「Not Waving」と一致するもの

James 'Creole' Thomas - ele-king

 ジャズの誕生の歴史を紐解くと、クレオール(クリオール)という言葉に行き当たる。19世紀末から20世紀初頭のアメリカの中で、ニューオーリンズは黒人、及び白人とカリブ系黒人の混血であるクレオールが多く暮らす町だった。ニューオーリンズもクレオールも、もともとフランス語を由来とする言葉である。すなわち、ニューオーリンズはヨーロッパ文明と新大陸の交差する場所であった。クレオールや黒人たちは、ラグタイム、マーチ曲、賛美歌、黒人霊歌、アフリカ伝承曲、フランス民謡、スペイン民謡などを演奏する中で、次第にそれらが混ざり合っていく。そして、それらをアマチュアのブラス・バンドが演奏し、それがジャズへと発展していったという考察がある。ジャズはアメリカの黒人が生み出したと言われることが多いが、実際にはクレオールを介した白人文化と黒人文化の混血から生まれたもので、アフリカ発祥の黒人音楽だけでなく、西欧のクラシックや教会音楽、民謡などの要素も混ざっているのだ。その後、ジャズが進化していく中で、時代によってロック、ラテン、ソウル、ファンク、R&B、ヒップホップという具合に、いろいろな音楽とのフュージョンを果たしていく。それは、ジャズそのものが混血の音楽だからである。

 クレオールという言葉をアーティスト名に用いた最初の例は、キッド・クレオールことオーガスト・ダーネルかと記憶する。アメリカ人のオーガスト・ダーネルはカリビアンとイタリアンの混血の家系だが、ここに紹介するジェイムズ・トーマスもまた、ミドルネームにクレオールを用いている。ジェイムズ・トーマスはハイチとアメリカのルイジアナ州を経由し、現在はモーリシャス共和国のポートルイスに住んでいる。モーリシャスはアフリカのマダガスカル島に近い諸島からなり、オランダ領、フランス領、イギリス領を経て、現在はイギリス連邦に属した独立国家である。インド洋上に位置し、またインド系住民が奴隷として連れてこられた歴史から、インド文化の影響が強い。そして、アフリカやアラブ文化の影響も受け、それらが混合した独特の文化を持っている。このモーリシャスにゆかりのあるアーティストで、まず思い浮かぶのはモー・カラーズことジョセフ・ディーンマモードだろう。南ロンドン出身で英国人とモーリシャス人の混血の家系である彼は、『モー・カラーズ』(2014年)、『テクスチャー・ライク・サン』(2015年)、そして最新作の『インナー・シンボルズ』(2018年)と3枚のアルバムをリリースするビートメイカーだ。ジャズ、アフロ、ダブ、ヒップホップ、ソウル、ビートダウンなどを融合し、クラップ・クラップなどとはまた違うアプローチで、クラブ・サウンド側からワールド・ミュージックの発信を行う。

 ジョセフ・ディーンマモードには兄弟もいて、それぞれレジナルド・オマス・マモード4世、ジーン・バッサの名前で音楽活動を行っている。ジョセフ・ディーンマモード同様にミュージシャン兼ビートメイカーで、やっている音楽も共通するようなものと言える。彼らディーンマモード3兄弟はテンダーロニアスの主宰する〈22a〉と繋がりが深く、それぞれ作品リリースを行っている。ジョセフ・ディーンマモードはパーカッション奏者として、テンダーロニアス率いるルビー・ラシュトンにも属しており、またレジナルド・オマス・マモード4世とジーン・バッサもパーカッション奏者として、テンダーロニアスの最新作『ザ・シェイクダウン』(2018年)をサポートする22aアーケストラの一員となっている。このディーンマモード3兄弟のいとこにあたるのがジェイムズ・トーマスで、レジナルド・オマス・マモード4世のアルバムの『レジナルド・オマス・マモード・IV』(2016年)、『チルドレン・オブ・ニュー』(2018年)にもミキシング・エンジニアとして関わっている。そして、今回ジェイムズがリリースするリーダー・アルバムの『オマス・セクステット』にも、ディーンマモード3兄弟が参加している。彼ら4人がバンドのコア・メンバーとなり、セクステットという6人編成が示すようにサポート・ミュージシャンも交えて録音が行われ、リリースは〈22a〉からとなっている。演奏クレジットはジェイムズ・トーマスがパフォーマー、モー・カラーズ(ジョセフ・ディーンマモード)がフルート、コンガ、パーカッション、ジーン・バッサがパーカッション、カズー、レジナルド・オマスがタンブーラ、パーカッション、シンセとなっており、録音場所のクレジットはないのだが、恐らくテンダーロニアスらが使っているロンドンのスタジオでの録音だろう。

 作曲はジェイムズ・トーマス及びモー・カラーズとなっているが、カヴァー曲も3曲収録し、“アース”はジョー・ヘンダーソン、“ザ・プラム・ブロッサム”がユセフ・ラティーフ、“ナドゥシルマ”がアーメッド・アブドゥル・マリクの楽曲。ジャズに中近東音楽を融合したアーメッド・アブドゥル・マリク、東洋神秘思想に傾倒したユセフ・ラティーフ、アリス・コルトレーンと共演していたころのジョー・ヘンダーソンと、こうしたカヴァーの選曲にもジェイムズ・トーマスの志向する音楽性が透けて見える。ジャズ、アフリカ音楽、中近東音楽、インド音楽の融合、すなわちクレオールというアイデンティティが、“メルティング・ポット”という題名にも表れている。この“メルティング・ポット”を筆頭に、スポークン・ワードを取り入れた小曲が多いことも『オマス・セクステット』の特色で、そこでは盛んに自身のルーツであるクレオールについて触れている。“ファースト・ウェイズ”のパーカッシヴなリズムと瞑想性を帯びた音色は、汎アフリカ主義とディアスポラ的な精神を示しており、シャバカ・ハッチングスとかイル・コンシダードなど、現在の南ロンドンのジャズ・ミュージシャンたちと共鳴している。“リード・バイ・ノー・ワン”や“ノー・ニード・ウェイト”はヒップホップやビートダウンを咀嚼したもので、モー・カラーズのテイストに近いだろう。また、ナイヤビンギやルーツ・レゲエとの近似性も見られるアルバムで、スポークン・ワードの取り入れ方などを含め、カウント・オージー&ミスティック・リヴェレイション・オブ・ラスタファリの名作『テールズ・オブ・モザンビーク』(1975年)の現代版という見方もできるのではないだろうか。

 ノルウェイのトロンドヘイム(Trondheim)で、毎年8月の3週目の週末に行われる、音楽フェスティバル、Pstereo Festivalに行った。2007年にはじまり、11年目の今年は8/16~8/18で、約35,000人が参加した。トロンドヘイムはオスロから北へ、車で約6時間、飛行機だと55分。大学生街なので音楽が盛んな、ノルウェイで3番目に大きい都市である。

