「Nothing」と一致するもの

Panda Bear - ele-king

 リリースから3か月遅れのレヴュー。なので好きなひとはとっくに聴いておのおの感想を持っていることだろう。聴いてないひとは、パンダ・ベアが嫌いか,もう彼の表現に興味を持てないか、飽きたか、もしくは生活のなかに取るに足らない、役に立たない、無用な喜びを見出さないひとかもしれない。しかし彼のまったくぶれない夢想癖が好きなひとにとっては、じつはこの『Panda Bear Meets The Grim Reaper』以来、6枚目のソロ・アルバム『ブーイ』はけっこう良かったりする。評判の良かった『Panda Bear Meets The Grim Reaper』と『Tomboy』よりも、ぼくは新作のほうが良いと思っている。昨年、最初に“Dolphin”を聴いたときにそう思った。

 オートチューンを使って昨今のR&B/ヒップホップの影響を取り入れているからではない。パンダ・ベアの作品を特徴付ける音のがちゃがちゃした感じ、空間を埋めたがるやかましい感じが綺麗に整理されて、より奥行きのある音像になっているのがひとつ、で、もうひとつの長所はメロディラインが良い。音響工作にに関しては、思うに、前作でダブを意識したとはいえは、キング・タビーの最小限の音による広がる空間とはほど遠いダブをやったパンダ・ベアも、いやまてよ、ダブにはもっと空間(スペース)とミニマリズムが必要であると気がついたのかもしれない。
 アルバムは、“Dolphin”に続く“Cranked”と“Token”も良い流れになっている。

 この2曲にも魅力的なメロディがあるわけだが、本作のひとつのスタイルが明らかになっている。それはアコースティック・ギターと歌を基調にし、サンプル音か電子音が控え目にミックスされるというシンプルな構造だ。それはフリー・フォークと括られた時代の、在りし日のアニマル・コレクティヴを思い出させるかもしれないが、『ブーイ』に収録された9曲は1曲1曲が成熟している。
 なるべく良い音響再生装置で聴いて欲しいというのが〈ドミノ〉からのリクエストのようだが、それはたしかで、間違ってもPCやイヤフォンで満足しないように。なるべく大きな音量で、独立したスピーカーから音を出そう。わかっていると思うけど、パンダ・ベアの音楽に自己救済なんて求めても無駄。たとえあなたが窮していようとも、空想力で楽しいことや嬉しいことで頭を満たして、ただただ純粋に楽しめば良い。

第5回 反誕生日会主義 - ele-king

 ハッピバースデートゥーユーハッピバースデートゥーユーハッピバースデーディーーーーーア/あああああああああああああああああああ!/●ーーーーーーーーーーちゃーーーーーーーーーん。
 逃げ出したい/暗がり/ロウソクの火/コマンドが見える/「吹き消せ!」/逆らわない=吹き消す/おめでと~~う/ああああああああああああああああああああああああああああああああ!/逃げ出したい。
 電気がつく。ケーキ=好きではない食べ物=祝福のアイコン/切り分ける/皿に盛る/横倒しになる/食べる。
 ちゃぶ台を囲む=父/母/姉/私。
 家族。「誕生日に」・「ケーキを食べる」・「家族」=ドラマで見た/優しい父/優しい母/優しい子/みんなが仲良し/実情と合致しない。
 誕生日会が不愉快だと気がついたのは小学生のころだった。それ以前は記憶にないので素直に喜んでいたのだと思う。不意に「ハッピーバースデー」の歌を歌う自分の身体が、喉を残して全部消えているような気になっているのを自覚した。喉は単独で震えている。声だけが浮いている。自分の声ではないみたいだ。歌いたくない/ここにいたくない/すぐに立ち上がって外へ逃げ出したい。

 儀礼が耐え難いほど嫌いだ。誕生日に限らず、私は成人式も卒業式も、形式化された祝福は全て嫌いである。
 空間を以て「祝福」を示すという「意向」が発生したとき、空間に参与する(させられる)人たちは、儀礼空間という大きな機械を動かすための歯車として所定の役割を果たすよう強いられる。さっきまで意志を持つ人間だった私は、急に物言わぬ歯車に変えられる。「誕生日会」なんだからここに座れ、歌を歌え、拍手しろ、ろうそく吹き消せ、ケーキを食え……これらの行動1つ1つに切実な意味はあるのか? 多くの場合ない。少なくとも私の場合はなかった。個人から個人へ祝福を伝える方法はこれ以外にも大量にあるはずなのだから、こんな決まり切った形式を真似させられるいわれはない。それでも別に歌いたくない歌を歌い、叩きたくないのに拍手し、興味のないろうそくを吹き消し、好きでもないケーキを食べるのは、「場の空気」に流されるからである。
「あるべき姿」「普通はこう」……特段説明もされない、ただそういう風に「ある」。笑みを浮かべた相手から無言で手渡されたものをつい受け取ってしまうように、儀礼は基本的に「善意」で運営されている。悪意由来のものを断るより善意由来のものを断る方がはるかに難しい。善意で生きている人間のエネルギーを前に拒絶で立ち向かうには、相手の数倍のエネルギーが必要になる。そして儀礼を切実に必要としている人もいるのだろうし、悪いと言いたいわけではない。でも私は嫌いだ。本当に嫌いだ。編まれたくない。パーツにされたくない。ロールプレイングなんてやりたくない。私は己の切実な意志を尊重し、表明の方法はその都度その都度考えたい。全てを私の関係ないところでやってほしい。全てを任意に。全てを自由参加に。

 しかし世間は「儀礼への不参加」に意味を見出す。強い意味である。たとえ「任意」「自由参加」という建前があったとしても、それは1つの異常事態として認識される(「●●ちゃん、どうしちゃったんだろうね」)。求められる行動を拒絶すると「めんどうなやつ」認定がすぐさま下される。わかっている。祝福がミーム化されていることによって、特に祝福する気持ちのない相手に対しても祝っているかのように見せかける行為がある程度可能で、それが社会の非常に面倒な人間関係を取り持っている側面は、確実にある。見せかけの祝福で救われる人がたくさんいるのもわかる。それでも「そういうのを全部やめる」選択が許される世の中でなければ、やはりおかしい。明文化されぬまま存在する同調圧力を抜け出すとき、そこに特別な意味を感じないでほしい。

