「TT」と一致するもの

ザ・なつやすみバンド - ele-king

 本当に楽しいことがあったかどうかなんて、もうはっきりとは覚えていないのに、「夏休み」と聞くと、それはほぼ無条件に、輝かしい季節として脳裏にまばゆい太陽を立ち上げる。それは、金もないのに時間だけが無駄にあった大学生の頃の記憶ではない。部活動でゲロを吐いた高校生の頃の記憶でもない。もっと地面や、土や、太陽の匂いが近く感じられたあの頃、水泳バッグに水着を入れて友だちと炎天下をダラダラと歩いたあの頃、シャーベット・アイスを食べながら、扇風機に向かって「あー、あー」とやっているだけでやたらと幸せだった、あの頃の記憶である。あるいは、どんな人でも今よりは素直に笑えていただろうか......。青臭いスイカの臭い、嵐のような蝉の鳴き声、空を押しつぶしそうな入道雲、暴力的でもどこか清々しい夕立が打つ飛沫、そして、心臓を搾るような恋の苦み......その色彩はたぶん、いまよりもずっと鮮明だった。

 世界が忘れそうなちっぽけなことも
 ここではかがやく
 振り向かないよいま
 あと少しくらい君と笑いたいなあ
"自転車"

 あと少しくらい、君と夏休みを――。ザ・なつやすみバンドは、あの透明な遠い記憶に思いを馳せている。あるいは、木漏れ日に抱かれて微睡んでいる。まるで、夏休みのなかで置いてきぼりになった永遠のロスト・チャイルドのように。

 中川理沙は、思い出せなくなった古い記憶の奥底まで響くような、柔らかくも情熱を内に秘めた声を聴かせている。丁寧にアンサンブルされたバンド・サウンドを、ピアノ、そしてMC.sirafuによるスティールパンのまろやかな音色が、ピアニカやトランペットのアレンジが、そっと包み込む......。「夏休み」をある精神の象徴として捉えたとき、それを終えることは「大人になること」の責任を引き受けることにもなるだろう。だから、神聖かまってちゃんが『8月32日へ』(2011)を宣言したとき、彼らの自己批評としてそれは見事なスローガンだと唸ったものだが、ザ・なつやすみバンドの夏休みは、果たして8月31日で終わっているのだろうか? それは、極めて微妙なラインで揺れている。聴き手に9月1日の責任を放棄させる誘惑の蜃気楼のようでもあり、それが失われてしまった実感(痛み・感傷)とともに、いっさいの延長が利かない季節として描かれているようでもある......。

 後者であれば、終わることが当然のものを、やはり、終わってしまうものとして描き出すことに、表現としての豊かさはあるのだろうか。夏休みの宿題として、そんな意地悪な問題提起もできると思う。だが......優れたフィクションが持つ虚構性に抗うことが難しいのもたしかだ。それは、鑑賞者に虚構の世界を通過させることによって、現実の世界では触れることのできないものに接触させ、見つめさせ、嫌でも何かを持ち帰らせてしまう。サイケデリック・ミュージックやリアリズム・ミュージックの強烈な相対化作用に比べれば、ポップ・ミュージックは日帰りの小旅行くらいの虚構性しか持たないかもしれないが、それでも日常をシャットダウンし、ファンタジーを強く立ち上げるというのは、何かしらのSOSなのだろう。思い当たる節があるなら、もう一度、迷い込んでみればいい。なにしろセリーヌが言うように、それは誰にだってできることだ。セミが鳴きしきる"なつやすみ(終)"から始まる45分を聴いて、目を閉じさえすればよい、すると......「すると人生の向こう側だ」――。

 扉は見当たらない
 終わりなんてない
 描き続けるよ 時間が足りないくらいさ
"がらん"

 記憶と虚構のあいだに潜るポップの小旅行へ。彼女らはその衒いのない裸の音楽を愛している。例えば、ごく初期の荒井由実のように。例えば、空気公団のように。また例えば、リトル・テンポのように――。私がとくに気に入ったのは、センチメンタルの渦の中心へと真っ直ぐに降りていく"自転車"だが、完成度という点では"君に添えて"だろうし、速度を上げてドライヴする"悲しみは僕をこえて"も、同系色で統一されたアルバムに絶好のめりはりを与えている。スティールパンのテクニカルなソロが決まるロックなんて、今まで聴いたことがあっただろうか。そしてそのナチュラル・メロディ。すべての収録曲が、記憶の片隅を正確にノックする。「もうこれは使わないだろう」と決めつけ、知らぬ間に扉を閉めてしまった感情のすすを払い、もう一度、鑑賞者に差し出しているような......。時間はもう、あまり残されていないのかもしれない。この虚構の夏休みを、果たして私たちはいつまで信じることができるのだろうか?

 ところで、このアルバム、というか、このバンド周辺(MC.sirafuさん周辺)の存在を教えてくれたのは、本作のスペシャル・サンクス欄にも名前が載っているヒコさん(@hiko1985)という方で、まあ教えてくれたというよりは私が彼のツイートブログを一方的に読んでいただけなのだけど、それがなかったら、この作品に出会うのはもっともっと遅くなっていたかもしれない。思えば、ひとりの聴き手の立場からすれば、いまは音楽が格段に開かれた時代になったと思う。誰もがメディアとして振る舞い、互いに交信している。もう私は、話し相手のいないひとりぼっちの地方市民ではない。
 
 まるで鮮やかなアニメーション映画でも観たような後味。この45分間のなかでは、日常はシャットダウンしたままでいい。サウンド・プロダクションとしては、もっと聴き手を夏休みに幽閉してしまうほどの大胆さがあっても面白いと思うが、いまのところ、復路の切符も用意されているように思う。あなたはここから何を持ち帰るだろうか? 欄外になるが、その価格設定にも驚かされる。DIY文化の哲学、あるいは夏休みを終えた人たちへの純粋な問題提起でもあるのだろう。TNB RECORDSのカタログ・ナンバー、001番、『TNB!』、全10曲入り。税込1,600円での発売!

