「IR」と一致するもの

Riddim Chango Records - ele-king

Latest top tunes by Riddim Chango Records (1TA & HIROSHI)

CD HATA from Dachambo - ele-king

Ambient / Downtempo DJ Chart 10曲


MASTERED HISSNOISEよりアンビエントドローンの拡大解釈カセットテープ、CD HATA / Inner Science『Metempsychosis』カセットストアデイ 2017にあわせ 10/14 リリース
https://cdhata.wixsite.com/cdhata/rerease

10/14(土)
竜王 Music Park 2017
@竜王パークホテル&竜王スノーパーク

石野卓球(電気グルーヴ), CD HATA &MASARU, Hiroyuki Arakawa etc…
フェイスブックイベントページ
https://www.facebook.com/events/286121068533834/

10/15(日)
LALLAPALOOZA 2017
@BUCKLE KÔBÔ

A.mochi, CD HATA, HARUKA, MAYURI, TAKAMI etc…
フェイスブックイベントページ
https://www.facebook.com/events/258009298028889/

11/23(木 祝日)~11/25(土)
Liquid Drop Groove open air in OKINAWA
@乙羽岳森林公園キャンプ場 (沖縄)

Marcus Henriksson aka Minilogue, Son Kite, Mixmaster Morris, CD HATA etc…
フェイスブックイベントページ
https://www.facebook.com/events/445574802508769/?ti=icl

『CD HATA』
ホームページ https://cdhata.wixsite.com/cdhata
facebook https://www.facebook.com/CDHATADachambo
Twitter https://twitter.com/DJHATA_Dachambo
mixcloud https://www.mixcloud.com/CDHATA/
soundcloud https://soundcloud.com/cdhatadachambo

Ryohu - ele-king

 つい先日MASATO & MinnesotahによるミックスCDがリリースされたばかりだというのに、KANDYTOWNの勢いは留まるところを知らないようだ。世田谷より飛び立ったこのヒップホップ・クルーから、今度はRyohu(呂布)が待望のソロEPをリリースする。タイトルは「Blur」で、発売日は10月11日(水)。それに先駆け、本日、同作収録の“All in One”のミュージック・ヴィデオが公開された。このMVはRyohuにとって初となるMVで、監督は映像作家の中村壮志が務めている。また、今回のEP発売を記念したリリース・パーティの開催も決定している。日時は12月8日(金)で、場所は渋谷WWW。MCだけでなくDJやトラック・メイキングまでこなすこの才能の新たな飛翔を見逃すな!

待望のソロ作「Blur」を10/11にリリースするRyohu(呂布)。
自身初となるMusic Video “All in One”が公開、
さらにはEP発売を記念したリリース・パーティを
12/8(金)に渋谷WWWで行うことが決定。

ラッパー/DJでありながら、近年ではSuchmosやペトロールズへの客演参加を行い、活動の幅を広げているオールラウンド・プレイヤーなアーティスト、Ryohu(呂布)。
いよいよ10月11日にリリースが迫る、初の全国流通盤EP「Blur」より、リード・トラックとなる“All in One”のミュージック・ヴィデオが公開となった。

Ryohu - All in One (Music Video)
https://youtu.be/qnIs6B1Viik

監督は、映像作家として、インスタレーション作品やファッション・フィルムを多く手がけている、中村壮志が担当。
Ryohuと共に赴いた欧州で撮影を敢行、夕暮れ時のマジックアワーに撮影を行ったワンカットのみのスタイリッシュな映像作品に仕上がっている。

また、「Blur」の発売に際して、12/8(金)に渋谷WWWにてRyohu “Blur” Release Partyを行うことが決定した。前売チケットは本日よりe+先行販売がスタート、前売購入者には特典として、Ryohuによる選曲音源を収録したExclusive Cassette Tape『No Pay No Play』をプレゼント。出演者は後日発表となる。

そして、店頭購入者への先着特典の詳細も発表となった。
リード曲“All in One”のリミックスとして盟友KANDYTOWNよりIOの客演がアナウンスされている。

■店舗共通特典(初回分のみ)
ステッカー2種(2枚1組)

■TOWER RECORDS オリジナル特典
Ryohu "All in One (Remix) feat. IO" 収録DLコード付きポストカード

【作品情報】

アーティスト:Ryohu(呂布)
タイトル:Blur(ブラー)
品番:LFIW-03
価格:¥2,000+税
POS:4943566231807

[トラックリスト]
1. The More, The Better
2. All in One
3. Shapeless
4. Desserts
5. Feelings (White Bird)
6. Shake
7. Say My Name

iTunes
https://itunes.apple.com/jp/album/id1279593525?app=itunes
Apple Music
https://itunes.apple.com/jp/album/id1279593525?app=music
TOWER RECORDS
https://tower.jp/item/4591081/Blur

【イベント情報】
Ryohu “Blur” Release Party
12/8 (Fri.) @Shibuya WWW
OPEN 18:30 / START 19:30
ADV ¥3,000 (+1D) / DOOR ¥3,600 (+1D)
※前売購入者特典として、Ryohuによる選曲音源を収録したExclusive Cassette Tape『No Pay No Play』をプレゼント

出演者:
Ryohu (Band Set)
and more

10/5(木)~ e+にて先行販売開始
https://eplus.jp/sys/T1U14P0010163P0108P002240412P0050001P006001P0030001

10/14(土)~ プレイガイド一般発売
ローソンチケット / チケットぴあ / WWW店頭

【プロフィール】
KANDYTOWN、Aun beatz、ズットズレテルズ。
いつでも、どこでも、だれとでものスタイルは崩さず“今”重要な場所に現れては音と人、出来事をつなぐラッパー。DJやトラック制作も手掛け、その楽曲にも定評がある。
2016年に初となるソロEPを完全自主制作にてリリース、同年にはKANDYTOWNとして1st ALを〈Warner Music Japan〉からリリース。
SXSW2017ではオースティンでプレイするstarRoと東京のステージをリアルタイムに繋ぐCYBER TELEPORTATION TOKYOショーケースに出演。

HP: https://www.ryohu.com/
Twitter: @ryohu_tokyo
instagram: @ryohu_tokyo

Bullsxxt - ele-king

 来ました! 先日レコーディングの模様をお伝えしたBullsxxt、10月18日に待望のファースト・アルバムのリリースを控えるこの若手ヒップホップ・バンドが、ついに新曲を公開しました。しかもなんと仙人掌とのコラボです! 本日よりiTunes/Apple Musicで先行配信が始まっています。これはアルバムへの期待が高まりますね。あと2週間、楽しみに待っていましょう。

https://itunes.apple.com/jp/album/bullsxxt/id1288815341

10/18に1st AlbumをリリースするBullsxxt、
本日より“In Blue feat. 仙人掌”をiTunes/Apple Musicで先行配信開始!

10/18に1st Album『BULLSXXT』を発売するBullsxxt。今作の中から、仙人掌とコラボした“In Blue feat. 仙人掌”が、本日よりiTunes/Apple Musicで先行配信を開始。同時にアルバム・プレオーダーも可能。UCDと仙人掌から紡ぎ出される言葉、リズム、バンドによる抜群のメロディを一足早く感じてほしい。

https://itunes.apple.com/jp/album/bullsxxt/id1288815341

【リリース情報】
2017.10.18 Release
PCD-25240 Bullsxxt『BULLSXXT』
¥2,500+税

[TRACK LIST]
1. ES
2. In Blue feat. 仙人掌
3. Sick Nation
4. Fxxin’
5. Poetical Rights
6. Swing
7. Classix
8. Cet aprés-midi
9. 傷と出来事
10. Reality
11. Stakes

[プロフィール]
UCD (MC)、tommy (Gt)、Naruki Numazawa (Key, Syn, Vo)、Ecus Nuis a.k.a. Pam (Ba, Syn)、Shotaro Sugasawa (Dr, Per)。2012年結成. 東京を拠点に活動するヒップホップ・バンド。ジャズ、ソウル、ファンク、ルーツ・ロック、エレクトロニカなどさまざまな音楽から影響を受け、コンシャスネス~ポップネスを孕んだヒップホップ・サウンドを追求しつづけている。2016年1月に、自主制作での1st EP「FIRST SHIT」を発表。『MUSIC MAGAZINE』誌などで取り上げられる。2016年5月には、恵比寿BATICAにてBudamunk、ISUUGI、やけのはら等が出演したイベント『CATTLE CLUB』を主催。その後、メンバーの脱退や加入を経て、現在の5人編成で活動中。2017年10月に1st Album『BULLSXXT』を発表予定。

[ライブ情報]
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公演日:2017年10月5日(木)
会場:渋谷7th FLOOR
出演: Bullsxxt / 吉田ヨウヘイgroup
開場 / 開演:19:00 / 20:00
前売価格:¥2,500+1D
予約先:m19m.mmts@gmail.com
(件名に公演名、本文にお名前、予約人数をご記入ください。)

DJ HARVEY - ele-king

 DJ界の生きる伝説と言えば、DJハーヴィーである。とにかく、20年以上も、世界中のハードコアなパーティ・ピーポーを魅了し続けるバレアリックの真の王様を体験しよう。ひょっとしたら君の人生で忘れがたいほどもっともすさまじい夜になるかもしれない……また、つい先日、彼にとっての初のコンピレーション・アルバム『The Sound of Mercury Rising Complied with Love by DJ Harvey』もリリースされたばかり。こちらも外せない!

