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- ele-king
今週末、東京大阪、やばいっす。ジューク人気が急上昇するなか、シカゴからそのシーンの重鎮、RP ブー(今年、 名作『Legacy』を出している)が来日するの知ってる? 楽しいから、絶対に行ったほうが良いよ。
RP Boo - Legacy JP (Planet Mu)来日のサポートにはシーンを牽引してきた〈Booty Tune〉、CRZKNY (Dubliminal Bounce)、Satanicpornocultshop (Negi)、〈SHINKARON〉、Keita Kawakami (Dress Down)をはじめ、ジュークと共鳴するゴルジェ、テクノ、ベース、ヒップホップ / ラップなどの周辺ジャンルと華麗にクロスオーバー、そしてフットワークのバトル・トーナメントで優勝したTa9yaや準優勝の女性ダンサーHarukoなど多くのダンサーもジャンルを超えて結集した、若手を中心にベテランや中堅も織り交ぜ、もはやこれがジュークであるとは言えないほど多様化するハイブリットな国内シーンとそのカルチャーを堪能出来るキレキレのラインナップをお見逃しなく!

≈ RP BOO JAPAN TOUR 2013 ≈
〈東京公演〉
11.23 (SAT) @ Shinjuku LOFT Tokyo
OPEN/START 23:30 ADV 3,000 yen | Door 3,500 yen
shinjuku LOFT Presents
SHIN-JUKE vol.5
RP Boo (Planet Mu from Chicago)
D.J.Fulltono (Booty Tune)
Satanicpornocultshop (negi)
hanali (Gorge In, Terminal Explosion!!)
HABANERO POSSE
ALchinBond
Booty Tune crew
SHINKARON crew
More Info:
https://www.loft-prj.co.jp/schedule/loft/18988
〈大阪公演〉
11.22 (FRI) @ Club Circus Osaka
OPEN/START 21:00 ADV 2,500 yen | Door 3,000 yen
Booty Tune & Dress Down Presents
SOMETHINN3
RP Boo (Planet Mu from Chicago)
D.J.Fulltono (Booty Tune)
Keita Kawakami (Dress Down)
DJ TUTTLE (Marginal Records)
Quarta330 (Hyperdub)
terror fingers (okadada + Keita Kawakami)
CRZKNY (Dubliminal Bounce)
DjKaoru Nakano
Paperkraft (Alt)
AZUpubschool (doopiio)
More Info:
https://circus-osaka.com/events/booty-tunedress-down-presents-something3
アラン・マッギーに「君が契約したバンドってみんなサイケとパンクに影響されていて、それがいまの音楽の主流になったよね」と言ったら、「俺はテレビジョン・パーソナリティーズのダン・トレイシーの〈ワーム!・レコード〉をマネしただけだ。偉大なのはダン・トレイシーだ」と言ってました。
ダン・トレイシーはレッド・ツェッペリンのレーベル、〈スワン・レコード〉で、ジミー・ペイジに「お前はパンクか」と白い目で見られなが働いていたそうで、レッド・ツェッペリンのマネージャー、ピーター・グラントのようになったアランは、ダン・トレイシーの復讐をしたのかと思うとなんか、感慨深いものがあります。
アランに「そんな謙遜せずに、マイブラがいまの若者の琴線にいちばんふれる音楽になったじゃん」と言うと、「ケンジ、マイブラなんか大したことないぞ。いまに若いやつらが“オアシスがいい、オアシスがいい”と言い出すぞ。そのときはもっと大変なことになるぞ」と言っていた。というわけでガン・クラブ・セメタリーを出すことにしたんでしょうか。オアシスより白黒な感じがいいです。ガン・クラブという名前を付けているのはあのジェフリー・リー・ピアースのガン・クラブへのリスペクトなんでしょうか、ガン・クラブな荒野の不法地帯な匂いがします。
僕はガン・クラブ・セメタリーのブルージーなところが好きです。彼らが新しいオアシスになるのかどうかはわからないですが、ガン・クラブのようなカリスマ的人気を得ていきそうな気がします。
しかし、本当にガン・クラブの再評価は高いですよね。前にパーマ・ヴァイオレットのチリ・ジェッソンにインタヴューしたら、「ガン・クラブが好き」と言ってましたが、ガン・クラブ・セメタリーはまさにそのようなバンドになりそうですね。いまのところは元ハリケーン#1のボーカルで元ボクサーでリアム・ギャラガーを殴ったというくらいしか伝説はないですが、これから作っていくのでしょう。でも、元ボクサーだったら殴ったらダメですよね。犯罪ですよね。僕ももう鼻血ブーな伝説を作らないように、彼には殴られないように気をつけていきたいです。
[Schedule]
11/22(FRI) "探心音"@渋谷KOARA
11/23(SAT) "MARK E JAPAN TOUR"@代官山AIR
11/29(FRI) "VIDEOGRAM"@吉祥寺Star Pine's Cafe
11/30(SAT) "大三元"@三軒茶屋タイ衆居酒屋三角 / Slow Mo'@青山TUNNEL
12/06(FRI) "THE OATH"@青山OATH
12/14(SAT) "Misty"@三軒茶屋Orbit
Deep House/Disco Chart for November 2013.11.18
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Guillaume & The Coutu Dumonts - Impossible Rendez-vous - Meander |
|---|---|
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V.A. - Chicago Service - Lumberjacks In Hell |
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Ivano Tetelepta & Friends - Volume 1 - Fear Of Flying |
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Felix Dickinson - Ousana - Is It Balearic? |
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DJ QU - Eden / Do This Here - Yygrec |
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Arno E. Mathieu - Tribute & Fantasy - Clima Records |
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Lay-Far - Green EP - Fifty Fathoms Deep |
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Anthony Nicholson - Pathways And Sidesteps - Deepartsounds |
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Dego & The 2000Black Family - Find A Way - Neroli |
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Mazzy Star - Seasons of Your Day - Rhymes Of An Hour Records |
https://7ehome.tumblr.com/
https://soundcloud.com/7e_romanescos
最近DJでかけたお気に入り音源
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Matmos - Rag For William S. Burroughs - P-VINE |
|---|---|
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PSILOSAMPLES - Sonhos no quintal - Octave / Desmonta |
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Los Sanpler's - Mambo Brillante (HD Mambo) - Audio View |
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Jun Miyake - Cream - Agentcon-Sipio |
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Jichael Mackson - Flatscreen_Original Mix - Stock5 |
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Figura - Ze Bula (Chancha Via Circuito Remix) - ZZKrecords |
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Animation - Sanctuary - Sacred Rhythmic Music |
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Coppe' with Nikakoi - Forbidden (Remix) - Mango+Sweet Rice Records |
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Axel Krygier - Serpentea el tren - LOS ANOS LUZ DISCOS |
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Groupshow - anyone care for a drink? - Scape Germany |
アイスランドは、ビョークやシガー・ロスの出身地というぼんやりしたイメージしかなかったのだが、行った人誰に聞いても「最高!」と言われる。毎年10月末から11月にかけて首都レイキャヴィックでおこなわれる、新しい音楽の祭典、アイスランド・エアウェイヴスに初参加した。
今年は10/31~11/3。過去には、シンズ、ラプチャー、TV・オン・ザ・レィディオ、ファットボーイ・スリム、クラクソンズなど、ヨーロッパやアメリカからバンドが参加している。
NYからは約6時間。時差も5時間なので、西海岸に行くのと変わらない。15年前に初めてSXSWに行ったときと同じような新鮮な感情が生また。
エアウェイヴスは、著者が知っているCMJやSXSWなどのアメリカのフェスティヴァルと違い、質が格段に良い。家族経営な感じが好印象で、まだ世の中に知られていない新しいバンドをいろんな所で発見できる。
飛行機はアイスランド・エアを利用したのだが、音楽プレイリストに「エアウェイヴス」があり、スケジュールのフライヤーがもれなく乗客に配られる。パーティへのお誘いも、「どう、エアウェイヴス楽しんでる?」などの10年来の友達相手のような気さくな招待状。現地の人に聞くと、この期間は特別で、これでもか、というぐらいショーを見て、浴びるほどお酒を飲むらしい。
空港に朝の6時に着き、水が飲みたいと思ったら、水の隣に普通にビールが売られ、周りを見ると、待っている人もビールを飲んでいる。エアウェイヴスが終わった次の日、レコード店に人を訪ねて行くと、「彼は今日飲み過ぎでお休み」と言われた。エアウェイヴス休暇は公認なのか?
