書いたように『アンビエント・ミュージック』でも議論は起きないのだから、DJカルチャーとそれ以前の音楽文化にはきっとそういったことは今後も起きないだろう。それ以前に、ここで扱われている音楽があまりにも未知なものが多く、フィードバックのしようがないということもあるだろうけれど......。

ついに先週末発売となった『アンビエント・ディフィニティヴ』には、Chee Shimizu氏も参加! 書店で見かけたら両方チェックしてみよう。カブりそうでカブらないスリリングな関係!!

『AMBIENT definitive 1958-2013
ele-king books新刊、電子書籍機能も付いたアンビエント大カタログ、今週末刊行!
https://www.ele-king.net/news/003218/

Femi Kuti - ele-king

 フェラ・クティの音楽的継承者としての姿を求める人には、このフェミ・クティよりも彼の異母弟(フェラの末っ子)シェウン・クティの方がより"正統"として響くだろう。62年生まれのフェミより20年もあとの80年代に生まれたシェウンは、父親の音楽に、一定の距離を置いたところからかなり純粋な畏怖と憧憬をもって接している印象を受ける。現在30代以下のミュージシャンをして、70~80年代サウンドを"新しいもの"として解釈させるようなポジティヴな隔世感も少なからず作用しているだろうが、末っ子シェウンは父フェラのアフロ・ビート様式の泥臭さをフレッシュなものとしてほぼ全肯定し、自分の手で素直に再提示できるメンタリティーを持っている......つまり、父親のバンド:エジプト80を引き継ぐにふさわしい(無論いい意味で)ピュアな継承者なのだと思う。
 それに対し、父親の黄金期の70年代から父のバンドで修業し、そのスタイルを間近で学んだ長男フェミは、当然独り立ちする際には父親との差別化を意識したに違いない。加えて、ときは80年代、いわゆる"ワールド・ミュージック"が、主にパリ経由で、一定の西欧ナイズ&モダナイズを強要されながら......というか、事実その効果で、世界のマーケットに食い込み始める時期だ。フェミの西欧マーケットを視野に入れた〈アフロ・ビート×モダニズム〉の方向性は、おそらくそのときから一貫している。彼がしばしばインタヴューで語る"自分の音楽の原則"も実に明快だ。曰く:〈基礎が堅牢なアフロ・ビートの原理をあまり危うくしないこと〉。それは、父親の音楽様式をそのまま継ぐつもりはない、という意思の婉曲表明になっている。

 しばらく前にパリのエリゼ・モンマルトルでフェミ・クティのライヴを見たときに驚いたのは、演奏よりもむしろそのMC......というより演説だった。アフリカの窮状、その原因となっている西側諸国とアフリカ諸国の権力者間の密約、それによるアフリカの政治腐敗と、西側の後ろ盾によって温存され続ける、アフリカの市民が搾取される構造、慢性的貧困。それを理論的に担保する新自由主義経済/グローバリゼイション・システムの欺瞞を、演奏の合間に何度も、長々と、激しい口調で語るのだが、その演説がすべてフランス語だったのだ。
 生まれこそロンドンだが、旧英国領で英語を公用語とするオリジン国ナイジェリアのラゴスで育ち暮らすフェミが一体いつどこでフランス語を習得したのかと思ったら、実はラゴスのアリアンス・フランセーズ(フランス語学校)に自分から通い、それを音楽活動が軌道に乗って久しい30代に入って以降もしばらく続けていたらしい。そう報じる《ラディオ・フランス》の最新インタヴューでのフェミは、次のようなことも語っていた。

 ......フランスはアフリカ音楽の"メッカ"だ。サリフ・ケイタもアンジェリック・キジョもフランス経由で世界的な名声を得たし、昔、父がアフロ・ビートを世界に広めようとした際も、フランスより旧宗主国イギリスの方が父の音楽に対してずっと冷淡だった。その後、自分が初めてヨーロッパで公演しようとした際も、イギリスでブックできたのは2ヶ所だったが、フランスでは15ヶ所で演奏できた。財政面の問題で自分のバンド:ポジティヴ・フォースが解散の危機にあった際、在ラゴスのフランスの文化機関が尽力してナイジェリア=フランス文化交流イヴェントに招聘してくれたことで、オレのことをフランスの新聞が一面で評価してくれ、それが自分にとって決定的な転機となった、と。

 今回のアルバムでは、近作(『Day by Day』『Africa for Africa』)にあった派手さや、ポップなフィーリングが、音の生々しさ、ゴツゴツした感じに取って代わられている。しかし15年来の相棒であるフランス人プロデューサー/エンジニアのソディ・マルシスヴェール(Sodi Marciszwer)との共同作業の流れのなかで見れば、ああなるほど、今回はこういう音にしたかったんだな、と、すんなり腑に落ちる。

 これまでは単に Sodi と表記されることが多かったソディ・マルシスヴェールは、日本ではほとんど語られることがないが、フランスのストリート・ミュージック/プロテスト・ミュージックの分野では篤い信頼を置かれている人物だ。古くはレ・ネグレス・ヴェルト、マノ・ネグラから、IAM(アイアム/仏ヒップホップ・グループの最高峰)、ラシッド・タハ(ぼくが先日レヴューした『Zoom』のパリ録音部分のエンジニアは彼だ)など錚々たる面々と仕事をしてきたが、なにより1980年代後半以降、つまりパリがアフリカ音楽にとって最大の友好的"ハブ都市"になって以降の晩年のフェラ・クティが、時代感覚に長け、世界に売れるアフリカ音楽の音を作れる男と踏んで信頼を置いたエンジニアが彼なのである。それでソディはフェラの『Just Like That』『Beasts of No Nation』『O.D.O.O.』、遺作『Underground System』で仕事をするようになったし、フェラが没したのち、エイズ・チャリティーのフェラ・トリビュート盤『Red Hot + Riot』でも活躍したのだった。

 父が他界したあとにそのソディと15年以上もタッグを組んでいるフェミが父親から最も直接的に引き継いだのは、思うに、アフロ・ビートの様式以上に、その政治性、闘争心と、時代感覚に優れた相棒のソディなのである。父のバンド(音)を引き継いだのがシェウンなら、そのブレインを引き継いだのがフェミ、という対比を見ることもできるわけだ。そのシェウンの録音のプリミティヴな質感も当然意識したに違いないし、ここ最近の世界中のアフロ・ビート・バンドの、アナログでパワフルでシンプルな音のトレンドも考慮して、フェミは今回の音をソディとともに作ったはずだ。フェミ特有の持ち味(ソウル・ジャズ~ファンク・テイスト、メロディアスなヴォーカル・ライン、キャッチーでアップリフティングなホーンのリフ、コーラス隊とのコール&レスポンス etc.)はそのままに、それを近作にない"raw"なストロング・サウンドで表現したのだ。

 つまり戦略。フェミは戦略の人だと思う。アフロ・ビートを伝統芸能として守ることが目的ではなく、アフリカの問題が世界の問題(の象徴)である以上、より広く世界規模でその現状をつまびらかにすることを第一義と考える、そんな音楽家/活動家である。その手段として、(最もそれを届けなくてはならない対象である)西側のリスナーの耳を常に意識し、彼らに馴染みやすいそのときどきの時代の音を適度に採用することを全く厭わない。むしろその方が逆に、雄弁で舌鋒鋭いメッセンジャーとしてのフェミのキャラが鮮やかに立ち上がってくる。"アフロ・ビートの原理をあまり危うくしない"ように留意しながら、毎回そこを緻密に計算していると思うのだ。