interview with Eiko Ishibashi - ele-king

E王
石橋英子
Imitation of life

felicity

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 あるとき、ある音楽を憑かれたように聴き続けたり、突然放りだしたりするのは、なにもあなたが飽きっぽいからでも狂っているからでもない。私なぞ商売柄つい使ってしまうが、ジャンルという早見表のほかに、音楽には(音楽だけではないが)形式を構成する要素を配置する力があり、構造がある。と、やおら小難しく書きだしてしまいましたが、なんのことはない、私は私たちの心情の総和として、こんな音楽が聴きたいよね、というのがあるといいたいのです。時代のムードとも耳の季節感ともいえるものだ。その一方で「いま聴きたくない音楽」というものもやはりある。むしろ、季節感を考える上では聴きたくない音楽を考える方が近道だともいえる。
 私は数年前まで、プログレ(と揶揄含みで略してみる)的な装飾過多の音楽をまったく受けつけなかった。中高生の時分は好んで聴いていたはずなのに、いま聴くと、グルーヴに乏しく、ゴテゴテしていて、めまぐるしい。それがしばらく前から、気にならなくなったのはクラシカルあるいはゴチックと形容される音を聴き慣れたせいかもしれないが、ともあれ、構築的な音により惹かれる自分を発見したのは驚きだった。カーヴを曲がって視界が開けるような、継続的なのにあざやかなきりかえしを、私は季節の変わり目とも思ったのだった。
 『carapace』から『imitation of life』へいたる石橋英子の変化は音楽の潮流の変化を読みきったものといえる。いや「読み」というほど能動的なものではなく、石橋英子は現在の音楽の背後にある私たちが共有する耳のツボを感覚的に探りあてる術に長けているのだろう、『imitation of life』には"プログレッシヴ"な構築性が基調になっているものの、前作で試みた細やかなソングライティングの発展形ともいえるポップでやわらかな肌ざわりも消えてはいない。マリンバが変拍子をリードするパルスとなり、絡まったリズムの間を弦楽器が縫うインスト・パート、その浮遊する歌、この類い希なアンサンブルは「死んだ人たち」(ジム・オルーク、須藤俊明、山本達久、波多野敦子)の仕業だ。
 2012年のロック/ポップスとして自信をもってレコメンドしたい作品である。

私ね、だんだん退行している気がして。最初に戻っていくような感じがするんですよ、いろんな意味で。最初ってカオスだったと思うし、そういう感じになっていく気がするんですよね。

石橋:この前、野田さんに会ったときも「レコメン!」っていわれました。私、レコメンという言葉を知らなかったから「レコメンってなんですか?」って訊いちゃいましたけど、やたらレコメンっていわれるんですよ。

昨年末に出した紙の『ele-king』(Vol.4)の座談会で2011年のソウカツとして「レコメンがリヴァイヴァルした」といったら失笑されたんですが、石橋さんにこういう作品を出してもらって安心しました(笑)。

石橋:おまえのいった通りだったみたいな(笑)。

とはいえ、じっさいにプログレシッヴ・ポップと謳っていますし、プログレ的なものを意識していないことはないですよね?

石橋:意識していないことはないですね。とはいえ、これはほとんど冗談みたいなものなんですけど、私のレコーディングの前に(プロデューサーである)ジム(・オルーク)さんのアルバムのレコーディングがあったんです。そのときにプログレのレコードをかけたり、YouTubeで観たりすることが多かったんですね。そのときから「次の英子さんのアルバムはプログレ・エピックだ!」っていわれ続けていたんです。ピーター・ガブリエルがいたころのジェネシスとかジェスロ・タルの『シック・アズ・ア・ブリック』とか。ジムさんは酔っぱらってるし、私は話半分で聴いていたんですけど、一度ジムさんがプロトゥールスでMIDIのレッスンをしてくれたんですね。こういう風につくると各パートのアレンジも考えられて、デモの段階で全体像がつくれるからやった方がいいといわれたんです。それでMIDIでデモをつくっているうちにほんとうにプログレっぽくなってきちゃった(笑)。

どの曲からつくりはじめました?

石橋:"fugitive"という曲が最初です。この曲は『carapace』の特典用につくった曲で、この曲はギターでつくったんですが、バンド用にアレンジし直したらいい感じになったからいれたんですね。

ギターを使って曲づくりしたのはどういう理由ですか?

石橋:ガット・ギターをもらったからです(笑)。それで弾いてみようって。

これまでに弾いたことは?

石橋:ほとんどないです。さわっているうちにできた感じですね。

そのわりに上手ですね。

石橋:そうかなあ。でも、それをジムさんにライヴで弾いてもらうんですけど、ジムさんは「弾きにくい」ということもありますね(笑)。初心者の変なポジションで弾いているから、弾きにくいみたいですね。弾きにくいみたいですね。じっさいMIDIを使ってつくりはじめたのは"silent running"からです。実質この曲がアルバム用の曲をつくろうとしてはじめてつくった曲です。

その時点で組曲形式、コンセプト・アルバム的な構成を考えていましたか?

石橋:正直そこまでできないというか、考えてはいなかったです。今回は、バンドのライヴがあるたびに新曲をもっていく感じだったんですね。メンバー全員忙しいので、ライヴの前の練習も一回くらいしかできない。だからある程度詰めないといけない。ドラムのMIDIなんかはヘンな音だから、スタジオでじっさいに叩いたり、ジムさんが「ディス・ヒートみたいなリズム・パターンを叩け」って(山本)達久にいったりしながらつくりました(笑)。

たとえば"introduction"みたいな曲は一回練習しただけでできますか?

石橋:無理やりライヴでやるんですよ(笑)。楽譜とか譜面にしちゃうと難しくみえるんですけど、やってみるとそうでもないですよ。ほかのひとの音を聴かないとか、そういったやり方で(笑)。

変拍子の曲を演奏するコツは他のメンバーのリズムに惑わされないということですもんね。

石橋:そうそう。だからなんとなくのグルーヴができていれば、ほかのひとの音を聴かなければできるようになるんじゃないですかね。

ちなみに、この曲は何拍子の組み合わせですか?

石橋:長いインストの部分は......(といってしばらく拍数を勘定する)達久がいうには(笑)、23と24の繰り返しということでした(笑)。でもそれは達久の数え方なんですが。それにベースはまたちょっとちがくって。

前のアルバムから何を変えようと思っていましたか?

石橋:意図したのは、やっぱりつくり方かな。バンドでやろうと思っていたから、キャストも決まっていたし、メンバーも決まっていた。このひとのどういう演奏してもらいたいかを考えてつくっていった感じがあります。脚本を書くような感じでした。

登場人物に当ててつくった感じだったんですね。

石橋:ちょっとした悪戯心みたいなものもありつつ(笑)。

わざと厳しい演奏を要求してみたり(笑)。

石橋:そうそう。

完全にバンド・サウンドですよね。

石橋:そうです。

「もう死んだ人たち」というバンド名はどこからきたんですか?

石橋:私がつけたんですけど、(NHK FMの)「ライブビート」という番組に出演したとき、ラジオ番組だし、見えないだろうと思って(笑)、メンバーはジョン・ボーナムとジャコ・パストリアスとデレク・ベイリーとストラディバリって紹介したんですよ。だからなんとなく、バンド名も「もう死んだ人たち」。それがなんとなくそのまま続いたんです。

それは石橋さんの理想のメンバーなんですか?

石橋:なんとなく死んだ人を探しちゃったんですよ。じっさいその人たちが集まっても(笑)。

音楽にならなそうですね(笑)。それで、アルバムの全体像はすぐにできあがりました?

石橋:"fugitive""silent running"ときて、 "written in the wind"、その次が"introduction"でした。その後に"long scan of the test tube of sea"。5曲くらいできあがったあとに、ジムさんに「英子さん、そろそろ簡単な曲をお願いします」っていわれてつくったのが2曲目("resurrection")と最後の曲("imitation of life")だったんですね。それで全曲出揃った感じでしたね。

坂田(明)さんをゲストに招いたのはどなたのアイデアですか?

