ジュアナ・バーウィックとフェネスあたりとの溝を埋めるのが、ブルックリンの〈リヴェンジ〉レーベルから昨年末にデビュー・アルバム『ムーヴメント』を発表した、女性プロデューサー、ホリー・ハードンだ。彼女の「声」ネタのアルバムは、いろいろな意味で、──サイバー・フェミニズムの点からも「声」ネタの点からもアンビエント/ドローンの点かも──面白い。グルーパーとローレル・ヘイローとメデリン・マーキーの3人が好きな人にはぜひ聴いてもらいたいアルバムだ。
さて、ホリー・ハードンの『ムーヴメント』からこの度シングルが切られることになったのだが、そのリミキサーがNHK'Koyxenときた。ふたりはロンドンで知り合ったそうだが、NHKは最近の彼の作風のように、ダンス・ミュージックへと再構築している。ゆがんだルーピングと不規則な反復を活かした展開に惹かれる。
〈リヴェンジ〉も不思議なレーベルで、昨年のサン・アロウとコンゴスの共作が記憶に新しいが、最近はマルコム・ムーニー(CANのオリジナル・ヴォーカリスト)のソロを出したかと思えば、もうすぐリリースされるであろうマックスミリオン・ダンバー(Maxmillion Dunbar)は、初期のデリック・メイよろしく透き通ったデトロイティッシュ・サウンドだったりする。
このレーベルの独創性というか、ジュリア・ホルターやジュリアナ・バーウィックを出したかと思えば、ホアン・アトキンスをリミキサーに起用してみたり、ジェフ・ミルズやアンソニー・ムーア(スラップ・ハッピー)なんかまで出したりとか、そのリリースのセンスには非凡さを感じる。
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スコット・ウォーカーは、コード(和音)とディスコード(不協和音)の間にあるサウンドにオブセストしている人だという。
刃物を研ぐ音だの、食肉をパンチしている音だのを音源としながら、和音と不協和音の間のもやもやとしたところを彷徨っているというのだから、それはある種の覚悟がなければ聴ける音楽ではない。和音=安心。不協和音=恐怖。と定義すれば、その間にあるものは、不安。だろう。フィジカルに言えば、痛いのはわりと耐えられるが、痒いのは耐え難いというのと同じで、精神的には不安が一番やばい。これに比べれば、恐怖はポップである。メンタルヘルス上でも、一番良くないのは「unstable」な状態らしい。
音楽を生業とする人ならいいだろうが、地べたで労働している人間は、そんなところに連れて行かれる音楽はあまり聴きたくない。だから、スコット・ウォーカーは「過去の人」と呼ばれるようになった。が、リスナーをそんなところまで連れて行ける音楽家は稀有なため、彼はその道のプロたちのアイコンになる。錚々たる顔ぶれのUKアーティストが彼を絶賛するドキュメンタリーは『Scott Walker: 30 Century Man』というタイトルだが、彼は時間軸的な先をおこなっているわけではないと思う。
別の次元に進んでいるのだ。
当該ドキュメンタリーの製作総指揮はデヴィッド・ボウイだ。そのわりには、映像中で彼の曲を聴きながら、くくっと笑ってみたり、「彼が何を歌ってるかなんて興味ない」と言ってみたり、現代の日本語で言うならツンデレとでもいうような性格が見えて微笑ましいが、低音の魅力で歌い上げる痩身の美男。という点では、彼らは似ていた。いっぽうはロック歌手として、いっぽうはポップ歌手として一世を風靡し、ロック歌手は自らというスターをリプロデュースし続けて伝説となり、ポップ歌手は音楽を創造することに拘泥して隠匿した。ふたりは同じコインの裏と表のようだ。少なくとも、ボウイの方にはその認識はあるように思われる。
そのボウイが「再び彼を意識したのは、このアルバム」と言うウォーカー・ブラザーズの最終アルバム『Nite Flights』は、ブライアン・イーノが「屈辱を感じる」と評するような名盤だが、〈4AD〉のサイトによれば、『Bish Bosch』は「1978年の『Nite Flights』から彼がはじめた探求の線上にある最新作」だそうだ。
個人的に一番気に入ったのは"Epizootics!"と"Phrasing"だ。躍動する不安。とでもいうような、ねじ曲がった高揚感がある。前述の映像で最も印象的だったのは、このような音楽を作りながらも、スタジオの様子は妙に活気に溢れていたということだったが、これらの曲はその現場の風景を思い出させる。
さらに、これを書いている時点での英国は雪に覆われているのだが、"The Day the "Conductor" Died(An Xmas Song)"があまりにも窓の外の光景にフィットして困っている。これにしろ、独裁者の処刑と臨終がテーマの一筋縄ではいかないクリスマス・ソングだが、この美しさは危ない。嵌っていると戻って来れなくなりそうなので、ぶつっと音を止めて立ち上がりたくなるほど、この世のものではない。
思えば、スコット・ウォーカーの場合、歌になっているからやばいのだ。アンビエントでもインダストリアルでもノイズでも何でもいいが、こういうのをやろうとする人たちは、今どきの世界にはけっこういる。しかし、彼の場合は本質的に歌だというのが変なのだ。まるで異次元界のひずんだ(しかし、あちらの世界ではしごくまっとうな)流行歌みたいで、オペラみたいで、聖歌みたいで、それが人間の肉声だから、人間の肉体の一部である脳がずるっと持っていかれてしまう。
もっと先へ。行けるところまで先へ。を志向する高齢アーティストを敬愛する。と以前書いたことがあるが、スコット・ウォーカーは、いったいどこまで行ってしまうんだろう。この人もまた、アラウンド・セヴンティの爺さんのひとりなんだが。
(ボウイも新譜を出すようなので、コインの裏から先に聴いたようなもんだが、こうなってくると表も楽しみだ)
1/26(土) mayim mayim @MORE(下北沢)
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バンドは効率悪いなーとは思いますけどね。ぜんぜん、自分たちのお金になんないし。機材だって、ライヴハウスでやるんならいいけど基本的にはすごくかさばる。制作費もかさむ。でも、入ってくるお金は4等分。(夏目)
![]() シャムキャッツ - たからじま Pヴァイン |
とにかくスカッとしないことだらけだ。現在、2013年日本における、もっともまっとうな気分があるとしたら、多分、こんな具合じゃないのかな。「いやー、どうしたもんかなー、正直わかんねーなー、いや、まいったなー」。正直な話。だが、そんな状態が長く続きすぎたりすると、「これこそが解答だ!」と思わず胸を高まらせてくれるような絶対的な表現が欲しくなってしまうもの。そんなもの、ありゃしないのにね。いや、わかってるんですよ。でもね。
この『たからじま』という作品は、ダーティ・プロジェクターズに対する日本からの解答であり、ある意味、本家を凌駕してしまってると言っていい。と同時に、シャムキャッツというバンドが喜ばしき発展途上の過程にあることを示したアルバムだ。いたるところ、きらめく可能性の宝庫であり、「決定的な一言」はない――勿論、いい意味で。なぜなら、ここにあるのは、90年代ペイヴメントに端を発する、「自分自身が一瞬でも感じたことのある確信をエモーショナルに断言することは出来ない」という、ポストモダンな感性だからだ。勿論、こいつは危険といえば危険。そいつをこじらせてしまった場合、何も出来なくなってしまうからね。バートルビーよろしく一言も発することが出来なくなってしまう場合だってある。俺みたいに。
だが、シャムキャッツの『たからじま』は、そうした下らない現代的な病いに対するリアクションとしては最良のひとつだ。間違いなく。何よりもグルーヴと呼んでいいものかどうか躊躇せずにはいられない、ぐらぐらと揺れまくるバンド・アンサンブルが素晴らしい。絶対的な「たったひとつの正解」を必死に模索しながら、躊躇に躊躇を重ねて、だが、ようやく辿り着いた「いま」に着地している。これでもない、あれでもない、そうか、これか、取りあえずこれか。それゆえ、時には歯切れが良くない場合だってある。だって、確信なんてないんだもん。だが、だからこそリアルだ、とさえ思う。
一聴する限りでは、この42分51秒の時間軸には穏やかな空気が流れてはいるが、その底流にはどうにも隠しきれない苛立ちがある。思わず過剰にシリアスになったり、過剰にエモーショナルになってしまいそうな自身に対する照れやはぐらかしがあり、思わず取りあえずの正しさを主張してしまいそうな自分自身に対する戒めがある。だが、と同時にここには、そんな所在なさげな時代の感性を笑い飛ばせるだけの知性とユーモアがあって、そんな風に時代に足をからめとられずにはいられない不甲斐なさをそのままサウンドに全力で叩きつけるだけの無鉄砲さがある。そして、何よりも、時代とじっくりとのんびりと対峙していこうという、肝が据わったところがある。あまりに見事だと、溜飲を下げずにはいられない。
なので、迷わず彼らに一票を投じたい。去年は生まれて初めて選挙に行くなんて、それほど本意ではないこともあったことだし。そして、「あんたもこいつらに賭けてみろよ」と無責任に言い放ちたい。本当の本当のことを言えば、そうは言えないのだけども、そう言いたくて言いたくてたまらない――こんな風に、どうにも面倒臭い気分にさせてしまう何かが、この『たからじま』にはある。それはきっと、とても素晴らしいことだ。
ポップとは、何かしらのアイデアの提示であって、問いかけであって、正解ではない。焦んなよ。気楽に行こうぜ。なんだかやれそう、な気がしないでもない。
■いま、これだけ音楽産業が変化しているなかで、いわゆるヒッツヴィル的な音楽ーーソングライターがいて、プロデューサーがいて、シンガーがいて、ミュージシャンがいて、っていうかたちで戦略的なポップ・マテリアルを作り出していくっていうスタイルは、産業的なモチヴェーションとしてすごく理解できる。だけど、そうじゃなくて、わざわざバンドを結成して、自らの表現というものをやる――ただ人に聴かせたいってだけじゃなくて、お金にもしなきゃならない――モチヴェーションって、あんまり想像つかないんだよね。いきなり失礼な話なんだけど(笑)。
(一同笑)
夏目:バンドは効率悪いなーとは思いますけどね。ぜんぜん、自分たちのお金になんないし。機材だって、ライヴハウスでやるんならいいけど基本的にはすごくかさばる。制作費もかさむ。でも、入ってくるお金は4等分。ロスがでかいですよね。食えないすよね、全然(笑)。
■しかも、ヒッツヴィル音楽に比べて、作れるものも限られてくるでしょ。いい意味でも悪い意味でも、音楽的にやれることも限られてる。
菅原:あんま思わないかな......はじまりが4人だったから、それがあたりまえというか。逆にひとりになったら、ちょっとさびしくなっちゃうかな。
藤村:おもしろくないでしょ。
大塚:むしろ4人の方が広がるし、おもしろくなるってみんな思ってるんじゃないかな。
■それは音楽的にということ? 音楽以外のおもしろさもある?
