「S」と一致するもの

Kroutrock - ele-king

 眠たい目をこすりながら、いまTVの前で起きていることは幻覚じゃないかとブラジルVSドイツ戦を見ていた方も多いかと思われますが、ドイツって、憎ったらしいほど強いですね。
 さて、これはサッカーとはまったく関係の話です(日本時間の14日の朝が決勝なんですけどね……)。好評発売中の『クラウトロック大全』ですが、7月15日(火曜日)、DOMMUNEにて番組が決まりました。当日は、小柳カヲル氏が、貴重盤やレア音源をかけてくれるかも!? ぜひ、実写版クラウトロックにチューンインしてください。

7月15日(火曜日) 19:00~21:00
ele-kingTV ♯27 / 実写版「クラウトロック大全」
出演:小柳カヲル、赤石順子、野田努

ポスト・ドリーム・ポップの時代 - ele-king

「LAビート・シーンの鬼っ子」──フライング・ロータスに見初められ、年若くして〈ロウ・エンド・セオリー〉のレギュラー・パフォーマーとなり、間髪を入れず名門〈アンチコン〉からデビュー・アルバム『セルリアン』を発表したビート・メイカー、バス。アンファン・テリブルを地で行く彼はしかし、デビュー作から5年ほどの時間を経て、そのほとばしるエネルギーとエモーションのままに当初のアーティスト・モデルを大きく更新した。いまのバスは、ビートメイカーと呼ぶにはあまりに逸脱的な要素をあふれさせた存在だ。そしてセカンド・アルバム『オブシディアン』(2013年)制作期間中に重く患った経験は、バスの音をセルリアンから漆黒へと変え、わがままに愛くるしく錯綜しながら天を駆け回っていたビートメイキングを地の底へと叩き落とした。
しかしプロデューサーとしての充実はとどまることがない。落ち着くことなくより多くを求め、より切実に歌われる楽曲の数々に、バスのセカンド・ステージ──黒の時代のはじまりを垣間見たのが『オブシディアン』。そしてこのたびリリースされる『オーシャン・デス』は、その続編にして補遺、完結編ともなるであろうEPだ。本作発売に際して、ここまでのバスの歩みをディスク・レヴューで振り返ってみよう。

Cerulean
Anticon / Tugboat (2010)

Amazon Tower HMV iTunes

野田努

 バス、つまり「風呂」ことウィル・ウィーセンフェルドは、このアルバムのリリース当時、初来日を果たしてDOMMUNEにも出演した。ピザかなにかのコメディ映画の番組が終わったあとの30分のライヴで、かなりバタバタのセット転換のあとだったが、彼は動揺することなく、サンプラーの前に立つと自分の世界に入り込んだ。そして、音にあわせて、操作のひとつひとつに激しく身体を上下させた。それはじつにエモいライヴ・パフォーマンスで、この男は風呂場の鏡の前でライヴの練習をしていたに違いないと思うほど、動きがいちいち決まっていた。目も耳も惹きつけられ、わずか数分で、会場は彼のものとなった。
 当時、バスの音は、フライング・ロータスとトロ・イ・モワとの溝を埋めるものだと評されていたが、いまあらためて聴くとそのどちらにも近くないことがわかる。手法的には英国のゴールド・パンダに似ているが、バスの音楽はメロディアスで、キャッチーで、歌があり、つまりポップスとして成立しているのだ。

Pop Music / False B-Sides
Tugboat (2011)

Amazon Tower HMV iTunes

橋元優歩

 2010年のデビュー作『セルリアン』リリース後の音源を中心としたコンピレーション。2011年をツアーにあてて活動していたウィルが、ライヴへ足を運んでくれたファンのためのエクスクルーシヴな音源集として構想し、そもそもは配信でのみリリースされていた作品である。
 その名のとおりBサイドらしいラフな描線の上には、怜悧なセルリアンではなく、暖色系の何色かが柔らかく浮かび上がっている。思春期らしい攻撃性を持ったあの天衣無縫のビートメイクは、ここでは気まぐれに、愛らしく、遊びつかれて眠るように、カジュアルな隙を生み出している。かつてとは体制が異なっているものの、〈アンチコン〉が狭義のヒップホップではなく、エモやうたものとの縁を深く持った、じつにUSインディ的な良質レーベルだということを思い出させる。
 構築性における隙とともに、アコースティックな音づかいやラフなプロダクションもバスならではのビート・コンプレックスに空間的な広がりを与えていると言えるだろう。「フォールス」のニュアンスがしかとはつかめないが、それはBサイドの逆説として結像するものかもしれない。「B」という名の本物──ウィル自身も愛さずにはいられない、バスの偽りなきもう片面に光を当ててみせるコンピレーションである。

Obsidian
Anticon / Tugboat (2013)

Amazon Tower HMV iTunes

竹内正太郎

 暗い日曜日に、礼拝堂でウィッチハウスを聴きながらルイ=フェルディナン・セリーヌを読むようなもの、とでも言えばいいのだろうか。暗いといえば暗い。が、本人はそれを望んでさえいるのだろう。『夜の果てへの旅』よろしく、「生命の実感を味わうための身を切るような悲しみ」を探し求めるセカイの遭難者、というわけだ。そう、前作『セルリアン』は、LAビート・シーンとの照応を見せつけた広義のチルウェイヴと呼ぶべき何かだったが、この『オブシディアン』からはヒップホップ臭さやチルウェイヴ的なある種の軽さは後退し、あのホーリーなコーラスはストリングスやピアノなどのエレガントな調べの中で生まれ変わっている。ザ・ポスタル・サーヴィスのロングセラー、『ギヴ・アップ』にウィッチハウスのシャワーを浴びせてインダストリアルな加工を施したような何か、と言ってもいいかもしれない。LAビート・シーンの先達がこの期待株に望んだ方向性ではなかったかもしれないが、“アイアンワークス”や“インコンパーチブル”といった曲に耳を傾ければ、メインのビートの他に微細な凝ったビート(本人いわく「石を投げたり、それが欠けたりする音」)が脈打っているのがわかるだろう。グリッチも随所で利いている。他方、“マイアズマ・スカイ”はいつかのホット・チップを思わせるダンス・ナンバー、“ノー・アイズ”はパッション・ピットを思わせるシンセ・ポップに仕上がっており、すでにローカルなシーン語りの一部にしてしまっては窮屈な領域に向かっているのでは。

Pixies - Indie Cindy

Baths - Ocean Death EP
Anticon / Tugboat (2014)

木津 毅

セカンド・フル『オブシディアン』収録の“アース・デス”に対応しているであろうタイトルを持った5曲入りEP。「きみの身体を僕の墓場に埋めて(“オーシャン・デス”)」……アルバムから変わらず、死のイメージが抜き差しならないリレーションシップへの欲求と重なっている。 …つづきを読む


Baths - ele-king

 表題曲の“オーシャン・デス”、「海の死」はミニマル・テクノ……いやハウスだ。ダークな低音、キックのストイックな反復にじょじょに重なっていく女性ヴォーカルはエレガントでセクシー。ゾクゾクするほどスリリングなダンス・トラックでこのEPは幕を開ける。が、耳がどうしても追ってしまうのはその奥で聞こえるノイズというには何やらクリーンで微細な音の粒子、そのざわめきである。バスがよく使用する雨音のサンプリングもあるだろうか、さわさわ、プチプチ、チャプチャプ……というような。そして、2分半過ぎにやってくる波の音。ここでジャケットをじっくり眺めたい。どこか終末もののSF映画を思わせるような不可侵な佇まいの「世界」がそこにはあり、そしてそれはバスのインナーワールドそのものである。IDMをハウス化したフォー・テット『ゼア・イズ・ラヴ・イン・ユー』(2010年)がある流れを決定づけたことをいま改めて思う。その先で鳴っている“オーシャン・デス”はたしかにフロア受けするだろうビート・ミュージックでありながら、そこでひそかに息をしている小さく繊細な音たちを見つけることこそがバスを聴くことなのだと思う。

 『オブシディアン』収録の“アース・デス”に対応しているであろうタイトルを持った5曲入りEP。その“アース・デス”、「地球の死」にはあった地面に身体を叩きつけるような烈しさと比べてみると明らかだが、全体としてより洗練されたムーディなメランコリアが聴ける。アンニュイなピアノ・バラッドにリニアなリズムが入ってくる2曲め“フェイド・ホワイト”のオーガニックな質感の演奏にはもはや「LAビート・シーンの」という枕がよけいなものに思えてくる。『セルリアン』を思わせる聖性を帯びたハーモニーに溢れたアンビエント・ポップ“ヴォイヤー”、もっとも素朴な歌が込められた残響音が重なり合うようなシンセ・ポップ“オレター”、それらは表題曲に比べれば控えめだが先の2枚で試みたことからの断絶はなく、しっかりと磨き上げられている。

 「きみの身体を僕の墓場に埋めて(“オーシャン・デス”)」……相変わらず、死のイメージが抜き差しならないリレーションシップへの欲求と重なっていることも見逃せない。「太陽が消滅したところできみを待っている」だなんていちいちモチーフが大仰だし(セカイ系……と言うべきなのか)、「僕はべつにきみを愛してはいない、愛してはいない」と繰り返さねばならない切実さが胸を刺す。バスの作る音には内向的な青年の内側でざわめくエモーションが流れ出ていて、それが烈しく噴出したのが『オブシディアン』だったとすれば、この『オーシャン・デス』ではその狂おしさのなかを心地よく浮かぶようだ。そしてそうした思春期的なモチーフ、ナイーヴでフラジャイルな愛の歌というのは、バスが関わっているようなヒップホップやIDM周辺のビート・ミュージックではかつては立ち現れにくいものだったように思うが、たとえばライアン・ヘムズワースやノサッジ・シングなどを並べてみると共通のムードがぼんやりと浮かんでくる。きわめてパーソナルなバスの表現における現代性はそこだろう。

 ラストのバラッド“ヨーン”はそうした意味でも、サウンド面でも、非常にバスらしさが自然に湧き出た美しい佳曲だ。柔らかなタッチのピアノ、カリカリ、ガリガリと左右に動くプログラミング、降り注ぐコーラスと、その狭間を転がるような小さな音の粒、そして愛の意味を問うナイーヴで正直な歌声。だがその最後で描かれるのはバスのセカイではない。か弱そうな青年がそこで、その外側の世界を静かに見ていることが何やら予感めいていて、ドキリとさせられるのだ――「まるで永遠に移り行く樫の木のように、世界はあくびをして 前に進んでいく」。

OG from Militant B - ele-king

ヴァイナルゾンビでありながらお祭り男OG。レゲエのバイブスを放つボムを連チャンラクラク投下。Militant Bの他、現在はラッパーRUMIのライブDJとしてもその名を聞くことができる。

今回のランキングは、ジャマイカンが送るこれもレゲエなの??曲特集です。年代問わず彼等のノリでやっちまおうぜ感とか大好きです。しかもレベルが高い!少しでも気になるものがあったらYoutubeとかCDとかレコードとか何でもいいので聴いてみてください。気づけばあなたもレゲエの虜!踊らずにはいられない!