石橋:私です。ベーシックを録ったときに、"imitation of life"では坂田さんに吹いていただきたいと思ったんですね。この曲のコード進行ができたときに、世界全体が溶けていくイメージがあったんです。坂田さんのブワーッていうサックスの音は破壊力があると前からずっと思っていてピッタリだと思ったんです。

このアルバムはある種のメカニカルな側面のある作品ですが、坂田さんの登場によって、すごく混沌とした感じになりましたね。

石橋:グニャっとしたもの、カオスを表現したかったんですよね。

その余韻が石橋さんの世界に対するものの見方を象徴しているんでしょうか?

石橋:私ね、だんだん退行している気がして。最初に戻っていくような感じがするんですよ、いろんな意味で。最初ってカオスだったと思うし、そういう感じになっていく気がするんですよね。

そういうとき、音楽はどうあるべきだと思いますか?

石橋:それは明白にはいえないんです。音楽が社会にどう関わっていくべきかというよりも、それ以前に自分がなぜ音楽をつくるのか、という段階に留まっているので。

その点については、音楽をつくるごとに問いかけがあるんですか?

石橋:なぜ自分がつくる必要があるのか、ということを考えているから、社会に対して音楽がなにができるか、といえば、私は音楽は無力だと思っているし、たとえば困ったことがあっても、音楽は役には立たない。役に立つこともあるかもしれないけど、それはあくまで結果論であって、つくる側が役に立っていると思ってつくれるわけじゃないと思うんです。

自分の音楽が誰かの癒しになっているとは――

石橋:全然思わない。

そういう声を聞くことはありますよね?

石橋:ありますけどね。結果として事実として、そういう声は受け止めますが、だからといってそれで自分のやることは定義されないというか、定義されるはずではないと思っています。

毎回つくることに対するハードルはあるんですか?

石橋:つくるハードルがあるとすると、なぜつくるのかということです。それは毎回思います。曲をつくる課程、フレーズ単位で、ほんとうに必要な音なのかどうか考えますよ。

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枠組みから抜けだそうとして、曲として強いものをつくって、歌詞でも壮大な物語をつくる。形式ではなくて。形式を乗り越えることがプログレッシヴだと思うんです。

E王
石橋英子
Imitation of life

felicity

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歌詞は7曲でひと続きの物語のような構成になっていますね。

石橋:ライヴのときは歌詞は仮歌だったんですね。時間がないし。ライヴをある程度積み重ねていって、レコーディングでベーシックを録り終わって、曲順が決まってから、メロディと歌詞にとりかかりました。けっこう時間がかかりました。一ヶ月くらいずっと歌詞を書いていましたね。歌詞に関しては、物語性をもたせたいというのはあったかもしれないです。地震が無関係とはいいきれないですが、でもみんなが取り沙汰していないような物語を探すつもりでつくっていたかもしれない。誰もとりあげていない物語、声にだしていないひと、声にされていない物語があるかもしれない、それを探すつもりで歌詞を書いていた気がします。

内面を直接歌うより登場人物の声に耳を澄ませた、と。

石橋:そういう感じです。今回はパッと言葉を出していく、自分の気持ちを出すのとはちがう、物語を書きたいと思っていたので。

偏見かもしれませんが、歌手、とくに女性の歌手にはエモーショナルなりがちだと思うんですよ。そういう歌い手とは距離を置きたかった?

石橋:ひとに対してはそういう風には考えはないですが、私が自分のことを歌ってもつまらないと思うんですよ(笑)。でもふりかえってみると、『drifting devil』のときはそれでも、そういうものもあったかもしれない。自分のエゴのようなものが。

なぜそれが『imitation of life』では変わってきたんでしょう?

石橋:バンドに守られているところがあったと思うんですよ。『drifting devil』のころはひとりで多重録音をしていたし、同時に歌詞も書いていましたから。

『imitation of life』はバンドとの共同作業の面が強い?

石橋:私の気持ちのなかではそうですね。

ソロ活動をつづけてきて、あらためてバンド・サウンドに回帰したとき、そのふたつを較べて、どちらがいいとかありますか?

石橋:この前久しぶりにひとりでライヴをやったんですよ。ピアノの弾き語りだったんですが。すごく疲れるな、と思いました(笑)。

どうして疲れたんですか?

石橋:歌い方が変わるんですよね。声を張って歌っている方が楽なんですよね。バンド・サウンドでアンプから音が出ていて、ドラムがバーって叩いているなかで歌うには声を張らないといけないじゃないですか。ダイナミクスよりも声量が必要になりますよね。その方が私は楽なんですね。それがピアノと自分の声だけになると、恥ずかしさも相俟って(笑)。

恥ずかしさはまだあるんですか?

石橋:あります。緊張もしているし。声のだし方も変わってきちゃうから、すごく疲れるんですよ。

楽器を弾いている方が楽?

石橋:作業はともかく、気持ち的にはそうです。歌うのは別の重圧感があります。

いまご自分の肩書きをあえてひとつに限定するとしたら、なんになると思います?

石橋:なんでしょうね(といってしばし考えこむ)。

シンガー・ソングライター、器楽奏者、歌手、いろいろありますが。

石橋:全然関係ないですけど、以前「ex SSW」って書かれたことがあるんですよ。

どういう意味ですか?

石橋:「SSW」がシンガー・ソングライターであることがわからなくて、バンド名だと思われたんでしょうね(笑)。

元SSWですね。でもそれは暗示的ですね。たとえばCDのオビにジャンル名を書くじゃないですか。その場合、自分の音楽はどう区分されると考えますか?

石橋:ロックじゃないかなあ。

いまのいい方は半疑問形でしたね。

石橋:ジャンルってわからないよなあ。

飲み屋のオヤジみたいな質問でもうしわけないですが、まあ飲み屋でインタヴューしているのでしょうがないところもありますが、プログレ四天王だったらどれが一番好きですか?

石橋:四天王?

えーっと、キンクリ、EL&P、イエス、ジェネシスかな。

石橋:フロイドは?

諸説ありますからね。ピンク・フロイドも入れましょう。そのなかでどのバンドが一番好きですか?

石橋:そのなかではピンク・フロイドとピーター・ガブリエルがヴォーカルのときのジェネシスです。その他は好きじゃないです。ひと通り聴きましたけど、グッとこない。キング・クリムゾンだったらロバート・フリップのソロの方が好きだし。

『imitation of life』は(ユニオンの)新宿のプログレ館のお客さんに今回の作品はストライクではない気がしますよね。

石橋:私もそう思います。でもときどき、プログレ館をみているとジュディ・シルとかがあったりしてちょっとうれしくなったりするんですけどね(笑)。

その端っこにある音楽なのかもしれないですが、ジャンルの音楽ではないと思いました。

石橋:私はプログレッシヴという言葉をほんとうの意味で考えると、ジェネシスがやろうとしていたことなんかがそうだと思うんですよ。枠組みから抜けだそうとして、曲として強いものをつくって、歌詞でも壮大な物語をつくる。形式ではなくて。形式を乗り越えることがプログレッシヴだと思うんです。

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私がやっているのは探すことかもしれないですね。

E王
石橋英子
Imitation of life

felicity

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ちょっと気が早いですが、次にやるとしたらどういうことをやりたいですか?