夏目:あると思います。でも、そのへんは重なる部分もあって、コミュニケーションとしてのおもしろさと、音楽的なおもしろさとはほとんど同じかな。曲作りでも、スタジオで誰かがなんか変なことをやりだしたりすると、「あ、ちょっとそれ続けてやってみてよ」、「いや、やっぱりボツ」とかってやりとりが生まれていくんですけど、そういうことの積み重ねがおもしろいですね。曲作りをひとりでコンプリートすることはできると思うんですけど、それだとおもしろくないんですよね。面倒くさいし。
菅原:見通しがついちゃうし。
夏目:みんなに(曲作りを)放り投げていったほうがいいかなって。
■実際にはシャムキャッツのアンサンブルって、時おり、「これ、アンサンブルとして成り立ってるのかな?」っていうムチャなところもがあるじゃない。テンプレートになってるようなスタイル化されたアンサンブルじゃなくて、「いや、それ、ちょっと無理があるんじゃないかな?」みたいなさ(笑)。
(一同笑)
いちばん楽しいものを選び取ってるんだよな? たぶん。(夏目)
うん。それをやめないわけだからね。(菅原)
■でも、それは、一般的なバンド・アンサンブルというのを理解していないとか、演奏力が追いついていってないとかってことではなくて、「あえて選び取っている」んだよね?
夏目:そうですね(笑)。いちばん楽しいものを選び取ってるんだよな? たぶん。
菅原:うん。それをやめないわけだからね。
大塚:夏目はわからないけど、他の3人は「自分たちの望むテイスト」みたいなものをそんなには持ってなくて、「何か望まないことが起きたらいいな」って思ってるかな。「自分たちの想像よりちょっと上のものができたら楽しいな」って。それが「アンサンブルじゃないアンサンブル」ってやつになってるのかもしれない。
菅原:「これは普通だからやめとこう」ってふうに避けてる作業っていうのはあるかもしれないよね、4人で合わせるなかで。まあ、でも基本的にできないんで。俺ら。ちゃんとできないっていう、単純に技術の問題なんですけど(笑)。
夏目:俺ら、最初から目標にしてるようなものってないんですよ。こうしたいって目指してるものの像がないから、軌道からズレてるって感覚もないですね。
■ただ大方の場合、人って何かをはじめるときに、ロールモデルとするものがあったりするじゃないですか。でも、シャムキャッツの場合、バンドとして、アンサンブルとして、あるいは、楽曲の仕上がりとしてのロールモデルーーそういうものは持たないようにしてるの?
藤村:そういうのは複合的なものだよね。
夏目:うん。ひとつの曲に対して、自分たちの知ってる3~4バンドをミックスしたモンスターみたいなものを仮定して、それを目指していくって感じかな。
藤村:うん、そう。そういうモンスターみたいなものを作りたい。
菅原:でも、こういう意見の共有だって、大して機能してなかったりするんですよ。ふたりがこうして話している反対側で、「俺ら、わかんないねー」って言ってたりすることもあるし、そういうところがおもしろさかな。完全に4人の意見が一致して「これだ!」って言いながら作った曲はないね。
夏目:ないね。
藤村:真似るのがうまいミュージシャンは多いなって思います。ロールモデルがあって、それにかなり近い音を出すことができる。でも僕らはそういうことができない。
夏目:ああ、真似るのがうまくないね。真似られない。どう考えても、ストロークスみたいなのができないんですよ!
■えっ、そんなの難しくないじゃん! ストロークスとかって、それぞれの楽器の役割がすごくはっきりしてるバンドじゃない。
夏目:うん、難しくないはずなんですけど......いや、どうやったらいいかっていうのはもう、わかってるんですよ。でもバンドとしてやったときに、たぶんできないですね。ロック・バンドをやりたいけど、やるならば何かに似たくないっていう思いが、バンドをはじめた当初はすごく強くて。だから、当時はほんとにわけのわからない曲ばっかりで、最近やっと「らしく」なってきたって感じですよ。ずっと「すべての音楽に対してカウンターたり得る音楽って何だろう?」って思ってたけど、それだと音楽にならない。でも音楽が好きなわけだからそれっぽいものができてくる。それで、「ああ、“ぽい”ものが......バンドっぽいものができてしまったなあ」とかって悩みながら進んできたバンドなんですよね。でも、やっと踏ん切りがついて、「こういう感じでいいかな」っていうのが最近はある。
■というのが、まさにこのアルバム、ってことかな?
夏目:そうですね。
[[SplitPage]]ずっと「すべての音楽に対してカウンターたり得る音楽って何だろう?」って思ってたけど、それだと音楽にならない。でも音楽が好きなわけだからそれっぽいものができてくる。それで、「ああ、“ぽい”ものが......バンドっぽいものができてしまったなあ」とかって悩みながら進んできたバンドなんですよね。(夏目)
![]() シャムキャッツ - たからじま Pヴァイン |
■それはわかりやすいね(笑)。じゃあ、教えて下さい。そもそもいちばん最初にあったっていう、「何ものにもなりたくない」「いまあるすべてのもののカウンターでいたい」っていうアティテュードはどこから出てきたの? そう思う人ももちろんいるけど、そう思わない人のほうが多いし、そう思う人にはそれなりの理由があると思う。それは何?
夏目:何なんだろうな......。
藤村:それは幼少時代からじゃないかな。
菅原:うん。幼少時代からそうでしたよ。なんだっけ、「君臨すれども統治せず」って夏目はよく言われてたじゃん(笑)。何かしらコミュニティがあれば必ずそこの長(おさ)になっちゃうんですよ。生徒会長とか、バレー部の部長とか。でもなんか、統治しない。なんなんだろうね? とりあえず一番になりたい、とか、モテたいとか?
夏目:「モテたい」はあんまりないかなー。うーん、どうだろう、そうじゃないとおもしろくないというか。いまだにすごく覚えてるのが、小学生のときにビートルズを聴いて、「すごいヘンテコだな」って思ったことですね。小学4~5年で、自分もまわりも、ミスチルとかスピッツとか奥田民生とか聴いてた頃ですけど、家にあったビートルズの編集盤を聴いて、「こんなにヘンテコなものが世界でいちばん有名なのか!」って思いました。絵がもともと好きで、よく見たりしてたんですが、絵の世界だとピカソとか、ゴッホとかもっとも不思議なものがいちばん有名だったりはするじゃないですか。けど、日本の音楽ってそういうことじゃない。「おもしろくないなー」って感じてました。だから、「何か突出した、曲がった部分や変な部分がないとオリジナルとは言えない」という、強迫観念のようなものが強いんですよね。
■じゃあ、ビートルズに関しては、サウンドうんぬんではなくて、アティテュードとして、ポジショニングとして、スタンスとして、最初のロールモデルではあったわけだ。
藤村:かなりあったでしょ。
■ただビートルズはとても幸福なバンドでもあって、活動が61~62年から69年まででしょ? 社会的な発展や変化もここ100年ではもっとも劇的だった時代。なおかつ、音楽においてもサウンドの進化、録音技術の進化、メディアの変化と、いろんな変化の渦中にあった時代なわけで、「変わること」にいちばん価値があったんだよね。ただ、2012年のいまは、もう出揃ってしまってるでしょ? 「新しい」という言葉はあまりいい意味では使われなかったりもするよね。そんな時代に新しさを標榜するのはどうなんだと思います?
夏目:「まだあるんじゃないかな」って気持ちがちょっとあるんですよね。「まだ出揃ってないぞ」っていう気がしてる。それを探してる途中ですかね。あと7枚くらいアルバム出さなきゃだめかもしれないけど(笑)。
■じゃあ、その目的地というのは? こうしたら到達できたっていうような進化のベクトルはどういうものなの? 完成度ではないわけだよね?
夏目:どうなんだろうねえ。
藤村:考えたことがないね。
夏目:これまであまりストーリー性とか、脈絡を気にせずにアルバムを作ってきたんですけど、ちょっとそのあたりを整頓したアルバムを作りたいなという気にはなってきました。そうすれば到達点がどこかということは見えてくるかなと思いますね。こういうアンサンブル、こういうバンド感、こういう歌詞の世界が作れましたという結果を見えるかたちにできたらいいなという気持ちがあります。
■では、そういうものの考え方、ものの見方、ものの進め方を、同じようにしているだろうアーティストやバンドは誰かいます? いま現在で。
夏目:古いものを崩して新しくしてるってことでは、ダーティ・プロジェクターズの3枚前くらいからのアルバムは、「あー、俺もこういうことやりたかったなー」とは思いました。「でも頭良さそうだし、無理かなー」とか(笑)。もうちょっと売れる感じの方がいいんだよ、俺ら、きっと(笑)。だから、「もっとブラーな感じのダーティ・プロジェクターズ」とか。あ、それやっちゃおうか。
■(笑)いま話してくれたみたいなバンド組織論にしてもそうだけど、どんなものを作るのかってことに対して、すごく相対的な視線があるってことだよね。絶対的なイメージがあるわけじゃなくて、そのときどきの判断がある。「世の中が真っ黒になったから赤く染まってみる」とかさ。そういうジャッジの積み重ねってこと?
夏目:そうかもしれないですね。確かなのはこの4人でやるってことだけかもしんない。4人の判断だけですべてを決めるっていうルールだけははっきりあるかもしれないです。
菅原:4人そろって音出すと全然違うよね。
小学4~5年で、自分もまわりも、ミスチルとかスピッツとか奥田民生とか聴いてた頃ですけど、家にあったビートルズの編集盤を聴いて、「こんなにヘンテコなものが世界でいちばん有名なのか!」って思いました。(夏目)
■相対的にそのときどきの判断で物事を決めていって、テンプレ的なものから逃れていくっていうのは、どういうことなんだろう? 何を嫌がっていて何を求めているのか......。
夏目:うーん、感動しないですもん。そのテンプレ的なやつっていうのは。
■じゃあ、「今ある360度すべてに対するカウンターだ」というのは確かだと。
夏目:そこに出発点があるのは確かです。だって、すっごくヘコむんですよ。絶対に何かっぽくはなってしまうから。「ああ、○○っぽいとか言われるんだろうなあ」とか予想がつくし、そうなると「ああ、何ものにもなれてないわ」って、ほんとにヘコむんです。
菅原:4人でいることの4人らしさがなくなったりするといやかな、俺は。
藤村:新しさの種類も、この4人っていう絶対的なものがあった上での新しさというか。ただふつうに斬新だというだけの作品に、ヒューマニティを感じなかったりするけど、そういう「冷たい新しさ」みたいなものにはなりたくないです。
菅原:そういうのいちばんムカつくね。
■じゃあ、例えば、アニマル・コレクティヴのアルバムって、1枚ごとにサウンドが違うじゃない? ただ、「今回はこれです」っていうディレクションが明確だよね。それぞれのアルバムが、どういうアイディア、サウンド、機材、メンバーの関係性のなかで作られたものかがよくわかる。で、シャムキャッツの場合、1枚目に関して言えば、そういった統一感があったと思う。でも、今回はやらなかったよね?
