「E E」と一致するもの

Sam Prekop - ele-king

 ザ・シー・アンド・ケイクのサム・プレコップ、新作アルバム『Comma』がリリースされた。レーベルはおなじみ〈Thrill Jockey〉から。日本盤は〈HEADZ〉から発売された。

 ザ・シー・アンド・ケイクではシンガーでもあるサム・プレコップだが、2010年に発表されたエクスペリメンタルな電子音楽『Old Punch Card』以降は、唯一無二のクリーン・ヴォイス/ヴォーカルを封印し、エレクトロニック・ミュージックを追及してきた。電子音への徹底的な耽溺ぶりはシンガーの片手間と風情は微塵もなく、電子音楽家サム・プレコップの誕生とでも形容したいほどでもあった。
 じっさいミニマルなシンセ・アンビエントな2015年の『The Republic』も、2019年にリリースされたジョン・マッケンタイアとのコラボレーション(マップステーションとのスプリット)EPも、どこを切ってもエクスペリメンタルなエレクトロニック・ミュージックだった。
 いま、サム・プレコップの10年にも及ぶ電子音楽家としての歩みを振り返ると、電子音に対してピュアな悦びを感じているように感じられる。音を出す喜びに満ちているのだ。くわえてエクスペリメンタルでノイジーな電子音、シンセ・アンビエントなど時代のモードに対しても絶妙な目配せも効いていた。このバランス感覚は見事だ。

 最新ソロ作である本作『Comma』もまたインストゥルメンタルのエレクトロニック・ミュージック・アルバムだ。テクノ~エレクトロニカをベースにしつつ、ときに環境音楽のムードやモジュラーシンセを取り入れている。不思議な懐かしさと、そして明日への希望を合わせ持ったモダンなサウンドのエレクトロニック・ミュージックといえよう。
 1曲め “Park Line” を再生すると、眩い陽光のようなシンセサイザーの向こうから規則的なビート/リズムが鳴っていることに気が付くはず。電子音楽化以降のサム・プレコップのソロでははじめてビート/リズムが全面的に展開しているのだ。『Old Punch Card』や『The Republic』にあったノイジーでエクスペリメンタルな要素はやや影を潜め、エイフェックス・ツインの歴史的傑作『Selected Ambient Works 85-92』『Selected Ambient Works Volume II』や、日本の環境音楽として再評価されてきた尾島由郎、イノヤマランド、清水靖晃などから影響を受けた電子音楽世界を展開しているのである。この参照音源の卓抜なキュレーション・センスは90年代から個性的な演奏家・音楽家であるだけではなく、レコードコレクター/リスナーとしても一流だったシカゴ音響派のセンスの底力(?)を感じられた。アルバムを一聴したときには黄金の80年代と革新の90年代を継承し、2020年代エレクトロニック・ミュージックを生み出そうとするかのような意志を感じてしまったほどだ。
 なによりインストながら非常にポップな印象のアルバムとなっている点が重要である。いわば2020年代におけるYMO的なポップネスを体現しているのだ。

 どこまでも続く真夏の青空を見上げるような1曲め “Park Line”、サムなりのテクノを追求したような美しいエレクトロニクスと跳ねるようなリズムが展開する2曲め “Summer Places”、ガムランを思わせる細やかなリズムが気持ち良い3曲め “Comma” と最上級のエレクロニック・トラックが続く。4曲め “September Remember” は、夏の記憶を懐かしむような浮遊感に満ちたアンビエント・トラックで「新・環境音楽」とでもいうべき繊細なサウンド・レイヤーがとにかく美しい。5曲め “The New Last”、6曲め “Approaching” もサウダージ感に満ちたエレクトロニック・ポップ。テリー・ライリーがエレクトロニカ化したかのごときミニマル・ノンビートの7曲め “Circle Line” を経て、精密な音響による現代的なエレポップな8曲め “Never Met” へと行きつく。そして伸びやかなシンセ・サウンドによるアンビエントな9曲め “Wax Wing” から最終曲 “Above Our Heads” へと至る。この “Above Our Heads” は2分27秒と短めの曲だが、リズムとアンビエント/アンビエンスとシンセの音色が見事に交錯している素晴らしいトラックで、間違いなくアルバムの重要曲だ。
 ちなみに “Above Our Heads” のMVを手掛けたのは『デスマッチ 檻の中の拳闘 Donnybrook』という映画を監督したティム・サットン。ティム・サットンはかつてサムのセカンド『Who's Your New Professor』の “Something” のMVも手掛けていたし、サム・プレコップもティム・サットンの長編デビュー作『Pavilion』の音楽も担当としているのだから、たがいを良く理解している関係なのだろう。じじつ “Above Our Heads” のMVでも見事に曲の本質が表現されていた。まさに夏の終わりを慈しむような、そして人生の明日を祝福するようなエンドレス・サマーの夕焼けを感じてしまう曲なのである。

 全10曲(日本盤にはボーナス・トラックとして軽やかにして浮遊感に満ちた “Parallels” を収録。ジョン・マッケンタイアがミックスも手掛けた新曲)、その独自の浮遊感はアルバムの隅々まで行き渡り、彼のヴォーカル入りのソロ『Sam Prekop』(1997)、『Who's Your New Professor』(2005)などの傑作アルバムの本質を継承しているようにも思えた。いわばドリーミーな浮遊感と自分の生きている現実を肯定する喜びの力が共存しているのだ。
 ミックスをジョン・マッケンタイア、マスタリングをNYの老舗アンビエント・レーベルにもなった〈12k〉を主宰するテイラー・デュプリーが担当。サム・プレコップとテイラー・デュプリーとの協働作業は今回が初らしい(そう思うと本作はエレクトロニカ史的に重要なアルバム)。

 ともあれモジュラーシンセや Roland SH-101、JUNO-106 などを駆使したトラックには電子音の特有の気持ち良さが横溢している。音楽性は異なるがジム・オルークの『I'm Happy, And I'm Singing, And A 1, 2, 3, 4』(2001)にも連なる電子音楽のポップネスと実験性を体現したアルバムだ。「ポップな電子音楽を満喫したい!」という方にもぜひとも聴いていただきたい。

interview with Diggs Duke - ele-king

 ジャズ、ソウル、ヒップホップ、ロック、フォーク、ポップス、AORから、クラシックや現代音楽に至るさまざまな音楽の影響が伺えるディグス・デューク。そうした広範な音楽的要素を持ちつつも、そのどこかに限定されないオリジナリティを感じさせるのが彼の持ち味である。多大な影響を受けたというデューク・エリントンと同じデューク(公爵)を名前に持つ彼は、ほぼ独学で音楽を学んだ作曲家にしてマルチ・ミュージシャンであり、ほとんどひとりで多重録音を重ねて音楽を作ってしまうことができる。ソーシャル・ディスタンスに対応したスタイルをコロナ禍以前より持っているミュージシャンと言えるだろう。

