「ZE」と一致するもの

Tom Zé Japão Tour 2019 - ele-king

 これまた事件です。60年代、カエターノ・ヴェローゾやジルベルト・ジルらとともにトロピカリア運動を盛り上げ、90年代にデヴィッド・バーンによって再“発見”された偉人、10年代以降も精力的に作品を発表し続けている現役バリバリの御大(『21世紀ブラジル音楽ガイド』をお持ちの方は165頁を開きましょう)、ブラジル音楽の生ける伝説、トン・ゼーが齢82歳にして初めての来日公演をおこないます。東京では単独公演、静岡では《FESTIVAL de FRUE 2019》に出演します。こんな機会はもう二度とないでしょうし、これは何がなんでも観ておきたい……SS席はすでにソールド・アウトですが、A席・B席の販売が7月10日12:00より開始予定。早めに申し込みましょう。

Tom Zé Japão Tour 2019

https://frue.jp/tomze2019/

Tom Zé in Tokyo
10.31 (木)
場所:三鷹市公会堂光のホール
(東京都三鷹市野崎1-1-1)
開場:18:30 / 開演:19:30
前売チケット
SS席:15,000円
S席:12,000円
A席:10,000円
B席:8,000円

FESTIVAL de FRUE 2019
11.2 (土) ~ 3 (日)
場所:静岡県掛川市 つま恋 リゾート彩の郷
(静岡県掛川市満水(たまり)2000)
LINEUP:
Tom Zé
and many more artists...

 というわけで、B面はコーネリアス“未来の人へ”(作詞は坂本慎太郎の曲)のカヴァーだそうで。また、今回フィーチャーされているゑでゐ鼓雨磨は、姫路を拠点に活動するバンド、ゑでぃまぁこんのメンバーということです。
 このシングル、2019年8月28日(水) zelone recordsより発売。夏の終わりかぁ、まだ夏休み前だっていうのに……待ち遠しいですな。

小舟 / 坂本慎太郎 feat. ゑでゐ鼓雨磨

Side A 小舟 (Boat)
(作詞 / 作曲: 坂本慎太郎)
Side B 未来の人へ (Dear Future Person)
(作詞: 坂本慎太郎 / 作曲: 小山田圭吾)

Vocals & Guitar: 坂本慎太郎 
Bass: AYA
Drums: 菅沼雄太 
Vocals & Chorus: ゑでゐ鼓雨磨 (from ゑでぃまぁこん)

Produced by 坂本慎太郎 
Recorded, Mixed & Mastered by 中村宗一郎 @ Peace Music

Aldous Harding - ele-king

 相変わらず女性監督作品のピックアップや受賞が少ないことが嘆かれているカンヌ映画祭だが、『ピアノ・レッスン』で女性監督として初のパルム・ドールを受賞した(1993年)のがニュージーランド出身のジェーン・カンピオンだったのはなぜだったのだろうということをときどき考える。それまでも欧米には才能のある女性監督がたくさんいたはずだが、男性監督たちの権威が確立しているフランス映画界で女性が評価されるためには、なにかエキゾチックな要素が必要だったのかもしれないと邪推してしまう。『ピアノ・レッスン』はなるほど、荒涼としたニュージーランドを舞台として、「声を失った女性」がマオリ族と暮らす男に狂おしく愛を求める物語であった。それは古典的なラヴ・ストーリーでありながら、欧米からは見えてこない風景だ。
 カンピオンのことを思い出したのは、現在インディにおいて熱い注目を集めるオルダス・ハーディングがニュージーランド出身だと聞いた僕のたんなるこじつけだが(カンピオンはオーストラリアで育ったというし)、ただ、彼女の表現がいま評価されているのは、英米を中心とするインディ・シーンの空気をさりげなく外しているからではないだろうか。ミニマルでメランコリックな彼女のアシッド・フォークにニュージーランドの土着性が入っているわけではないのだが、少なくとも英米インディのトレンドとはあまり関係ないところで凛とした表情をしている。

 『デザイナー』はインディ・メディアを中心に静かながらもたしかに評価された『パーティ』に続く3作めで、引き続きPJハーヴェイとの仕事で知られるジョン・パリッシュをプロデューサーに迎え、ウェールズでレコーディングされた。これまでゴシック・フォークと呼ばれがちだったその音は、けっして派手にはなってはいないが、パーカッションやストリングスのアレンジがやや増すことでより立体的なものとなっている。メロディをトラディショナルな響きの弦が追いかける“Fixture Picture”で幕を開け、コンガの軽やかな打音が聞こえる“Designer”では軽快に、フルートの音色がドリーミーなコーラスと戯れる“Zoo Eyes”では穏やかにフォークの時間が流れていく。この奥ゆかしさ。あくまでアコースティックの響きを生かして柔らかな耳触りを演出するのはいかにもジョン・パリッシュの仕事という感じで、たしかにPJハーヴェイの21世紀の傑作群を彷彿とさせる部分もある。たとえばミツキやシャロン・ヴァン・エッテンといった近年話題を集める女性シンガーソングライターのようにポップ路線に進むのでもなく、ましてやセイント・ヴィンセントのようにエキセントリックを標榜するのでもない。フェミニズム全盛の現在において、何かを主張しようというわけでもない。慎ましいが、さりげない豊かな時間をシンプルな音で追求しようとしている。牧歌的でありつつかすかにダークで、自然の風景を想起させるようで空想的でもある。混ざり合う不安と喜び、その愛の歌。
 とりわけ本作でのハーディングの魅力が炸裂するのが“The Barrel”で、控えめなパーカッションがゆるやかなグルーヴを醸すなか、ピアノやサックス、アコースティック・ギター、それに男女のなんだかファニーなコーラスが愛らしく通り過ぎていく。ハーディングの憂いと茶目っ気が溶け合ったような歌声。彼女自身が奇妙な衣装でぎこちない踊りをするミュージック・ヴィデオがまた面白くて、どこかシュールなユーモアが漂っているのがこれまでの作品との最大の違いなのだなと気づかされる。

 オルダス・ハーディングのフォーク・ソングには何かデリケートな形での「辺境」が息づいているように思わされる。時代や土地性に過剰に振り回されないがゆえの、秘境めいた佇まいを有しているのである。“Heaven Is Empty”における小さな音のアシッド・フォークのさりげない凄み、その生々しさは、トレンドが現れては去っていく音楽産業の産物ではない。来日も決定しているのでぜひその姿を目にしたいと僕は考えているが、それは彼女が「最旬の女性シンガー」だからではなく、彼女の歌にはいまもフォークの純粋な領域が残されていると感じるからだ。

WXAXRXP - ele-king

 とんでもない企画の登場だ。今年で30周年を迎えるUKの名門レーベル〈Warp〉がオンラインでフェスティヴァルを開催、NTS Radio を占拠する──それも、100時間以上にわたって! 同レーベルからリリース経験のあるアーティストたちがミックスやライヴ・セッションを披露、未発表音源も放送されるらしい。やばい、めっちゃやばい。往年の〈Warp〉を支えてきたビッグ・ネームはもちろんのこと(LFO のトリビュート企画も!)、ガイカロレンツォ・セニニガ・フォックスケリー・モーランやエヴィアン・クライストなどなど、近年の実力者たちも勢ぞろい。やばい、めっちゃやばい。さらに、リストをよくよく見てみると……ウィンストン・ヘイゼル! フォージマスターズのウィンストン・ヘイゼルの名が!! やばい。めっちゃやばい……6月21日金曜の夜から24日月曜の朝まで、これは一睡もできませんね(日本時間)。って、さ、3徹!?

