「Nothing」と一致するもの

青柳拓次 - ele-king

 青柳拓次は筆者とおなじ年齢なのだが、聴いている音楽もやってることも、彼はそれこそ高校生の頃からずっと(自分を含めた)世俗の一歩二歩先を行っているように思える。青柳はいわゆる渋谷系世代のど真んなかで、つまりあらゆるカテゴリーの音楽を並列に捉える感覚が最初から備わっている世代だ。リトル・クリーチャーズをはじめ、さまざまな活動を通して彼がやってきたこともまさにミクスチャー/クロスオーヴァー音楽だった。そして青柳の音楽にはつねに卓越したポップ・センスがあり、また同時に彼はその時点では誰もやっていないことをやってきている。そんな彼がまたやらかしてくれた。

 今回リリースされるアルバム『まわし飲み』は本人名義としては2枚目となる作品である。まずは、青柳拓次のこれまでのソロ活動を少しだけ振り返ってみよう。

 青柳拓次がソロ活動をはじめたのは2000年、自身も出演した映画『タイムレスメロディ』のサウンドトラックでカマ・アイナと名乗ったのが最初だった。以降、それは彼がそれまでひとりで聴いて楽しんでいた音楽を思うがままに作るソロ・ユニットとなった。2001年に発表した『kati』では、カリブ系をコンセプトにするダブル・フェイマスともまた違ったワールド・ミュージックにおけるエキゾチック感覚を披露しているが、そこには当時のポスト・ロック的なセンスさえも独自に展開したような面白さもあった。

 "青柳拓次"名義の最初の作品は、2007年にリリースされた『たであい』だ。カマ・アイナがインスト主体だったのに対して、"青柳拓次"名義では日本語のやさしい歌が主体となった。アジアの民族楽器がふんだんに使われていて、彼流のエキゾチック観がルーツに向かっているような気配があった......その時点では。
 
 新作『まわし飲み』は、『たであい』が弾き語りでも成り立つようなつくりであったのに対し、何よりもリズムが際だっている。そのせいか、前作ではやや控えめにみえた無国籍なフィーリングが露骨に展開されている。タイトルナンバーのM-1"まわし飲み"は、アメリカン・ルーツ風のアコースティック・ギターを軸にした曲だが、リズムはラテン風で、ヴォーカルは日本の民謡風にコブシがきいている。果ては篠笛がフォルクローレのようなフレーズを奏でるという具合だ。

 『まわし飲み』は、彼が旅してまわった唐津、岡山、尾道、博多、そして台湾といった土地がインスピレーションになっているという。使用楽器は、青柳はギター、バンジョー、三線、オルガン、ゲストは太鼓、チャンチキ、中国古筝、二胡、サックス、篠笛、能管、鈴など。女性民謡歌手のコーラスも入っている。

 台湾の土地、猫空(マオコン)をそのまま曲名にしたM-8はどうかといえば、日本の盆踊りの音楽そのものだ。日本の統治下にあった台湾に盆踊りがあるのかどうか筆者にはわからないが、青柳が台湾で盆踊り風の音楽を耳にしたのだとしたら、その経験がコンセプトのもとになっているのだ。

 このセンで聴いていくと、純和風なメロディの歌ながらも歌詞に出てくる場所は「ハワイ」となっているM-3"つきのにじ"(ちなみに楽器はバンジョーで、フォルクローレ風の笛も入ってくる)や、M-4で沖縄の民謡"安里屋ユンタ"が三線ではなくアコースティック・ギターでアメリカ風に演奏されているのも合点がいく。

 2001年に『インディーズ・マガジン』で取材した際にも、「例えば南米っぽいフレーズがあったとしたら、そこに南米の楽器を使わないでアイルランドの弦楽器を使ったり。楽器を変えることでより国籍とか民族がはっきりしなくなってくる」と青柳は語っている。こうした異文化をシャッフルさせるような試みは以前から彼のなかにあったものだが、今回はとくに誰の耳にもわかりやすいかたちでそれが表現されている。

 日本人およびアジア人としてのアイデンティティの探求と、旅人=ストレンジャーという視点によるストレンジ・ミュージックの探求。『まわし飲み』にはこのふたつの探求を見ることができる。いま世界ではメスティーソ(混血人種)音楽がもてはやされているが、この『まわし飲み』は、極東におけるもっとも優れたそのサンプルとなるのではないだろうか。

Emeralds - ele-king

 三田格が監修した『裏アンビエント・ミュージック 1960-2010』のなかで、2009年の重要作として大きく取り上げているのがこのエメラルズで、彼は2ページを使って5枚の関連アルバムを紹介している。本のなかで三田格は出たばかりの本作について「クラウトロックへの転身が完全なものとなった」と書いているのだけれど、実際の話、僕はこの作品を聴いてエメラルズを買った。「クラウトロックへの転身」によって彼らはこうして新しいリスナーと出会ったわけである。

 オハイオ州クリーヴランドを拠点とするエメラルズは、マーク・マクガイアー(ギター:三田格が ele-kingで書いているように最近〈ウィアード・フォレスト〉からソロ作品を出している)、スティーヴ・ハウシリト(エレクトロニクス)、ジョン・エリオット(エレクトロニクス)の3人からなるグループで、20代前半という若さながらすでにその筋では名が知れている。親切な"裏アンビエント"の監修者は僕にエメラルズのバックカタログを貸してくれたのでひと通り聴いてみたのだけれど、なるほどたしかにどの作品も面白い。2008年の『ソラー・ブリッジ』は『メタル・マシン・ミュージック』の系譜に位置するフィードバック・ノイズによるアンビエントの傑作で、前作『エメラルズ』にアンビエントのハード・リスナーを納得させるであろう特別な輝きがあるのもわかる。それをノイズと呼ぼうがアンビエントと呼ぼうがドローンと呼ぼうが、音楽作品としての充分な魅力があり、エメラルズはすでにある一定水準を超えているのである。

 また、エメラルズは、グルーパー、ポカホーンティッドオネオトリックス・ポイント・ネヴァーなどなど野心的な連中と同様に、カセットテープとCDRによる作品を実にこまめに発表している。USアンダーグラウンドにおける"テープ・シーン"を代表するグループでもあるのだ。"テープ・シーン"とは超限定のカセットテープと超限定のCDRによる作品発表、あるいはまた(デトロイトのブラック・アンダーグラウンドと同様に)ヴァイナルの復権を唱えるものであり、どうやらデジタル・シーンへの批判的な態度を表明する時代精神のひとつとしても注目されているらしい。

 個々の作品性については『裏アンビエント・ミュージック』を読んでもらうとして......、で、『ダズ・イット・ルック・ライク~』はたしかにクラウトロックにおける"コズミック・ミュージック"と呼ばれたものと近しい。初期のタンジェリン・ドリーム、『ラルフ&フローリアン』、『ツァッカーツァイト』、エレクトロニクスを使いはじめたマニュエル・ゲッチング......。アナログ・シンセサイザーの睡眠的な反復とマクガイアーによるゲッチングを彷彿させるギター演奏は確信犯としてそれをやっているのではないだろうかと思わせる。

 『ダズ・イット・ルック・ライク~』は、『エメラルズ』と同様に多くのリスナーがアプローチしやすい作品でもある。それぞれの楽曲にはそれぞれのアイデアがあり、『エメラルズ』と比べて曲のヴァリエーションもある。ただし......、圧倒的な恍惚感ということで言えばたしかに『エメラルズ』で、『ダズ・イット・ルック・ライク~』には少々重苦しさが入り込んでいる曲もある。そこは好みが分かれるところかもしれないが、バンドはドローンやアンビエントといったカテゴリーの殻を破って、より広いところに行きたいのではないかと思われる。このアルバムを成虫前の「繭のような作品だ」と評していた人がいたけれど、そうした期待を寄せるだけのポテンシャルは『裏アンビエント・ミュージック』のおかげで充分にうかがい知ることができた。
 ちなみに『裏アンビエント・ミュージック』は、音楽快楽主義において目から鱗のカタログである。とりあえずは、この本を読んで自分なりのリストを作成し、中古盤店を探してみるかい(値が上がらないうちに)。