DJ HARVEY 2017 TOUR OF JAPAN

DJ HARVEY (Locussolus, Wildest Dreams / LA)

https://www.facebook.com/HarveyDJay/
https://www.instagram.com/harveysgeneralstore/


11/17(金)@江ノ島OPPA-LA(https://oppala.exblog.jp
11/18(土)@東京CONTACT(https://www.contacttokyo.com


DJ Harvey
The Sound Of Mercury Rising Complied With Love By DJ Harvey

Pikes Records / Music 4 Your Legs
国内盤特典:DJ HARVEYによる直筆サインをデザインしたステッカー付き


DJ HARVEY (Locussolus, Wildest Dreams / LA)

https://www.facebook.com/HarveyDJay/
https://www.instagram.com/harveysgeneralstore/

ハウス、ディスコ、バレアリック・シーンのカルトリーダー、リエディットの帝王。そして、DJとしてもっとも神の領域に近い男と称されるリヴィング・レジェンド、DJ HARVEY(DJハーヴィー)。

イギリス・ケンブリッジ出身。1980年代半ばのロンドンでDJキャリアをスタート。DIYクルー「Tonka Sound System」に属し、セカンド・サマー・オブ・ラヴの狂騒の真っ只中にウェアハウス・パーティーやレイヴでその名を馳せ、1991年に自身のパーティー「Moist」を始める。Harveyのコネクションにより「Moist」には、ニューヨークの伝説のクラブParadise Garageのレジデントで今もDJの神として崇められている故Larry Levanをはじめ、アメリカやヨーロッパのDJたちが数多く出演。後のニューハウスと呼ばれるシーンの起源となった。またHarveyは、当時イギリス初の巨大クラブとなるMinistry of Soundのコンセプトおよびサウンドシステムの設計を担っていたLarryをサポートするほか、同クラブのレジデントも務め、名実共にトップDJの階段を昇りつめる。プロデューサーとしても、1993年にGerry Roonyと共にレーベル<Black Cock>を立ち上げ、近年再評価著しいディスコ・リエディットの源流となる傑作を多数リリース。1996年に自身初のミックスCD『Late Night Sessions』を<Sound of Ministry>よりリリース。2001年には、Sarcasticのプロモ・ミックス『Sarcastic Study Masters Volume 2』を発表。2000年代以降のコズミックやバレアリック・シーンに決定的影響を及ぼしたこのマスターピースは、世界最大の中古音楽市場「Discogs」で、ミックスCDとして史上最高額となる500ドルの値が付けられている。

2002年にアメリカ・ロサンゼルス(ヴェニスビーチ)に移住。国境を越えてハードコアなパーティー・ロッカーが集うウェアハウス・パーティー「Harvey Sarcastic Disco」やホノルルのThirtyninehotelでレジデントDJとして活躍。ロングセットでのDJスタイルや、レフトフィールドなディスコ、バレアリック復権への大きな流れを作った。LAアンダーグラウンドの聖地として「Harvey Sarcastic Disco」はカルト的な人気を誇り、あまりの混雑ぶりに、かのBeyoncéでさえ入場を拒否されてしまったというエピソードがあるほどだ。また、サーファー、スケーター、バイカーでもあるHarveyは、「Dogtown & Z-Boys」のオリジナル・メンバーとして知られる伝説のスケーター、Tony Alvaをフィーチャーしたエキシビション・ツアーに同行して、ミックスCD『Mad Dog Chronicles Soundtrack』を提供。ストリート・カルチャーとロックが同居する自身のバックグラウンドを垣間見せた。2007年には、同郷で盟友のThomas Bullock (Rub N Tug)とのユニット「Map of Africa」名義のアルバムを<Whatever We Want>からリリース。サイケデリック〜ダビーなバレアリック・ロックサウンドを展開した。

2010年にようやくビザの問題が解決して、アメリカ国外への渡航が可能になると、世界中からオファーが殺到。その最初のツアー国は日本であった。奇跡の再来日が実現した2010年GWのジャパンツアーでは、全国12都市を回り1万人以上を動員。狂熱に満ちたHarvey旋風が日本中に吹き荒れた。また、母国イギリスはロンドンのOval Spaceで開催された10年ぶりの凱旋パーティー「Red Bull Music Academy presents DJ Harvey」は、チケット発売後わずか1分でソールド・アウトを記録。そのほか、ベルリンのBerghain / Panorama Bar、ロンドンのFabric、Ministry of Sound、イビサのSpace、Pacha、DC-10、パリのRex、Concrete、フランクフルトのRobert Johnson、アムステルダムの​Trouw、モスクワの​ARMA17、テルアビブのBlock、バリのPotato Head、ニューヨークのOutput、シカゴのSmartbarなど、世界各国の主要クラブはもちろん、Coachella、Panorama、ADE、Sonar、Mutek、Movement、Dekmantelなどのフェスにも登場。Festival No.6ではGrace Jonesとダブル・ヘッドライナーも務めた。Rolling Stone誌でHarveyは、「DJ界のキース・リチャーズ」と評され、「世界に君臨するDJ」トップ10にランクイン。昨夏は、日本を代表する野外音楽フェス「フジロック」20周年記念の大トリも飾った。

制作面では、シングル、リミックス、リエディット作品のほかに、オリジナル・アルバムを3枚リリース。1枚目は、先述の「Map of Africa」名義のアルバムで、2枚目は、ディスコ、ロック、テクノ、そしてハウスなどをブレンドしたフロア・ライクなソロ・プロジェクト「Locussolus」名義のアルバムを、2011年に<International Feel>から発表。3枚目は、4人組サイケデリック・バンド「Wildest Dreams」名義のアルバムを、2014年に<Smalltown Supersound>よりリリース。ミックスCDはこれまでに、歴史的名盤『Sarcastic Study Masters Volume 2』をはじめ、オフィシャル、アンオフィシャルを合わせて6作発表している。そして今年9月29日に、自身初のオフィシャル・コンピレーションCD『The Sound of Mercury Rising Complied with Love by DJ Harvey』を、<Pikes Records> / <Music 4 Your Legs>(国内盤)よりリリース。この作品は、バレアリック・サウンドが生まれたスペイン・イビサ島の伝説的ホテルPikes Ibizaで、Harveyが2015年より毎夏レジデントを務めているパーティー「Mercury Rising」をパッケージ化したコンピレーション・アルバム。Harveyは、毎週月曜の「Mercury Rising」で、サンセットからサンライズまで10時間以上に及ぶロングセットをプレイしてきたが、そこでのグルーヴやバレアリック・フィーリングと共に、3シーズンに渡りフィーチャーしたトラック12曲(1976〜2016年の40年間にリリースされたディスコやダンスミュージック)をセレクト、コンパイルしている。

Ryoji Ikeda - ele-king

 世界を股にかけて活躍する電子音楽家/ヴィジュアル・アーティスト、池田亮司。その新たな試みとして、10月25日(水)、京都CLUB METROにてDJイベント《Ryoji Ikeda DJ Night : ROCK HARD & LOUD》が開催される。
 昨年のKYOTO EXPERIMENT/京都国際舞台芸術祭では、“池田亮司 レトロスペクティヴ”とも言われた総集編ライヴと巨大インスタレイションで観客の度肝を抜いた彼が、今年10月24日の同イベントでは、スイスの打楽器アンサンブル「Eklekto」とともに完全アコースティックな音楽プロジェクト「music for percussion」をロームシアター・サウスホールにて上演する。そして、その翌日、10月25日夜に開催される今回のDJイベントでは、オールドスクールなロックやギター・サウンドなどを爆音でプレイする予定とのこと。池田亮司がロック……これは見逃せない!

Ryoji Ikeda DJ Night : ROCK HARD & LOUD
@京都METRO

2017年10月25日(水)
Open / Start 20:00

DJ:
Ryoji Ikeda
Takuya Minami

[料金]
前売 ¥1,500 ドリンク代別途
当日 ¥2,000 ドリンク代別途

[一般PG前売り]
チケットぴあ(Pコード: 346-737)
ローソンチケット (Lコード: 51457)
e+ (https://bit.ly/2ymhBYE)
にて9/30より発売開始!
[前売メール予約]
あてに、前日まで日程、お名前、枚数を明記してメールして下さい。前売料金で入場頂けます。

イベント紹介WEB:
https://www.metro.ne.jp/single-post/171025

会場:
京都 METRO
WEB:https://www.metro.ne.jp
075-752-4765

共催:
KYOTO EXPERIMENT|京都国際舞台芸術祭
https://kyoto-ex.jp/



© Raphaëlle Mueller

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KYOTO EXPERIMENT 公式プログラム
池田亮司×Eklekto『music for percussion』

2017年 10月24日(火)
@ロームシアター京都 サウスホール
https://kyoto-ex.jp/2017/program/ryoji-ikeda_eklekto/
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[アーティスト・プロフィール]

◎池田亮司 Ryoji Ikeda
1966年岐阜生まれ、パリ、京都を拠点に活動。 日本を代表する電子音楽作曲家/アーティストとして、音そのものの持つ本質的な特性とその視覚化を、数学的精度と徹底した美学で追及している。視覚メディアとサウンドメディアの領域を横断して活動する数少ないアーティストとして、その活動は世界中から注目されている。音楽活動に加え、「datamatics」シリーズ(2006-)、「test pattern」プロジェクト(2008-)、「spectra」シリーズ(2001-)、カールステン・ニコライとのコラボレーション・プロジェクト「cyclo.」(2000-)、「superposition」(2012-)、「supersymmetry」(2014-)、「micro | macro」(2015-)など、音/イメージ/物質/物理的現象/数学的概念を素材に、見る者/聞く者の存在を包みこむ様なライブとインスタレーションを展開する。これまで、世界中の美術館や劇場、芸術祭などで作品を発表している。2016年には、スイスのパーカッション集団「Eklekto」と共に電子音源や映像を用いないアコースティック楽器の曲を作曲した新たな音楽プロジェクト「music for percussion」を手がけ、2017年にCDをリリース予定。2001年アルス・エレクトロニカのデジタル音楽部門にてゴールデン・ニカ賞を受賞。2014年にはアルス・エレクトロニカがCERN(欧州原子核研究機構)と共同創設したCollide @ CERN Award受賞。
www.ryojiikeda.com

◎ 南琢也 (softpad)
グラフィックデザイナー/アーティスト。成安造形大学准教授。90年代、CLUB LUV+、Diamonds Are Forever、など多くのイベントでDJを務める。2000年以降はSoftpadのメンバーとしてインスタレーション、パフォーマンス、サウンド、デザイン分野などジャンルを超えながらそれぞれのメディアの境界線と接点を探る表現活動を行う。 高谷史郎パフォーマンス作品「La Chambre Claire」「CHROMA」「ST/LL」で、クリエイション・メンバーとしてグラフィックデザイン・サウンドを担当。近年はグラフィックデザイナーとして、美術館の広報印刷物や図録、CDジャケットなどのデザインワークに携わる。

Diggin' In The Carts - ele-king

 これ、めちゃくちゃおもしろそうじゃないですか! なんと〈Hyperdub〉が、日本のゲーム・ミュージックに特化したコンピをリリースします。エレクトロニック・ミュージックの文脈に属する音楽家がゲーム・ミュージックを手掛けた例で言うと、しばらく前ならアモン・トビン、比較的最近ならデヴィッド・カナガハドソン・モホークなどが思い浮かびますが、そもそもそういう土壌が用意されるに至った経緯って、たしかにあまり整理されていない印象がありますよね。両者のあいだには切っても切れない縁があるというのに……どうやら〈Hyperdub〉はその歴史を紐解こうとしているようです。しかもイベントまで開催されるとのこと! 詳細は下記をご確認ください。

世界に影響を与えた日本のゲーム・ミュージックの歴史を紐解く
革新的コンピレーション・アルバム『Diggin' In The Carts』のリリースが決定!
11月のライヴ・イベントには、アルバムの共同監修を務めたKode9の来日も発表!
アートワークを手がけた森本晃司とのスペシャル・コラボを披露!