[6月21日追記]
 本日20時(日本時間)から放送開始となる「WXAXRXP」のタイムテーブルが発表された。スペシャル・ゲストとして坂本龍一、エイドリアン・シャーウッド、デス・グリップスらが参加している。これはすごい。詳細はこちらから。

wxaxrxp.net

WXAXRXP

6/21 (FRI) - 6/23 (SUN) on WWW.NTS.LIVE/WXAXRXP

APHEX TWIN ・ AUTECHRE ・ BATTLES ・ BIBIO ・ BOARDS OF CANADA ・ BRIAN ENO ・ DANNY BROWN ・ FLYING LOTUS ・ GAIKA ・ HUDSON MOHAWKE ・ KELELA ・ LFO (TRIBUTE TO) ・ MOUNT KIMBIE ・ ONEOHTRIX POINT NEVER ・ PLAID ・ SQUAREPUSHER ・ YVES TUMOR ・ !!! and more...

レーベルアーティストが勢揃いで名を連ね、100時間以上に及び Mix やライブセッション、未発表音源などを一挙放送!
合わせて〈WARP〉30周年記念ポップアップストアの6/29大阪 & 6/30京都での開催も決定!!

音楽史に計り知れない功績を刻み続ける偉大なる音楽レーベル〈WARP〉が、カッティング・エッジなキュレーションで音楽ファンから絶大な支持を集める「NTS Radio」とコラボレートし、レーベル設立30周年を祝うオンライン音楽フェス『WXAXRXP』を開催! 現地時間6月21日(金)~6月23日(日)の3日間に渡って行われる。日本での放送時間は6月21日(金)午後8時~。

エイフェックス・ツインや、フライング・ロータス、ブライアン・イーノ、バトルス、チック・チック・チック、ボーズ・オブ・カナダ、スクエアプッシャー、オウテカ、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーなど豪華なゲストが参加し、エクスクルーシヴ・ミックス音源やライヴ・セッション音源、映像、未発表曲、貴重なアーカイヴ音源など100時間以上に渡って一挙放送!

なお、『WXAXRXP』開催期間中に店内で〈NTS〉を放送してくれるお店には、本企画のオリジナル・ポスターをプレゼント!
詳細/応募は Beatink の Twitter にて。
https://twitter.com/beatink_jp/status/1139458407247671296?s=20

NTS.LIVE/WXAXRXP
UK時間:6月21日(金) 12:00 ~ 6月23日(日) 23:59
日本時間:6月21日(金) 20:00 JST ~ 6月24日(月) 7:59
WXAXRXP特設サイト:https://wxaxrxp.net

Featuring:
Aphex Twin • Autechre • B12 • Battles • Bibio • Boards of Canada • Brian Eno • Broadcast • Chris Taylor (Grizzly Bear) • Danny Brown • Darkstar • DJ Nigga Fox • Evian Christ • Flying Lotus • GAIKA • Gonjasufi • Hudson Mohawke • Kelela • Kelly Moran • kwes. • Leila • LFO (A tribute to) • LoneLady • Lorenzo Senni • Mark Pritchard • Mira Calix • Mount Kimbie • Nightmares on Wax • Oneohtrix Point Never • Plaid • Squarepusher • Yves Tumor • Winston Hazel (Forgemasters) • !!!

さらに、先週東京・原宿で開催された〈WARP〉ポップアップストアに続き、大阪&京都での開催が決定!!

目玉商品には「ニューシャネル」やYMOとのコラボTで知られる現代美術家:大竹伸朗によるデザインTシャツや、30周年記念オリジナルTシャツ、カルト的人気を誇るエイフェックス・ツインの輸入オフィシャル・グッズの販売、来日公演も昨夜発表され勢い止まらぬフライング・ロータス最新作『FLAMAGRA』グッズ、本レーベルを代表するオリジネイター、プラッドの最新作『POLYMER』グッズといった最新アーティスト・グッズに加え、アニバーサリーを記念して製作された数々の〈WARP〉ロゴグッズが登場!
その他にも、バトルス、チック・チック・チック、マウント・キンビー、ボーズ・オブ・カナダ、ブライアン・イーノなど、〈WARP〉を代表するアーティストのグッズや、レーベルの歴史を彩る数々の名盤のLP/CD などがずらりと店頭に並ぶ。

また、東京を拠点にするファッションブランド、F-LAGSTUF-F(フラグスタフ)の人気アイテムである完全防水仕様のナイロン・ポンチョに〈Warp〉ロゴを胸にあしらった特別仕様アイテムの受注販売も行われる(¥86,400税込:商品のお届けは9月末~10月を予定)。

WxAxRxP POP-UP STORE
開催日程:6/29 (土) ~ 6/30 (日)

大阪:6/29 (土) 11:00~19:00
W CAFE (大阪市中央区西心斎橋1-12-11-1F)

京都:6/30 (日) 11:00~19:00
LaCCU (京都府京都市中京区御幸町通六角下る 伊勢屋町335-1アップヒルズ227 1F)

【入場に関するご案内】
・開場以前のご来店・整列はご遠慮ください。
・当日の混雑状況に応じて、ご案内の方法が変更となる場合がございます。
・皆様に気持ちよくお過ごしいただく為、スタッフの指示にご協力いただきます様お願いいたします。状況により中止せざるを得ない場合もございますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

Flying Lotus - ele-king

 喜びたまえ。最新作『Flamagra』が評判のフライング・ロータス、単独来日公演の決定だ。あの圧巻のサウンドと映像表現がこんなにもはやく再体験できることになるとは……いや、違うな。今年は5年ぶりのニュー・アルバムもリリースしているし、フライローがまったくおなじことを繰り返すはずはないから、前回をはるかに上まわる圧倒的なパフォーマンスがわれわれを待ち構えていると、そう考えるべきだろう。てなわけで、昨年《ソニックマニア》へ行った方も行けなかった方も、これはもう絶対に見逃せない案件である。公演日は9月26日(木)。会場は新木場 STUDIO COAST。ソールドアウト必至なだけに、チケット購入はお早めに。

フライング・ロータス来日決定!!!
圧巻の3Dライブが単独公演で実現!!!

超大作アルバム『FLAMAGRA』が大絶賛を受けているフライング・ロータスが待望の単独来日公演を発表! 昨年ソニックマニアで日本で初めて披露され、集まったオーディエンスの度肝を抜いた圧巻の3Dライブがついに単独公演で実現する。日程は9月26日(木)、会場は新木場スタジオコースト。主催者WEB先行がただいまよりスタート!

底なしの創造力でシーンの大ボスとして君臨するフライング・ロータスが、マグマのごとく燃えたぎるイマジネーションを詰め込んだ28曲収録の超大作『FLAMAGRA』。アンダーソン・パーク、ジョージ・クリントン、サンダーキャット、トロ・イ・モワ、ソランジュら、錚々たるゲスト・ヴォーカルに加え、デヴィッド・リンチまでもがナレーションで参加し、ハービー・ハンコックやロバート・グラスパーらも参加アーティストに名を連ねるというゲスト陣の豪華さも話題となった本作は、リリースされるやその圧倒的な出来栄えに世界中で喝采を受けている。誰もが認める天才フライング・ロータスがたった一夜の来日公演のために東京に降り立つ絶好の機会をお見逃しなく!