7/1(火)吉祥寺cheeky
7/9(水)新宿open
7/20(日)中野heavysick
7/26(土)那覇loveball
7/31(木)新宿
8/1(金)熊本boot
8/2(土)福岡dark room
8/3(日)大分
8/5(火)吉祥寺cheeky
8/30(金)中野heavysick

飛び出せJAMAICAN! 2014.6.30


1
Shaggy - Bad Man Don't Cry - Big Yard
大人の男になりたい意を込めて。みんな大好きDelfonics/La La Means~使いの1曲。現場でもよくかけるし、そのままソウルにいったりします

2
Demarco - About My Money - Bassrunner
イントロからぶっとばされるデマルコによるハスラー賛歌。サウンドは攻めまくりハイパーな感じで、Dub Stepとか好きな人にも聴いてもらいたい。カラーヴァイナル
だけど7インチなのでよし

3
Beres Hammond - If There Is a Song - City Beat
フェイバリットシンガーの1人、ベレスハモンド。レゲエの中にソウルスピリット!この曲は朝方のクラブでボム!はじける爽快さ!裏面のLove Delightも最高!

4
Cedric 'Im' Brooks - Silent Force - Water Lily
今回唯一アルバムからのオススメ曲。まずタイトルがカッコいい!イントロのベースライン、オリエンタルなムードから一転!かけると反応が多い曲。有名曲とか再発盤とか関係なく良い曲はイイ!

5
Tessanne Chynn - Anything's Possible - Chimney
Rising Sun riddimからテッサンチンのブランニュー。このリディムの中でダントツに良い歌声を聴かせてくれたレディ。人生イロイロ、恐れず進め!元気が出る1曲です

6
Stephen Marley feat.Jr Gong&Buju - The Trafic Jam - Tuff Gong
ビートボックスにアンサーリディム、そこに3人のDeejay!そりゃもうWicked!!権力に屈するな!Doug E Fresh とViciousのfreaksとかけたりします

7
Jackie Mittoo - Hot Tomato - Studio One
ミットゥー先生によるファンクナンバー。こういうのをサラッとかけてると大人の印象。自分のは再発盤なんだけど、赤緑のスタワンのレーベルがツボです

8
Marcia Griffiths - Electric Boogie - Mango
Marcia89年作。この曲は、「とりあえずよく分からないけどノってこうぜっ!」って時に聴くと楽しいです。Bunny Wailerも同じ曲歌ってます

9
Shaggy - Hope - Big Yard
外で聴いてアガりたい曲。アルバムHot Shotから12インチカット。このアルバムは色んなタイプのレゲエが入っててこちらも一聴の価値あり。シャギー、ランキング2回登場はダテじゃない!

10
Gregory Isaacs - Too Good To Be True - Music Works
グレゴリーが歌うMusic Works産R&Bです。こういう感じをクラブで聴けるとニンマリ。裏面にはサックスマンDean Fraserのバージョンが入っててそっちも良いです

Morrissey - ele-king

 ザ・スミスはポップ・バンドである。モリッシーはポップ・ソングライターで、ときにはアイドルだった。曲の主題はセックスから社会に虐げられている人たちのメロドラマ、洞察力のある風刺までといろいろだが、モリッシーはサッチャリズムに対して、過剰ともいえる敵意をむき出しにしたことで知られている。ルサンチマンをぶちまける暴君ではなかったが、80年代半ばの彼はイギリスを救える道はサッチャー暗殺とまで言ってのけている。保守党を狙ったIRAの爆弾事件についても「ターゲットは間違っていないが、サッチャーが生きていることは悲しい」とコメントして、いくらなんでもそれは言い過ぎだろうとヒンシュクを買ったこともある。

 新作のリリースを間近に控えているモリッシーだが、ふたつの意味において、格好のタイミングで彼の90年代初頭の旧作が2枚、リマスターで&未発表ライヴ映像もしくは未発表ライヴ音源付きでリイシューされた。1992年の『ユア・アーセナル』(ライヴDVD付き)、翌年1993年の『ヴォックスオール・アンド・アイ』(ライヴ音源付き)──2枚ともザ・スミスの栄光から切り離された、ソロ・アーティストとしてのモリッシーを確立した作品だ。前者は、彼の音楽的ルーツであるグラム・ロック愛が滲み出ていることで知られている。
 もちろん、モリッシーのスタンスが大きく変わっているわけではない。ソロ・アーティストとしてのモリッシーは、1988年の『ヴィヴァ・ヘイト(憎しみ万歳)』という、なんとも的確な題名のアルバムでデビューしている。ザ・スミスの『クイーン・イズ・デッド』のタイトル名の候補には、のちの『ヴィヴァ・ヘイト』の最後に収録された“マーガレット・オン・ア・ギロチン”があったというけれど、モリッシーが作品においてあからさまなサッチャー批判や政治的な復讐心を露わにするのはザ・スミス時代よりもソロに入ってからだろう。

 1992年といえば、ゾンビーやM.I.A.がレイヴ黄金時代と懐かしむ年ではあるが、政治の表舞台ではサッチャーが退陣を表明し、さすがに労働党が巻き返すのではないかと言われながら、投票率77%の選挙戦で保守党が勝った年だった。『ユア・アーセナル』に収録されている“ナショナル・フロント・ディスコ”は当時のイギリスの右傾化を描いていた曲だが、いまの日本で聴いても突き刺さるだろう。「“イギリスはイギリス人のもの”って、デイビー、風が吹いて、僕の夢をすべて吹き飛ばしてしまった」

 とにかく、20年以上昔のこの音楽は、少しも古びていない。期せずして蘇った、いや、彼の音楽が似合う世のなかになってしまったというか……、『ヴォックスオール・アンド・アイ』というタイトルの由来は、ブレイディみかこさんのレヴューを参照するとして、グレアム・グリーンの小説『ブライトン・ロック』の登場人物たちが歌われるアルバムのはじまり、名曲“ナウ・マイ・ハート・イズ・フル”のなかでモリッシーが歌う「控え目に表されるところの憂鬱」は、いま、あらたな解釈を求めているかのようだ──「やっかいごとが待ち受けている/家は立て直さなければならなくなり/愛する家の住人は間もなく精神分析医の前に横たわる」

 ある種のユーモアも含まれているのだろう。モリッシーの政治的表現は、たとえ感傷的であっても、曲調はメロディアスで、ポップで、グラマラスで、言葉はウィットに富んでいるので窮屈な気持ちになることはない。が、たとえば、“ホールド・オン・トゥ・ユア・フレンズ”──「信頼の絆が悪用されてしまった/何か大切なものが失われてしまうかもしれない/仕事なんかやめてしまえ/すぐになくなってしまう金なんか使ってしまえ/友だちをたよりにするんだ」、“ ホワイ・ドント・ユー・ファインド・アウト・フォー・ユアセルフ”──「いちばん正気に思える日こそ狂っている/どうして自分の目でたしかめようとしないんだ」などなど、いまでも聴き捨てならないキラーなフレーズがいくつもある。ブリットポップ前夜のアルバムとは思えないほど浮かれた様子はなく、日本版サッチャーが政権を握り、「社会なんてない、あなた個人のことだけを考えればいい」が常識となっている国で聴いて違和感がないのも当然と言えるが、同時にこれは世のなかにどこまでも疲れた人間にも信じる気持ちを取り戻してくれる音楽でもある。

The Swifter & David Maranha - ele-king

 ザ・スイフターは、ドラム・パーカッションのアンドレア・ベルフィ、ピアノのサイモン・ジェイムス・フィリップス、エレクトロニクスのBJ・ニルセンらによるトリオ編成のインプロヴィゼーション・グループである。リリースは、実験電子音楽レーベル〈エントラクト〉から。
 ザ・スイフターは2013年に〈ザ・ワームホール〉という〈タッチ〉のカセット専門レーベルの、サブ・レーベルからファースト・アルバムをヴァイナル・オンリーでリリースしており、本作が2作めのアルバムとなる。内容は、2013年2月にリスボンで行われたライヴ録音である。総収録時間は30分ちょうどで、ミックスはメンバーのアンドレア・ベルフィが担当。そしてゲスト奏者としてポルトガルのミニマル・ミュージックのベテラン、デヴィッド・マランハがオルガンで参加している。デヴィッド・マランハとアンドレア・ベルフィはこれまでにも競演がある。

 エレクトロニカ以降の電子音響シーンを多少でも知っている方ならばご存知だろうが、アンドレア・ベルフィ、サイモン・ジェイムス・フィリップス、BJ・ニルセンらは、〈ルーム40〉や〈タッチ〉などの老舗・著名音響レーベルなどからアルバムを発表しているアーティストである。
 近年では、アンドレア・ベルフィは、2012年に〈ルーム40〉から打楽器とドローンが絶妙に融合した作品を発表しており、サイモン・ジェイムス・フィリップスも同じく〈ルーム40〉から、シャルルマーニュ・パレスタインのようなミニマルなピアノ・アルバムをリリースしている。BJ・ニルセンは昨年〈タッチ〉から環境そのものを思考/聴取するような新譜を送り出している。デヴィッド・マランハは、ステファン・マシューやデヴィッド・グラブスなどともコラボレーションを行っている。

 ちなみに私がこのグループのことが気になったのはBJ・ニルセンが参加していたからだ。BJ・ニルセンは先に書いたようにフィールド・レコーディングにエレクトロニクスのエディットした環境工学的な作品で知られる音響作家である(環境と音を考察する著書を刊行したばかり。日本のサウンドアーティスト、ユイ・オノデラが参加)。その彼がまさかこのような演奏主体のフリー・ミュージックのメンバーに加わるとは思ってもみなかったのだ。もちろん3人の経歴(とデヴィッド・マランハの競演歴)を考えれば、それほど突飛なことではないと理解できるのだが。
 また、〈エントラクト〉から、このような演奏主体の音源をリリースされることも珍しい。実験電子音楽とフリー・ミュージックのジャンル性が越境されていくのはいいことだし、〈エントラクト〉にしては400部とプレス数も多いので、レーベル側も力を入れているのだろう。
 じじつ本作を聴いてみると、フリー・インプロ・リスナーだけでなく、エレクトロニカ/実験音響のリスナーにも訴求する力があるようにも思える。インプロ主体のフリー・ミュージックでありながら、フリーにありがちな極端な静寂と轟音を行き来する演奏というよりは、一定のミニマルな持続(ドローン)を中心線に置いているので、どんなにフリーな演奏が繰り広げられようと、エレクトロニカ以降のドローン/アンビエントを経由した聴き方ができると思うのだ。

 演奏のメインは、サイモン・ジェイムス・フィリップスのシャルルマーニュ・パレスタイン的なミニマル・ピアノとアンドレア・ベルフィのドラムスである。フィリップのピアノは光の点滅のようにミニマルな演奏を延々と続け、ベルフィのドラムは一定の反復を繰り返すハイハットに、アクセントのようにリズムを打ち込んでいく。そしてこれら演奏の中心線に、ドローン的な線の音楽が流れている。
 そのドローン感覚を浮き彫りにさせるのが、ゲスト参加デヴィッド・マランハによる電気オルガンだ。このオルガン・ドローンがじつに素晴らしい。デヴィッド・マランハのオルガンは比較的に小さくミックスされており、よく耳を澄まさないと聴こえない。もちろんこのミックスは意図的なものだろう。なぜなら、「聴こえるか/聴こえないか」の中間のほうが聴き手はより音に耳を傾けることになるのだから。その結果、覚醒と陶酔が同時に巻き起こるようなサウンドが生成しているのである。轟音といってもいいアンドレア・ベルフィのドラムと光のように点滅するサイモン・ジェイムス・フィリップスのピアノの「あいだ」に鳴り響く柔らかくシルキーで煌くようなドローン・サウンドの素晴らしさ。

