「Beautiful」と一致するもの

WIRED CLASH - ele-king

 日本最大規模のテクノ・パーティのワイヤーとクラッシュのコラボレーション・イベント、ワイヤード・クラッシュの開催が今月24日に迫るなか、リッチー・ホゥティンやレディオ・スレイヴらスターDJに加えて、さらに石野卓球とケン・イシイがB2Bで出演することが発表された。長年日本テクノ代表を務めてきたふたりの共演を、是非スタジオ・コーストの音響で。DJソデヤマといった先鋭的なプレイヤーから、東京のローカルで活躍するスンダまで実に多彩な顔ぶれが揃っており、4つのステージを往復するのに忙しくなりそうだ。詳細は以下の通り。


HOUSE OF LIQUID - 15th ANNIVERSARY - ele-king

 目下注目のバンド、ゴートの今年出したアルバム・タイトルが『リズム&サウンド』、そう、ベルリンのミニマルにおけるひとつの頂点となったベーシック・チャンネル(レーベル名であり、プロジェクト名)の別名義からの引用である。ボクは、そして彼に、つまりゴートの日野浩志郎に、ベーシック・チャンネルのふたりのうちのどちらにより共感を覚えるのかと訊いたら彼は「モーリッツ」と答えたのだった。(もうひとりのオリジナル・メンバー、マーク・エルネトゥス派かと思っていたので、この答えはボクには意外だった)
 モーリッツ・フォン・オズワルドは、トリオとして、今年は、アフロビートの父親トニー・アレンの生ドラミングをフィーチャーした新作『サウンディング・ラインズ』をリリース、相変わらずのクオリティの高さを見せたばかりだ。注目の来日となる。

 なお、共演者には、先日素晴らしいアルバム『Remember the Life Is Beautiful』を出したばかりのGONNO、そして、日本のミニマリスト代表AOKI takamasaとベテランのムードマン

9.18 fri @ LIQUIDROOM
feat. dj
Moritz Von Osawld
GONNO (Mule Musiq, WC, Merkur, International Feel)
MOODMAN (HOUSE OF LIQUID, GODFATHER, SLOWMOTION)
feat. live
AOKI takamasa (Raster-Noton, op.disc, A.M.) and more to be announced!!

Open/ Start 23:00
Advance 3,000yen, Door 3,500yen (with Flyer 3,000yen), 2,500yen (Under25, Door Only)
Ticket Outlets: PIA (273-309), LAWSON (71728), e+ (epus.jp), DISK UNIOIN (Shibuya Club Music Shop/ Shinjuku Club Music Shop/ Shimokitazawa Club Music Shop/ Kichijoji/ Ochanomizu-Ekimae/ Ikebukuro), JET SET TOKYO, Lighthouse Records, TECHNIQUE, clubberia, RA, LIQUIDROOM
※ 20歳未満の方のご入場はお断り致します。年齢確認のため、顔写真付きの公的身分証明書をご持参ください。
You must be 20 and over with photo ID.
Information: LIQUIDROOM 03-5464-0800 https://www.liquidroom.net

9.19 sat @ 大阪 心斎橋 CIRCUS
出演:Mortitz von Oswald, DJ Yogurt (Upsets, Upset Recordings), SEKITOVA
Open/ Start 22:00
Advance ¥2,500, Door ¥3,000 共に別途1ドリンク
Information: 06-6241-3822 (CIRCUS) https://circus-osaka.com

モーリッツ・フォン・オズワルト・トリオ
サウンディング・ラインズ


Pヴァイン

Amazon


Andras Fox - ele-king

 オーストラリアはメルボルンを拠点に活動するアンドリュー・ウィルソン(Andrew Wilson)によるソロ・プロジェクト、アンドラス・フォックス(Andras Fox)の日本独自の編集盤CD。もともとさまざまなレーベルからリリースされていたアナログ盤シングルを集約したディスク1と、アート・ウィルソン(A.r.t Wilson)名義で発表されたニューエイジ・リヴァイヴァルの名作『オーヴァーワールド(Overworld)』をそのまま収録したディスク2という2枚組のボリュームで、彼の音楽性の全体像が網羅できてしまう、なかなか素晴らしい企画です。