 ジャイルス・ピーターソンのコンピに楽曲が収録されるなど、新しもの好きな音楽ファンの間ではかねてより注目を集めてきたディグス・デュークだが、作品制作は自主でおこなうなどずっとマイ・ペースの活動を続けてきたこともあり、いまひとつ実態が掴みにくいアーティストではあった。ただ、ハービー・ハンコックのようなジャズから、マーラーのようなクラシックの作曲家の作品を彼なりの解釈を交えてカヴァーしたり再構築するなど、過去の音楽に対しても実に研究心旺盛で、絶えずいろいろな刺激を注入して音楽を作っていることがわかる。多彩な楽器を操るのも、そうした好奇心から自然にマスターしていったことなのだろう。ハンドメイドの楽器まで制作しているようだ。

 そんなディグス・デュークの新作『ジャスト・ワット』のリリースに併せてインタヴューをおこなった。今回の作品では積極的にゲスト・アーティストと共演している点が特徴だが、参加ゲストは彼の周囲の日頃から懇意にしているアーティストたちで、決して話題作りのために有名どころを呼んできたわけではない。世の中の時流とか流行、レコード会社や音楽業界の流れに左右されて音楽を作っているわけではなく、あくまで自身の興味の赴くままに、本当にやりたい音楽を探求していくのがディグス・デュークなのである、ということが伝わるインタヴューとなった。

管楽器、弦楽器に関しては、耳で聴くことによって独学で演奏の仕方を学んだよ。どうやって動くのかを徹底的に調べて練習すれば、どんな楽器でもたいていは演奏することができる。

これまで『オファリング・フォー・アンクシャス』が〈ブラウンズウッド・レコーディングス〉からライセンス・リリースされたこともありますが、基本的にあなたはbandcampを中心に自主で作品をリリースしています。自身で〈フォロウィング・イズ・リーディング〉というレーベルをやっていて、外部のレコード会社に所属するとどうしてもその制約を受けるため、そうしたレーベル活動をおこなっているのかと思いますが、あなたの音楽活動や制作についてのポリシーを教えてください。

ディグス・デューク(Diggs Duke、以下DD):僕は自分がやること全てに対して絶えず新しいルールを作るようにしているんだ。作曲するたびに音楽というものに対して新たな理解が生まれるからね。〈フォロウィング・イズ・リーディング〉に関してはかなり長期的な計画を立てているよ。

ゲスト・ミュージシャンは最小限にとどめ、キーボード、ギター、ベース、ヴァイオリン、ドラムス、サックス、トランペット、クラリネットなど多くの楽器をひとりで操り、多重録音していくのがあなたのスタイルですが、これらの楽器は全て独学でマスターしたのでしょうか? 音楽学校に通っていたとか、これまで受けた音楽教育について教えてください。

DD:僕は音に対して天然の才能を持って生まれたんだ。喋りだすのと同じタイミングで歌いだしたし、5歳で父の友達からドラムのレッスンを受けはじめた。高校ではマーチングバンドでスネア・ドラムを叩いていたよ。父に言われてピアノで作曲をはじめたんだ。それで大学でいくつか作曲に関する授業を受けた。大学は卒業しなかったんだけどね。想像力を押さえつけられてしまう気がして形式にハマった学校は楽しむことができないんだ。管楽器、弦楽器に関しては、耳で聴くことによって独学で演奏の仕方を学んだよ。どうやって動くのかを徹底的に調べて練習すれば、どんな楽器でもたいていは演奏することができる。あとはもう、自分が何を聴きたいかをわかっているかどうかの問題だよね。

ジャズ、ソウル、フォーク、ロック、ポップス、ヒップホップ、ビート・ミュージック、さらにクラシックや民族音楽など、あなたの音楽にはさまざまなエッセンスが溢れています。これまで影響を受けた音楽やアーティストについて教えてください。

DD:デューク・エリントンは僕にとって最大の影響源。だから僕の音楽のキャリアを彼に捧げることにした。彼の仕事の仕方やバンドの運営方法、彼が魅せてくれる音楽が本当に好きなんだよ。もし彼のように音楽的な鍛錬を積むことができたら、この音楽業界でより長く好調なキャリアを築ける気がする。あとメンデルスゾーン、モーツァルト、マーラーにもそれぞれ違った理由で大きな敬意を抱いてる。それから動物が鳴らす音も好きだな、つねに影響を受けているよ。

2019年にリリースされた『ジャンベチューズ』という作品は、シェーンベルクやスクリャービンという19世紀から20世紀初頭における現代音楽の巨匠の作品をジャンベで再現するという、とても興味深いものでした。また2020年6月の『9』ではマーラーの “交響曲第9番” をカヴァーしていて、近年のあなたの作風はクラシック、現代音楽、そしてポスト・クラシカルなどに接近しているようです。新作の『ジャスト・ワット』についても、たとえば “コーリング・オン・マット” や “ザ・フィーリング” や “ビターズ・フォー・ビターズ” など、そうした傾向が強いように感じますが、あなた自身はそうした傾向についてどう思いますか?

DD:『ジャンベチューズ』を褒めてくれてありがとう。僕のディスコグラフィーのなかのアルバムのほとんどは自分で書いたオリジナルの楽曲や仲の良いコラボレーターと一緒に作ったものだけど、自分がライター、そして作曲家としてリサーチしたり、発展させたパーツをシェアするのも好きなんだ。
 たとえばそうだね、19世紀後半から20世紀初頭に活動したオハイオの詩人のポール・ローレンス・ダンバーの作品をたくさん音楽にしているのも、それが理由なんだ。彼の表現方法が大好きだし、それが僕なりの彼を自らの師として称える方法でもある。僕が受けてきた教育についての質問がさっきあったけど、僕はいつだって学んでいるんだ。特定の教育機関の一員として学んだことはないけどね。存命か、亡くなってしまっているかに関わらず、一度も会ったことがない人を師として仰ぐようになった。結局のところ、そこから学ぶことの方が実際に教師をつけて学ぶことよりもとても価値があるんだよ。同じようにもう亡くなってしまっているけど、スクリャービンやマーラーからも学ぶことがあった。彼らのアイデアに対する僕の解釈を通して、彼らのような作曲家の考え方と自分の作曲家としての考え方には共通した土台があることがわかった。僕がそういったリサーチに基づいたアルバムをリリースするのは、僕の学びは聴いて楽しいものであることが多くて、もはやそれ自体でアルバムとして成立することが理由かな。ジョン・コルトレーンについても同じことをしたんだよ。彼は作曲や即興演奏を発展させるためにおこなった稽古をあたかも楽曲として発表したんだ。“ジャイアント・ステップス” はもちろん面白い楽曲だけど、あれはただの稽古だったんだよ。

〈フォロウィング・イズ・リーディング〉からアルバム『テリトリーズ』をリリースするサックス奏者のジェラニ・ブルックスがアレンジで参加するほか、ジェイダ・グラントとロンという女性シンガーや、パーカッション奏者のトレイ・クラダップがサポートとして入っています。彼らはどんなミュージシャンで、どうして今回は参加してもらったのですか?

