「P」と一致するもの

CHART by Electro-Violence Distribution 2010.01 - ele-king

Shop Chart


1

ROTATOR/JIMMY S/SOMTEK/FEXOMAT...

ROTATOR/JIMMY S/SOMTEK/FEXOMAT... TNI 12 TERROR NOIZE INDUSTRY / スイス / 2009/12/30 »COMMENT GET MUSIC
BREAK CORE IS BACK!と言うか、そのブランドのみが先行し中身まで理解されることなく忘れさられてしまった感のあるブレイクコア。HARDCOREやSPEEDCOREの中の小さな一パートでしかなかったBREAKCOREがIDMやノイズとクロスし、突き抜けて行ったのが大まかな流れ。フォーマットに縛られることなく究極なサウンドを追求する姿勢、アーチストがいる限り終わらない。ハナたらしまくりでデジタラシな音響グラインドFEXOMATがクソ。

2

SLYDTEK / MEID / BASIL

SLYDTEK / MEID / BASIL OUANAIGAINE 10 OUANAIGAINE / フランス / 2009/12/23 »COMMENT GET MUSIC
ASTROFONIK傘下でアホアホなマッシュアップ、トボけたネタ使いで人気のOUANAIGAINEレーベル最新作。そのありえないネタ使いも魅力のうちなんだが、特にDJ MEID、最近成長著しいロシアのBASILなどのシーケンスの妙技に注目すると、TRIBEが高度に綿密に仕掛けられたダンスミュージックだということがよくわかる。楽しく、そして深く聴かせる一枚。

3

KELTEK

KELTEK WORLDS ENDS (V.I.P.) AMALGAM / イギリス / 2009/12/30 »COMMENT GET MUSIC
TECH ITCH、ELEMENTS OF NOIZE、PANACEA他当時テックステップと呼ばれていたサウンドにルーツを持つダークステップ。UKのメインストリームのドラムンベースと懸け離れて行くことによって、その存在をより際立たせている。テックステップの初期衝動をブレイクコアを通過したスキルでブラッシュアップ、よりダークにメタリックに。SPEEDCOREやFLASHCOREにも通じる攻撃性、破壊力。

4

SYTRI-X

SYTRI-X METALIKEA SYTRI-X / フランス / 2009/11/14 »COMMENT GET MUSIC
FREE STYLE LISTENサブのKICK FOR KILLリリースで話題のニューカマー、遂に自身のレーベル、その名もSYTRI-Xをドロップ。トライブの超絶リミックス・スキル、ハードコアでいてファニーなマッシュアップ・サイドをお楽しみください。第一弾とあって気合が入りすぎたのか、メタリKにGバスター、ジョニーBとありえないヤバさで聴かせます。

5

SPIRAL TRIBE

SPIRAL TRIBE THIS IS TRANCE NETWORK REPRESS / フランス / »COMMENT GET MUSIC
NETWORK23レーベルの名作や周辺アーチストの激レア未発表曲までをも発掘、紹介するNETWORK REPRESSも早くも23作目。記念すべき今回は'94年FORCE INC.からリリースの4曲入りアルバムTHIS IS TRANCEよりのカット。お宝アイテムが最高の音質で聴けます。

6

TLB / SPARKS / VIKO / PARANOIAK 12

TLB / SPARKS / VIKO / PARANOIAK 12" ARCHITEK 19 ARCHITEK フランス / 2009/12/23 »COMMENT GET MUSIC
フリースタイルリッスンのショーケース的サブレーベル、ARCHITEK最新作!トップのTLBから、VOKO@LABO14、ニューカマーPARANOIAK、ラガものからシンセでハメまくりのハードコアトランス、キック命のハードダンスまで、一気に聴かせます、使えます!今からTRIBE聴かれる方は、この辺からいかが?

7

KEJA / KAN10 / OZYSTIK 12

KEJA / KAN10 / OZYSTIK 12" 3672 1 07 3672 1 / FRANCE / 2009/12/30 »COMMENT GET MUSIC
エレクトロ(ハウス)とは対極に位置する仏アングラTRIBE/HARDTEKのシーンにあっても異色な存在のMACKITEK。時にブレイクコアやスピードコアさえも凌駕するテクノパンクスとも呼ばれるその過激さ、カオス。そんな彼らがSPIRAL TRIBE他先達に敬意を表し、ダンスミュージックとしてのTEKNOを突きつめるべく立ち上げたサブレーベル最新作。変態テクノとういうありきたりな表現では、到底語りつくせないOZYSTIKの変則、倍速トラックに絶句。

8

LA FOUDRE

LA FOUDRE LE CHAOS ORDINAIRE NO-TEK / FRANCE / 2009/11/14 »COMMENT GET MUSIC
10数年前ここ日本でも一部の好きものから絶賛されていた元祖EXPERIMENTALハードコアテクノ・レーベルEXPLORE TOIの残党がしれーっと復活です。SPEEDCOREをよくわからない方もいるかもしれませんがガバ臭い方ではなくノイズアヴァンギャルドでハナタラシまくりのアレです。以前のそれとの違いを強調する意味で本人らはTRIPCOREやFLASHCOREとのキャッチを使っておりますが、言いえて妙、聴けば納得です。極悪ハードコアギャルMOUSEの大名曲のリミックスもなぜか収録の限定300枚。

9

BIOCHIP C.

BIOCHIP C. ANTIMATTER EP OFF BITS / FRANCE / 2009/11/14 »COMMENT GET MUSIC
アシッドと言えばフランスです。ご存じない方も多いかもですが、DJ ESPの名曲、未発曲のみを発掘リリースするレーベルがあったりと、かなりマニアック。今回紹介するのはハードコアPSYCHIK GENOCIDEを擁するAUDIO GENICによるACID専門レーベル、OFF BITS最新作。ハードコア(テクノ)大御所THE SPEED FREAKことバイオチップCがフレンチコアのグルーヴ感や攻撃性を損なうことなく、暴れまくってます。

10

AARON SPECTRE

AARON SPECTRE AMEN,PUNK EP OMEKO / JAPAN / 2009/12/10 »COMMENT GET MUSIC
2005年リリース。全世界のブレイクコアチャート一位を獲得した傑作中の傑作。仏PEACEOFFレーベルオーナーのフランク(ROTATOR)も来店時にどっさり買い付けていきました。今やオークションでも高値のレア作。デッドストック数枚のみ。

Flashback 2009 - ele-king

『100%RAP』は怠け者による最高のサウンドトラックである

 アルバム・チャートを作るのが楽しくて、ハマってしまった。CDを部屋中から集め、サンプル盤しかないものは新宿のタワレコに買いに行き、ついでにUSのヒップホップやR&Bを中心に結構な枚数を新しく手に入れた。そして、帰省していた年末年始を挟んで、昨年末から今まで聴きまくっている。僕は2009年も相変わらず日本のヒップホップをメインに追い続けたが、総合的にこのジャンルは1年を通して刺激的であり続けた。世の中の不安定な情勢をまるでエネルギーにするかのように、凋落するこの国の経済と反比例するかのように、進化を続けた。いまこの音楽を聴かないと何年か先に間違いなく後悔することになるだろう。もちろんすべてを完璧に追えているわけではないし、僕にも好き嫌いは当然ある。ただ、時間と気持ちとお金に多少でも余裕があれば、気になったものを聴いておいて損はない。

