「S」と一致するもの

2013: What The Fuck Is Going On? - ele-king

 『タイニー・ミックス・テープス』によれば、すべて廃盤となっていたザ・KLFのバックカタログが、1月17日、いっせいにiTunesやアマゾンで売り出されたというが、それが海賊盤であったため、間もなくいっせいに削除された、という。復活宣言か! などと騒がれたそうだが、結果、いち部の人たちのみが聴けただけのことだった。
 さて、ele-kingがここで言いたいのは、ことの顛末ではない。『TMT』の記事の秀逸さである。いわく「ザ・KLFがいなければ、バンクシーがブリストルを離れることはなかっただろう。M.I.A.がレコード会社の役員の息子と結婚することで、その莫大な財産を利用して、殺戮についてのヴィデオを作ることもなかった」
 1992年に音楽産業を去ったザ・KLFは、1987年から数年のあいだ、挑発的なゲリラ広告や街中のグラフィティ、二木信以上にバカげた逮捕劇を繰り返しながら、アシッド・ハウスを更新して、既存の音源のサンプリングで最高のチルアウト・アルバムを創造した。それから彼らは、1992年のあいだ英国でもっとも売れた音楽家となった(オリコンチャートのようなチャートで何回か1位となった)。アメリカには、特別な挑発を仕掛けた──「America: What Time Is Love? ]

 ザ・KLFは、『TMT』が言うように、バンクシーの青写真であり、そしてポップ・ミュージック史上、最高の喜劇の実践者でもあった。彼らが最後に逮捕されたのは自分たちの商業的な大成功で儲けた貨幣のうちの100万ポンドを燃やしたときだった。
 物語の発端はリバプールにある。80年代のマンチェスターの物語については我々ジャパニーズもよく知っている。しかしリバプールについては......数ヶ月後に、翻訳者様のがんばり次第では、その素晴らしい真実についてお伝えできるかもしれない。
 いったい、「何が起こってるっていうんだよ(What The Fuck Is Going On)?」

坂本慎太郎 - ele-king

 歌詞という点でいまいちばん共感できるのが坂本慎太郎の「まともがわからない」である。この曲の影響下で、僕は「わからない」という原稿を2本書いた。人間はわからないと安心できないので、本を読んでわかった気になるか、人によってはわからないものを否定したり、たたきつぶしたくなるようだが、坂本慎太郎ときたら......「まともがわからない/ああう~/まともがわからない/ぼくには今は」、そしてこう続ける。「また会いたい人たち また見たい あの場面/もどりたい場所など はたしてあったっけ?/今も」
 この美しい曲を聴いた夜、僕は、「もどりたい場所など はたしてあったっけ?」というところで、不覚にも涙腺がゆるんでしまった。いま日本の音楽で、これほど辛辣で、絶望的で、反抗的で、それがゆえに勇気づけられる言葉が他にあるのだろうか。あったとしても、これほどの潔さは滅多にないだろう。サッチャー時代にザ・スミスを心から聴いていた英国人のリスナーもこんな気持ちだったのかもしれないが、サッチャー時代のイギリスといまの日本の社会はあまりにも違っている。
 そもそもアートワークが、いままでの坂本慎太郎を思えば説明的過ぎる。テレビ、スマートフォン、そしてパソコン。今日の、わかりやすくノーマルな風景のようだ。しかしこのわかりやすさに、むしろ坂本慎太郎の軽快で柔らかい音楽の裏側に隠されている、メラメラとしたものの抑えがたさを僕は感じてしまうのだ。
 坂本慎太郎は、まともさを疑っているのではない。まともは、実はまともではないと思っている。ノーマルだと思っている世界は、ノーマルだと思い込まされ、思い込んでいる世界であることは言うまでもないが、刺激好きな人にとってこの世界は、いまのところ次から次へと刺激を与えてくれるから、依存症や中毒者のように、それが無感覚=ノーマルとなる。貧しい者のために富める者から税金を取ったオバマは貧乏人から批判され、アルバイト暮らしの貧乏人はグローバル企業の抱えたスポーツ・チームになけなしの金を払う。エコを推奨するオーガニック系のイヴェントの駐車場には高級車が止まって、アンダーグラウンドのレーベルは、無名の才能に夢見ることを止め、歴史的に評価の定まった権威を喜ぶ。

 坂本慎太郎は、いやったらしいほど、刺激のない音楽を追究している。EPに収録されたほかの2曲、"死者より"と"悲しみのない世界"も秀逸だ。"悲しみのない世界"は70年代の深夜番組でかかっていそうな甘ったるいMORだが、とにかくこれも言葉が面白い。「あなたの声が 聞こえない/もしかして今 ほかのとこどこか/ああ 見てたの?」というフレーズは、あなたが生きていると思っている人生は人生ではないと言われているようで、あー良かったと、気持ちが安らぐ。
 「まともがわからない」は、こうした、言葉に表象される逆説的な脱力感がメロウな音楽と見事に噛み合っているわけだが、彼の演じているソフト・ロックが成り行きで生まれたウブな代物ではないことは言うまでもない。これはコンセプチュアルに生まれたものだろうし、ゆえにクリストファー・オウェンスが歌詞を理解できないことが残念だ。アメリカ人にも、いや、アメリカ人にこそ聴いてほしい歌詞である。

 初回限定盤についている「まほろ駅前番外地」のサントラ盤が、特典とするにはあまりにも素晴らしすぎる出来で、40分弱のこのインスト+歌が聴けてEP1枚の値段で売られている点にも坂本慎太郎の、強い意志のようなものを感じる。

ラウル・KとDub Struct #9のツアー日記 - ele-king

 Mr.Raoul K(以下、ラウル)との出会いは2年前、前回の〈eleven〉の「MONK!!!」に出てもらった時でした。
 もともとラウルを呼んだのは「MONK!!!」にふさわしいアングラでクールなトライバル系のDJということで「MONK!!!」を一緒にやっているトミオ君やあんなちゃんが提案してきたのだったと思います。彼の住むドイツでもベルリン以外はそうそう〈eleven〉や〈Liquid Room〉のようなオオバコはないらしく、そのときはえらく日本のパーティ・シーンを気に入った様子でした。また彼のアルバムのセールスの50%は日本におけるものだとも語っていました。