DD:僕の音楽をたくさん聴いてくれている人であれば、ジェラニのことは僕のディスコグラフィーのいたるところで見つけられるって知っていると思うよ。僕の3枚の作品、『オファリング・フォー・アンクシャス』『シヴィル・サーカス』『ジ・アッパー・ハンド』にも彼は参加してくれている。ボストンでの大学時代から何年にも渡ってライヴでも何回も一緒に演奏しているんだ。彼はもうすぐ新しいアルバムをリリースするんだけど、面白いものになっていると思うよ。このアルバムで彼は初めてドラムを叩いてくれているんだ。正直言って今作が彼がドラムを叩いているのをレコードで聞ける唯一の機会かもね。楽曲のアレンジを彼が送ってきたとき、ドラム・トラックも一緒に送ってきて、それがいい出来だなって思ったんだ。
 ジェイダ・グラントは2014年頃から一緒にやっているよ。『シヴィル・サーカス』にも参加してくれている。彼女はセントルイス出身の素晴らしいシンガーで、僕がワシントンDCに住んでいるときに出会ったんだ。ザ・デューンズっていう、いまはもう閉店してしまっているライヴ・ハウスで僕の音楽をノネットが披露する機会があってね。このパフォーマンスからの映像のいくつかはインターネットで見ることができるよ。ジェイダとは出会ってから、僕がDCにいる間ずっと一緒にパフォーマンスをしてくれたんだ。彼女は僕の音楽にとってとても大切な存在だったし、いまでもそう。彼女の声には甘さがあるでしょ。けど彼女はそれを威厳のある方法で届けるんだ。完璧なバランスだよね。
 ロンは素晴らしいプロデューサーだよ。実は彼女のアルバムを僕のレーベルからデジタル配信でリリースするんだ。昨年は彼女のビート・テープ『イエロー・ウォーターメロン』をリリースしたんだよ。彼女はとにかく素晴らしくて、折衷的なサウンドが持ち味で、プロダクションもヴォーカルもこなすんだ。ロンの声はジェイダの声によく溶け込むんだよね。ロンはハリスバーグで近所に住んでいる友達でもあるんだけど、彼女のパートはワン・テイクで録ったんだ。僕は何回もテイクを重ねるのが好きじゃなくてね。
 トレイ・クラダップはワシントンDCで出会ったもうひとりの友人だよ。このプロジェクトに参加してくれた他の人と同じように、彼とも前に仕事をしたことがあったんだ。『シヴィル・サーカス』でドラムとパーカッションを担当してくれて、ライヴでも一緒に演奏したことがある。彼のドラムには僕がいままで聞いたことのないようなサウンドがあるんだ。今作では、彼のリズムを他のリズムのサポートとして機能するように採用している。だからほとんど彼の音は聴こえないかも。だけど彼のパートを除いてしまったら空白が生まれてしまうと思う。今回参加してもらった人たちのことはこのプロジェクトに絶対参加してもらうって決めていたんだ。だから彼らに曲を聴かせて、彼らがどうやってこのプロジェクトに参加したいかを決めた時点で、もう彼らのパートはレコーディングされたようなもんだったよ。

自分が経験したり、きちんと理解した文化的な視点からしか作曲はしない。そうすることで文化を無作為にごちゃまぜにしないでいられるんだ。ある一定のレベルまでマスターしていないスタイルを手あたり次第に組み合わせる、なんてことは絶対にしない。

ほぼフィドルの爪弾きのみで綴る “ジュバ” や “ジャスト” など、ドラムレスのアコースティックな小曲があります。個人的にはキャレクシコなどのポスト・ロックを思い出したのですが、スタジオで即興的に作った曲ですか?

DD:その曲を気に入ってもらえてうれしいよ。自分で作った「Square Fiddle」という楽器を演奏しているんだ。お気に入りの楽器のひとつ。その楽器の写真を送るね。


Diggs Duke's Square Fiddle

 実はその楽曲はどちらも即興ではないんだ。各パートを何か月も実験して、練習して考えたんだよ。ソロ・パート以外は、このプロジェクトは基本的に自然発生的に作曲されたというよりはすべて事前にしっかりと作曲されているよ。

作曲についてはどのようにおこなっていますか? タイプとして即興的に楽器演奏をおこなうなかででき上がるラフなスケッチ曲と、きちんと各楽器パートを綿密に計算して多重録音をおこなっていくもののふたつがあるようですが。

DD:作曲をするときはいつも新しい作曲方法を使っているんだ。時々は似たような方法で終わるときもあるけど。だから作曲の方法がそのふたつにカテゴライズされるっていうわけではないね。僕は一日中作曲をしているから、自分の気分や、そのときいる環境がどうやって作業が終わるかに左右される。作曲方法が無限にあるから、僕にとってはコンスタントに創作活動をして、新しい音楽をリリースし続けるほうが性に合っているんだ。

楽器のチョイスはどのようにおこなっていますか? シンセのようなエレクトリックな楽器はあまり用いず、アコースティック・ピアノ、アコースティック・ギター、マンドリン、フィドル、クラリネットやオーボエなどの木管楽器によって、温もりのあるサウンドを作り出すのがあなたの作品の特徴でもあるように思いますが。

DD:MIDIでプログラミングをする以外、エレクトリックな楽器はあまり有用性があるとは思えない。作曲をするのをとても簡単にしてくれるから、MIDIでシンセサイザーのサウンドとリズム・シークエンスをプログラミングするのは大好きなんだけどね。だけどアコースティックの楽器がいとも簡単にヴァリエーションのあるサウンドを出してくれるのがとにかく好きなんだよ。

“ビターズ・フォー・ビターズ” はジャズと現代音楽の要素に加え、レイ・クラダップが演奏するトーキング・ドラムによってアフリカ音楽の要素も入ってくるという非常にユニークな曲です。この曲に見られるように、あなたの作品はいろいろな音楽的要素がありながらも、そのどれかに限定されない個性や新しさを持っていると思います。どのようにして融合の中から新しいものの創造を行っているのでしょうか?