 おそらく北米のインディ・ロック・シーンがそうであるように、ムーヴメントとしての面白さが現在の日本のヒップホップ・シーンにはあるのだろう。00年代後半、特に2009年の成熟ぶりには特筆すべきものがあった。それについてはこれから語ろう。ただ言っておくと、それは「最先端」とか、そういう言葉に納まる類のものではない。そんなスノビズムを拒絶するような泥にまみれながら輝く文化としてある。日本のヒップホップ/日本語ラップの魅力は、音と言葉で時代の変化や現実を克明に生々しく伝えるメディアとして機能している点にもある。だから、この国においてマイナーなジャンルであることに悲観することはないし、セールスとか、数値では計れない次元で目の醒めるような音楽的独創性と鋭い社会批評性を保っているこの文化に携わる人間には自信を持って堂々としていて欲しい。

 批評家の矢部史郎は00年代初頭に言った。「マイナーを滅ぼすことはできない」と。そもそもこの国の経済そのものがガタガタなのだし、じたばたしてもはじまらない。SEEDAのリリックを引用するならば、「WE FUCKIN MAJOR インディーズだがメジャー WE DA OFFICIAL FUCKIN MAJOR」("Get That Job Done")ということになるのだろう。僕らは2009年も素晴らしい音楽とちゃんと出会えている。産業について考えることも大事だけれど、音楽を語る言葉を豊かにして、小さな蠢きをひとつの文化として活性化させることの方がよっぽど意味のあることだ。

100%RAP
鎮座DOPENESS

 さて、前置きが長くなったが、僕はアルバム・チャートの1位に鎮座DOPENESSのファースト・ソロ・アルバム『100%RAP』を選んだ。このユーモアたっぷりの43分あまりのアルバムをトップにすることにまったく迷いはなかった。ジェイ・Zの『ザ・ブループリント3』を押さえての1位というのにも意味がある。もちろん賛否両論はあるだろうが、これはひとつのメッセージだ。たしかに『ザ・ブループリント3』は圧倒的だし、これぞヒップホップといった、エネルギッシュなアルバムだ。音は古くて新しく、ヴィヴィッドな時代性があり、しかもグローバルに波及するパワーがある。それでも僕は、鎮座DOPENESSの、植木等のスーダラな楽天性をこの時代に引っ張り出してきた嗅覚と、ファンキーでソウルフルなラップ、この国でしか生まれ得ない素晴らしく雑食的な感性――ダンスホール、ファンク、ソウル、フォーク、歌謡曲から忌野清志郎まで――を支持したい。鎮座DOPENESSの世界観をうまく捉えた菱沼彩子のキュートなイラストもとても良かった。『ザ・ブループリント3』がオバマ大統領就任に胸躍らせるアフリカン・アメリカンによるヒップホップだとしたら(冒頭の"WHAY WE TALIKIN` ABOUT"を聴いて欲しい)、『100%RAP』は政権交代以降、いまや一国のトップさえ経済成長に疑問を呈する国の怠け者による最高のサウンドトラックと言える。ボブ・マーリー風に言えば、「EVERYTHING IT`S GONNA BE ARLIGHT」という感じか。朝寝坊と電話で上司に遅刻の言い訳をする"朝起きて君は..."を聴くと、自分の苦い過去を思い出しつつ、笑ってしまう。こういう可笑しみのあるストーリーを書けるのも鎮座DOPENESのオリジナリティだ。

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 アメリカでは、ドレイク、キッド・カディ、ワーレイはギャングスタ・ラップを更新する新たな時代のスター(3人は、昨年、米『GQ』誌の「Gangsta Killers」という記事でフィーチャーされた)としても注目を集めている。鎮座DOPENESS、PSG、S.L.A.C.K.(PSGのメンバー。ラッパー/トラックメイカー)の登場はその動向との奇妙なシンクロニシティがあって、00年代、この国のアンダーグラウンドで市民権を得た、上昇志向をキーワードとする所謂ハスリング・ラップ/ハードコア・ラップとは別の流れを今後生み出す契機に間違いなくなるだろう。昨年末、鎮座DOPENESSが、MSCの所属するレーベル〈Libra〉が主催するフリースタイル・バトルの全国大会〈UMB〉で優勝したのもその予兆と言えるかもしれない。

鎮座DOPENESS

 マクロに視れば、今の日本(あるいは諸外国)はアメリカの金融危機の余波による不況といった景気循環のひとつの局面ではなく、資本主義というシステムが再考されるべきレヴェルに達していると言う学者もいるぐらいで、事実、自分たちのライフスタイルを根本的に変えないと生き残れない時代に突入しているとの実感をヒシヒシ肌で感じている。実際、昨年末、アメリカで黒人若年層の失業率が34.5%に達したというニュースが報じられた。日本はまだそこまで絶望的な状況ではないけれど、頭ではわかっていても、いつまでも右肩上がり幻想が体から抜けない人はこれから生き残るのは難しいだろう。元々のこの国のありように何の期待もしていなかった(社会に無関心というわけではない)僕は逆に気楽な気持ちでいる。むしろ期待に満ちている。鎮座DOPENESS、PSG、S.L.A.C.K.の低空飛行は、そんな気分にしっくりくるものがある。彼らへの期待も高まるというものだ。

 PSGのデビュー・アルバム『DAVID』と、弱冠22歳のS.L.A.C.K.のセカンド・アルバム『WHALABOUT』は、本当にわくわくしながら聴いた。S.L.A.C.K. の甘いソウルの感性やトリッキーなビートは、スラム・ヴィレッジやマッドリブを彷彿とさせるが、団塊の世代や大人に毒づく"ANOTHER LONELY DAY"のドキッとするような物言いはパンキッシュですらある。これは僕の今年の1曲だ。まったく末恐ろしい若者が登場したものだ。『David』に破壊力のあるミキシングやマスタリングが施されればもっと良かったと言う人の意見には賛同するけど、とはいえ彼らのユニークなアイディアやSF的発想力には目を見張るものがある。また、ヒップホップ、ハードコア、レゲエが衝突するCIA ZOOのラッパー/トラックメイカー、TONOのファースト・ソロ『TONO SAPIENS』の、カッコ良い! という言葉が思わず口からついて出てくるような疾走感には痺れた。スピードという点においては、トゥー・フィンガーズと同じぐらいの速さがあっただろう。彼ら新世代のアクトは、前時代的な所謂海外コンプレックスを独自のやり方で克服しようとしているように見える。そんな彼らの試みはまだ過程にあるものの、邦楽や日本文化への偏重から来る閉塞とは明らかに別の次元で鳴っている。