FLYING LOTUS in 3D
Opening DJ:TBA

公演日:2019年9月26日(木)
会場:新木場 STUDIO COAST
OPEN 18:30 / START 19:00

前売:¥7,500(税込/別途1ドリンク代/スタンディング)※未就学児童入場不可

企画・制作:BEATINK 03-5768-1277
INFO:BEATINK 03-5768-1277

【チケット詳細】
先行発売:
6/13(木)19時~ 主催者WEB先行(※Eチケットのみ)
 BEATINK[https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10322
6/15(土)~
 イープラス最速先行:6/15(土)正午12:00 ~ 6/19(水)18:00
6/21(金)~
 ローチケ・プレリクエスト:6/21(金)12:00 ~ 6/25(火)11:00
6/24(月)~
 イープラス・先着プレ:6/24(月)12:00 ~ 6/26(水)18:00
一般発売:
6/29(土)~
 イープラス[https://eplus.jp/]、ローソンチケット[https://l-tike.com/]、チケットぴあ[https://t.pia.jp]、Beatink[https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10322]、iFLYER[iflyer.tv/

なお『FLAMAGRA』の世界的ヒットを記念して、フライング・ロータスが初長編映画監督を務め、昨年日本で初上映された際には、まさかの連日満席となった映画『KUSO』が渋谷・シネクイントにて明日6月14日(金)より再上映! 上映会場のシネクイントでは、『FLAMAGRA』の発売を記念したTシャツ、ロングスリーブTシャツ、パーカーが販売される。

『KUSO』上映情報
上映期間:6月14日(金)~6月20日(木)レイトショー
会場:渋谷・シネクイント(渋谷区宇田川町20-11 渋谷三葉ビル7階)
https://www.cinequinto.com/shibuya/

フライング・ロータス最新作『FLAMAGRA』は現在好評発売中。国内盤にはボーナストラック“Quarantine”を含む計28曲が収録され、歌詞対訳と吉田雅史による解説に加え、若林恵と柳樂光隆による対談が封入される。初回生産盤CDは豪華パッケージ仕様。またTシャツ付セットも限定数発売中。2枚組となる輸入盤LPには、通常のブラック・ヴァイナルに加え、限定のホワイト・ヴァイナル仕様盤、さらに特殊ポップアップ・スリーヴを採用したスペシャル・エディションも発売。

label: WARP RECORDS / BEAT RECORDS
artist: FLYING LOTUS
title: FLAMAGRA
release: 2019.05.22 wed ON SALE

国内盤CD:BRC-595 ¥2,400+tax
初回盤紙ジャケット仕様
ボーナストラック追加収録/歌詞対訳・解説書付
(解説:吉田雅史/対談:若林恵×柳樂光隆)

国内盤CD+Tシャツセット:BRC-595T ¥5,500+tax

TRACKLISTING
01. Heroes
02. Post Requisite
03. Heroes In A Half Shell
04. More feat. Anderson .Paak
05. Capillaries
06. Burning Down The House feat. George Clinton
07. Spontaneous feat. Little Dragon
08. Takashi
09. Pilgrim Side Eye
10. All Spies
11. Yellow Belly feat. Tierra Whack
12. Black Balloons Reprise feat. Denzel Curry
13. Fire Is Coming feat. David Lynch
14. Inside Your Home
15. Actually Virtual feat. Shabazz Palaces
16. Andromeda
17. Remind U
18. Say Something
19. Debbie Is Depressed
20. Find Your Own Way Home
21. The Climb feat. Thundercat
22. Pygmy
23. 9 Carrots feat. Toro y Moi
24. FF4
25. Land Of Honey feat. Solange
26. Thank U Malcolm
27. Hot Oct.
28. Quarantine (Bonus Track for Japan)

BSC - ele-king

 世田谷を拠点にどんどんと活躍の場を広げていっている KANDYTOWN。総勢16名からなるこのクルーの中心メンバーのひとりであり、2016年のファースト・アルバム『KANDYTOWN』では“R.T.N”などの人気曲に参加、この2月にドロップされた最新EP「LOCAL SERVICE」でもリード曲の“Till I Die”で印象的なラップを披露していた BIG SANTA CLASSIC こと BSC が、7月24日にソロ・デビュー・アルバム『JAPINO』をリリースする。同作には IORyohu といったクルーの仲間たちが参加、2015年に亡くなった YUSHI とのコラボ曲も収録されるという。混血を表すタイトル含め、いったいどんな作品に仕上がっているのか、いまから楽しみだ。

世田谷をベースにする総勢16名によるクルー、KANDYTOWN のメンバー、BIG SANTA CLASSIC a.k.a. BSC のソロ・デビュー・アルバム『JAPINO』、リリース決定! IO や Ryohu、MUD、KIKUMARU、Holly Q、Neetz、故YUSHI ら、KANDYTOWN のメンバーも参加!!

◆ 世田谷をベースにする総勢16名によるクルー、KANDYTOWN のメンバーであり、故YUSHI、IO、Ryohu、DONY JOINT、DJ MASATO らとの伝説的なクルー、BANKROLL のメンバーでもあるラッパー、BIG SANTA CLASSIC a.k.a. BSC! KANDYTOWN のメジャー・デビュー・アルバム『KANDYTOWN』(2016年)ではリード曲である“R.T.N”や“Scent Of A Woman”、“Rainy Night”といった人気の高い楽曲に参加し、最新のデジタルEP「LOCAL SERVICE」でもリード曲“Till I Die”で印象に強く残るラップを披露。その IO や Ryohu、Neetz、KIKUMARU といったメンバーのソロ作品へも参加し、個人でも活発に活動している BSC が満を持して放つソロ・デビュー・アルバム『JAPINO』!

◆ KANDYTOWN から IO や Ryohu、MUD、KIKUMARU、Holly Q、Neetz が参加し、故YUSHI との幻のコラボ曲も収録! また福岡の注目すべきグループ、YELLADIGOS から PEAVIS と RIO が客演で、KANDYTOWN の最新EP「LOCAL SERVICE」でのビートメイクも話題となった K.E.M、唾奇作品でお馴染みな HOKUTO、SUNNOVA とのコラボ作のリリースも話題の 18 SCOTT らがプロデューサーとして参加!
◆ 本隊の KANDYTOWN としても並行して活動し、今秋には待望のセカンド・アルバムのリリースと ZEPP ツアーの開催がアナウンス!

【アルバム情報】
アーティスト: BSC (ビーエスシー)
タイトル: JAPINO (ジャピーノ)
レーベル: KANDYTOWN LIFE / P-VINE
品番: PCD-25279
発売日: 2019年7月24日(水)
税抜販売価格: 2,500円

プロフィール:
東京・世田谷育ち。BIG SANTA CLASSIC、BABY SANTA CLAUS、屍三太郎……と数々の異名を持つMC。中学時代に同級生である Ryohu と出会い、本格的にラップを始める。故YUSHI、IO、Ryohu、DONY JOINT、DJ MASATO らと BANKROLL を結成し、ソロと並行してクルーとしても活発に活動。その後には KANDYTOWN を結成し、2016年には〈ワーナー・ミュージック〉より『KANDYTOWN』でメジャー・デビュー。

* KANDYTOWN - R.T.N
https://youtu.be/kIXrGAaSZNo

* KANDYTOWN - Till I Die (RYOHU, MASATO, BSC)
https://youtu.be/eTOoRei4QXY

The Caretaker - ele-king

 スタンリー・キューブリックの映画『シャイニング』を見ていると、懐かしさという感覚は恐怖にもなり得ることがよくわかる。文化的に飽和し、政治的にも行き詰まった現代では、ノスタルジーとは、逃避と苦しみの表裏一体かもしれない。