DD:自分の音楽の印象を人から聞くのがとても好きだから、君の感想も聞けて嬉しいよ。僕は自分が経験したり、きちんと理解した文化的な視点からしか作曲はしない。そうすることで文化を無作為にごちゃまぜにしないでいられるんだ。ある一定のレベルまでマスターしていないスタイルを手あたり次第に組み合わせる、なんてことは絶対にしないようにしている。

ムビラを用いた “シーズンズ” もアフリカ音楽の要素が入った曲ですが、楽器アンサンブルは現代音楽的でもあり、非常に洗練された和声のアンサンブルもあります。あなたにとってこうした民族音楽的なモチーフはどこからやってくるのでしょうか?

DD:僕は自分のなかに既に取り込んである物事からしか影響は受けないんだ。そうでなくちゃ自分のことを盗用者や偽者としか思えなくなってしまう。経験のある作曲者は引用元となるたくさんの経験を持っている。創作や学習の過程を通して、その経験から得た視点を表現する楽曲を作るんだ。

“ハート・スマイル” は今回のアルバムの中では比較的ソウルやR&B寄りですが、それでもメインストリームの一般的なR&Bとは一線を画するものです。私個人としてはモッキーやムーン・チャイルドなどに通じるところを感じたのですが、現在の同世代のアーティストで共感を覚えるような人、影響を受けたり与えたりするような人はいますか?

DD:ボルチモア出身のマルチ・インストゥルメンタリストであり、教育者、アーティストでもある Jamal R. Moore からはここ数年自分の成長に大きな影響を受けているよ。サンフランシスコから東部へ初めて引っ越したときに彼がボルチモアの音楽シーンを紹介してくれたんだ。そこに住んでいた2年間はそのシーンにいるのがとても楽しかった。彼は時々僕にとって良き師でもある。彼は昨年『サームズ・オブ・ボルチモア』という素晴らしいアルバムをリリースしたんだ。トレイ・クラダップは彼のバンドのオーガニックス・トリオの一員でもあって、そのアルバムにも参加しているよ。僕たちはかなり近い距離で働いているんだよね。
 あと、ここハリスバーグに年上なんだけどサラディンという紳士がいる。クリエイティヴ面で大きく影響を受けているな。素晴らしい男なんだ。自分が年をとったらああいう男になるような気がしているよ。僕たちは毎週ここハリスバーグにある川で会っているんだ。彼はフルートを吹くから、一緒に練習したり話したりしている。そんな具合に自分のいるコミュニティの人たちからも影響を受けている。僕の家からすぐ近くに住んでいるジャニスという名前の女性がいるんだけど、彼女はいつも僕に音楽を続けるよう励ましてくれる。そして彼女はいつも近くにいる人たちのことも励ましてくれるんだ。その場にいるだけで音楽的で、クリエイティヴなエナジーをくれるような人っているんだよ。

現在はコロナの影響でさまざまな音楽活動も制限される状況にあります。そうしたなかで、あなたのようにひとりで完結してしまうことが多い制作スタイルは、この状況にはとてもフィットするやり方でもあるなと感じます。実際、現在はどのようにして制作活動、演奏活動などをおこなっていますか?

DD:僕はつねに新しい制作方法を考えているから、いまの世界の状況も含めて自分の前に提示されるいかなる状況にも順応することができる。君が言ってくれた僕のスタイルがいま音楽をリリースするやり方としてフィットしているという点は合っていると思うよ。自分で何でもできるから、自分のなかの規律みたいなものを世界に合わせることがより容易なんだ。

『ジャスト・ワット』を聴く人へのメッセージをお願いします。また、今後の活動やチャレンジしたいことなどがあればお願いします。

DD:僕はとてもドラマチックな人間で、つねに劇的に変化しているんだ。『ジャスト・ワット』を聴いてくれる人には僕が音楽を通して経験する変化を楽しんでほしいな。すべてのことは必ず変わっていくからね。

Cuushe - ele-king

 Cuusheがついにソロ・アルバムを完成させた。タイトルは『WAKEN』、「めざめる」という意味に相応しく、いままでにないリズミックな躍動に満ちている。ジェシー・ランザやマリー・ダヴィッドソンらともリンクしている。ちょっと意外なことに、クラブよりのサウンドを試みているのだが、しかし彼女らしい綺麗なメロディは健在。
 発売は11月20日、flauレーベルより。これは楽しみですね。
 
WAKEN (teaser)

Hold Half

 アートワークはCuushe「Airy Me」のMVで文化庁メディア芸術祭アニメーション部門新人賞を受賞し、その後も映画、漫画と様々なメディアで活躍する久野遥子による書き下ろし。


Cuushe
WAKEN

flau
2020年11月20日, CD/LP/DIGITAL

1.Hold Half
2.Magic
3.Emergence
4.Not to Blame
5.Nobody
6.Drip
7.Beautiful
8.Spread

https://flau.jp/releases/waken/
■ 視聴/予約:
https://smarturl.it/Cuushe-WAKEN/

Cuushe
ゆらめきの中に溶けていくピアノとギター、 空気の中に浮遊する歪んだシンセサイザー、拙くも存在感ある歌声が支持を集める京都出身のアーティスト。Julia HolterやTeen Daze、Blackbird Blackbirdらがリミキサーとして参加したEP「Girl you know that I am here but the dream」で注目を集め、デビュー作収録の「Airy Me」のMVがインターネット上で大きな話題となる中、全編ベルリンでレコーディングされた2ndアルバム 『Butterfly Case』を発表。独創的な歌世界が絶賛され、海外の主要音楽メディア/ブログで軒並み高評価を獲得。近年はアメリカTBSのTVドラマ「Seach Party」、山下敦弘 x 久野遥子による「東アジア文化都市2019豊島」PVへの音楽提供や、イギリスのロックバンドPlaceboのStefan OlsdalとDigital 21のデュオ作や、Iglooghost (Brainfeedder)、Populous、Skalpel(Ninja Tune)の片割れMeeting By Chanceらの作品にボーカル参加。長らく自身の音楽活動からは遠ざかっていたが、今年新たなプロジェクトFEMと共に再始動。

Shintaro Sakamoto - ele-king

 坂本慎太郎が非常事態宣言以降に書き下ろした4曲がリリースされる。2019年の「小舟(Boat)」以来となる新曲は、7インチ・シングルとして2枚に分けて発売。
 第一弾となる「好きっていう気持ち」は11月11日、第二弾「 ツバメの季節に」は12月2日、ともにzelone recordsからのリリースです。
 なお、今回のアートワークには、坂本慎太郎によるイラストレーションを活版印刷で刷ったジャケットサイズのカードが封入される。


第1弾: 2020年11月11日(水)

好きっていう気持ち / 坂本慎太郎
Side A 好きっていう気持ち (The Feeling Of Love)
Side B おぼろげナイトクラブ (Obscure Nightclub)

Written & Produced by 坂本慎太郎 
Recorded, Mixed & Mastered by 中村宗一郎 @ Peace Music, Tokyo Japan 2020