音楽ファンが、音楽ファンのために作った、ゲーム音楽のアルバム。それは1984年に生まれた世界初のゲーム音楽レコード『ビデオ・ゲーム・ミュージック』以来の試みだ。当時細野晴臣が担った役割を、ここでは〈Hyperdub〉が担っている。セレクターの醸し出す味わいまで含めて、ぜひともご堪能いただきたい。 - hally (VORC)

1980年代から90年代にかけデジタル合成によって誕生した、耳にこびりついて離れない8ビットおよび16ビットのゲーム音楽は、小さな幼虫のように蠢きながら日本で繁殖。クラシック音楽や、ロック、レゲエ、初期シンセ・ポップのメロディをデジタル・データに変換しつつ、いくつもの群れとなって瞬く間に世界中に這い広がり、全世界のゲーム・プレイヤーたちの“記憶装置”に寄生した。それは回路基板の中で増殖し、やがて活気溢れるチップチューン・クローンの亜種を生み出して、ヒップホップからテクノ、ハウス、グライム、ダブステップ、フットワークからその先に至るまで、エレクトロニック・ミュージックの様々なジャンルにおける多種多様な突然変異体に影響を及ぼしている。 - Kode9

80年代後期から90年代中期にかけて、日本のゲーム・ミュージックが生んだ貴重かつ革命的な楽曲ばかりを集めたコンピレーション・アルバム『Diggin' In The Carts』が、イギリスのエレクトロニック・ミュージック・レーベル〈Hyperdub〉からリリースが決定! 34曲もの楽曲を収録した本作は、レッドブル・ミュージック・アカデミーによるドキュメンタリー映像シリーズ『ディギン・イン・ザ・カーツ』が発端となり、エレクトロニック・ミュージックの発展を語る上で欠かすことのできない日本のゲーム・ミュージックが、いかに世界に影響を与えたかを紐解き、その歴史を探る内容となっている。同ドキュメンタリー映像シリーズで監督を務めたニック・デュワイヤーと〈Hyperdub〉主宰のKode9(コード9)が研究を重ね、監修を務めて完成させた楽曲集は、いまなお進化し続ける日本のゲーム・ミュージック初期にあたるチップチューン黎明期を掘り下げた貴重なアーカイヴ作品となっている。今回の発表に合わせ、1993年に発売されたスーパーファミコン用ゲーム『The麻雀・闘牌伝』のために、ゲーム音楽家、細井聡司によって作曲された楽曲“Mister Diviner”が公開された。

Soshi Hosoi - Mister Diviner (The Mahjong Touhaiden)
https://bit.ly/2yHU6u3

また本作では、『MEMORIES -彼女の想いで-MAGNETIC ROSE』や『アニマトリックス―ビヨンド』といったアニメーション作品で知られ、STUDIO4℃の創設メンバーとしても知られるアニメーション作家、森本晃司がアートワークを手がけている。

今作に収録された音楽は、ファミコン、スーパーファミコン、PCエンジンといった世界的に知られる日本のゲーム機や、MSX、MSXturboR、PC-8801といった8ビット・パソコン、16ビット・パソコンのために作曲されたものである。本作は、それらの楽曲を“ゲームのための音楽”としてだけではなく、電子音を駆使して日本から生まれた重要な音楽作品として捉え、ショウケースしている。

世界的なアート作品は、時として与えられた制限の中で生まれるもの。中でもエレクトロニック・ミュージックが最も革新的で影響力を持った要因は、当時のアーティストが、その時代のテクノロジーの持つ制限の中で、その可能性を最大限に引き出そうとしたことにある。80年代~90年代初期に生まれた8ビットや16ビットのゲーム・ミュージックは、作曲家たちが、データ量やチャンネル数が極めて制限された中で、様々なサウンドや音色、メロディを組み合わせることによって生み出された。新たなゲーム機が開発されるたびに新しいサウンドチップが作られ、それがまた新たな個性を生んだ。日本のゲーム会社は、様々な方法を駆使して、サウンド面で刺激的な工夫を凝らした。独自のサウンドチップを開発し、そのゲーム機の持つ可能性を最大限にまで引き出したり、ゲーム音楽家が独自のサウンドパレットを生み出すためのコンピューター・ソフトも開発された。

本作には、スティーヴ・ライヒの影響を感じさせる細井聡司の“Mister Diviner”の他にも、メガドライブのシューティング・ゲーム『サンダーフォースIV』のために山西利治が作曲した“Shooting Stars”、コナミのサウンドチーム、コナミ矩形波倶楽部が『魍魎戦記MADARA』や『エスパードリーム2』といったゲーム作品のために手がけた数々の楽曲を収録。『Diggin' In The Carts』はゲーム・ファンと音楽ファンの両方が、間違いなく満足するであろう、ゲーム音楽の素晴らしさと深みをかつてないほど詰め込んだゲーム音楽の枠を超えた金字塔的音楽作品だ。また国内流通仕様盤CDには、ゲーム音楽史研究家としても知られるhally (VORC)によるライナーノーツと、オリジナル・ステッカーが封入される。

また本作の完成に合わせ、『Diggin' In The Carts』のライヴ・イベントが、東京、ロンドン、ロサンゼルスで開催される。アルバムのリリース日となる11月17日(金)に、恵比寿リキッドルームにて開催されるレッドブル・ミュージック・フェスティバル主催の東京公演では、本作の監修も務めたKode9と、アートワークを手がけた森本晃司によるスペシャルなオーディオ・ヴィジュアル・ライヴが披露されることも決定した。

label: Hyperdub / Beat Records
artist: V.A.
title: DIGGIN IN THE CARTS
release date: 2017/11/17 FRI ON SALE
国内流通仕様CD BRHD038 定価 ¥2,200(+税)
hally (VORC)による解説 / オリジナル・ステッカー封入

【ご予約はこちら】
amazon: https://amzn.asia/hwxms4X
iTunes: https://apple.co/2ybCIk9


【ライヴ・イベント情報】

RED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO 2017 presents
DIGGIN' IN THE CARTS
電子遊戯音楽祭

日 時:2017年11月17日(金) 開場19:00/開演19:30~
場 所:LIQUIDROOM(恵比寿)
料 金:前売3,500円 *20歳未満は入場不可。顔写真付き身分証必須。
出 演:Kode 9 × Koji Morimoto AV, Chip Tanaka, Hally, Ken Ishii Presents Neo-Tokyo Techno ('90's Techno Set), Osamu Sato, Yuzo Koshiro × Motohiro Kawashima and more

Bwana - ele-king

 昨春〈LuckyMe〉からフリーで配信されたミニ・アルバム『Capsule's Pride』を覚えているだろうか? それは、大友克洋の映画『AKIRA』英語版の台詞と、芸能山城組が手がけた同作のサウンドトラック音源からのサンプリングによって構築された、じつに興味深い作品だった。制作者はトロント出身でベルリンを拠点に活動しているDJ/プロデューサー、ブワナ。すでに「Over & Done」や「Baby Let Me Finish」、「Flute Dreams」といった12インチで高い評価を得ていた彼だけれど、『Capsule's Pride』のブレイクによってその名はより幅広い層へと知れわたることとなった。そんな注目のプロデューサーがこの秋、初めての来日を果たす。詳細は下記をチェック。

漫画家・大友克洋さんが原作・監督をつとめたアニメ映画『AKIRA』のサウンドトラックをリミックスしたEP「Capsule's Pride」が、2016年にスコットランド・グラスゴーに拠点を構える人気レーベル〈LuckyMe〉から無料配信されたことで一躍有名となったトロント生まれ、現在はベルリン在住の若手プロデューサーのBwanaが初来日を遂げる!!

数年前に『AKIRA』のサウンドトラックがアナログ盤で再発されたことをきっかけに同アルバムをもとにして映画からセリフなどをサンプリングし話題をさらったBwana。現在YouTubeでも漫画『AKIRA』のカットを用いて、全曲フル音源で公開されている。

★10万回以上も再生されている「Capsule's Pride」はこちらから
https://www.youtube.com/watch?v=8nCg3D6tnLk

初来日となる今回はカッティング・エッジで洗練された若手DJ陣を主軸にジャンルレスなゲストを迎えているパーティー《sHim》に出演。翌週にはソウルでもギグが決まっている。

title: sHim
2017.10.20 (FRI) OPEN: 23:00
at CIRCUS Tokyo

DOOR: 2,500YEN
ADV: 2,000YEN
チケット… https://ptix.at/31VI85

GUEST DJ:
Bwana (from Berlin)

B1 Floor:
AKARI (SUNNY)
EITA (THE OATH)
REN (World Connection)

1st Floor:
Atsu
Keiburger
Koki (Bohemian Yacht Club)

■CIRCUS Tokyo
3-26-16, Shibuya, Shibuya-ku, Tokyo 150-0002 Japan
+81-(0)3-6419-7520

■Bwana
カナダ/トロント出身のBwanaは2015年より本格始動。Will Saul主宰の〈Aus Music〉からリリースした「Flute Dreams EP」は、音楽媒体の間で普遍的な支持を得て、2014年ベストEPのひとつとして賞賛された。タイトル・トラックは、SashaとHuxleyのBBC Radio 1のEssential Mixes、Laurent Garnier、J. Phlip、Jacques Greeneらがパワープレイ。彼の2度目となった〈Aus〉からのリリース、「Tengo EP」は、John Digweed、Skreamなどがこぞってプレイしさらに名声を得た。
DJとしてはロンドンのFabric、ベルリンのPanorama barなどでプレイしハウスやテクノ以外の幅広いジャンルを混在させるBwanaの能力、その多様性が高く賞賛されている。
現在、ベルリンを拠点とするBwanaは若手プロデューサー/アーティストとして新しい音とアイデアをさらに探求し続けている。
https://soundcloud.com/nathanmicay