 そう、このグループの演奏は、たしかにインプロだが、しかし音たちは、ひとつのドローン=中心線に沿って鳴っているのだ。アルペジオもドラムの自在なフィルも、すべて文節化されたドローンのようなものである。ここにこそ、このグループの演奏が、いわゆるフリージャズ的なインプロとは違う「音響的フリー・インプロヴィゼーション」として成功している理由があるように思える。
 そして、3人の演奏に異質な他者として介入してくるのが、BJ・ニルセンのエレクトロニクスだ。エレクトロニクスといっても、彼が自分のアルバムで使うようなフィールド・レコーディング素材なども変形されつつ用いられている。演奏の持続の中に、エレクトロニクスを介入させることによって、音楽の速度を、その内側から変えていくのだ。そこでは周期的な持続と非周期的な音が交錯している。つまりは演奏とグリッチの交錯。

 2014年現在、エレクトロニカ以降の環境は、クリック/グリッチからドローン/アンビエントを経由したフリー/インプロヴィゼーションへと移行しつつあるのではないか。もちろん、これはいまにはじまったことではないが(2004年からすでにフェネス、ピタ、大友良英、サチコMの競演盤などがあった)、緻密なプログラミングから豊穣な不確実性の導入という変化は、この時代において必然性がある(ジャズ人気の再燃やブラジル音楽の人気の背景には、人間による演奏とエレクトロニクスの拮抗が重要なポイントだろう)。たとえばこの7月には、〈スペック〉から音響作家マシーン・ファブリックが率いるインプロヴィゼーション・バンドPiiptsjillingの新作『Molkedrippen』がリリースされる。今年1月にはカフカ鼾の素晴らしい作品も発売されている。

 この「音響作家と演奏家によるフリー・インプロ・バンド」が、ドローン/アンビエント以降の新しい環境として、幾多の優れた先例(つまりは成功と失敗)を踏まえつつ、新たな潮流となていくのだろうか? さらに、ここにトータスからラディアンへと至り、現在、頓挫している演奏とエレクトロニクスのフォームの現在へと繋げてみると、どのようなパースペクティヴが浮かび上がるのだろうか? ドローン/アンビエントが、いささか紋切り型へとむかいつつある現在だからこそ注目したい動向である。

パスピエ - ele-king

 パスピエといえば、そのニューウェイヴ/テクノポップ性が特徴的だ。実際、リーダーの成田ハネダ自身、ジューシィ・フルーツやビブラトーンズなどの名前を出して語っている。なるほど、ファースト・フル・アルバム『演出家出演』収録の“フィーバー”は、背後のキーボードがニューウェイヴ・ポップ的で、たしかにジューシィ・フルーツやノー・コメンツ“東京ガール”なんかを思わせる。あるいは、『わたし開花したわ』あたりのシンセサイザーやヴォコーダーは、YMO周辺か。とくに“電波ジャック”“あきの日”なんかを聴くと、テクノ歌謡のような郷愁も感じられてよい。そう考えると、“チャイナタウン”“はいからさん”などは、YMO“東風”や矢野顕子“在広東少年”のような、テクノ・オリエンタリズムの系譜に置くことができるか。いずれにせよ、テクノ歌謡の香りが感じられるのがよい。ちなみに、ヴォーカルの大胡田なつきについては、「やくしまるえつこっぽい」とか「YUKIっぽい」といった声が多いようだ。それなりに同意するが、僕は「椎名林檎っぽい」と思った。いくつかの曲の歌い方と言葉の割り方が、とても椎名林檎っぽい。これもよく言われているようである。

 それにしても、この「~っぽい」の参照先が、国外でなく国内になったのはいつ頃だろう。90年代はどうだっただろうか。ミスチルはたしか「オアシスっぽい」とか言われていた気がする。ナンバーガールは「ソニック・ユースっぽい」だったか。単純化した議論は禁物だが、個人的な印象として言わせてもらえば、2000年代のなかばあたりから、とくにロック・バンド系の参照先が、いよいよJ-POPになっていた気がする。そうか、2000年代のなかばともなれば、べつに洋楽を参照しなくとも、J-POPがJ-POPとして自給自足できるようになっていたんだなあ。そんなことを考えながら、パスピエの過去作を聴いていた。
そして、新作の『幕の内ISM』だが、これがすこぶる清々しい。多彩なサウンドを追求しつつも、一方で、なんと堂々とJ-POP然としていることか。「堂々とJ-POP」とか言うと、嫌味を言っているように思うかもしれないけど、もちろんそんなことはない。堂々とJ-POPでいることは、先鋭的なバンドであることと同じくらい、たいへんな創意と工夫が必要なのだ。多彩なサウンドは、ニューウェイヴ/テクノポップという枠にとどまらない。パスピエの新作はこれまで以上に、J-POPであろうとしているように思える。
たとえば“七色の少年”がジュディ&マリーっぽい。そうかと思えば、“とおりゃんせ”冒頭、鋭いギターに4つ打ちのバスドラが重なる展開は、ここ数年のJロックと足並みを揃えているようでもある。もっともこの4つ打ちの潮流は、音楽ライターの柴那典がしばしば指摘するように、フェスへの対応という側面があって、ロック・フェスに感銘を受けた成田ハネダの趣向が反映されているのかもしれない。この鋭いギターと4つ打ちに、シンセサイザーのサウンドが加わると、どことなく最近のザゼンボーイズを思わせる“トーキョーシティ・アンダーグラウンド”になる。そして、そのシンセの音がさらに存在感を増すと、今度はモーニング娘。‘14とまではいかないが、少しEDM寄りになって“MATATABISTEP”となる。この多彩なサウンド。これぞ、同時代のJ-POPを貪欲に並べた、堂々たる「幕の内ISM」だ! 本誌インタヴューで成田が言う「POPの中のJ-POPバンド」というコンセプトが、いま書いたようなことを指すのかどうかは心許ないが、ともあれ、アルバムを通して、このハイブリッドなJ-POP感は心強い。ナンバーガールやザゼンボーイズは見え隠れするが、ピクシーズは見えない。EDMの感じはあるが、ニッキー・ミナージュやLMFAOを思い出すわけではない。サウンドへの野心はあるが、J-POPであることを手放さない。そのバランス感覚がとてもいい。だから、確信した。パスピエに対しては、ふるき良き80年代ニューウェイヴ/テクノポップの郷愁のみを感じ取るべきではない。彼らは、80年代のテクノ歌謡と00年代の4つ打ちロックを同時に見据えているバンドなのだ。ここを見誤ってはいけない。テクノ歌謡とJ-POPの高度なハイブリッドとして、パスピエは堂々たるJ-POPのたたずまいを獲得しているのだ。
 鋭く響くギターとダンス・ミュージックを融合させるセンス。ここには、マーク・スチュワートとアーサー・ラッセルを通過した向井秀徳の姿が、どうしても見える。パスピエが向井秀徳をどのくらい意識しているか/していないのかは知らないが、ジャケット・ワークや詞世界も、少し向井秀徳的である。そもそも、現在J-POPのフィールドで活躍するロック・バンドが、少なからずナンバーガールやザゼンボーイズの影響下にあったりする。とくに、00年代のJ-POPの潮流を築いたと言ってもいいだろうアジアン・カンフー・ジェネレーションは、“N・G・S”(Number Girl Syndrome)という曲を歌っていた。ああ、そういえば、「~っぽい」の参照先が国内のバンドに向けられるようになったと僕が思ったのは、他ならぬアジカンが登場したときだったなあ。00年代が終わりを迎えようとする時期に登場したパスピエは、そういうJ-POP史の流れのなかにいるのだ。

 だとすれば、本作のハイライトは、間違いなく“アジアン”という曲である。とくに出だし、「超高速 画期的な三原色 原則は相対感覚 どうしても気になるのクオリア」という抽象的な歌詞が、アジカンっぽい。と思ったら、途中、今度は歌い方が椎名林檎っぽくなる。椎名林檎の古風なセンスを経由して、さらにはナンバーガール的な五線譜縦並びのビートを駆使して、大胡田が「いろはにほへとちりぬるを~♪」と歌い上げる。ここにおいて“アジアン”は、“はいからさん”や“とおりゃんせ”などと同様、テクノ・オリエンタリズムの系譜に接続される。J-POP史を串刺しにした、めまいがするような情報量だ。
 つまり、この曲の題名である“アジアン”とは、00年代を代表するロック・バンドの表象(「アジアン」・カンフー・ジェネレーション)と、テクノ歌謡の表象(オリエンタリズムとしての「アジアン」)が合流した地点なのである。80年代テクノ歌謡と00年代4つ打ちロックを同時に見据えるパスピエは、J-POPの「幕の内ISM」である本作において、この場所――すなわち、「アジア」にたどり着いた。テクノ歌謡への郷愁だけでも、J-POPへのおもねりだけでも、駄目なのである。両方を見据える試みでこそ、パスピエの「アジア」は見出されるのだ。したがって、本稿の結論は、すでに大胡田が歌っている。

   未来と原始 遺伝子なら合わさって輪廻 ずっと探していた答えは たぶんアジア!

interview with Kyle Hall - ele-king

 最初のEPが出た2007年から、あるいはそれ以前から、大きな注目を集めていたカイル・ホールの初来日がやっと実現する。16歳でオマー・Sのレーベル〈FXHE〉から(14歳のときに作った曲で)登場し、翌年には自身のレーベル〈Wild Oats〉を設立。昨年には満を持してファースト・アルバム『The Boat Party』をリリースして高い評価を得た。そのサウンドには、デトロイトという特殊な音楽文化を持つ街で育まれたタフさと、若さと、希望が詰まっている。

 現在22歳の彼は、地元であるデトロイト市内を拠点に、世界を飛び回る人気DJとして、レーベル・オーナーとして、そしてプロデューサーとして、誰もが夢見るような生活を送っている……かのように見えるが、実はそれ故のストレスや悩みを抱えているようだ。
 今回、「せっかくの初来日だから」とインタヴューを申し込んだところ、実はいちど断られた。ここ最近はほとんど取材を受けていないという。二度目の懇願によって渋々承諾してくれたものの、当初はあまり乗り気ではなかった。話しているうちに、その理由が明らかになり、最終的には期待していた以上に深い対話が出来たと思う。そして彼の、いい意味での真面目さと成熟さが表れていると思う。本邦初の、1万字を超えるロング・インタヴューをじっくりお楽しみ下さい。


■KYLE HALL Asia Tour

2014年7月11日(金)
22:00〜
@代官山AIR

料金:3500円(フライヤー持参)、3000円(AIRメンバーズ)、2500円(23歳以下)、2000円(23時まで)