 ビューティフル・スイマーズ(Beautiful Swimmers)~フューチャー・タイムズ(Future Times)周辺のバレアリックなアーリー・ハウス・サウンドや、PPUにも通じる80’s シンセ・ブギー~フュージョンが展開されるディスク1は、ヴィンテージなアナログ・シンセの醸し出す穏やかな雰囲気に、相方のオスカー(Oscar)によるソウルフルなヴォーカル曲もあり、メロディアスで聴きやすいダンス・トラックが中心。USインディの名門〈メキシカン・サマー(Mexican Summer)〉からリリースされたEP『ヴァイブレート・オン・サイレント(Vibrate On Silent)』のアートワークをぜひチェックしてもらいたいのですが、その海辺の風景をブルーにプリントした哀愁アートワークの世界観そのまま、かなりAORな用途というか、都会的でちょっとアンニュイな気分に浸らせてくれるBGMの趣きです。

 ディスク2の『オーヴァーワールド(Overworld)』は、アナログ盤のリリース当初から愛聴していたのですが、同作の名義アート・ウィルソンとアンドラス・フォックス(Andras Fox)が同一人物であることに気がついたのは、じつは随分たってからのことでした(こちらも参照)。オブスキュアなアンビエント・ジャズ、マージ(Merge)の音源を発掘したレーベル〈グローイング・ビン(Growing Bin)〉から発表されたこともあり、てっきり80年代の超マイナー・アンビエントのリイシューだと思いこんでしまい、「あら、なんて時代にジャストな音!」と興奮……。よもや現行アーティストとはね。しかしそんな勘違いも頷いてもらえるであろう、ノスタルジックな風情を極めた心地よいニューエイジ・サウンドに、ツボを心得たインスタントB級フィーリング。あのレア盤の醸す独自の雰囲気までしっかりトーレスしております。どうやら彼自身が相当に熱心なレコード・ディガーでもあるようで、つまりすべて巧妙に狙いすました仕掛けとすると、なんだか途端にちょっと憎たらしいかもしれません。それほどによく出来ています。

 さて、僕にとってアンドラス・フォックスの楽しみ方は、幼少期の原風景にあったバブル期アーバン・リゾートの熱帯魚的イメージと、その地点から夢見た未来像の再提示。忘れさられたロスト・フューチャーの記憶を呼び覚ます媒介。そういう意味では完全にヴェイパーウェーヴ同様のエスケーピズムです。試しにリニューアルした品川のEPSONの水族館あたりで聴いてみると、推しのインタラクティブ展示のアーリー90'sセンス(いやー、文明って本当に退行するのね)と相俟ってなかなか乙なマッチングが得られます。さらにオススメの聴き方は、ちょっと奮発してシンガポールあたりまで行ってみる。マリーナ・ベイ・サンズなんて、まさにアーバン・フューチャーそのまんまの超絶ロケーションですからね、最高に気持ちよくハマりますし、もう斜陽の国には帰りたくないなって思っちゃう。なんてことをね、井の頭線の終電で考えております。


DJ TASAKA
UpRight

UpRight Rec.

Tower HMV Amazon

 DJ TASAKA、4枚めのアルバム『UpRight』の発売を目前に、今週末にはリリース・パーティが開催される。「国会前でのハードなプロテストのアフターとしても、2015年夏の幕開けに相応しい、スペシャルな夜になりそうだ」(久保憲司)。パーティは映画上映からはじまるなど、作品同様、丁寧にコンセプトされていることがうかがわれる。会場ではアルバムの先行販売も予定、みなさんもよき夜を。

■BLEND is beautiful presents
ACT UP RIGHT

7.17 FRI OPEN 22:00
at SOUND WAVE BE-WAVE
1-15-9 Kabukicho Shinjuku 03-5292-0853
2,000yen at door

PART 1 22:30~
UNITED IN ANGER A HISTORY of ACT UP 映画上映(日本語字幕付き)
HIV/AIDSの時代を生き抜くために、人種や階級ジェンダーの枠を超えて力を合わせて社会の変革に挑んだ人々、ACT UPの非暴力抵抗運動は、HIV/AIDS危機にある米国政府やマスメディアを動かした。このドキュメンタリーは、大切な人を失う哀しみを育み、人とのつながりの中で生きる力を持ち、セクシーでエネルギッシュなACT UPの姿を映し出す。
監督:ジム・ハバード Jim Hubbard プロデューサー:サラ・シュルマン Sarah Schulman