 この同調圧力が最大限強くなるのは、やはり家族関係の儀礼である。私はかつて姉の結婚相手との顔合わせを強く拒絶したことがあった(今も気まずいのでなるべく避けている)。会ったことも私の意志で関わりを持ったわけでもない相手から「配偶者〈の〉妹」として従属的存在へ記号化される状況に、私は耐えられなかった。本当に耐えられなかった。「姉の結婚相手が来るなら行かない」を繰り返していた私の逃げについて父はこう言った。「お前さあ、いいかげん大人になれよ」。
 ……そういうことじゃないんだぜ、本当にそういうことじゃない。もちろん意味はわかる、「大人になれ」とは「子どもじゃないんだから」とも言い換えが可能だ。私の不参加の意志が「わがまま」であり、「子ども」のものであるから改めよということだ。儀礼空間の潤滑な運営に与するのが「大人」であり、人はもれなくこの「大人」の道に入り前に進むべきなのだと本気で思っているのだろう。そんなわけない。自ら利用されるための存在に成り下がることが成熟なら、許されなくても一生赤ちゃんでいる方がはるかにいい。この世自体、もはや途方もなく巨大な儀礼空間である。クソ息苦しい。

 つまるところ私は、あらゆるものに対して「それ本気で思ってんの?」と感じているのだと思う。本気じゃないものが嫌いなのだ。やるなと言っているわけじゃない。誕生日を祝うなら真剣に相手にとってよいと思うことをやりたいし、形式的な「祝福」を無理やりやらされるような状況を作る社会はクソだと思っているのだ。突き詰めて突き詰めて突き詰めて突き詰めて、やっと見える何かが、私にとっては何よりも重要である。雑な気持ちで臨みたくない。全額ベット、これに尽きる。
 この文章を書いているのは2019年4月下旬で、ちょうどちまたに横溢する改元の話題にとてもいらだっているところだ。三島由紀夫ばりに天皇を愛している人が改元を全力で祝っているならそれはそれで個人の自由じゃねと思うのみだが(ただ友達になれる気はしない)、そういうわけでもなさそうなのになんとなく「平成最後の●●」「令和初めての●●」を連呼しているやつらにはヘドが出るのだ。本気で考えろ、お前にとって元号って何なんだよ! 天皇制と元号について本気で考えたうえで祝福してるのか? 天皇家の人間に人権がないのを承知した上で代替わりを祝ってるのか? いまだに社会に「支配者」の係累を「象徴」として戴いている状況に何も思うところはないのか? 本気で祝うならこういう質問をちゃんと胸を張って回答するなり最低限自信を持ってはねのけるなりした上で祝え!

 ……。
 わかってはいる、この気持ちが深く考えていることが偉いとか考えないやつはバカだとか、そういう思想に転化してしまったら元も子もないし、現時点でも偉そうなことを言っていると思われる場合はあるだろうし、実際人によって「本気」の尺度が違うことも重々理解している。私のものの考え方が「重い」ことも自覚している。今まで何度も「楽しんでいるんだから水をさすな」と言われた経験がある。抗っても抗いきれないときはいくらでもある。
 それでも「これが嫌いなんだよ!」と一人称ではっきり書いているのは、意思表示する野良犬はいればいるほどよいという考えを前提として、絶対にこの儀礼社会にムカついている人がいるはずだと考えているからだ。これを読んで共感してくれた人がいたら、ぜひ最低限1年に1回ぐらいは儀礼への参与をさりげなく拒否してほしい。
 アナキスト人類学者のジェームズ・C・スコットは、著書『実践 日々のアナキズム──世界に抗う土着の秩序の作り方』(岩波書店)の中で、「アナキスト柔軟体操」なる仕草を提唱している。いわく、いつか自らの信条のために重大なルール違反をする日がくる。そのXデイにスムーズに法を犯すためには、常日頃からささいな法律違反をして身体を柔軟にほぐしておくべきだろうというのだ。スコットが具体的にやっているのは信号無視である。車がいないのに赤信号が灯っているとき、あえて待たずにさっさと渡ってしまうとか、そういうちょっとした行為でいい。それを意識的にやる。この柔軟体操の積み重ねが、少しずつトップダウンのクソな秩序に風穴を開けるきっかけになり得る。儀礼空間の歯車を積極的に辞任していくことが、いつか大きな自由に向けた崩壊を招く可能性は大いにある。
 式典への参加拒否だけでなくてもいい。巨大な儀礼空間としての社会に抗うためには、例えば突然意味不明な言葉を叫ぶとか、帰り道で突然靴を脱ぐとか、社会のなかで想定されている行為の外へ逸脱していく行為が重要だと私は思っている。結局会話でも移動でも生活のなかには「普通こうする」という明文化されていないルールが潜んでいて、それらがどこかで誰かを追い詰める。あらゆるものがミーム化された社会とは、結局「普通」しか許さない社会、「異常」をつまはじきにする社会なんじゃないかと思う。殺意、怒り、イラつきは、自分の首を絞めるためだけではなく、柔軟体操に使うべきだ。誰もしない話をし、嫌いなものを大いに指摘し、式典をフケて、何の前触れもなく走り出す。秩序だって古アパートの壁紙みたいに端っこから毎日爪でちまちまめくっていけば、いつかべろっと全部剥がれる日が来るはずだ。