 90年代から活動する、イギリス出身のエレクトロニック・ミューシャンのジェームス・カービーによるザ・ケアテイカー名義の作品は、よく知られるように、『シャイニング』を契機としている。主人公が不可避的に幻視してしまう幽霊たちの舞踏会、そこで鳴っている音楽は、現在ではない遠い過去の音楽=30年代のソフト・クラシックやジャズである。カービーは、およそ20年かけてその時代のレコード(78回転の10インチ)を蒐集し、ザ・ケアテイカー名義の作品においてコラージュされる音源として使用した。“現在”が不在であること、と同時に、懐かしさに魂が抜かれていくこと。やがてザ・ケアテイカーは記憶障害をコンセプトにするわけだが、アルツハイマー病が進行している作者が、病状のステージごとに作品を発表するというシリーズ『Everywhere At The End Of Time(時間が終わるあらゆる場所)』は2016年にはじまっている。その1曲目“It's Just A Burning Memory(まさに燃える記憶)”は、パチパチ音を立てるチリノイズの向こう側で、遠い過去の音楽=30年代のソフト・クラシックやジャズが鳴っているという構図だった。
 去る3月に発表された同シリーズ6作目の『Everywhere At The End Of Time - Stage 6』は、最終作となっている。(その“ステージ6”の前にボーナス・アルバムのようなもの『Everywhere, An Empty Bliss(あらゆる場所、空っぽの幸福)』も発表している)
 20分以上の曲が4曲収録されている本作は、シリーズの初期の作品とはだいぶ趣が異なっている。“A Confusion So Thick You Forget Forgetting(あなたが忘れたことを忘れる濃厚な混乱)”、“A Brutal Bliss Beyond This Empty Defeat(この空っぽの敗北を越えた残忍な幸福)”、“Long Decline Is Over(長き減退の終焉)”、“Place In The World Fades Away(消えゆく世界の場所)”……こうした曲名からもじょじょに記憶を失っていく状態が描かれていることがわかるように、シリーズの1作目~3作目にはまだ輪郭を有していた音像は、4作目以降は音の輪郭は溶解し、靄がかかり、混乱し、腐り、ノイズによって断線していく。幽霊さえも消えていく。そして本作においては、音がじょじょに音ではなくなっていくような感覚が描かれている。それは時間の終わりをどう表現するかということであり、音楽は記憶を失い、消えることによってのみ甦るということでもある。

 マーク・フィッシャーの“hauntology”において、大いなるヒントとなったのがベリアルとこのザ・ケイテイカーだが、最近は、ほかにもフィッシャーが評価したアーティストたちの作品が発表されている。バロン・モーダント(Baron Mordant)はダウンロードのみだが『Mark of the Mould』というアルバムをリリースした。これも力作であり、いずれ紹介したいと思っているが、ブラック・トゥ・カム(Black To Comm)も新作を出したし、ブリストルのドラムンベースのチーム、UVB-76 Musicの粗野で不吉な作品にはフィッシャーの影響を感じないわけにはいかない。ゴールディーの“Ghosts Of My Life(わが人生の幽霊たち)“を引き継ぐサウンドとして。そういう意味ではまだここには幽霊たちはいる。

野田努

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 当然ながら、芸術は進化しない。技術は進化するとしても。

 一枚の絵がある。緑とグレーが混ざった背景の前に、黄土色の、縦長の板が立っている。板の前面には青のテープが「井」の形を作るように無造作に貼られている。左下に影ができていることから、板は真正面ではなく少し左側からの視点で描かれていることを認識できる。具象的だが実在感を欠いた、この世界に居場所がないような心許なさを伝えるこの絵はイヴァン・シールという作家によるもので、ザ・ケアテイカーの6枚の連作『Everywhere At The End Of Time』シリーズの最後の一枚のアルバム・ジャケットである。

 『Everywhere At The End Of Time』は、2016年にその1作目が発表され、2019年3月の6作目の発表を持って完結した。総時間およそ6時間30分。ジェイムズ・リーランド・カービーによって1999年より開始されたザ・ケアテイカー名義のプロジェクト自体も、本作を持って終了するという。この連作のジャケットは全てカービーと同郷・同年代のシールが担当しており、画家と音楽家が連携した作品という印象を強く残す。

 本作が認知症の進行具合をトレースした作品であることは最初から伝えられていたが、最後まで聴き通すと、そのコンセプトが律儀なまでに貫徹されていることがわかる。1920~30年代の甘美で通俗な大衆音楽のループが、次第に残響音とレコード針のノイズにまみれ、やがて「楽曲」の体をなさない完全な騒音と化す。「ゴォォ」「ファァ」「ザザ」「ツーーゥブツ」といった擬音でしか表せない世界に呑み込まれると、この作品が記憶の喪失のシミュレーションであることをはっきりと実感できるだろう。6枚の連作はそれぞれ「ステージ」と名指されており、認知症の進行具合を示していることがバンドキャンプのサイトの説明文で示される。ステージ6は「without description(説明なし)」とだけ書かれており、具体的な言葉は用意されていないが、収録された4曲には題名がある。「A confusion so thick you forget forgeting(混乱が極まり、君は忘れることを忘れる)」、「A brutal bliss beyond this empty defeat(この空虚な敗北の果ての残忍な至福)」、「Long decline is over(長い衰弱が終わった)」、「Place in the world fades away(世界から居場所がなくなる)」。タイトルの連なりからもわかる通り、最後には世界に自分の場所があることを認識する装置、つまり「記憶」が壊れる。たとえ生命活動が継続していたとしても、それは「人間」にとって〈死〉に等しい。

 このような「死のシミュレーション」の前例として、ギャヴィン・ブライアーズ『タイタニック号の沈没』(1969年)が挙げられる。沈み行く船の中で、六人の弦楽器奏者が聖歌の演奏を続けたというエピソードを可能な限り忠実に再現した本作は、〈死〉の裏返しとしての穏やかさを描いたという意味で、アンビエントの本質を体現している。この曲の録音盤の一つはブライアン・イーノの〈オブスキュア・レコーズ〉からリリースされているが、イーノが「アンビエント」という言葉を初めて使用した最初のアルバム『Music For Airports』(1975年)は「飛行機が墜落しても鳴り続けることが可能な音楽」として作られた。〈死〉と隣り合わせの穏やかさこそが「アンビエント」の定義である。

 上記の意味で、『Everywhere At The End Of Time』は正しくアンビエントを継承した作品であると同時に、〈死〉を内側から眺めたという点で画期を成している。絶対的な断絶としての〈死〉を内側から観察することは不可能だ。だが、記憶は少しずつ死んでいく。そこには時間があり、音楽の入り込む余地がある。カービーは、記憶が「人間」の生を成り立たせる条件であることを見抜き、記憶の消滅を音に演じさせることで、音楽における〈死〉の表現方法を更新したのだ。

 この更新は決して「進化」ではない。ギャヴィン・ブライアーズとザ・ケアテイカーの間に優越をつける意味は全くない。ここ数十年の技術の進歩によって、人間の〈死〉の定義は揺らいだ。脳が活動を停止しても生命機能は維持できるし、他人の身体の一部を移植して生きる人間もいる。生命活動が停止した後で意識が残るような事態も決して非現実的とは言い切れない。現在の人間界では、生死の境界は生命活動の有無で決めることはできないのだ。そして、〈死〉が揺らぐ世界に対応する表現を見出したのが、ザ・ケアテイカーだった。ただそれだけのことである。今、作られるべき作品は、時代において変化する。その変化を見抜く力こそが表現者の条件であり、新しい技術を駆使すればそれが優れた芸術になるわけでは決してない。ザ・ケアテイカーの紹介者でもあった故マーク・フィッシャーは、2000年代のポップ・ミュージックから「新しさ」が喪われたことを嘆いた。だが「新しさ」は、新しい表現にとって何の価値もないのだ。