夏目:そう、今回はやらなかったんですよ。
■それっていうのは、現時点でのバンドの考え方が、「ひとつのサウンドでひとつのアルバムを作る」ということではなくて、「1曲ごとにカジュアルな実験をしていく」っていうことにあったということ?
夏目:今回は完全にそうでしたね。あと、「こうなったらまとまるな」っていうアイディアがあんまりなかったので。期間も短かったですしね。次はもっと、はっきりしたディレクションを持ってやりたいなという気持ちはあります。まあ、わかんないですけどね(笑)。
菅原:計画性はないね。
■では、この『たからじま』というアルバムを作るにあたって、無意識的にでもいいので、不特定多数の人間の心をつかむためにこんな風にフォーカスした、という部分があれば教えてください。
大塚:歌を聴かせるアンサンブルですかね。いいメロディでいい歌ができたから、それをちゃんと届けられるようにって。
夏目:僕の場合、そこはプロデューサーの古里(おさむ)さんに投げちゃったかもしれないです。今回はとくに、そういうプロジェクトとして動いたんですよね、最初のミーティングから。ある程度いろいろなことができるようになってるけど、まだまだどんな引き出しがあるかわからないから、「とにかく曲ができたら投げてみてよ」っていう感じだったんですよ、古里さんは。なので、そのへんのジャッジはけっこう任せちゃいましたね。
[[SplitPage]]4人でいることの4人らしさがなくなったりするといやかな、俺は。(菅原)
![]() シャムキャッツ - たからじま Pヴァイン |
■なるほど。じゃあ、できあがった曲を4人それぞれ客観的に見てみた上で、こういう質問に答えてください。このアルバムを、自分のCD棚にテイストで分けて入れるとしたら、両側に入るのは何と何?
メンバー一同:ええー!
夏目:うわー、もうさっき言っちゃったような気がするな。
藤村:ひとつは浮かびましたけどね。『名前をつけてやる』。
■うん、スピッツの2ndアルバム。名盤ですね。
藤村:あのアルバムのフィーリングに近いものはあるんじゃないかと思います。歌詞にも変態的なものがあるかなと。そういうところが似ているかなと。
菅原:俺はやっぱり「2012年にCD屋に行って、買って......」って想像していくと、たぶん新譜になると思うので、そのなかで好きだったものですかね。だから、ダーティ・プロジェクターズの『スウィング・ロー・マゼラン』と、うーん、やっぱセロ(cero)とかになるかな。『マイ・ロスト・シティ』。
藤村:俺はセロで言うと1枚めかな。
夏目:セロ、かぶったらおもしろくないじゃん!(笑)。
菅原:俺はやっぱり、日本という場所でいっしょに生きていて、尊敬できる存在はセロかなあって。自分がシャムキャッツじゃなかったとしたら、チェックしてCD屋さんで買う2枚っていったら......昆虫キッズって言ったらかわいそうかなあ?
■いや、大丈夫でしょ。
藤村:大丈夫。
夏目:大丈夫。
ただふつうに斬新だというだけの作品に、ヒューマニティを感じなかったりするけど、そういう「冷たい新しさ」みたいなものにはなりたくないです。(藤村)
■ダーティ・プロジェクターズとセロを両側に置くとさ、両方とも彼らなりの完成形みたいなものが明確にあるよね。シャムキャッツはそことの違いがすごく特徴かなと思うけど。セロの場合、やっぱり、それぞれのタイミングでの自分たちの完成形っていうもののイメージが明確にあるじゃない?
藤村:でも1枚めはもうちょっと無骨な印象があって。だから1枚めのほうが好きですね。
大塚:俺の場合、全然ロックとか聴かなくて、ジャズとかしかわからないんで。うん......だから、シャムキャッツは絶対買わないね(笑)。でも、ちょっと無理やりかもしれないけど、マイルスとか、歌ものだったらジョニ・ミッチェルとか、ジャズ的な要素はシャムキャッツのなかに感じてて。即興だったりとか、完成形は見せないでライヴに持っていくっていうようなスタイルがあるのかもしれないとは思います。「音でコミュニケーションをとっているところをそのままパックする」っていうやり方は昔から好きで、そういうことを自分もプレイヤーとしてやりたいと思ってました。だから、たまたまジャズじゃなかったけど、この4人はそういうテイストが合ってるから、いっしょにやっているという感じです。
だから、ほんと無理やり並べる感じにはなるかもしれないけど、エレクトリック期のマイルスとか、ジョニ・ミッチェルがジャズのミュージシャンたちといっしょにやってたときの感じに近いかなとは、なんとなくだけど思ってた。
■いちおう選んどきましょう。エレクトリック・マイルスだと、どれ?
大塚:えー、マイルスだと、『オン・ザ・コーナー』。ジョニ・ミッチェルだったら、『ドン・ファン(のじゃじゃ馬娘)』とか。最近聴いてて、「あ、ダーティ・プロジェクターズっぽいな。源流にあるのかな」とか思ったりしました。
■うん、なるほど。非常に綺麗な答えが出ましたね。
菅原:やばい! 俺、やり直したい。もっと自分のルーツ的なところで行きたい!
(一同笑)
藤村:あ、俺もう1枚わかった。ペイヴメントの『ブライトゥン・ザ・コーナー』。
菅原:ああ、ずりぃなあー!
■じゃあ、シャムキャッツをして、よくペイヴメントって最初に比較されちゃうことについてはどうですか。どういうポイントにおいて「致し方なし」と思い、どこにおいて「うれしく」、どこにおいて「ちょっとノー・サンキュー」って感じますか?
夏目:ペイヴメントは好きだから、単純にそのレベルではオッケー。致し方なしと思うのは、バンドに取り込むスタイルとか、アンサンブルの崩壊の許容範囲とか。ペイヴメントも俺らも、人がグルーヴって思うところよりも遥かに大きい範囲をグルーヴって呼んでるんですよね、たぶん。そこは、致し方なし。
■ノー・サンキューって思うところは?
夏目:ノー・サンキューって思うところは......「だって、全然違うよ?」ってとこ(笑)。「よく聴くと全然違うぜ」って。まあ、そう思ってくれてもいいけどさ。
■まあ、夏目くんの声とか、歌い方とかね。コード・プログレッションとか、アンサンブルを聴けば接点ないんだけど、そういう部分で聴かれちゃうんだろうね。ヨレたグルーヴとひっくり返る寸前の声、っていう(笑)。
夏目:あー(笑)、そこか......。歌ってるとわかんないんだけど。で、えーと、俺の2枚はまず、ヴァインズのファースト(『ハイリー・イヴォルヴド』)。
■ほう!
夏目:と、ビートルズの『4人はアイドル』。
■ほう! そ、それは......いや、ちょっと文脈が見えないので、説明して下さい。
夏目:全体の印象ですけどね。例えば、いま名前の出たダーティ・プロジェクターズとか、セロとかは、時代的にはいっしょだし、音楽に対するアティテュードとかにも似たものがあるかもしれないけど、出てきた音にあまりにも差があると思って。俺だったら、そのラインでは同じ作品として並べない。たぶんもっとロックっぽいところに入れたい。で、「振れ幅がある方が入れがいがあるな」と思って。たぶん最近ので、こういういろんな曲の入った変なバランスのアルバムってそんなにないんじゃないか。わちゃわちゃとしてまとまってないな、けどなんか熱いなーっていうのが何かを考えたら、ヴァインズかなという答えが出ました。
■なるほど。あのアルバムって、すごくアグレッシヴな曲もあるし、ちょっと謎のスカみたいなのもあれば、すごいフォーキーなバラッドもあればっていう振れ幅があるよね。
夏目:『4人はアイドル』は、ちょっとサントラっぽいなと思って。俺たちのは、わかりやすい1曲めがパーン! とあって、あとはドラマチックないろんなタイプな曲が入ってて、人生で起こるいろんなことを歌ってる。そういう、ロック・バンドでサントラっぽいのは何だろうなって思ったときに、『ヘルプ!』(『4人はアイドル』の邦題)かな、と。
[[SplitPage]]「音でコミュニケーションをとっているところをそのままパックする」っていうやり方は昔から好きで、そういうことを自分もプレイヤーとしてやりたいと思ってました。(大塚)
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■なるほど、わかりました。じゃあ、ちょっと別の視点からの質問。さっきから、プレイヤー側から見て、「既存のものではないもの」への志向があるということはよくわかったんだけど、ただ、いわゆるリスナーからすると、いま話してたような聴き方は若干マニアックだと思うんだよね。アンサンブルを聴くとかさ、楽器の音色を聴くとか、構成を聴くとか、そういうふうに音楽に接しながらも、最終的に人間というのは、その音楽を喜怒哀楽なり、フィーリングなりで聴くところがあるでしょ? 「わくわくする」とか、「気持ちをカームしてくれると」か。そういう意味において、「シャムキャッツはどういうものをやろうとしているのか?」ということを尋ねたいんです。
で、どうでしょう、質問をちょっと絞らせてもらうと、いま一般的なポップスの流行を見ていると、すごいエモいじゃん? 「会いたい」「悲しい」「うれしい」であふれている。そういったところを潜在意識において、避けたりした部分があると思いますか?
夏目:うーん、避けてはいないですけどね。
■じゃあ、夏目くんにとってこれはとてもエモーショナルなアルバムだと。
夏目:あ、そうか、そう言われるとエモーショナルではないかなー。こういう作品ができて、できたあと話してるわけだから、ちょっとエモーショナルなことを伝えたいモードに入ってきちゃってるかもしれない。いま。
藤村:マックスでエモーショナルなときってないよね。
夏目:マックスでエモーショナルなときって......ないね!
藤村:このバンドでエモーショナルなのは俺くらい。
夏目:ただ、ほんとに歌いたいことって、「会いたい」とか、そういうことなんですよね。全然間違ってないと思いますよ、それは。ただ、もうちょっとシャレたいよね。「シャレた感じに言えないかな、言えるんじゃないかな?」って気はしてて。それはちょっとやりたいですね。だから、曲によってはけっこうありますよ。「君のお腹ん中に入らせて」(“SUNNY”)とか、あ、おもしろいなって、おもしろがって作った部分はあります。でも、疲れますよね、エモーショナルっていうのは。
■うん。聴く方もやる方も、感情的に入り込む作業だからね。
夏目:疲れたくないんですよね。
■ただ、例えば、“渚”とそれ以外のアルバム収録曲を比べると、“渚”のほうがエモーショナルだし、センチメンタルだし、若干、欝っぽいところがあるでしょ。
夏目:うん(笑)、そう思います。
■それに比べると、その後に作った曲は、もう少し自分の感じてるネガティヴなフィーリングに対して客観的になってるのかな、と感じました。楽観的というのではなくてね。ネガティヴなフィーリングを笑ってたりするところがあるのかな、と。まずそれは正解ですか。
夏目:正解です!
■(笑)では、なぜそうなったのかということを分析することはできますか?