「朝の4時、5つのクラブに行き、10の良いバンドを見て、15人の新しい友だちを作り、20回恋に落ちた。自分は疲れ、おかしくなってる。家に帰るつもりが、アフターパーティを探してる。ここにいることが信じられないし、すでに来年また来る計画をしている。今日はまだフェスの一日目だというのに」(https://icelandairwaves.is/about/)
というエアウェイヴスの文句がそのまま当てはまる。マジックとしか思いようがない。
レイキャビックという町は、NYのウィリアムスバーグぐらいの大きさしかなく、どこでも徒歩30分以内で歩け、フェスティヴァルにはもってこいの町である。イギリスの標準時を使い、人口は約32万人でその1/3がレイキャヴィックに住んでいるという。自然がとても美しく、着いた日に、山がピンク色に染まっていたり、寒そうな山肌を見たとき、新しい土地を意識した。
まずはハーパというハブになっている会場でリストバンドをピックアップ。リストバンドと一緒にもらえるギフトバッグのなかには、ブルーラグーンのスキンケアグッズ、66northのニットキャップ、gullビール、reykaウォッカ、アイスランディック・チョコレート、オパル・キャンディなどのアイスランドの代表グッズが入っている。これだけでも十分アイスランド気分。
エアウェイヴスは、公式のショーでなく「オフヴェニュー」と呼ばれる場所でのショーが昼間からあり(これだけでも十分好きなバンドが見れる)、この5日間は朝から晩まで、バンドは5~10のショーをし、DJともなると1時間おきに違う会場でプレイする強者もいた。
シアトルのカレッジラジオKEXPはCMJやSXSW、スペインのプリマベラなどで、いつも良いメンツを集めてパーティをするので、今回もたくさん行ったが、ラインナップは地元アイスランド・バンドも含め極上だった。まったく違う会場で偶然発見したバンド、Kithkin(シアトル出身)も、後からKEXP関連だったこともわかる。
エアウエイヴスは、時間厳守だ。時間になると、きっちり次のアクトがはじまるし、演奏時間も大体20~30分ぐらい。次のバンドまでも余裕があるので、セットチェンジの間にもうひとつ別のショー行って帰って来れる。会場がそれぞれ近いのもよい。
以下ずらーっとレポート。カタカナ表記に直せない会場はそのままアルファベットで残し、バンドの後に表記のない物は地元のアイスランド・バンド。
11/1(fri)
5:30 pm
サマリス(Samaris)
@アイスランドエア@スリップバリン(icelandair at slippbarinn)
最初に行った会場はスリップバリン。夕方5時だというのに外にラインが出来、ようやく入るも身動きが取れない。入口でウエルカムシャンパンを頂きステージ前へ。
サマリスは、クラリネット(女)、ヴォーカル(女)、エレクトロニクス(男)という変わった編成。ダウンテンポ・エレクトロニカと大胆なパーカッションビートを取り入れ、ビョークのような深く唸るようなヴォーカルが乗る。その結果、古代的で現代的、非現実なサウンドにダークでエイリアンな雰囲気を醸し出す。時差ぼけも吹き飛び、ステージ前でかぶり付きで見た。ヴォーカルのJófríðurは、パスカル・ピモンというバンドを双子の妹と組んでいて、こちらはアイスランドのオルヴォワール・シモーヌという感じ。
https://icelandairwaves.is/artists/samaris/
6:00 pm
ハーミゲルヴィル(Hermigervill)
@アイスランドエア@スリップバリン(icelandair at slippbarinn)
一緒に行った友だちが「この次のアクトもいいよ」というので残ることにする。アイスランド・エアの機内で配られたスケジュールのカヴァー/エアーウェイヴのWEB表紙の男の子、ハーミゲルヴィル。
「ハイ、マイフレンド!」とテルミンを演奏しはじめ、そのままユニークなライブ・エレクトロサウンドへ。彼の前にずらーっと並んだ、エレクトロニカ機材を器用に操り、会場で一番楽しそうに踊っているのが彼。最高のダンスフロア! まだ6時! 聞くと彼もバーンドセン、レトロ・ステフソンなどのアイスランドの著名バンドにも参加している。アイスランド、すでにヤバい。
https://icelandairwaves.is/artists/hermigervill/
8:00 pm
ムーム(Múm)
@Fríkirkjan
教会でムームのショーがあると聞いて、行ってみると人数制限で入れない。教会の前には人だかり。周りをうろうろしてみると、ガラス張りの窓から少し中が見える。同じことをしている人と「見たいよね~」と話しながら、ステージのすぐ横の窓から覗くと、グランドピアノやアップタイトベースが見え、音も聞こえるので、ナイス! と思ったが、寒すぎて10分で退散。アイスランドでビョークと同じぐらい名前が知られている彼らは、エレクトロニック・グリッチ・ビートとエフェクト、伝統的、非伝統的な楽器を特徴とし、厳かな場所でのショーが似合うバンドだ。
https://icelandairwaves.is/artists/mum/
8:50 pm
ロウ・ロアー(Low roar, アイスランド/アメリカ)
@イドノ(Iðnó)
ブルックリンの知り合いミュージシャンから紹介してもらったバンド。かなり大きな会場で、前に行くのに苦労するが、3人のミュージシャンが誰も手を付けないジャンルを開拓する。エレクトロポップ、美しいフォークソングのシンプルな定番アレンジに、ミニマルトーンやドローンにポストパンク要素を混ぜ合わせた、新古が出会うアイディア。
https://icelandairwaves.is/artists/low-roar-isus/
11:00 pm
オマー・ソウレイマン (Omar Souleyman, シリア)
@ハーパ・シルファバーグ(Harpa Silfurberg)
シリアの伝説、オマーさん。CMJでも見逃したので、今回は是非見たかった。1994年にデビューし、最近まで海外では知られていなかった彼だが、すでに500以上のスタジオ・レコーディングとライヴ・カセット・アルバムがあリ、いまではボナルー、サマーステージ、グラストンベリー、ATPなどのフェスティヴァルの常連。定番のアラビック・ヴォーカル・スタイルとエレクトロをミックスし、世界中の人たちを踊らせている。ハーパ(会場)で一番列が出来ていたのも彼。アイスランドでタンクトップになれたのも、ここの観客のノリの良さが桁違いだからか。
https://icelandairwaves.is/artists/omar-souleyman-sy/
11:30 pm
ゴート(Goat, スウェーデン)
@ハーパ・ノルデュロス(Harpa Norðurljós)
ハーパの隣の部屋へ移動し、スウェーデンの覆面バンドを見る。これも今年5月にプリマベラに行った友達から絶対見たほうが良い、とお墨付きを頂いていた。スウェーデンのコーポロンボロと言われる村出身で住民がブーズー教信者である。全員覆面で、クリスチャン服装で、目に痛いほどカラフルで、ステージプレゼンス、すべてすごいが、演奏のうまさと、フロントの女の子2人の、何か(ブーズー教呪い?)に取り付かれたようなダンスで、崇拝精神さえ芽生える。
https://icelandairwaves.is/artists/goat-se/
11/2 (sat)
4:00 pm
キスィキン (Kithkin, アメリカ)
@ヘルマー・スクエア(Hlemmur Square)
たまたま、通りかかった会場で発見したバンドはシアトル出身。ハイパーなリズミック・シンセとトライバル・ドラム、カオティック・ギターに、前に前に出るシャウト・ヴォーカル。ベースとドラマーが一緒にスティックを持って、叩き合うパフォーマンスは、インテンスでエネルギッシュ。ベーシストはスピーカーの上に乗って飛び降りたりした。
https://icelandairwaves.is/artists/kithkin-us/
4:00 pm
シーシーアイ(Sisy ey)
@ ジョア(jor)
と呼ばれる、3人女子はアン・ヴォーグのようなディスコ・エレクトロ・ヴォーカル・グループ。通りかかった洋服屋で、ウィスキーショットが振る舞われ、子供も一緒に踊っている。女性3人女子とDJ。彼女たちの美しい声と新しいジャンルをミックスし、世界でひとつしかない面白い才能を開拓している。アイスランドの女の子は、みんな声が深くて芯がしっかりしている。ビョークみたいなユニークな歌手は、ここには多数いるのだろう。
https://icelandairwaves.is/artists/sisy-ey/
5:00 pm
サミュエル・ジョン・サミェルソン・ビッグバンド(Samúel jón Samúelsson Big Band)
@ラッキーレコーズ(Lucky Records)
KEXにムームを見に行ったのだが、多すぎて入れず。そのまま待つのもなんなので、近所のラッキー・レコーズに行くと、ちょうど彼らがプレイしていた。レイキャヴィックのアフロファンク・バンド、14人は、みんな思い思いの派手衣装(メインガイは、黄色と緑と青の幾何学模様)で、狭いレコード屋を占領(何せ大人14人!)。トニー・アレン、ジミ・テナーなど、国際的アーティストとコラボレートしている彼らのショーは、ホーンがメインでおもちゃ箱をひっくり返したような楽しさ。子供が一番喜んでたかな?