Vocals, Electric Guitar, Lap Steel, Keyboard & Vocoder: 坂本慎太郎 
Bass & Chorus: AYA
Drums, Percussion & Chorus: 菅沼雄太 
Flute: 西内徹 

●品番: zel-023
●Format: 7inch: 特別価格: ¥1,300+税 (7inch Vinyl) 特別カード(活版印刷)封入 distributed by JET SET


第2弾: 2020年12月2日(水)

ツバメの季節に / 坂本慎太郎

Side A ツバメの季節に (By Swallow Season)
Side B 歴史をいじらないで (Don't Tinker With History)

Written & Produced by 坂本慎太郎 
Recorded, Mixed & Mastered by 中村宗一郎 @ Peace Music, Tokyo Japan 2020

Vocals, Electric & Lap Steel Guitar: 坂本慎太郎 
Bass: AYA
Drums & Percussion: 菅沼雄太 
Soprano Saxophone: 西内徹 

●品番: zel-024
●Format: 7inch: 特別価格: ¥1,300+税 (7inch Vinyl) 特別カード(活版印刷)封入 distributed by JET SET

Jun Togawa - ele-king

戸山小学校 校歌(ニューアレンジ)


  ライヴでお休みしていた戸川純のユーチューブが再開です。第九回も、睡眠、服、バンドのメンバー探し、ぜんぜん関係ない話と、多岐に渡る話題を目を大きく開けての放送です。悪ノリしています。番組の途中で「変◯!」します。特撮撮影を駆使しています(大槻ケンヂの評価やいかに)。相変わらずキャップは斜めかぶりです。エンディング’の歌もだんだんアレンジが悪ノリになってきました…… 次回で「シーズン1」は最終回。「シーズン2」は12月からスタート予定です。


戸川純の人生相談 令和弐年 第九回

戸川純の人生相談 令和弐年 第八回

戸川純の人生相談 令和弐年 第七回

戸川純の人生相談 令和弐年 第六回

こいのぼり

夏は来ぬ

たなばたさま

ZOMBIE-CHANG - ele-king

 もちろん終電前の話だ。ぜんぜんひとがいない。ちらほらとなにか炭火のようなものはくすぶっているにもかかわらず、その熱をすくいとる主体がいないのである。4月7日にはじまり5月25日までつづいたあの奇妙な空間は、当然ある種の不穏さもはらんでいたわけだが、誤解を恐れずに言えばとにかく、ただただ美しかった。
 わかりやすいビジネス活動の多くが停滞し、しかし広告だけは煌々と光を放ちつづけ、ふだんなら人混みに埋もれて視界に映し出されることのない数百メートル先のアスファルトを照らし出している。あんな渋谷の、あんな東京の光景を目撃することはおそらく、もう二度とないだろう。ずっとここにいたいと、そう思わせさえする強度を持った風景が、たしかにあの時間、あの空間には広がっていた。

 2010年代初頭~前半、yukinoiseさんから聞いた話によれば、男に媚びない原宿系ファッション雑誌のブームが終焉に向かい、インスタが流行しはじめたころに登場してきた(元)モデル/シンガーソングライターのゾンビーチャングことヤン・メイリンは、当時わんさかいたモデル兼DJのようなひとたちのなかで頭ひとつ抜けた印象だったという。ルーツがパンクにあるからだろうか、たしかに彼女の表現からは、「頭よすぎてバカみたい」(“なんかムカツク”)のように、ふつうなら見落としてしまいそうなことに気づける感度の高さがうかがえる。
 ファースト(2016)とセカンド(2017)で独自のインディ電子ポップ路線を確立、サード・アルバム(2018)でバンド・スタイルに挑戦した彼女は、4枚目となる本作『TAKE ME AWAY FROM TOKYO』で心機一転、大いにクラブ・ミュージックの要素をとりいれている。

 まずは非常事態宣言発令にともない公開された冒頭 “STAY HOME” を再生してみてほしい。「トイレットペイパーどこ?」と笑いを誘う、しかし現実的にはまったく笑えないフレーズが、ぶりぶりのベースラインのうえを転がっていく。海外とは異なり、日本からはなかなかパンデミックを踏まえた表現が出てこなかったが、それをやるのがゾンビーチャング、というわけだ。
 先行シングル曲 “GOLD TRANCE” によくあらわれているように、303と808の音色がこのアルバムの方向性を決定づけている。なかでも目覚まし時計の脅威がユーモラスに歌われる “SNOOZE” のエレクトロは際立っていて、もっとこのラインを攻めればいいのにとも思うが、ほかにもコーヒーとタバコのリラックス効果に着目した “CAFFEINE & NICOTINE” やフランス語で「知らん」「わからん」と繰り返される “JE NE SAIS PAS”、シューティング・ゲームから着想を得たという “RESPAWN” など、ダンス・ミュージックから影響を受けたトラックが数多く並んでいる。

 きわめつきは “TAKE ME AWAY FROM TOKYO” だろう。レイヴィなシンセが疾走するこの表題曲は、ひとまずは都会生活のなかにふと訪れるさびしさを描いているんだろうけど、他方で二人称の「あなた」は未知のウイルスやいいかげんな政体を指しているようにも聞こえる。「諦める時間はないさ/駆け抜ける時間もないから/どこにいてもおなじならば/考えてもしかたないさ」。ゆえに、東京から連れ出してほしい、と。つまりそれは逆に、そうやすやすとはこの状況から抜け出せないことを物語ってもいる。翻弄された東京の虚無?
 この曲の放つ情感は、あの日のスクランブル交差点に似ている。無数のネオンが照らし出していたのは、一部の人びとの意識にくすぶるこのアンビヴァレントな「連れ出してくれ」の怨霊でもあっただろう。ゾンビーチャングはその怨霊たちにいま、声を与えようとしているのかもしれない。すべてではないにせよ、2020年の東京のリアルのひとつがたしかに、ここには描き出されている。

関西酒場のろのろ日記 - ele-king

大阪、京都、そして神戸と飲み歩き、関西の酒文化と出会う

処女作『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』が5刷りの大ヒットで大いに注目されているライターのスズキナオが、関西の文化と酒を通してゆっくりと出会っていく様を綴った滋味あふれるエッセイ集。関西のディープな酒場ガイドとしてもたのしめる一冊です。

目次

まえがき

第一章 大阪の酒場
 大阪に引っ越してきた自分を迎え入れてくれた酒──大阪市北区中津「大阪はなび」「大衆酒場いこい」
 まだまだ知らない大阪があると思わせてくれる酒──大阪府大東市「リカーショップおおひがし」、大阪府東大阪市「食笑」
 東京から来た友達を迎えて朝から飲む酒──大阪市北区・天満「但馬屋」
 道路脇で分厚いマグロを食べながら飲む酒──大阪市都島区・京橋「とよ」
 東京でしか飲めないと思っていた酒──大阪市中央区・淀屋橋「江戸幸」
 あべのハルカスのふもとで体温を感じながら飲む酒──大阪市天王寺区・天王寺「種よし」「半田屋 アベノ地下センター店」