夏目:単純に、バンドの状況がよくなったというのはあるかなと思います。「なかなか自分が目指してるところに行けないな」とか、「けっこうおもしろいことやってるのに、全然有名にならないな」とか、そういうふうに気持ちが揺れ動いてたときの曲が“渚”で、バンドもあんまりうまくいってなかったし、「どうしよう?」っていう思いもすごくあって。けど、ああいう曲ができて、状況もどんどんよくなって、あんまり文句いうところがなくなってきたり、「よし、とにかくバンドってものをやればいいんだ」っていう気持ちになれたときにできた曲が多いんで、そのへんですかね。悩んでる面がちょっと変わったのかもしれない。
ただ、ほんとに歌いたいことって、「会いたい」とか、そういうことなんですよね。全然間違ってないと思いますよ、それは。ただ、もうちょっとシャレたいよね。(夏目)
■実際のところ、“渚”に関しては、どういうフィーリングを捉えようとした曲なの? すごく乱暴に訊いちゃうんだけど。
夏目:混沌から......輝きが生まれる!――そういうところですかね(笑)。そこからじゃないと何もはじまらない。生命が海辺で誕生したっていうじゃないですか。雨が降り、海ができ、泡みたいなものができて、物質がつながりあって、生命が生まれた。ま、それで“渚”なんですけど。
■それが、当時、自分たちが感じていたことと近い?
夏目:うん、うん。だからけっこう欝でしたね。疲れきってた、というか。
■でも、結果的に、“渚”という曲は、シャムキャッツの名前をそれまでよりも広めることになったし、いまではバンドのトレードマークになる曲として捉えられるようになったわけですよね。当初、それをどう受け止めていましたか? 居心地の悪い部分もあった?
夏目:最初はすごく居心地が悪かったですね。いまでこそ、「シャムキャッツらしい曲」って受け止められているかもしれないけど、それまで聴いてくれてた人とか、僕らにしてみたら、むしろちょっと「らしくない曲」としてできあがったと思うんですよね。ただ、昔から俺を知っている人にとっては、すごく俺らしいものが出てきてしまったというか(笑)。
■ずっと避けてたけれども、という?
夏目:そう、避けてたんだけど。で、それを聴いてくれた人たちがけっこう感動してくれたりもして、プロデューサーについてくれてるおさむさんが、「これを出そう」、「これがいい」と言ってくれたもんだから、「じゃあ、出してみましょうか?」ということになったんです。でも、いざ蓋を開けてみたら売り切れたりして、「そういうもんかあ、ライヴでやらなきゃな」って最初は思ったりしてましたね。ライヴでやるとみんな楽しそうにしてくれるから、とりあえずやっとくか(笑)っていう。
■でも、「本来の自分だからこそ出したくなかった」というのは、なぜ?
夏目:やっぱり恥ずかしいじゃないですか。ダサい、というか。そういう単純な気持ちです。
■じゃあ、基本的にはやっぱりエモーショナルな表現に対する気恥ずかしさはあるんだ?
夏目:ありますねえ。
菅原:相当あるよね。
■じゃあ、夏目君のヴォーカリゼーションの特徴――喜怒哀楽をかき混ぜようとしてるような、むしろ「笑い」に近いような歌い方っていうのも同じ理由によるもの?
夏目:おそらくそうですね。笑いってラクなんですよね。ライヴでも本当に前のめりになって気持ちを入れて歌ったりするのはちょっと恥ずかしいし、それならタケシみたいに着ぐるみを着て出て行っちゃうほうがラク。
■なるほどね。ただ、さっきの「会いたい」の話みたいにね、そういうエモいものを全然否定はしてはいないんだ?
夏目:全然否定しないです! 昔、タナソーさんが大嫌いだって言ってた銀杏ボーイズ、僕は大好きですからね。ゴーイング・ステディが解散したときは、友だちとカラオケで4時間くらい歌いつづけてましたから。
■でも、そこは好きだってはっきり言えるのに、自分的にはその照れ隠しヴァージョンみたいな態度を取ってしまうのは、なぜ?
夏目:似合わないと思ってるんじゃないですかね。好きだということと自分がやりたいということは違いますからね。自分のために歌っているときはいいと思うんですけど、人前に出ていちばん盛り上がることではないと思いますし。なんか、上がってきちゃいけないところに上がってきちゃいけない人が出てきた、みたいな感じになりませんか(笑)?
■じゃあ、もし仮に「銀杏ボーイズが沈黙しているいま、夏目君がすべてを引き受けるべきだ。だって、君はもっとエモーショナルな姿を出せる人でしょう?」っていうリアクションがあったとしたら、どうです?
夏目:うーん、そんな風に思う人、いるかなあ(笑)?
藤村:いると思いますよ。
■(笑)いるよね? ユーチューブで音源聴いただけの人とかだったらわかんないけど、ライヴを観て、MCを聞いて、一言二言話したりすれば、においがぷんぷんしてくると思うよ。
(一同笑)
[[SplitPage]]“渚”はいまでこそ、「シャムキャッツらしい曲」って受け止められているかもしれないけど、それまで聴いてくれてた人とか、僕らにしてみたら、むしろちょっと「らしくない曲」としてできあがったと思うんですよね。(夏目)
![]() シャムキャッツ - たからじま Pヴァイン |
■では、夏目君だけじゃなくて、みんなの書くリリックって、具体的ではなくて曖昧だし、やっぱりシュール・リアリスティックだよね? センテンスごとに脈絡がなかったり、何かしらの飛躍やはぐらかしがある。それは、いま話してもらったことに近いですか?
菅原:いっしょだと思いますね。
夏目:ただ、いちばん自分がグッとくるように書いてますけどね。ただの文章じゃ自分が感動しないと思うから。音楽として流れてきてグッとくるように、自分なりに仕掛けはしています。
菅原:2曲め(“本当の人”)とかは僕が書いたんですけど、それはほんとに第三者(3人称)に完全に投げて、第三者に歌わせてる曲なんです。だから、詞なんかも、自分が思ってることとは全然違うけど、「この人はこう言いました」ってふうに淡々と綴ってますね。僕は歌詞より曲のほうが先にできるので、いまのところは「詞なんて面倒くせえな」って感じです。作業としては、ですけどね。おさむさんとも相談して、「夏目君とは違う手法で作ってみない?」っていうことになったので、考えてみたアイディアです。
■でも、この曲のように、「本当」とか「嘘」とかって言葉が使われてたら、それをそのまますごくシリアスに捉えちゃうリスナーもいると思うんだよね。
菅原:そうですね、それはもちろん、「ドキッとさせたいな」とは思ってます。
■なるほど。それがシリアスかそうでないかわかんないように撹乱させたい、と。
菅原:そうです。
夏目:僕は今回はいままで以上にわかりやすくしたという気持ちはあります。「もっと夏目君はわかりやすくていいよ」っていうプロデューサーの指示でもあるんですけどね。
■実際に書いてみて、「ここはいちばんわかりやすくしたな」って思う部分と、逆に「ここはやっぱり照れてるし、ごまかしてるな」って思う部分を教えてください。
夏目:えー(笑)。でも、“なんだかやれそう”は全編通して、「わかりやすくしたなー!」って感じなんですけどね。ぱっとその場でわかるような。
■それでもわかりにくいけどね(笑)。いや、ネガティヴな意味じゃなくて、「いろんな風に受け取れるようになってる」っていうことなんだけど。
夏目:それは、そうしたいですね。けど、そうじゃない歌詞を見たことがない気もします。銀杏ボーイズはわかりやすいけど、でも、わかりにくいよね?
菅原:まあ、そうだね。
夏目:歌詞で言ったら、いちばんスピッツが好きなんですよ。あと、わかりにくさってことでは、くるり、スーパーカー、ナンバガ(ナンバーガール)っていう俺が高校の頃いちばん聴いてたもの、つまり思春期とシーンがマッチした頃の音楽ですけど、どのバンドもまあ詞はわかりづらいですよね。でもあの人たちの歌詞がいちばん感動できた。わかりにくいと思ったことはいっさいなかったです。だから自分の歌詞もわかりにくいと思ったことはないんですよね。
■ただ、自分がこうだろうと思ったことが本当に正解かどうかわからないバンドたちじゃないですか。いま挙げてくれたのは。それはかまわなかったんだ?
夏目:かまわない。「俺がこの曲をいちばんわかってるぜ」って思ってましたね。
■なるほどね。でも、そこから一回転するってことはないんだ? あ、そうか、菅原君のは一回転させたのか。
菅原:僕はそうですね。一回転させました。古里さんに呼び出されて、「夏目君の行かないとこ、行ってみよう」って言われたんですよ。そういう話し合いのなかで生まれたものなんです。「本当の事が知りたい」(“本当の人”)って歌詞が入ってますけど、それとか、絶対に言いたくない言葉ですしね。
(一同笑)
菅原:最後にいちばん言いたいことを入れようって言われて......。
夏目:叫んでるもんね。
藤村:エモいもんね、最後は。
夏目:でも物語としてはわかりにくいよね。
菅原:そうそう。
■じゃあ、最近の日本でいうと、あるひとつの傾向として、メイン・ストリームもアンダー・グラウンドも、ポップスもロック・バンドもヒップホップも、すごく自分自身が暮らしてる時代とかコミュニティとかをレペゼンする歌詞が主流じゃないですか。作り話とか、物語がすごく減っててね。そんな中で、シャムキャッツの歌詞には、時代や世代や自身のコミュニティをレペゼンするような部分――つまり、時代なり自分たちなりを代表してるっていうような部分は、何パーセントくらいあると思いますか?
夏目:ちょっと変なこと言うかもしれませんけど......0パーかもしれませんね。時代性とかを考えたことはあんまりないというか。「時代性とかをいっさい無視して排除していくほうが、作品としてはむしろいい出来になるんじゃないか?」って気がしてるんですよね。昔の歌でも、ずっと残っていくなかで時代によって意味が変わってきたりするじゃないですか。まあ、だからこそいまの時代に合わせて作っても大丈夫という面もあるかもしれないけれども。でも、これだけすべてが出揃ってるって言われてる時代なら、一回そこを無視するぐらいでいいかなって気もしてるんですよね。
■でも、この作品に収められた12曲っていうのは、「2012年」、「日本」――もっと面倒くさいことを言えば、「311から1年半」、さらには、メンバーは30代でもなく10代でもなく、まさに20代だからこその表現っていう特徴が出てる気がするんだけど。
大塚:出さなくても勝手に出てる、っていうような部分ですかね。
夏目:0パーっていうのは、100パーの裏返しってことなのかな? 意味が1個じゃいやだから、自分でいくつかの仕掛けを作れてるって仮定できるとすごく充実するんですよ。で、その仕掛けのなかにはもしかすると時代性のようなものが入っちゃってるかな。こういうふうに思わせたら勝ちだな、とか考えてる部分はあります。
[[SplitPage]]くるり、スーパーカー、ナンバガ(ナンバーガール)っていう俺が高校の頃いちばん聴いてたもの、つまり思春期とシーンがマッチした頃の音楽(中略)あの人たちの歌詞がいちばん感動できた。わかりにくいと思ったことはいっさいなかったです。(夏目)
![]() シャムキャッツ - たからじま Pヴァイン |
■じゃあ、ひとつだけ代表的なサンプルとして“なんだかやれそう”について細かく訊かせてもらっていいですか。 じゃあ、まず「なんだかやれそう」ってことは、歌ってるキャラクターの認識、もしくは、世間一般の認識として「やれないんじゃね?」っていうのが前提にあるってことだよね?