PART2 24:00~
B1F
DJ TASAKA long set, Kinue Itagaki Yoshino, MC JOE

LOUNGE DJ
Lark Chillout, KUMA the SURESHOT, showgunn

FOOD
True Parrot Feeding Service

SHOP
DJ TASAKA アルバム先行発売。ZINE希望的工具販売。


一夜限りの貴重ライヴ - ele-king

 結成31年。ザ・ウォーターボーイズが新作を携えて来日、初となる単独来日公演を行う。アイリッシュ・トラッドへの傾倒をひたむきに作品化してきたマイク・スコットの仕事は、ニューウェイヴ世代ばかりでなく、あまねく音楽ファンに愛されるべき。ele-kingでもインタヴューを公開予定です。ぜひ彼の音と言葉に触れ、来日までの時間を豊かにふくらませてみてください──。

PEALOUTの近藤智洋も参加した、ウォーターボーイズの約4年ぶりとなる新作がリリース!
4月には東京にて初の単独公演が決定!
期間限定で全曲試聴も!

 今年で結成31年を迎える大御所バンド、ウォーターボーイズ。ケルティック・フォーク、アイルランド伝統音楽、プログレ、カントリー、ゴスペルなどからの影響を受けたその独自の音楽性、そしてスコットランドの吟遊詩人とも評される歌詞は国内外で高い評価を受けている。

 今年のフジロックではバンドとして念願の初来日も果たした彼らの4年ぶりとなる新作『モダン・ブルース』が、1月14日(水)に発売を迎える。国内盤は1週間先行リリースのうえ、2曲のボーナストラックを収録。
 また今作には、PEALOUT時代に「フィッシャーマンズ・ブルース」のカヴァーを演ったことでマイク自身とも親交のある近藤智洋の演奏が使用されている。

 そんな中、アルバム発売に先駆けてさらに嬉しい情報が入ってきた! なんとウォーターボーイズにとって初となる単独来日公演が東京にて4月に開催されることが決定したのだ。1夜限りの貴重なライヴとなっているので、この機会をお見逃しなく!

 また、現在期間限定でニュー・アルバム『モダン・ブルース』の全曲試聴を実施しているので要チェック!

ウォーターボーイズアルバム全曲試聴はこちら:


■公演情報
2015/4/6 (月) 渋谷クラブクアトロ
open18:30/ start 19:30 ¥8,000(前売/1ドリンク別)
お問い合わせ:03-3444-6751(SMASH)
※未就学児童の入場は出来ません。

チケット情報
主催者先行予約:1/27(火)スタート予定
2/7(土)プレイガイド発売開始予定
※共に詳細は1/20(火)に発表


Amazon Tower Amazon

■アルバム情報
アーティスト名:The Waterboys(ウォーターボーイズ)
タイトル:Modern Blues(モダン・ブルース)
レーベル:Kobalt
品番: HSE-60200
発売日:2015年1月14日(水)
※日本先行発売、ボーナストラック2曲、歌詞対訳、ライナーノーツ 付

<トラックリスト>
1.Destinies Entwined
2.November Tale
3.Still A Freak
4.I Can See Elvis
5.The Girl Who Slept For Scotland
6.Rosalind You Married The Wrong Girl
7.Beautiful Now
8.Nearest Thing To Hip
9.Long Strange Golden Road
10. Louie's Dead Body (Is Lying Right There)*
11. Colonel Parker's Ascent Into Heaven*
*日本盤ボーナストラック

※新曲「Destinies Entwined」iTunes配信中&アルバム予約受付中!(高音質Mastered For iTunes仕様)
https://itunes.apple.com/jp/album/modern-blues/id946840347?at=11lwRX

■ショートバイオグラフィー
1983年結成、英国エジンバラ出身のマイク・スコットを中心としたUKロック・バンド。ケルティック・フォーク、アイルランド伝統音楽、プログレ、カントリー、ゴスペルなどの影響を受けている。バンド名はルー・リードの曲の歌詞から名付けられる。初期はNYパンクの影響を受けたニューウェーブバンドとしてスタートし、U2フォロワー的な扱われ方もされていた。2014年にフジロックで初来日を果たし、2015年1月に約4年ぶりとなるニュー・アルバム『モダン・ブルース』をリリース。
同年4月には初の単独来日公演が決定。


interview with Ben Frost - ele-king


Ben Frost - Aurora

ElectronicaAmbientIndustrialPostrock

Tower HMV Amazon iTunes

 ベン・フロストは、激情の人であり理知の人である。彼の腕には黄金律のタトゥーがある。ムダのない完璧なものを愛するということだろうけれども、その愛し方にはどこか理屈におさまらない過剰さが感じられる。ベン・フロストは矛盾の人でもある。
 しかしその矛盾はいつしか円になって膨大なエネルギーを生む。