大阪酒日記その1──天満~中津~新今宮~中津~京都~西九条~立花

第二章 大阪の酒場 その2
 欲望のエネルギーを感じる酒──大阪ビル酒めぐり「大阪駅前ビル」「上本町ハイハイタウン」「船場センタービル」
 いつも少し緊張する西成あたりの酒──萩ノ茶屋「難波屋」
 大阪駅に一番近い “街” で飲む酒──梅田・「新梅田食道街」
 今まで入れなかった店に入って飲んだ酒──三人で力を合わせる「三本の矢」飲み会
 観光気分で難波のたこ焼きを食べ歩いて飲む酒──大阪市中央区・難波たこ焼き食べ歩き飲み
 気ままな「ガシ」の空気を感じて飲む酒──堺市堺区・「溝畑酒店」「平野屋精肉店」

大阪酒日記 その2──十三~大阪城公園~心斎橋~神戸~中津~大正~南田辺~京橋~新神戸~我孫子~京都

第三章 京都と神戸の酒場
 時間の流れと一体化する酒──嵐山「琴ヶ瀬茶屋」
 急こう配を登った先で飲む酒──神戸山茶屋めぐり「布引雄滝茶屋」「滝の茶屋」「旗振茶屋」「燈籠茶屋」
 生活感まる出しの京都を味わって飲む酒──京都駅周辺角打ちめぐり
 歩いているだけで嬉しくなる町の酒──新開地ハシゴ酒

大阪酒日記その3──新神戸~京都~日本橋~新今宮~新開地~中津~西中島南方~新今宮~京都~梅田~京都~十三~今宮戎

第四章 酒場以外で飲む酒
 どんなにお金がなくてもここなら飲める酒──大阪市北区・梅田「風の広場」
 大阪で生きていることを実感させてくれた酒──大阪市此花区西九条周辺「玉や」「金生」
 不安な日々の中で深呼吸をしながら飲んだ酒──大阪市都島区「大川の川辺」

大阪酒日記その4──新今宮~京都~梅田~京都~十三~今宮戎

あとがき対談(スズキナオ+パリッコ)

著者
1979年東京生まれ、大阪在住のフリーライター。WEBサイト『デイリーポータルZ』『QJWeb』『よみタイ』などを中心に執筆中。テクノバンド「チミドロ」のメンバーで、大阪・西九条のミニコミ書店「シカク」の広報担当も務める。著書に『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』(スタンド・ブックス)『酒ともやしと横になる私』(シカク出版)、パリッコとの共著に『椅子さえあればどこでも酒場 チェアリング入門』(ele-king books)、『“よむ” お酒』(イースト・プレス)がある。

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晩酌わくわく! アイデアレシピ - ele-king

「若手飲酒シーンの旗手」が厳選、日々の晩酌をちょっと楽しくする面白レシピの数々!

ウェブメディアをはじめ、雑誌にテレビにと引っ張りだこ酒ライターが、長年にわたり探求してきたレシピから特に反響のあったもの、オススメできるものを集めた一冊。遊び心あふれる実験レシピに10分で作れる簡単おつまみ、自宅での定番メニューからオススメの調味料紹介まで、気軽に真似したくなるおもしろレシピを一挙紹介!

目次

まえがき
パリッコの定番レシピ
酒蒸し法
しょっパフェ
実験レシピ
調理器具を楽しむ
フィーリングカレー
枯れごはん
とっておきごはん
オリジナルドリンク
愛しの調味料たち
あとがき対談(パリッコ+スズキナオ)


著者
1978年東京生まれ。酒場ライター、漫画家/イラストレーター、DJ/トラックメイカー、他。酒好きが高じ、2000年代後半よりお酒と酒場に関する記事の執筆を始める。著書に『晩酌わくわく! アイデアレシピ』(ele-king books)『天国酒場』(柏書房)『つつまし酒 懐と心にやさしい46の飲み方』(光文社新書)『ほろ酔い!物産館ツアーズ』(ヤングキングコミックス)『酒場っ子』(スタンド・ブックス)『晩酌百景 11人の個性派たちが語った酒とつまみと人生』(シンコーミュージック・エンタテイメント)、スズキナオ氏との共著に『のみタイム』(スタンド・ブックス)『“よむ”お酒』(イースト・プレス)『椅子さえあればどこでも酒場 チェアリング入門』(ele-king books)『酒の穴』(シカク出版)。

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RMR - ele-king

 トラップで飽和しつつあるUSのヒップホップ・シーンに彗星の如く現れたアノニマス・ラッパー RMR の正体を知る者は、いまだ誰ひとりとしていない。名を Rumor (発音:ルーモア)と読む彼がデビューしたのは今年のはじめ、2020年2月に遡る。それから半年ほど過ぎたいまも、アトランタ出身、現在はロサンゼルスを拠点に活動するおおよそ23~24歳くらいの青年といった基本的なプロフィールしか明かされておらず、素顔やバックグラウンドはすべて金色の刺繍が施された黒いスキーマスクの下に覆い隠されたまま。昨今の世界的なパンデミックの影響で、ライヴ等のリアルなパフォーマンス経験もほとんどしたことがない新人ラッパーがリリースしたEP「DRUG DEALING IS A LOST ART」は、自身が決してただ者のアノニマスではないという揺るぎない真実をしかと見せつけた作品である。

 謎多き RMR について語りえる唯一のことは、彼は甘く優しい歌声の持ち主だということ。本作のラストを飾る7曲目 “Rascal” は、カントリーバンド・Rascal Flatts の名曲 “Bless The Broken Road” のメロディーラインを奏でるピアノと共に、その見事な歌唱力を初披露した記念すべきデビュー・シングルである。ゴリゴリのギャングスタそのものでしかない見た目とは裏腹の甘い歌声が描くリリックはというと、「F**k 12, F**k 12, F**k 12……」と薬物取引にかけつけた警察官や麻薬捜査官を意味するスラングが繰り返されるいたってハスリンな内容。ここまでくると、一見強烈な第一印象とはちぐはぐの楽曲かと思いきや、裏の裏は表であるように、実は最初に抱いたイメージこそが正しかったのかとも思えてくる。目と耳が混乱してしまいそうな演出がなされた同作のMVも迫力満点で、噂という意味のワードを冠したその名の通りバイラル・ヒットしたのも納得の仕上がりだ。