メンバー:はははは!
夏目:まあ、そうですね(笑)。
■ということは、この歌は、乱暴に言うと、世の中全体に蔓延しているシニカルなムード、もしくは、本人のネガティヴなフィーリングを歌った曲ということになる。
メンバー:あははは!
夏目:(笑)半分イエスです。
■だよね? にもかかわらず、この曲のキャラクターは「やれそう/なんとなくいけそう」と歌う。「やれる!」ではない、曖昧なニュアンスの言葉を使っているということは、この作詞者である夏目君という人は「やる/やれる」と言いたい心持ちはあるが、それをそのまま言葉にすることでは「やれる」フィーリングをかたちにできないと思った、ということだよね?
夏目:まさしく。
■となると、この曲というのは、今日話してもらったようなバンドのアティテュードをわかりやすく象徴してるよね。これ、いちばんアグレッシヴだし、ポジティヴでしょ?
メンバー:うん。
■にもかからわず、拍子が奇数だし、アンサンブルもいちばんギリギリだし(笑)。つまり、ストレートなようでいて、やっぱり一筋縄ではいかない。すごくカラーは出てるよね。
藤村:うん、出てると思います。だって、「全部やっちゃえ!」って言って作ってたもんね。
夏目:そうそう。“なんだかやれそう”のアイディアは藤村が言ったんですよ。レコーディングの1回めの期間が終わったときに「パンクが足りない!」ってことになったんです。「もっとドーン!ってやるバンドじゃなかったっけ、俺たち?」 って。「シンプルでわかりやすいやつが欲しいし、そういうのがカッコイイよね」ってふうにメンバー内で話し合って、アンダートーンズとか、ひと通り聴いたりして、「これをやろう」ってことになりました。自分たちにもまわりにもない音だったし、いいんじゃないかと。しかし、どうするんだ、こんな恥ずかしいやつ(笑)?
藤村:そう(笑)。
夏目:「でも、なんだかやれそうだね!」って(笑)。
藤村:バンドのムードを盛り上げるためによく言ってたんですけど、「なんだかやれそう」って。そしたら、プロデューサーが、「それだ!」って言って。
(一同笑)
夏目:よく覚えてるんですけど、そしたら、俺たちの担当の柴崎さんが「なんだかやれそうだなあって気分がアンセムになったら、新しい時代かもしれない」って言ったんですよ(笑)。「よくわからないけど、じゃあ、ちょっとそれに付き合ってみるか!」ってことになりました。で、「どうせやるんなら全部やっちゃおう」って思って、最初はもうコード一発。俺らは頭にスネアが入る曲がほとんどなかったので、それもやってみようと。
藤村:前からやりたいとは言ってたんですよ。
夏目:でも、4(拍子)じゃつまらないから、ここから3にしよう、とか。
菅原:4はちょっとダルいし、長い。
藤村:しかも3×4(小節)じゃなくて、3×3なんだよね。
夏目:ああ、そうか。そこまでのアイディアだけ生まれて、藤村とふたりでスタジオ入って、やってましたね。「サビは4にしたい。じゃ、つなぎはどうする? 5でいこう」みたいな。
藤村:しかも、最初の3も、基本はストレートな曲だから、俺は8で叩いてるんですよ。8プラス1で叩いてたりする。
時代はよくない。でも、「そういう状況でどう遊ぶか?」というのがいちばん大切なところです。「楽しそうに遊んでるところにはみんな寄ってくるはずだ」という気持ちがあって。だから、なるべく大胆に遊びたいとは思ってますね。(夏目)
■はいはいはい。なるほど。じゃあ、今日はいろいろと話すなかで、普段よりも自分たちについて分析的で客観的になってもらったと思うんだけど、その上で、ではシャムキャッツというバンドや、この『たからじま』という作品は、この2012年の年末の日本のどういう状況や気分に対するリアクションであり、どういうかたちのカウンターになると思うか。それをできるだけ風呂敷を広げたかたちで、できるだけ細かく、教えてください。
夏目:なるほど(笑)。
菅原:難しいなー(笑)。
夏目:時代的なことで言えば、悪くないと思ってるんですよ。というか、時代はよくない。でも、おもしろいなとは思っていて。これだけいろいろなことがあって、これだけクソみたいな状態なのに、経済的には豊かな国ってないなと思って。社会的な問題にしろ、いろんな要素がありすぎて、むしろこんなときに20代を送れるのは恵まれてるなと思ったりもするんですよ。ただ、状況を変えていけるか、良くしていけるか、ということになると、全然ヴィジョンがない。「おそらくつぶれるだろう」と思ってますね。「でも、そういう状況でどう遊ぶか?」というのがいちばん大切なところです。「楽しそうに遊んでるところにはみんな寄ってくるはずだ」という気持ちがあって。だから、なるべく大胆に遊びたいとは思ってますね。その意味で、このアルバムは「遊んだなあ」と思います。その分、わかりにくくはなったけど。......って感じ、あるよね?
菅原:うん。あるね。
■例えば、ここ最近、若い世代が久しぶりに公務員志向を強めた、とか言うじゃない? で、若者が出歩かない。遊ばない。酒を飲まない、とかね。
夏目:それ全部やってるな。もっと遊んだほうがいいですね。僕、昔から若者の仕事って遊ぶことだと思ってて。バカみたいに金使って。親から巻き上げてもなんでもいいから、金使って遊ぶっていうのが若者の役割だと思うんですよ。「どうやって遊ぼうかな、どうやって遊ぶ人を増やそうかな?」って感じはすごくあるしね。お金なくても、全然怖くないしね?
菅原:そう、なんかもっと、自由にみんな生きたらいいのになって思いますね。
■ここ1~2年ですごく感じることなんだけど、自分の世代は、60年代後半の社会の動乱とか、そのなかで芽生えたものとかへの憧れがいちばんあった世代なわけ。だから、「自由」って言葉に対しても最上級の憧れがあったのね。面倒くさいしがらみ――地縁みたいなものもすごく強かった。特に俺なんて大阪の育ちだから。それに社会的な制約も大きかった。だから、自由ほどすばらしい概念はないって思ってたんだけど、ここ最近はさ、自由って言葉は状態じゃなくて、人の性質を表すような使われ方をするよね。「ごめんなさい! この子ほんと自由なんで!」みたいなさ。場を読まない、ものがわかってないってことを表す言葉になっちゃってる。それは多分にいまの社会のものの見方を反映していると思ってて。
夏目:たしかに。......でも、自由のほうがいいね。
メンバー一同:うん。
夏目:音楽のフィールドに関して言えば、エモーショナルなものとか、ジャンルに特化したものは、わかりやすいですよね。インディーズからメジャーに上がっていって、みんなが知るようになる。でも、そのヴァリエーションが少なすぎて――さっき言ってたみたいに、エモーショナルなものでいっぱいになってしまう。下からもたぶんそういうものしか上がってこないように見えてるかもしれないけど、「90年代のポップスの雰囲気を大きなフィールドでやれる可能性はあるぞ」と。そういうことはちょっとだけ見せられたかな、という気はします。それが希望だし、「なんだかやれそう」ってことですね。
藤村:僕個人としては、このコミュニティはけっこう理想に近いと思ってまして。「政治や他のコミュニティのあり方も、こうすればいいのにな」って。そういうことを伝えたい。
菅原:ふたりの話につながりますけど、俺は最近、この社会にあってすごく居心地が悪いですね。でも、4人でやってる楽しさを世に出していくってことをやりたい(笑)。
夏目:同じことを言ってる(笑)! 何だろうなあ。俺とかからすると、20歳を超えるまで、思春期の間、「この世は暗いんだぞ」っていうパンチをずっと食らい続けてきたっていうイメージがあって。サリン事件あり、阪神大震災あり、911あり、リーマンショックあり。音楽的にも大学ん時にレディオヘッドがあって。「うわ、暗いパンチ来たよ!」って感じだったよね。でも、昔に比べればよくなってると思うんですよ。高校くらいの頃とかは「日本ってあんまりおもしろくないな」って思ってたんですけど、いまはちょっとおもしろい。
藤村:内閣がどんどん変わりますよね。それ、ほんと変じゃない? あれがすごく変だなって感覚が僕らの世代にはあると思うんですよ。なんで一度リーダーを決めたら、そのリーダーをサポートしないのか? いろいろ難しいんだと思うんですけど、そうしないと何も進まない。バンドも同じで、みんなで船を漕ぐような姿を見せられればいいと思う。
夏目:何か価値観を提示したのかなあ? 『たからじま』ってアルバムってさ。
■でも、『たからじま』っていうタイトルだけでも、明確なアティチュードがあると思うけど。「どこかに宝があるはずだ」「で、探すんだ」ってことなわけだから。だって、いまはみんな、『青い鳥』みたいな話が大好きじゃない。
夏目:でも、まあ、男の子4人揃ったらね、アドヴェンチャーしないとね(笑)。
[[SplitPage]]ライヴ情報
■2013.1.29(火)
“月刊ウォンブ!
創刊号・初めてのウォンブ!”
渋谷WOMB
開場19:00 / 開演19:30
前売2,000円(1ドリンク別) / 当日2,500円(1ドリンク別)
●出演
シャムキャッツ / Alfred Beach Sandal / ミツメ 他
DJ:BIOMAN / マイケルJフォクス
●問い合わせ
渋谷WOMB tel:03-5459-0039
■2013.2.3(土)
“節分のMEME TOKYO FESTIVAL 2013″
渋谷WWW
開場17:30 / 開演18:00
前売3,300円(1ドリンク別) / 当日3,800円(1ドリンク別)
●出演
シャムキャッツ / でんぱ組.inc / かせきさいだぁ /
スペシャルゲスト(※2/1発表) / AIZENN(オープニングアクト)
●チケット
e+, ローソン(77549)
※プレイガイドは1/19発売開始
●問い合わせ
渋谷WWW tel:03-5458-7685
※本公演ではチケットのメール予約は受け付けておりません。
■2013.2.9(土)
“シャムキャッツ NEW ALBUM『たからじま』リリースツアー in 埼玉”
埼玉 熊谷MORTAR RECORD 2F
開場18:30 / 開演19:00
SOLD OUT
●出演
シャムキャッツ / ミツメ / 平賀さち枝
●問い合わせ
埼玉 熊谷MORTAR RECORD tel:048-526-6869
Thank You Sold Out.
※本公演ではチケットのメール予約は受け付けておりません。
■2013.2.15(金)
“シャムキャッツ NEW ALBUM『たからじま』リリースツアー in 愛媛”
愛媛 松山Bar Caezar
前売2,500円(1ドリンク付) / 当日3,000円(1ドリンク付)
●出演
シャムキャッツ / Coelacanth 他
DJ : Nori(ROCK TRIBE) / KondoROCK TRIBE
●問い合わせ
松山Bar Caezar tel:089-932-7644
ライブの予約はこちらから!