七尾旅人 - ele-king

 不自由さや閉塞感の中に表現の根拠を見いださなければならないというのが、2000年代の日本の状況だった。表現するということの居心地の悪さが、「なぜ表現などということをするのか、そんなことにいまどのくらいの意味があるのか」と無限に自己弁明を強いるような、ややこしい時代。たとえば相対性理論ならば、作品においてもふるまいにおいてもなかば露悪的にポップ・ミュージックという枠組み自体を脱臼させることで、その居心地の悪さを踏み抜こうと試みていたと言えるだろう。

 そうした無限の自己弁明に耐えられないならば、動機に関するメタな考察はいっさい放棄して、あるいは「エンターテイメント」に、あるいは「純文学」に、あるいは......といった具合に制度的なひとつの態度に開き直ることでなんとか創作行為を維持していくような消耗的な時代。ライトノベルやある種のゲーム、アニメの勢いがあったり、AKB48にうかがわれるパッケージ・ビジネスに期待が寄せられたりするムードもそのいち例だろう。こうした状況にどのように向かい合うかという問いの真摯さも、何が"真摯さ"かということが自明ではなくなって――表現における"真摯さ"の価値が崩壊して――シリアスな表現者ほど苦しい闘いを余儀なくされたように思う。「ゼロ年代」という呼称は、そうした状況と分かち難く結びついたものだ。ゼロはリセットの意ではなく、底抜けの空白状態を表すにふさわしい。

 七尾旅人は"真摯な"闘いを続けるアーティストである。七尾旅人の怪しげな格好は、メタ表現者......表現者としての自らに加えられたシニシズムでもあろうが、同時にゼロ年代を漂泊する西行のような、孤高の吟遊詩人の姿にも重なる。踊り念仏の一遍、あるいは空也になぞらえてもいいかもしれない。彼らの共通項は「ライヴ」だ。本作についてなにかを述べようとするならまず彼の近年のライヴの模様について語らねばならないと筆者は考える。

 七尾旅人はライヴという一期一会の場所におけるコミュニケーションを巧みに捏造する。そして例えばポリティカルなテーマ(=ネタ)設定によって、かろうじて外部性をでっちあげる。直接性を保証するはずのライヴにおいても、社会やメディアが高度に複雑化しきった現在では、コミュニケーションなど自明には成立しない。イヴェントやライヴの最中に携帯を広げる姿が目立つというが、メールではなくツイッターであろうし、その様子がストリーミング配信による実況中継で遠隔地の人間にも共有される昨今だ。彼らもまたツイッターに参加する。その真ん中で「つぶやき」を拾い、読みあげる七尾。また曲中でさえ客いじりを中心にしゃべりまくる七尾。そのように、なかば「コミュニケーションのパロディ」といった様相で立ち上がる彼のパフォーマンスは、一いちどの屈折を経ないと相手に繋がらないという、信頼よりは不安が先立つ90年代型の感性と、間接的なコミュニケーション・ツールが爛熟し飽和したゼロ年代に、そのマナーを逆用することで直接性の片鱗を掴もうという企てが交叉したもののように思われる。卓抜な弾き語りと、アイディアに満ちたパフォーマンス、彼自身のカリスマ。持てるものを総合して闘っている印象だ。

 彼の場合、批評性に偏るタイプではなく、実際に素晴らしく音楽的な才能と、音楽に対する純粋なリスペクトがあるところが得難い存在感に繋がっている。「フォーク・シンガーっていかに何もしないかだと思ってるから」ふわっと現れ、なにほどか聴衆を愉しませ、気づけば舞台を去っている。あれ? あの人は何だったんだろう? というような存在になりたい......という趣旨のMCをいつか聞いた。それはまさに詩と音楽と踊り念仏の上人だ。人びとを踊らせ(愉しませ)、メッセージをおいて、どこかへ消える。明晰な七尾は韜晦的な調子で述べるが、おそらくこれは本音だろう。
 
 さて、5枚目となるフル・アルバム『ビリオン・ヴォイシズ』は、こうしたライヴにおいてアニマートに演奏される楽曲のアソートだ。YouTubeなどで拾える名演も多いが、その本尊としてのスタジオ録音といった印象である。また、集められた楽曲は自ずからひとつのテーマ性とストーリーを浮かび上がらせている。アコースティック・ギターの軽快なリフに先導されて頼りない妻子持ちの身上をまくしたてる"アイ・ワナ・ビー・ア・ロック・スター"。単一のリフのみ、あとはヴォーカル・パフォーマンスで聴かせてしまうシンプルな展開。だが作中主体の妄想とともに突如ペダルで起爆、ファズが唸り、ブルージーなリフはヘヴィに強調され、野外フェスのような歓声とともにヒロイックなギター・インプロが延々と続く後奏へと流れ込んでフェイド・アウト。アルバムの冒頭を飾るにふさわしい、期待感のあるナンバーだ。

 スペーシーなサウンドとリズムボックスがネットワーク世界を幻想的に描き出すファンシーなシンセ・ポップ"検索少年"は、クリエイターが自ら楽曲ファイルを販売できる新システム「DIYスターズ」の開発とそれを利用したリリースでも話題になった曲。NHK「みんなのうた」で流れたとしても違和感のない童謡的なメロディとサリュの紗のようなコーラスが効いていて、本作品中では異色なトラックとなっている。
 つづく"シャッター商店街のマイルスデイビス"と"バッド・バッド・スウィング!"はアルバム全体の腰となるパートだろう。琵琶法師もかくや、クラシック・ギターを抱いて語りとも歌唱ともつかない節回しで紡がれつづける言葉、言葉、言葉。ライヴでもハイライトとなるパフォーマンスで、カオスパッドを用いてヴォーカルに変幻自在な表情や遊びが加わる。マイルスのプレイの声真似には微笑が漏れる。似ている。シャッター商店街のシャッターの向こうから突然マイルスが現れ、トランペットを聴かせてくれるくだりだ。すると妄想は次へ次へと連鎖し、いつしか心はサバンナへ。サバンナとカフェを好む作中主体は、その大地を慕って連呼する「帰りたい帰りたい帰りたい......」帰りたいのがいったいサバンナなのかファスト風土化した日本なのか、聴いているうちになんだかわからなくなった。そのまま間髪を入れずに"バッド・バッド・スウィング"。ウッドベースは人々がひしめいて踊る闇を演出し、七尾はそれを早口に描写、ピアノは艶かしく、ドラムは性急に心をあおる。サックスは加藤雄一郎。次第に熱を帯び、咆哮するサックスと七尾のド迫力のスキャットが切り結ぶ圧巻のセッションだ。七尾のプレイ・スタイルとして、批評性が勝るかに見えて実際には極めて洗練された音楽性が楽曲を支配しているという性質が挙げられるが、この曲はその嚆矢といえる。彼の声はほんとうに素晴らしい。非常に醒めた視線と非常にロマンチックな理想に引き裂かれている。そして前者を後者が圧倒しようとするのがよく見てとれる。

 あとは"どんどん季節は流れて"、"Rollin' Rollin'"だろうか。ソング・ライティング以上に表現や歌唱自体に並みならぬ才能をみなぎらせる七尾がブラック・ミュージックに接近するのは、時間の問題だったのだろう。メロウでハート・ウォーミングなR&Bナンバー"どんどん季節は流れて"はライヴでは聴衆に合唱を求められる。ソウルフルな味わいのシンプルな曲で、やはり七尾の歌唱が冴える。"Rollin' Rollin'"は説明不要のフロア・アンセムだ。やけのはらとのコラボ作で、ニュー・ソウルへのオマージュに満ちた切なく幻想的なトラックに、やけのはらの棒立ちのラップが鮮やかに映える。メロディは忘れがたく、ヴォーカルは甘く涼やかだ。一夜と一生と世界が渾然と混ざりあって回転するイメージが、ターンテーブルに重ねられてエンドレスに展開する......わずかにビターな後味を残す、アーバンな雰囲気の名曲である。

 こうした曲の合間を、静かな弾き語りの小品が埋めていく。いずれにも身近な人間の命を愛おしく見つめる視線が織り込まれていて、本作のサブ・テーマを形作っているように見える。"あたりは真っ暗闇"は、さすらいのブルーズメンを自らに重ねたものだろう。愛するものを後へ後へと残して旅する、音楽にしか身寄りのない男たちへの憧れと共感がにじむ。が、そんなロマンチシズムへの自嘲もわずかに宿っている。七尾の下駄に麦わら帽、ひらひらと黒い衣装をまとった「うさん臭い」姿は、全身で「俺についてくるな」と語っているのではないだろうか。実際の自分は「大騒ぎの後まだ生きてる」ことに不思議さを覚えながら、「ちょっとそっちにいってみよう」と思っているだけなのだ(なんだかいい予感がするよ)と。