出演:
【MAIN】Kyle Hall(Wild Oats/from Detroit)、DJ Nobu(FUTURE TERROR/Bitta)、sauce81 ­Live­, You Forgot(Ugly.)
【LOUNGE】ya’man(THE OATH/Neon Lights)、Naoki Shinohara(Soul People)、Ryokei(How High?)、Hisacid(Tokyo Wasted)
【NoMad】O.O.C a.k.a Naoki Nishida(Jazzy Sport/O.O.C)、T.Seki(Sounds of Blackness)、Oibon(Champ)、mo2(smile village)、Masato Nakajima(Champ)


みんながオルタナティヴなサブカルチャーに属したがっていて、そのオピニオン・リーダー的なメディアの言いなりになっている。新しいサブカルチャーを創り出すために過去の歴史の解釈まで曲げられてしまっているようにさえ思う。インターネットは自分の意見を持っている人には素晴らしい道具だけど、ただのフォロワーには悪影響を及ぼすものだ。

日本語でのインタヴューは初めてなので、まず基本的なことから聞かせて下さい。

カイル・ホール(KH):あまりに基本的過ぎることは聞かないで欲しいな。最近あまりインタヴューを受けないようにしているんだけど、それはもう何度も何度も同じことを言い続けている気がするからなんだ。正直、「僕の言うことよりも、僕の音楽を聴いて下さい」って思う(笑)。それ以上に、あまり言うことはないよ。〈Wild Oats〉というレーベルをやっているから、それをチェックして下さい、くらいかな(笑)。

なるほど。わかりました。では、基本的な質問はやめましょう。私が聞いてみたいと思っていたことを、まず聞かせて下さい。音楽を作ることと、DJをすることは違う表現方法です。今回、あなたにとって初来日になりますから、日本のオーディエンスはあなたの作品は聴いているけど、DJプレイは聴いたことがないわけです。ですから、みんな「DJとしてのカイル・ホールはどうなのか?」ということに注目していると思います。ご自分ではどう思われますか? あなたにとって制作とDJの違いは? あなたの作品はDJとしてのあなたをも代弁していると思いますか?

KH:その答えは……ノーだね。僕の作る音楽は、そのときどきの自分を表現しているので、DJをしているときの自分とは必ずしも重ならない。DJをするときは、自分がかけたいと思うレコード、僕はアナログ・レコードをプレイするので、それをレコード・バッグに詰めるところからはじまっている。持っているレコードを全部詰められるわけではないので、そこには制限があって、そのときの自分の気分、どちらかというと自己満足のために選んだレコードを持っていく。自己満足というのは、自分だけを楽しませるという意味ではなくて、自分が思う、その状況に最適であろうと考えるレコードを選ぶということ。その判断には、僕が考えるそれぞれのオーディエンスの趣向や、期待を考慮する。
 DJプレイというのは会話みたいなもので、まず僕がいくつか自分が聴きたいと思う曲をかけてみて、お客さんの反応を見る。そうすると、ダンスフロアにいる人たちの耳がどこにあるのか、ということが少しわかる。途中でフロアを離れる人もいれば、入って来る人もいるから、それを繰り返しながら状況を掴んでいく。でも、人はみんな違うし、土地によっても違いがあるから、なかなか難しい。人によって、そのパーティに期待してくるものも違う。特定のものを聴きたくて来る人もいれば、オープンに違ったものを受け入れる人もいる。そのDJの芸術性を評価しに来る人もいれば、DJが誰だかよく知らずにただ踊りに来ている人もいる。こういったいろんな人たちと自分の相互作用が、その夜のエネルギーとなるから、予想がつかないよね。

ラインナップや、出演順によっても受け取り方が変わりますよね。

KH:そうそう。例えば、前のDJがものすごく速いテンポだとか、大音量とかでプレイしていたら、その後に出るDJの印象がまた変わる。DJにもいろいろいるしね。例えば、「俺はみんなと一緒にパーティしに来たんだ」と言うDJもいるけど、必ずしもお客さんが楽しむ音楽で自分が楽しめるわけではないから、妥協を強いられることもある。でも僕にとっては妥協をする方が難しいから、それならお客さんをそこまで盛り上げなくても、自分がかけたい音楽をかけようと思うこともある。

DJはエンターテイナーというだけではないですもんね。

KH:そう! エンターテイナーとアーティストは違うと思う。そしてアーティストの方が、お客さんとの接点を見つけるのに時間と努力を要するよね。その接点がなかなか見つからないと、「僕が音楽スノッブ過ぎるのかな?」と自問することもあるけど、僕が本当にいいと思ってかけたものに反応してもらえることもある。逆に、自分はそんなに好きじゃないけど、きっとお客さんには受けるだろうと思ってかけたら、全然ダメだったり(笑)。本当に優れたアーティストは、お客さんを自分の世界に引き込んで、その良さを知ってもらうことが出来るんだろうけど。

個人的には、DJ本人が本当に好きでかけたいものをかけることがもっとも重要だと思いますけどね。

KH:僕もとても重要だと思う。でも、誰もがそういう風にやっているわけじゃない。よく、「これは(フロアで)機能する」という曲をかける人がいる。それってただのツールということだよね。でも、そういったツールをかけることで、次にかける本当に思い入れのある曲を引き立たせるというテクニックもある。そういう風に、最適なコンテクスト(背景/文脈)を準備するということもDJの醍醐味だと思う。

それを踏まえて聞きたいんですが、だとすると、あなたがまったく知らない場所、例えばまだ行ったことのない日本でプレイする際には、どのような準備をするんですか? すでにあなたはヨーロッパ各地でたくさんプレイしていますし、アメリカでもしていますよね。でも日本はそのどちらとも違います。

KH:そうだね、僕もそういう印象を持っているよ。ユニークな場所だってね。たしかに、ヨーロッパはどの国でやるにしてもだいたい状況を把握している。例えばロンドンは、ほぼ自分の好き勝手にやっても大丈夫なんだ(笑)。でもイタリアとか、その地域によっても、もう少しベーシックなところを押さえないといけないな、とか。
 日本については、僕が知っている限りでは、かなりアーティスティックにやっても受け入れてもらえるところだと認識している。でも、RAのドキュメンタリー(Real Scenes: Tokyo)を観て、もしかしたらもっと制限されているのかな、とも思ったり。実はもっとニッチに細分化されていて、僕に期待されていることと僕が実際にやりたいことはかけ離れている可能性もあるのかな、とも思う。

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本当に頭がおかしくなりそうになるよ。だって、僕がどんなにクリエイティヴに面白いことをやっても、必ず「デトロイト版の」とか「デトロイト・サウンド」って言われちゃうんだから! セオ・パリッシュがどうのとか、必ず他の誰かとの比較で書かれる。

日本のオーディエンスはあなたにどんな期待をしていると思いますか?

KH:わからないよ! 僕のレコードの印象かな? あとは、デトロイトのレガシー(遺産)との連続性を期待されているということはいろんなところで感じるよ。過去20年間、デトロイトの他のDJたちがやってきたこと。オンラインで僕の記事を見ても、だいたいそれと比較されている。

それは嫌ですか?

KH:嫌だよ! 僕が作る音楽はすべて、他の誰かのフィルターを通して語られるんだ。例えば、僕が〈Hyperdub〉から曲を出すと、「〈Hyperdub〉からのデトロイト・サウンド」と言われる。「カイル・ホールがたまたま〈Hyperdub〉から曲を出しました」とはならないんだよ。ただのアートなのに、たくさんの先入観があるんだ。日本についても、そこがちょっと怖いな。僕個人を、いろんな冠を付けずにそのまま受け入れてくれたらいいんだけど……本当に頭がおかしくなりそうになるよ。いつも何らかの「箱」に入れられて。

そうですか! そんなに苦しんでいたとは。

KH:だって、僕がどんなにクリエイティヴに、面白いことをやっても、必ず「デトロイト版の」とか「デトロイト・サウンド」って言われちゃうんだから! セオ・パリッシュがどうのとか、必ず他の誰かとの比較で書かれる。

たしかに私も書きました……(苦笑)。

KH:つねに先に誰かがやったことと比較されて、僕はいちばんになれないんだ。聴く前からこういうものだって決めつけているから、その枠の外、他のコンテクストで捉えられない。何も先入観を持たずに、ただ音を聴いてくれたらって思うよ。

たしかにそれは嫌かもしれません。でも、まったく何の先入観も持たずに音楽を聴くというのは無理ですよね。あなたの作品を手に取っている、聴こうとしているという時点で、すでに何かの情報を参考にして興味を持っているわけですから。

KH:それはそうだ。だから、先入観をまったく持たないで欲しいとは言わない。何らかの期待や楽しみを持って聴いてくれるのは構わないけど、決めつけて欲しくないんだ。多くの場合、曲を聴く前の段階ですでに何らかのパッケージに入れられてしまっているから。曲そのものよりも、それについての情報で評価/判断している。
 僕は、いまの、人びとのカルチャーについての情報の受け取り方全般に問題があると思っている。メディアでそれを発信している人たちが、そのカルチャーをあまり理解していないと感じるから。個人的に新しい音楽を発見したり、出会ったりするんじゃなくて、そういうところから与えられた情報のみで判断してしまっている。

鋭い指摘です。でも、例えば私の場合は、他のデトロイトのアーティストなどから、あなたの曲やDJプレイを聴く前にあなたのことを聞いていたので、それで興味を持ちました。デトロイトの先輩たちから、とてもかわいがられている若者という印象だったので、それがそれほどあなたの重荷になっているとは意外でした。

KH:それもおとぎ話だよ!! 実際はそんなにイイ話ではないんだ。もちろん、自分の周りにいる人たちや育った環境をありがたく思う面もあるけど、それには良い面と悪い面がある。ビター・スゥートというかね。僕が先輩たちにかわいがられて育てられたというのは、メディアで書かれていること。ある時点では、僕より年上のデトロイトのDJは全員僕の師匠ってことになっていたんじゃないかと思うよ(笑)。たしかに交流はあったかもしれないけど、たぶん僕の年齢のせいだろうね……たしかに親切にしてくれた人もいっぱいいたけど、すべてを彼らに教わったわけじゃない。実際はどちらかというとその逆で、僕は孤独なことが多かった。ひとりで試行錯誤しながら音楽の作り方も学んでいった。いつも誰かと一緒にスタジオに入って教えてもらっていた、なんてことはないんだ。僕はインターネット世代だから、自分で調べていたよ。
 たしかに、90年代などはみんな音楽仲間がいて、一緒に機材や情報をシェアして音楽を作っていたのかもしれないけど、僕の世代は違う。そういう環境ではなかった。僕は13歳だったからね。まわりにそんな仲間はいなかった。リック・ウィルハイトのレコード屋(Vibes New & Rare)に行って話をしたりはしていたけど、それ以外のレコード屋の多くは無くなってしまったし、デトロイトのアーティストはほとんどいつもヨーロッパに出払ってしまっていて、地元にいない。オマー・Sは例外で、たしかに彼はいろんなことを教えてくれた。ディストリビューションのこととか、ビジネスのことも。僕の音楽もオープンな耳で聴いてくれた。彼は、僕を手助けしてくれたけど、他の人についてはそんなに……(笑)。僕の音楽は、まわりからの影響よりも、内面から生まれている部分が大きいんだ。いまだに多くの人が、僕を12歳みたいに思っているようだけど、もう立派な大人だよ! もう22歳なんだから!