 『Everywhere At The End Of Time』の終わりに耳を済ませる。内側から眺めた〈死〉に美しさはない。救いもない。吹きすさぶ風とうごめく地響きのような音が垂れ流されるステージ6の録音は、ほとんどただの雑音だと断じてもいい。荒涼とした音風景とともに時を過ごしていると、やがて薄く引き伸ばしたパイプオルガンを思わせる響きが耳に届く。感じるのは空虚で物体的な質感だ。イヴァン・シールが描いた木の板のような、何の役にも立たない、美しさのかけらもない物質の肌触り。それだけが、鼓膜の振動から伝わる。物質として存在していたとしても、心はもう生きていない。今、ここに呆然と突っ立っている、世界に居場所を欠いたモノの姿を、無意味で無価値な〈死〉の有り様を、カービーとシールは音響と絵筆の震えから伝導させる。その細やかな震えこそが、「芸術」と人が呼ぶものの正体である。

伏見瞬

Teen Daze - ele-king

 美しい間接照明のように穏やかな光の感覚。もしくは静かに、深く、慎ましやかに、感情の奥深くからこみ上げてくる感覚……。
 ティーン・デイズの卓抜な出来栄えを誇る新作『Bioluminescence』を聴いていると、10年代における「エモい」とはこういうことではないかとも思ってしまった。ミニマルにしてエモーショナルな何か。深く強くこみ上げてくる感情。そして、10年代以降の感覚、品の良さ、清潔、ミニマルなセンス。

 ティーン・デイズはカナダのブリティッシュコロンビアを拠点とする音楽家である。彼は2010年代初頭におけるチルウェイヴやベッドルーム・ポップのムーヴメントの中でもとりわけよく知られているアーティストだ。近年は自らレーベルを主宰し、作品を送りだしている。
 新作『Bioluminescence』は、そんな彼が運営するレーベル〈Flora〉からリリースされた最新アルバムである。前作『Themes For A New Earth』以来、2年ぶりにして、6作目のアルバムだ。
 とはいえ本名のジャミソン・イサーク名義で、クラシカル・ミニマルにしてアンビエントを追求したEPシリーズとカセット作品、それらを1枚のCDアルバムにまとめた『Cycle Of The Seasons』をリリースもしていたので、ひさしぶりという気はしない。2016年以降、〈Flora〉の運営・リリースをはじめてからというもの、彼はコンスタントに楽曲を送りだしているのである。

 重要なことは、〈Flora〉からのリリースによって、ティーン・デイズの音楽性が変化したことだ。10年代初頭にカナダのベッドルーム・ポップの新星としてチルウェイヴ・ブームとも交錯するかたちで評価を獲得したティーン・デイズだが、そのようなパブリック・イメージに抗うように、〈Flora〉からはアンビエントなムードを醸し出す楽曲を発表してきた。
 これらの作品において、カナダの自然や季節から地球環境をトレースするように、エコロジカル/オーガニックな音楽性を追求している。それがいまの彼のメロディであり、リズムであり、サウンドなのだろうと思う。いささか騒がしい音楽の流行から距離を置き、やわらかな意志を封じこめたような音楽を生みだすこと。

 『Bioluminescence』も、2017年以降に〈Flora〉からリリースされた3枚のアルバムのサウンドを継承し、発展させた仕上がりである。ミックスは、ダニエル・ロパティン=ワンオートリックス・ポイント・ネヴァーと競作歴のあるジョエル・フォード、マスタリングは〈Room40〉や〈Umor Rex〉からのリリースでも知られるアンビエント作家ラファエル・アントン・イリサリらが手がけている。
 本作には『Themes For Dying Earth』のようにゲスト・ヴォーカルをまねいたヴォーカル・トラックですらない。ピアノやキーボード、ギターの音色が奏でるミニマルなフレーズを基調にし、ときにアンビエント、ときにテクノへと音楽を変化させていくインストゥルメンタル・トラックを収録しているアルバムなのだ。ティーン・デイズ『Themes For A New Earth』や、ジャミソン・イサーク『Cycle Of The Seasons』を継承・発展したようなアンビエントな作風であり、アンビエントとテクノというエレクトロニック・ミュージックの両極を往復しながら、オーガニックでアトモスフィリックなサウンドが全編にわたって展開しているのである。

 かつてベッドルーム・ポップの代表格のように言われた彼だが、いまのティーン・デイズの音楽は、綺麗に整理されたリヴィングから奏でられる「インテリア・エレクトロニック・ミュージック」のようにも聴こえてくる。居心地のよい自宅のリヴィングで、ミニマムなセットによって創作されたアンビエントやテクノ……。
 人の心の繊細な感情にしみ込むような繊細かつ精密なアンビエントM1 “Near”、アコースティックとエレクトロニックが交錯するM2 “Spring”。バレアリックなムードのM3 “Hidden Worlds”。降り注ぐ太陽の光のごときダンサブルなM4“Ocean Floor”。ミニマルなフレーズを基調としつつ、心地良いアンビエントからエモーショナルなビート・トラックへと変化を遂げるM5 “Longing”。『Cycle Of The Seasons』収録曲を思わせるアンビエントM6 “An Ocean On The Moon”。“Spring”と対を成すようなギターの音色と電子音がまじわるM7 “Drifts”。そこからシームレスに繋がるように、まずはアンビエントで幕を開け、次第に軽やかなリズムがレイヤーされていくM8 “Endless Light”。どの曲もシンプルで素朴なミニマムなメロディをベースにした清潔で、やさしく、ミニマルかつエモーショナルな仕上がりだ。アルバム名の「バイオルミネセンス」は「生物発光」という意味だが、まさに光を放つような電子音楽でもある。
 くわえて日本盤CDは、その後もボーナス・トラックとして“Terraform”と“Ice Age”の2曲が収録されている。2曲とも「ティーン・デイズ流のアンビエントからテクノへと変化するトラック」の完成形ともいえる重要曲だ。アルバムの世界の「その後」が展開されているような錯覚をしてしまったほどである。
 ともあれ全トラック、上品なエモーショナル。モダンで瀟洒なテクノ+アンビエントなサウンドをお探しの方には理想的なサウンドかもしれない。ぜひとも聴いて頂きたい。

ele-king vol.24 - ele-king

特集 オルタナティヴ日本!

かつては存在した“オルタナティヴ”が日本の音楽シーンにはもうない……
はたしてそれは本当だろうか?