Actress × Stockhausen - ele-king

 昨年ロンドン・コンテンポラリー・オーケストラとの素晴らしいコラボ作をリリースしたアクトレスことダレン・カニンガム、その次なる野望が明らかとなった。このたび彼が取り組むのはなんと、シュトックハウゼン。かの巨匠については松村正人による『前衛音楽入門』をご一読いただきたいが、どうやらダレンにとってシュトックハウゼンはとびきり特別な作曲家だったらしく、現在かなり気合いの入ったプロジェクトが進行中のようだ。
 “Actress x Stockhausen Sin {x} II”と題された新たな作品は、合唱とピアノとエレクトロニクス、それにカーリーンのアルバムでも使用されていた A.I. のヤング・ペイントのために書き下ろされたもので、シュトックハウゼンが1995年に手がけた“世界議会 (Welt-Parlament)”の「リ・ヴァージョン」となる(“世界議会”は、1977年から2003年にかけて作曲された全7部構成の長大なオペラ『光 (Licht)』のなかの1部、「光からの水曜日 (Mittwoch aus Licht)」の第一場で、ちなみに第三場はかの名高き“ヘリコプター弦楽四重奏曲 (Helikopter-Streichquartett)”である)。同曲には、ロンドン・コンテンポラリー・オーケストラの指揮者ロバート・エイムズやオランダ室内合唱団に加え、晩年のシュトックハウゼンのもとで学んだイタリアのピアニスト、ヴァネッサ・ベネッリ・モーゼル(Vanessa Benelli Mosell)も参加しているとのこと。
 ダレン自身の弁によれば今回のプロジェクトの動機はふたつあり、ひとつはシュトックハウゼンに馴染みのない人びとに彼の音楽を知ってもらうこと、そしてもうひとつは彼の音楽を最近の政治情勢に結びつけることだという。労働党や保守党の現職議員たちによるディベート──テーマは“世界議会”と同じく「愛」──までフィーチャーされているそうだから、熱のこもったハーバートの新作同様、EU離脱問題で揺れるイギリスの現状が念頭に置かれていることはほぼ間違いないだろう。
 “Actress x Stockhausen Sin {x} II”は5月14日、ロンドンのサウスバンク・センター内にあるロイヤル・フェスティヴァル・ホールにて初演される。もし渡英のご予定のある方はこちらをば。

● the Royal Festival Hall
https://www.southbankcentre.co.uk/venues/royal-festival-hall
● Actress x Stockhausen Sin (x) II
https://www.southbankcentre.co.uk/whats-on/136892-creating-actress-x-stockhausen-sin-x-ii-2019

Visible Cloaks, Yoshio Ojima & Satsuki Shibano - ele-king

 これは嬉しいニュースです。先日〈RVNG〉の手がける優良シリーズ最新作『FRKWYS Vol. 15: serenitatem』にてコラボを果たしたヴィジブル・クロークス、尾島由郎、柴野さつきの三者ですが、なんとこの6月彼らが一堂に会し、東京と大阪でワールド・プレミア公演をおこないます。題して《VISIBLE CLOAKS, YOSHIO OJIMA & SATSUKI SHIBANO - serenitatem - World Premiere Live in Japan 2019》。東京公演では、日本のアンビエントにフォーカスすることで話題を集めたコンピレイション『Kankyō Ongaku』の監修者たるスペンサー・ドーラン(ヴィジブル・クロークスの片割れ)がオープニングDJを務めるとのこと。この貴重な機会を見逃すなかれ。

VISIBLE CLOAKS, YOSHIO OJIMA & SATSUKI SHIBANO - serenitatem - World Premiere Live in Japan 2019

ニューエイジ再興から呼び起こされる環境音楽の和。NYの名門〈RVNG Intl.〉のコラボレーション・シリーズ「FRKWYS」にて実現した現代アンビエントの最高峰 Visible Cloaks、日本の環境音楽/アンビエントを牽引して来たサウンド・アーティスト 尾島由郎 とピアニスト 柴野さつき による共同作品『serenitatem』のワールド・プレミア公演が東京(全席座り)と大阪で開催。また東京公演では日本の「環境音楽」にフォーカスを当てたコンピレーションで話題の Spencer Doran (Visible Cloaks) がオープニングDJを務める。

Daniel Lopatin、Laurel Halo、James Ferraro、Julianna Barwick、Ikue Mori、Laraaji、Sun Araw、Steve Hunn、Mike Cooper、Robert Aiki Aubery Lowe、Suzanne Ciani、Tashi Wada 等、錚々たる音楽作家/ミュージシャンが招かれたNYの〈RVNG Intl.〉によるコレボレーション・シリーズ「FRKWYS」に現代アンビエントの最高峰 Visible Cloaks、日本の環境音楽/アンビエントを牽引して来たサウンド・アーティスト 尾島由郎 とピアニスト 柴野さつき が『serenitatem』と題した共同作品をリリース。生成的なソフトウェアとアコースティックの境界線を超え、オーガニックかつデザインされた音と空間に、エリック・サティやドビュッシーの楽曲をかねてより演奏してきたピアニスト 柴野さつき の端正なピアノが寄り添う、人工の美を強く打ち出したモダンなニューエイジ・アンビエント作品が完成、本イベントにてそのライブが世界初となるワールド・プレミアとして実現される。またシアトルの名門〈Light In The Attic〉からリリースされた、吉村弘、尾島由郎、久石譲、土取利行、清水靖晃、イノヤマランド、YMO、細野晴臣、LP盤には高橋鮎生、坂本龍一を収録し、日本の「環境音楽」にフォーカスを当てた話題のコンピレーション・アルバム『Kankyō Ongaku Kankyō Ongaku: Japanese Ambient, Environmental & New Age Music 1980-1990』を監修した Visible Cloaks の片割れ Spencer Doran が「環境音楽 set」としてこれまでに、Gigi Masin、Andras、Suzanne Kraft、〈RVNG Intl.〉のショーケース(Visible Cloaks、SUGAI KEN、Matt Werth)、Laraaji 等を招いて開催されて来た都市型アンビエント・イベント《Balearic Park》の東京公演でオープニングDJを務める。インターネットの文脈から端を発したエレクトロニック・ミュージックにおける本ディケイドの一大潮流ニューエイジの頂点とも言える貴重な公演をお見逃しなく!