 今作のリード・チューン"The World is Changing"のPVも、同じ意味で実にフェミらしい。例によって分かりやすい英語で歌われ、さらに非英語話者でも理解しやすいようにすべての歌詞を随時表示し、重要な単語は視覚的に強調されている。地球が苦しみに変わっていく......というテーマのヘヴィーさに軽快なギターの刻みとポップでテンポのいい映像が対置されて観る者を引き込む工夫がなされているし、持たざる者とすべてを失った者が呆然と立ちすくむとき、その背後に、歌詞で一切触れずして、地球規模で暴利をむさぼる打倒すべき巨大な権力構造を、観る者に意識させる。この、誰も心躍らない気の重いテーマを、いかにスムースに伝えるかに心を砕くのがフェミなのである。(余談だが、もちろんシェウンのプロテスト性もかなりのもので、『From Africa with Fury : Rise』でも〈モンサント〉や〈ハリバートン〉といった企業を名指しで糾弾していたくらいだが、その直接的なやり口も父親譲りな気がするし、その点のフェミとシェウンの表現法の違いに注目するのも面白いだろう)

 とにかく、そういう汎地球的メッセンジャーたらんとするフェミのアティテュードを思うに、彼が自分からフランス語を習得したことにも合点がいく。もちろん相棒ソディが仏人であることや、アフリカ音楽にとってのフランスの重要性を身をもって知ったフェミが、その自分を評価してくれ、世界へメッセージする足掛かりとしてもふさわしい場所を重要な活動拠点に位置づけようとしたことも、その大きな要因だろう。
 しかし、おそらく彼にとってフランス語のもっとも大きな有用性は、ツアーで各地を回ってステイジ上からメッセージする際、西側のフランス語圏だけでなく、フランスやベルギーの旧植民地/旧統治領であったアフリカ諸国の"同胞"にも、その国の公用語で語りかけられることなのだろうと想像する。ひとくちにアフリカといっても、植民地政策の成り行きから公用語の面で主に英語圏とフランス語圏とに二分されてしまっている。フェミの性格からしたら、"アフリカ・ユナイト"主義のメッセンジャーとしての理想像をストリクトに追求しそうではないか? 仏語圏アフリカのトップ・ミュージシャンで英語も使える人はいても、その逆はそう、いない気がする。

 そうしたフェミとフランスとの関係はあまり知られていないと思うが、ついでに言えば、フェミは自分のマネージメント・オフィス、レコード会社、ビジネス上のコネクション、銀行もすべてパリに置いている。そんな事情もあってだろう、前掲の《ラディオ・フランス》のインタヴューでのフェミは、〈パリのナイジェリア人〉とも形容されていた。ジョージ・ガーシュウィン『パリのアメリカ人』以降長らく、この言い回しはお約束の決まり文句なのだが。
 その〈パリのナイジェリア人〉は、この新作『No Place for My Dream』のワールド・ツアーを、パリ郊外のラ・デファンスからスタートさせた。ラ・デファンス地区とは、世界有数の多国籍企業が数多くそのフランス支社を構える同国最大のビジネス街、つまりフランスでもっとも新自由主義を象徴する場所だ。その場所で、この悲惨きわまりない荒廃したゴミの街(ラゴスのスラム)のジャケットの新作をアピールしたのである。近未来的な高層ビルが林立する、世界でも屈指の"ハイパー・アーバン"なビジネス街に、このポスターが貼られた場面を想像してみて欲しい。それがフェミ・クティのやり方なのである。

‪Femi Kuti‪ - The World is Changing (official video)‬

Nobuyuki Sakuma (Jesse Ruins / Cold Name) - ele-king

Jesse Ruins
Facebook: https://www.facebook.com/jesseruins
Twitter: https://twitter.com/JesseRuins

最近Nate Youngを聴きながら無理矢理ドストエフスキー読んでます。
Curt CrackrachもLust For Youthもジャケがかっこいいです。German Armyはカセットをこれからコレクトしようかなと。Strarredは音よりもボーカルLiza Thornの存在感でしょうか。
Jesse Ruinsはファーストアルバムが発売中です。Cold Nameは初ライブを8月×日にする予定です。

〈Jesse Ruins〉
Live Schedule
2013/09/21 Rhyming Slang at Ebisu Batica
w/ ミツメ, Elen Never Sleeps

〈Cold Name〉
DJ Schedule
2013/08/01 Dommune
2013/08/02 Co La Japan Tour at Seco Bar

2013/07/最近聴いてるレコード


1
Curt Crackrach - Alice Dee feat. Nikhil Singh & Carmen Incarnadine (Clan Destine Records)
https://www.youtube.com/watch?v=pVz1HSBUU6w

2
Tuff Sherm - Burglar Loops (The Trilogy Tapes)
https://www.youtube.com/watch?v=SarNlHxNi1Q

3
Destruction Unit - Sonic Pearl (Suicide Squeeze Records)
https://www.youtube.com/watch?v=BkbgRkHihvI

4
Lust For Youth - Breaking Silence (Sacred Bones Records)
https://www.youtube.com/watch?v=J5MD-yd0t6A

5
German Army - Folded Skin (Skrot Up)
https://vimeo.com/22063575

6
Young Echo - Voices On The Water (Ramp Recordings)
https://www.youtube.com/watch?v=fAPiosBC5T0

7
Nate Young - When Nothing Works (NNA Tapes)

8
V.A - Dark Acid (Clan Destine Records)
https://www.youtube.com/watch?v=tsKnV8nMmdM

9
Starred - Cemetery (Pendu Sound Recordings)
https://www.youtube.com/watch?v=rq-jsShPDi0

10
Sewn Leather - Φυλλ Σκυλλ(Phase! Records)
https://www.youtube.com/watch?v=8e-hlgxkLcc

しくじるなよ、ルーディ  - ele-king

「日本のヒップホップを知りたければこれを読もう!105%RAP!」ゼロ年代以降のこの国のラップ・シーンを追いながら、未来に向かって笑って生きる、ヒップでホップな日本のバカヤローの初評論集、ついに登場!!!! 20歳から原稿を書いてきた二木信が、この10年間、見て、聴いて、会ってきた音楽の記録。過去の原稿のベスト・セレクション、スラックやシーダをはじめ、キラー・ボングや田我流など、10本以上の貴重なインタヴュー記事のほか、書き下ろし原稿も収録! 日本のヒップホップを知りたければこれを読もう!!00年代以降の日本のヒップホップ重要作品60枚、書き下ろしレヴュー付きです。

■ インタヴュー収録
s.l.a.c.k./SEEDA/Killer-bong/田我流/環ROY/鎮座Dopeness/haiiro de rossi/MIC JACK PRODUCTION/SHINGO☆西成/MSC/DERELLA/PRIMAL/YAMAAN/DUTY FREE SHOPP.×カクマクシャカ