 オーストラリアの実験的音響レーベル〈ルーム・40〉より2003年にデビュー・アルバムをリリースし、その後アイスランドに移住、エレクトロニカあるいはポスト・クラシカルの文脈においてアルバムを重ねてきたプロデューサー、ベン・フロスト。近年では映画のサントラやバレエなどの舞踏のための音楽などを手掛けることが増える一方で、大きく注目を浴びたティム・ヘッカーの『レイヴデス1972』(2011)、『ヴァージンズ』(2013)にエンジニアとして参加するなど、その力量の幅を示してきた。

 アルバム・リリースについても、2009年の『バイ・ザ・スロート』の後はサントラがつづくため、このたびの『オーロラ』のような個人的な作品は久しぶりの制作となる。『セオリー・オブ・マシーンズ』収録の“ウィ・ラヴ・ユー・マイケル・ジラ”というタイトルに顕著だけれども、インダストリアル的なアプローチへと接近してきたかにも見える彼が、その久方ぶりのフル・アルバムを今年〈ミュート〉からリリースするというのは、時流と彼自身の個人的な創作モチヴェーションとの幸福で鋭い交差を意味していると言えるだろう。

 とはいえ、硬質で理性的なイメージの裏側に熱くたぎるエモーションを爆発させる、フロストのロマンティシズムは健在だ。今作のモチーフのひとつとして「コライダー(加速器)」が挙げられているが、円形軌道を描いて加速する荷電粒子、そこから生まれる爆発的なエネルギーのイメージは、そのまま音の喩となり説明ともなろう。彼の音楽はハイ・カルチャーからのアプローチを受けつつも、その芯にあっては敷居の高くないものだ。もっとポップでもっとドリーミーな轟音──エクスプロ―ションズ・イン・ザ・スカイや65デイズ・オブ・スタティックといった激情系マスロック・バンドから、シガー・ロスのファーストの若い衝動にまで通じるみずみずしさがその奥に押しこめられている。

 理詰めを加速して感情の爆煙となった音響。音楽は円を描くと彼は言ったが、彼の論理とエモーションもまた円を描いて発熱する。90年代の先に2000年代の黎明の再評価の機運が見えつつある昨今、ベン・フロストが鮮やかにシーンへ帰還した。

オーストラリア出身、現在はアイスランド・レイキャビクを拠点に活動するプロデューサー。ティム・ヘッカーやブライアン・イーノ、ヴァルゲイル・シグルソン(〈ベッドルーム・コミュニティ〉)、コリン・ステットソン、スワンズらとの共作で知られ、最近ではVampilliaの新作『my beautiful twisted nightmares in aurora rainbow darkness』のプロデュースも手がけている。5年ぶりのフル・アルバムとなる2014年作『オーロラ』には、スワンズのソー・ハリス、ブルックリンのブラックメタル・バンド、Liturgyの元メンバーであるグレッグ・フォックスなどが参加する。


今回のアルバムはおもに「光」を題材にしているんだ。そしてそれはエナジー──内省的なものではなくて外に向かってどんどん拡大していくべきものだと思っている。

あなたにとっては少し古い話になるかもしれませんが、『スティール・ウーンド(Steel Wound)』(2003年)をリリースされた頃は、あなたの音楽にはもう少しゆるやかな、ギター・アンビエントといった雰囲気がありました。そこから時間が経って、何作も経て、今回はすごく音の詰まったものになっていますね。
 人は年をとるほど余白を生んでいくものかとも思いますが、今回あなたの音の余白を埋めているものは何なんでしょう?