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 他にもいろいろあった。DJ BAKUによる日本語ラップ・オムニバス『THE 12JAPS』には強い変革の意志を感じたし、KILLER-BONG(K-BOMB)の日々の実験と奔放なサンプリング・センスの成果をまとめた『LOST TAPES』には相変わらず輝くものがあった。年末におこなわれた、K-BOMBが所属するTHINK TANKの、ダブやフリー・ジャズの感性をヒップホップ・ライヴに落とし込んだタイトな復活ライヴには興奮したが、あの黒く狂った息吹はより多くの人の耳に吸い込まれていくことだろう。(今年のイヴェントだが)先週末、プライヴェートのこんがらがった日々から来るであろう痛々しさと力強さを剥き出しにしたRUMIの『HELL ME NATION』の告白的なリリース・ライヴから目を逸らすことができなかった。RUMIの、女性の加齢について大胆に切り込むラップは特別なものだ。あんな風に女性が肌の小皺と弛み(!)について歌う姿を僕は他で聴いたことがない。マッチョ男を縮み上がらせる、あの勇気にはマジで恐れ入る。応援するな、という方が無理な話だ。

 ぶっちゃけて言うと、最近なんとなく気づいたのだけど、僕は00年代に一度、音楽が「必要ない」生活を知らず知らずのうちに送っていたのだと思う。曲がりなりにも音楽ライターという肩書きの人間が何を言っているんだと思われる方もいるだろうが、当たり前の話、音楽を追いかけるよりも優先しなければならないことや不意に訪れるアクシデントや熱狂が時に人生には起こるし、だからこそ音楽を強く欲することもできる。さらに言えば、つまらない「ミュージック・ラヴァー」とか「音楽ファン」には絶対になるものかという妙に捻くれた気持ちと既存の窮屈なシーンなるものへの違和感から生じた性急な音楽への愛の表現は、町中で大騒ぎしたり、踊りまくるエネルギーへと変換されていたのだ。まあそこには政治的な動機やもっと様々なモチヴェーションがあったのだけど、細かいことは原稿のテーマとずれるので書かない。今でもそんな一方的な音楽へのむちゃくちゃな想いは心の底にあるものの、ここ1、2年、もう少し素直に音楽ファンとしての気持ちを大事にしようと思えるようになった。

 だからというわけではないが、2009年はここ数年でいちばんCDを買った年だった。他の年と比較してもダントツに買った。メジャー/インディともに面白いものがたくさんあった。配信への移行が進み、CDが売れないと言われる時代に逆行するようにレコード屋によく出かけた。CD/レコード文化を守ろうとかいう大それた使命感などはないが、前よりCDを買う経済的余裕が出てきて(たいした余裕じゃないけど。2、3年前はあの経済状況でよく生活できてたなぁ)、しかもこれまで以上に音楽を聴くのが楽しかった。単純に音を求めていたし、新譜を聴くことに喜びを感じていた。

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 正月の帰省中、高校時代にレディオヘッドやニルヴァーナのコピーまでしていた結婚間近の地元の男友達が、婚約者の運転する車の中で流行りのアイドル・グループの曲を「セクシーだよねー」と何気なくかけていて、音楽との付き合い方も変わるものだなと思ったのだけど、それが良い悪いとかじゃなくて、彼との関係も含め、あぁ、お互い随分変わったなと感慨深かった。僕が生きている社会と彼の社会はまったく別のところにあるという当然の事実を、ブラコン歌謡風の軽快なダンス・チューンを車内で聴きながら感じていた。突き詰めれば、そういう距離感や現実認識の中で僕は音楽について考えている。

 そこでKREVAの『心臓』は、このチャートの中で唯一あの車の中で鳴っていても違和感なく聴けたはずだなと思った。『心臓』は絶妙なバランス感覚を有していて、密室的なラヴ・ソング集としても、ある意味ブラコン歌謡の最新形としても、R&B寄りのヒップホップ・アルバムとしても聴ける。つまり、大衆音楽として強度のあるアルバムだ。去年、家で繰り返し聴いた1枚だ。他方、KREVAが参照したのと同じUSアーバン・ミュージックやスタジアム・ロックばりの派手なギターを消化してオリジナルなサウンドを作り上げたSEEDAの通算7枚目のアルバム『SEEDA』は、自民党と民主党の固有名を挙げてストレートな政治批判を展開する "DEAR JAPAN"がいい例だが、SEEDAの内省と外(社会)に向かう気迫が融合したアヴァン・ポップな作品だった。騒々しく飛び交うシンセ音には圧倒されっぱなしだったが、今にも安室奈美恵がセクシーに歌いだしそうな"FASHION"のキャッチーさにもやられた。どちらが知名度の意味でポピュラーかと言えば、もちろんKREVAだが、どちらにポップ・ミュージックとしての突破力を感じるかと言えば、僕はSEEDAに軍配を上げたい。

 S.L.A.C.K.やKREVAやSEEDAらのメロウでスウィートなテイストを持った楽曲はソフトな耳ざわりと裏腹に挑戦的な試みでもある。年末、オリコン・デイリーチャートで最高5位を記録したSEEDAの復活シングル「WISDOM」はその路線におけるひとつの結実だろう。シングルでは、七尾旅人とやけのはらの甘く切ない「ROLLIN` ROLLIN`」も最高だった。00年代中盤、MSCやSEEDAがファッション化していたストリートという概念に対抗的で野性的なニュアンスを注入して、ストリート・ミュージックとしてのヒップホップを再定義して以降の次なる展開の予感さえ感じる。昔はストリートなんて言葉は白々しくて使いたくなかったけど、彼らの出現以降、その言葉を使うことにそこまで躊躇しなくなった自分に今さらながら気づいたりもした。

 まだまだ書きたいこと、突っ込むべきことは山ほどあるが、時間切れ。ムーヴメントと言うにはまったくてんでばらばらなこのシーンが10年代に果たしてどんな展開をみせるかは予測がつかないが、僕はアンビバレンツな、一筋縄では行かない気持ちを抱きながら、この国の大きな情勢から見れば、ほんの小さい、マイナーなムーヴメントをいまはどこまでも肯定しよう。それは去年1年間で熟成された気持ちで、2008年までは言えなかったことだ。2010年も刺激的な年になるに違いない。



■Top 20 Hip Hop albums of 2009 by Shin Futatsugi
1. 鎮座DOPENESS/100%Rap(W+K東京LAB /EMI)
2. Jay-Z/The Blueprint 3(Roc Nation/ユニバーサル)
3. PSG/David(ファイルレコード)
4. Seeda/Seeda(Concrete Green)
5. S.L.A.C.K./Whalabout(Dogear Records)
6. Drake/So Far Gone(October's Very Own)(mixtape)
7. Kid Cudi/Man On The Moon:The End Of Day(G.O.O.D/ユニバーサル)
8. Tono/Tono Sapiens(CIA REC)
9. Two Fingers/Two Fingers(Big Dada/Paper Bag Records)
10. Rumi/Hell Me Nation(Popgroup)
11. Mos Def/The Ecstatic(Downtown/Hostess)
12. ECD/天国よりマシなパンの耳(Pヴァイン)
13. Killer Bong/Lost Tapes(Blacksmoker)
14. Skyfish/Raw Price Music(Popgroup)
15. Shafiq Husayn/Shafiq` En A-Free-Ka(Rapster)
16. Keri Hilson/In A Perfect World...(Mosley/Interscope/ユニバーサル)
17. Kreva/心臓(ポニーキャニオン)
18. DJ Baku/The 12Japs(Popgroup)
19. Killa Turner/B.D.&Roverta Crack/Nipps/the sexorcist presents Black Rain(Tarpit Records)
20. Raekwon/Only Built 4 Cuban Linx... Pt.2(Ice H2O/EMI)