いま現在の“オルタナティヴ”を探し、“日本の音楽”について考える特集です。

エレキングが選ぶ日本の名盤100枚

アンビエント20枚/フリー・ジャズ20枚
ノイズ・ロック/tiny pop
再発見される「日本」
みんな大好き電気グルーヴ

interview
Koji Nakamura
民謡クルセイダーズ
坂本慎太郎
柴田聡子
中原昌也
NOT WONK

目次

特集:オルタナティヴ日本!

interview 民謡クルセイダーズ (野田努/川村優人)
ぼくはこうして「日本」を発見する (野田努)
interview 坂本慎太郎 (野田努/小原泰広)
オルタナティヴの行方 (北中正和)
interview Koji Nakamura (小林拓音+野田努/川村優人)
interview NOT WONK (野田努/小原泰広)
interview 柴田聡子 (小林拓音/小原泰広)
もうひとつのポップス……“tiny pop”についての現状報告 (山田光)
21世紀のはっぴいえんどフォロワーたち (柴崎祐二)
311前のおよそ10年、ぼくが10代だった頃 (天野龍太郎)
「日本の音楽」を知るための14冊 (野田努)

エレキングが選ぶ邦楽100枚のアルバム (野田努、松村正人、天野龍太郎)

再発見される日本──和モノ・ブームはいまどうなっているのか?
interview Alixkun (野田努)
「和レアリック」とは (松本章太郎)
日本のアンビエント20 (デンシノオト)
ノイズロック考 (イアン・F・マーティン/五井健太郎)
日本のフリー・ジャズ20 (細田成嗣)
現場からの声 (JET SET、DISC SHOP ZERO、TRASMUNDO、LOS APSON?、WWW / WWW X / WWWβ)
日本のポップスのなかにリズム感を求める (増村和彦)
interview 中原昌也 (野田努/鈴木聖)
みんな大好き電気グルーヴ (磯部涼、草彅洋平、大久保祐子、天野龍太郎、河村祐介、渡辺健吾、野田努)

interview with Plaid - ele-king

 何かが違う。いや、ものすごく大きく変わったというわけではない。ただ、どこかいつもと様子が異なっているのである。『Scintilli』『Reachy Prints』『The Digging Remedy』と、UKテクノの良心とも呼ぶべきこの2人組は、きらびやかなメロディと音響への傾斜で2010年代を乗り切ってきた感があるけれど、そしてもちろんその側面が失われてしまっているわけではないのだけれど、『Polymer』は彼らにしてはやけにダークなのである。ぶりぶりと唸るノイズに導かれサイケデリックな音声が侵入してくる1曲目“Meds Fade”も、アシッディな2曲目“Los”もそうだ。インダストリアルな9曲目“Recall”やヘヴィなベースが耳に残る10曲目“All To Get Her”など、今回の新作は全体的に薄暗くノイジーな雰囲気に覆われていて、ロック色も濃くにじみ出ている。間違いなくプラッドにしか鳴らせないサウンドであるにもかかわらず、どうにも不穏な空気に包まれているのだ。
 まごうことなきIDM/エレクトロニカのオリジネイターの1組であり、コンスタントに佳作を送り出し続けてきたプラッドによる3年ぶりのアルバムは、公害や環境問題、政治から影響を受けた作品となっている。それは大量のペットボトルが宙を舞う“Dancers”のMVや「Thanks to the EU」というブックレットの文言にも表れているが、しかし彼らはコンシャスなラップ・グループでもなければパンク・バンドでもない。アンディとエドのふたりが紡ぎ出すのはそもそも言葉を持たない音楽である。ゆえに海洋汚染というテーマも抽象化され断片化されているわけだけど、ただ、これまで基本的には音にポリティカルな要素を落とし込んでこなかった彼らが、実生活をとおして環境や政治の問題に直面し、それにインスパイアされてアルバムを作ったという事実は、やはり大きな何ごとかを象徴しているように思われてならない。それだけ世界の情況が切迫してきているということだから。
 無論そんな御託はきれいさっぱり忘れて、相変わらずきらきらと輝いているメロディや躍動的なビート、ほのかに漂うラテンの香りなど、彼ららしいサウンドの数々にひたすら身をゆだねることもできる。というか、むしろいつまでもそうしていたい──そのような快楽への欲求と、差し迫った現実へのまなざしとの複合こそこのアルバム最大の魅力なのではないか。タイトルの「ポリマー(重合体)」にかんしてエドは、「化合物と天然物を組み合わせると、衝突が起こる場合もあるし調和が生まれることもある」と語っているが、ダークでときにアグレッシヴなスタイルと、美しい旋律や繊細な音響、多彩なリズムとの共存は、それこそプラッドという「ポリマー」における衝突と調和を映し出しているように思われる。
 いったいこの3年のあいだに何が起こったのか。新作『Polymer』にはどのような想いがこめられているのか。アンディとエドのふたりに尋ねてみた。

Dancers (Official Video)

僕らのこれまでの音楽作りの人生においても、化合物と天然物を組み合わせようとしてきたと思っていて。化合物と天然物を組み合わせると、衝突が起こる場合もあるし調和が生まれることもある。(エド)

声が曲の構成の中心点にならないようにしている。なぜなら言葉をとおしてメッセージを伝えようとしているわけじゃないからね。というわけで声はテクスチャーやレイヤーとして使ってるかな。(アンディ)

2016年の前作『The Digging Remedy』から、今回の新作『Polymer』のあいだで、あなたたちに起こった変化を教えてください。

アンディ・ターナー(Andy Turner、以下AT):いまは、かなりふつうじゃない時期だからね。こっち、UKではこの2年くらいで政治的にかなり奇妙なことが起こってるんだ。それが環境の変化としてはいちばん大きいんじゃないかな。たぶん日本の人も知ってると思うけど、ブレクジット関連だったり、そういった政治的議論が巻き起こっていて、『The Digging Remedy』が発売されてから、この3年はそれが話題の中心と言っていいほどになってるんだよ。個人的には引っ越ししたりっていうのもあるけど、それが色褪せてしまうほどだね。

今回のアルバムは公害や環境問題がインスピレイションになっているとのことですが、タイトルの『Polymer(重合体)』は、衣類などに使われるナイロンやボトルなどに使われるポリエチレンのような、ようするに人工的な化合物を指しているのでしょうか?

エド・ハンドリー(Ed Handley、以下EH):それもあるんだけど、ポリマーって天然物質のことも指していて、だからこそタイトルとして選んだんだと思う。プラスティックのような化合物のポリマーもあれば、シルクやウールといった天然のものもある。それで僕らのこれまでの音楽作りの人生においても、化合物と天然物を組み合わせようとしてきたと思っていて。環境を汚染するプラステティックを使ってしまっているという矛盾する現実もあるしね。そういう意味でおもしろい言葉だと思ったんだ。それからこの言葉には、「たくさんの(poly-)パーツ(mer)」という意味もあって、それは僕らが音楽を作る上でも同じだと思ったんだ。化合物と天然物を組み合わせると、衝突が起こる場合もあるし調和が生まれることもあって、それはこの3年で僕らが自分たちの人生で直面した問題のいくつかをも反映している気がしたんだよ。

ヴァイナルのレコードもポリマーに含まれる?

AT:そうだね。そこにもアイロニーがあると思う。つまり自分もプラスティックを売っているわけでそこは複雑だよ。それにしょっちゅう飛行機に乗っているから二酸化炭素排出量はひどいしね。

昨今は気候変動や「人新世」のようなタームがよく話題にのぼりますが、このアルバムのテーマもそういったことと関係していますか?

