「UR」と一致するもの

Sylvester Anfang II - ele-king

 やはりホフマン先生の代物はいざという時のために取って置くべきだった。
シルヴェスター・アンファング II(Sylvester Anfang II)が2枚連続でリリースを続けたために僕は後悔した。
 自身をフューネラル・フォークと形容し、前身シルヴェスター・アンファングとして活動を開始した彼らはフレミッシュ帝国時代のアイコンとKKKのマスク、60'sホラー・ポルノをグシャグシャにしたような(野田編集長いわくエコエコアザラクのような)ドローン・ジャムを演奏してきた。いつの間にやらシルヴェスター・アンファング IIとアモン・デュール II以外連想させない改名を機に、現在のようなクラウト・ジャム・バンドへと変貌していたのだが。
 ベア・ボーン・レイ・ロウ(Bear Bones Lay Low)、イグナッツ(Ignatz)、キス・ジ・アヌス・オブ・ブラック・キャッと( Kiss the Anus of Black Cat)とともにベルギーのゲントを中心とするアーティストをフォーカスした自主制作ドキュメンタリー映画『Drone Volk』はN、HK的な作りながらも小さなコミュニティの素のミュージシャンたちを映していて、なかなかおもしろかった。劇中、中心メンバーのヘルヴェート(Hellvete)ことグレンが「すべては楽しむためにあるんだ」と言った言葉からも伺い知れるが、彼らのすべてのタブーも笑い飛ばすフリー・ジャム・コミュニティーというヒッピーの夢のような姿勢は、結成当初から現代まで一貫している。彼らの近年のヨーロッパのアンダーグラウンドにおける活躍のひとつの到達点とも言える期間限定スタジオテイク・シリーズである〈Latitude〉からのリリースは、そうそうたるメンツと比べてもまったく聴き劣りしない。

 そもそもベルギーやオランダはいったい何なんだろう。クラーク(Kraak)やウルトラ・エクゼマ(Ultra Eczema)などを中心とするエクスペリメンタルやノイズ・ミュージックといったアンダーグラウンド文化が市民権を得ているかと思わせる。近年の日本において良質なジャム・バンドが生まれてこない要因のひとつとして、規格化されたレディメイドの都市機構のなかでのバンド活動があげられるが、ヨーロッパにおけるスクワット文化はまだまだこれから僕らの国で形成されても不思議ではないだろう。地震も恐いし、そういった新たなムーヴメントが生まれることを切に望むよとボング片手にグチりながら聴いたこのレコード。
 5つの摩訶不思議ジャムは心の師であるリアリー先生の言葉とともにすべての快楽主義者に捧げられるだろう。Turn on, Tune in, Drop out.

Various Artists - ele-king

 今日の日本のDJカルチャーがたまに気の毒に思えるのは、大バコ中バコの多さと外国人DJの来日が多すぎるってところだ。それに準じてクラバー人口やDJの数が増加しているなら、産業的には成長していると言える。ただ、外国人DJの影に若い日本人DJの存在が霞んでしまっているきらいもあるし、円高の影響もあるのだろうが、毎週末のラインナップのあまりの豪華さに、バランスは取れているのだろうかとたまに心配になる。
 その点、僕らの時代は恵まれていた。小バコ中心だったからリスクも少なく、シーンの行方は日本人のDJとオーディエンスにかかっていた。入場料も安かったし、年功序列もなかったし、わりと簡単にシーンの人たちと知り合いになれた。自由競争が激化する前だったので、経済的にはしょぼかったけれど、DIYだったし、仲間意識が強かったし、精神的にはまあ、とにかくお気楽だったわけだ。
 外国人DJにはたしかに腕の良い連中がいる。新しいトレンドもほぼ海を渡ってやって来る。が、誇るべきシーンが自分たちになければ、そのいち部であることに強いアイデンティティなど持てやしないことも事実。およそ半世紀にもわたるUKのDJカルチャーの逞しさも、頻繁にアメリカ人やドイツ人のDJを招聘しているから生まれたわけではない。瀧見憲司はそのことを意識している少数派のひとりだ。

 〈クルーエル〉は、今日でこそクラブ・ミュージックのレーベルとして認知されているが、20年前は渋谷系と括られたジャンルの震源地のひとつで、東京のインディ・シーンの中心的なレーベルだった。カヒミ・カリィのリリースでも知られ、コーネリアスとは音楽的な同盟関係にあった。要するに瀧見憲司は今日インディ・ダンスと括られるサブジャンルの草分け的な人物で、日本ではいまだ人気のあるネオアコと呼ばれるサブジャンルの火付け役でもある。最近は嬉しいことに若い読者も増えているので、いちおう、説明しておきましょう。日本で〈クリエーション〉にもっとも近いレーベルを探すなら〈クルーエル〉かもしれない。音楽性こそ違えど、純然たるインディ・レーベルが大ヒットを飛ばしたばかりではなく、影響力も発揮したという点では同じだ。

 本作『Crue-L Cafe』は、『Post Newnow』以来2年ぶりのコンピレーション・アルバム、とはいえ前作はリミックス・シリーズの『vol.ll』だったから、新曲を中心としたコンピレーションとなると2006年の『Crue-L Future』以来となる。アルバムには、昨年発表のトラック、これから12インチでリリース予定のトラックも収められている。
 言うまでもなく〈クルーエル〉は、「ごちゃ混ぜ」という意味においても、インディ・ダンスという意味においても、そのメロウな多幸感においても、バレアリックをコンセプトにしている。そして、12インチ・シングルのスリーヴをトロトロに溶けたキャラメルのようなデザインにしてから、その快楽路線をよりいっそう強めているように思える。今作『Crue-L Cafe』もその邁進の成果ではあるが、"カフェ"を名乗るだけあって家でのんびり聴くのにはもってこいの内容だ。

 オープナーは神田朋樹による"Ride a Watersmooth Silver Stallion"。ルーカス・サンタナを彷彿させるラテン的郷愁のアコースティック・ギターとエレクトロとの心憎い融合で、早速、レーベルの洒落たセンスを披露している。続いてビーイング・ボーリング(瀧見憲司+神田朋樹)による"Love House of Love"。70年代的なエロティシズムの再解釈、テンポを落とした官能的なディスコ・トラックが展開される。
 ディスコセッションの2年ぶりの新曲だという"Manitoba"は、えもいわれぬアンビエントを展開する。これはクラブ・サウンドによる、ほとんど極楽浄土の境地と言えよう。猫のあくびのように、曲の途中からはゆるいギターが響いている。新世代を代表する〈コズ・ミー・ペイン〉のザ・ビューティも、彼らに続かんとばかりに聴きごたえのあるチルアウトを打ち出している。
 それからクリスタル、UKのティム・デラックスとア・ノイジー・ノイズ、ハウス・マネキン......らによるダンス・トラックが続く。アルバムを出したばかりのタッカーがファンキーなダウンテンポで惹きつけながらエディ・Cの温かいディスコへと繋げる。すっかり上機嫌になったところで、フランキー&神田朋樹による非凡なる穏やかさが広がる。クローザーは、クルーエル・グランド・オーケストラの"Barbarella"。60年代末のエロティックなSF映画として(そしていかにも渋谷系的な)『バーバレラ』のカヴァーだが、この曲のハウスのグルーヴからは太陽のにおいすら漂う。

 ここ1~2年の欧米のクラブ・ミュージックのモードで言えば、ダブステップ/ミニマル/フットワーク/デトロイト、あるいはフライング・ロータス以降やチルウェイヴ以降がもうほとんど一緒になって騒いでいるような感じが僕には見受けられるけれど、そこにいっさいくみしていないことも、まあ〈クルーエル〉らしいと言えばらしい。このレーベルは昔からそうした欧米のトレンドを敢えて避けてるところがあるし、自分たちのセンス、方向性に揺るぎはないと思う。たしかに、どんなにサイケデリックになったとしてもエレガントさを失わない、それはこのレーベルの最大の魅力である。僕と同世代の人間は思い出して欲しい。1995年のクルーエル・グランド・オーケストラの最初の1枚にはこう記されている。「何がリアルやねん!」「やってられない、でもやるぜ!」「とりあえず飲みますか」......連中ときたら、まったく変わっちゃいない(笑)。

PS:とはいえ、いま日本から面白い作り手が出ているのも事実で、しかしそれをフランスのレーベルにフックアップされるのもなぁ......ちょっと悔しい。

Himuro Yoshiteru - ele-king

 ジョセフ・ナッシングワールズ・エンド・ガールフレンドと同世代のブレイクビート・メイカーによる7作目は配信(と限定カセット)だけのリリースとなった。〈リフレックス〉や〈プラネット・ミュー〉の子分みたいなレーベルから98年にデビューし(パッケージには福岡の小さな町からやってきたごく普通の男とかなんとか書いてあった)、世界中の様々なレーベルと、日本では〈ファイル〉から4作目、〈マーダー・チャンネル〉から5作目と来て、DJオリーヴ・オイルのレーベルからは初となる(だんだんシフトが日本に寄ってきているということか)。

 ジョン・ピール・セッションにも出演していて、遊び心が豊富でジャズと高速ブレイクビーツを絡ませたら右に出る者はいないとか、海外での評価は初期の『クリアー・ウイズアウト・アイテムズ』がもっとも高いようだけれど、未聴なので、ダブステップを取り入れるようになった最近のものと比較すると、ジャズ・ベースからはじまり、全体に跳ねるようなファンク・ビートを強調した『ヒア・アンド・ゼア』とはだいぶ様相を異にし、『アワー・タウン、エニータイム』は実に思わせぶりなムードで幕を開ける。そして、半分ぐらいの曲では重い腰をゆっくりと回転させるような官能的で、簡単にいえば黒っぽいビートに突き進んでいく。もしかすると同世代のブレイクビート・メイカーたちとは接点が薄くなりつつあり、表面的な派手さもそれほどわかりやすいかたちでは出てこなくなっているので、こうなるとカール・クレイグやヨーロッパのデトロイト・フォロワーに近い部分が今後のスタイルとなっていくのかもしれない。エイフェックス・ツインとジャズというテーマは、なぜか、三毛猫ホームレスのヒロニカ秘宝感の佐藤えりかなど、日本では多発しやすいテーマなのかも知れず、あるようでなかった融合点がここでは聴くことができるのではないだろうか。もちろん、従来通りの派手なブレイクビーツも力を失っているわけではなく、ビートが与える説得力が増している結果だということで。

 アース・ノー・マッドフラグメントなど、日本のヒップホップが好調ならば、それらのビートメイカーが波に乗らないわけがなく、なぜかフランスのネット・レーベルがその辺りをコンパイル(しかも、それがそのレーベルにとって初のフィジカル・リリースとは?)。

 よくわからないけれど、ネットに上がっていた日本人の音源をフランス人があれこれと探索した結果、全17人、22曲の構成と決めたようで、その基準はよくわからない(そのうち二木信が取材してくるでしょう)。しかし、外国の耳を経由した把握の仕方はそれだけで示唆的で、まずは単純に構成力があって聴き応えがある。テンポがよく、何度も聴いてしまうし、聴くたびに発見がある......って、普通のことを書いてしまった。

 可能な限り紹介すると、スカしたオープニングに続いて冒頭からもっさりと重く響くイル・ジ・エッセンスはロー・ファイ・クォンターズの名義でもリリースがあり(未聴)、四角四面を逆手にとったようなジャジムはどこかファニーな感触がとてもいい。もっと聴きたい。『ディスコトピア』にもフィーチャーされていたブンは二木信がいま、もっとも夢中になっているルーキーで、ヒムロと同じく〈オイル・ワークス〉からもリリースがあるダイナミックな展開(全体のマスタリングも彼がやってるらしい)。イルムラと組んだアグレッシヴなラップ・ナンバーも続けて収録されている。

 バグシードはウィズ・カリファ(紙エレキング2号P99)とのあいだでひと悶着あったばかりで、簡単にいえば230万人がアクセスしたというカリファのミックス・テープ・サイトにバグシードの曲が使われていたにもかかわらず、クレジットがドープ・クチュールというL.A.のストリート・ブランドの名義となっており、当のデザイナー・ブランドも自分たちの名前が使われていることに戸惑いを感じ、ツイッターなどで、この曲はバグシードのものだと明言しているというもの(https://bmr.jp/news/detail/0000012861.html)。その後、どうなったかは知らないけれど、ここに収録されている曲はなるほどカリファが好きそうなスモーカーズ・ブレイクビート。続くブドリは大袈裟にいうとフライング・ロータスとベイシック・チャンネルを同時に聴いているような質感がかなりよく、アルバムはないのかなーと検索をかけたら、近所にある喫茶店が出てきた(は!)。いまとなっては少し懐かしいカット・アップ・スタイルを聴かせるリピート・パターンによるリミックスも収録され、ブンによるリピート・パターンのリミックスもなんといっていいのかわからない奇妙な仕上がり。

 マインド・タッチによるモンド風の小品が折り返し地点を明確にし、このなかでは唯一、フルで(これもまた〈オイル・ワークス〉からの)アルバムを聴いたことがあるイチロー.も、同じような意味で変わった感覚を楽しませてくれる(この人はヘン!)。RLPが少しとぼけた風味を出したと思ったら、一転して、AZによる重いけれど明るく爽快なビートへと続き、クロージング・トラックは、このところダブステップにスタイルを変えたというKKによる濃密なダーク・ファンタジー。なんという充実作だろうか。

 ここには日本だから......という感じはまったくない。最近でいえば、L.A.の『ロウ・エンド・セオリー・ジャパン・コンピレイション 2012』やデトロイトの『ビッグ3』とも互角だし、勝っている部分だってあると思える。それこそ同じフランスでTTCやラ・コウションなどを集めたアンダーグラウンド・ヒップ・ホップのコンピレイション『プロジェット・ケイオス』が11年前にリリースされた時、何かが起きるのではないかとそわそわしてしまったことを思い出してしまった。

 そわそわ、そわそわ......