 今年のメインは、クラフトワーク、モグワイ、オーロラ、ビッグ・チーフ、メンタル・オーバードライヴ、マウント・キンビー、シグリッド、ミレンコリン、セパルチュラなど、北欧、イギリス、アメリカのバンドが多いが、ブラジル、アルゼチンのバンドも出演した。ちなみに過去には、シガーロス、ロイクロップ、ダムダム・ボーイズ、セント・ヴィンセント、サーストン・ムーア、ウォーペイント、ザ・XX、フランツ・フェルディナンドなどが出演している。

 このフェスの名前は、ダムダム・ボーイズのアルバム『Pstereo』から来ていて、エレクトロニカ、ロック、ポップなどのジャンルに焦点を当てている。地元の食材や会社を使い、リサイクルに力を入れ(ゴミの仕分けは軽く5パターン)環境に優しく、青の似顔絵Tシャツを着たボランティアが700人ほどいてフェスを清潔にスムースに保っていた。手書き風のアーティストの似顔絵が特徴のポスター、Tシャツも魅力である。

 会場は、ニデルヴァ(Nidelva)川の隣にある、マリナ(Marinen)というピクニックに最適な野外スペースで行われた。「ノルウェイの教会」と言われる、1,000年以上の歴史がある、ニダロス(Nidaros)教会が隣にあり、歴史的建築物も拝むことができる。赤い礼服を着たガイドに教会を案内して頂いたが、歴史や宗教的なエピソード(北には悪がいて、東に向かって眠り、十字架マークの下に死者が葬られているなど)他、建築、アート、タギング、まで細部を説明してくれるので、自力でいくより良い。さらに、地元のコーヒーショップ、レストラン/ブリュワリー(habitat, monkey brew)、ジーンズショップ(Livid jeans)など、トロンドヘイムの見るべき名所を、Pstereo festivalがセットアップしてくれ、地元のビジネスも近くで見ることができた。何処も自分のお店、仕事に誇りを持っていて、ジーンズショップのLivid jeansなどは、地下にヴィンテージと靴も扱い、私の雨で傷んだ靴を見て、サッと綺麗に磨いてくれた。

 このフェスの3日間はずっと雨だったが、人は、そんなことはお構いなしに、カラフルなレインコート(殆どがデンマークのRAINS)を着て、盛り上がっていた。フェスは3日間だが、その4日前から準備が行われ、芝生は黒の布で覆われ、雨でもぐちゃぐちゃににならないように対応され、カラフルなイスが設置され、バーガーやインディアン、ファラフェルなどのフードトラック、ラジオ局、ゲーム会社、銀行などがお店を出していた。

 今年のステージは4つで、ひとつがはじまれば、もうひとつはセットアップ中で、殆どのバンドを見る事ができた。3つが野外ステージ、ひとつがインドア・ステージ。私が好きだったのは、マウント・キンビー(UK)、データロック(NO)、カンパニー・インク(NO)、モグワイ(UK)、サッシー009(NO) 辺りで、地元のバンドの勢いが良かった。ロックバンドも、エレクトロよりで、データロックのインドアのショーでは、床が抜けそうなくらい軋んでい。夜にはクラブに移動してのイベントもあり、朝までパーティが続いた。この次の週から学校が始まるので、それに合わせているのだろう。

 日本のフジ・ロックからバルセロナのプリマヴェラ、レイキャビックのエア・ウエイブ、オスロのオイヤなど、世界中の音楽フェスに行っているが、Pstereoは、先出のフェスより規模は小さく、人がフレンドリーで、主催者とも気軽に話すことができる。3日間すべて雨(!)という状況でありながら、ここまで人を惹きつけるのが凄い(普段は天気が良い時期だが今年は例外とのこと)。音は、川を伝って遠くまで聞こえるので、川岸でピクニックシートをひいて楽しんでいる学生たちもいたし、町をあげての町興しになっているのだろう、マーチングバンドも練り歩いていた。Pstereoはほどよい人混みで、エアウエイブのように会場を毎回移動しなくていいし、ガバナーズボールやパノラマのように、バンドがオーバーラップすることもない。自然に囲まれ、自分のペースで行動でき、地元の人とも仲良くなり、ハウス・パーティまで参加してきた。

 このフェスがなかったらなかなか行く機会はない町だが、親切な人たちが我よと説明してくれるし、英語もだいたい通じる。来年も行こうと考えている。興味のある人は是非この親密なフェスを体験して欲しい。

 フェスティバルの3日パスは1949kr ($230)、学生は1599kr ($188)、1日パスは899kr ($106)。

Frances Wave @veita stage
Lonely Kamel @veita stage
Sepulture (BR) @elvescenen
Morbo y Mambo (AR) @veita stage
Datarock @forte
Thulsa Doom @veita stage
Skatebard (club Pstereo) @lokal bar

Sat 8/18
Millencolin (SE) @canon stage
Company Ink @veita stage
Sassy 009 @forte
Mogwai (UK) @elvescenen
Mount Kimbie (UK) @canon stage
Aurora @elvescenen
Villrosa (club Pstereo) @fru lundgreen

https://www.pstereo.no/


観客、後ろに見えるのがニデルヴァ川


雨が降る直前のショットです。この後大雨になりました。


カラフルな椅子

Double Clapperz - ele-king

UKと中国をまわるツアーから帰ってきて、現地で見つけたもの、セットで盛り上がったものを中心に選曲しました。

最近のフェイバリット・トラック10選

Bohan Phoenix - Overseas 海外
https://youtu.be/YTUmEFdutTY
中国ツアーに行った際に「ラップが今一番流行ってるのはどこ?」と聞いた際に「成都(Chengdu)」と返ってくることが多かったんですが、Bohan Phoenix はそんなラップ・シーンが盛り上がっているという成都のラッパー。アルバム『Overseas』は、Harikiri、Delf、Ryan Hemsworth、Howie Lee など豪華プロデューサーが固めており、メロディックなセンスを持ち合わせてて楽曲が素晴らしい。(Sinta)

Okzharp & Manthe Ribane - Kubona
https://youtu.be/7izLi7nrRxc
南ア生まれロンドン在住の元 LV のメンバー Okzharp と南アのアーティスト Manthe Ribane のコラボ・アルバム。なんだかんだずっと聴き続けてしまいます。アルバム通してステレオタイプなアフリカっぽい音色や打楽器は使っていないのに、音全体からアフリカっぽさを感じられるのも良いです。DJではよくアルバム収録曲の“Never Say Never”をプレイしてます。(Sinta)

Kojey Radical - WATER (IF ONLY THEY KNEW) ft. Mahalia
https://youtu.be/i6CbtXl2JUM
Kojey Radical のユニークなラップ・歌声に惹きつけられました。〈XL Recordings〉が2016年にコンパイルした『NEW GEN』に参加した時から異彩を放っていましたが、Swindle、KZDIDIT のソウルフルなプロダクションでより際立ってます。(Sinta)