EH:インストゥルメンタルの場合は、もしメッセージがあるとしてもかなりわかりにくいと思うんだよ。タイトルがヒントになってる場合はあるけど、でもあくまでヒントなんだ。というのも音楽から得られる理解とか感覚ってすごく主観的なものだし、その人独特のもので、ほんとうにそれぞれだと思うんだ。だから僕らがこの音楽はこういう意味ですということを承認するのは難しいかな。これまでも僕たちはつねにアルバムにテーマを与えようとしてきたけど、でもそれはたいてい曲作りが終わるころの話で、あとになって曲と曲を繋げる何かを発見するというか。じっさいの音楽とそのタイトルやテーマとの繋がりはけっこう曖昧なものだったりするんだよ。たぶんその曲が伝えようとしている感情がどういうものなのかを感じとることはできると思うけどね。感情をどう受けとるかは人によって違うからその保証はないけどね。アーティストによっては意味づけを避けるために、ある意味わざと不可解なタイトルをつける人もいるよね。僕らの傾向としては、自分たちが何に関心、興味を持っているのか、何をおもしろいと思っているのかのヒントを与えるようなタイトルをつけることが多いと思う。そうやって、僕らがどうそのトラックを捉えているかを理解するためのちょっとした入り口を提供するというかね。

Los (Official Audio)

今作は全体的にプラッドにしてはダークでノイジーで、ロック色も濃い印象を受けたのですが、そういったサウンドの特徴もそのテーマと関係しているのでしょうか?

AT:ああ、それは間違いなくあると思うけど、いまエドが言ったように、それはかなりわかりにくいものだよ。もちろん僕らはこの世界の一部だから、身の回りで起こっていることを吸収しているし、それがいつの間にか自分たちが作る音楽にも表れるというか。だからこの曲ではこの問題を扱おうと決めて作るわけではなくて、結果的に表れるんだ。僕らとしても、アルバム全体をあらためて聴き返してみたら、前の作品よりも間違いなくダークになってるなとは思ったし、それはいまのわれわれが抱えている問題の影響があるんだと思う。

ブレクジットも?

EH:僕らふたりにとって関係のあることだと思う。というのもブレクジットって自分たちが育った価値観にたいする直接的な攻撃だからさ。それはつまり移動の自由だったり、ヨーロッパのどの国に行って住むこともできる自由だったりね。もちろんヨーロッパ以外の人にとっては少し排他的に聞こえるかもしれないけど、でもとにかく、いろんな意味で移動の自由度は高いほうがいいと思うんだよ。それにブレクジットなんて不必要だしね。大きな組織は改革すればいいんであって、破壊する必要はないわけだよ。とにかく僕ら双方にとって心中穏やかでない問題で、この3年はブレクジットのネガティヴな影響を受けてきたと思う。

このアートワークは何を表しているのでしょう?

AT:これは Jamar Finney(※表記不明)というニューヨークのモーション・グラフィックス・デザイナーの作品で、彼のことは〈Warp〉のニューヨーク・オフィスの人から紹介してもらったんだ。それで基本的には、こちらからはアルバムのテーマと音楽を渡して、化合物と天然物の接点について説明して、そして途中何度か話し合いながらこういうアートワークの方向性になったんだ。だからこれは彼の創造的ヴィジョンから生まれたものだよ。

あなたたちの音楽の特徴のひとつに、いわゆるワールド・ミュージック的なものへのアプローチがあります。今回もやはり“The Pale Moth”や“Praze”などからはラテンの風を感じますが、そのような音楽に惹かれる最大の理由はなんですか?

EH:いまはインターネットで音楽が配信されるようになってるから、より手軽に、世界じゅうの音楽を聴くことができるようになってて、じっさいそういった音楽の異種交配も盛んにおこなわれているよね。僕らの場合、ラテン音楽、南米の音楽というのは、かなり早い段階から聴いていて、というのもそういった音楽は初期のヒップホップに影響を与えてたからさ。LAのDJがエレクトロをプレイして、そこに南米あるいはサルサなんかをミックスするとか。というわけでかなり早くから聴いてきたから、その影響が自分の作るものにも出てくることもあって。それでいまは、そういうことがかつてないほど起こっているんだよ。いまアフリカ大陸発の音楽をけっこう聴いてるけど、アメリカだったり日本だったり、いろんな要素が混ざった音楽がアフリカからたくさん出てきてるし、その逆もまたしかりだよ。だからもはや「ワールド・ミュージック」というくくりは無意味になってるところまで来てるというか、むしろすべての音楽はワールド・ミュージックだしね。影響を取り入れる際には、植民地支配的な意味で収奪しないように注意深くならなければいけないのは当然で、誰かの文化を奪うのはダメなわけだけど、でも影響の数々の素敵な融合というのはつねにあるし、僕らふたりとも、世界じゅうの音楽を聴いて楽しんでいるからね。ありがたいことにいまではそれがすごく簡単にできる。昔はたとえばアフリカの音楽が買いたいと思ったら、まずロンドンの専門店まで行かなきゃいけなかった。でもいまなら Spotify でもなんでも自分のプレイリストに瞬時に加えることができるからね(笑)。

今作のギターもベネット・ウォルシュが担当しているのでしょうか?

EH:うん。ベネットとはもうかれこれ僕らが〈Warp〉と契約した頃からの付き合いで、彼も古くから〈Warp〉との関わりがあるんだ。彼とのコラボレイションはほとんどファースト(※『Not For Threes』)から……『Mbuki Mvuki』を含めると2枚目からになるか。彼と作るのはすごく楽しいし、メロディやハーモニーにたいする感性が似ていて、ときにナイーヴとも言えるくらいのフォーキーなものからの影響があったり、しかも彼はもうほんとうにいい人だから、コラボレイションの過程が楽しいんだよ。オープンだし気難しいところもないし、だからこそこれだけ何度も一緒にやっててツアーも一緒にやってるしね。という感じで彼とは長いあいだに友愛関係が築かれてきてるよ。

前作『The Digging Remedy』が出た2016年には、キューバの Obbatuké と共演していましたよね。9年前には Southbank Gamelan Players とも共演しています。そういったラテン音楽やアジア音楽のグループと共作アルバムを作ることを考えたことはありますか?

AT:ガムランの人たちと共演したときは、1時間分くらいの音楽を彼らと一緒に作ったから、じっさいアルバムを作れるくらいの長さはあったんだ。でもそれをアルバムという形でリリースしようと考えたことはなかったな。

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なんでこれを新鮮でおもしろいと思う人たちがいるんだろうと思うんだけど、その人たちは元ネタを聴いたことがないんだって気づくわけだよ(笑)。それに飽きちゃってるのはちょっと歳をとった僕らのような人たちだけなんだよね。(エド)

いろんな分野がロボットに乗っとられて、音楽もそうなるっていうジョークをよく聞くけど、でも僕はそれをとくに脅威だとは思っていない。それも含めてさまざまなものが混ざったときにそこから何か新しいものが出てくればいいと思うんだ。(アンディ)

美しい旋律もプラッドの大きな特徴です。それは今回も“Maru”や“Dancers”、“Nurula”や“All To Get Her”などに表れていますが、メロディを書くときに意識していることはなんですか?

AT:重点を置いているのはそれぞれがそのメロディにたいして感情の部分でどう反応するかっていうことだと思う。それが作る上でのガイドになっているというか。そのメロディが自分のなかのどんな感情を呼び覚ますのかっていうことだったりね。音符が正しく並んでるときっていうのは聴けばわかるんだよ。

Maru (Official Audio)

他方でプラッドはリズムも多彩です。リズムを組むときにもっとも意識していることはなんですか?