■2013.2.16(土)
“シャムキャッツ NEW ALBUM『たからじま』リリースツアー in 福岡”
福岡 薬院Utero
開場18:00 / 開演18:30
前売2,000円(1ドリンク別) / 当日2,500円(1ドリンク別)
●出演
シャムキャッツ / H Mountains / ライスボウル 他
●問い合わせ
福岡 薬院Utero tel:092-201-0553
ライブの予約はこちらから!
■2013.2.17(日)
“シャムキャッツ NEW ALBUM『たからじま』リリースツアー in 熊本”
熊本NAVARO
開場20:00 / 開演20:30
前売1,800円(1ドリンク別) / 当日2,000円(1ドリンク別)
●出演
シャムキャッツ / H Mountains / Doit Science 他
●問い合わせ
熊本NAVARO tel:096-352-1200
ライブの予約はこちらから!
■2013.2.27(水)
“シャムキャッツ NEW ALBUM『たからじま』リリースツアー in 愛知”
愛知 鶴舞K.D ハポン
開場19:30 / 開演20:00
前売2,000円(1ドリンク別) / 当日2,300円(1ドリンク別)
●出演
シャムキャッツ (ワンマン)
●問い合わせ
愛知 鶴舞K.D ハポン tel:052-251-0324
ライブの予約はこちらから!
■2013.2.28(木)
“シャムキャッツ NEW ALBUM『たからじま』リリースツアー in 京都”
京都磔磔
開場18:00 / 開演19:00
前売2,500円(1ドリンク別) / 当日2,800円(1ドリンク別)
●出演
シャムキャッツ / Turntable Films
●チケット
ぴあ(190-931)
※当日の入場順はプレイガイド購入者→メール予約となります
●問い合わせ
京都磔磔 tel:075-351-1321
ライブの予約はこちらから!
■2013.3.1(金)
“シャムキャッツ NEW ALBUM『たからじま』リリースツアー in 大阪”
大阪 十三ファンダンゴ
開場18:00/開演18:30
前売2,500円(1ドリンク別) / 当日2,800円(1ドリンク別)
●出演
シャムキャッツ / 昆虫キッズ / The Cigavettes / どついたるねん
●チケット
e+, ローソン(53206)
※当日の入場順はプレイガイド購入者→メール予約となります
●問い合わせ
大阪 十三ファンダンゴ tel:06-6308-1621
ライブの予約はこちらから!
■2013.3.8(金)
“シャムキャッツ NEW ALBUM『たからじま』リリースツアーファイナル ワンマンライブ”
代官山UNIT
開場18:30 / 開演19:30
前売2,800円(1ドリンク別) / 当日未定
●出演
シャムキャッツ (ワンマン)
●チケット
e+, ローソン(76345)
※プレイガイドは1/11発売開始
※当日の入場順はプレイガイド購入者→メール予約となります
●問い合わせ
代官山UNIT tel:03-5459-8630
見ようによっては年の終盤に颯爽と現れて一年をさらっていったともいえる2012年の名盤のひとつ、『ラグジュアリー・プロブレムス』で彼を知った人も多いかもしれない。マンチェスターのDJ、2010年代に入ってからはミニマル・ダブからポスト・インダストリアル的な方向性を引き出し、デムダイク・ステアらの動きとも同調しながらシーンを鋭く刺激しつづけている。今回の来日は昨年作の余韻を引く、まさにこの上ないタイミングだ。
Andy Stott (Modern Love)
Basic Channelを源流とするミニマル・ダブ〜ディープ・テクノの無限の可能性を現在も拡張させ続けている超優良レーベルModern Loveを代表する最重要アーティストがAndy Stottである。
Claro Intelectoの紹介でModern Loveのレーベル・オーナーShlom Sviriと出会い、その才能を認められ2005年に「Ceramics」「Demon In The Attic EP」「Replace EP」の3作品をModern Loveよりリリース。ハード・テクノをスクリューしたようなノイジーなドローン、ロウビート、圧倒的な音響感のエクスペリメンタル・ビーツは一躍シーンの寵児として注目された。2006年、ファースト・アルバム『Merciless』をリリース。2008年、これまでリリースされたEPをまとめたコンピレーション・アルバム『Unknown Exception』をリリース。2011年、12インチ2枚組『We Stay Together』『Passed Me By』の2作品をリリース、これら2作品をCDにまとめた『We Stay Together / Passed Me By』もリリー ス。これらの作品で展開されたオリジナリティーに溢れるアヴァンギャルドかつエクスペリメンタルなダブ・テクノ・サウンドは、数多のBasic Channelのフォロワーを明らかに凌駕する新しいサウンドの斬新さに溢れている。2012年、約1年振りとなる最新アルバム 『Luxury Problems』をリリース。Pitchfork, Resident Advisor, FACT magazine, Rolling Stone, SPINなどレヴューでは軒並み高得点を獲得している。
■3.1 fri @ 東京 LIQUIDROOM
Live: Andy Stott (Modern Love, UK)
Guests: DJ KRUSH, Flying Rhythms, Numb, KEIHIN
Open/ Start 20:00-
¥3,500 (Advance) ¥4,000 (Door)
Information: 03-5464-0800 (LIQUIDROOM) www.liquidroom.net
Ticket Outlets: チケットぴあ (189-952), ローソンチケット
(75037), e+ (eplus.jp), LIQUIDROOM, DISK UNION (新宿クラブミュージックショップ, 渋谷クラブミュージックショップ, 下北沢クラブミュージックショップ, 高田馬場店, お茶の水駅前店, 池袋店, 吉祥寺店,
町田店, 横浜西口店, 津田沼店, 千葉店, 柏店, 北浦和店, 中野店, 立川店), Lighthouse
Records, LOS APSON?, TECHNIQUE, JAZZY SPORT MUSIC SHOP TOKYO, JET SET
Tokyo, DISC SHOP ZERO
■3.2 sat @ 大阪 CLUB KARMA
Live: Andy Stott (Modern Love, UK)
AOKI takamasa, NHK (Koyxeи Matsunaga), kyoka
DJ: SHINE (Torque), MONASHEE (AGILE)
Open/ Start 23:00-
¥2,500 (Advance), ¥3,000 (Door)
Information: 06-6344-6181 (CLUB KARMA) www.club-karma.com
『タイニー・ミックス・テープス』によれば、すべて廃盤となっていたザ・KLFのバックカタログが、1月17日、いっせいにiTunesやアマゾンで売り出されたというが、それが海賊盤であったため、間もなくいっせいに削除された、という。復活宣言か! などと騒がれたそうだが、結果、いち部の人たちのみが聴けただけのことだった。
さて、ele-kingがここで言いたいのは、ことの顛末ではない。『TMT』の記事の秀逸さである。いわく「ザ・KLFがいなければ、バンクシーがブリストルを離れることはなかっただろう。M.I.A.がレコード会社の役員の息子と結婚することで、その莫大な財産を利用して、殺戮についてのヴィデオを作ることもなかった」
1992年に音楽産業を去ったザ・KLFは、1987年から数年のあいだ、挑発的なゲリラ広告や街中のグラフィティ、二木信以上にバカげた逮捕劇を繰り返しながら、アシッド・ハウスを更新して、既存の音源のサンプリングで最高のチルアウト・アルバムを創造した。それから彼らは、1992年のあいだ英国でもっとも売れた音楽家となった(オリコンチャートのようなチャートで何回か1位となった)。アメリカには、特別な挑発を仕掛けた──「America: What Time Is Love? ]
ザ・KLFは、『TMT』が言うように、バンクシーの青写真であり、そしてポップ・ミュージック史上、最高の喜劇の実践者でもあった。彼らが最後に逮捕されたのは自分たちの商業的な大成功で儲けた貨幣のうちの100万ポンドを燃やしたときだった。
物語の発端はリバプールにある。80年代のマンチェスターの物語については我々ジャパニーズもよく知っている。しかしリバプールについては......数ヶ月後に、翻訳者様のがんばり次第では、その素晴らしい真実についてお伝えできるかもしれない。
いったい、「何が起こってるっていうんだよ(What The Fuck Is Going On)?」
電子音楽好きのみなさん、こんにちわ。2月は素晴らしい4人による魅惑的なライヴが九州、関西、東海、関東の11カ所で見られます。NHKことマツナガ・コーヘイはさておき、Kyokaは昨年、ベルリンの〈ラスター・ノートン〉からグリッチ・ハウスめいたシングルを出している注目の女性プロデューサーで、もうすぐ同レーベルからのアルバムも控えている。
AOKI Takamasaは若いながらもNHKと同様、この道すでに10年のベテランで、高木正勝とのSilicomでも知られている。〈ラスター・ノートン〉や〈op.disc〉、〈プログレッシヴ・フォーム〉や〈コモンズ〉といった主要レーベルからソロ作品も多数出している才人。
そして、Bunは〈コモンズ〉やオリーヴ・オイルのレーベルからの作品、最近ではLAのロウ・エンド・セオリーとの繋がりでも知られるビートメイカーで、つい先日はロシアのレーベル〈リトモ・スポルティーボ〉から新作『Minimalism』を発表したばかり(近々レヴューでも取り上げる予定)。
4人ともに、幸か不幸か日本よりも海外での評価が高い......が、この先、おそらく日本でも盛り上がることと予測されている。エレクトロニック・ミュージック好きは、ぜひ、この機会に彼らの音楽を体験して欲しいですね。紙エレキングの次号でも彼らに取材を試みるつもりです。
ツアーを控えた彼らにコメントを寄せてもらいました。

■4人が知り合った経緯を教えてください。
NHK:Aoki君のことは〈Raster Noton〉を通して知っていて、偶然ベルリンのテーゲル空港で見かけた所をナンパしました。Kyokaちゃんも〈Raster Noton〉繋がりで、ANBBのリキッドルームの楽屋で会いました。BunさんはAoki君経由でSNDのWWW公演で紹介してもらいました。筈。
Kyoka:Aokiさんは、ベルリンに引っ越された際に、坂本(龍一)さんから噂で聞き、他の友人からもブログが王子さまのような人がベルリンに引っ越して来た、と、噂で聞き、どんな人だろう(王子って何??!)と思い、myspaceでfriend申請した数日後に偶然〈ベルクハイン〉で会いました。お会いしてみたら、「あ! これは王子だ!」と納得しました。おかげさまで、上品でいることの大切さを学びました。Kouhei(NHK)さんは、ANBBの楽屋で、いろんな人が混ざってお話してる中でちょっとお話ししました。その後、Mark Fellの来日の際、初めてきちんとお話しました。それから随分後に、Kouheiさんのイベントに一緒に出させていただきました。想像よりも、気さくで話しやすいし、話も直球なので、仲良くなれそうな人だと思いました。Bunさんは近藤テツさんから、「Bunさんはヤバい人だ」と言う単語をお聞きしていて、何がどうなのか、気になっていました。そしたら、上記のKouheiさんイベントの際、「他にこのイベント、誰が出たらいいかな?」と聞かれたので、「まだ実は良く知らないんですが、Bunさんいかがですか?」と言ってみて、それで結果的に、イベントとご飯をご一緒させていただきました。まだまだ奥が深そうなので、ツアーでご一緒できるのを楽しみにしてます。
Bun:Aokiさんは、僕が青木さんのtumblrをフォローして知り合いました。そこで僕の音楽を知ってもらって、すぐに連絡をもらっていまに至ります。普通に青木さんの音楽のファンなので、一緒に曲を作ったり、今回ツアー出来るのはとても光栄です。Kouheiさんは、一昨年のANBB(alva noto+blixa bargeld)の日本のツアーの時にライヴを聴いたのが初めての出会いです。3D眼鏡をかけて、BPMが鬼のように変化し続けるライヴで強烈な印象を受けたのを覚えています。その後青木さんを通して紹介してもらいました。Kyokaさんときちんと話したのは、昨年Kouheiさんが企画した都内のイベントで一緒にライヴをしたときです。このツアーのアイデアも、そのイベントの後みんなでご飯を食べている時に決まりました。どんなライヴが聴けるのか、楽しみです。
Aoki:Kouhei君は、ベルリンに引っ越してからKouhei君の名前はいろんなミュージシャンから聞いてたけどなかなか会うチャンスがなかくて、でもある日テーゲル空港のカウンターでコウヘイ君が声をかけてくれたのがきっかけで知り合いました。同じ飛行機でした。ほんで音楽聴かせてもらったらもうめちゃめちゃツボで、人柄も真っすぐでめちゃめちゃ気が合いました。〈Raster Noton〉のレーベル・メイトです。Kyokaちゃんは、たしかベルリンに引っ越してからonpa))))のハブさんから紹介してもらった気がするなー。それか坂本さんに紹介してもらったんやったっけなー。ウチからKyokaちゃんの家が近くて、僕がそのときプリンタを持ってなかったので彼女の家にVISA申請用の書類をプリントさせてもらいに行ったり、お世話になりました。そのお礼と言ってはなんですが、Kyokaちゃんにモニタースピーカのこととか僕なりのキックの鳴らし方とかお伝えしたのを覚えてます。それからちょくちょくパーティで会うようになりました。〈Raster Noton〉のレーベル・メイトです。Bunさんは、一昨年に僕のtumblrのページをBunさんがフォローしてくれて、それでBunさんの写真なんか良いなーと思って見てたら音楽もアップされてたからそれを聴いたらもうめっちゃ気に入って、速攻で音楽購入してメッセージも送って、それからの知り合いです。一昨年ぐらいから一緒に作品を作ってるんですけど、僕の作業がトロ過ぎてまだ4曲しかできてないです。
■今回は10カ所をまわるわけですが、今回のツアーの目的はなんでしょうか?