Interview with Orbital - ele-king


Orbital
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 いまでこそ日本でも「セカンド・サマー・オブ・ラヴ」というタームは普通に使われているけれど、このムーヴメントを最初に紹介したのは何を隠そう、三田格だった。『remix』というクラブ雑誌があったが、同誌はアートの延長線上においてハウスを解釈した。社会的なムーヴメントとしてのレイヴ・カルチャー、すなわち「セカンド・サマー・オブ・ラヴ」には触れなかった。
 『NME』というロック新聞はアシッド・ハウス・ムーヴメントを社会的な抵抗の文脈で紹介した。『i-D』というファッション誌はライフスタイル文化の延長で捉えた。よって1988年、前者はスマイリーを引きちぎる警官の写真を、後者は純粋にスマイリーそのものを表紙にした。とにかくまあ、大きなことが「セカンド・サマー・オブ・ラヴ」という括りのなかで起きているというのに、それが日本で紹介されていないのもおかしな話だということで、1992年、『クラブ・ミュージックの文化誌』における三田格の原稿が日本では最初にがっつりと、「セカンド・サマー・オブ・ラヴ」を紹介したものとなった。羽目を外して人生を台無しにした人が誰に苦情を言えばいいのか、もうおわかりだろう。
 
 オービタルのふたり――ポール&フィル・ハートノル兄弟は、「セカンド・サマー・オブ・ラヴ」からやって来た。プロジェクトの名前は、レイヴが開かれていた場所から取られている。
 彼らの初期のヒット曲、"チャイム"や"ハルシオン"、"ラッシュ3"を特徴づけるのは美しい音色のシンセサイザーと催眠的でトランシーな曲調、ダンサーを彼方へと飛ばすドラッギーな展開にある。そして......こうした恐るべき現実逃避の文化を背景に持ちながら、他方でオービタルは1990年の初めての「トップ・オブ・ポップス」の出演の際、反人頭税のTシャツを着て登場している。人頭税とはマーガレット・サッチャー第三期政権のときに出された法案で、人の数だけ税を取るという、低所得で子だくさんの家庭には洒落にならないものだったが、この反対デモが90年代ロンドンの最初の暴動へと発展している(この暴動に参加した自分の写真をジャケットに使ったのがジュリアン・コープである)。
 
 新作『ウォンキー』はオービタルにとって8年ぶりの、そして8枚目のオリジナル・アルバムとなる。ダブステップ時代においてオービタルがアルバムを作るとどうなるのか、それが『ウォンキー』だ。手短に言えば"2012年にアップデートされたオービタル"、ゾラ・ジーザスも参加しているし、ベース・ミュージックからの影響も前向きに取り入れている。その屈託のなさ、トランシーなフィーリングは変わっていないと言えば変わっていない。モードが一周してしまったこの時代の、ストーン・ローゼズやハッピー・マンデーズらに続く、「セカンド・サマー・オブ・ラヴ」世代の帰還と言えよう。
 取材はポール・ハートノルが答えてくれた。

みんなが自分たちに何を期待してるかわからなかった。いざステージに立ってみると、18歳から20代前半のオーディエンスが多くてビックリした。「待てよ、君たちって、俺たちが活動をスタートしたときはまだ赤ん坊だったよな?」って感じだった(笑)。

実に久しぶりのアルバムですね。

ポール:だね。活動を休止したあと、俺たちはそれぞれ違うことをしようと決めたんだ。俺は旅に出ることにしてイギリスを出たんだけど、母親が癌になってしまって、医者から余命9ヶ月って言われたから、急遽戻らないといけなくなった......それで曲のライティングをはじめた。
 俺はずっとオーケストラをやってみたかったから、自分にそれができるかどうか試してみたくて。それから2、3年はソロ・アルバムを書いて、レコーディングをしていた。『ジ・アイディール・コンディション』(2007年)をね。ソロ・オーケストラや聖歌隊と一緒に仕事した。最高だったよ。オーケストラを9人に濃縮して作品を作ったんだけど、それがすごく面白かったから、続けようってことになった。本当に楽しい作業なんだよ。
 あとは、『トーメンティッド』っていうホラー・アルバムのスコアも書いたりもしてたな。音楽は全部エレクトロニック。それもすごく楽しかった。フィルはロング・レンジのアルバムを作ったり、DJしてたね。お互い、いろんなことを試してた。休止したとしても、俺たちが音楽をやめることはないんだよ。

その間、ライヴは積極的にやっていたのですか?

ポール:ギグは......何年かストップしてたんだよな......最後のギグはいつだったかな? たぶん2010年だったはず。そのあとは他のことをやってたから。それまではいくつかギグをやってたよ。プラハでもやったし、〈ビッグ・チル〉(UKでもっとも評価の高いテクノ系のフェスティヴァル)でもやった。
 クリスマス休暇が終わって、去年の1月に小さなスタジオを借りてレコーディングをはじめた。お気に入りのシンセと機材を使ってレコーディングしたんだ。新しい部屋に新しい場所、新しいアイディア......新鮮ですごく良かった。自分たちがライヴ・セットで聴きたいもの、プレイしたいものを考えながら作った。いままでのライヴに何が欠けてたとかね。自然とそのアイディアで構想がどんどんできていった。

いまではセカンド・サマー・オブ・ラヴ以降に生まれたキッズもオービタルのライヴに踊りに来るわけですよね。

ポール:そうそう、来るんだよね。素晴らしいことだよ。本当にラッキーだと思う。そのポジションにまだいれるなんてさ(笑)。〈ビッグ・チル〉の前にプラハのにフェスに出演したんだけど、オーディエンスが自分たちに何を期待してるかわからなかった。普段のオービタルのショーでいいのかな? と思っていたけど、いざステージに立ってみると、18歳から20代前半のオーディエンスが多くてビックリした。他のフェスでもそんな若い彼らが俺たちのショーを気に入ってくれてて......、で、「待てよ、君たちって、俺たちが活動をスタートしたときはまだ赤ん坊だったよな?」って感じだった(笑)。
 いまだにそういうポジションにいて、彼らをエンターテインできるなんて最高だよね。変な感じもするけど。いまは年齢や年代が関係なくなってるんだろうね。前みたいに世代が関係しなくなってる。デジタルのおかげかもしれないね。iTunesとかiPodとか、ああいうのがあれば、例えばロックンロールの歴史をすべて持ち歩けるわけだろ? 自分が好きなものを、どこでも簡単にきける時代だからね。

8年ぶりの新作となるわけですが、新作を作ろうと思い立ったきっかけは、そうしたライヴからの刺激ですか?

ポール:ツアーをやりはじめて1年経って、で、2年目に突入したとき、こんなにライヴが続くなんて考えもしてなかったんだ。2、3回やって終わりだと思ってたのに、オーストラリアでまでライヴをやって、で、勢いが止まることがなかった。それで、自分たちが活動をエンジョイしてることに気づいたんだ。そのフィーリングを壊したくなくて、続けなくてはと思った。ただ続けるだけじゃなくて、ちゃんとしたものにしたかったから、ライヴに何か新しいものを入れたくなって、それで2、3トラック作ることにしたんだ。
 2010年にそれをスタートしたんだけど、トラックを作ってるうちにアルバムを作ろうってことになった。2011年の1月から本格的にスタートさせた。ライヴを続けたいって気持ちがアルバム制作につながったんだね。曲を書くのも好きだけど、ライヴも楽しいパートのひとつだからね。

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現代のダンス・シーンとからは確実に影響を受けてるよ。アルバムからは、少しだけどダブステップの要素が感じられると思う。『スニヴィライゼイション』にはジャングルの要素があったけど、あれがジャングルのアルバムじゃなかったのと同じように、今回もダブステップ・アルバムってわけじゃないけどね。


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ここ数年はダブステップの盛り上がりもあって、UKではずいぶんとダンス・カルチャーが熱気を帯びているようですが、そうした状況も後押ししていますか?

ポール:もちろんだよ。現代のダンス・シーンとか、それに関係したものからは確実に影響を受けてるよ。そう、つねにね。このアルバムからは、少しだけどダブステップの要素が感じられると思う。『スニヴィライゼイション』にはジャングルとかドラムンベースの要素があったけど、あれがジャングルやドラムンベース・アルバムじゃなかったのと同じように、今回のアルバムもダブステップ・アルバムってわけじゃないけどね。でも、要素のひとつだということはわかりやすいんじゃないかな。誰だって、自分がいいなと思うものがあればそれを試したくなるだろ? 音楽に限らず、アイディアはそうやって発展して、変化していくものだと思う。それって素晴らしいことだと思うんだ。

最近の若い子たちが集まるようなレイヴには行ったことがありますか?

ポール:最近は行ってないね。90年代はもちろん行ってたけど。いまは基本的にフェスでそういうのを楽しむかな。DJの仕事のときとか、いろいろチェックして楽しむんだ。そういうときに会場をまわって様子をみるんだよ。

いまのダンスの盛り上がりは、1989年から1991年の盛り上がりとはどこが同じで、どこが違うのでしょうか?

ポール:うーん、何だろう......ひとつ言えるのは、初期のダンス・ムーヴメントは全部アマチュアによるものだったということだね。あの頃は、みんな何もわかってなかった。運営してる人間のなかにプロがいなかったんだよ。いまはプロばかりだと思う。
 でも、ダンスは基本的にいつの時代も変わらないよね。どんな時代でもダンスに行きたいという気持ちはそのまま。人はつねに人と集まりたいし、大きな集団のひとつになりたいんだ。それは変わらない。ただ、80年代のイギリスのダンスはアグレッシヴだった。そこからケンカや殴り合いが勃発することも少なくなかった。ナイトクラブでね。人がビクビクしていた時代もあったかもしれない。いまはそれがフレンドリーになってきたかも。良いことだよ。ダンスのなかではみんなフレンドリーで、ハッピーになれる。ビジネスとしてしっかりしているし、もう、ナイーヴなふりは通用しない。みんなが状況をちゃんと把握してるから。まぁ、アマチュアのダンス・イヴェントを好む人もたくさんいるから何とも言えないけどね。

そもそも、あなたが最初にダンスの洗礼を受けたのはいつで、それはどんな経験でしたか? 

ポール:最初はたぶん、キングス・クロスにある〈ミュートイド・ウェイスト・カンパニー〉に行ったときだったと思う。超、超デッカいウェアハウスなだったよ。おもしろい格好をした奴らがたくさんいたんだよ。『マッドマックス』から出てきたような奴らがゾロゾロ歩いてるんだ。クレイジーだったね。
 最高だったのは、サウンドシステムが6、7つあったこと。ある部屋ではハウスが流れてたり、ある部屋ではヒップホップがガンガンかかってたり。トラベラーとかヒッピーっぽいパンク・ミュージックとかも流れていた。みんなが入り混ざって、一緒にダンスしてたんだ。いろんなジャンルの人が一緒に楽しく時を過ごしてたんだよ。本当に素晴らしかった。値段も安かったしね。とにかく最高な空間だったんだ。

"チャイム"はセカンド・サマー・オブ・ラヴの雰囲気を持った曲ですが、実際にあなたがたも自身がレイヴ好きだったんですよね?

ポール:もちろん。オービタルがはじまってからも行ってたよね。〈ドラム・クラブ〉にも行ってたし、ブライトンにあるクリス・ココがやってた〈ココ・クラブ〉ってクラブにもよく行っていたよ。あと、トンカのパーティにもよく行ってた。彼らのサウンドシステムは素晴らしいんだ。彼らも最高だったな。それにもちろん〈メガドッグ〉も。そこではギグもやってたしね。最高だったな。1990年代は、少なくとも1週間に1回は出かけていた。金曜の夜は〈メガドッグ〉、木曜は〈ドラム・クラブ〉、月曜はトンカ、土曜もクラブにでかけてたし......ははは(笑)! 毎日必ず何かはやてたから。ソーホーに集まって、土曜の夜にベロンベロンに酔っぱらって、二日酔いのときは出かけなかったりね。

いまはどうですか?

ポール:最近はほとんど出かけないよ。子供が3人いるし。出かけるのは自分のギグをやるときやDJするときだけ。ブライトンのライヴを見にいったりはするけどね。

そもそもオービタルは何がきっかけで結成されたのでしょう?

ポール:以前からふたりとも家で音楽を作ってたんだけど、あるときパイレーツ・ラジオ局に関与するようになった。アシッド・ハウスの良い作品をしょっちゅうプレイしてたDJがいたんだけど、彼が俺たちが金曜にプレイした"チャイム"をかなり気に入ってくれた。絶対に出したほうがいいと言ってきて、リリースしたら、2、3週間で2000枚も売れた......その時点ですでに6つのレーベルからオファーがあったから、名前から何からすべてを急いで決めないといけなかった。名前はすぐにオービタルに決まった。街の外に続くロンドン・オービタル・モーターウェイ(ロンドンにある環状高速道路)があって、この環状線の南東地域がデッカいレイヴが起こってた場所だから、そこから名前をとって、オービタルの活動がスタートした。
 俺は常に音楽を作ってたんだ。フィルがそれに参加したりしなかったりで。自分は13歳くらいからギターを弾きはじめて、バンドと一緒にジャムしたりしてた。パンク・バンドとかね。ドラムもギターもキーボードもプレイしてたし、大学のスクール・バンドでもプレイしていたよ。そのあとフィルと一緒にエレクトロにもハマっていった。そこからふたりで音楽を作りはじめたんだ。

当時のダンス・カルチャーの熱気はどんなものだったのでしょうか?

ポール:オービタルがスタートしたのは1989年だけど、その頃は、さっきも言ったように、幸福なアマチュアの時代だったね。とにかくアシッド・ハウスしかなかったな。そのあとデトロイト・テクノがちょっとでてきたって感じだったと思う。

日本でも"チャイム"はもちろんのこと、"オーメン"、"ハルシオン"や"ラッシュ3"など、日本でも僕の友人たちをはじめ、多くのクラバーをトリップさせましたが......。

ポール:そう言ってもらえると嬉しいね。

あなたがたはどんな狙いでこうした曲を作っていたのですか? 

ポール:いや~、狙いとか、そういうのはほとんどなかったね。ただただ、良い音楽を作ろうとしていただけなんだ。自然と出て来るアイディアに正直になるよう意識していたよ。書きはじめたらいつも流れにまかせて曲を書き続けるんだ。ライヴ・セットもそんな感じだし。
 俺たちの曲作りは1枚の絵を書いてるようなものでね。ストーリーを書いてるとかじゃなくて、直観で書くって感じかな。軽く聞こえるかもしれないけど、聴いてる人が踊れて、何らかの形で人びとを動かすことができればそれで良いんだ。プレイして、それで人びとが楽しめれば、それがいちばんだ。音楽作りで、いろいろ考えるのは逆に難しい。「just do it」がいいんだよ。そこから自分が好きだと思うサウンド、しっくりくるサウンドを作っていけばいい。俺は深くは考えない。直観と自然の流れにまかせる主義なんだ。

オービタルを特徴づけるのは綺麗でトランシーな音色ですが、アシッド・ハウスからの影響はどれほどあったのでしょうか? 