次点
The-Dream/Love VS. Money(Def Jam/ユニバーサル)
Wale/Attention Deficit(Interscope/Allido)
Rihana/Rated R(Def Jam/ユニバーサル)
Pitbull/Rebelution(RCA/Jive)
Ghostface Killah/Ghostdini Wizard Of Poetry In Emerald City(Def Jam)
Common/Universal Mind Control(Geffen/ユニバーサル)
Dudly Perkins/Holy Smokes(SomeOthaShip/E1)
スチャダラパー / 11(エイベックス)
Issugi/Thursday(Dogear Records)
O2/Stay True(Libra)
鬼 /獄窓(赤落PRODCUTION)
Juswanna/Black Box(Libra)
SD Junksta/Across Tha Gami River(Yukichi Records)
V.A/Chocolate Factory#2(Ing Records)
Zen-La-Rock/The Night Of Art(Awdr/Lr2)
般若/Hanya(昭和レコード)
サイプレス上野とロベルト吉野/Wonder Wheel(Almond Eyes/Pヴァイン)

Max Tundra - ele-king

 広義のダンス・ミュージック・シーンにおける屈指のポップ・メーカー、マックス・タンドラことベン・ジェイコブスのサード・アルバム。とりあえずおさらいとしてディスコグラフィーを振り返れば、彼はまず、00年のファースト『サム・ベスト・フレンド・ユー・ターンド・アウト・トゥ・ビィー』で、ご他聞に漏れずエイフェックス・ツイン・フォロワーとしてそのキャリアをスタートさせている。ただし、同作は、リチャード・デイヴィッド・ジェイムスの内省性を引き継いだのが所謂エレクトロニカで、攻撃性を引き継いだのがブレイクコアだったとしたら、それはそのどちらでもない、かといって本人のように両面性を持っているわけでもない、しかし明らかにある一面を引き継いでいるという、そういう意味でオリジナリティのあるアルバムだった。あるいは、『アイ・ケア・ビコーズ・ユウ・ドゥー』を生演奏でカヴァーしたような内容は、突然変異と思われていたRDJをカンタベリー・シーンやレコメンデッド・レコーズと歴史的にではなく、音楽的に接続するミッシング・リンクの役割を果たしていたと言えるかもしれない。しかし、そんな知る人ぞ知る存在だったジェイコブスは、2年後のセカンド『マスタード・バイ・ガイ・アット・ジ・エクスチェンジ』でそのスタイルを一変、本人自らヴォーカルを取り、トラック・メイキングに加えてソング・ライティングの才能を披露、一躍名を上げることになる。もし、RDJにチャーミングなヴォーカルを乗せたあの"ミルクマン"のその先があったとしたら――いや、正確にはその先には"カム・トゥ・ダディ"と"ウインドリッカー"があるのだが、あのようなポップ・ミュージックに対するネガティヴィティではなく、ポジティヴィティを表現したものがあったとしたら――それこそがこれだった。

 そして、その後、何故か7年もの沈黙を経て届いた今作は、方向性としては順当に前作の延長線を歩んでいる。当初、『マスタード~』の諧謔性が自家中毒を呼んで時間がこんなにもかかったのだろうかと勘ぐったのだが、背後の事情はともかく、普通に聴く分には、むしろ、前作で食べ散らかしたポップ・ミュージックがしっかりと血や肉になった印象がある。かと言って、ダンス・ミュージックから遠く離れてしまったわけでもなく、例えばベスト・トラックに挙げたい、その名も"ジ・エンターテインメント"等は、ロバート・ワイアットのような繊細なヴォーカルから高揚感に満ちたトランス・テクノに突入していく、文字で書くと何とも奇妙な、それでいて普遍的な楽曲に仕上がっている。また、細部には相変わらず偏執的なエディットへの拘りが見られものの、かつて同じことを試みたブレイクコアのような行き詰まり感はまったくない。ひとつそこに理由があるとしたら、"カム・トゥ・ダディ""ウィンドリッカー"が指向したポップ・ミュージックの相対化を突き詰めたが故にブレイクコアがデット・エンドを迎えたのに対し、ジェイコブスはもっと無邪気にポップ・ミュージックのポテンシャリティを信じているということなのだろう。その点では、彼は日本のデ・デ・マウスやイモウトイドともアティテュードを共有しているのだ。

神聖かまってちゃん - ele-king

 ハスラー・ラップが、現代の日本に生まれつつある新たな貧困層予備軍の恐れと苛立ちを音楽で表現する、政治的に最先端のジャンルだとしたら、この国のインディ・ロックではまだまだ(80年代の延長線としての)90年代を引きずり続けるようなモラトリアムなバンドが幅を利かせていて、そんな中、昨年、久々に切羽詰った音を聴いたなと思ったのが神聖かまってちゃんだった。この、理性のある大人だったら間違いなく苛立つだろう、ふざけた名前を掲げる4人組みは、実際、メンバーは20代前半という若さで、ライヴハウスよりもインターネットを拠点に活動して来たという点、所謂2ちゃん用語やアニメからの引用を好んで使う点等も含め、そのセンスの端々に、ある世代より上はジェネレーション的/カルチャー的ギャップを感じるに違いない。しかし、新しいものというものはいつだって違和感から生まれてくるのだ。

 そんな通称"かまってちゃん"が最初に名を挙げたのは、彼等自身が画像配信サイト「ニコニコ動画」にアップした膨大な量の映像によってだった。特に「ニコニコ生放送」というリアルタイムで映像を配信し、視聴者がそれに対してコメントを付けていくことが出来るサービスを使って、例えば街頭にノートブックを持ち出してライヴを決行、警察官と揉める様子まで流し、そこに視聴者から入ってくる突っ込みに逐一応えていくような極めて現代的なスタイルはカルトな人気を呼んだ。ただし、彼らの音楽性自体はむしろ、メロディアスなポップ・パンクの上でナイーヴなリリックが延々と歌われる、実にオーセンティックなものである。というか、メロコアの二番煎じである青春パンクの出涸らしとさえ言ったっていい。だから、僕は初めてライヴを観た時、そのサウンドには大して興味を持てなかった。しかし、ヴォーカリストの"の子"の、MCで客やメンバーをひたすら罵倒し、曲に入ると目を引ん剥いて絶叫する癖のあるパフォーマンスが妙に引っかかり、気付けば当初はつまらないと思っていた楽曲にも惹かれていったのだった。聞くところによると、別のライヴでは、の子がカミソリで腕を切り刻んで最前列にいた女の子客に血しぶきを浴びせ気絶させたり、大抜擢となった「サマー・ソニック」の新人枠では、の子がその模様を配信しようとするもノートブックが不調で、復旧させようといじっているあいだに持ち時間がなくなり、1曲だけ怒涛のごとく演奏し客を呆気に取ったという。また、そのパフォーマンスには、世代的に影響を受けただろう椎名林檎のように演劇的でもなく、銀杏BOYZのように扇動的でもない、何処か独りよがりな、だからこそ得体の知れないものが感じられた。果たしてそれが一体何なのか、インタヴューのためにの子の家を訪れた際に少しだけわかったような気がした。