6/5 wed at WWW Tokyo
Balearic Park -Visible Cloaks, Yoshio Ojima & Satsuki Shibano-

OPEN / START 19:30
ADV ¥5,000+1D *150席限定・全席座り / Limited to 150 seats
Ticket Outlet: Resident Advisor / e+
LIVE: Visible Cloaks, Yoshio Ojima & Satsuki Shibano - serenitatem - World Premiere Live
Opening DJ: Spencer Doran - 環境音楽 set -
more info: https://www-shibuya.jp/schedule/011077.php

6/8 sat at Conpass Osaka
VISIBLE CLOAKS, YOSHIO OJIMA & SATSUKI SHIBANO -serenitatem- World Premiere Live in Osaka 2019

OPEN / START 19:00
ADV ¥4,200+1D / DOOR ¥4,900+1D
Ticket Outlet: TBA
LIVE: VISIBLE CLOAKS, YOSHIO OJIMA & SATSUKI SHIBANO - serenitatem - World Premiere Live
Opening DJ: 江村幸紀 [EM RECORDS]
more info: https://www.newtone-records.com/event.php?eid=845

主催・企画制作:WWW, newtone
協力:Inpartmaint

■ VISIBLE CLOAKS

ポートランドを拠点に活動する Spencer Doran と Eternal Tapestry の Ryan Carlile によるユニット。2014年に Sun Araw のレーベルから作品を発表し、2017年に〈RVNG Intl.〉よりフィジカルの作品として3作目になる『Reassemblage』を発表し Pitchfork で「BEST NEW MUSIC」に選出されるなど大きな注目を集める。2017年12月に初の日本ツアーを成功させる。

https://soundcloud.com/visiblecloaks

■ YOSHIO OJIMA / 尾島由郎

一貫してアンビエント・ミュージック/環境音楽の世界を追求している音楽家。スパイラル(ワコール/アート・センター)やリビング・デザイン・センター OZON、東京オペラシティ・ガレリアを始めとする集客施設の環境音楽を多数制作し、サウンド・デザインやサウンド・システムの開発にも関わる。一方、定村史朗、芳垣安洋、中島ノブユキ、フェビアン・レザ・パネ、大儀見元らとのノンジャンルな即興音楽のライブも多数行う。

https://www.yoshioojima.com

■ SATSUKI SHIBANO / 柴野さつき

エリック・サティをはじめとする近代/現代ピアノ音楽のスペシャリスト。渡仏し、サティの研究家であり詩人でもあるピアニスト、J.J. バルビエに師事。多数のアルバム制作やコンサートを通じ、枠にとらわれない自由な演奏活動を展開している。今まで前奏曲しか演奏されることのなかった未発表の大曲エリック・サティ『星たちの息子・全曲版』日本初のスタジオ・レコーディング盤をリリース。

https://www.hf.rim.or.jp/~satsuki/index_j.html

[最新作リリース情報]

4/19発売
VISIBLE CLOAKS, YOSHIO OJIMA & SATSUKI SHIBANO
FRKWYS Vol.15: serenitatem
RVNG Intl. / Inpartmaint

坂本龍一と Oneohtrix Point Never の心を持つ現代アンビエントの最高峰 Visible Cloaks と、日本の環境音楽/アンビエントを牽引して来た尾島由郎/柴野さつきによる夢のコラボレーション作が完成!

尾島由郎の大ファンだった Visible Cloaks が連絡を取り、事前にレコーディングしたサウンドの概要を尾島がヨーロッパツアーの期間に渡し、そこから音源交換しながら準備を進め、2017年12月の Visible Cloaks 初来日公演の際に Sounduno Studios でレコーディングを行いました。アンビエントや環境音楽を制作する事自体が目的ではなく、完成までに深く掘り下げた過程の記録を音源化した本作。人間とコンピューターの違いを感じさせる部分を聴き手は見つける事はできない程に精巧に作られ、アルバムを通して柴野のサティーを思わせるピアノはゆっくりと変化しながら最終曲で見事なアンビエンスを響かせる、90年代の環境音楽を再構築し、芸術的で美しい現代のアンビエントを提案した作品。

Track listing:
1. Toi
2. Anata
3. You
4. Atelier
5. S'Amours ne fait par sa grace adoucir (Ballade 1)
6. Lapis Lazuli
7. Stratum
8. Canzona per sonare no.4
9. Toi (Tokyo Mix) *bonus track

https://www.inpartmaint.com/site/26074/

Lee Gamble × Renick Bell - ele-king

 さまざまなスタイルを解体しながら折衷し、独創的な音楽を創造するプロデューサーのリー・ギャンブル、この2月に〈Hyperdub〉より最新EP「In A Paraventral Scale」を発表したばかりの彼が、3年ぶりとなる東京公演を実施する。会場は渋谷 WWW X で、WWW のレジデント・パーティ《Local World》の一環としての開催だ。ズリキシにと、最近ノりにノっているギャンブル主宰の〈UIQ〉だけど、同レーベルからリリース経験のあるレニック・ベルが今回の共演相手を務めるとのことで、彼の「アルゴレイヴ」がいかなるものなのか確認する絶好の機会でもある。5月最終日は WWW X へゴー。

Local X3 World Lee Gamble

超越のハイパー・レイヴ! UKエレクトロニックの鬼才 Lee Gamble (UIQ) が〈Hyperdub〉移籍後、初の東京単独公演を WWW X にて開催。共演に自身のレーベル〈UIQ〉からリリースした Renick Bell が登場。追加ラインナップは後日発表。

ジャングル、レイヴ、テクノ、アンビエントを超越したハイパー・コンクレートな作風でサウンド・デザイナー、ジャングリスト、コンポーザー、DJとして活動、エレクトロニックの名門〈PAN〉や〈Hyperdub〉からのリリースを軸にアートとクラブ・シーンをまたぎながら着実なキャリアを重ね、また近年のエレクトロニック・ミュージックにおいて大きな潮流へと発展した“脱構築”のパイオニアとしても名高いロンドンの鬼才 Lee Gamble がコンテンポラリーなエレクトロニック/ダンス・ミュージックを探求する WWW のレジデント・パーティ Local World に登場。ローカルからプログラムをリアルタイムに書き換えながらアルゴリズミック・パフォーマンスを行うコンピューター・プログラマー/電子音楽家、日本在中の Renick Bell が出演し、アルゴリズムとレイヴの混合語「アルゴレイヴ」と自ら名付ける、アルゴリズムによって作られたリズミックな即興音楽を披露。90年代クラブ・ミュージックの解体と合成から生成されるハイパー・レイヴなクラブ・ナイトが実現する。追加ラインナップは後日発表。