interview with OORUTAICHI - ele-king


OORUTAICHI
僕の楽しい仕事

Pヴァイン
(8月7日発売予定

Amazon

 この厳しいご時世に、あまりにも無邪気なオオルタイチのリミックス・アルバムである。『僕の楽しい仕事』だと~、何を言ってやがるんだいと思いつつ聴いてみると本当に楽しいのだ。彼の音楽を僕なりに説明すると、ドリルンベース時代のエイフェックス・ツインとEY∃との幸福な出会いと言えばいいのだろうか。いや、しかし、彼は誰にも似ていないからこれでは説明になっていない。発想が自由だし、カリブーやNHK Koyxenやゴールド・パンダのように、特定のスタイルに囚われない、クラブと言うよりはライヴハウスのりのダンス・ミュージックである。
 オオルタイチは、イルリメの『イるreメ短編座』や名盤『Live 08/Feb/2003』を出していた〈Moroheiya Records〉から2003年、アルバム『Yori Yoyo』を発表、2004年には〈ROMZ〉のコンピレーション『Summer Tracks』に参加、岸野雄一が主宰する〈Out One Disc〉からシングルも出している。2007年にはセカンド・アルバム『Drifting My Folklore』を自身が主宰する〈Okimi〉からリリース。そして、2011年に〈Out One Disc〉からリリースされた『Cosmic Coco, Singing for a Billion Imu's Hearty Pi』によって、いっきにファンを増やしたこの変人(最大の褒め言葉)は、その宇宙語と独創的なダンス・サウンドによってアメリカ進出も果たし......
 そしてこのたび、彼が手がけたリミックスをまとめたアルバム『僕の楽しい仕事』が出る。どんなアーティストがこの変わり者にリミックスを依頼している(もしくは依頼されている)のかと言えば──トクマルシューゴ、ボノボ、ムーンライダーズ、neco 眠る、ムイムイチキチ、WRENCH、MaNHATTAN、ディック・エル・デマシアド(アルゼンチン)、アイアム・ロボット・アンド・プラウド(カナダ)、ファナ・モリーナ(アルゼンチン)、デリケート・スティーヴ(アメリカ)、ラッキー・ドラゴンズ(LA)。アートワークもかなり凝っていて(ジャケの内側を広げるとわかる)、手がけているのは金氏徹平や梅佳代といった売れっ子を擁するアート集団「HAJIMETEN」。

インプロで声を出すっていうのは普通にしてたんです。だからそこはもともとあったんですけど、そこから打ち込みになったのはダンスホール・レゲエの影響が大きくて。

はっきり言って、とても楽しいアルバムだと思いました。

オオルタイチ:ありがとうございます。

オオルタイチというと宇宙語(と勝手に筆者が呼んでいる)とブレイクビーツというイメージがあって、トクマルシューゴとかボノボとかみたいに日本語で歌ってる曲も入ってるじゃないですか、それがオオルタイチ・サウンドになっているのがまず新鮮だったし、で、ユーモアがあって、コズミックな感じもあって、こんなに楽しいアルバムを聴いたのは久しぶりだなと思って。リミックスについてはどのような考えがあって、実際にどのように取り組んでいますか?

オオルタイチ:それがどんなオリジナル・ソングであっても、リミックスしたものは自分の満足いくものでありたいし、基本的に依頼されてするお仕事なので、アーティストの人にも喜んでもらえるものっていうふたつを両立できないかなっていう考えはありますね。

リミックスって一般的にはにクラブ系のアーティストがやるものじゃないですか、そういう意味でオオルタイチの音楽ってダンス・ミュージックだとは思うけど、決してクラブって感じでもないでしょ? だからこんなにリミックスの依頼をされてたんだっていう驚きがあったんだけど。

オオルタイチ:そうですね。すごいありがたいことですけどね。

今回の収録曲のなかで、いちばん古いのってどれ?

オオルタイチ:トクマルシューゴですね、このアルバムでは、トクマル君がいちばん古いですね。

そうなんだ。

オオルタイチ:なんというか、リミックスというよりも、楽曲の良さをまた違う形でもう一度"リ・コンポーズする"みたいな意識がけっこう強くて、とくにこういう歌ものの曲とかは違うアレンジを貰った素材でしてみる、みたいな。

リミックス自体は面白いですか?

オオルタイチ:面白いと思う瞬間が来るまでが大変ですね。自分がやりたいイメージと元の曲が持ってるイメージがうまく合わさってきたら早いんですけど、それまでごにょごにょする長い時間があって(笑)。

すぐにできた曲と、すごく苦労した曲ってどれ?

オオルタイチ:パッとできたのはディック・エル・デマシアドとかですかね、勢いで作ってしまったんですけど面白いものができたかなと思ってます。あとムーンライダースも意外と早かったですね。でも締め切りが1週間くらいしかなくて大変でした。

はははは。リズム感というか、リズムの癖みたいなものがやっぱりほとんどオオルタイチになってるんで、まずそのへんは変えてるんだろうなって思ったんだけど。

オオルタイチ:そうですね、やっぱりリズムは変えちゃいますかね。

せっかくなんで、オオルタイチ君のこれまでの簡単な経歴みたいなところでの質問をさせて欲しいんだけど。

オオルタイチ:はい。

いかなる経緯でもって、打ち込みをバックに宇宙語で歌うスタイルに行き着いたんですか?

オオルタイチ:最初は宅録みたいな感じでひとりでインプロみたいな音楽をやってたんです。即興を何本も重ねるみたいな多重録音をしてて。

機材は何を使ってたの?

オオルタイチ:MTRの安いのとか使ってました。ちっちゃいシンセとかギターとかコンパクト・エフェクターに繋いで自分で弾いたりして。友だちのミュージシャンと即興で遊んだりすることが多かったんです。そこのなかで、もうほとんど歌詞じゃないんですけど、インプロで声を出すっていうのは普通にしてたんです。だからそこはもともとあったんですけど、そこから打ち込みになったのはダンスホール・レゲエの影響が大きくて。

ドラムンベースっぽいとは思ってたんだけど、ダンスホールだったんですね。

オオルタイチ:はい。ジャングルは好きでしたね。ああいうもうちょっと洗練されたドラムンベースってあるじゃないですか? 4ヒーローとか、それよりもM・ビーとかラガ・ジャングル、ああいうものにハマってた時期に打ち込みになりましたね。

なるほどね。

オオルタイチ:ダンスホールのパトワ語ってなまってるじゃないですか? それがめっちゃ新鮮やって、この響きだけでけっこう自分もできそうやなって思って、インプロで自由にやってきた曲とかをもっと曲っぽくしようと思ってやったんやと思います。まぁでもただの思いつきなんですけどね(笑)。

それは何年前ですか?

オオルタイチ:もう14年くらいまえで、自分が20歳くらいのときですね。

ジャンル分けがしづらいオリジナルなスタイルだし、いろんな反応とか受け捉えかたをされてきたと思うんですけど。リスナーからの予想外のリアクションとかあったでしょう?

オオルタイチ:うーんそうですね、たぶんあったと思いますけど...(笑)。

[[SplitPage]]

打ち込みって音楽的な素養がなくても感覚である程度できるじゃないですか、自分なりの妄想のオーケストレーションじゃないですけど(笑)。ひとりで世界を作り込めるっていうのが自分にあってたんでしょうね。

最初はどんな場所でライヴをやってたの?

オオルタイチ:大学の友だちがけっこう同じ音楽を聴く子たちで、その子らが夜な夜なクラブ・イヴェントを定期的にやりだして、そこで「君もやったら?」みたいな感じでやらせてもらえることになったんですけど、まあでも最初はライヴやるたんびに落ち込んでましたけどね(笑)。

ははははは

オオルタイチ:まぁでも皆めちゃくちゃな人らばっかで。

そこの場所はクラブ?

オオルタイチ:ロケッツっていう場所で、すごい面白いイヴェントだったんですけど。

他にはどんな人が出演してたの?

オオルタイチ:Ove-NaXx(オブナクス)っていうジャングルとかをMPCでやったりする人とか。

じゃあジャングルのイヴェントだったんだ?

オオルタイチ:いや、ノー・ジャンルでした。打ち込みの人も出れば、ゲストでルインズ呼んだりとか。ドッドド(DODDODO)とかも出演していたと思います。

関西って本当に面白い人が多いよね。

オオルタイチ:ドッドドはサンプラーと歌みたいな感じなんですけど、まぁ面白いミュージシャンは本当にめちゃめちゃいますね。

お客さんがついてかないだけだよね、関西は。

オオルタイチ:でもそのイヴェントもコンスタントにやってたから毎回お客さんは入ってましたよ。

オリジナリティが強すぎるがゆえに、活動場所が定まらなかったんじゃないですか?