 彼が生まれ育ち、今も住んでいる自宅は、千葉県柏市の千葉ニュータウンという、建設から30年以上が経ち、近年、老朽化と過疎化が不安視される巨大団地群の一室である。某日深夜、東京から約2時間かけてようやくその場所に辿り着くと、団地の前で他のメンバーが待っていて、部屋まで案内してくれた。そして、僕はドアを開けた瞬間、飛び込んで来た光景に目を疑ったものだ。部屋中を埋め尽くす物、物、物。マンガ雑誌、アニメのDVD、食べたままになっているカップラーメン。襖は破れ、壁には穴が開いている。呆然と立ちつくしていると、父親と思しき大人しそうな中年男性が中に促してくれる。ジャンクの山を崩さないようにキッチンを通り過ぎると、さらに荒れ果てたリヴィングの真ん中に座り込んだ、傷だらけの腕で右手に缶チューハイを、左手に小型のマイクを握り、ノートブックに向かって絶叫している男の後姿が見えた。「こんばんは」。声をかけると、「んあ? 誰だお前?」。そう言って男が振り向く。幼い顔立ちをしているが、表情はジャンキーか、病人のそれだった。目が真っ赤に充血して、口角に泡が溜まっている。"イエロー・トラッシュ"というフレーズが浮かんだ。

 そこでのインタヴューの模様はかまってちゃん自身の手によって「ニコニコ生放送」で配信され、その後、「ニコニコ動画」の方にアップされたので、気になる人は観てみるといい。ところで、僕が帰りの車の中で考えていたのは、正直理解し難い彼らのある種の"バッド・テイスト"は、階層的問題から生まれてきたのだろうということだった。そのバッド・テイストは、トライブ的にはハスラー・ラップの"ヤンキー趣味"と対になる"オタク趣味"とでも言うべきで、それは、秋葉原通り魔事件を起こした派遣社員の加藤智大被告が(現代思想に精通するような)エリート・オタクたちから自己弁護的に「あの程度の知識の奴はオタクとは呼べない」とバッシングされたことで図らずも実証してしまったように、階層的問題でそのぐらいの情報にしかアクセス出来ない貧困層予備軍を象徴する趣味性である。そして、同じく貧困層予備軍に属する不良がハスリングに手を出したあげく、自分の内にある恐れや苛立ちをどうしても抑えきれず、解放するために、少ない知識と限られたコネクションの中から選び取ったのがラップなのだとしたら、父子家庭に育ち、虐めを受けて学校をドロップ・アウトし、今はネット・カフェで働きつつ精神科通いをしているの子が、やはり自分の感情を解放するために――加藤のように聖地である秋葉原には向かわず、どうしようもない郊外の街に身を置いたまま――荒れきった自分の部屋に転がっていた、TSUTAYAから借りて来た青春パンクのCDと、バイト代を貯めて買ったノートブックを元手にはじめたのが、そう、かまってちゃんなのではないだろうか。彼らの音楽は、エリート......とまでいかなくとも、それなりに音楽を知っている人たちからは「こんなものつまらない」と言われるかもしれないが、そんな奴らには理解出来ない、止むに止まれぬ衝動に裏打ちされているのだ。僕にそれを否定することは、どうしても出来ない。

 神聖かまってちゃんの録音音源のほとんどは彼らのホームページ、あるいは「ニコニコ動画」や「Youtube」で聴くことが出来る。それでも、このライヴ会場だけで売っている3曲入りのCD-Rは飛ぶように売れているという。彼らは間違いなく、ある人びとによって切実に求められているのだ。デビュー・アルバムは3月10日にリリースされる。タイトルは『友達を殺してまで。』だという。

vol.2:ポップ・アップ・ショップ~NYE - ele-king

 12月後半からニューヨークはとても寒くなり、大雪、ブリザードの日もあった。それでもホリデーなので気分はそわそわしがち......そんな最近のニューヨークでよく話題になるのがポップ・アップ・ショップだ。




インサウンド・デザイン・ストア(ポップ・アップ・ショップ)

  不況のせいか、最近は街に空きスペースを見かけるようになった。ポップ・アップ・ショップとは、期間限定でそのスペースを利用する方法で、洋服屋は在庫を裁くためにサンプル・セールをしたり、ホリデー向けのイヴェント会場になったりする。道を歩いていると、こんな場所にこんなに面白そうなお店が......というような場面によくあたる。私が長年(といっても5年ぐらいだけれど)このシーズンになると、通っているのが、Wired store。ホリデー・シーズンになると、ポップ・アップ・ショップとして登場する。最新の電子機器を体験できたり、ギフトに最適なグッズを売っていたり、音楽を聴けたり......とにかくここはいるだけで楽しめる、カッティングエッジでテクノロジー・デザインなスペースだ。ノリータ、ソーホーなど、年によっていつもヒップな場所に出現する。今年は、ミート・パッキング。

  インディ系オン・ラインショップとして知られるイン・サウンドも、ホリデーの期間だけギャラリー・スペースをポップ・アップ・ショップとしてオープンする。売られている物は普通のレコードではない。シルク・スクリーンのポスター、ポータプル・プレイヤー、Tシャツ等々、ギフトよりの物ばかりだ。サイトを見ても最近はCDやレコードよりもグッズに力を入れているような気がする。音楽はダウンロードだからだろうか。

  さらに興味深かったのが『ナイロン・マガジン』、『バースト』、『Lマガジン』、『フレーバー・ピル』等々のメディアや音楽関連のショー・ペーパーがオーガナイズした〈スコア! イズ・ア・ポップ・アップ・スワップ〉と言うイヴェントだ。ブルックリンのサード・ワードという場所で開催されたこれは、洋服、音楽、アート関連品、本、DVD、メディア、家庭用品、家に眠っている要らない物を持ちより寄付することで成立する。会場に入ると、そこにあるものは何でも持っていってOK。洋服のコーナーはまるで戦場のように、新しい物が来るとすぐさまなくなる。フリーだと欲張っていろんな物を手に入れようとしがちだけれど、人が要らないと思うものは、やっぱり要らない。こうすると、本当に必要な物が見えてくる。自分たちがいかに要らない物をたくさん持っているかを思い知らされるというわけだ。今の世のなか、無い物は無いというほどモノに溢れている。エコだエコだと騒ぐ前に、まずは自分の身の回りをシンプルにすることから2010年ははじめようと思う。

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 それではNYE、代表的なイヴェントを以下に挙げてみる。
  パティ・スミス& ハー・バンド@ バワリー・ボールルーム
  ディスコ・ビスケッツ @ ノキア・シアター
  MSTRKRFT (3 am set)@ ウエブスター・ホール
  フィッシャー・スプーナー @ フィルモア・ニューヨーク・アット・アー・ヴィング・プラザ
  デトロイト・コブラ @ マーキュリー・ラウンジ
  アンティバラス @ ニッティング・ファクトリー
  パッション・ピット (DJ set)@ ピアノス
  スクリーミング・フィメールズ、トーク・ノーマル、フランキー・アンド・ジ・アウツ、CSCファンク・バンド @ ケーキ・ショップ
  ティーム・ロベスピア @ ブルアー・フォールズ
  エクセプター @ モンキー・タウン
  ゴールデン・トライアングル @ グラスランズ