Tohji - flu feat. Fuji Taito (prod. Dj Kenn Aon)
https://youtu.be/yif68xb5rSs
東京のラッパー Tohji と Fuji Taito のコラボ・トラック、真似ではない独自のフローとパンチラインだらけのリリック。DJ Kenn Aon のスクリュートラックが耳に残ります。この曲が収録されているTohjiのEP「9.97」も最高。(Sinta)

Joker - Boat
https://soundcloud.com/jokerkapsize/boat
DubStep レジェンド Joker 率いる Kapsize の10周年を記念した3部作EPからの1曲。中国ツアーでプレイした際フロアが爆発したのが印象的でした。個人的に昨年に引き続きレイヴィーな DubStep に気持ちが戻っている中で、今後もヘヴィープレイしたい。(UKD)

Commodo - Dyge
https://youtu.be/RhQZD8p1kgE
〈Deep Medi Musik〉や〈Hotline〉等のレーベルより多数リリースを行ってきた鬼才 Commodo が Clap! Clap! 率いる〈Black Acre〉よりリリースした待望の新作。ミステリー映画の様なメロディーラインもさることながらLoFiさとHiFiのミックス感が最高。ミステリークランクとも評される彼のトラックの中でも、お気に入りです。(UKD)

Dayzero - Gun Pop
https://soundcloud.com/dayzero_jp/dayzero-gun-pop
岡山の DubStep プロデューサーの最新EPからの一曲。リリース前からダブとして僕らもヘヴィープレイしてきましたが、めでたくリリース! HipHop 的アプローチも感じるど変態ダブステップ。(UKD)

Walton - No Mercy Ft. Riko Dan
https://soundcloud.com/tectonic-recordings/walton-no-mercy
マンチェスターのプロデューサー Walton が〈Tectonic〉よりリリースした New Album から Riko Dan をフィーチャーした一曲。ここ最近アジア的な音色やメロディーラインがトレードマークとなっている彼のトラックにパトワが乗ると破壊力抜群。(UKD)

Catarrh Nisin ft. Duff - Tsujigiri Barz
https://youtu.be/49qhDTWPcYQ
手前味噌ながら、Double Clapperz でプロデュースした曲です。栃木を拠点に活動する MC DUFF と関西・神戸の MC Catarrh Nishin のコラボ・チューン。Double Clapperz のサウンドタグの声は DUFF さんの声なので、初めて一緒にオリジナルのトラックを制作できたのも良かったです。(Sinta)

Maru & Onjuicy - That's My S**t (DoubleClapperz Remix)
https://soundcloud.com/doubleclapperz/onjuicy-thats-my-st-double-clapperz-remix
こちらも手前味噌ですが、要注目の若手プロデューサー Maru と盟友 Onjuicy のコラボ・トラックをRemixしました。原曲とは別ベクトルなラップ・チューンを作る事を念頭に置いて、あえてクラシックGrimeを彷彿とさせる様な音色やパーカッションを多用しました。Grimeジャンキーならネタ元気づくかも。(UKD)


【プロフィール】
Double Clapperz
UKDとSintaからなる、グライム・ベースミュージックプロデューサー/DJユニット。

2012年からグライム, ダブステップ, ダンスホールレゲエなどの音楽に影響を受け、硬くダークでコントラストに富んだテクスチャとクリアでうねるようなベース・ミュージックを制作。彼らのトラックは BBC Radio や Rinse FM など多くのラジオ局でプレイされ、Murlo, Spooky, Mumdance などシーンの中心的なアーティストにサポートされている。
また、UKの Mixmag にフィーチャーされ、Crack Magazine による「10 Upcoming Grime Producers」に選出されるなど、プロデューサー/DJとして多くの注目を集める。自身が主催する Ice Wave Records から3枚の12インチEPをリリース。完売したカタログ1番は現在入手困難盤となっており、日本が誇る Grime プロデューサーとして自身を確立している。2016年には Boiler Room Tokyo に出演し Skepta, Kohh と共演。2018年夏には中国・イギリスなど3か国6都市をめぐるツアーを行った。

【出演情報】
9/1 (土) 9th KINGDOM presents @ TRUMP ROOM
9/9 (日) KING OF POP @ LOUNGE NEO


Aïsha Devi - ele-king

 Aïsha Devi の2枚目のアルバム。彼女が運営するレーベル〈Danse Noire〉の近作、J.G. Biberkopf 『Fountain Of Meaning』、Abyss X 『Pleasures Of The Bull』は共にあまりビートを多用しない作品で、その傾向は自身のアルバムにも現れていて、今作はかなりメディテーティヴな仕上がりとなっている。

 ビョークなどと比較されたりもする彼女の声でアルバムは幕を開ける。“DNA ☤ ∞”を構成するのは声とシンセサイザー、リヴァーブがかかった高音域のメタリックなパーカッションくらい。シンセサイザーは何種類かのヴァリエーションがあるが、それでもシンプル。祈るような歌唱法、オートチューンを使っていそうに聴こえるところも彼女の場合自分の歌唱法でこなしていると思うが、確かではない。ビートこそ入らないものの、BPM 120でビートをMIXすることができるので、ある意味自由度が高い。

 トラップっぽい低音域のビート、ベースラインを基盤にして、彼女の歌も話すような低音域を駆使、そこにチャントのような伸びやかな高音域も加わる“Dislocation Of The Alpha”。歌唱や語りの合いの手のように入る打撃音が力強いが、間欠的でテンポもゆっくりなため、決してダンサブルではない。ある種の儀式の音楽の様な曲。彼女の場合ほとんどの曲がそうとも言えるが。

 声と打撃音がユニゾンで鳴り響き、錫杖を鳴らした様な金属的な音と、その木霊が左右に振られて、呼応する。そんな風にして始まる“Aetherave”もまた音数の少ないシンプルな曲だ。ユニゾンは浮遊するような声と鐘の音に少しの間移行し、続いて美しいアルペジオシーケンスとうねるシンセベースが呼応し合うように奏でられ、それらを受けるように深いリヴァーブのかかった声が呼応する。ユニゾンは136辺りの BPMで、基本的に2小節ないし4小節置きに鳴っているが、アルペジオシーケンスが鳴っているパートは4拍目裏に入ってシンコペーション感を出している。印象的なメロディーが活きるように、シンプルなトラックとロングミックスすればクラブでも活躍するかもしれない。

 続いて“Hyperlands”。BPM 80で架空の動物の鳴き声か、何かの合図の管楽器を電子変調したような音の1小節のメロディーが5回繰り返される。4回目の4拍裏にベースが入ってシンコペートし、5回目頭でキックが入ってきて、勇壮なストリングスのメロディーが冒頭のメロディーに取って代わる。そのストリングスも弦楽器特有の軋むようなアタック音が次第に薄れていってフルートのような音に変化していき、17小節目でメロディーは引き継ぎながらも一気にフルートの音に変わる。終始キックは小節頭のみ、ベースも4拍裏と頭のみ。トラップのような小刻みなハイハット様の音もゆったりと左右にパンしながら刻まれている。その上で Aïsha は高音域の歌唱を響かせたり、呟くように低い声で語る。4小節置きに男性の声が勢い付けるように合いの手を入れ、フルートに変わってから16小節が経過すると、突然サンバを高速にしたようなフレーズが8小節間をジャックし、電子音が宇宙へと飛翔するような一瞬の音を契機に全ては元に戻る。以降男性の声に代わって Aïsha が4小節置きに声を上げると共に、2拍目に覚醒的な、深いリヴァーブのかかった金属的打撃音が加わるが、その気持ち良い音は18回しか聴くことができない。