 昨年のUSヒップホップ・シーンにて、同じくバイラル・ヒットしたカントリー・トラップ作品 Lil Nas X “Old Town Road” 以降の波を感じさせるスタイルで、抜群の歌唱力とリリシストとしての実力を発揮した本作には、Westside Gunn や Migos の Future、Lil baby、Young thug といった、現在のヒップホップ・シーンを語るには欠かせないアーティストがゲスト参加。1st EP にもかかわらず大物ラッパーたちが出揃ったことで、RMR という人物はアンダーグラウンドのいち若手ではなく、シーンではかなりやり手のゴリゴリな業界人、もしくは誰かのプロジェクトなのでは? なんて考えがふと頭をよぎる。憶測が憶測を呼ぶかのような本作の見どころならぬ聴きどころは、作品中盤に位置するソロ曲の5曲目 “SILENCE” だ。酩酊状態特有のぬるりとしたハイがじわじわと伝わってくるリリックに、浮遊感漂う壮大でありながらもどこか心地の良いトラック、そして本作全体に響き渡るかのような美しい歌声が重なったこの楽曲は、ドラッグやフレキシンでハスリンなネタを含むいわゆるトラップらしい楽曲が並ぶ中で、群を抜いて際立っている。

 「目ではなく、耳で音楽を聴いて欲しい」と、アノニマスとして活動する理由を明かす RMR の匿名性は、多少業界臭さはあれど本作でさらに度を増し、覆面の下に潜む実力と信念をたしかに裏付けた。だが、作品全体を通し描かれているのは、前述のようにトラップ・ミュージックあるあるな要素が点在する普遍的なストーリーと主張のみで、彼を知る手がかりや糸口はどこを探しても一切見当たらない。そのせいか、はたまた際どいタイトルのせいか海外では軒並み低評価を喰らっている。正直なところ、自分も多少拍子抜けした節はあるし、トラップは好きでもシーンに蔓延するドラッグ・カルチャーや、ましてや薬物取引に対して肯定的ではない。それでもなぜか惹かれてしまうのは、あえて素性を隠しつつありふれたこと(ヒップホップ、トラップの中では)をしっかりと確立したスタイルで表現し、ストレートでありながらも聴きこむごとに様々な解釈もできるといった、耳で音楽を聴かせる力が作用しているからであろうか。やはりは RMR はただ者ではなさそうだが、はたして彼は一体何者なのか?
 そしてこれからどのような作品を生み出していくのだろうか、いつの日か正体を現すのだろうか。今後も彼の活動からは目と耳が離せない。

政治で音楽を救う(音楽で政治を救う?) - ele-king

「音楽はただの音楽だ。政治を持ち込むな」
 Ele-kingのようなメディアの読者であれば、すでにこの声明には反対している可能性が高いだろう。
 2020年という惨憺たる年が、世界中の人びとの人生をこれまでにないほど揺るがし続けるいま、この考えをさらに推し進め、問いかけてみる価値がある──「そもそも音楽は、政治的でなくても妥当性があるのか?」と。

 第一に、“政治的”が何を意味するのかを少し考えてみる必要がある。政治はしばしば、“問題(イシュー)”や“アクティヴィズム(行動主義)”の同義語として(たいがい否定的な意味合いで)、政府や社会の問題に直接の関与を示唆する言葉として理解される。例えば、ビリー・ブラッグ、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンやラン・ザ・ジュエルズなどの一部の音楽は、たしかにその意味では政治的である。しかし音楽は、人間の生活や経験──人間関係、日々の葛藤、仕事、友人、家族との関係などについて語っている時点ですでに政治的であり、これらのすべてのことが労働時間、ジェンダー的な役割、給与などへの目に見えない政治判断という形で影響を受けているのだ。メインストリームか、アンダーグラウンドであるかの違いは、単純に文化の支配的な美学や価値観によってどの場所を占めているかということで、政治的なのである。人が何かを政治的なものにしたくないと言う場合の本当の意味は、単に政治的な関わり合いについて、深く考えたくないということだ。

 しかし多くの人は、政治が生活におよぼす影響について考えている。身の周りで目にする恥知らずな正義の欠如と、不正を実行した権力者たちが招いた重大な結果に、責任を負わないことに激怒している。この春、安倍首相が法制度を自分の身内で固めようとしたことで噴出した激しい怒りと、シンガーのきゃりーぱみゅぱみゅがこの問題をめぐりツイッターで安倍首相を批判した投稿を、あっという間に削除するよう追い込まれたスピード感は興味深いものだった。これは、国全体の関心を引く政治的に大きな意味合いを持つ問題だったが、エンタメ業界は制度的にこのような感情に反応することができなった。

 COVID-19の危機により、政治は我々の方に押し出され、目の前に突き付けられた。コンビニに徒歩で行くこと、行き交う歩行者たちのマスクの使用状況をチェックすること、歩道を通る際にスペースを確保すべくうまく通り抜ける術、我々の愛する音楽をサポートするため、ライヴ会場に出かけていくかどうかの判断などはすべて、我々の生活への政治の介入なのだ。この危機はまた、世界中の不平等や不正をあぶり出し、パンデミックにより人種的マイノリティが立場の弱いサービス業を不均衡に押し付けられた影響から、Black Lives Matter運動への重要な筋道をつけた。

 音楽そのものから、またはアーティストのオフィシャルな声明を通じて、その感情と関わりを持つということは、音楽の役割の一部だと思う。それは社会として我々がどう考え、感じるかということで、個人としてのみならず集団としての自分を見る鏡であり──我々が独りではないということを教えてくれる。メインストリーム(主流派)が無能であると、その役割はインディーズやオルタナティヴ・シーンが担うことになる(そうでなければ、彼らはいったい何から独立したのか?何の代わりなのか?)。

 UKチャートで成功を収めたストームジーやスリーフォード・モッズのようなインディーズ・バンドの破壊的な台頭は、人びとの日常生活における政治と結びついた時の音楽のパワーを示している。

 Black Lives Matterのようなものは、アメリカの問題であって、日本の問題ではないように見えるかもしれない。これには議論の余地はあるが、仮にそうだとしても、それが社会に提起する、人種、民族、ジェンダー、セクシュアリティや社会的背景などによって、どのように人を受け入れるか除外するかという問題はここにも存在し、解決していくべきことだ。大きな問題であれ、個人的な相互関係であれ、我々が特に考えもせずに踏襲する社会的慣習こそ、芸術による探究を必要としている最たるものだ。音楽には、これらの問題について考える社会的責任があるばかりでなく、音楽は表面的にどうであれ、“あるべき姿”を当たり前に思わないことで、より豊かにはなっても、陳腐にはなりにくいものなのだ。