https://icelandairwaves.is/artists/samuel-jon-samuelsson-big-band/
6:30 pm
ロックロ(Rökkurró)
@KEX
ムームは見れずだったが、1時間後に戻ってくると、KEXPがロックロを紹介しているところ。5年間このエアウェイヴスを中継し、たくさんの素晴らしいバンドに出演してもらえて嬉しいと。ヴォーカルのクリスティンはティアラをつけ、キーボードの女の子はガイコツの手を自分の手に付けちょっとハロウィン気分。メランコリックなセレナーデは、自国の寒く荒廃した景観を奮起させるが、壊れやすく滑らかなヴォーカルでユニークな暖かみも浸透させる。ムームやオラファー・アーナルド(見逃した!)ともツアーをともにし、2枚目のアルバムは日本盤もリリースされている。
https://icelandairwaves.is/artists/rokkurro/
7:10pm
キラ・キラ(Kira Kira)
@ハーパ・カルダロン(Harpa Kaldalón)
おさげの女の子クリスティンがキラキラ。遊び心あるビーツやエクスペリメンタル・ポップが、ダーティ・メロディや、雷のようなベースラインを作る。彼女は、エレクトロ音楽やアートのエクスペリメンタル集団/レーベル、キッチン・モータースの設立メンバーでもある。今回のライヴは彼女と3人の男の子編成。トランペッター2人とトロンボーン。ドローンなエレクトロニックスとホーン隊の音は、サウンドトラックのようで、心地の良い映画館のようなソファーと会場の暖かさで夢の中へ。
https://icelandairwaves.is/artists/kira-kira/
8:00 pm
ユリア(Ylja)
@ハーパ・カルダロン(Harpa Kaldalón)
アイスランドのジプシー・バンド? 女の子2人がアコースティックギターとヴォーカル。つま弾きギターにハーモニーの綺麗な子守唄が合わさり心地よすぎ。この会場は眠りたい人にもってこい。ギターの男の子は、英語が出来なくてごめんと謝り倒してたが、飛行機の中でも聞いたのを覚えていた。耳に優しいバンドで、エアウエイヴスは、良い物はどんなジャンルでもカヴァーしている、とまたひとつ勉強。
https://icelandairwaves.is/artists/ylja/
9:00 pm
マック・デマルコ (Mac Damrco, カナダ)
@ハーパ・シルフバーグ(Harpa Silfurberg)
最近のキャプチャード・トラックスの5イヤーズ・フェスティヴァルにも出演していた、すきっ歯がかわいいカナダ出身の22歳。個人的には、エアウエイヴスで見たかったバンドの上位。彼のキャラが最高で、ヴィデオもCDもすぐに虜になる。ユリアが終わって会場がすぐ上なので移動が便利。歌いすぎて、声がガラガラしていたが、最上のロックンロールで、客とのコール・アンド・レスポンスも最高!最後には「サーフィンしていい?」と丁寧に断った上、ガツンと客にダイブ。ベースとギタリストのコミカルなぼけ突っ込みも受ける。
https://icelandairwaves.is/artists/mac-demarco-ca/
11:00 pm
ゴールドパンダ(Gold Panda,UK)
@レイキャヴィック・アート・ミュージアム(Reykjavik art museum)
ゴールド・パンダ、たったひとりの男の子がこんなにも多くの人を踊らせるのは凄い。宇宙、サイケデリック、インド・テイストな映像も合わさり、ステージに彼がいるだけで、何か惹きつけるものがたしかにある。ブロック・パーティ、サミアン・モービル・ディスコなどからリミックスのリクエストが来るなど、国際的に活躍するエレクトロ・アーティスト。オマーさんの次に、一番長く列に並んだ(外だったので寒かった!)アーティスト。この時に、ビョークが後ろを歩いていくのを見る。地元なのだなと。
https://icelandairwaves.is/artists/gold-panda-uk/
0:10 am
サヴェージズ (savages, UK)
@レイキャヴィック・アート・ミュージアム(Reykjavik art museum)
ここに入る時に、かなり列に並んだが、実はゴールド・パンダでなく、サヴェージズ狙いだったのかな。いままでで最前列に一番カメラマンが多く、後ろの人が見えないので、3~4曲後カメラ規制が入ったぐらい。CMJでも何でも彼女たちのハイプは凄い。エモーショナルなトラッシュ・ロックで、最後には客の上にダイブしたり、一番前の客の波にもまれながらそこに立って歌ってた。ワイルドで生々しく、顔をパンチされたような臨場感がある。
https://icelandairwaves.is/artists/savages-uk/
1:00 am
ゾラ・ジーザス(Zola Jesus,アメリカ)
@Gamla Bíó
ドアの規制がとても厳しい会場で、水も持ち込めなかった。彼女もキャプチャード・トラックスからのお勧め。ファッション雑誌から出て来たような格好の彼女と、ヴァイオリン、ギター、ベース、ドラム。ロシアン・アメリカンシンガーのゾラ・ジーザスは声がとても深く地底の底まで響きそう(そして何かを呼びそう)。フィーバー・レイやエックス・エックスなどとツアーを共にしていると聞いて納得。ここも映画館のように椅子がありシート制。最後を締めるには、もってこいのパフォーマンスだった。
https://icelandairwaves.is/artists/zola-jesus-us/
11/3(sun)
4:00 pm
シャイニー・ダークリー(Shiny darkly, デンマーク)
@ラッキー・レコーズ (lucky records)
またお気に入りのレコード屋に戻ってきた。デンマーク出身の22歳の男の子の4ピース。ニックケイヴやイアン・カーティスに影響を受けたダーク・ナルコティック・ロック。しかもルックスも良い。シアトルのKEXPやLAのKCRWなどが取り上げているのも納得。
https://icelandairwaves.is/artists/shiny-darkly-dk/
5:00 pm
キスィキン (Kithkin, アメリカ)
@ラッキー・レコーズ (lucky records)
昨日偶然に見たシアトルのバンドが次だったので、そのまま居残る。昨日の方が印象は強かったが、すべてのセットが見れ、今回エアウエィブスで一番の収穫かもとニヤニヤする。ベースとドラム(立ちドラム)がヴォーカルで、このエネルギーはただ者ではない。
6:30 pm
ハーミゲルヴィル (Hermigervill)
@KEX
一番最初に見たお気に入りDJをリピート。エアウエイヴスの顔だけあり、これぞアイスランドのDJ。「みんな、エアウエイヴス楽しんでる?僕はこれが最後のショーだよ」と客とのコミュニケートも最高。ラップトップでビートを作りながら、テルミンを操り、キーボードを弾き、一番忙しく、一番楽しそう。
11:00 pm
ティルバリー(Tilbury)
@ガンミリ・ガウクリン(Gamli Gaukurinn)
一瞬ダウンしたが、またショーに戻ってくる。ドラマティックでダークでビタースイート、という文句のバンドなのだが、ラフなTシャツ、ボタンダウン姿、どこにでもいそうなお兄ちゃん5人組。60年代ギターと80年代のダークシンセと新しいエレクトロを足し、ディビット・リンチの映画に出てきそうな、と形容されるが、誇張しすぎかな。ショーの後、気さくにしゃべってくれた。
https://icelandairwaves.is/artists/tilbury/
0:00 am
モーセズ・ハイタワー(Moses hightower)
@ガンミリ・ガウクリン(Gamli Gaukurinn)