NHK:楽しそうだし。
Kyoka:楽しそうだったので。
Bun:僕らも楽しみますし、遊びにきてくれた方も楽しんで貰えればと思います。
Aoki:4人で思いっきり遊ぶため。
■みなさんのやっているようなジャンルは、欧州のシーンに比べて日本ではまだ盛り上がりにかけていると思いますか?
NHK:凄く思います。
Kyoka:盛り上がりに欠ける欠けないというか、盛り上がっている人や場は日本にもあるかな、と思います。ただ、欧州に比べると、まだまだマイナー競技なのかな? と、思うことがあります。
Bun:欧州のシーンに関してはあまり分からないですが、海外のものをありがたがって聞いていた雰囲気はだんだんなくなって来ていると感じています。
Aoki:日本では日本の規模に応じた盛り上がりがあるようにも思いますが、ダンス・ミュージックに対する人気と需要はやっぱりヨーロッパのほうが多い気がします。地球上で相撲の人気が一番高いのが日本であるみたいに、ヨーロッパではやっぱりそこで生まれたダンス・ミュージックの文化に対する人気は揺るぎないものがあるように思います。
■4人に共通するところと、まったく違っているところを教えてください。
NHK:共通点は音楽作ってるところ。違うところは......違う人間なので......むーーー、違う所だらけなんじゃないかしら......、普通の答え過ぎてすいません......。
Kyoka:わかりませんが、
強いて 共通点→自分の嗅覚で動ける(?)
強いて 違い→経験と思考(?)
でしょうか?
Bun:共通するところは音楽を作っているところ。違っているところは、有りすぎるのかもしれませんが、そこがまた凄く刺激的です。
Aoki:共通点も全く違ってる部分も、多分これからもっと知り合うことで知っていけると思います。最大の共通点はダンス・ミュージックを作っているところでしょうか。
■エレクトロニカやIDMという言葉で呼ばれるのが嫌な理由を教えてください。
NHK:基本カテゴライズ大概全部嫌い。強いて言えばエレクトロニカって響きが嫌い、ニカって......何さ......、IDMってインテリジェンス・ダンス・ミュージック、 マイチ意味分からんから嫌。
Kyoka:嫌かどうかわかりません。たぶん、音楽ファンとかではないため、ジャンルの区分に人一倍疎いです。
Bun:僕のやっている音楽は、そもそもそう呼ばれないかも知れません。また、僕はほとんどそういう物を聞いてこなかったので、あまり違いがわかりません。ただ、最近いろんな方に良い物を教えてもらって、まだ知らない面白い音楽がこんなにも有るのかと、興奮しています。
Aoki:嫌というよりは、いま鳴ってる音楽を音楽として、思考や思い込みや決まりやルールやセオリーなども忘れてあるがままを感じて受け取ってもらえれば嬉しいというのが自分の根本にあります。音楽のジャンル分けや分類は、音楽を売ったり分析したりするには便利かもしれないですが、作ってる人間としてはその場にいるオーディエンスが踊ってくれればそれで問題ないことが多いので、ジャンル分け自体にあまり興味がないです。ただ「テクノ」はすべての音楽を「dance」っていう普遍的なくくりで吸収するもの凄く自由で問答無用な引力があるように思うので、「テクノやね」って言ってもらえると、僕個人としてはめちゃめちゃ嬉しいです。
■今回のツアーの見所、聴き所を、自分たちで言うのも照れくさいでしょうが、言って下さい。
NHK:ノリノリでアゲアゲで且つストレートにへそ曲がりな感じ。
Kyoka:冷静に覚醒のスイッチを押して遊ぶ感じを、みなさんにもやっていただけたら、広く楽しんでいただけるかも?と思います。
Bun:それこそジャンルなどにはまらないツアーになると思います。
Aoki:見るところはその地方のそれぞれの自然とか町並みとか文化とか会場の雰囲気とかその場にいるオーディエンスのみなさんでしょうか。聴きどころはそれぞれのリズム感と、音の鳴らし方とか、オーディエンスの反応とか。
abkn set japan tour 2013
2月 / February
1日 (金) 別府
会場 : Copper ravens
URL : https://ameblo.jp/copper-ravens
Open : 19:30
2日 (土) 日田 (大分県)
会場 : Kobamori 跡
Open : 19:00
3日 (日) 博多
会場 : Black out
URL : https://www.facebook.com/events/456064464452153
Open : 20:00
4日 (月) 博多 (トークショウ)
会場:紺屋2023
URL :https://konya2023.travelers-project.info
Open:20:00
8日 (金) 京都
会場 : Club Metro
URL : https://www.metro.ne.jp/schedule/2013/02/08/index.html
Open : 21:00
9日 (土) 岐阜
会場 : Emeralda
URL : https://emeralda.jp
Open : 22:00
10日 (日) 大阪
会場 : Nu things
URL : https://nu-things.com
15日 (金) 四日市
会場 : Advantage
住所 : https://yck514.wix.com/3345
Open : 21:00
16日 (土) 東京
会場 : WWW
URL : https://www-shibuya.jp
Open : 23:30
18日 (月) 横浜
会場 : Galaxy
URL : https://www.yokohama-galaxy.com
Open : 18:30
19日(火)東京 (予定)
会場 : Dommune
URL : https://dommune.com
BIG BAD BASS 2013!! 今年初のDBS 〈DRUM & BASS x DUBSTEP WARS〉は世界最強のVALVE SOUND SYSTEMを保有し、20年以上のキャリアに培われた独自の重低音でドラム&ベースをリードする巨人、ディリンジャが5年ぶりに帰還!
一方のダブステップは昨年〈TEMPA〉からデビュー・アルバムを発表し、ディープ&ドープなサウンドで衝撃を与えたJ・ケンゾーが待望の初来日! WARNING!!!
DRUM & BASS x DUBSTEP WARZ 2013
2013.02.16 (SAT) at UNIT
feat. DILLINJA x J:KENZO
with: ENA, KEN, Helktram, TETSUJI TANAKA('93~'04 dnb 3decks set)
open/start 23:30
早割/2,013yen (枚数限定)予約開始日 1/13(日)11:00~1/18 11:00(金)まで
adv.3,150yen door.3,500yen
DILLINJA (Valve Recordings, UK)
90年、16才で独自のサウンドシステムを編み出して以来、重低音にこだわったブレイクビーツの制作を開始。93~95年には"Deadly Deep Subs"、"Gangsta"(TRINITY名義)、"The Angels Fell"等でシーンに名声を博し、GOLDIEのアルバム『TIMELESS』に参加。Metalheadz、Prototype、V等から数多くの作品をリリース、CAPONE、D-TYPE等の変名を持つ。97年にはLEMON Dと共にレーベル、Valve Recordings及びPainを設立(後にTest Recordings、Beatzも増設)、"Violent Killa"、"Acid Track"を発表。01年、FFRRから1st.アルバム『DILLINJA PRESENTS CYBOTRON』を発表、以後LEMON Dとの合同名義を含め『BIG BAD BASS』(02年)、『THE KILLA-HERTZ』(03年)、『MY SOUND 1993-2004』(04年)の各アルバムと"Grimey"、"Twist 'Em Out" 、"Fast Car"、"This Is A Warning"等々のシングルを大ヒットさせる。近年も"Back To Detroit" (CAPONE名義)、"Time For You"を発表、ニューアルバムが待たれている。また彼はパワー出力96kW、サブウーファー52発からなる自己のVALVE SOUND SYSTEMを保有する、まさにキング・オブ・ベースである。
https://www.vlvmusic.com/
https://www.facebook.com/dillinjavalve
https://twitter.com/Dillinjavalve
J:KENZO (Tempa / Rinse FM / Artikal Music UK, UK)
ジャングル、ヒップホップ、ダブ等を聞き育ち、実験的なドラム&ベース・トラックを創作していたJ:KENZOは、06年1月のDMZパーティーでダブステップに開眼して以来、ダブステップにフォーカスし、07年に自己のSoul Shakerzから作品を発表。08年の"Tekno Bass"が注目されて以降、Argon、2nd. Drop、Dub Policeといった人気レーベルからリリースを重ね、トップDJ、YOUNGSTAの支持を受け、ダブステップの名門レーベル、Tempaと契約。そして"Ruffhouse"(11年)、"Invaderz"(12年)でトップ・プロデューサーに躍り出て、シーンのトップ3DJ=YOUNGSTA、HATCHA、N-TYPEは勿論、LAURENT GARNIERからも支持を得る。また盟友MOSAIXとレーベルArtikalを立ち上げ、一躍シーンの台風の目となる。そして12年9月、Tempaからの1st.アルバム『J:KENZO』を発表、UKベース・ミュージックの真髄を遺憾なく発揮する。今まさに旬のプロデューサー、待望の来日!
https://www.tempa.co.uk/
https://www.facebook.com/pages/JKENZO/115497756739
https://twitter.com/JKenzo
https://soundcloud.com/jkenzo
Ticket outlets:1/19(SAT)発売!