 人びとを踊らせ、いい予感を残し、自らは去る。今作は七尾自身がこれから歩む道を方向づける重要作ではないだろうか。六波羅蜜寺の有名な空也像は、念仏を唱える口からどんどん阿弥陀が出てくる。ふと見れば、本作ジャケット写真も七尾の口からどんどんと歌われたものが形を成して出てくるデザインだ。それは音楽への敬虔さであると同時に、世界に対する――「ビリオン・ヴォイシズ」に対する――敬虔さの証であるように思われる。彼はけっして安易に世界を否定しない。そしてそれがどう聞かれようとも「心配要らない」と歌う。ミュージシャンとはそのようなものであってほしい。

CHART by JETSET 2010.07.26 - ele-king

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1

FOUR TET

FOUR TET ANGEL ECHOES »COMMENT GET MUSIC
☆特大推薦☆究極の美を求めて。レフトフィールド・ミニマル頂上リミックスが実現しました!!アルバム冒頭を飾った裁断フィメール・ヴォーカル入り名曲が遂にリミックス・カット。同ベクトルを向く盟友Manitoba改めCaribouによるリミックスを搭載ですっ!!

2

SAMPS

SAMPS S.T. »COMMENT GET MUSIC
遂に到着しましたー★2010年完全マストのニュー・インディ・ダンス・サウンド、Samps!!全てのジャンルを超えて次の新しい基準になること確定。このMexican Summerからの超限定ミニ・アルバムを買わないとこの夏も越せません!!とりあえず今すぐお願いします!!

3

AMERICAN MEN

AMERICAN MEN COOL WORLD »COMMENT GET MUSIC
グラスゴウ/LDN/NYの最強メンバーを取り揃えた豪華過ぎるリミキサー陣に注目です!!Hudson Mohawkeのリリースでお馴染みのグラスゴウ超名門LuckyMeより、ポスト・ロック・バンド音源を当店直撃の豪華メンバーがリミックスした変則Wパックが登場っ!!

4

MADLIB

MADLIB MEDICINE SHOW VOL.7 - HIGH JAZZ (LIMITED DELUXE VERSION) »COMMENT GET MUSIC
今月号も即完必至! Madlibがお届けする至極ハイなジャズ・インストゥルメンタル。コチラのDX限定盤には、CDにも(もちろん通常盤にも)収録されていない5曲入り12"が付いてきます! Blue Note作品を意識したHit&Runによるジャケットも最高です。

5

RAMADANMAN

RAMADANMAN ALLSHORT WORK THEM »COMMENT GET MUSIC
☆特大推薦☆引き算のポスト・ダブステッパーRamadanmanが、またしても時代を塗り替えます!!若き天才ダブステッパーRamadanman。盟友Addison GrooveことHeadhunterのリリースでも話題を集めたSwamp 81から革新の1枚をお届けしますっ!!

6

TORTOISESHELL

TORTOISESHELL THIS GIRL »COMMENT GET MUSIC
本気でTanlines + Tough Allianceな素晴らしさ!!衝撃のオージー・ニュー・バンド登場です。DFAからもリリースするCanyons主宰レーベル、Hole In the Skyから。シドニーの5ピース、Tortoiseshellのデビュー・シングル!!アンセム確定です。

7

JUSTIN VANDERVOLGEN

JUSTIN VANDERVOLGEN CLAPPING SONG »COMMENT GET MUSIC
ニュー・ディスコ・どストライクな2トラックス!!外し無しのNY"Golf Channel"から、"TBD"でのリリースもビッグ・ヒットを記録した元!!!のべーシスト"Justin Vandervolgen"がソロ・リリース!!超強力です。

8

DOMINIK VON SENGER

DOMINIK VON SENGER NO NAME 2009 »COMMENT GET MUSIC
元Phantom Bandの"Dominik Von Senger"がGolf Channelに参戦!!83年リリースのファースト・アルバム"The First"に収録されいた"No Name"。Brennan Greenサポートのもとリワークとなった2009年作が待望の入荷。限定プレスとのことですのでお見逃し無く!!

9

ONRA

ONRA THE ONE FEAT. T3 & WAAJEED »COMMENT GET MUSIC
大好評アルバムから、Slum VillageのT3を迎えた一曲が登場!目玉は何と言ってもWaajeedによるリミックス(しかも2Ver.)でしょう! フランスとデトロイトを繋いだ最高峰の一枚です。

10

JUANA MOLINA

JUANA MOLINA UN DIA (REBOOT REMIX) »COMMENT GET MUSIC
Rebootがまたもや良い仕事しています!!Molokoの98年の名曲"Sing It Back"のリミックスも素晴らしかったCadenza一派の人気、実力共に最高峰のクリエイター、Rebootがアルゼンチンの歌姫Juana Molinaをまたもや再構築!!

Paul White - ele-king

 09年にワン・ハンディッドから2枚のアルバム(『サウンズ・フロム・ザ・スカイライツ』『ザ・ストレンジ・ドリームス・オブ・ポール・ホワイト』)をリリースした後、ヘリオセントリクスやナチュラル・ヨーグルト・バンドなどを抱える〈ストーンズ・スロウ〉のサブ・レーベルに移って3作目。とりあえずジャケット・オブ・ジ・イヤーでしょう。アナログで買えばよかった......(ちなみにアナログは、やはり〈ストーンズ・スロウ〉からギルティ・シンプスンのヴォーカルをフィーチャーした「アンシエント・トレジャー」の12インチがプラスされた3枚組仕様)。

 急にサイケデリック色が濃くなった......といいたいところだけど、60~70年代のソウル及びファンクの再発レーベルでもある〈ナウ-アゲイン〉の趣旨に沿って「セイント・ミカエルの音源にシンセサイザーとパーカッション、そして、ヴォーカルをプラスした」という説明がインナーには記してあり、とはいえ、〈サブリミナル・サウンズ〉からリリースされたセイント・ミカエル『マインド・オブ・ファイアー』をネットで試聴してみると(https://www.discogs.com/St-Mikael-Mind-Of-Fire/release/1892583)、オリジナルはけっこう凄まじいロック演奏なので、どこがどうしてこうなるのか......(仕上がりはいわゆるモンド調ヒップホップになりまくり)。そう、適度な間合いで奇妙な音がこれでもかと盛り込まれ、初期ピンク・フロイドや13thフロアー・エレヴェイターズをヒップホップ・サウンドで聴いているような磁場にあっさりと引き込まれる。あるいは"マーセン・シグナルズ"でも"ダンス・シーン"でも変わった音が楽しいなーという範疇なのに"フライ・ウイズ・ミー"になってくるとリズムだけでどうかしてくるし、"オルガン・セラピー"はテリー・ライリーをヒップホップにしてしまったようだし......。先行シングル「マイ・ギター・ホエールズ」は意外に地味な感じながら、前作も前々作ももっとストレートな音作りだったので、きっとドラッグを覚えたに......いや。

 ドクター・アクタゴンがデ・ラ・ソウル『3フィート・ハイ・アンド・ライジング』をリミックスしたような......といえば、このアルバムもヒップ・ホップの文脈で捕まえることはけして不可能ではないだろうけれど、やはり僕としてはエメラルズエリアル・ピンクのシット・アンド・ギグルズなど、ここのところのサイケデリック・カルチャーの潮流のなかにグサッと位置づけたい(ま、ヒップホップ・ファンが聴くわけもないか)。

CHART by UNION 2010.07.25 - ele-king

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1

SCHERMATE

SCHERMATE Schermate 007 (Purple) SCHERMATE / ITA / »COMMENT GET MUSIC
SCHERMATE新作7番! RARESH、TRAVERSABLE WORMHOLEらがサポート! 生々しいテクスチャーのサンプリング・ソースを加工し複雑なウワモノを構築する、SCHERMATEの特徴が存分に発揮された圧倒的にドープなミニマル! リリースペースが加速してきましたが、まだまだその勢いは衰えません!