エアウェイブス最後のバンドは地元のモーゼス・ハイタワー。大人な雰囲気を醸し出す70年代のブルー・アイド・ソウル。2008年に「レッツ・メイク・ベイビーズ」というシングルでアイスランド・リスナーの注意を引いたらしいが「みんなが親戚」というアイスランドなので、今回のフィナーレに相応しい。メンバー(ホーン隊)キャラかぶり過ぎで、ダン・ディーコンがメンバーに4人いるかと思った。
ショーが終わっても、もちろん誰も帰らない。そのままバー/DJパーティへと変わる。
https://icelandairwaves.is/artists/moses-hightower/
他にもマムット、マックなど、見たいバンドはたくさんあったがすべて見切れず、体がもう一体欲しかった。エアウェイヴスは、バンドを発見するだけでなく、レイキャビック、アイスランドの素晴らしさの発見でもあった。人が親切で、エアウェイヴスが終わった後にもうひとつライヴに行ったのだが、そこではシガーロスのメンバーが普通に飲んでいて(しかも著者は見れなかったクラフトワークのショーの帰り!)、一緒に朝まで遊んだりした。その後レイキャヴィックを出て地方に行く機会もあったが、広大な自然、アメリカでも日本でも見たことのない空の色は言葉で言い表せないほどだった。
最後に、レコード店で発見したアイスランドのダブ・エレクトロバンドのオイバ・ラスタは、CDを聞いたらはまり、最近毎日聞いている。この寒いアイスランドで、なぜラスタ・バンドなのか。9人という大所帯のバンドは今回見れなくて残念だが大丈夫、すでに来年来る準備をしているから。
すべてのラインナップはこちら。
https://icelandairwaves.is/line-up/
こちらはキスィキンと一緒に旅をしたKEXPのレポート。良い写真がある。
https://www.cityartsonline.com/articles/iceland-airwaves-festival-frozen-fairytale-island
ここからは七尾旅人NYショー
七尾旅人さんの初のNYショーが10月29日~30日に行われた。 こちらがスケジュール
10/29 (tue) at Pianos 7pm $8
w/ Diane Coffee (Foxgen) and Deradoorian (ex Dirty Projectors)
158 ludlow street
New York, NY 10012
212-505-3733
https://www.ticketweb.com/
10/30 (wed) @ Cake shop 8 pm $10
w/ Greg Barris and The Forgiveness, Eartheater, Bodega Bay
152 ludlow street
New York, NY 10012
212-253-0036
https://facebook.com/events/401758796619436
公式2日はどちらもローワーイースト・サイドの会場。クラブとインディ・ロックな別々の顔を持つ会場のピアノスとケーキショップ。それぞれ違うセットと対バンで、2日連続で見る価値は十分。ショーの後、ブルックリンでのオファーを2つ頂いたので、結果的に良かったし、違うタイプの観客にもアピールできたと思う。
10/29 (火) @ ピアノス
NYではかなり早い7時にはじまる。
共演バンドは、フォクシジェンのドラマーのディアン・コーヒー、元ダーティ・プロジェクターズのメンバーだったエンジェルのデラドーリアン。
https://www.pianosnyc.com/showroom/diane-coffee-10292013
この日は旅人さんが希望していたドラマーのライアン・ソウヤーとの共演。
ライアンはボアドラムでも日本に行ったり、リィス・チャザムの200ギターの唯一のドラマーとして参加したりしている。
https://www.villagevoice.com/2009-08-04/voice-choices/rhys-chatham/
前日に彼が参加する新しいバンド、ヒッギンス・ウォーター・プルーフ・ブラック・マジック・バンドを押し掛け、ぎりぎりで出演許可を頂いた。
7時過ぎに登場し、英語の音声で本人の紹介。衣装は羽織に下駄。“星に願いを”、“オーモスト・ブルー”など2~3曲弾き語りの後は、ライアン・ソウヤーが登場。後は、めくるめく宇宙戦のようなインプロの嵐。旅人さんはエフェクトを駆使し、歌い、動き回りながら、ライアンとのプレイを心から楽しんでいるように見える。それに煽られ、オーディエンスの熱気も上昇し、演奏が終わった後は、拍手が鳴り止まなかった。リハーサルもないのに、この絡みは、はじめて会ったとは思えない。ライアンも終わった後は珍しく上機嫌で、「次もプレイする事があれば誘ってね、いやプレイできなくても見に行くよ。」と。次のデラドーリアンもディアン・コーヒーも、「今日は旅人とプレイできて嬉しい」とステージで賞賛していた。
10/30 (水) @ケーキショップ
ハロウィンが次の日ということもあり、コスチュームな人もいる。出演は旅人さんを入れて4バンド。
ボデガ・ベイはまだ結成して4ヶ月という新しいアート・ロック・バンド。ベースとドラマーの女の子が(ハーフ)日本人、ギター&ヴォーカルが白人、ギターがラテン系という、いかにもブルックリンなバンド。
アース・イーターはガーディアン・エイリアンのアレックスのソロで、ガーディアン・エイリアンのファンである著者は楽しみだった。ロシア~東欧な雰囲気のコスチュームにゴス系メイク、黒リップ、バンジョー弾き語り。彼女自身がアート作品である。このショーの後、旅人さんは、3日後のガーディアン・エイリアンのショーに参加しないか、というオファーを頂く。
https://eartheater.org
グレッグ・バリスは、NYのコメディアンで、普段はハート・オブ・ダークネスというバンドを率いるが、今回はフォーギヴネス名義で登場。「ハローレディス・アンド・ジェントルマン、グレッグ・バリーーーース!!!」の声を合図に大暴走が続く。メンバー全員が一曲ずつヴォーカルを取り、コメディあり、客とのコール・アンド・レスポンスありで会場を盛り上げる。
gregbarris.com
11時に七尾旅人さんの登場。今日は完全にソロ。昨日来たお客さんもちらほら見えた。何日間か前に亡くなったNYの偉大なミュージシャン、ルーリードの「ウォーク・オン・ザ・ワイルド・サイド」の日本語カバーも披露し、1曲1曲拍手喝采を誘った。英語がしゃべれなくてごめん、と日本語でMCをしたり、予定時間をオーバーしても演奏が続き、旅人さんがNYで表現したかった物、思い、などが痛いほどオーディエンスに伝わってきた。
ふたつのオフィシャル・ショーの後、会場とバンドからふたつのオファーがあり、ひとつはライアンと三味線奏者(!)のトリオ、ひとつはガーディアン・エイリアンのショーにヴォーカル参加した。
著者は残念ながら、参加できなかったので(アイスランドにいた)、本人の感想がその都度、ツイッターでつぶやかれているのでご参考に。
https://twitter.com/tavito_net
フライヤーをたくさん撒いたり、共演バンドとも、たくさん話をしたが、みんな旅人さんとプレイできたのは素晴らしい経験だったとのこと。何でも自分で行うDIYなアメリカなので、実際来てプレイしてみないとはじまらない。今回はよい例だと思う。ライアンやその他のミュージシャンと旅人さんのショーの前の告知
https://www.brooklynvegan.com/archives/2013/10/japanese_artist.html
ササクレフェス2013も無事終わり、術ノ穴としては泉まくら『マイルーム・マイステージ』リリース、Fragmentとしては般若『ジレンマ feat.MACCHO(OZROSAURUS)』をプロデュースしました。
来年レーベル10周年でまた色々出しますのでよろしくですー!!