石橋:まだ構想段階でボンヤリしていますが、このバンドで次のチャレンジをしたいと思っていることはあります。だけどまだヒ・ミ・ツ(笑)。

野田:ヒップホップ?

石橋:ハハハハ。

野田:エレクトロニクスもまだやってないから。あとドローンもやってないじゃない。

そういうのはどうですか?

石橋:それはまた別の話ですけど、このバンドでカヴァーアルバムをつくろうという話はありましたけどね。この前のライヴではブラッフォードの"ヘルズ・ベルズ(Hell's Bells)"をやりましたよ。途中まででしたけど。スタジオでふざけそういう曲をよくやってるんですよ。

石橋:英子ともう死んだ人たち以外で予定していることはありますか?

石橋:ピアノのアルバムを予定しています。

野田:フローリアン・フリッケがモーツァルトのカヴァー集(『Florian Fricke Spielt Mozart』1991年 )をつくったじゃない。それみたいなのをやろうとしているんだよ!

石橋:まあオリジナルの曲なんですけどね(笑)。

どういう曲調のピアノ曲ですか? モーツァルト、ドビュッシー、ベートーヴェン、バッハ......無数にありますけど(笑)。

野田:石橋さんはベートーヴェンだよ!

石橋:たしかに一番長く弾いてきたのはベートーヴェンとバッハでしたね。

野田:石橋さんはやっぱり庶民派なんだよ。

石橋:ベートーヴェンはロックですからね。

野田:ベートーヴェンは大衆に愛されたからね。

石橋:ドビュッシーのような繊細な音楽を聴くようになったのは大人になってからですよ。

野田さんは石橋さんの弾き語りの方が好きなの?

野田:弾き語りもこのアルバムも最高ですよ。ダイナミックになりましたよね。だって俺は『drifting devil』を個人の年間ベストにいれたくらいですよ。でもあれをファーストって書いて、「セカンド・アルバムです」って石橋さんに訂正されたんだけどね(笑)。

石橋:実質はファーストですけどね。

ファーストはそれまでの集大成でしたからね。4作目まできて、ソロ活動をはじめて6年になり、石橋英子のアーティスト像も板についた感じがありますが、あらためてご自分を位置づけるとしたらどうなりますか?

野田:いますごく業界人的ないい方だったね!

なんでまぜっかえすんですか!

野田:ハハハハ。演奏家としての石橋英子と、歌手=石橋英子ってのはあるでしょ?

石橋:さっきの肩書きの話に戻りましたね(笑)。やっぱわかんないや(笑)。

野田:じゃあさ、歌うたいの自分をどう思う?

石橋:ヘタクソだと思いますよ。

野田:でも歌うのは好き?

石橋:しょうがないから歌っている。

野田:絶対それはウソだよ!

石橋:ウソじゃないですよ! ジムさんにもいわれたのは、ミックスの段階で、「英子さんは歌いたくて歌っているひとじゃないから、ミックスするときにこうなる(歌がひっこんだ)」とはいわれましたね。歌いたいって感じで歌っていたら声の出し方も変わってくるはずなんですよね。今回のアルバムなんかは、バンド・サウンドのなかで浮き出た方がいいような、歌が好きなひとが歌った方がいいような曲ではあると思うんですよ。だけど、私がそうじゃないから、その点は(ジムさんも)困ったみたいですね。でもだんだんライヴするうちに好きになってきましたよ。

野田:シンガー・ソングライターとしての自覚が出てきた?

石橋:それはわからないですけど、バンドのなかで歌うのが好きになってきたのはありますね。

野田:メロディみたいな聴覚に強く訴えるものは一歩まちがえれば、簡単にひとを馴らすことができるじゃない。おなじみのメロディがあってパターンがあって、ようはクリシェだよね。クリシェっていうのはコントロールしやすいものじゃない。でも石橋さんはコントロールしにくいものをやろうとしているから心を打たれるんですよ。

石橋:ありがとうございます。

野田:そうなんだよ、松村! 政治的な問題とか絡んでないんだよ。

そんなこといってないですよ。

石橋:さっきの話に戻るけど、音楽が社会にとってどういうことができるかという話になると、私は基本的に役に立たないと思っているんです。

野田:必ずしもそうじゃないよ!

石橋:もちろん私はいろんな音楽を聴いて人生が変わったと思っているんですけど、自分がつくる側としてはそうは思わない。

「役立たずの音楽家が寄り添う事も出来ず海の底に震えて轟く」という歌詞("long scan of the test tube sea")がありますね。

野田:これは敗北宣言なの!?

敗北主義的な意味ではないと思いますけど。

石橋:そもそも戦いの土俵にあがっていないということかもしれないですね。

野田:最近、サファイア・スロウズって女の子にインタヴューしたときに、彼女はJ-POPを好きにれなかった。なぜなのか訊いたら、与えられるものが嫌いだからという答えだったのね。彼女にとっては自分で探すものの方が価値がある。そういう意味でいうと、石橋英子がやっていることはまさに――

石橋:探すことかもしれないですね。

野田:与えられるものじゃないじゃない。探してたどりつける音楽じゃない。リスナーが能動的にならなければたどりつけない音楽をやろうとしているわけじゃない。それでもかなり今回のアルバムにしても前回のアルバムにしても、リスナーにアプローチしてきていると思うんだよね。

難曲はありますけど、難解ではないですからね。

野田:レコメン系っていったら石橋さんに怒られたからね!

石橋:怒ったんじゃないです。わからなかったんです(笑)。

Marihiko Hara - ele-king

 タトゥーもダメ、文楽もダメ、クラブもダメ......と『俺は田舎のプレスリー』みたいになってきた大阪。でも、大阪や京都は都会なんだから、これでカウンター・カルチャーが盛り上がらなかったらウソだろうということで(?)、この春から京都でスタートしたシュラインドットジェーピーは早くも7作目のリリースに突入。10軒のクラブを潰されたら「今日はこれくらいにしときますが」(©MBS)といって、次の日には30軒はつくれとばかりに、なかなかのハイ・ペースである。

 マリヒコ・ハラはこれまでにダム・タイプの舞台音楽などを手掛けたり、シルヴァン・シャヴォー(裏アンビエントP180)などと共演してきた演奏家らしい(あまりよく知らない。いろいろやっているらしいので、詳しくは→https://www.marihikohara.com/biography_jp.html)。作品を聴いたのはこれが初めてで、最初に耳を引いたのはイタリア人のラッパー(誰?)をフィーチャーした「フォウナ5」だった。線が細いだけのIDMは苦手なので、可能な限りスルーを心がけてきたものの、これには耳がとまり、生活保護Gメンのように念入りに聴いてみると、オープニングから曲展開に凝っていて、リズムの遊び方も悪くない。線は細いけれど、だからといって、弱々しさをアピっているわけではなく、どこか狡猾に曲がりくねっていく発想がとても楽しめる。なんというかヘビのような曲の数々である。リリースの案内を読んでみると、〈これまで「静けさの中の強さ」をテーマにしてきた原摩利彦の「動物的」な新たな一面を感じることが出来るアルバムです〉とある。どうやら脱皮したことはたしからしい。平たくいえば草食系から肉......いや。