 ラウルとはそれからもちょこちょこカタコトの英語メールで連絡を取り合うようになり、自然とニュー・アルバムのリミックスをやってもらうことになりました。ラウルがリミックスしたデータを受けて、それにDUB STRUCTURE #9(以下、DUB ST#9)で上音を足して送り返してまたラウルがいじって......、というのを6回ほど繰り返していったなかで、「また日本に行きたい!」というラウルのジャパンツアーをコーディネートして、DUB ST#9も一緒に回ることにしました。次のアルバムのリミックスをしてもらう約束をして......。

■12月27 日
 ラウル到着の日。この日はELE-KINGの取材とDOMMUNE出演、さらに誰かがラウルをピックアップしホテルに案内するという複雑なスケジュール。ピップアップを誰かに頼もうにもこんな年末の平日にまともな人間が暇しているわけもなく、バンド内で一番運転に定評のあるAraiを空港に行かせ、残りの3人は取材の集合時間を守る係をやることとなった。日本では遅刻は御法度なのだ。前回ラウルが日本に来たときは風邪を引いていてものすごく元気がなかったためすごくナイーヴな人に見えたのだが、今回は体調が良かったため別人のように陽気でピースなナイスガイだった。驚くことに前回会ったほとんどの人の顔と名前を覚えていた。

11:00
ラウル成田着。ベース新井がお迎えにいく。
14:00 
渋谷でDUB ST#9のELE-KING取材。
Araiが成田からそのまま取材現場で合流する予定だったが、結局ラウルが入国に手間取ったためにAraiは現場入りが遅れ3人で取材の大半を受ける。インタヴューは和気あいあいと楽しい感じで進む。
16:00
取材を無事終え渋谷TEQNIQUEでラウルと2年ぶりに再開する(この後ラウルは東京にいる間は毎日TECHNIQUEに通うこととなる)。
ラウルを西麻布のホテルに一旦チェックインさせ、夜の現場DOMMUNEへ。
この日はラウルとのツアーで回る「MONK!!!」とTREE HOUSEというふたつのパーティのプレパーティということで、ラウル、DUB ST#9、UNIVERSAL INDIANNというメンツでDOMMUNEのライヴ・ストリーミングに出演。実はラウルのレコードバッグが誤ってロンドンに送られてしまったために、手持ち鞄に入っていたレコードとその日、TECHNIQUEで買ったレコードのみでプレイしていた。すごい。会場の熱気もなかなかでラウルもとても上機嫌であった。そしてトリのUNIVERSAL INDIANNこと、あつおさんのプレイもやばかった。やられた。
25:00
恵比寿の24時間営業の中華料理屋へ「MONK!!!」のメンバーとDUB ST#9のメンバーでラウルの歓迎会。ラウルは白米が大のお気に入りということが判明。「ベジタリアンだったり何か苦手な食べ物があるとかないの?」ときくと「No, I open all」だって。これが彼の基本スタンスであるようだ。朝4時頃解散。明日は寿司を食おう!と言って別れる。

■12月28日
17:30
大寝坊。昼に連絡すると言って既に日は暮れている。本気でこういうときは死にたくなる。ラウルが時間にうるさくない人であることを祈りつつ電話すると上機嫌でTECHNIQUEにいるとのこと。
18:00
TECHNIQUEでラウルと合流して一緒にDIG。
19:00
DUB ST#9メンバーと友だちと合流し都内のそんなに高くない寿司屋へ。貧乏なのでちょっとケチってしまったため寿司も微妙でちょっと後悔。ラウルは日本酒を気に入ってくれてぐびぐび熱燗を飲んでいた。結局熱燗を20合いただきました。 
21:30
みんなで我が家へ移動し、この日買ったレコードでラウルがDJをしてくれる。ラウルは英語が上手くしゃべれない自分の言葉を何度も聞き返して必ず言いたいことを理解するまで話を聞こうとする。この姿勢は日本人が見習うべきところだなと思った。そのおかげで英語で話すことが苦でなくなって来た。
24:00
解散。

■12月29日
 ラウルこの日は京都のパーティ・オーガナイザーが案内したいということで昼間は東京タワーにふたりでいっていたのだが、オーガナイザーが東京タワーに上らないかと進めたら「俺はいいや」とのことで、結局東京タワーに関心を示さず、すぐにTECHNIQUEへ移動することになった。

19:00
TECHNIQUEでラウルと合流。DIG。
20:00
ラーメンを食べる。ラーメンは今までで一番のヒットらしくご満悦であった。
21:00
都立大学のスタジオでバンドのリハーサルの予定だったのでラウルも飛び入りで参加。5人でセッションをしたりDJをしたりして楽しむ。ラウルがノリノリでそれがみんなにも波及してかなり調子がよい。
25:00
ラウル帰宅。ここから翌日の「MONK!!!」のリハーサルがスタート。かなり煮詰まり結局朝の9時まで延長してリハーサルを行う。
33:30
帰宅。

■12月30日
 この日は「MONK!!!」。これは僕らの2nd アルバムのリリース・パーティでもあり、またはるばるやって来たラウルのためにも(もちろん〈eleven〉に来てくれるみんなのためにも)自分たちのいまの力で用意出来うる最高のパーティをという精神で半年くらいずっと準備して来たもの。
 ふたつのフロアは常にダイナミズムで満たされていて、B2ではTOMIO~HIKARU~ALTZと縦横無尽なグルーヴでグリグリフロアを踊らせたところで僕らがバトンを渡してもらうというなんとも贅沢な展開。その後はMr Raoul KとCMTがストイックでクールかつDEEPな展開でコアなお客さんがだんだん壊れていく様が最高に愉快。視覚的にもDJブースの前で行われたKLEPTMANIACがブラックライトを用いたライブペイントと、ステージからのyamatくんのクレイジーな自作のレーザーシステムが幻覚的な効果を出していて、結果お客さんは色んな方向を向いて踊っていた。
 上のフロアはとにかくハウスで実験的なメンツで、それぞれが全く異なる音世界を持ちつつもハウス実験精神という数珠でつながっているようだった。
 〈eleven〉のラウンジは低音があまりないので少し心配していたが持って来たウーハーがいい感じに機能していてしっかり踊れるラウンジになっていた。
 お客さんも20代前半から40代まで幅広くいて、よくクラブで見かける人やDJの人もいれば普段はあまりクラブに行かない後輩の学生たちもいるし、外国人の人も結構いるしとにかく人種がごちゃ混ぜでおのおの自由に会話や音楽を楽しんでる感じ。いい感じだ。