2

SCHERMATE

SCHERMATE Schermate 008 (LIght Blue) SCHERMATE / ITA / »COMMENT GET MUSIC
SCHERMATE新作8番! RARESH、TRAVERSABLE WORMHOLEらがサポート! 催眠的なヴォイスサンプルのループがやばいA面"Now"、これまでとは一味違うディープハウス・テイストのシンセリフが空間に映えるB面"Sabbla"と、今作もそのクリエイティヴィティーにいささかの衰えもありません! 大スイセン!

3

MARCELLUS PITTMAN

MARCELLUS PITTMAN Loneliness Leave Me Alone/Razz09 UNIRHYTHM / US / »COMMENT GET MUSIC
3 CHAIRSの最年少にして唯一無二の存在感を放つデトロイト・ハウスの至宝・MARCELLUS PITTMANのNEW EPがUNIRHYTHMからリリース!! 浮遊感溢れるシンセがシャッフル・ビートと相まって独特の空気を醸し出すA面"Loneliness Leave Me Alone"、緩めのアシッド・シンセをアクセントに使いつつレイドバックしたメロウなサウンドがたまらないB面"Razz09"と、今作もPITTMANNのポテンシャルが遺憾なく発揮された実に魅力的な1枚!

4

ROCHA

ROCHA Feel The Love/Night Music INTERNATIONAL FEEL / URG / »COMMENT GET MUSIC
DJ HarveyやReverso 68のリミックスを収録し180グラムというこだわりのプレスでINTERNATIONAL FEELのカタログナンバー1番を飾ったROCHAが待望の新作をドロップ。ヒプノティックでクラシカルな90'sスタイルのハウストラックへ流麗でエレガントなピアノソロをフィーチャー、近年再評価が進む90's初期のディープハウスともリンクする素晴らしい出来栄えに。Bサイドにはオリエンタルな音色を響かせる異質なバレアリック感を醸し出すアンビエントハウス「Night Music」を収録。リミックス盤も同時リリースされておりこちらも要チェック!

5

ROCHA

ROCHA Feel The Love (Remix) INTERNATIONAL FEEL / URG / »COMMENT GET MUSIC
オリジナルを越えるリミックス盤というのはなかなか存在しませんがこれは引けを取らないクオリティと断言できる1枚。Aサイドではレジェンダリー・エディットマスターGreg Wilsonによるリミックスヴァージョンで、とことん気持ち良さを突き詰めた万人受け間違いないバレアリックフィール溢れるアンビエントハウス!そしてWelcome Stranger名義で参加したThomas Bullockによるリミックスは対フロアを意識し疾走感溢れるダンストラック。ドープな音の共鳴が脳中枢をフリーズさせるかのようなドヤバイ仕上がりに!

6

KYLE HALL

KYLE HALL KMFA Detroit 3 US / CD-R / »COMMENT GET MUSIC
若干19歳、OMAR SのレーベルFXHEでデビューを飾ったのち自身のレーベルWild Oatsを立ち上げて以降、Hyperdub、Warp Records、Royal Oak、Rush Hour、Third Earといった大小様々なUKやヨーロッパのレーベルからトラック、リミックスを発表、現在各国でツアーを行うブレイク必至のアンダーグラウンドプロデューサー。Theo ParrishやMoodymannに影響を受けキャリアをスタートした彼だが、このMIXではBPM124前後でDerrick Mayのように疾走感溢れる流れで19曲収録。デトロイトテクノ・ハウス、シカゴ~ヴォーカルハウスやエクスペリメンタルなミニマル、テクノまで、彼の選曲の幅広さと嗜好をダイジェストで楽しめる。アーチストの手刷り・サイン入りの貴重な1枚。

7

STL

STL Travelling Dubs And Echoes EP ECHOCORD / DEN / »COMMENT GET MUSIC
独特の音響ミニマルで人気の高まるSTLがデンマークのECHOCORDに初登場! レーベルカラーに合わせたディープなミニマルダブが炸裂した注目盤!! 深海を揺らめくようなディレイ処理に意識が吹っ飛ぶA面、ECHOSPACEからのEP「Check Mate」を彷彿とさせる研ぎ澄まされた4/4ビートに震えるB-2などさすがの仕上がり! ぜひフロアで爆音で鳴らしてほしい1枚!

8

TERRENCE PARKER / テレンス・パーカー

TERRENCE PARKER / テレンス・パーカー Detroit Lost Mix Tapes Vol #1 TPARKER MUSIC / US / »COMMENT GET MUSIC
デトロイトを代表するオールドスクールDJ TERRENCE PARKERによるMIX-CDが、渋谷クラブミュージックショップのリニューアルを記念してディスクユニオン限定入荷!『DETROIT LOST MIX TAPES』と題された本作は「80年代の彼の選曲」をパックしたコンセプチュアルな1枚で、SOUL~P FUNK等ヴォーカルとベースラインを基調に、海賊ラジオショーを彷彿とさせる内容に。スクラッチやカットなどTPの真骨頂とも言うべき多彩なトリックプレイを散りばめ魔法がかった展開は心地よく脳を揺らす。一聴の価値絶対あり!なタイムレスなミックス作品。

9

SCOTT FERGUSON

SCOTT FERGUSON Disk Union LTD Mix FERRISPARK / US / »COMMENT GET MUSIC
Moodymann~Theo Parrishのフォロワーとして、デトロイトハウスをリリースするFerrisparkを運営するScott Fergusonが渋谷クラブミュージックショップのリニューアルオープンを記念してミックスCDをリリース。もっさりとしたデトロイトハウスを中心に構成しながらも一筋縄ではいかない展開は絶対予測不可能、ディープでローファイなアーリーシカゴハウス、そしてダンスクラシックへもスムースにシフト。黒いミックスが好きなリスナーの全てのツボを刺激する抜群の内容です。シリアルナンバー&サイン入りの限定100枚。

10

DJ COLE MEDINA

DJ COLE MEDINA Disk Union Mix Vol.1 HOUSE ARREST / US / »COMMENT GET MUSIC
DJ COLE MEDINAが本格的なブレイクを迎える前夜、ノベルティ用に製作/配布されたわずか200枚のみの幻のMIX音源。リリース前のAMERICAN STANDARDや盟友EDDIE Cの音源をいち早くプレイした傑作中の傑作がこの1枚。口コミで話題となり再プレスのリクエストを多くいただ音源が、お茶の水クラブミュージックショップ8周年を記念して100枚のみの超限定プレスで入荷!夏にピッタリのスロウなバレアリック~ディスコスタイル、未チェックの方は是非手に入れてください!

Funki Porcini - ele-king

 昔......何年前だろうか、ヨーロッパを列車で旅したことがあった。長い時間をかけてアムステルダムからドイツを南に下っていく列車に乗ったとき、同じ席になった老人と話していたら、「ヨーロッパを旅するならイタリアに行け」と繰り返し言われたことがあった。「ドイツなんかにいることはないだろ。イタリアに行け」、彼はなかば呆れた顔で、その根拠について懸命に説いたものだった。結局、イタリアにはいまだに行ったことがないのだけれど、ファンキ・ポルチーニだったら迷うことなくイタリア行きの飛行機に乗っている。

 ポルチーニは、イタリア料理が好きな人ならよく知っているキノコの名前で、このイギリス人は実際にローマに住んだこともあって、自分の作品のいくつかの曲名にもイタリア語を使っている。イタリア好きのイギリス人がいても珍しいわけではない。昔、日本好きのベルギー人にフランスとベルギーの国境沿いで出会ったことがあるが、彼女は僕に日本の煙草の銘柄をいくつか喋り、いかに自分が日本について詳しいか自慢したものだったが、珍しさで言えばこっちだろう。

 芸術的な観点から言っても、ファンキ・ポルチーニはUKヒップホップ界においても珍しいタイプではない。トリップホッパーとして知られた彼の1995年のファースト・アルバム『ヘッド・フォン・セックス』、そして翌年の『ラヴ、プッシーキャット&カーレックス』(愛、カワイ子ちゃん、そして事故車)は、人生をシリアスに語る日本のヒップホップから見れば珍奇な......というか実にふざけた音楽かもしれないが、この当時のUKの連中はヒップホップからの影響とその情熱をまったくナンセンスでバカバカしい事柄に注いでいた。その最高の拠点が〈ニンジャ・チューン〉だった。