BF:10年以上前になるけれども、もともと私はオーストラリアのメルボルンに住んでいたんだ。そこは、たとえばこの渋谷にも似ていて、すごく人口密度の高いところだった。建物もたくさんあるし、街自体が、凝縮された濃密な空間だったんだ。何もかもが濃厚というか。街の景色を思い出してみても、どこにも隙間がない。そういうところに住んでいたぶん、自分のなかでもバランスを取ろうと思っていた部分が大きかったんじゃないかな。私は若かったし、いろいろと混乱する部分もあった。安定してなくて、自分の心が平らな状態ではなかった。だからこそ、自分のなかのでこぼこした部分を研磨するような、そんな気持もあったんじゃないかと思うよ。外の環境に対して補正をしていきたいというか。その頃の自分には、外的なものから圧迫されるような感覚があったんだ。そして、それをなんとかして押し返したいという欲求もあった。
 それに比べると、いまは住んでいる環境もちがうし、歳をとることによって自分の感情をコントロールすることもうまくなった。そうしたことが、いまのアルバムに反映されているんじゃないかなと思うよ。

なるほど。この作品はアトラス・プロジェクトという、「ラージ・ハドロン・コライダー(大型ハドロン衝突型加速器)」(※)という装置を用いた実験にインスパイアされたものだともおうかがいしたのですが、今作の音の激しさには、個人的な背景とともにそうしたモチーフも関係しているということでしょうか。

※2008年に完成。史上最高のエネルギーを生み出す装置と言われている

BF:たしかに、ラージ・ハドロン・コライダーからはインスパイアされた部分がある。今回のアルバムはおもに「光」を題材にしているんだ。そしてそれはエナジー──内省的なものではなくて外に向かってどんどん拡大していくべきものだと思っている。具体的にコライダーのどの部分からインスピレーションを得たというようなピンポイントでの影響はないけれども、すべてがつながっているんだよね。リズムというのはつながってできているものであり、サウンドも同様だ。そのなかのひとつだけをとってきても意味はない。つながっているからこそ意味があるのであってね。

リズムでもサウンドでも、基本的には円を描いているものだと思う。

 リズムでもサウンドでも、基本的には円を描いているものだと思う。それらが円を描きながら音楽を構成している。たとえば、完全なる円があると仮定するならば、そこにあるのはテクノのような均一なビートだろうね。しかし、その円をすごくゆがめてみることで生まれる複雑性もあるだろう。しかし音楽自体は円。そしてコライダーも形状的にくっきりとした円のイメージがある。そして、あれは何か新しいものを探したいという実験でもあった。ふたつのものが衝突するからこそ生まれてくる新しいものをね。……というところで今回の作品につながってくるんだ。ふたつのものが衝突して生まれてくる新しいエネルギーという。

なるほど、あの過密な情報量とエネルギーを持ったアルバムとコライダーの比喩はすごくよくわかるんですが、一方に「光」というテーマもあるわけですね。ラージ・ハドロン・コライダーという装置は、ブラックホールを生み出しかねないものだということなんですが、そうすると、光と闇、この世のすべてのエネルギーを持つかのようにイメージがふくらみます。

BF:宇宙は、じつはブラックホールの中に存在しているという説があるんだ。ギャラクシー自体も、トイレの渦なんかと同じで、すべていっしょの方向に回っていっているってね。だから、あらゆる磁場が同じ方向に回っていることによって、宇宙の均衡が保たれているのかもしれない。その意味では、ブラックホールの中にあらゆる情報量が詰まっているというような考え方はアリかもしれないね。
 自分が好きなアーティストなんかを思い浮かべてみると、抽象的で不確かな部分を抱えながら、それを具現化する手段として音楽を用いている人が多い。それはたぶん自分自身にもあてはまる。まだ私自身にとっては、その不確かなものを形にすることを完璧にはできていないんだけど、年齢を重ねるにつれてどんどんと手段を得ているような気はするよ。

想像の追いつかない世界ですね……。年齢とともにバランスがとれてきたということでしたが、まるで青春期の心象風景であるかのような激しさも感じました。

BF:うーん……、そうかもね。

あ、ちょっと違いますか(笑)。

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リズムに頼るというのはもっとも安直な方法のひとつだと思うんだ。リズムの内側に自分自身がいる、それが今回の作品だよ。

ではちょっと話題を変えましょう。あなたの作品は、曲やタイトルまですごく理知的にコンセプチュアルに作られているようでいて、同時に激しさや、感情的でロマンチックなものなどが噴出しているようにも思われます。ご自身ではよりどちらの性質が強いと思っていますか?