 いきなり強烈な変則ビートとフューチャー感溢れるシンセコード(若干レイヴィー)で幕を開けるBサイドの冒頭曲“Inner State Of Alchemy”。Aサイドは落ち着いた曲が多かったので、その対比が強烈な印象を生む。変則打ちのキックと硬い打撃音がユニゾンで打ち込まれるパートに興奮するが、テクノのようにずっとビートが続くわけではなく、あっさりとそのパートも終わってしまう。やはり主役は声なのだ。前作よりもさらにその傾向は際立っている。イントロの構成要素のベースラインやビートが分解され、ひとつひとつのパートを再構築された上を様々な声の出し方を使って奥行きのある空間を作っていく。この曲に限らず、多用されているのはリヴァーブで、構成している音自体はかなり少な目だが、ほとんどのパートに深いリヴァーブがかかっている。

 ブルガリアン合唱団のような歌唱法で始まる“Light Luxury”。前曲に続きこの曲も力強いビートが含まれていて、サビではそこにレイヴィーなシンセが被ってくるからたまらなく、いまのところこの曲がいちばんのお気に入り。ビートはやはり音数が少ない。非常にシンプルだが、ここぞという所ではハイハットがシャーン!と鳴ったりしてアクセントを添える、ということが音楽においてどれほどの効果を上げるのか、ということはやはり重要で、プロダクションには様々な可能性(この音をここに入れるか入れないか等)がある。それはさておき、やはりここでも変幻自在の声が惜しみなく彼女の喉を震わせている。しかし次に続く短い“Genesis Of Ohm”の声は流石に生ではないだろう、コロちゃんのような声で歌われ、次のインタールード的“Time (Tool)”に入る前に波の音が入るのが、無条件に良い。“Time”の話し声は Aïsha とは思えず、コンピューターに喋らせているようなニュートラルな感じがするが、冒頭の男性的な低い声は Aïsha の歌い方だと思うし、Anohni は参加していないはずだし、やはりここではオートチューンを使っているのかもしれない。まあ DAW でもいろいろ編集できるわけだし、そのこと自体はさして問題ではないが、なぜここでこの低い声を選んだのか、ということが重要で、ほぼアンビエント・チューンと言っていいだろうこの曲の後半では金切り声のような叫びが何度も繰り返される。おそらくはその低さと高さの対比が生む効果を狙っているのだろう。これを普通の女性的な声で歌っていたら、叫び声が際立たない。

 もういろんな声の出し方は思う存分使い切ったし、最後は普通に歌って少しヴォコーダーでもかけてみるか、といった感じのラスト・トラック“Cell Stems Spa”。こちらもアンビエント・トラックで、穏やかにアルバムは締めくくられていくのかと思いきや、最後になにやら切羽詰まった感じでシンセのフレーズも高音域に達し、話し声もなにやら懇願するかのように、祈るように響く。やはりスピリチュアルなのだ。

 アルバム全体を通して言えるのは、シンプルで少ない音数を大切にし、ひとつひとつのパートが呼応し合うように構成されている、響き合う、木霊する、そういうことを日々の生活のなかでも大切にしているのだろう、そういう感覚が滲み出ているように感じられる。ジャケットの Niels Wehrspann によるタイポグラフィ、118 によるイラストレーションも素晴らしい。文字は読みにくいが。

 彼女と中国ツアーでシェンチェンと上海を回ったとき、自身のパフォーマンスに対する妥協なき姿勢をリハーサルのときに見せ付けられた。自分が納得の行くサウンドに到達するまで、何度も何度も長時間(お昼間から)リハーサルを繰り返していた。僕はその日に到着したばかりで、しばらくは付き合っていたが、自分のパフォーマンスのためにも一旦ホテルにチェックインして休むことにした。結局その日は自分が求めるサウンドを作れなかったようで、ライヴも不満の残るものとなってしまったようだ。

 彼女と大阪のチベット料理屋さんで食事をしていたときに、金属の食器を使おうとするとたしなめられ、一緒に手で食べたのも良い思い出。1年に一度か二度はインドに瞑想をしに行くと言っていた彼女は、山奥で悟りを開いて仙人のように暮らしたいと夢を語っていた。そんな彼女のよりスピリチュアルになった新作『DNA Feelings』も、やはりより大きな音で体験すると、チャクラが開くかもしれない。


Mars89 - ele-king

 食品まつりに次いで、いま国境を越えて注目されているエレクトロニック・ミュージシャンといえば、ダブル・クラッパーズ、そしてMars89がいる。ん週間前にFACT magでもニュースになっているように、Mars89の新作「End of The Death」がロンドンのレーベル〈Bokeh Versions〉から8月31日ヴァイナルでリリースされる。
 インダストリアル・ダブをこの時代にアップデートさせながら、南アフリカのゴムからの影響も取り入れつつ、幻覚性の強い、他に類を見ないオリジナルな作品となっている。ますます研ぎ澄まされていくMars89の音世界にぜひ触れて欲しい。これがいまの東京の音のひとつだ。都内では、下北沢のZERO、およびJET SETで買えるはず。なお、Mars89のDJを聴きたい方は、今週24日の代官山UNITに来て下さい。


Mars89
End of The Death

Bokeh Versions

MUTE - ele-king

 今年で創立40周年を迎える〈ミュート〉は、ポストパンク時代に生まれたレーベルにおいて、ことエレクトロニック・ミュージックに重点を置いたレーベルとして知られている。エレクトロ・ポップを発展させながら、インダストリアル、ノイズ、あるいはクラウトロックといった決して商業的でない音楽もこの40年ものあいだプロモートし続けている。
 先週、レーベルは彼らの40周年を新たな門出と捉えるべく、新プロジェクト"MUTE 4.0 (1978 > TOMORROW)”の概要(MUTE 4.0 (1978 > TOMORROW))を発表した。近々日本でもなにか動きがあることを期待して続報を待とう!