ポール:アシッド・ハウスは最初はキライだったんだけよね。知り合いが"アシッド・トラックス"をプレイしてきたんだけど、俺は気に入らなかった。新しすぎたからかもしれないけど、抵抗がなくなるまでに時間がかかったね。いくつか素晴らしいと思うものもあるけど、正直、いまでもアシッド・ハウスのトラックはあまり好きじゃない。お気に入りのジャンルじゃないんだな(笑)。アシッド・ハウスの定義って、わかるやついるのかな? と思うけどね。303のマシン自体は面白いと思うけど。小さいのに、すごくパワフルなサウンドを創り出すからね。ベースラインにはとくにいい。独特なサウンドだよね。パンチの効いた音をつくるし、それは他にはないと思う。でも好きではないんだよね(笑)。だから、アシッド・ハウスの解釈ってわけじゃないんだ。

なるほど。それでは、ドラッグ・カルチャーに関しては?

ポール:いまのドラッグ・カルチャーは......どうなんだろうね。コカインが出回ってるのは知ってるけど、あれは最悪なドラッグだ。みんな自己中になるし、ものすごく短気になる。ドラッグ・カルチャーに関してはいまは何も知らないし、意見もない。本当に何も知らないんだ。1回、どのフェスかは忘れたけど、あるフェスでオーディエンスが明らかにヤバかったのは覚えてるけどね(笑)。みんな、確実にエクスタシーをやっていた(笑)。ウケたよ(笑)。お互いにぶつかりあって、ぼけーっとしてるんだ。「おーい、こっち見てる奴ひとりでもいるか?」って感じ(笑)。DJしながらずっとそれを見てたんだ。あれは最強だったね(笑)。
 そもそも俺はドラッグに関しては語らないことにしてるんだ(笑)。全然やってないといえばつまらなく聞こえるし、昔やってたと言えばそれはそれで良くない(笑)。だから、謎のままにしておきたい(笑)。自分とまわりの友だちだけが知ってることにしたい。ミュージシャンはドラッグがつきものっていう印象はあるけどね。

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直観で書くって感じかな。軽く聞こえるかもしれないけど、聴いてる人が踊れて、何らかの形で人びとを動かすことができればそれで良いんだ。プレイして、それで人びとが楽しめれば、それがいちばんだ。音楽作りで、いろいろ考えるのは逆に難しい。


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DJよりもライヴのほうが重要ですか?

ポール:いや、DJはずっとやってるよ。去年もずっとDJしてたし。アルバムを書いてたから、ライヴができないぶん、DJをやってた。パフォーマンスをストップしたくなかったからね。それにDJは書いてるものを試しに使ってみることができるからいいんだ。書いたものをさっと木曜に録音して、金曜にDJするときに持っていってプレイしてみるっていうのを何回もやってた。それを楽しんでたしね。
 90年代は頻繁にDJをやってたけど、子供が生まれてからしばらくストップしてたんだ。わざと止めたわけじゃないし、封印したわけでもない。俺は、DJもライヴもどちらも好きなんだ。ふたつとも違うことだし、違う人たちと繋がることができる。どちらもいつだって楽しいしね。

あながたはUKトランスのスタイルを作ったと思うのですが、クリミナル・ジャスティス(レイヴ禁止法)への抗議を主題とした1994年の『スニヴィライゼイション』では、音楽的にはトランスから脱却しましたよね。

ポール:たしかに脱却したね。その前のアルバムにくらべてトランスっぽさがなくなったから。俺たちはトランスに影響を受けていただけで、トランスの方向に進もうとしてたわけじゃなかったからね。ただ、自分たちが進むべく方向性に進んで行っただけなんだ。いつも新しいものに挑戦していくのが自分たちだからね。あのアルバムはストーリー性のあるコンセプト・アルバムにしたかったかんだよね。わざと脱却したわけじゃなくて、流れでそうなったんだ。そのときに求めていたものが、たまたま違っただけ。そうしようと考えてたわけじゃなかったんだけど。

ダンス・カルチャーが嫌いになったことはありますか?

ポール:いいや。それは絶対にない。自分の要素を嫌いにはなれないよ。何年もオービタルの要素になってるものだし。ダンス・カルチャーではいつも何かしら面白いことが起こってると思う。つねに大好きってわけでもないけど(笑)。でも、嫌いになることはない。

ダブステップの影響に関する話がありましたが、最新の音をまめにチェックするほうですか? 

ポール:どちらとも言えるね。やっぱり俺はDJでもあるから、いつも新しいサウンドをチェックしないといけないし、ツイッターで新しい音楽のオススメを訊いたりもする。それでいつも違うものを試すようにしてるんだ。でも曲を書くときは......クラフトワークが言ってたんだけど、彼らは音楽を書いてるときは他の音楽は聴かないようにしてるらしい。気が散ってしまうから。俺もそれと似ていて、ライティングのときはあまり音楽は聴かないようにしてるんだ。自分の音楽に集中できるようにね。
 まあ、そうでもなければ、最近ではコンテンポラリー・フォークが好きでよく聴いてる。メランコリーなフォーク・ミュージックをね。ジョアンナ・ニューサムとかさ。そういう音楽は自分がやらないことだし、自分にできないことだから。エレクトロをもっと聴くべきだとは思うけど、仕事でいっつも聴いてるからさ......エレクトロには厳しくなっちゃうんだよね。毎日やってることだから。本当に良いものじゃないとダメなんだ。そのなかでも良いなと最近思ったのはプラッドのニューアルバム。あれはお気に入りだよ。

若い世代の音楽は?

ポール:よく聴くのは、エミリー・ポートマン。大好きなんだ。アルバムでも彼女の曲をサンプルしてる。エレクトロだと、〈ナイト・スラッグス〉は面白いことをやってると思う。そこから作品を出してるエルヴィス(L-Vis)1990はとくに良いね。最近アルバムを出したんだけど、彼も良いよ。彼は"ニュー・フランス"のリミックスをやってくれてるんだ。

たとえばインストラ:メンタルの昨年のアルバムを聴いたら、1990年ぐらいのジョイ・ベルトラムみたいでびっくりしたんですね。なんか、我々の世代にとっての古いものがいまの若い世代には新しいんじゃないかと思ったんですが、そう感じたことはありますか?

ポール:インストラ:メンタルを知らないからあまりわからないけど......そういう意味ではエレクトロは古くなることはないよね。グルグルと廻ってるんだ。エルヴィス1990は初期のシカゴ・ハウス・ミュージックをやってるけど、彼は当時のそれを経験したことはないわけだよね。それって面白いと思うんだ。いま20とか21歳の若者がそういう音楽を作ってるわけだから。しかもその場で構成を学んでるわけじゃないから、昔のシカゴ・ハウスとまったく一緒ではない。もちろん影響は受けているわけだけど、いつも新鮮で、オリジナルとは違うものができるんだ。それが面白いと思うんだよね。自分たちが影響を受けてきたものに、いまの若者が影響を受けて音楽を作ってるっていうのが。違いがあって面白いよな。

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ダンスは基本的にいつの時代も変わらないよね。どんな時代でもダンスに行きたいという気持ちはそのまま。人はつねに人と集まりたいし、大きな集団のひとつになりたいんだ。それは変わらない。


Orbital
Wonky

ビート

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新しいアルバムのタイトルを『ウォンキー』にした理由を教えてください。

ポール:ウォンキー(普通じゃない、不安定な、歪んだ)ってって言葉が、オービタルの音楽を表してると思ったからこのタイトルになった。アルバムにピッタリの名前だと思った。オービタルの音楽の軸はエレクトロだけど、エレクトロというひとつのジャンルにとらわれたことはないんだ。このジャンルでもあれば、あのジャンルでもあって......って感じ(笑)。つまり、ウォンキーなんだよ(笑)。べつの言葉で言えば、すべての音楽に成りうるってこと。
 俺たちは、ある特定のジャンルをフォローしてことはないんだ。自分に正直に、やりたいことをやって、作りたい音楽を作ってる。このアルバムは、ダブステップでもあればグライムでもあるし、昔のオービタルっぽいサウンドも残ってる。いろんな要素が詰まってるんだ。その状態をうまく表してるのが『ウォンキー』って言葉だった。

1曲目なんかホントにオプティミスティックだし、3曲目の"Never"や"New France"もパワフルで美しい曲ですよね。"Stringy Acid"も前向きなフィーリングを持った曲です。今回のアルバムはポジティヴな感覚が際だっているように思います。

ポール:ライヴ・フィーリングだよね。自分たちがライヴで何を聴きたいかを考えながら作ったんだ。それがポジティヴなフィーリングをもたらしたんだと思うよ。もちろんすでに作られたムーディーでダークな曲をライヴでプレイすることもできるけど、ライヴでプレイすることを初めから意識して作られた音楽はポジティヴになりやすいんじゃないかな。とにかく、ステージのことを考えて作った。とくに前向きでいたいって意識してたわけじゃないけど、ライヴを考えてたらこういう音になった。

新しいアルバムにはゾラ・ジーザスが参加していますが、彼女を起用したのはどんな経緯からなんですか?

ポール:アメリカに住んでる友だちが彼女をススめてきたんだ。だからいちど聴いてみることにした。聴いた瞬間、「最高!」って思った。彼女こそ自分たちが求めてるヴォーカルたった。そしたら彼女がちょうどその時期にロンドン公演を控えていて、こっちに来る予定になってたから、最終週にスタジオに来てもらって一緒にレコーディングした。ギグの合間に2、3日来てくれたかな。タイミングが良かったんだ。レコーディングも本当に順調で、最高だったよ。

オービタルは、ちょうどUKで人頭税の暴動の頃にデビューしてますよね。1990年に「トップ・オブ・ポップス」に初めて出演したときも反人頭税のTシャツを着て演奏しました。で、昨年のUKの暴動に関してはどのような意見を持っていますか?

ポール:クレイジーな出来事だったよね。俺は暴動を起こした連中と同じ立場にいないからコメントはすべきじゃないけど......何か他の方法で行動をおこせなかったのかなとは思うね。
 アルバムにはそういうものはぜんぜん反映されていない。普段のオービタルの作品に社会は反映されているけど、このアルバムはレアだね。毎回違うことをやるっていうスピリットがあるから、それはそれで良いことだと思う。でもちょっと考えてみると......現代の注意散漫さとかは少し反映されているかもしれないな。「やばい! 今日はまだフェイスブックをチェックしてない!」とか、そういう現代の社会的交流とかね。いまの時代、世のなかにはインフォーメーションが溢れすぎている。メディアも同じ。そういう精神錯乱みたいなものは、アルバムの要素のひとつかもしれないな。他にもあるはずだけど、メインはそれだよ。

たしかにそういう意味でも、この20年で音楽文化はほんとに変化しましたよね。インターネット、ダウンロード、iPod、mp3、PCひとつで音楽が作れる時代になって、そしてクラブのDJブースからはほとんどターンテーブルが消えてCDJとPCになりました。

ポール:そこはあんま関係ないと思う。家具を作るのにどの工具を使うかを議論してるのと一緒さ。大した問題じゃないんだよ。家具のできが良ければいいのと同じで、でき上がる音楽そのものが良ければそれでいい。良いDJがいて、音楽が良くて、ダンス・パーティが盛り上がってれば、それ以上に求めるものはないよ。

昔が懐かしいと思うことは?

ポール:ノーだね。それは全然ない! アナログ・シンセは好きだけど、ヴィンテージは高くなってきてるし、いまでは同じ機能をもつ新しいシンセがもっとたくさんでてきた。テクノロジーのおかげで、すべてがオープンになってきていると思うんだ。俺だって、パソコンひとつで壮大で素晴らしいテクノ・シンフォニーを書ける。しかも飛行機のなかでね(笑)。それって最高だよ。スタジオがなくても、どこでだって書けるんだ。ファンタスティックだと思うし、それをいちどできるようになると、もう昔には戻れないよ。

同世代の友人とはいまでも会って、遊んだりしますか?

ポール:いろいろな友人と会うよ。ケミカル・ブラザーズのトムには、けっこう近くに住んでるから、1年に1回くらい遭遇するんだ。そのときはシンセサイザーのことなんかを話してる。ほとんどは自分と同じ世代の人と出かけてるけど、騒ぐというより、パブとかに行くね。しかも、小さなパブにいくことが多いかな。

家にいるときによく聴いているのはどんな音楽ですか?

ポール:フォーク・ミュージックがほとんどかな。最近レナード・コーエンの新しいアルバムを買ったばかり。他は......やっぱりエルヴィス1990! エミリー・ポートマンもね!

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1

ONUR ENGIN

ONUR ENGIN MUSIC UNDER NEW YORK GLENVIEW / US / 2012/3/11 »COMMENT GET MUSIC
エディット・シーンの超新星ONUR ENGINのファースト・アルバムが緊急リリース!定番クラシックスをニュー・ディスコ/ビートダウン/ブレイクビーツ/ダウンテンポetc..とDJ ユースなフォーマットにリエディット仕上げた絶品トラックが並ぶ抜群の内容でございます◎

2

V.A.

V.A. AHYEWA SOUNDWAY / UK / 2012/3/16 »COMMENT GET MUSIC
QUANTICエディット収録!アンディスカヴァリーな上質ワールド/辺境ミュージック復刻の権威<SOUDWAY>からDJユースなアフリカ物 リエディット12"到着しました!純粋な発掘/復刻リリースも良いですがこういったエディット処理後の使える12"がDJ的には嬉しい限りです◎ 推薦盤!

3

VAKULA feat. DICES

VAKULA feat. DICES ASUWANT SHEVCHENKO / UK / 2012/3/13 »COMMENT GET MUSIC
VEDOMIR名義も絶好調、間もなくそのアルバムもリリース予定のウクライナの天才VAKULA、<FIRECRACKER>傘下の <SHEVCHANKO>よりニュー・リリース!フォロワーが溢れかえる中、今作も型にハマらないフレッシュなハウス・ミュージックを披露。圧倒 的なリリース量にこのクオリティ・・VAKULAスゴイです!ワンショット限定クリアヴァイナル!

4

KENNY DIXON JR

KENNY DIXON JR ULTRA RARE JAN REMIXES & EDITS 2 UNKNOWN / FRA / 2012/3/13 »COMMENT GET MUSIC
入手困難なMOODYMANNレア・ワークスをコンパイルしたMOODYMANN公認(?)と思われる「ULTRA RARE JAN REMIXES & EDITS」第2弾!今回も90年代のKDJ初期傑作レア・ワークスをコンパイル(ほぼ「MOODYMANN EP」のリイシュー!)した贅沢内容!第1弾同様、初回プレス・オンリーの限定盤となりますのでお見逃し無く!