 〈ニンジャ・チューン〉が日本で売れないのはもう仕方がない、文化が違うとしか言いようがないと思っている。DJクラッシュの影響下で日本で盛りあがったことのあるアブストラクト系(つまり、欧米で言うところのトリップホップのことだが)と呼ばれた連中の音楽は、ファンキ・ポルチーニと同じ影響下(ブレイクビーツやドラムンベース、あるいはファンクやジャズ、等々)で生まれながら、しかしまあ、良くも悪くもシリアスだった。洒落の入り込む余地はなく、言葉は悪いかもしれないけれど、眉間にしわの寄った音楽だった。そういう音楽は日本では人に勇気を与える。ファンキ・ポルチーニを聴いたところで、まったく勇気なんて湧いてこない。

 ファンキ・ポルチーニは、極めてイギリスらしい展開なのである。ルーク・ヴァイバートやスクエアプッシャーなんかとも近い。言うなればブレイクビーツ・ミュージックの変化球だ。1999年の3枚目のアルバム『ジ・アルティメイト・エムプティ・ミリオン・パウンズ』(最終的に空の100万ポンド)は、音楽的には行き詰まっていたが、そこを風刺精神で乗り切ろうとしたところもイギリスらしい。そして、2002年の4枚目のアルバム『ファスト・アスリープ』によってファンキ・ポルチーニはそれまでの手法と決別し、ジャジーでアンビエント調の曲のなかに自分の将来を託したのである。微笑みを忘れることなく。

 8年ぶりに見るファンキ・ポルチーニの名前に喜びを覚える人は、5枚目のアルバム『オン』を間違いなく好きになるだろう。何も変わっていないし、まったく変わったとも言える。その本質は同じだが、音楽性はずいぶんと変わったのだ。そしてより良く変わったのだ。

 ムーグ博士へのオマージュ、"ムーグ・リヴァー"なる曲でアルバムははじまる。曲中では、ヘンリー・マンシーニの有名な"ムーン・リヴァー"のメロディが演奏される。ファンキ・ポルチーニらしく微笑ましいはじまりで、それはこのアルバム全体の楽天性を象徴しているようでもある。2曲目の"これは生きる道ではない"はフィルムノワール調のお約束通りのトリップホップだが、ファンキーなビートに優美なピアノ演奏が絡む"ベリーシャ・ビーコン"、あるいはクラスター&イーノを彷彿させる"取るに足らない午後"や"第三の男"といった曲はこのアルバムの目玉として特別な響きを持っている。とくに"第三の男"の上品なアンビエントはロマンティックでさえある。"明るい小さいもの"や"フェルナンド・デル・レイの魔法の手"といったジャジーな曲もアルバムに適度な活力を与え(その演奏が生演奏なのかサンプルなのか、明記されていない)、8年ぶりの新作がなかなかの名盤であることを保証づけている。10点満点で言えば、8点以上のできだ。

 このアルバムを聴いたところで勇気が湧いてくるわけではない。その代わりと言っては何だが、陶酔と微笑みが待っている。ワインを飲みながらキノコを食べよう。

CHART by ZERO 2010.07.22 - ele-king

Shop Chart


1

KODE9 and MARTYN

KODE9 and MARTYN HYPERDUB vs 3024 - Exclusive mix for Japan BEAT / JP / 2010.7.14 »COMMENT GET MUSIC
いよいよ今週末に揃って来日するMARTYNとKODE9が関わる音源のみでミックスされた日本限定のMIX CD。会場で500円のキャッシュバックが受けられるカードも封入。まずはこれを聴いてから、現場でベースを体感して!

2

KALBATA & MIXMONSTER feat. LITTLE JOHN & JAH THOMAS

KALBATA & MIXMONSTER feat. LITTLE JOHN & JAH THOMAS SUGAR PLUM PLUM SOUL JAZZ / UK / 2010.6.25 »COMMENT GET MUSIC
イスラエルのダブステッパーがジャマイカ録音を敢行し、2人のレジェンドを迎え、ライヴ・ミュージシャンを起用しアナログ機材で制作した注目作。素晴らしい!

3

NOBODY

NOBODY ONE FOR ALL WITHOUT HESITATION NOBODY'S HOME PRODUCTION / US / 2010.6.20 »COMMENT GET MUSIC
L.A.のLOW END THEORY重要人物新作は、独特のフォーキーでサイケデリックな世界を、ヴォコーダーを通した歌声とエレロなサウンドで彩った素晴らしい内容。ヴォコーダーを通すことで彼のメロディのセンスもより際立つというか、本当にジンワリ染みてくる要素もある名盤!

4

PACHEKO & POCZ

PACHEKO & POCZ ZARBAK SENSELESS / UK / 2010.6.28 »COMMENT GET MUSIC
JUKE~ゲットーテックなベース&リズムのイントロからハーフに打つスネアがいい具合にブレーキを効かせるエレクトロ・ファンキー1。テッキーな方面を向き跳ねより疾走感に重きを置いたリミックス2。1の流れで聴くと東南アジアを空想させる不思議な浮遊感の3。

5

POLSKA

POLSKA 2ND RATE SUBLTE AUDIO / UK / 2010.6.15 »COMMENT GET MUSIC
ジャズ感たっぷりのドラムも含めたエフェクト効果でスペイシーな空間を生み出す1。これまたジャズなドラムをローリンにグルーヴさせたリミックス2。3はハーフなテンポで殆どジャズのような展開で、終盤はドラムンベースになるのも見事。

6

FELIX K

FELIX K RECOGNITION / ICE 31 RECORDS / UK / 2010.6.21 »COMMENT GET MUSIC
エナジティックなミニマリズムの要素を持った、ベルリン出らしいハットの音処理などのワザが光る1。2はドラムンベースのテンポでミニマル・テクノをやったらという感じのディーーーーーーープな曲。

7

JAKES / DARQWAN

JAKES / DARQWAN TIMES END / JAHWAN TECTONIC / UK / 2010.6.28 »COMMENT GET MUSIC
攻撃的なリズムを軸に、パーカッションやクラップ音、不穏に唸るサブベースと、変則的に追加されるリズムがグルーヴに勢いを付ける1。ゲットーテックを意識しつつ、直接そこへは向かわず独自の展開を見せているような2。最高!

8

AFRICA HITECH

AFRICA HITECH HITECHEROUS EP WARP / UK / 2010.7.2 »COMMENT GET MUSIC
スクウィー/チップ的シンセ音を良い味付けにしながら、アフロなグルーヴをエレクトロ・サウンドで展開した1。SPACEKを前面に出した5は、ダンスホール・レゲエを意識したMCとリズムで、ただ音の感触はこれまで通りのヒンヤリ感が満点で新鮮。インスト込みの2枚組6trks!

9

VICTOR ROMEO EVANS / THE DETONATORS

DOM HZ MIST OPENEARZ / UK / 2010.6.28 »COMMENT GET MUSIC
エレクトロニカな感触とジャジーなムードが同居して、チルアウト感覚から(世代によっては)アシッド・ジャズまで連想させるスムーズな1枚。

10

VICTOR ROMEO EVANS / THE DETONATORS

VICTOR ROMEO EVANS / THE DETONATORS SLACK AND SOVEREIGNS / WORKING DUB LOCAL RECORDS / UK / 2010.6.12 »COMMENT GET MUSIC
THE SPECIALSの名曲「GHOST TOWN」のプロデューサー、JOHN COLLINSが運営するレーベルのデッドストックを一挙入荷。後に映画『BABYLON』にも出演するV.R.EVANSや、J.COLLINSの個人プロジェクトTHE DETONATORSによる、UKらしい屈折ぶりも見事に出たダブ!