R.I.P. Aretha Franklin - ele-king

 身近な存在だったキング牧師はむろんのこと、民主党三代にわたる大統領それぞれに対する賛歌をその式典で歌ってきた女王、アリサ・フランクリンがついに歌われる側に回ったことを、かつての栄華とヴァイタリティを欠いた大都市デトロイトからの報道が知らせていた。「家族のロックを失った」と近親者のメッセージは書いている。あの方がわたしのロック、つまり拠りどころ、その信仰の中で8月16日の日まで76年生きてきた女性は家族内ではむろんのこと、女性全体、黒人全体、ひいてはアメリカ全体を守護するまさにロックとなっていた。現プレジデントとされる人物さえ、人の死はフェイクニュースとは呼べないからだろうか、閣議冒頭にその死を悼むコメント原稿を読みあげていた。

 終身称号「ソウルの女王」である。ソウルとはもちろん、ソウル・ミュージックのことではあったが、音楽という単語が脱落してもなお、より広範な意味を持つところの「ソウル」を人々に意識させるものであり、そこにこそこの称号の真の意味があったといえるのはないだろうか。クイーンという呼び方が現実的なものになりつつあったのはやはり代表作のひとつ“リスペクト”の頃だろうか。1967年25才のアリサは、ソウル・ムーヴメントの真っただ中で気を吐いていたオーティス・レディングのこの曲に自分の結婚生活の中での希望を読み取って思いっきり声に出した。それは大ヒットとなってオーティスも兜を脱いだ。R&Bではもちろん、ポップ・チャートでも1位となったが、そのポジションはずっとあとにジョージ・マイケルとのデュオで記録した曲以外は彼女唯一となる。それはアトランティック・レコードでの二作目であり、シングル第一弾だった衝撃的なゴスペル・ブルース“アイ・ネヴァー・ラヴド・ア・マン”の余韻の中を突き刺すように響きわたり、単なるR&Bシンガーの枠を軽々と超えていった。

 シンガーとしても名を成す姉妹二人(アーマとキャロリン)にR-E-S-P-E-C-Tと繰り返し唱和もされるこの曲は、公民権運動期に求められたもの、人間としてのブラック、また女性の尊厳を求める声をそのまま指すものとして、最も激しい長い暑い夏を迎えニューアークやデトロイトをはじめとして多くの都市で黒人暴動が起こる中、大きなうねりの中で迎え入れられたのだった。アリサはもちろんシンガーとしての力は筆舌に尽くしたいものがあるけれども、世に上手い女性シンガーなど大勢いる。にもかかわらず、それを頭一つ越えた力量、聴く者の心にヒタヒタとまとわりつく逃れられない声質であり訴求力であり包容力であり、中心には5オクターヴとも言われる音域を自在にゆきかう、びくともしない歌の柱があった。そのレヴェルにして初めて天賦の才と呼ぶことができるはずであり、その歌声をもってして初めて黒人社会全体〜全米にゆきわたるテーマ曲となりえたのである。男女関係の中の女の位置についての申し立て“シンク”も、ブルース・ブラザーズの映画の中でのはまり役、カフェ食堂のウェイトレスたるアリサによって同様に増強されフェミニズム解釈に至った。

 1942年3月メンフィスに生を受けるもデトロイトに幼児期から住んだ。両親の離婚、直後の母の死(52年)を経て、この町でプリーチャーとして名を成す父親C.L.フランクリンの影響下に育つ。ごく小さいころからピアノを弾き、耳にするどんな曲もすぐに再現して歌ったという。10代前半で出産経験二度、そのまま行けばあるいは一度はモータウンの門を叩いたかもしれないが、父親の考えもあって18才で大手コロムビア(現ソニー)と契約、ジャズ・シンガーともブルース・シンガーともポップ・シンガーともつかないアルバムを出していくが、歌唱のベースはしっかり出来あがっていた。強くゴスペルに根差した音楽性は、南部ソウルの興隆及び公民権運動の激しい動きとのマッチングを要したが、その火花は67年についにスパークした。

 時代の要請と本人の意識、ソウル・ムーヴメントを確実に体現するシンガーとして屹立する。ソウルというものの核心には、ありのままの自分、状況を自他ともに認識するという側面があり、飾ることなく語り告げることや(テル・イット・ライク・イット・イズ)、また自分の内面を正直にさらけ出すことによって目の前の相手、またコミュニティ全体に至るまでの一体感を持たせるというところもある。傷に耐え、やがて乗り越えてゆく、というソウルの途だ。「(あなたがそうだと思わせてくれる)ナチュラル・ウーマン」もそうした動きの中で歌われたものであり、のちにバラク“チェンジ”オバマが涙をぬぐった場面が、単なる一曲を超えた意味を持つものであったことを如実に示していた。報道を見る限り、一般世界では前述2曲がとくにアリサの代表曲ということになるようだ。“エイント・ノー・ウェイ”や“スピリット・イン・ザ・ダーク”などの超絶作品がなかなか語られない。

 このような大きな存在になっていったアリサだが、こと日本に関してはソウル・ファンが好みの範囲でものを言う世界だったから、正鵠を射た評価には至っていなかったようにも思える。そこまでの大歌手という位置を理解するのに苦しんでいる感もあった。アリサを特集した専門誌にはファンク傑作“ロック・ステディ”について、めちゃくちゃな歌詞聞き取りを根拠にゴスペルとファンクを一体視して自説の限界を示す恥ずかしい論評もあるくらいだ。それもまたロウダウン・フィーリングというアリサの飾るところのない心情を見せたところにファンクとしての真髄をのぞかせるもので、大きなソウルの流れの中でのリアルが輝いているものだ。

 100万ドルのヴォイスとされた説教を聞かせる父、CLは信心深い家庭の多くと様相を異にし、意外に世俗曲に寛容だった。それがためにアリサ及び姉妹たちが育っていったとも言えるわけだが、押しも押されもせぬ大シンガーとなり商業音楽の要請とも折り合いをつけねばならず、男女関係に加えさまざまな葛藤を抱えていたことは間違いない(あまりに「人間的な」アリサについては評伝『リスペクト』を読まれたし)。ユーリズミックスとの共演“シスターズ・アー・ドゥーイン・イット・フォー・ゼムセルヴズ”では女性の自立テーマにうまくフィットさせたところもあったし、ピンクのキャデラックでフリーウェイを飛ばす女史も決して悪くはないが、時代を下るにつれ、心ここにあらずの作品もなくはない。そんな時、立ち返って精神の安定を得るのはゴスペル音楽世界であり、ピアノの前に座って半歩、キーボードにタッチしてもう半歩、歌い出してすべてがゴスペルとなる。名盤の誉れ高い『アメイジング・グレイス』や『ワン・ロード、ワン・フェイス、ワン・バプティズム』でのアリサは、すべての俗念を払い神を称えることによって心の安寧を取り戻していた。“ハレルヤ!”の叫びは常にマジックのよう。それがソウル歌手アリサの基盤であった。

 ローリン・ヒルに「薔薇はどこまでも薔薇」と捧げられてから20年、膵臓ガンとされた死の床に舞っていた歌は何だったろう。愛する男の存在ゆえにフリーになれない自分、と歌ったのは50年前の昔、フリーダム賛歌を経てブラザーズ&シスターズが今なお決してフリーとは言えない現況を思いつつ、一人故郷を離れ別世界へ赴くことで得る最終的な自由が去来する。
 

“主よ、血があなたの中を温かく流れるとき
わたしは信仰を得ました
ずっと御許に
死の時がめぐりくるまで
お仕えいたします“

 アリサ・フランクリン僅か14才の時の清新な録音そのままに、永遠の眠りについたのではなかろうか。RIP.