Local X3 World Lee Gamble
2019/05/31 fri at WWW X

OPEN / START 24:00
ADV ¥1,800@RA | DOOR ¥2,500 | U23 ¥1,500

Lee Gamble [UIQ / Hyperdub / London]
Renick Bell [UIQ / Halcyon Veil / US/JP] - LIVE
+ more

詳細:https://www-shibuya.jp/schedule/011107.php
前売:https://jp.residentadvisor.net/events/1258078


Lee Gamble [UIQ / Hyperdub / London]

英バーミンガム出身、現在はロンドンを拠点に活動する Lee Gamble。ジャングル、テクノ、レイヴ、アンビエントを超越し、サウンド・デザイナー、ジャングリスト、コンポーザー、DJとして抽象的で近未来的な作風で鬼才の名を恣にしている。ベルリン〈PAN〉からジャングルを解体した話題作『Diversions 1994-1996』や名作『KOTCH』含む3作を発表し、2017年に Kode9 の〈Hyperdub〉から『Mnestic Pressure』をリリース。複雑で抽象的な電子音楽プロデューサーとしてのみでなく、常に新鮮な楽曲をダンス・フロアに提供する傑出したDJとしてカルト的な地位を築いた。その後もビジュアル・コラボレーターの Dave Gaskarth とA/Vショー「Foldings」を行い、またロンドン現代オーケストラとの共演、これまでに ICA London,、Southbank Centre、MoMa PS1、Tate Modern、Sonar Festival、Berghain, WWW in Tokyo, MMCA Seoul、Fabric、Ministry of Sound、Sonar Festival、Unsound Festival、Oval Space、Village Underground、Mutek Festival、Old Granada Studios、Dimensions Festival and The Empty Gallery in Hong Kong 等様々な場所で活動の幅を広げている。近年、新しい才能を発掘すべく自身のレーベル〈UIQ〉をスタート。日本在中の Renick Bell、N1L、Lanark Artfax、Zuli、Nkisi 等、実験作品をリリース。最近では〈Hyperdub〉より3部作となるアルバム『In A Paraventral Scale』の第1部がリリースされる等、旺盛な活動が続いている。

https://soundcloud.com/leegamble

Renick Bell [UIQ / Halcyon Veil / US/JP]

アメリカ出身日本在住のプログラマー/電子音楽家。オープンソースのソフトウェアを使用してライブコーディング、即興演奏、およびアルゴリズムの合成を研究。Cask、Haskell やプログラミング言語を用いたライブコーディングによって演奏した作品やパフォーマンスを行い、これまでに〈UIQ〉、〈Halcyon Veil〉、〈Seagrave〉から実験的な作品をリリースしている。

https://soundcloud.com/renick

THE STALIN - ele-king

 日本のパンク・ロックにおいて、ラディカルであることを追求したザ・スターリンがもっとも過激な異分子としてシーンをはげしく揺さぶったのは、1980年前後だった。1981年に7インチシングルとしてリリースされた「スターリニズム」はまさにその燃え上がる時代の産物で、1987年にリリースされたコンピレーション『スターリニズム』にも収録されている。が、しかしそれはオリジナルをかなりエフェクトした音であって、いちぶ歌詞もカットされていた。
 このたびオリジナル・マスターからの復刻により、本来の音に忠実な『スターリニズム』が『STALINISM NAKED』としてCDリリースされた。歌詞もそのまま。さらにラジオで一度だけO.Aされた。“仰げば尊し”の別ヴァージョンを追加収録し、曲順も年代順にして再編集。ジャケのイラストは宮西計三。
 なお、『STALINISM NAKED』は闘病中の遠藤ミチロウさんを支援するために緊急発売したもので、下記サイトでの売上は、全額ミチロウさんへのお見舞金としている。https://inundow.thebase.in/
 

アーティスト:THE STALIN
タイトル:STALINISM NAKED
4月20日発売
CD:WC-093
¥2000+税
JAN:4571285920933
発売元:いぬん堂


1. 電動コケシ
2. 肉
3. 豚に真珠
4. サル
5. コルホーズの玉ネギ畑
6. 猟奇ハンター
7. アーチスト
8. Chicken Farm Chicken
9. 仰げば尊し(FMフレッシュ・ウェーブ・ヴァージョン)
10. バキューム
11. 解剖室

Track 1,2 from FLEXI「電動コケシ/肉」(MIG-2501)1980
MICHIRO ENDO(Vo,B)、JUN INUI(Ds)、ATSUSHI KANEKO(G)
Track 3 to 7 from EP「スターリニズム」(MIG-2504)1981
MICHIRO ENDO(Vo)、JUN INUI(Ds)、ATSUSHI KANEKO(G)、SHINTARO SUGIYAMA(B)
Track 8 from LP「V.A/WELCOME to 1984」(MRR-001)1984
MICHIRO ENDO(Vo)、SHINTARO SUGIYAMA(B)、TAM(G)、TEIYU NAKAMURA(Ds)、JUNE-BLEED(G)
Track 9 from FM TOKYO「FM FLESH WAVE」1983.11.30 O.A
MICHIRO ENDO(Vo)、JUN INUI(Ds)、TERUYA OGATA(B)、JUNE-BLEED(G)
Track 10,11 from FLEXI「バキューム/解剖室」(BQS-1S)1984
MICHIRO ENDO(Vo)、JUN INUI(Ds)、HIROSHI HIGO(B)、MASAYUKI ONO(G)

FKA Twigs - ele-king

 すでに街中で写真を目撃した方もおられることでしょう。FKAツイッグスが3年ぶりとなる新曲“Cellophane”を公開しました。例によってまたMVがなかなかに奇妙かつ刺激的な仕上がりでございます。これはもしや、アルバムも近い?? 今度こそ出る……のか????

FKA Twigs

あなたのためにしなかったかしら? どうして私はあなたのためにしないの?