Christopher Hipgrave - ele-king

 どうして辿り着かなかったのか......。『裏アンビエント・ミュージック 1960-2010』(INFAS/7月22日)の見本が刷り上って来たその日、僕は初めて彼の音楽を耳にした。このサード・アルバムは6月にはリリースされていたらしい。入稿に追われていた時期だから仕方がない......とは思いたくない。これはやはり悔しいし、素直に後悔するだけの価値はある。あるいはこの人の存在にもっと早く気がついていれば、サード・アルバムがリリースされたタイミングできちっとフォローできていたはずである。あー、くそ。これから発売日までの1週間、同じような思いに襲われることは二度とないと願いたい(発売されちゃえば、なんか、諦めもつくんだけど......)。

 しっとりとして優雅なアンビエント・ドローン。それこそイレジスティブル・フォースがドローンに乗り換えればこうなっていたに違いないと思わせるような......。イギリスの作曲家、ヒップグレイヴは09年にホーム・ノーマルより『デイ』でデビューし、同じ年のうちに100枚限定で『サトレティーズ』を〈アンダー・ザ・スパイア〉からもリリースしているらしく、最初から大きな評価を得ていた......そうである。それらとの比較はいまはできないけれど、ここで展開されているドローンも緩やかな変化を基調に、ところどころで驚くほど天国的なモードが配置され、静かな興奮の連続が続く。さらさらと流れる金の砂やとても慎み深く鳴り響く鐘のように、柔らかく、柔らかく、織り上げられたテクスチャーはいわゆるアメリカのドローンとは違い、ある種の磁場に引きずり込もうとする強さはない。こちらから近づいていかなければ消えてしまうようなものでしかないともいえる。

 ジム・オルークが定着させたモダン・ドローンはやはり現代音楽の復権であり、アヴァンギャルドの再生を経て、それらは誰にでも扱える遊び道具へと変化していった。グローイングしかり、エメラルズしかり。どこへ向かおうが、何ひとつ制約はない。クリストファー・ヒップグレイヴのそれはキンクスやモノクローム・セット、あるいはレフトフィールドやボーズ・オブ・カナダと同じくイギリス人の心象を深く投影したものであり、湿地帯のメンタリティを音に移し変えたもといえる。アヴァンギャルドや現代音楽にとって、それは心象風景を投影するためのものではなかったはずだけれど、このような流れを変えることはもはやできない。ハットフィールド&ザ・ノースの代わりにこれを聴き、キュアーの記憶と重ね合わせるだけである。午後3時ごろ、紅茶でも呑みながら。

interview with Yoshinori Sunahara - ele-king


砂原良徳
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 か、か、か、か、か、か、か、か、と「サブリミナル」は極めて控えめにはじまる。スペイシーな鍵盤の音、ファットなシンセベースが聴こえる。さりげないフィルイン、それからはじまる16ビート......9年ぶりに砂原良徳の新曲を聴く。
 砂原良徳は虚構を弄んでいた。亡き"過去"に惑溺し、存在しない"場所"を捏造した。われわれは彼のファンタジーを面白がって、その夢の世界に遊んだ。が、しかし、あるときから彼はそうした楽天主義的な遊びを止めてしまった。2001年に彼が発表した『ラヴビート』は、本人の話を聞いている限りでは、レディオヘッドの『キッドA』やゴッドスピード・ユー・ブラック・エンペラー!の『f#a#∞』、ポーティスヘッドの『サード』やマッシヴ・アタックの『ヘリゴランド』、ゴリラズの『プラスティック・ビーチ』、あるいはコード9&ザ・スペースエイプの『メモリー・オブ・ザ・フューチャー』、こだま和文の『スターズ』、ヘア・スタイリスティックスの『カスタム・コック・コンフューズド・デス』......といった作品と同類ということになる。要するに『ラヴビート』は、時代の暗闇と向き合いながら作られた作品なのだ。
 が、しかし、砂原良徳の音楽は、それでもなお、音楽とは快楽であるという論から離れているわけではないように思える。深いメランコリーを有しながら、彼の音楽に逃げ出したくなるような重苦しさはない。実にエレガントで、ときには夢を見てしまいそうなほど甘ったるく、早い話、シリアスだが催眠的なのだ、1970年代に作られたジャマイカのダブがそうであるように。このアンヴィバレンスは彼の音楽の素晴らしい魅力ではないかと思う。
 『ラヴビート』から9年ぶりの新作「サブリミナル」もまた、エレクトロニクスのなかに彼の強い気持ち(悲しみ、怒り、慈しみ、優しさ)が込められている。『ラヴビート』のようにメランコリックだ......が、と同時に現実を忘れそうなほどに陶酔的である。
 いったい何年ぶりだろうか......本当に久しぶりに砂原"まりん"良徳に会った。

9.11にはじまって、グローバリゼーション、人間がどんどん生きにくい世のなかになっていく......世紀末が終わっても世紀末感はぜんぜん終わらない。そんななかで出すことは悪くはないなと思えてきたことだよね。

いやー、久しぶり。まりん、ぜんぜん変わらないね。

砂原:そんなことないよ、だいぶ変わったよ。

しかも9年ぶりじゃないですか。

砂原:アルバムはまだ出ていないからね。

オリジナル作品としては9年ぶりなんだね。

砂原:そうだね。野田さんの予言通りになったよ。『ラヴビート』を出したときに野田さんが「10年は出さなくてもいいよ」って言ったからね。「ホントにその通りになりました」っていう(笑)。

ハハハハ。

砂原:「もう10年出さなくてもいい」って言われたとき、「それはありえんだろう」と思ったけど、ホントにそうなっちゃったよ。

取材で?

砂原:取材が終わってから飲みに行って、そう言ったんだよ。

オレ、なんて言ったの?

砂原:「当分更新する必要がない」って言ったんだよ。

そうか......、たしかに『ラヴビート』を聴いたときは感動したからね。本当に素晴らしい音楽だと思ったし......。『テイク・オフ・アンド・ランディング』(1998年)や『ザ・サウンド・オブ・70's』(1998年)のほうがキャッチーなんだけど......。

砂原:ギミックが多すぎるんだよね。

そう......かもね。『ラヴビート』はテーマ自体は重たい作品だったし。それはともかく、あのさー、なんで9年もかかったの!?

砂原:ハハハハ!

ホントにもう(笑)。

砂原:スタジオには毎日通っていたんだよね。土日もなく通っていた。

まりんの〈クリング・クラング・スタジオ〉。

砂原:まあ、そんなもん(笑)。とにかくスタジオに行かない日はないんです。しかも起きてから10分ぐらいで家を出るんですね。で、スタジオで顔洗って歯磨きしたりする。寝たままスタジオに行ってスタジオで起きるって感じなんだけど。

スタジオはずっと確保しているんだね。

砂原:あるよ。もう10年だね。

そして毎日スタジオに足を運んでいたと。

砂原:だって何をやるにもスタジオに行かなければならないんだもん。まあたとえば、CMの動画を編集したりとか。

仕事?

砂原:それは仕事じゃないけどね。趣味、遊びだね。そんなことをずっとやっている。そういうことは作品に影響しているけど。CMなんかは時代の空気みたいなのを反映しているし。CMを観ていると面白いんですよ。

それだけ聞いていると、道楽的な人生を歩んでいるのね。

砂原:そうかもしれないけどさ。だからってさ、要らないところは要らないのよ。ご飯とかあんまり食べないしさ。コンビニのおにぎりを買ってくるでしょ。それを片手に持ちながら作業していると、いつの間にかおにぎりがカラカラになっている。だから、どんなところにもお金を注ぎ込んでいるような道楽じゃない。好きなことをやっているという意味では道楽的なのかもしれないけど。もちろん、いずれ作品を作るんだという前提でやっているんだけど。

当然、焦りとかあるわけでしょ。

砂原:ないよ。

いまは出たからそう言えるよね。

砂原:いやいや、焦りとかないよ。出なかったら出なかったまでだしさ。まあ、そういうつもりはなかったけど。出るだろうなとは思っていたけど。

コーネリアスだって多作とは言えないけど、自分の音楽を更新しているじゃない。

砂原:そうだね。たしかに更新しているよね。バッファロー・ドーターだって最近更新したよね。

自分だけおいてきぼりにされるっていう......。

砂原:いやいや(笑)。おいてかれてもいいかなと思っていたし、更新したとしても、中途半端な更新なら意味ないと思うし、やっぱり大きくアップデートしないと出す意味がないよなと思って。いま更新してもマイナーなアップデートにしかならないなと思って。

それはクラフトワーク主義?

砂原:いや、クラフトワークじゃない。『ラヴビート』のときから新しいジャンルに関する興味がぜんぜんなくなったのね。他人が何をやっているのか気にならなくなった。"新しい"といよりも自分にとって普遍的なもの、モダンなものにウェイトがいった。まわりの人が何をやっているかなんてぜんぜん気にならない。

だけどやっぱ、職業音楽家としてはさ。

砂原:なんかやらなければならないというのはあるよ。

でしょ!