Merzbow + Hexa - ele-king

 本作のアルバム名「アクロマティック」とは、その意味のとおり、全音階だけから構成される漆黒のノイズ音楽のことを指す言葉に思えてならない。実際、『アクロマティック』に横溢しているサウンドは、無彩色の、モノクロームの音空間、もしくは、そのすき間から漏れる雑音の光のようなのだ。美しく、強靭で、そして儚い。いわばノイズ・ルミナス、ノイズ・スカルプチャー 。ノイズの現象。ノイズの彫刻。
 メルツバウとヘキサ。この異色ともいえるノイズ・ミュージック、エクスペリメンタル・ミュージックのコラボレーション・アルバムを聴いて、思わずそんな言葉が漏れ出てしまった。ダーク・ノイズのむこうにある光? 光の中に生成するノイズ? ノイズ・オブジェクト? それはどこか物質を超越する意志の発露のようだ。
 かつてノイズ音楽は「物語/歴史の終わり」を象徴していた。音楽、そして世界の歴史の終焉から始まったのだ。そしていまは「物質の終わり」から「人間の終わり」を予兆している。ノイズ音楽はヒトの無意識を反映し、作用する。

 果たしてこんな表現は大袈裟だろうか。しかし「ジャパノイズの神」としてだけではなく、世界的な「ノイズ・レジェンド」であるメルツバウ(秋田昌美)と、カテゴライズを超越したユニーク極まりないUSのエクスペリメンタル・ユニットである「シュシュ(Xiu Xiu)」のジェイミー・スチュワートと、エクスペリメンタル・ミュージック・レーベル〈ルーム40〉を主宰するアンビエント/ドローン・アーティストのローレンス・イングリッシュによるユニット「ヘキサ(Hexa)」の協働によって完成したアルバム『アクロマティック』を聴くと、そのあまりに美しいノイズの衝撃に、そんな言葉が真理であるかのように思えてしまうから不思議だ。ここでは物質的なものへの抗いが、強靭なノイズと清冽な音の中で生成している。
 もっともこのコラボレーションは奇跡ではなく必然でもあった。まず、メルツバウとシュシュは、2015年にメルツバウ+シュシュ名義で『メルツシュ(Merzxiu)』というアルバムをリリースしている。
 そして、ローレンス・イングリッシュとジェイミー・スチュワートは、ヘキサとして映画作家デヴィッド・リンチの写真展の音楽を制作し、その音源はアルバム『ファクトリー・フォトグラフス』としてイングリッシュの〈ルーム40〉から2016年にリリースされた。リンチ的な荒廃した世界観と、彼らの霞んだサウンドが融解する素晴らしいアルバムであった。メルツバウとヘキサ、伏線はしっかりと敷かれていたわけである。

 むろん本作は、同時に、単なる出会いの成果などではなく、コラボレーション特有の魅力の暴発がある。個の拡張とでもいうべきかもしれない。じっさい、ここ数年のメルツバウはコラボレーションを重ねても、いや、むしろ重ねることで圧倒的な存在になっている。特に近年は、サーストン・ムーア、マッツ・グスタフソン、坂田明、ジム・オルーク、灰野敬二、バラージュ・パンヂ、ガレス・デイビス、アレッサンドロ・コルティーニ、ダエン、ニャントラなど実に様々なアーティストとのコラボレーションを重ね、領域と世代を超えた存在感を多方面に刻み付けてきた。
 加えて近年の動きで決定的だったのが1996年リリースの傑作『パルス・デーモン』https://bludhoney.com/album/pulse-demon)を、ヴェイパーウェイヴのレーベルとして知られる〈Bludhoney Records〉がリイシューしたことだ。

 このアルバムのリイシューによって、ヴェイパー世代にむけてメルツバウという存在が見事にリプレゼンテーションされた。いわば80年代~90年代のノイズ・ミュージックと10年代のヴェイパーウェイヴがエクスペリメンタル・ミュージックの歴史/流れとしてつながったのである。
 『アクロマティック』も、そのような時代的な潮流に合流可能な作品だ。それはヘキサとのコラボレーションによってローレンス・イングリッシュ=〈ルーム40〉へと繋がったこともあるが、本作のリリースが〈ダイス・レコード(Dais Records)〉だったことも、さらに重要に思える。
 〈ダイス・レコード〉はロスとニューヨークを拠点とするレーベルである。主宰ギビー・ミラーらのキュレーションによって00年代中盤以降より、コールド・ケイヴ、クーム・トランスミッション、アイスエイジ、ユース・コード、シシー・スペイセク、マウリツィオ・ビアンキ、ラグナル・グリッペ、サイキックTV、トニー・コンラッド、ゼム・アー・アス・トゥー、ドラブ・マジェスティ、コールド・シャワーズ、コイル・プレゼンツ・ブラック・ライト・ディストリクトなど、いわばハードコアからノイズ、エクスペリメンタル・ミュージックからシンセポップ、リイシューから新作まで、ジャンルや音楽形式を超えつつも、ギビー・ミラーの審美観によって作品をキュレーションおよびリリースしてきた稀有なレーベルだ。
 その彼らがついに「ジャパノイズの神」にして「世界のノイズ・レジェンド」として深くリスペクトされるメルツバウのリリースに踏み切ったのだから、レーベルにとっても相当に記念碑的なアルバムともいえるはず。じじつ、『アクロマティック』は圧倒的なノイズ/エクスペリメンタル・サウンドをこれでもかというほどに展開する。
 アルバムは、A面には“Merzhex”を、B面には“Hexamer”を収録している(“Merzhex”のミックスはローレンス・イングリッシュが、“Hexamer”は、秋田昌美の手による)。
 注目すべきは“Merzhex”だろう。曲はシームレスだが表記上は4パートに分かれており、ノイズ・オブジェのようなモノとしての質感と、それが流動的に溶けだしていってしまうような不可思議な感覚が同時に生成されていく強靭なメルツノイズと律動的なメルツパルスが炸裂するサウンドだが(パート3以降の猛烈な音響の炸裂の凄まじさときたら!)、どこかヘキサ的な硬質で清冽なアンビエント感覚も鳴っているようにも聴こえ、「メルツヘキサ」というユニットによるトラックともいえなくもない。メルツとヘキサの融合体とでもいうべきトラックだ。
 対して“Hexamer”は、持続と反復と切断と生成が沸騰するように巻き起こり、ノイズの快楽を極限までヒートアップさせるトラックだ。メルツマニアの方ならばコラージュ的な展開に1980年代中期の秋田ソロ期以降のメルツバウを思い出しもするだろう。極限的な聴取が可能な逸品である。

https://www.youtube.com/watch?list=PLrfCEV-W7z9Ak2tQ_3XvEyJxRSJJ8eH3Y&v=XQIB4GbIDZY