5

JOAQUIN JOE CLAUSSELL

JOAQUIN JOE CLAUSSELL UNOFFICIAL EDITS AND OVERDUBS VERY LIMITED 7" PACKAGE SACRED RHYTHM MUSIC / US / 2012/3/1 »COMMENT GET MUSIC
推薦盤!「UNOFFICIAL EDITS AND OVERDUBS」シリーズからリミテッド7"!レアグルーヴ・クラシックのグレイト・リエディッツ!共に7分越えのDJユース仕様です◎

6

UCND / DJ SHINYA

UCND / DJ SHINYA MORONDAVA / SK.HIGH NNNF / JPN / 2012/2/21 »COMMENT GET MUSIC
SOFTのメンバーUCONとKNDによるライブ・セッション・ユニットUCND(ウコンドウ)待望のスタジオレコーディング音源、そしてその UCNDも幾度となくライブ・セッションを重ねてきた京都発ブラック・ミュージック・パーティー「BUTTER」主宰DJ SHINYAによるラグドなレアグルーヴ・エディットがカップリング7"リリース!

7

GENE HUNT

GENE HUNT MAY THE FUNK BE WITH YOU (THEO PARRISH REMIX) RUSH HOUR / NL / 2012/3/14 »COMMENT GET MUSIC
THEO PARRISHリミックス収録!昨年GENE HUNT所有倉庫に眠っていた80年代の鬼レア貴重未発表シカゴ・トラックスの数々をリリースにまで漕ぎ着けた<RUSH HOUR>が再び送り出すのはその重鎮GENE HUNTニュー・トラック!

8

UNKNOWN

UNKNOWN STORY #6 STORY / GER / 2012/3/14 »COMMENT GET MUSIC
COTTAMら旬の人気クリエイターが覆面で登場する<STORY>シリーズ第6弾!シンセ/キーボードを多様したグッド・メロなウォーミー・ ディープハウス/ビートダウン3トラック!

9

V.A.

V.A. LUV 005 LOVE UNLIMITED VIBES / GER / 2012/3/14 »COMMENT GET MUSIC
詳細不明"謎"の覆面リエディット・シリーズ<LOVE UNLIMITED VIBES>第5弾!例に漏れず淡いメロウ・ディープハウス/ビートダウン絶品3トラック収録!

10

VEDOMIR

VEDOMIR VEDOMIR EP SOUND OF SPEED / JPN / 2012/3/1 »COMMENT GET MUSIC
EDDIE C、KERRIER DISTRICT a.k.a. LUKE VIBERTと確かなメンツの好リリースが続いた<SOUND OF SPEED>のアナログ・シリーズに、現行ハウス・シーンの次世代最注目株VAKULAが変名VEDOMIRで登場!

Chart by Underground Gallery 2012.03.15 - ele-king

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1

THE HOUSEFACTORS

THE HOUSEFACTORS Play It Loud (Black Market / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
ロンドンの名門[Black Market Records]が、レーベルのクラシック作品を正規再発していくシリーズ第三弾は、シカゴ・レジェンドLARRY HEARDがTHE HOUSEFACTORS名義にて88年にリリースした幻の1stシングル「Play It Loud」! このシリーズ、本当に見逃せませんよ!数あるLARRY HEARDの中でも、マッドさ、レアさ、共にトップ・クラスのカルト作品「Play It Loud」がリマスタリング復刻!ドカドカと打ち鳴らされたTR909のグルーヴに、マッドなうねるアシッディーなアルペジオ・シンセがグルグルと回り続ける、"裏"LARRY HEARDを代表するクラシック!DERRICK MAYもその昔ヘビー・プレイしていました。ちなみに、中古市場では、70ユーロなんて金額で取引されています。音質も音圧もばっちりなので、オリジナル盤を持っているって方も、これは見逃せません

2

IUEKE

IUEKE Tapes (Antinote / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
フランスはパリの新興レーベル[Antinote]の第一弾は、IUEKEなる素性不明なアーティストが、1991年~92年にかけて、ロンドンのレゲエ・スタジオで制作し、カセットテープにてリリースされていたという、超マニアックな作品が、ヴァイナルにて復刻! とにかく音がマッド!ザラザラしたアナログ感は、現在主流の作品では味わえない、独特の質感があって、とにかくヤバイ...。ノイジーなウワ音とLO-FIなグルーヴを軸に、クレイジーに暴れるアシッド・シンセがマッドに飛び交うA面「Tape 1」、ドラッギーな電子音が入り乱れたインダストリアル・トラックのB1「Tape 2」など、3トラックを収録。JAMAL MOSSにも通じるマッドさと、初期APHEX TWIN的な実験性をもった、かなり危険は一枚!

3

SEAHAWKS

SEAHAWKS After Sunrise (Ocean Moon / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
限定500枚!DR.DUNKS aka. ERIC DANCAN / GATTO FRITTO リミックス! UKの名門レーベル[Lo Recordings]のオーナーJON TYEと、ATPフェスのアートワークもを手がけるPETE FAWLERによるバレアリック・デュオSEAHAWKSが、昨年末にリリースした 2ndアルバム「Invisible Sunrise」収録作を、RUB'n TUG、STILL GOINGでも活躍する ERIC DANCANのプロジェクト DR.DUNKS、[International Feel]や DJ HARVEYのへヴィープレイでも話題を呼んだ「Invisible Collage」のヒットで知られる GATTO FRITTOがリミックス。 アルバム内でも特に人気の高かった「Catch A Star」を、ERIC DANCANがダヴィーなシンセを効かせた、メロー・バレアリックなスローモー・ディスコ・リミックスへリミックスしたA面、アルバム・タイトル作「Invisible Sunrise」を GATTO FRITTOがディープ・エレクトロ・コズミック・サウンドにリミックスしたB面と、どちらも抜かり無し!

4

NO MILK

NO MILK One Time Or One More Time Ep (Ragrange Records / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
RONDENIONが主催する[Ragrange]の新作は、[Outergaze]や[Capricious]、[Yore]、[Third Ear]などから作品をリリースしてきた、日本人プロデューサー NO MILKのNewシングル。 過去作品は、THEO PARRISHにへヴィー・プレイされるなど、数いる日本人アーティストの中でも、頭ひとつ抜けたハウス作品をリリースしてくれるNO MILK、今回はアシッド・テイストを散りばめたA1や、スピリチュアル・ジャズ的な不穏なオルガン・ループドラッギーなリズム・ベースで展開させたA2、NO MILK流のファンキー・ハウスのB1、ディスコ・クラシックのコーラス・パートをサンプリングした、アシッド・ハウスB2と、全4曲を収録。当然、大推薦な1枚です。

5

RONDENION

RONDENION Devotion (Faces Records / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
もはや説明不要のジャパニーズ・ディスコ・マスターRONDENIONが、日本人アーティストKEZ YMやMOTOR CITY DRUM ENSEMBLEなどもリリースしてきた、フランスの[Faces Records]から新作をドロップ。限定500枚! 絶妙にカット・アップされたディスコ・サンプルを、ねちっこく、エロティクに反復 させた、RONDENIONらしいブラック・ディスコ・ハウスが3トラック。US産にも通じる ザラついた荒々しい質感もグッと来ます。初期のKDJファンにもオススメです。全世界 限定500枚プレスとのアナウンスです。

6

V.A

V.A Magic Wand Vol.4 (Magic Wand / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
UKの人気バレアリックレーベル[Is It Balearic?]傘下に立ち上げられた リエディットレーベル[Magic Wand]新作。今回は 御馴染み COYOTEを筆頭に、[American Standard]からリリースを残す SAD GHOSTらが参加した 4トラックを収録。まず A1ではその SAD GHOSTが、聞き覚えのある男性ヴォーカルモノの 哀愁系アコスティック・フォークナンバーを ネタにした レイドバック・ダヴィーリミックス「Sweet Lady Magic」、A2には 詳細不明のアーティスト SWARTHY ROUGUESによる 緩やかな AOR系バレアリック・ダヴィー・ディスコ「Like Loving You」。B1には サイケデリック~アシッドフォーク系ファンの方には御馴染みの USのシンガー・ソングライター TIM BUCKLEYによる 69年作「Cafe」を、サイケ・ダヴィーなスローモー・ディスコ化にアレンジ B1、B2には エキゾチックな女性ヴォーカル・ブギーをネタにした、COYOTEがリエディットを手掛ける「I Dig Marion」を収録。

7

JOSE GONZALES

JOSE GONZALES Cycling Trivialites (SAHKO Recordings / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
5年前にリリースされた名盤「In Our Nature」に収録され、長年12インチ・カットが望まれていた名作「Cycling Trivialites」が、フィンランドの名門レーベル[Sahko]より遂に12インチ化! 幻想的な空気感を奏でる繊細なギターの音色と、心地の良い温もりを持ったヴォーカルが紡ぎだす美しい世界は、もはや圧巻の一言...。ほんとうに素晴らしすぎます。 アルバム収録曲とは別ヴァージョンでA面、B1には同作の"Radio Edit"、さらにB2には同じくアルバム「In Our Nature」から「The Nest」を収録。LPは今では入手困難な1枚となっていますので、持っていなかった方も是非この機会をお見逃しなく!間違いなく、2000年代を代表するアコースティック/チルアウト/フォークの名盤ですよ!

8

JASON GROVE

JASON GROVE 313.4 Ever (Skylax Records / 12inch) »COMMENT GET MUSIC
80年代後半からDJとして活動をはじめ、"WJLB"や"WDRQ"などの地元のローカルラジオ局にて活動してきた、デトロイトの隠れたベテラン・プロデューサーJASON GROVE、待望の1stアルバムがフランスの名門[Skylax]より登場! 昨年末[Skylax]傘下の新レーベル[Wax Classics]より、15年前に制作していたというテープ音源をリマスター12インチ化させ話題を集めたJASON GROVEが、自身のキャリア初となるフルアルバムをリリース!先行リリースされたの2作のシングル作品でも見せた、オールド・スクール感満載のリアル・アンダーグラウンド・デトロイト・ハウスを全12トラック(しかも全て新作)収録!OMAR-S、THEO PARRISH辺りの、リアル・ビートダウン・ファンの方なら間違いありませんよ~絶対にチェック!

9

RICHARD SCHNEIDER JR.

RICHARD SCHNEIDER JR. Dreamlike Land (Harvest/ LP) »COMMENT GET MUSIC
限定復刻! ドイツのマルチ・コンポーザー RICHARD SCHNEIDER JR.が[Harvest]から77年にリリース発表した、エレクトロニクスとワールドミュージックを融合させた、プログレ・ロック超名盤! ブラジリアンなサンバ、ボサノバ、メキシコやペルーなど南米音楽と、当時のドイツのシーンを象徴するかのような、ドラッギーでスペーシーなエレクトリックなシンセが見事に融合した、ナカナカ他では聴けないタイプの、70's ジャーマン・エレクトロ~プログレッシブ・ロック名盤。南米系ワールド・ミュージックファンや、AOR好きの方はもちろんですが、コズミック~レフトフィールド方面の方も、是非チェックしてもらいたい、踊れる楽曲も多数収録しているので、是非、騙されたと思って試聴だけでもしてみてください。本当に、カッコイイので、オススメです。限定プレスでのリリースとなっていますので、是非お早めに!

10

ASUSU

ASUSU Sister (Livity Sound/ 12inch) »COMMENT GET MUSIC
[Punch Drunk]を主催している事でもお馴染み、Peverelistが新たにスタートさせた、超限定ホワイト・シリーズ[Livity Sound]の第二弾は、地元ブリストルのトラックメイカーASUSUのよる、ダブステップ通過後のディープ・テクノ・サウンド! デトロイティシュな空間シンセと尖ったスネアが印象的な、ディープ・ハウス・ナンバーのA面も良いですが、ここで特筆すべきはB面に収録されたヘビー・ウェイト・ダブ・テクノ!非4つ打ちな、ドープグルーヴと、スモーキーなダブ空間でハメていく、ベース・ミュージック!かなりプレス枚数も少なく、現在のところは、入手が困難なシリーズなので、気になる方はお早めに!

DJ mew (恥骨粉砕) - ele-king

最近のHeavy Impression 10選 (2012/03/07)


1
Shabazz Palaces - The King's New Clothes Were Made By His Own Hands (Yours Truly X Gorilla vs Bear) - Sub Pop

2
Gang Colours - Fancy Restaurant - Brownswood

3
Bun+Fumitake Tamura - Kayabe (Free DL)

4
Maxmillion Dunbar - Girls Dream - Ramp

5
Falty DL - My Light, My Love - Ninja Tune

6
Aphex Twin - Actium - R&S

7
Clark - Roulette Thrift Run - Warp

8
Gerry Read - Roomland(Distal Remix) - 2nd Drop

9
Drum Island - Drum Island - Apollo

10
Weldon Irvine  - Music Is The Key - Luv N' Haight

interview with NRQ - ele-king


NRQ
のーまんずらんど

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 私は牧野琢磨といっしょに湯浅湾というバンドに参加しているからライヴのたびに会うが、ライヴのとき、牧野は入り時間前に会場に現れて、入念にリハーサルし、熱心に演奏し、電車に乗って帰っていく。その動作のひとつひとつの真剣さに、私はいつも感心し、かつ、叱咤されるような感じがあるが、ときにしまりのない私たちはじっさい叱られたりする。やはり音楽においては真摯なのである。それは現在のライヴハウス・シーンに共通する価値観ともいえるが、彼らはそこでもやや浮いている、というよりも、ノマドになってそこを横断していく。
 吉田悠樹(二胡、マンドリン)、牧野琢磨(ギター)、中尾勘二(ドラムス、アルト・サックス、トロンボーン、クラリネット)、服部将典(コントラバス)のNRQは前作『オールド・ゴースト・タウン』(2010年)で、21世紀のインスト音楽の可能性を、演奏の強度やムード(非強度)に必要以上に寄りかからない、事件性を回避した、むしろ歴史や体系と地続きのものとしてさしだしたことで、その展開の一例を示したと思われる。とはいっても、NRQはブルースやラグタイムやカントリーやジャズの末裔でもなければ、それらを手際よく料理して無国籍風にしあげるわけでもない。そうは問屋が卸さないのは、いまが2012年であるからだし、彼らは形式を尊重しても盲信しない、四人それぞれがきっちりと音楽の語り方をもっているミュージシャンだからだ。その姿勢はセカンド『のーまんずらんど』でも陸続としている。客演にMC.sirafuとmmm(ミーマイモー)を招き、編曲の射程は広がり、時間が過ぎた分、成熟の度合いは増したが、能書きのいらないNRQを聴く愉しみは変わらない。
 このインタヴューは、NRQから牧野琢磨と中尾勘二のおふたりお越しいただき、湯浅学と松村正人が聞き役になって行った。四時間におよぶ取材は最初NRQについて、ついで中尾勘二との対話へうつる。今回はその前半、NRQのインタヴューをお送りします。

『ノーマンズランド』って勇ましくてバカバカしい響きじゃないですか。勇ましいものってバカバカしいでしょ。それがカタカナだと本気だと思われそうだったから平仮名にしました。震災と関係なくそう考えていたんだけど、震災があって、結果的にそれと関係があるかのようになってしまいましたが。(牧野琢磨)

湯浅:牧野くんは音楽をいっぱいつくりたいんでしょ?