Kassel Jaeger - ele-king

 ミュジーク・コンクレートはサウンドの接続と変化の実践であり、音が実体から切り離されたとき音響イメージが聴覚にどう影響を与えるかを思考する実験でもある。いうまでもないがその祖はピエール・シェフェールで、その手法の多くがピエール・アンリに負っている。さらにはリュック・フェラーリやフランソワ・ベイルなどの現代先端シーンへの多大な影響力も忘れるわけにはいかない。そしてそれらはシェフェールが設立したGRM(フランス音楽研究グループ)という現代音楽/電子音楽史上の重要な組織へと繋がっていく。つまり先進とオーセンティックを合わせ持った音楽史へと至り、やがて複雑に分岐していく。
 同時にその唯物論的な芸術の実験・実践は、ヤニス・クセナキスの電子音楽、ピエール・ブーレーズの現代音楽のみならず、第二次世界大戦後のフランスにおける言語/映像における接続の実験にも交錯可能である。例えば小説におけるアラン・ロブ=グリエ『迷路の中で』やル・クレジオの初期作品『大洪水』『物質的恍惚』に代表されるヌーヴォーロマン、映画史におけるヌーヴェルヴァーグの映像と音響、中でもジャン=リュック・ゴダールが発展させ80年代から90年代にかけて現実化したソニマージュ映画『パッション』『カルメンという名の女』『右側に気を付けろ』『映画史』『新ドイツ零年』などの参照点へ線を引くことは可能なのだ。思わずフランスという地のマテリアリズム/唯物論的な芸術の系譜について饒舌に語りたくもなってしまう。
 しかし、それはむしろフランスという地の芸術運動であるというよりは、ヨーロッパの芸術が20世紀初頭におけるダダやシュルレアリスム、そして未来派など即物的マテリアルの新しい使用方法というアンチ・ロマン主義的な芸術を生み出したことと深く関係していたことはいうまでもない。ではなぜアンチ・ロマン主義なのか。まずは第一次世界大戦直前の20世紀型テクノロジーの予兆がもたらすある種の技術賛美思想によって19世紀的な芸術思想を超克するという一種の世代的な芸術闘争だった。次に第二次世界大戦を挟みヨーロッパはイタリアとドイツのファシズムを経験したことでそのアンチ・ロマン主義はアンチ・ファシズムを内包したものに「上書き」された(ヴァルター・ベンヤミンの「政治の芸術化/芸術の政治化」)。
 つまり「戦後」ヨーロッパの20世紀型マテリアリズムは、脱ロマン主義(近代の終わり・現代の始まり)と反ファシズム(世界戦争後の世界)という二重の屈折を内包していたわけである。ゴダールの屈折も分かるというものだし、ジル・ドゥルーズが『シネマ2』で『ドイツ零年』や『イタリア旅行』のロベルト・ロッセリーニ以降などの戦後的映画において統一的な時間の持続が失われた問題を論じたことも分かってくるだろう。

 ここで話は一気に現代に飛ぶ。フランスを拠点とする1981年生まれの音響作家カッセル・イエーガー(Kassel Jaeger)の新作『アスター』(Aster)についてだ。〈エディションズ・メゴ〉(Editions Mego)からリリースされたこの新作は大変に素晴らしい。彼はこれまでも〈セヌフォ・エディションズ〉(Senufo Editions)、〈アンファゾムレス〉(Unfathomless)、〈エディションズ・メゴ〉、〈シェルター・プレス〉(Shelter Press)などのマニアから一目置かれるレーベルからアルバムをリリースしており、現代的なミュジーク・コンクレートを考えるときに忘れてはならない重要な作家でもある。また、フランソワ・ボネ(François Bonnet)名義でGRMのエンジニア/ディレクターを務める人物でもあり、いわゆるアカデミックな系譜にいる音楽家ともいえる。あの〈エディションズ・メゴ〉傘下の電子音楽/現代音楽リイシュー・レーベル〈リコレクションGRM〉(RECOLLECTION GRM)の監修を行い、現代のシーンと電子音楽の歴史を繋ぐことに多大な貢献もしているほどだ。
 しかし、その彼の楽曲も含めた2010年代以降のヨーロッパ発のエクスペリメンタル・ミュージックには20世紀的芸術が抱え込んでいた屈折は既にない。ロマン主義的な感性とマテリアリズムを程よくミックスさせることでミュジーク・コンクレート的なサウンドを2010年代に相応しいアンビエンスとしてリ・コンストラクションさせようとする意志を感じることができるのだ。これは00年代の初頭のグリッチ・ムーヴメントがあまりにマテリアリズムに傾き過ぎたことへの反動といえるが同時に00年代末期から00年代前半にかけて流行った過剰にロマンティックなアンビエント/ドローンとは似て非なるものにも思える。
 単に甘いコードを持続させたものではない。音響と音響をエディットし音楽の気配と断片を生成することで一種のポエジー(=詩学)を生んでいるのである。2017年のカッセル・イエーガーは、〈エディションズ・メゴ〉からジム・オルークとのコラボレーション・アルバム『ウェイクス・オン・セルリアン』(Wakes On Cerulean)をリリースしていることからも象徴的だが、近年の汎ヨーロッパ的なエクスペリメンタル・ミュージックは、2010年代的初頭的なアンビエント/ドローンの系譜というよりは、90年代の初期シカゴ音響派の系譜にあると考えた方がいい。じじつ初期シカゴ音響派にはリュック・フェラーリ的なミュジーク・コンクレートからの影響が強くあった(例えばジム・オルーク『ルールズ・オブ・リダクション』)。
 また2016年に〈シェルター・プレス〉からリリースされた ステファン・マシュー(Stephan Mathieu)とアキラ・ラブレー(Akira Rabelais)とのコラボレーション・アルバム『ツァウバーベルク』(Zauberberg)も「新しい音響詩学」とでも形容したいコンクレート・アンビエンスなアルバムに仕上がっていた(彼は90年代の音響実験の系譜を意識的に継承しようともしているようにも感じられる)。

 〈エディションズ・メゴ〉からリリースされた新作『アスター』は、その「続編」といえなくもない仕上がりである。そのうえミュジーク・コンクレート的な技法を継承しつつも、新しいダーク・アンビエント/ミュージックとして聴取することは十分に可能なのだ。不思議な「聴きやすさ」がある。1曲め“Aster”から横溢している冷たい洞窟の中のような音の質感には独自のアンビエンスが生成しており、聴き手の耳をいつのまにか引き込んでいってしまうサウンドとなっている。その細やかな静謐さは、次第に音量を増していくサウンドの中に粒子のように聴覚空間に散らばっていく。この音の質感、動き、空間、構築、構成を存分に味わうことで、ミュジーク・コンクレートの現代的活用という現在のエクスペリメンタル・ミュージック・シーン先端性を満喫することができるだろう。
 本アルバムは、「その」音が本来の姿(イメージ)から切り離され、「この」音のみの実存/存在となり、そこから新たな音的状況が生成・変化を遂げている。特にアナログ盤D面、データだと7曲めからラスト9曲めに収録されている“Ner”、“Uminari”、“L'étoile du matin”の闇の中の光のような音響空間は、音のみで新しいイマジネーション/イマージュを生み出しているかのように聴こえた。そして、そのサイレンスな終焉。いわば音なき世界へ。それはいわば真夜中の音=イマージュだ。夜とはロマン主義の象徴である。確かにこのアルバムでは、そこかしこに夜の鳥の鳴き声のような音が聞こえてくる。

 本作も含めた現代のエクスペリメンタル・ミュージックにはもはやアンチ・ロマン主義は感じられない。とはいえ単純なロマン主義への心理的回帰でもない。ではその音はどのようなムードを鳴らしているのか。一種の滅びゆくもの、廃墟へのアンビエンスではないか。この『Aster』も同様である。廃墟的、遺跡的なものへの親和性。夜の廃墟。夜の鳥。夜の化石。夜の遺跡。夜の痕跡。夜の発掘。夜の聴取。アートワークの物体のむこうに光るものが、そのような音響=イメージを象徴しているようにも思えてならない。

The Beach Boys - ele-king

 サマー・オブ・ラヴから50年だという。映画で言うとアメリカン・ニューシネマ、たとえば『俺たちに明日はない』から50年だ。アメリカ文化に夢中になったことのある人間なら誰しも、あの鮮烈な時代に対して憧れを持っているものだと僕は20代のある時期まで思っていたのだが、どうやらそうでもないらしいことを最近では理解している。半世紀前に西海岸で起こったことに思い入れるのは、この21世紀において……とくに、いわゆるミレニアル世代では変わり者のようなのだ。カルチャーの側から「世界を変えられる」とした大げさな想像が、世知辛い現代に有効でないことはじゅうぶん理解できる。そうして60年代のアメリカのロック音楽は紙ジャケとなり、日本において多くは中高年のノスタルジーとして消費されている。「若者は60年代のクラシック・ロックを聴かない」という話もある。が、それはべつに悪いことではないのだろう。世代が交代すれば、価値観は変わっていくものだ。
だが……、それでも、あの頃の壮大な「夢」にいまのわたしたちが感じられる何かはないのだろうか? そんな風に考えたきっかけはいくつかあるが、極めつけは昨年出たザ・ナショナル監修のザ・グレイトフル・デッドのコンピレーションだ。アメリカのインディ・ロック勢は、いまこそ懸命に50年前を振り返っている。そこには何か切実な理由があるように思えてならないのである。


50年目の『スマイル』――ぼくはビーチ・ボーイズが大好き
萩原 健太

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 アメリカ音楽を追い続けてきた音楽評論家である萩原健太氏にとっての1967年とは、「ビーチ・ボーイズの『SMiLE』が出なかった年」なのだという。サマー・オブ・ラヴ全盛の西海岸にいながら、その渦中にはいられなかったビーチ・ボーイズ。彼らが出すはずだったアルバムをこの2017年から検証するのが『50年目の『スマイル』――ぼくはビーチ・ボーイズが大好き』だ。同書は僕のような変わり者のアメリカ音楽好きの心を見透かすように、現在のアメリカの風景を50年前のそれと重ね合わせつつ幕を開ける。そうして、あまりにも巨大な謎であった『SMiLE』というアルバムの特異性が、著者である氏のライヴ体験を紐解きながらひとつずつ語られていく。79年の江ノ島から2016年のニューヨークへ。読んでいると、その大きなアルバムのヒントをひとつ得て歓喜し、かと思えばまた煙に巻かれて悩んだビーチ・ボーイズ・ファンの道のりを追体験するようだ。
 萩原氏はビーチ・ボーイズを「永遠のカリフォルニア・ティーンエイジ・ドリーム」なのだと本書で形容する。現代のアメリカの優れたインディ・ロックを聴いていると、その図抜けたポップさと音楽的実験への好奇心は形を変えつつ確実に受け継がれていることがわかる。だが、なぜビーチ・ボーイズだけが特別なのか?
 ここでは『SMiLE』 の空白をリアルタイムで体験できなかった世代のひとりとして、萩原氏に素朴な疑問をぶつけてみることにした。「なぜ、いまビーチ・ボーイズを聴くのか」。ビーチ・ボーイズのことを話すのが楽しくて仕方ないという様子の氏と言葉を交わしながら僕は、リスナーの想像力を掻き立てるバンドとしてのビーチ・ボーイズの魅力を垣間見たように感じた。副題が『ぼくはプレスリーが大好き』の引用となっていることからもわかるように、『50年目の『スマイル』──ぼくはビーチ・ボーイズが大好き』には何よりもアメリカ文化への著者のときめきが詰まっている。(木津)

Pitchforkって21世紀のインディ・キッズにいろいろな意味で影響を与えたメディアだと思うんですけど、60年代のベスト200曲とベスト・アルバム200枚を載せていたんですね。それを見ていると『Pet Sounds』が2位なんですね。1位はヴェルヴェッツなんですけど。(木津)