 本作『アクロマティック』の暴発するノイズの果てに聴こえる=見える光。それはアートワークのように、漆黒のすきまから漏れ出る眩い光のようである。マテリアル化に抗いながら、光のように音という磁場を生成すること。そこに生まれるノイズのオブジェクトを提示すること(『アクロマティック』はアンチ・マテリアルなサウンド・インスタレーションのようだ)。この『アクロマティック』には、そんなノイズ音楽が内包する本質的かつ魅惑的な矛盾が横溢している。それはノイズ音楽の矛盾と魅惑だ(この矛盾をノイズで塗りつぶしたいという衝動こそがいわゆるジャパノイズの起源かつ本質であった。いわば近代・戦後日本という二枚舌的(欺瞞)社会への闘争だ。80年代初期から中期のメルツバウを聴けばそれがより体感的に理解できる)。
 本作に漲っているノイズへの欲望もまた、二つ(三つ)の自我/意志が「音楽の全音階を塗り潰すこと=世界を乗り潰すこと」にある。これこそメルツバウの、その活動最初期から変わらぬ意志でもある。いわば聴取の臨界点ギリギリまで追求するサウンドの生成だ。同時に、あらゆるメルツバウ作品がそうであるように、『アクロマティック』も新生成であると同時に唐突な中断である。中断は次のノイズ・ミュージックの生成へと継続していく。そう、メルツバウ/メルツノイズは終わらないのだ。中断するように、永遠に。物質の、その先へ。

Spiral Deluxe - ele-king

 ジェフ・ミルズにバッファロー・ドーターの大野由美子、日野“JINO”賢二、そしてURのジェラルド・ミッチェル。とてつもないメンバーによって形成されたスパイラル・デラックスなるこのエレクトロニック・ジャズ・カルテットは、なんでもジェフの長年の構想だったのだという。2015年、東京/神戸にて開催されたアートフェス《TodaysArt JP》をきっかけに活動を本格化させた同4人は、昨年EP「Tathata」を発表、そして今秋、〈アクシス〉より待望のデビュー・アルバム『Voodoo Magic』をリリースする。DJになる前はジャズ・ドラマーとして活躍していたというジェフの生ドラム音源が収録されている点にも注目だけれど、テレンス・パーカーによるリミックスも楽しみ。同アルバムは9月7日、2LPにて発売予定。公開されているティーザーもチェック。

ジェフ・ミルズ率いるSPIRAL DELUXE(スパイラル・デラックス)、
待望のデビュー・アルバム『Voodoo Magic』を9月7日(金)アナログ先行でリリース!

ジェフ・ミルズ(Drum machine, Dr, Percussions)、
大野由美子(バッファロー・ドーター/Moog Sync)、
日野“JINO”賢二(B)、
ジェラルド・ミッチェル(Key)による
SPIRAL DELUXEは、音楽という宇宙を様々な次元から探訪する
スペシャルなエレクトロニック・ジャズ・カルテット。

アルバムからのティーザー映像も公開!

エレクトロニック・ミュージックのパイオニアDJ/プロデューサーにして、
音楽宇宙を自由自在に行き来するジェフ・ミルズが、
長年の構想を形にした SPIRAL DELUXE(スパイラル・デラックス)、
待望のデビュー・アルバム『Voodoo Magic』が、
9月7日(金)にアナログ(2枚組)先行でリリースされることが決定しました。

2015年、東京と神戸で開催されたアートフェス、《TodaysArt JP》において、
多彩なバックグラウンドと抜群のテクニックを持った4人
~ジェフ・ミルズ(Drum machine, Dr, Percussions)、
バッファロー・ドーターの大野由美子(Moog Sync)、
日野“JINO”賢二(B)、ジェラルド・ミッチェル(Key)~
によって結成されたSPIRAL DELUXEは、
音楽という宇宙を様々な次元から探訪するエレクトロニック・ジャズ・カルテット。

ワールド・ツアーと2枚のEP盤を経て、より柔軟に共鳴し合い、
最高のハーモニーを奏でるようになった彼らが
満を持して発表するデビュー・アルバム『Voodoo Magic』では、
バンドのユニークさを象徴するように各々が自由に楽器をプレイし、
ジャズ、ロック、ファンク、ポップ、ゴスペル、デトロイト・テクノ、ハウスetc. の
豊富なスキルと知識を表現。
パリの有名なスタジオ、Ferberにてその“瞬間をとらえる”ように録音されました。

DJになる以前はジャズ・ドラマーとして活躍していたというジェフは、
ドラムとパーカッションを担当しており、
ジェフの生ドラム音源がリリースされるのは今作が初となります。

“音楽から最高のスピリットを見出す”という
SPIRAL DELUXEの冒険(=インプロヴィゼーション)は、
スタイリッシュであると同時に心地良く、
スリリングなエッセンスも兼ね備えたスペシャルな音楽体験そのもの!

音質にこだわりLP2枚組にて発売される本作、
今後の情報も合わせ、ぜひご期待ください!

Amazon / Tower / HMV / diskunion

菊とギロチン - ele-king

 時は大正デモクラシー期。理想を夢見て資本家からお金を略奪し、政府転覆を画策する若きアナキストと、女相撲という興行で全国を旅する力士が出会う瀬々敬久監督の『菊とギロチン』は、いまのところ今年いちばん心打たれた映画だ。

 1917年にソビエト革命があり、1919年にワイマール憲法が制定された、世界各地で人びとは自由を求めて発言し、たたかってもいた。日本でも労働運動や女性解放運動、共産主義運動が盛んな、俗に大正デモクラシーと呼ばれる時代のことだ。政治的発言も行動も活発になった一方で、無政府主義者や共産主義者を警戒する治安維持法の前身となる法律が作られようとしていた。そんななか、1923年(大正12年)に起きた関東大震災では、混乱の中で流布した「流言飛語」によって不安に火をつけられた人びとが、隣人である朝鮮人を虐殺する事件が多発。半月後には、大杉栄と伊藤野枝も虐殺された。日本は、これから急速に不寛容、不自由な、暗い時代にむかい、長い戦争に舵を切る直前、後から見れば、さまざまな前兆が起きていたそんな時代。「ギロチン社」などというふざけた名前の政治団体を結成した実在のアナキストである中浜鐡は、貧しいものを苦しめる社会を変えるため、言論を弾圧する政治を変えようとしていた。「震災後の不景気のどん底で避難民が溢れ、食べるものもない人々は根っこを掘って口に入れる、残飯屋で1杯2銭の残飯を盗んで何人もで分ける。震災でぶっ壊れた東京の、そして震災でも覆せなかった権力の秩序に閉じ込められたまま」だと、中浜は演説をぶつ。「いたるところに自由意志を! 我々の直接行動を!」と。いや、演説というよりそれは詩だ。けれども詩を読むように夢と理想を語り、現実には資本家を襲って金を脅し取る「リャク(略奪)」を繰り返すだけ。いや、計画は立てるが、「リャク」した金は女郎屋で使い果たし、20代で梅毒持ちで……。いったいなにやってんだ?な若者だが、瀬々敬久監督は「社会を変えようと、たとえやり方は過激であり滑稽に見えさえしても、国家に死をもって処された若者の姿を描きたかった」のだという。監督は、1980年代からギロチン社の映画を撮りたかったのだという。「十代の頃、自主映画や当時登場したばかりの若い監督たちが世界を新しく変えていくのだと思い、映画を志した。僕自身が「ギロチン社」的だった」と振り返っている。身体中から湧き上がるほどに「自由」を求め、「自立」を欲し、社会を変えようと志して、それより先にまず自分が何よりも自由になろうと止むに止まれず暴走するものはアナキストとも言われ、けれどもそれは単に若者のことでもあった。「自由」の領域は時代とともに変わってきても、その本能のような心の震えはきっと今でも変わらない。