 この日も昼間ラウルはTECHNIQUEにひとりで行っていた。

■12月31日
 結局打ち上げ等もありつつ家には帰らずにそのままAraiと年越しパーティ中の〈eleven〉に戻って年越し。猛烈な眠気に襲われフロアの後ろで寝ていると案の定、注意され店を出る。ふたりで麻布ラーメンに入るも意識が混濁してきたため解散し帰宅。そういえばラウルも〈eleven〉にくると言っていたが来なかった(Solfaにkuniyukiさんのライヴを観に行っていたらしい)。

朝4時就寝。

■元旦
 夕方に起床しとりあえず家族に挨拶まわり。おばあちゃんに会いに藤沢まで行く。その後は明日明後日と大阪京都でのパーティに出るため準備をしたのち深夜には出発しなければならない。

■1月2日
 午前4時、DUB ST#9のメンバーと一緒に行く音楽狂の友だち5人、ラウルの総勢10名が車2台で大阪に向け出発する。とくにトラブルもなく順調に進み昼頃には大阪に到着。バンドのリハーサルが16時からなのでそれまでみんなでミナミを散策する。
 大阪は昨年のクラブ一斉摘発によって深夜営業が出来なくなってしまったためにパーティは夕方からスタートするらしい。べつに夜中じゃなくてもええじゃないかという、たくましい大阪の音楽人にリスペクトしたいと思います。そして書かないけどすごい時間までやりました。

 ちなみにこの日のDJは関西のゴッドマザーと呼ばれているYA△MAさん、powwowでもおなじみのDNT、Cross Breadというアシッド・ハウスを生で演奏するようなちょうかっこいいユニットをやってるRie Lambdollさんという個人的には感動もののメンツで、お客さんもこんな状況でも来る熱い人達なので温度高めのあったかい、いいパーティでした。ラウルが「大阪は人が最高だ。だから大阪はパーティも最高なんだ」と終わってから熱弁していたなあ。
 パーティが終わるとホテルが用意されているラウルはホテルへ、それ以外はスーパー銭湯に行き仮眠をとる。3時間ほど寝て正午には京都に出発しなければならない。京都はなんと昼の3時からパーティがはじまるのだ!

■1月3日
 正午にラウルをホテルで拾い京都へ出発する。昨日が激しかったのでみんなお疲れの様子。正月の京都は人でごった返していて交通渋滞も激しいので余計にみんな疲れたみたいだ。

 今日のパーティは「393production」という同世代くらいの人たちがやってるパーティで場所はクラブではなくブリティッシュパブで行われた。ブリティッシュ・パブだと照明も明るいし寛げる場所が多いのもあって音楽メインというよりパーティ・メインという感じ。
 若いお客さんが多めの印象。ドイツのケムニッツという田舎町のパブでやった時の「地元の若者大集合!」って感じと似ていて面白い。
 夜中の3時頃会場を出て東京に向かう。明日は僕らが渋谷〈KOARA〉で毎月やっている「Armadillo」だ。

■1月4日
 昼過ぎに東京に着く。この日からラウルはうちに滞在することになった。うちに滞在する間ラウルにはいろいろなことを教えてもらった。そのなかで一番印象に残っているのは「すべての音楽にオープンでいることが大切だ。ジャンルにとらわれてテクノしか聴かないとかポップじゃなきゃ聴かないとかそんなのFUCKだ。I open allだ」みたいなことを言っていたことだ。他にもいろいろ教えてもらったけどいまは思い出すのが面倒くさい。
 この日の「Armadillo」は大爆発できた。レジデントDJみんな調子良かったし正直DUB ST#9もラウルもこのツアーで最高のプレイをすることができて、それを受け止めて返してくれるお客さんがいた。途中からはDJや僕たちが客を煽るんじゃなくてお客さんがDJやDUB ST#9を煽るという状態。そしてラウルはこっちが煽れば煽るだけいいプレイで返してくれる本当に調子のいいやつだった。東京のヴァイブス響いてくれたみたいだ!

■1月5日
 ラウル最後のGIGであるUNIVERSAL INDIANN主催のTREE HOUSE@宇都宮SOUND A BASE NEST。この日はDUB ST#9は出演せずラウルだけ出演だったが、メンバーと「Armadillo」のo!0も同行。朝パーティが終わったら直接成田にラウルを送らないと飛行機に間に合わないのだ。
ライヴがないため遊ぶ気はまんまん。

 〈NEST〉は宇都宮というクラブというイメージのあまりない土地柄からは想像も出来ないくらいしっかりとしたクラブで、日本の底力を見せられた気がした。
 DJもDEEPな選曲でいい感じ。まだこの土地にはシーンが根付いていないというような話も聞いたが、その分スキモノたちが集まっているようでDEEPな曲をおのおのじっとりと楽しんでいる感じ。
 ラウルもそれを感じ取ったか最初の30分はいままでになくスペーシーな感じでジワジワと展開させていた。それからすこしテンションをあげて宇都宮ピーポーを踊らせていた。そしてラウルからのUNIVERSAL INDIANNことあつおさんという流れ。初日のDOMMUNEもそういえばこれだったなー。UNIVERSAL INDIANNに始まりUNIVERSAL INDIANNに終わったこのツアー、やっぱりあつおさんはすごいDJでした。ごちそうさま。

■1月6日
 パーティが終わると宇都宮から成田へラウルを送り出しに直行。無事に時間に余裕を持って着いて荷物を預けて別れを惜しもうとしたところで問題発生。荷物が5KGオーバーしているために100ドル払わねばならないらしい。そりゃ毎日TECHNIQUEで買い物してたらそうなるわー。

 これに納得出来ないラウル、何をはじめたかというと、レコードバッグを開いてレコードのジャケットを抜いてまさにVinyl、中身だけバッグに詰めはじめました。そして、それでも足りないと分かると持って来た服を全部おまえたちにやるといいだしました。
 最終的にラウルの荷物はレコードの中身と日本で気に入ったセブンイレブンの辛口イカ焼きというお菓子だけという状態で帰って行きました。
「本当に価値のある物にだけ金を払え」と勝手に解釈しました。

 本当にいいやつだったラウル。いろいろ教えてくれてありがとう!