 ゼロ年代もなかばからグリッチ・エレクトロニカは、そもそもリリース数も減っているし、アルヴァ・ノトだけがひとり健闘してきたという印象がある。これに大きな横波をぶつけてきたのがフライング・ロータスで、いずれもリズム・コンシャスであったことが浮上の要因だと考えれば、そこから先にアクトレスやノサジ・シングが控えていたとことはなかなか面白い展開だといえる。以前はともかく、ハラは『ファウナ』でこの流れに加わり、とくに「メガファウナ」3部作などでアクトレスとの共振も示しつつ、独自のモードを発展させていく。ファニーなリズムにシリアスなアンビエント・ドローンという組み合わせにも意外なほどヴァリエイションがあり、アルバム全体を通してどちらに軸足を置いているのかわからない構成の仕方もいまのところは吉と出ている(僕なら少し曲順は変えるかな)。ノイジーに聴かせるときのサジ加減もいい。悪くいえば、せっかくオフ・ビートなどを効かせているのに踊るに踊れない線の細さが最後まで気になることで、それもそのまま関西のクラブ・カルチャーが陥っている不全感を表象しているともいえるので、ユニークなドキュメントだと捉えることも一興である(みんなで踊るな、ピンポンパン!)。そういえば『ダンシング・オールナイト』や『匂艶 THE NIGHT CLUB』は大阪では放送禁止じゃないのかな。歌詞に「踊る」という言葉が出てきたら、全部ピーで消すとかね。かけていいのは『ダンスはうまく踊れない』(高樹 澪)だけ。

 これまでストイック極まりないミニマル・ミュージックにこだわってきたリチャード・シャルティエも、デビュー14年目にして初めて「ピンクの無料電話」という俗っぽい別人格をでっち上げ、ポップな展開を試みている。ポップといっても、エレキングで取り上げられているようなそれではない。マリヒコ・ハラ同様、フィジカルな要素がアンビエント・ミュージックに滲み出てきたということである。聴いた方が早いかな→https://soundcloud.com/experimedia/pinkcourtesyphone-foley-folly

 水族館の水槽に閉じ込められてしまったように暗闇で方向感覚もなくなる「ア・ダーク・ルーム・オブ・プラスティック・プランツ」。潜水艦のなかにいて重い水圧を感じているような「ヒア・イズ・サムシング......ザット・イズ・ナッシング」。大恐慌の時代から響いてくるような「アフタヌーン・テーマ」。ポップになったとはいえ、音響派の面目躍如というか、ある意味、ずう~っと何かにのしかかられているようだけれど、なぜかそれが嬉しくて、つい、何度も聴いてしまう。軽い気持ちにしてくれるだけが音楽じゃないんだなーとかなんとか。今日はこれくらいにしときます。

Chart by JET SET 2012.06.25 - ele-king

Shop Chart


1

Hikaru - High Psy - Limited Edition (Modulor Japan)
Hikaru初のオフィシャル・ミックスが到着。沖縄弁で【こんにちわ】を意味する【ハイサイ】を英語でモジり『high psy』と冠した本作。夏を心地よく彩るゆるーいミックスを収録。

2

Dump - Nyc Tonight (Presspop Music / Zelone)
Jennifer O'connorとのスプリット7"シングル以来、約4年ぶりとなるDumpの新作が登場!N.Y.パンク名曲"Nyc Tonight"をメロウ・ディスコ・アレンジで蘇らせた、インディー・ロック~ニュー・ディスコ・ファン必聴の1枚です。

3

Slow Motion Replay Presents Dunk Shot Brothers - Love Celebration (Smr)
先日リリースされたOnur Engin"Love Talkin"が大ヒットを記録するなど、和モノ音源のリエディットが逆輸入されて盛り上がりをみせる中、ここ日本からも危険な12インチ・シングルが登場しました!

4

Simi Lab - Uncommon (Summit)
デビュー作『Page 1 : Anatomy Of Insane』から待望のアナログ12"シングルが登場。

5

Freddie Gibbs & Madlib - Shame (Madlib Invazion)
今年秋頃にニュー・アルバムを控えているFreddie GibbsとMadlibのタッグ。前作でも見られたソウル~ジャズをサンプリングした一味も二味も違うダスティーなビートと、タイトなラッピンが絡んだ傑作です!

6

Lorn - Ask The Dust (Ninja Tune)
Flying Lotusフックアップのエレクトロ・ヒップホップ精鋭がNinjaからアルバム・リリース!!ご存じBrainfeederからのリリースでブレイクを果たしたイリノイのトラックメイカーLornが'10年の『Nothing Else』以来となる3rd.アルバムを完成。メランコリックな電気ビーツが満載です!!

7

Killer-bong - Sax Blue (Black Smoker)
Black Smokerから遂にKiller-BongによるジャズをテーマとしたミックスCdが登場!

8

Ig Culture - Soulful Shanghai (Kindred Spirits)
前作『Zen Badizm』より約4年振りとなるロンドンのクリエイター=Ig Cultureの新作は、10数名ものタレントを迎えたヒップホップ~ブレイクビーツ~レアグルーブなどの黒い要素が滲み出た全17曲! 感服です!

9

V.a. - The Silk Road (Melting Bot / 100% Silk)
ItalやMagic Touch、Maria Minervaなどヒット連発する'12年インディ・ダンス最重要レーベルの初コンピレーション盤。さらに初回入荷分にはOcto Octaによるレーベル・サンプラーMix Cdが付きます!

10

Para One - Passion (Marble / Because)
フレンチ・エレクトロ・ムーヴメントの顔役Para Oneが実に6年振りに完成させた待望の2nd.アルバム。

Attack The Block - ele-king

『アタック・ザ・ブロック』
監督/ジョー・コーニッシュ
出演/ジョディ・ウィッテカー、ジョン・ボヤーガ他
提供:カルチュア・パブリッシャーズ 
配給:アステア+パルコ
2011年 イギリス
6月23日(土)~7月13(金)
渋谷シネクイントほか、全国ロードショー!
https://attacktheblock.jp/