22歳ですか……(!)。先ほど、DJをする際に、たくさんのレコードを持って行くことは出来ないので制限があると言っていましたよね。レコードでDJすることは、いわばオールドスクールな方法で、新しいテクノロジーを使えば、もっと多くの曲を持ち込んだりすることも可能です。しかも若いのに、どうしてレコードという不便なフォーマットを選んでいるんですか?

KH:逆にそれは僕が不思議に思うことなんだけど、DJに関するテクノロジーの進化って、利便性を高める方向に進んでいる。例えば、ピアノ奏者に、「なぜいまだにピアノを使って演奏してるの?」と聞く人は誰もいない。本物のピアノの音がいいからに決まってる! 僕はレコードの音が好きなのと、レコードでDJすることは楽器を弾くみたいに楽しめるから。CDやUSBなどのレコードからリップした(録音した)デジタル音源も使うけど、リップするとそのときの録音状態に左右されるから、レコードそのものとは音が違う。僕は違う針を使ってみたりして何パターンか録ったりするよ。レコードの方が目に見えて、手に触れるから愛着が湧く。ピッチコントローラーひとつを触っても、レコードだと何か生のものを触っているという感触が得られるけど、デジタルだと実感が湧かないというか、ヴァーチャルな感覚だよね。変な感じ。でもレコードにもいろいろあって、同じ曲でもプレスによって聴こえ方が全然違ったりする。例えば、〈Rush Hour〉が出してる古いシカゴのリプレスは、コンプレスされ過ぎていて全然音が良くない。リリースしている人たちの好みに変えられている。人によってどこをいいと思うかは違うからね。文化的背景によっても違うかもしれない。それまで聴いてきたレコードとか。
 ヨーロッパとアメリカの違いは、僕にとっては興味深いよ。アメリカのブラック・ミュージックとヨーロッパの人たちがアメリカの音を真似して作っている音楽とか! 彼らが考えるアメリカ音楽のいいところと僕らの聴き方は違っている。その交流があって、お互いが影響を受けたりしている。
 カール・クレイグの音楽なんかは、そのいい例だと思う。彼の音楽的な変化は、明らかにヨーロッパからの反響を反映していると思うな。ヨーロッパのレコードは、凄くヴォリュームとパンチがあるけど、それはクラブの環境がそういう風に設定されているから、そういう音が映えるんだと思う。でもアメリカに戻って来ると、それほど強烈じゃなくてもいいというか、みんなもっと音楽の内容を聴いているという感じがする。だから、しょっちゅう行き来していると混乱してしまう。ヨーロッパでやるときは、音を大きくし過ぎてしまう傾向があるな、僕は。

そうですね、そういう違いは面白いですよね。私個人の印象では、ヨーロッパでは機能的な踊りやすいダンス・ミュージックが好まれ、そうではない異質なものに対しては許容範囲が狭い。それと比較すると、日本のオーディエンスはとても許容範囲が広いと思いますし、予期していない音楽が聴こえてきても、その良さを受け入れようとします。だから、結論としては、カイル君は自分のやりたいように、好きなものを思いっきりプレイすればいいと思いますよ!

KH:そうか。わかった(笑)。でも、その一方で「日本人に受ける」とされている曲もいくつかあるんだよ。「日本でこれをかければ間違いない」ってね! それが本当かどうかは僕にはまだわからないけど、クリーンなキーボード・サウンドやベースラインが入っているような曲は、日本の人は好きなのかなと思う。ハウス/ブラック・ダンス・ミュージックにおいて、だけどね。黒人のDJが来ると、それが「純正の」サウンドなんだと期待するようなもの。

それはたしかにあるかもしれませんね……少し話は変わりますが、私があなたについてとくに面白く興味深いと思っているのは、UKの同世代のアーティストたち、例えばファンキンイーヴンとのコラボをしたり、ベース・ミュージック・シーンと交流があって〈Hyperdub〉からもリリースをしているところです。いわゆる、「デトロイト・シーン」だけでなく、ロンドンの地元のシーンにも入り込んでいる。そういう人がデトロイトから出てきたことはかつてなかったんじゃないでしょうか。

KH:そうだね、「デトロイト」ってひとつの軍隊でもあるかのようだからね(笑)。でも、あなた自身が言うように、それでも僕はデトロイト組からは抜け出せてない。

いや、それはそんなに悲観しなくても、まったく違うバックグラウンドを持った他のシーンに同士を見つけて、一緒に音楽をやっているということは素晴らしいじゃないですか。

KH:うん、UKに関してはとくに、それほどバックグラウンドの違いを感じないんだ。同じようなものを聴いて育ってきて、同じようなものを好んでいると思う。僕がロンドンで交流のある人たちは、僕と音楽の聴き方がとても似ている。ファンクやソウルといったブラック・ミュージックがずっと聴かれてきた土壌があるからだろうね。
 でも、〈Hyperdub〉とファンキンイーヴンは全然別の繋がり方で、〈Hyperdub〉は2008〜2009年頃に僕の出した曲を聴いて向こうからアプローチしてきたんだ。僕の音楽は、UKでいちばん反響があったし、実際にいちばん売れた。最初は、リミックスを依頼されたところから親交がはじまったんだ。ヨーロッパでいちばん、僕を歓迎してくれた人たちだった。

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僕の場合は17歳でこういう環境に放り込まれたから、何もわかっていなかったよね。まわりと比べると、年齢の割には音楽的な理解なども成熟している方だとは思うけど、気持ちの面ではまったく成熟していなかった。

私の印象では、多くのデトロイト・ファンたちが、あなたが次なるムーディーマンかオマー・Sのような作品を出すことを期待していたのに対して、あなたは凄くユニークで風変わりなリリースで世に出てきた。とても実験的なリズムでした。それが、UKのポスト・ダブステップのシーンにおいて、よりしっくりと馴染んだんじゃないですか?

KH:それはあると思う。僕が彼らにとって面白いことをやっていたというだけでなく、彼ら自身も僕がUKの〈Thirdear〉、〈Warp〉、〈Ninja Tune〉といったレーベルでリミックスを手がけりトラックを提供したことで余計にハイプ化していったところもあると思うよ。自分自身はそこまでベース・ミュージックに傾倒しているとは思わないけど、ウエスト・ロンドンの音楽には大きな影響を受けていると思う。ディーゴの〈2000 Black〉とか。それが、いまのベース・ミュージックにも反映されているんだろうけど、その部分を認識している人は少ないかもしれないね。僕がブロークンビーツのレコードをかけても、彼ら(UKのお客さん)は誰も知らないんだもん(笑)! DJやアーティストは知っているかもしれないけど、オーディエンスは本当に知らない。

それは彼らが若いからじゃないですか? あなた自身の若いのに、何でそんなに知っているの(笑)?

KH:それはおかしいよ。誰だって、僕と同じくらい知ってていいはずさ。だってインターネットがあるじゃない! 知らない方がおかしいと思うけどな!

でもあなたは、明らかにロンドンのクラブで遊んでいる20代前半のキッズたちよりも古い音楽を知っていますよね。

KH:それはそうかも。ときどき違う言語を喋っているような気分になるよ(笑)。たしかに、僕の音楽の善し悪しの判断に、それが新しいものかどうかということは考慮されない。自分が楽しめるかどうか、というだけ。ジャンルや時代はあまり意識しない。音楽を知りはじめの頃は、ある程度それを参考にしなければいけない時期もあるけど、インターネットですぐに辿ることが出来るし、レコードを買うことも出来る。
 いまは、サブカルチャーが主流の時代だと思うんだよね。みんながオルタナティヴなサブカルチャーに属したがっていて、そのオピニオン・リーダー的なメディアの言いなりになっている。新しいサブカルチャーを創り出すために過去の歴史の解釈まで曲げられてしまっているようにさえ思う。そういう意味で、インターネットは、自分の意見を持っている人には素晴らしい道具だけど、ただのフォロワーには悪影響を及ぼすものだと思うな。

おっしゃる通りです。それに、クラブにはパーティ好きと音楽好きの二種類のお客さんがいると思うんです。パーティ好きの子たちも、本人たちは音楽が好きだと思っています。だからしょっちゅう遊びに行くんだけど、レーベルやアーティストの名前くらいは知っていても、それ以上にその音楽的ルーツを遡ったりはしない。

KH:そうそう! それもあるよね。そして、そういう子たちは、自分の好きなレーベルやプロモーターが薦める音楽をそのまま「良い音楽」だとして鵜呑みにする。そうやって好みが形成されているんじゃないかな。でも、それはある程度は人間の持つ性質で、まわりに認めてもらいたい、自分の居場所を見つけたいという欲求から来ているんだろうと思う。僕もそういう部分はあるし。人間の営みのあらゆるレヴェルで現れてくること。音楽の趣味に留まらず、自分のアイデンティティそのものだよね。
 「黒人の男性はどうあるべきか」とか、「ロンドンの白人の若者は遊びに行くときにどんな格好をしているべきか」とか(笑)。自分が属したいと思う集団と、自分も似たような格好になってくるもの。誰だって、みんなに愛されたいんだから! 愛されたいけど、個性的でもありたい、というジレンマだよね。

おっしゃる通りです! これだけ正直にいろいろ話してもらえて嬉しいですよ。でも、いろいろとフラストレーションを抱えているようでちょっと驚きました(笑)。

KH:ものすごくフラストレーションを抱えているよ!! もともと気分屋なところもあるのかもしれないけど、僕は嘘がつけない性格なんだ。とても調子が良くてすべてが上手くいっていると思うときもあるけど、その裏側が見えてしまったりすることもある。いろんなことを知れば知るほど、複雑な気持ちになるというかさ。

基本的に音楽メディアやクラブ・ミュージック産業そのものに、活動していくなかでフラストレーションを感じますか?

KH:そうだね、つねに葛藤を感じるからフラストレーションがあるんだと思う。僕はもともと、ツアーをして回ることが好きな方ではなくて、クラブにいてそこで入って来る情報には疲れてしまうことが多い。自分の目的を惑わせるというのかな。僕は、自分自身の核となる目的意識を持っている。でもその一方で、ある程度は流れに身をまかせたい自分もいる。日々の出会いを受け入れて生きていくこと。それだけで幸せに生きていける人もいるけど、自分のなかで達成したい欲求、自分のユニークな部分を発揮して達成したいこともある。そういう自分の内面から沸き上がって来ることと、周囲の人びとや出来事から受ける刺激やエネルギーで成し遂げられることもある。それが自分以外の人を幸せにすることもある。
 僕はつねにこのふたつの側面の葛藤を感じているんだよね。実際に外国に行ってツアーをして、いろんな人と交流すると音楽の聴き方や受け取り方も変化してくる。まわりを楽しませたいという気持ちから、無意識に自分を変えているところがある。でも、家に帰って来ると、「あんなことやこんなこともやらなければ!』と思う。家に戻って来ると、ツアー中とはまた価値観がガラリと変わるからなんだ。凄く変な感覚だよ。二重生活を送っているみたいな。音楽的にもね。
 自分でも、クラブに出かけたり外国に行ったりする前と比べて、自分の音楽が凄く変わったと思う。ただひとりで音楽を作ってリリースしていた頃と比べるとね。それは、おそらく僕が自分自身のことを知る前の早い時期から、こうした極端な変化にさらされたことも関係していると思う。自分が何者なのかを知るのって、時間がかかることだと思うんだ。一生それがわからないまま生きていく人もいると思うし。僕の場合は、17歳でこういう環境に放り込まれたから、何もわかっていなかったよね。まわりと比べると、年齢の割には音楽的な理解なども成熟している方だとは思うけど、気持ちの面ではまったく成熟していなかった。

私なんて22歳でも自分が誰だかなんてわかってなかったですよ! 17歳でデトロイトに住みながら、しょっちゅうヨーロッパのツアーをしていろんな人に会って……という体験をするのは消化するのが大変だったでしょうね。

KH:そうなんだ! 消化しきれなくて、そういう二面性が出来上がってしまう。海の向こうにいるときの自分と家にいるときの自分。自分が求めている以上の範囲の人付き合いをしなくてはいけないから、逆に感覚が麻痺してくる。DJがどうのこうのという以前に、人としてさ。ヨーロッパでは、自分が喋りたいとも思わない人と喋りたいとも思わないことを喋らないといけない、あるいは自分自身が望んでいる以上に、周囲を楽しませないといけない、という気分になるんだ。

家(地元)に居た方が落ち着きますか?