音楽やファッション、アート……芸術の垣根を超えたネクスト・レベル・アーティスト、FKAツイッグスが3年ぶりに新曲“Cellophane”を公開。


(Photo by Matthew Stone)

これまでの人生を通じて、可能な限りベストであることを私なりに追求していたけれど、今回ばかりは上手くいかなかったの。これまで頼ってきた全ての歩みを突き崩さなくてはならなかった。もっと深いところへ。再び築き上げよう。そして再スタートへ。 ──FKAツイッグス

イギリス・グロスタシャー出身でジャマイカとスペインにルーツを持つシンガー・ソングライターのFKAツイッグスは、3年ぶりとなる新曲“Cellophane”をMVと共に公開した。数日前に突如、本人のSNSからアーティスト写真が拡散されたほか、日本をはじめとした世界各国で彼女の写真が町中に張り出されるというプロモーションがスタートし、話題を呼んでいた最中の新曲公開となる。

ファッションアイコンとしても世界中から注目を集め、音楽とファッション、アート、テクノロジーと様々なジャンルの架け橋となるFKAツイッグスは、2012年にセルフリリースEP「EP1」を発表。2013年にはザ・エックス・エックスやカマシ・ワシントンらを擁するロンドンの先鋭レーベル〈Young Turks〉から「EP2」をリリースし、米音楽メディアPitchforkなどのメディアから絶賛されたほか、英BBCの Sound of 2014 にも選出された。その後デビュー・アルバム『LP1』を2014年に発表し、同年の英マーキュリー賞やブリット・アワードにもノミネートされている。FKAツイッグスは2015年に初来日し、その後フジロックにも出演している。

FKA twigs - Cellophane
https://www.youtube.com/watch?v=YkLjqFpBh84

“Cellophane”はFKAツイッグス本人が制作・プロデュースし、フランク・オーシャンやアンダーソン・パークらを手掛けたレコーディング・エンジニアのジェフ・クラインマンと、同じくフランク・オーシャン、ヴィンス・ステイプルズ、アール・スウェットシャツらを手掛けたマイケル・ウゾウルが制作に携わっている。新曲は、FKAツイッグスのキャリア史上最も“自身の内面をさらけ出した”楽曲となっているほか、2ndアルバムへの布石を感じさせるシングルとなっている。

今回公開された“Cellophane”のMVは、ビョークの“Mutual Core”のMVなどを手掛けたLAの映像作家アンドリュー・トーマス・ホワンが監督を務めた。同曲の歌詞「Didn't I do it for you? Why don't I do It for you?(あなたのためにしなかったかしら? どうして私はあなたのためにしないの?)」からも分かるような弱々しさとは対照的に、非常に力強い映像作品となっている。また、FKAツイッグスはこのMVのために数カ月も訓練を重ねたというポールダンスも見どころの一つ。ダンサーとしても活躍している彼女ならではの多才さにさらに磨きがかかっていることがうかがえる。

今から1年以上前に“Cellophane”を書いている時、すぐに映像の構想が思い浮かんだわ。このアイデアを形にするためにはポールダンスを習得しなきゃならないってわかっていた。だからそれを実行したのよ。 ──FKAツイッグス

日本をはじめとした世界各国でFKAツイッグスの写真が町中に張り出されるというプロモーションで話題の、FKAツイッグスのポスターを以下の店舗で明日より先着でプレゼント致します。*ポスターは先着で数に限りがございます。

タワーレコード札幌ピヴォ
タワーレコード仙台
タワーレコード渋谷 6Fインフォカウンター
タワーレコード新宿 9F洋楽カウンター
タワーレコード吉祥寺
タワーレコード秋葉原
タワーレコード横浜ビブレ
タワーレコード名古屋パルコ
タワーレコード梅田大阪丸ビル
タワーレコード難波
タワーレコード梅田NU茶屋町
HMV record shop 渋谷
HMV record shop 新宿ALTA
HMV record shop コピス吉祥寺
ディスクユニオン 新宿インディー・オルタナティヴロック館(6F)
テクニーク
(有)珍屋立川2号店
BEAMS RECORDS
BIG LOVE RECORDS Harajuku Tokyo
FLAKE RECORDS
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Alffo Records
more records

label: Young Turks
artist: FKA twigs
title: Cellophane

Spotify : https://spoti.fi/2XJvdtp
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Yoshinori Hayashi & DJ Today - ele-king

 昨年ノルウェイの良心〈Smalltown Supersound〉からファースト・アルバム『Ambivalence』を発表し、最近どんどん評価を高めているDJの Yoshinori Hayashi。一昨日のマシュー・ハーバートの来日公演でも身体にずしんと響く最高なテクノ・セットを披露してくれた彼が、詳細不明の謎の DJ Today とともにWWWβにてレギュラー・パーティをスタートさせることが決定。その名も《BRAIN MOSS/ノウコケ》。記念すべき第1回となる6月8日の前売り券には、Yoshinori Hayashi の未発表音源CDRも付属するとのこと。売り切れてしまう前にチェック!

BRAIN MOSS/ノウコケ

世界へ躍進する奇才プロデューサー/DJ Yoshinori Hayashi が詳細不明な DJ Today を召喚し、明快オブスキュアなレギュラー・パーティー《BRAIN MOSS/ノウコケ》をWWWβにて始動。前売には Yoshinori Hayashi の未発表音源CDR「Low rec series vol.2」付、合わせてY.Hオリジナル・グッズ、私物レコードなども販売予定。

2015年の〈Going Good〉からの衝撃デビュー作「終端イーピー」、Sotofett のリミックスも収録したEP「The Forgetting Curve」〈JINN Records〉等のリリース等を経て、2017年には Boiler Room に出演、2018年には「Uncountable Set」〈Disco Halal〉、「Harley's Dub」〈Jheri Tracks〉、そしてクラブ・ミュージック・シーンの外からも絶賛された 1st Album 『AMVIBALENCE』と怒涛のリリースで存在感を見せつけた Yoshinori Hayashi が、謎のベールに包まれた DJ Today と共にWWWβにて、レギュラー・パーティー《BRAIN MOSS/ノウコケ》を始動する。初回となる今回はレジデント2名によるオープンラストのセットを披露します。