牧野:僕はファーストをつくった時点で2枚目までつくれればいいなと思っていました。それはストラーダ(コンポステラとして活動していた篠田昌已、中尾勘二、関島岳郎が篠田の没後、新たに桜井芳樹、久下惠生を加え結成したグループ)が2枚(『山道』『テキサス・アンダーグラウンド』)出しているから。

中尾:それとは関係ないでしょ(苦笑)。

牧野:関係なくはないです。それはほんとうの話。

中尾:ライヴ盤も出てるよ。

松村:ライヴ盤も出さないといけないですね。ライヴ盤は2枚出てるんでしたっけ?

中尾:2枚組だったけど、バラでも売ったからね(『タブレット』『スイッチバック』)。

牧野:そうでした。いつか作らないとですね。......2枚目つくって満足するかなと思ったんだけど。

中尾:じゃあ解散だ(笑)。

牧野:いやいや、それで終わってみたら満足できなかったんですね。まだまだだと。

中尾:入れたいと思った曲が2枚目にあまり入らなかったということだ。

牧野:そういうわけではないんですが......。けれど、やりたいことが、アイデアが2枚目まではあったんですけど。

中尾:もうなくなった?

牧野:なくなりました(笑)。空です。つぎは、ラテンとブルーグラスですかね(笑)。

中尾:何いってんだよ(笑)。

牧野:いや、これはほんとうに考えているんですよ。

湯浅:ラテンというのはボレロ? トリオ・ロス・パンチョスみたいなもの?

牧野:弦楽器でできるラテンと、中尾さんがいっぱいレコードをもっているブルーグラスとか、そういうのを3枚目はやりたいなというのはあります。けれどもそれは僕だけの考えかもしれないので、どうなるかはわからないです。

湯浅:1枚目と2枚目は組になっているよね?

牧野:けっこうそのまま勢いでつくったかもしれないですね。あっ、そういえばこの前、3枚目でやりたいことがあるという話になりました。全部の楽器を単音で配置していって、ギターも和音を弾いて調性を決めるのではなく、単音で弾いた音符にメンバー同士で反応し合う、つまり全部管楽器みたいな感じを3枚目にやりたいというのはあります。だから3枚目はたぶんすごく地味になります。

中尾:それは第三者に判断してもらうしかないね。われわれが豪華だと思っても、「どこが豪華なんだ」ということになるからね(笑)。地味だといわれつづけているバンドだからね。

湯浅:NRQは話し合いで進んでいくの?

牧野:合議制です。

中尾:そうなの?

牧野:だって中尾さんにも意見聞くじゃないですか。

湯浅:曲つくったひとが主導権をもつというのもない?

牧野:曲ごとに作曲者が主導権をもつのはたしかにそうですが、それはケツもちをやんわり決めておくということですよね。録音したときの楽器の配置とかミックスとか、単純にアレンジとか、そういったことは作曲したひとが担当する。だけどたとえば、曲順とか。今度のアルバムの曲順には中尾さんの意見がすごく反映されているし、曲間の秒数は服部(将典)さんの意見が反映されているし、そのつど意見のあるひとが――

湯浅:いっていいんだ。

牧野:もちろん。

湯浅:採用されるの?

牧野:採用するもなにも、僕が決めることじゃないですもん。湯浅湾とちがうんですよ(笑)。

湯浅:湯浅湾は牧野独裁体制が敷かれているからね。うちは逆下克上だから。

牧野:"お前のカタチをなくしたい"(湯浅湾『』収録)とか、僕は「湯浅さんそんなに弾かなくていいですよ」っていったけど、その通りだったでしょ!

湯浅:別に不満があるわけじゃないよ。

牧野:NRQはほんとうに合議制です。というか、アイデアがあるひとがそれを実践するということですね。

湯浅:それは湯浅湾もそうだけどね。

牧野:吉田(悠樹)さんとか服部さんにジャケットについて意見を訊いてもなかなか出てこないから、だったら意見がないのかな......いや、ないということはないにしても、とりあえず先に進んじゃいました。特に今回は進行がギリギリだったので。

湯浅:ジャケットは牧野くんが考えたんでしょ?

牧野:僕は古写真にしようと思ったんですよ。湯浅さんの『音楽が降りてくる』や『音楽を迎えにゆく』のカヴァーみたいな(佐々木)暁さんがいっぱいもっているような写真。僕もちょっともっていて、それを使いたいといったんだけど、それだと湯浅さんの本といっしょになっちゃうし。ディレクターからの反応が――

松村:むしろ顔を出した方がいいと。

湯浅:あの写真はどこで撮ったの?

牧野:スタジオの裏庭です。レーベルのディレクターからは、ザ・バンドのセカンド(『The Band』)みたいな写真がいいんじゃないかともいわれたんですが。今回録音したのは入間の元米軍ハウスを改装したスタジオだったんですが、そんなところでザ・バンドみたいな写真を撮ったら目もあてられない結果になるから、これは写真家の選定を大事にしなければと思ったんですね。それですぐに塩田(正幸)さんに連絡して、「とにかくいい感じじゃない写真を撮ってくれ」とお願いしました。淡くなくて、いい雰囲気じゃなくて、コントラストもない写真。塩田さんは被写体に思い入れをもたないように見える、早撮りのひとだし。いまインディのものってとにかくよくできているじゃないですか。紙もいいし、写真もうまいし、デザインも素敵。メジャー、インディという物いいは意味ないかも知れないけど、メジャーと比べても遜色ないというか全然面白い。けれど、今回はそれを全部避けたかったんですよ。

中尾:それは避けられたかもしれないね。手焼きのCD-Rが入っている感じだもんね。

湯浅:でもプレスしている。

牧野:印刷している紙も高いんですよ。あとオビが特色を2色使っているんですよ。蛍光イエローにメタリックグリーンという、オビだけ何だかアゲ系のディスコヒッツみたいなちょっと意味わからない豪華さがあります(笑)。とにかく手にとってよくわからないものにしたかったんですよ。いい感じのものは世にあふれているわけで。

湯浅:たしかに何だかよくわからないよね。

牧野:いい感じのものが悪いわけじゃないですけどね。

湯浅:ジャケットを見ると「これ中尾さんのリハビリ?」みたいな気がするものね。

中尾:お見舞いに来ているというかね(笑)。退院祝いみたいなね。

湯浅:「演奏できるんだから完治したんだろうな」みたいなね。

中尾:どこが悪かったんだろうって。

牧野:「戦争のお話訊かせて」みたいな(笑)。

中尾:いつの戦争だよ(笑)。

湯浅:坂上(弘)(今年90歳になるシンガー・ソングライター兼ラッパー。95年に自主カセットで出した"交通地獄"で知られ、2009年にはアルバム『千の風になる前に』を出した)さんと中尾さんは見た目そんなに差がないからね。

松村:ザ・バンドの2枚目というはわりかしストレートなイメージですよね。

牧野:元米軍ハウスでレコーディングして外見がスワンプというのはいくらでもあるかもだし。中身はスワンプじゃないし(笑)。ディレクターの意見も冗談含みですけどね。だから結果的に塩田さんにお願いしてほんとによかったです。

湯浅:坂本慎太郎のアルバムと同じだしね。タイトルは決めていたの?

牧野:タイトルもいちおう合議制です。メンバーにあげるまえに、僕は『のーまんずらんど』がいいんじゃないかと思っていたけど、それはファーストを録った直後、ここ2年くらいずっと思っていたことなんです。

湯浅:どうして?

牧野:大昔、VHSで同じ映画を何回も観ていたんですよ。売り物のVHSって本編の前に予告編が入っているじゃないですか。だから予告編も同じものを何回も観ていて、そのタイトルが『ノーマンズランド』だったんです。本編は観たことないんですが、予告編から察するにチャーリー・シーンが潜入麻薬捜査官なんです。で、『ノーマンズランド』って勇ましくてバカバカしい響きじゃないですか。勇ましいものってバカバカしいでしょ。それがカタカナだと本気だと思われそうだったから平仮名にしました。震災と関係なくそう考えていたんだけど、震災があって、結果的にそれと関係があるかのようになってしまいましたが。

松村:リーロイ・ジョーンズとか関係ないんだ?

牧野:リーロイ・ジョーンズとの関係はつねにあります(笑)。ね、中尾さん。

中尾:そういわれてもわからないよ。

牧野:それもほかのメンバーと「アルバムのタイトルどうしましょう?」と話しあっていたときに、僕が案を出して、他の方が何もなくて、吉田さんが「それでいいんじゃないですか」となって、「じゃあそれでいきましょう」と。そう流れでした。

松村:中尾さんは何の意見もなかったですか?

中尾:ないです。わからないんですよね、このひとたちが何を考えているのか。世代のせいかもせいかしれないけど。いいか悪いか、私からは判断できないので、これはもうお任せするしかない。古い人間がいろいろいっても、よくなる可能性があるとは個人的には思わないので。よほど気になったことだけしかいわない。だから今回は曲順のことだけしかいってないですよ。

牧野:けど、それがけっこう重要だったんですよ。

中尾:曲順はまったく関心のないひとが聴いて飽きないというのが昔から基本にあるので。割と私はいつも、録音やるときも思い入れのない方なので、ひとのドラマ性も平気で分割できるタイプなんです。篠田(昌已)くんの篠田ユニットの『コンポステラ』とか『1の知らせ』とかの曲順は私の意見を採用したものです。「ドラマ性がどうだから、この曲の次は――」といっていたの全部ぶった切って「そんなの知らないよ」って(笑)。「途中で寝ちゃうから」って。そこにはこだわりがあるんですね。

松村:中尾さんがたまにいうことは重要なんですね。

湯浅:裏番だね。

中尾:裏番じゃないですよ。

牧野:今回のアルバムの12曲目("春江")を僕はド頭にもってきたかったんですよ。ストラーダの『山道』を意識して。

湯浅:あれが1曲目はよくないと思うね。

牧野:だから中尾さんの意見を採用してよかったです。

湯浅:入っていきにくいかもしれないね。

牧野:考えてみたら、僕らがセカンドっていっても、誰も僕らのこと知らないですからね。

中尾:われわれの個人的な事情は誰にも通用しないよ。

牧野:おっしゃるとおりだと思います。

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わからないんですよね、このひとたちが何を考えているのか。世代のせいかもせいかしれないけど。いいか悪いか、私からは判断できないので、これはもうお任せするしかない(中尾勘二)


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松村:中尾さんはつねにそういうやや外側の位置からでバンドに関わっているんですか?

中尾:そうじゃないけど、気になるのはそこだけ(笑)。あとはどうでもいい。

松村:演奏とかいろいろあるじゃないですか?

中尾:そのときにできることしかできないんだから、それをいろいろいってもしょうがない。けれども、できあがったものをどう並べるかはけっこう重要じゃないですか。

湯浅:CDは残るからね。

中尾:残りますし、私はレコード世代だから順番がけっこう大事なんです。

湯浅:ほんとうならA、B面にしたいところですよね。

中尾:だから中休みみたいなものをつくることもありますよ。真ん中あたりで曲間をちょっと多めにとるとかね。

牧野:今度のもいちおうA、B面で考えましたけどね。

湯浅:収録時間はどれくらいだったっけ?

牧野:47分で、単純に5曲目でA面が終わりです。"うぐいす"からB面です。

湯浅:そういう風にしてくれないと聴いていて疲れちゃうよね。

牧野:よくわからなくなりますね。

中尾:私はCDになってからとくに最後までなかなか聴けないんですよ。

湯浅:俺は『のーまんずらんど』はフルでけっこう何回も聴いているんだけど、その間にご飯食べたりおしっこしたりしているから。

牧野:47分はけっこう長いですよ。

松村:43分くらいにしたかった?

牧野:ベストは38分ですね。

湯浅:そうだね。30分台がいいね。 

牧野:片面3~4曲くらいですね。

松村:でも私はこのアルバムは聴くのはつらくないですよ。

湯浅:1枚目よりこっちの方が楽かもしれないね。

中尾:それはですね。できあがった音が、各楽器が1枚目より音像が遠いからですよ。ほんとうにソツのない音になっていて私はいいなと思いました。

牧野:それは宇波(拓)(ソロやホースでの活動をはじめ、多くのインディミュージックの録音にも携わる音楽家。〈ヒバリミュージック〉主宰)さんのおかげです。

松村:前作より低音がやや強調されていない?

牧野:それは松村さんの家のシステムがダビーだからです。

中尾:ちょっと「あれ?」ってくらい聴き取りにくい音があったりするから、その方が押しつけがましくないんですよ。

湯浅:これ小さいので聴いたときと大きい音で聴いたときと印象がちがうよ。

牧野:近頃ほんとうにたいへんなのは、その再生機器が一体いつつくられたのか、どのくらいのグレードでつくられたのか。あるいは媒体がCDかmp3かWAVか、多岐にわたりすぎていて。決定稿を出すのがたいへんだったんですよ。

湯浅:それは考えない方がいいんだよ。

牧野:そうですよね。だから最終的に宇波さんのところで聴いたものを頼るしかない。たとえば同じCDでも昔製造されたCDウォークマンで聴くのと、いまつくったもので聴くのとではぜんぜんちがう。昔のCDウォークマンはほんとうに音がいいですよ。

湯浅:CDプレイヤーもそうだよ。

松村:mp3に合わせているのかもね。

牧野:mp3で聴いた方がよかったりするんですよ。音圧が逆にでかくなったりするから。

湯浅:製品の、オーディオ機器の方針がわからなくなっているからね。だからどこに合わせるかというのももうない。とりあえず、宇波くん家と決めれば、それでいいんじゃないかな。

牧野:しかもイヤフォン、ヘッドフォンも多岐にわたるじゃないですか。楽器の音のちかい音源なんか、カナル型で聴いていられないじゃないですか。音楽はずっと耳の中で演奏されるわけじゃないですから。だからこれは、宇波さんがよくやってくれたんですよ、フラットに。

松村:レコーディングから宇波さんだったんですか?