そうかあ。それはうれしいかも。ビーチ・ボーイズが上に来るのは少し前のトレンドだって気がしていたから。(萩原)

それでベスト・ソングの1位が“God Only Knows”なんですよね。ようするにビーチ・ボーイズは21世紀になってもアメリカのインディ・ロックにおいてはすごく意味をもっているんですね。(萩原)

木津毅:僕は1984年生まれなんですけど、10代の後半からアメリカの音楽がすごく好きになって。

萩原健太:というともう世紀が変わろうとしている頃ですね。

木津:そのあたりからアメリカの音楽を聴きはじめて、僕は00年代のインディ・ロックがすごく好きで、ele-kingにもアメリカのロックのことについて書いたりしているんですけど、日本にアメリカのロックのことを伝えるのがけっこう難しくて。21世紀にビーチ・ボーイズを聴くということをどういうふうに考えたらいいか、というのはとても難しい問題だと思っています。そもそも野田さんが僕を駆り出したのは、いまの日本の若い音楽ファンからビーチ・ボーイズを聴いている感じがしないと言うからなんですね(笑)。60年代のクラシック・ロックみたいなものをあまり聴かないと。

萩原:言ってみればビーチ・ボーイズどころの騒ぎじゃないよね。

木津:洋楽リスナー自体が減っているというのもあるんですけど、それ以上にパンクの頃までだったらギリギリ遡れるけど、それ以前になると遡るのが難しいということがあると思うんですね。今回の対談に向けていろいろと見ていて、Pitchforkって21世紀のインディ・キッズにいろいろな意味で影響を与えたメディアだと思うんですけど、60年代のベスト200曲とベスト・アルバム200枚を載せていたんですね。それを見ていると『Pet Sounds』が2位なんですね。1位はヴェルヴェッツなんですけど。

萩原:そうかあ。それはうれしいかも。ビーチ・ボーイズが上に来るのは少し前のトレンドだって気がしていたから。

木津:それでベスト・ソングの1位が“God Only Knows”なんですよね。ようするにビーチ・ボーイズは21世紀になってもアメリカのインディ・ロックにおいてはすごく意味をもっているんですね。

萩原:確かに、若いミュージシャンの話をいろいろと聞いてみると、そういう人も多いみたいね。

木津:つまりはビートルズの『Sgt. Pepper's ~ 』なんかよりも『Pet Sounds』のほうが全然スゲエぜ、という気持ちがアメリカ人にはあるときっと思うんですよね。

萩原:でも、どうなんだろう。一瞬そんなトレンドがあったことはたしかなんだけど。そのままなってくれればよかったなあ、と。90年代に『Pet Sounds Sessions』ってボックスセットが出たことがあって。その頃をひとつのピークに、『SMiLE』という幻のアルバムの在り方とか、当時のロック・シーンとしてはとても珍しかったレコーディング方法とか、ブライアン・ウィルソンという人間のひじょうにナイーヴな心象とか、そのあたりをイギリスとか日本とか、アメリカ以外の国のリスナーや、アメリカに暮らしていてもアメリカ的ではない人たちがかなり持ち上げた時期があったんですよ。しかも、その『Pet Sounds』のボックスが一回発売延期になった。ビーチ・ボーイズのメンバーのマイク・ラヴとアル・ジャーディンからのクレームがあったとかなかったとかで、一回出ないことになったあと、1年くらい遅れてようやく発売されたんだけど。この、“発売中止”ってキーワードが、67年に出るはずだったのにお蔵入りしてしまった『SMiLE』を想起させて、90年代のビーチ・ボーイズ熱を盛り上げちゃった(笑)。その頃はまだまだ研究が進んでいなかったことも含めて、研究しがいのある音だったんだよね。ビートルズみたいにもうすでに研究されつくされているものとは違って、掘りがいがあった。それが96年から97年にかけてのことで。その頃はネットが盛り上がり始めた時代だったでしょ? なので、いろいろなファンがネットで研究成果の発表みたいなことを競うようにやり始めて、ちょっと盛り上がった時期だった。夢のような時期があったんだよね~(笑)。

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ビーチ・ボーイズの場合、あまり時代性みたいなものと繋がっていないんだよね。例えばニール・ヤングとか、あのときにもプロテストしていたし、いまもまだプロテストしているでしょ。でも、ビーチ・ボーイズはそういうのとは違って。当時もちょっと浮世離れしていたんですよね。ああいう時代のただ中にあって音楽を作っていたにもかかわらず、どこかそういう時代の空気感とは違うメッセージを放っていたのが『Pet Sounds』なんだよね。もし『SMiLE』があの時代に完成していたとしても同じようになっていたと思う。(萩原)


50年目の『スマイル』――ぼくはビーチ・ボーイズが大好き
萩原 健太

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木津:僕の感覚からすると、インディ・ロックが一番先鋭的だったと言われている00年代後半のアニマル・コレクティヴやフリート・フォクシーズみたいなものがビーチ・ボーイズを引用しているのがなるほどなと思ったんです。あのコーラス・ワークはコミュニティ精神を喚起するもので、それが当時の保守的なアメリカに対抗するために必要だったのではないかと。僕が一番ビーチ・ボーイズを感じるのはグリズリー・ベアなんですけど。その60年代に起こったことというのをアメリカのインディ・ロック・ミュージシャンというのはものすごく振り返るじゃないですか。そこでなにが起こったのかということをすごく研究する。その感覚や重要性を日本に伝えるのがとても難しいんですけどね。
ただ、そこを理解するためにもいまビーチ・ボーイズの曲を聴くというのはなにか意味があるんじゃないかなと思っていて。『50年目の「スマイル」』を読ませていただいたんですけど、サマー・オブ・ラヴというのがひとつの起点になっているじゃないですか。僕もアメリカ文化が好きな人間なので67、8、9年に起こったことをいろんな映画で観てすごく憧れがあるんですけど、その憧憬というのが僕ら世代にはなくなっているからきっとビーチ・ボーイズが聴かれなくなっているんだろうなと分析をしているんですね。本の入り口でサマー・オブ・ラヴについて書かれていたんですが、萩原さんはサマー・オブ・ラヴというのをいまどういうふうに振り返ってらっしゃいますか?

萩原:いまふり返ると、あのムーヴメントは結果的に失敗に終わったものなわけじゃないですか。成果は上げられなかった。ある種の挫折を呼びこんだだけで。でも、あの時代、多くの若者がロックとかそういうカウンターカルチャーを旗印に革命が起こせるんじゃないかと信じていたわけでしょ? そういう“時代の熱”っていうのはあの時代にしかないものなんだよね。そのあとになると、「ああ、あれは失敗したよね」という思いがみんなの心のどこかに必ずあるから。音楽をやる人でも、他のジャンルのなにかを作る人でも「そういうことを信じていた時代があったのかもしれないけど、それは失敗しちゃったんでしょ。じゃ、砂漠に井戸を掘ってもしょうがないじゃん」っていう感じで。でも、当時は違った。あの時代だけは、ここからなにか生まれるはずだって心底信じてずっとその場で井戸を掘り続けていた。そういう圧倒的な熱気を内包した音楽が生まれていた時代だった。
それはそれで素晴らしいことだと思うんですよ。だって、もういまの人にはできないんだから。なにかをやみくもに信じているパワーというのは、67年から69年くらいまでの、あの数年間のロック音楽にしかない。これは反発を食らうこと覚悟で言うけど、僕はロックというのはあの時代に活動していたアーティストたちの音楽だけなんじゃないかって思ったりするのね。67~9年に音楽をしていた人の音楽だけをロックと呼べばいい、と。だから世代的にはもう死んじゃった人とか、死んじゃいそうな人ばかりなんだけど(笑)、それでもやっぱりジミヘンはロックだし、エリック・クラプトンだってロックだし、ポール・マッカートニーだってそうだし。そういう時代だったんじゃないかなあ。
ジャズもそんな感じあるでしょ。あの時代にジョン・コルトレーンとかがやっていたことを、結局その後の時代のミュージシャンがだれひとり超えられない。もちろん、今のミュージシャンなら、技術的にあのくらいのことはできちゃうと思う。みんな上手になってるし。ロックの人たちにしてもテクニカルな面ではそのくらいできるだろうし、再構築もできる。『Pet Sounds』だって、たぶん『SMiLE』ですら、いまの時代にその音像を再現することは昔と違ってわりと簡単にできるはず。ただ、信じている熱量の違いがあるんだよね。熱量の違いが音に表れちゃう。まあ、ブライアン・ウィルソンが2004年に『SMiLE』を再構築したのも、いまの時代ならではってことになるのかもしれないけれど、この場合はやっているのが本人だし、当時の思いと直結しているというか、あの時代にコネクトしている感覚があっただろうから、ちょっと例外だとして。そういう特例を除けば、いまは変に全員シニカルになっちゃってるから。
まあ、あの時代だけ変に浮き足立っていたんだろうね。で、その浮き足立ってしまったがゆえに失敗したってことをいまでは誰もが思い知ってる。でも、逆に言えばそれがいまとなってはもうできないことで。だからこそ、妙に魅力的に見えてしまうというか。そんな気がする時代ですよね。

木津:僕がアメリカ文化に憧れるのってやっぱり日本にないものが強烈にあるからだと思うんですよね。ただ、だからこそ日本にどうやってビーチ・ボーイズを伝えるかってすごく難しいことだと思うんですけど、ひとつ取っ掛かりを考えると、本の入り口にトランプ政権について書かれていましたよね。そのトランプ政権というものを考えたときに、さきほど仰っていた68、9年に起こったことはいまの時代に有効だと思いますか?