Canno Masanori(Dub Structure #9) - ele-king

初めまして。DUB STRUCTURE #9でギター弾いてます、菅野です。
ここ2,3年でよく聴いてたアルバム、曲から今の気分で選んでみました。
最近買ったJustin Velorの2013はかなりオススメ。


1
Justin Velor - 2013 - Brutal Music(UK)

2
Peter Gordon & Love of Life Orchestra - Another Heart Break - DFA

3
Petar Dundov - Oasis - Music Man

4
Soundstream - Love Town - Soundstream

5
Pharoah Sanders - Rejoice - Theresa Records

6
The Rolling Stones - Too Much Blood(Demo Mix) - Slow To Speak

7
Conrad Schnitzer - Ballet Statique - m=minimal

8
NEU! - '86 - GRÖNLAND

9
Sandro Perri - IMPOSSIBLE SPACES - constellation

10
D.A.F - DEUTSCH AMERIKANISCHE FREUNDSCHAFT - Virgin

abkn set japan tour 2013 - ele-king

 電子音楽好きのみなさん、こんにちわ。2月は素晴らしい4人による魅惑的なライヴが九州、関西、東海、関東の11カ所で見られます。NHKことマツナガ・コーヘイはさておき、Kyokaは昨年、ベルリンの〈ラスター・ノートン〉からグリッチ・ハウスめいたシングルを出している注目の女性プロデューサーで、もうすぐ同レーベルからのアルバムも控えている。
 AOKI Takamasaは若いながらもNHKと同様、この道すでに10年のベテランで、高木正勝とのSilicomでも知られている。〈ラスター・ノートン〉や〈op.disc〉、〈プログレッシヴ・フォーム〉や〈コモンズ〉といった主要レーベルからソロ作品も多数出している才人。
 そして、Bunは〈コモンズ〉やオリーヴ・オイルのレーベルからの作品、最近ではLAのロウ・エンド・セオリーとの繋がりでも知られるビートメイカーで、つい先日はロシアのレーベル〈リトモ・スポルティーボ〉から新作『Minimalism』を発表したばかり(近々レヴューでも取り上げる予定)。
 4人ともに、幸か不幸か日本よりも海外での評価が高い......が、この先、おそらく日本でも盛り上がることと予測されている。エレクトロニック・ミュージック好きは、ぜひ、この機会に彼らの音楽を体験して欲しいですね。紙エレキングの次号でも彼らに取材を試みるつもりです。
 ツアーを控えた彼らにコメントを寄せてもらいました。

4人が知り合った経緯を教えてください。

NHK:Aoki君のことは〈Raster Noton〉を通して知っていて、偶然ベルリンのテーゲル空港で見かけた所をナンパしました。Kyokaちゃんも〈Raster Noton〉繋がりで、ANBBのリキッドルームの楽屋で会いました。BunさんはAoki君経由でSNDのWWW公演で紹介してもらいました。筈。

Kyoka:Aokiさんは、ベルリンに引っ越された際に、坂本(龍一)さんから噂で聞き、他の友人からもブログが王子さまのような人がベルリンに引っ越して来た、と、噂で聞き、どんな人だろう(王子って何??!)と思い、myspaceでfriend申請した数日後に偶然〈ベルクハイン〉で会いました。お会いしてみたら、「あ! これは王子だ!」と納得しました。おかげさまで、上品でいることの大切さを学びました。Kouhei(NHK)さんは、ANBBの楽屋で、いろんな人が混ざってお話してる中でちょっとお話ししました。その後、Mark Fellの来日の際、初めてきちんとお話しました。それから随分後に、Kouheiさんのイベントに一緒に出させていただきました。想像よりも、気さくで話しやすいし、話も直球なので、仲良くなれそうな人だと思いました。Bunさんは近藤テツさんから、「Bunさんはヤバい人だ」と言う単語をお聞きしていて、何がどうなのか、気になっていました。そしたら、上記のKouheiさんイベントの際、「他にこのイベント、誰が出たらいいかな?」と聞かれたので、「まだ実は良く知らないんですが、Bunさんいかがですか?」と言ってみて、それで結果的に、イベントとご飯をご一緒させていただきました。まだまだ奥が深そうなので、ツアーでご一緒できるのを楽しみにしてます。

Bun:Aokiさんは、僕が青木さんのtumblrをフォローして知り合いました。そこで僕の音楽を知ってもらって、すぐに連絡をもらっていまに至ります。普通に青木さんの音楽のファンなので、一緒に曲を作ったり、今回ツアー出来るのはとても光栄です。Kouheiさんは、一昨年のANBB(alva noto+blixa bargeld)の日本のツアーの時にライヴを聴いたのが初めての出会いです。3D眼鏡をかけて、BPMが鬼のように変化し続けるライヴで強烈な印象を受けたのを覚えています。その後青木さんを通して紹介してもらいました。Kyokaさんときちんと話したのは、昨年Kouheiさんが企画した都内のイベントで一緒にライヴをしたときです。このツアーのアイデアも、そのイベントの後みんなでご飯を食べている時に決まりました。どんなライヴが聴けるのか、楽しみです。