特典として Yoshinori Hayashi の未発表音源CDR「Low rec series vol.2」を前売チケット購入者にプレゼント。
更にY.Hブランドのオリジナル・グッズや彼らのレコード・コレクションが少量、会場にて販売予定。

BRAIN MOSS / ノウコケ
LINE UP:Yoshinori Hayashi / DJ Today
2019/6/8 sat at WWWβ
OPEN / START 23:00
ADV ¥1,500 @RA + WWW店頭 w/ Yoshinori Hayashi Unreleased Track CDR
DOOR ¥1,500
※ 前売チケットを購入した方にはエントランスにて Yoshinori Hayashi の未発表音源を収録したCDR「Low rec series vol.2」をお渡します。
※ 未成年者の入場不可・要顔写真付きID / You must be 20 or over with Photo ID to enter

詳細:https://www-shibuya.jp/schedule/011100.php
前売:https://jp.residentadvisor.net/events/1256849

Yoshinori Hayashi (Smalltown Supersound / Going Good)

18歳より独学で音楽制作をスタートさせた林良憲は、2008年に作曲家/ピアニスト/プロデューサーの野澤美香に師事することで、その稀有な才能を花開かせた。2015年、衝撃のデビュー作「終端イーピー」は、探究心旺盛なフリークスのみならず世界中のリスナーを驚かせ、決してフロアライクとは言えない内容ながら Juno plus Best of2015 : Top 50 Singles に於いて6位に選出される。その後も世界中の様々なレーベルから、精力的なリリースを続けることで、彼の音楽は多くの人々を魅了してきた。2018年10月待望のデビュー・アルバム『AMBIVALENCE』をオスロの老舗レーベル〈Smalltown Supersound〉より発売。青山の MANIAC LOVE からスタートしたDJキャリアは15年に及び、House、Techno、Disco、Leftfield を転がるように横断し、時に危ういボーダーさえも往来するプレイ・スタイルは、古典的でありながら実験性に富び、独自のオブスキュアを形成することでダンスフロアに貢献。欧州ツアーや Music Festival への出演を重ね、世界的注目を浴びる今、更なる飛躍が期待されている。音楽的ロジックを最優先する彼の感性は今まさに渇望されている。

https://m.soundcloud.com/yoshinorihayashi13
https://www.facebook.com/yoshinori.hayashi13

DJ TODAY

プログレッシブな展開を構築するスタイルを信条とする。

https://soundcloud.com/s5tzlhappveu/heavy-mix

荒野にて - ele-king

 ひとりの少年が一匹の馬と荒野を歩いている。どこまでもどこまでも……。だがこれは西部劇ではない。現代アメリカの物語だ。
 オルタナティヴ・カントリー・バンドのリッチモンド・フォンテーンのフロントマンでもあったウィリー・ヴローティンの原作小説を、イギリス人監督アンドリュー・ヘイが映画化した『荒野にて』は、いわば現代のアメリカ文学の在りかを探る作品だ。それは社会が見放した場所にあると、この映画は言う。主人公は貧しい暮らしをする15歳の少年で、彼はふとしたことから簡単に現代社会のセーフティネットから滑落してしまう。インヴィジブルな存在の彼(ら)の姿を、カメラだけが捉えうるということだ。

 一見、少年が馬と出会って成長していく昔ながらの物語のようでいて、そうではないというところに本作の立脚点はある。主人公チャーリーは明らかに養育能力がない父親とのふたり暮らしで、学校にも通っていない。あるとき競走馬の世話をする男デルと出会い、仕事を手伝うようになる。そのなかで、若くはない競走馬であるピートに特別な感情を抱き始めるチャーリー。だが同時期に父親が手を出した女の夫に撲殺され、チャーリーは保護者を失ってしまう。そしてもう勝てなくなったピートが売られてしまうと知ると、長い間会っていない叔母に助けを求めるため、ポートランドからワイオミングに向けてひとりで車を走らせる。つまり、これは少年がアイデンティティを探すための通過儀礼としての旅ではまったくなく、ただ庇護を求めるための命懸けの道程なのである。
 貧しさゆえに養育能力のない親は『フロリダ・プロジェクト』でも描かれていたが、現代アメリカのリアルな問題なのだろう。そして本作では、チャーリーを救済するシステムや組織のようなものさえ登場しない。大人も彼を救うことはできない。一瞬、アウトサイダーを演じることに長けたスティーヴ・ブシェミが扮するデルが父親代わりを務めるかに見えるが、彼もまた自分の生活に困窮しているため、その役目を引き受けることもない(できない)。ケン・ローチやアキ・カウリスマキの映画でいつも見られる貧しき者たちが手を取り合うコミュニティのあり方は、あくまで古き良きヨーロッパ的理想主義なのだと本作を見ていると身に染みる。ここでは誰もが生き延びるのに必死で、だからチャーリーも自力で生き延びる術を探さねばならない。スマートフォンにもインターネットにも無縁の彼の行く道は、あまりにも過酷だ。

 アンドリュー・ヘイは前作『さざなみ』で長く寝食をともにした夫がいながらも孤独に直面することになる老いた女性を繊細に描いていたが、21世紀のゲイ映画史に残る傑作『ウィークエンド』でもまた、じつに親密な映像で主人公たちの心の動きを捕まえていた。『荒野にて』においてもチャーリーとピートだけのシーンの叙情性が際立っており、彼らが向き合うときのカメラのふとした切り返しにさえ特別なものが宿っている。良い教育を受けてこなかったためだろう、大人の前ではあまり言葉を持たないチャーリーがピートだけに向けて想いを吐露する場面もまた、か弱い存在への優しい眼差しに貫かれている。その、誰も知らないその瞬間を共有するのが映画であると……ヘイはよくわかっている。そのとき、世界から見捨てられたチャーリーの寄る辺なさ、それでも沸き起こる生への渇望は観客ひとりひとりのものになる。
 そして、ラストで流れるボニー・プリンス・ビリーによるR. ケリーのカヴァー“The World's Greatest”が立ち上げるいじらしいまでのリリシズム。原曲では自分の存在を誇示するものだったはずが、フラジャイルなフォーク・ソングとなったこのヴァージョンでは、現代における敗残者をギリギリのところで支える歌になる。ウィル・オールダムが小さな声で歌う──僕は巨人、僕はワシ、僕はジャングルを駆けていくライオン、僕はこの世界の偉大な者……。それは、この世界から滑落する者がそれでも「偉大な者」であることを希求する祈りの声だ。