萩原:うーん、そうだな。またあの時代の時点に立ち返って「やっぱりおかしいことはおかしいんじゃねえの?」って言ったとして、どうなんだろうとは思うけど。それに、ビーチ・ボーイズの場合、あまり時代性みたいなものと繋がっていないんだよね。例えばニール・ヤングとか、あのときにもプロテストしていたし、いまもまだプロテストしているでしょ。すごいじゃないですか。でも、ビーチ・ボーイズはそういうのとは違って。当時もちょっと浮世離れしていたんですよね。ああいう時代のただ中にあって音楽を作っていたにもかかわらず、どこかそういう時代の空気感とは違うメッセージを放っていたのが『Pet Sounds』なんだよね。もし『SMiLE』があの時代に完成していたとしても同じようになっていたと思う。
そういう意味ではトランプ政権がどうであれ、そことビーチ・ボーイズはやっぱり関係ない気がするんですけどね。グループだということもあって、ちょっとそこらへんは微妙で。メンバーのなかにはマイク・ラヴというバリバリの共和党員もいて、そういうこともあってか、ブライアンはあんまり政治的な表明をしてないし。でも、それも含めて『Pet Sounds』や『SMiLE』のあり様かなという気はするんで。逆に言うとオバマのときだと目立たなかったんだけど、こういう時代になると、むしろそののほほんとした感じがいちだんと目立つのかな(笑)。それは70年代に入ってすぐに出た『Sunflower』というアルバムを聴いたときにも感じたんだよね。これは本にも書いたけどエドウィン・スターが「黒い戦争」を歌っていたり、CSN&Yが「オハイオ」を歌っていたりする時代の空気感のなかで、ビーチ・ボーイズは「あなたの人生に音楽を」みたいなことを歌っていたわけで。その「なに、ほのぼのしたこと歌ってるんだよ」という感じが情けなくもあり、でも、実はそうであるからこそ表現できるなにかがあったりして。うまく伝えにくいんだけど。

木津:まあ両方あるのが魅力ってことですよね。

萩原:一周巡ってこの時期にそういうことを歌う、逆に言うとアナーキーな感じというのを楽しめるかどうかみたいな。ちょっと上級ネタになっちゃうんだけどね。そこはなかなか人を説得できないところなんだよね(笑)。

木津:僕もビーチ・ボーイズに関しては基本的なことしかわかっていなかったので、すごく丁寧に解説していただいて勉強になりました。で、すごくなるほどと思ったのが、『SMiLE』のことを「67年にアメリカ建国を振り返ったアルバム」というふうに書かれていて。そうすることによって当時の浮足立ったアメリカになにか大切なものを追い出させようとした切実かつ美しい問いかけだと表現されていて、すごく腑に落ちたし、感動したんですよね。

萩原:そう思ってもらえてよかった。

木津:アメリカのミュージシャンってすごく自分のルーツを振り返るじゃないですか。どこから来たのかとか……。

萩原:意識的な人は振り返るんですけどね。そうじゃない人はわりとブレブレになっちゃっていると思うから。

木津:そういう意味で言うとヴァン・ダイク(・パークス)とブライアンに関しては当時からそこに意識的だったのでしょうか。

萩原:とくにヴァン・ダイクはね。そこらへんは彼がリードしたことだろうなと思うんだけど。ただそれを触発したのはブライアンだと思うのね。彼はなにか言葉で言うんじゃないんだけど、音でそれを弾いたときにヴァン・ダイクが「これはアメリカの建国に遡っていいんじゃないか」と感じたと思うし。たとえば「ネイティヴ・アメリカンの侵略の歴史みたいなことなんだな」とか、ヴァン・ダイクはブライアンが無意識に弾いたメロディーのなかから感じたんだと思う。あのふたりならではのものなんだろうなという気はします。

木津:それはブライアンにしてもヴァン・ダイクにしても、彼らの個によるものなのか、もっと時代的なものなのか、あるいはアメリカ文化というものが負っているなにかなんでしょうか?

萩原:うーん、難しいところですね。でも僕はやっぱり特異な存在としてふたりがいたんだと思うんですよ。どちらも決して単独でいたらそんなにポピュラーな存在になれる人じゃない気はするんですけどね。でも、ブライアンにはたまたま仲間がいた。マイク・ラヴとかそういう連中がいて、西海岸の若者像みたいなものを体現する仲間がいて、そのなかでちょっと変わった才能を発揮していた存在がブライアンだったんじゃないかなと。ヴァン・ダイクのほうは絶対にひとりでは無理じゃない? 現在までずっと無理なんだから(笑)。そういう人たちだったんじゃないかなあ。だからアメリカ文化を代表しているとは言えない。ただアメリカのなかにああいう人たちはかならずいる。で、そういう人がやっていることがじつはおもしろい。我々はそういうものに常に触発されながらアメリカの音楽を聴き続けてきたところもあって。ボン・ジョヴィがいて、でも同じ頃にハイ・ラマズみたいなものも出てきたりして。その両方あることがアメリカ音楽の魅力だったりするでしょ? ビーチ・ボーイズというのはひとつのグループのなかにそこらへんを両方抱えこんでいたのではないかな、というのが僕の感じ方なんですね。本ではそのふたつの要素をマイクとブライアンに代表させちゃっているけど。アメリカの音楽趣味というのは常にその両方が存在するんだけど、ひとつのバンドのなかにその両方があるというのはなかなかないことじゃないかなと思っていますけどね。

木津:僕はこのお話が出たときに強烈に思い出したのが、2002年にウィルコが出した『Yankee Hotel Foxtrot』ってアルバムで。僕はあのアルバムがすごく好きであれ以降重要な流れを生み出したなと思っているんですけど、あれはカントリーや戦前のフォークを引っ張りだしながら音をモダンなものにしてアメリカの失意みたいなものが描かれているんですよね。彼らは自分たちがどこから来たのかということをすごく意識してやっていると思うんですけど、僕はそこにすごくアメリカ文化的なものを感じるんですね。

萩原:でもウィルコって、ウィルコ全体でブライアンっぽいじゃないですか。

木津:たしかに。

萩原:もともとはアンクル・テュペロというバンドがあって、そこからウィルコとサン・ヴォルトというふたつのバンドに分かれていったわけだけど。どっちもブライアンっぽいんだよね! でも、普通はそうだと思う。『Yankee Hotel Foxtrot』でウィルコは音響派みたいなところへ接近してみせたわけだけれど、正反対の要素を取り入れたと言うよりは、ジェフ・トゥイーディのシンガー・ソングライター的な素養をもっと際立たせるものとしてそっちに寄っていった感じはする。これは僕の個人的な見解で、読み取り方はいろいろだと思うんだけど。それに対して、ビーチ・ボーイズの場合はあり得ないけど馬鹿ポップなものとすごく悲しいものが一緒にいるみたいな奇跡というか。突き抜けちゃう「どポップ」な部分とものすごくダウナーな文化みたいなものが非常に美しく融和している。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドでも「どポップ」な部分がちょっと足りない。いい曲も多いしポップな曲も多いんだけど、それだけで成立しないというかさ。そういう意味ではエルヴィス・プレスリーもすごいかな。あの人はひとりのなかに万人受けするなにかカリスマ的なポップな部分と、ものすごいダメで『ツイン・ピークス』的なアメリカの病巣みたいなものを両方抱えこんでいる人なんだよね。普通は『ツイン・ピークス』的なものを出しちゃう人ってそっちだけになっちゃいがちじゃない。

木津:仰っていることは非常によくわかります。

萩原:だからビーチ・ボーイズは非常に特異なバンドで、『Pet Sounds』はまだポップな面があるんだけど、そうはいってもずいぶんとブライアン寄りに出来上がってきちゃったものなので、レコード会社がすごく不安に思ったというのはそこの部分だと思うのね。あれはあれでそこに特化した非常に美しい世界を作り上げていて、いま聴けばどこにも文句をつけようがないんだけど。ただ“California Girls”で歌われている「全米中の女の子がカリフォルニアの女の子になればいいのに」という歌詞と、『SMiLE』に収められるはずだった“Cabinessence”の「何度も何度もカラスの鳴き声がトウモロコシ畑をむき出しにする」って歌詞を比較しちゃうと「あれ?」ってことになるのはわからなくはないなと。いまから思えばその表現はありなんだけど。それは、たぶんいまだからなんだよね。あの頃だったら、ウィルコだってデビューできていないよね。ビーチ・ボーイズは、なんとなく昔ながらのショウビズの美学のなかで活動しながら、あんな地点にまで至っちゃったっていうのがおもしろいと感じますけどね。

木津:いまの話ってすごく60年代っぽい話だなと思うんですよね。『Pet Sounds』みたいなものって時代と交錯するダイナミズムみたいなものがあると思うんですけど、それ以前のビーチ・ボーイズというのもいまでもしっかり評価されているということですよね。

萩原:そう。大好きなの。初期のビーチ・ボーイズがあるからこその『Pet Sounds』だし『SMiLE』だし、やっぱり初期がいいんですよ。ただその初期の陽気な魅力のなかに「ブライアンってなんでこんな暗いの?」というのが浮かび上がってくる曲があったり、明るいサウンドに乗せてはいるんだけれども、イノセンスなものを失ってしまうことに対するものすごく悲痛な気持ちみたいなものが隠されていたりして、それがそのまま『Pet Sounds』から『SMiLE』に繋がってくる。その感じが長く付き合っていると見えてきてね。楽しいですね。なんかそれがいいんですよ。「14、15、16、17」って年齢をコーラスしながら進行する「When I Glow Up (To Be A Man)」(自分が大人になっていく)という曲があって、それなんかもただの数え歌っちゃ数え歌なんだけど、歳を重ねていってしまうことへのある種の不安みたいなものが漂っている。同じような曲がその前の時代にもいくつもあって。そういう曲たちがあったうえでの『Pet Sounds』。B面の一番最後に「君の長い髪はどこに行ってしまったの?」って歌うブライアンが出てくるわけじゃないですか。それで「キャロライン、ノー」と。「ノー」って言われたときにさ、もうバーッと来るじゃないですか! 目の幅で涙でちゃうぜ、みたいな(笑)。その感じというのがひとりのアーティストの線のなかにちゃんとある。本人たちはあんまり意識していないと思うんだけど、それでもデビューしてからたった5年くらいのあいだにそこまで来ちゃっているビーチ・ボーイズの表現の深まりというか。それでその次にあるはずだった『SMiLE』って考えると、ね。なーんか楽しいじゃないですか(笑)。

木津:やっぱり僕らの世代だと「『Pet Sounds』のビーチ・ボーイズ」であり「『SMiLE』を完成できなかったブライアン・ウィルソン」というイメージが強いから、天才の狂気なり闇みたいなものというイメージが刷りこまれているんですよね。だからそれ以前のほうがあんまり脚光が当たらないというか。

萩原:でも、昔は逆だったんだよ。みんな、とりあえずビーチ・ボーイズのこと知ってることは知ってて。でも、知っているのはせいぜい“Surfin' USA”くらいで。「ビーチ・ボーイズ大好きなんですよ」と言うと「ああ、“Surfin' USA”のね」って言われるわけですよ。それに対して山下達郎さんとか僕がいつも答えていたのは、「いや、ビーチ・ボーイズは“Surfin' USA”だけじゃない。『Pet Sounds』というすごいアルバムがあるんだ」と。そうずっと言い続けてきて。それで90年代になって、ようやくビーチ・ボーイズといえば『Pet Sounds』って時代になったんだよね。でも、今度は誰もが『Pet Sounds』のことばっかりになっちゃったもんだから、90年代以降、僕らは今度「いや、ビーチ・ボーイズは『Pet Sounds』だけじゃないんだ、“Surfin' USA”もすごいんだ」って言わなきゃいけなくなったりして(笑)。そんな逆転劇があった。ややこしいんですよね。