BF:エモーショナルな部分もコンセプチュアルな部分も両方あるよ。アートっていうものについて自分自身が高度な教育を受けたわけではないけれど、私には、自分の中のアートな部分がヴィジュアル的で立体的に見えている。そして、きちんとコンセプトを立ててそれらをかためていくことが好きなんだ。それによって自分のなかのどこにどういう引出しがあるのか、そこに何が入っているのかを確認することができる。
 たとえば、コンセプトに比重を置きすぎると頭でっかちになると批判する人がいるけれど、私はそっちに偏りすぎない自信があるんだ。むしろ自分の感情をきちんと使っていくためにコンセプトが必要だという感じかな。
 アルバムを作るからには、ちゃんとしたものを作りたい。その意識はすごく強いと思う。出すからにはよいものを……不要なものは出したくないんだ。世のなかには不要なもの、どうでもいいものがすごくたくさんある。音楽にしても、人は似たようなものを量産しがちだけれども、はっきりいってそんなものは作りたくない。自分が伝えたいことが入っていること、何か新しいものであること、それが必須だよ。だからたとえ何年かかろうと、それがないことには次のアルバムを作らない。いちばんよくないのは「そろそろ時期だな」って思って制作することだね。
 これは世に出さなきゃいけないと認識できるものじゃないと──もし先に誰かがやっていると思ったら、今作だって出していないよ。新しいエレメントを世界に提案したい、その姿勢は確実に必要なものだね。自分に才能があるとかっていうことではなくて、発信者であるというスタンスは譲れないものだよ。

コンセプトに比重を置きすぎると頭でっかちになると批判する人がいるけれど、私はそっちに偏りすぎない自信があるんだ。むしろ自分の感情をきちんと使っていくためにコンセプトが必要だという感じかな。

なるほど、新しいエレメントというところでは、今作では明確にリズムやビートというものが意識されているように思われますが、いかがでしょう。“ノーラン”や“ザ・ティース・ビハインド・キッシーズ”“セカント(scecant)”なんかの、ビートというよりも鉄槌を振り下ろすような打撃の感覚はどこからくるものなんでしょうか。

BF:その3つの曲については、とくに燃料が投下されて燃えあがっていくようなエネルギーが感じられるかもしれないね。ただ、これまでは基本的にリズムを音楽の中心に据えることを避けてきた。というのも、リズムを中心とする音楽にはすごく長い歴史がある──石器時代にさえあっただろうからね。それはものを叩いて音を出して高揚感を得るという古くからあるスタイルであって、だからリズムに頼るというのはもっとも安直な方法のひとつだと思うんだ。
 指摘してくれた3曲については、苦い薬でも砂糖をまぶせば飲めるように、そのまま差し出すと難解すぎるものについて、少し手を加えて咀嚼しやすくしようとした部分があるんだ。そういうガイドとしての役割を果たしているのがこれらの曲におけるリズムだと思うよ。音楽を作るときは、自分自身のために作っているし、自分自身が感動するかどうかを指針にしているから、オーディエンスのことは頭から外している。自分自身が曲作りの中心にいる、リズムの内側に自分自身がいる、それが今回の作品だよ。

リズムの内側に自分がいる……たしかに、外在的なビートではないかもしれませんね。

BF:それに、今回はアルバム全体の長さがやや短いんじゃないかと思う。多くの人はひとつのアルバムの中でアップダウンを作って、息抜きをさせたり長く聴かせるストーリー性を持たせようとしたりするよね。だけど私はそういうのが嫌なんだ。息抜きは聴く前か聴いた後にしてほしい。とにかくアルバムのあいだはぎゅっと凝縮したものでありたいと思う。
 オーロラというのは、じつはひとつの物質なんだ。それをいろんなアングルから見ている。曲によってアングルがちがって、寄りで見ているものがあったり、引きで見ているものがあったりする。でも根本的にはひとつの物体をいろんな角度から見たのがこのアルバムなんだよ。

もしかしたらいま言っていただいたことと重なるかもしれませんが、あなたのフィールド・レコーディングに対するスタンスをおうかがいしたいです。フィールド・レコーディングにおいては「何を」録りたいと思いますか? 素材なのか、感情なのか、土地の文化なのか……。今回は2011年から2013年までの、コンゴやニューヨーク、あるいはアイスランドなどで採音したとのことですね。