 エドガー・ライトのデビュー作『ショーン・オブ・ザ・デッド』といえば、音楽ファンのあいだでは間違いなく、襲い来るゾンビにDJ用のボックスから「このレコードはいる」とか「いや駄作だ」とか言いながら取り出した盤を投げつけて迎撃するという名シーンで記憶されていることだろう。実際、英国の映画雑誌『EMPIRE』が創刊20周年を記念して企画したスターが自分の一番のヒット作を自前の服で再演するという写真特集で、『ハリー・ポッター』とか『マトリックス』とか『ターミネーター』などの超ヒット作に混じって、サイモン・ペッグとニック・フロストのこのシーンが掲載されていて笑わせてくれた。https://www.empireonline.com/20/birthday-portfolio/6.asp
 『ショーン・オブ・ザ・デッド』がおもしろかったのは、ゾンビから逃げる主人公を親と同居のパラサイトやニートのダメ男たちにして、ゾンビ映画の定番"立てこもり"の場所をパブにしたことだった。80~90年代には、まだイギリスの自立精神は健在で、学校を卒業したらとっとと親元を離れてひとりで暮らすというのが当たり前と誰もが言っていたけど、最近ではもう金もないし楽だからと恥ずかしげもなく親元で暮らす若者もかなりいる。そういうなんとなく停滞したどんよりとした郊外の若者の雰囲気を丁寧にキャッチして、シニカルな笑いと一緒にゾンビ映画というジャンル・ムービーに落としこんだ。その後、ヒット・メイカーとなったエドガーはもっとメジャー感のある作品にステップアップしていき、『ショーン...』であったようなストリート感やダチの居間でだべってる感は後退する。しかし、僕を含めあのデビュー作のハチャメチャなパワーをいまだに一番愛してるというファンは結構いるのではないか。
 その、エドガー・ライトがプロデュースして、今度はエイリアン映画というジャンル・ムービーに挑戦したのが、『アタック・ザ・ブロック』だ。エイリアンものというのは、リドリー・スコットの『エイリアン』のように、閉鎖空間に恐ろしくて超強いモンスターが侵入してきて次々と仲間が血祭りに上げられるなか、どうにかしてサヴァイヴしていくというのがお決まりのパターンである。今回の設定は、南ロンドンの高層カウンシル・フラット(日本で言うところの市営住宅、県営住宅みたいなもの)を中心にした"ブロック"という閉鎖空間と、そこで息が詰まりそうになりながらも精一杯粋がって暮らしてるティーン(中学生くらい)の集団にスポットをあてて、そこに謎の凶暴エイリアンが襲ってきたら、どうなるか? という、またもや「こう来たか!」と唸ってしまうようなもの。
 監督は、もう40代半ばで若手とは言い難いが、これがデビュー作でフレッシュな感性を発揮しているジョー・コーニッシュ。彼は元々南ロンドンのストックウェル(悪名高いブリクストンの近所)出身だそうで、育った環境で見聞きしたこと+1年にも渡る綿密なリサーチで、現代ロンドンに潜むアンダーグラウンド文化や社会問題を、『グーニーズ』や『スタンド・バイ・ミー』的なキッズの成長譚と巧くブレンドさせている。


©StudioCanal S.A/UK Film Council/Channel Four Television Corporation 2011

 UKの音楽が好きなら、まず耳を奪われるのはグライム的なスタイルでぶいぶいとベースを鳴らすサントラで、ストーリーが進むにつれぐいぐい惹きつけられるだろう。この映画の公開後にイギリスで起きた暴動でも、その背景にはグライムなどのブラック音楽のシーンと重なる部分が大きいという指摘があったけども、その暴動の予言になってしまったような本作で音楽を担当してるのは、ベースメント・ジャックスである。実は、彼らのメジャー・デビュー前、たしか雑誌時代の『ele-king』の取材だったと思うが、南ロンドンの彼らのホーム・スタジオを訪れて取材したことがある。バスに揺られてちょっとやばそうなエリアに向かったそのときは全然意識していなかったが、実は彼らもずっとブリクストンの小さなクラブやバーでパーティーをやっていたし、まさによく知る地元を題材にした映画なのだ。そして、監督自身、ジョン・カーペンターが昔やっていたような電子音楽のサントラを参考にしたと言っているように、ただのクラブ・ヒットが並んだコンピみたいな必然性のない音楽じゃなく、不穏な雰囲気の演出を担う重要なサウンドの要素として成立している。
 劇中、いかにもイギリスの保守層といった風情のおばさんにモンスター呼ばわりされるキッズたちだが、年端もいかない彼ら(その大半は、貧乏人が住むというカウンシル・フラットに暮らしながら、実は中流っぽい、ふつうの親や家庭をもっている)が、犯罪に明け暮れ、出口や希望の見えないなかで徐々にディープな世界へと足を突っ込んでいってしまうという背景描写が秀逸だ。フードをかぶりバンダナで顔を隠したその出で立ちは、Hoodiesの特徴的なファッションであり、まさにロンドン暴動を引き起こした連中そっくりである。実際、あのときも、暴動にこどもが混じっている?!という話が衝撃的に伝えられたが、この映画の設定もあながち誇張しすぎと言えないと思う。
 例えば、カウンシル・フラットの中に大麻の栽培施設があって、そこを根城にしたギャング達がドラッグ売ったり爆音でトラック作ったり好き勝手やってるという、日本人から見たらギャグかと思う設定も、本当にありそうだ。僕自身、過去にこういうフラットに泊めてもらったり、友達が住んでいて遊びにいったことが何度もあるが、高級外車を乗り回す連中やどうみても怪しい奴らがたくさん目について、「職のない人や、シングルマザーとかハンディキャップのある人とか、そういう層向けの住宅じゃないの?」と聞いたら、「本来はそうだけど、実際には制度を悪用してるドラッグ・ディーラーとかも結構いる」と聞いた。そういえば、今はあるかどうかしらないが、90年代にはGrower向けの雑誌というのが普通にHMVとかマガジンスタンドに売っていて、衝撃をうけたこともある。


 都市の歪みが生んだような"モンスター"キッズが、本物のモンスターと戦うハメになって、初めて暴力、生命、仲間みたいなことを実感し、成長していくというのが本作のメイン・プロットになるが、郊外的なゆるさを背景にどこまでも笑いとペーソスで引っぱった『ショーン...』とは対照的に、ひりひりとした痛みを抱えてずっと走りづける様子は、やはりイギリスの社会的様相もだいぶ変わったことの投影であると言えるかもしれない。実際、リーマン・ショック以降の壊滅的な経済の落ち込みで、ロンドンの一等地にあった有名チェーンのショップが次々つぶれていくとか、日本以上にやばい状況がずっと続いていて、オリンピックに湧いているような外面とは裏腹にいまだにそういう暗いマグマは地下で渦巻いている。チャンネル4が昨秋スタートさせた、やはりキッズをフィーチャーした『Top Boy』というドラマ・シリーズなども、まさにそういう現代ロンドンの暗部をキャプチャーし話題となった。良識ある大人たちからは、「こんなHoodiesを描いた映画なんてとんでもない!」という反応も当然のごとくある。が、ただの説教くさいドキュメンタリーではなく、良質のエンターテインメントとして成立させながらさらにこういう「言いたいこと」を伝えてくれるという作品は希有だし、最後までちゃんと観れば、希望や感動を用意してくれた監督に拍手したくなることは間違いないのだ。


©StudioCanal S.A/UK Film Council/Channel Four Television Corporation 2011

 今回は意図的にカットしたが、サブカルや日本の文化も大好きという監督の趣味が随所に反映されて、タランティーノが絶賛したというのもよくわかる味つけもたくさんある。ダニー・ボイルの『28日後...』に言及した箇所があったり、要するにこれは、『トレインスポッティング』以降営々と引き継がれてきた英国のポップなエンタメ映画の最新最良の成果ではないか。ロンドンが好き! UKダンス・ミュージックが楽しい! という人はもちろん、もっともっとこういう作品がつくられるように、ひとりでも多くのひとに観てほしい快作だ。

Back to Chill - ele-king

 ゴス・トラッドの『ニュー・エポック』、欧米ではかなり好意的に受け取られているようで、もうすぐ本サイトでupされるボーニンゲン(ロンドン在住の現地で評判となっている日本人バンド)のインタヴューでもさんざん語られているのだが、どうやら「トーキョーに行ったら〈バック・トゥ・チル〉を体験したい!」がロンドンのディープ・リスナーの合い言葉になっているようだ。
 さて、アメリカ・ツアーを終えたばりのゴス・トラッドも2ヶ月ぶりのホームとなる。今月の〈バック・トゥ・チル〉は7月5日、思う存分にダブステップを経験してくれ!