EH:僕らの場合はメロディ・ラインからはじめることが多くて、しかもリズムはメロディに本来備わっているもので、だからメロディがリズムを方向づけることが多い。でもその逆の場合もたまにあって、とくにごくありがちな表現に抗いたいとか、少し外したもの、尖ったもの、散乱したものが作りたい場合はね。ただ通常リズムは定まってることが多いと言えるかな。それはおそらくリズムが僕らにとって二次的なものだからだと思う。メロディ・ラインが主導するというのが僕らのアプローチだからさ。もちろんときにはキック、スネア、ハイハット以外のサウンドも使いたいとは思ってるけどね。まあまだ勉強中かな(笑)。

“Meds Fade”や“Ops”、“Dust”など、今作は声へのアプローチも印象的ですが、あなたたちにとって声とはどのようなものなのでしょう?

AT:まあ僕らはふたりとも、残念ながらとくにいいシンガーとは言えないんだ。というわけでシンセティックな声を使うことが多いんだけど、結局は他の楽器と同じように使っているんだと思う。声が曲の構成の中心点にならないようにしているというか。なぜなら言葉をとおしてメッセージを伝えようとしているわけじゃないからね。というわけで声はテクスチャーやレイヤーとして使ってるかな。

この2月に、あなたたちの参加するリピートのアルバム『Repeats』が〈Delsin〉からリイシューされましたけれど、これはどういう経緯で?

EH:これは、あのアルバムを一緒に作ったマーク・ブルームが〈Delsin〉との繋がりがあって、それで実現したものだよ。マークは僕らの友だちでありミュージシャンでありDJで、〈Delsin〉は古いテクノ・レコードだったりエレクトロニックのレコードをリイシューする傾向があるところで。マークとはいまも繋がってるし、彼はいまもDJしたりプロデュースしたりしてるよ。

そもそもあのコラボは1995年当時、どのようにはじまったものだったのですか? 『Spanners』と『Not For Threes』のあいだの時期ですよね。

AT:友だちと一緒にやろうっていう感じのものだったんだ。マークのことはあれを作る数年前から知ってて、彼は当時、リピートの4人目のメンバーであるデイヴ・ヒルと一緒にやってたからね。あれはいま思うと僕らにとってもっともジャム・セッション的に作った音楽のひとつだったね。何回か集まって、それぞれがシンセサイザーを持ってて、みんなで車座になって音を鳴らして、それをシークエンサーで録ってさ。すごく楽しいプロジェクトだったよ。

近年はバイセップやダニエル・エイヴリー、シェフィールドの〈CPU〉など、90年代のテクノから影響を受けたサウンドが話題にのぼることが多々ありますが、オリジネイターであるあなたたちの目に、そのようなリヴァイヴァルはどのように映っているのでしょう?

EH:何かが繰り返したりループしたりするのは、なかなか理解するのが難しい。自分が好きだった、あるいは自分も参画したものがふたたびポピュラーになると、ちょっと退屈だなって思うことがたまにある(笑)。自分はすでにやったわけだし、進歩を見たいわけだからさ。でもじつは同じままで繰り返すことってほとんどなくて、どこかが新しく改良されているし、リヴァイヴァルされるまでのあいだには他の影響もいろいろ挟んでるからね。だからいま言ったような人たちも90年代テクノのサウンドを使ってるけど、超プロデュースされた、超改良されたヴァージョンになってたりするんだよ。だから、なんでこれを新鮮でおもしろいと思う人たちがいるんだろうと思うんだけど、その人たちは元ネタを聴いたことがないんだって気づくわけだよ(笑)。それに飽きちゃってるのはちょっと歳をとった僕らのような人たちだけなんだよね。それにたいして文句はないし、そうやってサイクルが続いていくんだろうし、音楽はずっとそうやって続いてきたんだと思う。しかも遡って古いレコードを聴いてみようって人もいるから、そういう意味で言うと素晴らしいことだと思うよ。

Recall (Official Audio)

今年で〈Warp〉は30周年を迎えます。レーベルの方針や雰囲気やスタッフ、置かれた状況などにかんして、『Bytes』(1993年)を出したころともっとも変わったところはどこだと思いますか?

EH:それほど変わってないと思う。悲しいことにだいぶ前にロブ・ミッチェルが亡くなって創設者のひとりを失ってしまったというのはあるけどね(※2001年)。それがレーベルにとってはいちばん大きな変化かな。もうひとりの創設者であるスティーヴ・ベケットも昔ほどは積極的な役割を担ってないしね。でもそれ以外は、何人かほぼ最初からいる人がいまもいて、James Burthton(※表記不明)なんかはもうずっと長年いて、ほとんど僕らと同じくらい長いんじゃないかな(笑)。だからずっと変わらない部分もあって、A&Rも相変わらず革新的で興味深いものを見つけてくるし、選ぶ基準も比較的変わってないと思うし、まあいまのほうがもう少し洗練されたものになってるかな。それから、いまは「〈Warp〉とはこういうレーベルだ」っていう定義ができあがってるけど、はじまったばかりのころは未定義でレーベルがみずからを形成していくようなところがあったね。でもその他は、アーティストにかなりの自由が与えられているインディ・レーベルであり、多くの音楽好きが知っているほどのブランド力があるという部分は、ずっと一貫していると思うし、その一部でいられることにたいしてありがたいと思ってるんだ。

最近はA.I.の話題をさまざまなところで見かけ、じっさいそれを用いて作曲している音楽家もいます。A.I.が音楽にもたらすものとはなんだと思いますか? A.I.が作る音楽と人が作る音楽に違いはあると思いますか?

AT:僕らもたまにアルゴリズムを使ってメロディやリズムを作ることはあって、それはたとえば、ほとんどセッション・ミュージシャンと仕事をするような感覚というか、つまりはアルゴリズムに演奏してもらって、それを聴いてその一部分を使ってさらに自分たちの好みに改良するとか。だからひとつの情報源として使っているような感じかな。いろんな分野がロボットに乗っとられて、音楽もそうなるっていうジョークをよく聞くけどね。優れたプログラムであれば、人間よりもすごい音楽を作れるようになるんだっていう。でも僕はそれをとくに脅威だとは思ってなくて、それも含めてさまざまなものが混ざったときにそこから何か新しいものが出てくればいいと思うんだ。

日本では6月2日に映画『鉄コン筋クリート』が地上波で放送されるのですが、当時の裏話があれば教えてください。

AT:最初に監督(※マイケル・アリアス)から〈Warp〉に連絡があったんだ。彼はその何年か前に僕らのライヴを観たとき、いつか自分が映画を監督するときは僕らに頼みたいと思ったそうだよ。僕らにとっては『鉄コン』が初めてのサウンドトラックだったから、監督が僕らを起用することはかなりの賭けだったはずだけど、僕らにとってはまたとない機会に恵まれて嬉しかった。でも何しろ大部分が手描きというあの映画の性質上かなり時間がかかって……おそらく4、5年かかったのかな。そのおかげでサウンドトラック入門編としてはかなり緩やかなものになった。何しろアニマティックを参照しながら1年以上かけて作ることができたからね。

いま音楽以外でもっともやりたいことは?

EH:ライヴのための映像をちょっとやってて、音とシンクロするイメージを作ったりしてるんだ。それはふたりとも興味を持っているかな。もちろん音楽以外にも興味を持ってることはあるけど、キャリアとして考えると音楽以外の仕事は難しいだろうな。創作にかんして言えば、いろんな人とコラボレイトすることでほんとうにいろんな音楽ができるから、自分たちにとって音楽がおもしろいものであり続けているんだよ。音楽にはまだまだ発見がたくさんあると感じてるし、学ぶべきこともまだまだたくさんある。調べることや探求することもたくさんあると思うし、自分はまだひよっこだと感じるよ(笑)。まだ100年分くらいやることがあると思う。

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