オオルタイチ:やっぱり当時場所はいろいろでしたね。クラブもあるし、ライヴハウスもあるし。

それでも自分を貫いたのが本当に立派だなと思います。

オオルタイチ:あ、ありがとうございます(笑)。でもそれしかできないってのがあったんだと思うんですけど。

インプロから楽曲に変わっていったのは自分のなかでどういった変化があったの?

オオルタイチ:打ち込みって音楽的な素養がなくても感覚である程度できるじゃないですか、自分なりの妄想のオーケストレーションじゃないですけど(笑)。ひとりで世界を作り込めるっていうのが自分にあってたんでしょうね。

言葉じゃない歌みたいなものを歌うのって逆にすごく難しいことだと思うんですけど、練習みたいなものはしてた?

オオルタイチ:それもきっと即興の面白さを知ってたからやと思うんですよ。すごい影響を受けのが山塚アイさんと大竹伸朗さんがやってたパズル・パンクスで、すごいな~って思いながらよく聴いてたんですけど、あれも全部即興でやってて。即興でやってると自分の予期してないことがいっぱい起きて、自分が作ったものじゃない感覚とかがあるんです、でもなんかいいものができてしまったみたいな快感もめっちゃあって。

山塚アイからの影響はぷんぷん匂ってますね。

オオルタイチ:そうですね。影響はすごい多いと思いますね。

はじめて観たのはボアダムスですか?

オオルタイチ:はい。『チョコレート・シンセサイザー』の頃です。

山塚アイのどんなところが好きなの?

オオルタイチ:あの人は出してくるものがすごく感覚的やけど、毎回答えになってるというか、確信に満ちてて、無駄もなくて、うん。

好きなのはパズル・パンクスの作品?

オオルタイチ:いやでも全部好きですね。DJ光光光とかも好きです。いつでも新鮮な感覚を音楽として貰えるというか。

ボアダムスは影響力が海外でもあるけど、日本では、オオルタイチほど影響を露にしてるアーティストはいないような気がするけどね!

オオルタイチ:ははははは!

『恐山のストゥージズ狂』とか。

オオルタイチ:あれは本当にすごかったですよね!

どこがそんなに好きなの?

オオルタイチ:ボアダムスに関していうと、メンバー全員が凄いと思うんですよ。でもアイさんに関しては、毎回新しいところに連れてってくれるっていうか、こういうやりかたとか合わせかたがあるんやって。DJミックスとかもすごいじゃないですか、あらゆるところから自分の感覚でまとめるみたいな。

発想の自由さ、みたいな?

オオルタイチ:まさにそうですね。

それに影響を受けてるから自分も型にはまらないようにしてるみたいな感覚はある?

オオルタイチ:どこまで自由になれるかっていうのはありますけどね。

デイダラスと仲がいいっていうのが意外だったんですが。

オオルタイチ:仲がいいっていうわけじゃないんですけど(笑)。来日したときに神戸でイヴェントを組んだりしてたんですけど、その繋がりでリミックスを。

オオルタイチっていう名義は本名ですか?

オオルタイチ:いや違うんですけど(笑)、とくに意味はなくて、タイチは本名なんですけどね。

オオルにはどういう意味があるの? 「すべて」っていう意味?

オオルタイチ:最初はそうだったんですけど、ダサイんで、名前っぽくしようと思って(笑)。

「すべてタイチ」っていいじゃないですか!

オオルタイチ:なんか1日だけそんなバンドを遊びで組んだこともありましたね(笑)。

[[SplitPage]]

ブルックリンのシーンがすごい面白いし、自分と通じるところがあるなと思ってたんで、アメリカに行きたいなと思ったんですけどね。まぁ行ったところでお客さん全然入らへんで大変でしたけど。


OORUTAICHI
僕の楽しい仕事

Pヴァイン
(8月7日発売予定

Amazon

オオルタイチが目指す音楽は、言葉で説明するとどんなものなんですか?

オオルタイチ:それもだんだん変わってきてるんです。このアルバムもそうなんですけど、自分のイマジネーションみたいなものを詰め込みすぎてて、それをもっと自然に、たとえそれが全然引っかからない音楽だとしてもどんどん出していきたいと思ってて、今はあんまり自分の想像を加えないほうがいい気がしてます。

えー! オオルタイチの音楽はオオルタイチの妄想で成り立ってるじゃない!

オオルタイチ:でもやっぱり妄想にも限りがあるというか...(笑)

はははははは!

オオルタイチ:考えてみると、自分の妄想にこだわって作業を進めるときってあんまり気持ちいい状態じゃないなっていうのに最近気づいて。

ある種、自分の精神状態が制作に反映する?

オオルタイチ:それはありますね。

すごくハイトーンで歌ってるけど、あれは意図的なものですか?

オオルタイチ:そうですね、なんか普通に(笑)。

上がっていくイメージの曲が多いと思うんだけど、その上がっていくっていうところがいまここで語られた妄想だとしたら、もしかしたら平行的な曲もこれから生まれるんじゃない?

オオルタイチ:自分のいまの精神状態が反映されてると思うんですけど、いまはほんまにミニマルなことがしたいかもしれないですね。すごく平坦なこととか。

『Cosmic Coco~』に比べると、たしかにちょっと角度が平行に近づいてるのかなって気はしますね。

オオルタイチ:うん。

アメリカ・ツアーはどんな経緯だったんですか?

オオルタイチ:去年行ったときは、ニューヨークでアートをやってるおじさんがいるんですけど、その人がフェイスブックで僕の音楽を発見してくれて、もし機会があったら呼びたいって言ってくださったんで。ただ、それだけでは渡航費がカヴァーできなくて、ジャパン・ソサイエティっていうニューヨークにある日本文化を紹介するような施設があるんですけど、ヒカシューとかあふりらんぽとかもライヴをしてた場所で、そこの人と知り合いになって、もし良かったらって話したら実現できたですけど。

アメリカでは何回ライヴをしたの?

オオルタイチ:ニューヨークは2回、あとはサンフランシスコとかロスをまわって。

アートをやってるおじさんはどんな人なの?

オオルタイチ:キュレーターなんですけど、聞くところによると、バスキアとかを見つけて最初に個展なんかを開いた人みたいで、アート・リンゼイともすごい交流があるおっちゃんなんですけど、その人といつも仕事してる日本の方がいて、その人が具体的なところはいろいろケアしてくれたんですけど、面白かったです。そのおっちゃんの繋がりで、チボ・マットの羽鳥さんとデヴェンドラ・バンハートらとイヴェントをやったり(笑)。

それはすごいね!(笑)

オオルタイチ:ちょうどハリケーンがニューヨークを襲って、めちゃくちゃなときにチャリティーをやろうっていうことでやったんですけど、すごい面白かったです。

アメリカですごい評判だったって聞いてたけど。

オオルタイチ:いやいやそんなことないですよ! まぁでも1回目よりはだいぶ良かったですけど。

そのまえにもう1回行ってるんだ。

オオルタイチ:1回目は難しかったですね(笑)。2009年に行ったんですけど。

そのときはどうして行ったの?

オオルタイチ:そのときは無理矢理行ったって感じだったんですけど、自費で。

なんでヨーロッパではなくアメリカだったんですか?

オオルタイチ:そのときはブルックリンのシーンがすごい面白いし、自分と通じるところがあるなと思ってたんで、アメリカに行きたいなと思ったんですけどね。まぁ行ったところでお客さん全然入らへんで大変でしたけど。

そのときもツアー? 

オオルタイチ:そうですね。向こうに行って、「ツアーしたいんやけど、西海岸のイヴェンター知らないですか?」ってその場でコンタクトとって次のライヴの場所決めるみたいな感じでした(笑)。

それすごいね(笑)!

オオルタイチ:最終的にSXSWにも出ました(笑)

それ全部自分で?