DATE: 7月5日
TIME: 23:00 ~ LATE
PRICE: DOOR: 3000yen/1d WF and Girls: 2000yen/1d
[All Girls Before 24:00 → FREE!!! (500yen for a drink)]
ARTISTS: GOTH-TRAD, DJ 100mado, ENA, HEAVY1, DUBTRO, DJ メメ, π, yuitty, O-konogi, CITY1, DON, and more!
https://backtochill.com/

日食どころではない、

7月25日(奇しくもよい子たちの終業式である......!)、
ふたつの巨大な惑星が衝突する!

●LIQUIDROOM 8th ANNIVERSARY 電気グルーヴ vs 神聖かまってちゃん

リキッドルームの恵比寿移転後8年目を記念したこのイヴェント、「VS」の意味するところはいまだ謎であるが、オーディエンスの年齢層や生息圏にもおそらくはいくばくかの「VS」があるはず、おもしろい撹拌が起こりそうだ! それぞれがそれぞれの時代から寒天のように押し出されてきたような批評性を帯びたればこそ、この企画はエキサイティングな予感にみちている。

出演:電気グルーヴ、神聖かまってちゃん

日時:2012年7月25日(水) 開場/開演 18:30/19:30
会場:リキッドルーム
前売券料金:5,250円[税込・1ドリンク代(500円)別途]
6月14日(木) 20:00より<https://www.liquidroom.net>にて販売開始
*先着順受付になります。受付予定枚数に達し次第、受付終了となります。ご了承ください。

問い合わせ先:リキッドルーム 03-5464-0800 <https://www.liquidroom.net

younGSoundsのアルバム「more than TV」
7月18日発売です!宜しくお願い致します。
https://1fct.net/archives/3744

percepto music lab
https://xxxpercepto.com/

ここ最近。2012年6月20日


1
キエるマキュウ - Hakoniwa - 第三ノ忍者

2
OH NO - Ohnomate - FIVE DAY WEEKEND

3
THE GENTLEMEN - The Gentlemen - MR.BONGO

4
OWEN MARSHALL - The Naked Truth - JAZZMAN

5
櫻井響 - This One - self release

6
CE$ & SCRATCH NICE - Live Now, Pay Later - self release

7
BLAQ CZA - The Dice Life - WHATEVA MUZIK

8
YOTTU - Dance Or Chill/Slow Flow - self release

9
TRONICS - Love Backed By Force - WHAT'S YOUR RUPTURE?

10
DJ MAYAKU - EP - GOLDFISH

DJ END (B-Lines Delight / Dutty Dub Rockz) - ele-king

B-Lines Delight/Dutty Dub Rockz主宰
栃木のベース・ミュージックを動かし続けて10数年。へヴィーウェイト・マッシヴなDrum&BassパーティーRock Baby Soundsystemを主宰。同時に伝説的なレコード・ショップBasement Music Recordsでバイヤーを務め栃木/宇都宮シーンの様々な下地を作った。現在はDutty Dub Rockzに所属、北のリアルなベース・ミュージックの現場を作り出すべくスタートしたパーティーB-Lines Delightを主宰している。
https://soundcloud.com/dj-end-3
https://b-linesdelight.blogspot.com/
https://duttydubrockz.blogspot.com/

宇都宮をホームに開催してきたB-Lines Delightが遂に東京に上陸! この記念すべき日にゲストに迎えるのはRob Smith aka.RSDと"野蛮ギャルド"なドラム&ベース・パーティ「Soi」よりDx!!師と兄が揃ったBLD的にこれ以上ない鉄板なメンツで送る6.30B-Lines Delight in Tokyo、よりカンペキな一夜をお約束します!
North Bass Music Movement
"B-Lines Delight" in TOKYO
2012.06.30(sat) open.24:00
@SECO www.secobar.jp
info : https://b-linesdelight.blogspot.jp/

BLDクルー、DD BlackのEPがAlterd Natives主宰EYE4EYE Recordingsより12"&Digitalでリリースされます!!リリース日及び詳細はブログで後程紹介しますので是非チェックしてください!

DJ END REWIND CHART


1
DD Black - EP - Forthcoming EYE4EYE Recordings

2
Henry & Louis feat.Prince Green - Love Like(RSD Remix) - 2Kings

3
Swindle - Do The Jazz - DEEP MEDi Musik

4
Grenier - Here Come The Dark Lights - Photek

5
ENA - Analysis Code - 7even Recordings

6
Pearson Sound - Footloose - PEARSON SOUND

7
Dubmonger - Experiments In Dub - Dubmonger

8
LHF - Keepers Of The Light - Keysound

9
VA - Shanggan Shake - Honest Jones

10
Death Grips - The Money Store - Epic

Hot Chip - ele-king

 ■以下、見出し例------------------------------

 ホット・チップも〈もしもし〉からデビューして8年が経つ。ザ・ビートルズであれば、とっくにコンサートはやらず、おまけの最後っ屁『レット・イット・ビー』を発表して解散裁判を開始している時期だ。

 サウンドと歌詞の相互作用というよりむしろ、歌詞の変化こそがこの端正に整理されたサウンドを求めたのだと言ってしまえるかもしれない。どうやら、この変化を指摘している日本語のレヴューはないようだ。

 アルバムを通してホット・チップが高らかに歌い上げているのは「プリーズ・プリーズ・ユー(お願いだから君を喜ばさせてくれ)」だ。リスナーへの応援歌。しかも、非常に啓発的で、啓蒙主義の性格が強い。

 もしくはUK的クラブ・ポップの進化論とねじくれた政治性のアクロバット、と同時に、UKガラージを横目に見ながら玄関先でお出かけ前の夫婦のチューをかまし、中産階級的前向きさであたりいち面のシニシズムにラヴラヴ度を見せつけたポエム型啓発本である。


 ■以下、本文----------------------------------

 ホット・チップも〈もしもし〉から『Coming On Strong』(「強引な振る舞い」の意)でデビューして8年が経つ。ザ・ビートルズであれば、とっくにコンサートはやらず、おまけの最後っ屁『レット・イット・ビー』を発表して解散裁判を開始している時期だが、幸いなことにホット・チップはいまだに世界をツアーで巡るし、ゆりかごから墓場まで―赤子から老人まで全人類/一生涯対応の、これ以上ないほど完成されたポップ・ソングを作り続け、5枚目のアルバムを発表したばかりだ。
 相変わらずの80年代のスムースなアップデート・サウンドとはいえ、モチーフはシンセ・ポップよりはむしろファンクやR&Bの影響が色濃くなっており、非常にスウィートなアルバムになっている。シングルカット曲"Night And Day"がプリンスの"All Day All Night"のオマージュであることはタイトルと節の引用(「make me feel alright」)とセクシャルな歌詞からも明らかだし、"Look At Where We Are"のサウンドは完全に(ホット・チップのTシャツではエナジードームを被せられている)R・ケリーだ。よく比較されていたニュー・オーダーの面影はだいぶ薄くなっている。"Now There Is Nothing"のテンポチェンジは決してビートルズほどナチュラルではないが、メロディはさながらエミット・ローズというかポール・マッカートニー以上にポール・マッカートニーに聴こえるほどで、影響といった枠から遂に抜け出し、完全にいまのポールを超えたのではないかと思う。