最近刺激くれたブツ5枚
![]() 1 |
Arca『&&&&&』 |
|---|---|
![]() 2 |
Four tet『Beautiful Rewind』 |
![]() 3 |
DJ Rashad『Double cup』 |
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downy『無題』 |
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MACKA-CHIN『incompleteness theorem』 |
ファック・ボタンズのライヴを初めて観たのは08年、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインをヘッドライナーに迎え、ニューヨーク州モンティセロにておこなわれた〈All Tomorrow's Parties NY〉の2日目だった。その年リリースされたばかりのファースト・アルバム『ストリート・ホーシング』を引っさげてのステージ。ところ狭しと並べられたシンセやエフェクターの前で、向かい合わせとなったアンドリュー・ハンとベンジャミン・ジョン・パワーが、お互いの繰り出すフレーズに呼応しながらインプロヴィゼーションも交えつつ、リアルタイムでサウンドスケープを構築していく。その、緊張感と多幸感が入り交じったようなパフォーマンスは、音源で聴いたときよりも格段にインパクトがあり、あっという間に夢中になったのを覚えている。そんな彼らのライヴ観たさに2年後の〈ATP NY〉にも足を運び、翌11年には待望の初来日公演も目撃した。あれから2年、アルバムとしては前作『タロット・スポート』から実に4年ぶりとなる、彼らのサード・アルバムが本作である。
ファーストではモグワイのギタリストであるジョン・カミングスと、モグワイが主宰するレーベル〈ロック・アクション〉に所属するバート・チンプのティム・セダーがレコーディング・エンジニアとして起用され、スティーヴ・アルビニ率いるシェラックのボブ・ウェストンがマスタリングを担当するという、まさに「英米ノイズ番長お墨付き」のサウンドを展開。続くセカンドでは、彼らに惚れ込んだアンドリュー・ウェザオールをプロデューサーに迎え、元々ファック・ボタンズが内包していたシューゲイザー的な要素やダンス・ミュージック的な側面を際立たせることに成功し、シンプル且つエッジの効いたサウンドへと進化していった。その後、ベンジャミンがソロ・プロジェクト、ブランク・マスを始動させたり、アンダーワールドが音楽監督を務めたロンドン五輪の開会セレモニーで“サーフ・ソーラー”と“オリンピアンズ”が起用されたりと、本体以外の部分での話題が多かったが、その間、自らの拠点となるスペース・マウンテン・スタジオをロンドンに設立するなど着々と準備を進め、前2作から一転、セルフ・プロデュースによってようやく完成させたというわけだ。
セカンドで焦点を一旦グッと絞り、自らのもっともコアな部分を研ぎ澄ませた彼らだが、ここにきて再び意識を開放し、様々な要素を貪欲に取り込んでいるのがわかる。ファースト収録曲“リブズ・アウト”の流れを汲むような、ボアダムス直系のトライバルなビートが復活した“ブレインフリーズ”で幕を開け、ライヴにおけるコラージュ、あるいはアクション・ペインティング的なインプロヴィゼーションをそのまま真空パックしたかのごとき“イヤー・オブ・ザ・ドッグ”へと続き、セカンド収録曲“ラフ・スティーズ”のヒップホップ路線をさらに突き詰めた“ザ・レッド・ウィング”から、ダブステップ的ビートをトリガーにしてインダストリアルな音色を鳴らしたような“センチエンツ”に進み、そして、『BGM』~『テクノデリック』時代のYMOが21世紀にアップデートしたような“プリンス・プライズ”と、曲ごとに色合いを大きく変えていく。本作クライマックスは、やはり10分越えの“ストーカー(Stalker)”“ヒドゥン・XS”だろう。とりわけ最終曲“ヒドゥン・XS”は、コード進行といい「静謐」と「騒擾」をダイナミックに行き来する構成といい、モグワイとの強烈なシンクロニシティを感じる。そういえば、ファック・ボタンズとモグワイはダブルヘッダーでのツアーをおこなったこともあるが(〈ロック・アクション〉からスプリット・シングルも出ている)、さぞかし凄まじいライヴだったに違いない。
ファーストで引き出しを開放し、セカンドで自らの本質を掴んだ彼らは、再び混沌の闇へと身を投げた。そこから生み出されたこれらの楽曲が、ライヴでは一体どのように轟くのだろうか。再び彼らのパフォーマンスを観る機会が訪れることを願って止まない。
![]() ![]() Dorian - midori felicity |
シャーマンはDMTで神様と交信するが、ドリアンはお茶をすすって野山を見る。彼の通算3枚目のアルバム『ミドリ』は、フライング・ロータスの前作をお茶の間ラウンジとして再現したような作品である。おびただしいカットアップによるポップアート、ダウンテンポのサイケデリック・サウンドなのだが、彼は宇宙を見ることもなければ、精神世界に向かうこともない。では、ただのイージー・リスニングかといえば、全然そうではなく、ほどよく甘美で、少しばかりドラッギーな音響がスムーズに駆け抜けていく。しかも『ミドリ』は、たんなる心地良い音響という感じでもない。エモーショナルだし、ユーモアもある。リズムは温かく、リスナーをさまざまなヴァリエーションで楽しませる。音は優しく、そして、リスナーにとっての心地良い場所を喚起する。個人的にドリーミーな音からはこのところ離れたんですけれど、はっきり言って、『ミドリ』はオススメです。
本当は、言いたいことがたくさんあって、もう喉元まで出かかっているのだけれど、僕の質問が悪く、うまく言葉を引きだせなかった……以下のインタヴューを読んでいただいて、本人の控え目な言葉の背後に、何か他とは違うものを作ってやろうという、けっこうなアンビシャス、パッションがあったことを察してていただければ幸いである。
子どものころ行ったことあるけれどもそれ以降行ってないなってところとか、こういうところが近所にあるのは知っているけれども行ったことなかったなとか、そういうところに行ってみたいなという。
■じつはドリアンくんと会うのってすごく久しぶりだよね。初めて会ったのって……覚えてます?
ドリアン:リキッドルームの……。
■いや、違う違う(笑)。
ドリアン:あ、違います?
■あれでしょ、もう4年以上前? 七尾旅人のライヴを観に行ったとき、やけのはらが紹介してくれたんだよ。「彼はドリアンくんっていって、今度いっしょにやる」って。六本木の〈スーパー・デラックス〉の階段のところで。
ドリアン:ああー、そんなに前ですか!?
■だから僕がまだ『remix』やってたころですね。
ドリアン:そうですよね。
■あのころドリアンくん、まだハタチとかそれくらいじゃない?
ドリアン:そんな前じゃないですよ(笑)! 25、6とかそれぐらいだったと思いますね。
■20歳ぐらいかと思っていた。とにかく、今日、お久しぶりに会えるのが楽しみだったんですよ。ていうかドリアンくん、生まれ、静岡のどこなんですか?
ドリアン:島田市です。
■あ、島田なんだ。いいところじゃないですか。
ドリアン:何にもないんですけれども。山と川と……以上、みたいな(笑)。
■はははは、あとちょっと、若干商店街って感じでしょう?
ドリアン:そうですね。島田市って言うとそうですね。僕はいわゆる島田市とはちょっと離れたところで。平地なんですけど藤枝寄りで。六合駅の近くですね。
■僕は静岡市なんですけど、安倍川越えて用宗よりも西側ってよくわかってないんですよ。
ドリアン:そうですよね。
■ただ、今回個人的に放っておけなかった理由のひとつは、やはりその静岡を訪れて作ったっていうところですよ。同じ静岡人として、その話をまずはお伺いしたいなと思ったんですけれども。
ドリアン:はい。静岡……これ、ちょっとわかりやすく書いてあるんで語弊がある部分もあるんですけど……。
■今回のリリースの資料を書いた小野田雄も静岡ですからね。
ドリアン:作るために訪れたと言うよりは、子どものころ行ったことあるけれどもそれ以降行ってないなってところとか、こういうところが近所にあるのは知っているけれども行ったことなかったなとか、そういうところに行ってみたいなというのも含めつつ──まあ誰と行ったとかは書かなくてもいいんですけども(笑)──ちょっと彼女と旅行に行こうと思って。じゃあ、自分がよくわかるところで、いいところで、っていうことを考えて寸又峡なんかに行ったりしたんですけれども。
■寸又峡って金谷からの電車で行くところだっけ?
ドリアン:そうですね。けっこう川根のほうで。
■川根のほうだよね。いいところですよね。秘境な感じ。あの二両しかない電車も好きだな。
ドリアン:そうですね、かなり山奥で。その頃ちょっと作りはじめていて、断片なんかはチラホラ出はじめていた頃で、それが。そのときは、ただただ作るっていう感じだったんで。落としどころとか、そういうところがあまり明確ではなかったんですけれども。その旅行が1泊2日だったんで、いろんなところをレンタカーで周ったりしてるなかで、ちょっとピンと来たというか。
■インスピレーションが沸いてきた?
ドリアン:はい。僕だと静岡の風景は具体的に浮かぶんですけど、聴いたひとにとっても、ある、そういう場所が浮かぶように、そういうものに沿って曲を置いていくというか。そういうものがしっくり来るんじゃないかな、とそのときピンと来たというか。
■自分の故郷だけれども、遠かった場所みたいな。
ドリアン:それはあると思いますね。離れることで故郷がかなり美化された部分ってあると思うんですけど、自分で。
■でも具体的に実際に行ったわけですからね。
ドリアン:はい。
■静岡って中途半端に東京と離れていて、中途半端に近くて、とにかくいろんなものが中途半端じゃないですか。
ドリアン:そうですね、中途半端ですね(笑)。
■都会じゃないし、ド田舎でもないから、あんま故郷って感じもなくて、東京出てきちゃうひとは、静岡に戻らないひとが多いでしょ? 「ま、いっか。いつでも帰れるし」と思いながらズルズル帰らないから。僕なんかもそうで、高校3年生まで静岡になんてべつに何の思い入れもなかったんだけど、久々に帰ってみると「あれ、こんなにいいところだっけかな」っていうぐらいの(笑)。
ドリアン:そうなんですよね。まさにそうなんですけれども、僕も。
■そういう感覚ってきっと誰にでもあるんでしょうね。10代って人生で一番生意気な時代だから、自分の故郷なんかたやすく愛すことなんかできないじゃない(笑)。
ドリアン:そうですね。
■若さゆえに心も広くないし。でもさ、島田って、こんなにお茶畑だらけだっけ?
ドリアン:島田はけっこうそうですね。県内でも一番生産量が多い、イコール全国で一番多い、となると思うんですけど。
■そうか、牧ノ原台地か。とにかく、お茶畑の風景がドリアンくんの原風景じゃないけど、なんか見直してみたらこんなに良かったんだ、みたいな。
ドリアン:そうです、そうです。
■あそこから富士山って見える?
ドリアン:見えます。これはちょっとデフォルメされすぎですけど、この半分ぐらいには見えますね。
■富士山、でかいからね、当たり前だけど(笑)。で、さっき言ってたみたいに、ドライヴしながらインスピレーションを受けて、これをひとつテーマにしようと思ったんだろうけど、今回の音楽をそこからどういう風に具現化していった、曲として落とし込んでいったんでしょう? 小野田雄はドリアンが「自宅で好んで聴いていたというマーティン・デニーとかレス・バクスター云々」とかってことを書いてますけど、それはあったの?