牧野:エンジニアリングが全部宇波さんですね。スタジオで円くなって録りました。

松村:それでも低音がやや強いような――

牧野:だからそれは松村さんの家庭の事情ですって。

中尾:あと人間の問題ですよ。ベースが気になるから大きく聞こえる。私は逆にベースは小さいと思ったんですけどね。

湯浅:そうだよ。ベース耳なんだよ。俺は歌耳だからベースがよく聞こえないんだよ。

牧野:歌耳のひとってベース聞こえないですよね。

湯浅:ベース聴いて歌ってないもん。ドラムだよな、聴くのは。

牧野:湯浅湾の場合は、松村さんのベースだからというのはあるかも知れないですよ。存在感のみすごくあって、なおかつ他の楽器と溶け合ってるようなベースだから。

湯浅:ドラムがいちばん気になるんだよ。その次がベース。だから俺、山口(元輝)くんになったからうまく歌えるようになったんだよ。それはギターのひとが何聴いて弾くかっていうのと似たところがあるじゃない。

牧野:僕は完全に山口くんを聴いてますね。湯浅湾では。

湯浅:それで(バンドの中で)関係性ができていくのがあるじゃない。人間関係といっしょでさ。誰の話をいちばん最初に聞くかというのと同じでね。

松村:それは聴き方のクセなんですね。

牧野:利き目といっしょですよ。

湯浅:利き足もそうだね。どっちの足から踏むか、とかね。

湯浅:今回の最大の留意点は何だったの?

牧野:僕、前日に人のお葬式に出ていたんですよ。高校のときの友だちの旦那さんが亡くなったというので、録音の前日にたまたまお葬式があって......でもこれはいうと引かれそうだから、いわない方がいいかもしれないけど、2011年はとにかくひとがたくさん死んだな、というのはありました。でも絶対ひとにはいわないようにしているんです。引かれるかもしれないから。でも今いっちゃったんですけど。

松村:メディアに載るとね。

湯浅:「牧野くんてマジメに考えてるんだな」って。

牧野:いやいや。でもレコーディング前はなんとか2日間で無事カブセ(オーヴァーダビング)まで終わらせたいな、とだけ思っていました。それが留意点といえば留意点です。

松村:録音日時は?

牧野:11月の19と20日です。レコーディング2日でミックスとマスタリングは1日です。

松村:これはもうライヴでやっていた曲ですか?

牧野:やっていた曲です。

中尾:これは載せられないかもしれないけど、あるバイアスがかかったお陰で録音ができたっていうのはあるよね。録音のとき、スタジオ側から「音が大きい」っていわれて、ビビリながら演奏したのがよかったのかもしれない。

牧野:いざ録音はじめたらスタジオ側にとって音がでかかったらしくて、「もっとアコースティックにお願いします」っていわれたんですよ。

中尾:「この曲はスティックじゃなくてブラシの方がいいんじゃないか」っていわれて、とはいえスティックでやったんだけど、まあそういうバイアスというか戒厳令下で録音したみたいな感じでした。

松村:灯火管制が敷かれた感じですね。

牧野:2~3テイク以上は録れない情況だったんです。とくに"ボストーク"という曲は「ブラシでやってください」と示唆されました。

松村:この曲なんかガツガツやりたい曲じゃないですか。

牧野:そうですね。でもあまりできなかったんですよ。

中尾:それが録音物としてはよかったんじゃないかな、とあとで思いました(笑)。

牧野:中尾さん黙っちゃって。「ブラシどうですか?」っていわれたとき、中尾さんは僕のうしろにいたんだけど、中尾さんから--

中尾:ヘンな空気は出てなかったですよ。

牧野:そうかな!? けどともかくも、中尾さんが口開いたら終わりですから。

中尾:何もいいません。それで、吉田くんがね。

牧野:「あとで試してみます」って。

中尾:結果として功を奏したよね。宇波くんの録音スタイルだと、あれくらいの音量であれくらいの部屋っていうのがちょうどよかったと思う。

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何かわからないものを出したい、というのはおもに外側の話であって、中身はたんに演奏しただけなんです。つねにただ演奏するだけです。まだそれに飽きてないんです(牧野琢磨)


NRQ
のーまんずらんど

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湯浅:NRQって誰が聴いていると思う?

牧野:わからない。誰だろう。

湯浅:実感ある?

牧野:ライヴハウスでやっているから、そこに来てくれるひとは聴いてくれていると思います。

松村:毎回くるお客さんもいるでしょ?

牧野:いたりいなかったりです。そんなに人気ないんです(笑)。でも、誰が聴いているんですかね。

中尾:知り合い(笑)。よく見かけるひとはたいがい知り合いだよね。

湯浅:知り合いになっちゃうんじゃないかな。NRQって簡単なことやっているわけじゃないけど、敷居が低い気がするんだよね。

牧野:敷居は低いですが、それは歌がないからだと思いますよ。

湯浅:そんなことないよ。

牧野:歌がないから、なおのことそういう風にみえるんですよ。

湯浅:俺さいきん、twitterをチェックしているんだけど「湯浅湾は歌詞はくだらないけど、ギターは最高だ」っていう意見あるからね。

松村:それはいまの話と対になる話じゃないですよね。

湯浅:でもそれはすごく核心を突いた反応だなと思って。どっちかといえば、湯浅湾は演奏を聴いてほしいからね。

牧野:バンドをやっているひとだとそう思うんじゃないですかね。そんなこともないかな。けど、湯浅さんは歌の歌詞とか聴きます? 

湯浅:聴くよ。俺それが気になるからイヤになっちゃうんだよ。

松村:私は聴かないな。

牧野:僕もぜんぜん聴かないんですよ。中尾さん聴きますか?

中尾:よほどのことがないと入ってこないかな。歌に力があるとイヤでも入ってくるけど。

牧野:誰ですか力のある歌って?

中尾:そんなのいちいち憶えてないよ。

牧野:ヴィクトル・ハラ(チリのシンガー・ソングライター。"耕す者への祈り"はコンポステラもとりあげ、"平和に生きる権利"は大友良英からソウル・フラワー・ユニオンまで多くのカヴァー・ヴァージョンがある)ですか?

湯浅:何いいだすんだよ。

中尾:歌に耳を引っ張られることはあるけど、基本的にはあまり興味がない。

牧野:キャンディーズの"微笑がえし"に「おかしくって なみだがでそう」って歌詞があるじゃないですか。たしかに歌詞では「可笑しくって、涙が出そう」とあるのだけど、演奏と曲の調性と歌声といっしょに聴いたらどう考えても「可笑しくって、涙が出そう」なわけじゃないんだな、とわかる。本当はいいようのない別離の哀しみがあるのだろう、と。僕は今回"ノー・マンズ・ランド/アイ・ワズ・セッド"という歌ものをつくったとき、そういう効果を期待したんです。コードとかメロディとか調性とか歌詞とか、そういう情報が一体化してはじめてわかる歌のおもしろさってあるじゃないですか?

中尾:いやー牧野くんの意見には感心しますよ。私は「不味いお菓子を食ったんだな」って思ってましたから(笑)。リアルタイムで。「お菓子食って、涙が出そう」と。

牧野:「ハバネロ」的なお菓子食べてね(笑)。......だけど普段は歌詞をあまり聴かないからよくないですよね。

湯浅:そう?

牧野:ここだけの話、演奏するときは歌詞はあまりちゃんと聴いてないんです。たとえば、歌詞に「青い花」とあっても「青い花」的な演奏することなんて絶対ないじゃないですか。ただ単にその曲がどういう曲なのか、それを自分の過去と参照して演奏するだけだから。参照しない場合もありますけど。

中尾:言葉にいちいち対応して演奏がちがっても困るからね。自分は自分でいいんじゃないかな(笑)。

牧野:歌手の方は、自分の歌声で判断される場合もあるでしょう。歌っている内容どうこうじゃなくて音像として、つまり好きな音色かどうかで良し悪しを判断される場合もあると思うんです。だから歌手のひとはたいへんだとも思います。そのような意味もあって、我々の敷居は低かろう、と。

松村:そもそも今回はなぜ歌ものをいれようと思ったの?

牧野:この曲は大友良英さんたちのやっている〈プロジェクトFUKUSHIMA!〉の支援金募集のためのサイト、〈DIY FUKUSHIMA!〉に「提供してください」といわれて提供した曲です。〈doubtmusic〉の沼田さんからオファーがありました。オファーがあって、何をしようかなと思ったときに......、この曲のサビのメロディはずっと頭の中にあったものなんですよ。でももしかしたら、自分がつくった曲じゃないのかもしれない、という気がしています。

松村:どういうことですか?

牧野:僕はFENが好きで、昔よく聴いていたんですけど、こういう曲調のカントリーがいっぱいかかるんですよ。それでもしかしたらこういう曲の記憶が残っていたのかもしれない。ともかく、頭の中にメロディがあったからあとは和音をつけて歌詞をはめて、自分で歌うのはイヤというかムリだから、誰か英詞で歌って説得力がある、しかも歌声が好きなひとと考えて、mmm(ミーマイモー)にお願いしたんですよ。

湯浅:歌詞は誰が書いたの?

牧野:自分で書きました。それで〈DIY FUKUSHIMA!〉に提供したはいいが、mmmと録音をやってくれた片岡(敬)くんに、チャリティだったからギャラを払えなかったんですね。それでお礼をしたいと思って、歌とギターのファイルにNRQでオーヴァーダブしてアルバム・ヴァージョンにしたんです。そこに組み込めば少し払えるようになると。

湯浅:還元するために再録したんだ。

牧野:そうです。

松村:曲があったから入れたということですね。

牧野:曲があって、プロトゥールスのファイルもあった!

湯浅:10曲目に(この曲が)出てくるのはいいよね。

牧野:それは中尾さんのおかげです。

中尾:放っておいたらこの曲が最後になりそうな雰囲気だったら、それを回避させようと私はがんばったんです(笑)。

牧野:曲順については、ほんとうに何も思いつかなかったんです。どうすれば耳が集中して聴き続けてくれるのかもアイデアが湧かなかった。だからメンバーのみなさんの意見は重要でした。

松村:曲名とか、言葉に関してはNRQはとくに気にしてはいないですか?

牧野:僕はその都度興味のあることをモチーフに曲名をつけますね。

松村:曲は書いたひとがタイトルをつける?

牧野:そうです。吉田さんの"ボストーク"とか"イノメ"、服部さんの"春江"はわからないですね。

中尾:"春江"は土地の名前だといっていたよ。昔バイトでいった先の土地らしいよ(笑)。

牧野:そういえば、そこで鼻歌で生まれた曲だっていってました。そのメロディにあとでコードをつけたって。

中尾:春江さんを思い浮かべてはいない(笑)。

牧野:僕はさいしょ女のひとだと思いましたけどね。

湯浅:春江なんて名前の女性はいまどきいないよ。仲居さんにいそうな名前だよな。「春江さんビール3本!」みたいなね。

松村:でもNRQには言葉が暗示するものがあるでしょ? 

湯浅:ナゾかけみたいね。

松村:それがインストバンドの利点ともいえるかもしれないけど。

牧野:そうなるしかない、のかもしれないですよ。

松村:じっさいそういう消極的な姿勢でもないでしょう。

牧野:そうなっちゃうんですよ、どうしても。

湯浅:タイトルがついていると聴く方が勝手に風情を感じるじゃない。

松村:そういう風情はファーストから変わらずありますよね。

牧野:それはファーストのころは知らなかったです。

松村:知らなかった?

牧野:言葉によって曲に風情がくっついている、ということですね。ただたんに演奏していただけだから。あとからひとに、たとえば豊橋の小川(真一)さんの書いたライヴ・レヴューを読んで、聴くひとはそういう風に感じるんだなと思ったんですよ。

松村:曲名が言葉を呼ぶきっかけにもなりますからね。

牧野:なればいいと思いますけどね。吉田さんの"ボストーク"はたぶんパンの名前ですね。

松村:「ロシアパン」みたいなものなんだろうか?

牧野:(吉田さんは)曲名にロシアのモチーフが多いですね。

松村:そういうところもバンド内で共有しているわけではないんですね。

牧野:してないです。だからたまたまパッケージングしただけともいえますね。でもこの曲はポンチャックのつもりだったらしいですよ。吉田さんはポンチャックが好きなんだって。

湯浅:変わってるね。

牧野:デモはもっとポンチャックっぽかったんですが、ほら、中尾さんにフュージョンのたしなみがあるから(笑)。

中尾:ないよ(笑)! 私はポンチャックのつもりでやってました。

牧野:中尾さんクルセイダーズのコピーバンドやってたじゃないですか! なんでウソつくの!

中尾:コピーバンドはやっていません。曲をとりあげたことがあるだけです(笑)。多重録音バンドで題材にとりあげたことがあるだけです!

牧野:以前、フュージョン・バンドで演奏していたら「そのスットコトントントンってフィルやめてくれ」っていわれたっていってませんでしたっけ?

中尾:フュージョン・バンドじゃないよ。大学の軽音サークルにいって遊びでやっていたら「そのお囃子みたいなフィルインはやめてくれ」っていわれたの(笑)。

松村:ある世代から上はフュージョンのたしなみはありますからね。

中尾:たしかに高校3年のときにカシオペアのコピーバンドはやっていました(笑)。でもそれだけです(笑)。

牧野:こう見えても中尾さんは驚くほど16分音符がはまるんですよ。

中尾:やっていたから、というより、いち時期どっぷり聴いていたからじゃないかな。

牧野:だから聴いていたんでしょ?!

中尾:高三まではフュージョン青年でした。

牧野:でしょ!

中尾:そのとき「この先には未来はない」と思ってやめました(笑)。「フュージョンは終わった!」って、それでSPに行きました(笑)。

牧野:もともと子どものときはSPだったんですよね。

中尾:小一のときに親戚からいくらかもらって聴いていたから素養はあったんですよ。全面的にそっちにしようって決めたのは高校を卒業してからですね。

牧野:フュージョンは当時みんなが聴いていたからということですよね?

中尾:70年代の終わりから80年代のはじめはいちばん盛り上がっていましたからね。

牧野:だから"ボストーク"もラリー・カールトンみたいなコード進行になる瞬間がありますよ(笑)。

中尾:わかんないよ!