Aoki:Kouhei君は、ベルリンに引っ越してからKouhei君の名前はいろんなミュージシャンから聞いてたけどなかなか会うチャンスがなかくて、でもある日テーゲル空港のカウンターでコウヘイ君が声をかけてくれたのがきっかけで知り合いました。同じ飛行機でした。ほんで音楽聴かせてもらったらもうめちゃめちゃツボで、人柄も真っすぐでめちゃめちゃ気が合いました。〈Raster Noton〉のレーベル・メイトです。Kyokaちゃんは、たしかベルリンに引っ越してからonpa))))のハブさんから紹介してもらった気がするなー。それか坂本さんに紹介してもらったんやったっけなー。ウチからKyokaちゃんの家が近くて、僕がそのときプリンタを持ってなかったので彼女の家にVISA申請用の書類をプリントさせてもらいに行ったり、お世話になりました。そのお礼と言ってはなんですが、Kyokaちゃんにモニタースピーカのこととか僕なりのキックの鳴らし方とかお伝えしたのを覚えてます。それからちょくちょくパーティで会うようになりました。〈Raster Noton〉のレーベル・メイトです。Bunさんは、一昨年に僕のtumblrのページをBunさんがフォローしてくれて、それでBunさんの写真なんか良いなーと思って見てたら音楽もアップされてたからそれを聴いたらもうめっちゃ気に入って、速攻で音楽購入してメッセージも送って、それからの知り合いです。一昨年ぐらいから一緒に作品を作ってるんですけど、僕の作業がトロ過ぎてまだ4曲しかできてないです。

今回は10カ所をまわるわけですが、今回のツアーの目的はなんでしょうか?

NHK:楽しそうだし。

Kyoka:楽しそうだったので。

Bun:僕らも楽しみますし、遊びにきてくれた方も楽しんで貰えればと思います。

Aoki:4人で思いっきり遊ぶため。

みなさんのやっているようなジャンルは、欧州のシーンに比べて日本ではまだ盛り上がりにかけていると思いますか?

NHK:凄く思います。

Kyoka:盛り上がりに欠ける欠けないというか、盛り上がっている人や場は日本にもあるかな、と思います。ただ、欧州に比べると、まだまだマイナー競技なのかな? と、思うことがあります。

Bun:欧州のシーンに関してはあまり分からないですが、海外のものをありがたがって聞いていた雰囲気はだんだんなくなって来ていると感じています。

Aoki:日本では日本の規模に応じた盛り上がりがあるようにも思いますが、ダンス・ミュージックに対する人気と需要はやっぱりヨーロッパのほうが多い気がします。地球上で相撲の人気が一番高いのが日本であるみたいに、ヨーロッパではやっぱりそこで生まれたダンス・ミュージックの文化に対する人気は揺るぎないものがあるように思います。

4人に共通するところと、まったく違っているところを教えてください。

NHK:共通点は音楽作ってるところ。違うところは......違う人間なので......むーーー、違う所だらけなんじゃないかしら......、普通の答え過ぎてすいません......。

Kyoka:わかりませんが、
強いて 共通点→自分の嗅覚で動ける(?)
強いて 違い→経験と思考(?)
でしょうか?

Bun:共通するところは音楽を作っているところ。違っているところは、有りすぎるのかもしれませんが、そこがまた凄く刺激的です。

Aoki:共通点も全く違ってる部分も、多分これからもっと知り合うことで知っていけると思います。最大の共通点はダンス・ミュージックを作っているところでしょうか。

エレクトロニカやIDMという言葉で呼ばれるのが嫌な理由を教えてください。

NHK:基本カテゴライズ大概全部嫌い。強いて言えばエレクトロニカって響きが嫌い、ニカって......何さ......、IDMってインテリジェンス・ダンス・ミュージック、 マイチ意味分からんから嫌。

Kyoka:嫌かどうかわかりません。たぶん、音楽ファンとかではないため、ジャンルの区分に人一倍疎いです。

Bun:僕のやっている音楽は、そもそもそう呼ばれないかも知れません。また、僕はほとんどそういう物を聞いてこなかったので、あまり違いがわかりません。ただ、最近いろんな方に良い物を教えてもらって、まだ知らない面白い音楽がこんなにも有るのかと、興奮しています。

Aoki:嫌というよりは、いま鳴ってる音楽を音楽として、思考や思い込みや決まりやルールやセオリーなども忘れてあるがままを感じて受け取ってもらえれば嬉しいというのが自分の根本にあります。音楽のジャンル分けや分類は、音楽を売ったり分析したりするには便利かもしれないですが、作ってる人間としてはその場にいるオーディエンスが踊ってくれればそれで問題ないことが多いので、ジャンル分け自体にあまり興味がないです。ただ「テクノ」はすべての音楽を「dance」っていう普遍的なくくりで吸収するもの凄く自由で問答無用な引力があるように思うので、「テクノやね」って言ってもらえると、僕個人としてはめちゃめちゃ嬉しいです。

今回のツアーの見所、聴き所を、自分たちで言うのも照れくさいでしょうが、言って下さい。

NHK:ノリノリでアゲアゲで且つストレートにへそ曲がりな感じ。

Kyoka:冷静に覚醒のスイッチを押して遊ぶ感じを、みなさんにもやっていただけたら、広く楽しんでいただけるかも?と思います。

Bun:それこそジャンルなどにはまらないツアーになると思います。

Aoki:見るところはその地方のそれぞれの自然とか町並みとか文化とか会場の雰囲気とかその場にいるオーディエンスのみなさんでしょうか。聴きどころはそれぞれのリズム感と、音の鳴らし方とか、オーディエンスの反応とか。


abkn set japan tour 2013

abkn set japan tour 2013

2月 / February

1日 (金) 別府
会場 : Copper ravens
URL : https://ameblo.jp/copper-ravens
Open : 19:30

2日 (土) 日田 (大分県)
会場 : Kobamori 跡
Open : 19:00

3日 (日) 博多
会場 : Black out
URL : https://www.facebook.com/events/456064464452153
Open : 20:00

4日 (月) 博多 (トークショウ)
会場:紺屋2023
URL :https://konya2023.travelers-project.info
Open:20:00

8日 (金) 京都
会場 : Club Metro
URL : https://www.metro.ne.jp/schedule/2013/02/08/index.html
Open : 21:00

9日 (土) 岐阜
会場 : Emeralda
URL : https://emeralda.jp
Open : 22:00

10日 (日) 大阪
会場 : Nu things
URL : https://nu-things.com

15日 (金) 四日市
会場 : Advantage
住所 : https://yck514.wix.com/3345
Open : 21:00

16日 (土) 東京
会場 : WWW
URL  : https://www-shibuya.jp
Open : 23:30

18日 (月) 横浜
会場 : Galaxy
URL  : https://www.yokohama-galaxy.com 
Open : 18:30

19日(火)東京 (予定)
会場 : Dommune
URL : https://dommune.com


https://nhkweb.info/Feb.htm

DRUM & BASS x DUBSTEP WARZ 2013 - ele-king

 BIG BAD BASS 2013!! 今年初のDBS 〈DRUM & BASS x DUBSTEP WARS〉は世界最強のVALVE SOUND SYSTEMを保有し、20年以上のキャリアに培われた独自の重低音でドラム&ベースをリードする巨人、ディリンジャが5年ぶりに帰還! 
 一方のダブステップは昨年〈TEMPA〉からデビュー・アルバムを発表し、ディープ&ドープなサウンドで衝撃を与えたJ・ケンゾーが待望の初来日! WARNING!!!