ドリアン:ええ。そうですね……。
■小野田雄、テキトーなことを書いてるわけではない(笑)?
ドリアン:いや、すごくわかりやすく言うと、そういうことだと思うんですよね。
■はははは。じゃあ、いいんだ。ただ、今回のアルバムは、いろいろ言えちゃうよね。ラウンジ・ミュージックとかね。ダウンテンポとか、カットアップとか。でも、たしかに小野田雄が言う通り、景色が浮かぶ音楽ですよね。
ドリアン:ああ、そう言ってもらえると。
■1曲目に使ってるのは(映画の)『男と女』のフレーズ? 「ダバダバダ~」ってやつ。(註:フランシス・レイ作曲)
ドリアン:ああー、そういうことですよね。でも、全然それではないですけど。
■ただ似てるっていうだけか。
ドリアン:そう言われてみれば似てますね。でもそれとは全然関係ない、100円ぐらいで売ってるようないわゆる「ムード大全集」みたいな、そういうタイプのレコードには同じような曲しか入ってないっていう。そういうなかにあった音色というか、それを使ったというか。曲のなかでこのフレーズが良かったからこれ使おう、って感じではやってないんで。いったん全体像みたいなものとか構成とかを頭のなかでまずイメージして作って、紙か何かに書いて、で、曲のキーやテンポやコード進行なんかも決めて、こういう音色でこういうコードがいいってことを決めてからサンプル回すってことをやってたんで。
■なるほど、では制作する上で今回すごくキーになったことって何かある? ひとつはサンプリングのやり方みたいなもの?
ドリアン:やり方もそうですし、サンプリングそのものですね。僕いままで、サンプリングを主体にした作り方っていうのをほとんどしてこなかったので。ファーストとか、それより前もそういうことはしてこなかった、っていうのはあったので。
■ドリアンくんのイメージってディスコとか、ダンス・ミュージックって強かったから。今回はガラリと方向性を変えましたよね。言うなれば、ドリアンくん流のイージー・リスニングだよね。小野田雄は「エキゾチカ」とか「チルアウト」とか、いろいろと書いてますけどね。イージー・リスニングみたいなものは自分のリスニング経験としてはあったの?
ドリアン:ほんとここ1年、2年の話ですね。
■たとえばボサノヴァのギターも入ってたりするじゃない。ああいったブラジル音楽的なものとかさ。
ドリアン:ボサノヴァに関しては、10年ぐらい前に少し興味を持ったことがあって。そんな詳しい話ではないんですけど、少しなぞった程度に名盤みたいなものを買っていろいろ聴いてた時期があって。「いつかこういうのがやれたらいいな」ってことは頭の片隅にはあったんですね。だから音楽の、なんていうか楽典的な部分というか、そういったものはかなり高度な音楽だとは思うんですよね。そういうものもその当時は追いついてなかったっていうのもあって、やろうにもできない部分もあったりとか。今回こういうものを作るにあたっていろいろとピンと来たものがあったので。そのなかで思い出して、「あ、いまだったら、あれができるかもしれない」みたいなことも思って。
■ちょっとネオアコっぽいところも好きだな。
ドリアン:あ、ほんとですか。
■意識した?
ドリアン:ああー、ネオアコとかそういったものに関しては、僕はかなり通ってないですね。たしかに、そういったことを言われるんですけど、いままでも。たとえば一番近くのやけさんなんかにも、「そういう感じあるよ」っていうことを言われて。だけど本人はとくに通っていないという。
[[SplitPage]]ダンス・ミュージックだろうがJ-POPだろうが、けっこう共通して同じような質感になってきてるなって。それでいいのかな、みたいなことは思ってましたけど。いいならいいんですけど、僕は「それはちょっとな」って思ったりとか。
![]() ![]() Dorian - midori felicity |
■ドリアンくんは最初からダンス・ミュージック?
ドリアン:本っ当に一番最初を言うと、小室哲哉とかTMネットワークとか……。中学生で、小室哲哉ぐらいしか指標がなかったんですけど、そのころ。知識もないし田舎ですし、やっていることを聞いているとtrfをやってたりして。そういうののリミックス盤が出てたりして。要はレイヴみたいなものをそこから知っていった、みたいなことがあったりして。基本的にはそこからジュリアナのコンピとかを借りたりして……。
■それはすごい(笑)。
ドリアン:で、そのなかでカッコいいものを吸収して、「ああー、これか」みたいな。ハウスみたいなものとか、ジャングルであったりとか。そういう風になっていったんですけど。
■なるほど。直球でダンス・ミュージックだったんだね、ほんとに。では、こういったエキゾチック・ミュージックっていうかさ、イージー・リスニング的なものっていうのは、ほんとにごく最近のドリアンくんのモードなんだ?
ドリアン:そうですね。でも、そのきっかけみたいなものをほんとに掘り下げていくと、中学校のときに隣の席の女の子が好きだったんですけど。僕そのころ打ち込みをはじめてて、たぶん優越感を感じてたんだと思うんですけど、ほかのひとがやってないから。
■はいはいはい。
ドリアン:で、僕は音楽を詳しいはずだと思い込んでて。その子に「どういう音楽聴くの?」ってそういう話をしたら、「私テイ・トウワ好きなんだよね」ということを言われて。「ヤバい、何にも知らないぞ」みたいなことを思って。
■シャレてるねー。
ドリアン:「新しいの全然聴いてないから、貸してもらえる?」みたいなことを言われて、知ってる体で。「これは……」みたいなことを思って。もしかしたら、そこが最初かもしれないですね。もし、これと共通するものがあるとしたら。
■なるほど、なるほど。たしかにテイさんの音楽にはそういう要素もあるもんね。それはテイ・トウワのどのアルバムだったの?
ドリアン:借りたのは、『Sound Museum』だったんですけれど、帯の裏にはファーストも出てるよ、みたいなこともあったと思うんですけど。「そうか、これを知らないとほんとに知らないことになるからマズいな」と借りに行ったりしたんですけど。『Future Listening!』とか。
■へえー。やっぱりそれは、打ち込みをはじめたばかりの少年の耳でテイさんなんかを聴くとショッキングなものなの?
ドリアン:そうですね。
■どの辺りが? やっぱりサンプリング?
ドリアン:サンプリングもそうですし……サンプリングはサンプリングでも、あのジリッとした質感とか、ビットの低いものであったりとか。サンプリングっていうとヒップホップの要素があると思うんですけど、ヒップホップのイメージしかなかったので、たとえばファンクだとかソウルだとかジャズだとか、そういうものをサンプリングするものなんだっていう固定観念はあったので。「あ、べつに何でもいいんだ」ってことを思ったりはありましたね。
■ああー、なるほど。
ドリアン:あと楽典的な知識もかなり少なかったので。ドミソとかそういうものぐらいしかわからなかったんですけど、4つとか5つの和音が普通に入ってて、「この響きは何だ」とかそういうものはありましたけれども。
■とにかく、ずっとダンス・ミュージックで来て、ここ1年ぐらいでこういったイージー・リスニングというかね、今回のアルバムみたいなモードのきっかけはあったんですか?
ドリアン:まずは、いままでみたいな感じのものに対する疑問は、2枚目(『studio vacation』)ができた辺りからちょっと感じてたんですよね。もうちょっと違うラインを模索したいなっていう気持ちはけっこう大きくなっていて。そのおかげでいろいろとお話をもらったりとかはあって、それはありがたいことなんですけど。
■まあ仕事として。
ドリアン:そうですね。だからそういうものも作っていたんですけど。
■それは何? ダンスに疲れたっていう感覚なの?
ドリアン:ダンスに疲れた……? もちろんクラブに行って、遊んで踊ってっていうのは変わらず好きなことではありますし、これからも自分のなかでは続いていくことだとは思うんですけれども。やっぱり家でそういうものに向き合うのは正直ちょっとしんどくなってきた。
■(笑)あ、でも逆に年取ると、家でしかそういうものと向き合いたくなくなってくるよ。俺ぐらいにまでなってくると(笑)。
ドリアン:(笑)行きたくなくなってくるってことですか?
■気持ちにカラダが付いていかないんだとね。夜の2時まで起きてられるのがやっとというか。悲しいことに……いや、悲しくはないんだけど、全然。
ドリアン:あとは、やけさんのライヴは僕もいなければできないみたいな形になってるんで、やけさんのライヴでいろんなところへ行っていろんな方面でやるようになったりすると、それで忙しくなったりもして。やっぱ、クラブの比率っていうのがけっこう少なくなっていたっていうのもあって。バンドでやったりとか、まあバンドに限らずダンス・ミュージック以外のいろんなところでやることも増えて。やっぱり、自然と聴き方とか受け取り方とかもどんどん変わっていったと思いますね。
■なるほど、幅が広がったということですね。作り手としてそこは意識しました?