KH:イエスでありノーだね。落ち着く部分もあるけど、やはりここから脱出したいと感じることもある。地理的に、もっと気候のいいところがいいなと思ったりもする。例えば、LAに行ったりすると、もっと気候がいいから人も明るい。デトロイトにはデトロイト特有の、人間関係のめんどくささがある。ちょっと変な部分がね。

それほど大きいコミュニティではないですもんね、何となく想像はつきます。

KH:そう、あまり人が多くないからね。それにいまは、新しく移り住んできた人たちとずっとここに住んできた人たちとの間の摩擦があるし、単純に黒人と白人との間の摩擦もあるし、人と人が凄く分離されていると感じる。例えばレストランに食事に行くと、僕が黒人だからサービスがあまり良くないと感じることがある。他の町では感じないのに。ミッドタウンにいると、理由もなく警察に車を止められたり……ニューヨークではこんなことは起こらないのに。ニューヨークではみんな自分のことに忙しくて、価値観や美学もそれぞれにあり過ぎて、お互いをかまっていられない。競争が激しいから誰に対しても最高のサービスを提供しないと生き残れない。でもデトロイトでは人が少ないせいで、余計にお互いのことを干渉して、摩擦が起きている。黒人同士の変な摩擦も感じるよ。過去の歴史のせいで、埋め込まれてしまって消えない敵対心が残っていると思う。

どこか別の場所へ引っ越そうとは思ったことはありますか?

KH:いや、長期的に引っ越そうと思ったことはないな。

とくに、デトロイト・シーンとつねに関連づけられることが嫌だったら、どこか別の町に引っ越してしまうのが手っ取り早いのでは(笑)?

KH:あはは、そこまで嫌がっているわけではないよ! そういう意味で距離を置きたいという意味ではないんだ! 僕はデトロイト出身だからって自分のやっていることを判断されたくない、他のデトロイトのアーティストたちの副産物みたいな扱いをされたくないというだけで、デトロイトとの関係性を否定するつもりはないよ。ここに住んでいることの利点もあるんだ。良いところも、そして悪いところも。まず、ここに家を買ったから、ここが地元だし去るつもりはない。

22歳で家を買ったんですか!

KH:コンドミニアムだけどね。デトロイトのダウンタウンに。いまの状況を考えると、それが得策だと思ったし、それにここが僕の地元だから、自分の力で変えていきたいという気持ちもある。僕とジェイ・ダニエルでやっているパーティなんかも、僕ら自身がここで楽しめることをやりたいと思ってやっている。生活のためにならヨーロッパのギグだけこなしていればいいんだけど、地元の環境も変えていきたいからなんだよ。自分たちの居場所を確認する作業でもあるかな。

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僕は「白人みたいな喋り方をする」と言われて、壁を感じた。自分の居場所を探すのに苦労したんだよね。そういうときに人はどうするかというと、自分の好きなことに没頭するようになる。僕の場合は、それが音楽だった。

以前、あなたのアルバム『Boat Party』の日本版CDにライナーノーツを書かせてもらったんですが、あなたがデトロイトの希望であると書いて締めくくったんです。もしかしたら、若さを強調されることも自分では嫌かもしれませんが、その若さで完全にDIYでレーベルをやって、音楽を制作して、しかもジェイ・ダニエルやMガンといった地元の同世代の若い子たちをそこから紹介している。率直に凄いと思いますよ!

KH:たまたま僕の場合は他より少し若いときにはじめたというだけで、やっていることはそれほど珍しいことじゃないんじゃないかなぁ。

その若さで、自分がやりたいことの方向性が定まっていて、しかも実行に移しているというだけで本当に凄いと思います! 自分が16歳の頃なんて音楽のことすら大して知りませんでしたよ。

KH:それはもしかしたら、僕の場合は「何も考えずに適当に生きる」というオプションがなかったからかもしれないな。僕の場合はすべてが目の前で選択を迫ってくるような環境だったから、ぼんやりとしている余裕はなかったというか。僕は姉がいるんだけど、ひとりっ子みたいな育ち方をしたんだ。だから、退屈だったら自分で遊びを考えなければいけなかった。僕は単純に、他のアーティストとプレイしているだけでもいい、という選択肢があることを知らなかった(笑)。何か変化を起こしたければ、自分でやるしかないと思い込んでいたんだ。子供の頃から、「もっとこうなればいいな」と思うことがたくさんあったし、その変化への欲求が原動力になると思っていた。デトロイトは、他の多くの町よりも嫌なところ、過酷なところが目につきやすい町だからね。年上の人と付き合うことが多かったことも影響しているかな。もっと若いときに、リック・ウィルハイトのレコード屋に通っていたことはすでに話したけど、僕の交友関係や情報源になっていたのは、僕の両親くらいの年齢の人が多かった。
 デトロイトでは、自分の社会的・文化的な立ち位置によって、かなりの部分の人格が決まる。例えばどんな喋り方をするか、どうして僕の好むような音楽を好きになったか、ということもだいたい説明がつく。例えばデトロイト市内の人口はほとんどが黒人で、ほとんどの子供は市内の公立学校に行く。でも、公立学校は問題を抱えているところが多い。僕の場合は平均的か、もしかしたら平均よりも恵まれた環境で両親にもちゃんとケアしてもらって育って来た。僕は市内ではなく郊外の学校に入れてもらったから、より広い視野を持てたと思う。エレクトロニック・ミュージックについて知ったのも、郊外の白人学校に通っている友だちからだった。彼らは黒人だったけど、白人ばかりの学校に行っていたんだ。
 だからかなり早い時期から、自分は何者なのか、ということを意識させられ続けていたと思う。まわりは白人の子ばかりで、僕が住んでいたデトロイト市内は「危険なところ」という見方をしていることを知ったり、例えば僕はカトリックの学校に行ったから、市内によくいる、結婚していない両親のあいだに生まれた子は地獄に行くって教えられたり……こういうことが子供にとっては重いプレッシャーになる。だから、郊外の学校から市内の自分の家に戻ると、自分がエイリアンに感じるんだ。逆にまわりの黒人の子供たちがどんなことをやっているかわからなくなるから。
 僕はその後、高校は市内の学校、Detroit School of Artsに進学した。公立だけど良い学校とされている。でも、やはり公立だから、そこに来ている子たちは僕とは違った育ち方をしていたりする。ものの見方も違うし、人との付き合い方も違った。僕は「白人みたいな喋り方をする」と言われて、壁を感じた。自分の居場所を探すのに苦労したんだよね。そういうときに人はどうするかというと、自分の好きなことに没頭するようになる。僕の場合は、それが音楽だった。僕の母はシンガーで、音楽をやっている友だちがたくさんいた。そのなかでもとくに仲が良かったのがDJレイボーンという人で、彼が僕にレコードでのDJの仕方を教えてくれた。それが僕の楽しみになって、音楽を通じて仲間が見つかった。

私個人も似たような体験をしたので良くわかります! 私の経験から言うと、ハイスクールで負け組だった子の方が、その後活躍しますよね!

KH:ははは。そうかもしれない。自分のことに集中出来るからかもね。ハイスクールの頃から恵まれていて、そのまま調子良くいく人もいるけどね! まあ僕の場合はそうではなかった。僕は同年代の子にはそれほど共感できなかったから、上の世代の人たちに音楽のことを教えてもらって、こういう好みになっているんだと思う。

自分に置き換えて考えると、15〜16歳の音楽に興味を持っている子が自分の近くにいたら、喜んで何でも教えてあげちゃうと思うんですよね。やはりリック・ウィルハイトのような年上の人たちからかわいがられたでしょう?

KH:リックは本当にそうだったね。彼は音楽の知識を人に伝えるのが大好きなんだ。単純にレコードの話をするのが好きだしね。そうじゃない人もたくさんいるよ。教えたくない、話さないって人も! まだお前には早いとか、もっと努力しないと得られないものだとか、そういう風な態度の人もね。デトロイトのダンス・ミュージックのシーンは、若者に解放されたものではなかった。どこへ行っても、いつも僕が最年少だった。若い人たちにとって魅力があるものではなかったとも言える。お母さんと同じ年の人たちとつるみたくない、とかね(笑)。
 人気のあるダンス系のミュージシャンは、ヨーロッパにファン基盤があって、地元にはあまりない。地元の若者たちにその魅力を伝える方法すらなかったと言える。世代間の隔たりは大きいと思うね。僕が高校に行っていたときも、「こんなのゲイの音楽だ」とか、「年寄りの音楽だ」、「何だこのゴミみたいな音楽」って言われていたもん。

そんな(笑)! でもいまは、あなたやジェイ・ダニエルが一緒にパーティをやったりしているじゃないですか? 少しは若い子たち、あなたと同世代の子たちも興味を持ちはじめたと思いますか?

KH:うん! いまはまったく状況が変わったと思う。僕自身も、自分がこの世界に足を踏み入れたときよりもずっと楽観的だよ。僕は自分の経験を、なるべく多くの人とシェアしたいと思っているから、僕が「いい」と言えば、僕のことを好きでいてくれる人が興味を持ってくれるんじゃないかと思う。僕がやっていることに興味を持って聴いてくれる若い子もいるし、実際にパーティにも来てくれるよ。
 僕らがMotor City Wineというバーでパーティをやりはじめたときは、年齢制限の問題があった。アメリカで若い子がダンス・ミュージックに興味を持たない理由のひとつが、この年齢制限だと思う。ほとんどの州では21歳以上じゃないとクラブに入れないから。飲酒が21歳からだからね。
 でもいまは、僕がある種前の世代といまの世代の架け橋になっているのかな、と思う。年上の人たちに聞いてもたぶん若い子のシーンは知らないと思うけど(笑)、確実に出来てきていると思うよ。だから、僕は希望を持っている。音楽を作っている子がたくさんいるし、これから大きくなってくると思う。僕より若い子もいっぱいるし、もともとこういう音楽に興味があってデトロイトに移り住んで来ている若い子もいる。

素晴らしい! それは嬉しいですね。このインタヴューがあなたのDJツアーの宣伝になるかは疑問ですが(笑)、インタヴューとしてはとてもいい内容になったと思います。ありがとうございます。

KH:DJの宣伝のためのインタヴューなんて、意味がないよ! 僕は逆にこういう話が出来て良かったと思っている。ありがとう!