牧野:それは桜井(芳樹)さんにもいわれましたよ。「あのマイナーの"ルーム335"みたいな曲いいじゃん」って(笑)。

中尾:師匠にそういわれた!

松村:お墨付きをもらってこの曲がシングル的な位置づけになった、と。

牧野:それはですね、VIDEOTAPEMUSICくんっていうPVをつくってくれた人と、この曲は親和性が高いだろうと思ったからです。映像がつけやすいリズムが(この曲には)ある。

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高三まではフュージョン青年でした。そのとき「この先には未来はない」と思ってやめました。「フュージョンは終わった!」って、それでSPに行きました(笑)。(中尾勘二)

松村:湯浅さん、"ボストーク"はPVがあるんですよ。

湯浅:YouTubeかなんかで観られるの?

松村:観られるらしいですよ、私は拝見していませんが。 

牧野:インタヴュアーがふたりとも観てないなんて......。メールしておけばよかったですね。でもPVたって、U2みたいにメッセージは入れてないですよ(笑)。

湯浅:アムネスティとかじゃないの(笑)?

松村:戦争の映像とか入ってないの?

牧野:入ってないです(笑)。

「ボストーク」PV




NRQ
のーまんずらんど

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湯浅:牧野くんはつくってから何回か聴くの?

牧野:僕は死ぬほど聴きますよ。

湯浅:中尾さんは録ったら聴かないでしょ?

中尾:聴かないですね。

松村:いままでもそうだったんですか?

中尾:自分の多重録音以外は聴かないですね(笑)。

松村:自分の多重録音はどこかから出す予定はないですか?

中尾:出さないですよ。

松村:どうでしてですか?

中尾:個人的趣味だから(笑)! 誰がそんなもの聴かせますか! 自分で聴いておもしろいのはそれくらいですね。CDは聴かない、というかイヤです。とくに自分が参加した曲だと気になるところが出てくるので、落ち着かないです。

牧野:僕は何回も聴いて、気になるところをコンパウンドで磨くかのように、自分で慣れるようにします。何回も聴けば気にしなくなるじゃないですか。こういうもんだと。製品の耐久チェックみたいなものですかね。

松村:吉田くんや服部くんはどうだろうか?

牧野:どうなんだろう。吉田さんは聴いていると思いますし、服部さんも今回は聴いているんじゃないですかね。最終的にこれ、1日であげたマスタリングが決定稿になったんだけど、そのあと宇波さんが別途修正版をつくってくれたんです。でもそれを僕と服部さんは「前の方がよいので戻してください」ってお願いしました。だから服部さんもかなり聴いているのではないでしょうか。

松村:中尾さんは?

牧野:聴かせてない。

中尾:たぶんどうでもいいっていったでしょうね。でもチラッと仮のヤツを聴いたら問題なかったんので、それは大丈夫だということですよ。それから全面的にちがうことにはならないだろうと。

牧野:単純に音圧が出ていたんですね。

松村:1回目の方が?

牧野:2回目の方が。整備されてしまっていたんです。だから1回目にしたんです。

松村:それは何かわからないものを出したかったからですか?

牧野:1回目のに慣れていたからというのはあるかもしれないです。それと、音圧によって楽器の響きも変わっちゃいますからね。

湯浅:ギターだと(音圧があがると)ゲージ(弦の種類)が変わっちゃうからね。

牧野:楽器の位置、というか定位も変わっちゃうから。さっきの何かわからないものを出したい、というのはおもに外側の話であって、中身はたんに演奏しただけなんです。つねにただ演奏するだけです。まだそれに飽きてないんです。

松村:曲のつくり方はファーストとセカンドではちがわないんですか?

牧野:変わらないです、僕は。

松村:ギター周辺で何か変えたことはありますか?

牧野:前回は弦がフラットワウンド(巻き方による弦の種類。フラットワウンドとラウンドワウンドがあり、一般的にフラットワウンドは丸い温かみのある音といわれる)だけだったんですが、今回はそうじゃないんです。ラウンドワウンドが多かったです。

湯浅:ラウンドだったんだ。

牧野:はい。それはなぜかというと、いつも使っていたギルドのギターが調子が悪く、ノイズが出ていて、レコーディングで使えなかったんです。だからグレコのセミアコを主に弾きました。それはラウンド弦。一部フラットワウンドで弾いている曲もあるけど、そのギターは常さん(鈴木常吉)から借りたフルアコでした。弾き慣れてない楽器だったので大変でした。いいわけです(笑)。奏法的にはどうこういう感じじゃないですね。ただ、もうほぼエフェクターは使わなくなりました。聴けばわかると思いますけど! エフェクターを踏む前に右手と左手でもっともっとできることがある、という気がしています最近は。......というかもっと、中尾さんに聞きたいことはないんですか? 松村さん。

中尾:ないないない! 答えることないから(笑)。

牧野:いっぱいあるんじゃないですか。

中尾:NRQに関係ないから。

牧野:関係なくてもいいですよ。

中尾:そんなことないでしょ。

松村:せっかくきていただいたんだから。

牧野:ロング・インタヴュー録っておいた方がいいですよ。NRQもそこそこに(笑)。

松村:そうですね。場が温まったことだし、次は中尾さんのインタヴューへうつりましょうか。(続く)


NRQツアー情報

NRQ『のーまんずらんど』発売記念ツアー

愛知・名古屋
3/9(金) 鶴舞KDハポン 
open19:00/start19:30
前売¥2000/当日¥2300+drink
出演:NRQ、ツクモク、HADA 

愛知・一宮
3/10(土) com-cafe三八屋
open18:30/start19:00
投げ銭 +drink
出演:NRQ、カタリカタリ

兵庫・神戸
3/11(日) 塩屋旧グッゲンハイム邸
IKITSUGI / SHOS / HOP KEN 合同企画
open14:00/start14:30
予約¥2500/当日¥3000
出演:NRQ、半野田拓、ju sei+江崎將史、ett+パーパ、真夜中ミュージック、片想い、三田村管打団?、テニスコーツ......ほか多数
 
京都
3/12(月) 京都拾得
open17:30/start18:30
前売¥1800/当日¥2000
出演:NRQ、井上智恵トリオ、泊、ゆすらご(黒田誠二郎+翠娘)

東京
3/20(火・祝) 吉祥寺MANDA-LA2 
open18:00/start19:00
前売¥2500/当日¥2800+drink
出演:NRQ、片想い、mmm 
※前売券SOLD OUTです。当日券の有無は会場までお問い合わせください。
TEL:0422-42-1579

NRQインストアライブ
3/15(木)
タワーレコード新宿店
19時ごろより
出演:NRQ、mmm、トンチ

Chart by JET SET 2012.03.12 - ele-king

Shop Chart


1

SEAHAWKS

SEAHAWKS AFTER SUNRISE (INVISIBLE SUNRISE REMIXES) »COMMENT GET MUSIC
Jon Tye & Pete Fowlerによるバレアリック人気ユニットSeahawks。昨年リリースされたセルフ・レーベル"Ocean Moon"からの最新アルバム『Invisible Sunrise』の収録2作品を、Rub' N TugのDr. DunksとGatto Frittoがリミックスした話題盤が遂に入荷!!

2

TERRENCE PARKER

TERRENCE PARKER MUSIC WORKS VOL.4 »COMMENT GET MUSIC
デトロイト・ハウス・ベテランTerrence Parkerによる主宰レーベル最新作。セルフ・トラックのエディットを筆頭に、高揚感漲るTerrence Parker節のハウス・トラックを3楽曲収録。前3作同様、お勧めの一枚です。

3

DEAD ROSE MUSIC COMPANY

DEAD ROSE MUSIC COMPANY FOUR SONGS EP »COMMENT GET MUSIC
Sleazy Beatsからの前作「Moody Manoeuvres EP」が大好評頂いたThe Dead Rose Music Companyによる4作目のシングル。B.I.S.にてTim Sweeneyもプレイ済みのA-1&B-2がお勧めです!!

4

NO MILK

NO MILK ONE TIME OR ONE MORE TIME EP »COMMENT GET MUSIC
レーベル前作「Foots」でのリミックス・ワークや、YoreからリリースされたKez YM & Rondenionとのコンピレーション楽曲も最高なグルーヴだったNo Milkによる待望の最新作。Tokyo Black StarのIsao Kumano氏によるマスタリング済み!!

5

RONDENION

RONDENION DEVOTION »COMMENT GET MUSIC
Kez YMによる前作「Stride EP」に続く"Faces Records"最新作は、セルフ・レーベル"Ragrange Records"や"Rush Hour"、"Bosconi"作品で人気を博す日本人アクトRondenionによる新作3トラックス。

6

BURIAL

BURIAL KINDRED EP »COMMENT GET MUSIC
ご存じFour TetやThom Yorke、Massive Attackらとのコラボ作でもお馴染みのポスト・ダブステップ最強クリエイターBurialがメガヒット"Street Halo"以来となる新作を完成しました!!

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JAMES BLAKE

JAMES BLAKE LOVE WHAT HAPPENED HERE EP »COMMENT GET MUSIC
ご存じUKベース・ポップ人気者James BlakeがJoni Mitchellカヴァーも収録の『Enough Thunder』以来となる新作をベルギー名門R&Sからリリース。

8

NITE JEWEL

NITE JEWEL ONE SECOND OF LOVE »COMMENT GET MUSIC
2012年最重要作!Nite Jewelの極上セカンド・アルバム!!!

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TWIN SISTER

TWIN SISTER KIMMI IN THE RICE FIELD (REMIXES) »COMMENT GET MUSIC
アルバム『In Heaven』収録曲のUK盤のみのリミックスEP。Balam Acabによるドリーミー・スクリュード・ビーツA-sideがメチャクチャ最高!!

10

POLONAISE

POLONAISE TROCADERO »COMMENT GET MUSIC
Polonaiseのソロ・デヴュー・シングル!


photos : Erez Avissar

 いまから約10年前の話――。ブルックリンのインディ・ミュージック・シーンからは、ヤーヤーヤーズ、ザ・ラプチャー、ザ・ストロークス、ライヤーズ、アニマル・コレクティブ、TVオン・ザ・レィディオなどが登場した。彼らはメディアから「ニューウェイヴ、ポスト・パンク再来」など言われた。そしてそれはずいぶん盛り上がった。
 が、現在は、10年前のハイプとは違う盛り上がりがある。あるバンドは活動を続け、あるバンドは解散した。2012年、再結成するバンドも多い。USアンダー・グラウンド・シーンはひと回りした。10年前に戻っている。
 こうしたブルックリンのインディ・シーンを支えている重要なひとりに、トッド・パトリックがいる。DIYバンドのフレキシブルなアイディア、それを露出できるプラットフォーム、それらを作り、DIYシーンを面白く泳がせているのがトッド・Pと呼ばれる彼である。
 ブルックリンのインディ・ミュージック好きなら、彼の名前を知らない人はいない。トッド・Pは、10年以上前か、DIYバンドを精力的にサポートしつつ、斬新的なブッキング・スタイルで、バンド/オーディエンスから圧倒的な信頼を得ている。そのなかにはDIYからメジャーへ飛躍したバンドも少なくないが、彼がブッキングすれば、ヤーヤーヤーズ、ライヤーズ、アニマル・コレクティブ、!!!、ライトニング・ボルトといったバンドも違う角度から見ることができる。新しいブッカーをサポートし、オール・エイジのイヴェントが載った新聞(ショー・ペーパー https://showpaper.org/)を発行し、バンドにスタジオを貸し出し、2012年3月は、ガールズなども出演する、メキシコでのフェスティヴァル(https://thenjunderground.com/
https://www.brooklynvegan.com/)をオーガナイズするなど、常に新しいチャレンジを続けている。
 今回はトッド・Pに、10年前と現在のUSアンダーグラウンドシーン、デジタル音楽、インターネットとDIY音楽の関係、彼のブッキング姿勢とDIYにこだわる理由、未来の音楽シーンなどを訊いた。

チケットはクレジットカードで、オンラインで買うし、家を出る前にバンドのMP3をチェックしてからショーに行く。前売りチケットが売り切れになるショーの客は、シーンのなかでも最高に保守的な人びとが中心だ。面白くも楽しくもない。

まず自己紹介をお願いします。どのように音楽に関わって、どのようにブルックリンでショーをブッキングしはじめたのか教えてください。

トッド・P:こんにちは、僕はトッド・パトリック。2001年、ニューヨークに引っ越してきて、その秋からショーをブッキングしている。その前にはオレゴン州のポートランドで、オール・エイジの会場を運営していた。その前は、大学に行ったオースティンでバンドをしながら、ショーをブックしていた。ショーをブックしはじめたのは、僕が見たいバンドが、その町では見れなかったから。

私は、まだマイティロボットという、伝説的なブルックリンのロフト・スペース兼アーティスト集団がいた時期から、あなたのことを知っているのですが、その頃からいろんなオーガナイザーが育ってきましたよね。

トッド・P:その通り。2000年初期にあたりには、フィッツ(ツイステッド・ワンズ)、ラス・ウエアハウス、ラピッド(カイルとタリ)、BJワルシャウ(パーツ・アンド・レイバー)、セス・ミスターカ、ハッピー・バースディ・ハイドアウトなど、たくさんのオーガナイザーがいたけど、彼らはずいぶん前に引っ越したり、やめてしまった。その頃にオーガナイザーの世代交代をみたし、幸いにも止まることなく、少なくても十分な人がニューヨークでショーをオーガナイズしているし、10年前とは違って、ショーは年ごとに増えている。

■あなたがブルックリンでショーをブックしはじめたときと比べて、現在のアメリカのアンダーグラウンド・シーンはどのように変化しましたか?

トッド・P:インターネットのおかげでサブカルがレヴェルアップしたよ。人びとが前と同じようなことを実践していない。「アンダーグラウンド・ミュージック」という言葉が昔と同じ意味で使われるのかもわからないけど、まだ評価のはっきりしない驚くべき小さいバンドがいて、彼らのショーを隠れた、ぎりぎり合法でない場所でブックする大きなコミュニティがあるのは事実なんだ。インターネットでたくさんのモノを得られるのは良いし、現在生まれるバンドは音楽的影響のある広いパレットに露出するのが簡単で、それが音楽を面白くしている。
 インターネットの最初の見込みは、情報と考えの真実の分配を民主化する乗り物だった。プロモーター、バンド、レーベルが、彼らの利益のために(いつも変化するが)、インターネットをどのように使うか、実務知識があるなら、昔は「アンダーグラウンド」と社会から疎外されていたバンドとオーディエンスがコネクトするのは今は簡単だ。インターネットが持つ/持っていた、アーティストとオーディエンスを直接コネクトするというすべての約束や可能性は、よくも悪くは多すぎる情報、人びとの注意の主要なルートである企業支配にかかっている。さらにインターネットは人びとにアイデンティティのいち部として「アンダーグラウンド・ミュージック」におく価値を縮小した。ゆえに「アンダーグラウンド・ミュージック」の好みとシーンのコミュニティは、疎外からの救命ボートやメインストリームへの不満ではなくなってしまったし、そういうひとたちにとっては、音楽は生活のなかでさらに意味のないものになっている。

2012年は、バンドやレーベルはCDやMP3ではなく、レコードやカセットテープをリリースしているし、アンダーグラウンド・ミュージックシーンは原点回帰しているように見えますが......