オオルタイチ:自分でやりましたね(笑)。

無鉄砲というか、勇気があるね!

オオルタイチ:無鉄砲でしたね(笑)。まぁでも楽しかったですけどね。

そのときはどれくらいアメリカに滞在したの?

オオルタイチ:かれこれ1ヶ月くらいいましたね。

お客さんポカーンとしてたでしょ。

オオルタイチ:ヨーロッパもそうですけど、やっぱり反応はいいときはいいですよ。逆にこっちが負けそうになるときもあったり。白人の方って独特なのかもしれないんですけど、発狂に近い感じなんですよ、踊るんじゃなくって。

はははははは

オオルタイチ:ダンスとは呼べない感じの(笑)。

でもそれはオオルタイチの音楽がなにかしら作用したんじゃない?

オオルタイチ:かもしれないですね。そうなったら楽しいですけどね。

デザインを含めて、全体的にある種の子供っぽさみたいなものを感じるんですが、それは意識してますか?

オオルタイチ:それもさっき言ってたのと同じで、前作はすごいこだわって作ったんですよ、例えばジャケットもそうだし、そのかわり深くは言えないんですけど失うものも多くて、作業していくなかで大変やったんですけど、それはやっぱり違うんじゃないかと思って。自分のなかに特になにもないのに大げさなタイトルをつけるのも違和感あるなーって思ったし、ほんまに素直なままでいいなと思って。

素直なっていうのは子供っぽさみたいなものとは違うの?

オオルタイチ:子供っぽさというか、流れるままにというか(笑)。

「素のままでいいや」みたいな感覚って、ある種大阪の人の特徴だったりするんですか?

オオルタイチ:飾らない感じはありますね。

アートワークとかのカラフルな感じっていうは山塚アイに共通する感覚だと思うけど、このカラフルさっていうのは自分のなかで今回意識したの?

オオルタイチ:アート・ワークは、HAJIMETENの人たちに任せました。でも自分の音楽も派手なんで、その感じには合ってると思います。

これまでの話を聞く限り、次の作品では音数が減ってきそうだね。

オオルタイチ:そうですね、打ち込みの要素はかなり減る気がします。最近打ち込みのサウンドを生楽器のバンドでやってるんですけど、どっちかというとそういう世界をやっていきたいのかなぁと。

リミックスを依頼されたアーティストにヴァリエーションがありますがそれは意図的なものですか?

オオルタイチ:それはたまたまです。neco眠る、ファナ・モリーナなんかに関しては僕からお願いしたんですけど、他は全部依頼されたものなので。

それがゆえにすごくオオルタイチのオリジナリティを表してる感じがするんですけど、それぞれリミックスを依頼するアーティストがばらばらなのも面白いよね。

オオルタイチ:そうですよね(笑)。

自分の音楽と社会は接点があると思いますか?

オオルタイチ:あると思ってます。たぶん音楽がないと自分は外の世界と関わりがなかったと思うので、そういう意味では社会性はあると思ってるんですけどね。

自分の音楽を人に紹介するときはなんて紹介してますか?

オオルタイチ:ダンス・ミュージックっていうことが多いかもしれないですね。前のアルバムがけっこうそういう意識のなかで作ってたんで。いまお客さんもすごく踊ったり楽しみに来てくれてる人が多いと思うので。

まあ、さっきも話に出たけど、ダンスホールがここまで変形したのかっていう感じはありますけどね。

オオルタイチ:ダンスホールに関しては、文化全体から影響を受けたので。サウンド・クラッシュとかノイズの世界じゃないですか、怒鳴ってるだけだったりとか。ケイプルトンっていうシンガーがめっちゃ好きなんですけど、その人とか歌ってるときに盛上がりすぎてキレて、ステージ脇に走ってって(笑)、「この人なにキレてるんやろ」みたいな、そういう意味分からん感じとかすごい好きで。

ジャマイカの音楽は、そういう意味では独自のものを自分たちで作ってるよね、ダブとかも発想が自由だし。

オオルタイチ:キーとか外れててもおかまいないですもんね。

次のアルバムも楽しみにしています。

オオルタイチ:すごい時間が掛かりそうですが......(笑)。

え? まだ全然できてないんですか?

オオルタイチ:なんとなく構想とかはあって、数曲ですけど作り出してはいます。

これからだっていうときだと思うので、頑張ってください。

オオルタイチ:はい、ありがとうございます。頑張ります。

Various Artists - ele-king

 タグやリンクのみを頼りに、サウンドクラウドとバンドキャンプ上の倦むことなきサーフィンを続ける音楽中毒者たちは続々と増え続けている。彼らは、日中はイヤホンごしにiPhoneアプリでサウンドクラウドを横断し、夜はベッドルームに据え置かれたPCのヘッドホンジャックから溢れ出す音の波に溺れ、解凍されることなく増え続け、ハードディスクの容量を圧迫していくZIPファイルたちを前に頭を悩ませている(僕はそこまで重症ではない)。
 サウンドクラウドやミックスクラウド、バンドキャンプという新しいツールを手に入れ、音楽ブログは再び栄華を極めている。ここ日本も例外ではない。
 例えば、ヒップホップからインディ・ロックまで、フィジカルの新譜であろうとフリー音源であろうと、条件を問わずボーダーレスに音楽を紹介し続けている「キープ・フール・クール」。バンドキャンプで"name your price"にて販売されている音源やサウンドクラウドの音源やインタヴュー記事を紹介している「Hi-Hi-Whoopee」は、複数のエディターが参加している1つのメディアとなっている点でもおもしろい(ちなみに、エディターたちはツイッター等を介して知り合っているので、直接会ったことのない人もいるとか)。他にも「lights + music」など、ユニークなブログがたくさんある。
 そういった音楽ブログの盛り上がりと同様、ネット上の"掘り師"たちが編んだコンピレーションもまた更なる耳目を集めている。インディ・ロック中心のネット・レーベル〈アノ(ト)ラックス〉の『スーン V.A.』や『アップワーズ・アンド・オンワーズ V.A.』は国内外で注目を浴びた。あるいは、毎回テーマを設け、それに沿った音源を募集してコンピを編んでいる〈フォグパック〉などなど。

 そういったネットコンピ全盛のなかで、フィジカルのコンピレーションを出すということは、なかなかの覚悟と費用と時間とが必要とされることが想像に難くない。が、〈コズ・ミー・ペイン〉はそれでもアナログ盤でコンピレーションを出し続けている。この3作目も、前2作と同様、LPにダウンロード・コードを付けた形式である。アナログとカセットのみに限ったリリース方法にこそ、〈コズ・ミー・ペイン〉のこだわりや遊び心、クールな装いのなかに秘めたる熱情が垣間見えている。それが、〈コズ・ミー・ペイン〉のアティチュードなのだろう。