DRUM & BASS x DUBSTEP WARZ 2013
2013.02.16 (SAT) at UNIT
feat. DILLINJA x J:KENZO
with: ENA, KEN, Helktram, TETSUJI TANAKA('93~'04 dnb 3decks set)

open/start 23:30

早割/2,013yen (枚数限定)予約開始日 1/13(日)11:00~1/18 11:00(金)まで
adv.3,150yen door.3,500yen

DILLINJA (Valve Recordings, UK)
DILLINJA (Valve Recordings, UK) 90年、16才で独自のサウンドシステムを編み出して以来、重低音にこだわったブレイクビーツの制作を開始。93~95年には"Deadly Deep Subs"、"Gangsta"(TRINITY名義)、"The Angels Fell"等でシーンに名声を博し、GOLDIEのアルバム『TIMELESS』に参加。Metalheadz、Prototype、V等から数多くの作品をリリース、CAPONE、D-TYPE等の変名を持つ。97年にはLEMON Dと共にレーベル、Valve Recordings及びPainを設立(後にTest Recordings、Beatzも増設)、"Violent Killa"、"Acid Track"を発表。01年、FFRRから1st.アルバム『DILLINJA PRESENTS CYBOTRON』を発表、以後LEMON Dとの合同名義を含め『BIG BAD BASS』(02年)、『THE KILLA-HERTZ』(03年)、『MY SOUND 1993-2004』(04年)の各アルバムと"Grimey"、"Twist 'Em Out" 、"Fast Car"、"This Is A Warning"等々のシングルを大ヒットさせる。近年も"Back To Detroit" (CAPONE名義)、"Time For You"を発表、ニューアルバムが待たれている。また彼はパワー出力96kW、サブウーファー52発からなる自己のVALVE SOUND SYSTEMを保有する、まさにキング・オブ・ベースである。
https://www.vlvmusic.com/
https://www.facebook.com/dillinjavalve
https://twitter.com/Dillinjavalve

J:KENZO (Tempa / Rinse FM / Artikal Music UK, UK)
J:KENZO (Tempa / Rinse FM / Artikal Music UK, UK) ジャングル、ヒップホップ、ダブ等を聞き育ち、実験的なドラム&ベース・トラックを創作していたJ:KENZOは、06年1月のDMZパーティーでダブステップに開眼して以来、ダブステップにフォーカスし、07年に自己のSoul Shakerzから作品を発表。08年の"Tekno Bass"が注目されて以降、Argon、2nd. Drop、Dub Policeといった人気レーベルからリリースを重ね、トップDJ、YOUNGSTAの支持を受け、ダブステップの名門レーベル、Tempaと契約。そして"Ruffhouse"(11年)、"Invaderz"(12年)でトップ・プロデューサーに躍り出て、シーンのトップ3DJ=YOUNGSTA、HATCHA、N-TYPEは勿論、LAURENT GARNIERからも支持を得る。また盟友MOSAIXとレーベルArtikalを立ち上げ、一躍シーンの台風の目となる。そして12年9月、Tempaからの1st.アルバム『J:KENZO』を発表、UKベース・ミュージックの真髄を遺憾なく発揮する。今まさに旬のプロデューサー、待望の来日!
https://www.tempa.co.uk/
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Toro Y Moi - ele-king

 彼の心は彼のもの。チャズ・バンディックが体現するのは、一種の純潔ではないだろうか。"スティル・サウンド"で彼がくるくると踊るとき、"タラマック"で花火を振り回すとき、"ソー・メニー・ディテイルズ"で池に小石を投げるとき、間違いなく彼の心は彼だけのためにある。何ものもそれに触れ、それを汚すことができない......。

 バンディックが歌い、動き、踊るのをみていると、心というものはどこまでも自分のものであっていい、いや、そうでなければならない、というふうに思えてくる。心というとわかりにくいだろうか。人の思惑のために簡単に動いてしまうものは、人のなかに何かを残したりしない。それはよくもわるくもだ。彼がわれわれを惹きつけるのは、そうした何か動かざるもののためであると感じる。そうでなければ音楽オタクでも方法オタクでもない、そうテクニカルでもない、一大トレンドとして類似した音も多い、はや3作目にもなるトロ・イ・モワの音楽が、こんなに特別な存在感を持つことの説明は他にはつかない。彼のセンスや嗅覚は高く評価するとしても、音の足し算や引き算では説明のつかない魅力のために、われわれはまたアルバムを手にしている。

 ふわふわとした話ですみません。もちろん足し算と引き算の話も重要だ。今作、彼はさらにブラコン路線を強め、純粋なリヴァイヴァル気運を伴いつつチルウェイヴの展開形のひとつとしても浮上してきた90年代風R&Bの潮流(野田努が「チル&ビーって言うらしいよ~」と言っていた)に、完璧にシンクロしている。今回もホーム・レコーディングだということだが、ローファイの名残をとどめながらもぐっと洗練され、よりクリアなプロダクションを得ることになった。インクやハウ・トゥ・ドレス・ウェルなども同様の傾向を深めており、それらはいまもっとも気にされているトレンドのひとつになっている。