BF:いろんな国に行ったんだけれども、フィールド・レコーディングは、その国々を点と点でつないで、隙間を埋めていくようなものだったと思うよ。ドラマ『ツイン・ピークス』の最初のほうの場面で、エージェントのクーパーがダイアンに電話をかけて言うセリフに、とても印象に残っているものがある。「自分の家を離れたら、環境をコントロールする力はそこで100%失われる」──というようなね。でも現代社会においてはもうそうではないような気がするんだ。インターネットがあればいつでもどこにいても友人や家族に連絡できるし、Facebookなんかもそれを手助けよね。それはまるで、自分の環境を連れて世界中を回るようなものだよ。だから、僕自身の世界体験もそうなんだ。コンゴであれどこであれ、そこでした経験はいろいろあって、見たもの聞いたもの味わったものもたくさん存在するけれども、そこにあるものをそのまま反映するという意味でのリアリティを掴み出したいわけではない。そんな究極のリアリズムは持ち合わせていないんだ。もっと、自分なりのリアリティを生み出す手助けになるもの、もしくは自分の中で咀嚼して生み出す新しいリアリティというべきもの、それから、見たままではなくて本来そうあるはずの物事の姿……それを自分の得た経験の中からアダプトしていくというのが、私のフィールド・レコーディングだよ。

なるほど、モバイル・コミュニティというか、人との関係性のなかに世界がすっぽり入ってしまうというか。

BF:ははは、そうだよ。それはとてもコントロール過剰な世界さ。

YOUNG ANIMAL - ele-king

最近よくかける曲を選びました

不定期でWASTELAND、偶数月の第一土曜日にDEUZEBRAというパーティーを京都で主催中。

2014. 10. 4 (SAT) DEUZEBRA@Spanish Harlem Latin Club
DJ: KAZUMA / RILLA / YOUNG ANIMAL

2014. 11. 15(SAT) WASTELAND@SOCRATES
DJ: Ooshima Shigeru / HARA / YOUNG ANIMAL

https://twitter.com/YoungAnimal240

Masahiko Takeda - ele-king

in the bag


1
V.A. - First Recitation [Récit Records]

2
Takashi Himeoka - Francis [Croisiere Musique]

3
Yudai Tamura - Subterranean [The Rabbit Hole]

4
Sepp - Basorelief Edict [Uvar]

5
Cristi Cons - Nutatia [[a:rpia:r]]

6
Mayday - TicTicTic [Pheerce Citi]

7
Farben - the sampling matter ep [Farben]

8
Philipp Priebe - The Being of the Beautiful [IL Y A]

9
Rick Wade - Waveheart [Harmonie Park]

10
Pantha Du Prince & The Bell Laboratory - Elements of Light [Rough Trade]

https://masahikotakeda.com/

Fragment (術ノ穴) - ele-king

ササクレフェス2013も無事終わり、術ノ穴としては泉まくら『マイルーム・マイステージ』リリース、Fragmentとしては般若『ジレンマ feat.MACCHO(OZROSAURUS)』をプロデュースしました。
来年レーベル10周年でまた色々出しますのでよろしくですー!!

https://subenoana.net/

最近刺激くれたブツ5枚


1
Arca『&&&&&』

2
Four tet『Beautiful Rewind』

3
DJ Rashad『Double cup』

4
downy『無題』

5
MACKA-CHIN『incompleteness theorem』

Buffalo Daughter
ReDiscoVer.Best,Re-recordings and Remixes of Buffalo Daughter

U/M/A/A Inc.

Interview Amazon iTunes

 9月22日(日)、代官山UNITにてBuffalo Daughter結成20周年の記念イヴェントが開催される。その名も〈Buffalo Daughter 20th Anniversary Live at UNIT TOKYO〉。実際にベスト・アルバムにも名を連ねる豪華ゲストたちの参加が、続々と決まっているようだ。KAKATO(環ROY×鎮座DOPENESS)、日暮愛葉(THE GIRL)、有島コレスケ(told)、小山田圭吾、立花ハジメ、Avec Avec、Kosmas Kapitzaベテランからフレッシュなアーティストまで、さすがの幅広さ。
 来場者には貴重な特典も準備されている。「Playbutton(プレイボタン)」をご存知だろうか。本体にフラッシュメモリーと音声データの再生用ソフトウェアなどが内蔵され、その用途をめぐって新しい可能性が期待されている缶バッジ型の音楽プレイヤーだ。当日は、あちらこちらで耳にするようになってきたこの新ガジェットに、なんとその日のライヴ音源1曲をインストールしたものが配布されることが決定しているとのこと。バッジのデザインは立花ハジメ! このチケットについては売り切れ必至、ぜひチェックしてみよう。


結成20周年を迎え、初のベスト『ReDiscoVer.』をリリースしたバッファロー・ドーターが、アルバム参加のゲスト陣を交えた豪華アニバーサリー・ライブを開催!