 幕開けを飾るホワイト・ウェアの"クリア・シティ"は、リヴァーヴやエコーの靄のなかで、幻想的なシンセ・リフ、ギター・リフが折り重なり、左右に揺れる男性とも女性ともつかない複数の声が現れては消えていく。霞がかったバレアリックの中で、ハイハットとキック、ベースは冷静さを保っている。彼らはまた、ジェシー・ルインズが〈キャプチャード・トラックス〉からリリースした「ドリーム・アナリシス」のリミックスも提供している。原曲のヴォーカルを生かしつつネオアコ風のギターが重ねられ、ドリーミーなチルウェイヴに様変わりしている。
 一方で、スーパー・VHSやナリザ・ムー、マスキュラン、ソレイユ・ソレイユはアグレッシヴだ。スーパー・VHSの"ボーイ"はこのコンピレーションのなかではもっともバンド色が強く、陽性の力強いビートを打ち出している。ファンキーなギター、太いシンセ・ベースとパーカッション、ニューウェイヴ直系のヴォーカル・スタイルが異色を放っている。ナリザ・ムーはクラシック・ハウスとテクノの血を正統に受け継いだかのようなストイックな相貌だ。くぐもった音質のなかでウネウネと鳴っている太いスクラッチのような音、永遠に続くかのようにリピートされるチープなギターリフを轟かせているマスキュランの"ガール・イン・ヘヴン"はどこか皮肉めいている。上昇していくオルガンが印象的なソレイユ・ソレイユはバレアリックな感覚を披露している。
 今年に入って〈リヴィング・テープス〉からカセットをリリースした、ジェシー・ルインズの佐久間によるソロ・ユニットであるコールド・ネームは、インダストリアルな音作りで不思議な存在感を放っている。リンチの『イレイザーヘッド』の映像が浮かんできそうなノイジーでグロテスクな音だが、〈ブラッケスト・エヴァー・ブラック〉の冷徹さとは異なる、妙にソフトな気味の悪い感触を湛えている。
 翻って、ザ・ビューティの"ヴァーチェ"では、清廉なアコースティック・ギターの調べと聖歌隊めいたシンセ・リフ、クリーンなエレクトリック・ギターが透き通るようなサウンドを構成している。また、〈レフス〉からアルバム『ア・フィルム』を上梓した、〈コズ・ミー・ペイン〉の顔役とも言えるジェシー・ルインズは、ミュートされたギターの不穏なオープニングから分厚く重ねられたシンセサイザーが鳴り響くエンディングへと至る、涼やかでドラマティックな"エカテリーナ"を提供している。

 『コズ・ミー・ペイン・コンピレーション #3』は、総じてダンス・オリエンテッドだ。一方でおもしろいのは、参加ミュージシャンにバンドが多い点だろう。こういったインディ・ダンスのアクトには、バンド形式のユニットが増えているように見える。そう、ダンスフロアとライヴハウス、クラバーとインディ・ロックのファンの距離が再び極小化し、その境界は曖昧になりはじめているのだ。ダンス・ミュージックとインディ・ロックの、何度目かの幸福な邂逅が起こっている。

Rachid Taha - ele-king

 イギリスの反戦市民連合体《Stop the War Coalition》のための、2005年のチャリティー・ライヴのDVD『Stop the War Coalition Benefit Concert』を観たとき、ラシッド・タハと元クラッシュ:ミック・ジョーンズの2ショットは異様に絵になるな、と思った。ブライアン・イーノが加わったラシッド・タハ・バンドが、ミック・ジョーンズをゲストに迎えたその晩のハイライト・シーン"Rock the Casbah(Rock el Casbah)"に、しばらく鳥肌がおさまらなかったものだ。

 ソロとして9作目のスタジオ録音。これまでのタハは全作聴いているし、存在それ自体に価値があるこの男の歌に傾聴に値しないものなどないのだが、それにしても、個人的にはこれが過去もっとも好きかもしれない。ティナリウェン(プロデュース)やロバート・プランド・バンドでも知られるジャスティン・アダムズのプロデュースとギターの音色も見事にフィットしているが、それ以上にミック・ジョーンズがギターとヴォーカルで参加していることで興奮するし、アルバムの締めに置かれたタハの代表曲のひとつ"Voilà Voilà(ヴォワラ・ヴォワラ)"のセルフ・カヴァーではブライアン・イーノも合流し、例の"Rock the Casbah"の興奮が甦る。アルバム全体としてゴツゴツしたブルージーなロックンロールが基調になっており、卑近な形容を探すなら、〈ミック・ジョーンズ入りのアラブ版『メイン・ストリートのならず者』〉......ってくらい魅力的な字面がふさわしい。

 ラシッド・タハは1958年アルジェリアに生まれ、1968年、10歳のときに両親とフランスに渡った。81年、当時住んでいたリヨンでカルト・ドゥ・セジュール(Carte de séjour=滞在許可証)というグループを結成。91年のアルバム『Barbès(バルベス)』以降はソロ・アーティストとしてのキャリアを積み、今日フランスの移民系アーティストの中で、押しも押されもしないトップ・スターのひとりとなった。
 しかし、その54年の人生のうち44年をフランスで過ごし、自身も「自分が完全にフランス人だと感じる」と語るタハ(フランス式に発音するなら"タア")が、いまだにそのフランス国籍を申請さえしていないことは、日本ではあまり知られていない。フランスで生まれ育ち、成人して久しいフランス人の息子がいるにもかかわらず、である。タハのキャラクターを知る上でこの点は重要で、つまり、"完全にフランス人"であることを自認し、フランス人の父親でありながら、自分は滞在許可証を更新し続けてフランスに暮らす"政治的外国人"の立場でい続け、そしてアラビア語とフランス語で歌い続けるのである。これが"政治"的行為でなくてなんだろう?

 もう少し詳しく書こう。カルト・ドゥ・セジュール時代の1986年、その"政治的外国人"として、シャルル・トゥレネの穏やかでノスタルジックな愛国歌"Douce France(ドゥース・フランス/甘美なるフランス)"を、かしましいダンス・ナンバーとしてカヴァーしたのは、当時の極右政党(国民戦線)の台頭を批判する意味合いがあった。"douce(=sweet)"は、甘美な/心地よい/優しい、というニュアンスだが、一部の自称"愛国者"がその(いびつな自尊心を満たすための方便としての)愛国心を振りかざすほどに、国が sweet なものでなくなっていくことは、昨今の日本国内の例を引くまでもなく明らかだ。
 93年のソロ2作目『Rachid Taha』では、前述の「Voilà Voilà(ヴォワラ・ヴォワラ/ほら、ほら)」でその〈ドゥース・フランス/甘美なるフランス〉というシンボリックな表現を再び俎上に載せた。
 ほら、ほら、あっちこっちで、また同じことの繰り返しだ。この甘美なる国フランスで、連中(レイシスト)が台頭する。この国の問題の原因は外国人なんだとさ。国から出てけ! って叫ぶことが、文明人の取る措置なのかい......という曲だ。そこで歌い飛ばされる〈ドゥース・フランス〉のニュアンスを想像するには、ちょうど安倍晋三の〈美しい国〉を思い浮かべればよい。タハはそれからちょうど20年後の今年、あれ以来何も進歩のないフランスに、敢えて国籍を持たないフランス人として、つまり国籍などに捕らわれない純粋に人間としての矜持をもって、また同じプロテストを叩きつけなくてはならなかった。その特筆すべきせっかくの不幸の分け前に、この国でも(歌詞対訳と解説付きの正しい日本盤で)あずかろう。それに値する国なんだから。......っていうのが皮肉に過ぎると感じる人でも、「ほら、ほら、また始まったぜ」と、ミック・ジョーンズがクラッシュ時代と何ら変わらない歌でもってタハとバッチリ絡んでいるのを聴くだけで、胸のすく思いをするはずだ。

 以前、レイシズムに対するタハのコメントで感銘を受け、書き抜いておいたものがあるので、ついでにお裾分けしておく。
「差別主義は、とにかく何より愚かさに基づくものだ。しかしながら、我々は永久にそいつと一緒に生きていくんだってことを知る必要がある。で、そいつから超越したところに自分を位置づけることを学ばなくちゃならない」

 この言葉は政治にも当てはまる。レイシストのヘイト・スピーチ同様、政治屋も翻弄するし、両者の言葉の質にもしばしば近いものがある。現行の政治システムを嫌悪しながらも、使い捨て手袋をつけ、鼻をつまみながら、"よりひどくない方"の名前を書きに投票には行くつもりだが、それにしたってその制度のためにオレの人生があるわけじゃない、ってことは、何らかの方法できちんと示しておく必要がある。
 よく考えてみなくても、国籍なんて権力が決めたただの徴税のための"政治"だし、パスポートも税源を囲い込むための必要悪の事務書類だ。ラシッド・タハは、そんなものもまとめて超越しようとしている。身をもって。そういう男の歌は、実に人としての本質的なことを教えてくれる。