 実際のところよく聴き比べれば、トロ・イ・モワ自体、音楽の骨子の部分ではあまり変わっていないとも言える。だが、たとえばアマゾンの商品説明で『コージャーズ・オブ・ディス』がパッション・ピットやヴァンパイア・ウィークエンド、MGMTなどと比較されているのを見ると時代の変遷ぶりに驚いてしまう。アニコレも加え、当時はブルックリン勢の最後尾のように理解されていたわけだ(たしかにそういう感じもあった)。そしてミスター・チルウェイヴとしてウォッシュト・アウトと並び称された記憶もまだ払拭されたわけではない。同時にいまはインクハウ・トゥ・ドレス・ウェルに比較される。要するに音楽性自体はそう変わらないまま、彼はその代その代のもっともヴィヴィッドな流れにつねに比較されているのである。

 まわりに同調してくるくると音楽性を変えたりはできない。毎度、少し洗練されたなというような、自身のキャリアとしてまっとうな進歩を見せるだけのことである。周囲の思惑は、そう簡単には彼を動かせない。それは"ソー・メニー・ディテイルズ"のPVにもよく表れている。女優を用いて、大掛かりな道具立てやロケによって撮られてた、トロ・イ・モワとしてはかなり異色の作品だ。高級車や豪華な別荘や自家用ジェット、そしてハイクラスな美女に取り囲まれながら、そのどれにも染まず漂ってしまうバンディックの肢体は、その心そのものでもある。高級だからなじまないというのとも少し違う。彼自身に干渉しようとする異物に対する、潔癖的な恐れや違和感が画や姿からありありとたちのぼっている。石を池に投げる何気ないシーンでは、その動きが、彼が自分自身の領域を防護しようとするものであるように感じられないだろうか。彼の心は彼のもの、なのだ。
 ヒットチャートもののR&Bのミュージック・ヴィデオのパロディでもあるだろうが、その思惑すら越えてバンディックの静かな視線がカメラに注がれる。"セイ・ザット"も皮肉めいた笑いを誘うとても好きな映像だ。謎の大自然のモチーフもふざけているようでいて、カーティス・メイフィールドの『ルーツ』などを思い起こさせもする。バンディックに政治的なテーマはまるでないだろうが、ソウル・ミュージック全体のなかに自身のアイデンティティや立脚点を探ろうとするような意図は見える。ジャケットにも明瞭だ。彼の純潔はさまざまな雑音を洗い、払って、自分のゆくべきひとつの道を見つけ出そうとしているのかもしれない。

※蛇足ですが本文冒頭は昨年の傑作ドラマに出てきた名ゼリフの引用です。(https://www9.nhk.or.jp/kiyomori/cast/heike.html#h_shigeko

NHK'Koyxeи - ele-king

 二木信のいう「ファンク」が僕にはいまひとつわかるようで、わからない。僕は、彼と比べるのもおこがましいほど、量的な意味で日本のヒップホップを聴いていないので、偉そうなことを言える立場ではないのだけれど、もちろんいくつもの例外はあるにせよ、これはネガティヴな意味ではなく、個人的には、わりと人気のある日本語ラップからはむしろ演歌的なエートス/フォーク的な散文詩をかぎ取っていたので、それが二木のように、ざっくりファンクというタームに結びつく回路が見えないのである。いろんな現場に足をはこんでいる人にとってはわかって当たり前の感覚かもしれないし、これは僕の怠惰なのだろうけれど、どうせなら、いちどそのあたりの感覚をしっかり説明していただけたら幸いに思っている。

 「ファンク」というタームは、「ポップ」や「パンク」と同様に、それなりの歴史と展開と再解釈を経ているので、いまとなっては文脈のなかで主観的に使われることも多く、絶対的な定義を求めるのも野暮かもしれないが、僕が「ファンクとは何か?」と問われれば、迷うことなく、ジェームズ・ブラウンの「パパズ・ガット・ア・ブランド・ニュー・バッグ」に代表される、16ビートのリズミックな反復と、言語的な意味を超越した迫力について話す。基本中の基本の話で、世界で最高のフットボーラーはペレだというのに近い、ある種王道的な答えだが、一見単純に聴こえてその実複雑な反復、言葉の意味よりもそれもまたリズム譜であることを優先される演奏、そう、ダンスとある種の超越性、障害を説明するのではなく、障害を乗り越えるもの、それがJB、P-ファンク、トラブル・ファンク、クラフトワーク、バンバータ、パブリック・エネミー、UR、ジェフ・ミルズ、ドレクシア、あるいはオウテカ等々にも継承されているリズミックな衝動、すなわち「ファンク」ではないかと考える(『テクノ・ディフィニティヴ』には、テクノの重要なルーツとして「ファンク」の項目を設けたほど)。
 トーキング・ヘッズの『リメイン・イン・ライト』をファンクだと思える人なら、トム・ヨークとフリーのアトモス・フォー・ピース(平和のための原子力)名義のデビュー・アルバム『Amok』も素晴らしいファンクだと感じるだろう。そして、オウテカをファンクだと思える人なら、NHK'Koyxeиことマツナガ・コーヘイの『Dance Classics Vol. II』もファンクだと言えるだろう。3Dメガネをかけて、土木作業員のズボンをはいて、身体を小刻みに揺らしながらライヴをするその姿もファンキーそのものである。