また、追加情報として、10月5日(土)、6日(日)の2日間、箱根は富士芦ノ湖パノラマパークにて開催される音楽フェスティバル〈天下の険〉にBuffalo Daughterが出演する事が決定。

東京からもアクセス容易な最高のロケーションで良質な音楽を提供するこの野外イヴェントは昨年からスタート。今年も、吉田美奈子、Cosmic Blessing Ensemble〈Calm×CitiZen of Peace×Kakuei×Kaoru Inoue×Kuniyuki×Yuichiro Kato〉、DJ NOBU、Nabowaら、ユニークなラインナップで注目を集めている。野外でBuffalo Daughterのライヴを体験することは飛び切りの体験となるはずなので、こちらもお見逃しなく!!

Buffalo Daughter の20周年記念ベスト・アルバム『ReDiscoVer.』は〈U/M/A/A〉から発売中。ライヴに足を運ぶ前にぜひチェックを!!

■Buffalo Daughter 20th Anniversary Live at UNIT TOKYO

日時:2013年9月22日(日/祝前日)  OPEN 18:00 / START 19:00
会場:代官山UNIT

GUESTS:
KAKATO(環ROY×鎮座DOPENESS) / 日暮愛葉(THE GIRL) / 有島コレスケ(told) / 小山田圭吾 / Kosmas Kapitza / 立花ハジメ / Avec Avec

チケット:
ADV.4,000yen(tax incl./without drink)*もれなく20周年記念特典付
前売チケット取扱:ぴあ(P:207-986) / ローソン(L:78864) / e+

More information:UNIT 03-5459-8630 www.unit-tokyo.com


■箱根ミュージックフェスティバル 天下の険2013 ~厳選音泉掛け流し~

日時:2013年10月5日(土)、6日(日) 2日間開催
会場:
富士芦ノ湖パノラマパーク 特設エリア
神奈川県足柄下郡箱根町元箱根143-1
https://www.princehotels.co.jp/amuse/hakone-en/play/access.html

出演:
吉田美奈子、indigo jam unit、Cosmic Blessing Ensemble、SILENT POETS 他

開場時間:
10月5日(土) 開場 11:00 開演 13:00 終演 22:30 予定
10月6日(日) 開場 08:00 開演 10:00 終演 20:00 予定

入場料金:
前売り券
2日券 ¥10,000 / 1日券 ¥6,000
当日券
2日券 ¥12,000 / 1日券 ¥7,000

主催: 天下の険実行委員会
イベントオフィシャルHP:https://tenkanoken.jp/

■CD情報
Buffalo Daughter
『ReDiscoVer. Best, Re-recordings and Remixes of Buffalo Daughter』
発売中!!
UMA-1022-1023、¥2,600 (tax in)

●1CD+書き込み可能な生CD-R付
●バンドヒストリーを綴った24P カラーブックレット+解説・歌詞・対訳付
●初回のみICカードステッカー*付
*交通機関用非接触型ICカードに貼ってデコレーションできるステッカー

●トラックリスト
1. New Rock 20th featuring KAKATO (環ROY×鎮座DOPENESS)
2. Beautiful You 20th featuring 日暮愛葉&有島コレスケ
3. LI303VE
4. Great Five Lakes 20th featuring 小山田圭吾
5. Dr. Mooooooooog
6. Discothéque Du Paradis
7. Cold Summer
8. Peace Remix by Adrock
9. Socks, Drugs and Rock'n'roll Live (Sax, Drugs and Rock'n'roll) featuring 立花ハジメ
10. Volcanic Girl
11. A11 A10ne
12. Cyclic Live
13. バルーン Remix by Avec Avec
14. ほら穴  
Compiled by Nick Luscombe (Flomotion/ BBC Radio 3/ Musicity)

詳細: U/M/A/A <https://www.umaa.net/what/rediscover.html


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