THE HELIOCENTRICS - ele-king

 ジ・エックス(The Ex)といえば、ポストパンク時代のオランダから登場した前衛パンク・ジャズ・バンドとして知られる。中心メンバーのテリー・エックスは、数年前には〈スモールタウン〉からオリジナル・サイレンス(ジム・オルークやサーストン・ムーアもいる)としても2枚のアルバムを出しているので、ご存じの方も少なくないはず。何にせよ、そんな、ノイジーで、フリーキーなバンドが最近エチオピア・ジャズの巨匠ゲタチュウ・メクリヤとのコラボ作品を出したのだが、これがその組み合わせ自体が興味深くもあり、そして、実際、素晴らしい作品でもある。エチオピア・ジャズ独特の旋律とパンク・ジャズとの見事な邂逅というか。マーク・エルネストゥスがプロデュースしたジェリ・ジェリに並んで、ヨーロッパとアフリカの美しい出会いである。
 さて、エチオピア・ジャズといえばムラトゥ・アスタケで、そして、この巨匠の存在をより広くアピールしたのが、2009年に〈Strut〉が企画した『Inspiration Information』シリーズにおける〈ストーンズ・スロウ〉傘下の〈ナウ・アゲイン〉からデビューした英国のジャズ・ファンク・バンド、ザ・ヘリオセントリクスとの共演盤。この作品をきっかけに、翌年に同レーベルからリリースされたロイド・ミラー&ザ・ヘリオセントリクスによる魔法のようなアルバムにまで手を出した人も少なくないと思うが、エチオピアン・ジャズにも接触しながら拡大したコズミックな感性を表舞台で捉えていたのがフライング・ロータスだったようにも思う。何にせよ、ジャズはこうして、いま来ている。
 ザ・ヘリオセントリクスが来日する。これは行かねば。8月10の代官山ユニットでは、USディープ・ハウスの実力者、AybeeのDJプレイもある。


■FRUE ~Space Is the Place~
2013.8.10(Sat)@UNIT
Open / Start : 23:00

UNIT
Live :THE HELIOCENTRICS (Now Again / Stones Throw / UK)
DJ :Aybee (Deepblak / Oakland)
OSG

SALOON
Shhhhh
Wata Igarashi ( Drone )
MAMAZU (HOLE AND HOLLAND)
PECO ( R20 )
7e (Romanescos )

CHARGE : ADV 3,800yen/DOOR 4,300yen ( 26:00 ~ 2,500yen )
・ローソン[Lコード:77763]

■FRUE ~Space Is the Place~
2013.8.11(Sun) @ Aoyama Cay
Open / Start : 16:00

Live :THE HELIOCENTRICS (Now Again / Stones Throw / UK)
And more tba

CHARGE : ADV 5,000yen/DOOR 5,500yen
・ローソン[Lコード:79261]


vol.52:NYサマータイム・ブルース - ele-king

 夏、NYの野外活動は拡大する。サマーコンサート、サマーフィルムが毎日何処かで開催される。夏のショーは、ビッグネームでもインディ・バンドでも、フリーで野外ということも多いが、先週までのNYは天候が不安定で、コニーアイランドのチープトリックも(最高!)、リバーロックスのジェネレーショナルも、サマースクリーンも雨模様だったが、今週に入ると、マーサ&ザ・ヴァンデラスさながらヒート・ウェイヴが押し寄せ日中は98°F(=37℃)超え! 週末はみんなビーチに出かけ、夜からようやく外に出はじめる。普段ビーチに行かない著者も、先週はロングアイランドに行って、水に浸ってきた。そのままボードゲームにはまり、帰りの電車のなかまで続ける有様......


野外映画を観ている人たち。

 NYの夏の、野外映画も素晴らしい。ブライアント・パーク、イースト・リバー・パーク、ハドソン・リバーパークなどの公園で上映、日没になると人が集まりだす。知らない人たちが一同に同じ映画を見るのは可笑しいが、大体は、映画は関係なく飲んだり食べたりのんびり状態。なかには折り畳みいす持参で徹底的に楽しむ上級者もいる。子供向け、ファミリー向け、公園によって映画は違うが、『L・マガジン』が、毎夏ブルックリン、グリーンポイントのマカレンパークで開催するサマースクリーンが、インディ音楽ファンの心をついている。映画の前には、いまNYでホットなニュー・バンドがプレイするし、キュレーションはNYのアンダーグラウンド・ブッキングを代表するトッド・P。彼には去年、ブルックリンのインディ・シーンについてのインタビューしているので、未読の方はどうぞ

 参考までにサマースクリーン、今年2013年のラインナップ:

Wednesday, July 10
映画:キャント・ハードリー・ウェイト
音楽:SILENT BARN presents: Jeffrey Lewis and the Sunny Skies、Weed Hounds、Ganjatronics

Wednesday, July 17
映画:ピーウィーの大冒険
音楽:JMC AGGREGATE presents: Oberhofer, Lodro and Bueno

Wednesday, July 24
映画:ザ・クラフト
音楽:285 KENT AVE + AD HOC present: La Misma, Potty Mouth, Divorce Money (Dustin of Beach Fossils, Ren of Herzog Rising, Alex of Dream Diary)

Wednesday, July 31
映画:グーニーズ
音楽:DEATH BY AUDIO + ENTERTAINMENT 4 EVERY 1 present: Hector's Pets, The Numerators, Juniper Rising

Wednesday, August 7
映画:スピード
音楽:SHEA STADIUM presents: Hubble (member of The Men, Zs and Pygmy Shrews), GDFX (member of Liturgy, Man Forever and Guardian Alien)

Wednesday, August 14
映画:オーディエンス・ピック(オーディエンスの投票で映画が決まる)
音楽:MARKET HOTEL presents: Aa (aka Big A Little A), Amen Dunes

 トッド・Pのウェブ・サイトにもリンクが張られている、DIYブッカーたちがバンドをピックする。バンドはまだ若く日本ではほとんど知られていないが、このなかでは、Aa(ビッグエー・リトルエー)が大御所。彼らはライトニング・ボルトやライアーズあたりと良くプレイしている。映画もバンドも偏ってはいるが、このラインナップには少しチージー(良い意味で)な、現在のブルックリンが表されていると思う。ただ、最近のブルックリンは選択肢が多すぎて、結局どれにも行かないという人が増えている(著者の周辺情報)。
 たしかに、インターネットで音楽も聴け映像も見れると、バンドを知った気になってしまう。著者の場合、音楽業界周辺からの口コミや、普段の何気ない会話から生まれるサプライズに託しているが、ライヴに行きたいと思わせるバンド、それをオーガナイズするブッカーがやはり大事だ。そこで、DIYブッカーとしては少し規模が大きくなるが、NYとサンフランシスコにオフィスを持つパナシェがある。パナシェは、その名があるというだけで「見に行こう」と思える数少ないブッカーで、何十年も同じスタンスでいる。彼らがスペシャルでいれる理由は、所属バンドの質と、パナシェだったらという信頼、パナシェ・チームが考える人とのつながり。
 そこで、代表のミシェルに、パナシェ、NY、ブッキング他、彼女が興味のあることまで、ランダムに語ってもらった。彼女のパーソナリティにも注目してほしい。