(ここから物語の結末に触れています)

 それにしても、チャーリーは保護者となる叔母に救われたからまだ良かったものの、そうでなければどうなっていたのだろう? あのままホームレスになっていたか、命を失っていたか……。途中、病院の医師や警察官が子どもを保護する施設の存在を言及するが、本作ではどうも信頼できないものとして扱われていたように感じる。そしてそれは、何だかんだ言って自助が良しとされるアメリカの現実を反映させたものなのだろう。車に跳ねられ死んでしまうピートは、保護者を見つけられなかった場合のチャーリーの姿にほかならない。
 アメリカにはいまも広大な荒野がある。そのなかで、並んで彼方を見つめるチャーリーとピートの姿は本当は「見えない存在」などではなく、誰もが見ようとしない存在ということだ。わたしたちは彼らの姿を探さなければない。その声に、耳を澄まさなければならない。

予告編

Visible Cloaks, Yoshio Ojima & Satsuki Shibano - ele-king

「FRKWYS」シリーズ15作めとしてヴィジブル・クロークスと尾島由郎、柴野さつきらのコラボレーション作品がリリースされた。レーベル・インフォメーションによれば、尾島の音楽の熱心な聴き手であったヴィジブル・クロークスが尾島にコンタクトを取ったことがはじまりらしい。その後、音源のやりとりを経て、2017年にヴィジブル・クロークス来日公演の際にスタジオに入りレコーディングをおこなったという。

 この出会いと共作は必然だった。ヴィジブル・クロークスのスペンサー・ドーランは、『Fairlights, Mallets And Bamboo』というミックス音源や、吉村弘の『ミュージック・フォー・ナイン・ポストカード』の再発など、近年、日本のアンビエント・ミュージックの海外における再発見に尽力した人物でもある。その彼がかつてのインタヴューで日本の環境音楽について語る際に吉村弘、芦川聡らと共に尾島についても語っていたのだ。そう、80年代から90年代初頭に花開いた日本のアンビエント/環境音楽シーンにおいて、尾島は吉村と芦川らと共に重要な存在なのである。
 じじつ、尾島はワコールが文化の事業化を目指して建設した槇文彦設計による複合文化施設スパイラル(ワコールアートセンター)をはじめ、リビングデザインセンター OZONE、東京オペラシティ・ガレリア、キャナルシティ博多などの各種施設用の環境音楽を制作し、実に多岐に渡るサウンドデザインやサウンドシステムの開発に携わってきた音楽家だ。特にスパイラルの館内環境音楽として制作された『Une Collection Des Chainons I』と『Une Collection Des Chainons II』は、環境と音楽の関係性を澄んだミニマリズムで包み込んだアンビエント音楽の傑作として名高いアルバムだ。
 一方、柴田さつきは、エリック・サティの演奏における日本有数の現代音楽曲のピアニストであり(サティ研究家にして詩人、ピアニストのJ. J. バルビエに師事)、尾島との数々のコラボレーションでも知られている音楽家である。本作でもその緻密に電子加工されたサウンドの向こうにガラスの光のようなピアニズムが聴き取ることができる。

 ヴィジブル・クロークスのスペンサー・ドーランとライアン・カーライルが名作『Une Collection Des Chainons I』と『Une Collection Des Chainons II』のようなサウンドを本作の制作において求めていたかは知らない。が、実際にアルバムとしてまとまったサウンドを聴いていると、まさに「Une Collection Des Chainons」的なアンビエンスが、4人の見事なコラボレーションによって2010年代末期的で精密な音響工作による美しい電子音楽へと深化していたことに何より耳が奪われてしまった。80年代末期から90年代初頭の日本的環境音楽がモダンにアップデートされたように感じられたのである。
 アルバムには全8曲が収録されている。どの曲も電子音の微細な変化、ピアノの響きとその抽出と変化、声と人間とマシンの融解など、マシンとヒューマンの境界線が少しずつ溶け合っていくようなサウンドに仕上がっている。まさに光の粒子のように見事な音響空間だ。じっと聴いているだけで聴覚が洗浄されていくような感覚を覚えたほどである。

 この清冽な感覚は、80年代から90年代初頭の日本の環境音楽が持っていた「水と空気」のテーマを継承しているのではないか。じじつ、1曲め冒頭では水が滴り落ちるのだ。
 以降、アルバムは電子音、ピアノ、声、旋律、持続、反復し、磨き上げ抜かれた音を生成変化させていく。そしてフラグメンツの美学とでも形容すべき7曲め“Stratum”を経て、慎ましやかな感動を放つピュアにしてミニマルな終局“Canzona per sonare no.4”で終わる(日本盤はボーナストラックが1曲追加されている)とき、環境と音響と耳の関係が清冽に拡張されたような感覚を覚えた。ここにおいてアンビエントという概念すらも「音楽」という環境の中にゆったりと溶け合っていくさまを聴くことになる。繰り返し何度も何度も聴きたい。この音で耳と空間を潤したい。空間に優雅な香りをのこす上品な香水のような電子音楽アルバムである。

 何よりこのアルバムは、90年代の音響、00年代の残響を経た10年代的な環境を象徴する作品に思える。それは音響派、ポストクラシカル、アンビエントへの変化を意味する。近年の日本を含めた世界各国のニューエイジ音楽の再発見はそのことを証明していよう。
 本作は、そのような潮流のなかで生まれた世代を超えた見事な共作にして象徴的作品だ。話題のコンピレーション・アルバム『Kankyō Ongaku: Japanese Ambient, Environmental & New Age Music 1980-1990』を聴いた後にぜひ本作を続けて聴いてみてほしい。環境音楽の現在が瑞々しく鳴り響いていることに気がつくはずだ。これぞ Kankyō Ongaku 2019。

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