あなたのDJを楽しむに当たって日本のお客さんには、先入観なしに、自然な反応を素直に出してくれたらいいですね。

KH:そうだね、そうしてもらえるのがいちばんありがたい。

最後に何か今後のプロジェクトなどの告知はありますか?

KH:あまり先に情報は出さない主義だけど……近々、〈Wild Oats〉から、必ずしもデトロイト出身ではない若いアーティストを紹介していくので、注目していて下さい。いい音楽を用意していますから!



■KYLE HALL Asia Tour

2014年7月11日(金)
22:00〜
@代官山AIR

料金:3500円(フライヤー持参)、3000円(AIRメンバーズ)、2500円(23歳以下)、2000円(23時まで)

出演:
【MAIN】Kyle Hall(Wild Oats/from Detroit)、DJ Nobu(FUTURE TERROR/Bitta)、sauce81 ­Live­, You Forgot(Ugly.)
【LOUNGE】ya’man(THE OATH/Neon Lights)、Naoki Shinohara(Soul People)、Ryokei(How High?)、Hisacid(Tokyo Wasted)
【NoMad】O.O.C a.k.a Naoki Nishida(Jazzy Sport/O.O.C)、T.Seki(Sounds of Blackness)、Oibon(Champ)、mo2(smile village)、Masato Nakajima(Champ)

TETSUJI TANAKA - ele-king

★祝!代官山UNIT10周年!記念すべき一夜はドラム&ベースのベスト・クラブナイト、Hospitalityを主宰するHospital Recordsの首領、ロンドン・エレクトリシティが今一押しの新鋭、ETHERWOOD(エザウッド)を引き連れて来日! 
2013年のベスト・ニューカマーDJ、ベスト・ニューカマー・プロデューサーの二冠に輝き、最も注目すべきアーティストである。ソウルフルかつエモーショナルミな極上のサウンドスケープがいよいよ体感できる!

UNIT 10th ANNIVERSARY
DBS presents "HOSPITAL+MED SCHOOL"

2014.07.12 (SAT) @ UNIT
feat. LONDON ELEKTRICITY (Hospital, UK)
ETHERWOOD (Hospital/Med School,UK) with: TETSUJI TANAKA , DJ MIYU vj/laser: SO IN THE HOUSE Painting : The Spilt Ink. 
HOSPITAL SHOP Sweets Shop : **Little Oven** 
open/start 23:30 adv.3,300yen door 3,700yen
https://www.dbs-tokyo.com/top.html

<TETSUJI TANAKA DJ SCHEDULE>
7/10 dommune Hospital Podcast
7/12 dbs presents HOSPITAL x MED SCHOOL @UNIT
7/17 OUR SIGNAL@AIR
7/20 INFINITY SENSE @AOYAMA 0
7/26 (day) amaimono night @mogra
7/26 (night) Thuggin Bass @bar granma Mito

8/1 block.party @asia +「encode」リリースパーティー
8/9 (day)@豊洲MAGIC BEACH
8/23 TBA
8/29 @大阪TBA
8/30 @amate-raxi

9/4 TBA
9/5 TBA
9/14 (day) Russeluno 14 STRINGS @津カントリークラブ三重
9/14 (Night) @UNIT
9/20 TBA
9/26 エキサイトシリーズ @R-LOUNGE
9/27 Thuggin Bass「encode」リリースパーティー@bar granma Mito

<RELEASE INFORMATION>
自身が所属するelenic productinsから
TT & NAVE名義の1stアルバムがリリースされます。8/1(FRI)block.party@asiaでリリース・パーティーライブと先行販売予定。
↓アルバム特設サイト
https://tt-nave-elenic.crossgroove.jp.net/

↓今後の各種スケジュールやDJ BOOKING、制作などこちらまで。
https://elenic-productions.crossgroove.jp.net/

<RADIO出演>
今年4月で4年目に突入した日本唯一のドラムンベース専門ラジオ番組"block.fm Localize!!"
毎週水曜日22:30~24:00にてレギュラー・オンエア!!
DRUM & BASS SHOW BY TETSUJI TANAKA & CARDZ
https://block.fm/program/localize/
https://twitter.com/TETSUJI_TANAKA

TETSUJI TANAKA HOSPITAL ALL TIME TOP 10 CHART


1
LONDON ELEKTRICITY / Rewind

2
PETER NICE TRIO / Harp Of Gold

3
LONDON ELEKTRICITY / Remember The Future

4
LENNY FONTANA presents BLACK SUN / Spread Love
(NU:TONE REMIX)

5
HIGH CONTRAST / Basement Tracks

6
DANNY BYRD / Soul Function

7
LOGISTICS / Together

8
CARLITO + ADDICTION / The Ride

9
SONIC / All I Wanna Do

10
CONCORD DAWN / You Don’t Have To Run

前説:
 定住地ヲ持タズ、定職ニモ就カズ、雨ニモマケズ、風ニモマケズ、雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ丈夫ナカラダヲモチ、慾ハナク、決シテ瞋ラズ、イツモシヅカニワラッテヰル、一日ニ玄米四合ト、味噌ト少シノ野菜ヲタべ……。
 思わず宮沢先生の一節を口ずさんでしまうこの男のドリフター・ライフスタイルに僕はいつだって尊敬の念を抱いてしまう。実際に彼がおもむろにポケットから生のニンジンを取り出し、カリポリ食べながらマスタリングをしている姿に僕が唖然としていると、「どうした? 何か変か?」と屈託のない眼差しで不思議そうに首をかしげていたり。いや、変じゃないよね。単にそんな人を僕がみたことなかっただけだよね。むしろジャンク・スナックを喰らうよりぜんぜんいいよね。彼と過ごしていると、僕自身の生活感覚を改めて考え直させられるような場面が多々あるのだ。アメリカのフードスタンプ制度や、その他の各国々においても、あらゆる生活保護プログラムを最大限に利用して創作活動を続けるアーティストたちに、日本人である僕はいつもインスパイアされてきた。彼らにたかられるのにもウンザリしてきているんだけども。

 〈ハンデビス(Hundebiss)〉のドラキュラ・ルイス(Dracula Lewis)ことシモーネ・トラブッチの手引きの下、ソーン・レザー(SEWN LEATHER)としては最後のヨーロッパ・ツアーを終え、スカル・カタログ(SKULL KATALOG)としての初めてのツアー、そして彼自身初めてのジャパン・ツアーを強行しようとしているこの男。80'sホラー・ムーヴィーから抜け出してきたような風貌、めちゃくちゃなライヴ・パフォーマンス、僕がみてきたアーティストの中で間違いなくもっともキャラが立つ(てか、ほぼ漫画のキャラ)USアンダーグラウンド最大の問題児の全貌が、いま明かされようとしている。

 というわけで、今回はずっこけノイズ放浪記番外編! 僕の主宰する〈crooked tapes〉がお届けする、このスカル・カタログ・ジャパン・ツアーをより楽しんでもらうために、来日直前インタヴューをお届けしたい。来週月曜(7月7日)にはDOMMUNEにも出演するので、この機会に観られるだけ観ていただけたらうれしいです。

■スカル・カタログ / バイオグラフィー
1987年、ニューオリンズにて生を受ける。
パンテラのフィリップ・アンセルモの又従兄弟。
2002年に観たノーティカル・アルマナック(Nautical Almanac)のショウに感銘を受け、音楽活動を開始。
〈DAF〉やジ・ノーマル(The Normal)、ソフト・セル(Soft Cell)やスロッビング・グリッスル(Throbbing Gristle)等に影響を受け、2006年12月よりソーン・レザー(SEWN LEATHER)を始動する。
これまで〈ハンデビス(Hundebiss)〉や〈フレンス・アンド・リレイティヴ(Friends and Relative)〉、〈アメリカン・テープス(American Tapes)〉や〈ナイト・ピープル(Night People)〉等、数多くのレーベルからさまざまなフォーマットによる音源をリリース。
2007年より国内外でのツアーを頻発。
これまでDJドッグ・ディック(DJ Dog Dick)やナーワルツ・オブ・サウンド(Narwhalz of Sound)、レーザー・プードル(Laser Poodle)、ドラキュラ・ルイス(Dracula Lewis)、シークレット・アビューズ(Secret Abuse)、アース・クラウン(Earth Crown)、ヴィデオ・ヒッポス(Video Hippos)やホアクス(Hoax)等、ボーダレスにアーティストやバンドとステージ/フロアを共有してきた。
2013年暮れ、ソーン・レザーからスカル・カタログ(SKULL KATALOG)へ改名。
2014年夏、スカル・カタログとして初のミニ・ツアーが〈Crooked Tapes〉によって日本で強行されようとしている。USアンダーグラウンドきっての問題児の狂気を見逃してはならない。

俺たちは「エンド・タイム(最後の時)」を生きているわけじゃない。世界はとっくに終ってるんだよ。

やぁ、ソーン・レザーとして最後となったヨーロッパ・ツアーはどうだった?

(スカル・カタログ):よう! ヨーロッパはいつ行ってもクレイジーだぜ。フィンランドはとくにヤバかった。とりたてて何も期待せずに行ったら、完全に狂ってたよ。地元のテレビのヤツが取材に来てさ、ソイツのインダストリアル・ミュージックのショウのためにインタヴューを受けたり、同じ日にナイン・インチ・ナイルズとコールド・ケイヴが近所でプレイしてたから、俺らのショウのゲスト・リストにトレント・レズナーが入ってたんだよ! 結局来なかったけど……。
 次の日がオフだったから、ハコにそのまま残っていた3人とずっと飲んでてさ、その中のひとりのジョナスってデッカイやつが、次の日のベルリンのショウまでノリで航空券買っていっしょに来やがったんだよ。アコギだけ持って飛行機乗ってきて、ロック・スター気取りでさ。シモーネ(ドラキュラ・ルイス)がマネージャーのフリしたりして。フィンランド人はイケてるぜ。

ムハハ。グダグダだね。シモーネの〈ハンデビス・レコーズ〉からリリースされたソーン・レザーのラスト・アルバム『フリーク・オン・ハシシ/ロングボーディング・イズ・クライム』なんだけど、ソーン・レザーのラストを飾るのにふさわしい、素晴らしくヴァラエティに富んだ、ドラマティックなレコードだよね。このアルバムに込められたコンセプトとかあるわけ?