ミシェル (パナシェ・ブッキング)インタヴュー

取材に応えてくれたパナシェ・ブッキングのミシェルさん。
取材に応えてくれたパナシェ・ブッキングのミシェルさん。

自己紹介をお願いします。NYの音楽業界で働いてどれくらいになるのでしょうか。

ミシェル(M):私はミシェル・ケーブルです。北アメリカのおよそ120バンドのブッキングを扱うタレント・エージェンシーのパナシェ・ブッキングを経営しています。オフィスはブルックリンとサンフランシスコにあり、音楽業界で働いて15年になります。パナシェはファンジンとしてはじまり、私は地元のカリフォルニア、ユリイカのプロモーターになり、1年で約100本のショーをブックしました。最終的に私が尊敬するアーティストのツアーをブッキングすることになり、パナシェ・ブッキングを設立しました。

NYには何年、どこに住んでいますか? NYに住むこと、近所を紹介してください。

M:ブルックリンのグリーンポイントに6年住んでいます。マンハッタンに行くL線とクイーンズとサウスブルックリンに行くG線が走るふた駅へは数ブロックです。近辺はポーランドとイタリア人が住んでいて、家族的な雰囲気で、バーやレコード屋、ライヴハウスがたくさんある、ウィリアムスバーグにも面しています。このエリアは数年で、大きく変わりました。私はNYが好きで、6年経ったいまでも、毎日が映画のようにインスパイアされる瞬間でいっぱいです。その角に何があるか、普通の人びとに驚かされたりと予想がつきません。人は都市の脈で、24時間エネルギーを感じます。ここで強く支持のあるコミュニティを発見し、素晴らしいコラボレーションに繋がって行きました。

いまパナシェでブックしているメインのバンドは?

M:タイ・シーガル、ジ・オーシーズ、マック・デマルコ、ザ・メン、ブリーチド、クール・キース、DJジョナサン・トゥビン、ミカル・クロニンなどです。

どれぐらいの割合でショーに行きますか? 最近で面白かったショーは? 人びとは昔に比べて音楽を見に出かけていると思いますか?

M:時期やツアー時もよりますが、週に2、3回。最近の良かったショーは、NYのリンカンセンターでの、$100を賞金としたダンス・コンテスト、DJジョナサン・トゥビン・ソウル・クラップ&ダンス・オフです。R&Bシンガーのヤング・ジェシーがオープニングで、観客が、7インチのソウル・レコードをヘッドフォンで聴く、初の無音ディスコ・ソウル・クラップでした。歴史的な会場のリンカン・センターなので、老若男女が音楽に合わせてお尻を振っていました。ヘッドフォンをとったら、人が音のないリズムで踊っているのでかなり面白かったです。ライヴ音楽はもちろん、私はダンスとふたつの世界を繋げるのが好きなので、人びとのつながりを強くするこういうイヴェントをもっとやりたいです。人は、まだよく出かけていると思いますが、大多数の人は、小さなインディショーに行くより、フェスティヴァルなどの大きなショーに行くのを好むと思います。

NYで好きな会場はありますか?

M:ブルックリンのディス・バィ・オーディオはまだホームを感じます。200人ぐらい収容できるウィリアムスバーグの真んなかにあるDIYクラブで、壁がカラフルなアートワークで覆われていて、スタッフも家族みたいです。この地上げ地域で、生き残っている数少ないアンダーグラウンド会場で、いつでも良いショーがあると信頼出来るし、音設備も上々で、毎回ショーのレコーディングをしています。他の会場では、ブルックリン・ボウル、マーキュリー・ラウンジ、ユニオン・プールなどです。

どのようにパナシェでブックするバンドを見つけるのですか?

M:大体は、他のバンドを通してか、一緒に働いている人からの推薦です。たまにCMJ、SXSWなどの国際フェスティバルで発見することもあります。

前と比べて、今年のNYの音楽シーンはどう変わっていますか? 注目の会場があれば教えてください。

M:NYのDIYやアンダーグラウンドの会場は閉まったり、立ち退きを強要され、リーズナブルな場所に引っ越しています。いろんな新しい場所ができていますが、NYは大きいので、まだ自分が楽しんで仕事ができる会場があると感じます。

情報を交換したりなど、音楽業界の人と遊んだりしますか?

M:NYの良いところは、アートや音楽において、刺激を受ける人たちに囲まれていることです。回転ドアのように、入れ替わり人がやってきて、Eメールで話していた人に簡単に会え、関係を発展させたり、コラボレートするには良いところです。たくさんのことがはじまっては終わり、いつでも素晴らしいアイディアが生まれています。私は、レーベル、ブッカー、PRの友だちがたくさんいるし、NYに住んでいるバンド、ザ・メン、ティーンガール・ファンタジー、マーニー・ステーン、マック・デマルコ、ジュリアナ・バーウィック、ジョナサン・トゥビンなどと仕事をしているので、NYに住むことはエージェンシーの軌道を早めてくれます。

過去にDMBQ、あふりらんぽなどをブックしていましたが、日本の音楽シーンはどう見ていますか? 新しい日本のバンドでブックしたいバンドはいますか?

M:エージェンシーをはじめたとき、半分が日本のバンドでした。サンフランシスコに住んでいたときに、DMBQ、 あふりらんぽ、ワツシ・ゾンビ、キング・ブラザーズ、ハイドロ・グル、ルインズなどの日本のバンドに会いました。DMBQは、9~10年前のSXSWで、関係を発展させ、自分でニッチェなブッキングの世界を作り、日本のサイケやノイズ・バンドを北アメリカに連れてきました。日本にはDMBQのツアーで2回行き、ある日本のバンドの北アメリカでのツアー・マネージャーもしました。いまはDMBQ、キング・ブラザーズ、そして少年ナイフやバッファロー・ドーターと仕事をしています。

最近、著者が発見する面白いバンド(ソフト・ムーン、ソニー・アンド・ザ・サンセッツ、リトル・ウィング)は、西海岸のバンドが多く、NYは少ないのですが、どう思いますか?

M:ザ・メン、ジュリアンナ・バーウィック、マーニー・ステーンなど、NYにもまだまだ良いアーティストやバンドがいますよ。私は、そのなかの最高のバンドと仕事できることを幸運に思っています。いま、パナシェに所属するバンドは、タイ・シーガル、オーシーズ、ホワイト・フェンスなど、西海岸のバンドが多いです。そこは、明らかにエキサイティングなことが起こっていると思えますが、NYは面白いバンドが来るまでの、凪状態にあると思います。しばらくのあいだは、オーディエンスをインスパイアできる面白く楽しいイベントをキュレートしようと思ってます。

パナシェのこれからの予定を教えてください。音楽以外の事柄や付け加える事があれば是非お願いします。

M:パナシェはあっという間に大きくなりましたが、これからも、オーガニックに行きたいと思います。選ぶバンドは特別で、量より質に集中しています。LAにオフィスを構えたり、オーストラリア、中国、日本、南アメリカなど、海外でのブッキングも考えています。パナシェがはじめた、ブルーズ・クルーズ・フェスティヴァルなどのフェスティヴァルも、もっとキュレートしていきたいです。その他、何人かのミュージシャンの管理もはじめました。アートショーをキュレートしたり、音楽業界代表として、海外のスピーキング・ツアーに参加したり、NYUなどの大学で講義をホストしたりもしています。
 音楽以外では、1年に1回トロピカルなビーチを見つけるようにしています。旅は、私にとって別の情熱なので、音楽に関係なく、最低でも1年に1回は休暇を取るようにしています。次は、この冬にジョシュア・ツリーに行く予定です。
 もうひとつ付け加えたいのは、何年か前にNYで、悲劇の車の事故で亡くなってしまった、DMBQと少年ナイフのドラマーで、私の最愛の友だち、チャイナへ。彼女は、私が見たなかで、最高の素晴らしいドラマーで、最高に美しく、親切で、ゴージャスで、知り合いになれたことを光栄に思っています。チャイナ、あなたがいなくて寂しいです。

 パナシェ・ブッキング:www.panacherock.com

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467