PIA (0570-02-9999/P-code: 191-202)、 LAWSON (L-code: 76819)
e+ (UNIT携帯サイトから購入できます)
clubberia/ https://www.clubberia.com/store/
渋谷/disk union CLUB MUSIC SHOP (3476-2627)、
TECHNIQUE (5458-4143)、GANBAN (3477-5701)
代官山/UNIT (5459-8630)、Bonjour Records (5458-6020)
原宿/GLOCAL RECORDS (090-3807-2073)
下北沢/DISC SHOP ZERO (5432-6129)、JET SET TOKYO (5452-2262)、
disk union CLUB MUSIC SHOP(5738-2971)
新宿/disk union CLUB MUSIC SHOP (5919-2422)、
Dub Store Record Mart(3364-5251)
吉祥寺/Jar-Beat Record (0422-42-4877)、disk union (0422-20-8062)
町田/disk union (042-720-7240)
千葉/disk union (043-224-6372)
UNIT
Za HOUSE BLD. 1-34-17 EBISU-NISHI, SHIBUYA-KU, TOKYO
tel.03-5459-8630
www.unit-tokyo.com
彼の心は彼のもの。チャズ・バンディックが体現するのは、一種の純潔ではないだろうか。"スティル・サウンド"で彼がくるくると踊るとき、"タラマック"で花火を振り回すとき、"ソー・メニー・ディテイルズ"で池に小石を投げるとき、間違いなく彼の心は彼だけのためにある。何ものもそれに触れ、それを汚すことができない......。
バンディックが歌い、動き、踊るのをみていると、心というものはどこまでも自分のものであっていい、いや、そうでなければならない、というふうに思えてくる。心というとわかりにくいだろうか。人の思惑のために簡単に動いてしまうものは、人のなかに何かを残したりしない。それはよくもわるくもだ。彼がわれわれを惹きつけるのは、そうした何か動かざるもののためであると感じる。そうでなければ音楽オタクでも方法オタクでもない、そうテクニカルでもない、一大トレンドとして類似した音も多い、はや3作目にもなるトロ・イ・モワの音楽が、こんなに特別な存在感を持つことの説明は他にはつかない。彼のセンスや嗅覚は高く評価するとしても、音の足し算や引き算では説明のつかない魅力のために、われわれはまたアルバムを手にしている。
ふわふわとした話ですみません。もちろん足し算と引き算の話も重要だ。今作、彼はさらにブラコン路線を強め、純粋なリヴァイヴァル気運を伴いつつチルウェイヴの展開形のひとつとしても浮上してきた90年代風R&Bの潮流(野田努が「チル&ビーって言うらしいよ~」と言っていた)に、完璧にシンクロしている。今回もホーム・レコーディングだということだが、ローファイの名残をとどめながらもぐっと洗練され、よりクリアなプロダクションを得ることになった。インクやハウ・トゥ・ドレス・ウェルなども同様の傾向を深めており、それらはいまもっとも気にされているトレンドのひとつになっている。
実際のところよく聴き比べれば、トロ・イ・モワ自体、音楽の骨子の部分ではあまり変わっていないとも言える。だが、たとえばアマゾンの商品説明で『コージャーズ・オブ・ディス』がパッション・ピットやヴァンパイア・ウィークエンド、MGMTなどと比較されているのを見ると時代の変遷ぶりに驚いてしまう。アニコレも加え、当時はブルックリン勢の最後尾のように理解されていたわけだ(たしかにそういう感じもあった)。そしてミスター・チルウェイヴとしてウォッシュト・アウトと並び称された記憶もまだ払拭されたわけではない。同時にいまはインクやハウ・トゥ・ドレス・ウェルに比較される。要するに音楽性自体はそう変わらないまま、彼はその代その代のもっともヴィヴィッドな流れにつねに比較されているのである。
まわりに同調してくるくると音楽性を変えたりはできない。毎度、少し洗練されたなというような、自身のキャリアとしてまっとうな進歩を見せるだけのことである。周囲の思惑は、そう簡単には彼を動かせない。それは"ソー・メニー・ディテイルズ"のPVにもよく表れている。女優を用いて、大掛かりな道具立てやロケによって撮られてた、トロ・イ・モワとしてはかなり異色の作品だ。高級車や豪華な別荘や自家用ジェット、そしてハイクラスな美女に取り囲まれながら、そのどれにも染まず漂ってしまうバンディックの肢体は、その心そのものでもある。高級だからなじまないというのとも少し違う。彼自身に干渉しようとする異物に対する、潔癖的な恐れや違和感が画や姿からありありとたちのぼっている。石を池に投げる何気ないシーンでは、その動きが、彼が自分自身の領域を防護しようとするものであるように感じられないだろうか。彼の心は彼のもの、なのだ。
ヒットチャートもののR&Bのミュージック・ヴィデオのパロディでもあるだろうが、その思惑すら越えてバンディックの静かな視線がカメラに注がれる。"セイ・ザット"も皮肉めいた笑いを誘うとても好きな映像だ。謎の大自然のモチーフもふざけているようでいて、カーティス・メイフィールドの『ルーツ』などを思い起こさせもする。バンディックに政治的なテーマはまるでないだろうが、ソウル・ミュージック全体のなかに自身のアイデンティティや立脚点を探ろうとするような意図は見える。ジャケットにも明瞭だ。彼の純潔はさまざまな雑音を洗い、払って、自分のゆくべきひとつの道を見つけ出そうとしているのかもしれない。
※蛇足ですが本文冒頭は昨年の傑作ドラマに出てきた名ゼリフの引用です。(https://www9.nhk.or.jp/kiyomori/cast/heike.html#h_shigeko)
二木信のいう「ファンク」が僕にはいまひとつわかるようで、わからない。僕は、彼と比べるのもおこがましいほど、量的な意味で日本のヒップホップを聴いていないので、偉そうなことを言える立場ではないのだけれど、もちろんいくつもの例外はあるにせよ、これはネガティヴな意味ではなく、個人的には、わりと人気のある日本語ラップからはむしろ演歌的なエートス/フォーク的な散文詩をかぎ取っていたので、それが二木のように、ざっくりファンクというタームに結びつく回路が見えないのである。いろんな現場に足をはこんでいる人にとってはわかって当たり前の感覚かもしれないし、これは僕の怠惰なのだろうけれど、どうせなら、いちどそのあたりの感覚をしっかり説明していただけたら幸いに思っている。
「ファンク」というタームは、「ポップ」や「パンク」と同様に、それなりの歴史と展開と再解釈を経ているので、いまとなっては文脈のなかで主観的に使われることも多く、絶対的な定義を求めるのも野暮かもしれないが、僕が「ファンクとは何か?」と問われれば、迷うことなく、ジェームズ・ブラウンの「パパズ・ガット・ア・ブランド・ニュー・バッグ」に代表される、16ビートのリズミックな反復と、言語的な意味を超越した迫力について話す。基本中の基本の話で、世界で最高のフットボーラーはペレだというのに近い、ある種王道的な答えだが、一見単純に聴こえてその実複雑な反復、言葉の意味よりもそれもまたリズム譜であることを優先される演奏、そう、ダンスとある種の超越性、障害を説明するのではなく、障害を乗り越えるもの、それがJB、P-ファンク、トラブル・ファンク、クラフトワーク、バンバータ、パブリック・エネミー、UR、ジェフ・ミルズ、ドレクシア、あるいはオウテカ等々にも継承されているリズミックな衝動、すなわち「ファンク」ではないかと考える(『テクノ・ディフィニティヴ』には、テクノの重要なルーツとして「ファンク」の項目を設けたほど)。
トーキング・ヘッズの『リメイン・イン・ライト』をファンクだと思える人なら、トム・ヨークとフリーのアトモス・フォー・ピース(平和のための原子力)名義のデビュー・アルバム『Amok』も素晴らしいファンクだと感じるだろう。そして、オウテカをファンクだと思える人なら、NHK'Koyxeиことマツナガ・コーヘイの『Dance Classics Vol. II』もファンクだと言えるだろう。3Dメガネをかけて、土木作業員のズボンをはいて、身体を小刻みに揺らしながらライヴをするその姿もファンキーそのものである。
マツナガ・コーヘイは、Aoki TakamasaやKyokaやBunたちと同じように、今日の電子音楽シーンにおけるノマドで(日本という、たまたま自分が生まれた小さな島国にとどまることに必要以上な意味を見出さない)、2月におこなわれる彼ら4人の日本ツアー「abkn set japan tour 2013」の詳細に関しては来週記事をUPする予定だが、Bunをのぞく3人は、たとえばベルリンの〈ラスター・ノートン〉のような、便宜上、IDMの牙城のように分類されるレーベルから作品を出しているものの、しかしヨーロッパをよく知る彼らの音楽にはダンスがあり、ことNHK'Koyxeи名義の『Dance Classics』シリーズは、そのタイトルがはっきり言っているように、ダンスである。
今回の『vol.2』はもちろん前作『vol.1』の延長だが、さらにダンサブルな展開が強調されている。エレクトロの影響下にあった頃の90年代初頭のプラッドがやり残したことをやっているようにも聴こえる。あるいは、ジェフ・ミルズがDJをやっているときに、いきなり彼の脇腹を「こちょこちょこちょ」と、くすぐったらきっとこんな音楽になるんじゃないかとも想像できる。ここには、言葉ではなく音の、笑い、ユーモアがあるのだ。
しかし、ないものも多い。何よりもこの音楽には、啓発的な対話やわかりやすい説明がない。思い出話もなければ、気の利いた、何かに役に立ちそうなものがない。そういうものを求めたがる、決められた道筋を建設的に生きたい人生にとってはまったくもって無益な音楽だ。が、音楽の現場に、作品の送り手とその良き理解者たるリスナーという、昔ながらの上下はっきりとした関係性に逆戻りしている向きが固まっているのであれば、『Dance Classics』は極めて重大な滑稽さを秘めていると断言できる。まるでこの音楽は、「くっ、くっ、くっ」と笑いながら、動物と老人が安心して暮らせる世界へと自転車を走らせているようだ。前作のジャケはフラミンゴで、今回はキリン、裏ジャケの写真は、前回が丘の上から望遠鏡で町を見下ろすマツナガ・コーヘイで、今回は道路を自転車で走っているマツナガ・コーヘイ......ひと足先に春風を浴びているように、気持ちよさそうである。