トッド・P:たくさんの人がインデペンデントな録音物などの「モノ」が存在し、それを手に入れることが難しかった時代を懐かしんでいる。昔の小さなシーンが持っていたより密接した感情の延長としてのモノだよね。レアレコードはなくなったものへの懐かしさの明示だし、バンドやシーンの人びとはバンドを、彼らが不明瞭で良い状態のままに残しておきたいんだ。言えるのは、バズ・バンド(=バンドをメジャーへ押し上げ、もてはやさせる)文化は良いバンドをダメにし、彼らにつまらない2枚目のアルバムを作らせる。僕は人がなぜ良い音楽を秘密にしておきたいかがわかる。ヴァイナル・レコードやテープは部屋の見栄えを良くするし、ツアー・バンドやレーベルから直接買える「物」である。だいたいね、デジタルで音楽を売っても金は儲からないんだ。

さらに、フリート・フォクシーズのようなブルージーでシンガーソングライタースタイルの60年代から出てきたようなバンドやキャッチーでシンプルなポップ・ソングをプレイするガールズなどがいて、実際彼らがアメリカや日本では2011~2012年を代表する「成功」したバンドになっていますよね。

トッド・P:僕は良いポップ・ソングが好きで、こういった50~60年代のAMラジオや7インチ・シングルに登場するような、1曲ヒットを人々が追うような「シングル・バンド」文化が戻ってくるのを見るのは嬉しい。だけど、ほとんどのこういうバンドは他に曲がなく消えて行く。残念ながらインディ・レーベル、ブッキング・エージェンシー、ブログ、プレス業界の経済状況は、キャッチーな曲が書けて、少なくとも3年はハイプなレコードが作れるインディ・ロッカーに頼り切っている。産業や物事のトーンがわからないビジネスマンの圧力、オーディエンスの神経を苛立たせるように、快楽に飽きた偏狭な姿勢がインディ有名人の主流階層を作る。それらはすべて一貫した良質の「ヒット」音楽を作れるインディ・バンドに、事実上、不可能な状況を作っているんだ。

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photos : Erez Avissar

ヴァイナル・レコード、カセット、ファンジンなどのレアな物、実際の物体を自分の手に入れるという欲望が関係しているよ。その瞬間を具体化し、1年後に引き出したり、集めることのできる記念物を創造したいんだ。ハードコアやパンクがすでに出来上がった音楽産業に挑戦したのと同じ方法でアートでも挑戦したい。

ショーをブッキングするときの会場、バンド、日程など、どこに気をつけますか? あなたのブッキングのスタイルを紹介してください。

トッド・P:ツアーバンド(もしくは地元でも滅多にプレイしないバンド)の予定からはいる。彼らが、ある範囲の日程を指定し、それに合わせて動きはじめる。一緒にプレイするバンド(アメリカでは大体3~4バンド)は軸になるバンドの補足だが、いつもそうとは限らない。僕は同心円のように、バンドのコネクションを考える。重要な部分は、彼らが被るところだけでなく、お互いのオーディエンスが撃退するところ。共演するバンドは似たような音である必要はないが、他のバンドのオーディエンスがそのバンドを見るのを嫌う「何か」があってはいけない。理想は、バンドの影響とオーディンスのあいだにコネクションやハーモニーを見つけ、「部分」の合計を超えるものと等しくなること。これは、そういったバンドや音にさらされない人に、新しいバンドを紹介する方法なんだ。ただ、これらの危険は、ツアー・バンドのために、会場に人をたくさんいれるブッカーの責任とし、バランスを保たなければならない。
 次は場所で、何年か前までは、ダイヴバー、ロフトスペース、アートギャラリー、レストランなどで、そこでブックをしたくなくなるまで、もしくは、なくなってしまうまで、他の人の会場でブックしていた。大体一晩に、いくつかショーが同時進行している。良い人もそうでない人もいたけど、これらのスペースを運営するたくさんの人に、たくさんお金を稼いだ。そのうちに、お金を貯めて、長く借りれる新しい場所を探し、自分の好きなようにセットアップしようとした。サイレント・バーン、モンスター・アイランドの地下(ラーノ・エスタカド)、マーケットホテル、285ケントなど。僕は、初期のデス・バイ・オーディオ、グラス・ランズ/グラス・ハウス、ケーキ・ショップ、スタジオB、ドン・ペドロ、にも関わっていたけど、これらは他の人のスペース。僕は、いつも自分が快適だと思った場所を選んでいる。スペースが適度にあり、十分な音響設備、見栄えがあり、場所が便利であること。幸い、ニューヨーカーは、場所に関して愛があるので、新しく、知られていない場所だと、よりたくさんの人を呼ぶことができる。

10年前と比べてオーディエンスは変化しましたか? 私は個人的に、新しい世代はよりオーガニックで、静かで、あまり羽目を外さないように思いますが。

トッド・P:今日のオーディエンスはインターネットで育ったからね。チケットはクレジットカードで、オンラインで買うし、家を出る前にバンドのMP3をチェックしてからショーに行く。客の構成が変ったよね。前売りチケットが売り切れになるショーの客は、シーンのなかでもとくに保守的で、退屈な人びとが中心だ。自分のナイトライフを前持って計画し、この夜のために何が必要か考えて、コンサートのチケットをオンラインで買って、小さなiPhoneカレンダーに入れているようなね。このタイプの連中は面白くも楽しくもないね。これが「クール・キッズ」と呼ばれる連中を、前売り売り切れのショーに行かなくさせている理由で、大きいスケールで人気が出たバンドがもともとのオーディエンスをなくすという、強いハイパー現象はオーディエンスを急速にほとんどひと晩で飽きさせる。
 インターネットの分配とメディアの爆発は多くの人々に「インディ」をあたかもムーヴメントのようにしたてあげ、より多くの「インディ・バンド」(たぶん多すぎる)やムーヴメントの「基準」を知らない人を生んだ。オーディエンスも増えたけど、より細かく分配されて、投資は少なくなっている。昔のライトニング・ボルトのような、いろんな種類の音楽好きで鳴り響いているバンドやショーを見ることはない。ニューヨークはこれらの状況に関しては、世界でもっとも最悪な場所だと思う。ショーはどこよりも多いし、見に行く場所はたくさんあるけど、人びとはオンラインにいる(スマートフォンを通して)、どこの場所より、たくさんお金を持っている。しかも僕らの昔ながらのオーディンスは本物の偏狭な馬鹿だと評される。
 しかし、彼らには「本物の愛」があって、危険でセクシーだった古き良きニューヨークを人びとに思い出させる。僕たちDIYブッカーは、疲れきったニューヨークのオーディエンスから好感を持たれる。なぜなら、都会は上流階級層のホテル・ブランドやハイエンドなカクテル・バーに支配されているけど、僕たちは安くて、気取りのないセッティングで、素晴らしくて、まだ知られていないバンドを人びとに提供して、そして同じような考えを持った人に会う機会も作っている。人は、魅力的で、価格に見合ったドリンク、新しい良い音楽、キチンとしたセッティングに興奮する。

あなたのウェブ・サイトには、たくさんのDIYブッカーが載っていますが、なぜDIYにこだわるのですか? それとDIYのショーばかりが載っているショーペーパーとあなたの関係を教えてください。

トッド・P:僕がDIYにこだわるのは、良い音楽が生まれるところだから。このシーンやショーをブックする人がいなかったら、小さなバンドはプレイする場所がないし、音楽コミュニティは淀む。2001年に僕がニューヨークに来たときは、インディ・ミュージック業界は20年分の淀みがあったけど、たくさんの人(僕だけでなく)が働いたおかげで良くなった。ニューヨーク以外のバンドが、ニューヨークの、不完全なクラブ・システム以外でプレイできるように、型を破って、場所を設立した。
 僕は、抜き取った最近のDIYブッカーのリンクをウェブサイトに載せている。こういうアンダー・グラウンドのイヴェントを人に知ってもらうのがどれだけ大変か知っているし、とくに前のように定期的にショーをブックしなくなってからは僕のサイトに来るヒットを共有したいし、良い人がオーガナイズしている良い場所でバンドがプレイできるように助けたい。
 僕が『ショーペーパー』を立ち上て、エグゼクティブ・プロデューサーをやっている(毎日の仕事を回すジョー・アヘーンと一緒に運営)。『ショーペーパー』は2週間にいちど発行され、1枚の大きい紙にプリントされた、イヴェントが載った新聞だよ。フルカラーで、表にはいまのアーティストの作品がプリントされ、裏には包括的なイヴェント・リスティングが載っている。僕がたくさんいるなかから、レイモンド・ペティボン、ジェネシス・ブレイヤー・ポリッジ、マーク・マザーズバーグ、クリス・ヨハンソン、タケシ・ムラタ、アウレル・シュミッドなどのアーティストを選んでいる。ペーパーは、オールエイジと$25以下のショー、ニューヨーク、ニュージャージー、コネティカットのものしか載せていない。ほかにシーンにインスパイアされた星占いと読者がショーで見てもっと知りたい人のことを投稿する「私はあなたを見た」というセクションで構成されている。
 『ショーペーパー』が、プリントのみ(オンラインがない)なのは、いろいろ理由があるんだ。これらのイヴェントは、個人の家の場合も多いので露出に気をつけている。これらのショーを見つけてほしいけど、それよりもまず『ショーペーパー』を探してほしい。ヴァイナル・レコード、カセット、ファンジンなどのレアな物、実際の物体を自分の手に入れるという欲望が関係しているよ。その瞬間を具体化し、1年後に引き出したり、集めることのできる記念物を創造したいんだ。ハードコアやパンクがすでに出来上がった音楽産業に挑戦したのと同じ方法でアートでも挑戦したいし、面白い感覚を持つ若い人のヴィジュアル・アートを表に持ってきて、ヴィジュアル・アーティストを露出する他の方法も作りたかった。現代アーティストの作品がプリントされた、1万枚のフリーポスターが、2週間ごとにニューヨークのストリートにディストリビュートされ、キッズのベッドルームのそばに存在する。

あなたは古いダイナー、駐車場、中古冷蔵庫屋、最近では、中華レストランなど、たくさんの変わった場所で、ショーをブックしていますが、どのように場所を見つけるのですか? また、とても印象に残っている場所はありますか?

トッド・P:ショーができるところならどこでもいい。場所はたんにバンドがプレイするところだから、きちんとした会場である必要もない 。

あなたが以前、モンスターアイランドの地下を持っていたのは知っていますが、いまの状況は自分の会場を見つけようとしているのでしょうか? それとも、いろんな会場で、もっとショーをブックしていきたいのでしょうか?

トッド・P:僕はいくつかの「会場」を立ち上げ、運営していて、さらに多くの会場運営にも関わっている。ほとんどの会場はいち時的にデザインしたモノで合法ギリギリなんだ。最近は〈285ケント〉という会場を経営していて、僕のパートナー、リック・レイチュンとジョン・ランポにブッキングを任せている。
 1年半前にショーのブックを止めた〈マーケット・ホテル〉という場所にもリースを持っていて、近いうちに利益を生まない会場として再開し、ショーをブックするつもり。マーケット・ホテル・プロジェクトは、スペースに永久的に利益を生まない、合法な会場であるという許可と免許を取るため、申告書を作ったり、リノベーション工事過程をまかなうために、寛大にも10万ドルの補助金を受け取った。〈285ケント〉も同じような過程を巡り、許可を取った利益のための会場として永久的な会場になる予定なんだ。

地元のバンドで、あなたが2012年にチェックしておきたいバンドを紹介してください。それと2012年の、アメリカのアンダーグラウンド・ミュージック・シーン(とくにブルックリン)についての予測を教えてください。

トッド・P:2012年に期待するバンドは、グレイテスト・ヒッツ、DJドッグ・ディッグ、ソウン・レザー、ジェイムス・ファラーロ、ポピュレーション1280などなど (編集部注:DJドッグ・ディッグ、ソウン・レザー、ジェイムス・ファラーロは次号紙エレキングにインタヴュー掲載されます!)
 2012年に何がヒットするかはわからないけど、使い捨てのバズ・バンド・シーンとインディペンデント・バンドが挑発するシーンが分裂するとみている。この分裂は広くて、インディ・ロックと呼ばれるのはどこかメイン・ストリームのオルタナティブ・ロックにいって、本当に音楽を愛する僕たちのための面白い音楽だけが残るとよい。

2012年、何に期待しているか、何に不安になっているか、何をしたいか、何に気をつけるか、何か声を大にして言いたいこと、アメリカ・アンダーグラウンド・ミュージックの予測に対して意見をください。

トッド・P:いま挙げたすべてのものをアドレスしたと思うけど、いちばんの心配事はオーディエンスがインディペンデント・ミュージックを与えられたモノと取って、小さなショーや知られていないバンドをサポートしなくなることだ。あり余るものに飽き飽きし、それにタイトルを与えるのは簡単だけど、それがコミュニティを衰退させる。救われるの、新しい世代ごとのオーディエンスが新しいことや音に飢えているのを感じるってことだね。アンダーグラウンド・ミュージックとは、いちばんのっている若いアーティストたちがいつも楽しみにしていること、それが世界が成り立つところだから。

■Link

1.toddpnyc.com

2.トッドPが、オーガナイズを始めて10年記念:
https://www.villagevoice.com/2011-10-19/music/todd-patrick..

3.トッドPが最近ブックした中華レストランでのショー:
https://blogs.villagevoice.com/music/2012/01/todd_p...

4.トッドPがオーガナイズするショーは大体こんな感じ:
ジ・オー・シー・ズ @285ケント
www.pitchfork.com/tv/youtube/1-plus-one/62-thee-oh-sees

*本コラムにもレポートあり
/ele-king/regulars/randomaccessny/

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