〈ケーキ・ショップ〉での物販物

トーク・ノーマル

スクリーミング・フィメールズ

 モンキー・タウンがクローズするので気になるところだが、今回は、わざわざ橋を越えて〈ケーキ・ショップ〉に行く。目的は、トーク・ノーマル、スクリーミング・フィメールズ、フランキー・アンド・ジ・アウツ、CSCファンク・バンド。ちなみに、フランキーは元ヴィヴィアン・ガールズ、クリスタル・スティルズ、現ダム・ダム・ガールズのドラマーで、CSC・ファンク・バンドは、元USA・イズ・ア・モンスターのメンバーのバンドだ。カウントダウンはスクリーミング・フィメールズ。

  トーク・ノーマルは、ブルックリンのバンド(女の子2人)で、2009年にファースト・アルバムを発表して、ソニック・ユースやティーン・エイジ・ジーザス・アンド・ザ・ジャークス、ライトニング・ボルトなどとも共演をしている。ダークで、ヘヴィーなギターリフと、変則なドラムビートと女の子ヴォーカルのノスタルジックなスクリーミングを特徴としている。ゴースト・パンクとでも形容しようか......。

  スクリーミング・フィメールズはスリーター・キニーとピクシーズを足して2で割ったような感じ。ニュージャージーはニュー・ブルンスウィック出身で、自分たちで300もののショーをブッキングし、去年はデッド・ウエザーやダイナソーJr、アークティック・モンキーズのオープニングも務めた。それでカウントダウン――彼らは11時55分過ぎに登場し、「ニューイヤー? 誰が気にするの?」といいながら、さっさと演奏をはじめてしまった。おいおい......なので、0時になったときは、演奏の真っ最中だった。1曲目が終わって時計を見たら12:02amだった。なんともあっけない2010年の幕開け......。でもこの10年を表すのには、こんなラフな感じが合っているのかも。

  いろんな場所でのカウントダウンの様子を聞いた。ニューヨークといえばタイムズスクエアだが、何でも30日に爆弾騒ぎがあったらしく、バックパックを持っている人は誰も入れなかったとか。結局何もなかったのだけど。

  そんな訳で、2010年無事にあけ、今日も動いている。何が起こるか、わくわくしながら、リアルなミュージックシーンをお伝えできていれば嬉しい。

七尾旅人 presents 百人組手 vol.2 - ele-king

 5時からやけのはらのDJがあると聞いていたので間に合わせようと思っていたのだけれど、その日の正午に子供にアクシデントがあって病院に4時間もいることに......、で、結局リキッドルームに到着したのは6時だった。

 来てみると会場は長蛇の列で、いままさに入場中といったところ。ありゃ、やけのはらのDJは? ま、いいか。まず驚いたのは人の多さ。年末のゆらゆら帝国も満員だったけれど、七尾旅人の「百人組手」も大盛況。1000人近くはいたはずだ。より多くの人が彼の歌に耳を傾けようとしているようだ。

 というわけで、まずはカメラマンの小原泰広を携帯で呼んで、ビールで乾杯した。しばらく談笑していると「もうはじまっているみたい」と小原が言うので、行ってみたら鶴見済がステージで喋っていた。彼は......資本主義と環境問題についての詩を朗読して、七尾がそこに効果音をかぶせていた。誓って言うけれど、僕は彼の表現活動に共感を寄せているひとりだと自負するが、その晩の彼は、反抗者でも扇動家でもなく、全校生徒を前に環境問題についての作文コンクールの最優秀作品を読み上げる優等生のようだった。朗読が終わったあと場内からは拍手が起きたから、僕の汚れた魂がいけないのだろう。だいたいこの日の出演においてもっともリスキーだったのは鶴見済だ。そう考えれば、リキッドルームで、ある意味ではジョー・ストラマーのように、子供にも理解できるように左翼思想を説こうとする彼に文句を言うべきではないのかもしれない。そもそもあの詩を望んでいたのは他ならぬ七尾旅人。それでも僕は小言を言ってしまった。それも本人に直接......、寛容さを欠いてかもしれないけれど、資本主義の真っ直中で生きながら、日々必死でカネを稼ぎ必死でカネを使っている人間からすると、あの手の純真な言葉(「生産」も「消費」も「もうたくさんだ」「もうたくさんだ」「もう......」等々)にはいたたまれなさを感じてしまう(以下、ザ・ストリーツの"ザ・ウェイ・オブ・ザ・ドー・ドー"の歌詞を参照)。

 さて、それでDJバク。山っ気あふれるヒップホップDJの登場だ。彼の切れの良いスクラッチを聴きながらもう一杯......ということで僕はバーでビールを飲むことにした。すると向こうから、いかにも柄の悪そうな五十嵐慎太郎がやって来る。一色こうきと会うのも久しぶりだったし、桑田晋吾も来たので、リキッドルームの2Fで新年会がはじまった。いつの間にかROVOの演奏もはじまり、そして終わりそうだった。いかん、いかん、このままではいかん。下に行くよ。僕は五十嵐と桑田にそう言い残して、ひとりで超満員のフロアのなかに突入した。

 けっこう酔っていたので途中からしか覚えていない。たしか豊田道倫が「おまんこちゃん~!」とエモーショナルに歌っていて、しばらくすると後藤まりこが出てくるあたりだったと思う。七尾旅人は彼の十八番、華原朋美の"アイム・プラウド"のカヴァーを歌った。続いて後藤まりこが歌い、七尾が合いの手を入れた。それは世俗的な、女性の想いの込められたありきたりのラヴ・ソングだったけれど、なにかそのあけすけな感覚が、その晩はとても愛おしく思えた。それが聖と俗を往復する七尾旅人の音楽の、優秀な翻訳だったからなのだろうか。とにかく僕は、豊田道倫の愛欲と、それから自分のことを"僕"と呼ぶ女性シンガーの歌う愛欲に感心しながら、なにか救われた気分を味わった。愛(love)ではなく愛欲(lust)、まさにLust for Life。

 そこから最後までは、七尾旅人の世界を楽しんだ。彼が「目を閉じて」と言えば目を閉じたし、「草原にいる自分を想像して」と言えば想像した。僕はこのハーメルンの笛吹き男の言いなりとなって、音楽とともに夢を見た。ルイ・アームストロングの高貴な魂を想いながら、"素晴らしき世界"を感じた。ライヴの最後には"Rollin' Rollin'"が待っていた。やけのはらも登場した。僕はこの予定調和を堪能した。ようやく踊ることができたから。

 終わってみれば良いライヴだったと思う。桑田は興奮気味に「やっぱ七尾は最高ですわ!」と呻いていた。僕も異論はない。が、10日前に同じ場所で体験した中原昌也~ゆらゆら帝国のライヴのような、濃密な緊張感はなかった。ああいう緊張感を回避しているようでもあった。和んでいたし、相変わらずの長丁場だった。そしてこの晩のライヴは、おそらく多くの人に考える契機を与えたかもしれない。七尾旅人らしいと言えば"らしい"。聖と俗、政治とアート、言霊と音楽......それらの温かみのある混合。アルバムは3月に出るらしい。