SK:う~ん……、ぶっちゃけそれ作ったのは相当前のことだからさ、そのとき何考えてたのかぜんぜん憶えてないんだよね。俺を取り巻いていた当時の状況を反映したものだと思うよ。ソーン・レザーの発展と終焉さ。このプロジェクトに対するある種のお別れを作りたかったのがあるけど、あのときそう思っていたかどうかはわからないね……。

あ、言っちゃうんだ(笑)。ぶっちゃけ僕も君がそれマスタリングしてたの憶えてるんだけど、たしか2012年にLAにいたときだよね? でも、お世辞を抜きにしても、ソーン・レザーとしてのベストじゃないかな。ヘヴィで、グシャグシャにロウで、それでいてエモいし、くそハードコア。

SK:ありがとう! そうそう。ほとんどは俺があのときLAに滞在していたくそ狭い部屋(LA郊外にある通称「ウーマン」というクラスト・アーティスト・レジデンス)で作りあげたね。

君がいつも作る造語みたいのっていいよね。最近の名言があったら教えて。

SK:最近作った新しい言い回しは思い当たらないな。だけどスカル・カタログの曲で、“ポスト・ワールド・オーダー(世界後秩序)”っていう、俺の見解を示す新しい言葉を掲げたんだ。基本的には「ニュー・ワールド・オーダー(新世界秩序)」のもっと極端なヴァージョンさ。俺的には「エンド・オブ・ワールド(世界の終焉)」はもう起きたんだ。俺たちは「エンド・タイム(最後の時)」を生きているわけじゃない。世界はとっくに終ってるんだよ。「ドゥームズ・デイ(審判の日)」を待っているなんて連中は的外れだし、「ドゥームズ・デイ」がすでに起きた事件だなんて考えるには混乱しすぎてんのさ。

いいね。すげぇそう思うよ。じゃなきゃこんな放射能汚染大国に人が住んでるわけないもんな。ほとんどの人々はまだ世の中がまだどうにかなってるって無理矢理思ってる/思わされてるからね。

SK:マジでその通りさ。

つーか、いまどこがヤサなの? こないだまでマサチューセッツのノーサンプトンにいたらしいじゃない。

SK:いまはカリフォルニア。カラッカラだぜ。

ソーン・レザーは死んだんだ。俺が“スモーク・オブ・ザ・パンク”(初期の代表曲)をやるのを期待してショウに来ないでほしいね。

ソーン・レザーはどうしちゃったわけ? なんでスカル・カタログになっちゃったの?

SK:もう長らくその名前に飽きてたんだ。俺が2006年にソーン・レザーを始動したときと、いまの自分とをこれ以上同一視できないしな。当時の俺はとにかく電子音楽とかノイズのショウでプレイしたかったんだ。ぜんぜんそういったシーンに不平があったわけじゃないけど、いまはロックンロールなバンドともっとプレイしたいんだよ。たとえどんなバンドでも、自分たちなりのロックンロールを表現している連中とね。そんなのばっかり聴いているから、最近の電子音楽なんてほとんど聴いてねぇよ。コンテイナー(Container)とその他ちょこっとは別だけどな!!!! 俺は客といっしょに騒いでハコをブッ壊すようなギグをプレイしたいんだ。観客がただ俺のことを怖がっていたり、ドラッグや酒をあおってそのへんに突っ立ってるようなんじゃなくなくて。つーか、そもそもショウに来てドラッグやって酒やって突っ立ってるって、どういうことだよ? 場はエナジーを求めてるんだよ? 連中は殻を破るべきじゃん、ゆでたまごになっちまうんじゃなくてさ。わかるっしょ? 俺的には、名前を変えることでソーン・レザーがやってきたことと差別化して異なった何かになればいいと思ってるかな。俺がいまやってるのはソーン・レザーじゃねぇ、スカル・カタログなんだ。だからソーン・レザーは死んだんだ。俺が“スモーク・オブ・ザ・パンク”(初期の代表曲)をやるのを期待してショウに来ないでほしいね。ありゃもう6年もやってねぇし、やる気もないね。

スカル・カタログの音はソーン・レザーと比べて(いくらか)キチっとしてるよね。

SK:その通りさ。他に方法ないしね。機材も使いこなせるようになったし、新しいのも入れたしね。カセットは使ってないよ。これは俺にとっていいことだね。場所を節約できるし音もいい。音がずさんなハコでエフェクトをこなすのはマジで難しいけど。

実験性は減ったけどパワフルな楽曲になったよね。リリックのテーマとかも変化してるのかな?

SK:リリックも進化してると思うぜ。俺はいつだって自分の身のまわりのことやこの世界でおきているクソッタレについて唱ってるんだ。

最近のゴス・リヴァイヴァル・ムーヴメントってすごいけどどう思う?

SK:ぶっちゃけそういった「最近何が起こってんのか」なんてことはぜんぜんわかんないんだけどさ、なんだってキッズはいつだって同じ格好してんのさ? 俺的には、ゴスだのパンクだのハードコアだの、シーンのキッズの格好をみるたびに変だなって思うよ。だって、すげぇ制服っぽいじゃん。まるでバカなガキがタンブラーだかなんだかに指示されてるみたいだよ。トレンチコートにブラブラ系のイヤリング、鋲付きのフィンガーレス・グローヴとか、最近の80年代の映画みたいなパンクはアリだけどな。唯一パンク・コミュニティに関しては、人々は変わりモンの思想を身にまとうことでコミュニティを引き立たせるってのはあるよ。みんなを異なるヴァージョンの同じ「変わり者」に見せるのさ。

あらゆるタイプの人間とツルんで、発展のためにあらゆる音楽を聴くべきだと思う。単にパンク・シーンのためだけじゃなくて人類全体のためにな!

 ……って、こんなんマジでいい加減にしてくれよって感じだよ! ユース・オブ・トゥデイは80年代に「ブレーク・ダウン・ザ・ウォール(壁を壊せ)」って言っていた。俺はその言葉を何よりも2014年の「パンク」シーンに与えたい気がするね。俺はパンクが自分自身を箱の中に押し込めるモンだなんて思ったこともねぇし、あらゆるタイプの人間とツルんで、発展のためにあらゆる音楽を聴くべきだと思う。単にパンク・シーンのためだけじゃなくて人類全体のためにな! インターネットだかなんだかのせいで均質化されたクソッタレなんかファックなんだよ。もし誰かが心から「ゴス」でも何でものめり込んでるなら、いいよ。イケてるよ。だけど空っぽの「リヴァイヴァル」なんて全部ファックだぜ。

ソーン・レザーが死んだのは、君が言うそういった空っぽの「リヴァイヴァル」への離別の意味もあったりするのかな?

SK:う~ん……いや、それはさっきも言ったけど単に俺が自分の過去のクソとこれ以上関わりたくなかったからだよ。単に過去の自分のスタイルから離別したかったってだけ。

最近君らがはしゃいでたトリップ・メタルって一体なに?


空っぽの「リヴァイヴァル」なんて全部ファックだぜ。

SK:ジョン・オルソン(ウルフ・アイズ)があるインタヴューの流れの中で言ってたんだよ。「ノイズ・ミュージックは完全に終わった」「ウルフ・アイズはトリップ・メタル・バンドだ」……ってね。なにがトリップ・メタルだか聴きゃなんとなくわかるだろ? でも定義できないんだよ。あらゆる定義の試みは不毛だ。人々は永遠にそれが何であるのか、何がトリップ・メタルと呼べるのか、思いを巡らせていくだろうよ。
 ドッグ・レザーはスクラップ・メタル・バンドだぜ!

DJドッグ・ディック(犬チン)との合体ユニット、ドッグ・レザーはまだやってる?

SK:……いや。だけども、できればもうすぐ引退を発表したいな。

うわー、悲しいなぁ……。君たちが近いうちにスカル・ディック(骨チン)を結成することを夢見てるよ。

SK:ハハハ、いいぜ。いつか必ずやってやるぜ!

最近イケてるバンドといっしょにやったりした?

SK:モントリオールのバンドでペルヴィック・フロア(Pelvic Floor)はヤバい。ギリシャのバンドでバズーカ(Bazooka)ってのがクソヤバいんだけど、いっしょにやったことはないな。最近ちゃんといろんなバンドとやれてないよ。ホアクス(HOAX)とのツアーは最高すぎたけど。

ホアクスはヤバかったよね。彼ら解散したってきいたんだけどマジ? ……てか、君は昨年末までノーサンプトンで彼らのところに転がりこんでなかった?

SK:そうさ。ホアクスのジェシーとイアンはいまLAに住んでるよ。俺は昨年末までドラマーのジャイボのところで過ごしてたよ。彼はいまモーロン(MORON)って新しいバンドをやっててそれもヤバい。

……つーかなに、知らなかったんだけど、君ってパンテラのフィルの又従兄弟なの? それってマジ? なんかそれにまつわるイイ話ないの?

俺がバックステージ・パスを持ってヴィニー・ポール(パンテラのドラマー)のとこに行って「ヘイ! フィルに会わせてくれない? 俺フィルの従兄弟なんだ!」って言ったんだよ。そしたら彼は俺を見ながら「誰もがフィルの従兄弟さ!」ってね。

SK:ヘヘン! マジだぜ。会ったことないけどな! フィルの母ちゃんはクールだぜ。若い頃に彼女に何回か会ったことがあるんだ。彼女はいつもクールなパンテラのマーチをくれたし、パンテラやスレイヤー、それにモービッド・エンジェルのショウに入れてくれたんだよ。あれはたしか俺が14歳のときだな。俺がバックステージ・パスを持ってヴィニー・ポール(パンテラのドラマー)のとこに行って「ヘイ! フィルに会わせてくれない? 俺フィルの従兄弟なんだ!」って言ったんだよ。そしたら彼は俺を見ながら「誰もがフィルの従兄弟さ!」ってね。いまだにそれがマジでどういう意味だったのかわからないけど。まぁとにかく、スレイヤーのメンバーが俺と俺の友だちに話しかけてくれたし、彼らはマジでクールだったね。どうよ?

最ッ高……(笑)! イイ話だわ……それ。自分で呼んでおいてなんなんだけど、君がもうすぐこっちに来るなんて信じられないよ。ショウ以外で果たしたい野望はあるか? あとスケボーは持って来いよな。

SK:この野郎! もちろんスケボーは持ってくぜ! もし金に持ち合わせがあればクールなTシャツとかカセットをゲットしたいぜ! レコードショップ・ベースは行きたい! 全パンクスとハングアウトしたいぜ!

■あぁ……最後の以外はどうにかできるわ(笑)。

宣伝:

■SKULL KATALOG SPENDING LOUD JAPAN TOUR 2014
頭蓋骨の目録/爆音浪費日本道中二〇一四


7月11日(金)新宿ロフト
7月12日(土)西横浜エルプエンテ
7月13日(日)札幌The HAKATA
7月19日(土)大宮ヒソミネ
7月20日(日)幡ヶ谷フォレストリミット

■SKULL KATALOG SPENDING LOUD JAPAN TOUR 2014 INTRODUCTION
緊急特番!
頭蓋骨の目録/爆音浪費日本道中二〇一四開会宣言
CROOKED TAPES TV

7月7日(月)Dommune
出演
食品まつり
黒電話666
SKULL KATALOG
※エアロビ有り
…and more ?

■SKULL KATALOG SPENDING LOUD JAPAN TOUR 2014 FINAL
頭蓋骨の目録/爆音浪費日本道中二〇一四最終公演
CROOKED TAPES NIGHT

7月20日(日)幡ヶ谷フォレストリミット


出演
SKULL KATALOG
PAIN JERK
DREAMPV$HER
黒パイプ
§=§
MCKOMICKLINICK&WATTER
KΣITO
DJ 1drink
DJ ケンジルビエン
DJ 7e
※エアロビ有り
友情出演:
Vinnie Smiths

21時より
¥2000 + 1 drink

more info:
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