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KMFH

FunkGhettoHouseMachine SoulTechno

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The Boat Party

Wild Oats

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野田 努 May 31,2013 UP
E王

 写真が物語っている。湖に近いデトロイトでは、ボート(通常、ヨット)の所有者が多く、ボートを使ってのパーティ、文字通りのボート・パーティが頻繁に開かれる。ボートを所有し、ボート・パーティを開くのは、限られた金持ちだ。デトロイト新世代を代表するカイル・ホールは、寒い岸辺に捨てられたボートの上に佇んでいる。その寂れた光景からはデトロイの新たな衰退が見える。中産階級の衰退だ。

 カイル・ホールに何を期待していたのだろう。うっとりするような荒廃の叙情詩? ケニー・ディクソン・ジュニアのファンクネスを継承する色気のあるモダン・ブラック・ミュージック? 『ザ・ボート・パーティ』を聴いてまず耳に入るのは、その低解像度な音、ペラペラなビート、リズム、リズム、リズムだ。デトロイト(あるいはロン・ハーディ系の......と言えばいいのかだろうか、DJエイプリル!)のトレードマークである生々しいEQ操作、ま、とにかく、リズムが耳に入る。それから生々しいエフェクト操作。初期のセオ・パリッシュやムーディマン的なディスコ/R&Bサンプリングは控えめに、オーディオ・ファンが怒りそうなほどのシャカシャカしたハイハットが耳に付く("ザ・ビギニング"を思い出す)。ドライなマシン・ビートがひたすら反復する。生々しいツマミ操作によって。

 "Dr Crunch"のような曲には、カール・クレイグの"マイ・マシン"を感じる。マシン・ファンク......、が、メロウな感覚は背後にまわされ、表に出てくるのはとにかくリズム、リズム、リズムだ。それは生命のようにシャカシャカ鳴り続け、ディープにハマる"Spoof"では、メーターは振り切れて、音が余裕で歪んでいるし......。
 面白かったのは、シカゴのゲットー・ミュージックとの共通感覚があることだ。"Flemmenup"や"Finna Pop"を聴いてしまうと、RPブーのデビュー・アルバムとの音楽的な繋がりを感じざるえない。いわゆるゲットー・サウンド。どすんどすんと野太いビートを鳴らす"Crushed"などは、いにしえのロバート・アルマーニみたいだが、しかし、1990年代の〈ダンス・マニア〉とはやはり展開が違っているのだ。なんだかエネルギーがみなぎっているし、「これでいいじゃないか、やっちまえ」という思い切りの良さもハンパない。

 今日、インターネットをめぐる音楽文化は、言うなればデュシャンの便器が無数に並んでいるようなものだ。さあ、これがアートだ。おまえがそう思いさえすれば。ヴェイパーウェイヴはその象徴的な事例であり、問いかけだと受け取ることができるだろう。『ザ・ボート・パーティ』は「変わっていく同じモノ」である。つまりこれは、逆さの便器ではない。

野田 努