ドリアン:それももちろんしましたね、はい。
■アゲる音じゃなくて、落ち着かせる音じゃないですか、今回は。
ドリアン:そうですね。
■で、そういう平穏さっていうのはドリアンくん自身のなかでも求めてたようなところはあるのかな?
ドリアン:そうですね、はい。基本的にもう……疲れてるから。
■ははははは!
ドリアン:そういうところはありましたね。
■自分自身がそういうものを求めているからっていう。
ドリアン:そうですね。あと、これがすごく独特で、個性的で、他にはないものっていう風には思わないですけど。こういうタイプの音楽っていうのは、世のなかには他にも全然あると思うんですけど。それにしたって全部同じような曲ばっかりだよな、みたいなことは思っていて。世のなかが。そういうことも思ってましたね。曲のタイプっていうことに限らず、なんかもう質感そのものが全部同じに聞こえるなっていうのは思ったんですよね。
■なるほどね。
ドリアン:ダンス・ミュージックだろうがJ-POPだろうが、けっこう共通して同じような質感になってきてるなって。それでいいのかな、みたいなことは思ってましたけど。いいならいいんですけど、僕は「それはちょっとな」って思ったりとか。
■僕は静岡という中途半端な街とはいえ、飲み屋とかパチンコ屋とか映画館が並んでいる歓楽街で育ったので。街って全然嫌いじゃないんですけども。でも渋谷とか、東京の街が最近すごくうるさくなったじゃないですか。宣伝カーとか、電子広告とかね。ほんとにやかましいな、っていうのがあって。若いひとたちが最近、自分たちの感覚でこういう「反やかましくない音楽」をやりはじめてるのが僕は興味深いなとずっと思ってたんですよね。
ドリアン:渋谷歩いていて入ってくる音に関しても、全部お金が絡んでいるように思えて。
■まあ実際そうだしね(笑)。
ドリアン:すごいなあ、って。
■街宣車と同じぐらいうるさいよね、音楽がんがん鳴らしてる宣伝のトラック。
ドリアン:ほんとにそうなんですよね。もう、すでに音楽でもないっていうか。そう思っちゃいますよね。こんなエラそうなこと言っていいかわかんないですけど。
■ガンガン言いましょうよ。
ドリアン:(笑)
■『midori』っていうこのタイトルは、たぶんだけど茶畑の緑から来てるの?
ドリアン:いやこれは、個人的には意味があるようなないような、なんですけど。ほんとはもっと他のタイトルも考えてたんですけど。いままでのように、「なんとか・なんとか」みたいな。ちょっと説明的な。そういう感じで考えてたんですけど、かなり迷路に入ってしまって。それでどうしようかって考えると、曲を作っていたときに頭にぼんやり浮かんでいたイメージが大体緑色のものだったんですよ。なんか音楽やってるひとっぽい言い方でヤですけど。
■ははははは!
ドリアン:(笑)共通してそういうイメージがあったんで、じゃあこれは「緑」だろう、と。そんなにイチイチ説明する、これは具体的に○○ですとか、いうようなものじゃなくてもいいと思って。なんかもう、ありとあらゆるものが、「これは●●です」、「これは△△です」ってわからないとダメみたいな。
■わからないって良いよね。徹底してわからないってことは重要だよね。
ドリアン:「だからもうちょっと、自分で考えろ」みたいなことは思うんですよね。
■小野田雄が書いてるように、現代のマーティン・デニーって言い方もあるのかもね。でもさ、イージー・リスニングは当時はバチェラー・パッド・ミュージック──「独身者の音楽」って言って、50年代から60年代にかけて、小金があってまだ結婚していない独身の男が家に帰って酒を飲みながらリラックスして楽しむみたいなものだったから、セクシーな女がジャケットに載ってたりするでしょ。でも、この『midori』は、そういう独身者の音楽でもなければニューエイジでもなければ美化された日本でもなく、新幹線から見えるすごく平凡な日本の「緑」って感じがして、それがいいなって。
ドリアン:ツツジなんかも植え込みとかに普通に生えてますもんね。
■そういうことも考えてやられたのかなって。
ドリアン:いま言われると思いますけど、そこまで考えてなかったかもしれない。なんかでも、ジャケットのイメージとしては実際にとある場所があるんですけど。そこをモチーフに手を加えてって感じになりましたね。
■これは大井川鉄道でしょ?
ドリアン:これ大井川鉄道ですね。ほんとならこの辺に走ってるはずなんですけど。
■ははははは。
ドリアン:そういう位置関係ですけど。
■とにかく、マーティン・デニー風なセクシーな女性があってもおかしくはない音なわけじゃない。商品としてはそれでも成り立つと思うし。でも、『midori』の新しさって、この絵が象徴してるかなって。
ドリアン:たしかにそれぞれの曲の風景のなかで、ひとが出てくることはないですよね。詞があるわけじゃないから一概にそういうことは言えないし、そういうことを言ってしまうことで聴くひとに固定観念を与えてしまうのもちょっと怖いんですけれども、個人的には主人公から見た景色でしかないので。ひとが登場することはない。
■このサイケ感ってけして60年代的なサイケ感ではないし、ああいうイージー・リスニング的なスタイリッシュなものも拒否してるし、もうちょっとリアルな感じが……リアルと言ったらサイケな感じとまったく矛盾してるけど(笑)。
ドリアン:わかりますけどね(笑)
■日常と地続きなサイケ感がよく出てると思ったんですよね。そこが僕は好きです。
ドリアン:ありがとうございます。
■そこは狙ったんでしょ?
ドリアン:はい、そうですね。サイケ感……それはまあ、結果的にそういう風に見えるっていうところがあるんですけれども。何て言ったらいいんですかねえ……狙ったような……。
■じゃあ意図せずに、気がついてみたらこうなってたって感じなんだ?
ドリアン:イメージとしてはこういうジャケットがいい、っていうのが漠然とあった。以上。みたいなところがあるんですけれども。
■直感的だったんだ。
ドリアン:はい、そうですね。女のひと的なことを言ったらこっちのなかに入ってますけど。
■何が?
ドリアン:いや女のひとが。
■(笑)あ、アー写にね。このアー写いいよね。
ドリアン:そうですね。静岡だし、お茶だし、ということですね。構図とか設定だとかは、写真を撮ってくれている寺沢美遊ちゃんが考えてくれて。
■へえー、なるほどね。なんか、お茶割を飲みたくなりますよね(笑)
ドリアン:あ、ほんとですか(笑)。それは飲んでください。
[[SplitPage]]すべて均一化してきてる気がするんですよね。服装だってそうだと思いますし、食べるものだってそうだと思いますし。生活する行動のラインもそうだと思いますし。でも音楽もさっき言ったようにそうだと思うし。
![]() ![]() Dorian - midori felicity |
■またしても小野田雄が資料に、これは「ネイチャー・トリップだ」なんて適当なことを書いてますけど、そうなんですか?
ドリアン:うーーーーん。
■「気の遠くなるようなパズルに興じながら、彼が描こうと試みたのは架空のネイチャー・トリップだ。」と(笑)。
ドリアン:まあ、「気が遠くなるようなパズルには興じ」ましたけど。
■おおーー(笑)
ドリアン:まあそう捉えてくれても……。
■90年代にもこういうラウンジ風の音がクラブで流行ったことがあって、僕は好きだったんですけど、その時代のラウンジ・ミュージックってドラッギーだったんですよね。
ドリアン:あ、なるほど。
■いわゆるハマり系な音が入っていて。ジェントル・ピープルみたいなものとか。それに比べるとすごく、小野田雄が言ってるネイチャー・トリップっていう意味もわからなくはない。さすが小野田雄だ。
ドリアン:べつにそれでもいいと思うんですけど。べつにそうじゃないとも言おうとも思わないんで。
■でもほんといいアルバムだよ、これ。これたぶん、好きなひと多いと思いますよ。
ドリアン:ほんとですか。それだといいんですけどねえ。いままでのものは拒否感を持つひとはだいぶ拒否感持つタイプの音楽だったとは思います。
■アッパーなダンスのドリアンを期待してるひとからすると裏切られた蟹になるかもだけど、そこを裏切りたかったわけでしょう?