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実はバランスがとれたポップ・ミュージックとしてのビーチ・ボーイズというと、やっぱり66年の『Pet Sounds』の前までというか。スタジオ・アルバムで言うと64年の『All Summer Long』が一番の完成形として美しくまとまっている気がする。山下達郎さんもビーチ・ボーイズを聴きたいという人がいたらまず最初に『All Summer Long』をすすめるそうだし。あのアルバムこそがある意味でビーチ・ボーイズの到達点だと。そのあと『Pet Sounds』にいたるまでに何枚かあるんだけど、そこらへんにはだいぶ『Pet Sounds』的なニュアンスが芽生えてくるんだよね。それはそれで兆しとしてはとてもおもしろいんだけど、ある意味バランスが崩れていく過程だったというか。(萩原)


50年目の『スマイル』――ぼくはビーチ・ボーイズが大好き
萩原 健太

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木津:2015年に日本で公開された映画『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』、字幕を監修されたということですが、どういうふうにご覧になられました? あれも言わば、天才ブライアン・ウィルソンの闇に焦点を当てるものですよね。

萩原:実は『Pet Sounds』こそブライアンだ、と思っているのは、思いのほか日本とイギリスだけだったりするんだよね。アメリカの人っていまだに「ブライアン・ウィルソンって誰?」と言うから。ニューヨークでブライアンのサイン会があったとき、順番待ちの列に並んでいたんだけど。『That Lucky Old Sun』が出たとき。その列を見て、通りすがりのおばちゃんが「これはなんの列?」って聞くから「ブライアン・ウィルソンのサイン会だ」と言ったんだけど、全然ピンと来てなくて。仕方なく「ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソン」とビーチ・ボーイズの名前を出してはじめて「ああ」って。一般にはそれくらいの認知度なんだよね。テレビ中継とか見ていても、例えばボストンみたいな、すこし知的レベルが高いのかなって地域にマイク・ラヴが率いる現在のビーチ・ボーイズが行くと、地元のおばちゃんたちが「ギャーッ!!」って喜んでいるわけ。

木津:それはアメリカっぽい話ですね(笑)。

萩原:この本にも書いたけど、カーネギー・ホールでブライアンが『SMiLE』の全曲演奏ライヴをやって。これなんか、ある意味東海岸の知的な音楽ファンが楽しむライヴなわけですよ。カーネギーだし。しかもそのアルバムは〈Nonesuch Records〉から出ているわけだし。もちろん『SMiLE』のパートでも圧倒的なアプローズがあったんだけど、実は一番盛り上がったのはアンコールで“Fun, Fun, Fun”や“Surfin' U.S.A.”をやったときなんだよね(笑)。やっぱりアメリカはいまひとつわかってないのかも。だから、あの映画の意味はそこにあるんですよ。以前、ドン・ウォズが監督した『ダメな僕(Brian Wilson: I Just Wasn't Made for These Times)』って映画もブライアン・ウィルソンの苦悩みたいなものを描いたもので、日本やイギリスのファンはそれを観てなにをいまさらそんな話をやってんだって思ったんだけど、アメリカの人はそんな話なにひとつ知らなかったって言うわけ。そのときと同じ。『ラヴ&マーシー』のときもそんな話知らなかったって。ブライアンはそんなに悩んでいたんだって。その程度なの。アメリカではブライアンはいまだにかわいそうなんだよ(笑)。でも、マイク・ラヴが率いているもう一方のビーチ・ボーイズは別にそれはそれでOKな人たちだったりするので、そこがまた複雑なんだよね。だからあのへんの映画の存在価値というのはアメリカでこそ大きい。もちろんポール・ダノによる若き日のブライアンの演じかたは本当に素晴らしかったから、そこについては日本でも意味があったはず。やっぱりみんな忘れかけていたところもあるしね。

木津:日本ではどのあたりまで『Surfin' U.S.A』のイメージってあったんでしょうか?

萩原:80年代まではまだそんな感じだったよね。でも、実はバランスがとれたポップ・ミュージックとしてのビーチ・ボーイズというと、やっぱり66年の『Pet Sounds』の前までというか。スタジオ・アルバムで言うと64年の『All Summer Long』が一番の完成形として美しくまとまっている気がする。山下達郎さんもビーチ・ボーイズを聴きたいという人がいたらまず最初に『All Summer Long』をすすめるそうだし。あのアルバムこそがある意味でビーチ・ボーイズの到達点だと。そのあと『Pet Sounds』にいたるまでに何枚かあるんだけど、そこらへんにはだいぶ『Pet Sounds』的なニュアンスが芽生えてくるんだよね。それはそれで兆しとしてはとてもおもしろいんだけど、ある意味バランスが崩れていく過程だったというか。

木津:なるほど。それはすごくいいお話ですね。僕らの世代だと絶対に『Pet Sounds』から入りがちですもんね。

萩原:『Pet Sounds』って、ブライアン以外のビーチ・ボーイズのメンバーはヴォーカルとコーラスしかやっていない。演奏しているのはレッキング・クルーだしね。そういう外部ミュージシャンも含めてその全体をビーチ・ボーイズと呼ぶのであれば『Pet Sounds』をビーチ・ボーイズのアルバムと言ってもいいんだけど。もちろんその前のアルバムでもハル・ブレインがドラムを叩いていたり、グレン・キャンベルがギターを率いていたり、外部ミュージシャンがビーチ・ボーイズのメンバーの代役をつとめていたりするけど、そのへんはあくまでもロックンロール・バンドとしてのサウンドを追求していた頃だから。ある意味バンドとしてのビーチ・ボーイズの形だった。でも、より大きなオーケストレーションのもとでブライアン・ウィルソンが一気に持てる才能を花開かせた最初の1枚というのは、やっぱり『Pet Sounds』だったりして。ほんとにややこしいですよね。

木津:前期と後期の違いというのはすごく60年代的というか、ビートルズとかもそうなんですけど、ビートルズの60年代前半後半でまったく別物というのはいまの時代には生まれにくいものだなとは思います。

萩原:でもそうすると後半のほうがわかりやすいんだよね。ビートルズも後半のほうがある方向に振れているし、ビーチ・ボーイズも振れているってことだよね。最初の頃は両極の幅広い魅力がもうちょっと一緒くたに存在していたんじゃないかな。どっちがいい悪いじゃないですけどね。ビートルズからなにかを得たという人でも、初期みたいなことをずっと追求している人もいれば、『Revolver』みたいなことをずっと追求している人もいるし。

木津:僕は例えばグリズリー・ベアとかにもビーチ・ボーイズを感じるんですけど、でもたしかに60年代前半のビーチ・ボーイズはないといえばないかなという感じはしますね。

萩原:いまの時代に60年代前半のビーチ・ボーイズっぽいことをやる意味があるのか、ということをもしかしたら若いミュージシャンは自分に問いかけて、やっぱりこれじゃあなあと思っているのかもしれない。残念だけどね。それにしてもさ、表現によって別のペルソナを用意する人は多いけど、ビーチ・ボーイズはねえ。だってビーチ・ボーイズだよ。ビーチのボーイズ。ビーチ・ボーイズって名前で、なにやったってダメじゃん(笑)。
『Pet Sounds』をブライアンがソロ名義で出そうとしていたみたい話もあるんだけど、それは結局うまくいかなかった。“Caroline, No”のシングルだけはブライアン名義で出たんだけど、それだってやっぱりビーチ・ボーイズなんだよね。当時、まだできてもいなかった『SMiLE』のラジオ・コマーシャルが作られていて、「The Beach Boys. 『SMiLE』」と言うと“Good Vibrations”が鳴るっていうやつなんだけど、これも冷静になってみるとビーチ・ボーイズじゃ説得力ないというか(笑)。そこは別の名前を用意できるなら、したかったと思うよね。

木津:ブライアンは当時それをビーチ・ボーイズじゃないと思っていたということなんですかね?

萩原:本当はソロ名義にしたかったんじゃないかとか、そのほうが幸せだったんじゃないかとか、僕はいまでもあれこれ思うんだけど。でも例えば『SMiLE』の制作を中止したことに対してブライアンが言った「あの音楽はわれわれにとって不適切だと思った」という言葉の“われわれ”は決してブライアンとヴァン・ダイクのことではなくて、ビーチ・ボーイズのことなんだよね。だから彼はあくまでもビーチ・ボーイズとして音楽を作らなくちゃって思っていたんじゃないかな。

木津:『Pet Sounds』もビーチ・ボーイズという名前で出したから歴史に残っているところがあって、それはふり返るとそう思いますね。

萩原:『ラブ&マーシー』を観ると、そのなかのひとつのシーンでブライアンがマイクに怒られているじゃない? 「メンバーの誰も演奏してねえじゃねえか」って。ああいうことだよね。僕も子どもの頃、例えばビートルズの“Yesterday”を聴いたとき、「あれ? ドラム入ってないけど、リンゴはなにしているんだろう。チェロでも弾いているのかな」って思ったもんね。バンドの音楽はバンドのメンバーだけで演奏しているものだと思っていたからね。そういう意味で60年代ってまだバンドっていうものの考えかたが狭かった時代でもある。いま思うとそんなもん誰が演奏してもいいじゃないかって当たり前に思えるけど、当時は状況がだいぶ違ったと思う。ビーチ・ボーイズ名義で出すレコードなのに、ブライアンが全部違うミュージシャンを招集して大編成で演奏させて、ステージでできねえじゃねえかって音を作っちゃったわけだけれど、そんなこと当時はあっちゃならないことだったんじゃないかな。ほかのメンバーがツアーに出て“Good Vibrations”を初めてライヴで演奏するってとき、ブライアンはツアーなんか大嫌いだったのにわざわざ飛行機に乗って公演を観にいっているんだよね。心配で。スタジオで作り上げた理想の音をライヴで出せてなかったら、むしろそれはやらないでほしいくらいの気持ちがあったわけでしょ。そういうのってもうバンドじゃないよね。

木津:それはもう共同体としてのバンドっていうものにすごくこだわりがあったということなんですかね。

萩原:メンバーが兄弟と従兄弟だからねえ。やっぱり家族なんだよ。家族でやっていることだから解散もできない。赤の他人どうしだったら全然別の道があったんだろうけど。まだまだ親父の横暴も残っていただろうし。ヒッピー・ムーヴメントが起こって、従来あった既成の家みたいなコンセプトを打ち破って新しいコミューンを作ろうとしている時代のなかにあっても、やっぱりウィルソン家は親に対してあれだけ排除しようとしていても家は家で繋がっていた。そういう環境のもとで活動していたんだよね。そこの足かせもかなりあったなかでいろんな葛藤がブライアンにはあったのかな。

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ビーチ・ボーイズは、なんとなく昔ながらのショウビズの美学のなかで活動しながら、あんな地点にまで至っちゃったっていうのがおもしろいと感じますけどね。
(萩原)


50年目の『スマイル』――ぼくはビーチ・ボーイズが大好き
萩原 健太

Amazon Tower HMV

木津:さっき僕らの世代だったら『Pet Sounds』が中心になってという聴きかたが多いという話をしたんですけど、萩原さんの世代でいまもビーチ・ボーイズを聴くかただとまだ『Surfin' U.S.A.』のイメージなのか、それとも『SMiLE』に思い入れをもって聴かれているかたが多いのか、どうなんでしょう?