砂原:ハハハハ。

だいたい4年ぶりでも久しぶりだと思うものだよ。9年はないよ。

砂原:いや、だけどさ、逆の考え方もあってさ。レコード会社の人には申し訳ないんだけど、「このゼロ年代をアルバム1枚で乗り切ったのは誰だ!」ってさ。

ハハハハ!

砂原:そういう考え方もあるんだよ。

その考え方いいね(笑)。

砂原:いや、野田さんが言ったんだよ、「10年出さなくていい」って!

ハハハハ。

砂原:唯一、コピー・コントロールCDのあおりを食わなかったんだから。

あー、それはそうだね。

砂原:コピー・コントロールCDなんか絶対に出しちゃいけない。あのときいろんなアーティストが嫌な思いをしていたのも見ているし、せっかく録音した作品が劣化した商品になっていくって......だいたい万引きするヤツが多いからって......、無銭飲食が多いからレストランの味を落とすって、あり得ないでしょ!

たしかにね(笑)。

砂原:そんなのレコード会社だけですよ。まあ、言いたいこと言ってますけど(笑)。

まあ、これは公式のインタヴューだからそういう強気なことを言ってるんだろうけど。

砂原:いや、強気でも弱気でもないんだけど。

ハハハハ。

砂原:そんなオレの個人的なことなんかよりも、音楽業界というか音楽シーンというか、体力がどんどんなくなってきているなということのほうが頭にあったかな。

どう思っていた?

砂原:シーンも縮小していったし、経済的にも小さくなっていったし、いままでみたいなやり方では通用しないんだろうなとは思っていますよ。でもね、それが良いことなのか悪いことなのか、それはどっちとも言えない。カルチャーって、無理矢理に保護するものでないと思うし。生活があって、自然に生まれてくるものだと思っているので。だから、「いまこの文化が危ない」とかいって「守ろう」というのも不自然だと思っているんだよね。だから、もし淘汰されたならそれは納得するしかないよねという。

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おいてかれてもいいかなと思っていたし、更新したとしても、中途半端な更新なら意味ないと思うし、やっぱり大きくアップデートしないと出す意味がないよなと思って。いま更新してもマイナーなアップデートにしかならないなと思って。


砂原良徳
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まあ、産業的に見たらよく携帯やインターネットに食われたみたいなことを言われるけど、携帯やインターネットがまったくの害悪というわけでもないからね。

砂原:携帯やインターネットによって生まれた新しいカルチャーだってあるし、一概にダメだとは言えないからね。

僕らが中学生ときは音楽鑑賞なんて趣味の王道だったから、悔しい気持ちもあるけどね。

砂原:ただ、僕らがポップ・ミュージックに関わるって、音楽を聴くってことだけじゃなかったじゃない。ジャケットというアートもあったし、レコード店を中心としたコミュニティもあったしさ、そういうのをぜんぶひっくるめてポップ・ミュージックだったわけで、音楽だけじゃないってことなんだよね。いまはでも、それがポップ・ミュージックのシーンのことではなく、音楽そのものの本質に向かってきているから、ポップ・ミュージックに付随するカルチャーが崩れてきてしまっていると思うんだよね。

けっこう気にしていたんだね。

砂原:それはまあ、そうだよ。そこを考えなくなったらおしまいだからさ。

まあ、そうだよね。じゃあ、9年間スタジオに通っていたっていう話は70%は信じるけど。

砂原:ハハハハ。だって最後の砦だもん。たとえば「3日間休もう」と。「さーてと何をしよう?」「あ、そうだ、スタジオに行こう」って。

ハハハハ。

砂原:生活のいち部だよね。

みたいだね。では、今回発表される4曲というのは、どういう風に捉えればいいんでしょうか?

砂原:つねに制作はしていたの。『ラヴビート』以降も何曲も作っているんだけどね。2004年にいちどアルバムにしようかっていう話もあったんだよね。でも、自分で通して聴いてみて、あんま面白くなかったの。だから止めたんだけど。実は完パケに近いカタチのものってあったし、CMに使われたものもあったから。曲のパーツに関して言えば、今回の4曲のなかには2002年のパーツも使われているから。

そうなんだ。

砂原:でも、曲自体の構成に関しては、古くても2年前だね。

その長いあいだできなくて、しかしできるようになったその一歩目というのは何だったの?

砂原:それはね、自分のなかで起こっていることというよりも、音楽シーンなのか社会全体なのかわからないけど、いま作品を作って出すことは有効だなと強く思えるようになったことだよね。その要素についてはいろいろあるんだけどね、9.11にはじまって、グローバリゼーション、人間がどんどん生きにくい世のなかになっていく......世紀末が終わっても世紀末感はぜんぜん終わらない。そんななかで出すことは悪くはないなと思えてきたことだよね。

音楽性で言うと、今回の「サブリミナル」は『ラヴビート』の発展型だと思ったんだけど。

砂原:まあ、変化型だよね。

メランコリーという点でもそうだよね。『ラヴビート』の頃はとくに環境問題を気にしていたよね。

砂原:環境問題もあるし、政治とか、ぜんぶだよね。

「サブリミナル」はどうなんだろう?

砂原:環境問題はそのなかのひとつだよね。

すべてではない?

砂原:「サブリミナル」というタイトルもそのなかのひとつだから。アルバムはもっと広い。まだ部分的にしか見せていないってことなんですね。

曲時間がすべて5分前後になっていることは関係ある?

砂原:それは偶然じゃない。関係ある。『ラヴビート』は長かったからね。あまりにも長いと聴くほうも大変かもしれないし、長くすることにさほど意味がないんだったら、短くできるなって。整理していった結果がこれかな。

長いのはもう違うって感じ?

砂原:いまでも好きだよ。それにつき合ってくれる人がいれば作りたいし。

そうか。僕が『ラヴビート』の発展型だと思ったのは、曲全体が醸し出す"うねり"のようなものというか"グルーヴ"というのか、それがさらに際だっているなと思ったんだよね。ピッチも遅いでしょ。早くて120?

砂原:いいや、あって105(笑)。

そう、"うねり"のようなものがすごいでしょ。

砂原:そうだね。

表題曲(サブリミナル)の2曲目はあきらかにビートの構成を意識しているし。

砂原:ファンクだよね。

前からファンクというキーワードは言っていたよね。広義のファンク?

砂原:いや、もろファンクだよ。人によってリズムのクセというのがあるから、それがいびつさだとしたら、前面に出したほうがいいという考え方。

なるほど。

砂原:『ラヴビート』以降は、"間"についてはずいぶんと考えているからさ。自分のなかの"間"のクセみたいなものがあるなら出したほうがいいし。

2曲目の"サブリミナル"のリズムパターンはここ最近のダブステップ系の感覚と近いんだよね。どうせ知らないだろうけど。

砂原:面白いね。もしホントにそうなら、共通感覚みたいなものってあるんだね。だって僕、ダブステップのことぜんぜん知らないもん。

裏ビートの音楽なんだけど、"サブリミナル"はそれらと感覚的に似てもなくもない。

砂原:僕みたいに孤立した人間がそうしたものを近いというのは面白い話だね。

クラフトワークとダブステップとのあいだの溝を埋めるような曲だと思ったんだよね。

砂原:でもクラフトワークとはもう僕、考え方が違ってきちゃっていると思うよ。彼らのモダンさ、シンプルさ、徹底しているところとか、そういうのはホントにすごいなと思うけど、『ラヴビート』以降はとくに違うかなと思っているんだよね。いまクラフトワークが来ても、観に行かないかもしれないもん。

『テイク・オフ・アンド・ランディング』や『ザ・サウンド・オブ・70's』の頃はものすごく大量のレコードを聴いていたでしょ。ソウル・ミュージックからスポークンものまで幅広く。もうああしたことも止めちゃったの?