Peverelist - ele-king

 2009年の年末はiPodにしこたまダブステップを入れて、そして元旦はゆっくり時間をかけて帰省した。入れたのは、2652やキング・ミダス・サウンドのアルバム、〈ハイパーダブ〉や〈テクトニック〉のコンピといったその年のお気に入りから、比較的最近入手したイターナルの『メッセージ・フロム・ザ・ヴォイド』、クリプティック・マインズの『ワン・オブ・アス』、そしてペヴァーリストの『ジャーヴィック・マインドステート』の3枚で(もちろん、あの素晴らしいピンチのシングル「ゲット・アップ」も!)、ひとりで東海道を下りながらイヤフォンを低音で震わせていたというわけである。それで思ったのだけれど――これはあくまで個人的な感想だが――ダブステップは決してiPod向きではない! ハウスやテクノなどといったダンス・ミュージックと比較しても、言うまでもなくそれはより空間的で、ボディ・ソニックな音楽なのだ。ジャマイカのダブとクリプティック・マインドのダウンテンポをくらべても同様で、当たり前の話だが、イヤフォンではその周波数的な迫力が軽減され、ダブステップとしての快楽が半減する。そこへいくとインディ・ロックは実にiPod向きだ。ビーチハウスの新しいアルバムなどはこの再生装置のためにあるんじゃないかと思えるほど、見事にはまる。そう考えれば、ダブステップは"個人"で聴くことを拒む音楽だと言える(ピンチの「ゲット・アップ」なんかは「グッド・ライフ」そのものだし)。ブリアルだけが幅広く受け入れられたのは、あの音楽は"個人"で聴くことを許容する音楽で、その意味においてもまさに"レイヴ文化のレクイエム"だからだろう。

 だから僕はこの1ヶ月、家族(と下の階の人たち)には申し訳ないがイターナルの『メッセージ・フロム・ザ・ヴォイド』、クリプティック・マインズの『ワン・オブ・アス』、そしてこのペヴァーリストの『ジャーヴィック・マインドステート』を家で聴いている。新世代のブリストル主義者による最初のアルバムを。

 ペヴァーリストことトム・フォードは〈パンチ・ドランク〉を主宰している。これは2006年にブリストルに誕生したダブステップ・レーベルで、同郷の先駆的レーベル〈テクトニック〉、2008年に後続した〈アップル・パイプス〉らと並んでいまやブリストルのシーンを代表するひとつとなった。2562やマーティン、あるいはフライング・ロータスなどといったブリストルの外側とも積極的にアクセスする〈テクトニック〉や〈アップル・パイプス〉と違って、〈パンチ・ドランク〉はよりブリストルにこだわっているように見える。だいたいブリストルの古参=RSD(ロブ・スミス)のダブステップにおけるデビュー・シングルを発表しているし、ジェミーやグイードといった新世代の作品も出している。レーベルとしての最初のアルバムも、あたかも部活の先輩をたてるかのようにRSDのシングル集だった。とはいえ、〈パンチ・ドランク〉の音楽も他のレーベルと同様に、ポスト・ジャングルのブリストルを象徴する――ジャングル、ダブ、ガラージ、レイヴ、テクノのミニマリズム、それらのハイブリッド・ミュージックとなっている。

 アルバムはペヴァーリストの内面トリップさながら展開する。冒頭を飾る"Esperanto"が満場一致でベスト・トラックだろう。デトロイト色が強く(とくにURめいたストリングス)、彼の専売特許でもあるパーカッシヴなダウンテンポが心地よく響いている。ピンチの力を借りた"Revival"もダークなアブストラクト・ダブの傑作で、続く"Bluez"もまたダブの暗闇を飛行する。タイトル曲の"Jarvik Mindstate"は悪酔いしたミニマル・テクノといった感じで、そして"Yesterday I Saw The Future"ではこのジャンルが好むダーク・フューチャー=ディストピアを描ことする。深いベースラインとトライバルなビートはペヴァーリストの特徴のひとつだが、このトラックもその典型だ。"Not Yet Further Than"はDJなら深い時間にスピンしたくなるようなデトロイティシュなトラック、CDには12インチとして既発している(これもまたURめいたストリングスが印象的な)フリーケンシーなミニマル・トラック"Clunk Click Every Trip"も収録されている。

 ダブステップのディストピアめいたヴィジョンは、僕はきっと東京の街にはぴったり合うんじゃないかと思って、iPodに入れてみた。たしかに......合った。とくに、きれい事ばかり聞かされたときにこれほどカタルシスを与えてくれるジャンルもない。この音楽は、暗闇とは必ずしも忌み嫌うべきものではないということをあらためて教えてくれる(そのセンでいくとイターナルのアルバムが強力だったな~)。多少、魅力が軽減されたとしても、しばらくはiPodに入れておくつもりだ。

Ganglians - ele-king

 いわばアニマル・コレクティヴ・フォロワー。いわばグリズリー・ベア・フロワー。ただしこちらはニューヨークではなくサンフランシスコ。パンダ・ベアの、あのピーターパン的な切なさを取り除いて、わりかし躁状態で、ご機嫌で、サーフ・ロックとカラフルな花びらと、それから諧謔性をまぜこぜにした感じ。サイケデリックだが奈落の底に落とされることはなく、また宇宙の神秘を感じることもない。グリズリー・ベアのような魂のサンクチュアリーを押しひろげることもなければギャング・ギャング・ダンスのように踊らせるわけでもない......そういう意味では生ぬるく、レトロとエレクトロニカの混合で(まさに今時のUSオルタナである)、ここ1~2年で巷に溢れる中途半端な音楽のようだが、しかしガングリアンズのファンタジーはあくまで創造的に展開する。不思議なことにリスナーを最後まで離さない。

 サンフランシスコを拠点とするこの不思議な名前を持つバンドは、2008年にデビューして、そしてこれが正式なファースト・アルバムとなる。アニマル・コレクティヴそのものといった感じの"The Void"や"Hair"といった冒頭の曲、とにかく5曲目の"voodoo"までの流れも悪くはないが、僕はアルバムのなかば以降が良いと思う。コズミックなアシッド・フォーク"Cryin' Smoke"から美しいフォーク・ソング"Rats Man"、グルーヴィーなアシッド・ロック"Radically Inept Candy Girl"、西海岸のフォーク・ロック"100 Years"......バンドがニューヨークを意識せずに伸び伸びと演奏している曲のほうが魅力的に思える。試しに曲順を変えて聴いてみるとずいぶんと印象が変わった。

 何はともあれ、こういう作品を聴くと、アニマル・コレクティヴのインパクトがいかに大きかったのかをあらためて思い知らされる。いつまでも子供でいたいと態度を決める、積極的な退行現象、いわばブリキの太鼓症候群――それがエレクトロニカの力を借りてこうしてUSオルタナの主流になりつつあることなど、いったい誰に予想できただろうか。ニルヴァーナとエイフェックス・ツインが一緒になることなんて......。サイケデリックがこれほど広く更新させるなんて......。僕はとくに、このアルバムのアートワークが気に入った。この奇妙なイラストが彼らのサイケデリック感をよく表している。これもまた、アメリカの新世代によるアート・ロックの時代を象徴している。