 マツナガ・コーヘイは、Aoki TakamasaやKyokaやBunたちと同じように、今日の電子音楽シーンにおけるノマドで(日本という、たまたま自分が生まれた小さな島国にとどまることに必要以上な意味を見出さない)、2月におこなわれる彼ら4人の日本ツアー「abkn set japan tour 2013」の詳細に関しては来週記事をUPする予定だが、Bunをのぞく3人は、たとえばベルリンの〈ラスター・ノートン〉のような、便宜上、IDMの牙城のように分類されるレーベルから作品を出しているものの、しかしヨーロッパをよく知る彼らの音楽にはダンスがあり、ことNHK'Koyxeи名義の『Dance Classics』シリーズは、そのタイトルがはっきり言っているように、ダンスである。
 今回の『vol.2』はもちろん前作『vol.1』の延長だが、さらにダンサブルな展開が強調されている。エレクトロの影響下にあった頃の90年代初頭のプラッドがやり残したことをやっているようにも聴こえる。あるいは、ジェフ・ミルズがDJをやっているときに、いきなり彼の脇腹を「こちょこちょこちょ」と、くすぐったらきっとこんな音楽になるんじゃないかとも想像できる。ここには、言葉ではなく音の、笑い、ユーモアがあるのだ。
 しかし、ないものも多い。何よりもこの音楽には、啓発的な対話やわかりやすい説明がない。思い出話もなければ、気の利いた、何かに役に立ちそうなものがない。そういうものを求めたがる、決められた道筋を建設的に生きたい人生にとってはまったくもって無益な音楽だ。が、音楽の現場に、作品の送り手とその良き理解者たるリスナーという、昔ながらの上下はっきりとした関係性に逆戻りしている向きが固まっているのであれば、『Dance Classics』は極めて重大な滑稽さを秘めていると断言できる。まるでこの音楽は、「くっ、くっ、くっ」と笑いながら、動物と老人が安心して暮らせる世界へと自転車を走らせているようだ。前作のジャケはフラミンゴで、今回はキリン、裏ジャケの写真は、前回が丘の上から望遠鏡で町を見下ろすマツナガ・コーヘイで、今回は道路を自転車で走っているマツナガ・コーヘイ......ひと足先に春風を浴びているように、気持ちよさそうである。

「食らう」一冊──。

2010年代のヒップホップ・アーティスト9人のインタヴュー集。
ルードでも閉鎖的でも教条的でもない、自由で新しいフィーリングを持ったラッパーたちが、いまのびのびとヒップホップの歴史を塗り替えようとしている!

次世代を担う、新しいラッパーたちが語ってくれた言葉と物語。
リリックを贅沢に引用しながら、生活のこと、これまでのこと、未来のこと、じっくりと語りおろした珠玉の9編。スタイリッシュな撮りおろし写真、2000年代のシーンをトピックごとに振り返る対談コラムを収め、新しい世代の入門書として、新しい時代のスケッチとして日本の音楽史にあらたな補助線を引く一冊が登場!

☆★収録アーティスト★☆
OMSB / THE OTOGIBANASHI'S / PUNPEE / AKLO / MARIA / 田我流 / ERA / 宇多丸 / Mummy-D

 単に自分の知識不足のせいなのだが、韓国というのがホントによくわからない。たとえば12年12月26日付けの『Newsweek』によれば、とにかくごく一部のエリートが政治からメディアまでを牛耳っているそうで、そういう意味ではアジア的な支配構造がぬけぬけと継承されつつ、日米中関係の微妙さもさることながら、北朝鮮への複雑な感情もあるだろうし(民族的な同胞意識もあるだろうし)、サッカーのスタイルでは当たりが強いし、フィッシュマンズと忌野清志郎と素人の乱が人気があると聞くし、自分のなかの韓国像というのが落ち着きどころがない。
 興味はある。もっとも近距離の外国であるのにかかわらず、日本にいながら韓国の情報はごくいち部の選ばれたものしか入ってこないという不自然さが、興味を加速させる。
 今月末、韓国のインディ・シーンからYamagata TweaksterとWedanceがやって来る。昨年末リリースされたYamagata Tweaksterのアルバム『山形童子』の清水博之氏が書いたライナーによれば、「韓国ソウルのインディーズ・シーンは、90年代後半から、美術学科で有名な弘益(ホンイク)大学を中心に広がる、弘大(ホンデ)エリアで発展。現在も弘大がその中心となっており、ライヴクラブと呼ばれる、バーの一角を舞台にしたライヴハウスでは、週末ごとにインディーズ・ミュージシャンがライヴを繰り広げる」と記されている。そこから登場したのが、たとえばYamagata Tweaksterであり、Wedanceだ。
 Yamagata Tweaksterは社会批評とユーモアを盛り込んだシンセ・ポップで、男女ふたり組のWedanceは超絶的なノイズ・ロック・バンド、彼らは音楽として魅惑的なばかりではなく、臨み方というかその態度にも、当たり前の話だが、日本で知られるところのK・ポップとはまったく別の情熱が表れている。27日が東京、29日が大阪、26日には東京の幡ヶ谷でYamagata Tweaksterの弾き語りもある。行こう!
https://utakata-records.com/yt-wd-japan2013/

■<Tokyo> 2013.01.27 (Sun)
@新大久保Earthdom
OPEN 18:00 / START 18:30 
ADV. 2,500 yen / DOOR 2,800 yen (ともに+1D)
イープラス: こちら (1月25日 18:00まで)
メール予約:yamagata.wedance@gmail.com (~1月26日23:59。件名に『1.27予約』と書き、フルネーム(カタカナ)と予約枚数をお送りください)
出演:Yamagata Tweakster (withバックダンサーYamagata Boys and Girls)、Wedance、イルリメ、kuruucrew
☆「オルタナ・コリア」展 (展示&販売)もbarエリアで開催!(協力:IRA)
VEGEしょくどう & 元Vacantのyoyo.さんによる韓国フードも決定!
Facebook event page→ https://www.facebook.com/events/109776642525454/

■<Osaka> 2013.01.29 (Tue)
@心斎橋conpass

OPEN/START 19:30 
ADV./DOOR 2,500 yen (D込)
出演:Yamagata Tweakster (withバックダンサーYamagata Boys and Girls)、Wedance、ALTZ.wP、casio☆トルコ温泉 DJs: okadada、oswald
Facebook event page→ https://www.facebook.com/events/562930757054344/

■<Amature Amplifier special gig> 2013.01.26 (Sat)
@幡ヶ谷Forestlimit

OPEN 18:30 / START 19:00 
Price: 1,500 yen (+1D)
メール予約:yamagata.wedance@gmail.com (~1月25日23:59。件名に『1.26予約』と書き、フルネーム(カタカナ)と予約枚数をお送りください)
出演:Amature Amplifier (Yamagata Tweaksterの弾き語り名義)、トンチ、Alfred Beach Sandal、イ・ラン(Lang Lee)、DJ: 坂田律子

VEGE食堂 のyoyo.さんによる韓国フードも決定!
そして日本にすでにファンも多い、イ・ラン(Lang Lee)も特別出演決定!(2012.12.30追加)
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