砂原:いや、それがデフォルトになった感じかな。笠置シヅ子聴いたり。だからなんでもいい。音楽って、サラリーマンでも労働者でも、自分の社会的な位置を確認するために使っていることってあったと思うんだけど、だから平均的なものを聴くわけでしょ。会社行って笠置シヅ子って言ったら引かれるだろうけど、僕らはもうそういう必要性がないじゃない。だからなんでも聴けるわけ。人がクソだと思ったもので、「これいい」と言ってもぜんぜん問題ないわけ。解放されているわけよ。もっと解放されれば、もっと楽しめるものがあるかもしれないし。

他人の音楽も聴いてはいるんだね。

砂原:聴いてるよ。知り合いがやっていることも気になるし。最近ではバッファロー・ドーターの"グラヴィティ"がすごい良かったな。さすがだなと思った。

新作良かったよね。しかし......、なんか話を戻して申し訳ないんだけど、今回の「サブリミナル」の前に元スーパーカーの人ともコラボ・シングル出したじゃない。

砂原:はいはい、(いしわたり)淳治くんね。

そう、相対性理論の子(やくしまるえつこ)といっしょにやっていたヤツ、あれもつい数ヶ月前に出したよね。で、今回の「サブリミナル」でしょ。やっぱどう考えてもいきなり唐突に動きはじめた印象があって。

砂原:それはまあ、潜伏状態が長かったから、スタッフがリハビリ的にじょじょにやっていこうって気を遣ってくれたんだよ。淳治くんとのヤツはイレギュラーでね、まあ話は前からあったんだけど。

そういえば、サントラも出しているじゃない!

砂原:そう、だから段階的にやっているの。そうすればもうソロをやるしかないだろうってなるから。逆説的に言えば、やるために潜伏していたわけだし。

逆説的に言えばね(笑)。いしわたり淳治&砂原良徳みたいなポップス路線は、良い意味で力を抜いてやってる感じなの?

砂原:ポップスっていうものにちゃんと向き合ってこなかったからね。それをいしわたり淳治という素晴らしい才能といっしょにできるわけだから最高だよね。あのね、やっぱ物事を進めていくうえで、対極的なものがあったほうがいいんだよ。そのほうが物事が進みやすい。

それはわかる。

砂原:やっぱ電気グルーヴを辞めちゃったから、自分がポップスを追求する場がずっとなかったんだよ。しばらくソロだけになってしまっていたから。だけど、これからはもうちょっとバランスよくやっていけるんじゃないかな。

バランスというのは、やっぱソロでは社会の暗さみたいなものとも向き合おうと思っているから?

砂原:音楽って、それは避けられないじゃないですか。むしろ社会的状況を露骨に出してきた文化だと思うんですよ。野田さんは古い音楽も知っているから、その流れってよくわかっているでしょ。

とくに黒人音楽は社会から逃れられないよね。

砂原:それ以外でも、60年代からずっと続いていることってあるでしょ。でもいま聴こえてくる音楽って、そういうものとはまったく別のところに存在しているものが圧倒的に多いなって思うんです。「現実は現実で大変だけど、それはおいておいて、で、これ」みたいな。必要以上にアッパーだったり、必要以上にポジティヴだったり......ポジティヴになることはいいんだけど、だけど現実を前提に作られている音楽が少ないなと思って。

まったくそうだね。

砂原:だったら目立てるんじゃねぇかなと思って(笑)。

ハハハハ。

砂原:そういう意味でも非常にエキサイティングな感じがするんですよ。音楽の内部で起きていることも音楽の外部で起きていることと関係している、そういうものが良いと思うし、いまアナザーワールド的なものはあまり聴きたくないな。

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「現実は現実で大変だけど、それはおいておいて、で、これ」みたいな。必要以上にアッパーだったり、必要以上にポジティヴだったり......ポジティヴになることはいいんだけど、だけど現実を前提に作られている音楽が少ないなと思って。


砂原良徳
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"サブリミナル"という言葉をシングルのタイトルにしているわけだけど、それはいまの話とどういう風に関係あるの?

砂原:すごく関係ある。で、それと直結するキーワードが次のアルバムのタイトルになる。

出るの?

砂原:出るよ。

ホントに?

砂原:もう出る。半年以内には絶対に出る。

ホントに出るんだ。

砂原:出る。今回「サブリミナル」というタイトルで4曲フィックスした時点で出すしかない。もうこの「サブリミナル」というシングルは更新できないんだから。アルバムを出すしかない。アルバムを出せば、この「サブリミナル」もより明確にわかると思うよ。

"サブリミナル"という言葉の意味も......。

砂原:それもアルバムが出るとわかるよ。

いまは喋らないほうがいい?

砂原:まあね。

このさい言っちゃおうよ(笑)。

砂原:それはアルバムが語ってくれると思うから。ひとつだけ言えば、いま庶民が本当に必要とされているものがなくて、必要とされていないものばかりを与えられていると思っているのね。そうした現実を的確に捉えていかなければならないっていうのがある。

なるほど。興味深いテーマであることは間違いないね。

砂原:あともうひとつ言うと、次の作品はプログレっぽいものになるかもしれないと思っているんだ。プログレっぽい、そんな深くプログレを聴いてきたわけじゃないから、漠然としたイメージなんだけど。

どういうプログレ?

砂原:俯瞰詩的なところとか。

物語?

砂原:違う。うまく説明できないんだけど。

まあ、社交辞令抜きで言うけど、楽しみにしているよ。ところで「サブリミナル」の冒頭は時計の音というか、クリック音というか、すごくシンプルな音だけではじまっているじゃない。

砂原:そう、あれは静けさのなかではじまりたかった。

あのはじまり方が良かった。引いて際だたせるというか、ドキッとするはじまりだったね。

砂原:まったくその通りだね。「引く」っていうのは僕のやり方なんだよね。たまに僕のなかには「ロックがない」って言われるんだけど、ないわけじゃないんだよ。

ディーヴォに育てられたから仕方がないね。

砂原:それは違うけど(笑)。

ディーヴォの新しいアルバム、聴いた?

砂原:聴いた?

どうだった? 

砂原:いや、ディーヴォってコンセプトがものすごいでしょ。だからもう、あの上に何を載っけようが良いとか悪いとかないよなっていう。あれはあれでいいんじゃないかな。変わっていない。もし変わったところがあるとしたら、世のなかが変わった分だけディーヴォも変わった。変わらなければならない部分と変わっちゃいけない部分と両方あって、ジャイアンツのユニフォームっていうのは、それをうまく表現している。

あっははは。野球好きなんだよなー。

砂原:だから、ディーヴォもジャイアンツのユニフォーム。

レコード店に行っていつも迷うんだけど、まだ買っていないんだよね。

砂原:買わなくてもいいかもよ。ジャケットだけ見れば、なんかわかるかもよ。

でもねー、えー、何年ぶりのアルバムだっけ?

砂原:20年振り。ほらー、20年のヤツがいるよ!

ハハハハ。ディーヴォはすごいリスペクトされているから、欧米では派手に取り上げられているけどね。

砂原:そうだよね。オレの9年ぶりなんて、ディーヴォに比べたら小さいものだね(笑)。

ハハハハ。ディーヴォも意味もなくただ曲を作るってタイプじゃないからね。そうそう、まりんの場合は、自分のなかで作品の最初の手がかりっていうのはどういうところにあるの? DJミュージックなんかで多いのは、ひとつのループができるとそこから膨らませられるっていうじゃない。

砂原:作品のテーマだよね。テーマが必要だから。ループだけができあがってもテーマがなければ作品にはならないんですよ。

テーマ作りに8年かかったんだ。

砂原:それだけやっていたわけじゃないけどね(笑)。

たしかに、まりんの場合はコンセプトありきだよね。『クロスオーヴァー』(1995年)以外はすべてコンセプト・アルバムだもんね。

砂原:基本はコンセプト・アルバム。活動のコンセプトを決めたのが『ラヴビート』だったね。

なるほど。話は変わるけど、「サブリミナル」の3曲目の"アンコンシャスネス・フラグメント"はずいぶんとサイケデリックな曲だね。

砂原:それはね、無意識をテーマにしたんだけど、意識的無意識になったというか、だから結局、無意識にはなれなかったね。それはそれで意味があったんだけど。

「サブリミナル」の4曲というのは、それぞれテイストが違うじゃない。"サブリミナル"はファンクで、最後の"キャパシティ"はもっとメランコリックだし。これはアルバムのショーケース的な意味合いもあるの?

砂原:多少はあるよ。このシングルを聴いて、アルバムを聴いてみたいと思ってもらえるようにしたつもりだから。

じゃあ、半年以内に発表されるアルバムを楽しみにしていますよ。出るんでしょ?

砂原:出ます。間違いなく出るから心配しないで。まあ、ele-kingも復活したことだし、みんなでもういっかいがんばってみましょう。

素晴らしい締めだね(笑)。

砂原:でもホントにそうだよ。気力っていうの、アイツががんばっているからオレもっていうのは......

(以下、次回に続く)。

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