電気グルーヴ - ele-king

 2009年末、電気グルーヴの結成20周年を記念した活動の一環として過去ヴィデオ(VHSですな)としてリリースされていた90年代を中心とする映像作品が3タイトルまとめて再発された。旧住所に宛ててギリギリに発送された招待状が郵便局に転送される間に終わってしまって見逃したリキッド・ルームでの4時間におよぶ20周年記念ライヴ、これはCMJKや篠原ともえもゲストに登場するカオスっぷりで、往年の名曲から昨年の2枚のアルバム『Yellow』『J-POP』、そして20周年記念盤すべてからまんべんなく曲が披露されたという。しかし、そのライヴを目撃した誰もが口にしたのは「長すぎ、やばすぎ、おもろすぎ」なMC。かつてのラジオでの喋りよろしく、ここ最近のステージではとにかく喋りたおす卓球と瀧が目についたが、それが究極の形にまでいってしまったようだ(実質2時間以上)。そ、そんな電気が戻ってきてるのかぁ......と感慨深いあなたは、とりあえずこのDVD3作をチェックして、まんまそのステージでの悪ふざけ的なノリで飛ばしまくるトーク(副音声)を楽しむのもありかもしれない。特に、初期の92年の「全国鼻毛あばれ牛ツアー」の模様(日本武道館での公演メインに複数の会場の映像を編集)を収めた『ミノタウルス』と、なにもかもが変わってしまったロンドン帰りの卓球が何かに取り憑かれたように踊りまくる94年1月NKホールでの「野村ツアー」最終日を収めた『ケンタウロス』は、時代のドキュメントしても超貴重。ゲストにまりんを迎えてビールを空け、完全に同窓会ムードになってるこの副音声と、精悍で若々しい彼らの姿、そして音を再確認するだけでも、かなり価値のあるDVDだ。

 それにしても、レイヴ~ハードコアな音、要するにサンプリング主体でイギリス的な響きの92年から、909のキック、303のアシッド・ベース、そしてトランシーなブレークなど完全にジャーマンな93~94年のあいだの隔たりがものすごい。デビュー当時からそのときどきに気に入った音を剽窃よろしくペロッと舌を出して取り入れてきた電気が、初めて自分たちの表現にサウンドの要素を借りてくるのではなく、自らが音の海に突進して融合してしまったかのようなすさまじいリアリティ。別にそれ以前がだめだというわけでなく、完全に音との向き合い方、表現の方向性が変わったのだと、誰がどう見てもわかる。コメンタリーを聞いてると結構恥ずかしそうな卓球だが、でも、このステージがきちんと映像として残されメジャーから発売されて、いままたこうやって再発されるっていうのが奇跡。ダンスフロアのE-Dancerたちを捉えたドキュメント映像はいまやYoutubeでもたくさん探せるけれど、ステージがこんな状態になってる上に、ちゃんとアーティストのそれまでやってきたことも継承してるしエンターテインメントとして成立してるっていうのは世界中探しても他にないんじゃないか。ラスト近くで定番の"富士山"やって、着ぐるみの瀧と汗だくで踊る卓球、そしてたくさんの子供がステージでぐるぐる歩きまわるっていうスゴイ画が見られる。たしかこのとき、エキストラでステージ上がれる子供いない? って言われて、探した気がするけど、今見るとほんとシュールだわ、これ。

 おまけ的についてる『シミズケンタウロス』は、田中秀幸が当時12インチでもリリースされた"Popcorn"と"新幹線"にものすごいチープなCG(たぶんアミーガ)で映像をつけたもので、これもすごい。これって要するに、当時田中さんが芝浦GOLDとかでやっていたVJの再現で、ただレインボーのサイケな光がグニャグニャしてるとか、いまやスマップとかキャメロン・ディアス使ってCM撮ってる田中さんの原点を確認するという意味でも感動的なのだ。(こちらへ続く)

電気グルーヴ - ele-king

 さて、2作目の『野球ディスコ』には、特典として94年末に横浜アリーナで行われた『Dragon』発表後のステージがプラスされている。最初、アナログのジャケを頭にかぶって卓球がステージに出てくるこのライヴ、何かと思ったらつるっぱけになっている(そういえば、その直後の年越しパーティにもハゲ頭で現れたのを思い出した)。表現の基本路線は変わっていないが、電気グルーヴのワンマン・ライヴ史上最大の会場である横アリなのに、このルックス。そして挙動は少し落ち着きながらも相変わらずせわしなく手を浮遊させて踊りまくる。この映像では"新幹線"くらいでしか確認できないが、それまでマイクを握ってステージ最前列にいた卓球が、後ろで卓をいじりはじめたというのは結構大きな変化だ。また、ステージ後方には巨大スクリーンが設置され、田中秀幸のVJが映し出されている。巨大な鉄のオブジェにも見えるトラス含め、5年後に同会場でスタートする〈WIRE〉と共通するエレメントはすでにほぼそこにあるのだが、何かが決定的に違っている。後半の怒濤の瀧タイムで、ミカン・しめ飾り・海老・お年玉などが貼りついた"お正月"衣装で客を煽る瀧と隅の方でピンライトの下黙々と踊りつづける卓球の姿を捉えたショットがすごい。普通だったら、こんな分裂したグループ、続くわけがないしこの頃に方向を見失っていてもおかしくない。だが、その分裂すらも個性に転化するパワーが彼らにはあったのだということだろう。

 続く本編、97年の赤坂ブリッツでのステージを収めた映像は、本人たちもコメンタリーで自画自賛しているように、相当にかっこいい。そして、ここでもまたそれまでとの隔絶が如実に映像として立ちあらわれる。それをもたらしたクラブでの遊びがあらゆる部分に活かされていて、あれやこれやの細かい解説は喜々としてコメンタリーでも語られている。まりんはもうあまりシンセは弾かず、ステージ上に設置されたミキサーやターンテーブルを操り、卓球もマイクはたまに握るものの、その注意の大半は卓のコントロールに費やされている。曲はDJミックスのようにすべてつながっていて、ある曲のパーツがまったく別の部分で鳴らされたりもしている。そして当時のクラブの現場で使われていたVestaxのミキサーやアイソレーターが存分に活躍し、レーザーが交錯する一方でステージは暗いというそれまでのコンサートの様相から完全にクラブ仕様に移行。客席もスタンディングで、リキッド・ルームやイエローで遊んでいた層もかなり混ざっているようだ。そもそも、このツアーの前に発表された出世作でありまりんの残した最後の作品『A』の素晴らしさがほとんどそのままステージに持ち込まれているこのライヴ、つまらないはずもなく、それまでの暴走や過剰を最高の演出としていた彼らとは、やはり何かが決定的に違う。そして、このとき、30歳という彼ら。いやぁ、才能というのは恐ろしい。"猫夏"~"Dinosaour Tank"~"あすなろサンシャイン"という奇跡的な流れもレコードに忠実なアレンジなのにゾクッと来るようなかっこよさだし、例の卓球ソロの代表作のひとつ、PS『攻殻機動隊』サントラ曲にそっくりなバックトラックを使った"CATV"の変貌ぶりにも驚かされる。あれだけ売れたのに、その最中に"Shangri-La"をやってないというのも電気らしくて、最高。(こちらへ続く)

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