 そんなギロチン青年たちが出会う菊は女相撲の力士のしこ名だ。女相撲は江戸時代から1960年くらいまでおこなわれていたという。もっともこれは明治の終わりに「国技」を名乗った男相撲とはずいぶん性格の違う、いわば見世物興行だ。女たちが肉色のシャツにふんどしを締めて、「乳見せ役」を配したり、飛び入りの客と取り組みをしたり、女と座頭が卑猥な雰囲気で取り組むような興行もあったという。大正から昭和期のエログロナンセンスの時代ともなれば、その変態的趣向はエスカレートしていき、警察は風俗紊乱の罪で監視と取り締まりを強めるようになる。その取り締まりを逃れるため、「女相撲」ではなく「手踊り」の興行だと偽って届けるなんてこともあったとか。さらに戦後にはサーカスの一部として興行した一座もあったそうだ。映画では、元姉の夫と親の言うまま結婚したが、その夫の暴力に耐えかね家出して一座を頼ってきた花菊や、元遊女で朝鮮人の十勝川、沖縄出身の与那国など、いずれも貧困(口べらし)や差別(DVなど)、あるいは何かのはずみで居場所を失った女たちが見世物になって生きていく社会的な囚われ(隔離)の場所でもあるし、同時に最後に逃げ込んだ、おだやかで優しいシェルターのようにも見える。

 彼女たちがゆっくりと四股を踏む勇姿は、長い手足を持て余しているように七転八倒する中浜鐡(東出昌大)と対照的に優雅にさえ見える。長い取り組みのシーンも、相撲に全く興味がない私をも惹きつける、言葉はなくても雄弁に思いを語る。女のフリーターがボクサーを目指す武正晴監督の『百円の恋』がとても好きだ。その試合の場面も強烈に心を揺さぶられる。しかし、『百円の恋』の動機があくまでも個人の内面にあるのとはちがい、『菊とギロチン』の取り組みシーンには、職業差別や性差別といった社会的な存在の格闘が現れているように見える。そういう言葉があるわけではない。伝わるのは、ただ理不尽な貶めに対する悔しさだ。30年前から構想されていたというこの映画が今夏公開になったのはすごいタイミングではないか。なにしろ去年アメリカで始まったセクハラ告発運動#MeTooに端を発したフェミニズムの機運になかなかのれなかった日本でも、相変わらず「土俵に女は載せない」という自称国技の相撲協会やセクハラで告発された財務省事務次官に続き、東京医大の入試での明らかな女性差別採点が明らかになったことで、小さな火がついたのではないか。思えば日本では、「男女共同参画」「女性の社会参加」「女性活躍」とはいっても「男女平等」や「性差別」という言葉は長い間、少なくとも行政やマスコミなどでは使われていなかった。性差別入試への抗議行動で、「下駄を脱がせろ」というボードがあった。この件は女性を差別するな、という問題だと大方の報道では言われていたが、このボードを掲げる人は、「(男に履かせた)下駄を脱がせろ」「男性優遇はやめろ」と言ったのだ。これには私は少しばかりハッとした。それまでは女性受験生は減点された被害者だったのが、「(男の)下駄を脱がせろ」によって、なんというか、不当に優遇されている男性の足を、ちゃんと同じ地平につかせろと言うとき、女が差別された客体(被害者)とみなされるのではなく、男性こそが知らないうちに、意を無視して優遇された客体となったのだ。これって些細なことだけど、これに気付いた時、私の気分はかなり変わった。「性差別」は女の問題ではなく、男の問題だ、早く解決しておいてくれ給え、もういちいち女の手を煩わせないでくれよ、みたいな解放感といえばいいだろうか。

 だいぶ話が逸れてしまったが、『菊とギロチン』の花菊と十勝川にも、似たようなことが起こる。花菊は自分を連れ戻そうとする夫との間に、十勝川は彼女を追い詰める自警団との間に。そして、そこにアナキストが関係する。そもそもアナキストと花菊たちの関係は『伊豆の踊子』(西河克己監督)のパターンのバリエーションである。すなわち頭でっかちなエリート大学生と生命力に満ち、しかし悲劇性もはらむ旅芸人一座の少女の出会いと別れだ。『はなれ瞽女おりん』(篠田正浩監督)や『ノルウェイの森』(トラン・アン・ユン監督)なんかもそうで、高等教育を受けた言葉を持つ男性が、言葉より全身で感情や生命力を表現すると女性に惹かれる。女性は過去や未来の不幸や悲劇を隠しているがそうしたものさえ自己決定で甘受したようなたくましさが期待される。けれども、これって男性(近代とでも宗主国とでもマジョリティとでも)の勝手な妄想っぽいが、『菊とギロチン』では女たち、とりわけ家族や仲間を日本人自警団による虐殺で喪った朝鮮人の十勝川には、いや、前近代的な家制度に弄ばれ暴力を受ける花菊にも、きっちりこの社会の仕組みが見えていて、それがどのように襲ってくるかもはっきりとわかっている。ただ若い生命力にまかせて甘受しているわけではない。彼女たちはたしかに「社会」に生きていて、その底辺に閉じ込められているところがちゃんと見える。もちろんそれは、花菊や十勝川の現実を救いはしない。アナキストたちの自由の後ろにも、変えられない「社会」が見えている。だからこそ、一座や青年たちが大勢で浜辺でくつろぎ、沖縄の音楽に合わせて踊り、飲み食う、いつ終わるかわからないレイヴのようなシーンが幻想的でこの世とは思えない幸福な時間となる。見えない牢獄に捕らえられていて、それでも心はいつでも自由に遊びまわる。その遠近感というのか、立体感というのか、感情の描かれ方の豊かさにつながっているように、私には感じられる。私は“激情”に弱いのだと思う。「強くなりたい」「強くなりたい」という、その切なさに、100年後の私も身がよじれる。



[8/21編集部追記:人名表記に誤りがありましたので、訂正いたしました。謹んでお詫び申し上げます]

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