ドリアン:そうですね。それこそ何て言うか……。
■小野田雄は何でもかんでもバレアリックにするからね。ほら、これも「バレアリックだ」って書いているよ。(地中海じゃなくて)駿河湾だっていうのにね。
ドリアン:はははははは。
■でも、たしかにこれはバレアリックですよ。
ドリアン:でもほんと、何でもいいとは思っていて。どういう風に受け取ってくれても。
■まあそうだけどさ。でもどういう風に受け取ってもらってもいいけど、俺はこれを作りたかったんだってことだよね。
ドリアン:そうですね。
■でもほんとすごくいい作品ですよ。
ドリアン:ほんとですか(笑)。
■いや、マジマジ。聴いた瞬間、すげーいいじゃんと思って。
ドリアン:ありがとうございます。
■ドリアンくんってこんな音楽作ってたんだと思って、昔の聴き直したらやっぱ違ってた(笑)。
ドリアン:そうなんですよね。
■面白いよね。
ドリアン:何て言うか、すべて均一化してきてる気がするんですよね。服装だってそうだと思いますし、食べるものだってそうだと思いますし。生活する行動のラインもそうだと思いますし。でも音楽もさっき言ったようにそうだと思うし。
■とくにネットって、ひとと違うことを言ったりすると叩くじゃない。
ドリアン:そうでしょうねえ。
■音楽やってるひとは元々変わり者っていうか、ひとの目を気にせず生きていくようなね。
ドリアン:そう思うんですけど、それなのに音楽まで同じように聞こえるようになってる。それは僕がだんだん年を取っているっていうこともひとつの原因だと思うんですけども。それにしても、っていう風に。
■そういう意味では今回のアルバムは逆に、メッセージになってますよ。
ドリアン:エラそうかもしれませんが(笑)
■もっとエラそうなこと言おうよ(笑)。
ドリアン:ありがとうございます。
■ところでなんでドリアンって名前にしたの?
ドリアン:ああー。これは僕がつけたわけではないんですけれども。DJとかをはじめたときに、友だちが「フライヤー作るけど、名前何にする?」って聞かれて、「あ、そうか」って。べつに本名でも良かったんですけど、「じゃあせっかくだから考えるよ」って言って。で、そのときいっしょに住んでるひとがいたんですけど、隣の部屋に行って、「いまこういう電話が来たんだけど、何がいいと思うかな?」って言ったら1秒ぐらいで「ドリアン」って言われて。「じゃあそれで!」って。なんか、覚えやすいしいいかな、って。
■はははは。
ドリアン:しかもそんなに長く続けるつもりもなかった。
■DJをはじめたころは、どんなスタイルだったんですか?
ドリアン:僕、ありがちなんですけど、普通に〈RAW LIFE〉にやられた世代なんですよ。
■なるほど。それで小野田雄なんだね。
ドリアン:はい。だからその当時のきてた感じというか、コズミック的なものだったり、ディスコ・ダブと言われるものであったりとか。そういうところから入って。
■へー、そうだったんだね。今日はどうもありがとうございました。
ドリアン:ありがとうございました!
ドリアンは、文中に出てくる優しい男=小野田雄、そしてエレキングでDJチャートをかき集めてくれる暑苦しい男=五十嵐慎太郎と同じ静岡人である。ドリアン君、もっともっとCDを売って、いつか僕たちを見下してください。黒はんぺんを食べながら、お互いがんばりましょう。
2010年代前半は、多くの同性愛者たちにとって激動の時代であったと……のちに振り返られることになる予感がする。英米仏をはじめとる、同性婚の是非の議論、あるいはロシアやウガンダでの同性愛者弾圧とそれに対する抵抗運動など、話題に事欠かないからだ。まあ、日本はそこから取り残されているわけだが……、ひとまずここでは、そんな時代を象徴する1本のアメリカ映画について取り上げよう。
今年はスティーヴン・ソダーバーグ監督作品の当たり年で、日本で公開されるのは『マジック・マイク』、『サイド・エフェクト』、そして本作『恋するリベラーチェ』で3本目であり、そしてそれらすべての水準が高い。テクニックは抜群ながらもどうにも器用貧乏に見えなくもないソダーバーグだが、劇場映画の監督を引退すると表明してから開き直ったのだろうか(本作はテレビ映画であり、今後は拠点をそちらに移すらしい)、なかなかどうしてここのところ悪くない。いや率直に言って、面白い。
『チェ』二部作以降辺りからソダーバーグはアメリカの近現代史を様々なアングルで捉えているようなところがあり、たとえば『チェ』は資本主義の揺らぎをアメリカの国内外から同時に映したような作品であったし、『ガールフレンド・エクスペリエンス』はリーマン・ショックを擬似的なドキュメンタリーのようにしながら後景にし、『インフォーマント!』では企業社会と資本主義の歪みを、『コンテイジョン』ではグローバリズムと格差を取り上げ、『エイジェント・マロリー』……は置いといて、『マジック・マイク』は高度資本主義社会に「それでも」乗る人間と降りる人間との分岐を、そして『サイド・エフェクト』は精神疾患さえも市場に飲み込まれていく様を描いていた。そして程度の差はあれどすべての作品において、冷たい肌触りが貫かれている(なかでも『コンテイジョン』の冷徹さは出色)。

本作『恋するリベラーチェ』は1950~70年代に絶大な人気を博したステージ・ピアニスト、リベラーチェのプライヴェートを描いており、すなわち彼と同性の恋人との愛憎に満ちた年月についてを映し出している。同性愛者の人生をテーマにしたのはそれがアメリカにおいてタイムリーであるからに違いなく、さらにそのなかでもリベラーチェを選んだところにソダーバーグの利口さが見える。ユーチューブなどで検索すればいくつか出てくるだろうが、彼のステージというのがまずとんでもない。宝塚歌劇団以上に絢爛な衣装を身にまとい、舞い、そしてそれ以上ないほどデコレートされたピアノの鍵盤を叩きまくる。その派手なステージングによって悪趣味の代名詞ともされたリベラーチェだが、この映画を観ると、彼自身そのことを自覚した上で楽しんでいたようである。宮殿のような邸宅での、虚飾にまみれた日々も含めて。
しかし同性愛者であることを、彼は楽しんでいなかったようだ。いや、もちろん、好き放題のセックスはつねにそこにあった。が、それはあくまでクローゼットな愉しみであって、徹底して彼はゲイであることを世間に隠していた。ここでは、おばちゃんみたいなカツラをかぶるマイケル・ダグラスとムッチムチのマット・デイモンの奇妙な、しかしごく真っ当な蜜月の日々とその破綻が語られていく。そして映画の後半、デイモン演じる恋人と裁判沙汰になるとき、ふたりの生活は婚姻関係と同質のものであったと振り返られる。さらに時が過ぎ、エイズがアウティング(性的志向を当事者以外が暴露すること)する彼の秘密……。すなわち、この映画では現代に至るまでの同性愛者たちの前史が、いくらかの感傷とともに確認されていくのである。ごつい指輪をいくつもはめたリベラーチェの姿がどれだけ下品で悪趣味であろうとも、そうして死んでいく彼の姿は、自らのアイデンティティを封印したまま刹那的な性行為を重ね、歴史の隙間に消えていった数多の同性愛者たちと何ら変わらない。だからだろうか、映画の終わりはソダーバーグ映画らしからぬセンチメントが漂っている。
たとえば同性婚やカミングアウトが議論されるとき、同性愛はセックスの嗜好に過ぎないのだから、表立って語られるものではないと言われるときがしばしばある。しかしそれはひどい話で、「セックス以外」の同性愛者たちの生活だって当然あるわけである。欧米で有名無名を問わずにゲイたちがカミングアウトを続けるのは、セックス以外の……いや、セックスを含めた人生について、次の扉を開くためだ。そしてそれは、自分の人生だけに向けたものではない……けっして出会うことのない同性愛者たちのクローゼットの扉さえも開くことにもなる。 ヘイト・クライムであるとか、シャレにならない現実だってあるわけだし。
さて日本では、ブレイディみかこさんが『アナキズム・イン・ザ・UK』の「ミッフィーの×と『初戀』」の項で引用している岩佐浩樹氏の発言の通り、「日本で暮らしているとどうも、社会的にはクローゼットなままで「なんとなく」ゲイでも大丈夫っぽい、という薄気味悪い感じがある」。わかりやすく目に見えるホモフォビアもないが、だからと言って10代の少年がクラスメイトにカミングアウトできるような社会とはほど遠い。昨年のフランク・オーシャンのカミングアウトに胸を打たれて以来僕はずっとその理由について考えているが、回答はまだしばらく見つかりそうもない。……ないのだがしかし、この映画のマイケル・ダグラスの悟ったような慈愛に満ちた笑顔を見ていると、リベラーチェの亡霊がクローゼットに消えた魂を引き連れて、やがて「ここ」にやって来るような気がしてくるのである。
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