萩原:ずっと聴いている人なら『Pet Sounds』、『SMiLE』、『Sunflower』あたりのビーチ・ボーイズはかなり上にいると思うんだよね。ずっと聴いている人はね。でも昔聴いていましたくらいの人はあいかわらず『Surfin' U.S.A.』なんじゃないかなあ。まあそれでいいのかなとも思うし。ただずっと聴いている人が案外すくないよね。

木津:そうですね。僕がすごく印象的だったのが、ライヴに行かれたときに近くにいた人が「懐メロじゃねえか」と言ったことに心のなかで反論したというところで、これは懐メロをギリギリのところで回避する永遠のティーン・エイジ・ドリームなんだ、と書かれていてなるほどと思ったのですが、その反論の部分を存分に聞かせていただきたいなと思います。これはひとつ個人的な話なんですけど、母親とサイモン&ガーファンクルのライヴに行ったときに、よかったんですけど僕は懐メロだなと思っちゃったんですね。音楽もいいし、テーマもいいと思ったんですけど。

萩原:79年にビーチ・ボーイズが「JAPAN JAM」のために来日したときの話ね。僕は懐メロとは違うと思ったんだよね。でもそう言われてもしょうがないなと思ったステージでもあったの。当時のビーチ・ボーイズにはそこが限界だったと思う。でもその後、2012年に結成50周年で来日したときは違った。ブライアンのバンドを基本にして、そこにビーチ・ボーイズのほかのメンバーが入って行なわれたステージで。これは確実に懐メロじゃなかった。やってる音楽は同じなんだけどね。結局、どうやるかにもよるんだよね。
あと、リスナー側が若いとだいたい古い音楽は懐メロに聴こえるよね(笑)。僕もたぶんサイモン&ガーファンクルの同じ来日公演を観にいっていると思うんだけど、僕は懐メロとは受け止めなかった。エヴァー・グリーンなもの、時代を超えたものだと思った。こっちが歳を取らないとわからないこともたくさんあるしね。ほら、“Old Friends”という曲が『Bookends』にあるでしょ。年老いた旧友ふたりがベンチに座っていて、それがブックエンドのように見えるという歌詞ですよね。彼らが若いときに歌った表現もそれはそれでよかったんだけど、まったく同じことを本当に歳をとっちゃったふたりがあそこで歌ったときに、その曲がようやく時代に対してリアルに意味のある表現になったと感じたの。こっちも一緒に歳をとったからというのもあるんだけど、その歳月の果てにあの曲がようやく意味をもったという瞬間だった気がする。それは懐メロとは言えない。古い曲ではあるけれども、いまも生きているすごい曲だなと思いました。
それはブライアンやビーチ・ボーイズに関してもそうで、ブライアンがいまの自分のバンドを手に入れてからということにすごく意味がある気がする。彼ら、ブライアンの今のバンドのメンバーがブライアンの昔の音楽をいまに意味のあるものに作り変えていく。まったく同じアーカイヴを聴かせているだけなんだけど、ちゃんといまの表現としてできるやつらが集まった。それを知り抜いている人たちがバンドをやっている。これがけっこう重要な気がしていて、今回『SMiLE』を作れたのもあのバンドがいたからだと思う。たしかに、本当に古い音楽を古いまんまいまやってもダメじゃん、みたいなことは多い。ビルボード・ライヴに行くとそんなライヴばっかりだったりもするんだけど。だけどたまにあるんだよね。古いとか新しいとか関係なくいまの表現にできているライヴが。ウマいかヘタかにもよるよね。ブライアンのバンドはめちゃくちゃウマいんだよ(笑)。でもただウマいだけだとダメで、やっぱり昔の楽曲をよく知ってリスペクトしているやつらがやると今の音になるんだよね。

木津:仰っていることはわかります。曲が時間の流れとともに、リスナーの関係性も含めて変化するということはありますもんね。

萩原:いい曲っていつの時代でも演じる人によって生きるんだなという気持ちになるのね。そういうふうに聴ける自分がリスナーとしての歳月を積み重ねているというのもあるんですよ。だから僕はジョー・トーマスが諸事情で来られなかったあの99年の日本公演を誇りに思っているわけ。ジョー・トーマスがいたらこんなことにならなかったと思う。いないから、それまではステージ後方でコーラス要員みたいな感じだったワンダーミンツのダリアン・サハナジャが前に出てきて、ブライアンのとなりでやるようになった。それがブライアンにも火をつけたと思うんだよね。そうならずに相変わらずジョー・トーマスが仕切っていたら『SMiLE』はできなかったと思う。だからあの本にも書いたけど、ブライアンがソロで日本に初めて来た初日の大阪公演で大きく変わった気がするんだよね。

木津:そういうお話を聞くと、30年以上の時を経たからこその『SMiLE』の価値というのがあるんでしょうね。

萩原:そこはファンの贔屓目みたいなところもかなりあると思う。僕がビーチ・ボーイズについて言うことは信じないほうがいいってよく言うんだけど(笑)。ほら、僕はもうビーチ・ボーイズに関しては頭おかしいから。なんだけどそういう前提で言わせてもらうと、37年あってよかった。こっちがついて行けるというか、ようやくわかったという感謝の気持ちがありますね。

木津:本を読んでいて、やっぱりファンがそういうふうに30年以上の年月のなかで想像を働かしていくことも含めての作品だったのかなと思ったんですよね。

萩原:そう。いまはそういうのがなかなかないじゃない。あの頃はテープだったから残っているんだけど、いまはハードディスクなので基本的には全部上書きしていっちゃうし、直しちゃうんだよね。ああいうかたちで素材が残ることってこれからはないような気がするんだよね。

木津:唯一カニエ・ウェストが去年出した『The Life of Pablo』みたいに途中でどんどん出していくみたいなことはあるにはありますけど。でも『SMiLE』みたいな例はたしかに本当にないもので、それってファンと双方向のなにかがあったのかなと感じますね。

萩原:たまたまその未発表音源流出のシーンというのが大きな役割を果たしているので、そこの盛り上がりというのはたしかにあったと思う。誰が流出させたのかは知らないけど。ただそういうふうな思いというのはずっと聴いてきた僕みたいなマニアしか持っていないものなのかな。それは本を書いてみてよくわかりました。

木津:僕が今日一番お聞きしたかったのはいまなぜビーチ・ボーイズを聴くかってポイントについてで。00年代後半にビーチ・ボーイズに影響を受けたバンドがいっぱい出てきたというのをお話しましたけど、もうひとつは去年ザ・ナショナルがグレイトフル・デッドのトリビュート・アルバムを出したじゃないですか。あれはすごくわかるんですよ。いま60年代後半に起こったことを再考するというのがすごく重要な意味を持っているんだろうなという。とくにザ・ナショナルみたいにリベラルなバンドが西海岸で起こったことをいまの時代でもう一度やるというのはとても重要だと思うんですけど、そういう意味で言うといまビーチ・ボーイズを振り返ることや、アメリカ建国を振り返って描こうとした『SMiLE』というアルバムをあらためて考えるということはどういうポイントで再評価できるのでしょうか?

萩原:同じだと思う。あのときは出なかったのでそのときに実際どういう意味をもったのかはわからないままなんだけど、あのときだろうが、いまだろうが、要するに「アメリカ建国のときに自分たちがなにをしたか見つめ直してみろ」ってことなんだよね。(“英雄と悪漢 Heroes and Villains”の)「Just see what you've done.」という言葉はトランプにそのまんまぶつけられる言葉でしょ? お前はネイティヴ・アメリカンを駆逐しておいてなにさまのつもりだよって。オバマがせっかく止めていたのに、ネイティヴ・アメリカンの聖地を破壊する石油パイプライン建設を強権的に承認したりして、なにさまだっていうことだから。

木津:なるほど。最後にひとつだけお聞きしたいんですけど、僕たちがいま『SMiLE』を聴くとなるとネットのストリーミング一発で聴けるわけじゃないですか。本を読ませていただいて一番いいなと思ったのは37年間かけて『SMiLE』がすこしずつわかってくるという過程で、ブライアン本人は辛かっただろうし、ファンにとっても辛いことだったのかもしれないですけど、僕にとってはすごく羨ましい体験だと思ったんですね。そういう意味ですぐ『SMiLE』を聴けてしまうような僕ら世代にいまどういう部分を聴いてほしいですか?

萩原:これは本当は本に書かなきゃいけなかったのかもしれなくて、いまさらここでだけ話したら怒られちゃうのかもしれないけど、やっぱりできあがったのはブライアン・ウィルソンの『SMiLE』なわけでしょ。それが2004年の『SMiLE』で。ビーチ・ボーイズ版も2011年に出たんだけど、これも結局はブライアン版にのっとって再構築された仮の姿というか。で、そのビーチ・ボーイズ版が収められた『The Smile Sessions』という5枚組が出ているんだけど、やっぱりこれ全部で『SMiLE』なんだよ。もし『SMiLE』に興味をもってどんなものなんだろうなと思ったら、完成形としての『SMiLE』は1枚ついているけど、その素材が他のCD4枚にわたってバーっと入っているので、これを全部浴びてみてもらいたい。こんな録り散らかしたクリエイティヴィティの発露のしかたみたいなものはいまの時代にできるのかな、というのをいまの世代に聴いてもらえると嬉しいですね。そんなことできないし、そんな馬鹿なことしないって発想してくれてもいいから。ただなんでそんな素材を用意しなければいけなかったのかということも含めて、浴びてみてもらえると嬉しい。値段は高いけどきっと買う価値はあると思う。

木津:そんなものがほかにあるかと言ったらないですもんね。

萩原:3、4時間あれば全部聴けるんだから試してみてもらえると嬉しいかなあ。1枚に組み上がったちゃんとした流れのあるものを『SMiLE』だと思わないで、ほかの素材まで全部含めて『SMiLE』なので、そのへんを追体験してもらえると嬉しい。それを30年間にわたってちょっとずつ聴いてきた人たちがいたんだから(笑)。

木津:はい(笑)。僕もそんな内容の本になっていると思います。

萩原:曲解説みたいにしてバーっと書いてあるところもあるんだけど、そこもさらにおもしろく読んでもらえるんじゃないかなと思っていますね。

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