 芸術と政治の関係性は、別の意味でも重要だ。ラディカルな思想やオルタナティヴ・カルチャーの創造性と未来へのヴィジョンを伝える能力を制限するような制度の壁が、数多く存在する。単純にメディア側の風景も、それらの独立した声が挑戦しようとするのと同じ方向で利益を得て、成長を遂げてきたからだ。個人である彼らのパワーは、コンサート、集会、ソーシャル・イベント(社交的な催し)や会合などで集まって、声を上げる能力にある。しかしCOVID-19は、その能力を破壊する。中国は香港でのロックダウンを利用して、抗議活動に野蛮な一撃を加え、ドナルド・トランプは、来るアメリカの大統領選で、人びとが安全に投票できる方法を制限するよう、公然と郵政サービスを利用している。

 賭け金(リスク)は低く、はるかに暴力的ではないが、オルタナティヴ・ミュージックのカルチャーも、それなりに、これらの力の影響を受けている。今回のパンデミックは、文化を生き永らえさせるための、人びとが集うこと、口コミのネットワークや物理的なミーティング・スポット(集合場所)をも奪ってしまった。ただでさえ、メディアの所有権の問題、タレントの事務所の影響力、Spotifyのアルゴリズムなどで、幅広い議論や言説からは除外されているにも関わらずだ。パンデミックによってもたらされた制約のなかで、どのように組織化し、情報発信し、声を大きくしていくかということは、芸術および政治の分野の、相互的な緊急課題であるべきだ。

 もっとも個人的なレベルでは、根底に政治的な意識があるだけで、ラヴソングのようなパーソナルなものさえも豊にし、ありふれたものとしてではなく、リスナーにフレッシュな方法で感動を届ける一助になる。より広い社会的なレベルでは、アーティストが日常生活における政治的な問題に直接取り組む自由を感じている場合、音楽は人びとがすでに抱える不安や怒り、懸念などと結びつき、未来へのより楽観的な可能性を明確に表現することができる。純粋に現実的なレベルでは、政治活動と創造的なカルチャーは同じ障害の多くに直面しており、それらを乗り越えるためのツールの構築などで、お互いに助け合えるはずなのだ。その意味では、「音楽は政治的でなくても、妥当性を維持できるのか?」という問いかけでは不十分なのかもしれない。むしろいま、私たちが問うべきは、「音楽は政治的でなくても、存在できるのか?」ということなのではないだろうか。


Saving Music with Politics (Saving Politics with Music?)

by Ian F. Martin

“Music is just music. Leave politics out of it.”

If you’re reading a magazine like Ele-king, there’s a strong chance you already disagree with this statement. But as this disastrous year of 2020 continues shaking up lives around the world in ever more ways, it’s perhaps worth pushing this idea further and asking, “Is music even relevant if it’s not political?”

Firstly, we should think a little about what we mean by “political”. Politics is often understood as synonymous with “issues” and “activism”, words that suggest (often with negative connotations) some direct engagement with matters of government and society. And some music, whether Billy Bragg, Rage Against the Machine or Run the Jewels, is certainly political in that sense. But music is also already political in the sense that it talks about human lives and experiences — relationships between people, their daily struggles, navigating work, friends, family: all these things are invisibly influenced by political decisions that affect working hours, gender roles, salaries. The fact of being mainstream or underground is political simply by virtue of occupying one place or another in relation to culture’s dominant aesthetics and values. When people say they don't want something to be political, what they usually mean is simply that they don’t want to think about its political implications.

But many people do think about how politics touches their lives. They are enraged by the shameless lack of justice they see around them and the total lack of consequences for the powerful purveyors of those injustices. The flood of anger that erupted this spring at Prime Minister Abe’s attempts to stack the legal system with his allies was interesting, as was the speed at which the singer Kyary Pamyu Pamyu was pushed to erase her Twitter criticism of Abe over the issue. This was a specific issue with big political implications, attracting wide engagement across Japan, but the entertainment industry is institutionally incapable of reflecting those sorts of feelings.

The COVID-19 crisis has pushed politics right up to our front doors and pressed it against our faces. The act of walking to a convenience store, the assessments we make over fellow pedestrians’ mask usage, the negotiations we make over space as we pass on the sidewalk, the decision over whether to go out to a venue and support the music we love — that’s all politics intervening in our lives. The crisis has also accentuated inequalities and injustices around the world, with an important thread of the Black Lives Matter narrative coming from the pandemic’s disproportionate affect on racial minorities and the inequalities that push them into vulnerable service jobs.

Whether through the music itself or an artist’s public statements, engaging with those feelings is part of music’s role though. It is part of the landscape of how we think and feel as a society; it’s a mirror that lets us see not just ourselves individually but also collectively — it shows us that we aren’t alone. And when the mainstream is incapable, that role falls to the independent or alternative scenes (because if not, what are they even independent from, an alternative to?) The UK chart success of acts like Stormzy and the subversive rise of indie bands like Sleaford Mods shows the power music can carry when it connects to the politics of people’s daily lives.

Something like Black Lives Matter may seem like an American problem and not really a Japanese issue. This is debatable, but even if we take it as true, the issues it raises about society and how we include or exclude people based on their race, ethnicity, gender, sexuality or social background exist here and deserve to be untangled. Whether in big issues or personal interactions, the social conventions we follow without thinking about are the ones most in need of exploration by the arts. It’s not just that music has a social responsibility to consider these matters: it’s that music, regardless of what it’s about on the surface, can be richer and less prone to cliché, when it doesn’t take “the way things are” for granted.

The relationship between the arts and politics is important in another way too. There are numerous institutional barriers that limit radical thought and alternative culture’s ability to communicate their creativity or visions for the future simply because media landscapes have grown up around the same interests that those independent voices seek to challenge. Their power instead lies in the ability to gather together and amplify their voice — whether in concerts, meetings, social events or rallies — but COVID-19 disrupts that ability. China took advantage of the lockdown in Hong Kong to strike a savage blow against the protest movement there, while Donald Trump is openly using the postal service to restrict people’s ability to vote safely in the upcoming US election.

While the stakes are lower and far less violent, alternative music culture too, in its own way, is affected by these forces. The pandemic has closed down people’s ability to gather, the word of mouth networks and physical meeting spots that keep the culture alive when it is already locked out of wider discourse by media ownership, talent agency influence, Spotify algorithms. The matter of how to organise, disseminate information and amplify voices under the restrictions brought on by the pandemic should be a matter of mutual urgency to both artistic and political spheres.

On the most intimate level, an underlying political awareness can enrich something as personal as a love song, helping it slip free of clichés and touch listeners in fresh ways. On a broader social level, artists feeling a greater freedom to directly address the politics of our daily lives can help music connect to the anxieties, anger and concerns people already have, as well as help articulate more optimistic possibilities for the future. On a purely practical level, political activism and creative culture face many of the same obstacles and could could well look to each other for help building the tools to help overcome them. In that sense, perhaps asking if music can retain its relevance without politics is not strong enough. Perhaps instead, we now need to be asking, “Can music even exist if it is not political?”

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