 2010年の前作『ワン・ライフ・スタンド』に対して、ファンからは賛否両論の声が上がっていた。クラブで安易に踊らせまいとするような批評的な態度のリズムを鳴らしてきたホット・チップ。彼らの変化球的なクラブ/ダンス・ミュージックのギミックを愉しんできた人たちにとって、デトロイト・テクノやシカゴ・ハウスからの影響が強い『ワン・ライフ・スタンド』のラフでシンプルなビートはあまりにも単調でスムース過ぎ、ゴスペルのように強調された歌声のハーモニーもダンスの邪魔だったのかもしれない(とはいえ、その予兆は2008年の『メイド・イン・ザ・ダーク』で見えていたのだが)。
 そんな『ワン・ライフ・スタンド』よりさらに歌声・メロディが強調されているにも関わらず、本作『イン・アワ・ヘッズ』が「いままでよりダンス・ミュージックになった」と数多から称賛されている理由は、歌の息がトラックとピタリと組み合わさり、リズムの構築をより強固なものにしているからだろう。それを実現に導いたのは、メンバーのソロ・プロジェクトでも引っ張りだこのエンジニアMark Ralph(マーク・ラルフ)の手腕によるところも大きいと思われる。

 しかし、本作『イン・アワ・ヘッズ』には、サウンド以上に歌詞においてかなり重要な変化が表れている。サウンドと歌詞の相互作用というよりむしろ、歌詞の変化こそがこの端正に整理されたサウンドを求めたのだと言ってしまえるかもしれない。どうやら、この変化を指摘している(少なくとも)日本語のレヴューはないようなので、ぜひここに記しておきたい。そして、なんといってもこの原稿が遅れたのは、その変化に筆者がひどく動揺して魘されてしまっていたからだ(野田編集長、すみません)。

 『ワン・ライフ・スタンド』(およびそれ以前の作品)と『イン・アワ・ヘッズ』のあいだにある決定的な違いは、メッセージを発する彼らの態度にある。

 ずっとずっとわかっていたんだ
 君は 僕の愛ある人生(マイ・ラヴ・ライフ)
 だから僕も 君のように輝けていいはずだ
"Hand Me Down Your Love"(2010)

 僕はただ 君の「一生かぎり」の相手になりたいだけなんだ
 教えて 君は 君の男の側に一生いますか?
"One Life Stand"(2010)

 前作『ワン・ライフ・スタンド』での歌詞から感じ取れるのは、恋人への真摯な愛を表明しつつも、そこに「自分は、相手のようには輝いていない」という劣等のコンプレックスが潜んでいることだ。それはレディオヘッドの"クリープ"のような自己嫌悪や諦念とも違い、コンプレックスが重要事項として歌われているのではなく、あくまで主題は相手に向けられた誠実な愛である。
 また、ルックスやサウンドを頻繁に「ナード」や「ギーク」などと揶揄されながらも、クラブ・ミュージックを意識的に分解しポップ・ソングに組み込んで8年ものあいだ歌ってきたのには、若さやセクシャルな熱狂を囃し立てる流行のダンス・ミュージックおよびそれを享受するクラバーに対する批評的な意識が彼らのなかに常に潜在し、そして、それはやはり劣等のコンプレックスに基づいたものでもあったということではないだろうか。ホット・チップ―つまり「山椒は小粒でもぴりりと辛い」というバンド名にもそれが窺える。

 しかし、この『イン・アワ・ヘッズ』で歌うホット・チップは、そんな劣等のコンプレックスなどまったく忘れてしまったか、大したことではないとタカを括って開き直ってしまったかのようだ。そんな彼らの居直りを、端正で非の打ち所がないサウンドが、恐ろしいほどなんの疑いもなくガッチリと肯定している。1曲目"Motion Sickness"(モーション・シックネス)のイントロで威風堂々と吹かれるホーンなどは、まるで巨大な戦艦に乗って海の向こうから彼らがやってくるかのようだ。ゼロ年代を経て、彼らはテン年代のインディ・ミュージック大海戦での勝利を確信しているのだろうか。それどころか、むしろ、「自分たちは勝ったのだ」と高らかに宣言しているようでもある。

 そうか もうやっていけないと、君は思ったんだね
 (中略)
 僕らは強くなってきていると思うし
 僕らが帰着すべき場所も 僕は知ってる
 (中略)
 今夜 もし君がステップを踏みたいなら
 僕も君とともにステップを踏もう
 前に向かって歩こう 歩きとおすんだ
 君はあっという間に成長してしまうだろう
"Don't Deny Your Heart"(2012)

 このアルバムに収められているのは、いまある平和と愛を享受するための音楽であって、悲しみを和らげたり、苦しみからの救済をリスナーに施すようなポップ・ソングではない。"Don't Deny Your Heart"(君の心を否定しないで)――ここにある言葉は、光り輝く壇上から降り注いでくるような、いわば勝者のメッセージに感じられる。恋人を鼓舞するような歌詞はまるでビートルズの"プリーズ・プリーズ・ミー"(「お願いだから僕を喜ばせてくれ」)を思い起こさせるが、アルバムを通してホット・チップが高らかに歌い上げているのは「プリーズ・プリーズ・ユー(お願いだから君を喜ばさせてくれ)」だ。リスナーへの応援歌。しかも、非常に啓発的で啓蒙主義の性格が強いムードが、ほぼアルバム全体に流れている。これは、いままでのホット・チップには見られなかった態度である。彼らは、はっきりと変わったのだ。

 そんな彼らの変化を、僕は易々とは受け入れられないでいる。「Parental Advisory」シールを貼られていた8年前の『Coming On Strong』を恋しく思ってしまうほどだ。「君の『一生かぎり』の相手になりたい」と愛を乞うていた人間が、なぜ相手に「僕はいままでいつだって君の恋人だったでしょう」("Always Been Your Love")と歌うことになるのか。やはり、彼ら自身が「ハッピー・ノイズ」と形容する結婚・出産がもたらした力なのだろうか。"How Do You Do"の「君が僕を目覚めさせてくれる時―それが僕のとっておき」などは、もはや出勤前の夫婦のチューの光景と変わらない。僕のような新卒就職を逃がしたばかりの独り身フリーターにはなかなか堪える。いまのホット・チップはあまりにも眩(まばゆ)すぎて、向き合うのが苦しい。

 僕は、たったいま、君の方を向こうとしている
 見てのとおり、僕は薄っぺらい人間だよ
"Motion Sickness"(2012)

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